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2017年11月8日 第1回放課後児童対策に関する専門委員会 議事録

子ども家庭局子育て支援課健全育成推進室

○日時

平成29年11月8日(水) 15:00~17:00


○場所

経済産業省別館227室(別館2階)


○出席者

委員

柏女委員長 安部委員 池本委員
植木委員 小野委員 金藤委員
清水委員 中川委員 野中委員

オブザーバー

西川文部科学省地域学校協働推進室長

事務局

吉田子ども家庭局長 成田大臣官房審議官 川鍋子育て支援課長
鈴木健全育成推進室長

○議題

1.委員長の選任
2.今後の進め方について
3.今後の放課後児童対策について
4.フリートーキング

○議事

○鈴木健全育成推進室長 定刻前でございますが、委員の先生方は全員お集まりになりましたので、ただいまから第1回「放課後児童対策に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。

 会議に先立ちまして、吉田子ども家庭局長より御挨拶申し上げます。

○吉田子ども家庭局長 改めまして、こんにちは。本日は御多忙の中、今回私ども改めてつくらせていただきました「放課後児童対策に関する専門委員会」に、委員の皆様方お忙しい中、御就任を御承諾いただき、また本日御参集いただきましてありがとうございます。まことに感謝申し上げたいと思います。

 専門家の方々を前に、あるいは実践家の方々を前に申し上げるのもあれですが、放課後児童クラブは、地域のそれぞれ子育てを一生懸命やろうというお父さん、お母さんの方々の取り組みから始まり、平成9年の児童福祉法改正でいわゆる法定化、法律上の事業となり、また、子ども・子育て支援新制度ができるときにあわせて対象年齢を拡大するという形で、地域の方々の取り組みを追うように制度としてこれまで取り組ませていただいたと思います。

 現在、全国で2万4,000クラブ、子どもの数で言うと109万人のお子さんが利用しているところでございますので、ざっくり言うと各小学校には校区に1カ所以上あるということになりますし、単純に割れば小学生の方々のおよそ6人に1人は何らかの形で利用していただいているという形になっております。

 平成26年にこれまでの放課後児童クラブと、学校において行われている放課後児童教室というものを融合させる。そして、それぞれのよいところを利用し、一体化も進めるという流れの中で、「総合プラン」というものを政府として立てさせていただいて、具体的な整備目標、それをまた前倒しをして地域の方々のお取り組みを応援させていただいているというのが現状でございます。一方で保育園でも言われておりますけれども、やはり女性の方々の社会進出などもあり、地域の子育て環境も変わっておりますので、放課後児童クラブの方々に対するニーズもふえて、結果的に待機という形になっていたり、小1の壁という声が聞こえてきたりするというのが現状ではないかと思っております。

 児童福祉行政としましては、28年、29年と2年間続けて児童福祉法を改正させていただきまして、とりわけ昨年28年の法改正においてはその1条を改正して、これまでは「国民は」という形で書いておりました話を、全て「児童は」という形で児童目線にさせていただいて、その中で一人一人の子どもたちの育ちというものを真正面から捉え、まずそれを権利としてこれから社会で受けとめていこうというような改正もさせていただきました。

 そういう中で、先日、私どもの加藤厚生労働大臣も都内の児童クラブを視察させていただいた中で、大臣自身は御本人もおっしゃっておられましたが、もともとは岡山の選挙区でありますし、全国いろいろ回っておられますので、地元に比べるとここは立派だね、地元にはいろいろあるよとおっしゃっておられましたが、そういう中においても、全国的に待機児童を早く解消しなければいけない、そのために量的な拡大が要る。さらには、量的な問題だけではなくて、いわゆるサービスの質という言い方がいいのか、また、今は「人づくり革命」を政府全体で進めておりますので、そういう流れの中からも、子どもたちの居場所であると同時に、その子ども一人一人の社会性、あるいは自立を育む場所として児童クラブ、あるいは児童クラブ活動というものをどういうふうに捉えていくべきかということについて、非常に社会的な要請があるのではないかということをコメントしておられます。

 そういう意味でも、この専門委員会にお声をかけさせていただいたときに申し上げたかと思いますが、もちろん地域におけるニーズに対する量的な拡大というものも大事でありますし、そもそも放課後児童クラブの位置づけというものをどう考えるかというようなこと、そういう中では現在先ほど申し上げました我々が範としております総合プランというものも検証していただきながら、あるべき姿について御議論をいただければと思います。

 大変お忙しい皆さん方のお時間をいただいておりますので、この会の場所での御議論もありましょうし、本日もいろいろと資料として出していただいていますように、いろんな機会に私ども事務局、皆様方の御意見を拝聴させていただきながら、最終的にこの専門委員会としての取りまとめ、中間まとめという形で御提言いただくようなことをお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○鈴木健全育成推進室長 続きまして、事務局より委員の皆様の御紹介をさせていただきます。五十音順で紹介をいたします。

 初めに、 工学院大学教育推進機構教職課程科准教授の安部委員でございます。

○安部委員 よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 株式会社日本総合研究所主任研究員の池本委員でございます。

○池本委員 池本です。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 特定非営利活動法人町田市学童保育クラブの会/わんぱく学童保育クラブ施設責任者兼放課後児童支援員の小野委員でございます。

○小野委員 小野です。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 淑徳大学総合福祉学部教授の柏女委員でございます。

○柏女委員 柏女です。よろしくお願いします。

○鈴木健全育成推進室長 文教大学人間科学部人間学科教授の金藤委員でございます。

○金藤委員 金藤と申します。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 淑徳大学短期大学部こども学科准教授の清水委員でございます。

○清水委員 清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 京都市北白川児童館館長の中川委員でございます。

○中川委員 中川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 申しわけございません。新潟県立大学人間生活学部子ども学科教授の植木委員でございます。

○植木委員 よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 大変失礼しました。

 続きまして、一般財団法人児童健全育成推進財団企画調査室長の野中委員でございます。

○野中委員 よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 文部科学省から、生涯学習政策局社会教育課地域学校協働推進室の西川室長がオブザーバーとして御出席いただいております。

○西川文部科学省地域学校協働推進室長 西川と申します。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 続きまして、事務局側の出席者の御紹介をいたします。

 子ども家庭局長の吉田でございます。

○吉田子ども家庭局長 よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 子ども家庭局審議官の成田でございます。

○成田大臣官房審議官 成田でございます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木健全育成推進室長 子育て支援課長の川鍋でございます。

○川鍋子育て支援課長 川鍋でございます。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 総務課長の長田でございますが、冒頭からの出席が難しい状況でございます。

 また、局長につきましては途中退席となります。御了承ください。

 司会をしております子育て支援課健全育成推進室長の鈴木でございます。どうぞよろしくお願いします。

 ここで、カメラの撮影は以上とさせていただきます。

( 報道関係者退室)

○鈴木健全育成推進室長 それでは、議事に入らせていただきます。

 最初に、委員長の選任を行わせていただきます。事務局としては、柏女委員に委員長をお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様よろしいでしょうか。

( 「異議なし」と声あり)

○鈴木健全育成推進室長 それでは、柏女先生、お席にお願いします。

( 柏女委員 委員長席へ移動)

○鈴木健全育成推進室長 では、柏女委員長から一言お願いしたいと思います。

○柏女委員長 ただいま、この放課後児童対策に関する専門委員会の委員長を仰せつかりました。

 先ほど吉田局長さんのお話にもありましたように、新しくこの放課後児童対策について、しっかりと議論をということでございます。なかなか重責を担うことに心引き締まる思いでおりますけれども、皆様方の御協力によりましてしっかりと務めて参りたいと思っております。皆様にはどうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 ありがとうございました。

 それでは、以後の進行につきましては柏女委員長にお願いしたいと思います。

○柏女委員長 それでは、私のほうから早速議事に入っていきたいと思います。

 最初に、本委員会の会議の公開の扱いと資料の確認について事務局からお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 まず、本委員会の会議の公開の扱いについてですが、会議及び資料につきましては公開とさせていただきます。

 議事録につきましては、後日、委員の皆様方に御確認いただいた上で、厚労省のホームページ上で公開をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。

 資料の1です。「放課後児童対策に関する専門委員会の設置について」。

 資料の2、「放課後児童クラブ関連資料」になります。

 資料の3、「主な論点について(案)」でございます。

 資料の4、「当面の議論の進め方について(案)」でございます。

 資料の5-1~4がございます。

 資料の5-1、「安部委員提出資料」。

 資料の5-2、「池本委員提出資料」。

 資料の5-3、「清水委員提出資料」。

 資料の5-4、「野中委員提出資料」でございます。

 また、机上配布資料として2つほどございます。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○柏女委員長 皆さん、よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。

 それでは、きょうの議事進行についてなのですけれども、きょうは第1回でございますので、この委員会において議論を始めるに先立ちまして、まずは本専門委員会の設置の趣旨について事務局より説明をいただき、その後、放課後児童クラブの現状や今後考えられる論点、今後の検討スケジュールについて御説明をいただければと思います。

 それでは、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○川鍋子育て支援課長 それでは、まず資料1をごらんになりながらお聞きいただきたいと思います。

 資料1の「委員会の設置について」の1の「設置の趣旨」というところに書いてございます。この設置の趣旨でございますけれども、まずここに「女性就業率の上昇」「利用児童数が増加」と書いてございます。今、女性の就業率が非常に高く、向上されてきているということが1つございます。それから、やはり働き方が多様化しているという部分ですね。もう一つ、保育所の待機児童の解消のために受け皿を整備しているという状況が一方である。そういったことを考えると、今後、学童、小学校に入った後の受け皿というものはやはり今後ふやしていかなければいけない。1つは量的な拡充というものを考えていかなければいけないというときに、ではその量をどのようにふやしていくのかということがあると思います。

 もう一つは、そのときに今、私どもは放課後児童クラブ、あるいは放課後子ども教室といったもので受け皿をふやしていくのですけれども、昨今の状況を見ますとそれ以外のもの、例えば子どもの居場所という視点で見たときに、それ以外の居場所というものはどう考えていけばいいのか。必要なのか。必要であればどういう居場所なのか、あるいはどうやってそういう居場所をつくっていったらいいのか。量と一緒に一つの形といいますか、類型といいますか、そういったものをどう考えていくかということがございます。

 これと同等以上に大切なことが、いわゆる質の問題でございます。ここにも「質の確保などのニーズへの対応」と書いてありますけれども、先ほど局長の挨拶にもありましたが、子どもの自立を育む、社会性を育むコミュニケーション能力を高めていく。子ども自身のコミュニケーション能力を高めていくということに目を置いたときに、ではどういう体制、あるいは対応をしていったらいいのか。そのための質とは何なのか。

 もっと申し上げますと、今、私ども例えば放課後児童クラブに基準がございますけれども、その基準を見たときに、果たしてここで質が担保されていると十分に言えるものなのか。何か足らないものはあるのか、考えなければいけないものはあるのかという視点もあると思います。この点は、やはりサービスの質というものに関して一度御議論をいただきたいと、この委員会でもお願いしたいと思います。

 今、申し上げたような大きく3つの柱で議論をしていただきたいと思っておりますけれども、委員の皆さんの御意見の中でやはり必要な柱建てを追加する必要があるのであれば、またそれはそれで皆さんのほうで議論をしていただきたいと思っております。

 それから、資料の2をごらんいただきますと現状ということでございます。先ほど局長の話でもありましたけれども、資料の2の2ページを見ていただくと、一番上の欄に書いてあることは、先ほど局長のほうでお話をしました制度的な話がございますが、やはりこの中でも一つ大きいのは「※」が書いてあると思いますけれども、子ども・子育て支援新制度の施行のときに、対象年齢を10歳未満から、10歳未満というのはおおむね小学校3年生でしたが、それを小学校に就学している児童6年生までというふうに拡大をしたということがあります。いわゆる高学年の児童がきちんと利用できるようにしたということがあります。これはちょっと後で申し上げますが、どういう影響が出ているのかというのは後ほど説明します。

 それから、現状のところのクラブ数、それから単位数、あるいは利用児童数、待機児童数といったもののデータがございます。

 下のグラフを見ていただくと、やはり右肩上がりでふえているのですけれども、待機児童数もふえているという状況にあります。

 今、私どもが目指しているのは「今後の展開」のところに書いてございますが、先ほどもありましたけれども、やはり受け皿を確保していくということで、いわゆる122万人分の受け皿確保、プランでは31年度末まででしたが、一応プランのほうで1年前倒しということで、これに向けて今進んでいるという現状にあるということでございます。

 若干細かくなりますが、3ページ、4ページぐらいで、3ページ以降に現状の細かいデータがございます。3ページのところでちょっと申し上げると、先ほど新制度で対象拡大をしたということの影響だと思いますが、高学年の児童数の数がふえているということが1つございます。これは、やはり27年度から対象拡大をした影響であろうと考えております。

 それから、4ページのところに「放課後児童クラブの現状()」ということで、規模とか設置場所、あるいはこのようなデータがございますが、支援単位で申し上げると45人までの単位が約7割です。設置場所について申し上げると、学校の余裕教室が約3割、学校敷地内の専用施設が約24%ということで、大体これで半数以上が小学校内での対応ができているということになります。

 終了時刻ですが、18時半を超えて開所されているクラブが全体の約半数、登録児童数の状況ということですが、ここを見ますとやはり低学年の1年生~3年生までが約8割を占めているという状況であります。

 ページをめくっていただいて5ページですけれども、現状の()でございます。設置・運営主体について見ますと、公設公営あるいは公設民営をあわせて約8割を占めております。

 その下ですが、職員の状況です。常勤の職員の方は、全体の約3割弱という形になります。

 それから、待機児童数は約1万7,000人現状ありますけれども、その学年別の状況を見ますと4年生以上の割合が約4割、これはちょっと増加傾向にあります。それで、1年生~3年生の学年は少し減っているということです。

 支援単位当たりの人数というところで見ますと、支援の職員の方を5人以上配置しているというところが全体の約4割弱という状況にあります。こういった現状を押さえていただいて議論をしていただければと思います。

 それから、もう一つの現状というところで、21ページ、22ページをお開きになっていただきたいと思います。

21ページは、いわゆるクラブで障害のあるお子さんの受け入れがどうなっているかということの資料ですが、年々ふえてきております。昨日、子ども・子育て会議で柏女先生のほうからも、障害の有無にかかわらず、お子さんがともに成長できるような社会参加、インクルージョンの推進のための連携の必要性ということを言われておりますけれども、これは大変大事な視点なので、今後とも私どもも担当部局とよく連携をして、障害のあるお子さんが利用を希望するサービスが受けられるようにする仕組みというのが大事だと思いますので、それは引き続き行っていきたいということを考えております。

 それから、そもそも放課後に子どもが過ごしている場所というのはどういう状況かというのが22ページでございます。下にありますグラフは、それぞれ自宅からその他までありますけれども、これで見ていきますと、小学校1年生でも約4分の1がクラブを利用されている。年齢が上がるにつれて習い事とか、塾とか、そういう割合が高くなってクラブの割合が低くなっているということでございます。これが、1つの現状でございます。

 ちょっと戻って恐縮ですが、9ページを見ていただきたいと思います。今、放課後児童クラブの設備運営基準というものを先ほどちょっと申し上げましたが、その概要になっております。「主な基準」というのがこの中に7つほどカテゴリーで分けておりますが、その中で「職員」のところを見ていただくと、10条と書いてあって、「従うべき基準」というところですが、放課後児童クラブの基準の中でいわゆる従うべき基準というものは職員のこの規定のみであります。

 そういうことを見ていただいた上で、また飛びますけれども23ページ以降をごらんいただきたいと思いますが、「放課後児童クラブに係る主な意見・提言など」というものがあります。この中で、例えば「ニッポン一億総活躍プラン」、働き方実行計画という中で放課後児童クラブについて記述されて触れられている部分をごらんになっていくと、受け皿をふやすということもあるのですが、その中で25ページを見ていただくと、今年度、29年度の「地方分権改革に関する提案募集、提案事項」の最初の(1)を見ていただくと、今、申し上げた基準に係る「従うべき基準」の廃止、または参酌化という提案がございます。

 続いて、その部分につながるのですが、26ページの一番下で「国と地方の協議の場」、ことしの1026日に開かれたものでございます。その中で最後の後段ですが、放課後児童クラブの「従うべき基準」について速やかに「参酌すべき基準」化等を行いというような記述がございます。これについては、先ほどの「従うべき基準」については、そもそも子どもの安全性の確保や一定の質を担保するということで、平成27年の子ども・子育て支援新制度の施行にあわせて最低基準として作成されたものでありますので、これを緩和するということについては慎重に考えていくべきものであろうと、私どもはそのスタンスとして持っております。

 その一方で、地域特性、地域事情というものがありますので、例えば待機児童のある地域、少ない地域や、待機児童がない地域もあります。あるいは、その地域事情というものが幾つかあると思うのですけれども、例えば学校との連携が非常にうまくいっているような地域もあるかもしれません。それから、児童員活動が活発な地域があるかもしれません。そういった地域事情というものを考えたときに、何か少しやりやすくできるものがあるのかどうかということはあろうかと思いますが、この点については今、私どもとしては地方分権の担当部局ともよく相談しながら進めていきたいということを考えております。そういうことで、時間がもったいないので次にいきます。

 もう一つ、主な論点でございますが、先ほどちょっと専門委員会の設置の趣旨で申し上げましたが、資料の3です。この資料の3は、事務局としてこういうような論点が考えられるのではないかということでつくったものでございますので、当然これ以外、これにとどまらずといいますか、とらわれずと申しますか、本日皆さんからいろいろ御意見を頂戴したいと思います。これを見ながら御意見を頂戴できればと思います。

 それから、今後の進め方でございます。これは資料の4のスケジュールの関係ですが、本日第1回目の委員会で御議論をいただいて、2回目は論点を整理しながら進めていって、3回目、12月に入ってしまいますが、ここでこれまでいろいろ御議論を踏まえた、いわゆる議論の整理を年内にしていきたいという方向で考えております。

 私からは以上になります。ありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、きょうは先ほど申し上げましたが第1回ということで、放課後児童対策に関して委員の皆様方に御意見を頂戴したいというふうに思います。事前に資料を御提出している委員につきましては、当該資料の御説明もお願いできればと思います。

 また、今の事務局の説明した資料についても、論点追加やスケジュール等について何か御意見があればあわせて御発言をいただければと思います。できるだけ最初は皆様に御発言いただければと思いますので、お一人5~6分ぐらいをめどで御発言をお願いしたいと思いますし、五十音順で、できれば安部委員からということで考えております。よろしいでしょうか。

 その前に、ちょっと私のほうから、少しこの専門委員会に関して私自身が感じていることをお話させていただければと思います。先ほど吉田局長さんのほうから、かなり幅広の議論もここでしていただければというお話がございました。

 一方、川鍋課長さんのほうからも、地方分権の委員会からいろんな提案もあったりとか、各方面からの提案、それについてどう考えていくか。そうしたことも、この中でやはり場合によって議論をしなければいけないだろうというふうに思います。

 そんな中で、この専門委員会の中でどういうふうにこの議論を進めていったらいいのかということで少し考えというか、私の考えを述べさせていただければと思います。

 今回、設置された放課後児童対策の専門委員会はまさに放課後児童対策の専門委員会であって、福祉の視点から見た子どもの育成支援のあり方を論じる、そんな委員会ではないかと思っています。特に子どもの育成支援、例えば健全育成の概念とか、そうしたことも議論をしていくことが必要なのではないかと思っています。

 植木委員が御専門ですけれども、子どもの健全育成の歴史を振り返ると、この健全育成という概念が本格的に政府の中で提唱されたのが昭和37年、池田内閣の時代のいわば国の再建をかけた人づくり政策が注目されたときでありました。こうした中で、人材開発の一環として健全育成概念が提唱され、そして中央児童福祉審議会のほうでこの健全育成と能力開発によってその資質の向上を図る積極的対策に関する意見というものが出されたという経緯になっているかと思います。

 その後、健全育成概念というのはいろいろ研究者や民間の会議等によってさまざまに検討されてはいるものの、政府によって本格的に議論された経緯はなかったというふうに記憶をしています。

 そしてまた、今回、先ほど吉田局長さんがまさにおっしゃった、50年を過ぎてからの再びの人づくり革命、当時の昭和37年は人づくり政策という言葉で語られましたけれども、今回は人づくり革命で、それによってこの健全育成概念というのは再び私は脚光を浴びるようになったのではないか。先ほど加藤大臣から御紹介がありましたけれども、量をふやすだけではなくそこで何をするのか。そこの育成支援は一体何をすべきなのかということに注目していくということが大事になってきたのだろうと思います。

 契機が何であるにせよ、現代の子どもたちの健全育成概念も福祉、ウエルビーイングの視点から再検討するということはとても有意義なことであろうかと思います。どちらかといえば、昭和37年の人づくり政策の中での健全育成概念を引きずってきた日本の子どもたちの健全育成について、子どもの地域における放課後生活の諸相を踏まえながら、そのあり方を改めて議論していくということはとても大事なことだろうと思います。

 そのことを実感した出来事が1つありました。放課後児童支援員の認定資格研修の講師研修に私は今年度出ておりましたけれども、そこで放課後児童クラブ運営指針についてお話をした際に、ある放課後児童支援員からこんな質問、意見がございました。運営指針において育成支援の内容として9項目が提示された意義、これはとても大きいと思う。

 しかし、それによってどのような子ども像を描いているのかがよく見えないというお話をいただきました。まさに、現代版の健全育成概念が問われているのだろうと思いました。

 これからそうした幅広の、そしてあるべき姿、あるいは育成支援はこういう方向を目指すべきだ。そうした議論もしっかりと進めていければと思います。その上で、現実問題に対処していくということが大事であろうというふうに思います。時代とともに、あるいは周囲の御意見に柔軟に対応しなければいけないことと、それから絶対に変えてはいけないこと、この2つを見分ける知恵をこの専門委員会は期待されているのだろうと思いますので、ぜひ皆様方の積極的な幅広の御意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、お待たせしました。安部委員のほうから御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○安部委員 ありがとうございます。

 資料の5-1に私の提出した資料がございますので、ごらんいただければと思います。

 放課後児童対策ということなのですけれども、子どもの権利の視点から見て4点、議論に盛り込んでいただきたい内容をまとめましたので、簡単に説明をさせてください。

 まず1点目ですけれども、放課後児童クラブに限らず、放課後の子どもたちの居場所、子どもが居られる場所というのがそもそも少ないだろうという気がしています。それは、クラブもそうですし、放課後子ども教室もそうかもしれませんが、「おまけ」の場所として位置づけられているような気がします。学校でもない、家庭でもない、両者の間にある「おまけ」の場所のような位置づけで、非常に中途半端なところがあるかなと思っています。

 けれども、実際に子どもの育ちという点から見ると、親でもない、教師でもない、大人と一緒に過ごしながら、遊びを通して子どもが自主性、あるいは自立性を育んでいくことができる非常に重要な場が放課後なのではないかと思います。そういう意味では、この放課後は「おまけ」ではなくて、子どもの育ちにとって重要な時間としてもう一度子どもの成長発達の面から捉え直すことが第一に大事なのではないかと思います。

 それから2点目、その「放課後を支える専門性」ということなのですけれども、先ほど局長からも御指摘がありましたが、児童福祉法の改正で子どもの権利が明記され、それから子どもの最善の利益、それに対応する子どもの意見の尊重ということがきちんと法律にも入ってきました。

 つまり、放課後の居場所、放課後児童クラブ、あるいは放課後子ども教室というのは子どもの権利が保障される場であるべきであると思います。ですので、まず子どもの最善の利益を保障できる専門性を持った人が放課後にいるかどうかという点が非常に大事かと思っています。

 特に、親や教師というのは、私もそうですが、ついつい評価をしてしまうので、評価をするのではない、あるいは友達のように横の関係ではない、斜めの関係の大人が子どもの育ちを育んでいく部分が非常に大きいかと思います。その斜めの大人がいる中で管理されるのではなく、子ども自身が自分で考えて行動できるようになっていく非常に貴重な時間ですから、この空間、時間を支える専門性というのはとても高いのではないかと思います。

 ところが、今はそれほど放課後の子どもたちを支える専門職の人たちの専門性が高いとはみなされていない。その時間も「おまけ」だけれども、支援者も「おまけ」のように思われているのではないかと思っています。

 うちの教え子たちは中学、高校の教員になっていくのですけれども、教員採用試験にすぐに受からないと、放課後児童クラブ等でアルバイトをしながら採用試験の勉強をする場合があります。学生たちは、「アルバイトだと思って気軽な気持ちで行ったら、そうじゃありませんでした。自分は中学の教師、高校の教師を目指していますが、放課後児童クラブに求められる専門性は非常に高いと感じましたということを言ってきます。つまり、学校や家庭と比べて、短い時間に子どもを見る力が必要だと思うのですが、そのあたりがまだ検討を十分されていないのかと思っています。

 特に、子どもの話を聴くことはその専門性の中核をなすと思われます。たわいもない話もそうなのですが、やはり権利侵害に遭ったとき、子どものSOSですね。9月1日近辺は子どもの自殺が多いということで知られていますけれども、放課後児童クラブで安心できる放課後を過ごした子どもたちは中学校、高校になってもクラブに戻っていって支援員に相談をするという子もいたりします。そうすると、そこでやはりSOSをあげられるという面もあるかと思いますので、その意味では専門性を持って専門機関につないでいくようなことが必要かと思っています。

 それから3つ目、「養成・研修」に関してなのですが、都道府県の認定資格研修がありますけれども、児童厚生員の資格取得者に対しての免除等も議論をいただければと思います。

 また、行政だけではなくて実際に資格を取った後の研修ですね。現場では本当に毎日子どもたちがぎゃあ、ぎゃあ騒いで、どうすればいいのだろうというふうに皆さん考えていらっしゃって、もやもやしているかと思いますので、それをぜひ力量形成の点からも捉え直したいかと思います。

 最後に、災害ということで、1枚めくっていただけるとSave the Children Japanの「東日本大震災学童保育指導員記録集」というのを添付させていただきました。これは、ちょうど東日本大震災が発災しましたのが、学校から放課後児童クラブに移動した直後だったので、クラブの職員のみなさんが子どもたちを守るという意味では本当に大変な御苦労をされました。

 ところが、では現在、放課後児童クラブの職員の方たちが大災害を想定して子どもたちを見ているかというと、そこまで十分にはいっていないのではないかと思います。恐らく、不審者対策等はやっていると思いますが、避難訓練レベルで災害時、それから災害後、親が生活再建に向かう際に子どもを預かる場があるというのは非常に大事で、学校はなかなか再開しませんから、そういう意味ではこのことも含めて検討できたらと考えています。以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。たくさんの論点を提供していただいて、ありがたいと思います。

 災害復興のところでは、そこまではいきませんけれども、台風のときに学校を休んでしまうと、放課後児童クラブも休んでしまって親が困るというような話もあります。どうしたらいいのだろうか。放課後児童クラブについては休校の規定とかがないわけですけれども、でも、学校にあわせて休んでしまうというようなこともあるので、これも考えていかなければいけないかと思いました。ありがとうございました。

 池本委員、では続きましてお願いしたいと思います。

○池本委員 私のほうは、以前まとめたレポートをそのまま配付させていただきましたけれども、この表紙にあります目次を見ながらポイントを少しお話ししたいと思います。

 最初の制度のことについては経緯を説明しただけなのですが、このレポートでは日本でも量がふえてきていて質をどうするかという話になっていますが、海外ではどういう取り組みになっているのかということを、本当に広く浅くなのですけれども、いろんな国の状況、特に日本と違う点について紹介しているということです。

 主なところでは、例えばイギリスですと、まず1つ、多くの国はそうなのですが、日本は親が働いている子どもが行く場所というふうになっていますけれども、海外ではそうではなくて子ども自身が放課後に過ごす場所としてそういった施設が整備されているということがありまして、イギリスなどもそういった形で子どものためですので、日本では一人で過ごせない低学年の利用が中心なのですけれども、中学年や高学年になっても集団で遊ぶための場所ですね。ですから、親が別に働いていなくても子ども自身が行く意味があると思って行かせている親が多いというようなデータなどもあったりしました。

 あとは、イギリスでは放課後のそういう施設に外部の評価を入れているということで、国の機関が保育所や学校を評価する仕組みがありますが、その中で学童クラブも評価をして、その結果をレポートのような形で、ネット上で見られるようにしているというような例もあります。

 それから、イギリスでおもしろかったのは、親が働く時間を調節できるようにしているということで、今、日本はどんどん労働時間が延びて、その分、放課後児童クラブの時間も延びていますけれども、それを親は、私は子どもが夏休みの間は仕事はできればしたくないですとか、夏休みはいいのですけれども平日は子どもが帰ってくる時間には家にいたいんですというようなことを一応雇用主と相談できる、交渉できる権利が制度的に保障されているので、学童クラブの調査をしたときに、夏休みは利用していないとか、逆に夏休みだけやっている学童とか、そういった多様な施設があるというのも日本との違いかと思いました。

 細かく言うと幾らでもあるのですけれども、あとはオーストラリアで一番びっくりしたのは学校との関係を考えているということで、学童クラブ(団体)の代表者と小学校の校長会の代表の連名で、学校と学童クラブはどのように連携するのが望ましいかという文章がまとめられていて、それが教育省のホームページに掲載されていたということです。

 日本はやはり文科省、厚労省という形で学校と放課後が別々に検討されることが多いのですが、現場レベルでそこをうまくコミュニケーションをとることで情報が共有され、より子どもに合った支援ができるということ、あるいは同じ場所に放課後支援員の得意分野があればそれを授業に活用する、あるいは先生のノウハウを放課後に活用するというようなことで効率的、効果的な運営もできているというようなこともおもしろい点としてありました。

 3つ目のスウェーデンも、学校と放課後児童クラブが融合するような形がありまして、放課後児童クラブの指針というものが日本で言う学校の指導要領の中に一緒になっているということですし、支援員の養成も乳幼児期の保育者と学校教員と放課後支援員の三者の養成課程を統合するような形で、同じ子どもの発達を支援する仲間というような位置づけで共通化が図られているといったようなことで、また施設の責任者も学校理事会が学校と放課後クラブの両方を責任持って見ているというような形も多くあるということもわかりました。

 ドイツでは、異年齢ということで、日本も今回高学年までになりましたけれども、もう少し高い年齢、あるいは乳幼児期のほうまで縦でつながったクラブがふえつつあるということで、その異年齢の交流というのが子どもの自己肯定感ですね。同じ年齢で比べられなくて、下の子を助けてあげるという自己肯定感であったり、多少同じ年齢と比べるとできなくても下の子から見ると結構自分にもできることがあるなと思えるとか、あとは親が1カ所に迎えに行くときょうだい全部ピックアップできるとか、そのようなこともドイツではありました。

 ドイツでもう一つおもしろかったのは、宿題をやめろというか、宿題の弊害みたいな議論があって、私も今、親としてそれを感じていますが、とにかく放課後の話をするときに、今、放課後はどんどん学校に侵食されているという現状があって、時間も短くなる。かつ、そこに宿題がどっさり出るということで、たくさん宿題が出ることがいいのかという議論もドイツではあって、むしろ放課後にたっぷり時間もとり、授業の中だけで勉強を完結させたほうが教育の生産性というか、子どもの発達にとってふさわしいのではないかというような議論もありました。

 ノルウェーもちょっと御紹介したいのですが、ノルウェーは結構児童の分野ではいろいろ進んでいる国で、オンブズマンなどもかなり早くから入った国なのですが、制度的に高学年には学童クラブの義務化がされていないということで、なぜなのだろうと思いましたら、その年齢ではもう子どもは自立しているので、自分たちで友達と約束したりして遊べるし、その地域の治安がよいので、特にそういう施設が必要ないというような考え方らしいです。日本は地域が危ないから、子どもが自立していないから必要という面もあるので、子どもを早い段階で自立できるような育て方をするですとか、あるいは地域を子どもたちが自由に行き来できるような環境にするというようなことも必要かと思った例です。

 フィンランドもいろんな地域に拠点、居場所が先ほどありましたけれども、図書館を子どもの居場所にするとか、公園の中に小屋があって、そこに公園おばさんがいて、何となく人が来るとおやつを出してくれたり、そういうような形の居心地のいい場所をつくっていくというような取り組みがおもしろかったです。

 あとは、幾つもあるので省略しますが、そういったことを踏まえて日本で検討しなければいけない点として3のところで書いておりますが、共通して海外で考えさせられたのは、やはり子どもにとってどうなのかというところで、子どもの権利条約を土台にして子どもにとって居心地がいいとか、楽しいとか、そういったところがすごく強調されていましたので、そこは日本もこれから重要かなと思ったところです。

 あとは、親の就労というところで分けるべきなのかという議論。

 それから、親の働き方なのですが、日本は小学校に上がるともう親の短時間勤務は切れてしまうので、すごく労働時間の調節が難しいというところなので、そこのあり方も検討するべきではないかということです。

 あとは、子どもが楽しい場所というと、学校の中だけではなくて、もっと地域の中のいろんなところに居場所、活動場所があってもいいのではないか。特に大規模化という中で、家庭的学童みたいなものも海外にはあるので、そのようなものも検討できないかということです。

 それから、支援員のあり方で、先ほど専門性という話がありましたけれども、逆に専門性でない人との接点というのも子どもに必要ではないか。親であるとか、地域の人とか、お兄さんお姉さんというような人たちとのかかわりをどうやってつくっていくかも課題かと思っています。

 点検・評価はイギリスの例の話で、財源の話はお金があるときだと何でもどんどんやればいいのですけれども、今は本当に国の財政も厳しい中で、限られた予算をどう有効に使うかといった検討も重要ではないかと思っています。

 長くなり、申しわけありません。以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。このペーパーを説明していただきながら、3番のところで8つの論点を提示していただいて、いずれも大切な論点だなと思いました。ありがとうございました。

 それでは、植木委員お願いいたします。

○植木委員 お願いいたします。資料がないので、口頭で説明をさせていただきます。

 きょう1限目に私は授業を行ってここに来ているのですけれども、たまたま子ども学料の学生相手にライフデザインのセミナーをやってまいりました。そこでは模擬婚姻届けというのを書きまして、自分のライフサイクルを妄想するというふうな演習をやってきたのですけれども、案外専業主婦というのは少なくて、共働き、そして家事の分担、これも5対5というのが多かったですね。あるいは女性6、男性4ということで、そういう意識なのだなというようなことを感じました。

 今ほどの池本先生のお話の中で、イギリスでは親が働く時間を調整できる。そういうふうなことができれば、恐らく子育てとの両立というのが進む。つまり、厚生行政と、それから労働行政とリンクになるのだというようなことがよくわかるわけであります。

 そのような学生たちにも、保育やあるいは乳幼児の実習などをしますと、それに合うという学生もいれば合わないという学生もおります。

 一方で、合わないという学生が小学生を対象とした放課後児童クラブとか、あるいは児童館の実習をすると合うというふうに言うんですね。なるほど、保育とか、あるいは子どもに対応するというのは乳幼児の保育と、いわゆる学童期に対する支援というのはどうも違うのではないか。ひょっとしたら、その専門性の違いみたいなところに学生たちも気がついているのではないかというふうなことを思うわけであります。

 そういった背景から考えますと、やはり放課後児童支援員、あるいは児童館もそうですけれども、この議論では放課後児童支援員の専門性というのはやはり担保されてしかるべきかというようなことを1点目に考えるわけであります。

 2点目としては、先ほど柏女先生が冒頭のところでおっしゃいましたけれども、ウエルビーイングの視点、恐らく子どもに当てはめれば子どもの最善の利益ということだと思います。支援員の働き方、あるいはその他の環境条件ということも大変重要ですけれども、最終的には今の制度や放課後児童支援員の養成研修が結果的にどのように子どもの最善の利益につながっていくのかという議論をしないと、これは児童福祉法の理念に対応できないと考えております。

 そもそも日本の健全育成の概念というのは、これも柏女先生がおっしゃっておりましたけれども、大変曖昧で、十分議論がされてこなかったということがあります。そういった意味では、昨年、児童福祉法が改正されて、やはり子どもの最善の利益ということが明記されたわけですので、これはやはり初心に戻って議論をするべき事柄かと思います。これが、2点目でございます。

 3点目は、放課後児童支援員の巡回指導ができるようなスーパーバイザーのあり方、これは大変重要かなと考えております。なぜかと申しますと、きょう資料を持ってくればよかったと反省をしているのですけれども、平成26年と27年に厚生労働省の子ども・子育て支援調査研究事業を行いました。どのようなことを行ったかというと、被災地の放課後児童支援員の調査を行いました。

 結果からいいますと、被災地では先ほどの資料でもそうですけれども、障害のあるお子さんの割合がふえている。それから、子どもそのものもふえています。そういった中で、放課後児童支援員の対応が追いつかなくなっているという現状が明らかになりました。

 しかし、その支援員をサポートするスーパーバイザー、専門家のスーパーバイザーがあれば、彼らは市民性を持ちながら力をつけていくというふうなことが明らかになっております。

 次回の委員会のときにでも提出しようかと考えておりますけれども、そういった意味では、どうやらその被災地の現状というのは被災地だけではなくて全国の課題なのかなということも最近思っておりますので、今いる放課後児童支援員を支える支援者支援の視点、これを3点目の重要な視点として提案したいと思います。以上の3点です。

○柏女委員長 ありがとうございました。また別の方面から見た論点が出てきて、三者三様ですごくすてきだなと思いながら聞かせていただいております。

 小野委員、よろしくお願いいたします。

○小野委員 小野です、よろしくお願いいたします。

 私自身は、放課後児童クラブ、学童保育で指導員としての仕事をずっと実践者としてさせていただきました。今回、この委員にさせていただく部分もありましたけれども、放課後児童クラブの運営指針の策定の場面にも少しかかわらせていただくことができましたので、自分自身が今まで子どもたちとともに学童保育クラブをそれこそ保護者と、先ほどもありましたけれども、本当に保護者の方たちと一緒につくってきた歴史が、この基準や運営指針につながってきているのだということを、実はでき上がった運営指針を読みながら、私は本当に自分のバイブルのように毎日常に持ち歩く形をとっているこの運営指針の解説書なのですけれども、ここの中に書かれていることが一つ一つ自分たちが今までつくってきた、かかわってきた姿がつながっているなということを今、実感しています。

 さまざまな場面で、現場の指導員であったり、保護者の方と、この運営指針の解説書であったり、基準のお話をする場面が幾つかあるのですけれども、そういう場面でも本当に今まで自分たちのやってきたことが一つ一つつながってきているということを実感していますというお話を本当に聞くことができていますので、まずそこをお伝えしておきたいと思って、そこからお話させていただきました。

 今回、放課後の過ごし方ということを考える上で、私自身はずっと放課後児童クラブのほうで子どもたちとともに生活をしてきましたので、そこを中心に少し発言させていただきたいと思っています。

 今回のこの運営指針の中でもすごく議論になってきて、いろいろ進めてきた中身の中で、1つ私がすごく感じた部分があるのですけれども、私たちの放課後児童支援員の言動というのは、子どもや保護者にとても大きな影響を与えるんだ。これは、運営指針の中で第7章のほうに記されている言葉なんです。

 第7章の1の部分で、放課後児童クラブの社会的責任と職場倫理というところで書かれています。放課後児童支援員等の言動は子どもや保護者に大きな影響を与えるため、放課後児童支援員等は仕事を進める上での倫理を自覚して、育成支援の内容の向上に努めなければならないという文が記されてきています。

 ここの部分を本当に私自身は資格という形で、今回認定資格研修が行われ、私自身も実は東京都の第1クール、最初のクールで試験員の資格を取らせていただきました。晴れて放課後児童支援員の資格を持って、有資格者として日々、放課後児童クラブで仕事をさせていただいているのですが、そこを考えた上でもこの資格の部分、あとは基準ができたこと、それが本当に一つ一つ、国の政策として放課後の子どもたちをどう育てていくのかというところが示されてきている中身につながっていると思います。

 先ほど柏女先生が、その運営指針の中での育成支援の具体的9項目で、どのような子ども像を描いているのかということを具体的に示していく必要があるようなお話が現場からありましたということをお聞きして、確かに私たち自身が何をもって最善の利益を子どもたちに保障していくのかというのは、もちろん日々の子どもの権利を守っていくということを土台に置きますけれども、かかわっている私たち自身にすごく課せられてきているものだということを感じています。

 そういう部分では、先ほどの言動というのが本当に子どもに直接かかわっていくというのは、生活をする中で感じている部分ですので、そこでは資格ということについてしっかり位置づけを行っていかなければいけないと思いました。

 そこで、今回従うべき基準の扱いについていろんな御意見が全国から寄せられていることを資料などでも拝見いたしましたが、まずは従うべき基準をどうきっちり全国の中で一律、それこそ指導員の資格としてしっかり子どもたちを守っていく資質として担保していくために、安全を守っていくための資格として従うべき基準を置いておくことの必要性というのは強く感じています。

 参酌する基準が幾つかありますけれども、それも本来であれば、私は一つ一つ子どもたちの生活を守っていくために従うべき基準への部分につなげていって、全国的にも放課後児童クラブ、そして放課後の子どもたちが過ごす時間帯に大きくかかわっている放課後児童クラブの基準として位置づけることが必要かなと感じている場面があります。

 子どもの居場所ということは、日々の生活の中で放課後児童クラブには「ただいま」と子どもたちが帰ってきます。私たちは、「お帰り」と言って子どもたちを迎え入れます。全国のいろんな場面で私がいろいろな方とお話をする中でも、本当にほとんどの放課後児童クラブの指導員の先生方は、現場の中で子どもたちを「お帰り」と迎え入れていますよというお話を聞く場面があるんです。そうすると、子どもたちが「ただいま」と帰ってこられる場所、そこが居場所となっていくためには、本当にほっとしたり、そこに行けるとほっとする場であったり、安心できて、好きなことができて、好きな遊びがあって、そしてほっとできる仲間関係があって、やりたいこととかいろんな経験ができる、そういうことが放課後児童クラブの中では保障されていかなければいけないと思っています。

 そして、それは放課後児童クラブももちろん、私自身はその現場にかかわっていますので、その部分はすごく思うのですけれども、実は先日、柏女先生の話を聞いて私があっと思った言葉があるので少しお借りしようと思うのですが、いろいろな子どもたちが体験として得た知識を子どもたちが知恵に変えていく必要がある。その知識が知恵に変わっていくためのさまざまな体験ができる場というのが、実は放課後の時間帯にあるのだなということを私は感じていますので、放課後児童クラブに通ってきている子どもたちは本当に一緒にそこの部分を丁寧に見ていける、そういう関係でいきたいと思っているところがあります。

 あとは、放課後児童クラブの複数配置のことについても今回少し意見が出ていますけれども、本当に1年生から6年生までの子どもたち、年齢も違って発達段階も違う子どもたちがさまざまな活動、それこそ自分がやりたい遊び、やりたいこと、ゆっくりしたい、くつろぎたい、いろいろな子どもたちの要求を保障していくための時間帯を持っている放課後児童クラブですので、そのためには複数の職員がいながら子どもの安全を守っていく。一人一人を守っていくということが必要になっていくと思っています。

 単純なところで具体的な部分では、実は私のところは学校のあき教室ですので部屋の中での生活があります。プラス、子どもたちは学校の校庭で外遊びをする時間帯もあります。お部屋で遊ぶ時間帯、そして外で遊ぶ時間帯、おやつを食べたり、いろんな生活が子どもたちの中では繰り広げられていくのですが、そういう場面でも外で遊ぶ子どもたち、部屋で遊ぶ子どもたち、やりたいことを保障するためには両方の場面を保障していかなければいけません。

 外に行く子たちは、勝手に遊んでいいよということにはならないわけです。そういうことを考えると、少なくとも部屋の中で落ち着いてゆったり過ごしたい子どもたち、部屋での遊びを楽しみたい子どもたちを保障するために部屋に配置する職員が必要になってきますし、本当に低学年、2~3年生の子どもたちは外で元気よく走り回って、ひたすら鬼ごっこをして遊ぶ。きょうも鬼ごっこ、あしたも鬼ごっこのような形で、鬼ごっこで遊び回っている子どもたちもいますので、そういうことを考えると外で遊ぶ時間帯も保障する。

 そこだけ考えても、部屋、外という形で複数の配置が確実に必要になっていくわけです。大人の体制がないからといって、きょうは部屋だけで遊びます。外にみんなが行かなければ外遊びはできません。そういうことを私たちが言うことはやはり大きな間違いだということを、本当に小さな日々の生活の中からも複数配置ということを感じることがあります。

 なかなか論点の話にまではつなげられないところがありますが、私が現場で子どもたちと過ごしながら日々感じていることなどをお伝えしながら、放課後の子どもたちの生活を豊かにしていくためにどうしていったらいいかということの議論に参加できたらいいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長 ありがとうございました。現場の実践を踏まえた貴重な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございました。

 では、金藤委員お願いいたします。

○金藤委員 ありがとうございます。

 私は初めて厚生労働省のこのような会議に参加させていただく者でありまして、大変光栄に思っております。社会教育学のほうを専門としておりまして、2008年ごろから、特に学校を場とする放課後支援、文部科学省でいう放課後子ども教室を中心とした放課後支援のあり方について国際比較を含めて研究をしてまいりました。

 資料としては、2013年と16年に出版しました本を提出させていただきましたが、それをまとめるといったような資料はきょうは提出しておりませんので、口頭でそういった研究を重ねてきた中で感じていること、またはこの審議会、専門委員会で御検討いただきたいことを短くお話ししたいと思います。

 先ほど来、お話しいただいている委員の方々の内容とも重なりますけれども、質の確保ということに関して御検討いただくことは大変ありがたいと思っております。その場合の質というのは、人的な面の質の確保、そして2番目はもちろん物的面の質の確保、そして3点目はソフト面、これはプログラムの質の確保、この3つはどうしても御検討いただきたい内容だと感じております。

 人的な面の質の確保ということにつきましては、先ほど植木委員もおっしゃられましたような支援者の構造的な配置ということももちろん御検討いただく必要性の高いものだと思っております。文部科学省の取り組みでは、既にコーディネーターを重層的に配置するということで統括コーディネーター、または現場の学校ごとのコーディネーターというような重層的配置を進める動きが進められております。児童クラブにおきましてもぜひそういう観点をもってお進めいただきたいと思います。

 また、支援者、ボランティア、コーディネーターという給与がフルで出ている人とそうでない人という、プロフェッショナルな支援者とノンプロフェッショナルな支援者がどう連携して子どもの支援にかかわっていってもらうかということも検討すべき重要な課題であろうと思います。

 2番目の物的な面ということに関しましては、私どもは学校というものがベースとしてとても重要な場だと感じております。地域には社会教育施設として図書館、博物館、美術館、そのほか水族館、動物園等、多様な教育施設がございますし、池本委員がおっしゃられたような個人のお宅での小さな規模での支援ということもあり得ると思います。また、民間の企業の支援ということもあると思います。しかし、学校という地域にとって欠くことのできない学習資源である場を大事にして、それをベースと考えながら多様性を取り入れていくという観点が重要なのではないかと私どもは考えております。

 また、ソフト面ということに関しましては、これまでもお話がありましたように体験ということ、また交流ですね。異年齢の交流、異世代の交流、そして学習ということを組み合わせていくプログラムの開発が必要であろうと思っております。

 その上では、既に植木委員等がおっしゃられた人的面、物的面、ソフト面、全体にわたる評価の仕組みというものですね。質保証の評価の仕組み、それはかかわる関係者の自己評価や子どもの目線から見た評価を含めた評価ということも御検討いただく必要があると思います。

 最後となりますが、3つの人的面、物的面、ソフト面の質保証、質の確保の検討とともに、ぜひ基本として置いていただきたいのが、児童クラブのみの話し合いに終わらずに、ぜひ放課後子ども総合プランということの中で、学校を場とする放課後児童クラブで放課後子ども教室の一体的な運営ということを、より進めるようにしていただきたい。子どもの保護者の観点から見ると、こちらはおやつが出るけれども、こちらは出ないとか、こちらの施設は使っていいけれども、こちらは使ってはいけないというような理解できない規制といいますか、そういうものが現在は行われているところが多くあると思いますので、子ども、保護者の視点から見て公平な放課後の支援のあり方ということを御検討いただきたいと思っております。以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、清水委員お願いいたします。

○清水委員 よろしくお願いいたします。

 資料がありますが、こちらのほうについては見ていただければと思います。今回お話をいただきまして、この専門委員会の中でぜひ議論をしていく中で、量の確保という話が出てくると同時に、質の確保ということも当然これは議論していかなくてはいけないわけであって、これはどちらも欠かすことのできない話です。これは両方とも、量も確保するし、質も確保してゆく必要があります。

 それで、私は児童厚生員の研修、あるいは放課後児童支援員の先生方の遊びの研修ということでかかわることが多いのですが、それ以上に放課後児童クラブの子どもさんたちと遊んでくださいというようなこともあります。専門領域がレクリエーションということもあり、レクリエーションの道具を用意して、どう遊ぶかと思ったりして一通りやって、最後に子どもたちに何をして遊びたいかと聞いたら「大騒ぎをしたい。大きな声を出して大騒ぎをしたいよ、おじさん。」というふうなことを言われるわけですね。

 子どもというのは、どういうふうに遊ぶかではなくて、自分が考えた遊びが一番楽しいんだなということを、あちこちの放課後児童クラブの子どもと過ごすことによって考えています。それを学校の授業の中でフィードバックをしていったりするんですけれども、放課後児童クラブの子どもたちもそうですし、日本の子どもたちの中で大切なのは、たくさん遊ぶ、元気に育つ、健康に育つということがその基本になるのかなと思います。これは身体的な健康も同時ですけれども、精神的にも健康であること、そして社会的な健康もです。幼稚園、保育所、あるいは小学校、放課後児童クラブ等々で仲よく遊ぶということが基本になるかと思いますし、それが子どもの最善の利益につながっていくのであろうと私は思っております。

 きょう提出した資料の中にも、外遊びをよくしていた子どもは体力が高いとか、あるいは子どもは相変わらず遊ぶことが大好きであるというような資料が出ております。議論の途中で見ていただければと思いますけれども、これらのことが実際に今の子どもたちにどういうふうに必要となっているのか。

 例えば、放課後の子どもの過ごし方の場所であるのが、家庭で果たしていいのだろうか。社会的な養育力が低下をしている中で、家庭に子どもたちがいるのが果たして安全な状況になっているのだろうか。お父さん、お母さん、そして子どもだけの人間関係ではない多様な人間関係が存在する放課後の時間、例えば児童館であったり、放課後児童クラブであったり、さまざまなところが考えられるわけであって、その中で特に放課後児童クラブといったところの重要性が非常に今後増していくのではないかと思っております。

 そして、放課後児童クラブや放課後を支える人材確保の重要性です。これは私の学校で恐縮ですが、放課後児童クラブに就職するという学生が1名出ました。今年度初めて出まして大変うれしく思っております。どうしてそこを就職先に決めたのかと聞いたら、やはり学生時代にアルバイト、あるいはボランティアに行って、「放課後児童クラブがこんなにおもしろいところだとは思わなかった。」と話していました。「あなたは、最初は児童養護施設に就職希望だったのでは?」と聞いたところ、放課後児童クラブでの経験がとても私のキャリア形成に有効だと思い、放課後児童クラブを希望しましたと答えていました。私は「お金は大丈夫なの、賃金の保証はあるの?」と確認したところ、「はい、きちんとしています。」と聞いて私は安心しました。

 私も指定保育士養成施設、あるいは保育士養成校は長いのですが、放課後児童クラブ等々に就職したいという希望があるのですが、なかなかそれが賃金に反映されず、第1希望といったところで放課後児童クラブの就職はかなわないという例をたくさん見てきております。そうなると、今後、質を担保していくということになると、やはり人材供給ということもしなくてはいけないということもありますし、あるいは今、働いている先生方、非常勤で働いている方を正規に持っていくためには、やはり研修やキャリアアップをして、しっかりとした雇用の中で安心して働いていくということも今後必要になってくるのではないかと思いますので、人材育成の供給といったところで私は主にお話をさせていただければと思っております。以上でございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 では、中川委員よろしくお願いします。

○中川委員 失礼いたします。京都の北白川児童館の中川と申します。

 京都では児童館で放課後児童クラブを実施しておりまして、私は館長であると同時に北白川児童館の、京都では学童クラブと言っておりますけれども、学童クラブの責任者という立場でございます。

 私からは、2つです。1つ目は、施設の現場からここ数年間の制度が新たに動き出して以降の変遷について、もう一つは研修ですね。認定資格研修のあり方について、少しお話ができたらと思っております。

 まず1点目ですけれども、私どもの児童館は平成21年に開設をいたしました。そのとき、放課後児童クラブの子どもたちの数は3536名だったんです。それが年々、先ほど課長のほうから御説明があったグラフのとおり、子どもは増加の一途をたどっておりまして、平成26年度、新制度が始まる前で80名に達しておりました。

 新制度が始まりまして、一気に高学年児童の受け入れもふえまして、現在100名を超えてはいるんですけれども、そうした中で現場として直面した問題、1つはやはり場所の問題なんですね。児童館の館内で放課後児童クラブの専用スペースを確保して実施をしているんですけれども、そこだけでは到底足りなくなってまいりまして、どうしたものかなという思いが平成25年、26年、子どもが増加する中で現場として非常に直面した課題でありました。

 それで、スペースが必要なんだ。もっとスペースが必要なんだという、そこのところはわかるんですけれども、ではどれくらいのスペースが必要なのか。そこははっきりした数字がその当時は示されておりませんでしたので、ここもどうかという感じで考え込むような状況でございましたし、当然、人も必要になってきますね。子どもさんの数がふえてくると、その子どもさんに応じて人もふやしていかなければならない。

 だけど、その人もどういう人をどれくらいふやしたらいいか。これも、やはり当時なかなかはっきりした答えが見つかりませんでした。それで、いろいろな方が放課後児童クラブの職員にということで応募してくださるんですけれども、例えば保育士の免許を持っている方であったり、あるいは家庭の主婦を長くされてきて子育て経験は豊富ですよという方がいらっしゃったり、あるいは学校の先生の資格をお持ちの方、まさに背景はさまざまな方なんです。

 そんな中で、放課後児童クラブの職員として共通の考え方、あるいは共通の取り組みの観点、ここがやはり必要だねと、実は新しい制度が始まる前、非常に大きな問題に直面していたわけですね。

 それが、平成27年に新制度が始まりまして、その中で基準が示されて、運営指針が示されていく中で現場としては徐々に、なるほど、これくらいのスペースが子どもには必要で、こういう人がこういう考え方を持って取り組んでいただくことが必要なんだということが明快になってきたわけです。

 それはそれで、やはり現場におりますと非常に今回、基準が策定された、運営指針が示されたということは大きな福音であったと私は実感をいたしております。

 ただ、この調子でいきますと、どんどん子どももふえてまいります。だから、一定の見直しも当然必要にはなってくるだろうと思うんですけれども、いずれにしてもしっかりとしたその時々の状況に対応できる指針、あるいは基準が必要であることは間違いないだろうと考えております。新制度が始まりまして3年目を迎えているわけですけれども、今後における指針、基準のあり方について議論していけるのは非常にありがたいことだと現場としては思っております。

 ただ、しっかりとこの基準の中で示されている大事にしなければならないところですね。ここはやはり大事にしていきたい。変えてはいけないところは変えない。ここの考え方もしっかり持っていって議論に参画していけたらと思っております。

 2点目でございますけれども、手前みそではございますが、実は京都市におきましては児童厚生員の研修が非常に充実しているのではないかと思っておりまして、財団のお示しになっている児童厚生員の2級資格、それから中堅、上級と、体系的に研修を組み立てておりまして、全ての児童厚生員、京都市では児童厚生員が放課後児童支援員を担っておりますので、実質的には放課後児童支援員の皆さん方がこの財団の基準にのっとった研修をしっかりと受けていくことが義務づけられております。

 そうしますと、今回、認定資格研修を受けた職員からは、これは京都市の今までの研修の中でしっかり学んできたことであったので、非常にわかりやすかったという声も出てきているわけですけれども、一方である意味、重複をしている部分もあろうかと思っておりまして、今後ますます放課後児童支援員の数の確保が必要になってくるときに、スムーズに、円滑に放課後児童支援員が認定資格研修を受けていくためには、ここの科目の免除のあり方も含めて、現場で既に行われている研修の質の精査を通して考えていく必要があるのではないかと思っております。

 同じように、私は実は関西の児童厚生員の養成校で非常勤講師をしておりまして、今ちょうど児童館の機能と運営、放課後児童クラブの機能と運営について講義を進めているところなんですけれども、自分で言うのもおかしいですが、ここでもかなりしっかりと運営指針についても、基準につきましても、さまざまな放課後児童クラブのあり方について学生に講義を進めているところであります。

 ただ、学生に対してはここで児童厚生員の養成講座を修了したからといって、認定資格研修の科目免除の対象になっていないということで、そのこともあわせて伝えてはいるんですけれども、そこも含めて実際に各養成校で行われている講義の精査をする中で、やはりすぐにでも放課後児童支援員の職につきたいという思いを持っている学生もたくさんいるのではないかと思いますし、そこの科目免除のあり方についても御議論いただけたらありがたいと思っております。以上でございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 では、野中委員お願いいたします。

○野中委員 私からは3点、提出させていただいております資料の簡単な説明と、それからこの専門委員会自体の持ち方についての私見と、3点目は今回の従うべき基準、参酌すべき基準等とのいわば設備運営基準や運営指針と、子どもの権利条約、児童福祉法との関係について発言させていただきます。

 1点目の資料は、「子どもの生活時間に関する調査研究」、主任研究者は放送大学名誉教授の松村祥子先生です。御一緒させていただきました。

 これは、小学校1年生~6年生を対象として、24時間の生活時間を調査したものでございます。首都圏と関東小都市、それから東北の小都市において、3つの小学校の全校児童を対象にして、1年生~6年生までの全ての児童を対象にして調査をさせていただいて、回収率は74.3%、学校と保護者、子どもたちに多大な御協力をいただいて行ったものです。

 実際の調査の内容は、14ページと13ページの「「子どもの生活時間」についての調査」の抜粋をごらんいただきたいと思います。この内容は、子どもたちがどのような過ごし方をしているかということを時間と内容を含めて詳細に調査する、いわば基礎調査の概要版です。

 この調査に先立ちまして、厚労科研費による研究を1年やりまして、首都圏の小学校で同じような研究をやって、それをベースにこの調査をしたということがございます。今後、文科省様と厚労省様との間で施策面での連携も大事だと思うのですが、こういう研究面でも御協力いただければ、この調査の基礎資料としての価値は少し上がるのではないかと考えますので、こういう機会に資料を提供させていただきました。

 2点目のことにつきましては、最初に事務局からの御提案で示された論点2の子どもの居場所の視点ということです。これは、中川委員のお話にもありましたように、放課後児童クラブの対象となった高学年の子どもの居場所の問題ということも含めて検討をということだと思いますが、柏女委員長のお話にも、福祉の視点から見た子どもの放課後対策と健全育成概念の再検討ということもその中に位置づけてというお話がありました。

 こういうことを考えますと、今この専門委員会が児童福祉法の6条の3をベースに持たれているわけですけれども、もうちょっと考えなければいけない問題もあるのではないかということで、勝手なことを少し申し上げさせていただきます。

 平成23年に児童館ガイドラインが作成されているわけなのですが、その作成のときにこのガイドラインの作成とあわせて子どもの健全育成上の課題等についてということで、児童館ガイドライン検討委員会から27項目の検討事項が同時に示されています。児童館は0歳~18歳までを対象にしている施設ではあるのですが、中心的には小学生が対象にあると思いますけれども、このことで今回検討すべき事項として含まれているものの大半がその中に一緒に含まれているんです。

 児童館ガイドラインは40条関係ですから、40条関連の専門委員会で児童館ガイドラインの見直しもあわせて、それらの検討事項が俎上に上げられると想定しておりますが、そう考えますと、この専門委員会で取り上げられる放課後児童対策全般の内容と重なる部分が出てくるのではないかと思います。

 児童福祉法の条文との関連でいえば、この6条の3の枠からだけ放課後児童対策全般を視座していくのは多少無理があるのではないかとも考えます。

 また、40条の部分から見ても、そこで対象とする子どもの今の社会変化の実情を考えたときに、当然、放課後児童クラブを必要としている子どもたちも対象の中に含めるということが必要になってくるわけです。

 それから、子どもの放課後の問題では、確かに放課後子ども総合プランというのはとても大事なコアになるものであるとは思うんですが、それだけでカバーできるような実態になっていないというのは、事務局が提起されました22ページの放課後に過ごす場所についてのアンケート結果からも示されているのではないかと思います。

 それから、先ほど1点目にお示しした「子どもの生活時間の調査」の調査結果、ページでいいますと1点目の調査のところの5ページ、それから7ページに放課後の生活時間の子どもの過ごし方をグラフに示したものがございます。これをごらんいただいてわかりますように、非常に多様な過ごし方をしている。こういうものを考えますと、やはり今回のような検討をするときに両方あわせて検討していくことが必要になってくるのではないかと思います。

 それで、可能であれば、それぞれの専門委員会の間での部分的な合同なり、連携なり、すみ分けなり、統合なりを考える必要があるのではないでしょうか。いずれにしても重なり合う点をパラレルに検討していくというよりは、より効果的なことがあるのではないかと思います。私の勝手な思いつきということで勘弁していただきたいのですが、そういうことも含めて幅広い検討をすることで、多様な視点を含んだ提言が可能になるのではないかと思いましたので、話させていただきました。以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。また、この土俵を少し広げていただく御提言もいただきました。

 皆様方からそれぞれ本当に有意義な御発言をいただきました。最後に済みませんが、私も述べさせていただければと思います。お許しください。委員から出たものは省略させていただきまして、出ていなかったものを中心にお話をしたいと思います。

 1つは、最初に私のほうで申し上げた子どもたちの育ちについてです。そのときに、視野に入れなければいけない理念というか、原理というか、それを3つほど考えなければいけないなということがあります。

 1つは、今回の改正児童福祉法の中で何度も出てきておりましたけれども、子どもの権利条約の精神にのっとって子どもを養育することが第1条に定められましたので、放課後生活について支援者がかかわる場合も子どもの権利条約の精神にのっとっていくということになるかと思います。この子どもの権利条約の精神にのっとって育てるというのは、子どもを養育するというのは一体何を大事にすることなのかがしっかり議論されなければいけないんだろうと思います。今のところ、私は主体的に生きるというか、主体性ということが大事だろうと思っております。

 一方、子どもたちの育ちについて、教育の分野では生きる力ということ、生きる力を育てていくということが挙げられております。これも、とても大切な視点だろうと思います。

 3つ目が、厚生労働省が近年しっかりと取り組んでいる共生社会という視点になろうかと思います。地域共生社会を構成する一員としての子どもたち、その子どもたちの育ちはやはり共生できる、人と人とがつながり合える、そんな子どもたちに育ってほしいということが言えるかと思います。

 この3つの理念を大事にしていくことが必要なのかと思っております。これが、1点目です。

 2点目は、今、野中委員がおっしゃったことともかかわるのですけれども、やはり放課後生活を保障している諸施策を少し並べてみて、その上で意義と役割を整理しなければいけないのではないかと私は感じました。放課後児童クラブ、放課後子ども教室、さらには児童厚生施設といった既存の政策の中に入っているものもあれば、プレイパークなどのように既存の政策の中には十分入り切れていない。しかし、重要な役割を果たしているものもあるかと思います。これらを少し全体の絵柄を描いてみて、そしてどこが欠けているのか、あるいはどこを新たに施策として、対策として取り組まなければいけないのか。そうした図を書いて見ることが大事なのかなと思いました。

 3つ目は、児童館ガイドラインの話が出ておりました。私も、その27項目についてはしっかりとこの中でも取り上げる必要があるだろうと思っておりました。その中の1つとして、前回の児童館ガイドラインの中ではソーシャルワーク機能を重視していくんだということの提言をしていたかと思います。

 放課後生活の中で、多くの子どもたちのための施策だけでは漏れてしまう貧困な状況に置かれた子どもたち、あるいは障害を持った子どもたち、虐待を受けている、あるいはネグレクト傾向にある子どもたち、そうした子どもたちにしっかりと寄り添える。発見し、寄り添える。そうしたソーシャルワーク機能をこの中に入れていく必要があるだろうと思っています。それが、3点目ということになるかと思います。

 4点目は、これも野中委員が先ほどおっしゃっていたことですけれども、それぞれの施策があるわけですが、その施策そのものの見直しといいましょうか。例えば、40条で児童館の話が出ておりましたけれども、その40条自体の条文がやや時代に合わないところが出てきているのではないか。子どもに遊びを与えるという表現になっていますけれども、これは清水委員の先ほどの御発言にもかかわることですが、本来、遊びというのは子どもたちが主体的につくっていくものだろうと思いますので、与えるという表現はどうなのかとか、そういったようなことも見直していくことが必要なのかなと思っています。

 5点目ですけれども、これも幾つか出ていたかと思いますが、放課後児童対策の中の大事な論点として居場所ということがあるわけですが、その居場所のアメニティーの話をやはりしっかりと捉えていかなければいけないと思っています。これは数人の委員からそれぞれの放課後児童クラブのアメニティー、児童館のアメニティー、それから放課後子ども教室のアメニティーの話、人や、あるいはその設備とか、そういうようなことが出ておりましたけれども、その議論もしっかりとしていかなければいけないのかなと思いました。

 最後に、放課後の子どもの生活の場を考えたときに、子どもたちがいたくている場と、それからそうでない場があるということも注意しなければいけないんだろうと思います。実は、私は地元市で子ども・子育て会議にかかわっているのですが、そこの市で放課後の子どもたちの過ごし方についての調査を行いました。そして、そのときに現状は○○で1週間にどのくらいの時間過ごしている。でも、希望はどのくらいの時間を過ごしたいかということを子どもたちに事務局のほうで聞いてみたわけです。

 そうしますと、放課後児童クラブは、現状としては1週間の平均時間は、通っていない子どもたちもすべて入れてなのですけれども、全ての子どもを入れてみると0.49日というのが全平均なんです。しかし、本当にいたい場所というか、希望はどのくらいいたいのかというふうにすると0.39日ということで下がってしまうんですね。ほかのところは、友達と遊びの時間とかは希望はもっと多いわけですが、放課後児童クラブはそれが下がってしまう。つまり、子どもたちがそこにいるのは、すべての子どもが居たくているのではなく、場合によっては、そこにいたくない子どもも存在しているわけです。放課後児童クラブに通う、通わないについては、子どもは選べないわけです。

 それで、放課後生活、子どもたちの放課後対策を考えるときに、子どもたちが選べる場所と選べない場所がある。放課後子ども教室は、選べる場所なのかもしれない。嫌ならば帰ってしまえばいい。でも、放課後児童クラブは嫌でも帰れないという場所、本当は嫌なんだけれども帰れない。そこにいなければいけない。そういう場と、それから子どもたちがいることを選べる場所、この2つの場所を考えて、選べない場所についてはやはり子どもたちへの一定の配慮ということも大事になってくると思いました。

 そんなことを、今後論点として考えていく必要があるのかなと思いましたので、ちょっと補足をさせていただきました。

 私からは以上ですが、今35分になりました。あと20分くらい時間を残すことができましたので、ここからは早い者勝ちということでフリートーキングにさせていただきたいと思います。成田審議官が最後までいてくださいますので、できれば最後にコメント等を頂戴できればありがたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

 では、どなたからでも結構です。20分しかないので、早い者勝ちです。

 では、池本委員お願いいたします。

○池本委員 さっきイギリスのところで言い忘れたことなんですけれども、私も親として子どもの放課後を見る中で、スポーツクラブとかがたくさんあるのですが、どこを選んでいいかとか、どこに何があるかとか、それは安全かとか、すごく親として心配で、民間がやっているもの、あるいは地域でやっているものの質というのは、イギリスはきちんとクラブを認定するという仕組みがあって、地域のクラブを検索して、その認定を受けたところを選べるというようなこともあるので、日本でもどういうことができないかと思っています。

 特に、今スポーツにおける虐待というか、厳し過ぎる指導とか、イギリスはそういうことをどう防ぐかといった論点でクラブの安全性みたいなこともやっていますので、先ほど広くというお話があったので、そういったスポーツクラブとかのことも検討できるといいなと思いました。

○柏女委員長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

 では、金藤委員お願いします。

○金藤委員 何人かの委員の方々から、認定講習で重なるところは免除をということを御検討いただきたいというお話がありました。それも重要だと思うんですが、一回受けたらもうそれでいいというふうにはぜひしないでほしい。教員免許更新講習とまではいかなくても、ある一定期間が過ぎたらこういう講習を受けなくちゃならないという学び続ける支援者というのがぜひ育ってほしいと思います。そういう仕組みもつくっていただきたいと思います。

○柏女委員長 ありがとうございます。大事な視点かと思います。

 野中委員、お願いいたします。

○野中委員 先ほど3点と言って、時間を気にして1点外しましたので、一言だけ。

 設備運営基準と運営指針の作成も少しお手伝いさせていただいたのですが、そのことを念頭に置いての話です。子どもの権利条約、特に子どもの最善の利益ということにつきまして、この作成過程の中で留意したことを一言申し上げさせていただきたいと思います。

 子どもの権利条約の3条の1は、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局または立法機関のいずれによって行われるものであって、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」という文章です。

 条文どおりの意味で読み取れば、まさにこういう事業を行う場合について、そこの事業者側の都合だとか、大人の都合とか、そこに働く職員の都合ということよりも、子どもの最善の利益を考慮して、事業や職員が働く環境をつくることが必要だということがコアにあって、それが子どもの最善の利益ということで一般化されているということではなかろうかと思います。

 設備運営基準と運営指針の作成にあたって、厚労省がこのことを大事にしながら進められたということは、先見の明を示したと同時に、その内容が今回の児童福祉法の改正と合致していますので、そのことが反映されているというふうに理解しています。

 特にその部分で言いますと、従うべき基準は、地域の実情を考慮するということより、基本的な問題として、あらゆる環境にあるところであっても子どもを守るためにこういうことをベースに置くべきだということを明示する意味で、非常に限定的に示したというふうに私は理解をしています。

 事業の根幹と、創意ある、あるいは地域の実情にあわせていろいろ工夫するものとの考え方の整理を進めたといういことを、一緒にかかわった者としてこの場で皆さんに一言お伝えしたいと思います。

○柏女委員長 ありがとうございました。とても大切な視点です。

 中川委員、お願いいたします。

○中川委員 先ほど委員長から、子供の放課後の過ごし方の現状と希望ということで、放課後児童クラブの子供たちについて、現状よりも希望のほうが数字が下回っているというご紹介がありました。

 放課後児童クラブの子どもたちはクラブに行かなければいけないというのが前提になっているわけですが、ところが、行かなければいけないだけではなかなか子ども自身も心の整理がつかない。そこから、積極的に行きたい、クラブへ行きたいという気持ちに子どもたちがなってくれるような、そうした取り組みが放課後児童クラブには求められているのだろうと思います。先ほど、安部委員がおっしゃった専門的ということ、これはもちろん必要なのだけれども、また違った意味で子どもがある意味、ほっこりできるというか、居心地のよさを感じられるような、そういうあり方みたいなものが必要なのではないか、それは家庭的雰囲気というんでしょうか、温かい雰囲気というのが子どもたちの気持ちを癒してくれるであろうし、居心地のよさにつながっていくのだろうと思います。ですから、放課後ということにしっかりと着目をして、学校と同じように子どもたちの生活を組み立てていくのではなくて、放課後固有の子どもたちの生活のあり方みたいなもの、そこをどう実現するかということが我々の専門性というふうに考えて、その専門性のあり方についてはもう少し広い観点で考えていく必要があるのではというふうに、今の数字のお話を聞いて思ったところでございます。

○柏女委員長 ありがとうございました。運営指針の中で、育成支援の9項目の最初にそれが出てきていて、子どもたちがそこに居場所として通い続けることができるように育成支援を行うことと載っておりますけれども、本当にそこが一番の肝になるのかなということを感じながらお話を伺わせていただきました。ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。

 では、安部委員お願いします。

○安部委員 ありがとうございます。今の中川委員のお話の関連なのですけれども、私がずっと考えていたのが、放課後児童支援員というのは先生なのだろうかということなんです。私もついお迎えに行くと、「先生」と呼んでしまうのですけれども、先ほど池本委員もおっしゃっていましたが、子どもにとっては学校の延長でずっといるというのは非常に緊張を強いられるかなという気がしていまして、やはり生活の場なので、先生とは違う、親とも違う存在がいるということが非常に大事だということが1つです。

 もう一つは、柏女委員長がおっしゃっていたソーシャルワーク機能と、子どもにとっては選べないということとの関係なのですけれども、本当に選べないんだと思います。というのは、例えば要支援の子どもたち、学童に行ってくれたらもう少し長い目で見られるのにと思う子たちが、親御さんが手続をしない、手続をしたくないということで、放課後子ども教室であったり、児童館の一般来館で来ているケースが少なくないのかなと感じています。そうすると、子どもが行きたいときに行けるというのはやはり非常に大事かと思うので、そのあたりのことも議論ができたらというふうに感じます。

○柏女委員長 ありがとうございます。それは、親御さんが行けるようなインセンティブを働かせるのか。その中の一つとして、財政的な支援ということがありますね。今、幼児教育の無償化の話が出ていますけれども、放課後児童クラブの経済的な支援とか、そちらのほうの話も入れたほうがいいのではないかということにつながりますか。

○安部委員 そうですね。それもあると思います。結局、親御さんが就労を十分していないということで、そもそも待機学童が出ているので入れたくても入れないという場合ももちろんあると思います。支援員さんの目から見てとても気になる子がお友達と一緒に来る。そこで、話を聞いてみると、親は家にいないので夜まで一人で留守番しなければいけないという話が出てきたりするということを伺っています。そういう子どもたちというのは、自分は行きたいと思っていても自分で手続をするわけにはいきませんから、そのあたりは何とかできないかなという気がします。

○柏女委員長 ありがとうございました。この辺も、大切な論点になってくるかもしれません。ほかはどうでしょうか。

 では、植木委員お願いします。

○植木委員 私が現場で支援員の仕事をしていたころは、先生とはやはり呼ばれませんでした。ニックネームで呼ばれていました。そんなふうにやはり放課後児童クラブというのは安部先生が言われるように斜めの関係性、これが特徴なのだなということを今、改めて思いました。

 それで、先ほどの議論の中で大学生たちが随分とこの分野に興味を示しているというふうな話がありましたけれども、大学生も恐らくそういった斜めの関係性に気がつきながら、その仕事をしてみたいというふうに言ってくるのではということも同時に思いました。

 そういった意味では、放課後の子どもたちにかかわる職員の資格といいますか、養成といいますか、それが大学の養成とリンクできるといいのではないか。もちろん保育士はもとより、例えば児童館でいえば一般財団法人の児童健全育成推進財団が児童厚生二級指導員、一級指導員というのを既に大学でも行っていて、現場の研修でも同時に行っていて随分と実績を上げています。そういったものを参考にしながら、放課後児童支援員もひょっとしたら大学の養成が可能なのかというようなことも検討するべき事柄か、あるいはそのカリキュラム云々も含めて、そういったこともまた論点になるのかなということを思います。

 そのような大学生たちが興味を持って、養成にそれこそ進んでかかわるというふうなことがあるとすれば、今度は支援員になってから、あるいはそれ以外の放課後の支援員にかかわる職員になった後の労働条件といいますか、職場環境といいますか、そういったことも同時にやはり底上げしていくといった視点も持ちながらこの委員会で議論していく。このような2つの視点が必要かということを思いました。以上です。

○柏女委員長 ありがとうございました。放課後児童支援員の認定資格研修のあり方については、意見などもいろいろあるようですので、その中で今の御提案は大事に考えていくことも必要なのかなというふうに思います。

 では、小野委員お願いします。

○小野委員 今のお話を伺って私自身も感じた部分があるのですが、現在行われている認定資格研修は、私も含めてですけれども、現認で、現職で、本当に現場に出ている指導員が認定資格研修を受け、資格を持っているというシステムをとっています。

 ですので、私自身も実は免除科目を持ってはいたのですが、改めて現場で経験したことも含めて理論的にもう一回学び直す機会として、実は今回免除科目も免除せずに受講しました。そこで、また新たに本当に子どもたちの現実を思い浮かべながら、もちろん知識としては学生時代に自分自身も学んできた中身ではあったのですが、すごく学びの多い免除科目であったということを私は感じています。

 今のシステムで言いますと、結局現場で、現認でやっている方たちの認定資格研修というシステムしかありませんので、そこに関しては先ほど植木先生もおっしゃったように、養成課程も含めてどんな形で大学を卒業した後に新しい人材を確保していくのかということは議論が必要なのかと思っています。

 実際に4年制大学を卒業して基礎資格は持っていたとしても、4月から放課後児童クラブの職員になりますといっても認定資格研修を受けるまでは補助員の位置づけでしか就職できないということで、就職のスタートラインもそこにしかないということを考えますと、そのシステムというのも少し議論の中でいただけたらいいかと思っているところです。

○柏女委員長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。

 では、清水委員お願いします。

○清水委員 植木委員と小野委員から大変いい御指摘を受けて、私もまさにそうだなというふうに思いましたけれども、現状の先生方が認定研修に行く場合に、多分市町村によっては賃金補助をしているようなところもあるのではないかと思います。そういった意味では、仕事の時間を割愛して、こういった研修に行く場合は、若干の賃金保障をするというふうなことがまず一つ考えられるか思います。

 2つ目が、支援員の専門性ということであれば、研修内容の専門性を追求するような人材をある程度配置しないと、現場の先生に専門性、専門性と言っても、やはり研修の段階から研修内容をしっかりと理解し、教授可能な人材が研修を担当するのが望ましいのではないかということで、プログラムの件についても御検討いただきたいということです。

 3点目が、共生社会というところで外国籍を持つ子どもさんもふえてきているといったことや、障害を持つお子さんとか、特別な支援を要するお子さんと同時に外国籍の子どもさんに対する配慮とか、そういったところの視野みたいなものが盛り込まれると大変望ましいのかと思っております。以上でございます。

○柏女委員長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょう。

 次回、論点を事務局のほうで整理をして出していただいて、それをまた議論しようと思っておりますので、別にきょうではなくてもいいのですけれども、論点としてこの辺が抜けているというところがもしあったら、残りの時間で出していただけるとありがたいのですが。

 では、池本委員お願いします。

○池本委員 清水委員のお話で、そういえば特別なニーズがある子どもの配慮というのがやはりこれから必要で、アレルギーの子どももどんどんふえていて、それが今、現場の支援員さんがすごく御苦労されているところなので、それについても何らかのあり方というか、もう少し深めていく必要があるかと思います。

 もう一つは、さっきオーストラリアの学校との関係というのを出したんですけれども、親とクラブの関係というところは私も親としてすごく悩んでいるところで、もうちょっと参加したいと思っても、親が働いているから行ける場所だとなってしまうと、ボランティアで親がそこにかかわるということがしにくい制度設計になっています。海外などではもっと親や地域をどんどん巻き込んでやるということもあるので、そのあたりをどう考えたらいいかということも一つ検討したいなと思っているところです。

○柏女委員長 親と、子どもと、そして地域、そこをつなぐ機能をちゃんと考えていかなければいけないし、そこに親がかかわれるようにしていくということがすごく大事かなというふうに思いながら聞きました。子どものことをもちろん考えることは最優先なのですけれども、そこにはやはり親との生活があるわけで、その生活をどうやって全体ぐるみで支えていくかということが大事かなと思いました。ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。

 では、小野委員お願いします。

○小野委員 済みません。先ほど最後につけ加えようと思ったのですが、認定資格研修の問題で1つありましたけれども、認定資格研修は一生に一度のものと私はよく研修の場でもお話ししているのですが、それを受けた後に現認研修、資質向上研修というもののあり方ですね。やはり一度研修を受ければ大丈夫という形ではありませんので、そのあたりも少し視点に残しておきたいと思ってつけ加えさせてもらいます。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 よろしければ、きょうの議論はこのくらいにさせていただこうかと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、ずっと事務局としてお聞きいただきました成田審議官から何かコメント等ございましたらお願いできればと思います。

○成田大臣官房審議官 本日は、長時間にわたり御議論をいただきまして本当にありがとうございました。

 本日は初回ということで、いろいろな御意見をいただいたというふうに思います。

 委員長からコメントをという御指示でございますが、いろいろな御意見をいただきましたので、私もメモをとっただけでまだ頭の整理ができておりませんが、いずれにせよ今、委員長から御指示がございましたように、いただいた御意見を、本日事務局からお出しした論点案ともう一回照らし合わせ、少し整理させていただいて、次回以降引き続き御議論いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、どうもありがとうございました。

○柏女委員長 ありがとうございました。

 それでは、きょう出された委員からの意見については、今、成田審議官のほうからもありましたけれども、事務局のほうで論点等への反映をぜひお願いしたいと思います。その上で、次回その整理していただいたものをお示しいただいた上で、またそれについて御意見を頂戴するという形で進めていければと思います。

 では、次回の予定について事務局のほうから御連絡をお願いいたします。

○鈴木健全育成推進室長 次回についてですが、1120日月曜日の10時から、場所は厚生労働省の6階、共用第7会議室での開催を予定しております。よろしくお願い申し上げます。

○柏女委員長 12時までということでよろしいでしょうか。

○鈴木健全育成推進室長 2時間になりますので、12時までということです。

○柏女委員長 では、10時から12時までということで、厚生労働省の6階で開催ということでございますので、よろしくお願いいたします。

 また、意見書とかは事前に出してもよろしいのでしょうか。きょうありましたけれども。

○鈴木健全育成推進室長 きょうの発言で足りない部分等々もメール等でいただければ集約して、あとは次回に委員の先生から資料があれば出していただければと思います。

○柏女委員長 わかりました。きょう、この後、帰りがけにこれを言っておけばよかったというものがあれば、それはメールで出していただいてもいいですということと、もう一つ、次回に向けて正式に意見を出したい場合は事前に送っていただければ、それは用意しますということですので、何かありましたらぜひ出していただければと思います。

 私たちも、こうした貴重な調査の結果などが出てきますと後で勉強にもなりますから、ぜひ共有していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 それでは、きょうはこれで終了とさせていただきます。各委員におかれましては、大変お忙しい中ありがとうございました。これから、熱心な議論が展開されていくことを願いたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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