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2017年11月8日 第108回社会保障審議会医療保険部会議事録
○日時
平成29年11月8日(水)15:59~18:04
○場所
グランドアーク半蔵門 富士東の間
○議題
1.骨太2017 、経済・財政再生計画改革工程表の指摘事項
2.オンライン資格確認等及び訪問看護レセプト電子化
3.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額
○議事
○遠藤部会長
それでは、そろそろ定刻になりますので、ただいまより第108回「医療保険部会」を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
まず、委員の異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。
新谷信幸委員が御退任されまして、新たに日本労働組合総連合会副事務局長の南部美智代委員が就任されております。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は岡崎委員、南部委員、福田委員、森委員、和田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、武久委員及び横尾委員からは少々おくれるとの御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
岡崎委員の代理として村岡参考人。
南部委員の代理として平川参考人。
福田委員の代理として小竹参考人。
森委員の代理として安部参考人の御出席につきまして、御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
ありがとうございます。
それでは、早速、議事に移らせていただきます。本日は「骨太2017、経済・財政再生計画改革工程表の指摘事項」「オンライン資格確認等及び訪問看護レセプト電子化」「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額」。この3つを議題としたいと思います。
それでは、初めに、改革工程表の指摘事項を議題といたします。前回は改革工程表のうち平成29年度の検討事項を中心に御議論いただきましたが、本日は平成30年度までに検討が必要な事項の中から「後期高齢者の窓口負担」及び「金融資産の保有状況を考慮した負担の在り方」。この2つについて御議論いただくことにしたいと思います。
それでは、事務局より、まず資料1-1の「後期高齢者の窓口負担について」の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○泉課長
高齢者医療課長です。
それでは、資料1-1をご覧ください。「後期高齢者の窓口負担について」と題する資料です。
おめくりいただきまして、法律の検討規定や閣議決定などが並んでおります。
3ページ目に進んでいただきまして、経済・財政再生計画の改革工程表の抜粋がございます。
中ほど、太い枠で囲われておるところでございます。<医療保険における後期高齢者の窓口負担の在り方>で「医療保険における後期高齢者の窓口負担の在り方について、70歳から74歳の窓口負担の段階的な引上げの実施状況等も踏まえつつ、関係審議会等において検討し、結論」とされておるところでございます。
本日は、後期高齢者の窓口負担、高齢者の負担に関する重要なテーマでございますので、きめ細かな検討を行う必要があることから、高齢者を取り巻く環境、高齢者の医療の動向や特性、また、高齢者医療制度の状況などについて幅広く資料を集めまして資料とさせていただきました。順を追って御紹介いたします。
まず、高齢者を取り巻く環境でございます。
5ページ目、後期高齢者医療制度の被保険者数の推移でございます。
年々、だんだん増加をしてまいりまして、平成27年度におきましては約1,594万人となっております。総人口の8人に1人は75歳以上となっております。時間の関係上、かいつまんだ御説明にさせていただきます。
7ページ目から、高齢者を取り巻く環境のうち、家計の状況が始まっております。
8ページ目、年齢階級別の平均所得額の推移でございます。
75歳以上、70歳以上、あるいは年齢階級別に世帯人員1人当たりの平均所得金額の推移を折れ線グラフにしております。ここ10年ほどはどの世代につきましても、おおむね横ばいという状況でございます。
10ページ目に進んでいただきたいと思います。高齢者の貯蓄の状況でございます。
世帯主が65歳以上の世帯における平均貯蓄額は約1,300万円でございますが、10ページ目の下のほうの棒グラフをご覧いただきますとおり、貯蓄がない方と、それから、高額の貯蓄をお持ちの方との割合はそれぞれ高くなっている状況にございます。
11ページ目、高齢者世帯と子供2人の夫婦世帯の消費支出内訳の比較をとっております。
上の棒グラフが年間収入階級200万円~300万円の方々で、下の棒グラフが年間収入階級500万円~600万円ということで、高齢者世帯と子供2人の夫婦世帯で比べてみたものでございます。高齢者世帯は保健医療に関する支出が多く、また現役世帯は教育や土地家屋借金返済を初めとするほかの支出が多くなっている状況が見てとれます。
12ページ目で、家計というより、今後の老後の生活設計等についての見通しへの不安について、12ページ目は男性、13ページ目が女性ということでございますが、グラフをとってみました。
老後の生活設計や今後の収入・資産の見通しに不安や悩みを感じる方の割合は、どの世代についても増加傾向にございます。ただ、今後の収入や資産の見通しに対する不安を感じる人の割合は、30代、40代の方々が一番高く、60代、70代の方々はだんだん少なくなってくるという状況にございます。男性も女性も同様の傾向が見られるかと存じます。
さらにおめくりいただきまして、次に高齢者の医療費の動向と特性でございます。
15ページ目で、これは医療費の全体の動向でございます。
近年、国民医療費は対前年比2~3%程度の伸びでございましたが、27年度は4%近い伸びとなった後、28年度は0.4%減少ということで、少し動いております。42.2兆円の国民医療費のうち、15.3兆円、36.3%は後期高齢者医療費となっております。
16ページ目は、医療費の伸び率の要因分解でございます。
医療費の伸び率は、御存じのとおり、人口増の影響、高齢化の影響、診療報酬改定の影響、また、その他と、幾つかの要因に分解できますけれども、そのうち、高齢化の要因を見ますと、大体1.0~1.6%前後の影響ということになっております。
18ページ目をご覧いただきたく思います。医療保険制度別の1人当たり医療費です。
折れ線グラフが出ておりますが、一番高いところにあります折れ線グラフが後期高齢者医療制度の医療費でございます。少し動いておりますけれども、平成28年度におきましては後期高齢者の1人当たり医療費は約93万円となっておりまして、そのほかの医療制度の総計と比べては約3倍、被用者保険グループと比べては約6倍ということで推移しております。
1人当たり医療費の伸び率の年度ごとの折れ線グラフが19ページ目でございます。
先ほど見たところでは、1人当たり医療費が一番高いのは後期高齢者でございましたが、1人当たり医療費の伸び率で見た場合には一番低いのが後期高齢者となります。
続いて、20ページ目からは高齢者の方々の疾病あるいは医療のかかり方の資料が続きます。
21ページ目で、若人と比較した後期高齢者医療費の特性でございます。
御存じのとおり、後期高齢者は若人に比べて受診率が高く、また入院・外来とも、1人当たりで見る診療費や日数に大きな差があるわけでございますが、ただ、これは受診率の違いが主な原因でありまして、実際に診療を受けたレセプト1件当たりで見ると、受診日数、また、診療費に大きな差はないとしてございます。
数字のほうを若干拾いますと、外来のところをご覧いただきますと、若人を1とした場合、後期高齢者の場合は受診率が2.4倍、1人当たり診療費が3.6倍、また、1人当たり日数では3.1倍となるわけですが、1件当たり診療費で見れば1.5倍、1件当たり受診日数では1.3倍、また、1日当たり診療費は1.2倍という傾向が見てとれます。
22ページ目です。外来受療率と入院受療率の比較でございます。
受療率というのは、特定の日に、人口10万人に対して何人が診療行為を受けているかを示したものでございますが、いずれも外来、また入院ともに加齢とともに増加する傾向にございます。
投薬の状況についての資料が26ページ目でございます。
例1、左側というのが、ある市の国民健康保険の65歳から74歳までの方の投薬の状況についての円グラフでございます。ご覧いただきますように、太い枠で囲った円の一部ですが、10種類以上の投薬を受けていらっしゃる方が10%を超えている状況で、例2はある県における75歳以上の方の投薬の状況ですが、10種類以上の投薬を受けていらっしゃる方が4分の1を超えている状況にございます。
ジェネリックの使用の状況で、29ページ目をご覧いただきたいと思います。都道府県別・制度別後発医薬品の割合となっております。
全国平均で見ると、被用者保険は69.9%、国民健康保険は69.3%でございますが、後期高齢者は若干低く、66.4%となっております。
折れ線グラフを見ていただきますと、一番低いところ、×でつながっている折れ線グラフが後期高齢者の折れ線グラフとなっており、ほかの保険制度と比べると若干、後発医薬品の割合が低いという状況が見てとれます。
続いて、高齢者医療制度に係る財政について、概況を御説明いたします。31ページ目をお開きください。
後期高齢者医療制度で、今、約15兆円でございます。前期高齢者財政調整制度は約7兆円となっております。
33ページですが、後期高齢者支援金の推移でございます。
制度自体は変わりなく運営しておりますけれども、後期高齢者支援金につきましては、当初4兆円強であったものが、26年度は5.6兆円ほどになっております。
さらに、後期高齢者支援金と前期高齢者納付金を含めました高齢者医療の拠出負担の推移について、34ページにとっております。
34ページは協会けんぽについての図で、高齢者医療への拠出負担割合は平成元年当時と比べると上がっている状況でございます。
35ページ目は健保組合の義務的経費に占める高齢者医療への拠出負担割合ということで、最近では40%台を推移している状況でございます。
こうした状況を反映いたしまして、36ページ目ですが、協会けんぽと健康保険組合におかれましては、それぞれ保険料率を引き上げてきておられるという図でございます。
続いて、高齢者医療制度に関します給付と負担について御紹介したいと思います。
39ページ目が現在の医療費の一部負担について、全ての年齢層についての負担の割合がどうなっているかということを図にあらわしたものでございます。
ご覧いただくとおわかりのとおり、70歳以上のところでも現役並み所得者については既に3割負担となっており、70歳から74歳までは現在2割負担への引き上げを段階的に進めているところでございます。75歳以上は1割負担となっているわけでございます。
この70歳から74歳の自己負担のあり方につきましては、41ページ目をご覧いただきたく思います。
5カ年をかけて段階的に1割負担、2割負担とするということになっておりまして、平成26年4月に新たに70歳になる方から段階的に2割とし、今、29年度ですが、4年目に入っている状況でございます。
42ページ目は、昨年も御議論いただきました高額療養費制度の見直しでございます。説明は省略させていただきます。
後期高齢者の保険料軽減特例の見直しが46ページ目に書いてございます。これも昨年度御議論いただきまして、現在、29年度の施行をさせていただいておるところでございます。説明は省かせていただきます。
47ページ目は、後期高齢者医療制度の保険料の推移でございます。
一番背の高い棒グラフが後期高齢者医療制度の保険料の全国平均、また、背の一番低い棒グラフが続いておりますが、これが現役世代1人当たり支援金保険料相当額でございます。平均保険料額は大体5,000円台で一定しておりますが、現役世代1人当たり支援金保険料相当額につきましては、最初、平成20年度には2,371円でありましたものを、平成29年度の見込みでは4,238円と伸びてきている状況にございます。
48ページ目を御紹介したく思います。年齢階級別の1人当たり医科診療費と、それぞれの年代ごとの平均収入でございます。
48ページ目をご覧いただきますとおわかりのとおり、1人当たり医科診療費は高齢になればなるほど上昇してまいりますが、1人当たり平均収入はやはり50歳代が一番高く、高齢期になるとだんだん減っていくという状況が見てとれます。
そして、最後の51ページ目をご覧いただきたく思います。以上のような状況を踏まえてということでございます。
「経済・財政再生計画 改革工程表」におきまして「医療保険における後期高齢者の窓口負担の在り方について、70歳から74歳の窓口負担の段階的な引上げの実施状況等も踏まえつつ」検討していくこととなっておりますけれども、高齢者を取り巻く環境や高齢者医療費の動向や特性、高齢者医療制度の状況などを踏まえ、どのように考えるかということにさせていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの報告を受けまして御意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。
藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員
ありがとうございます。
先日の財政制度等審議会では、70歳から74歳の方を対象に、現在、段階的に実施している自己負担割合の2割の引き上げを75歳以降も延伸して実施し、2割負担を実施する改革案が上げられております。また、既に75歳以上で1割負担の人についても、数年かけて段階的に2割負担に引き上げる改革案が示されております。
制度の持続性を考えれば、一定程度の高齢者の自己負担割合の引き上げはやむを得ないと考えております。仮に2割への引き上げが困難な場合でも、1.2割とか1.5割など、より多段階的な負担率の設定も検討してみてはどうかと思います。自己負担割合については、来年の検討事項ではありますが、引き続き引き上げを前提とした議論を行うべきではないかと考えます。
もう一つ、多剤服用の話が先ほど出たのですが、日々、服薬に関する相談を受けている立場から実例を申し上げますと、処方されている患者さんの側からお医者さんにはなかなか相談しづらいということがあるようでございます。せっかく処方していただいたのに言いづらい、あるいは複数のかかりつけ医に行っている場合ですと、どちらの医者にも連絡ができないようです。
それから、かかりつけ薬局についても、結局、自宅の近くなのか、勤め先なのか。時間的に、出勤前には行けない、帰りにはもう閉まっているという方が多く、処方箋の期限は4日間ですから、なかなか間に合わないということが現実的にあるようでございまして、結果的にいろんな薬局に行かざるを得ず、一元管理が困難な状況があるようです。
こうして多くの薬が処方され、薬が管理できなくなった結果として、何と小さいものから先に飲んでいる。飲みやすいものから飲んでいるという相談も受けます。それはまずいのではないですかと言うと、とりあえず飲んでおけばいいのではないか、という患者さんも実際にいらっしゃいますので、それは危険なことですと申し上げているのですけれども、そういったことからも、やはり受診と処方の一元管理という仕組みをできるだけ早くつくっていただくことが必要かなと思うわけでございます。
もう一つ、医療用医薬品にはできないことがあります。例えばOTC医薬品の中には、抵抗力の落ちた高齢者にとって、効き目が強い医療用医薬品よりも生薬製剤のほうが体に合っているという申し出が実際にございます。例えば便秘薬とか胃腸薬と去痰剤なんかで、生薬製剤のほうが自分の体に合っているのだけれども、使っていいかという申し出もございます。症状に合わせて複数の薬が処方される医療用医薬品よりも配合剤ならば服薬量が少なくなるので、楽に飲めるというメリットがあります。OTC医薬品は保険が利かないから高いのではないか、という声もあるが、OTC医薬品も1回分の単価にしますとそうでもない。10万円以上の出費になれば、医療費控除も受けられます。
このOTC医薬品はサプリメントと違いまして、データが全部明らかになっていますから、うまく使っていただければ限られた医療資源の有効活用という観点からも、こういった配合剤や生薬製剤、OTCの活用ということをぜひ見直していただいたらいいのではないかと思います。これをやるのに、特に財源は必要ありません。勉強すればいいということなので、ぜひ働く世代の負担をさらに増やす前に、できることを検討していただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
兼子委員、どうぞ。
○兼子委員
高齢者ですが、私ども老人クラブのリーダー層の方たちと話しますと、今のこういう医療の状態で、今、論議されているようなことについて、協力しなければいけないという意見が強いことは事実です。そういうリーダー層ですから、声が大きいのでしょうけれども、ただ、現実に地域では、私も40人程度の小さなクラブの会長もしていますが、生活が困難な方も結構多いわけです。その辺を踏まえて論議していただきたいと思いますが、そういう意味では、高齢者を一括りに見るような対応については大きな問題があるように思います。
平成28年の国民生活基礎調査で、単身世帯が656万世帯、それから、夫婦2人の世帯ほかが671万世帯、約1,330万近い世帯が高齢者、その世帯で大半が無職高齢者世帯と言われています。それで、ちょっと資料が家計調査、総務省がやっているのでしょうか。平成25年のものしかなかったのですが、この大半であると言われる高齢無職世帯の家計収入ですけれども、実収入が約22万円で、支出が28万円ほどある。それで、不足分が約6万円あるわけです。そういう現状を考えた場合、この窓口のところで負担を強化するということは基本的に高齢者を医療から遠ざける。そのことは再三、これまでも議論されていますが、軽いうちに窓口で遠ざけることは重症化につながっていく。結果的に重症化というのは、私はそのデータはよくわかりませんけれども、むしろ医療費全体の高騰につながっていくのではないのかなと思っております。
先ほど来の説明で、この10年ぐらいの高齢者の所得、確かに徐々に回復はしておりますが、20年という大きなスパンで見ますと、やはり20年前の所得から見ると、まだ年間20万円ぐらいの落ち込みということは回復していないわけです。そんな点もぜひ考慮していただいて、窓口負担。ここのところの強化で済むのかどうか。私は済まないのではないか。
あと、多剤投与の問題でお話が出ました。この件では、私も毎月1回、医院に通っておりますけれども、実質30年ぐらいになりましょうか。お薬手帳をもらったのはこの10年ぐらいですが、いわゆる薬局でそれを見て、これはどうなのかなというお話があったのは1回だけなのです。実際はほとんどお薬手帳というものを出しますけれども、あまり生かされていない。こういったことについては、私はもう少し高齢者の生活の底上げを図りながら、低所得者の方たちもさまざまな形で学習する機会を多く持つような形をとらないと解決しないのではないかと思うのです。
結局、所得の低い方たちは、医療費はなかなか削れない。そうすると何を削るかというと、人とのつき合いを削る、外出を削る。そういうことになれば、ますます必要な情報から遠ざかっていく。また、人のつき合いを通してさまざま得られる情報。こういったものから遠ざかる。そういう問題がありますので、やはり私は窓口負担の軽減とか、今日のこの委員会のテーマではありませんけれども、税負担の軽減等も含めて、むしろその底上げを図りながら、高齢者の一定の生活の安定、そういったものを通しながら、さまざまな学習の機会。こういったものが広がっていくようなことを考えていかないと、このことは長い間、議論されていても解決していないということが現状を物語っているのかな。そんなふうに思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
白川委員、松原委員の順番でお願いします。
○白川委員
今、いろんな資料を出していただきまして、前回、私も、この問題は非常に重要なので、来年と言わずに早目に議論を始めてほしいと申し上げたところ、早速こういう資料を出していただいたので、まず事務局に感謝申し上げたいと思います。
後期高齢者の問題は、御存じのとおり、今、皆さん、高齢者の方々の所得等の関係から、全国民で支えるという仕組みに平成20年から変わったわけでございまして、そうやらないと高齢の方々の医療は見切れないということで、ここは賛成の立場でございます。
今、資料で縷々説明いただきましたとおり、後期高齢者が今、1,600万人強いらっしゃいます。2025年問題がよく言われますが、その時点では2,000万人を超えると我々は推計をしております。今、患者負担を除いた給付費の90%を税金と現役世代からの支援という形でやっておりますけれども、過去の数字が出ておりましたが、後期高齢者御自身の保険料負担の伸びに比べて、現役世代の負担の伸び率のほうが大きいということが過去の実績でございまして、これから2025年にかけて、さらにこの伸び率が急カーブになるということはもう明らかでございます。
冒頭申し上げたとおり、全国民で支えるということは非常にいいことだと思いますが、支えるほうの現役世代がこれではとても耐えられないというふうに私は思っております。今後の収入とか生活に対して、どういう意識をお持ちかという年代別の国民調査の結果が泉課長から御説明ありましたけれども、むしろ若い方のほうが将来に対して不安を感じているという集計結果であると私は見ております。
したがいまして、現在、26年度から70歳以上の方、70歳になった方から2割負担ということに切りかえておりますので、その方々が31年度からは後期高齢者入りということになっております。その時点で2割御負担いただいているものを継続するのが一番自然なやり方ではないかと私は思っておりますので、ぜひ、その方向で御検討いただければと思います。
それから、本日の後期高齢者の窓口負担とは直接的には関係ないのですけれども、高額療養費の見直しを昨年度行っていただきましたが、そのときにも申し上げたとおり、高齢者だけの特別の扱い、例えば外来特例。これがまだ残っておりまして、こういったこともあわせて、もう一度、議論すべきではないかなと思います。
例えば、これは税金との関係もあるので、なかなか難しいのですけれども、所得も年金所得の方は公的年金控除の額がかなり大きい。いわゆる給与所得控除に比べてかなり大きな額になっているものですから、結局、保険料率算定等に使われる所得額がゼロとか、非常に少額になっているという矛盾もございます。この辺も含めて、所得のあり方とか外来特例等の、高齢者だけに適用される特例的な扱いについても、もう一度、あわせて議論いただければと希望しております。
以上でございます。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。松原委員、どうぞ。
○松原委員
後期高齢者の窓口負担を増やすという意見を言われた方がいらっしゃいましたが、75歳になって年金しか収入がなくて、そして、その中から医療費を払うのは大変であり、負担です。高齢になって、あちこち痛かったり、いろんな病気を持っている方たちから、少しでも負担をしていただければ、全く負担をしないときに比べたら明らかに効果が出ます。
単純に、それを1割から2割に増やせばいいという話ではなくて、そのようなことをすればするほど国民の皆さんは不安に思って、お金を使わなくなって、景気が悪くなる。やはり75歳を過ぎたら、医療費とか介護費とか多く徴収されずに、余裕のある、見通しの立てられるような生活を国として保障していくのがあるべき姿だと思いますから、これ以上、後期高齢者の皆さんのところの負担を増やすのは反対です。
また、よくお年寄りばかりに負担を求めろと言われますけれども、しかし、団塊の世代の方たちが2025年には75歳になるわけですが、その方たちと、それよりもお年の方々が日本の国の礎をつくってきたのであり、新幹線があり、高速道路があり、水道や下水道が完備されている。大変なエネルギーを使って築いてくださっています。収入がなくなったからということで、お年寄りはかなりお金がかかるからだめだというのは、私はどうも釈然としません。
若い人たちにその負債を残さないようにと言っていますけれども、これまで、お年の人たちがつくった国家の財産を何かないがしろにされているのではないかと思います。そういったことも十分考えて、75歳になられた方々が不安に思わずに、日本国民として、後期高齢者として生活していけるようにというのが私たちが考えるべきことではないかと思います。もう一度申しますけれども、後期高齢者1割以上の負担にするのは反対です。
また、幾ら収入があるといっても、その収入の糧は若いときに蓄えたものの結果であって、若い人と同じだけの収入があるからという一義的な物の見方をすると、ためておいて、収入が得られるようにした人に、ラッキーだったから若い人と同じように払いなさいというのも、何か少し釈然としない感じがいたします。国民が国民を支える、一生懸命働いて、そしてお年を召した方もみんなで支えるということを守っていかねばならないと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、渡邊委員、どうぞ。
○渡邊委員
私は新潟県の後期高齢者広域連合の副連合長も務めておりますので、そういう立場から、若干、後期高齢者の窓口負担のあり方について意見を申し上げておきたいと思います。
御承知のように、後期高齢者については昨年度の当部会においても保険料の軽減特例の見直しについて議論し、激変緩和などの整理をしております。保険料の軽減特例につきましては、来年度には所得割部分が、消費税引き上げ時には均等割部分が見直されることになっており、あわせて、本年8月に見直された高額療養費制度の限度額については来年8月にも見直されることになっております。
後期高齢者の窓口負担のあり方でありますけれども、毎年のようにさまざまな見直しがされている現状がありますので、その辺りのことを考慮しながら、対象者に混乱や不安を来すことのないように、きちんと慎重に議論していく必要があるのではなかろうかと思います。
特に、また来年度の保険料について、我々も今、試算しながら検討を加えているところでありますが、年々、保険料負担が上がっていく現状にあります。そうした中で、後期高齢者の窓口負担の段階的な引き上げについての検討もあるわけですが、その辺りのことも含めて、さまざまな意見もあろうかと思いますが、慎重に議論していただければありがたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、村岡参考人、安藤委員の順でとりあえず行かせてください。
○村岡参考人
ありがとうございます。
市町村の立場から申し上げますと、資料にもございますように、9ページ、10ページのほうにも、所得であったり、貯蓄の状況も載っておりますが、高齢者の多くは低所得の方が非常に多いというのが現場の実態でございます。
今回の資料にはありませんけれども、28年5月に出していただいた資料の中でも、年金の収入が平均で127万円ということだったのですが、4割は80万円以下の年金収入という実態もございますので、既に窓口負担については現役並み所得の方は3割負担という現状がございますから、見直しをする場合には低所得の方に対しても相当負担が増えることもありますので、そういった点については十分慎重な議論が必要ではないかと考えております。
現場においては、やはり高齢者の、特に単身世帯の方が生活保護に加入してくる実態も最近増加してきておりまして、生活保護の高齢世帯の割合も5割を超える現状もございますので、そういうことも全体的な問題も考慮しながら、慎重な検討が必要ではないかと思っています。
ただ一方で、若人の負担が増えていくことも実態になっていますから、そこに対して、いかに抑制を図っていくのか、上昇しないような取り組みをすることも重要ではないかと考えています。
そういう点では、資料の26ページで、これまでの議論でも多剤投与の問題ということが指摘されておりますけれども、26ページの右側で見れば、75歳以上の方については7割の方が5剤以上の薬を投与されているという実態がございます。
近年、薬を5剤以上飲んでいる方のいわゆる転倒リスクというものが非常に多いことも指摘をされておりまして、4剤以下の方に対して5剤以上の場合は2倍以上の転倒リスクがあることも言われているようです。そういったことから考えますと、特に女性等については転倒すると骨折等で介護の必要が生じてくるということで全体的な、医療だけではなしに、介護の給付も増加していくということもありますから、本当にこの薬を多剤投与していくことが高齢者の皆さんの治療効果につながっているのかどうかということも検証しながら、全体的な医療費をいかに圧縮していくのかということについては十分検討していく必要があるのではないかと考えております。
また、これだけ10剤以上の投与をされていると、現実的には残薬管理ということも非常に問題になってきて、相当無駄も発生している状況もございます。高知県内でも残薬管理というものをヘルパーさんとか、それぞれ介護の事業者の方から実態を把握していただいて、残薬管理を適正にしていこうという取り組みも進めていくようにしておりますけれども、そういったことを含めて上昇抑制をしていく、全体的な見直しの中で医療のあり方を考えていくことが重要ではないかと考えておりますので、そういう議論をこれから進めていくべきではないかと思っています。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
それでは、安藤委員、お待たせしました。
○安藤委員
ありがとうございます。
後期高齢者の窓口負担につきましては、ぜひとも我々としては2割負担の実現に向けて取り組んでいくべき重要な課題であると認識しております。現在70歳から74歳の方につきましては、既に段階的に2割負担が導入されておりまして、それらの方が75歳になられたときに、切れ目なく負担割合が維持されるように、平成31年度からの導入に向けて、タイミングを逸することなく対応していくべきであると考えております。こうした対応につきましては、今、やらなければ今後、高齢者となる世代の負担がさらに重くならざるを得ない可能性もありまして、将来的な不安感がより一層深まるのではないかと考えております。
加えまして、現役世代の被保険者を抱える我々、協会けんぽでも、いわば仕送り金という形で高齢者医療へ拠出金を出しておりますけれども、直近の平成28年度の決算では、その額が3.4兆円に上っております。この支出に占める割合は37%で、健保組合さんからすれば低い数字ではあるのですが、やはりこれも2025年も見据えれば、この割合はさらに増加していくことが見込まれます。現役世代の加入者から見ましても、負担している保険料の半分近くが自分たちの医療費ではなく、高齢者の医療費のために使われているとなれば、さすがに医療保険としての連帯感が損なわれることも懸念されるため、後期高齢者医療につきましては、窓口負担にとどまらず、そもそもの費用負担構造の見直しについても早急な検討が必要なのではないかと考えております。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
それでは、先ほどお手をお挙げになっていた順番で、堀委員、望月委員の順でお願いしたいと思います。
それでは、堀委員、どうぞ。
○堀委員
ありがとうございます。
既に複数の委員が指摘されたことにも近いのですが、2025年、団塊世代の方が後期高齢者となります。これは日本の人口構成から考えても最もボリュームの多い方たちですし、今までの単純に後期高齢者の方という位置づけとは随分違うと思います。
社会保障制度が持続可能であるためには、若い現役世代も含めて、未来に向かって社会保障が持続可能だと思えることこそが非常に重要だと思いますので、従来の高齢者という視点ではなく、先ほど松原委員がおっしゃいましたが、団塊世代の方たちは新しい日本の礎の構築、高度経済成長を支えてきた方ですから、これまでとは異なる新しい高齢者像を自らつくる方たちとなっていただきたいという思いもあります。2割負担がよいかどうかは基本的に数字だけではないですけれども、これからの高齢者には応分の負担をしていただくように検討していただくのがいいのではないかと思っております。
一方で、受診行動の適正化でありますとか、あるいは先ほどの多剤投与の話にもありましたが、さまざまな問題もサービス提供側にもあるかと思いますので、そちらとセットに受診行動に応じた負担のあり方であるとか、あるいは医療の内容、給付の内容に応じた負担のあり方なども同時に検討して、社会保障全体としての連帯が維持できるような仕組みが必要なのではないかと思っております。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
それでは、望月委員、安部参考人の順番でお願いします。
○望月委員
ありがとうございます。
既に御意見が出ているのですけれども、現役世代の負担水準の公平性と医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、まずは2019年度以降、新たに75歳以上になる方の窓口負担については、低所得者層への留意は当然必要ですけれども、原則2割となるよう、検討を急ぐべきと考えています。
さらに、今後の高齢化を見据えますと、全世代型の社会保障制度の構築という観点から、現行の年齢で区分された自己負担のあり方の見直しを検討する必要があるのではないか。その際には、負担能力に応じた自己負担割合に変えていく方向性もあり得るのではないかと考えています。
それから、先ほども出ていましたけれども、高額療養費制度の件ですが、昨年議論されました。この外来の上限額のあり方については、引き続き議論を進めるべきと考えています。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
それでは、安部参考人、お待たせしました。
○安部参考人
窓口負担の議論でありますので、ちょっと外れるかもしれませんが、先ほど藤井委員、村岡参考人、兼子委員のほうから薬剤の話が出てまいりましたので、一言だけお話しさせていただきたいと思います。
中医協等でも、最適な処方の在り方や不適切な多剤投薬をどのように改善していくかという議論は十分にやっているところでございます。その上で、今、お話にありました重複投薬でありますとか、多剤投薬、残薬の管理について、28年の改定で相当議論して手を入れたところに関し、28年改定の調査結果が近々に発出されるということを聞いておりますので、ぜひ、その結果も踏まえて御議論いただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
では、松原委員、どうぞ。
○松原委員
先ほどから多剤投薬が問題だという発言をされる方が多いのですけれども、なぜ薬が多剤になっているかということをきちんと理解してからでないと、この議論はできないと思いますので、一言、内科医としてお話ししたいのです。
先ほど、剤数が増えたから、その人たちだけ集めたら転倒がひどかったというのは逆ではないですか。むしろ、転倒する危険性のある疾患があるから、それに対して薬で転倒しないようにしているから多くなるのであって、単純に2剤だと転倒しなくて、4剤だと転倒したというのは私どもの医療のあり方から考えると全く理解できない分析です。そうではなくて、人それぞれいろいろな病気があります。お年を召すと、内科だけではなくて、整形外科や眼科にかからねばならない。また、内科だけでも昔と違って、高血圧があり、高脂血症があり、糖尿病があり、それから、もし脳梗塞や心筋梗塞が起きたら、血栓の対応する薬を出さねばならない。そういっただけでも、普通のお年の75歳の方が1つの病気だけで、高血圧だけでというわけにはいきません。もちろん、高脂血症があって、若いときに一生懸命働いている間は薬を飲まなかったから血管がかたくなって、そして脳梗塞の率が増え、血圧も高くなり、腎障害もくる。そういった方に対して、ある一定の年齢を超えると、内科だけでもかなりの薬が要ります。
昔は薬価差があったので、薬を使うのは収入のためだという意見がありましたが、御存じのように、今かなりが、処方箋の院外処方でやっています。それから、院内処方のところも薬価差は3%ありません。有効期限が切れた薬を捨てる分だけしか給付されていません。後期高齢者が元気で、倒れずに、脳血栓を起こさずに、心筋梗塞を起こさずにいけているのはそれなりの対応をしているからです。多くの薬を飲んでいるから倒れるのではなくて、きちんと対応しているから薬が多くなるので、そこのところは御理解いただかないと、何かほかのものと同じように、多いから悪い、お金がかかるという発想はぜひ改めていただきたい。
例えば、中医協でも議論しているところですけれども、多剤だから悪いとしますと、では、整形外科の薬は整形外科でもらいなさい、眼科の薬は眼科でもらいなさいという話になって、結局はいろんな科にかからなければいけなくなります。内科の必要な薬以外はほかの科の先生に出してもらうような形になります。そういった一面的な物の見方でしても、実際はそうでないということを御理解賜りたいと思います。対応をしていかなければ、結局は寝たきりになってしまえば誰も責任をとれません。
かかりつけ医を持っていただいて、その先生が薬をお薬手帳を見ながら判断すれば、胃薬が重なっているとか、いろんなことは排除できます。ぜひかかりつけ医を持っていただいて、よく相談していただき、薬の内容も説明してもらって、自分に本当に必要な薬だけを飲むようにするのが筋であって、多いから減らせばいい、財政的に負担がかかるからやめればいいというのは、間違っていると思います。御理解賜りたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
先ほどお手をお挙げになった順番で、菅原委員、平川参考人でお願いいたしたいと思います。
○菅原委員
ありがとうございます。
高齢者の窓口負担を議論するに当たっては、収入構造だけではなくて、特に現役世代との支出構造の差異に十分留意することが必要だと思います。
11ページ目に非常にいい資料が出ていると思うのですけれども、両方の200万円、300万円の収入階層と、500万円と600万円の収入階層、2つを並べてあるわけですが、両方の収入階層で基本的に高齢者の保健医療支出の割合は非常に高くなっていますので、やはり窓口負担の増大によって高齢者の負担が増える点については当然留意すべきだということは間違いないと思います。
その上で2点、御指摘したいと思います。
この図の中で、食費の項目、食料というものを見ますと、収入段階にかかわらず例えば食べ盛りの子供お二人を抱えている現役世代の方よりも高齢世帯の食費の額は高くなっていることになっています。高齢者世帯の世帯規模がここには明示されておりませんけれども、恐らくひとり暮らしの高齢者等々を考えますと、マックスでも2人程度でしょうか。そういうことを考えますと、食費に関しては高齢者はかなりお金を使われていることがわかります。
それから、教養娯楽費というところも見ていただきますと、これも所得階層にかかわらず基本的には子育て世帯を上回る支出を高齢世帯が行っているという現状が見えてまいります。必要な支出であるとは思いますけれども、同じ収入階層の中でこの支出状況を見ますと、もう少し高齢者の方に御負担をいただくような議論をしても、進めてもいいような余力はあるのではないか。そういう見方はできるのではないかと考えております。
ちなみに、この図の中には現役世代の所得税だとか社会保険料の負担も明示されていないということで注意書きになっていますので、基本的には現役世代はもう少し、さらに負担が重くなっているということを鑑みても、この支出構造に照らして、もう少し議論を進めるべきではないかなということを一つ御指摘申し上げます。
2点目ですが、とは言いつつも、実は高齢者の収入差による医療費支出の差が大きくなっているという点は注目すべき点かと思います。つまり、200万円から300万円の高齢者と、収入階級が500万円から600万円の高齢者世帯の医療費支出を見ますと、これが随分差があるわけです。つまり、所得階層によって医療の受診状況だとか、そういうものに実質的には差が生まれてしまっている可能性がこの表からは示唆されていますので、負担のあり方を議論するに当たっては、やはり高齢者の所得の状況には十分配慮して行うべきだということが言えるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
お待たせしました。平川参考人、どうぞ。
○平川参考人
ありがとうございます。
窓口負担のあり方の関係であります。やはり考え方の基本的な筋としては、この医療保険制度をどうやって持続可能なものにしていくのかということをまず考えていかなければならないと思います。そういった意味で、この医療保険制度全体で全ての世代を支えていく観点でまず考えていくということになります。
そういうことの延長線上で言いますと、どの世帯もやはり生活は苦しいですし、年金もなかなか上がらない。もしくは現役世代も給与は最近上がりつつも、一方で社会保険料がどんどん上がってくる中で、なかなか消費が上向かない状況にあると考えていけば、どうやって全体で、この医療保険制度を支えていくのかということが重要かと思っています。
ただ一方で、高齢者のところを見ますと、これからますます低年金、もしくは無年金の高齢者が増えていく状況も既に見えていることもありますので、そういうことをいろいろ考えて言いますと、現役もそうですし、高齢者もそうですけれども、年齢での区分を強調するよりも、全ての世代において、やはり経済力に応じた負担をどう考えていくのかという観点で考えていく必要があるのではないかと思っているところであります。
そういう観点で、この窓口負担についても年齢による区分はどうなのかということをしっかりと議論していくべきではないかと考えているところであります。
それから、済みません。1つ質問なのですけれども、29ページに後発医薬品の割合がグラフとして書いてあります。公費医療が意外と後発品の割合が高いので、これは多分、医療扶助におけるケースワーカーの指導の結果でもあるのかなと思いますが、一方で後期高齢者が若干、この使用割合が低いという状況になっておりますが、この要因は何なのか。もしもわかれば教えていただきたいなと思います。
もしかしたら、私の見方では、保険者機能がどうなっているのかなという観点もちょっと関心がありますので、その観点も含めて、わかれば教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長
では、事務局、よろしくお願いします。
○泉課長
この点についての原因究明は課題として受けとめさせていただきたく思っております。今のところではこれという、お示しできるような具体的な材料はございません。
○横尾委員
補足していいですか。
○遠藤部会長
はい。私もお願いしようかと思いましたので、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
全国後期高齢者医療広域連合協議会を代表して出席している横尾です。
例えば、私は佐賀県の連合長をしていますが、県単位で考えても、やはりジェネリック医薬品については、厚生労働省が啓発をいただいていることもあって、我々もそういった取り組みをしています。このことについては広域連合の議会でも強い関心を持たれて、過去、質問も出たことがございますので、啓発をしています。例えば、言葉で言うのはなかなか億劫ということが考えられますので、ジェネリックを使いたいという、小さなカードとかシールを持って、保険証と一緒に出すとか、調剤薬局で見せて、こちらを希望するということができるような仕組みはつくっていますが、結果的に、この表現でいきますと、なかなか進んでいないのではないかという御指摘かと思います。
1つ考えられるのは、個人的な意見ですけれども、科学的データに基づくわけではありませんが、例えばかかりつけ医からこの薬がいいと言われたときに、「いや、先生、私はそれではなくて、こっちを使いたい」とはなかなか御本人も言いにくいところもあるでしょう。また、処方箋がその形で出た場合に、やはり年配の方はかなり律儀な方も多いですから、なかなか一気にジェネリックへ行くという加速度が他の保険組合と比べればやや薄いところがあるのかなという推察はできますけれども、今も泉課長がおっしゃっていただいたように、必要であるならば調査をかけるべきかと思いますが、恐らくそんなことではないだろうかなという認識を持っているところです。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
武久委員、どうぞ。
○武久委員
9ページですけれども、後期高齢者の窓口負担のことですが「高齢者世帯の所得」と書いてありますが、これはなぜか65歳になっていて、問題は後期高齢者で、75歳以上なのに、どうしてデータが65歳以上というのはよくわからないのですけれども、これを見ると稼働所得、要するに働いている所得は21%ぐらいしかない。
その次の10ページで、貯金額です。これも65歳以上ですが、1,300万円ぐらいである。ちょっと減りぎみである。これは75歳以上にしていない9ページ、10ページは何か意図があるのかなというふうに感じてしまいます。
一方で、21ページの「若人と比較した後期高齢者医療費の特性」というところで、入院のほうでいきますと、受診率、1人当たり診療費、1人当たり日数、いずれも非常に高いのですけれども、一番下の1日当たり診療費は0.8なのです。だから、75歳以下ということは20歳や30歳の人はあまり入院しませんから、結局はその辺の高齢者と比べても低くなっている。
皆さんも御存じと思いますが、後期高齢者は昨年の末で1,641万人、そのうちの4.2%の約70万人が現在入院しているということが統計上わかっております。それは一般病床のうちの約77%に上っています。ということはどういうことかというと、病院を経営しているところによると、100ベッドなら100ベッドは動かせないわけです。100ベッドはこういう人がこれからどんどん増えていく、75%、80%、85%といった1人当たりの医療費が0.8になるということは、100あったものが80になるということです。これでは病院や医療機関はやっていけないです。それでいいのかとなってくると、これはどうも問題だなということになります。では、病院がなくなってしまうと、これはまた非常に困ります。
それで、1,300万円ぐらい貯蓄があるからといっても、これは75歳以上の、ぜひ今回、次回でも出していただきたいと思いますけれども、いつまで生きるかわからないから不安なのです。だから、300万円を収入とあっても、100万円ずつ貯金から出しても、13年で、65歳で終わってしまうわけです。そうすると、なかなか使えない。貯金は、ある程度、置いておきたい。
だから、この48ページのように、医療費はどんどんかかっていっておりますけれども、現実問題としては、この高齢者が実は非常に苦労しながら生活をしているということがわかります。
この10ページで貯蓄がない人と3,000万円以上の人とがよく似た額になっていますが、当然、お金がない人では取れませんが、非常にたくさん持っておる人は一部はいいのではないかと思いますけれども、現実問題として、ほんのちょっと前ではないですが、昭和20年に焼け野原になって、あと、今の日本をここまでにしてくれたのは80歳以上の人たちです。その人たちが年をとってうらぶれた状態から、少し貯金があるからといって、1割負担、余分にしろということよりは、医療のシステムをちょっと考えて、そこへいきなり矛を持っていくよりはもっと先にするべきことがあるのではないかなという感じをしております。
安易に後期高齢者は割合元気だから、実はあと8年で400万人ぐらい増えるのです。ここが非常に大きいところだと思いますけれども、皆さん方はやはり戦後の日本をここまでしてくれた後期高齢者に対しての、ある程度の気持ちというものをそんたくして、もっと違うところで医療費は効率化できるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長
大変重要な課題なのですが、できるだけ多くの方から御意見を承りたいのですけれども、そろそろ時間が押しておりますが、最後にどうしてもという方がいらっしゃれば。
では、お二人ですね。どうしてもということで、では、横尾委員から、あとは樋口委員という形で。
○横尾委員
もう時間がないということなので、ポイントだけ意見を述べさせていただきたいと思います。
皆さんの意見をいろいろ聞いて、今後生かしていくべきだと思います。
1つは、やはり負担能力のある方は負担をするということで、みんなが後期高齢者医療制度とか共済保険とか、区分なく、全医療に関してそうだと思うのですけれども、そういった考え方が重要かなと改めて感じているところです。
それと、必要なときに必要な医療にアクセスできる環境を整えることが医療に関する安心・安全のかなめだと思うのです。それをどう支えるかという制度であるべきだと思いますので、過去にも高齢者医療制度改革に関する会議が厚生労働省で設けられて、いろんな審議をされているわけですけれども、必要に応じて厚生労働省のほうでそういったことの十分な審議とかもぜひしていただく必要があるかと思いました。
関連して、3点目に感じたのは、先ほど御指摘があったことと私も同じなのですけれども、9~11ページで65歳以上のデータに基づいて高齢者はという議論をされているのですが、やはり65歳を超えた方と75歳を超えて80歳、85歳という方は多分、暮らしぶりや経済的なこと、あるいは自分の健康と人生に関する不安もかなり違うと思いますので、でき得るならば、データアナリシスに基づくポリシーメーキングをするということであるならば、やはり75歳以上、70歳以上とか、区切りを持った、より客観的なデータとかをぜひサンプリングしていただいて、それに基づくデータ分析の上に、どうあるべきだという議論がぜひできるように厚生労働省事務局のほうでしていただくと、生産性の高い議論になるのではないかなと期待をするところです。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
では、樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員
お時間をいただいて申しわけございません。高齢者の服薬に関する検討会の中に私どもの団体も入れていただいておりますので、それに関しての質問でございます。
29ページで、課長の御説明でも75歳以上はジェネリックの使用率が低いというお話がございました。国保、被用者保険と比べて3ポイント程度の差を大きな差だと認めるかどうかは別として、御指摘なさる以上、なぜ、高齢者にジェネリックの普及が低いのかということがもしおわかりになっておりましたら教えていただきたいということが1つでございます。
それから、11ページに、これは高齢者世帯とその他の世帯とで、低所得者、それから、中高所得者というのですか。分けて書いていただいて、とても興味があります。横尾委員がおっしゃったのと同じことかもしれませんが、高齢者の家計における医療費というものは他の年代よりも格段に高い事は歴然としています。
ですから、もう一つの図がございましたね。赤ちゃんのころ、ちょっとかかるけれども、若いころはずっと医療費が低くて、60歳ぐらいを過ぎるころからぐっと増えて、75歳を過ぎるとますます増えてという、あの図はよく高齢者に、これだけ医療費がかかっているのだということでよく利用されますが、あの国はそうではなくて、人間の人生の自然を、生理的現象としての自然を書いたものが私はあの図だと思っております。高齢者に医療費がかかるということではなくて、年をとってくる人間は医療を必要としているということを説明したのであって、それを全員で担い合おうというのが私は社会保障であり、医療保険ではないかと思っております。
ただし、平川参考人もおっしゃいましたように、人口構造がこんなに変化していく中で、若い人にいつまで、どの程度、負担をお願いできるかということは、またどんなシステムでやるかということはみんなで考えていかなければならないし、そろそろ後期高齢者医療制度の現状を見据えながら、本当に後期高齢者が増えるといっても、2055年までぐらいですから、あと一世代持ちこたえれば何とかなるので、私はもう十分逃げ切りができる世代ですが、食い逃げしないで皆様とご一緒にこの時代を生きてきた人間として医療保険制度を堅持し、日本がここまで築き上げてきた社会保障制度を堅持する道を考えたいと存じます。
今や格差社会と言われますが、日本は比較的、今まで社会保障は格差が少なかったのではないでしょうか。これからぜひ、「寿命の沙汰も金次第」ということにならないように、平均寿命の差が所得格差と結びついたなどということにならないように、ぜひ政府も頑張っていただきたい。
以上でございます。
○遠藤部会長
1つ、質問というものがありましたけれども、これは先ほどの平川参考人からの質問と同じことで、一応、事務局はお答えになっているのですが、では、簡潔にお願いいたします。
○泉課長
ジェネリックの使用率が高齢者について低いということについて、巷間言われていることはさまざまあるわけでございますけれども、こうした資料の形でお示しできる段階のものはまだないということでございます。恐縮でございます。
それから、資料について、65歳以上ではなくて75歳以上で資料を用意すべきという御指摘を多々いただきました。現在では高齢者世帯というものが65歳以上ということでとられている統計が多いものですから、現状では今、お示しできるものが限界というところでございます。ただ、問題意識は共有しておりますので、今後の課題とさせていただきたく思います。
○遠藤部会長
よろしくお願いします。
どうも、いろいろとありがとうございました。
それでは、少し時間が押しておりますので、次の議題に移りたいと思います。
同じく、この指摘事項の中の、資料1-2になりますけれども「金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方について」。この資料について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○安藤課長
保険課長でございます。
早速、資料1-2をおめくりいただきまして、1ページをご覧ください。改革工程表でございます。
こちらの課題につきましては、昨年、この場でも御議論させていただいてございますけれども、今年度と来年度いっぱいかけまして、マイナンバーの導入等の正確な金融資産の把握に向けた取り組みを踏まえながら、引き続き、医療保険制度における負担への反映方法について関係審議会等において検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされているところでございます。
2ページをご覧ください。この2ページにおいては、医療保険制度において、そもそもとして被保険者の所得等を勘案して自己負担額を決めているといった制度はどういったものがあるかということをリスト化したものでございます。
その表のとおりで、現行におきましては、金融資産について、負担を考えるときに勘案するという仕組みは現行ではない状況でございます。
3ページをご覧ください。こちらは昨年のこの場での御議論の際にも出させていただいた資料でございます。
他方で、介護保険においては26年の改正において補足給付の見直しが行われてございます。その中で、一番上の枠囲いの中に書いてありますけれども、いわゆる特別養護老人ホームといった施設入所等にかかる費用のうち、介護の場合は食費ですとか居住費については、まずは本人の自己負担が原則となっている。その上で、住民税非課税世帯である入居者に対しては、補足給付を支給して負担を軽減するという仕組みがございます。
こちらの制度の性格としては、福祉的な性格、あるいは経過的な性格でございますので、預貯金を有するにもかかわらず保険料を財源とした給付が行われることは不公平ではないかということで、資産を勘案するといった見直しが26年の改正で行われている。
具体的には、その下の赤い枠の中にありますように、預貯金等、具体的には単身ですと1,000万円超、夫婦世帯ですと2,000万円超がある場合については、この補足給付の対象外という仕組みが26年以降とられているところでございます。
4ページをご覧いただきますと、他方で、医療保険と介護保険の食費あるいは居住に係る経費の給付の違いがどうなっているかということについて、一覧で示したものでございます。
医療保険で、これは入院時生活療養費を取ってございますけれども、まず医療保険では、病院等における食事あるいは居住サービスについては、医学的管理のもとに保障する必要があるということで、まず保険給付の対象としてございます。その上で、在宅との公平性の観点から、食費及び居住費については自己負担とする。そういう制度構成になっている。
介護保険は、先ほど申し上げましたように、食事・居住費については、これも在宅との公平性の観点から、まず給付の対象外、原則自己負担とした上で、福祉的な観点から、低所得者に補足給付を入れる。そういうふうな、制度的なたてつけが若干異なっているということについて、一覧表でお示ししたものでございます。
次のページ、5ページと6ページをまとめてご覧いただければと思いますが、一方で、こういった金融資産に対するマイナンバーの付番の状況がどうなっているかということについて、こちらは資料としてお示ししているものでございます。
恐縮ですが、先に6ページをご覧いただきますと、これは現行で、平成28年、昨年1月以降、法律改正がございまして、一定の金融資産に関しましては、利用者にマイナンバーの告知が義務づけられている。
具体的には、赤い枠で囲まれているところでございますけれども、投資信託ですとか、あるいは株などの金融商品の取引をされている方については、マイナンバーの告知が義務づけられている。ただ、現行はいわゆる定期ですとか普通預金といった預金者については対象となっていないのが現在の状況でございます。
それについて、5ページに戻って恐縮ですけれども、国税通則法の改正が行われまして、預金者については銀行等からマイナンバーの告知が求められることとされてございます。
ただ、法律上、告知義務までは課されていないのが現状で、預金者からマイナンバーの告知を受けた銀行においては、預金情報をマイナンバーにひもづけた状態で管理するという義務が課されてございます。こういったマイナンバーとひもづいている預金情報について、自治体ですとか、あるいは年金事務所から、マイナンバーが付された預金情報の提供を求めることができるという改正が行われてございます。こちらは30年、来年1月からこういった形に切りかわるということでございます。
最後、7ページで、冒頭申し上げましたように、こちらの金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担のあり方についてどうするかということについては、昨年の本医療保険部会においても御議論がなされました。
その際に、実務的な課題、制度的な課題、あるいは財政効果に関する課題ということで、具体的には、例えば実務的な課題ですと、将来的にはマイナンバーを活用した金融資産等を勘案する仕組みを考えるべきではないか。あるいは市町村が運営している介護保険とは異なって、被用者保険が金融資産を把握するのは現実的ではないのではないか、あるいは時期尚早ではないかといった御意見。
制度的な課題といたしまして、先ほども御説明がありましたけれども、介護と違って、医療保険においては保険給付としている入院時の食費・居住費はそもそも性格が異なるのではないかという制度的な課題。
それから、そもそも事務負担の増加に比して、財政効果はあまり医療保険の場合は見込めないのではないか等々の御意見が昨年のこの部会で提示されているところでございます。
以上を踏まえまして、冒頭に申し上げました改革工程表について検討することとなってございますので、昨年の議論も踏まえながら、この点についてどう考えるかということを課題として提案させていただいているところでございます。
簡単でございますが、資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
御報告がありましたように、もう既に議論はしているものでありますけれども、何かお考えがあればお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。
それでは、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員
既にこの主な意見に入っていますが、負担能力をはかる目安としての金融資産等を考慮した仕組みの構築。これはぜひ必要ではないかと思います。
今後の具体的な進め方についてはいろいろ検討していただきたいと思いますが、マイナンバーの活用を含めた環境整備はぜひやっていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、武久委員、どうぞ。
○武久委員
資料の4ページですけれども、医療保険では、病院等における食事・居住サービスは、入院患者の病状に応じ、医学的管理のもとに保障する必要があることから、保険給付の対象とするということで、食費と居住費を自己負担にするのに、この医療保険で、左側の下のほうに、病状の程度が重篤な者または常時のもしくは集中的な医療的処置が必要と書いてあるのですけれども、実はこの9月末までは療養病床は、医療区分1は370円の居住費を負担していました。医療区分2・3は重症ですから、負担していませんでした。ところが、この10月から3月まで、また、来年の4月からは医療区分が重篤で死亡直前の状態でも、この居住費を払えということになっております。
一方で、一般病床は払わなくていい。療養病床にいる人は払う。一般病床の中で、3カ月以上入院している人は特定除外の患者といいます。この人たちは療養病床と同じ医療区分で算定しております。それにもかかわらず一般病床であることがもととなって、居住費は払わなくていい。しかも、一般病床から地域包括ケア病棟に移行した。また、回復期リハ病棟に移行した患者さんは居住費は払わなくていいけれども、療養病床から回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟に移行したところは1万円以上払えという、非常にここに書いてあることと全く違うことが行われようとしております。
これについて、これは一般病床と療養病床との入っている人の病状ではなしに、一般と療養との病床の区分によって単純に分けたというふうに考えられますから、ここの4ページに書いてあることと相違があるのではないかと思いますけれども、この辺について御説明いただけたらありがたいと思います。
○遠藤部会長
それはそれで一つの議論ではあるかもしれませんが、本日の主たる議論は金融資産を反映させた負担のあり方でありますので、病床の形態による自己負担のあり方という問題と直接は関係ないかと思いますので、とりあえず、そのような御意見があったということにさせていただいて、むしろメーンの議論に移りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。それではだめですか。
○武久委員
いや、答えていただけるのなら答えていただくということだけです。
○遠藤部会長
では、このときの食費に差をつけた考え方についてということでありますので、そのときの議論はたしかしたと思いますので、もし何かあれば、今、お答えいただいて、今すぐ無理であれば後日であっても結構ですが、いかがでしょうか。
○安藤課長
ありがとうございます。
申しわけございませんが、幾つか論点をいただいたというふうに思っておりますので、それにつきましては、また改めてきちんと御説明をさせていただければと思います。
○遠藤部会長
ということですので、どうぞよろしくお願いします。
ほかにもまだいろいろ案件がございますので、一通りやっていたらあれですので、できるだけ議論は簡潔にお願いできればと思います。
では、松原委員、どうぞ。
○松原委員
金融資産の保有状況に合わせたという考え方自体は、恐らく福祉、さらにもともとの生活保護の考え方が介護のほうにコピーされて、さらに医療のほうに出てきているのだと思います。何か少しそういった考え方に違和感があります。生活保護のときには、財産を隠していて、国からお金をもらうのではないかというところから始まった議論だったと思います。
また、先ほども、後期高齢者の窓口負担はこれ以上とるべきではないということを申し上げました。金融資産は関係ないと申し上げているのではありません。2年前のお正月明けに申し上げたのですけれども、皆さん大変、先のことを心配されているから、むしろ人生が終わったときに、その分をお礼金として、相続税と関係なくもらうという制度を国でつくられたら、御本人も安心して暮らせます。
少し発想を変えて、お年寄りにお金を払えというのではなくて、人生を終わられたときに負担頂くような新しい制度をお考えいただいて、金融資産があるからどうのこうのというのではないようにしたほうが違和感がないのではないかと思います。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
ほかにも御意見があるかと思いますけれども、この議論は一度やっておりますので、継続審議にさせていただくことにいたしまして、これ以降の議論について少し進めたいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
それでは、次に「オンライン資格確認等及び訪問看護レセプト電子化」について、資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○赤羽根室長
保険システム高度化推進室長でございます。オンライン資格確認等と、訪問看護レセプト電子化について、続けて御説明をさせていただきます。
まず資料2-1で、オンライン資格確認等について、検討状況を御報告させていただきます。
1ページ目でございます。そもそもの話として、今、保険者における被保険者管理というものは、基本的に世帯単位で行われている。現在の被保険者番号は、基本的には世帯単位で振り出されておりまして、保険者は特に被扶養者の状況把握までは行っていない状況で、適切な保険制度の運用のためにも、保険者として、個人単位での状況把握をどう行うかということが課題でございます。
今後、保健事業を通じて被保険者の健康管理等の役割を担うことも保険者には期待されていますので、個人単位でデータを連結できない現在の状況は、データヘルスの推進の観点からも課題であります。
また、現在の被保険者番号は、各保険者でそれぞれ付番する形になっておりまして、資格管理も当然ながら保険者ごととなっております。
加入する保険が変わる場合、個人の資格情報は引き継がれず、継続的な資格管理がされていない状況になっております。
こうした状況を踏まえまして、加入する保険が変わっても、個人単位で資格情報等のデータをつなげることを容易にするために、被保険者番号を個人単位化するということを対応方針として考えております。
さらに、新しい被保険者番号。これは保険の変更に伴い変わることになりますが、加入する保険によらず資格情報等を連結させて管理していくということを実現していくために、個別の保険者にかわって支払基金・国保中央会でこれを一元的に管理していくということを考えております。
これについては、マイナンバー制度の情報連携のために構築している既存のインフラを活用するということで考えております。
さらに、このような形で被保険者番号の個人単位化を進めながら、2ページ目からでございますが、オンライン資格確認というサービスを実現していきます。
資格確認は現状では健康保険証で行っていますが、資格喪失後の未回収保険証による受診に伴う過誤請求が請求時に判明するなど、保険者・医療機関等の双方に負担が発生しています。
これに対する対応として、マイナンバーカードの電子証明書を保険医療機関・薬局の窓口で読み取って、受診時、それから、レセプト請求前等にオンラインで支払基金・国保中央会に資格情報を照会・確認する仕組みを整備していくことを考えております。
具体的な仕組みを下のほうに、マイナンバーカード、もしくは健康保険証として書かせていただいておりますが、これを医療機関窓口で提示すると、電子証明書を読み取って、支払基金・国保中央会に送る。そうすると、支払基金・国保中央会が資格情報を返すという形で考えております。
3ページ目でございますが、こうした個人単位の資格管理の基盤を活用しながら、さらに個人向けに健診データが見られるサービスも検討しております。
まず現状ですが、特定健診・保健指導の実施率は年々上昇するとともに、予防・健康づくりの重要性も「骨太の方針」「未来投資戦略2017」にも明記されていて、一層の取り組みが求められている状況でございます。こうしたことも背景としまして、やはりインセンティブ改革の実施とあわせて、国民一人一人の行動変容を促すことが重要でございます。
それから、保険者ごとの管理で、これも先ほど申し上げましたが、保険者ごとの特定健診等のデータについては保険者ごとの管理となっておりますので、やはり保険が変わる場合、個人のデータが引き継がれず、継続的に把握されていない現状がございます。
こうしたことに対する対応として、加入する保険が変わっても、過去のデータも含めて閲覧できるシステムを構築していって、マイナポータルを活用して、特定健診のデータを本人が閲覧できるようにしていくというサービスを提供することを考えております。
こちらについても、コストを抑えつつ、できるだけ効率的な開発を進めていく観点で、オンライン資格確認、先ほども個人単位の資格管理の仕組みを活用していく方向で考えております。
少しページを飛んでいただきまして、17ページ。これは参考資料なのですけれども(検討中)と書かせていただいておりますが、こちらの被保険者番号の個人単位化、それから、オンライン資格確認、特定健診等々に関するスケジュールを載せさせていただいております。
基本的には、2020年の本格運用を目指して準備を進めていければと思っておりまして、このシステムの構築に関するところは国庫を想定しておりまして、ランニングコストについては保険者に御負担いただくことを想定しております。
ページを戻っていただきまして、4ページでございます。こちらにそうした個人単位の被保険者番号の管理の今後の活用可能性を入れております。
「1.医療保険事務の効率化」が先ほど申し上げたオンライン資格確認であるとか、そうした資格過誤を減らしていって効率化していくというものです。
「2.保健医療データの個人向け提供サービス」が先ほどの特定健診データの閲覧であるとか、さまざまな個人向けのデータの閲覧というものを想定しております。
「3.保健医療情報の連携推進」と書かせていただいておりますが、こちらについては、こうした個人単位の被保険者番号も活用しながら、医療機関の情報の連携とか、そうしたことも推進できないかということで書かせていただいております。
最後の4.は、こうした個人単位にデータをひもづけできる、個人単位で履歴を追っていける仕組みを活用すると、個人単位のデータ分析が可能になります。こうした活用可能性が広がっていくのではないかと考えております。
オンライン資格確認等につきましては以上でございます。
続きまして、訪問看護レセプトの電子化についても御説明させていただきます。資料2-2をご覧いただければと思います。
2ページ目でございます。こちらに医療保険における訪問看護療養費のレセプト請求の現状をまとめさせていただいております。
訪問看護の事業所数、それから、医療保険の訪問看護レセプト総件数というものが平成12年度から比較しますとかなり増えている状況で、事業所につきましては約2倍、それから、レセプトにつきましては約4倍となっている状況でございます。
訪問看護につきましては、介護保険では主に電子請求が行われている状況なのですけれども、医療保険につきましては、まだ省令に基づいて、厚生労働大臣の定める様式、紙で請求が行われている現状がございます。
こうした現状を踏まえまして、3ページ目が基本的な考え方でございます。ご覧のとおり、訪問看護の事業所数・レセプト件数が大幅に増加している状況でもございますので、やはりレセプト請求事務であるとか、それから、審査支払機関等におけるレセプト処理事務の効率化が必要な状況でございます。
それから、地域医療や在宅医療の実態を把握していく観点でも、介護保険の訪問看護のデータだけでは一部のデータとなってしまうので、悉皆のデータを入手していく観点でも、やはり医療保険の訪問看護レセプトの電子化が非常に重要であると考えております。
それで、まず今後なのですけれども、今、平成29年度の調査研究事業を準備しておりますので、その中で関係者に入っていただく仕様調整会議というものを開催させていただきます。この仕様調整会議で、訪問看護療養費のレセプト電子請求を行うためのマスター、記録条件仕様等の作成を行っていきます。
また、レセプト請求の電子請求の開始時期とか、それから、その実施方法等については、こうした調査研究等の実施・検討も踏まえながら、関係者と協議をして決定していきたいと考えております。
訪問看護につきましても以上でございます。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
以上の2件、御報告がありましたけれども、どちらでも結構ですので、御意見・御質問をいただきたいと思います。
松原委員、それから、その次に渡邊委員ということでお願いします。
○松原委員
訪問看護のレセプトの電子化は、今まで何でやっていなかったのかがわからないぐらい、当然のことであります。内容につきましても、訪問看護で何をやったかどうかという話だけでありますから、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
オンライン資格確認等につきましては、私ども何度も申し上げましたように、マイナンバーだけを使いますと、その方の特定が簡単で、その方の病歴が一挙に漏れると、大変だということを申し上げてきたところです。マイナンバーとは連結できるけれども、各保険者の番号は医療等IDという形で使っていただければ、一挙に個人情報が漏れることもないと思います。十分に医療等IDを考えるということであれば理解できます。
さらに、これを実施する上で、なるべく費用がかからないで済むのは、健康保険証に二次元バーコードをつけていただければ、実際に医療機関としてはほとんどお金がかかりません。コンビューターに読み取れて、間違った番号で請求することはありませんので、ぜひ推進していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
では、渡邊委員、どうぞ。
○渡邊委員
オンライン資格確認等についてであります。資料2-1の17ページに、参考資料で、オンライン資格確認のスケジュールについてお示しいただいておりますが、オンライン資格確認の導入に当たっては、来年度末には保険者でのシステム改修が行われることとされております。
私ども国保においては、来年度の新制度施行に向けて大規模なシステム改修が行われたばかりでありますので、市町村においてシステム改修が必要となる場合には、十分な準備期間を設けていただきたいと考えております。
また、継続的な運用に当たって、当然、経費が発生するわけでありますが、これにつきましては、財政支援を講じていただけるように今からお願いしておきたい。
このことについては、全国の町村会としても要望を上げているところでございますので、よろしくお願い申し上げておきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
では、お待たせいたしました。菊池委員、どうぞ。
○菊池委員
資料2-2の訪問看護レセプトの電子化について、賛成ですので、ぜひ進めていただきたいと思います。既に介護保険分野の報酬請求は電子化されておりますので、医療保険分野でもレセプト請求の事務の効率化が必要になります。また、政策にデータを利活用していく必要性が今後ますます増大しますので、ぜひ、この電子化を早急に進めていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
安藤委員、お待たせしました。
○安藤委員
我々、協会けんぽにおきましては、加入者が資格を喪失した後に、従前の保険証を使って受診したことによる債権が毎年発生しております。その金額は約40億円ございます。ですから、今回のオンライン資格確認でそうした債権の発生が防止できるようになるのであれば、方向性につきましては賛成したいと思っております。
ただ、一方で、その前提となります我々の被保険者数が3,860万人おりますので、ここの保険証を差しかえる形になりますので、それには時間もかかります。そして、費用もかかります。ざっと費用としては40億円かかります。
また、仮に支払基金におきまして資格確認サービスや健診データの個人向け提供サービスを行う場合につきましては、保険者としても一定のコスト負担が発生することが考えられると思います。マイナンバーの中間サーバーの二の舞にならないように、その点には十分留意をしてやっていただければとお願いいたします。
最後なのですが、法令上、特定健診は事業主の行う事業者健診でも代替可能とされております。協会けんぽでは、保険者と事業主が全く別の主体であることから、事業者健診データの取得が難しい状況にあります。このため、健診データの個人向け提供サービスでは、事業者健診データも収集していただいて、マイナポータルに表示することによって、それをもって保険者は特定健診にかわる事業者健診データを取得したという取り扱いになるようにぜひとも検討していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
どうもありがとうございました。
ほかにございますか。
原委員、どうぞ。
○原委員
ありがとうございます。
オンライン資格確認等につきまして、厚生労働省の御提案自体には反対するものではございませんが、仮にこれを実施した場合に意見あるいは要望をさせていただきたいと思います。
1点目は被保険者証の個人単位化についてで、オンライン資格確認は被保険者番号を個人単位化して実施するということでございますけれども、高額療養費等は世帯単位で給付をされております。保険者及び保険者事務の共同処理を委託されております国保連合会では、高額療養費の算定に当たりましては今後とも世帯単位の番号が必要になります。
本日の資料2-1の14ページに被保険者証の様式が例として示されておりまして、ここでは一応、証記号番号と個人単位の被保険者番号を併記という形になっておりますので、これはこれで結構でございますけれども、例えばレセプトに個人単位の被保険者番号のみが記載されるということになりますと、先ほどの高額療養費の算定みたいなものができなくなる。現在のシステムが世帯単位で組まれておりますので、個人単位の番号と世帯単位の番号をひもづけるという修正が必要となってまいりますと、現行のシステムに多大な影響が発生することになります。
したがいまして、引き続き世帯単位の番号については、レセプトも含めまして記載を残していただきますようにお願いしたいというのが1点目でございます。
2点目は審査支払機関としての意見で、支払基金と私ども国保中央会・連合会は診療報酬の審査支払機関になっておりますけれども、この資料ではこれらをやるときに既存のインフラを活用するということで支払基金と中央会の名前が出ておりますが、これは恐らく現在、マイナンバー制度に係る中間サーバー等のシステムの運用を支払基金と中央会がやっておりますので、そういう意味で活用するという、既存のインフラというのはそういう意味ではないかと理解をしております。
そうしますと、今後、このオンライン資格確認、あるいは特定健診のマイナポータルへの搭載といったことを進めていくときに、現在参画している医療保険者等の新たな負担増とならないように、初期費用をはじめランニングコスト等の必要な費用についても、ぜひとも国庫補助を考えていただきたいと思います。
そして、医療機関をはじめ医療保険者、審査支払機関、ひいては被保険者も含めると、関係者も多岐にわたることになります。現在示されているスケジュールでは大変タイトでございますので、この事業を円滑に進めていくためには関係者間の協力体制が何よりも重要となります。このため、関係者間の調整などについては国にはしっかり御対応いただくことをお願いします。
最後に、市町村における負担のあり方でございます。先ほど言いましたように、この仕組みについて現在のマイナンバーに係る中間サーバーを利用することになった場合に、市町村は実は私どもが運用しております中間サーバーは利用しておりません。市町村国保は、現在は総務省の中間サーバーのほうに個人情報ということで副本登録をしております。実際、そのための費用も負担されております。
今後、新たに医療保険者等向け中間サーバーの資格情報とも連携していくということになりますと、また新たなシステム開発や運用等に要する費用が市町村国保側に発生することになりますので、二重の費用負担とならないように、その点、必要な国庫補助など、特段の御配慮をお願いしたいと思います。
また、御承知のとおり、国保は来年4月から都道府県単位化を控えておりますので、先ほど渡邊委員からもお話がありましたけれども、市町村国保連合会では大変、準備作業に多忙を極めているところです。被保険者番号の個人単位化はシステムへの影響が大変大きゅうございますので、特に被保険者証番号を記載した新しい被保険者証への更新などにつきましては、現場の意見を十分お聞きいただきながら、無理のないように御配慮いただくことをお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長
どうもありがとうございました。御意見として承りました。
白川委員、どうぞ。
○白川委員
オンライン資格確認の件でございますが、言いたいことが山ほどあるのですけれども、時間も限られていると思いますので、手短に申し上げたいと思います。
コンセプト自体は否定するものではないのですが、システムの全容とか工程等について、具体的なものをぜひとも近々示していただきたい。今、原委員のほうからも話がありましたとおり、マイナンバーの中間サーバーを利用するということであれば新たな負担は発生しないと思いますけれども、赤羽根室長はランニングコストについては保険者側で負担というふうに御発言されました。マイナンバーのときに私どもは全く懲りておりまして、言い方は乱暴で大変恐縮ですけれども、保険者にとってはほとんど役にも立たないマイナンバーのために毎年六十数億円のランニングコストがかかる。今度の資格確認がどういうものか、よくわかりませんが、これでまたぞろ中間サーバーをつくって、その費用を、何十億になるかは知りませんけれども、負担しろというのは、今の段階でははっきり申し上げて、金額を見るまではうんと言えないというぐらいの感じでおります。
そもそも、皆様方おわかりにならない方もいらっしゃると思いまして、念のために申し上げますが、今回やろうとしているのは保険証を全部変えるという話ですね。これは健保組合だけで40億円ぐらいかかると見ています。それから、被保険者証番号を変えるということは基幹システムだけではなくて、健保組合のあらゆるシステムを変えなければいけないという話です。例えば医療費通知のようなものです。こんなものも全部変えなければいけないという話ですから、基幹システムを全部変えるという話です。それから、さっき赤羽根室長がおっしゃるように、中間サーバーかどうかわかりませんけれども、ランニングコストもかかる。こういう話です。
そもそも、この工程表を見ていても、医療機関側はどういう予定なのかが書いていないので、次回はぜひ出していただきたい。これを見ると、保険者側だけ先行していって、医療機関側も多分、カードリーダーの導入と同時に、少なくともレセプトコンピューターは修正しなければいけないと思いますから、結構なお金がかかると思うのですけれども、その導入のスケジュールはどうなっているのかというのはどうも書いていない。これを見ると保険者側だけ先行だというふうに見えるのですよ。そうではないと思いますから、医療機関側のスケジュールもぜひ示していただきたい。
多分、病院・診療所だけではなくて、歯科とか調剤薬局も全部入ると思うのです。さっきの訪問看護も皆、入ると思うのですよ。それはぜひ示していただきたい。その上で、総コストがどのぐらいかかるのかというのを、あるいは保険者側がどれぐらいの負担になるのかというのを示していただかないと、今の段階でははっきり申し上げて、いいも悪いも言えない。
まだ言いたいことがありますが、これで終わります。ありがとうございました。
○遠藤部会長
御協力ありがとうございます。
事務局、それはよろしいですね。何かコメントはありますか。
○赤羽根室長
済みません。ただいまの御指摘について、医療機関のスケジュールなのですけれども、資料2-1の17ページのスケジュールをご覧いただければと思います。このスケジュールの下のほうの新被保険者番号システム改修というところをご覧いただきますと、一番下から2つ目のところに医療関係者のスケジュールも書かせていただいております。一応、保険者と同じような並びで今はこれを書かせていただいているところです。
○遠藤部会長
白川委員、どうぞ。
○白川委員
すみません。「順次対応」と書いてあるから、大体いつごろまでに全部完了させるのか。1年目はどれぐらいやるのか。今もそうですけれども、紙レセプトと電子レセプトがあると、我々、審査支払機関とか保険者はえらい苦労をしているわけです。これもオンライン資格確認の対応がどれぐらい進むのかということで、これのコストパフォーマンスがわかってくるわけです。そういうものが全く示されていない。
ただ一方、保険者のほうは、このことによれば2019年度からはテストをやるから準備しろみたいな書き方をされていますね。それから、保険証については平成31年度からでしたか。この中にありましたけれども、書いていますね。多分、保険者のほうは間違いなく一斉にやります。順次などということはありません。でも、医療機関側は多分、そうはいかないと私は思うのですよ。松原先生とか安部先生がいらっしゃるから、そうだと思いますけれども、その辺をうまくすり合わせていかないと、保険者だけ先にやる。それで、ランニングコストだけかかるというのは、私はいかがなものだと思う。
また長くなりそうなので、終わります。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
では、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
ありがとうございます。
オンライン資格確認の件は非常に重要と思っていて、ぜひ進めていただきたいと思っているのですが、考えると、20世紀に始まった国民皆保険を21世紀型にする非常に重要な入り口だと思います。それからすると、これは全額、国でもって、全て理化学研究所に発注するでもいいのですけれども、とにかく国が責任を持ってよりよいシステムをつくって、ほとんどフリーウェアで全関係団体や自治体に提供できるような形で発想してほしいなというのが実は本音です。
また、後ほど出てくる資料でわかるのですけれども、支払基金と国保中央会が共同で運営、そこに委託という話ですが、やることはほとんど一緒なので、できるだけシンプルでコストのかからない方法を追求していただきたいというのが1点目です。
次に、資料2-1の16ページにマイナポータルのことが少し出ているので、ぜひお願いしたいのですけれども「骨太の方針」にも書かれているようなので期待をしているのですが、個人がこのように誕生してから天寿を全うするまでの健康データというものは今後、非常に重要になっていくと思います。人生100年時代という言葉もだんだん広がってきていますので、そうすると、やはり健康をちゃんと認識し、自分でチェックできるようなマイナポータルというものは非常に意義が大きいと思うのです。
それに関しては、ぜひそういった多角的な活用が将来あり得るという前提で、いろいろなシステム設計とかの発想をもっとしていただきたいと強く願いたいと思っています。そういう意味では、いろんなトライアルをされている先進諸国があるようでございますので、ぜひ調べていただいたり、情報をとっていただいて、日本型の新しい21世紀型のこういうICTを使った、医療をサポートする、健康をサポートする仕組みを構築していただきたいと期待をしています。
よろしくお願いします。
○遠藤部会長
ありがとうございます。
よろしゅうございますか。
それでは、武久委員、どうぞ。
○武久委員
済みません。遠藤部会長に謝罪をしたいと思います。
確かに、去年の今ごろもこの居住費の話は出たと思いますけれども、そのときには、ただ地域包括ケア病棟とか回復期リハ病棟でも療養病床でそれだけ差をつけるとか、例えば一番問題になるのは特定除外の患者さんで医療保険という制度を使っているのに療養病床と違って一般病床だからといって、これについて居住費を払わなくていいということは多分出ていなかったと思うので、その分についてお聞きしただけで、申しわけございませんでした。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。
それでは、今、議論されましたオンライン資格の問題と訪問看護レセプトの電子化につきましては、本日いろいろ御意見がありましたので、さらに関係者と適宜、必要な調整を行っていただきながら進めていくという形でお願いしたいと思いますので、事務局よろしくお願いします。
それでは、最後のアジェンダになりますが「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額」の議論に移りたいと思います。では、事務局、説明をお願いします。
○鳥井課長
国保課長でございます。資料3をご覧ください。国保の保険料の賦課限度額についてでございます。
1ページ目、一体改革の中で、賦課限度額については負担能力に応じた負担という観点から、国民会議の報告書におきまして引き上げるべきだと提言なされておりまして、25年のプログラム法においても引き上げが盛り込まれているところでございます。
2ページ目をご覧ください。医療保険制度は社会保険方式でありますので、保険料負担は負担能力に応じた負担ということでございますが、被保険者の納付意欲に与える影響等を考慮いたしまして一定の限度を設けることといたしております。
このような中で、医療給付費等が増加する一方で被保険者の所得が伸びない状況、まさに現在でございますけれども、要するに何らかの増収策が必要となった場合には、例えば2つのことが考えられまして、1つはイメージ図の1で、上限を引き上げずに保険料率の引き上げで対応するということが考えられますが、これですと既に上限に当たっている方の層の負担は増えませんが、それ以下の層の負担がより重くなるということでございます。
イメージ図の2で、上限を引き上げることにいたしますと、既に当たっている方にはより多く負担をいただくことになりますけれども、その下の層の方々には配慮した保険料設定が可能となる。具体的にはそこは図示しておりますが、引き下げられないまでも引き下げ幅を抑制することが可能ということになります。
3ページ目でございますけれども、これまで近年におきましては大体4万円ずつ引き上げているということで、昨年度はこの場での御意見も踏まえまして、引き上げを見送らせていただいたところでございます。
4ページ目、では、来年度どうするかということですが、これまでの引き上げの考え方でございますけれども、被用者保険におけるルールが、最高等級に該当する被保険者の割合が0.5%~1.5%の間になるように定められておりますので、国保といたしましては、当面は超過世帯割合が1.5%に近づくように段階的に賦課限度額を引き上げております。
来年度におきましては、やはり医療給付費の増加が見込まれますので、保険料負担の公平を図る観点から、これまでの最大引き上げ幅と同額の4万円を引き上げることとしてはどうかと考えております。これによりまして、右下のほうにございますけれども、超過世帯の割合が2.09%から1.93%となります。
仮に4万円引き下げる場合には、3つ目の○で、基礎賦課分・後期高齢者分・介護分と3つありますが、それぞれの超過世帯割合のバランスを考慮いたしまして、具体的には次の5ページにありますけれども、超過する世帯の割合が高い基礎賦課分のみを4万円引き上げることとしてはいかがかと考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
いかがでしょうか。事務局から提案が出ているわけでありますけれども、御意見を承りたいと思います。
それでは、村岡参考人、どうぞ。
○村岡参考人
ありがとうございます。
資料のほうも提出をさせていただいておりますが、昨年度は本部会での意見を踏まえまして29年度の引き上げを見送っていただきましたことにつきましては、まず感謝を申し上げます。
限度額の引き上げにつきましては、先ほど資料の説明の中でもありましたように、国保の財政運営の都道府県単位化であったり、法定外繰り入れの解消の取り組みによって、今後、保険者によっては保険料の引き上げを行わなくてはならない保険者も出てくることから、資料3の2つ目の○にありますように、制度的には賦課限度額を引き上げないと高所得者層から負担を求めることができないということについては理解ができるところです。
しかしながら、昨年の医療保険部会でも指摘をして、厚労省の事務局のほうにも御理解をいただいていると思いますけれども、保険料水準の高い保険者によりましては、配付資料の中で示しておりますが、図解的には所得の低いところに賦課限度額は当たっていくということで、制度的にも限界に達してきているというのも実態でございます。
そういった意味では、今回の引き上げの趣旨については理解ができますものの、金額については4万円というのが本当に適切なのかどうか、十分検討していただきたい。今後、トレンドとして保険料水準が上がっていくことも予想されますので、毎年上がっていくことになれば非常に制度的には矛盾が拡大していくことにつながりますので、金額面については十分考慮していただきたいと考えています。
一方、制度的な問題につきましては、岡崎委員提出の資料の中でも示しておりますが、先ほど説明にありましたように、国が目標とする1.5%に対しては制度的には到達しない現状制度になっているということと、国の資料では800万円ぐらいの所得で限度額に到達をするということになっておりますが、国保の賦課方式については4方式、3方式、2方式という制度がございまして、国のほうから資料をいただいた3方式で試算いたしますと、1人世帯でも660万円で限度額に達する状況になっておりますので、現実的には被保険者数の多い3方式のところで800万円の所得ではなく660万円程度で限度に達する。さらに子供の数が多いと負担が増えていくことになりますので、4人世帯等になると600万円程度の所得で限度額に当たるという現状がありますので、制度的にはここも、これ以上、限度額を引き上げていくのは限界に達しているのではないかと考えています。
そのため、提出資料の1ページにも記載をしておりますが、右上のほうにありますように、相当の高所得者の方から適切に保険料を負担していただいていくためには、現状では一律的な限度額設定になっておりますけれども、所得段階に応じた負担を求めていくということの制度設計をしない限り、現実的な制度上の矛盾は解消できないのではないかと考えております。
被用者保険の中で、この間、標準報酬月額の等級を改正して、多い方々については100万円近くの医療基礎分で保険料負担をしていただいている実態から考えれば、国保の高所得者の負担が低いことについては理解できるところですけれども、現実的には制度上、なかなかそういった方から十分な保険料が取れない現状もありますので、この制度についての抜本的な見直しということを要請しておきたいと思います。
ただ、見直しの場合には、国保の各市町村保険者のシステムの対応だとかという課題もございますので、十分な検討期間が必要だと思います。現在、国保制度については国の基盤強化協議会等でも議論がなされておるところですので、そういった協議会や実務的な、実務者のワーキンググループ等の中でも現状について十分分析をしていただいて、今後、議論を深めていただきたいということを要請したいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長
どうもありがとうございました
ほかにいかがでしょうか。
それでは、平川参考人、お願いいたします。
○平川参考人
済みません。賦課限度額以外の国保の課題ですけれども、よろしいでしょうか。
○遠藤部会長
では、簡潔にお願いします。
○平川参考人
では、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。
現在、国保制度改革、大変御苦労いただいていて、財政の黒字化に向けて作業を進められていると聞いておりますけれども、ただ今回、厚労省のほうから各都道府県に対して、市町村の標準保険料率の水準の目安という算定の方向について指示がされていると思いますが、その中で、その算定方式の中で、28年度並みの法定外繰り入れを行うと仮定した任意の標準保険料率を示すこともできるというふうに整理ができると説明をされていると聞いております。
法定外繰り入れにつきましては、この間、いろいろ議論があり、その解消のためにも3,400億円の国費を投入する。そのうちの1,700億円は被用者保険の総報酬割で手当てをしていくという議論の中で国保を支えていこうという話になっているかと思います。そういった中で、この法定外繰り入れ、解消の方向に行くというふうに私は認識していたわけでありますけれども、繰り入れを行うと仮定した標準保険料率を示すことができるという整理については、これまでの議論の流れとは違うのではないかなと思いますので、その辺、どういう状況になっているのか、お聞きしたいと思います。
○遠藤部会長
事務局へのお尋ねだと思いますが、何かコメントがありますか。
○鳥井課長
法定外繰り入れの点でございますけれども、今の点につきましては、標準保険料率を算定するときに、実態に合わせた形で、そういう形で示すことも可能ですということを示したにすぎないわけでありまして、私どもは従来から計画的な削減・解消を進めることが重要と考えておりまして、その方針に変わりはございません。
○遠藤部会長
平川参考人、どうぞ。
○平川参考人
ありがとうございます。
算定ができるというふうに出した時点で、法定外繰り入れについては、しばらく解消しなくてもいいのだというふうに受けとめる可能性もあります。これは消費税財源を使い、しかも被用者保険の総報酬割も、被用者保険側は別に賛成したわけではないですが、それも使い、そして、それで国保を支えていこうという中で、その中で法定外繰り入れも順次解消していくということで議論を進めてきた経過があります。
法定外繰り入れは一般財源でありますので、一般財源はそれぞれの、住民税もそうですし、地方交付税も入っていますし、ある意味、我々にとってみれば二重、三重の負担になってしまっている問題がありますので、ぜひとも、これまでの姿勢を、方向性を堅持していただくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長
ありがとうございました。
ほかにございますか。
それでは、小竹参考人、お願いします。
○小竹参考人
今回の限度額の引き上げにつきましては、知事会としては、基本的にはやむを得ないのではないかと考えているところです。
また、そういった中で、高知市から意見が出ております、実質的な中間層の負担増にどの程度の影響があるのかというところは、私どもははっきりわかりませんので、そのあたりをしっかり検証していただいた上で、方向性としては、限度額を超過している高額所得者の方からの徴収についてはやむを得ないのではないかと考えております。
○遠藤部会長
どうもありがとうございます。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、特段御意見もないようでございますので、本議題についてはこれまでとさせていただきます。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえた適切な対応を図るようによろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡するようにお願いします。
本日は、司会の不手際で時間を若干オーバーいたしまして申しわけありませんでした。
それでは、これにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。
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