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2018年8月20日 第52回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成30年8月20日(月)15:00~17:00

 

○場所

一般財団法人日本航空協会 航空会館201会議室(2階)
(東京都港区新橋1-18-1)

○議題

(1)移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の見直しについて
(2)今後の造血幹細胞移植推進拠点病院のあり方について
(3)造血幹細胞移植法上の「造血幹細胞移植」の解釈の明確化について
(4)その他
 

○議事

○瀬戸室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第52回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
まず、本会議の開催に当たり、大臣官房審議官吉永和生より挨拶させていただきます。
○吉永大臣官房審議官 審議官の吉永でございます。委員の皆様におかれましては、御多忙中のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より移植医療の推進に当たりまして、格別の御協力、御支援を頂いておりますことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
本日の造血幹細胞移植委員会ですが、まず移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の変更案について、先日開催された移植用臍帯血基準検討会において検討された案をベースに御審議いただければと思います。
続きまして、今後の造血幹細胞移植推進拠点病院のあり方、また、前回の委員会で御審議いただいたところですが、造血幹細胞移植法上の造血幹細胞移植の解釈の明確化について、今後の運用上の取扱いについても御審議をお願いできればと考えています。特に造血幹細胞移植推進拠点病院については、平成25年度に事業を開始したところですが、人材の育成、コーディネートの支援、地域連携の取組を実施いただいてきたところです。ただ、造血幹細胞移植医療を取り巻く状況も変化している中で、移植後の患者の生活の質を維持する長期フォローアップの体制の構築や、患者が社会復帰できる環境の整備など新たな課題への対応も必要になっているところです。そういった中で拠点病院の役割は、今後ますます重要になってくると考えているところです。
現在、全国8ブロック9施設を認定していますが、これが今年度末3月31日に認定期限を迎える状況です。こうした状況の下で、造血幹細胞移植推進拠点病院における現在の課題と、目指すべき今後の方向性をまとめさせていただきましたが、それをベースにまた御審議いただければと考えています。委員の皆様におかれましては、本日も忌憚のない御意見を頂戴できればと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○瀬戸室長補佐 審議官は所用のため途中退席させていただきます。続いて前回の開催以降、委員の交代がありましたので御紹介させていただきます。平成24年度より委員として御参画いただいておりました今村定臣先生が、公益社団法人日本医師会常任理事から退任されたことに伴い、本委員会の委員を退任されました。後任としまして、本年6月に公益社団法人日本医師会常任理事に就任された平川俊夫先生に、新たに委員として御参画いただいております。
○平川委員 平川です。どうぞよろしくお願いいたします。
○瀬戸室長補佐 次に本日の委員の皆様の出席状況ですが、垣見委員、山本委員から欠席の御連絡を頂いています。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第にあります配布資料一覧を御参照ください。資料1-1「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の見直しについて」、資料1-2「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の変更案」、資料1-3「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)別添の変更案」、資料1-4「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の新旧対照表」、資料1-5「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)別添の新旧対照表」、資料2「造血幹細胞移植推進拠点病院事業のあり方について」、資料3「造血幹細胞移植法上の『造血幹細胞移植』の解釈の明確化について」、参考資料1「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の変更要望のとりまとめ」、以上7点となっておりますので、不足等ありましたら事務局までお伝えください。
なお、本日急遽、出席状況に変更がありましたため、傍聴席に配布させていただいております座席表については最新のものとは異なっておりますので、御了承ください。これにより議事進行を小澤委員長にお願いいたします。報道のカメラは御退室願います。よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 それではよろしいでしょうか。早速、議事に入りたいと思います。本日は、議事が3つございます。繰り返しになりますが、まず1番が「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の見直しについて」、2番が「今後の造血幹細胞移植推進拠点病院のあり方について」、3番が「造血幹細胞移植法上の造血幹細胞移植の解釈の明確化について」、この3点です。それぞれ事務局より御説明いただき、議論していきたいと考えております。
それでは議題の1番、移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の見直しに関して、健康局長の下に設置されている移植用臍帯血基準検討会で検討した変更案の内容等について、事務局から説明をお願いします。
○瀬戸室長補佐 それでは、資料1-1を御覧ください。2ページ目から御説明させていただきます。移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の下に、第9条に基本方針が書かれており、またその厚生労働省令で定めるものとして全体に関する事項や臍帯血の品質基準について、研究利用のための基準等、ガイドラインの通知等も含めまして記載されています。
3ページでは、省令の規定事項に具体的に記載されているように、全体に関する事項では造血幹細胞移植の適応疾病など、また臍帯血の品質基準について、臍帯血の研究利用のための基準について、手続等が規定されています。
4ページでは、省令の運用に関する指針としてガイドラインがあり、移植に用いる臍帯血の採取、調製等に関する事項について細かく規定されています。その他の事項について搬送体制など、患者さんへの説明、同意に関する事項等が記載されています。
5ページでは、造血幹細胞移植法施行3年後の見直しについてということで、この見直しの検討の過程で関係団体から臍帯血のガイドラインに運用上問題があるということで、改正の要望がありました。そこで、ガイドラインの改正要望のうち、専門的な事項について、2018年6月14日の移植用臍帯血基準検討会にて修正の必要性、妥当性の検討が行われ、本委員会に改正案が提出されました。
参考資料1に、具体的な臍帯血バンクへの要望と基準検討会で審議していただいた内容が記載されています。多くはそこに記載されていますように単位や温度の表記など、細かいところから専門性の高い技術的な点についてまで、全て臍帯血基準検討会の有識者の先生方に審議していただいています。細かい部分の変更についての説明は今回は割愛させていただきます。大きな変更点について、本日説明させていただきます。
資料1-2を御覧ください。2ページ、4項の(1)の5のエの一番最後の行にありますが、移植に用いる臍帯血の安全性その他の品質を確保するための基準に適合しない等の理由により移植又は研究に使用されなかった臍帯血は廃棄されること。また、次ページのコにも記載しておりますが、採取後、健康調査票の返送前に当該妊産婦が同意の撤回を行った場合には、当該臍帯血が廃棄されることの2点が今回、明記されております。
次ページのコは、同意書提出後であっても、同意の撤回書の提出をもって、本ガイドラインの第4の1項の(3)に掲げる健康調査票を臍帯血供給事業者に送付するまでは、同意を撤回することは可能となるように変更しております。こちらに関しましては、もともと本ガイドラインにおいては、撤回ができるのは採取前までとなっていましたが、出産のときの妊婦の状況を考えて、やはり少し余裕をもって同意の撤回を考えることができるようにしてほしいという要望がありました。検討会で検討をした結果、患者さんに影響が出ないことが重要ですので、健康調査票を臍帯血供給事業者に送付して、その後、臍帯血の公開に至りますので、その直前までは同意を撤回することが可能ということで、同意撤回の希望があれば健康調査票の送付までに同意の撤回書の提出をしていただくこととなりました。この同意の撤回書については、別添の資料1-3、臍帯血提供についての説明の一番最後のページ、9ページに撤回書を付けさせていただいています。
さらに、もう1つ大きな変更点としまして、資料1-2に戻っていただきまして7ページ、ウの所、赤線で引いていますが、移植に用いる臍帯血を引き渡す前に臍帯血の移植を受ける患者の末梢血を用いて当該患者にHLA検査を行うこと、ただし、再移植の際に当該患者のHLA検査が実施不能である場合又は骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、若しくは他の臍帯血供給事業者が既に当該患者のHLA検査を実施している場合に限り、当該HLA検査の結果を医療機関から提供を受けることで、検査実施の代替とすることができるということの部分になります。こちらに関しては以前から他の臍帯血バンク、あるいは骨髄バンクでHLA検査をした後にほかの臍帯血供給事業者に申込みをした場合も、このガイドラインの書きぶりですと再度HLA検査をしなければいけないとなっておりました。検討会での審議の結果、ただし書を追加させていただきまして、実際に既に骨髄バンクあるいはほかの臍帯血バンクでHLA検査をしている場合には、検査の結果の報告書を提出することで代替する形にすることとし、患者さんの負担を減らす形で変更するということになりました。以上が大きな3つの変更点です。
○小澤委員長 以上ということです。たくさんの資料がありますが、何か、ただいまの御説明に関して、御意見、御質問等いかがでしょうか。実際に例えば、同意の撤回の所やHLA検査のデータがあればそれを代用できるなど、変更がありますが、具体的にそういう事例があってこうした方がいいという話になった形ですか。
○瀬戸室長補佐 臍帯血の廃棄に関しては、今までも移植又は研究に使用されなかった場合は廃棄されていたのですが、それを臍帯血提供者にも明示する必要があるということです。
○小澤委員長 タイミングで微妙なケースがあったのですね。
○瀬戸室長補佐 こちらに関しては、廃棄を明記することは特に問題はありませんでした。さらに、採取後の同意撤回について、臍帯血バンクが具体的に同意の撤回をしたいという事例があったからというわけではなく、もともと臍帯血ネットワーク時代には採取の後も提供の同意の撤回ができたということで、少しそういった余裕をもってはどうかという御提案を頂きました。ただ、HLA検査に関しては、やはり移植機関からもかなり御意見を頂いたということで、実際に問題があったということで修正をという形で聞いています。
○小澤委員長 何か確認、質問等いかがでしょうか。余りテクニカルなことを聞く必要もないかもしれませんが、あちこちに従来の化学発光酵素免疫測定法に加えて、化学発光免疫測定法が追加になっていますが、化学発光免疫測定法で全部カバーできるなど、そんなことはないですか。
○瀬戸室長補佐 専門的なところになりますので、基準検討会の先生方にも御意見いただいた上で、こちらの表記にさせていただいているので、もしよろしければ神田委員に。
○神田委員 現状の検査に合わせて追記されたということです。
○小澤委員長 1つで両方をカバーということではなくて、独立した名称なのですね。
○神田委員 これは、それぞれ異なる方法の検査になります。実際に使われているのは、この4種類全てが現状使われていることは、恐らくないと思います。一応、列挙しているという状況になります。
○小澤委員長 多くの場合は、どれを使っているのですか。
○神田委員 恐らくは、化学発光免疫測定法になるかと思います。
○小澤委員長 一番新しいほう。
○神田委員 はい。
○小澤委員長 分かりました。何かそのほか確認をしておきたいということは、いかがでしょうか。よろしいですか、余り御意見ありませんが、それではもし何かありましたら、また後で御指摘いただければと思います。
本日、示された移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)の変更案について、本委員会として了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。特に御意見はないということですので、取りあえず了承ということにしたいと思います。それでは、事務局におかれましてはガイドラインの変更に向けて必要な準備を進めてください。
次に議題の(2)今後の造血幹細胞移植推進拠点病院のあり方について、本日のかなり重要なテーマですが、事務局から御説明をお願いいたします。
○井内移植医療対策推進室長 それでは、資料2に従い、造血幹細胞移植推進拠点病院事業のあり方について御説明いたします。1枚めくり、拠点病院事業の経緯と概要です。皆様、御存じのように、平成25年から始まりました拠点事業ですが、法律ができたのと併せてこういった拠点病院事業が始まりました。そのときの資料等とこの審議会等の資料を我々で見直したところです。
3ページです。当時はこのような課題があったと。移植術・採取術を行う移植医、その他、移植医療を支える職種を育成する体制の確保が量・質とも十分ではないということ。人材育成の強化は必要ではないかということ。また、非血縁者間の骨髄移植のコーディネートに長期間を要しており、早期採取への取組が必要ではないかということ。更に地域や医療機関により診療内容・実績が大きく異なり、地域連携の強化が必要ではないかということ。こういった問題意識があり、始まったものです。
こういった中で、この下の段にありますが、造血幹細胞移植を受けようとする患者が、どの移植実施施設においても適切なタイミングで病状に合った移植術を受けることができるようにということで、この3つのブルーの点は、造血幹細胞移植医等の育成、骨髄の早期採取の取組、地域の医療従事者に対する研修、こういったものを軸とした拠点病院事業が始まったということです。
4ページは、事業の目的です。先ほどありましたように、造血幹細胞移植を必要としている患者に対し、適切な時期に適切な種類の移植を提供できる体制の構築、どの地域にいても、誰でもより安全に受けることができる治療方法となること。更に長期生存が得られるようになった際に、移植後のより良い長期フォローアップ体制を構築ということで、事業の内容については、左上の人材育成、左下のコーディネート事業では、コーディネート期間の短縮に加え、HCTCの活用と普及も併せてやる。さらに、右上の地域連携事業では、タイムリーな相談体制、円滑なセカンドオピニオン、患者紹介の円滑な実施、非専門医、開業医等も含めた長期フォロー体制などを目指してやっていただいております。
5ページは、造血幹細胞移植病院の現在の選定状況です。こういった形で進めていくことでブロック制を取られております。現在は8ブロック9施設、関東甲信越のみ2施設、残りは1施設です。これについては、ブロックを選定し、ブロックごとに1施設、関東甲信越のみ2施設を選ぶと決めて選定しています。
こういった体制は6ページに、平成25年から3期に分けて、新たな施設を追加していったという経緯があります。この赤の四角の所は、平成29年度、30年度の実績評価方法、公募要綱等の再検討で、実効上、この拠点病院事業をどういった形で今後進めていくのか。当然、今のままという選択肢もありますし、こういった形で変えていくということもあります。そういったことを検討し、平成31年度に新規要綱での公募選定を行い、平成32年度からは新しく時期をそろえて拠点病院事業を新たな形で、若しくは現在と同じルールで始めていこうということで、このスケジュールについては、この審議会においても今まで議論をしていただいてきたものです。今回、御検討いただくのは、この拠点病院事業に関するもので、今年度を目途にどのような形にするかを決めていきたいということで御審議を諮っているところです。
7ページは、拠点病院事業の成果と課題です。今までの拠点病院事業がどうであったかを我々なりに分析いたしました。8ページは、医師の育成に関してです。人材育成で、移植医を育てようというのが大きな目標としてありました。その実態が以下の表です。左から北海道、東北と北から並べており、拠点病院があります。そういった中で、何人育てたのか、総数7、6、12となっております。ただ、病院によっては選定されている期間の長短がありますので年間育成数ということで、年間何人育成したかも書き添えております。
この人材育成も研修元が他施設、いわゆる他施設の人が来られた場合、又は自施設に来られた医師を育てた場合、その下が研修後に他施設に行く、いわゆる地域で足りない地域に行くということ。若しくは、自施設に残って働いているということがあります。我々としては、実際、この拠点病院事業の中で移植医の人材育成は、一定の成果は出ているということです。ただ、施設間でのばらつき、また、研修元が他施設・自施設の違いがあったり、研修後他施設に行っている者もあれば、自施設に残っている者もあるという中、こういった所を今後どう評価していくのかという課題があると考えております。
9ページは、人材育成の成果と課題2です。HCTC、造血幹細胞移植コーディネーターの育成です。これについては学会とも問題意識を共有し、HCTCをいかに育てるかということでした。その数字が下にありますが、先ほどと同じような形でまとめております。HCTCに関しては、実際、この事業が始まったときは本当に先進的な病院で、自施設の自費を用いて育てるという環境しかなかったものが、今回、診療報酬改定の中で学会の認定施設の中に含まれ、一部、診療報酬で評価されたというような状況の変化も出てきています。このHCTCの育成を今後いかに発展的に続けていけるのか、いかに効率よくやっていけるのかということかと思っております。実際、今までの期間については、このHCTC先駆けの所で、これだけ拠点病院中心に育てていただいたということは1つの成果かと思っております。
10ページは、セミナーの開催です。人材育成の一環の中で、上の青い所の拠点病院から遠い施設に講師を派遣して行う出張形式のセミナーは、医師だけではなく他職種の参加者も多く、地域の病院での移植に関する知識の向上に一定程度貢献していると考えられるとあります。我々も定量的でなく定性的で申し訳ないのですが、やはり、地域のコメディカルの方中心に、こういった造血幹細胞移植のことを聞く機会はなかなかないということで、喜ばれていると聞いております。各施設で実施した総回数、総参加人数は、その下に各拠点病院ごとにまとめております。上のほうにも赤字で書いてありますように、医師に関しては学会等がありますので、こういった機会を特に利用しなくても普段ほかに聞けるケースもあるということ。拠点病院が単独で地域の医療機関と連携を図るのはなかなか難しいので、セミナーをやっているという情報が十分地域に、皆に周知されているかというと、病院、地域によってばらつきがあったという意見も聞いております。
11ページは、コーディネート支援事業の成果と課題です。いわゆるコーディネート、あっせんの期間を短くするのは、特に非血縁者の骨髄移植においては、正に治療に直結するところで、これを短くするということで、拠点病院にも積極的に事業をやっていただきました。実施施設での採取を積極的に受け入れていただいたり、調整をしていただきました。その下のグラフは、2013年度から2017年度、全国平均の所がピンクの点線になっておりますが、徐々に低下しております。特に東北地方などではコーディネート期間が、当然、この拠点病院事業だけではないとは思いますが、関係各位の御努力、併せて、コーディネート期間が短くなってきているという一定の成果が出ていると考えております。
12ページです。北海道や東北ブロックでは、診療支援として医師を派遣して外来などを行い、移植前の患者の紹介や移植後の患者の逆紹介などを行うなど、連携が構築されていき、さらに、移植施設が不足している地域には、移植施設の認定取得の支援を行ったケース等も見られております。ただ、患者手帳というものを配布していただいたのも1つ大きな成果だと思っております。患者手帳の配布状況は下にあります。この患者手帳の活用方法に関しても拠点の病院間で少し差が出ているのではないかという御指摘も頂いております。多くの拠点病院等、もともと関連のある施設に限定された連携しかまだできていないのではないかという御指摘も頂いております。
13ページの1つ例として挙げたのが東北ブロックです。東北ブロックでは出張セミナーを開催し、宮城県歯科医師会と連携し、また医師会とも連携し、患者手帳の普及等に努めていただいております。東北大学拠点病院を中心に、東北全体に目配りをした拠点病院事業を実施していただいていると考えております。
14ページは、造血幹細胞移植医療における状況の変化です。5年前と今で何が変わったのかということで幾つか挙げさせていただきました。15ページの1つ目は、日本造血細胞移植学会の取組です。移植施設認定基準が明確に策定されました。その策定されたものに関して222診療科において基準をクリアした形で、その診療科が見える化されました。この移植施設の認定基準に関しては、施設に関する要件であったり、チーム構成であったり、実績であったり、血縁ドナーからの造血幹採取時に関する要件であったり、その運用からハード面からソフト面を学会で明確に作っていただきました。
レベルの均てん化を図るということで、国内の施設、16、17ページに見える化がされました。5年前にはこういった見える化された施設の一覧がなかったので、こういった中で今、我が国においてどのような状況かが分かるようになりました。例えばということでマークを付けて赤の枠で囲まれているのが、いわゆる県に1つというものです。岩手県、秋田県、山形県、福井県、山口県、佐賀県、熊本県などは県に1か所で、少なくとも0か所はありませんでした。ただ、佐賀県に関してはブルーですが、いわゆるローボリュームセンターということで、施設も一定のプラスアルファを課した上での施設認定と聞いておりますので、佐賀に関してはこうということです。ただ、これに関しても佐賀の体制が本当に駄目なのかというと、福岡にずらっとありますので、福岡県の病院に患者さんがそんなに不便でなく行けて、かつ高いレベルの医療を受けられるということであれば、これは一概に我々が各県に1つ作るべきだと決めつけるのは地域医療をゆがめる可能性があると思っております。そういった形で、まだまだどういった連携がされ、本当に患者さんが困っているかどうかまでは分かりませんが、少なくとも、全国にこういった病院が学会の基準を満たして存在することが分かるようになったという変化があります。
18ページは、日本骨髄バンクの取組です。先ほどありましたように、コーディネート期間の中央値の推移で、骨髄バンクでも今回、初回ドナーを探すのを5人スタートから10人スタートに変えることも含め、また新たな努力が進んでいるというものです。
19ページです。全体的に同種移植後の生存患者数は増加傾向で、2016年は5年前と比べ約4,000人増加し、これは関係者各位の御努力により、実際、治療成果が上がってきており、当然、生存者数がどんどん増えてくるということです。こういった傾向については、今後、更に増加していく中でフォローアップしていかなければならない環境になっているということで、環境の変化の1つとして挙げました。
20ページは、それに引き続きということで、いわゆる就業の状況です。社会復帰の状況で、左のグラフは、男性、女性に分け、現在の職種ということで、常勤、非常勤なのか、失業中なのかということでグラフをまとめております。移植後2年から5年、6年から9年、10年以上で分けております。社会復帰状況、転職状況も右側にまとめております。今後、更なる現状の把握と就労支援の取組が必要です。このグラフもまだ定点でしか我々も取っておりませんので、こういった実態をしっかりと把握していくことも含めて、生存され長生きされ、更に社会復帰される方がどんどん増えていく環境を前提にしますと、そういった取組が必要になるのではと考えております。この2枚が長期フォローアップの重要性で、環境が変化しているということで挙げております。
21ページです。こういった今までの拠点病院事業の成果、課題を踏まえ、環境が変化した中で、今後どういったことをしていくかを本日、御議論いただきたいと思います。その中で22ページに、全体の課題を挙げております。移植術・採取術を行う移植医、その他、移植医療を支える職種を育成する体制は、学会の認定診療科の増加とともに確保されつつあると、人材育成がまだ不足している地域があるか評価が必要ということで、人材育成については、我々が聞いておりますのは、地域によってまだまだ足りないという所もあれば、一定程度をもう充足してきているのではないかという実感を持たれている所もあり、そういった評価をより細かくやっていく必要があるのではないかと考えております。
さらに、非血縁者間の骨髄移植のコーディネートの期間は改善傾向にあり、骨髄の早期採取への取組は、更に短くなれば、それに越したことはありませんので、そういった努力をしていくべきかと考えております。地域連携が進んでいる地域と、まだ十分に進んでいない地域があり、地域連携が重要なファクターであるということは変わりがないと考えております。さらに、その他、長期生存者の増加に伴う適切なフォローアップ体制が必要ということで、社会復帰支援も含めた移植後患者の生活の質の向上のための取組も重要になってくると考えております。
最後の23ページは、これからの造血幹細胞移植医療体制の目指すべき方向(案)です。本日はこの所をどういった方向に進んでいくのかという、まず、大きな基本方針を決めていただいた上で、その拠点病院事業をどうするかというフリーのディスカッションをしていただければと思っております。ここで挙げました案に関しては、1番から3番までが、実は今やっている拠点病院事業の所と同じです。適切な時期に適切な種類の移植を提供できる体制、どこの地域にいても誰でもより安全に造血幹細胞移植を受けることができる体制、更に長期フォローアップを受けることができる体制、今回の4番は、事務局案として出したのが、この社会復帰ができる環境を整備し、更に移植後の環境整備も更に充実させていくべきではないかということで案を作らせていただいたというものです。この最後の2枚ぐらいは我々の考え等がありますが、それまでは基本的には事実関係のフォローというつもりで作っております。そういった中で、本日この拠点病院事業を今後どうしていくのかを御議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 最後の2枚の所が特に議論すべき内容ですが、その前にたくさんのデータを整理していただきましたので、まず確認といいましょうか、もし質問がありましたら、先にそれを受けたいと思いますが、いかがでしょうか。拠点病院がスタートして数年たつわけですが、当初、必ずしも情報共有がしっかりしていない面もあったりして難しいところもあったのですが、拠点病院ということで先端的な移植医療を開発している所かというとそうではなくて、むしろ移植をバランスよく行っているところで、それでその地域の移植のレベルアップにつながるような活動をしてもらう所と、そのような形で始まったのではないかなと思います。実際8ブロック、9施設ということで、これはやはりブロックごとに大分事情が違いますので、一律に議論するのも難しいところがあって、関東地区であればこういう事情があるとか、あるいは地域ですとこんな事情があるとか、それぞれ結構難しい問題もあったのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。これまでの活動状況について、まとめていただきましたが、確認しておきたいところはありますか。
○野村委員 教えていただきたいのですが、地域それぞれ独自のことについてはもちろんあると思うのですが、それぞれ忙しい中でやっている取組で、共有できるものがあれば、どんどん共有していくと無駄がないのではないかと思うのですが、現状、最初に拠点病院認定のときにはそういう話はなかったと思うのですが、独自に要は拠点病院間での集まったいろいろな情報共有や改善の取組で集まっていらっしゃるというのを聞いたこともあるので、今そういった全国の拠点病院がどのように連携、拠点病院同士での連携を取ったり会議を開いていらっしゃるのか。それに関して、後発組は効果があるというか、出席状況も含めて、それから学ぼうという感じで取り組んでいらっしゃるのかどうかの現状をちょっと教えてください。
○小澤委員長 確かに拠点病院によっては、どんな活動をしていいのかよく分からないと思いますね。そういったことで、ほかの拠点の活動内容を知りたいとか、そのようなことで今のお話があったかと思いますが、いかがでしょうか。
○瀬戸室長補佐 全国9病院ある拠点病院で、4ページにもありますが、拠点病院連絡会議を行っており、そこでまず事業の内容の共有を行ってもらっています。また、現在この9病院を3病院ずつに分けて、地域連携事業、人材育成事業、コーディネート支援事業という、各担当を3病院ずつに分けて、そこが先達ていろいろな意見を集約したのを、厚労省とも相談したりして、こういう方向性でいきたいという事業の具体的な内容を詰めたところで、更にそれをまた残りの6病院に返して情報共有していただくという形を取っています。地域連携、コーディネート支援、人材育成という取組をどうしていくかというのを、頻回に9病院が集まって意見を集約するのは難しいこともありますので、まず3病院と話をして、そこで出た情報をまた共有して、さらに出てきた意見をフィードバックしてというのを繰り返し行っておりますので、当初に比べれば、そういった情報の共有はできていると思います。また、もちろん最初に入った3病院というのも先達てというところがありますが、各病院によって、例えばセミナーにすごく力を入れている所もあれば、地域連携のセミナーにすごく特化して頑張っている病院もありますので、認定の時期に関係なく、そういった情報は必ず共有ができるような体制は取れていると考えております。
○小澤委員長 よろしいですか。13ページの所に、東北大学はかなりいろいろな活動をしっかりやったということで、1枚、スライドが出ておりますが、何か追加発言といいましょうか、説明といいましょうか、お願いできますか。
○張替委員 幸か不幸かと言えば不幸だと思うのですが、そこにあるように東北は移植施設が少なくて、ほぼほぼ各県の大学プラスアルファで1つ、2つでやっているので、要するに協力を得やすいということと、情報が伝わりやすいということで、そういう意味ではかなり連携はしやすい状況にあると思います。ただ、医師以外の、いわゆる看護師とかHCTCに関しては必ずしも他県の状況が分からないという状況があったので、そういう意味で青森とか秋田とか、今度は山形でやるのですが、拠点病院セミナーを他職種込みでやっていて、そうすると医師以外の他職種のほかの県の拠点の状況もよく分かって、このように工夫しているのかとか、このようにやっているのかと見える化がされたという意味では、この事業の1つの成果なのかなとは思っています。ただ、人材に関して、今言ったように東北はまだかなり少なくて、移植後の患者さんが高速バスで通うような状況なので、移植拠点を増やすというよりは、移植の経験のある医師がもう少しペリフェラルの病院にいるようになると、患者さんの拾い上げとか、移植後の通院とか、そういう負担は多分減るので、もう少し人材は必要かなというのは認識していて、それは継続的にやっていこうかなとは思っています。
医師会とはまだ余りいっていないのですが、歯科医師会とは宮城はかなり連携がうまくいっていて、セミナーを歯科医師会向けにやっていて、3回やって認証みたいな、そういった認証を受けた歯科のクリニックが宮城県の歯科医師会のホームページに出すような、そういった仕組みもやっているので、そういう意味では医師以外でも協力ができているのかなという気はします。
ただ、これはやはり地域差があって、もしかすると、これが成り立つ所は東北であって、施設がたくさんある関東とか名古屋といった所は必ずしもこういうシステムが当てはまるかどうかはよく分からないです。もしかすると、小澤先生がおっしゃったように、もう足りている所もあるし、もしかすると多すぎて、こういったピラミッド型と言っていたのでしょうか。ああいう形を取れないような所もあると思いますので、それは地域ごとにどういう事業が必要か挙げてもらって、それで評価していくのがいいのかなとは思いますけれども。
○小澤委員長 ありがとうございました。特に東北地方は、拠点病院の必要性も大きかったという背景もあるようですが、何かほかに御意見はいかがでしょうか。
○梅田委員 今、野村委員から御意見がありましたが、8ブロックの9病院ですが、感想が野村委員と同じようなところがあります。9病院が出してくる報告書がかなり細かく書いていただいている所と、さっと書いている所があるとの印象を受けたのです。何ブロックかに分かれているということで、全体の意見交換は、かなり難しいともお聞きしているのですが、少なくとも、ブロック内での意見交換することを更に進めていただけると全体のレベルがアップすると思います。その方向で、検討いただければと思います。
○山口委員 全国8ブロック、9施設になっているのですが、分け方が、どういう意見が出てきているのか、お聞きしたいのですが、例えば今、名古屋と北陸が一緒になっているのですが、意外と北陸と名古屋というのは離れていて、あまりブロックで分けるのは適切でない所もあるかなという気がして、その辺の連携の取り方ということから考えるときに、最後のほうの議論になるとは思うのですが、今こういう拠点事業をやっているときに、そのブロックの適切性に関しては、意見はどんなものが出てきているのかというか。
○井内移植医療対策推進室長 我々のほうで聞いておりますのは、これでいいというエリアもあれば、言い方が悪いですが、こういった形ではちょっと画一的すぎるというような御意見も出ているので、そこは両方の意見が出ています。それも先生が今おっしゃっていただいたように、ブロックを見て、東北ブロックがこれで良い、これで悪いではなくて、東北ブロックに関してはこれでいいというのがほとんどの方で、例えば関東であったり、中部であったり、たくさんの病院のある所がやはり難しいということで、こういった形が本当に適切かどうかという疑問は我々のほうとしても聞いております。
○小澤委員長 今後、このブロックをどういう形にするかというのは大きな課題かなと思いますが、そのほか何か確認しておくものはありますか。ちなみに、11ページのコーディネートの期間ですが、16年度から17年度の所で一様に短縮傾向がありますが、何か特別な事情があったでしょうか。
○瀬戸室長補佐 こちらに関しては、各拠点病院のそういった取組が形になってきたこともありますし、バンクのほうでも自助努力の効果もあります。例えばドナーさんへの日程説明に関しても、患者さんの希望もある程度伝えて、ドナーさんにも考慮いただくといったことをしたりとか、実際にもともと期間も少しずつ短くなってきていたのですが、選定をする際に移植医療機関側からしてみると、今までこれだけの日数がかかっていたから、このぐらい遅い日程で申し込まないと、どうせうまくいかないからみたいな形で選定する意識があったのを、骨髄バンクからも、とにかく最短の希望日を出してほしいという連絡をすることで、まずは最短の希望日を踏まえた上で調整をしてもらうという認識も大分増えてきたこともあります。いろいろな取組の結果がここ数年で頑張ってきたことが、この1年で大分、数字として見えてきたのではないかと考えております。
○小澤委員長 だんだん成果が見えてきたというようなところですが。
○坂巻委員 このコーディネート期間の短縮の件は、確かに拠点病院の1つの大きな成果ではないのかなと私は思っております。といいますのは、それまでも骨髄バンクの各地区はコーディネート期間の短縮について努力していなかったわけではないのですが、努力してもなかなか短くなっていなかったのです。それが拠点病院中心にいろいろ努力を積み重ねて、ようやっとできてきたという感があるものですから、こういうのは各地域だけではなくて、全国をまとめて、意識も含めてなしえた成果なのだろうと私は思っており、なかなか良い傾向なのではないのかなと思っております。
○野村委員 意見というか、質問というか、どちらか分からないのですが、皆さんおっしゃるように、関東とか都市部、進んでいらっしゃる病院と西日本中心に、ちょっと後進の病院と、数値から何から段違いに違うのです。逆に言うと、そもそもの目的というのは、患者さんがということなわけではないですか。これだけすごい段違いに差があっても、全国的にみんなこうやって改良していらっしゃることになってくるのは、別にそれは悪い結果ではないと思っていて、そうなってくると、各拠点病院を全国的に東京だったり、名古屋だったり、大阪だったりのハイレベルな所に引き上げなければいけないのか、今後そうなっていくべきなのかというところが、ちょっと私も分からないまま今いるのですが、そういうのもここで議論するのかもしれないのです。今ふとそういうことを、目的がかなっていればハイレベルなところに追い付かなくてもやっていけるという形になるのではないのかなというところもあって、評価基準の目標自体が全国統一なのかというのを、どういう方針なのかなというのがちょっと。
○小澤委員長 それも今後のディスカッションのところで、また議論できればと思いますが、そのほかには学会のほうで移植施設認定基準の策定ということで、こういうのがスタートしたと書いてあります。222診療科もあるというのが、いかにも日本の特徴みたいな感じもしますが、希望したところに対して、どのぐらい認定されているのでしょうか。
○岡本委員 血縁者間移植、自家移植のみを行っている施設を除いて、残りの222診療科をほぼすべて認定しました。ここまで多施設で移植が行われてきた中で、今まで行われていなかった、移植医療の質を少なくとも担保しなくてはいけないということで認定に着手しました。今後、今の認定は最低限必要な条件を満たす施設を認定していますが認定基準をバージョンアップしていき、よりその質を高めていくというのが学会の移植施設認定の考え方です。
施設をどこまで絞るかというところで、本当に地域で移植が成り立つのかどうかという疑問がありました。しかし、地域に1施設しかないからと言って、その施設に移植をさせることも、問題があると思います。患者さんが移植施設に動き、その後、地域と連携してフォローアップを受けるということも考える必要があります。
拠点病院のことに関してですが、最初はその移植の目的として骨髄の早期採取、地域連携、人材育成ということがあげられました。私は、この拠点病院という考え方が出てきたときに一番の課題は、採取期間の短縮だったと理解しています。そこに人材育成と地域連携というのがあったと思います。それが5年たって、今、拠点病院のコントリビューションも大きかったと思いますが、骨髄バンクの取組、それから医療機関全体の取組によって、当初の移植の早期のアクセスということについては、大分改善したのではないかと考えます。
次に、人材育成に関しても、学会の認定医、HCTCの認定、看護研修を行うことによって、そのレベルを底上げをしてきました。これを更に今日の議論である拠点病院とどう連携をしてやっていくかということが、次の5年の大きな課題かなと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。取りあえず222診療科でスタートして、移植医療のレベルアップがあれば、これは更に現状では300数十の施設で行っているということですから、膨らんでいく可能性もある。
○岡本委員 そこは流動的ではないでしょうか。今後、どんな医療が出てくるかということによって、また大きく変わっていくのではないかと思います。
○小澤委員長 それは更新する形になっているのですか。
○岡本委員 はい。1年ごとに施設の状況を確認して、5年ごとに再度の認定更新を行う予定です。
○張替委員 ちなみに、東北のレベルが低いというわけではなくて、拠点の移植そのものは同じであって、そうではなくて、広いエリアで、どこの患者さんも拠点に来られて、その後、できるだけ就労にしても、生活をするにしても、地元でなるべく早く診てもらうような、そういう意味で言うとまだまだ足りないというので、その辺はちょっと誤解がないようにお願いしたいと思います。
○野村委員 すみません。逆に張替先生にお聞きしたかったのですが、余り発言してもと遠慮したのですが、東北でこれだけ先進的な地域連携が取れているので、正直ほかの西日本地域の数が少ない。先ほど数が多い所は難しいけれども、数が少ない所だからできたのではないかという、ほかの数が少ないブロックでは何が足りなくて、東北のような連携ができていないとお考えかなというのをちょっとお聞きしたかったのです。
○張替委員 我々の所がうまくやれているかどうかというわけではなくて、見えやすいというところだけで、ほかも多分それなりのそのエリアに必要なものはやっているのだと思うのですが、先生がおっしゃるように、例えば九州とか、中四国でやっていることが、我々とどれだけ違うかというのもちょっとよく分かりません。それなりの事業はやっているのだろうなと思います。だから、最初に申し上げたように、私どもがやっている所が必ずしもほかに当てはまるかどうかは分かりませんし、少なくとも西日本とか関東・甲信越、移植病院が多くて、カルチャーが違うところがたくさんあると、なかなかやりづらいところはあるのだろうと。むしろ少ない東北だからこそ、割と意識が共有できるというか、そういうことはあるのだろうなと。そのぐらいしか言えません。
○野村委員 西日本がやれていないという意味でもなくて、取組の中のもので、共有できるものはレベルアップできたらという意味で言っているだけで、西日本の皆さんも一生懸命やっているのは分かります。
○小澤委員長 ありがとうございました。それでは、議論を進めていきたいと思いますが、21ページの4番の所で、整理しますと、1つ目としては最後に整理された造血幹細胞移植医療体制の目指すべき方向の案について、これは追加又は修正すべき事項がないかどうか。また、2つ目としては、現在、拠点病院として一定の成果は挙げられたものの、人材育成事業、コーディネート支援事業、地域連携事業において、各ブロックで取組状況にばらつきが見られており、この対策をどのように行うべきか。ブロックをどのように扱っていくべきかです。3つ目としては、今後の事業を行っていく上で、現在の拠点病院事業におけるブロック数、拠点病院の数は適正かどうか。この辺が論点になるかなと思いますが、まず造血幹細胞移植医療体制の目指すべき方向の案について、御意見、御質問はありますか。いかがでしょうか。方向性のところですから、特に23ページ辺りでしょうか。これまでも幾つか議論が出ているかと思いますけれども。
○岡本委員 ちょっと確認なのですが、3と4を分けることというのは、長期フォローアップの後に当然、社会復帰も入ってくると思うのですが。そこをあえて社会復帰というところにフォーカスを置くという背景を教えてください。
○井内移植医療対策推進室長 特にこれを分けたのは、1、2、3が今まであったというのが、今までの目標でやってきましたので、特にフォローアップの体制を強化すべきだろうということで、事務局案として4番を出したと。その中に大きな意味で言えば、今、委員のおっしゃったとおり、生活の質を保ち、長期フォローアップに社会復帰、整備というのも入るのですが、これを今回新たに付け加えるという意味で、4番に付け加えたという意味で、おっしゃるとおり、3番の中に入れてしまうということもあると思います。ただ、単語をしっかりと書き出すということは必要ではないかということで書かせていただいたということです。
○岡本委員 異論はないのですが、要するに理解としては、長期フォローアップの最終ゴールを具体的に示したということですね。それはすごくいいことだと思います。
○小澤委員長 特に3番、4番を分けたのは、3番のほうは医療によりフォーカスを置いた感じで、4番は社会体制ということですから、社会復帰ということになると、もう医療機関では手に負えない、カバーできない感じになってきますから、いろいろな機関と連携していくということで、かなり難しい問題にはなってくるのかなとは思いますけれども。
○岡本委員 でも、逆により広い連携を図ることをしっかりミッションとして考えていくということであれば、この文章、4番はすごく生きるのではないかと思います。
○小澤委員長 何か御意見ございますか。
○坂巻委員 がん拠点の場合には就労支援という名前ではっきり書いてあるのですが、移植患者についての社会復帰できる環境の中には当然、就労支援ということも入っているわけですね。むしろ就労支援という名前を使っていないというのは何か理由があるのでしょうか。
○井内移植医療対策推進室長 ここは一応、目指すべき方向ということで、大きな方向性を書いていますので。就労支援というのは具体的な手段になりますので、ここは社会復帰できる環境ということで、就労支援はそのうちの1つの手段だと思っておりますので、こういった書き方をさせていただいています。
○小澤委員長 ちなみに、がん医療のほうでは就労支援はどのように行われているのか、かいつまんで御説明いただけますか。
○井内移植医療対策推進室長 いわゆる相談窓口を作って、就労支援であれば地域のハローワークなどとも連携をして、実際にどういった就職先があるか、がん拠点にもよると思いますが、例えば相談員が就職する先に面接に一緒に付いて行って、その方がここで働き続けるために必要な環境がどういうことなのかを分かりやすく御説明して、その了解が取れればそこへ就職するとか、段階的にやっていくというようなことも含めてどのようにやっていくかという個別の計画を作ったりもして、やり方は様々だと思いますが、窓口を作ってハローワークと連携してというのが大きな枠組みだと思っています。
○小澤委員長 造血幹細胞移植の場合も原疾患が血液幹の場合には、やはりそこでいろいろ相談を受けられていたということでしょうか。
○井内移植医療対策推進室長 今のところは、就労支援に特化した所はそこまではまだないと思います。
○坂巻委員 がんの拠点病院に関しては就労支援が重要なテーマになっています。造血幹細胞移植の場合は、若い患者さんが多いので、今後やはり働きながら治療していくことは重要なポイントになってくると思います。ただ、がんの治療と違う点もあるわけです。移植の患者さんの場合には、長期間休まなくてはいけないとか、いろいろな問題はあると思います。がん拠点で就労支援を最初に打ち出したときに、本当にこんなのがうまくいくのかなと思ったのですが、でも、こうやって大きな御旗を立てることによって少しずつその成果が出ているように思います。やはりこういう施策をやっていくのは必要なのだろうと思っているので、むしろ、そういうことをきちんと書いておいたほうが私はよいような気がしております。
○小澤委員長 拠点病院は今後も就労支援など、その辺をいろいろと頭の中に入れて、力を入れていく必要があるという方向になりそうなのですね。
○井内移植医療対策推進室長 ここで御議論いただければ、我々はそれに従いますので。我々が入れた趣旨は、今頂いたような形で、治療をして治られて社会復帰するというのが一般的な形になるということであれば、当然、こういったところの環境整備が必要になっていくだろうという意味で入れさせていただいています。
○平川委員 地域の拠点病院の事業の在り方を今見直して、事業の目安といいますか、評価基準などをここでもう一度考えるということになっていると思うのです。4ページの、これは恐らく当初整備事業が開始されたときの模式図であろうと思います。その中で、地域連携事業の所を見ているのですが、地域の移植施設間でのタイムリーな相談体制、セカンドオピニオン、患者紹介の円滑な実施、非専門医・開業医を含めた長期フォロー体制、地域連携支援センターの設置と、この4つが書いてありまして、これが主な目安だと思います。この間の状況の変化によって、この目安だけでよいのか、もっと加えるべき、より改善すべき点はないかということが本日のポイントだと思うのです。
その中で、1つは、学会の御努力によって診療科の認定制度が整備されたことで、拠点病院の下に222の診療科が連なって、体制として整備されたということがあります。それでいきますと、この地域連携の一番上の拠点病院とその下に病院の絵が描いてありますね、この間のやり取りがより明確になったのだと思うのですが、ではそこでの情報の共有の仕方がうまくやれているのか、現在もっと変える必要はないのかということを、実際に現場でやっていらっしゃる先生方にお伺いしたいということです。
もう1つは、地域と言いましても、この222診療科の病院の周囲にはまた地域の様々な病院がありますね。かかりつけ医の先生方も、その周りにおられるわけですから。この地域連携としては、拠点病院とその地域の認定病院、そしてその下に次の段階として、その周りの、かかりつけの先生方の病院もあろうと思いますが、その間の連携というのを何か目安として入れる必要はないだろうか。地域連携を2段階に考えることが必要ではないかと思うわけです。それも現場で実際にやっておられる先生に評価基準のようなものがないかを教えていただきたい。その点で、12ページにあります患者手帳の配布をしたりというようなことや、地域でマニュアルを作ったりとか、医師会や保健師会とセミナーなどを行うといったことがあったと思いますが、そのようなことをもう少し盛り込む必要がないかということ。
最後に、一番下に地域連携支援センターを設置するということで、これがあまり稼働していないと書いてありますが、これがどうして稼働していないのか。立ち上げのときには指標として作ったけれどもあまり現実的ではないのか、それとも、この支援センターを強化するにはどうしたらよいか、そういったところも現場の先生に伺って、基準として用いることができないか、そういったことをお伺いしたいです。
○小澤委員長 まず、現場の意見に関しては、学会のほうをまとめて岡本先生から御意見を頂きたいと思います。最初この拠点病院と学会の連携は今一つしっくりしていなかったところもありますが、段々うまく連携が取れてきているような感じはしますけれども、今の現場の問題ということを含めて、御意見頂けますでしょうか。
○岡本委員 まず1点として、がんの拠点病院の話と少し混同していると思うのですが、これは拠点病院ではなくて移植推進拠点病院で、少しニュアンスが違うのです。私たちが持っているイメージとしては、地域に絶対的なものでその下に認定施設があるということでは全くなく、どちらかと言うと、地域の中のコーディネーターとして、地域に即した役割を果たしていただくイメージで考えております。その中で、推進拠点病院の事業と学会の役目がかなりオーバーラップするところがあります。特に人材育成です。それを踏まえて、私たちと推進拠点病院の間でコミュニケーションを取り、どのような形で推進拠点病院が地域の連携を図っていくのがよいかという議論を進めてきました。人材育成事業、コーディネート推進事業、地域連携という中で、もっと具体的なものが最初は余りはっきりしていなかったところでこの事業が始まって、今5年たった中で大分問題も整理されてきました。そういったものをより具体的に示して、全ての拠点病院と同じことをやるわけではなく、地域毎にこれからのミッションのどこにどの程度力を入れていくか、具体的な計画を立てていく必要があるのではないかと思います。具体的な目標がはっきりしていなかったので、当初、審査委員の先生方も評価するのがなかなか難しかったのではないかと思います。
○神田委員 これまでも何度かキーワードのように出ていましたが、やはりエリアによってニーズが全く違っていて、また、同じ関東甲信越でも、私の勤務地が東京、埼玉、栃木と北上するに当たって足りないものが全然違っています。例えば、この中にも入ってきているスタッフの養成という点では、やはり医師よりもコーディネーターやロングターム・フォローアップをするナースといったところが、関東の中でも北に行けば行くほど不足していて難しい状況です。全国画一的にこういったものをやりましょうという設定は余りうまくいかないのではないかという印象を持っていました。
○小澤委員長 もう1つのコメントの、地域連携支援センターの設置、活動に関わる点について、これは事務局からお願いします。
○瀬戸室長補佐 地域連携支援センターにつきましては、患者さんあるいは地域の開業医等から患者さんの引受け等につきまして何か相談したいときの窓口として各病院に設置することになりました。ただ、そういった地域連携支援センターがあるという周知がうまくいかなかったこともありまして、なかなか問合せがこなくて、まだうまくいっていないというところがあります。どのように案内をしていくか、周知をしていくかというところが、拠点病院としても悩ましいところです。各拠点病院は、連携を取っているかかりつけ医もありますし、もう少し大きな病院もあるのですが、地域の中でも拠点病院から離れた所のそういった病院になってきますと、なかなか連携が取りにくいということで、そういった所にどのように周知するかが今後の課題だとは考えています。
○平川委員 地域連携支援センターは推進拠点病院にそれぞれ置かれるということですね。
○瀬戸室長補佐 はい。そこに医師とHCTCが兼任あるいは専任でいるという形でさせていただいています。うまくいっていると言うか、問合せ等が多くくる施設というのは、やはりHCTCが対応して、その後、医師にも相談するというような連携を取るようになっています。
○鎌田委員 今まで先生方から出ていたお話とも重複する部分があるのですが、患者の立場からということで、この目指すべき方向の3、4番について少し述べさせていただきたいと思います。まず、長期フォローアップについては、移植後というのは、原疾患のみならず合併症やGVHDなどを抱えて、もうそれを本当に長期間ずっと抱え続けたり、あるいはどんどん悪くなっていってしまうという場合もありますし、20年以上たってもそういう状態を抱えたり、それで近年になってそのまま亡くなっていってしまうような患者さん達さえ今でもやはりいるのです。そういったこと自体は病気の持つ宿命だから避け得ないものはもちろんあると思うのですけれども、その治療やフォローしていただく過程において、長期間たつと、例えば地方から治療を受けに来ていた方などはやはり地方に戻って行ったりされます。そうした場合に、移植などを行っている施設だったとしても、例えば腎臓が悪いなどで他の診療科でのフォローも必要になってくると思うのですが、そうした他科も含めたフォローができる施設とそうではない施設とが、すごく差が出てくると思うのです。そうしたときに、移植後、こういう経過があってこういう状態になったのだということを病院のほうで把握してくれてフォローしてもらえるか、そこでその状態自体をどこまで持っていけるかに差が出るか出ないかというのはケース・バイ・ケースだとは思いますが、状況の把握自体をなかなかしてもらえない、自分のほうからいろいろな科にかかって、毎回毎回説明しなければいけない、ということがものすごく負担になっていたという話を、移植後20年以上たって近年亡くなってしまった患者本人からも御家族からも今でも聞くのです。ですから、移植でその後長く生きることができるようにはなりましたが、その分、そういった形でのフォローを必要とする患者さんもたくさん増えてくると思うので、各地域でも、他の診療科も含めたフォローアップ体制を強化していただきたいと思いますし、そのためにも拠点病院などに果たしていただきたい役割の大きさもすごく感じていますので、是非担っていただきたいと思います。
就労に関しては、社会復帰ということでよく着目されるのは、仕事をされていた方が休職したり、その復職や転職という場面での問題がクローズアップされていると思いますが、それだけではなくて、造血幹細胞移植などは若い方もたくさんしますから、就労前に病気を抱えてしまった場合の問題もすごく深刻です。その中でもまたいろいろなパターンがあると思いますが、例えば子供のときに病気になって、すっかり良くなっているけれども、そのことを伝えるべきか伝えるべきではないか。将来にどう影響するのかというところで不安を抱えるケースもあれば、正に就労する時期に病気になってしまった場合は、まず日本の社会では新卒として就職できなくなるというところで1つハンディを負います。その後も、例えば移植後にすっかり良くなったと言えるのかどうかがよく分からないところがあったり、合併症は抱えている、あるいは再発などで治療は継続しているけれども仕事はできるし、しないと経済的な面や、その後に生きていく上で仕事はしなければいけない。一方で、会社側からすればどれだけきちんと働けるか分からない状態だったり、社会保険上も医療費が掛かるリスクを持っている人をわざわざ雇うだろうかということなどで、きれい事だけではなくていろいろな問題があると思うのですが、働けるのに働けないという状況に置かれてしまう、若いのにその先になかなか希望が持てないという患者が既にいるのも事実です。これから移植ができるようになって、その先がある世の中になれば、より一層そういう問題も生じてくると思います。そのように社会復帰と一言で言っても問題は実は多種多様なので、それぞれに応じた対応も必要になってくると思います。そこで具体的に何ができるかというのも、先ほど先生方がおっしゃっていたように、医療面だけでの問題ではないですし、社会に関わる問題なので難しいとは思うのですけれども、まずそういった現状把握と、やはり医療面での支援も必要としながら就労ということも考えなければいけないことだと思うので、そういった現状があることを把握していただいた上で考えていっていただければ有難いと思いました。
○小澤委員長 ありがとうございました。
○平川委員 地域でそういった患者さんとお会いする立場から申し上げます。その患者さんが今までどういう治療を受けておられたのかとか、どういう状態にあるのかということを、この患者手帳というものに十分に機能を持たせていただいて、この手帳を使って、実際に診療に当たっている中心の学会認定施設と、そして地域の医療施設、あるいは大きな事業所であれば産業医の先生になるかもしれません、そういう先生たちが患者手帳を通じてその方のバックグラウンドを正確に把握して適切な医療アドバイスを与えることができると思いますから。そのように使っていただきたいと思います。この患者手帳の内容も、私は分かりませんけれども、そのような形に作っていただきたいし、拠点病院でもそのような考え方でこの普及に当たっていただきたいと思います。大事な指標ではないかと今、改めて思った次第です。
もう1つは、地域連携支援センターのことです。この支援センターが患者さんを支援するに当たって、その患者さんのデータをどう把握しているのかを私はよく知りたいところです。造血幹細胞移植学会では全ての移植データをデータセンターに登録しているということのようですが、それはこういった長期フォローアップの体制を支援するような内容もデータの中には含まれているのでしょうか。そして、地域連携支援センターはこのデータにアクセスすることができるのでしょうか。その辺はいかがでしょうか、教えてください。
○岡本委員 長期の合併症等に関するデータはありますが、個々の患者さんのデータを出すというものではありません。逆に、個々のデータを出す煩雑さを省くために今は患者手帳というものを使って対応しています。こういった世の中ですので、手帳という形が将来どこまで続くか分かりませんが、それを情報の形で持たせるとか、そういった形のものを作っていくことはこれから必要だと思います。でも、少なくとも、そのデータはむしろ患者さんを大きなマスとして捉えていって、今後どういうことが問題であって、そこに対して学会なりアカデミーがどう対応するかということのデータになるわけで、個々の患者さんに対してというものではありません。
○平川委員 分かりました。
○小澤委員長 患者手帳については、医師会にも協力していただいて、大分配布されてきていると思いますが、本格的な有効活用はこれからということでしょうから、その辺は十分に意識しながらということで。それから、この3、4番は今後ますます重要になっていく課題でしょうから、患者さんたちの声を反映するような、そういうシステムも乗っけてもらって、うまく体制を作ってもらいたいと思います。
○山口委員 先ほどの鎌田委員のお話ですが、多分これは医療関係者だけで対応できるような話ではなくて、社会復帰というのは受け入れる側の企業などにどのようにアクセスするかというか、どのように訴えるかということが重要で、こういう治療を受けた方がきちんとタックスペイヤーになっていただくということが重要のような気がするのです。今、医療関係者と職場に対して厚生労働省が出しているがんのポスターがありますね、そういうものをきちんと受け入れてほしいという。そういうことが求められるのかなと。そういうことを例えばこういうところからでも情報発信していただくことが非常に重要ではないかという気がします。
○野村委員 同じことを言いたかったのですが。最初は3番の長期フォローアップに引きずられていて、4番で拠点病院が社会復帰の整備をどのように医療現場としてやっているのかが腑に落ちなくて、本日伺おうと思って来たら、先生たちが話をしていく中で就労支援とあったのですが、やはり、患者さんへの就労支援だけではなくて。同僚も取材先の方たちもそうですが、同僚などは2回の骨髄移植の後に、10代でやって治って就職はしていますけれども、30歳過ぎてからどんどん二次障害が出てきて、でも会社では、もう治っているのに怠けているのではないかとか、そのように誤解されていくのです。取材などで、いろいろな病気を抱えながら働いている人たちは、やはり理解されないことがつらいとおっしゃられていて、それはやはり、山口先生がおっしゃったように、患者さんだけをいくらフォローしようとしてもなかなか変わらないもので、そういう形で拠点病院が企業団体やそういうところにある程度働き掛けて、ハローワークだけではなくて連携して知ってもらうという、理解を進めるという、もちろんマスコミも責務がありますが、そういうことが大事だと思っていた中で、そうなってくると、先ほどおっしゃったように、それは骨髄移植だけではなくて、がんの人もHIVの人も他の障害の人たちもいっぱいいるので、そういうところをまとめてできるのはやはり厚生労働省の役割で、診療科を超えた大きな視点でということもどんどん必要になってくるので、そういうことも含めた形の目標になっていけばいいと意見として持っています。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。目指すべき方向性としては、23ページに書いてある1~4番、3、4番は特に。4番は難しいテーマでありますが、こういった枠組みにまた力を入れて事務局のほうでもお考えいただくということで、よろしくお願いします。
○岡本委員 よろしいですか。これからまた5年後でアプライするわけですが、今の話をやれということになってくると、推進拠点病院には少し荷が重くなってきて、夢がすごく広がってしまっています。もっと現実に戻ったほうがいいと思います。
○小澤委員長 その辺を、どういう仕組みを考えるかというのも含めて、この場ではなかなかまとめにくいところがありますので、また皆さんもいろいろいいアイディアがありましたら、事務局のほうにお伝えいただいて、できるだけいい形のものが出来上がることを期待しています。
その次が人材育成事業、コーディネート支援事業、地域連携事業において、各ブロックで取組状況にばらつきが見られており、この対策をどのように行うかについて、御意見を頂ければと思います。これまでも議論の中で出ている具体例がありますが、その辺の点について御意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
3つ目の問題としては、今後の事業を行っていく上で、現在の拠点病院事業におけるブロックの数、拠点病院の数は適正かどうか。これも内容的にはオーバーラップする問題ですので、まとめて御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。今のブロック、先ほどから度々問題、御意見が出ていますが、それぞれ地域によって事情が違いますので、どういう分け方、まとめ方がいいのか。拠点病院として行うべき事業内容も変わってくるわけですが、何か御意見はいかがでしょうか。ブロックの区分け方法。
○岡本委員 先ほどの繰り返しになるのですが、地域にどういう必要性があって、それを補うためにどういった事業をすればいいかを考えて、次にブロック、そして、そこに拠点病院がどのくらい必要かを検討する事が必要だと思います。
それから、推進拠点病院ということが、これまでは拠点病院が全てを、そのブロックに関して責任を持ってやっていくという形になりましたが、それはかなりタフなことで、恐らくそれだけではうまくいかないと思います。しかし、地域によってその形が成功したところもありますし、それはそれでいいと思うのですが、そうでない所ではむしろ推進拠点病院に任せるだけではなくて、連携協力病院とか、その地域の中の病院も含めた、ちゃんとした協力体制を作って、ブロックに合った推進拠点病院、いわゆるコーディネーターになるような病院の立ち位置がどこにあるべきかということを決めていくこと、この5年間を振り返って次期には是非検討すべきです。
○小澤委員長 確かに各ブロックを同列で扱うのは、皆様から意見が出ていますが、非常に難しいと。医療機関は本当に東京に集中しているところがありますから、そういった所と各地域の所と、難しいところがありますから、例えば地域でいろいろブロックを置いて、東京のほうは全体のブロック会議のときに活躍してもらうとか、いろいろなレベルを変えたブロックを作るということもあり得るかもしれませんし、何か御意見はいかがでしょうか。
○山口委員 今のお話で思ったのですが、先ほど事務局からの説明で、地域によって地域育成などが、かなり成熟してきてしまっている地域もあれば、そうでない地域もあると。そうすると、選択していくときにどういう基準でという、基準を規律化すると、逆に言うと矛盾が解消されないままになってしまうような気がして、そうすると逆に言えば、その地域で、例えば手を上げる所がどういう地域活動をしていくかという、その提案型のほうが、むしろこれからは適切なような、特に岡本先生の話を聞いていると、そのような気がしたのですが、要するにこういう基準でやりましょうという話のほうが、矛盾を内包したまま行ってしまいそうな気がするのです。
○小澤委員長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
○神田委員 私もブロックで、ここに何指定数と置くのではなくて、やはり事業をメインに出して、例えば応募するのであれば、私たちはこういう事業をこのエリアでやりたいとか、そういった形の形式で取って、具体的な我々はこれをするのだということも明確にしていただいてやるほうが、結果の評価もしやすくなってくると思いますし、よいのではないかと思います。その場合、日本全体をうまくカバーできるかどうかという問題点は出てくるのですが、それはまた採択後に少し調整を掛けていくなどでできればよいのかなという印象を持ちました。
○小澤委員長 この問題は非常に難しいので、今ここで結論を出すのではなくて、またいろいろな議論を出してもらって、また事務局からまとめた案を出してもらうという形になってくるわけです。この委員会は日程調整なども始まっているようですので、そのほかに何か是非一言、言っておきたいということ。
○張替委員 やはりエリアが、ある程度の設定は必要だと思うのですが、先生方がおっしゃるような、ニーズの違うエリアが多数なので、必要なものを上げてもらうというのは多分、共通認識だと思うのです。ある程度、先生がおっしゃるように、学会がシステムとか認定をして、拠点病院はそのコーディネートをする役目なので、そうすると何らかのエリアがないとやりづらいというのはあるので、設定はある程度残していただいたほうが、私はいいのかなと思います。
ただ、ボトムアップで公募をするというのは、多分ありだろうと思います。1つは岡本先生が再三おっしゃっているように、やはり事業が幅広くなってくると、拠点ができるものと、全国的にやらなければならないものを分けてもらわないと、例えば就労支援とかMSWが必要なもの、そういったものというのは拠点1つでどうにもならないところもあるので、そこは全国的にやっていただくと。ただ、エリアごとで必要なものはボトムアップで提案してもらうという、そういう形にしてもらったほうが、多分いいのだろうなと思います。
○小澤委員長 何かほかに御意見はありますか。
○野村委員 事業提案というのもありなのかなと思ったのですが、今の張替先生の意見に加えて、やはり私も拠点病院というものの性格を一生懸命5年前に理解しようとしていればいるほど、ものすごい大変なことで、がん拠点病院とか、先進何とか医療の認定とは全然違う、やりたい病院が出てくるのだろうかというぐらいに、大変だろうなと思っていたところがあったのですが、だからこそ非常に責任が重いところだと思っています。でも、それはこの医療の特性と地域のバランス、その目標を鑑みれば、然るべき性格というのはなくしてほしくないなと思っているので、事業提案ということが公募制となっていくと、やはり特化した形の、ほかのがん拠点病院とか先進医療の認定みたいな形のほうになっていかない、やはり先ほど張替先生がおっしゃった、地域での連携やコーディネートの責任をずっと担い続けるということだけは、やはり押さえておいていただけたら嬉しいなと思います。
○小澤委員長 基本的なところは、継続してやってほしいというところがあるだろうと思います。ちなみに、だんだん期待される役割が増えてきているようですが、推進拠点病院のメリットはそれなりにあったというお考えでしょうか。
○張替委員 最初に申し上げたように、我々のエリアで言うと、やはり多職種の連携と見える化はできてきて、モチベーションが上がっているというのは間違いないですし、やはり事業を始めることで責任もありますので、採取についてはいろいろドナーさんを移動させて早めに採るという形でシステムができてきたので、この事業に関する効果はあると思います。
あと、手帳については、学会が作った手帳を拠点病院が配布する形で進めていますし、かなり練り込まれた内容なので、今後、あれが行き渡ってくると、医師会の先生方とか会議の先生方とのコネクションもできてきて、支援センターも動けるようになるのではないかということで、事業の継続はお願いしたいと思っています。
○小澤委員長 効果だけではなくて、医療機関として十分、国から支援を受けてよかったと、それはないですか。
○張替委員 いや、頂いています。でも、これ以上増えてくると、ちょっといっぱいいっぱいかなという感じはあります。
○小澤委員長 東京でいろいろと必要性うんぬん、先ほどから随分議論がありましたが、坂巻委員としては何か御意見はありますか。
○坂巻委員 東北地区の非常にうまくいっていることを拝見して感じたことは、張替先生もおっしゃるとおり、東北地方と東京では、地域の事情による違いも相当ありますが、学ぶべき点は多くあると思います。東京でもっと必要なことというのはあるだろうし、逆に、そこまでやらなくてもいいものもので、地域によって目指すものを、変えていく必要があるなと思っています。
このように東北地区での成功事例は、東京でも真似ていかなくてはいけないというものもありますので、そういう意味でこのような、それぞれの地域での成功事例から学びつつ、各地域の特性に合わせて行く必要があると思います。今の拠点病院のシステムというのは、それなりの有効性はあると思います。改善点は多数あるともいますが、メリットは残してほしいなと思っています。
繰り返すようですが、やはり枠組みをどうするかということもありますが、そこに必要なものが何かというのは、各地域によって随分違う。それに合うような施策をしていくということが、やはり重要なのだろうと思っています。
拠点病院としてのメリットがあるかというと、はっきり言ってなかなか難しいものがあります。求められるタスクはきついものがありますが、施設としてもメリットは感じにくい。また、お金の使い勝手も、なかなか難しいところもあります。拠点病院としてやるべき事を明確にして、十分な資金をうまく配分してもらえるといいなと思います。今までのように拠点病院に、均一に資金を振り分けるという方法は、もうあり得ないなという気はしています。
○小澤委員長 ありがとうございました。いろいろな御意見を頂きましたが、拠点病院の今後の在り方については、方向性は先ほど1番から4番まで出てきて、内容に関してはこれまで御意見がありましたように、当初は何をやったらいいのかよく分からない、抽象的すぎるとか、そういうのもありましたので、これまでの経験を踏まえて、できるだけ具体的な事業内容を示しながら、それもブロックごとに事情が違うわけでしょうから、そういったことも考慮して考えていくといったことで、この事業をより良いものにしていかなくてはいけないと思いますが、この拠点病院事業に関しては大体よろしいでしょうか。
○岡本委員 あと1つだけ、ブロックという所ですが、今、非常にうまくいっている所もあるし、そうではない所もあります。ですから考え方として、地域を考えることは必要だと思うのですが、行政のブロックというものをもう少しフレキシブルに考えていただいて、御検討いただければと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。それでは、この問題については、次回の審議会では造血幹細胞移植推進拠点病院の具体的な今後の在り方について、議論をしていきたいと思います。事務局におかれましては、次回の審議会に向けて、必要な準備を進めていただきたいと思います。各委員の先生方も、また事務局に直接御意見を出していただければと思います。
最後の3番目に入りたいと思いますが、造血幹細胞移植法上の造血幹細胞移植の解釈の明確化について、事務局から御説明をお願いします。
○井内移植医療対策推進室長 それでは、資料3に従って説明させていただきます。これは前回の委員会でも出させていただきましたが、造血幹細胞移植の解釈の明確化ということで、次の2ページを見ていただければと思います。これは前回出させていただいたもので、いわゆる民間のプライベートバンクから流出した臍帯血が、造血幹細胞移植という名の下に、いい加減な使われ方をしないようにということで、造血幹細胞移植というものの定義を明確化するということで、前回、御審議いただいたものです。
この中で、点線の中にありますように、造血機能障害を伴う疾病、その他の疾病であって、厚生労働省令で定めているものについて行われるという、いわゆる疾病を縛るということ。あと、移植された造血幹細胞が定着することによって、このイのⅰとⅱで、いわゆる前医処置と免疫抑制剤の投与というようなことを記載させていただいた。ただ、これに漏れるようなものが出てきたときのために、この審議会の中で医学的見地から妥当と個別に判断された場合ということは省略できるということで、この審議会において検討することにさせていただいております。
あとはウに投与方法があります。最後はエですが、これがトータルで受ける形で、「現在の科学技術水準に照らして一定の効果があり、広く行われる医療技術として評価されたものであること」と結んでいます。今回、これについても運用通知というのを我々のほうで出していこうと思っているのですが、それで1点、最後のエの御審議というか、御了承を頂きたいという形で出させていただいております。
次のページに行きますと、ポツとしては3つ目の所で、下線部で書かせていただいております。先ほどの、いわゆる「現在の科学技術水準に照らして」という書き方であれば、かなり抽象的だということなので、これをどういうこととするかということで、我々といたしましては、造血幹細胞移植として保険収載されている医療技術だというのが、まず前提。かつ、日本造血幹細胞移植学会が作成するガイドラインに記載されているものが該当することとすると。ただし、造血幹細胞移植として保険収載されているが、ガイドラインに記載されていない医療技術については、日本造血幹細胞移植学会において、当該医療技術が現在の科学技術水準に照らして一定の効果があり、広く行われる医療技術として評価されるものとして判断されるという場合は、医学的見地から妥当とされた場合は該当することとすると。いわゆる現在の科学技術水準というのが、サイエンスそのものですので、この部分の判断ということは、学会のほうにお願いをして、学会のほうでこれは現在の医療、現在の科学水準から見て妥当というもののみ、こういった形で該当するものとして取り扱うということにしてはどうかということです。
次のページで、いわゆる日本造血幹細胞移植学会においてガイドラインが、このように作成されているということですので、これは1人のドクターがということではなく、専門家の先生方がきちんと議論した上で検討していただいているということですので、我々としてもここの運用について、学会のほうでお願いをできたら一番適切に運用できるのではないかと考え、このような運用をさせていただきたいということで、本日は議題として上げさせていただいたというものです。これは造血幹細胞移植学会のほうにも協議をさせていただいているところです。岡本委員のほうから補足がありましたら、お願いします。
○岡本委員 特にありません。定義を決めるということで、いろいろと議論させていただいて、非常にきちんと線を引くことが難しいな、ということがよく分かりました。やはりグレーゾーンというのがあって、それを学会のガイドライン、それから診療報酬のところで決めて、残ったものについてどんな判断をするかということに関しては、有識者が集まって科学的見地から妥当ということを判断する、つまり学会で判断する事が必要と考えます。
○小澤委員長 ありがとうございました。それでは、造血幹細胞移植の解釈の今後の運用についての御説明ですが、御意見、御質問はいかがでしょうか。
○山口委員 この結論に関しては同意します。逆に言えば質問させていただきたいのですが、例えば再生医療等で臨床研究をやっていて、その結果をもって学会のほうに提案するという形になるのでしょうか。新しい技術に関して言えば。それと、もう1つ公知というか、海外での論文で、この投与方法であればいいというような、そういう判断もあるという感じになるのでしょうか。
○岡本委員 それはものによって、それがガイドラインに反映できるものだったらそうですし、そうでないものに関しては、それを広く含めて判断するということで、対応することになるのではないかと私は理解しました。
○小澤委員長 事務局のほうも、それでよろしいですか。ほかに何か御意見はいかがでしょうか。海外で一般に行われているからいいだろうとか、そういうのも慎重に評価するということになると思います。よろしいでしょうか。今は造血幹細胞を使った再生医療なども、いろいろな疾患を対象に臨床試験などが行われていますが、そういったのは造血幹細胞移植の定義から外れてきますので、対象外ということになってくるのかなと思いますが、何かありますか。
ビジネスでもいろいろと、こういう造血幹細胞移植絡みのものを作り出そうとか、いろいろしている所もありますが、その辺はどんな感じで扱っていくことになるのですか、学会としては。
○岡本委員 今は答えを持っていませんが、そういうのも含めて、全員で議論させていただきたいと思います。
○小澤委員長 ほかにはよろしいでしょうか。今更、解釈の問題と言われましても、それだけ新しい医療がどんどん広がっているという背景があるからだと思います。それでは、事務局のほうでは造血幹細胞移植の解釈、明確化の運用に向けて、必要な準備を進めてください。
それでは、最後の議題4「その他」ということになりますが、委員の先生方から何か御発言はありますか。よろしいでしょうか。もう約2時間で、大分お疲れのことと思います。それでは、本日の議題は以上となります。そのほか、事務局から何かありますか。
○瀬戸室長補佐 本日は活発な御議論を頂き、ありがとうございました。次回以降の開催については、皆様にスケジュール調整の連絡を今週一杯でお願いさせていただいているので、別途、その結果を踏まえて調整させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○小澤委員長 それでは、本日の会議をこれで終了します。どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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