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2017年9月14日 第62回先進医療技術審査部会
第62回先進医療技術審査部会
(1) 日時:平成29年9月14日(木)16:00~16:42
(2) 場所:中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室(6階)
(3)出席者:
山口座長、石川構成員、伊藤構成員、上村構成員、
掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、関原構成員、
大門構成員、田代構成員、藤原構成員、松山構成員、
山本構成員
(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長補佐
保険局医療課 専門官
保険局医療課 課長補佐
議 題
1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.その他
議事録
○山口座長 定刻となりましたので、ただいまより「第62回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきたいと思います。御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。
本日は一色構成員、田島構成員、手良向構成員、山中構成員より御欠席の連絡をいただいております。本日は、掛江先生が遅れているようですが、17名の構成員のうち12名の出席がありますので成立していることを申し添えます。
それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 よろしくお願いいたします。傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に、総括報告書の評価について、資料1-1から1-3、試験実施計画の変更について、資料2-1から2-2、協力医療機関の追加について、資料3-1、3-2、先進医療Bの取下げについて資料4、会議資料の最終ページは49ページとなります。本資料につきましては会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上でございます。乱丁、落丁等ございましたら事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の確認です。今回、いずれの先生からも利益相反の御報告はございませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
該当なしということで承知いたしました。
また、今回もタブレットを使用いたします、届出書類等につきましてはタブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料、何番の何ページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○山口座長 議事に入りたいと思います。「総括報告書の評価」について事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 御説明させていただきます。資料1-1、15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価をいただくのは告示番号62、「微小肺病変に対する切除支援気管支鏡下肺マーキング法」です。申請医療機関は東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員は主担当が伊藤構成員、副担当が大門構成員です。
試験の概要ですが、本試験は、術中同定困難が予想され、切除マージンの確保に注意を要する微小肺病変を対象に、術前にマーキングを施行することで、適切な切除マージンを確保した切除の成功率を上昇させることを目的とした多施設共同非盲検単群試験です。
概要図が31ページにございます。まず3次元CTに基づき、バーチャル気管支鏡を用いてマーキングに利用する気管支を事前に同定しマーキング計画を立てます。手術前々日から当日の間に気管支鏡を施行して、所定の気管支の枝に気管支鏡を誘導し、カテーテルを使ってインジゴカルミン色素を噴霧します。続いて、CTを撮影し実際のマーキングと病変の位置関係を確認し手術に備えます。手術は原則、胸腔鏡下に行い、術式は縮小手術とします。
主要評価項目は、微小肺病変切除成功率(2cm以上又は腫瘍最大径以上の切除マージンを確保した切除)です。予定症例数は約160例(予定切除病変数:210)です。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、本技術の評価につきまして、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いします。
○伊藤構成員 この試験は1年ちょっと前に始まって、もう既に終わりという、大変スピーディーに進んだ試験です。当初はマイクロコイルとマーキング、両方、評価する試験だったのをマーキングだけにしていただいて円滑に進んだもので、評価ができるところまで進んでよかったと思っています。この試験の対象になるのがすりガラス状の陰影とか5mm以下の陰影ですので、透視下ではもちろん分かりません。CTを使って場所を特定しなければいけないということで、2012年以前は、ワイヤーでマーキングしたり、CT室でマーキングをするなど、大変なことをやっていたわけです。それに比べれば、この方式は3D画像、仮想気管支鏡で散布部位を決めるという話ですので比較的効率よくできるのだろうと思っています。
具体的にどのような画像に見えるのかというと、総括報告書の26ページに見られるような写真が付いています。大変、きれいに見えるものから見えないものまでとなります。御覧いただきたいのは、実は全く見えないものだけが有効性がないという評価になっていますので、うっすら見えるものは有効性があるという評価にはなっています。1か所当たり、大体1mLを209病変に対して559のマーキングをした試験です。これは当然手術のためですので、エンドポイントは手術が病変部位からのマージンがきちんと取られているかとなっています。
もともと、東京大学のパイロット試験では大変有効性が高かったのですが、それに従って信頼区間の下限値90%を超えるという大変高いハードルを作った。ところが、蓋を開けてみたら実はそれほど有効性が高くなかったというところから解析がスタートしております。
この試験の終了後、主要エンドポイントの再解析がされているのですが、その際、ああでもない、こうでもないと東京大学と施設がやり取りをした記録が残っています。具体的にどこがどう違ったのかというと、タブレットの中の11、「統計的な」というところがあるのですが、その107ページに写真があります。写真を御覧いただきますと分かるとおり、ステープルというものを使っております。一部の施設ではステープルの幅、4mmぐらいなのだろうと思いますが、4mmを計測していない施設と、している施設があるということで、試験が終わった後にデータの主要エンドポイントの再解析をする形になっています。
全体として見るといい結果ではあるのですが、マーキングの病変の位置を全部再解析で、当初予定したとおりに解析をしても、やはり施設間のばらつきがあったという状況です。そういう点で、当初の計画に比べると、有効性については満たさなかったという形にはなっています。詳細については大門先生から御説明があるのだろうと思っています。
そこで、なぜばらつきが出るのか、東京大学と様々なやり取りをさせていただいた結果、症例数が少ないからばらつきがあるというか、有効性が出ていないということではなくて、症例数がある一定のところでもばらついている状況であったので、やはり技術的な均てん化がされていないところも大きな問題なのだろうと感じましたので、評価には書かせていただきました。したがって、全体の有効性としては、従来のCTガイドでマーキングすることを考えれば、もちろん有効だと思います。安全性については問題がそこそこ出ていますが、それはこういう手技ですので一定程度の合併症が出るのはやむを得ないかと思います。
最後に、技術的成熟度としてまとめさせていただいたのは、施設間のばらつきがあるので、今後、手技などの成熟度は見ていかなければいけないのだろうと思っています。一番問題なのは、2cmのマージンを取るというのが、最終的に術後の再発を抑制するのに十分であるのかについては、今のところ、まだ議論としてはされていません。この試験を先進医療として認めた段階で分かっていたことではありますが、そこはちょっと分からないままであったと思っています。統計的な詳細や細かいところについては、大門先生から御説明をいただければと思います。
○山口座長 ありがとうございました、続いて大門構成員から評価をお願いします。
○大門構成員 大門です。資料1-1、18ページと19ページを御覧ください。数値ベースで細かい部分を今からお伝えしたいと思います。
まず、主要評価項目で、微小肺病変切除成功割合は87.7%、信頼区間の下限は82.4%でした。伊藤先生からも御説明がありましたように、これはステープル幅を慣例に従って入れた場合の成績で、かつ、閾値である90%は超えませんでした。
この結果を踏まえますと、この医療技術というのは従来の医療技術と比較して有効であるということは統計的には示されていないということになるかと思います。これを踏まえまして評価結果はCとさせていただいております。また、全体の4割のデータが申請者の施設のものであるということを踏まえると、一般化可能性の視点も幾分懸念があります。
しかしながら、伊藤先生から御説明がありましたように、幾つか有効性を考えるに当たって注意すべき点があろうかと思います具体的には、これも先ほど御説明がありましたように、いわゆる閾値が幾分厳しく設定されていたとみなし得る点です。これはいろいろな点を踏まえて、結果的に90%というように決定はされていますけれども、その経緯を見ますと、いわゆる厳しい閾値を採用されたのかなとも思います。
2点目につきましては、これも伊藤先生から御説明がありましたように、この微小肺病変切除成功割合について、17施設中の4施設は、それ以外の施設と比べると、およそ7割、25%、50%という形で成功割合が低い値を示しておりました。これらの成績は全体の成績に少なからず影響している可能性があるということ、また、このような成績に至った原因をいわゆる照会事項で多変量解析をベースに議論していただきました。その詳細は資料1-2にあります。端的に言いますと、これらの4施設というのは微小肺病変切除成功割合を低くする因子である、比較的病変が深い、あるいは切除線が長い病変を取り扱っていたことが考えられる点も挙げられます。
その他、これもまた至し方ない計画時のことだと思うので今更ではありますけれども、検出力が75%と比較的低い値が設定されていたというところもあります。
また、副次評価項目であるマーキングの成功率や従来の技術では困難であった複数マーキングが可能であること、それから術者御自身でマーキングの有用性の主観的評価を行っていただいているのですが、その評価結果を見る限りは、この医療技術自体が有用性を示唆していることが挙げられます。その意味で、私は「C」とは評価させていただいているのですが、ここは先生方にまた御一考いただければというように考えております。
次に安全性についてですが、重篤な有害事象としては遅発性肺胞瘻の出現によって退院後の再入院が1例報告されています。これは肺切除術後に起こり得る既知の合併症であるということです。また気胸や縦隔気腫などの有害事象を10%未満で認めましたが、介入を要するものは1例の気胸のみでした。
この点からすると、従来の医療技術では重篤な空気塞栓が1~2%、気胸が30~50%で発現が見られることを踏まえると、本医療技術のほうが有害事象の発現頻度は比較的少ないようにも見受けられます。この意味で安全性は「B」とさせていただいております。
最後に技術的成熟度についてなのですが、20ページにさしかかっておりますように、本試験では、いわゆるこの試験の参加要件として、外科専門医又は呼吸器外科専門医で10年以上の呼吸器外科での経験があって、かつ経験年数5年以上でハンズオンセミナーを受講しているという要件が設定されていました。これによって、術者の経験年数の主要評価項目への影響は緩和されることが、照会事項で回答された多変量解析の結果では示唆されています。
一方、気になる結果として、資料1-2にありますように、マージン確保に対する意識の強さがこの主要評価項目に影響を及ぼし得ることも示唆されました。それを踏まえると、今後、成熟度は更に改善され得るものと思われます。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。伊藤構成員から、もし何か、追加のコメントがありましたらお願いいたします。
○伊藤構成員 特にありませんが、研究者から最後に出てきた結論が、マージン確保に対する意識の強さが最終的に主要評価項目に影響しているという点が、今後どのように改善するのかなと思いましたが、そういう意味での技術の均てん化については、今後努力をしていただきたいと思いました。
○山口座長 ありがとうございました。この件につきまして何か御質問、御意見はありますか。伊藤先生、最初の施設基準が甘かったというか、もう少し経験数が多いところにするとか、そういう反省はないのでしょうか。
○伊藤構成員 いや、1例しかやっていない施設が何施設かありましたが、最終的に結果を引っ張ったのが20例を超える施設で、それほど有効性が高くなかったということなので、どうも有効性が例数とリンクをするという印象ではありません。都内の大変有名な施設がそういう結果を出されていますので、なかなか施設の問題というのは難しいなと感じました。
○山口座長 何か御質問はございませんか。安全性は問題ないと。ただ、今回、プライマリーエンドポイントに関しては、ちょっと達成できなかったという結論になると思います。これを引っ張っている施設は大変成績が良く、ここだけであれば何の問題もなくできたのですが、ちょっと意識が足りなかったというのは、多分本音を物語っているのではないかと思います。有効性に関しては、やや良いという評価とほぼ同等という評価で、悪くはないということですが、次に、コイルを応用したトライアルというのが前に組まれていて、それに持っていくときにこれをどう評価したらいいかということが、また問題になるのではないかと思います。何か御意見はございますか。
○石川構成員 大門先生に教えてもらいたいのですが、historical controlのところに、かなり前、2013年におけるということが書いてあって、56病変中成功例が38病変ということでした。これは全くマーキングしないでやるとこういう感じになるということなのですか。
○大門構成員 そうですね。これは恐らく導入前のことですので、あくまでCTガイド下のマーキングによるものだと思います。
○石川構成員 そうすると、この後いろいろマーキングすると、もっと確実に取れる、切れるということがだんだん確認されていくのでしょうね、これからは。それから次の手が出てくるということになるわけですね。
○大門構成員 はい、そうだと思います。
○石川構成員 分かりました。明らかに、有意にいいわけですよね。
○大門構成員 これに関しては恐らく、従来のCTガイド下の成績だけでいくと67.9%とあって、これ自体がいろいろ問題といいますか、制約があり、もう少し保守的に考えた場合には19ページにありますように、例えば77%、もっと不十分のものを加味すると85%と。85%では閾値としてちょっとまだ、もう少し厳しくしようということで90%というように、どんどん上乗せされている状況です。恐らく、いわゆるこのhistorical control自体がなかなか設定が難しかったのだろうと思われます。
○石川構成員 分かりました。
○山口座長 ありがとうございました、ほかに何かございませんか。実際には小さな病変が増えていますし、やったら残っていたというのが結構あるのですが、そういうものは表に出てきません。意外に現場では苦労していて、昔であれば「便利だね」ということでみんながやったような技術ではないかとちょっと思います。しかし、こうやって実際に試験を組んでみると、参加施設の質が悪いと、やはりこういうことになってしまうという、非常に教訓になる研究だったのではないかと思います。そういう意味ではちょっともったいなかったな、というのが申請された先生たちの本音ではないかと思います。ほかにございませんか。
ありませんので、告示番号62につきましては、ただいま御審議いただきました結果を取りまとめて先進医療会議に御報告いたします。続きまして、「先進医療Bの試験実施計画の変更」について事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 「先進医療Bの試験実施計画の変更」について、今回2件の申請がありました。資料2-1、33ページを御覧ください。1件目は、杏林大学医学部附属病院からの申請で、告示番号60番、「アキシチニブ単剤投与療法」です。本件は、先月の第61回先進医療技術審査部会において、有害事象である内服中止後30日以内の早期死亡が5例生じていることについて、34ページにあります別添1のとおり御報告をいたしました。その後は、内服中止後30日以内の早期死亡は報告されておりません。申請医療機関において、その後、8月28日に倫理審査委員会が開催され、それをもちまして9月1日に対面での効果安全性評価委員会が開催されました。申請医療機関はこれを受けて、試験計画書及び同意説明文書の改定案を作成し、9月12日に倫理審査委員会で承認されました。
今回、このプロトコール治療を継続中、又は中止後観察中の患者様への対応に係る試験計画の変更等が別添2にありますとおり提出されました。試験再開に係る検討等は改めて行っていただくとして、今回は別添2の変更について御審議いただきたく存じます。
また、今後の試験再開に向けては、以下の点について検討が必要と考えられます。まず、試験を再開することの妥当性について、19症例の全体の経過や治療効果を踏まえて御検討いただくこと。また、死亡例の発生から登録中止に至るプロセスに、遅れや不備がなかったかについて検証いただく。また、試験実施体制の不備等についても御確認いただき、問題点があればその原因究明や再発防止策等も含めて御報告いただくことです。ほかに必要な事項についても御指摘、御審議いただきたいと存じます。
では、具体的な変更内容について、36ページからの別添2を御覧ください。本試験は、胆道癌を対象とするアキシチニブ単剤投与療法で、予定症例数が32症例です。現在の症例登録は19症例で、現在は登録中止されています。
御審議いただく主な内容は、37ページにあります中止基準の変更、試験中止後の対応の変更、効果判定のCT範囲の変更、バイオマーカー採血の実施時期の変更です。詳細な変更理由についてです。1番の中止基準の変更は、現在のプロトコールでは画像上PDと判定した場合でも、3次元的な腫瘍量の増大がない場合や、症状の改善傾向が続いている場合などは、プロトコール治療の継続が可能ということでした。今回、早期死亡の発生を受けて、RECISTガイドラインでPDと評価された場合、プロトコール治療は中止するということに変更するということです。
2番目の試験中止後の対応の変更は、現状のプロトコールでは中止後、少なくとも2週に1回は診察や検査を行うことになっております。早期死亡の発生を受けて、中止後1か月、又は次の治療開始までは、少なくとも週に1回、試験治療実施機関において診察、検査を行うことに改めるということです。
3番目の効果判定のCT範囲の変更は、これまでは治療中の腫瘍の評価は腹部のCTやMRIで行うとしておりました。中止後、腹水が急増する症例があったことから、骨盤内腹水の評価を厳密に行う必要があると判断し、撮像範囲を腹部だけでなく、骨盤部まで広げることとしました。
4番目のバイオマーカー採血の実施の変更ですが、胆道癌の病態解明のため、アキシチニブの減量時や中止時、あるいは病態が急速に増悪した際に、血管新生に関連するバイオマーカーを測定するということです。また、同意説明文書には、タブレット資料にありますように、今回、中止後早期死亡が複数例あったということをお伝えする内容等が追記されました。以上です。
○山口座長 本変更内容について、何か御意見はありますか。今回は、この変更の部分について認めるかどうかを議論したいと思います。35ページを見ていただきますと、第1例目は投与終了2日後に亡くなっています。その後、30日後、7日後、17日後、30日後と続いて、投与開始時期からもそんなに時間がたっていないので、最初の1例目のときには、これはあり得るということで、病状の進行ということでよかったと思います。1例1例だけ見ていくと、そういうこともあるかなということですが、やはりこれだけの症例が出てくると問題があるということで中止になって、今は登録が行われていません。ただ、治療が行われている方については、不利益があってはいけないので続けているという状況です。
こういうことを勘案して、36、37ページにありますように実施計画を変更したいという申出ですが、何かありますか。柴田先生、何かありますか。
○柴田構成員 前回の会議の際に確認したときには、腹水の増加が認められた患者さんの厚労省に報告された書類には、因果関係ありの死亡と記載があり、因果関係ありの死亡は3例あるという報告でした。その後、face to faceの委員会の審議を経て、それらは因果関係なしと判断されたということだと思うのですが、一旦であっても効果安全性評価委員会から因果関係ありとして死亡が報告されていたわけですから、その判断が変わった理由については丁寧に御説明いただく必要があるのではないかと思います。
最終的に因果関係なしと判断されたことが妥当であるか否かについては、私はちょっと判断することができませんので、臨床の先生方の御意見をお伺いしたいと思います。やはり重大な判断の変更ですので、そこは丁寧に記録していただく必要があるかと思います。
因果関係ありであれば、現時点で中止を検討するという条件に合致することになりますが、死亡との因果関係なしということになれば、確かにプロトコールの規定上は中止を検討するという条件には合致していないので、そこはプロトコールの規定の観点からは問題ないと思いますが、登録を再開するときには先ほど御指摘があったように、きちんと丁寧に見た上で再開していただく必要があると思います。
○医政局研究開発振興課専門官 今御指摘いただきましたように、極めて重要な判断が変わった理由については、議事録を詳細に記載して、再度御提出いただくようお願いしたいと思います。
○山口座長 ほかに何かコメント、御質問はありませんか。
○柴田構成員 ちょっと言い方が悪かったのですが、8月16日付けで出されていた書類には、因果関係ありとは書いてなく、否定できないと思われるので報告するというような文言で、正確な文言は後で確認していただければと思います。いずれにせよ、因果関係ありと見なすべきという形で報告されていたのは間違いありませんので、先ほどの文言を修正いたします。
○山口座長 ほかにありませんか。
○藤原構成員 前回の別添1、今日の資料の34ページの4ポツ目、「2例目以降の4症例は、いずれも平成29年5月から7月に死亡されており、発生を知った日より7日以内に届け出ることを定めた課長通知に違反している可能性がある」と。それに対しての回答は、どこにあるのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 申請医療機関からの回答については、本日はまだございません。今後これについては、申請医療機関で検証して、その後御報告をお願いしたいと思っております。今回は、先月からちょうど今日で3週間ですが、まずは、確かにこういった違反などはあったとは思うのですが、現在プロトコール治療中の患者様の対応をどうするかというところに専念いただこうという気持ちもあり、原因究明や再発防止策の検討は今後お願いしていきたいと考えております。
○藤原構成員 同時並行で進むという理解なのですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○藤原構成員 お手元のタブレットの9月1日に開催された効果安全性評価委員会の議事録を見ますと、参加されている効安の委員の先生方は、参加施設とはインディペンデントにそれぞれきちんとした肝胆膵外科や肝胆膵内科や腫瘍内科の専門の方々が議論されて、一応この症状の事例に対して原病死ではないかというところを議論された上でこういう改定を考えてこられているので、私としてはこれをもう一遍考え直して止めろというところまではいかないのかなとは思っています。
○山本構成員 タブレットを確認しているのですが、同意説明文書の変更の内容が、これではよく分からないのではないかと思います。新旧対照表が、実施届出書と実施計画書の対照表だけで、これは治療中の患者さんですよね。ですから、次に入れるときの新規の説明の説明文書も、当然変更されるべきなのではないですか。
○医政局研究開発振興課専門官 最終的に新規組入れに関する変更も行っていただく際には、新規患者様に向けた同意説明文書も、今回の事象を踏まえた変更版をご作成いただきたいと思っております。
○山本構成員 では、これは現状の患者さんに対応するためのプロトコールの変更ということですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、そうです。
○山本構成員 分かりました。では、今回のこれについてはいいと思いますが、メールでのやり取りも見ましたが、専門家の先生方が、こういった胆癌の患者さんは、進行が早くて比較的早期に亡くなることがあると実感されるのは、もちろん分かります。それは患者さんには分からないことなので、現状でこういう死亡が起こっているけれども、例えば、今までの疫学的なデータと比べて、ものすごく逸脱していないような状況で今はやっているというような、ある程度専門外であっても、普通の医療の専門でない人にでも分かるような形で、次に再開するときには改定していただければ。そういうことが十分説明されるというところがないと、新規の患者さんにはかわいそうかなと思います。
○山口座長 ほかにありませんか。おっしゃるとおり、この19例に関してこういう事例がドーッと出てきているので、事実関係がいろいろと出てきて、もうひとつはっきりしないところがあります。全部整理し直して時系列別に、何が起きて、ここでこういう所に報告がいって、こう終わったということをもう少し整理して出してくださいということを、今お願いしているところです。資料だけを見ていると、いろいろなことが出てきて我々も混乱するような状況なので、例えば委員会のディテールが不十分な所もありますので、それも含めて19例について検討して、今後どうするかは決めるべきだという事務局の見解だと思う
のですが。
今回は、この変更のところだけをお認めするということでよろしいでしょうか。それでは、告示番号60の変更については、認めるということにいたします。ただ、試験の継続の可否については、19症例の評価や試験実施体制等の検証報告等を待って、次回以降に審議したいと思います。
続いて、次の議題について事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、39ページを御覧ください。放射線医学総合研究所病院からの申請で、告示番号63、「ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法」です。本試験は、局所進行膵臓癌を対象とし、ゲムシタビン併用重粒子線治療の有効性及び安全性を評価する単群試験です。予定症例数は82症例で、現時点の登録は9症例です。御審議いただく主な変更内容は、選択基準の変更及び後観察期間における検査の変更と誤記の修正です。
詳細な変更理由についてです。まず、本試験において、上部消化管出血による死亡に至る重篤な有害事象が発生しました。そこで、これ以降は類似の症例を組み込まないようにするための変更です。この死亡された症例は、十二指腸潰瘍の瘢痕があり、この潰瘍の瘢痕による狭窄があり、胃の排泄遅延、胃酸分泌亢進があり、抗癌剤TS1服用に伴う悪心・嘔吐が加わって、消化管出血に至ったと考えられる症例でした。線量分布では、十二指腸の線量は耐容線量以下でしたが、重粒子線治療との因果関係は否定できないとされました。そこで、主な変更内容にありますように、下線部分を追記するということです。
選択基準は、消化管潰瘍のないもの。ただし、狭窄所見のない潰瘍瘢痕や粘膜のびらんや壁の浮腫等のない単純な瘢痕のみの所見である場合は除くということです。また、後観察期間の上部消化管内視鏡検査は、潰瘍の既往のある患者や胃内容の停滞等症状のある患者は必須とするということです。以上です。
○山口座長 本変更内容について、何か御意見はありませんか。狭窄を伴うような瘢痕があって、そこから出血したということで、死亡例が出たということです。40ページを御覧いただきますと、もともとは選択基準が消化管潰瘍のないもの、ただし潰瘍瘢痕は除くということでしたが、狭窄所見のない潰瘍瘢痕のあるものや、びらんがあったり浮腫があったりするものは除きたいということかと思うのですが。御質問、御意見はありませんか。
○藤原構成員 お手元の資料の40ページの変更申請理由の上部消化管出血の症例ですが、ゲムシタビンと重粒子線併用症例で、プロトコールは手元のタブレットにもないのでよく分からないのですが、TS1を更に服用して悪心・嘔吐が加わったというのは、ゲムシタビンと重粒子線を使っている間にTS1を飲んでいたのかがはっきりしないのですが、そこは何か情報はありますか。
○医政局研究開発振興課専門官 申し訳ありませんが今すぐに情報を参照できないので確認させていただきます。
○藤原構成員 実際に今もプロトコールを見ていますが、TS1がどの時期で飲めるようなデザインなのですか。一応見ていると、ジェムザールと重粒子線の治療だけしか書いていなくて、TS1がどこに入るのかがプロトコール上もはっきりしないのですが。
○医政局研究開発振興課専門官 すみません。この症例に関して、実際にTS1がいつの時期に内服されたものであったのかが、今すぐに確認できませんので、確認させていただきます。
○藤原構成員 ですから、プロトコール違反ではなくて起きている事象なのか、プロトコールに違反してしまってTS1も更に使っていたのかというのが疑問があるので。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。確認させていただきます。
○山口座長 ほかにありませんか。それでは、今の点を確認するということと、それからこの書きぶりが、素直に40ページの選択基準を見るとちょっと分かりにくいので、こういうものを除くとかなっているとちょっと分かりにくいので、分かりやすいように書きぶりを変えていただきたいと思います。ほかに御意見はありませんか。
○真田構成員 細かいことなのですが、今、既に登録されている9例の中に、この変更によって登録基準から新たに外れてしまうようなエントリーがあったかどうかは、また確認をしていただいてよろしいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 分かりやすいように書きぶりを変えていただくこと、9例について確認すること、承知いたしました。
○山口座長 では、今の点も確認していただくことにいたします。ほかにありませんか。それでは、告示番号63の変更については、先ほどの御質問は向こうに問い掛けるということと、書きぶりを訂正していただくということで認めることといたします。
続いて、「協力医療機関の追加」について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、43ページを御覧ください。これまでに大臣告示されております4つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、45~48ページを御覧ください。事務局において、これらはいずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 では、次に「先進医療Bの取下げ」について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4、49ページを御覧ください。告示番号62の技術について、先進医療Bの取下げ申請がありました。取下げ理由は、予定症例の登録・観察が全て終了したためで、総括報告書は本日御審議いただきました。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題は以上です。何か御意見、御質問はありませんか。事務局から何かありますか。それでは、次回の日程をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程ですが、翌10月の開催については、10月19日(木)16時~18時までの予定です。場所については、別途御連絡いたします。また本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第62回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
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