ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会(平成27年6月から)> 第8回保育士養成課程等検討会(2017年6月22日)




2017年10月4日 第8回保育士養成課程等検討会

子ども家庭局保育課

○日時

平成29年10月4日(水)17時から19時


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第6会議室


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、阿久澤構成員、網野構成員、近喰構成員、清水構成員、津金構成員、前田構成員、宮田構成員、三代川構成員、村松構成員、山縣構成員

厚生労働省

巽保育課長、唐沢企画官、川島課長補佐、高辻保育指導専門官、鎮目保育指導専門官

○議題


○川島課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第8回「保育士養成課程等検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の構成員の出欠の状況でございますが、本日は12名の先生に御出席いただいております。阿部構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。
 まず、資料の御確認をさせていただきたいと思います。配付させていただいている資料につきましては、まず、議事次第と資料1-1、資料1-2でございます。資料2、参考資料1、参考資料2をつけております。これに加えまして、議論の参考といたしまして机上配付させていただいているものとして「教授内容の再編について」をお配りさせていただいております。
 以上の計7点となってございます。資料の欠落等ございましたら、事務局までお願いいたします。
 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 汐見座長、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 それでは、本日はかなり議論しなければいけないことが多くなっておりますので、集中して議論したいと思います。
 議題1に入りたいと思います。「保育士養成課程等の見直しについて」ですが、本検討会での議論、それから、前回の関係団体からのヒアリングを踏まえて、検討会のもとにワーキンググループを設置いたしました。そのワーキンググループにおいて、論点整理、対応のこれからの方向性について整理していただいておりますので、まずワーキンググループにおける検討状況を報告していただきたいと思います。
 座長である小川構成員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○小川副座長 それでは、私から説明をさせていただきます。
 お手元にございます資料1-1をご覧ください。まず「1.趣旨」でございます。皆様よく御存じのとおりなのですが、保育を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、保育所保育指針が約10年ぶりに改定されました。こうした状況を踏まえまして、今後の保育士に必要となる専門的知識及び技術を念頭に置きつつ、保育士養成課程を構成する教科目、これは名称、授業形態、単位数、目標、教授内容などですが、その見直しに向けた検討を行いました。また、保育士試験のことも今後はやっていかなければいけないことです。
 「2.検討状況」でございます。前回、第7回の本検討会で示された論点が、2ページ目に5つの論点としてまとめられていますが、この論点を踏まえ、主として保育所保育指針の改定に伴う事項を中心に検討してまいりました。検討に当たりましては、現行の保育士養成課程を構成する教科目を体系的に整理し、これは資料1-2というカラー刷りのものがお手元にあると思うのですが、教科目全体を俯瞰した上で、論点ごとに現時点で考えられる見直しの方向性の案を整理いたしました。詳しくは3ページから載っています。
 今後は、第8回の検討会での議論を踏まえまして「以下の点についても留意しつつ」という、その「以下」というところは、保育士というのは保育所だけではございません。社会的養護や障害児支援に係る福祉系施設でも勤務しておりますので、多様な施設を取り巻く状況の変化、そして、実際に保育士養成を担う指定保育士養成施設における実情、大半の学校が幼稚園教諭免許の課程を持っておりますので、今回実施したアンケート結果を踏まえることや、保育士試験に係る試験科目の見直しに向けた検討も行う予定でございます。
 2ページ目、整理いたしました5つの論点でございます。
 1つ目は、改定後の保育所保育指針において、乳児、1歳以上3歳未満児への保育について、それぞれねらい及び内容が示されました。これを踏まえた教科目の見直しや内容充実。
 2つ目は、これも改定後の保育所保育指針におきまして、幼児教育を行う施設として共有すべき事項として「育みたい資質、能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」などが示されました。これを踏まえました検討。
 3つ目は、保育の活動全体を通した「養護」の観点、「養護と教育」の一体的展開の重要性、安全な保育環境確保の養成等を踏まえました内容充実や再編。
 4つ目は、保護者と連携した「子どもの育ちの支援」という視点に立ちました、関連する教科目の内容充実や再編の検討。
 5つ目は、保育士に係る現職研修の充実による資質・専門性の向上、他の専門職種との連携の必要性を踏まえました、関連する教科目の内容充実という、この5点でございます。
 この一つ一つの詳しい説明を鎭目保育指導専門官にしていただきますので、よろしくお願いいたします。
○鎭目保育指導専門官 それでは、ワーキンググループにおいて検討していただきました具体的な見直しの方向につきまして、事務局より御説明させていただきます。
 資料1-1の3ページより御説明させていただきます。なお、先ほど小川ワーキンググループ座長からも御紹介のありました資料1-2におきまして、見直しの検討に当たっての便宜的な体系的整理ということで、各論点にかかわる、関連する主な科目について、線の囲みでお示ししておりますので、あわせて御参照いただきながら、お聞き下さい。
 まず、3ページ、論点1につきまして御説明いたします。乳児、1歳以上3歳未満児の保育についてのねらい及び内容等の記載が充実されたことを踏まえました内容の充実に関してです。
 主な意見といたしまして、3点御紹介しておりますけれども、こちらの主な意見につきましては、検討会やワーキンググループ等で出された意見でございます。科目の設定ですとか充実、基礎的な理解を深めた上での保育の実践力を身につける必要等につきまして、御意見をいただいております。
 具体的な見直しの方向性としていただいた案について御説明させていただきます。こちら、低年齢児の保育に関する内容の充実ということで、教育効果を高めるための講義科目を通じて必要となる基礎的事項についての理解を深めた上で、より円滑に保育の実践力の習得につなげていくことの必要、また、それにあわせまして、複数の教科目にこうした低年齢児の保育に関する教授内容、こちらを体系的に整理し、関連性を明確にする必要、こういった観点で見直しの方向性、対応案をまとめていただいております。
 教科目の新設に関しましては、現在演習2単位で「乳児保育」が置かれておりますけれども、これにつきまして、講義2単位及び演習1単位、それぞれ「乳児保育1」「乳児保育2」という形で科目の新設といった見直しの方向性をいただいております。
 教授内容の充実という観点で、現行の「乳児保育」の目標及び教授内容について、こちらを新しい科目に再編いたしまして、内容の充実を図るということ。また、あわせて、他の保育の内容に係る関連科目として、下の「※」で示しております「保育の心理学1」「子どもの保健1」「保育内容総論」等についても教授内容等について整理、充実するという方向の見直しの案をいただいております。
 なお、留意事項としてお示ししておりますように、現行の総単位数を維持するという観点で、今回こちらの現行2単位を、講義2、演習1単位として、単位の増減が行われておりますので、全体の中での調整が必要という御意見もいただいています。
 4ページ、論点2に移らせていただきます。こちらは幼児教育を行う施設として共有すべき事項が指針に新たに示されましたこと、その中で、新たに「育みたい資質・能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」などが示されたこと等を踏まえました内容の充実や教科目の検討についての論点でございます。
 主な意見として3点示されておりますが、こうした意見を踏まえまして、見直しの方向性として示されているところを御説明いたします。
 まず、(1)保育の計画と評価に関する内容の充実について、保育の質の向上の観点から、保育に係る計画から評価・改善に至る過程について効果的に習得できるよう、また、教授内容を充実すること、また、教授内容等に即しまして、教科名を変更することが適当ではないかという見直しの方向性をいただいております。
 具体的な対応案といたしまして、教科目名につきましては、現行、講義2単位の「保育課程論」について、科目名として「保育の計画と評価」という変更の案をいただいております。そして、教授内容の充実におきましては、現行の科目の目標及び教授内容につきまして、保育の質の向上の視点ですとか、保育に係る計画から評価・改善に至る過程の習得に資するよう教授内容の整理充実を図るという観点をいただいております。
 (2)子どもの生活と遊びの援助に関する内容の充実について、見直しの案をいただいております。子どもの生活や遊びを充実するための援助、これにつきまして、より実践的な力を身につけることができるよう、関連する教科目の教授内容等を充実することの必要について、また、教授内容に即しまして、教科目を変更することが適当と見直しをいただいております。
 5ページで、対応案といたしまして、まず1点目、教科目名の変更といたしまして、こちらに関連した科目として、現行演習4単位の「保育の表現技術」につきまして、「保育内容の指導法」演習4単位、併せて、教授内容の充実に関して、2点、マル1、マル2とお示ししておりますが、現行の関連する教科目の、「※」で示しております「保育内容総論」「保育内容演習」に係る教科目の目標や教授内容について、保育の目標やいわゆる5領域のねらい及び内容などの全体構造を理解した上での子どもの発達を見通した保育内容の計画ですとか、実態に即して展開する保育の実践力の強化、こうしたことを念頭に置いて、教授内容等を整理充実することが必要。また、マル2といたしまして、現行の「保育の表現技術」の目標及び教授内容について、新たな科目名としてお示ししております「保育内容の指導法」において内容の整理充実を図るという見直しの方向性をいただいております。
 こちら、留意事項といたしまして、下の欄にお示ししている現行の教科目の「保育の表現技術」の名称を変更することに伴いましては、今後、幼稚園教職課程との関係にも留意が必要という点も併せてご指摘いただいております。
 6ページ、論点3に移らせていただきます。こちらは保育活動全体を通した「養護」の観点ですとか、「養護と教育」の一体的展開の重要性に関しまして、また、安全な保育環境確保の要請等を踏まえた内容充実、再編についての論点でございます。
 主な意見といたしまして、「養護」については、関係の教科目の全体にわたって充実を図るという観点ですとか、養護の視点と教育の視点を整理して、技術面、内容面の充実が必要である。また、先ほど座長からの御発言もありましたが、「多様な子どもと関わる上で」という観点から、子どもの発達や内面の理解に基づく養護的な関わりや配慮の必要等について、併せて、保育士が全ての児童福祉施設に従事する専門職であることを踏まえた検討が必要という御意見をいただきました。
 この上で、ワーキンググループより見直しの方向性としていただいた点について、まず、(1)ですが、こちらの論点3全体に関わる内容の充実という観点で、複数の教科目に含まれている保育の活動全体に必要な「養護」及び「養護と教育の一体性」に関する内容を構造的に捉えること。また、各教科目の関連づけを明確化した上で、教授内容等の整理充実を図るという、全体的に構造的に捉える観点からの対応案をいただいております。
 教授内容の充実に関しまして、現行の養成課程における複数の教科目の中で、教授内容に「養護」及び「養護と教育の一体性」を示している教科目を「※」の下のところに示させていただいております。「保育原理」、「保育者論」、「子どもの保健2」、「子どもの食と栄養」、また、「保育内容総論」、「保育内容演習」といったところに具体的な教授内容で示されております。
 また、教授内容がこうした「養護」、「養護と教育の一体性」に関連の深い現行の教科目といたしまして、「子どもの心理学1」、「子どもの心理学2」、「子どもの保健1」、「保育課程論」というようにかなり幅広い科目がございますけれども、これらの関連性を体系的に整理した上で、各教科目の特性を踏まえた教授内容や目標等の整理が必要であるという全体的な見直しの方向性をいただいております。
 その上で、次の見直しの方向性として、7ページを御参照ください。(2)子どもの発達及び学習の過程や特性に係る理解の促進についてです。こちら、「養護と教育の一体性」が保育所保育の特性であること等を前提といたしまして、子どもの発達及び学習の過程や特性を十分に理解、このことが重要ではないかということで、4点にわたりまして、見直しの方向性をいただいております。
 まず、マル1としてお示しいただきました子ども及び子どもの家庭に関する包括的な理解の促進につきまして、保育士には、より具体的な実践力の習得が求められていること。その前提としての、子どもの発達の過程の理解、また、子どもの家庭についての理解、こうしたことが保育士の対象の理解として不可欠であるということ。また、このため、複数の教科目に含まれます発達や学習の過程、生涯発達、多様な育ちなどの保育や子育て支援に関する内容を包括的に習得する。そして、そのため、各教科目の教授内容を集約整理し、内容の充実を図ることが必要ではないか、という方向性をいただいております。
 具体的な対応案といたしまして、まず、下から4行目に示しております、イ)の現行の教科目の「家庭支援論」に含まれる教授内容のうち、家族や家庭の理解に関する内容ですとか、ロ)で示しております、現行の教科目「子どもの保健1」に含まれる教授内容のうちの心理的側面の理解に関する内容などにつきまして、こちらを「保育の心理学1」に移行して、現行の「保育の心理学1」講義2単位としておりますところを、「保育の心理学1」講義4単位という形で、子どもの発達及び学習の過程や子どもの家庭に関する包括的な理解をする科目として捉えてはどうかという見直しの方向性をいただいております。「※」でお示ししておりますように、留意事項といたしまして、1つの科目として単位数を増加させるか、もしくは2つの教科目にするかなどにつきましては、今後、更なる検討が必要ということも併せて留意いただきたいということで、見直しの方向性をいただいております。
 8ページ目、同じくこちらに関しての2つ目の事項といたしまして、子どもの理解に基づく保育の実践的内容の充実ということで、子どもの理解とそれに基づく保育の実践力を身に付けることが重要という観点で、教授内容の整理充実、また、教科目の変更等について対応をいただいております。
 まず、教科目名の変更につきましては、子どもの理解に基づく実践力ということで、現行演習1単位「保育の心理学2」としてお示ししておりますところ、教科目名を演習1単位「子どもの理解と援助」とすること、それに伴い、先ほどの「保育の心理学1」につきましても、「保育の心理学」として科目名の変更を行うことが適当ではないかという見直しの案をいただいております。
 また、教授内容につきまして、子どもの理解、子どもの発達や内面などの理解に関する実態把握と、それに基づく援助につきまして、より実践的な力が身につけられるよう、教授内容の整理充実を図るという見直し案をいただいております。
 マル3といたしまして、子どもの心理的側面に係る内容の充実について、先ほど「子どもの心理学1」に関する教授内容の整理再編のところで触れましたが、「子どもの保健1」の教授内容のうち、子どもの主に、心理的な発達に関する教授内容について移行するということに伴いまして、単位数を講義4単位から講義2単位への変更としており、下の行に記載のところは先ほどのお話をここで再掲させていただいております。
教授内容の再編につきましては、その移行に伴い、「子どもの保健1」につきましては、身体発育や生理機能の特性・発達、子どもの健康状態、その把握ですとか、疾病とその予防・対応など、保育における保健的対応に必要な基礎的事項を学ぶ教科目として再編するという位置付けという御提案をいただいております。併せまして、論点1で示しております低年齢児の保健的対応に関する教授内容は、先ほど示されました「乳児保育」の中においても、併せて教授内容の充実・体系化を図られるべきという対応案をいただいております。
 9ページですが、さらに、この論点に関しての4つ目、保育における子どもの健康及び安全の確保につきまして、より実践的な力が身に付けられますよう、関連する教科目の目標や教授内容の整理充実、また、こうした趣旨の明確化、これに伴う教科目の変更が適当ではないという見直しの方向性をいただいております。
 対応案といたしまして、現行演習1単位の「子どもの保健2」につきまして、科目名を「子どもの健康と安全」とし、この科目名の変更に伴い、「子どもの保健1」につきましても「子どもの保健」として、科目名を変更するということ。また、教授内容につきまして、新たな科目名「子どもの健康と安全」につきまして、より実践的な力を身に付けられるよう、内容の整理充実を図るというところも示されております。
 また、留意事項といたしまして、「子どもの健康と安全」を設けた場合の教授内容がこれまでよりも幅が広がる点を考慮し、担当する教員を適切に確保すること等、今後に向けての留意点をいただいております。
 10ページ、論点4でございます。保護者と連携した「子どもの育ちの支援」という視点に立ちまして、関連する教科目の内容充実や再編、また「子育て支援」に関する教科目の検討についての論点でございます。
 主な意見ということで、4点いただいております。保護者への対応に関しての総合的な力を養う必要について、また、現行の科目につきまして、重複している部分や充実する内容についての整理の必要について、子どもに関する支援、保護者支援、地域子育て支援に関する各教授内容の充実も必要であること。また、親同士の協働を支援する視点も必要であること。
 こうした意見を踏まえまして、2つ大きな見直しの方向性をいただいております。まず、主に大きく、(1)子育て家庭への支援に関する内容の充実に関しましては、関連する教科目の教授内容を体系的に整理した上で、こうした子育て家庭への支援に関する中心的な科目を新たに設定することが必要ではないか、このような観点から見直しの方向性をいただいております。
 まず、マル1といたしまして、子育て家庭支援に関する基礎的な理解の促進ということで、「子どもの育ちの支援」に当たって、より深く対象を理解した上での支援の充実、また、関連する教科目の教授内容を整理再編し、内容の充実を図る必要があるというところで、対応案をいただいております。
 教科目名の変更といたしまして、まず、現行講義2単位の「家庭支援論」につきまして、「子ども家庭支援論」、教授内容の集約整理に伴っての科目名の変更となっておりますが、子育て家庭の支援に必要となる知識の基礎的な理解の促進のため、現行の「相談援助」や「保育相談支援」の教授内容のうち、保護者支援の基本となる事項につきまして、現行の「家庭支援論」の教授内容と統合し、新たな教科目としての「子ども家庭支援論」の教授内容として集約整理する。
 また、現行の教科目「家庭支援論」の教授内容のうち、先ほどの論点にもありました「家庭の意義と機能」等につきまして、新たな教科目、先ほどお示しさせていただいた「保育の心理学」に移行することにより、子ども及び保護者、家族、家庭の理解について、一体的に習得させるというようにお示しさせていただいております。
 11ページ、マル2としてお示ししております子育て支援に関する具体的・実践的な内容の充実というところでは、実践重視の観点から保育士による具体的な支援に係る目標や教授内容について、再編整理し、新たな科目としての「子育て支援」に係る教科目の新設という見直しの方向性をいただいております。
 具体的な対応案といたしまして、教科目の設定につきまして、現行、それぞれ演習1単位の「相談援助」「保育相談支援」に係る教授内容につきましては、演習1単位の「子育て支援」という新たな科目に再編する。具体的な教授内容の再編整理といたしましては、現行の教科目のうち、保護者支援の基本的な事項について、先ほどお示しさせていただきましたように「子ども家庭支援論」に移行した上で、こうした子育て支援の実践的な事項につきましては、新たな教科目「子育て支援」の教授内容として整理・統合するという見直しの案をいただいてございます。
 論点5につきましては、12ページでお示ししております。保育士に係る現職研修の充実による資質・専門性の向上につきまして、関連する教科目「保育者論」の内容の充実につきまして、こうした「保育者論」の中での「養護的側面」の強調ですとか、専門職としての自覚、また、現場の保育士の具体的な行動をイメージできるような内容、また、キャリアアップの仕組みが連動した、連続性を持った仕組みの確立についての必要等の御意見をいただいております。そこを踏まえまして、(1)でお示しさせていただいております保育者としての資質向上に関する内容の充実につきまして、職員の質の向上について、より組織的な運営の下で自己研鑽を行うことの重要性に鑑みまして、関連する教科目の教授内容の充実を図る。
 具体的な対応案といたしましては、現行の「保育者論」の教授内容につきまして、組織的な施設運営の下でのキャリアアップの重要性、また、他の保育士等との協働に関しての理解を深めることができるよう、組織的な体制や取り組みに関する内容を含め、教授内容の充実が必要という見直しの方向性をいただいております。
 なお、こうした教授内容の変更が各指定保育士養成施設のカリキュラムに適切に反映され、実効性を持って教育が展開されるような工夫について、今後の留意事項としていただいております。
 事務局からは以上です。
○汐見座長 どうもありがとうございました。今の御説明について議論したいのですが、その前に、現在指定保育士養成施設に対してアンケートを実施しておりますので、その結果について事務局から御説明いただいて、その上で議論したいと思います。よろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。お配りしております参考資料2をご覧いただければと思います。横で棒グラフになっている資料でございます。保育士養成施設についてアンケートを実施することにつきましては、前回の本検討会で御了承をいただいたところでございます。今後の見直しに向けた検討に資するよう、保育士養成を直接担っております指定保育士養成施設を対象に調査を行ったものでございます。
 調査対象は669施設で、回収率といたしましては84.2%、563施設から御回答いただいたといった結果になっています。
 結果の概要でございますが、まず、1の「今後、さらに充実させる必要があると考えられる科目」につきましては、ベストスリーを挙げていますが、「乳児保育」、「障害児保育」、「保育内容演習」といったものになっています。
 2の「必修科目において、今後、整理・統合が考えられる科目」につきましては、「相談援助&保育相談支援」、「保育原理&教育原理」、「相談援助&家庭支援論&保育相談支援」といったところがベストスリーの御意見となっています。
 3の「更に充実させることが必要な内容」につきましては、「乳児保育に関する内容」、「1歳以上3歳未満児の保育に関する内容」といったところを充実すべきだといった御意見をいただいているところでございます。
 4の「養成課程の改定の方向性」につきましては、「養成校の創意工夫が可能なものとすべき」といった御意見をいただいています。
 5の「保育実習を充実させるための方策」につきましては、「事前事後指導を充実させる」、「保育実習の達成課題を明確化する」といったところにつきまして、必要だといった御意見をいただいております。
 3ページ目、自由記載欄といたしまして、いろいろ御意見をお伺いしたところでございますが、大きく6つに分けて整理しています。まず、「児童福祉の専門職としての保育士について」ですが、保育士については、保育所以外の児童福祉施設にも勤務しており、保育士が関わる部分は多方面にわたっている。施設種別ごとに高い専門性が求められるので、基礎的な学びの上に施設ごとに必要な知識、技術が高められるようなカリキュラムの検討が必要といった御意見をいただいています。
 また、「社会的養護」につきましては、施設保育士の専門性に関わる教授内容の充実が必要といった御意見をいただいています。
 「障害児保育」につきましては、障害児保育の実践について、現場のニーズも高く、理解を深める必要があるといった御意見をいただいています。
 右の欄に行きまして、「実習」につきまして、実践力を身に付けるための実習内容の強化が必要であるといったこと、また、2つ目の○でございますが、保育所以外の児童福祉施設で実習を行う際に必要な知識、技術等を学ぶ教育内容の充実を求めるといった御意見をいただいております。
 また、その下の「幼稚園教職課程」につきましては、保育指針におきまして、幼児教育を行う施設として共有すべき事項などが示されたといったことを踏まえて、保育内容に関する教授内容の充実が必要であるといったことや、幼稚園教諭の教職課程とのカリキュラムの整合性が必要であるといった御意見をいただいております。
 その他といたしまして、4年制と2年制の資格を区別した教育課程が必要ではないか。また、養成課程卒業後の国家試験を導入すべきではないかといった御意見もいただいているところでございます。
 アンケートの概要については、以上でございます。
○汐見座長 ありがとうございました。
御説明いただきました5つの論点について、見直しの議論をしていただいて、その御説明を受けたわけですが、それぞれについて私たちはこれから議論したいと思います。効率よく議論するために、論点の一つ一つに時間を設けて議論させていただきたいと思います。大体計算しますと1つ15分程度で75分になってしまいますので、申し訳ございませんが、長くなりそうであったら、今日はそこで切らせていただきます。後はメール等で意見をいただきたいということで、なるべく効率的に議論していただきたいと思います。
○山縣構成員 論点の追加は可能ですか。
○汐見座長 それは最後に説明します。まず、5つの論点について整理していただいたので、それについて御意見をいただきたいと思います。
 では、最初は乳児、1歳以上3歳未満児の保育について、見直し等の提案をいただいております。これについて御意見をお願いします。
 清水構成員、お願いします。
○清水構成員 ありがとうございます。清水です。よろしくお願いいたします。
 論点1、特に乳児、1歳以上3歳未満児の保育ですけれども、乳児というのが、どうしても0歳という解釈にもつながりますし、そこで名称として3歳未満児の保育であるとか、低年齢児の保育であるとか、何か表現を変える方が、今回の指針の改定に沿った形になるかと思います。
 また、単位数を講義2単位、演習1単位に分けるのではなくて、講義及び演習3で単位という形で括ってしまう方が、先ほどアンケートにもありましたけれども、養成校の創意工夫という点にもつながると思います。また、例えば、あるA先生が「乳児保育1」で講義の担当だから演習はしないとか、そのようなことになっても困ると思いますので、大括りにして養成校に任せる方が、また1、2の順番というのもありますので、演習から先にやる場合もあるでしょうから、養成校に創意工夫として委ねていただくというのはいかがでしょうか。
 論点1に関しては、私は以上です。ありがとうございます。
○汐見座長 確認させて下さい。2つ御提案がございましたが、最初は、「乳児保育1」、「乳児保育2」という形で出ているのを、例えば、「低年齢児保育」というような名称に変えた方が、乳児は0歳だけになってしまいますから、適切ではないかということですね。
 それから、講義2単位、演習1単位をきれいに分けるのではなくて、講義及び演習で合計3単位として、現場の裁量に委ねた方がいいのではないかという御意見です。
 今のことに絡めても結構ですし、ワーキンググループの方で、もし、そのことの議論があったら、また御説明をお願いいたします。
○小川副座長 授業の順番というところまでは議論していません。現在、「乳児保育」ということで演習2単位というものを充実させるには、しっかりと講義を2単位プラスして、演習を行うということが必要であろうということで、このようになりました。ただ、乳児というのが非常に理解されにくいと感じています。今まで「乳児保育」は0歳、1歳、2歳という形でしたから、そこが分かりにくいという話はありました。
○汐見座長 時間がないので、私の知っている情報をお伝えしますけれども、講義2単位、演習1単位という提案が何で生まれたかを聞いたのですが、前回の改定において、「乳児保育」は演習2単位となりました。きっちりと小さな子どもの発達はこういうものだとか、どういう環境が必要なのかということをきちんと理論でまず勉強した上でということをしないと、レベルが下がるのではないかという御意見がかなり強かったと聞いております。
 他に御意見はいかがでしょうか。網野構成員、お願いします。
○網野構成員 網野です。
 ワーキンググループで大変重要なところを多々検討されて、これほど重視されてきた0歳から3歳までの保育という点で、保育指針の中で定められた重要性を保育士養成の中で反映させるという方向では、非常に私は今までのいろいろな御意見なども含めて、大変充実することに向かっているということは感じます。
 今の御意見も含めて、関連しますが、実際のところ、演習ということになると、これまでの2単位は、先ほど汐見座長もお話しされていましたが、例えば、おむつの取り替え方などにウェートを置き過ぎ、それが演習だと受け止めかねないような部分は本当にあったのです。そのような趣旨で言うと、先ほどのお話のように、乳児あるいは1歳から2歳にかけての子どもとって、どのような保育が重要なのか、とか、実践面、制度面でのきめ細かい内容が往々にして欠けがちでしたので、そのような意味では、私は講義2単位とすることは大事だと思います。
 さらに、必ずしも保育所だけではなくて、社会的養護との関連性からも重要な部分がありますので、それらも含めて講義、そして、演習という点では、私はこの教科目の新設ということと、この非常に厳しい中で単位が増えたということは大変評価させていただいております。
○汐見座長 ありがとうございます。
 他にどうでしょうか。山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 論点1、2、3に共通しているところ、今日の説明もそうなのですけれども、保育所保育指針が改定されるという非常に大きな出来事がある。そのことは十分理解し、重要性も認識していますが、これがワーキンググループなり、この検討会の検討結果として出た場合に、少なくとも上の3つが全部保育所保育指針を中心にした説明になって、補足説明の中では、当然、18歳までのことを意識していますと書かれていたのですが、そのことをもう少し表現した方が、誤解が少ないのではないでしょうか。ここに書かれていること自体は、私は基本的には全く問題ないと思っています。そのことをもう少し見える形にしていただきたいというのが、共通した意見です。
○汐見座長 分かりました。これは、もう一つの論点でもあるわけですね。施設型の保育士と保育所保育士を今後、どう扱っていくか、これは大きな論点ですが、今回ははっきり記載した方がいいという御意見でした。
 教授内容等の充実、今は、2単位、1単位の話ですが、他の科目からシラバスをこちらへ移す形で教授内容を充実するというあたりは、これもよろしいでしょうか。また、具体的に今後、練られていくと思いますが、その方向性は確認したいと思います。
 もし、他にもありましたら、後でまた出していただくこととして、第2の論点に移りたいと思います。第2の論点は、今回、「育みたい資質、能力」、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」等々の形が出て、保育の内容、その計画、評価等について、教育施設として明確な姿勢を持つということが課題にありましたので、それに合わせた改定だと思います。このことについて御意見をいただきたいと思います。
 津金構成員、お願いします。
○津金構成員 津金でございます。
 今回の幼児教育の施設に共有すべき事項として、この2つが入りましたので、非常にここの部分は重要なことではないかと思います。ですから、このようにして、「保育の計画と評価」ですとか「保育内容の指導法」というところが見直されたことは、とても大事なことだと思いますので、留意事項とも重なってきますけれども、今回の幼稚園の教職課程との関連性といいますか、整合性ということが非常に重要になってくるかと思いますので、そのあたりも検討されていくとよいと思っております。
○汐見座長 ありがとうございました。
 ワーキンググループでは、そのあたりまで議論になっていましたか。
○小川副座長 もちろんです。ワーキングのメンバーの皆さんは養成校の教員ですが、幼稚園教諭も養成していますので、当然、そこのところは考えながら整合性を確保していかなければいけないということは、皆さんと確認しています。
○汐見座長 ありがとうございます。
 アンケートの中でも、幼稚園の養成課程のカリキュラムについて見直しが行われていて、5領域をしっかりと学習させるという柱が出ていますね。領域ごとに3単位ということで、講義と演習という形で、枠組みはその指導法という形になります。それに少し合わせる形で「保育内容の指導法」で演習4単位という提案がなされているわけで、将来的に保育教諭の養成課程がこれにかなり近づいていきますので、これは大事な論点になっていくだろうと思います。
 このあたりについて、御意見はございませんでしょうか。清水構成員、お願いします。
○清水構成員 清水です。
 これについては質問をさせていただきたいのですけれども、系列という部分はそのままになるということでしょうか。系列としては、ここは「保育の表現技術」という系列名が入っていると思うのですけれども、この「保育の表現技術」の系列の中で、例えば、この「保育内容の指導法」という名前になると、前のいわゆる教科に関する専門科目の表現技術的なものが残ってしまうような気がしますので、それよりも5領域という領域を意識した形の方が、より幼稚園教員養成の方との整合性が高まると思いますので、この系列の見直しといいますか、それについてもお願いできたらと思います。
 この「保育の表現技術」については、キャリアパスの研修ができましたので、そこにもいわゆる表現技術がありますので、この系列そのものをなくしてしまう、あるいはこの系列は選択科目の方に回してしまう。そういう手もあると思います。以上です。
○汐見座長 こちらのカラー版の資料1-2の2枚目を見ていただければ分かりますが、保育士養成課程教科目のカテゴリー分類がございまして、大きく教養科目と必修科目に別れていて、そして、その次は系列というカテゴリーがございまして、ここに合計6つある「保育の本質・目的に関する科目」の系列、「保育の対象の理解に関する科目」の系列、「保育の内容・方法に関する科目」の系列、「保育の表現技術」という系列、「保育実習」という系列、「総合演習」という系列と、6つになっているわけですが、こういう形で今回、改定が出る。ただ、この系列というカテゴリーというものが必要なのかどうかについて、将来的に幼稚園との整合性を図っていくといった場合に、幼稚園はこういう系列ではないわけですね。ですから、そのあたりをどう議論されたのかということについての御質問でした。
 鎭目専門官、お願いします。
○鎭目保育指導専門官 今回小川座長からの、全体をまず教授内容や目標等に従って構造的に把握した上で、それぞれの教授内容について関連を含めての検討を行ったという御説明のとおりでございます。その中で、ワーキンググループの中では、こうした現在の示し方についても、一定の検討は必要という議論は、まだまとまらない段階ではございますけれども、まずは、それぞれの関連性について、また、教授内容そのものについて、今回見直しの提案ということでございますので、この後、また、議論が終わりました後、スケジュールの説明の中に入ってくるところでございますけれども、本日いただいたような御意見も踏まえて、ワーキンググループで御検討いただくことになるのではないかと思います。
○汐見座長 ありがとうございました。
 引き続き、ここは整理されていけば、当然、テーマになってくるということもあると思いますので、課題として引き取っていただくということです。
 他にどうでしょうか。今のところは「保育課程論」が「保育の計画と評価」という、既に私が様々な場で説明した「評価」という言葉をどう理解するかという点は、現場はかなりきちんとやらないと混乱します。「よくできました」、「できました」とつけるのですかといったことを言われ、それは評定だといったことを説明しないといけないのですが、評価という言葉に対して、警戒心があるのですね。ですから、ここは丁寧にやっておかなければいけないところなのです。でも、評価のない教育などあり得ないわけですから。
 それと同時に、「保育の表現技術」というところは、少し曖昧だったものを「保育内容の指導法」という形ではっきりとした。ここは5領域というものをかなり念頭に置いて指導法を考えていくということになっていくと思います。育ってほしい姿というものを念頭に置いたときに、具体的にその指導法を含めて考えていくということがつながっていくのだと思いますが、ここはとても大事になってくるのだと思うのです。
 特に意見がないということでしたら、後で気が付いたらメールで結構ですので、事務局にお知らせいただきたいと思います。
 では、先へ進めたいと思います。論点3「養護」、ここはたくさんの改定点が出されていますけれども、特に、「養護と教育」の一体的展開ということを言ってきていますので、少し整理しながら、きちんと教育していくために、4点整理されています。これについて御意見をいただきたいと思います。
 山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 山縣です。
 ここは、論点の中身、方向については大きな異論はありません。ただ1点、もともと気にしているのは、今回の保育指針の改定で「養護」が「総則」に書かれるということになって、そのことについては、今の段階では了解をしているのですけれども、指針の中身でも、結局、「養護と教育」の一体的提供という言葉が、「総則」で2回しか出てこないのです。「保育の内容」のところには一言も出てこなくて、これは、幼稚園教育要領で言うと、教育のねらい及び内容と中身が、3歳以上については一緒にしたところも私は評価をしているのですが、そこで誤解をされてはいけないと思っているのは、いわゆる幼稚園教育と同じものをすればいいのだと誤解されないように、2章の「保育の内容」においても「養護」を意識し、今後、シラバス案のようなものを提示されると思うので、そうしたものの中で、ここまで幼稚園教育要領と一緒にする必要はないのではないか、「養護」というものをきっちり意識したシラバスづくりをお願いしたいということです。
○汐見座長 今、確認しているのですが、2章のところに「養護と教育」を一体的に展開するという言葉はなかったですか。
 鎭目専門官、お願いします。
○鎭目保育指導専門官 保育所保育指針の記載について、補足的に御説明させていただきたいと思います。
 今、山縣構成員から御指摘いただきました「養護と教育」の一体的展開、この重要性につきましての保育所保育指針についての記載箇所について、第2章におきまして、各年齢区分、乳児、1歳以上3歳未満、3歳以上、それぞれに「基本的事項」を冒頭に設けておりまして、そこの中で、各年齢の発達の基礎的事項、それに加えまして、年齢ごと、それぞれにおいて「養護と教育」が一体的に展開されることが重要である旨を、第2章においても記載してお示ししているところでございます。
○汐見座長 それぞれに入っている。
○山縣構成員 中身のところに入っていない。領域のところに入っていない。違いますか。
○鎭目保育指導専門官 それを踏まえての、年齢ごとの領域を一体的に取り組むもの、保育の内容として展開することという形での示し方をしているということでございます。
○山縣構成員 若干、私に誤解があったかもしれません。取り下げます。
○汐見座長 私もそれが気になって調べてみたのですけれどもね。「保育の内容」というところのいわば前書き的なところに、前回の指針と同じような終わり方で、「養護と教育」が一体的に展開されるものだということがあって、その上で5領域というか、0歳は違いますけれどもということですね。
○山縣構成員 今の意見を修正させてください。ねらい及び内容が幼稚園教育要領と全く一緒になっているということが私の一番言いたかったところで、それが誤解されないようにと。
○汐見座長 24ページの一番下のあたりでも1、2、3歳ですけれども、「養護」のねらいと内容が一体的にという形であちこちにちりばめられているとは思います。ただ、「養護」が「総則」に来たということで、「養護と教育」の一体的ということが逆に曖昧になったのかという意見がございましたので、今、鎭目さんと同じように答えているのですけれども、別にそれを曖昧にする、幼稚園と同じようにするということではないということです。幼稚園だって、本当は「養護と教育」を一体的に展開するということは、本来は課題ですから、私は幼稚園に行くときは、この「養護」のところをしっかり読んでくれと逆に言っているのですけれどもね。
 津金構成員、お願いします。
○津金構成員 今のことに関して、保育所保育指針で、「総則」のところに「養護」が挙がったということは、非常に大きな意味があると私は捉えておりまして、1章の「総則」に挙げられたということは、2章、3章全部に関係していく最重要事項だと思っておりますので、そういった意味で理解をしていくことが必要ではないかと思います。幼稚園においてのねらい、内容と同じということではあるのですけれども、幼稚園においても、先ほど汐見座長がおっしゃったように幼稚園の方も安定した情緒の下でということが基本になっていますので、「養護」とは書いてありませんが、情緒の安定といったところでは、それが教育の土台として非常に重要なものであるので、決して一面的な教育というところが抜き出されたわけではないと理解しております。よろしくお願いいたします。
○汐見座長 ありがとうございました。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。
 今のお話を伺っていて、私たちは今回の指針が「総則」に「養護」がきちんと書かれたということで、保育の内容がすごく整理されたと感じます。分かりやすく保育を職員にも保護者にも説明がしやすくなったという意味では、この「養護」の観点での教科ですけれども、どうぞ全ての教科において同じ温度差で「養護」のことを語っていただけるような、そういう教科の内容になっていただきたいなと思います。それぞれの先生方が御講義されることと思いますけれども、それも含めて、皆さんに同じ視点で「養護」を捉えていただきたいということは、是非お願いをしたいと思います。
 それと、実際の保育に即した今回の組み立てができたのかなということになりますので、多分学ばれる学生さんも出てきたときに、この現場と実際の保育と学んできたことが非常に適合しやすくなるのではないかということは私の方からは感じました。以上です。
○汐見座長 ありがとうございます。
 網野構成員、お願いいたします。
○網野構成員 今の村松構成員の最初に触れたことも私は本当に大事だと思って申し上げたかった一つなのですが、「養護と教育」の一体的展開というのは、保育の中核にあるものですね。今回は、必ずしもそのような科目的な名称では出てはこないけれども、先ほどの鎭目専門官の御説明の趣旨から言うと、結局、保育そのもの全てを網羅しているくらいの重い内容だったと思います。コアカリキュラムという言葉がありますが、いろいろ定義もあるので、ずれもあるかもしれませんが、保育の中核的な捉え方として、「養護と教育」が一体的に展開されるということの重要性を今度の改定の中で、保育士養成課程で非常に重視して、しかも、それを常に視野に置きながら、教員が講義や演習、実習で関わるということの大きな一つの可能性を示しているかと思うのです。
 そういう点では、体系図がイメージとして示されましたが、この中でも、もしこれからの養成課程では科目や全体の位置付けということで体系図を書く場合には、ある種のコアカリキュラム的な意味で「養護と教育の一体的展開」ということは、全てに関わるということが見えるような内容にすることを非常に強く期待いたします。そういう意味では、教授内容等、全てが充実する中でそれが入ってくると思うのですが、例えば、7ページの案の中にあります(2)のマル1を例に挙げますと、子ども及び子どもの家庭に関する包括的な理解の促進というところの例で言うと、対応案として「保育の心理学1」を4単位にする。単に、この内容だけが説明されると、おそらく「養護と教育の一体的展開」に「保育の心理学」がどう位置付けられるのか。まずは、講義する担当の教員の理解が大変だと思います。それぞれの科目の、何よりも「保育原理」、「保育者論」、「保育内容総論」など、また、「教育原理」は当然含まれるでしょうが、そういうものそれぞれについて、「養護と教育の一体的展開」というときの「養護と教育」をこのように学生に伝えていきましょうというものがさらに充実した形で示されると、今回は一つのステップアップとして「養護と教育の一体的展開」をこれほど重視してきている要素としては、望ましいのではないかと思いました。
○汐見座長 ありがとうございます。
 この作業はもう少し進めていかなければいけないのだと思いますけれども、「養護」という言葉の意味も教育する人によって微妙に違っている現状があると思うのです。私などの理解では、もともと戦後の学校教育ができるときに、倉橋惣三氏が幼稚園は学校として入れた後に、幼稚園は子どもを教育すると書いたものに対して、それは違うと言った。教育と書いてしまうと、小学校との区別がつかない。ですから、教育するのだけれども、幼児期の教育には特別な配慮が要る。それは、保護しながら教育するしかないのだということで、保護プラス教育ということが本来の姿だから、この保護の「保」と最後の教育の「育」をとって「保育」とすべきだということです。
 あのとき、厚生労働省が保育所を「保育」と言ったのに対して、どう違うのだということになって、それも論点になったのです。厚生労働省の方は保護・養育、文科省は保護・教育という形で、同じ「保育」でも微妙に意味が違うのだと、そういうものを残してしまったのです。保護しながら教育しないと、幼児期の教育が成り立たないという、その保護の中身を、さらに赤ちゃんまで含めて、それをずっと深めてきたのは、実は保育所の方ですね。それを「養護」と言ってきて、養護的な環境、養護的な関わり方ということなしには、教育は成り立たないということですね。だけれども、それは下手をすると心構え論的だけになってしまう。それも少し違うのだということで、今回、この4つを出していただいて、私はすごくなるほどなと思って聞いていました。
 まず、子どもをしっかり理解して、つまり、子どもの発達を本当に深く理解して、子どもの気持ちが分かった上でないと保育はできないのだということになり、子ども理解ということが「養護」につながっていくという形で、単に心構え論ではなくて、家庭のことが分かって、例えば、貧困の問題は、子どもの行為にあらわれているのだということを分かって、その子に対して接していくということ、それは全て「養護」になっていくわけですね。
そういうようにして4つに分けてくださって、「養護と教育」というのは、実際には、こういう形で展開されるのだということが整理されたということは、かなり大きな前進なのではないかと思ったのです。今、網野構成員がおっしゃったように「保育の心理学」を教える人が、そういうことを理解してやっているかどうかとなると、そのあたりはもう一つハードルをつくらなければいけないのかなという感じもいたします。
いずれにしても、ここはかなり議論して、4つの形の提案が出ているということですね。これについて、もし御意見があればお願いします。
 清水構成員、お願いします。
○清水構成員 何度も申し訳ございません。清水です。
 (2)の部分の「保育の心理学1」です。これを考えるに当たって、少し大きな話をさせていただけたらと思うのです。それは、例えば、保育や保育実践の質というものが何か。保育士はその向上を図れるかどうか。これは、今回の指針の5章の研修にしっかり書き込まれたことも考えますと、質の向上というものを非常に見越した形だと思うのです。では、どうしたら質の向上を図り、それを保育士が示すことができるかというのに関して、私は実証研究という、研究が必要ではないかと思います。実証研究ができるような、あるいは実証研究が分かるような学問的な基礎や基盤を持った養成ができたら、保育士が自分たちの保育の質をどんどん上げていけるのではないかと思います。
 そこで、この「保育の心理学1」を4単位にしていただいたのですけれども、その中で、できれば発達心理学や教育心理学のような学問的な基盤の下で、この授業をある程度展開していただけたらと思います。これは教授内容の目標の中に「発達心理学、教育心理学などの知見に基づき」という文言を入れていただくだけでよいと思います。また、これらの学問の研究法を学ぶこともよいと思います。
 この「保育の心理学1」に関しましては、その次のところにも「保育の心理学2」を「子どもの理解と援助」という形でやったらどうかという案を出していただいています。ただ、私自身は、この「保育の心理学2」という名称でこれまで同じことをやってきているのではないかという気もいたしますので、それほど名称変更を強調する必要はないと思います。その意味では、例えば、「保育の心理学」講義及び演習として5単位という手もあるかと思います。これをすると、例えば講義2単位、演習3単位で展開する、そのような養成校も出てくるかと思います。まさに、これも養成校の創意工夫につながると思います。
 以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 単に「養護」ということを心構え的にするのではなくて、保育者の力量と、ある種の研究的保育者というのでしょうか、そういうものにつながっていくようにするための科目という形にできないかという御提案だと思います。
 今、お伺いしていて、私が関わっている保育園で、全職員に、1つの項目でいいから、保育をやりながらずっとデータをとり続けてくださいと言っています。何のデータでもいい。子どもが絵本を読んだ時の反応の仕方についてだけのデータでもいいから、とにかく自分がもっと知りたいことについて、しっかりやっていく、子どもの気持ち、心というのはもっと分かってくるというか、保育が科学になっていく一つのことだと思ってやっているのですが、そういうことのベースを養成校できちんと学ぶということをするというか、これは「保育の心理学」が「養護」というだけではなくて、もう少し膨らみのある科目、養成ということで今、受けとめたのですが、そういう意見が出たということで、また少し御検討いただければと思います。どうもありがとうございました。
 余り時間がないのですが、もし、このことについて、他にご意見がなければ、先に進ませていただきますが、よろしいですか。
 それでは、論点4に移りたいと思います。ここは保護者の子育て支援のことについてですが、これについては、これまで「家庭支援論」や「保育相談支援」、「相談援助」等の科目が統合されないままだったのが、この機会に整理し、統合しながら実のある力に結びつけたいという構成になっています。これについて、御意見をいただければと思います。
 宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 宮田でございます。
 今回、「相談援助」と「保育相談支援」をまとめていただいて、「子育て支援」として整理していただいたのですが、これはこれで私はよく整理をしていただいたのだろうと思っております。ただ、単位が減ってしまっているので、この辺の重要性をうまく文章の中に書いていただく。特に、冒頭1ページに児童虐待相談数の増加などということが書いており、平成20年が4万2,000件、平成28年速報値で12万2,000件、8年で約3倍になっているという背景も含めて、しっかりとそういうことに対するケアもしていくということを、書きぶりの中で、決して後退しているのではなくて、充実していくということが見える記載にしていただいたらなと思います。
 以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 虐待等への対応で、保育所の果たす役割はますます大事になってくるということですので、そういう力をどう養成していくかということですね。
 山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 何度も申しわけありません。山縣です。
 ここも、保育所保育指針の範囲内で言うと、私はこの提案は十分良いものではないかと思っていますが、社会的養護関係で言うと、児童福祉法の改正とか社会的養育ビジョンの中で、家庭復帰なり、親子再統合の支援ということが明確に出てきた。そうすると、ここに入れるのに若干違和感があるかなと思いつつ、今、出ていないのですが、「社会的養護」の演習あたりに、そういう家族関係、親子関係再構築のようなことを意識した取り組み、教授内容を求めるということはいかがなものかと考えました。
○汐見座長 大事だけれども、難しい要請かもしれません。今、山縣構成員がおっしゃってくださったのは、虐待等について、アメリカなどでは、虐待した親を離して、子どもを守るということはやってきて、その親をどう支援するかということが、日本の場合は非常に弱いのです。  
虐待している親を支援するというのは変な言い方ですけれども、親子の再統合をどう支援していくかということをやらないと、繰り返していくわけです。そういうことが、実践の中では大きな課題になってきて、日本では制度的には、まだこれからなのですけれども、そういうことをどこかで学習しておく必要があるのではないかというのが今の御意見だったと思うのです。そういう御意見が出たということで受け止めたいと思います。
 網野構成員、お願いします。
○網野構成員 網野です。
 この論点4も、本当に充実しなければならないという点では全く共通だったわけで、その点の一つの方向が示されたということで、私も内容的にはこの内容で良い方向を考えられるかなと思っている一人です。
 先ほど、論点3でも触れたのですが、コアカリキュラムほどではないのですが、論点4も児童福祉法の第18条の4で示している保育士は何をするのか、どのような専門職かという点で言えば、子どもを保育することと、保護者を支援することです。この保護者を支援するということについて、保育士養成においても、まだ不十分であると思いますが、今回、こういった方向で進める意義は非常に大きいと思います。
 コアカリキュラムほどではないにしても、そのような点から言えば、かなり多くの科目の中でも関連している部分があると思います。「社会的養護」の内容もそうですし、「社会福祉」や「児童家庭福祉」もそうですし、何かもう一歩踏み込めば、そのような趣旨で今度の保育士養成の基準なり、進め方の中にその視点も入れていただければ、仮に科目が統合されて単位数が変化したとしても、その重要性はしっかり踏まえていけるのではないかと思いました。
 とりわけ「社会福祉」では、「社会福祉における相談援助」という、かなり専門性の深い保育ソーシャルワークの理論と実践について教わることになっているのです。しかし、教員によっては、制度面に時間を割いてソーシャルワークの部分のウエイトが非常に低くなってしまうおそれもあります。でも、そこで「相談援助」の基本を本当にしっかり学ぶことができれば、保育ではどうなのだろうという、この今回の趣旨がもっと活きてくると思いますので、単に「相談援助」が子育て支援にまとまってというだけではない質的な要素も御配慮いただき、そこにどう触れるかですけれども、そのような意味でいえば、今度の内容は、さらに保育を進める上でどうなのか、あるいは社会的養護を進める上でどうなのかということがもっと見えてくるかと思いました。
○汐見座長 ありがとうございます。
 今、山縣構成員、網野構成員から出された意見は、「保育の心理学」を講義4単位にして、家庭の意義と機能等について、心理学の枠の中で講義されることになっているのですが、これが「子育て支援」、「子ども家庭支援論」の中でも語られなければいけないというテーマにもなってくるので、心理学を担当する方がソーシャルワーク等々についてかなり研究されている方だったらいいのですが、そうではなかった場合に、その辺が少し曖昧になる可能性もあり、そうした懸念も含んだ御提案だったと思います。なかなか悩ましいところですので、どのように対応するか議論していただきたいという御要望と受けとめたいと思います。
 小川副座長、何かございますか。
○小川副座長 教授内容の再編成について、一番頭を悩ませているのは、中身を本当にシラバスにどのように落とし込むかということが一番重要なことと考えているのですが、単位数については、今の68単位を超えることができない。68単位にするためにはどこをどうしたらいいのかということを調整しながらやっています。
 本当は、もう少しこういう科目があったらいいということも思うのですが、今回はとにかく総合的に保育士養成をもう一回考えましょうという形で、今までの組み合わせといったらいいのでしょうか、今までの系列とか、そういうことは置いておいて、もしかしたらそれが変わる可能性はあるのですけれども、本当に大事なことがそれぞれの科目の中にどう落とし込めるかということを主に考えて、今に至っています。 
そのため、本当にまだ案の段階ではあります。ただ、今、先生方がおっしゃることはそのとおりなので、それをどのように落とし込むかということがワーキンググループの仕事かなと考えています。
○汐見座長 ありがとうございました。
 そういう論点が出たということを是非また議論していただきたいと思います。論点4について他にないようでしたら、論点5に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、論点5です。これは保育士の資質・専門性の向上のための科目の改変についてであります。ここについての御意見、ここは科目を大きく変えるということではなく内容を充実するということなのですが、いかがでしょうか。特にないですかね。
 指針の改定の中で、第5章ですけれども、キャリアアップを構築するということと、もう一つは、職場の中で、例えば、事例検討会をきっちり行う等、自分たちで力量を高め合うような職場づくりみたいなものがうたわれていて、それと連動したような教育にしていくということだと思うのです。そのことはここで確認されてはいるのですけれども、いかがでしょうか。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。
 質の高い保育士はどういう姿を言うのだろうと、いつも考えることがあります。最終的には振り返りをして、それをちゃんと省察できるか、そして、そのことをきちんと次の保育につなげることができるかというPDCAのサイクルをきちんと理解している保育士であることが求められると思います。そのことは、実践をしながら感じとっていくものかもしれませんけれども、もともとそういうものがあってこその保育の質の向上がなされるのだということは、学生のうちからその意識を高めておくことはとても大事なことだと思っています。
 それと同時に、保育所という職場で、社会の中で、協働性とか同僚性とか、それらの意識をきちんと持って、社会人として自分たちが育成をされていくということの必要性もきちんと押さえた上、だからこそ研修が必要なのであり、他の保育士から学ぶことや、他の職員との連携をしていくことが必要なのだということの関連性も理解した上で、保育士となっていただきたい。単に子どものことだけではないですよということの理解はしてほしいと思います。
 以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 あとは御自由に御意見を出してください。発言されていない方も、どうぞ。
 近喰構成員、お願いします。
○近喰構成員 近喰と申します。
 今、村松構成員がおっしゃっておりましたように、学生時代に学び続けることの意味をしっかりと教えておく、教え込むことが必要なのではないかということは常々感じております。ですから、この枠組みとはまた異なっているかもしれませんけれども、総合演習等を通して問題意識を明確にし、そして、社会につなげていくということをぜひ明確にしてほしいなということを感じております。
 以上です。
○汐見座長 そうですね。保育士は何を学ぶことがいいのかということも、大変大きなテーマです。ただ、学び続けるという姿勢がない限り、すぐに挫折してしまうということがありますので、そのあたりはぜひ強調していただきたいということですね。
 津金構成員、お願いします。
○津金構成員 津金です。
 論点2と論点3にも関わってくることだと思うのですけれども、共有すべき事項として「育みたい資質、能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということが挙げられているのですが、今回のこの2つについては、かなり表面的なところではなく、その内面に潜む子どもの力といいますか、学びの力みたいなものを読み取り、よく見て理解するという、保育者の感性と子どもを捉える目が問われる内容かなと思っています。これは、保育所だけではなくて、幼稚園も認定こども園も幼児教育施設は全て同じなのですけれども、そういったことに関しては、研修なくしては、その質は高まらない。
論点3の(2)で学習の過程とありましたけれども、そういった過程が何なのかといったところが、生活や遊びの中で子どもたちがどのような資質、能力を育んでいるのかという過程の姿、それから、単なる点数や学力の勉強ができるというようなことではなくて、学びの質といったものがちゃんと確保されるような過程が非常に重要になってくると思うのです。そうしますと、本当に保育者の資質、能力といったものも問われることになりますので、是非、それは研修として位置付けていかなければならないことだと思っています。
○汐見座長 ありがとうございました。
 今、一通り議論していただいて、何点か意見を出していただきましたので、それを受けて、引き続き、ワーキングで頑張っていただきたいと思います。
 残された時間に「5.その他の主な意見」が13ページに書かれていまして、ここにもそれぞれは相当大きな問題なのですけれども、大事な論点が出されているということを感じます。これに関して、何か御意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
 宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 宮田でございます。
 実習施設における実習指導担当者の要件等の検討が必要だと思います。これは前回ヒアリングでも指摘があったように、今回のアンケート結果でも、実習については重要視されておりますし、アンケートの2ページの5の実習のところで、「事前事後指導を充実させる」「保育実習の達成課題を明確化する」「保育実習先の保育所等における実習指導担当者の要件を設ける」というようなことがトップスリーで述べられております。
事前事後指導を充実させるとか、達成課題を明確化するとかといっても、結局現場の実習指導者がきちんとそれを理解してフォローしていただかないと、学校で幾ら丁寧にやっていただいてもなかなか実効性が上がらないということがあるのだろうと思います。実は私も10年ぐらい社会福祉士の養成課程で教員をしておりまして、その実習の時もそういうことを感じましたので、実習指導者の要件は非常に重要になってくると思います。ますます施設ごとの実習指導者の格差が大きくなっていくように聞いておりますので、実習指導者の資格要件を明確にして頂きたい。これはこの場で検討するということではないかもしれませんが、是非よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○汐見座長 それは既に論点として出されたことですね。ソーシャルワーカーの実習と同じように、実習担当者がちゃんと講習を受けるべきかどうかというのは論点になっておりますので、そういうことを含んだ養成課程を充実することができるかどうかということを検討していただきたいということです。
 山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 追加意見として2点、できたら今回対応されたらどうだろうかというのが1点、あとは継続課題になると思います。
 1点目は、今回の検討は、主に改正する、変えるものについて中心に議論されていますが、残ったもので、中身の深いところではなくて本当に言葉だけの問題なのですが、「児童家庭福祉」という言葉で、そこに「児童」が残って、あとは「子どもの保健」、全般にずっと「子ども」として説明してきているわけですね。法律を変えることはできませんけれども、ここは中身を示しているだけなので、少なくとも「子ども」に合わせてはどうでしょうか。厚生労働省も子ども家庭局にしたわけですから、あえてここを「児童家庭福祉」にする必要はないのではないか。学会も、子ども家庭福祉学会という名前が存在しますし、社会的にも通用するのかなと思っています。できたら、ここは今回の中で対応されたらどうかと思っています。
 2点目は、今すぐには難しいと思うのですけれども、幼稚園教諭が、もう現職が10万人を切ってしまっているのです。一方で、幼保連携型認定こども園の保育教諭が7万人を超えて、恐らく数年後には逆転するという状況になる。一方、保育士は保育所に35~36万、その他の児童福祉施設で1万5,000~1万6,000で、37万人ぐらいいるとなった時に、保育士養成のところで、少なくとも社会的養護は先ほど言いましたので、幼保連携型認定こども園をある程度意識した説明といいますか、そういうことが求められる時代が来ると思っています。そのことは、幼稚園教諭の養成課程においても、出口が認定こども園になる可能性がどんどん高くなることを意識し、今後、やるべき課題ではないのですけれども、そちらの検討でもそういうことを意識していかれたらどうでしょうか。これはすぐ今回対応しましょうということは考えていません。以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 先ほどの「児童」を「子ども」とするということについては、法律的には我々が簡単に動かせませんけれども、この範囲で使うということで限定されて了解されれば、ある程度は可能だと思いますので、検討していただきたいということです。
 今、もう一つおっしゃってくださいましたけれども、この「5.その他の主な意見」の中にも出ているのですが、検討会の中では、例えば、保育士養成課程を4年制にするということ等もいずれは議論しなくてはいけなくて、前はかなりやったこともあります。ところが、現在、社会的なニーズを考えて、全て4年制にするというよりは、保育士は足りないわけですから、何とか現場にいていただかなければいけないから、68単位を大きく超えるということは今のところ考えないでやっていくということでやっているわけです。
 その上で、専門性を高めるためには、4年制の人たちも必要なのではないかという議論に対して、どう対応していくかということがあって、すぐに制度的に対応するよりも、キャリアパスという制度をしっかり作っているわけですから、そこで、キャリアパス制度をしっかり運用し、就職後に、さらに研修を受けながらもう一つ上の資格が取れるような仕組みをつくる方が現実的であるということですね。
そうすると、キャリアパス、上に行くための研修の内容について、我々は検討する必要がないのかという課題が出てまいります。これとの関係で作るしかないわけですから、そのあたりが意識されていかなければいけないというのは、ここに既に出ているのだと思います。
 それと同時に、今度は保育教諭の話が出てきましたが、保育教諭がどんどん増えてくる。やがて保育教諭が幼稚園教諭より多くなる。さらには保育士と同じぐらいいるのだということになってきますと、保育教諭の養成課程ということについて、現実的なテーマになってくる。そうすると、幼稚園と保育所の両方を取るということになりますから、かなり重なりを意識したようなものを作っていかなければいけなくなりますね。
そういうことを念頭に置いた上でどう重ねていくのかを考慮した養成課程を考える。いろいろなファクターがありますので、上手に先を見ながら、しかし、現実的に今はここがベター、あるいはベストだろうという形を模索するわけです。そういう点で、まだまだ課題は残ると思いますけれども、なるべく現在のところで最善だと言えるプランに移行していきたいと思っております。
 何かこれはどうしても検討してほしいということがございましたら、ご意見を出してください。これは期限がありまして、今年中にある程度目途をつけておかないと、3月には告示しなければいけないということになりますので、そんなに悠長にはやっていられないのですけれどもね。
 網野構成員、お願いします。
○網野構成員 今日資料で参考としていただいておりますが、保育士養成課程の教科目と保育士試験の科目ということで、この2つの方式で、今、保育士の資格が取得されていますけれども、おそらく今後のスケジュール案については、この後、御説明があるのでしょうが、今、座長のお話にもありましたように、今後のスケジュールの中で保育士試験の科目等の見直し案の整理というものも入っておりますので、一言申し上げたいと思います。
 論点3で随分いろいろ議論がありましたが、子育て支援の重要性という点で言いますと、ずっとこのところ改定がないために、子育て支援に関係する試験科目がありません。結局、便宜的に「社会福祉」や「児童家庭福祉」など、他の科目の中でいろいろ進めているというのが実態です。この重要性を考えたときに、試験で受験する方々にとって、保育ソーシャルワークの視点はあまり深く身に付いていないという心配を感じることがよくあります。したがって、この今日の議論のような、今度の保育士養成課程で重視されていることを試験科目と対応させた場合に、確実に科目としては子育て支援のような科目が入る状況になっているのではないかと思いますので、一言申し上げさせていただきます。
○汐見座長 大変大きな論点を出していただきました。それについては、いずれまた議論したいと思いますけれども、そういう意見が出されたということだけ議事録に残したいと思います。
 あと、先ほど清水構成員が出してくださった意見の時に言い忘れたのですけれども、横の体系図のイメージで、事務局の方で相談して作ってくださったのですが、これは先ほどの系列ではないですね。「基礎的事項」と「専門的事項」、そして「総括的事項」というものとプラス「教養科目」、そういう枠で科目を作ってみたらどうかという、実は漠然とした提案にもなっているわけです。
これは決まったものではないと思うのですけれども、例えば、こういう括り方があり得るということで、議論する必要があると思います。
 どうもありがとうございました。他にございませんでしょうか。
 それでは、今日の様々出されました意見を、事務局で整理していただいて、次回の論点にしたいと思います。それから、ご意見がございましたら、事務局にメールでお寄せいただければと思います。
 それでは、今後のスケジュールについて、お願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。
 今後のスケジュールにつきまして、御説明いたします。お配りしております資料2をご覧いただければと思います。今までの検討経過を資料の上の方に書いています。
 今後の予定といたしましては、10月下旬頃から11月中旬頃にかけまして、本日いただきました御意見等を踏まえまして、もう一度、ワーキンググループで議論したいと思っています。また、御説明いたしましたアンケート調査結果を踏まえた見直し案や保育士試験の見直し案の整理もワーキンググループで整理をしていきたいと思っています。
 整理をした内容につきましては、11月下旬から12月中旬頃までに本検討会を開催いたしまして御報告をさせていただき、その際に養成課程の見直し案といった一定の取りまとめの形でお示しできればと思っております。
 その後、今年中を目途に養成課程の見直し案といったものを取りまとめたいと思っております。
 スケジュールについては、以上です。
 また、座長から言っていただきましたが、本日時間が限られていましたので、十分御意見をいただける時間もなかったかと思います。再度資料を見ていただいて、追加の御意見等ございましたら、連休明けの火曜日を目途に御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 この議論は、養成校のカリキュラムを変えることになるわけですから、きちんと納得のいく説明ができるような形で私たちも議論を詰めておく必要があると思います。短い期間ですけれども、集中して、このことに関心を持っていただいて、積極的に御意見をお寄せいただければと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
 今日はありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会(平成27年6月から)> 第8回保育士養成課程等検討会(2017年6月22日)

ページの先頭へ戻る