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2017年6月22日 第7回保育士養成課程等検討会

子ども家庭局保育課

○日時

平成29年6月22日(木)13時から15時


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール4B


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、阿久澤構成員、阿部構成員、網野構成員、近喰構成員、清水構成員、津金構成員、宮田構成員、三代川構成員、村松構成員

関係団体

一般社団法人全国保育士養成協議会、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育士会、日本子ども・子育て支援センター連絡協議会

厚生労働省

巽保育課長、楠目企画官、川島課長補佐、高辻保育指導専門官、鎮目保育指導専門官

○議題

○川島課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第7回「保育士養成課程等検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、本日は関係の団体の方からヒアリングを予定しておりますが、今日のヒアリングに御出席いただいている各団体の方につきましても、誠にありがとうございます。
 本日の構成員の出欠の状況でございますが、本日は11名の構成員に御出席いただいております。前田構成員と山縣構成員からは御欠席の連絡をいただいております。また、阿久澤構成員の申し出により、代理として栃木県保健福祉部こども政策課子ども・子育て支援班の齋藤様に御出席いただいております。
 また、今年4月から新たに構成員に就任されました津金構成員につきましては、前回の検討会を御欠席されておりまして、本日初めての御参加になりますので、改めて御紹介させていただきます。名古屋学芸大学ヒューマンケア学部教授の津金美智子構成員です。
○津金構成員 この検討会は、初めてでございますので、皆様の話題についていけるかどうか心配でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 よろしくお願いいたします。
 本日の議事(1)のヒアリングのため、関係団体から御出席いただいておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
 一般社団法人全国保育士養成協議会会長の山崎美貴子様です。
 社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育士会会長の上村初美様です。
 日本子ども・子育て支援センター連絡協議会理事の柳溪暁秀様です。
 同じく理事の甲斐恵美様です。
 本日はよろしくお願いいたします。
 議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。お配りしている資料ですは、
 議事次第
 資料1-1 全国保育士養成協議会提出資料
 資料1-2 全国保育士会提出資料
 資料1-3 日本子ども・子育て支援センター連絡協議会提出資料
 資料2 第6回保育士養成課程等検討会における主な意見
 参考資料1 今後の検討スケジュール(案)
 参考資料2 幼稚園教諭の養成課程の見直しのスケジュール
 以上7点となってございます。資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。汐見座長、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 皆さん、こんにちは。
 今回、保育士養成課程等の見直しに関する検討会のテーマは関係団体からのヒアリングということになっております。関係団体の皆さんには、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日、3つの団体に御参集いただいていますが、各団体に概ね20分程度、御説明をいただいて、その後、10分程度質疑をするという形で進めてまいりたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 はじめに、全国保育士養成協議会の山崎美貴子会長から御説明をお願いいたします。
○山崎氏 ただいま御紹介をいただきました、一般社団法人全国保育士養成協議会会長を務めさせていただいております山崎美貴子と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ただいま皆様のお手元に資料を置かせていただいておりますので、ご覧になっていただきながら話を聞いていただければと思っております。
 はじめに、私の説明事項といたしまして、全国保育士養成協議会の概要、それから、保育士養成校の概要、養成科目及び試験科目について、最初に説明した上で、意見を3点申し上げたいと思っております。
 1点目は、保育所保育指針改定を踏まえた保育士養成課程の検討につきまして、2点目は、保育士の養成と保育士の研修として、今、課題になっておりますキャリアアップとの連動につきまして、3点目は、他の国家資格に匹敵する保育士資格の専門性確保・維持・向上につきまして、お話を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、1点目でございます。保育士養成協議会の概要でございますが、組織図を示させていただいておりますが、私どもは、時代や社会的な状況の中にあります様々な要請に応えていくために、より質の高い保育士の養成を目指しております。
 また、各都道府県知事から指定試験機関の指定も受けておりまして、保育士の養成校に関すること以外にも、保育士試験に関する全ての事務を私どもが実施させていただいております。保育士に求められる様々な人材を養成していくためには、保育士養成校と保育士試験という2つの方法で確保するという仕組みになっておりまして、その事業を私どもは担っております。
 さて、事業内容でございますが、会員相互の連携をしていくための保育士養成事業を高めていくこと、質の高い保育士の養成を行うことなどを踏まえまして、第1点目は、教育内容、あるいは養成制度に関する調査、研究の事業、それから2点目は、私どもで研究大会などを実施しておりますが、様々な研修会を実施しております。その研修の充実をさせ、振興を図ってまいります。それから、広報として、ホームページ等による広報活動など、様々な出版物を出しておりますが、そうしたことを通して、様々な活動をしておりますが、調査、研究、あるいは研修といったことに伴う広報啓発などが主な事業でございますが、下の図表をご覧下さい。
 全体の組織図のすぐ下のところに保育士養成研究所というのがございます。これを新しく設立いたしました。今まで、現代保育研究所というものを組織しておりましたが、全体的に保育士養成に特化していきたいということで、その組織を廃止いたしまして、全国規模でこの研究に参加していただけるよう、保育士養成研究所を立ち上げております。
 もう一つは、去年の3月に発足いたしました日本保育養成教育学会という学会を立ち上げております。小川先生が会長でございますが、そこでは、今まで研究大会でセミナーなどをやって、1年間の報告をしていたものを、本会とは別に、個人の研究発表の場を設けるため、学会として組織を分けました。
 1年目でどれぐらいの方が個人会員として参加されるのかということを見ておりましたら、1年目で700人を超えるということになってまいりまして、養成教育に関する関心の高さ、まもなく1,000人程度になるのではないかと思います。これは現場の皆様にもお入りいただきたいとお声がけをしておりまして、特に実習のカリキュラムのことなど、現場と養成校がもっと距離を近くして、共にそのところで保育士の養成に関する研究や、あるいは提案ができるようになったらよいということを考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。本会は学校単位、ブロック単位の活動に特化させて参ります。
 保育士養成審議委員会、保育士養成専門委員会という二つの組織を立ち上げまして、これも全国規模で先生方にお入りいただきまして、これがこれからの保育士養成のエンジンになっていくと思います。その下に、もう既に動いておりますけれども、ワーキングチームを設けまして、ワーキング部会を開催して参りたいと思っております。養成校の協議会は、そうした養成校や卒業する学生さんたちのことを考えますと、非常に私たちは今、身の引き締まる思いがいたしております。
 さて、会員校でございますが、次のページをご覧下さい。会員校の数の推移を見たものでございます。平成12年は293校でございましたが、その間、平成29年には532校ということで、倍増に近い伸びを示しています。他の福祉系の学校がそんなに伸びていない、あるいは介護系の学校も少し下がっているという状況の中で、保育士は、先日、総会をいたしましたが、新しく今年の加盟校が14校でございました。退会して、学校をなくす、あるいはその課程をなくすというところは2校ございました。14校が入ってくださるという中で、私たちの組織に加盟していない学校を含めると全部で650校程度でございますから、そうすると、大半が本会に参加してくださっているという状況でございます。
 次が会員校の学校種別の構成の割合でございます。これも大きな変化がございます。ご覧いただきますように、短期大学、四年制大学、専修学校の他、その他というのは、2校ですけれども高等学校もございます。それから、株式会社、NPOでやっているところも2カ所あったかと思います。
 増えておりますのが四年制大学でございます。短大の割合をご覧下さい。最初は、平成12年のところは66.9%と短大の占める割合が多くございましたが、今は40.2%。大学の方、四年制の場合はわずか10.6%、1割強でございましたが、現在のところは40.6%と四年制大学が大きく伸びつつあることが読み取れますが、今後どのような推移になるか考えていくことが必要かと思います。
 続きまして、四年制大学・短期大学・専修学校の施設数・学生数の比較でございます。これは単位を取得してとられるという養成校の場合の図でございますが、このような割合になっております。
 次のところでございますが、次のページをご覧下さい。保育士の資格取得の方法でございます。この方法は児童福祉法の第18条の6に基づいていることでございます。今、各都道府県単位で見たものでございますが、登録者数は145万9,858人、これが今年度の4月1日現在でございます。これぐらいの方が保育士として登録しておられます。
 その中で保育士の資格を取得する方法は2つですが、1つが、今申し上げました私どもの加盟校、指定保育士養成施設を卒業した者で、児童福祉法18条の6第1項に基づいているものでございますが、27年度末で累計169万人でございます。この数は、資格取得者ということではなく、卒業者でございます。昨年度の資格取得者は4万1,712人となります。この内訳はご覧のとおりでございまして、653カ所でこのような状態になっております。注が大事でございますので、後でお読みいただければと思います。
 そして、保育士試験でございますが、児童福祉法第18条の6第2項に基づいて、各都道府県から指定試験機関として指定を受けて実施しております。28年度の末で合格者数は43万9,322人となっております。本年度の受験生は7万710人ということで、1.4倍増加していることになるかと思います。
 このような状態の中で、私どもは各都道府県からの指定試験機関としてやっております。
指定試験機関ですので、都道府県とのパイプのつくり方は工夫が必要だと感じています。以上、本会の活動について述べさせていただきました。
次に私どもが申し上げたい意見について述べさせていただきます。今申し上げましたようなテーマでございます。保育所保育指針の改定を踏また保育士養成課程の検討と、保育士養成と保育士研修・キャリアアップの連動、そして、他の国家資格に匹敵する保育士資格の専門性確保・維持・向上についてでございます。
 まず1点目でございますが、保育所保育指針改定を踏まえた保育士の養成課程の検討の中では、今回の指針改定で、大幅な再編の必要は特に見られませんが、特に検討会の中で検討が進んでおります内容を踏まえて、以下のことを申し上げたいと思います。
 保育士養成課程における科目の検討でございます。今、待機児童の問題で非常に大きな焦点になっております0歳児、1・2歳児が足りないということや、その需要が非常に高まっております。保育の中では乳児保育、それから1歳~3歳未満児保育のことがございます。
 なお、子育て世代包括支援センターが発足して、子どもを産み育てる、妊娠期から出産、出産から子育てへと向かっていくところの支援体制として、母子保健も含めて連動的に、全国的にかなり力を入れていくことになったところと、乳児保育、それから1歳~3歳未満児保育のところをかなりきちんと体制を整えていきたいというのが私どもの望みでございます。その点で、今度の保育指針の中できちんと位置づけて書き込んでいただいたことは本当に大きな勇気と力をいただきました。ウエイトがここにかかってまいりましたので、この専門性の形成・確保、質の維持ということが非常に重要な要素と私どもは考えております。
 そこでお願いでございますが、できれば新たに理論と実践を見据えた講義科目を設定する必要性が高いのではないかと思っております。今、保育士の養成課程は科目がいっぱいありますけれども、これを必須にすると苦しいかもしれませんが、選択、あるいは選択必修という形でもいいかと思いますが、できれば生前から生後に至るまで、そして、ここから始まる0歳児保育、1歳~3歳未満児保育のあたりのところにつきましては、もう少し厚みをつけてカリキュラムの中に位置づけていただくということをお願いできないだろうかと考えました。
 それから2点目でございますが、養護と教育は複数の記載がありますが、社会的養護につきましては、1つ科目がございます。そこは一つのジャンルでございますが、保育における養護の重要な意義というものは、実践について学ぶことがとても大事ですので、ますます重要になってきているのではないかと思っております。
 保育原理とか保育内容において、いろんなところでこのことについて示しているのですが、できれば、養護と教育の一体的な展開については、深く学びを身につけていただきたいなと願っております。養護と教育に関連するような科目を設定するということも重要ではないか。私たち、試験をしているとよく分かるのですけれども、ここにも書いてある、ここにも入っているというようなところがありまして、保育士試験の科目は領域がまたがっているので、あそこにも出た、ここにも出たと調整をしております。できれば、養護と教育の一体的な展開を深く学ぶことを身につけていただくために、養護と教育に関連する科目を設定するということも必要ではないかということで、私ども、議論して参りました。この重要性は十分に理解できますので、是非、そうした御検討をしていただけるとありがたいと、この2点が私どもの提案意見でございます。
 そして次に考えていただければと思っているところが、保育士試験における科目の検討でございます。これもいろんなところに散りばめられておりますが、子ども・家庭支援は、指針においても一層重視されております。そして、保護者支援、子育て支援に関する項目が非常に大きくなって、保育の領域では、子どもさんの保育とともに、大切なのは家族支援でございます。保育所は、一番子どもが成長して発達する人生の基礎をつくる時期でございますが、家族の力、地域の力というのは非常に弱くなっていたり、多様になっている中、ここをしっかりとつくっていくことが人生の基礎をつくる子どもの成長と発達には、特に命の問題を私どもは大変大切にしております。この命を培い、慈しむ、そして育てる、家族とともに、そして地域とともにということを考えますと、保護者支援、子育て支援に関します専門性の形成とその確保、質の向上に関しましては、今回の指針で大切に扱っていただきましたものを感謝申し上げるとともに、保育士試験においても複数の科目に散見されておりますので、できれば、保育士試験においてこの科目を設定していただくというのはどうだろうかと考えております。
 ここまでが私どもの直轄する業務に関します意見、提案でございます。御検討いただければと思います。
 次は、保育士養成と保育士研修・キャリアアップのことでございます。指針においても、さらなる充実と強化が図られ、第5章で丁寧に書いていただきましたし、キャリアアップの道筋をお示しいただきましたこと、心から感謝申し上げます。実際には、対人援助職というのは、キャリアアップ、そして研修を続けることが絶対に必須の要素でございます。その意味では、保育士の研修、キャリアアップに関しまして、保育士養成の私どもと保育現場が一緒になって、現任の保育士の研修と連動しながら、継続的・連続的に取り組み、その仕組みを確立し、強化していくことが非常に大事でございます。
 特に保育士さんが働きながらこの資格をとっていくためには、代替要員が必要だったり、その時間、誰かがあてがわれたりするようなことがあればいいのですが、現状ではなかなかそこは難しい。そうすると、どうやってキャリアアップしていくことができるのかという工夫がとても大事ではないか。これがある特定の人にだけではなくて、広くキャリアアップができる仕組みをつくっていくために、いろんな手法を開発していかなければならないのではないか。
 特に、例えば養成課程における実習科目、それからインターンシップなど、いろんな手法をとって、ここに厚みをつけていき、現任の保育士さんと共同で保育士養成校と施設、保育関係団体、地方自治体との連携で、ここのところを実際には現場と一緒につくっていくというのが大事ではないかなと思っておりますが、そのつくり方の工夫が必要かと思っております。
 そして、3点目でございますが、他の国家資格に匹敵するような保育士資格の専門性の確保・維持・向上でございます。私どもはいろいろなことをしておりますが、経年的な調査をさせていただくということで今年から始めておりますし、それから、実習1、実習2、実習3とございますが、実習指導に関しますミニマムスタンダードを作成しております。これを全国的に展開して、実習指導者の養成に特化して参りたいと思っておりますが、他の国家資格と比較する研究を昨年させていただきました。社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、看護の領域などいろいろありますが、実習指導担当者に対しては資格を縛っております。資格をとってないと実習ができないのでございますが、残念ながら、保育所士養成の場合には講習や研修を通して資格を取るという仕組みがきちんと体系化されておりません。養成教育における基本調査を実施して、特に実習の状況と学生の状況を細かく調査を実施した報告書を今出しておりますけれども、このミニマムスタンダードを具体化していくためには、保育士養成課程におけるこの課題を前に出していかなくてはなりません。私どものチャイルドケアアンドエデュケーションと言われている保育の中のこの部分の実習については何としてもきちんとした体系を具体化できるような道筋の御検討をしていただければと願っている次第でございます。
○汐見座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、構成員の皆様から、何でも結構ですので、御自由に御質問等お願いいたします。
 それでは、清水構成員、お願いいたします。
○清水構成員 清水です。よろしくお願いします。
 私も養成校にいますので、お世話になっております。今日の意見の保育士養成と保育士研修・キャリアアップとの連動ということなのですけれども、この連動についてどのようなことを具体的に考えておられるのかについて、もう少し詳しく教えていただけますか。
○山崎氏 これは私たちの課題でございますので、今年の保育士養成研究所の研究でも、この問題をテーマとしてやっていこうと考えております。私見に近いことになるかもしれませんが、キャリアアップの研修を各都道府県が実施するということになります。そうすると、まだ完全に教員が、これを共同でやるという体制づくりになっているわけではないのですけれども、ただ、学校によっては、県が直接学校に来て、全部そのキャリアアップ研修を具体的にやってくださいねと言われているような学校とか、それから、教員が個別に依頼を受け、そこの人材のところの講師をしてくださいというふうになったりしております。
 こういう対人援助職をするときには実際にキャリアアップを具体化していくためのモデルカリキュラムといいますか、地域によってそれぞれ特徴があろうかと思いますが、私ども、現場とそれから教育のところが継続的にこの中身をどのようにしていくのが一番いいのかというあたりのところを現場と共同の場を持って、教員だけとか、現場だけではなくて、一緒に意見を出し合って、各都道府県で進められるようなことができたらいいなと思っています。
 これが実のあるものに、なるためには、そういう工夫といいますか、検討の場があったらいいなと思っております。そんなことを私どもの研究所での一つの課題としてやってみたいと考えております。
 特に、そこのシステムをつくっていくために、研究所に現場の方に入っていただきたいと思っています。それから、学会にも現場の方に入っていただきたいということで、学校と現場が地続きになるような、他の国家資格はそのような実習のつくり方をしています。
教育と現場が別々では非常にいろいろお互いに空転してしまいますので、そこをしっかりとやれたらいいなというのが私どもの願いでございます。本当に現場の役に立たない教育を幾らやっても、資格を幾ら取得しても残念なことになってしまいますので、その辺をぜひ一緒に考える機会をいただければと願っている次第でございます。
○汐見座長 よろしいですか。他に御質問お願いします。
 確認させていただきたいのですが、先ほど、養成課程の科目、最初に0、1・2歳児保育のニーズの高まりに対応して、新たな、例えば選択必修、あるいは選択科目をというときの科目ですが、既に乳児保育演習というのがございます。これと中身は少し重点が違う科目を想定されていらっしゃるのかどうか、そのあたり、もう少しお願いします。
○山崎氏 新しくつくるのがよいのか、あるいはその科目の中身を、今度の保育所保育指針に合わせて改定しながらそこを膨らませるのか、それは皆様の議論かと思いますが、ここに非常に厚みがつきましたことと、それから、待機児童の主なニーズがここにありますことと、先ほど申しましたような新しい子育て包括支援センターが立ち上がってきたことなどの背景を考えますと、もう一度ここのカリキュラムを充実させる形で見直しをしてはどうかなと思います。乳児保育演習は科目としてありますが、もう少し膨らませて、科目の充実を図ってもよいのかなと思います。
 ただ、いきなり必修となってしまうと、短大の学生さんは保育士資格と幼稚園教育の免許をとらなければならず、非常に忙しいので、科目を増やすというより、むしろ統合するとか、あるいは中身を今度の保育指針に合わせて膨らませていただくなどの工夫をしていただけるとありがたいと思っております。
○汐見座長 わかりました。ありがとうございます。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。
 今、先生のお話を伺っていて、私たち現場はまさしくそのようなことを感じておりました。いろんな項目が散見されていますが、一括してしまえば全て済むのではないかと感じていましたので、養成校でそういうことを考えることは可能なのでしょうか。そこが、私たち、想像していたところもあるのですけれども、現実的なことになっているのかなということで、少しだけお聞きしたいと思いました。
○山崎氏 保育士養成課程の教科目は、国家資格ですから、この会議でもって決めていただかないといけないので、私たちだけでできるということでは全くありません。養成校の指定科目というのは国の非常に重要な要素ですので、ここで御検討いただきながらというふうに考えております。
 ただ、私たちとしては、先生方が教えていらっしゃる中で、いろんなところに課題を持っていらっしゃるとするならば、それを集積して、どう直せばいいかというところの御提案は、反映していただけるのではないか、できれば具体化できるような道を探っていただきたいというお願いもございます。
○汐見座長 網野構成員、お願いいたします。
○網野構成員 この検討会の構成員の一人でありますが、私も保育士養成協議会の常務理事の役を仰せつかっております。あと、小川先生、阿部先生も関連している部分が随分あります。
 今のいろんなお話の中で特に乳児保育について補足させていただければと思いますが、かなり以前から、保育士養成協議会としては、全体で68単位をマスターして取得するというシステムを短大、四年制大、専修学校、全て共通にやっている仕組みについて、例えば、乳児保育を例に挙げますと、むしろ、これだけ重要な乳児保育の方法、内容論に関しては、例えば、基礎科目、必修科目として1つ必要だと思いますが、具体的な姿から言いますと、先ほど会長も冒頭に触れましたように、四年制大学と短期大学が同じ割合となっています。そういうところから見ましたら、四年制大学の特徴として、3年次からとか、あるいは4年間の間でより実践に近い演習とか、乳児保育の深まりを持った専門性を身につけるというような趣旨から言いますと、そもそも、この養成の仕組み全体が、現状のままでいいのかという検討が相当必要になっているのかと思います。
 例えば資格の種類を2種類にするのかといったことも含めますと、今、いろいろなお話がありましたこともより充実して深めていける部分があるかということで、恐れ入りますが、補足させていただきました。
○汐見座長 この検討会では以前からそれはテーマになってはいまして、ただ、次から次と決めなければいけない問題が出てきますので、そのことを丁寧に議論し続けるということがまだ十分できていませんけれども、以前の大島委員の提案もございましたし、今は1種類しか保育資格はないですが、今、網野構成員がおっしゃったように、例えば2種類にする等のことも検討しなければいけない局面に来ているのではないかということで、それは既に検討してきたことでもありますので、全く新しいことではないのですが、やるとしたら、いつどこでやるかという大変現実的な問題になります。今、そういう意見が出たということで、丁寧にまたどこかで議論したいと思います。
 ありがとうございます。予定している時間が来たのですけれども、もしどうしてもお伺いしたいということがございましたら、もう一人に限ってだけお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、山崎先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、全国保育士会の上村初美会長から御説明をよろしくお願いいたします。
○上村氏 ただいま御紹介いただきました全国保育士会会長の上村でございます。本日はこのような機会をいただきまして、大変感謝申し上げます。ありがとうございます。
 私は、約186,000人の会員のいる全国保育士会ということで、保育の現場からということで、本当に先生方にはピンと来ないこともあるかもわかりませんが、生の声をぜひ聞いていただきたいと思いまして、ここに参加させていただきました。よろしくお願いいたします。
 私の資料をご覧いただけたらと思います。まず、今回、この指針について非常に熱心に審議していただきまして、先ほどからずっと出ております乳児保育や養護、それから、幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿とか、こういったことが入ってきました。保育の現場では、私たち、教育がないとか、今まで言われ続けながら、そんなことはないだろうと思ってきていたものが、今回のこの改定に当たって、誰でもができるようになりました。じいちゃん、ばあちゃん、父ちゃん、母ちゃん、誰でもができる保育じゃろうと、保育士が足りなかったらそれでいいんじゃないかと言われたりするのです。
 だけど、そうでない、専門職の保育士たちがする保育ということが前提に今回の指針改定には明文化されたのだなと、教育があり、専門職の保育ということで明文化されたということは大変心からうれしいと感謝申し上げているところです。今までの指針とここが大きな違いではないかなと感じているところでございます。
 それでは、「乳児保育」に関する内容の充実、科目の検討についてということで、乳児保育、1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実が図られたと、本当に大変詳しく書いていただきまして、この発達の連続性とか、こういったことを考慮していただきながら、対象を乳児に私たちとしては限定するのではなくて、これらの連続性を考えたときに、3歳未満児までを視野に入れた構成を御検討いただければいいなと思っています。
 また、その際に、現場での具体的な場面の提示や理論と実演など、乳児保育というのは、子どもの一人一人の発達ということが、私は現場にいて頭から離れません。この一人一人の子どもたちの発達を見たときに、この理論と演習を組み合わせるというようなこととか、保育の現場のイメージが持ちやすいようなことを目的とした内容の充実を図っていただくとともに、乳児からの教育について、今回、図でお示しいただいて、非常にわかりやすい図も出てまいりましたが、そういったことも明確に、保育課程を教授していただく中では言っていただけるといいなと考えています。
 それから、幼児保育の内容の充実は学習内容が多岐に渡り、先ほど申しましたように、赤ちゃんの育ちというものは一人一人違っていて、命を守るということから入っていきますので、その単位数については、皆さんがお決めになることだと思いますけれども、保育内容の演習が5単位あるわけですけれども、こういったところを減ずると書いていますが、そこは御考慮いただきながら、今回、乳児保育が出てきましたので、指針改定に沿った配分となるように御検討いただきたいと思っております。
 次に、「保育における養護」、ここも総則の中に書いていただきましたこと、生命の保持、情緒の安定、愛着形成、人として育つ上の基本中の基本で、その基盤でございます。そこを最初に位置づけていただいたという重要性、また、改正児童福祉法の基本理念、昨年の6月に改正されましたが、ここにも、子どもが主体となって、その子どもの権利を私たちはちゃんと子どもの育ちを支えるという責務があるとされています。そして、先ほどからも出ておりますが、養護と教育が一体となって展開される保育、こういった具体的な学び、「保育原理」との内容の精査について御検討いただきたい。
 全国保育士会は、保育所には教育があります。養護と教育が基盤になって、子どもたち一人一人を大事にしています。一つ一つの保育の現場をちゃんと示していきたい、言語化していきたいということで、昨年、養護と教育が一体となった保育ということで、その言語化の本を、保育現場の写真を撮って、それを説明いたしまして、本当に養成校の先生方にもいろいろ御協力いただきまして、たくさんの学生さんや保育の現場の保育士たちも、私たちも一人一人言語化していく、この保育に対して責任を持っていくということを認識したところで、その報告書はたったの半年間で3万部、皆さんのお手元に届くというような勢いでございました。本当にこれには阿部先生にも御支援いただきまして、ありがとうございました。
 私たちはこういったことを表に見えるように、一つ一つを大事にしていかなければならないと思っております。科目では、今申し上げたように、「保育原理」との内容を精査していただいて御検討いただきたいということです。
 次の保育内容に関する科目の内容の充実、「保育の計画と評価」という科目については、指針改定において、他の要領との整合性の点から、そして、教育があるというようなことから、今まで「保育課程」という表現でございましたが、「全体的な計画」と記されたと理解しております。それは、私たちのことも、ある意味、ちゃんとお考えいただいたのだなということも考えており、大変感謝しております。法律の問題が入ってきますから、教育・保育要領の教育と保育の一体性という書きぶりと、私たちは養護と教育が一体になったという書きぶりの違いが現場で誤解されないような、混同されないような配慮をしていただきたいと思っております。
 それから、次の「家庭支援」、「保育相談支援」、「相談援助」、「子育て支援」に関する科目の検討につきましては、子育て支援は、今いろんな言葉で支援、支援と言って、混同していると感じているところでございます。私たちは、それらを一つ一つ、保育の現場におりますので、事例検討とか、そういった実習の機会等を通して、家庭支援や地域子育て支援など、別章で章立てされましたので、こういったことも混同されないように学ぶ必要があるのではないかと思っております。これがどのような形になるか分かりませんが、子どもに対する支援、保護者に対する支援、地域の子育て支援と分けて教授していただくのがいいのか、そこのところを意見としては述べさせてもらっていますが、「保育相談支援(演習)」という形で充実させていただくということもできるのではないかと思っています。
 今、現場の中では、具体的な状況をちゃんと学生さんたちが把握しないとわからない部分がたくさんあります。全てのケースは異なっておりますので、是非ここは充実して御検討いただきたいと思います。現状の68単位の中ではなかなか厳しいところもあるかもわかりません。ここは専門性を有するところでもありますので、厳しいところもあるかと思いますが、ぜひ充実させていただくということをお願いしたいなと思っています。
 それから、次の「保育者論」の内容の充実ということで、ここには歴史や知っておくべき法律、保育者として、専門職としての自覚というような中身になってくると思いますけれども、具体的なイメージとか、こういったのをしっかり分かっていただきたいと思います。今、保育士さんになりたがらない方、就職しないという方が多い中で、人材確保が本当に国の大きな課題です。でも、この仕事は魅力がいっぱいあるし、やりがいがあるし、責任はあるけど、とっても楽しいよということをもっと知っていただきたい。よく中学生が体験学習で来ますが、子どもたちと遊ぶとき、目が生き生きしています。他方、保育者になられる方も、思いというのは共通に持っていらっしゃるのではないかと思います。この「保育者論」で、もっと現場を知っていただく機会を持っていただければいいなと思います。そういったことがイメージできる内容の充実が必要と考えております。
 それから、「科目の分類や教授内容の示し方等の検討」ということでございます。私たちは組織でいろいろ意見を集約するときに、68単位、単位数は増やせないよねということを原点にいろいろ考えました。今の現状の中でどうしていけばいいかということを考えていったのですけれども、先ほどからも出ておりますが、例えば、2年間養成校で学んだ方たちは、現場に出れば、即戦力になります。4月からすぐ戦力になっていただくというような状況があります。このことを学生さんにも知っていただきたいし、養成校の先生方にもぜひ知っていただきたいです。
 戦力になるということはどういうことなのかというと、学んでいる状況と現場との乖離した部分が、ありまして、こんなに現実って大変なのかと思ったりされるのではないかと思います。でも、皆さんがこの仕事をいい仕事だと思っていただくには、保育実習でしっかりそこをお互いが分かり合っていけたらいいなと思います。
 保育実習は、内容の充実をしっかりしていただきたいのですが、実習の前後でのミーティングだとか、お互いの学生さんも含めて、また、養成校の先生たちと現場とが、どういうところを育てていこうかとか、どういうところを分かっていただこうかとか、課題解決をミーティングの中でできていければ、もっと楽しい仕事になって、たくさんの方が保育士になっていただけるのではないかなと思います。保育実習は、実習指導者が現場にいないのと、園によって評価が異なっていることなど、現実的には大きな課題が残っております。
 こういったこともこのミーティングで整合性をしっかり持っていけたらもっと充実したものになるのではないかと思います。ここには書いていませんが、日ごろ私たち保育士会の中でも話をしておりますので、実習指導者の位置づけということもお考えいただきたいので、ぜひよろしくお願いします。
 それから、2の「新たに必要と考えられる教育内容、さらに充実が必要と考えられる教育内容に関する意見」については、児童虐待、子どもの貧困、保育の現場における多面的な危機管理といった社会問題として避けては通れない問題だと考えております。どれをとりましても、命を守るということと直結した課題が共通しているのではないかなと思います。
 保育士という福祉系の国家資格として、また、総則に入れていただいた養護という認識からも、保育現場では様々な課題が存在している中で、具体的にイメージできる機会を確保していくことが大事ではないかと思います。そして、その場合の対応力にも影響を及ぼすと思いますので、内容の充実が必要と考えております。
 それから、遊びについてですが、指針の中にもありますが、遊びを通して、子どもたちに環境による保育、こういった言葉がかねてから出てまいります。ただ、単に遊びというのではなくて、遊びを通して学ぶのだということです。何が育つのだというような遊びの捉え方を発達の年齢に合わせて、遊びというものをしっかり盛り込んでいただく必要があります。ただ遊んでいるのではないよ、ここで何が育っているよ、年齢によって違うんだよということも含めて捉え方をしっかりしていただければ、保育計画とかにも反映していけますので、ご検討いただきたいなと思っております。
 「3」の「その他、保育士養成課程に関する意見」について、先ほどから意見が出ておりますが、今回、これを集約する際、まず、本当に素朴な意見で、会員の中から、先生、保育所保育指針ってもともと学生さんたちは知っているのですか、指針の本があるよねという話が出ました。でも、あの中身がいろんなところに散りばめられているので、どこにそれがあるかということがなかなか結びついていかない現状があり、もう一回、まず指針を学ぶ機会をどこかでとっていただくことができないだろうか。そして、各論に行くというところでもっと専門性が出てくるのではないか、結びついていくのではないかという話をしました。指針について、養成課程の中で位置づけを内容理解としていただきたいと思います。
 それから2番目にありますが、近年、保育士は、広範囲、かつ、多岐にわたって、より高い専門性が求められています。これは先生方も重々御承知のことと思います。また、保育士は、就学前の子どもとその保護者の支援だけではなく、地域の子育て支援や社会的養護の方に就職される方もおります。こういったことを考えたら、18歳までの資格ということで、子どもの支援を行う国家資格として、高い水準の養育、教育が求められるのではないかと思います。
 したがって、次の段落にもありますが、対人援助を行なう専門職として、人と直接かかわり合う、人を相手にする仕事でございますので、豊かな関わり、生活体験、さらに、自分の保育を自ら省みる姿勢や、その機会を十分に確保することが大変重要で、新たに就業する保育者の現状からはこうした点が不足しているのではないかと思います。
 専門職として、先生方にどれだけの時間があれば履修できるのかということをお考えいただいて、この中で、基礎的な資格としてしっかりと学び、今、福祉系の専門職ということで共通化の話も出てまいりましたが、その後、専門コースの設定とか、そういったこともある一定の期間を設けながら、4年間を通したものでお願いしておりますが、1つ上の資格になって、専門的な子育て支援や社会的養護など、今後、そういった仕組みも是非
考えていただきたいと思っております。
 最後に、保育士資格と幼稚園教育の免許の併有ということも履修する中で考えていると思いますけれども、こういった複雑なものが絡み合っている中で、専門職としての国家資格ということを考えていただいたり、乳幼児に関われる基礎資格として考えたりということ、今後、国家試験の導入も考えていく中で、なかなかそうはいかないのだということも重々承知しておりますが、質を上げるという意味では、自ら私たちがそういうこともしなければいけないことではないかなということを私たちのキャリアアップの報告書を出したときに確認させていただいております。
 以上のようなことを、先ほど山崎先生が現場と学校が地続きでと言っていただいて、本当に現場の方からもそういう思いをたくさん持っているということをここで御報告申し上げて、私の説明とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○汐見座長 どうもありがとうございました。それでは、今の上村さんからの御説明に対して御質問、御意見をお願いいたします。
 それでは、津金構成員、お願いいたします。
○津金構成員 津金と申します。よろしくお願いいたします。
 いろいろと聞かせていただきまして、ありがとうございました。2ページ目の一番上の部分です。「保育の計画と評価」の科目の充実についてお話しいただきまして、今回の改定の中で、従来、「保育課程」と言われていたものが「全体的な計画」と今は記されています。その中で、「教育と保育の一体性」という表現との混同が起きないよう配慮するということで、お話をしていただいたのですが、この辺の混同について今はどのようにお考えを持っていらっしゃるのか、もう少しお聞きしたいなと思いました。
○上村氏 御質問ありがとうございます。
 認定こども園の教育・保育要領の中には、「教育と保育の一体性」という言葉になっています。これは、法律的には、ここでも私たち、随分悩んで、保育所には教育はないのではないかと言われて、養護と教育の一体が、私たち、保育所が行う保育ですよ、だから、教育はありますとずっと申し上げてきたのですが、ここに教育はないのではないかと話がありました。でも、現実的には、教育・保育要領の中にはこの言葉が生きておりますので、法律を変えるというのは急には難しいことだと思いますので、私たち現場の者が、養護と教育ということは、私たちは、教育を持っているのだということを認識しながら、そして、教育・保育要領とも混同しないように、認定こども園の方では、教育と保育という書きぶりになっているので、そこのところを申し上げて提案させていただいているところです。私たちは養護と教育が一体となっている保育であり、教育があるのだと自負しております。
○津金構成員 ありがとうございました。非常に微妙な問題があるところでもありますが、教育・保育要領のときに、幼保連携型認定こども園が学校でもあるといった位置づけがありましたので、ここで言われている教育というのは学校教育もあります。保育所で今までなされてきた教育というのは、重々それはきちっと受けとめておりますけれども、養護と教育と言ったときの教育には非常に広い範囲の教育が含まれています。保育所で行われている教育は、集団で行なう教育もあれば、家庭での教育や地域での教育もあります。
 幼児教育における教育と言った場合、学校教育の一翼を担っているわけですけれども、その学校教育は決して義務教育と同じような教育ではなく、環境を通して行う教育や遊びを通して総合的に指導すること、そういった幼児教育の独自性、発達の特性を踏まえた独自性がありますので、保育の計画と言ったときに、養護と教育の一体とともに、子どもたちが小学校以降の教育にもつながっていき、乳児から始まった発達の連続性を見ていけるような計画としていくことも必要ではないかと思っています。
 「全体的な計画」と言って、これは幼稚園教育要領にも入っておりまして、各園の保育目標であったり、教育目標であったり、安全計画や保健計画など、様々な計画がある中で、それが並列しているのではなくて、一つのまとまりとして、子どもの生活や遊びをきちっと見た計画となるような全体的な視野から見た計画と考えていくことではないかと思っております。
○上村氏 ありがとうございます。確かにおっしゃるように、私たちが考えている教育は、幼稚園も認定こども園も保育所も同じ教育で、環境を通して子どもたちを見ていくという、遊びを通して見ていくという、同じ視点で考えております。
 ただ、区別をされた、ここは法律だからいろいろ御意見を申し上げても、そういう書きぶりがあるということですが、ただ、私たちは、今までどおりに教育があり、環境を通して、遊びを通しての保育として、そこには養護が基盤にありながらの教育ということも同じということでございます。ありがとうございます。
○汐見座長 またどこかで用語の整理をしなければいけません。私が言うべきことではないかもしれませんが、認定こども園の場合、教育と保育の一体性という養護を使うというものです。満3歳になったから、今日から教育ねとか、そういう機械的なことをすることは実際には合わないわけです。要するに、教育と保育というものを区別して使うのではなくて、分かりやすく言うと、認定こども園は、教育・保育という言葉で一つのものとして使っています。御存じだと思いますが、保育というのは、これでなければいけないとおっしゃったのは倉橋惣三氏です。これは戦後に学校教育法をつくるときに、幼稚園が学校に入りましたが、「幼稚園は子どもを教育し」という言葉が出たときに倉橋惣三氏が反対されて、それだったら小学校との区別がつかなくなってしまう。幼児の場合は必ず保護しながらしか教育はできない。だから、保護教育でなければいけない。保護の「保」と教育の「育」をとって、だから、「保育」でなければいけないということで、現在でも学校教育は「幼稚園は子どもを保育し」という言葉になっています。
 したがって、「保育」というのは保護教育で、保育所保育指針ができた1965年に、保護教育の保護を福祉用語の養護に変えて使ったのが保育指針です。だから、養護しつつ、教育するしかない。養育と言うと教育的になるから、保育所は保育と使っていますが、その中身は、倉橋惣三氏がかつて強調されたのと同じように、保護しながらしか教育はできないということです。養護しながらしか教育できない。だから、保育園が保育という養護を使っているのは、倉橋惣三氏が言ったその願いみたいなものがある形でつながれています。だから、ここで教育と保育の一体性と言ったときに、教育の次の保育というのは保護教育ですから、教育と保護と教育の一体性みたいになって、言葉としてはおかしなことになってしまいます。
 だから、実際には別に違ったことを言っているわけではないので、今回の指針では、今の子どもの現状とか、特に0、1、2歳が充実したことなどあって、改めて、この養護的なマインドや環境がものすごく大事だということを強調しなければいけないし、現場にそれを分かってもらわなければいけないということです。これは幼稚園教育要領だって変わらないわけです。幼稚園において養護は要らないのかと言ったら、そんなことは全くないわけです。ですから、その辺は違いがあるというよりは、お互いにそういう方向で日本の保育の質を上げていき、今回、足並みをそろえようとしていると、私は理解しています。ただ、それを別に混同というよりは、そのことの大事さを改めて強調するようなことを工夫していただきたいという話が先ほどもありましたので、それはちゃんと自覚したいと思います。ありがとうございます。
 では、宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 宮田と申します。よろしくお願いいたします。
 実習指導体系のところの確立が非常に重要だということをおっしゃっておられました。山崎先生も同じようなことをおっしゃっておられました。その辺の具体的なことを現場の感覚からもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
○上村氏 御質問ありがとうございます。先ほども申し上げましたように、本当に隣の園と自分の園では実習のあり方が違って、受けとめ方が違っており、結局、実習は評価が入ってまいりますから、そういったことも全く違います。今回、保養協の方がミニマムスタンダードということで、保育実習を研究されましたときに、私ども、全国保育士会からも参画させていただいて、それらが本になって皆さんにお目見えすることとなっております。人を育てるのにこんなに違っていいものかということがやはり現実的には疑問に思っているところです。だから、ここは是非指導する人の指導ということを考えていただきたいと思います。今、主任が評価をしておりますが、指導する人が統一化されていって、学んだ人がいるところが実習を受け入れられるようなことまでできることが望ましいのではないかなと私どもは考えております。
○宮田構成員 つまりは、実習指導者の資格を体系化するべきだということで理解してよろしいですね。
○上村氏 そうです。
○宮田構成員 ありがとうございました。
○汐見座長 これは先ほどの山崎先生の御意見と同じだと思います。実習は大事ですが、専門性が必ずしも確保されていないということです。ありがとうございます。
 では、清水構成員、お願いします。
○清水構成員 清水です。
 同じく2ページの方に書いていただいている2つ目の○(マル)です。「事例検討や実習の機会を通して、家庭支援、地域子育て支援についても学ぶ必要がある」と書いていただいていますけれども、実習中に保護者と接することは現場で可能でしょうか。子どもの送り迎えの際、保育士がやるべき部分かもしれませんし、相談支援という科目に関して、やり方といいますか、実習とどうつなげるのか、そんなことを考えていく必要があるのかなと思いますが、現場で可能かどうかという点をお聞かせいただけたらと思います。
○上村氏 御質問ありがとうございます。直接保護者と交流するということはなかなか難しいと思いますが、例えば、朝、登園した時に挨拶をするといったことから始まっていくのではないかと思います。直接、保護者とのやりとりはなかなか難しいと思いますが、保育士を介して見ていける。どんな対応をしているのかということも見ることで学んでいただきたいと思っています。それぐらいが現実的なところかと思います。
○汐見座長 ありがとうございました。それでは、時間ですので、よろしいでしょうか。
 では、上村さん、どうもありがとうございました。
 それでは、3人目、最後になりますけれども、日本子ども・子育て支援センター連絡協議会の柳渓さんと甲斐さん、お二人から御説明をお願いいたします。
○柳渓 日本子ども・子育て支援センター連絡協議会の柳渓と申します。あと、甲斐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本日のこの検討会にお声をかけていただきまして、ありがとうございます。全国の養成の連絡協議会の方、また、保育士会の方々と同じ場でこうやって言えるということに関しましては、子育て支援の団体がようやく全国的に認められたという思いで、すごくありがたく思っております。それでは、座って話をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、私の方から2、3分、簡単に連絡協議会の話をさせていただき、後ほど資料の内容を説明し、その後、私の方から、私の思いを述べさせていただきたいと思います。
 まず、日本子ども・子育て支援センター連絡協議会は、一昨年、全国的な組織をつくりましょうということで、ようやくできたわけでございます。平成19年、20年あたりからは全国大会的なものを開いておりましたが、全国をまとめるという組織になっておりませんでした。その中で、東京の有明で全国大会を開いた際、全国組織として構築しましょうよという話があり、名称もどうしようかなと検討した結果、この日本子ども・子育て支援センター連絡協議会と決めたわけでございます。
 そうした中、今回の検討会の内容につきまして、事務局の方に御連絡がありました。そこで、全国に委員が20名ほどいますので、ネットで、この検討会がありますので、皆さん、どんな意見がありますかということを集約したわけです。それをまとめたものですので、今からお話しする内容につきましては飛んだところもあるかもしれませんが、そういった形でまとめさせていただいたことになっていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、説明をお願いいたします。
○甲斐 甲斐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま山崎会長様、上村会長様の話を聞いて、本当に思い切りうなずくことばかりで、そうだそうだと心の中で私は叫びながら、そんなことが課題となることや話題となっていくことに保育士としてすごく喜びを感じています。
 あわせて、今日は、子育て支援センター連絡協議会の理事として、子育て支援という視点について、資料に基づいてお話をさせていただきたいと思っております。
「1.子育て支援について」、新保育所保育指針の改定を踏まえ、保育現場での実践につなげるために「子ども自身が持つ能力」「親自身が持つエンパワーメント」に寄り添う保育士の役割として、次に掲げる視点を保育士養成課程に取り入れることを提案いたします。
 保育士としての、1親と子の理解 2相談技術、3他機関との連携の視点です。「(1)支援センター等実習により親子理解を深める視点」。親と子の関わりを実際に見ることができる、親の気持ちや考えを直接聞ける場であり、子育て支援センターでの実習を必須に、または選択実習に取り入れていただきたいと思っております。現場に入ったときに、保育者として親理解が深まると考えられます。
 これにつきましては、保育所実習では、保護者との直接な関わりは、先ほどのお話の中にもありましたように、ほとんどありません。保育は、子どもだけを見つめて育てるものではなく、親も見つめ、ともに育つ場です。また、親の思いや子どもとの関わりを知ることで、子どもへの理解も深まります。親という視点が必須であるということです。
 実は当センターでは、支援センターで実習生を受け入れております。それを通して実感しているところであります。支援センターの数には、限りがあります。それを踏まえると、子育て支援、家庭支援といった科目を演習科目として実際に現場に行ける学びの場とするのもよいかと考えます。理論と実践がつながって理解が深まるというふうに考えます。
「(2)親子理解と保護者並びに地域の親への「支援の芽(目)」を持つ視点」。保育所の持つ人的資源、園庭等物的環境資源の提供にとどまらず、園児の生活・遊び、子ども同士の関わりなどが、保護者の「支援の芽(目)」となっているということです。親理解を深めるとともに、親同士が協同して子どもの育ちを培う働きを支援する視点が必要だと考えます。
 保育所の子どもたちの育ち、姿、そして保育士の子どもとの関わりそのものが保護者の支援となっています。様々な場面で具体的な行動見本が示され、保護者が見て知ることができます。したがって、子どもへの生活援助、発達援助や環境設定などの学びや基盤となる保育指針でも今うたわれています3歳未満児の保育の点がとても重要になってくると思います。
 また、現代の核家族化や人間関係の希薄化などにより経験が不足している協同ということについても、親同士が協同することの意義や協同の力、効果など、その点についても学ぶ場があることを望みます。
「(3)相談技術の視点」。子育て支援には、親理解、コミュニケーション能力、相談能力と子どもの発達の熟知が必要です。それらを強化することを望みます。実際の相談では、子どもの成長発達を理解し、その発達過程に応じた対応や技術が必要となります。親自身が持つエンパワーメントに寄り添い、親同士が自己解決していくことを見守れる力などの視点を取り入れていただきたいです。また、配慮の必要な児童に対する理解、児童の家族への理解、さらに妊娠から出産後の心身の安定を図るため、親の心身に対する理解が必要となります。
 保育所保育指針の改定でも、地域支援のところの核家族化、少子化の進行や都市化の発展などに伴い、家庭内、あるいは地域社会において育児についての見聞や経験が少なくなっているとともに、近隣の相談相手がなく孤立している状況があり、長時間労働の問題等とも相まって、育児に悩む保育者が増加している。家庭における子育ての負担や不安、孤立感を和らげ、男女がともに保護者としてしっかり子どもと向き合い、喜びを感じながら子育てができるよう、子どもの健やかな育ちを実現する必要があると示されています。
 保育所においても、相談援助、保育相談支援、家庭支援等の相談技術の強化を望みます。また、子育て支援においてはさらにこのことが重要となってきます。それとあわせて、相談以前に、人と対話をする、親、保護者と話をすること、コミュニケーションの能力を高めるということは必須ではないかと考えます。
 さらに、育児不安などによる虐待の予防等、切れ目のない支援という点から、妊娠から出産後の心身の安定という知識も必要であると考えます。あわせて、全ての子どもの育ちを地域の中で展開していけるように、障害児及び配慮の必要な児童に対する理解も必要と考えます。
「(4)他の専門機関との連携の視点」。子育て支援には、ソーシャルワークを基盤に、他機関との連携の知識と援助技術を習得する必要があります。保育所や子育て支援センターは、子育て相談にとどまらず、親自身の問題、夫婦、家族の問題、生活や近隣の問題等々、本当に様々な相談があります。その全てを担うことはできません。専門機関につなげることが必須です。そのためには、まず、個々のケースについて何が必要なのか、どのように判断するのか、どことつなぎ連携をしていくのか、それができる必要があります。そのスキルを身につけることが必要と考えます。
「2.保育内容について」。「(1)「0歳からの生活」「0歳からのコミュニケーション」生活科目の履修」。生活科目を養成課程に組み込み、履修修得すべきものであると考えます。保育士を志す者であっても、彼ら自身の生活体験・経験の不足は否めません。子どもとともに生活を営むことはさらに過剰の要求となっています。子どもは被養育者であるとともに、家族の一員として立派な構成員であり、役割を果たし、生活の主体者として日々生活をしています。
 先ほど汐見先生から倉橋惣三氏の話が出ましたが、ここにもそのことが書かれています。その点において、「0歳からの生活」、「0歳からのコミュニケーション」の履修を提案いたします。
「(2)「0歳からの運動」0歳~3歳未満児の運動科目の履修」。「0歳からの運動」を保育士の養成課程に組み込み、履修修得するべきものと考えます。身体・運動能力の発達を育むために最も重要な時期である乳幼児期の未満児の運動が十分に実施されていない現状です。0歳から幼児期・少年期へと成長発達する連続的な発達として捉える必要がありますが、0歳から3歳未満時期における運動の指針となるものがなく、かつ、養成課程において十分な理解と技能習得がないことが現場での実践に影響を与えていると思われます。
 新保育所保育指針においては、乳児保育(2)(イ)2「一人一人の発育に応じて、はう、立つ、歩くなど十分に体を動かす」、(ウ)1「寝がえり、お座り、はいはい、つかまり立ち、伝い歩きなど、発育に応じて、遊びの中で体を動かす機会を十分に確保し」などと記述されています。
 1歳以上3歳未満児の保育(2)(ア)「自分から体を動かすことを楽しむ」、2「自分の身体を十分に動かし、さまざまな動きをしようとする」、(イ)3「走る、跳ぶ、登る、押す、引っ張るなどの全身を使う遊びを楽しむ」とされています。
 文部科学省「幼児期運動指針」で、幼児期の運動ガイドラインが策定されています。同指針が対象とする年齢は3歳以降であり、0歳及び1~2歳の乳幼児の運動に関しての記載はありません。
「(3)「0歳からの健康」小児口腔育成の考え方と取り組みの科目の履修」。口腔育成の考え方と取り組みについて保育士の養成課程に組み込み、履修修得するべきものと考えます。
○柳渓 資料の方の説明は以上でございます。
 私からの思いですが、この席はロの字になっていますよね。このど真ん中に日本地図があって、逆に言えば、赤ちゃんがいるのかな、お母さんがいるのかな、そんな視点で考えなければいけないのかなというところでの発言です。
 今、小学校の方でしょうか、道徳的なものが入ってくると聞いております。命の学習なり、道徳的なものというのはあまり取り上げられてなかった点があるのかなという思いがあります。養成課程でそういったものがどこかの場所に組み込まれていると思うのですが、そのところをやはり留意点として取り上げる場がしっかりあればいいなと思っています。
 同じく、保育園をやっていますので、動植物の飼育であり栽培でしょうか、それを養成校の宿題なのか課題なのか、各家で1年間、養成校2年間なら4年間、その間、そういった飼育をして育てることによって、命の大切さといったものが、学校では学ばないけれども、自分の家で学んだり考えたり、そういったことができる。これは学校で何点とりましたということにはならないでしょうが、そういったところを盛り込んでいただきたいなという思いがあります。
 また、母親の母体が命を授かったときにどのように変化していくのか、どういったつらさがあるのか。でも、そのつらさがあるけれども、喜びというのはどんなところにあるのかという、そういった具体的なところの話がどこかであっていただきたいと思います。また、子どもが生まれた後の乳幼児期の体のバランス、筋肉がどのようについていて、どのように成長していっているのかというところも、盛り込まれてはいると思いますが、ご検討いただきたいと思っております。
 今、キャリアアップで保育園の方にお金がおりてきました。実績報告書を出しました。実際にお金がおりているのだなということを実感しています。そのことを裏づけるために、キャリアアップの1単位15時間、8科目でしたかね。そのところを今、各地域でカリキュラムを立てていると思いますが、講師について、現場の方が対応できるものは現場でいいかもしれませんが、その指導する方法をわかっている方々がそのキャリアアップの指導をしなければいけないのではないかなという思いがあります。
 初級の保育士がいたならば、中級、上級という形のことを、それをもってお金がおりてくるという方に将来切りかえていただきたい。現場の方でいろんな先生方がカリキュラムとかプログラム、スケジュールをつくるのではなくて、公のところがしっかりした形で、確実にお金がおりてきて、保育所、認定こども園等でしっかりとできているかというところが将来的に何か不安です。
 実際、研修に出るところも、では誰が研修中のところを補うのといったら、3年間一生懸命やってどうかと思います。そういったところが私の思いではありますが、以前に准保育士という話がありました。何か保育士を下げていくような感じがしました。それが今、准保育士でなくて、それを上の方に上げて、シフトするチャンスなのかなと思います。先ほど、短大と四大のところで資格を上の方に積み上げていくことをしっかりしていただかなければ、現場の方としては非常に混乱します。正しい情報を丁寧に説明する必要があるのではないかという思いがあります。子育て支援センターからの話としては、結局、併設といいましょうか、そういった意味合いでの子育て支援センターの組織になっておりますので、そのところで発言させていただきました。
 以上です。
○汐見座長 どうもありがとうございました。ただいま、お二人から御説明がございました内容について、何か御質問ございましたら御発言お願いいたします。
 では、網野構成員、お願いいたします。
○網野構成員 詳しい御説明、ありがとうございました。
 少し具体的なことでお聞きしたいのですが、全国の連絡協議会という組織が立ち上がったということで、加盟している組織の状況などはもっと分かってくると思いますが、今の段階で、例えば、養成校でいう子育て支援に関する演習のようなことで、実際に演習の一環として、センターに勉強に来ますとか、あるいは、皆様の方から、非常勤講師ではなくても、いろんなことを伝えに来るとか、そのような傾向とか広がり、動きというのはありますでしょうか。
○柳渓 そういったお声がけをいただければ、我々は、なお一層、一生懸命行動できます。そのところで、保育園等で併設しているところに関しては受け入れる体制がとれると思いますが、単独で児童館や地域の保健センターなど、そういうところになってくると、なかなか受け入れる体制は整いませんし、どこかに出てきて現場の話をしてくださいということも同じではないかと思います。やはり併設というところになると、カバーする人間がたくさんいて、その情報も受けたところでお話ができるのかなと思います。
○汐見座長 他にございますか。ここに添付してくださった口腔、これはどういうご趣旨ですか。
○柳渓 保育園の嘱託医というのは、内科と歯科です。その視点から見て、歯科というのはどれだけ大事かという話です。そのところで、かみ合わせや体のバランスなど、そこにまで影響しているのだという意味合いで、その価値をしっかり高めていただきたいと思います。内科的な価値に関しては、いろんなところに挙がっていますが、歯科口腔に関しましては、なかなか挙がってくる可能性が少ないものですから、そこのところをしっかり押さえましょうという意味合いで、支援センターの事務局の方でずっとその研究をしています。
 以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。他にございませんでしょうか。
 ないようでしたら、ここで終わりにします。どうもありがとうございました。
 関係団体からのヒアリング、本日は以上となります。
 本日の議題ですけれども、前回の検討会に出された主な意見のまとめがあると思いますが、それと今後の進め方について、事務局より御説明をお願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。
 資料2をご覧いただければと思います。前回の養成課程検討会でいただいた主な意見をとりまとめております。検討内容(例)という形でお示ししています。それに沿って、どんな意見が出たのかという形でまとめさせていただいています。
 まず、1ページの一番上でございますが、「乳児保育」に関する内容の充実、科目の検討というところでは、新たな科目の設定または科目の充実が必要ではないか。また、保育と関連づけた子どもの発達や学習についても学ぶ必要がある。また、3歳未満から3歳への発達や生活の連続性について、盛り込むべきではないかといった御意見をいただいたところでございます。
 2つ目でございますが、「保育における養護」に関する内容の充実、科目の検討についてでございます。「保育における養護」について充実すべき。また、厚生労働省が策定しています各種ガイドラインについて、どの科目で取り扱うか整理する必要があるといった御意見を伺ったところでございます。
 3点目でございます。保育内容に関する科目の内容の充実、「保育の計画と評価」に関する科目の検討についてでございますが、「養護」と「計画と評価」が第1章に入って強調されたというところでありまして、単位化もしくは内容の充実が必要ではないか。また、保育士養成課程においてもカリキュラムマネジメントといった視点が必要ではないかといった御意見を伺ったところでございます。
 次のページでございますが、「子どもの育ちの支援」という理念を踏まえた関係科目の整理・充実、「子育て支援」に関する科目の検討についてでございますが、保護者への対応については、総合的な力を養うことが重要。対人援助関係科目については、重複している部分、または充実する内容を整理すべきではないかといった御意見を伺ったところでございます。
 続きましては、現職研修の充実による資質・専門性の向上や他の専門職種との連携の必要性等を踏まえた「保育者論」等の内容の充実についてでございます。
 「保育者論」の中で養護を強調していくことも大切ではないか。また、学生に保育の現場の魅力等をわかりやすく伝えていくこと、また現場に行く機会を増やすこと等を通じましてモチベーションを上げていくことが重要ではないかといった御意見を伺ったところでございます。
 その下でございますが、幼稚園教諭免許との併有への対応が養成施設に求められているといったことを踏まえまして、科目の分類、教授内容の示し方等の検討についてでございますが、幼稚園のカリキュラムの見直しとの整合性も考慮しなければならないといったこと、また保育所保育全体を通じて育みたい資質・能力が保育指針に記載されたことを踏まえまして、保育内容の5領域等についてどのように科目を置くか、考え方の再整理が必要ではないかといった御意見を伺ったところでございます。
 また、下でございますが、「その他の意見等」といたしまして、全体的な意見もございますが、総単位数を増やすことは難しい。新しい内容を入れることや充実させる内容をどのように落とし込むかの工夫が必要である。また、総単位数の簡素化、幼稚園教諭の養成課程の見直しの動きを踏まえながら大綱化を図るなど、養成校の創意工夫が可能にすることも考えられるのではないか。また、養成施設の運営に関する課題、幾つか見受けられるために、養成課程の見直しに合わせて検討する必要があるのではないかといった御意見を伺ったところでございます。
 続きまして、今後のスケジュールについて御説明させていただきます。参考資料1をご覧いただければと思います。本検討会の検討スケジュールの大まかなものをお示ししたものでございますが、まず、5月24日が第1回目として、指針改定に伴う養成課程の見直しのキックオフをさせていただいたと。本日、22日に関係団体からヒアリングをいたしました。
 今後は、まずは、点線で囲んでございますが、本検討会のもとに設置いたしていますワーキンググループにおきまして検討会での意見または今回のヒアリングの内容を踏まえまして、論点整理または対応方針案の整理を行っていただきたいと考えておりまして、これが2回程度の開催かと考えてございます。それの整理が終わった段階で、あくまで予定でございますが、9月に3回目の検討会を開催いたしまして、養成課程の見直しの議論、または今度、試験の方の見直しの論点提示等をさせていただきたいと思ってございます。
 以降、ワーキングについては適宜必要に応じて開催したいと考えてございまして、最終的には、年内をめどに保育士養成課程等の見直し(案)のとりまとめを行ないたいと考えてございます。
 実際に新養成課程・試験の適用時期でございますが、矢印の一番下に書いてございますが、平成31年度から適用できないかと考えてございます。これにつきましては、幼稚園教諭の新養成課程の適用と同時期と、あわせた形でと考えてございます。
 続きまして参考資料2をご覧ください。こちらにつきましては文部科学省から提供していただいた資料になってございます。幼稚園教諭の養成課程も含めまして、今後の教職員の養成課程の見直しのスケジュール等を記載しております。
 平成29年度のところをまず見ていただければと思いますが、教職員免許法の改正を受けまして、施行規則の改正、また教職課程のコアカリキュラムの策定、あと教職課程の認定基準等の改定といったものを今後行っていく予定となってございます。この資料、一番上に5月現在と書いておりまして、6月ごろ、7月ごろと書いてございますが、スケジュール、多少前後することもありますが、今後そういった改正を予定しているということでございます。
 最終的には、新課程の開始ということで、平成31年の4月から適用といったスケジュールになってございます。
 前回の意見、また今後のスケジュールについての御説明は以上になります。
○汐見座長 ありがとうございました。前回の意見を改めて整理していただくと、今日、ヒアリングで出した件とかなり重なる部分もあったので、しっかりとこれから議論していきたいと思いますが、今の論点整理に何か追加したいというような御意見がございましたら出していただきたいと思います。
 それから、前回も、清水構成員の方からでしたか、幼稚園の方のコアカリキュラムに基づく再課程認定について、少し進捗というのはございましたか。
○清水構成員 私のところには直接ではないのですが、6月の終わりにカリキュラムの検討委員会が開かれるという情報がありましたので、恐らくそれ以降に、ここでいうところのコアカリキュラムの確定されたものが公表されてという動きになると思います。
○汐見座長 津金構成員、どうぞ。
○津金構成員 一言だけ。現在、コアカリキュラムの案が出ておりますので、パブリックコメントを行なっているところなのですね。多分、そのパブコメが終わったところで清水先生がおっしゃったのが出されることになると思います。
○汐見座長 私たちは、この指針が改定されて、それに見合う養成課程の科目内容、あるいは科目の構成等の検討が今必要ではないかという議論をしているのですが、さらにその先に、保育教諭という新しい職種がだんだん増えてくるということになりまして、今後も幼稚園免許と保育士資格併有という形でやるのか、養成課程として保育教諭養成課程というものを新たにつくっていくのかというのがテーマになっていきますね。そうなってきますと、幼稚園での養成課程と保育士の養成課程との間の上手な整合性というものを念頭に置いてやっていかなければいけないということがございますので、これからは幼稚園をどのようにするかということを常に念頭に置きながら進めていきたいなと思っています。
 幼稚園の方は、御存じだと思いますけれども、5領域の中身をしっかりと理解する教育が中心になっていきますね。各領域に3単位ぐらいずつ、今回提案されていますね。ですから、それだけでもう15単位になるということで、少し重点の置き方が違っているところがあって、そういうところをどう整合を図るかというところがありますのでね。それは今回直接のテーマにならないかもしれないですが、また状況がわかればお知らせいただきたいと思います。
 あと、この論点のようなところにつけ加えることはございませんか。
 では、宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 これがカリキュラムになるかどうかは別として、現場で実習を受けるときの実習指導者の資格についてはぜひ検討いただきたいと。そういうところを少し意見として入れていただければありがたいと思います。
○汐見座長 ありがとうございます。今日、ヒアリングの中でもかなり出されていて、保育所の実習がすごく大事だということは当然なのですが、その実習の質が、あるレベルが確保されるための工夫、配慮というものがやはり必要ではないかということでして、その一つとして、実習担当者の資格要件を改めて考えるということが今日出ていました。それが1つ論点になると思います。ありがとうございました。
 他にございませんでしょうか。
 それでは、またお気づきになったことがございましたら、メールでも結構ですので、事務局にお伝えください。今日のヒアリングの内容をまた整理して、次回、お示しいただくと思います。
 それでは、次回の日程等について、事務局の方からお願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。
 構成員の皆様、ヒアリングに御出席いただきました各団体の皆様、本日は誠にありがとうございました。
 次回の検討会につきましては、後日、事務局より日程調整の御連絡をさせていただきたいと思っております。ワーキンググループの開催状況も踏まえて次の開催時期を決定することになりますが、恐らく9月ごろになるかと思いますので、その際は御出席よろしくお願いいたします。
 以上です。
○汐見座長 それでは、本日はこれで終わりたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

(了)

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