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2017年5月24日 第6回保育士養成課程等検討会

子ども家庭局保育課

○日時

平成29年5月24日(水)15時から17時


○場所

TKP新橋内幸町ビジネスセンター ホール611


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、阿久澤構成員、阿部構成員、近喰構成員、清水構成員、宮田構成員、三代川構成員、村松構成員

厚生労働省

巽保育課長、楠目企画官、川島課長補佐、高辻保育指導専門官、鎮目保育指導専門官

○議題

○川島課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第6回「保育士養成課程等検討会」を開催させていただきたいと思います。
 構成員の皆様方には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本検討会の構成員の交代について御報告いたします。本検討会におきましては、年度ごとの任期を設定しておりまして、第1回を開催してから2年近くが経過したということ、また、地域限定保育士試験における実技講習の仕組みについて結論を得たということもありまして、一部構成員の交代がございます。
 新たに4名の方に構成員に御就任いただきましたので、御紹介させていただきます。
 栃木県保健福祉部こども政策課長の阿久澤真理様。
○阿久澤構成員 阿久澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 帝塚山大学現代生活学部教授の清水益治様。
○清水構成員 清水です。よろしくお願いします。
○川島課長補佐 全国社会福祉法人経営者協議会保育事業経営委員会委員長の宮田裕司様。
○宮田構成員 宮田でございます。よろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 もうお一方、本日、御都合によりまして欠席されてございますが、名古屋学芸大学ヒューマンケア学部教授の津金美智子様にも御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の構成員の出欠状況でございますが、9名の方に御出席いただいております。先ほど御紹介した津金構成員の他に、網野構成員、前田構成員、山縣構成員から御欠席との連絡をいただいてございます。
 また、事務局にも職員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 馬場の後任で参りました保育指導専門官の高辻でございます。
○高辻保育指導専門官 よろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 続きまして、お配りしております資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料につきましては、議事次第、資料1から資料3。また、参考資料につきましては、1-1から1-4まで、参考資料2、参考資料3の計10点となってございます。資料の欠落等ございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 傍聴される皆様方におかれましては、撮影及び録音については御遠慮いただくとともに、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。汐見座長、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 それでは、皆さん、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 これから議事に入りますけれども、全国保育学会の大会がちょうど終わったばかりで、この中にも参加してくださった方がたくさんいらっしゃいますが、今年はとうとう4,000人を超え、去年、東京でやってかなり多くの参加者でした。それでも3,000を超えたということで、それをはるかに超えて、地方も盛会であったのに4,000人を超えたかもしれない。プログラムが足らなくなったというすごいことが起こっています。今年が保育指針の周知期間であるということで、関心が高まっているということもあるのだと思いますが、単にそれだけでは説明できないような、保育に対するいろいろな角度からの関心の高まりを感じています。今、その中で、幼稚園がということより、保育園がということで保育園対策。
 そういう意味で、この検討会は保育士の養成に関わっていることで、小さな会ですけれども、中身は大変なことをやる会だと私は思っておりますので、御議論をよろしくお願いしたいと思います。
 今日の議事ですが、まず1番「福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応」ということですが、今年の1月から、こういうことに関する検討会のもとにワーキンググループをつくることを皆さんにお願いしていたのですが、そこで議論していただきました。一定の結論が得られたということで、ワーキンググループの座長である小川構成員の方から、その結論の概要について少し御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○小川副座長 では、お手元にワーキンググループにおける議論の整理という資料1がございますので、それをもとに御説明させていただきます。
 後ろの方に、そのワーキンググループのメンバー7名のお名前が書いてございます。平成29年1月、2月、3月、各1回ずつ3回の会議を持ちまして、中では大変活発な討論をしながら、ここに至ったわけですけれども、ワーキングのメンバーの方たちは、皆さん幼稚園教諭と保育士を養成している大学・短大の教員で、四大の教員が多いのですけれども、大体の方が短大での教員の経験をお持ちの方たちで、実態がよくわかっていらっしゃる方たちだと思います。また、今回は保育士とその他の福祉職との比較をいたしましたけれども、詳しいことがわからない場合は、厚生労働省の中の他の専門官の方に同席していただきまして、それでその方にもいろいろお聞きしたりして議論を活発にいたしました。
 それでは、報告書の目次をご覧ください。はじめに、1、2、3、4という形で構成されています。
 「はじめに」のところに書かれておりますように、今回、このワーキングで検討しなければならなかった課題というのははっきりしておりまして、まず現在、国が保育人材の確保に取り組んでいる中、日本再興戦略においても、他の福祉系国家資格所有者等の保育士資格取得への対応が求められております。
 また、厚生労働省では、平成28年7月に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し、「地域共生社会」の実現に向け、必要な取り組みの推進を検討中でございます。その中で、保健医療福祉の専門資格の新たな共通基礎課程の創設を目指しております。そのことは、まだ具体的なことは何も出てきておりません。当面の措置として、福祉系国家資格を持つ者への保育士養成課程・試験科目の一部免除などの運用改善を検討するということが明らかになっております。それで、今回、このワーキングで検討いたしました。
 まず、保育士養成課程と他の福祉系国家資格の養成課程との比較をいたしました。保育士養成課程を私たち、やっているわけですけれども、その養成課程は、保育の専門性に関する内容を学習する「保育に関する科目」と福祉職の基盤となる内容を学習する「福祉職の基盤に関する科目」というものに大きく2つに分類可能であるということを確認いたしまして、それで、他の福祉系国家資格の養成課程、介護福祉士養成課程、社会福祉士養成課程、精神保健福祉士養成課程と、それぞれ大変細かな科目一覧表を見ながら検討いたしました。
 それで、各資格の養成課程の教育内容を見ますと、主として各資格に求められる専門性に関する内容なのですけれども、福祉職の基盤となる内容も含まれているということがわかりました。
 それで、(3)ですが、保育士養成課程と他の福祉系国家資格の養成課程を比較いたしました。ここにかなり時間をかけたわけですけれども、福祉職の基盤となる部分については、各資格において共通する内容が多く含まれるのではないかということが明らかになりました。
 他の福祉系国家資格所有者の保育士資格取得への対応ですが、まず基本的な考え方としては、福祉系国家資格所有者は、それぞれの養成課程において福祉職の基盤となる部分については、既にその内容を修得済みである。そして、保育士養成課程の「福祉職の基盤に関する科目」に関わる部分については、免除できるものがあるのではないかということを検討いたしました。
 具体的にはどうなのかということがその次ですが、養成課程のところではなく、まず保育士試験の免除で対応していくことを考えました。といいますのは、既にその他の福祉職の資格を持っている方々が保育士資格を取ろうとする場合に、また改めて養成課程に入るというよりは、具体的には保育士試験でお取りになる可能性が高いであろうということでございます。
 保育士資格取得の際の特例の具体的内容としまして、まず保育士試験の科目免除を考えました。お手元の資料の別添1と別添2、水色と黄色のページ、7ページがあると思います。
 その別添1の上の部分ですけれども、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士に対する保育士試験免除に係る取扱いについての(案)でございますが、保育士養成施設で試験科目に対応した教科目を履修した場合には、それに対応する試験科目を免除。「福祉職の基盤に関する科目」に対応する試験科目については、国家資格を所有していることをもって履修免除としたらどうかとなりました。具体的には、その黄色の部分でございますけれども、社会福祉、児童家庭福祉、社会的養護が現在の保育士試験の科目です。それに対応する指定保育士養成施設の教科目がそれぞれ書かれていますけれども、これらは免除でいいのではないかということになりました。
 その次でございますが、介護福祉士養成課程との間での履修科目免除は別添2をご覧ください。その下です。介護福祉士養成施設を卒業した者が指定保育士養成施設の養成課程で学ぶ場合の履修科目免除についての案でございます。これは、色ではなくて、免除の可否というところで丸印がついているわけですけれども、細かな科目名が書かれておりますので、後でご覧になってください。
 実は、保育士養成施設を卒業した方で介護福祉士養成施設に入学した場合、一部科目を免除ということはもう既に制度化されております。そういう意味では、相互に免除可能にしたらどうかということでございます。
 最後は、子育て支援員の保育士資格取得への対応ということが目次にはあるのですが、この3回の検討会では、この子育て支援員の保育士資格取得へというところまでは具体的に踏み込む時間はありませんでした。今後の課題であるということになっております。
 以上でございます。
○汐見座長 初めてそういうことになっているのかということがあったかもしれませんので、少し時間がありますので、御質問をお願いいたします。
 宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 基本的なことなのですが、「はじめに」の「また、現在」云々というところのポツの2つ目です。共通基礎課程創設までの間の当面の措置として、28年度中に、福祉系国家資格を持つ者への保育士養成課程・試験科目の一部免除などの運用改善を検討することとしている。28年度が済んでいるので、これはどういうふうに整理したらいいのか。
○汐見座長 楠目企画官、お願いします。
○楠目企画官 済みません、御説明が事前に十分できていなかったかもしれませんがけれども、平成28年度中に検討するということで、昨年度に28年度からワーキンググループを設けて検討していたところでございます。
○汐見座長 今年1月から始めていますので。
○小川副座長 そういうことです。
○宮田構成員 わかりました。
 もう1点。3ページの(1)保育士養成課程のところです。必修科目については、「保育の本質に関する科目」「保育の対象の理解に関する科目」等の6つの系列に分類されている。その下に改行されて、必修科目については云々とあって、「保育に関する科目」「福祉職の基盤に関する科目」という整理がされているのですけれども、この上の「本質に関する科目」「対象の理解に関する科目」と、下の「保育に関する科目」と「福祉職の基盤に関する科目」という、この辺の整理が私、この文章を読む限り、どういうふうな関係があるのかが、理解できなかったのです。
○汐見座長 お願いします
○楠目企画官 先に事務的に補足させていただきますと、。3ページの(1)保育士養成課程の1つ目の段落は、現在の保育士養成課程を普通に分類するときは、教養、必修科目、選択必修という大きな括りがありって、さらに、その必修科目の中には、「保育の本質に関する科目」、「対象の理解に関する科目」等の、6つの系列による。これは下の方に注をつけておりますけれども、こういう分類の仕方をしているおりますということを確認しさせていただいております。
 その必修科目のそれぞれの内容は、先ほど、小川ワーキンググループ座長から御説明いただいたように、その中身を一つ一つを見ていくと、保育の理念や概念、内容・方法といった保育の専門性に関する内容が中心になっている科目と、保育を含めた福祉制度の全般の基礎的知識や対人援助・生活援助の基礎といった、福祉職の基盤となる内容を中心に学習するような科目という分類を行うことがが、今回、検討するに当たって、できるのではないかということでと考えということで、、新しくこの報告書の中では出てきている概念として、それを「保育に関する科目」と「福祉職の基盤に関する科目」と記載することにより便宜上書かせていただいて、少し紛らわしかったかもしれませんけれども、整理させていただいたしたということでございます。
○宮田構成員 カテゴライズの仕方を見直したということですね。了解です。
○汐見座長 確認しておきますと、最後の7ページの下の表は、現在の養成施設における履修科目、68単位以上となっています。これを教養科目と必修科目、選択必修と大きく3つで括って、その後、6にカテゴライズされているところを、別のカテゴライズをしたということです。今回、介護福祉士養成施設卒業者に丸がついているところは「福祉職の基盤に関する科目」という形で分類できるのではないかと分けられたということで、それは免除できるのではないかということですね。
○宮田構成員 わかりました。ありがとうございます。
○汐見座長 共通の基礎課程というのは、まだ議論は始まっていないですか。33年、4年後ですね。
○川島課長補佐 事務局です。
 昨年度の調査研究費を使って、これを比較検討したというところがありまして、それを踏まえて、今年度から本格的に議論していくといった予定になっております。なので、まだ具体的なものは出ていないといったところです。
○汐見座長 要するに、福祉・医療系の資格が2階建てになるわけですね。
○川島課長補佐 どこまでできるかも含めて検討する予定です。
○汐見座長 全部同じようにできるかどうかというあたりは、まだわからないですね。それがそちらに移行していけるように配慮しておくということで、今の分け方は多分そういうことが前提にあって、2つに分けられたのだと思っています。
 いかがでしょうか。これは、平成33年までの暫定的なプランになりますけれども、今、地域包括ケアということが話題になっていまして、2つの資格を併有することが大変大事なテーマになっていて、今まではどちらかというと幼稚園と両方でしたが、今度は福祉職でもう一つということになってきたときに、そのとり方を少し合理化していくことがテーマになってきているということで、少し急がれているようです。
 では、特にあれがなかったら、もし少し待てということがあれば、もう一度議論しなければいけないし、またワーキングに戻さなければいけないことが起こるかもしれません。今のところ、このぐらいしかわかっていなくて、本体の議論が始まっていないということですから、それに対して柔軟に対応できるために大きく2つに分けてということで、ここを免除できるのではないかというのは、私も聞いていて合理的だなと思ったのですが。もし、特に疑問、御意見がなかったら、これをワーキングでやっていただいたのですが、本検討会のまとめとして扱わせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○汐見座長 ありがとうございます。では、こういう形でこれから進めることにしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、2つ目の議題ですが、「保育所保育指針改定に伴う保育士養成課程等の見直し」ということであります。
 これについて説明をお願いします。
○鎮目保育指導専門官 それでは、まず私の方から資料2を用いまして保育所保育指針の改定についての説明いたします。
 横型で3枚閉じてある資料2の一番上をご覧いただければと思います。
 新たな保育所保育指針につきましては、昨年12月に社会保障審議会児童部会保育専門委員会の議論の取りまとめを踏まえまして、本年度の3月31日に厚生労働大臣告示を公示、平成30年4月1日から適用としたところでございます。
 その中身についてですけれども、この1枚の紙の中でそれぞれの章の概要をお示ししているところでございます。
 「第1章 総則」につきましては、保育所保育が幼児教育の重要な一翼を担っていること等も踏まえ、「4.幼児教育を行う施設として共有すべき事項」を定めるなど、保育所保育の基本となる考え方について記載しております。
 1で、保育所保育に関する基本原則を記載し、2におきましては、養護に関する基本的事項ということで、養護が保育所保育の基盤であり、保育所保育指針全体に重要であることを踏まえまして、総則に記載するという整理をしております。
 また、3で保育の計画及び評価。
 そして、4で幼児教育を行う施設として共有すべき事項といたしまして、幼稚園や認定こども園等との共通の事項として、幼児期に育みたい資質・能力ですとか、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について記載しております。
 第2章につきましては、3歳未満児の保育の重要性の認識の高まりにより、より一層の記載の充実を図るということで、乳児、3歳未満児、3歳以上児の保育について、それぞれ、ねらい及び内容を記載しております。
 また、特に、3歳以上児の保育につきましては、幼稚園、認定こども園との整合性を一層確保している次第です。
 こちらの1番で、乳児、いわゆる0歳児に関わるねらい及び内容のところでは、5領域でこれまで示しております保育内容に関わる発達が未分化な状況にあるということから、生活や遊びが充実することを通しまして、身体的、社会的、精神的な発達の基盤を培うという基本的な考えなどを踏まえまして、青字でお示ししていますように、「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」という3つの視点から記載しております。
 また、2では、1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容を5領域で、大きく領域の内容が重なり合うことを意識しながら記載しているところでございます。
 3歳以上児の保育に関わる内容、そして4のところでは、保育の実施に関して留意すべき事項を記載しております。
 「第3章 健康及び安全」につきましては、子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえ、食育の推進、安全な保育環境の確保等について記載の充実を図っております。
 「4章 子育て支援」では、保護者と連携して「子どもの育ち」を支えることを基本として、保育所が行う子育て支援の役割等について記載の整理・充実を図っているところでございます。
 「5章 職員の資質向上」では、職員の資質・専門性の向上について、キャリアパスを見据えた研修機会の充実なども含め記載しております。
 2枚目に移らせていただきますと、現行でお示ししている保育所保育指針が左側、7章の構成になっておりまして、それが改定後、5章の構成になったところを比較して、わかりやすくお示ししているものでございます。改定後の構成に沿いながら、どのような構成の変更が行われたかを簡単に御説明したいと思います。
 まず、「第1章 総則」の1節で、保育所保育に関する基本原則ということで、現行、左側の総則でお示ししております保育所の役割や保育の原理、保育所の社会的責任について、ここで記載させていただいております。
 2で、養護に関する基本的事項ということで、先ほどのような重要性を踏まえてということで、養護の理念、生命の保持と情緒の安定というところで、現行で言いますと、3章の保育の内容の養護におけるねらい及び内容がこちらで記載されているような形になっております。
 また、3では、現行、4章にあります保育の計画及び評価の部分がこちらに移行していますけれども、記載の内容といたしましては、全体的な計画の作成と、それに基づく指導計画等の作成や展開。また、保育内容の評価及びそれに基づく改善というものについて、こちらで記載しております。
 4で、幼児教育を行う施設として共有すべき事項をお示ししております。
 続いて、第2章が「保育の内容」になっております。現行の左側でお示ししています第2章の「子どもの発達」という部分につきましては、発達課程に関する基本的事項につきまして、この新しい右側の「保育の内容」、1、2、3で各年齢区分になっておりますけれども、こちらの各節に基本的事項として、それぞれ記載するという形で整理しております。
 また、右側、「保育の内容」の第4節では、保育の実施に関して留意すべき事項ということで、小学校との円滑な接続について、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の小学校との共有などを含めて記載しているところでございます。
 新しい「第3章 健康及び安全」のところでは、基本的な章構成としては第4節の災害への備えということが、東日本大震災を踏まえ、安全に対する社会的認識の高まりなどありまして新設されております。第1節の子どもの健康支援のところでは、アレルギー疾患について、特に食物アレルギーについての記載の充実など、この間の10年での新たな知見などを踏まえて記載の充実を図っております。
 また、第2節食育の推進におきましても、食の循環や環境への意識などについての記載の充実等を図っているところでございます。
 第3節の環境及び衛生管理並びに安全管理の記載においても、安全な保育環境、特に重大事故が起きやすい場面を踏まえた対策を講じることなど、記載の充実を図っているところでございます。
 第4章では「子育て支援」ということで、「1 保育所における子育て支援に関する基本的事項」、「2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援」、「3 地域の保護者等に対する子育て支援」ということを、旧の第6章から新たに第4章という形で記しております。
 また、第5章では「職員の資質向上」ということで、左で現行の第7章で示しております「職員の資質向上」に加えまして、第4節の研修の実施体制ということが新たに加わっております。保育の課題や各職員のキャリアパス等も目指した体系的な研修計画の作成等について、記載しておるところでございます。
 3枚目に移りまして、参考資料といたしまして「保育所保育指針について」というものをつけさせていただいております。
 こちらの方では、根拠法令、策定の経緯やこれまでの改定の流れ等について、お示ししておりますので、参考にご覧いただければと思います。
 保育所保育指針の改定についての説明は以上でございます。
○川島課長補佐 続きまして、資料3でございます。「保育所保育指針改定を踏まえた保育士養成課程の検討内容(例)」というものを御用意していますが、これについて御説明させていただきます。この資料につきましては、今後の検討会におきまして議論いただく際の主なポイントになると思われるものを事務局において整理したものでございます。6つ挙げさせていただいております。
 1つ目の項目につきましては、今般の指針の改定におきまして、乳児、1歳児、3歳未満児の保育に関する記載を充実し、乳児、3歳未満児の保育について、それぞれ、ねらい及び内容が示されたことを踏まえまして、「乳児保育」に関する内容の充実、科目の検討をしてはどうかといったものでございます。
 2つ目の項目につきましては、「養護」というものが保育所保育の基盤であり、重要なものであることから、今回、総則に記載したところです。また、子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえまして、健康及び安全の記載の見直しをしたところでございますので、保育活動の全体を通した「養護」の観点や「養護と教育」の一体的展開の重要性、安全な保育環境確保の要請等を踏まえた、「保育における養護」に関する内容の充実、科目の検討をしてはどうかというのが2点目でございます。
 3つ目でございますが、保育所保育も幼児教育の重要な一翼を担っていることを踏まえまして、今般、保育内容、保育評価のあり方についての記載内容を充実したところでございますので、これら保育内容に関する科目(「保育内容総論」「保育内容演習」等)といった科目の内容の充実、また、「保育の計画と評価」に関する科目を検討してはどうかというのが3点目でございます。
 4点目でございますが、「保護者に対する支援」という今までの章を「子育て支援」に改めまして、記載の内容の充実を図ったところでございます。これらを踏まえまして、保護者と連携した「子どもの育ちの支援」という理念を踏まえまして、関係科目(「家庭支援論」「保育相談支援」「相談援助」といった科目)の整理・充実、また、「子育て支援」に関する科目の検討をしてはどうかといったところを挙げさせていただいております。
 5つ目でございますが、専門職としての保育士等の資質向上につきましては、キャリアパスの明確化を見据えまして、研修機会の充実といった記載内容を充実したところでございますが、こちらを踏まえまして、現職研修の充実による資質・専門性の向上や他の専門職種との連携の必要性等を踏まえた、「保育者論」といった科目の内容の充実をしてはどうかということでございます。
 最後の項目でございますが、子ども・子育て支援新制度の下で、幼稚園教諭免許との併有の対応が求められていることを踏まえまして、科目の分類・教授内容の示し方等の検討をしてはどうかということをお示ししたところでございます。
 資料3については以上でございます。
○汐見座長 ありがとうございました。
 今回の保育所保育指針改定の趣旨・内容についての御説明と、それから、その指針が変わりましたので、保育士養成課程、あるいはこれから保育士試験も確定してくるかもしれません。養成課程のカリキュラム内容について、少し修正・変更を加える必要が出てくるのではないか。とりわけということで、最初に、今、こういうことはまず間違いなくテーマになるだろうということを6点挙げていただいております。
 今日は、一個一個どうするという各論的な御議論というよりは、もちろんそれもいただきたいのですが、検討しなければいけない科目とか教育内容について、それは特に必要ないのではないかとか、いや、もっとこれがいいのではないかというあたりを中心に御議論いただきたいと思います。それが定まった後に、では具体的にどうするかということの整理をやっていただこうと思っておりますので、今、6点出していただきましたけれども、それを踏まえての賛否の意見も含めてですけれども、御自由に少し出していただきたいと思います。
 では、清水構成員、お願いいたします。
○清水構成員 清水です。よろしくお願いします。
 私の方で参考資料3というものを出させていただきました。その中で、先ほどの繰り越した検討内容の一番最後の幼稚園教員免許との併有の対応が求められていることに関して、真ん中に図を入れさせていただいています。これは、置いていただいています資料の第4回の最後のページに小学校を入れていただいていますけれども、それの幼稚園版の部分です。
 教科に関する科目というのが、領域及び保育内容の指導法に関する科目という形で括られる方向のようです。また、この方向に基づいて、今、コアカリキュラムというものがつくられているそうです。そのコアカリキュラムの案に基づいて、モデルカリキュラムというものが今度、6月4日にお披露目といいますか、研究の報告会があります。その研究報告会と余りかけ離れた方向に行くと、この6番目、併有との対応という点で少しずれが出てくると思いますので、できればそれがオープンになった段階で、あるいはコアカリキュラムというものがオープンになった段階で、この部分については考えていく方が、今、考えてもずれが出てくるかなと思います。
 それと、他の点に関しましては、資料3にありましたので。
○汐見座長 せっかくですから、1番から全部。
○清水構成員 よろしいですか。ありがとうございます。
 1番は、乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載が充実されました。ただし、その中で、ねらい・内容が新たに入ったという点では、何らかの形で科目を起こすか、あるいは科目の中の記載をかなり充実させて、こういう形の授業としていただくのがいいかなと思います。
 先ほど説明していただきましたように、「保育の内容」の中に「子どもの発達」が入って第2章がなくなった。では、「子どもの発達」を無視して、いい保育になるかというと、そうではないですので、ある程度子どもの発達は押さえる必要があるでしょうし、まさにその意味では、前回変わった、発達心理学ではなく保育の心理学になった理由といいますか、発達だけでなくて学習。発達と学習だけでなくて、それが保育に根差したものという方向は維持していただくのがいいかなと思います。それが1番のところです。
 2番の「養護」と「計画と評価」が第1章に入ったというのは、先ほどの検討内容の例のところでは3番目のところに該当するかなと思いますので、科目の検討が必要かなと思います。
 今日は、細かいどの科目がどうのこうのというのではないので、ここは言わない形にします。細かい部分を言い出すと、まさにこの場が人のとり合いといいますか、教員のポストのとり合いになってしまいますので、それは避けていただけたらと思います。
 あと、できれば、養成校の創意工夫といいますか、それが前に出るといいかなと思います。養成校によって、まさに先ほどポストのとり合いという話をしましたけれども、いろいろな立場でその養成校に所属されている方がおられますので、ある程度科目を分けるのではなくて、括ることによって、その中で、これとこれは養成校でこの科目で教えているというものが出てくると、工夫もしやすくなって、いいかなと思います。
 あと、ガイドラインというのは、今、厚生労働省の方でかなり出していただいていますので、このガイドラインをどの科目で教えるのか。科目名にしてしまうと、少ししんどいですので、これは今までも教科のある程度の中身を示していただいている。その中にガイドラインというものを入れていただくというのが、私の案です。
○汐見座長 ありがとうございました。
 今、かなり総合的に御提案くださっているのですが、最初に御説明してくださった第4回の最後についている資料については、少し説明が要るかもしれません。これは、どのぐらいまで議論していくことになるかというと、学校の教員の養成課程が小学校・中学校とあるわけですけれども、そこでのカリキュラムの考え方を中教審として、今回、大きく変えることになったのです。養成校はこれで対応を迫られているのですけれども、教職に関する科目で、今まで教育心理とか、そういう科目がいろいろあったのですが、それを非常に大きく括って、学校裁量を増やすことになっているのです。
 その一つのイメージがこの表になって、今日、清水構成員がコピーしてくださっているところがそれです。例えばという形で、大きく4つになった。「大学が独自に設定する科目」というのが増えていますので、これは幼稚園の場合ですけれども、専修83単位、一種59単位、二種39単位です。その括り方がこういう形に変わってくるということで、それとある程度対応したやり方をしておかないと、またもう一回ということになりかねないということで、この動向を見据えた議論が必要だろうということが最初の御提案でした。
 それから、乳児が2単位なものを、もう少し単位増するかどうかということとか、「計画と評価」について科目をつくるかどうかということ。
 と同時に、4番目に書いてくださったのが、総単位数の最低が68単位なのですが、これを、科目を増やすとなると総単位数をどうするかということが議論になってきます。それを原則いじらないでということでやるとしたら、何かを統合するとか、減らさないといけない。そこで、ここに書いてくださったのは、大綱化というものを少し考えたらどうか。つまり、こういう科目について、やってください。だけれども、それを何単位、どういう科目でするかということは、養成校にある程度委ねてみてもいいのではないか。そういうふうにしないと、増やして、全体を増やさないというのは難しいということですね。
 そういうことがこれから議論になるだろうということで、非常にわかりやすい御提案だったと思います。
○清水構成員 1点、付け加えさせていただきます。
 私も養成校にいる立場としましては、演習科目、演習は50人でやることという制限があるのですが、そのあたりの見直しもここで可能でしょうか。
○汐見座長 50人未満ですね。
○清水構成員 50人ぴったりではやりにくいですし、非常に苦しい部分が時々ありますので、その辺を緩和というと、質の向上と反対の方向に行きますけれども、緩和ではなく、緩めてと言ったら緩和になりますね。言葉を選んでいただきながら、うまく対応できたら、養成する側がやりやすいかなと思います。何でもかんでも、これでいい、あれでいいよとしてしまう必要はないと思いますけれども、それで演習の見直しという表現を使わせていただいきました。
○汐見座長 その件についても、ここで検討してもよろしいことになるのでしょうか。どこか別のところですか。
○川島課長補佐 その点も含めまして、幅広く検討していただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○汐見座長 確かめさせてください。演習科目は50人未満で、50人を超えたら2つに分けなければいけないというのは、都道府県の指導事項ですね。もとのものを読んでみたら、別に演習科目だけではなくて、保育士養成課程の科目は全て50人未満と書いてあるのですけれども、これは何かありますか。それで、それは無理だろうということで、演習科目は厳しく守ってもらっているけれども、それ以外は100人、150人で授業をやっていますね。そのもとの決まりというのはどこかありますか。調べてみたら、えっと驚いたことがあって、50人以下でやれということになるのですね。それは理想的なのですけれども、現実には難しいことですね。
○楠目企画官 確認が必要ですが直ちにお答えできない部分があるのですけれども、恐らく施設整備や教員の配置の関係でとかで1学級の学生数を50人以下にするといったことが規定されていることはあるか、教員の配置の要件とかですと、50人以下だったらこうで、それ以上だったらどうという、50人を区切りにしているところが幾つかありますので、そういうところだと思いますうのですけれども、演習以外で50人以下というのは。多分、そういう運用はしていないと思います。
○汐見座長 調べても、50人以下と出てくるのです。それは、演習とか何かを分けていないのです。それで、僕の見間違いなのかもしれないけれども、東京都からの指導は厳しくやっています。去年、短大が定員95人なのに、うまく採れなくて101人になってしまったために、ずっと3クラス。途中で2人やめてしまったので。同じ授業を3回やらなければいけないのと2回やるのでは、負担が全然違うのです。だから、そういうことについてもう少しきちんとした基準が欲しいということは、確かにどこでもあるのです。今日はいいです。資料を調べていただいて、実態と、絶対これは守らなければいけない基準というのはどこにあるのかということについて。
○楠目企画官 ご指摘の点は、わかりました。次回までに調べたいと思います。
 といって、幅広く御議論いただきたいところなのですがなのですけれども、基本的に、まず、告示として定める内容として、教科目やとか単位数等とかがありますので、今回の改定を踏まえて、告示等の改正が必要な事項について、そちらにつながるような御議論をまずいただきいて、その後あと、当然、運用面やとかシラバスに関する部分についてということも、取扱っていただかなければと考えていますまた幅広くと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 ということで、どうぞ、御自由に、できたらお一人1回ぐらい発言していってください。
 ここの指針が変わって、こういうところの養成内容はもっとこうすべきではないかとか、こうやってまとめたらどうかとか、そういうことで結構です。
 村松さん、お願いします。
○村松構成員 村松でございます。
 今回、この指針の改定によりまして、乳児保育のところがとても細かく記載されましたし、加えて全ての領域とか年齢もそうですけれども、非常に細かく書かれるようになりました。私たちが、実習生とか新卒の者たちを採用したりしていく中で感じるのは、子どもの発達の基本的なところの理解が未熟かなということは感じたりもします。多分、学校で概念的に学ぶので、ピンときていないのかなというところもあるようなので、できたら可視化といいますか、教材の中に可視化されたようなものがあると、イメージを持って子どもの発達を理解できるかなとも思います。
 私たち保育の現場では、保育をどういうふうに可視化するということを非常に努力しながらやっているところではあるのですけれども、それを養成校の方でもそういう形で可視化された保育を学ぶという取り組みをさらに充実していただけるといいのではないか。それによって、即戦力という言い方をしては申しわけないのですが、イメージを持って現場に出る者と、イメージを持たないで漠然と子どもが好きだからだけで来る者との格差はそこで出てくるのではないかと思います。
○汐見座長 ありがとうございます。今のことを確認させてください。
 可視化と言ってくださったのは、現場に出たときのことが余りわからないままで勉強しているということで、現場ではこういう問題が常にあるとか、現場はこういう雰囲気でやるということが学生によく見えるような形でということでしょうか。
○村松構成員 はい。
○汐見座長 実は、そういうために演習科目というのと講義科目を分けていまして、演習科目というのは現場の様子をいろいろ取り上げて、ビデオでやってみたり、実践の先生に来てもらったり、いろいろなことで工夫しながらやることになっているのです。ということは、ふだんの講義科目のシラバスにも、もう少し現場のことがわかるような工夫というか、そういうことと、演習科目でもう少し現場の実態がわかるような内容にという御意見だと伺ってよろしいですか。科目を増やすということではなくて。
○村松構成員 そうです。
○汐見座長 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、三代川構成員、お願いします。
○三代川構成員 三代川です。よろしくお願いいたします。
 先ほどの御説明の中に、幼児教育の重要な一翼を担っていると、保育園もそういうふうになってまいりました。また、保育所保育指針も幼稚園教育要領も3歳以上児の保育に関するねらい及び内容の部分が同一であるところです。それで、幼稚園教育資格との整合性がとれないのかなと思ったのですが、保育園においては養護と教育の一体といった、保育所ならではの基盤がございますので、その辺の内容を盛り込んでいただけるとありがたいのかなと思いました。
 もう一点、先ほど村松構成員の方からもございましたが、保育の可視化というところで、例えば養護と教育の一体というところで、こういう部分が養護の視点であるとか、子どもにとって教育の視点であるという可視化に伴う技術面とか内容という充実があるといいのかなと思いました。
○汐見座長 ありがとうございました。
 ただ、幼稚園をどうするかということも加えるのは。無藤教授などは、養護が強調されて、幼稚園の養護は必要ないのかというと、そんなことは全くなくて、同じことなのだということを無藤教授は強調されています。養護と教育の一体的展開というのは、保育の養護で言っていることです。幼稚園では、保護と教育の一体的展開ということになりますから、これは倉橋惣三氏がずっと言っていたことですから、そんなに違うことは言っていない。
 ただ、0、1、2という年齢を抱えている保育所ですから、そこは徹底的に養護を大事にしていかなければいけないということの強調でしょうね。それをカリキュラムに何か反映させられないかということだと思います。
 ありがとうございます。
 阿部構成員、どうですか。
○阿部構成員 養護と教育が一体的にということを強調するということは、養護だけではなくて、ここで言うと学びですけれども、一体になっているというそのことを強調されるということなのだと思います。あまり養護だけを強調すると、今回確認された学びの部分が見えなくなりはしないか。そこは、本当に一体になって展開されていく様子がわかるような授業を組み立てるということが重要になると思います。
 あと、それから3歳未満児の保育の記載の充実というところで、現指針は大綱化されて、保育の内容も年齢区分が取り払われていて、現場の方ではそこに発達課程を入れて見ていくのが難しかったということで、内容のところに大まかな年齢区分が入りました。年齢を大括りにして内容を示したことで現指針が改定される前の到達目標みたいになってしまうことがないように、どういうふうにここを考えていったらいいかなというのは、工夫のしどころと思います。また、3歳未満から3歳に行くところの発達の連続とか生活の連続を、どこの科目で扱えばいいかなというあたりを。
○汐見座長 まだ十分議論できていないと思うのですけれども、幼稚園は多分、非認知的な能力ということを踏まえた上で、資質・能力をどう育むかという3つの視点が出てきますね。そして、資質・能力を順の姿で示していってということで、それをカリキュラムの中にどう反映させていくのかということが多分議論になっていくと思います。そうすると、幼児教育を行う施設で同じようにやれとなってきていますから、それを保育所保育士の養成課程の中でどう取り扱っていくかということも間違いなくテーマになる。
 現在のところ、私の勝手な解釈ですけれども、わざわざ「養護」を総則に持ってきたということは、養護と教育を切り分けられなくて、養護的な機能、福祉的な機能を高めながら、同時に教育的な機能を高めていく。ただ、その強調の仕方を、教育を先に強調してしまって、重点が少し変わってくることに対する、ある種の警戒があって、保育所保育指針は、総則の2番目に「養護」というものがある。だけれども、幼稚園教育要領は、そこは保育の計画と子ども理解と詳しく入れているのですね。子ども理解というのがあれだけ総則で詳しくなったのは初めてです。
 僕に言わせれば、あれはかなり養護的な内容なのです。つまり、子どもを深く理解することができて初めて教育というものが見直せる。カリキュラムマネジメントのテーマ。だから、言葉は違うのだけれども、強調しようとしていることはそんなに違っているわけではないと思っています。子ども理解というあたりを教育と関わらせて、養護とかかわらせてやるのと、重点の違いみたいなものがあるのですけれども、それをカリキュラム上にどういうふうに反映させるかというあたりは、少し議論しなければいけないことかもしれませんね。シラバスの変更というか、充実でいいのではないかと思いますけれどもね。
 今日は、こんなこともあるのではないか、あんなこともあるのではないかで結構です。
 阿久澤構成員、お願いします。
○阿久澤構成員 私、県庁に勤めていまして行政をやっているものですから、皆さんの専門的な部分、技術的な部分はよくわからないというか、専門外になるのですけれども、保育の現場を見ている中で、今回、保育所保育指針が改定されるということを知りまして、例えば今、保育所の現場の園長先生とお話しをしていると、養成校もそうですけれども、せっかく養成校を出ても現場に行かないで、別の企業、民間の事務とかに就職する人も結構多いので、もったいないねという話が出ています。
 その辺、養成課程の中の学術的な部分とは直接関係ないのかもしれませんが、保育の現場の魅力というか、やりがいだったり、保育士としてのモチベーションだったり、そういった部分が、理論的・学術的な課程とは少し違うかもしれませんけれども、そこを出て現場に行きたいという思いが強まるような視点というか、科目というか、わかりませんけれども、そういうものも現場は求めているのかなという感じはしています。ただ、ここでする議論かどうかわかりませんので、的外れだったら申しわけないと思います。
 もう一点は、せっかく保育士になっても短期間でやめていってしまう方も少なくないという中で、いろいろ聞いていきますと、保護者との関係が難しいとか、対人的な部分が煮詰まってしまってお辞めになる方が少なくないということも聞いております。本筋の議論ではないかもしれませんけれども、そういう総合的な力というか、そういった部分もどこかで訓練というか、話もあると、現場としてはありがたいという話は聞いたことがありますので、参考までにお話しをさせていただきました。
○汐見座長 今、阿久澤構成員が言われたことは、養成校の一番大事にしなければならないことで、保護者対応の力はどうつけるか。そのための対人援助科目というのはすごく増えているわけですね。そこをなるべく統合したいというのはあるのですけれども、少し充実するという御提案ですね。ありがとうございました。
 では、近喰構成員、お願いします。
○近喰構成員 近喰です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身が学生と関わっておりましても、保育における養護について不足する部分がたくさんあるのではないかということを感じております。保育教諭の中でそれを補っているのですけれども、保育教諭と一体化させて、保育における養護的な領域を充実してもいいのかなと思ったりすることがあります。
 それから、保育内容の5領域の問題も、分けることがいい部分もありますけれども、あえて統合してしまうという考え方もあるのかなと思います。以前、保育内容5領域を年齢別に分けて講義を実施したことがあるのですけれども、もう随分前ですけれども、そういったやり方も1つあるのかなと思ったりしました。
○汐見座長 統合するというのは、例えばどういうイメージ。
○近喰構成員 5領域を全部含めた形で、それを年齢ごとに分けて充実させた。実際にしてみました。
○汐見座長 5領域は、もともと6領域のときは領域ごとにということで、逆にそれがいろいろな弊害を生んでしまうということで、むしろ人間としての発達というのをど真ん中に据えながら、それの中でこういう力は確実に必要だねということで、身体とか言葉とか、人間なら絶対必要なものを5つに絞って構成しているのです。だから、余り個別にやってしまうと、もとの趣旨が損なわれてしまうということで、このことの共通了解はなかなか難しいのかもしれませんけれども、5領域の考え方。資質・能力というのが出てきているということで、これは多分それを踏まえた再整理が必要なのかもしれませんね。
 小川構成員、お願いします。
○小川副座長 今の保育士養成課程の原則は、2年制の養成課程ということで68単位ですので、これは今の忙しさから言ったら68単位を絶対超えることはできない。だから、充実とか書いてありますが、新設というのはほぼなくて、充実したいものをどういう形で科目を統合したり、あるいはこれは内容的にこの中に入れていきましょうという整理をする必要が多分あるのかなと具体的に思っています。
 例えば、今、授業で保育相談支援と相談援助と家庭支援論というのは、確かに非常に似た科目です。すごく重なっていて、これは確かに3つなくてもいいのかなというのは、これは皆さん割と理解してくださりやすいところかなと思います。
 今、阿久澤構成員がおっしゃった中で、大体、保育教職実践演習でやっていらっしゃると思うのですが、最終的な卒業を目の前にした講義の時間割にそれを置いてくださいというので、あることはあるのです。だから、それが現実に保育者という仕事は本当に魅力的でということになっていないのかな、残念だなと考えました。だから、あれも科目が増えてしまったので、そこのやり方というか、そこでどんなことをやっていったら本当に充実したものになっていくのかなというのを考えなければいけないと思うのです。
 私、幼稚園の園長をしていた友人からずっと以前に言われたことがあって、本当に難しいという話の例ですけれども、その幼稚園は特別支援が必要なお子さんには人がつくというシステムがあるのですけれども、少し多動で飛び出していってしまうお子さんに、元保育所現場での経験が比較的長い方がつかれたわけです。遊びを中心とするというのを頑張ってやっている幼稚園なのですけれども、7月の暑いときで、4歳児の女の子たちが四、五人、ままごとをしていて、そのままごとの中で、夜だから寝ましょうというわけで、園にあるタオルケットを4人でみんなでかけて保育室で横になっていた。
 そこに、外で遊んでいた男の子が飛び込んできた。その後に、そのお子さんについている保育者も飛び込んできたわけです。そうしたら、そのクラスには担任がいるのですが、その飛び込んできた元保育園の保育者が、その4人の女の子たちがタオルケットをかけて寝ていた場面を見て、即、あなたたち、何をやっているの、暑いでしょうと言ってタオルケットをとってしまったのです。それで、担任は、今、おままごとで、夜だから寝ているのだけれどもと心の中で思ったのだけれども、とめることができなかった。
 これは、保育現場だったら当然だと思います。保育所は1日長いですから、こんな暑いときにかけていたら汗だくになるだろうからという思いで発言なさったのでしょう。そうすると、遊びを大事にしている幼稚園の担任は、ああ、どうしようと思いながら、それで子どもの遊びはとまってしまった。
 体験の保育所と幼稚園の遊びを中心としている、そういう教育を頑張って考えている保育者の話し合いがなかなか難しいということが現実にあるという話を私にしてくれて、これはさっきの養護と健康というあたりから考えた発言と、もう一方で、幼稚園の先生はそんなことは余り考えなくていいのかなと思うのです。暑いからあせもができるのではないかとか、そんなことは考えないのかなと思うのですが、暑かったら子どもは勝手に飛び出していくでしょう、やめるでしょうという考えなのかもしれないですが。
 いずれにしても、さっきの幼稚園教育要領の方は子ども理解という話で続けてやっているようですが、保育所保育指針の0、1、2がいるから養護というのは絶対考えなければいけないところがあるのですけれども、そのあたりを一緒にやっていこうとなったときに、そこは学生がわかりやすいような、どういう記述にしたらいいのか。学生は、ここは保育所保育指針だから、ここは幼稚園教育要領だからと別々に考えるのではなくて、幼稚園でも保育所でも認定こども園でもなく、子どもの保育はこれが大事だというのが1つだというのが明らかになったらいいなと思ったりします。
 済みません、いろいろややこしいことを言いました。
○汐見座長 いえ。今、小川構成員の方から最初にお話いただきましたけれども、イメージを持っていただくために、最初の小川構成員の報告の7ページに表がございました。下が現行のカリキュラムです。このカリキュラムをどういうふうにするかということが、今、私たちが議論しなければいけないことなのです。今は、教養科目、必修科目、選択必修となっていて、教養については、各指定校でやるのですが、その後は、保育の本質や目的に関する科目というのが7科目あって、保育の対象の理解に対する科目が6科目あって、保育の内容と方法に関する科目が7科目、保育の表現技術の演習があって、保育実習2科目と総合演習というのが1科目あります。
 それで、その後の選択必修を含めまして合計68単位以上となっていて、ここに実際に実習がかなり入るわけですので、これを大きく増やすことも現実には不可能で、学生は本当にゆとりがないわけですね。4年制でやっているところはこれで組めるのですが、2年で資格が取れることを前提に組んでいますので、これを大きく変更して、68を70、72というのはなかなかできないということで進めるしかないのではないか。
 それで、例えば先ほど出てきた乳児保育は2単位というのは、3単位とか4単位にすることを考えてもいいのではないかということをもしやりますと、どこかを削らざるを得ないことになってくるわけです。そのときに、今、少し出していただいたのが、1の保育の本質・目的に関する科目の5番目に相談・援助があり、保育の対象の理解に関する科目では家庭支援論というものがあったり、保育の内容・方法に関する科目に保育相談支援(演習)というものがあって、この中身はそんなに違うことをやっているわけではないということもありますので、このあたりを少し統合してもう少し整理すると少し違うものがとれるかもしれない。
 そういう現実的なことを前提としてやっていかないと、余り空理空論をやっても落ち着くところがどこかを変えるということにしかなりませんので、これから5年間議論できるのだったらいいのですけれども、そういうことでもないので、そこを前提にいろいろ考えていただきたい。
 もう一つは、シラバスの強調点を少し変えるというのは当然あっていいわけですね。ですから、そういうことを念頭に置きながら、検討してはどうか。今、養護ということについて、もう少しわかる授業のあり方について。これは、すぐにこうしたらいいということではないのですけれども、共通に出ていたような気がいたします。
 あと御自由に。阿部構成員、お願いします。
○阿部構成員 科目で、乳児というところと、乳児保育は乳児保育で完結したような科目構成は考えられるかもしれないですが、ここの保育の内容・方法に関する科目で、乳児からそういう扱いができるというのも1つ考え方かなと思いましたし。
 それから、保育実践演習は、現在、最終学年でディプロマ的な役割をしていくわけですね。養成して、これだけの力をつけてという。それを最終学年の最後にするのは、なかなか大変なので、例えばこの時期、私たちは4年制なので18歳から22歳を、青年期だとすると、そこは自分がこれからどうやって生きていこうかというのがこの時期の課題の一つで、そこに学ぶ人の課題でもあると思います。
 それとあわせて教職実践演習というものがどこかでリンクした形のものができれば、先ほどおっしゃったような、保育者になりたいと言って入ってきた人たちが魅力を感じるような、全くよいことばかりでなく、少し苦しみながらとかですが、そういうことを経験して青年期の課題ときちんと向かい合って出ていけるような養成は、どこにどう入れたらいいか。今、考えたのが教職実践演習を最終ではなくて、その前あたりに。本来の教職実践演習の意味が少し違ってくるのですけれども、そういうのはだめなのですか。
○小川副座長 あれは文部科学省が言っているのです。だから、教職実践演習は最後。それで科目が増えてしまうから、今は1つにするために最後に持ってこざるを得ない。あそこに置けというのは文部科学省です。
○阿部構成員 言っていいかわからないですが。
○汐見座長 どうぞ言ってください。
○阿部構成員 文部科学省の方に、こういう意味で、こういう扱いはできませんかという提案はできませんか。
○汐見座長 もし皆さんの総意で、今回は最後に幼稚園免許との整合性ということがありますので、要望を伝えることはあってもいいと思いますけれども、それなりの周到な準備が必要だと思います。
 では、宮田構成員、お願いします。
○宮田構成員 私も現場ですので、専門的なことは余りわからないのですが、保育所の職員を見ていると、入ってきて一人前で働ける即戦力ということはどこの世界でもあり得ないわけです。そうしたときに、この2年間で68単位をやっているということは、結構いっぱい、いっぱいなわけでしょう。そこは思い切って見直しをしていただいて簡素化をして、逆に圧縮していただいて、その余裕の時間に実際に現場に行くようなことができる時間的な余裕を学生に与える方が、よりモチベーションも上がるということが期待できるのではないかという気がします。
 どこの法人でもそうだろうと思いますけれども、新任の保育士が入職してくると、新任研修をやり、毎年、法人の中で研修をしっかりしていくわけです。そして、学校で学んだことを復習しながら、実践を通して学んでいきます。2年間のカリキュラムだけで完成形の保育士ができるということは、それは無理だと思いますから、そこはきちんと学び続けていけるような、学び方を学ばせるようなことを2年間でしっかりやっていただくことを考えていただく方が、より実効性のある仕組みになるのではないかという気が私はしております。
○汐見座長 それはそうなのですけれども、相当な準備をしていかなければ、変えることは簡単にはできないのです。中長期的には、これから保育教諭という資格が新制度の見直しのときはかなり議論が始まると思うのですけれども、それをにらんだ上で、保育士の養成をやっているところは教諭職になりますから、もしかすると別の議論が必要になってくる。そのときに本当に68単位でいいのかどうかというあたりと、2年でいいのかという問題が改めて出てくるので、その議論はそういう問題意識があるということで、そちらの方でさせていただきたい。
 というのは、保育士試験というのは9科目なのです。これを知識として勉強してきた。それで受かった人はすぐに現場に出るということで、養成校から来た人ともちろん微妙に違うのですけれども、最低限の知識はそれで、後は現場で訓練しますということですね。だから、その現場の訓練のあり方というのは、養成校、我々の一つのテーマではあるのです。そう考えますと、68単位の中でどうしても学生時代にこれはしっかり勉強してほしいということにむしろ特化するというか。現場に行ったらある程度学べることについては、それほど重視しないというカリキュラム案だってあるわけです。
 例えば、皆さんが養護ということがわかっているかどうかということが決定的に大きいのだということがありますから、いろいろなタイプの人間がいても、プロとしてここは絶対守らなければいけないことがある。それをしっかり訓練してきてほしいとか、そういうことが多分これから先、議論になっていくと思うのですね。ですから、そういう問題が出たということは共通認識にしたいと思いますけれども、今回は抜本的に変えることについては、短い議論の中で難しいと思いますけれども、御承知おきいただきたいと思います。
 あとはどうでしょうか。最初に6つの論点があるのではないかということを出していただいて、これについてのコメントは他にございませんでしょうか。今の皆さんの御意見と大体重なって出てきていますね。
 確認しておきますと、乳児保育、3歳未満児の保育についての充実は非常に丁寧になって、あれを見ていると、子どもの姿という2章はなくなりましたけれども、乳児はこういうことが大事だという中に、あのときの発達の特徴みたいなものと学びの特徴として、かなり上手に書き込まれていると思います。
 それから、内容の取り扱いのところでも、受容的・共感的関わりということが何回も繰り返されています。そういう意味では、この段階での養護的な関わりというのはこういうことだということがよくわかるような内容になっていますね。ですから、それを徹底的に伝えていくということについて、科目をつくる必要があるのか、あるいは内容的な充実ということが必要なのかということを議論しておきたいと思います。
 それから、2番目はもう既に出ましたけれども、養護と、養護と教育の一体的展開ということが改めて強調されている。総則に回ったということの意味がわかるような科目構成が必要なのではないか。科目にするのか、いろいろなところに入れていくのか、いろいろなやり方があると思います。
 それから、3つ目が、これはさっき言いましたけれども、幼稚園の教育要領は非常に変わりました。カリキュラムマネジメントという言葉を使っているわけですね。私たちは、カリキュラムマネジメントという言葉は使っていないのですけれども、立てた目標と実際にやっていることを絶えず反省しながらカリキュラムを立て直していくことが大事だということ。ただ、そのときに何を基準に反省していくかというときの基準は、子どもに対する評価、保育に対する評価ということですね。その評価能力を高めなければいけないということが幼稚園教育要領はかなり詳しく書かれていて、それに対応する必要があるのかどうかということですね。
 それから、4番目が子育て支援という名前に変わります。さっきから出ていますけれども、今は3つぐらいの科目があって、これは実質的に子育て支援ということと対人援助技術なのですね。ソーシャルワークです。ここについて、もう少し整理統合しながら充実していくことができるのではないかという意見が出てきたと思います。
 あと、保育者論の中で養護とかを強調していくということも大切ではないかということが出てきました。
 最後の幼稚園免許との併有が求められる中で、幼稚園のカリキュラムの動きと少し丁寧にリンクさせていかなければいけないということで、これは当然なのですけれども、そのことに常にアンテナを立てながらやっていきたいということですね。
 大体そういうことで、これからもう少し違うことについて検討した方がいいのではないかということについての御意見は特になかったということだと思いますが、今日は、とにかく議論を出していただこうと思ったので、大体よろしいでしょうか。
 今、出された御意見について、申し訳ないけれども、事務局の方で整理していただいて、これからその論点の整理を詰めていきたいのですが、そのために指針と、その指針を反映した養成課程について、関係団体からのヒアリング等を行いたいと思っていますので、そのことについて御承知おきいただきたいのですが、よろしいでしょうか。少し急ぐことになりますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、実質的な討議は次から始まりますけれども、日程について事務局の方からお願いします。
○川島課長補佐 次回の検討会につきましては、6月下旬の開催で調整しているところでございます。日程確定次第、速やかに御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 ありがとうございました。
 6月下旬に、これは関係団体のヒアリングということで、その団体さんの予定もございますので、なるべく早く連絡していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今日のところはこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(了)

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