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2017年10月23日 (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第3回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年10月23(月)13:30~15:30


○場所

厚生労働省専用第20会議室(17階)


○出席者

佐藤座長
石渡委員
大塚委員
佐々木委員
千葉委員
太田参考人
遠藤オブザーバー

○議題

(1)(独)国立のぞみの園に関する調査結果について
(2)その他

○議事

○佐藤座長 まだ定刻ではありませんけれども、検討委員会のメンバーについては出席予定の方は皆様お集まりのようですので、ただいまから「第3回(独)国立のぞみの園の在り方検討会」を開催いたします。本日は台風で、私もちょっとぎりぎりになってしまいましたけれども、足元の悪い中お出いただきましてありがとうございます。
 議事に入る前に、事務局から出席状況及び本日の資料について確認をお願いいたします。
○渥美施設管理室長補佐 私は事務局の担当をしています渥美と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の構成員の出席状況ですが、北岡構成員、小林構成員から、御都合により欠席との御連絡を頂いております。なお、菊地構成員におかれましては、代理としまして、太田参考人に御参加いただいております。
 続きまして本日の資料確認をさせていただきます。(独)国立のぞみの園の経営等に関する調査研究作業チームから、国立のぞみの園に関する調査結果が提出されております。このほか、当日配布資料としまして、本日御欠席の北岡構成員から意見書の提出がありましたのでお配りしております。以上、お手元にこれらの資料がございますでしょうか。過不足等がありましたら事務局にお申しつけください。
○佐藤座長 ありがとうございました。議題に入ります。まず最初に、国立のぞみの園に関する調査結果について、作業チームの座長の大塚構成員から御説明をお願いします。
○大塚構成員 大塚です。よろしくお願いいたします。国立のぞみの園の経営等に関する調査研究作業チームとして、調査結果を報告させていただきます。大体30分ぐらい、1つの今後の方向性も含めて、いろいろな選択肢があるかと思いますけれども、その考え方の土台となるような調査結果、あるいは提言としてまとめさせていただきました。皆様のお手元の資料の調査結果ということで、まず、1ページのはじめにです。特殊法人国立のぞみの園は、重度知的障害者に係る例のない大規模・総合施設として昭和46年4月に開園した。のぞみの園は、唯一の国の重度知的障害者のための成人施設として、その時代のニーズに応えたものであった、ということです。総合的な入所施設としてのその時代のニーズを受けて設立されたものであるとともに、ある意味での入所支援そういうモデル、あるいは入所支援機能を持っていたのではないかと考えられます。更に平成15年10月からは独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園に移行して、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、重度知的障害者の支援に関する調査研究等を行うことによって、知的障害者の福祉の向上を図ることを目的として運営が開始された。特に独立行政法人以降は、国の地域移行のモデル的支援を行う施設としてその役割を担ってきたと。入所施設機能というのを続けながらそれを基盤として国の時代のニーズであります地域移行のモデルということで、支援を行ってきたと認識しております。
 今後のことですが、今までの経緯を引き続き考えれば、国立のぞみの園は重度知的障害者の地域への移行に向けたモデル的な処遇を今後も継続的に行う。入所利用者の地域移行を積極的に推進していくことが考えられると提言させていただきます。依然としてというか、200数十名の方が施設にいらっしゃるということ。それから地域移行というのは、国としての障害福祉計画などにおいて、大きな目的の一つであることを考えれば、国立のぞみの園については、引き続き地域移行に取り組んでいただくことが考えられるということです。
 次の○で、その際、高齢化した重度知的障害者の地域移行に取り組んでいくことが考えられる。障害者総合支援法の改正によって高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用が課題となっている。そして全国の障害者施設やグループホームから毎年、これはのぞみの園の調査ですけれども、540人程度の知的障害者が特別養護老人ホーム等に入所しており、今後も全国的に特別養護老人ホームへの入所が期待されている中で、様々な課題があり、そのための調整や介護認定等の課題もあります。そういうところに正に実践的に取り組んでいくことが考えられます。
 高齢化した知的障害者のことですが、既にのぞみの園においては、入所施設において、高齢化した医療的ケアの必要な人たちに対するきめ細かい支援、例えば医療との連携などについての実践があります。更にグループホームで生活がなされている方についても高齢化した人たちも増え、地域の介護保険のサービスを利用するなどの実践もあって、もう既に高齢化した知的障害者の方の実践には様々な知見を経て調査・研究も進んでいると認識しております。更に高齢化した重度知的障害者の入所施設にいらっしゃる方は、全国的な課題でもありますので、なかなか知的障害者の施設と特別養護老人ホームなどの支援の異なりであるとか、これを今後どのように一致させることによって、スムーズな移行を図るか。更には地域移行に対して、一度入所施設をやめて、介護認定などを受けるとタイムラグがあるということです。それと非常に調整に時間が掛かったりスムーズにいかないということで、国は例えば介護支援専門員、ケアマネージャーと相談支援専門員のうまいつながりをつけようと、調査・研究も始まっているところです。
 今年度においては、具体的にケアマネージャーと相談支援専門員が一緒に研修をする、お互いの理解をすることにより、高齢化した知的障害者の方の実践を行っていくことを、国としての研究でも行っていると。正に高齢化した重度知的障害者の入所施設から様々な移行先はあると思いますけれども、そういう実践をすることが求められているのではないかと考えております。
 更に医療的ケアや行動障害を有さない人も一定数いることも踏まえて、今後増加されると予想される特別養護老人ホーム等への地域移行のモデル的実践が期待されます。確か、知的障害者福祉協会が4年ぐらい前に高齢化の調査を行っていると思うのですが、それを見せていただいて、今の多くの入所施設が特別養護老人ホームの中での支援を期待している、そういうアンケートで、なかなか今の施設入所支援においては介護度が大きくなった場合については対応できないと、そういう結果も出ております。
 更に5つ目の○で、一方、神奈川県の障害者支援施設「津久井やまゆり園」、相模原市で昨年7月に発生した殺傷事件に関連して、県の大規模施設に建て替えることへの批判が集中し、地域における小規模な居住の場の確保及びグループホームなどへの地域移行を積極的に進めていくことになり、県の再生基本構想として8月にまとめられました。「津久井やまゆり園」の、このことをどう考えるか、民間の施設ではありますけれども、様々な形で我が国の知的障害者の入所施設も含めて、今後の在り方に対する大きな問題提起をしているのではないかと考えております。津久井やまゆり園事件は、今後の方向性を示すものとして、重度の知的障害者も本人自身がどこで誰と生活するか、あるいはどのように生活していくかという場所の問題も含めて、本人の意思決定を大切にしながら、今後の住まいの場を確保していくことが大きな課題ですので、こういうことも含めると、施設入所支援、あるいはどのような場所においてどのような支援を行っていくか、津久井やまゆり園の場合は小規模化と拠点化の2つのキーワードの下に、これから神奈川全体においてどのような地域生活を行っていくか、入所も含めて考えているということなので、これについての考えも、今後ののぞみの園と関係してくるのではないかと思っております。
 次の2ページは、調査結果の概要です。入所者の現状と課題として、まず、1つ目の○は、旧法人時代からの入所利用者の平均年齢は65.4歳、65歳以上の入所利用者は130人で全体の58%を占めています。今後も入所利用者の高齢化の傾向は続くものであると想定されます。
 お手元の資料6ページ、付けられている資料編、図表1の、施設入所利用者は224人、平均年齢65.4歳、65歳以上の方が130人で58%を占めています。それから今日の報告の1つ、今後の大きな課題ですが、今後の入所利用者も含めたシュミレーションを行わなければならない、今後の動向はどのような形において変わっていくのか、それに基づいて運営や運営体制、様々な支援の内容も変わっていますので、そこが今回の調査結果の1つの考え方です。次に、一方、第3期中期目標期間において、平均17人程度退所になっています。今後のシュミレーションが、利用されている方をどのように考えるかということですが、減少にあることから大体15人ぐらいと見込んで、旧法人の入所利用者は5年後には75人減になるのではないかと考えています。毎年15人程度減少していくという内訳については1つは、10人については自然減で高齢化とともにということが推定されます。もう1つは図表2の、退所者の真ん中の(再掲)地域移行者が、平成25年、26年、27年、28年このトレンドが毎年5人程度の方が地域移行されている。この自然減10人プラス5人と考えると、仮説ではありますけれども15人程度が想定されます。このシュミレーション想定の下にいくと、5年後には大体75人が減少、10年後には150人が減少するのではないかということを基に、様々な運営の状況を想定したところです。
 (2)収支の現状と課題について、平成29年度実績、皆様の資料の15ページに、図表14の財務状況として、平成28年度決算ベースが出ております。これによりますと収入は総計31億3,200万円で、その内訳は運営費交付金が13億1,400万円、国庫補助金700万円、介護給付費・訓練等給付費による事業収入は18億800万円となっています。財務状況の一番右側に運営費交付金、国庫補助金、事業収入、計が載っております。更に支出の総計として、32億9,300万円、うち人件費は基本給等・退職手当を含み17億9,200万円、物件費は賃金を含み14億1,300万円ということが、図表14で確認できます。
 今後の傾向です。その収支の状況をもう少し、16ページにおいては、平成16年からのトレンド、経過ということで、事業収入、運営交付金、事業経費という、今までの推移を図表で表しております。今後の形ですが、2つ推計があります。17ページは将来の見通しで、このまま5年後には75人、10年後には150人程度の方が地域移行の方や自然減で減少するということを通して、平成28年度、29年度の現状を基に、第4期、第5期を推定したものです。特に平成28年29年度を基に、30年度、31年度、32年度、33年度、34年度、第4期ということなので、例えば平成28年度事業収入が18億800万円ですけれども、当然利用者の減、あるいは地域移行ということで、平成34年度の第4期の終わりについては、12億9,300万円で約5億円減になるということです。これについては利用者が減るということで、そういう事業収入そのもの、特に給付費が減るわけですので、全体としては事業収入も減ることにより、このままの体制であれば当然運営困難なので、いろいろな形において、運営形態あるいは様々な形における改革の必要性というものを示唆しているのではないかということです。
 次の18ページは、将来の見通しとして有期入所を拡充する場合を想定しました。先ほどの話から、皆様のお手元の一番初めに戻りますが、6ページの図表2の、有期入所利用者の退所者が3人、2人、8人、6人ということで、現在は15名の有期利用者がいらっしゃると。行動障害の方が9名、矯正施設退所者が6名、計15名がいらっしゃるのですが、有期期限2年程度ということで、また地元などに帰るということだと思います。これをどう考えるかですが、1つの考え方として、有期入所を増加する、図表16-2においては、有期入所を50名程度、平成30年度から増やしていって、平成34年末には有期の利用者を50名程度に増やしたときのシュミレーションをしたところです。事業収入は18億から平成34年は14億と、有期入所を利用しないそのままの形態において減少した17ページの将来見通しは、幾らか収入も増えるということです。ただ、マイナスは3億2,900万円ぐらいということなので、少なくてもこれについても引き続き運営の内容も含めて考えていく、あるいは検討していくことが必要ではないかということです。
 今のことをもう一度まとめますと、○の下から2つ目、平成28年度実績及び平成29年度実績見込みを基に、平成34年度の末を予測すると、旧法人利用者は地域移行等によって、75人減少する。取組重点化という考え方によって有期の方を50人に増やす、そうした場合については、運営費交付金、国庫補助金を除く収入は、平成28年度の18億800万円から平成34年度には14億7,900万円の減少になるということです。これによって第4期中期目標においては、3億2,900万円の減収になり、今後も更に第5期の、36年度、37年度、38年度、39年度を考えるとこの傾向が継続するということがあるので、引き続き事業の見直し、運営体制等の見直しが必要なのではないかと提言させていただいております。
 3ページです。これから改革の内容を考えるうちには、1つにはいろいろなアプローチの仕方があるかと思いますけれども、1つの考え方というか、1つのアプローチとして、平成28年分のぞみの園の職員の給与は平成年齢34.7歳、平均勤続年数7.9年度において、平均給与は43万5,269円です。一般社会福祉法人等入所施設における同じような条件で、平均年齢38.3歳、勤続年数10.1年の月給平均は33万7,790円で、いろいろな考え方があるでしょうけれども、運営内容あるいは様々な形におけることを考えていく上には、こういうことも含めて検討していく必要があるということです。
 (3)建物の現状と課題です。建物については、建築年数によって建て替えの必要度は異なるが、全58件のうち9件が既に耐用年数を超過している。24件が10年以内に耐用年数を超える見込みであり、耐用年数が近づいているものが多い。次の○は今後事業の見直しに伴って先ほどの津久井やまゆり園の基本構想の検討で明らかになったように、どこでどのような生活がいいのかという、知的障害の方自身、自分自身の決定も含めているかもしれません、実施場所を現在の場所で行うのか、あるいはほかの場所で行うのかそういうことも含めて検討が必要なのではないかと提言させていただきます。なお、ほかの場所で行う場合については、新たな施設の建設に要する費用などについての検討が必要だということです。
 最後に、今までの現状であるとか、あるいは今後のシュミレーションを考えて、方向性を提案させていただいております。まず、1つ目の○は、現在の重度知的障害者、高齢知的障害者を含んでおりますけれども、モデル的な支援としての地域移行を引き続き推進していくことが重要である。先ほど高齢化した知的障害者の支援については様々な形でまだ課題があるわけですから、国として実践的なことを行いながら、データを出して、今後に引き続く民間施設などについての先導的役割を果たしていただければと思っております。更に5年後あるいは10年後も含めて、高齢化した障害のある方も残っておりますので、ターミナルケアのことが重要になってくるのかと思っています。診療所も含めた医療機関がありますので、ターミナルケアも含めた質の高いサービスを、クオリティの高いサービスをきちんと提供していただく、引き続いて提供していただくことが考えられます。このように入所支援機能に関しては5年後、10年後の入所利用者の推移を見ながら、運営主体及び事業を行う場所について、見直しの検討を行っていくことが必要であるのではないかということです。入所されている方そのものが少なくなっておりますので、その場合における一番適切な運営主体、あるいはどのような事業がその際必要なのかをもう一度検討する。その際においては、正に入所利用者の今後については、最後まで国が責任を持つ、中途半端な形で追い出されるようなことはないのだと、こういう安心、安全の国のメッセージが必要なのではないかと考えております。更に国立のぞみの園については、著しい行動障害を有する人たち、あるいは矯正施設等退所者、あるいは虐待を受けた障害の方、虐待を受けた障害のある方のショートステイは、もう少し長期間にわたる支援が必要になると思っております。これについては必ずしも本人が生まれた場所、生活している場所をという、ある意味では少々離れた場所において、安心、安全を確保することも考えられます。あるいは知的障害であって、DVなどを受けた人たちも含まれるかもしれません。こういう正に最後の砦としての支援機能、一番困難な人たちについての支援の専門的な支援に基づく全国的なセーフティネットの役割を果たすことが1つ考えられるのではないかということを提言させていただきます。これを新たに国が果たすべき「セーフティネット機能」として、今までは施設入所機能ということでしたけれども、利用者の減とともに、これから新しい機能に移る、セーフティネット機能ということを位置付けて、例えば現在の15名の利用者を5年後には50名程度の有期限も含めて、行動障害の方、矯正施設退所者あるいは虐待を受けた人たちの全国的なセーフティネットの場所だと。これは最後の砦として安全な場所なのだということで、国としての役割、機能が求められるのではないかと思います。
 最後、上記については全国的な展開であることから、入所前の調整や退所後のフォローなどきめ細かくアウトリーチでの支援が重要になると考えております。そこで受け止めるのではなくて、全国にいく、全国の支援ということです。そういうことも含めて必要になると。そうすると今の研究部を抜本的に改革して、調査・研究部門と一体的に実践できるような治療・改善及び地域に戻す機能、全国の施設・事業者をアウトリーチで支える機能、出向いて行って支える機能、あるいは全国の施設・事業所で働く職員の支援の向上のための研修等を行っていく企画、運営する、こういう機能をセーフティ機能とセットで構築する必要があると考えております。その際、当然本体事業というものは今まで施設入所機能でしたけれども、今後はセーフティ機能ということが本体事業になると考えられますので、本体事業との関連の薄い附帯事業については、国の行うべき事業の関係から縮小あるいは廃止及び移譲を含めて、抜本的に検討する必要があるのではないかと考えております。その5年後、10年後の推移を見ながら、運営主体及び事業を行う場所について、正にどこで生活の支援をする場所をつくるかということも含めて検討する必要があると思っています。以上を踏まえて、第4期中期目標期間、2018年度から2022年度においては、地域移行を引き続き推進し、地域移行のモデルとして役割を果していただき、更に第5期中期目標初年度からは、全国のセーフティネットの中核機関として運営していくことが考えられることを提言させていただきました。
 最後に、皆様のお手元の資料の19ページ、国立のぞみの園の方向性、工程表としての提言、提案です。今までのお話をまとめますと、今の本体事業、施設入所支援機能は引き続き、第4期においては地域移行の推進、高齢知的障害者の地域移行も含めてきちんとやっていただく。更にその後については地域移行ももちろんですけれども、ターミナルと質の高いサービスを提供するような機能に移っていく。これが段々利用者の減とともに少なくなってきたときに、右側の、実施主体及び実施場所も含めてどこがいいかということも検討する必要がある。入所支援機能というものの縮小とともに、それに変わるものとしての有期における全国のセーフティネット機能、行動障害、罪を犯した障害のある方たちや、あるいは虐待を受けた方たちの全国的なセーフティネットということで、平成22年度までは50名程度に整備し、それからはそれを維持しながら、一体的な調査・研修とともに、国のセーフティネットとしての役割を果していただく。実際にはどこでということも含めて、実施場所などについても考え、今後検討していく必要があるかと思います。そういう内容の中においては、一番下ですが、附帯事業は本体事業との関連を考えながら、2022年から2027年の推移を見ながら、廃止あるいはいろいろな形があると思いますけれども、整理する方向で検討していったらどうかということです。以上が、ちょっと長くなりましたけれども、今後の、のぞみの園についての調査結果から、このように考えられるのではないかという意見の提言でございます。以上です。
○佐藤座長 どうもありがとうございました。それでは、今の報告について御質問等いろいろ議論を進めていきたいと思いますが、その前に先ほど紹介のありました北岡構成員のこの調査結果などの資料に基づいて、私宛に意見が寄せられていますので、皆さんのお手元にも紙が届いていると思います。概要について、若干私から北岡構成員に代り、報告をさせていただきます。
 まず第1に、今、正に提言のあった話も含めて幾つかの検討を提案していくことについては賛成であるが、こうした入所、全体的には入所機能を国で引き続き独法という形で実施する必要があるのか、既に他の社会福祉法人でも、いろいろな取組があるのではないかという点について意見があるようです。それから2番目の経営計画の問題ですが、北岡構成員の提言によれば、新しい給与制度を導入することによって人件費率を抑制していくことを中心に、その際にはもちろん緩やかな変化で改革をして、経営改革の一端とすべきではないかと。3つ目の提案として、1、2とは少し違う文脈ですが、全国に約2万人いらっしゃると想定されている盲ろうの重複障害のある方々について、現在情報提供やケアも極めて不備であるということで、のぞみの園が今あるフレームを活用して、当面実施してもらえないかという新たな提案です。同じように高次脳機能障害の方で社会的な意味での行動障害があるために、非常に苦労されている方も多い。まず、このような方に対するケアの在り方ということで、のぞみの園が実践や調査、そのような形で実施していただけないかと。積極的に何とかしろという話と3、4は新たに頼みたいということで、ちょっと受け止める側は、どっちだと思われるかもしれませんが、取りあえず、そのような内容であることを御紹介したいと思います。
 それでは、ただいまの大塚さんの調査報告書と北岡さんの意見なども含めて議論を進めていきたいと思います。まず最初に、調査結果の概要、長いですので少し分けて質疑ないし議論をしたいと思います。まず最初に、1の入所者の現状と課題についてです。資料13ページまでを見ながら、先ほどの報告書の2ページに書かれている内容が資料としては6~13ページになっております。この点について、御質問や御意見をいただきたいと思います。どなたからでも、どうぞ。あるいは、オブザーバーの遠藤さん、今の大塚さんの報告に何か補足するようなことがありましたら、この課題ごとに。
○遠藤オブザーバー 構成員の皆様の御意見を伺い、そのようなものを踏まえながら、また発言いたします。
○佐藤座長 それでは、どなたからでもどうぞ。すみません、風邪がなかなか治らず、咳がコントロールできずに御迷惑を掛けますが、お許しください。
○石渡構成員 石渡です。今、御報告いただいた中で毎年15人減ということですが、5人は地域移行で、10人の方については、お亡くなりになるなどということですが、10人というようなところは、やはり、ここ数年の現状から、そのような数字を出しているのかどうか。
○大塚構成員 ここ10年の傾向ですが、毎年10人ということです。平均年齢は65歳で亡くなっている傾向は出ています。直近ですともう少し増えていますが、ここ10年にならすと、毎年10人程度です。
○石渡構成員 ターミナルケアというような新しい提案もされていますが、この辺りは、もう既に、のぞみの園で検討されているかどうかは、お分かりですか。
○遠藤オブザーバー のぞみの現状で申し上げますと、ターミナルケアということで特にということではありませんが、いずれにしても先ほど大塚構成員から御説明があったように高齢化が進んでおり、そして年間10人ぐらい亡くなりますが、そのほとんどは診療所でお亡くなりになります。そういう意味で、生活寮で生活しながらだんだん機能低下し、医療的ケアが必要となり、生活習慣病などで手術をして入院など、そういう過程をへて、最後は診療所に入院して、そして、そこでお亡くなりになるケースがほとんどです。その場合に、できるだけ生活寮で担当していた職員が何回もお見舞いに行く、あるいは同じ寮の仲間をお見舞に連れて行く、あるいは御家族の方に状況を説明して、できるだけ面会に来ていただくようにと、そのような取組をして最期お亡くなりになるということです。
 私ども、最後は町の中で関係者で葬式をしてお見送りしようということで、かつて施設の敷地の中で通夜と告別式などをしていましたが、これは町の中のセレモニーセンターで関係者、家族で最期の見送りをすると、そのようなことで取り組んでいるところです。
○石渡構成員 ありがとうございました。とても、いろいろ今、やれるような工夫をされていると思いました。
○佐藤座長 ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。
 今の亡くなっていく、あるいはターミナルケアに関わってのことですが、先ほどのお話ですと、この10年間ほぼ大体毎年10人ぐらいずつ亡くなっていると。しかも亡くなる年齢についても65歳ぐらいと把握しているということでしたが、そうしますと、この現在の利用者の方々の年齢の分布を見ますと、60歳以上の方が170人、180人近くいらっしゃるということは、変な言い方ですが10人という見込みと、相反するのではないかと思うんですね。今後、もっと急激に施設の中でお亡くなりになる方が多くなると思うのですが、これは、そういうことを見据えた上で、なお、こういう5年後には大体75人減ぐらいだろうというお話でしょうか。
○大塚構成員 はい、なかなかどのような利用者減を推定するかということは難しいことだと思いました。一番最初、人権上のこともありますので、もしかしたら最初は一般の方の平均余命、これを基に推定するということも考えられる。それは障害者ということではなくて現場のことはともかく、障害の方も同じように平均余命として捉えようと。そうすると、ほとんど80何歳ということなので減りはない。その中において、これはちょっと現実的ではない。そういう意味では、この10年の傾向としての毎年10名ということを1つの仮説的なものとして、このことで推移していったらどうかということで、たまたま、その前提で載せたものであります。座長がおっしゃるように、今の平均年齢から見ると当然とは言いませんが考えられることは、もう少し高齢の方も多いので、減少のスピードが早いということもあるかもしれません。でも、それをどう推定して、どう仮説化するかは難しいので、もしかしたらみんな元気かもしれませんということですね。
○佐藤座長 そうですけどね。もう1つは、この施設利用者は何年間ここにおられたかということで、現在239名中165人の方が40年超、ほとんど開設から間もない頃に10年以内ぐらいに入所されて、そのまま今日に至っているという方が圧倒的に多くて、逆に20年以下の人はほとんど例外的な存在ということに驚くのですが、先ほどターミナルケア、あるいはそれに類するようなことに関しての考え方や具体的なやり方を示していただきました。私はもっと数が多くなるのではないかということを含めて、少しこれから非常に重要な仕事になるのではないかと思うのですね。これは感想のようなことですが、改めて数字を見ると、どのように考えればいいか。率直にいって、70%、80%の人たちが、もう何10年もここにいたんだということに関して暗澹たる気持ちになるわけです。
○遠藤オブザーバー 座長のおっしゃったのは10ページで、図表8、施設入所利用者の入所年数です。年齢階級別、これを見ていただくと40年超というところでは、もうほとんどということなので、ここで一生を過ごしてきたということも含めて、そういう意味では最後というか、私たちもそうですが、どんなところで生活をしていただくかということは、また1つの考え方ですよね。急激な変化をしないとか、あるいはということもあるだろうし、高齢になっては、もう地域移行というものに取り組むべきと。それは個々のケースによって違いましょうが、ここで生活してきたことを思うと次の生活の場所はどこにしましょうということを、よく検討しなければならないと思っています。
 それからもう1つは、もしかしたらスピードも早くなることも含めて、それへの対応も含めて考えなければ、いい意味での対応ですね、積極的にそれへの対応というものを含めて用意をしておかなければならないというふうに思っています。
○佐藤座長 ですから数字だけで言うと2000年の基礎構造改革以来、地域を基盤にした障害福祉について言えば、入所型の施設はもう作らないというようなことを含めて、地域で生活を支えていこうというのがメインの考え方になるよりも、はるかに前に入所をされていて、この方たちにとってみたら自分の住む場所は自分の意思で決めていいんですよなんていうのは、まるで関係のない世界の中で、現在の入居している方々が決まる。外ではそういうことが起きているとか、そういうトレンドになっているなんてことも、言い方はまずいかもしれませんが知らされずに、ずっとそこの生活に、それはそれで馴染んではこられたと思うのですが、こういう状況のことが昭和50年代に施設がずっと増えてきましたから、もう30年、40年経ている入所型の施設はたくさんあると思うんです。それが同じようなことで一生施設の中で、最期はどんなに大事にされて、それはそれで幸せなことかもしれませんが、その周りにいて、その人たちの支援をするんだという関係者の1人だった者としては、ちょっと切ない数字ですね。これはやはり、今からでも何とかできることは何とかしなければいけないと強く思いますが。
○遠藤オブザーバー 今の座長のお話で若干補足したいのですが、私ども独立行政法人になってから地域移行ということが最大の課題ということで、厚生労働大臣から指示されて、これまで14年間取り組んでまいりました。その間、御本人たちに知らされずにというところは私どもとしては地域体験の生活をしてもらうとか、いろいろな試みをやってきたわけですね。他方で御家族の方には障害福祉の理念として、こういうところで何10年も生活するというのは、これはいかがなものかと。せめて本人に、この施設を出て、新しい人生にチャレンジする、そういう機会を与えてほしいということを繰り返し説明し、お願いしてきたという経緯はあります。その際、御理解いただける御家族の方、保護者の方もいるのですが、やはり大勢としては、のぞみの園以外に、そんなに安心、安全な場所、生活の質が保たれる場所はあるのかと、このような疑問を持たれて、あるいはそういう確信を持たれて、それを地域移行という気持ちに変えていただくというところは大変な苦労があったわけであります。それにしても御理解いただいて、170人を超える方たちが地域移行ということで、のぞみの園を退所しています。なお残っている220人について最近保護者にアンケート調査をしました。その結果としてやはり、ほとんどの方は、「もう、のぞみでこのままでいいんだ」と、こういう御意見が大半というか、ほとんどを占めていたんですね。私どもとしては一部の回答に地域移行を考える、あるいは介護保険施設なら移ってもいい、また、生活体験みたいなことはやってみてもいい、あとは、のぞみの園が直営のグループホームなら移ってもいいと、こういう方たちもいたりはします。それにしても、ほとんどの方は今、申し上げたとおりです。そういう中で、私どもとして、それにしても粘り強く可能性を見いだして、まず御家族を説得してということで取り組んでいますし、恐らく第4期も今の努力というのを更に、あらゆる方策を考えて工夫して取り組んでいくことが必要かとは考えています。
○佐藤座長 言葉がちょっと、何というか大雑把過ぎて、外観的に言ってしまったので、そこは言葉を直したいと思いますが、先ほど申し上げたように、のぞみが抱えている状況というのは、何ものぞみだけではなくて、古くからある入所型の施設は、実は同じような問題を抱えていて、今後の在り方というのを考えていかなければいけないわけですね、施設の機能としてどうするのか。ですから、そういう意味で、ある意味のモデルというか、方向性をせっかくの少なくとも現状では、独立行政法人、国の全面的なバックアップを受けながらやっているところですから、示していただくと。その意味では今、遠藤理事長がおっしゃったようなことは、とても重要な視点だと思います。それからもう1つ付け加えますと、私も確か5年ぐらい前まで、数年間外部の運営の懇話会に関係させていただいておりまして、その当時から、もう既に2期ほど地域移行の取組を始めて、すなわち、のぞみの園の縮減計画が発表されて、それについて非常に積極的に地域移行を、グループホームを中心に取り組んでいたということについては、よく承知をしているつもりです。
 ただ近年は、高齢化、あるいは障害の状態によって、先ほど話がありましたが保護者の方の意向によって、このことが大変難しくなっているということについても承知をしているつもりです。なお、それでも、この地域移行に引き続き取り組んでいきたいという姿勢であるということも、本日改めて確認ができました。ほかに何かありますか。
○佐々木構成員 1つ質問させていただいてもよろしいですか。のぞみの園に限らず地域移行がなかなか進んでいないという現状はあるかと思うのですが、遠藤理事長にお聞きしたいのです。もちろん家族の安心を得たいためにのぞみの園に置いといてほしいという気持ちはやはりあるだろうなとは思いますが、例えばそれ以外に地域での受皿があるのかどうか、そういったような課題はないのでしょうか。
○遠藤オブザーバー その点について触れませんでしたが、特に都市部において、地域での受皿作りみたいなものがなお不十分かなということで、特に東京都、その近県出身の入所利用者が多いので、私ども自治体に働き掛けるということは継続的に行っています。ただ、特に東京23区内などは、もはや、そういう代わりになるようなグループホームも障害者施設も、あるいは介護保険の入所型のものも、もう満員で全然余地がないということで、例えば青森県や岩手県、そういうところにある都外施設だったら御紹介します、あるいは提携している介護保険施設であれば紹介しますよと、こんな状況ですね。私ども地域によっては、当然かなり受皿作りが進んで、地域生活の支援体制が整ってきているというところがありますが、他方で、まだまだ不十分なとこというのもあります。そういう意味では恐らく保護者の方の懸念していることとしては、身近なところに戻ってくるとしても、のぞみの園と比べて適切な、そういう施設事業所がない、あるいは支援体制が整っていないと、そのような懸念もあるのだと思います。
○佐々木構成員 ありがとうございます。
○佐藤座長 よろしいですか。ほかに何か、現状と利用者の方々の現状、課題について御質問がありましたら。
 すみません、もう1つですが、全国の障害者施設から、この資料の1.はじめにの所にあるのですが、特別養護老人ホームに入所した方が540人いるということで、これは、どこから聞かれたデータでしょうか。
○大塚構成員 これは、のぞみの園が行った研究で、障害者支援施設における高齢知的障害者入所及び退所の実態という研究から取りました。これは3年前でいいのかな。
○佐藤座長 のぞみの研究で、調査で。
○大塚構成員 のぞみの研究ですね。
 もう既にここにありますように、入所してから特別養護老人ホームなどに、かなりの方が移行していただいています。ほとんど65歳以降ですが、少し65歳以前もありますが、そういう意味では地域は、もう先に動いている、そういうニーズがあるということです。ただ、そこにいろいろな課題があるということも書かれており、スムーズな移行であるとか、そういうことも含めて、なかなかまだ本格的ということではなく、行われているが課題がある。そこに挑戦していただきたいと。そこに、どんな実践があれば、これは多分、介護保険の今回の障害者総合支援法の3年後の見直しで、本格的に介護保険の利用ということがありました。入所施設については除外規定がありますが、これも今後はどうなるのか、これも含めて考えなければならないことだと思いますし、それから更に今、地域共生型サービスもありますので、そういうことに先陣を切って、いろいろな試みをしていただきたいということで書かせていただきました。
○佐藤座長 では、続いて第2の「収支の現状と課題及び建物の現状と課題」の項について、ご質問やご意見を頂ければと思います。この概略の総計が32億9,300万円で、人件費が17億9,200万円、物件費(賃金を含む)が14億1,300万円ということですね。物件費に賃金が入るというのが不思議な感じがするのです。職員の状況の表が14ページにありますよね。一般的に人件費の中で、いわゆる常勤職員分とパートないし非常勤、非正規の方々の区分けをするときに、給与と賃金というように会計処理をしますけれども、ここにあるのを見ますと、常勤の326人の人件費が17億9,200万円で、非常勤の21人分が込みで、物件費として14億1,300万円として計上されているということですか。
○遠藤オブザーバー これはいわゆる予算上の整理の仕方ということです。正規職員の人件費については17億円です。いわゆる非常勤ということで非正規職員の方たちの賃金については、物件費という整理をずっとしてきております。座長が御覧いただいた職員の職種別の表というのは、常勤の中に非正規職員も含まれています。勤務形態として常勤と同じような勤務形態の人は、全部常勤のほうに入れています。そういう意味ではこの326人の常勤のうち、正規職員は200名弱ということで御理解いただけたらと思います。
○佐藤座長 この非正規の方の雇用形態というのは40時間、30時間のどちらと理解したらいいですか。どういう区分けで正規・非正規ですか。
○千葉構成員 時間ではないと思います。雇用契約の関係だと思います。
○遠藤オブザーバー ですから非常に大雑把に言えば、社会保険の適用になるような方たちです。
○佐藤座長 30時間以上は社会保険の適用ですよね。40時間でしたっけ。
○遠藤オブザーバー 資料では40時間の人だそうです。
○佐藤座長 非正規の方というのは40時間勤務であるけれども、例えば1年契約であるとか、そういうことですか。
○遠藤オブザーバー はい。
○佐藤座長 この非正規の方と正規の方というのは、給与体系そのものが違うのですか。
○遠藤オブザーバー はい、違います。正規職員については国家公務員に準じてという給与体系がありますが、非正規職員についてはそれぞれの単価を作って、給与表みたいな簡単なものを作って報酬を支給しているということです。
○佐藤座長 先ほどの17億9,200万円というのは、正規の方と同じ勤務時間で働いている非正規の方を含めた326人の人件費が、17億9,200万円ということではないのですか。
○遠藤オブザーバー いいえ、正規職員だけの人件費が17億円です。
○佐藤座長 200人ぐらいの。
○遠藤オブザーバー そうですね。それは当然、社会保険の事業主負担など、そういうものを諸々含めてのものです。
○佐藤座長 もちろん退職金も入れて。
○遠藤オブザーバー はい。
○佐藤座長 この次のページで、職員の平均給与というのがありますが、ここで言っている平均年齢34.7歳、平均勤続年数7.9年の方というサンプリングの仕方の中には、正規職員だけが入っているのでしょうか。それとも非正規の方も入っているのでしょうか。これに該当する方は、当然いらっしゃいますよね。平均勤続年数ですから、2年や3年の方もいらっしゃるのではないですか。
○渥美施設管理室長補佐 今の御質問の点ですが、のぞみの園の人数52人、平均年齢34.7人の対象職員というのは、非正規職員も含めて30歳台の方の平均のデータを計上させていただいたところです。
○佐藤座長 そうすると、326人の方の平均が34.7歳で。
○渥美施設管理室長補佐 違います。このデータは、のぞみの園において30代の方が52人いらっしゃいます。この方々の平均年齢が34.7歳で、平均勤続年数が7.9年です。
○佐藤座長 30代の人に限定して平均を出したわけですか。
○渥美施設管理室長補佐 そうです。52人ですから、ちょうど30代の方が52名いらっしゃるということで、その方のデータを平均いたしますと、43万5,269円という形になっています。
○佐藤座長 職員は30代が52人で、40代、50代はどれぐらいいらっしゃるのですか。ちょっと嫌な言い方で恐縮ですけれども、できるだけ高くないように見せたいという気はないでしょうか。例えば「一般社会福祉法人等における」という、この平均年齢38歳というのは。
○千葉構成員 確か私はこの検討チームに入っていて、そのときにやった関係では、うろ覚えですけれども、職員の全体の平均を取ったら34.7歳で、その方々の平均給与はこうで、逆にその年齢と同じような、全国規模の調査を取ったらどうかということではなかったでしたっけ。逆ですね。右側で比較している全国施設のは国の調査ですけれども、この38.3歳というのがあるじゃないですか。これに合わせて、のぞみの園の同じ年齢層の人がどれぐらいかという比較だったと思います。
○佐藤座長 国の給与の調査は、私もずっと昔のことで忘れてしまったのですけれども、あれは全職員ではなかったでしょうか。
○千葉構成員 こちらは介護職員と書いてあります。介護職員の処遇調査だったと思います。
○佐藤座長 年齢を限定していましたか。
○千葉構成員 逆です。国のほうの調査の平均年齢が38.3歳です。
○佐藤座長 それは分かります。全職員の平均ということですね。
○千葉構成員 それと同じぐらいの年齢格の人を、のぞみのほうの階層から引っ張ってきたら43万円ということです。
○佐藤座長 分かりました。それは比較したときに。
○千葉構成員 結局、組織によって年齢階層に偏りがあります。特にのぞみの場合は御指摘のように、どちらかと言うと高年齢者の就業者率が多いと思うので、その分の年齢構成のバイアスが、全国施設と直接単純比較できない関係上、全国施設に合わせた条件にしたときに、のぞみはどうかという比較の表になっているということです。それでやっても、ここで言うと数字の上で高く出ているというのは、ここでお分かりのとおりです。
○佐藤座長 この中に326人の非正規の方も、いわゆる賃金分に入っている人たちも入っている。だから先ほど言われた52人の方というのは、純粋に全部正規職員の方だけですね。この平均に反映されている。
○渥美施設管理室長補佐 内訳の数字は分からないのですが、一応対象としては正規職員と非正規職員の両方を込みで集計したものです。
○千葉構成員 注にも書いてあるとおり、いわゆる常勤職員です。
○佐藤座長 常勤職員ですね。だから非正規の方も入っている。何か分かったようで分かりにくい。やはり中にいて作業をしている人と、外から見る人間とは感覚が一致しないところが随分あるのです。我々外部というか、外の人間や構成員の皆さんも戸惑っておられるのではないかと思いますが、分かりました。いかがでしょうか。
○石渡構成員 給与についてこういう数字を拝見すると、私たち福祉系で働く職員の養成をしている立場ですと、いつも福祉系の職員の給与が低いという辺りで、なかなか人材が集まらないという話を、非常に悩ましく思っているわけで、のぞみの園の職員の場合は多分、ほかの職種の方たちにかなり近いのかなということを感じます。低きに流れるのではなく、福祉職員の待遇を考えると、むしろのぞみの在り方というのを目指していただきたいという気も、とても痛感してしまったのです。
○佐藤座長 私も因縁を付けているわけではなく、これが基準になるなら、厚生労働省はもっと頑張ってほしいという話です。ほんの一握りの人たちだけが世間並みの給料で一生働けるかもしれないと。しかし、今や福祉の人材が不足している。今でも緩やかに情報だけは聞いているのですが、私がかつていた社会福祉法人は、年にほんの3、4人しか採用しないにもかかわらず、採用試験をその数ぐらいやらなければ人が集まらないそうです。私が現役でそこの施設長や理事長をしていた頃は、10倍などというのは珍しくなかったのです。給与水準は業界的にもそんなに悪くないと、当時から今も自負しているのですけれども、それでも若い人たちは集まってこない。これだけ出せればガッツリだと思います。
 だから、そういうことであるというのも、残念ながら目指しても目指しても、昨日の選挙の結果を見ても、まだまだ共生社会は遠いなと思わざるを得ないような状況の中で、そうであるということも、よく承知しておいてほしいと思います。もっと低くしろと言っているのでは決してないのです。むしろ、そうであるならば厚生労働省、このままでいいのですか、どちらにシフトしますかという話です。
○朝川企画課長 のぞみにやっていただいている施設の事業は、基本は総合支援法に基づいて給付される事業です。その中で重度の方が多いとか、医療を必要とする方がいるとか、そういう難しさはあるのですけれども、基本は障害者総合支援法の給付で賄うという意味で、イコールフッティングというのが1つの考え方としてあり得るということです。それを今座長がおっしゃったことを、その文脈に引き直して言えば、障害者総合支援法の給付をもっと上げるようにというお話になってきます。それはそれで処遇改善とか、これまでも努力をしてきていますし、また今後も努力をしていく課題ですので、そういうことに取り組みながら。ただ、同じ給付制度の中でサービスを展開するときに、どういうように考えていくかという問題だと思っています。
○佐藤座長 そうですね。ここで私などが幾らこんなことを言ったところで、下世話に言えば屁の突っ張りにもならないと思うのです。しかし人材不足は、本当に深刻な問題です。是非とも少しずつでもよろしくお願いしたい。建物については、とにかく年月が相当経過しているので、どこもかしこも危ないという話は、前に今回の検討会が始まるときに出していただいた資料で、赤塗りされた建物が随分ありましたね。危ないし、どれもこれも生かそうなどという気はないわけでしょ。これは次期中期計画の中でどうするか、きちんと計画を立てていただければと思います。
○千葉構成員 その点に関して1つ。こういう建物というのは結局、1回整備すると耐用年数が30数年とか、非常に長きにわたって使い続けることが求められるものです。そういう意味では、もちろん今は老朽化が進んで、これをどうにかあやしながら使っている。この状態というのは利用者のQOLを考えても、早めに解決しなければいけない問題であることは、一方で間違いないけれども、逆にそこで舵を切ってしまったときには、今の入所キャパシティを固定化する可能性もある。「はじめに」にも書いてあったように、今後有期の人に切り替えたり、地域移行を積極的に進めていくという前提とは、相入れないような前提条件を固定してしまう可能性があるので、それは多分、先ほど末尾のほうにあった工程表の一番右側の備考で、どこでやるかという実施場所の検討をしろというのがあるので、この検討と一緒にやらなければと、作業をしていて感じました。
○佐藤座長 建物を建てると、鉄筋なら40年ぐらいは使わないとということになってしまうので、これを間違えると現状固定化以外の何物でもないということですから、大変なことですよね。
 それでは、ある意味で今日の本題ですけれども、最後の3の「今後の方向性について」です。1つの側面は、のぞみの園がどういう仕事に取り組んでいくか、機能としての今後の方向性の問題があると思います。もう1つは、そもそもこの検討会のミッションは、現行の独立行政法人による運営の在り方を含めて、今後の長いスパンで運営の主体をどう考えていくかであっただろうと思います。それについては、もちろん最終的には厚労省が方向性を出すと思いますけれども、それに資する議論をすることにもなると思います。
 そこで事務局に伺いたい。来年4月から次の中期計画、第4期中期計画期間が始まると思うのですが、中期目標とそれに基づく計画については、もうそんなに時間がないと思うのです。本来ならこの議論などを踏まえてもっとテンポ良く、私も座長として議論をやりたかったのですけれども、いろいろな事情でこのようになってきたのです。現状ではお互いにどれぐらいまでコミュニケーションがあって、準備が進んでいるのか、抽象的な範囲で結構ですし、言える範囲の中で教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○池田施設管理室長 座長から御指摘のあった、平成30年4月からの新しい中期目標を厚労省が作成して、それに基づいて中期計画がスタートするということです。この検討会をどの程度反映させるかについては、当初少し遅れているということがありますが、検討しなければいけないとか、この検討会でいただいた方向性は少なくとも中期目標の中に盛り込ませていただきます。それを受けて法人のほうで作成される計画も、平成30年4月からスタートすることになります。その動きは、総務省との関係もありますけれども、年明け早々にはある程度固まった形で進めていかなければいけません。スケジュール的には、そのようなことで進めていこうと思っております。
○佐藤座長 独法評価委員会からの評価はまだですか。
○池田施設管理室長 独立行政法人評価に関する有識者会議のほうで、平成29年度が最終年度になりますので、この法人については平成30年4月から、どういうことをお考えですかという見直しの方向性を御説明しました。平成30年4月から入所者もいらっしゃいますから、画期的にどうこうということはないのですけれども、私のほうでも在り方検討会を開催しておりますので、その辺の意見も反映できるところは反映させていただきながら、中期目標を作成しますということで、御了解はいただいているところです。
○佐藤座長 分かりました。そうすると、ちょっと先走るようですけれども、少なくとも今年中、つまり12月までに、この検討会の報告書のようなものの素案ができてないと、具体的なスケジュール的に全然間に合わないですよね。私はそれでも遅いと思うのです。検討会を開始するので協力してほしいという依頼を受けてから、長い間放置されて、もうないのかと思ったらやるという話にまたなって、お受けするときに「これは相当急がないと駄目ですよね」という話をしたと思うのです。
 私の内々の思いとしては、今日ぐらいの時点でたたき台が出ている話で、年内には正式な報告としてまとまって、我々としての意見具申をするというぐらいの心積もりでいたのです。しかし1回1回の会議が1か月ずつずれていった。ずれていったというのは私の感覚ですが、2か月に1回ぐらいかなと思ったのが、3か月に1回ぐらいになった。だから今日の議論を踏まえて、少々粗っぽくてもいいけれども、こういう方向でこの議論をまとめたいというものを、次回の12月までには是非準備をしたい、して欲しいと思うのです。それをきちんとした上でないと、第3の方向性の提案についての議論をしても、言いっぱなしで終わりそうな気がして、寝覚めが悪くなりそうだと思うのです。そこは是非、どういうスタンスか教えていただきたいと思います。
○朝川企画課長 我々の思いとしては、もともと第4期中期目標の期間の話と、この検討会が念頭に置くスパンが、少し違うという前提があります。この検討会で御議論いただくのは、次の5年間というよりもその先の議論をしっかりやっていく必要があるということで、スタートさせていただいているという思いがまず1つあります。従って、この検討会の結論がないと、次の中期目標、中期計画が作れないかというと、そういう関係にはないというのが私どもの認識です。しかしながら、長期の方向性と次の5年間の方向性がちぐはぐになっていってはいけないというのは、その通りだと思います。できるだけ整合性を取っていく必要があります。
 時期的な問題については、できれば年内にこの検討会をもう一度やらせていただいて、今日御提案いただいた内容も咀嚼しながら、我々としてどんな方向性があり得るかという、論点整理のようなものができればしていきたいと思います。ただ、結論は必ずしも余り急いでもいけないと思っています。これは非常に長期のスパンで考えていく内容ですし、物事の性質上、法人の在り方や業務の在り方そのものに影響しますので、やはりいろいろな考え方を踏まえながら、結論を出していく必要があると思います。ですから、この検討会としての結論を年内に出すのは、ちょっと早いかなと思いますけれども、今日御提案いただいた一定のお考えをお示しいただいておりますので、それを踏まえ、我々としてはこう考える、この検討会ではこういうことを議論していただきたいというのは、次回にまた御議論いただければと思います。
○佐藤座長 そういうことであるとすれば、今日の調査結果について言えば、工程表はもう10年先までなっているわけです。これを前提にして質問やら何やらしましたし、まだ時間がありますから、これからも議論をしますけれども、これを反映してくれという希望は、少なくとも私は相当弱いです。これでいいのかと思っています。そういう意味で、もしこれを前提にしてやるなら、おおむね10年先まで言っているわけですから、私はこの後ろの5年に当たる部分をグッと前倒しして、次の計画期間中にその次の5年間の身の処し方を決めるというテンポでないと、老骨とは言いませんけれども、70歳で風邪も3週間も治らないでいるのに、何のために今日出てきたのか分からない。私の意見は、粗っぽく「今日の議論を踏まえ」とは言わないで、残りの40分ぐらいでこの方向性について皆さんの意見を聞いて、ある意味で言えば方向の違うことも含めて、そちらにはめていただいて議論をしてもらわないといけないのではないかという趣旨です。その点はよろしいでしょうか。
○大塚構成員 一応提言ということで、最後の「のぞみの園の方向性工程表」という提案をさせていただきました。座長がおっしゃるように、様々なアプローチがあると思っています。短期間にわたって方向性を出すということも、頭の中に1つありましたので、そういうことも可能かもしれません。この工程表は、入所されている方がいらっしゃるので、この方たちについて地域移行や今後の推移を見守りながら、どのようなところで落ち着くかと。もちろん、これを早くすることによって地域移行をもっと進めるとか、今5人程度ということで推定していますけれども、もっと可能なのかもしれません。あるいは先ほど座長がおっしゃったように、もっとスピードが早いということであれば、5年というのも考えられるかもしれない。それはいろいろな推定によって異なってくるので、こういう前提ならこういうということで議論すべきことかと思っています。
○佐藤座長 私の言い方に誤解を招くような言葉があるのかもしれませんけれども、私はどんどん高齢化される利用者はともかく、5年のうちに決着をつけろという話ではないのです。その方々をどうするかということも含めて、5年のうちにきちんと計画を立てないといけないということです。そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。
○大塚構成員 それはおっしゃるとおりですし、それは同じです。
○佐藤座長 世間はどうも、あいつは入所型の施設を今すぐ潰せと言っていると思われがちだけれども、本当に一度もそんなことを言ったことはありません。いろいろな事情があって、やむなくそこにおられる方々ですから、おられる以上はできるだけ質の良い日々を暮らせるようにして欲しいと思っていますし、行く当てもないのにみんな。自分も、自分の地域の中で十分な地域での支援を行きわたるようにできなかったことも含めて、現状できていないということも含めて、そんなに簡単なものではないと思っていますから、そんな無茶なことを前提に意見を言っているわけではないということも、御理解いただきたいと思います。では、今日出された今後の方向性についてどうぞ。
○石渡構成員 新しい方向性としてセーフティーネットを打ち出してくれたのは、求められているこれからの課題かなと思うのです。実際に19ページの工程表では、行動障害・触法という、今まで既にやっていることについて書いてあります。先ほど大塚構成員がおっしゃった、虐待やDVを受けている人たちの支援というのは、結構障害とも絡んで、すごく深刻な問題です。
 私もつい最近、神奈川の七沢とか、東京都の都立施設の指定管理の評価などをやっています。神奈川だと7、8割ぐらいが被虐待児だという話ですし、東京都では東村山とか千葉とか、4、5割ぐらいが被虐待だという数字を紹介しています。今、国の方向としては里親への比率を高めるという形ですけれども、やはり専門の施設でないと対応できない子供たちが確実に増えている。学生が児童養護や障害児の施設などにも行ってくるのですけれども、ちょっと行っただけでも解離性障害のかなり厳しい状況の人をたくさん見てくるので、本当に深刻だなとすごく感じるのです。
 のぞみの園では診療所のほうで、発達障害についてかなり支援の展開をされてきて、そういう問題について、かなり突っ込んだ診察や治療をやっていらっしゃるドクターも出てきていらっしゃるのか。今までのぞみは大人をやっていたわけですが、そういう診療所機能なども併せて、研究・研修部門もあるところも含めて、障害児の支援に取り組んでいただくというのは、むしろ国としてとても期待していいことなのかなと思います。障害児施設等にいる被虐待児の実態というのは、ほとんど明確になっていませんし、解離性障害の厳しい子供たちがいるというところを考えると、本当に医療との連携、こういうことに詳しい小児精神科の先生などを育てることも、障害の分野から虐待全般に広げていくほうが現実的かなという気がします。
 あと、母子生活支援施設とか婦人保護施設等にいる方たちで、知的障害の方の厳しさなども職員たちからよく聞きます。今まで注目というか、表に出てこなかったことが、かなり深刻な問題として出てきているという辺りで、対象が変わってくるのかなと思うのです。国の機関として取り組んでいただくのは、すごく重要なことではないかと、お話を聞いていて改めて思いました。
○千葉構成員 同様の意見ということで、私も意見を述べさせていただきます。今回のセーフティネットは、正に今の話も広い意味での範囲を広げたセーフティネットを更に拡充すべきだという御意見だと思います。その辺りの捉え方ですが、今は、論点を2つ含んでいたと思うのです。1つは、セーフティネットの機能を持つべきか否か。もう1つは、今まで知的障害者のところをかなり絞っていたものを、例えば先ほど御紹介のあった北岡先生の話などでは、盲ろうなども考えるべきだというように範囲を広げると。今の話でも、被虐待とか児童のほうに広げることを考えていらっしゃるのではないかと思います。大きく言うと、論点としてはセーフティネットとしての機能をどう捉えるか。例えば北岡先生のペーパーですと、むしろそれは社会福祉法人でもできるのだよみたいなことが一番で書いてあるわけで、それは実際どうなのか。申し訳ありませんが、私は処遇の専門ではないので何とも言えませんが、少なくとも経営を支援している立場から言えば、経営領域、事業ドメインをどこに置くかを決めないと経営ができません。そういうことで考えるときに、セーフティネット、特にのぞみのように運営費交付金という給付費以上のものをもらってやらなければいけない、付加価値を持っているサービスが何なのかというものをしっかり言っていかないと、これから財政再建をしていく中で、この運営費交付金そのものはどんどん削られていくということでいえば、のぞみの園の存在価値そのものは問われてしまうことだって在り得るわけです。そういうことを考えると、やはりセーフティネットの固有性が本当にどこまでのぞみでなければ持てないのか、又はのぞみ以外でも持ててしまうのかというところが、1つ論点としては見極めておかなければいけない点ではないかと思います。
 同じように考えれば、知的障害で今まで専門特化してきたものを身体障害等に持っていくというところを含めて、また児童のほうに持っていくことも含めて、それは運営費交付金がやっている組織としてやるべきことなのかどうかということは、今みたいな話で非常にニーズがあって、それを他の一般の事業者ではなかなかすくい取ってもらえないということであれば、これは国が国費を使ってやる積極的な理由になると思いますので、そこも含めてニーズの所在と実際の世の中にある供給体制、資源の整備状況を踏まえて、のぞみはどこに事業領域を持つべきか、これをしっかりしておかないと、先ほどの行程表でも5年後、10年後というのを書くときに、大きなぶれができてしまうような気がしてなりません。私は、そこはしっかりと見極めていく必要があるのではないかと思います。以上です。
○佐々木構成員 北岡先生からは、民間でも行動障害のことはできるのではないかというような御意見が出ていました。前回、確かはるにれの里や北摂杉の子会の事例が出ていたかと思うのですが、実際私が地域ですごく感じていることは、特別支援教育が進んで、特別支援学校の小学部、中学部では、自閉症教育にとても熱心に取り組んでくださっている結果、学校時代かなり教育の積み重ねに落ち着いていた子たちが、卒業して成人の通所施設に通い始めたところで、なかなか施設側にそういったスキルがないことで崩れていっている例が結構あるのです。そういう中で、やはりかなりのぞみの園の研究結果などによって、行動障害にうまく対応できている施設も出来ていく中、まだまだそれに関してはとても足りないと感じています。実際私の地域でも、自傷がひどすぎて、日中活動の施設で意識不明になって運ばれたら、脳挫傷であったというケースがあります。そういった場合、ドクターのいない通所施設では、ちょっと今はうちに来てもらうことはかなり難しいというようなことも施設側から出ていまして、そういったケースもこれから自閉症教育が進むことで、逆に施設で出てくる可能性もあるので、まだまだ必要なのではないか。のぞみの園で、ドクターもいて診療所もある所で、行動障害の子たちも診ていただくという子どもたちがいるのではないかということもあるので、まだ民間で全てOKということには、私はならないと思っておりますので、ここは是非やめないで欲しいなと思います。
○佐藤座長 他にいかがでしょうか。
○太田参考人(菊地構成員) 太田です。知的障害の関係の、特に行動障害がある方のセーフティネットですが、第1回目にオブザーバーとして参加させていただいたときにも少し意見表明をさせていただきました。やはり、地域の中、地方のそれぞれの法人の取組でかなりカバーされている現状にはあると思いますが、それでもその中で行動障害が激しくなって、どうしようもなくなった時点でどうなるかというと、まだまだ精神科病院に頼るところがあるやに聞いております。精神科病院に入ってしまいますと、かなり薬物治療が優先されますので、生活的な側面のアプローチよりは、まず薬物でどう対応しようかというところから入っていくと思います。是非最後の駆け込み寺のような形でのぞみの園に存在していただくと、それは当然長期ではなくて短期、有期でのぞみの園の中で、生活の立て直しの中から行動障害を改善していくというアプローチをしていっていただき、しっかりとした仕事をしていただければと思います。
 もう一点、現場では職員の確保が想像以上に悪い状況になっています。今年の状況を聞いていますと、来年4月に向けて例えば10人ぐらい採用を予定したけれども、内定は出したものの、既にもう5人内定辞退がきたというように、そんなに確保できていない所が大半です。職員の人材確保も、多い所では1,000万かけているという所まで出てきています。さらに、職員を採用するに当たって、先生方が養成されているような優秀な学生さんではなくて、資格がなくて入ってこられる方も多いので、のぞみの園には、行動障害に特化したような仕事をしていただくとともに、現場での実践的なトレーニングもしていただけるような国立の施設があれば、なおいいのではないかと思います。協会としても研修等には取り組んでいますが、かなり限界がありますので、そういったところにも目を向けていただければ有り難いなとは思います。以上です。
○佐藤座長 御意見はもうよろしいでしょうか。基本的には、今提言されている果たすべき役割については、のぞみは少なくとも次期の5年間の中で更に努力をしてやるべきだということに関しては、私は何の異論もないです。ただし先ほども申し上げたように、のぞみは今までも国立の施設として、いろいろな業績を上げられてきました。しかし、それは圧倒的な運営費交付金、ないしは、かつては補助金の助けがあって、非常に潤沢な資金と量的にも質的にも恵まれた人材が、今でも326人もいるわけです。逆に言えば、239人の利用者しかいないのに、こんな施設なんか日本中どこを探したってないですよ。重症心身障害者の施設でさえ、こうはいかないということの中で積み上げられてきたものなのです。問題は、ここが幾らセーフティネットを果たすと言ったって、所詮は群馬の1施設なのです、現状は。日本中カバーなんか、絶対できない。それは、量的にも、恐らく質的にも、だから、確かに一定のセンター的機能を果たすものは、それぞれの地域の中で中心になって、地域の知識や技術の水準を引き上げていくリーダー的なものが必要だと思います。でも、全国に1か所ぐらいこれが欲しいなんて話では、全然駄目だと思います。むしろ、13億なんて言いませんよ。5,000万か1億かぐらい、10年間約束すれば、各県に1か所や2か所ぐらい、取りあえずは10か所ぐらいかもしれませんが、こういう役割を果たしてくれる所、現実に、先ほど出た具体的な施設名も含めて実績を積んでいる所はあるわけです。先ほどの高齢の問題でも言いましたが、今抱えている問題は本当に全国どこも深刻なのです。だから、センターが必要だとか、だからここにある意味集中的な投資を更に続ける必要があるという論理は、正に倒錯していると思います。全国に入所待機の人たちが、厚労省はそういうデータを持っているかもしれませんが、知的障害だけで1万人では済まないと思います。埼玉県だけでも1,000名近くいると言われています。その中には、どこの施設にもこんな重い人は取れませんと言われている行動障害の人もいますし、重い身体障害を重複している方もいます。そういう人たちは、ほんの何人ではないのです。ここがセンター的機能を果たせば解決できるような規模では、全然ないのです。ですから、いろいろな地域でお金がなくても、人がいなくても何とかしようという取組が、幾つも行われつつあるわけですので、だからのぞみに期待するんだというのは、これがのぞみの在り方検討会ですからそうなるのかもしれないですけれども、気配りが過ぎるのではないか、過剰に期待しすぎているのではないかと思います。
○千葉構成員 よろしいですか。そこは、ちょっと疑問を感じます。それは、先ほど例えば大塚構成員もおっしゃったように、前提を変えれば幾らでもいろいろな議論ができるということに多分関連してしまっているだけの話で、どこを前提に置くかによって今の展開が違うだけですから、前提が違うことをもって配慮し過ぎというのは、それはちょっと議論がおかしいのではないかと私は思います。
○佐藤座長 いや、そうではなくて、そうでない所だって、今はできている所があるのだから、そういう所をもっともっと激励するようなことを考えるということを含めて、ここの在り方を考えないと。
○千葉構成員 それは、障害福祉政策としては必要だけれども、少なくともその前提がどうなるかが描けない以上、ここが全く何も決められないというのではおかしいのではないですか。
○佐藤座長 いや、そんなこと言っていないじゃない。僕は、この5年間このことをきちんとやってくれって言ったじゃないですか、最初に。そのことは前提で。
○千葉構成員 ただしと言ってそのあとそういう話をされたわけだから。
○佐藤座長 ただし、それだけでは、事は済まないですよと。
○千葉構成員 ええ、私もそれだけだとは言っていません。
○佐藤座長 それを含めて、取りあえずの5年間の間に身の処し方、あるいは世間に対する示し方、見せ方も含めて、次の5年につながるようなことをきちんと議論してくださいという意味ですよ。
○千葉構成員 そこは同感です。
○石渡構成員 今、座長がおっしゃったことはその通りだと思うのです。ただ、今のセーフティネットからすると、やはりノウハウをきちんと蓄積して、それをいろいろな地域に伝えていくような国の役割は、まだまだ求められるのではないかと思うのです。強度行動障害、触法などにしても、のぞみがその役割を果たしてきたのと同じように、新しいニーズが出てきて、それにきちんと対応できる所が現実にないと思いますので、その辺りを今の研究部門があり、診療所がありというところで、やはりのぞみには芽が出ているのではないでしょうか。その辺りをきちんと機能するような役割を新たに位置付けることは必要ではないかと思います。
○佐藤座長 大塚さん、今の意見も含めて御意見を頂きたいのですが。そんなに全国は、のぞみ以外は、仕事ができていないでしょうかね。
○大塚構成員 いえ、そうは思わないです。のぞみが果たすべき役割、提言もあるのですが、先導性やモデル性をずっと考えてきました。私は、一定の役割を果たしたと思っています。ただ、様々な課題もあると思っています。その意味は、先導性やモデル性は今の話ですと、例えば強度行動障害のノウハウを提供すると。こんな支援ができればいいということもあるのですが、今の時代における先導性やモデル性はそれだけではないと思います。このような支援方法とともに、どんな人材とどんな職員配置と、どんなお金があればという、運営も含めたモデル性だと思うのです。これがなければ、他の施設はそれを使えないわけだから、例えばお金が掛かっていてやっているようなものは、全国で使えないということです。そうすると、少なくともモデル性というものは、最初の2、3年はそれにお金を掛けてもしょうがない。けれども、そのあとは経営モデルでしょうね。こういうモデルにおいて、職員を養成したり配置すれば、どこでもできるということがあって初めて成り立つものであって、もう今までのように交付金をかけてやっているモデル性というのは全国で波及できないと私は考えています。そういう意味では、今後はどのようにお金を使っていくか、例えば先ほど言った杉の子会であるとか厚田はまなすという所に、モデル的にやってもらうようなお金を配分する仕組みの機関としての中核があるかもしれない。そういうものは、もっと有効に使えるのであったら、そちらのほうがいいかもしれません。全国に展開するとか、何でも1つの所がやって、そこで完結するのは、それはもう入所機能モデルの中でしかなくなるわけですから、違う展開ができるようなお金の使い方で、全国が活気性ある知的障害の方の支援ができるような体制をつくることが肝心だと思っています。
○佐々木構成員 9月にはるにれの里に見学に行ってきましたし、10月6日には私どもの法人で北摂杉の子会の松上さんに来ていただいて、研修をやっていただきました。やはり両法人ともすごくいい取組はされているのですが、最後にお二人ともおっしゃったのは、今の課題はやはり労働基準法だと。夜間支援に関しての労基はなかなか厳しくなっている中で、どのように職員に労働基準法を守って、大変な方たちの支援をしていくかというところが、一番大きな課題だと両方ともおっしゃっていたので、今の大塚先生の意見には賛成です。そういったモデルを、モデルと言うのか、仕組みが変わっていかないと難しいのかもしれないのですが、その辺りは期待したいところです。
○佐藤座長 全くそうですね。若い頃は、平気で死ぬまで働こうとかと言っていましたけれども。1人でも過労で死んだやつがいたら、俺は反省するとか言って、今考えると明確な犯罪者だったと思います。そうしなければできないような状況が、今日まで続いているということです。ですから、やはり……を見ると相当な突出したことをやってもらわないと、こういう形態があるのはとても信じられないというか、受け入れられないでしょう。そこから、権威は崩れていくと思います。そういうことで、運営主体及び事業を行う場所についても、今後見直していきたいと思います。とにかく、5年後、10年後と言わないで、次の中期期間中に内部でも相当きちんと議論をしていただいて、自らの身の処し方、あるいは自分たちの仕事の見せ方というようなことを、きちんと考えていただく必要があると思います。運営主体については、別に社会福祉法人でも然るべきものが用意されていればできるわけですよね。ですから、あえて言えば今のような国が責任を持つ独法であるという仕組みはなくてもいいかもしれない。5年後には、指定管理者方式に切り替えて、新たに組織した元のぞみの園が法人を作って、そこに堂々とプレゼンでコンペに参加するということだってあり得ないことではないと思います。そういうことを含めて、5年間で内部できちんと議論をしていただきたいです。私の言っていることは拙速でしょうか。
○遠藤オブザーバー いろいろと構成員の皆様の御意見も伺って、そういうことで私として今考えていることを申し上げたいと思います。その前に、座長が言われた320何人の職員で200何十名の入所者というのは、入所者の他に通所利用で1日120人ぐらい来ております。それから、診療所の外来が外部からも大分来ていますので、そういうものを含めての320人の職員ですので。
○佐藤座長 それでも全然多いですよ。
○遠藤オブザーバー 趣旨は分かりますが、ただ一応議事録に残るものですから、ということで申し上げておきたいと思います。そして、皆様の御議論をいろいろ踏まえて、まず今日、北岡構成員からのメモ、あるいは石渡構成員からの御意見、千葉構成員からの御意見などもあるように、障害福祉行政として新たな課題が、今ある課題の他にまたいずれ浮かび上がってくるような重要な課題も当然出てくると思います。そういうものに積極的に対応していくということであり、なおかつそれが高度の専門的な支援でというようなことが、きっと今回の報告書の中でのセーフティネットという意味と理解しております。そういう意味で、現在障害の種別の縦割りから、障害全般に対応できるようなということで、制度としては流れがありますが、他方でそれぞれの障害に対応した専門性は必要ですので、そういうところは私どもが引き続き、あるいは従来以上に取り組んでいきたいと思っております。
 もう1つは、これも座長から、のぞみだけで無理だろうと、全くそのとおりだと思います。私ども、のぞみだけで、全国の施設、事業所を相手に何かして、それで大きな改善が図れるとは思っていません。むしろ、いろいろな関係機関との連携、協力を通じて、全国の施設、事業所の支援の力が向上するようにという方向で取り組んでいるつもりではあります。そういう意味で、1つは関係機関といっても国の関係機関もありますので、例えば国立リハセンターと発達障害関係について連携して、それぞれの得意なところ、不得意なところをお互いに学んで、それぞれの事業に活かしていこうという連携、協力の仕組みを作って、今年度からいろいろ取り組んでいるところです。また、私どもは発達障害ということで、児童の関係に取り組んでおりますが、発達障害でも特に重心や肢体不自由になりますと、板橋にあります心身障害者総合医療療育センターが国の施設ということで積極的に取り組んでいますので、私どもとしてはそういう児童の抱える発達障害の問題も、もっと取り組んでいけたらと考えております。いずれにしても、私どものぞみの園でなければできないと、そこまでは思っていなくて、むしろ民間の事業所でこれまで非常に頑張って取り組んで成果を上げている所もあります。ただそれは、佐々木構成員も発言されたように、まだ数が少ないということですし、私どもとして全国の施設、事業所の支援の力や質をいかに上げられるか、そのためにのぞみの園のモデル的な実践や調査・研究・研修を、どのように展開していったらいいのかということで、これまで取り組んでおり、これからも取り組んでまいりたいと思っております。そのようなことで御理解いただいた上で、また御議論を進めていただけたらと思います。
○佐藤座長 ほぼ時間になりましたが、事務局から今日の議論に関して何かありますか。
○朝川企画課長 19ページ目の行程表ですが、大塚先生に確認の上、一番右側に実施主体、実施場所について検討、あるいは実施場所について検討とあります。これは、必ずしも2027年以降に検討するということを意味しているのではなくて、それは座長がおっしゃっていますように、次の第4期の計画期間、2018年度から始まる期間に、すなわち検討を始めるという理解でこの行程表は出来上がっているということでいいのですよね。
○大塚構成員 どちらでもいいのですが。というのは、実際の減り具合や、中期計画との関連の中において、どのような形態をするかというような選択肢がいろいろあるわけです。ですから、当然実施主体やどこでその支援をするのかも含めて、その時期に決めると。5年後かもしれないし、10年後かもしれないしということを書かせていただきました。
○朝川企画課長 ですので、私どもの受け止めとしては、座長がおっしゃいますように、決してこの議論を先送りするということは全く考えておりませんので、次の計画期間にしっかり将来を見据えた議論を厚労省もしますし、のぞみの園においてもしていただく、そのようなことで進めていけたらと現時点で考えております。その点は、多分座長と私どもの認識は一致しているはずだと理解しております。
○佐藤座長 では、先ほど申し上げたように、今年中にもう一回開いていただいて、そのときにはもう少し論点を整理する。この検討会としての結論、ないしは報告についての方向性を共有できるような準備をしたいというか、していただきたいというか、それはお約束いただけますか。次は9月と言って、10月にならないようにお願いします。
○朝川企画課長 すみません。
○佐藤座長 それから、こんなことを言うと帰りに袋だたきにされるかもしれませんが、先ほどから全国の施設を支援したいと何度もおっしゃいますよね。
○遠藤オブザーバー 役に立ちたいと言っております。
○佐藤座長 でも、そこが少しいろいろな意味の認識の違いというか、国はそういうことも含めて最初から特殊法人を作って運営していたのかもしれませんが、もうそれから50年近くたって、いろいろなものがいろいろと育っているけれども、育ち切れなくて潰れたものもたくさんありますが、お互いにもっと学び合う関係でないと、そこはいろいろなものももって大変で、それはそうかもしれませんが、それだけでもなく、そういう感じで是非皆さんともお付き合いをしていただいて、職員同士で啓発をすることも大事だと思います。老婆心ながら、一言だけ付け加えたいと思います。
 では特にないようでしたら、今日もすみません、独演会のようなことで。最後の御奉公と思ってしつこくやっていますが、よろしくお願いします。では、また今度よろしくお願いします。
○渥美施設管理室長補佐 最後に、事務局から連絡いたします。本日は台風のため、いろいろ交通機関等麻痺した状況の中、本当に御多忙の中を来ていただきまして、御議論をいただき、ありがとうございました。次回は、12月ですので、具体的な日程は、これから日程調整を含めて調整の上、追って連絡をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。それでは、本日はこれで閉会といたします。
○佐藤座長 ありがとうございました。


(了)

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