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2017年9月8日 第5回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成29年9月8日(金)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館114各省庁共用会議室


○出席者

委員

武石委員、池添委員、池田委員、駒崎委員、佐藤委員、座間委員

厚生労働省

宮川雇用環境・均等局長、成田審議官、源河職業生活両立課長、岡雇用環境・均等局総務課企画官、土岐職業生活両立課課長補佐

○議題

1.研究会の検討課題について


○配布資料

資料1 個別課題及び出された各委員の意見など
資料2 個別課題についての検討(その2)
参考資料1 妊娠・出産・育児期の両立支援制度
参考資料2 両立支援制度とその利用状況

○議事


○武石座長

 それでは、定刻になりましたので、研究会を開催いたします。

 委員の皆様には御多忙のところ、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 本日の議事次第にありますとおり、個別課題について御議論いただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。

 最初に事務局から、資料について御説明をお願いいたします。

 

○土岐職業生活両立課課長補佐

 それでは、失礼します。

 まず、資料1をご覧ください。こちらは前回の資料をベースにしておりますけれども、これに「-」としまして、皆様方からお出しいただいた意見を記載しております。

 ベースは前回なのですけれども、全体構成といいますか、前回の皆様方からの御意見を踏まえまして「1.男性による育児の意義、課題について」という項目を追加させていただいております。

 3ページ目の「2.仕事と家庭の両立支援のための制度等のあり方」の一番頭にマル1 「両立支援のあり方について」も追加させていただいております。これが全体構成で追加させていただいたということになります。

 1ページ目に戻っていただきまして「1.男性による育児の意義、課題について」ということでここに記載しておりますけれども、男性による育児の必要性につきましては、いわば当然必要だねというか、そういう意識共有のもと議論が始まっていると思いますけれども、いわば当然のことを資料としてまとめたものがございませんでしたので、このタイミングにはなりますけれども、既にお出しいただいた意見ですとか、白書とか、そういった政府見解等も参考にしながら1.としてまとめさせていただいたということになります。

 内容を説明させていただきますと、まず、男性が育休を取得することですとか、育休に限らず育児、家事等を行う意義ですが、3点まとめさせていただいています。

 1点目として、男性も育児をすることで、男性が家庭での責任を女性と分かち合うようになれば、その分、女性が社会に参画していくためのハードルも低くなるということで、働く女性の活躍の観点からも重要という点です。

 2点目として、男性の育休取得を、男性の子育て・家事参加の契機としまして、男性自身の働き方改革につなげる。男性の御自分の働き方改革の側面ということです。

 3点目として、女性1人が育児をする「ワンオペ育児」です。こちらが少子化や女性活躍の阻害要因となっている問題がございまして、男性の育児による女性の子育て環境の改善により、少子化対策にも寄与することができる。

 以上、女性の活躍、男性自身の働き方改革、少子化対策という3点の意義があるということが挙げられると思いますが、その取得時期ですとか、女性のほうの働き方、家庭の状況等に応じた男性の役割、育休取得等の意義はどのようなものがあるかということにつきまして、その下のマル1からマル4までに、期間ごとになりますけれどもまとめさせていただいています。

 まずマル1 「母親の産休期間における男性の役割」ということで、どういったものがあるか。こちらからは基本的に意見を参考に整理させていただいていますが、妻の働き方等に限らずに、以下に3点の役割が考えられる。意見が出ましたが、いわゆる「里帰り出産」をしなくても、夫婦で協力して子育てをすることによりまして、男性も父親としての役割を意識するようになり、その後の職業及び家庭生活にも好影響が出る。

 役割の1点目として、出産直後期における入院中の妻のケア、産院からの帰宅の付き添い、出生届等の提出の手続など。

 2点目として、妻子の退院後の育児環境整備等。

 3点目として、妻の母体回復時の家事全般。

 こういったものが挙げられるという意見をいただいております。

 マル2 「母親の2人目以降の出産前後における男性の役割」ということで、以下の2点を挙げさせていただいています。

 1点目として、家事ですとか、ほかの子供、お兄ちゃんお姉ちゃんの世話の役割。

 2点目として、妻の体調不良等の時期に合わせた取得による母体のケア、産院の送迎等という役割が考えられる。

 2ページのマル3 「妻の復職時等における男性の役割」ということで、妻が就労している家庭では、夫婦で助け合いながら仕事と育児を両立させるため、以下の役割が考えられる。

 復職する妻と交代で育休を取得して、慣らし保育への対応ですとか、家事・育児全般を担う。

 その他、妻の就業状況に応じて取得する一定期間の育休等です。

 それ以降のマル4 「子の幼児期における男性の役割」ということで整理しておりますけれども、育児・介護休業法の育児休業の対象とならない1歳以降ですとか、所定労働時間の短縮、時短措置の対象とならない3歳以降の時期につきまして、共働き家庭におきましては夫婦の状況に応じた役割分担によりまして、日々の保育園の送迎、家事等を夫婦で協力して行うことが必要となる。

 次ですが、妻が専業主婦である家庭におきましては、そういった男性の育児の必要性が相対的には低くなると考えられますが、家庭の事情に応じた多様な育児役割を担うことで、主に育児を担うことになるお母様の肉体的、精神的負担の軽減につながり、適切な家族環境が構築できると考えられる。

 さらに、教育的要素を含んだ子育て役割ということで、夏休みの自由研究、野球のコーチですとかキャンプ等、主に父として男性がかかわるべきものもあると考えられる。

 以上が1.についての説明です。

 本項目を追加することで、男性による育児の意義、家庭の状況等に応じた、男性の役割の認識をまずしっかり共有するということで、その次の2.におきまして、その役割等に応えるための両立支援制度のあり方はどういったものがあるかといった議論につなげていっていただければと考えています。

 2.についてですけれども、まずマル1 「両立支援制度のあり方について」ということで、大きな論点ということで○2つ。「○ 両立支援策として、休業制度をどのように位置付けるか」「○ 女性活躍に繋がるような両立支援のあり方についてどう考えるか」です。それぞれについて、既にお出しいただいている意見をまとめています。

 1点目ですが、現在の育介法に基づく両立支援制度は、実際は母親だけで育児ができるというか、できてしまう制度となっているということが、男性が主体的に育児を行わずに済む状況を生んでいるのではないかという意見がございました。

 2点目ですが、両立支援においては多様なオプションが必要でありまして、休業以外の制度の利用も含めたトータル視点からの両立を考える必要がある。

 3点目ですが、これは先ほどの再掲になりますが、育休以外の長いスパンでの子育て参加を考える必要があるということで、育休を取得しないまでも、毎日保育園にお迎えに行くというのは意味があるかもしれないという御意見です。

 2つ目の「○ 女性活躍に繋がるような両立支援のあり方についてどう考えるか」ですが、こちらにつきましては現在の育介法の内容に男女共同参画の要素を将来的に入れ込んでいく必要があるということですとか、これも将来的な課題ということで、現在は就業継続目的ですが、男性の主体的な育児についても内容として記載し、意識喚起を促すような仕掛けも考えられる。

 企業の「就業継続のため」というよりは、現在「休ませなければ」という誤解を持っている可能性がありまして、法の趣旨に「両立」が含まれているということがもっと認識されるとよいという話です。

 こういったものも込みですが、長期的な課題として、育介法の内容、それに伴いまして目的規定の再検討もあり得るのではないかという意見をいただいています。

 もう一つ、ちょっと切り口は違いますが「親」としての取り組み支援として、子供の状況に合わせて休むニーズは社内、企業においてもある。対象となる層が広がることになりますが、それが育介法の目的の範疇なのかは、現状では疑問という意見もありました。

 マル2以降は前回資料から変えておりませんので、簡単に御意見だけ説明させていただきますと、まず、育休制度につきまして、男性が主体的に育児に取り組めるような制度になっているかということ。先ほど申し上げた、片方だけで取れてしまうということがあるということです。そのことに伴いまして、現状のパパ・ママ育休プラスも意味がなくなってしまっているのではないかという意見がございました。

 「○ 育休の取得時期、期間等についてどう考えるか」ということで、これは具体的な意見が幾つか出されたかと思いますけれども、資格取得期間を1歳までではなくて、累計で1年間とするというような内容ですとか、現行は、産休込みで両親1年ずつの取得の権利がありますが、この権利をベースによりフレキシブルに使えるようになればよい。1歳まで2人同時に使えても使い勝手は悪いということです。

 それから、取得可能な年齢を引き上げた上でニーズに合う制度を組み合わせることが可能な仕組みにすべき。出産前から使えたり、分割できたりするとよい。

 これは給付の話ですが、法律では育休を連続する1回ということで、育休給付が出るのが最初の取得のみということで、休業の分割等の、企業の独自の取り組みが進まない原因にもなるのではないか。

 それから、2人目以降の出生に伴いまして、第一子等の育児のために出産前からの休暇を制度化するためには、育児の概念を広げる必要があるということです。

 マル3 「育休以外の両立支援制度について」ですけれども、こちらにつきましては意見としましては、休業取得に限らず、男性の主体的な育児参加のための制度としてどのようなものがあり得るかということで、男性は短時間勤務よりもフレックスのほうが取りやすいということと、時短勤務・所定労働時間の制限ですが、こちらが曜日ごとに利用できるようになると使いやすくなるのではないかといった意見が挙げられています。

 資料1については以上でして、続いて資料2をご覧ください。こちらが本日新たに議論していだたきたいテーマになりますけれども、男性の両立支援制度ですとか、男性の育児の推進策、促進策ということになります。

 項目を2つに分けさせていただいていまして「3.男性の両立支援制度の利用を促進するための方策」です。制度を利用した育児の関係です。「4.制度の利用に限らず男性が主体的に育児に参加するための支援策」ということで、育児の参加の仕方というか絡み方というのは、別に制度を使わなくてもできることはいくらでもあるということになりますので、その項目として4.を入れさせていただいているということになります。

 3.に戻っていただきまして「○ 制度利用が進むための有効な方法は何があるか」で、効果的な周知方法としてどのようなものがあるか。それから、企業による労働者向けの休業促進の工夫として何かありますかと。あと、行政による有効な活用促進のための工夫は何かありますかということです。

 あとはもう一つ「○ 育休取得を希望していない男性に対し取得を促進することについてどう考えるか」ということで、2つ挙げさせていただいています。

 前回の議論の流れでいろいろ今回に関するようなものも、既にお出しいただいているのもありますので、それにつきましてはもう「—」ということで入れておりますが、男性の育休取得率が高いところの事業主拠出金の軽減のようなインセンティブとなる仕組みを導入し、企業による男性育休の取得を促進するようなやり方ですとか、認可保育園の入園に当たり、父親の育休取得を考慮してはどうか。それから、ハローワークの求人票に、企業の男性育休取得率の記載欄を設けるとしたらどうかといった意見をいただいております。

 4.の制度の利用に限らないほうの促進策ですが、これにつきましての有効な手段はあるかということで、一つ立てさせていただいていますが、こちらもいろいろと、もう既に意見をお出しいだいております。1つ目に、男女で育児をすることの啓発が非常に重要であるということで、子供のころの教育によって、社会風土の変革を目指す。

 2つ目は、短期になると思いますが、出産直後の育休を父親初任研修と位置づけ、例えば「産休免許証」を付与するという取り組みを進めるなど、産後の父親のペアレンティングに社会的共通イメージを植えつけるという意見です。

 それから、女性社員の勤務先が、自社の女性の育児中に、その配偶者の勤務先に対して配慮を依頼するような仕組み。例えば、農業分野の家族経営協定が参考になるかもしれないといった意見をいただいています。

 それから、出産を控えた家庭を対象とした両親学級を進める取り組みをやってはどうか。

 最後ですが、フルタイム勤務にすると残業が当然についてくる今の状況であるから時短制度を使っているという構造があるので、そういった長時間労働の改善が必要であり、そうなればニーズが変わってくるかもしれないといった意見をいただいています。

 説明は以上です。

 参考資料1と2ですが、これはもう既に出させていただいているものですが、1つ目が現行の両立支援制度の全貌の一枚紙です。2つ目がその利用実態、利用率という資料をつけています。議論の参考にしていただければと思います。

 以上です。

 

○武石座長

 ありがとうございます。

 それでは、今日は資料1、資料2に沿って論点を出していただくということで進めたいと思います。全体の構成としまして、1.が男性の育児にどういう意味があるのかということ。特に、これまで子供の年齢によって関わり方に違いがあるのではないかという御意見がありましたので、時系列で男性の関わり方を示していくということがマル1、マル2、マル3、マル4という形になっています。

 2.が、現行の育介法の制度が、男性の利用という観点から課題がないのかという御意見を集約していただいたということで、まず両立支援のあり方、それから、育児休業、それ以外のフレキシブルな働き方ということでの整理になっています。

 3.と4.が、そういった男性の育児をどういうふうに、周りからサポートをしながら機運を盛り上げていくかということで、3.が制度利用に関するもの。4.が制度利用以外の幅広い支援策というような内容になっています。

 もし、この構成で何か御意見があれば、それも含めて今日、御意見をいただきたいと思いますが、前半は前回議論をいただきました1.と2.の中で、ここをもう少し補足したいとか、そういう御意見があれば、まず、そちらのほうからお願いしたいと思いますので、資料1の1.と2.について御意見をお願いしたいと思います。

 いかがでしょうか。

 

○佐藤委員

 資料1の3ページ、2.のマル2の育児休業のところなのです。やや大きな話なのですけれども、育児休業を再定義する。つまり、女性の場合は必ず産休をとって育休ですね。育休というのはやはり、これはもともとできたときは会社を辞めずに、雇用関係が維持される。給与は出ないのですけれども、雇用関係を維持しながら、社員が子育てに専念できるという趣旨ですね。なので、一定期間子育てに専念できるというのが育児休業の趣旨だとすると、ただ、現状の男性の使い方を見ると、これは法定の制度ではないのですが、配偶者出産休暇と同じように使われているのが実際多いわけです。

 なので、育児休業はもう基本的に月単位でしか取れないのです。もちろん、それを産前、産後休業のときに使ってもいいわけですけれども、そのかわり、現状の配偶者出産休暇は企業独自でやっているのだけれども、これを選択的措置義務の中に入れてしまうとか、つまり、短期のものは別にする。それは駒崎委員が男性の産休と言っていたのと近いような形で、育休というのはあくまでも一定期間子育てに専念する期間だと考えれば、短期で使うのはおかしいではないかと。短期のものが必要なのはわかるのだけれども、つまり、それがないから育休を男性の場合は切り出して使っていると考えると、短期で使えるものが配偶者出産休暇で今、かなり普及していて、利用率が高いのです。これはこれとしてどうするかですけれども、法律を義務づけるのか、選択的措置義務の中に入れるようにしてくださいと言うのか。

 もちろん、配偶者の方の、女性の産後休業のところに育休を1カ月単位で取ってもいいのですけれども、短期で使いたい場合は別の制度を使ってくださいというふうにする。かつ、くるみんの認定は育休のみにする。育休のみだと変ですが、1カ月以上の育休をとらない限りくるみん認定をとれないようにする。そこは変えないのです。現状の育休が今、5日でもとれてしまうのを、育休のほうを1カ月以上としてしまえば、長期のものしかくるみん認定の対象にならないので、そういうのが評価です。

 ですから、そうするともともと、子育てに専念してもらい、カップルの男性が仕事に復帰した後も子育てできる働き方に変えるというのは、ある程度まとまってということではないかということなので、私はもう一つ、海外で短期で育休というのはあるのかどうかということと、何でもともと短期の育休を取るようにしてしまったのかよくわからないのだけれども、もともとそうだったのですかね。できたときも日単位で切り出せたのですか。

 

武石座長

 別に最低はないです。ただ、給付が20日以上とか以前はありましたね。

 

○佐藤委員

 もともとは何かそうだった。短期の方に合わせるようにいろいろな制度改定がされてきたのではないか。

 特に介護の方もそうなのだけれども、これはちょっと別の話で、介護休業がないときに、介護休業をできたら本当は月単位でもいいかわからないのだけれども、育児休業の趣旨は何なのかというふうにしたほうがいいかと。

 使われ方を見ると、ある程度一定期間子育てに専念するというのではない使い方をされているのです。そこは確かにそのニーズがあるのも事実なので、育児休業はもう一定期間子育てに専念する。それ以外のニーズがあるとすれば別の、例えば選択措置的義務の中に入れるとか、現状でいえば、ある面では有給でやれなくはないのです。

 ややラディカルです。そのようなことです。

 

○武石座長

 ありがとうございます。非常に大きな御意見として。

 休業と選択的措置義務というのは、両立支援の中に入っていますけれども、意味合いが違うということにするということですね。

 

○佐藤委員

 今の配偶者出産休暇的な使い方はあり得ると思うので、それと育休は一応分けたほうがいいのではないか。育休が今、配偶者出産休暇的にその部分に使われてしまっているのです。だけれども、そこを分けた制度にするほうがはっきりする。

 ですから、両方とってもいいのです。今はそこを、企業にないところは育休を短期で使っている場合もあるわけですね。だけれども、そこはそこで別の制度として、育休は1カ月以上というような、あるいは女性に合わせて、産後8週間以降しか育休をとれなくしてしまったところもあるかもわからないですね。

 産休みたいなのを、駒崎委員が言った別の制度としてつくるかもわかない。それはやり過ぎかもわからない。

 

○武石座長

 ありがとうございます。

 

○池田委員

 今の佐藤委員の御意見ですけれども、やはり社会的な役割として男性が何をしなければいけないかという問題と関係していると思います。最初のに私が、例えば5日未満で取る場合と、月単位で取る場合だと、役割そのものが違うということで言うと、あとは基本、やはり男女雇用機会均等という思想に照らすならば、女性が年単位で取っているところで、日単位で男性の取得者を増やすということが本当に均等に資するのかという問いは出てくると思うのです。

 短い期間でもいいからとりあえず取りましょうということを、次世代法で10年やってきて、次はどうかといったら、やはりどうしても長期取得ということになるし、ヨーロッパを見ると、やはり月単位で男性が取るということが男女の雇用機会の均等という思想に照らすと、やはりそちらの方になっていくので、一つのきっかけとして配偶者出産休暇みたいなものを法律できちんと位置づけるとともに、育休に関しては、例えば先ほど申し上げた里帰り出産などしていない場合には、やはり1カ月単位で、妻の産後の1カ月、男性が全面的に家事を担うとか、親がいる場合は育児を全面的に1カ月ぐらい担うとか、あるいは、妻の復職を月単位で早めるかわりに男性が月単位で取るということを、正面から考えてみるのはいいのではないかと私も思います。

 

○佐藤委員

 多分、企業としては困るときが出てくると思うのです。ただ、5日だから取れるという議論があるのだけれども、女性は半年から1年取っているわけですね。ですから、そのようなことはないはずで、もし男性が取れなくて、女性であれば取れるというのはおかしいのです。

 逆にいえば、私は1カ月単位とか2カ月単位のほうが取れるのではないか。短期の方ほう個別的な調整になるのだけれども、長期の場合は本格的な調整が必要になる。女性はそうしているわけですね。私はそういうふうにしたほうがいいのではないかという気もするので。

 

○武石座長

 いかがでしょうか。

 駒崎委員、どうぞ。

 

○駒崎委員

 今の佐藤委員の御意見に、大変同意できる部分はあります。短いのを男性産休にして、長いのを育休としていくのも手かと思います。

 一方で、弊会では半育休というのをはやらせていて、完全に休まないと育休ではないというふうになると、かなりハードルが高いという部分があったので、週何時間以内かは働いても大丈夫というふうになっていますね。

 何時間でしたでしょうか。

 

○土岐職業生活両立課課長補佐

 月80時間です。一時的・臨時的な労働に限定されますが。

 

○駒崎委員

 そうですね。月80時間。そうすると、1日4時間までなのです。

 例えば引き継ぎとかで、あれはどうだったっけみたいなときにちょこっと聞くとかというときに、この時間はメールで対応しますみたいなのがあると、男性も育休に入りやすいとかということがあったり、あるいはあるこの時期からもう二度と話しかけてくるなというよりかは、徐々にみたいな感じでフェードアウトしていったほうが職場に迷惑もかけないみたいなところもあって、半育休という、完全に休んでいるのではなくて、一部だけ働けるようにするということが、男性の育休をとりやすくなるある種の鍵なのではないかと思っていて、実は、私自身も2カ月の育休を2回取ったのですけれども、メールとビデオ会議で1日2時間だけ仕事をしていました。

 

○佐藤委員

 経営者だから育休ではないですね。自主的にそういう働き方をしたのですね。

 

○駒崎委員

 経営者だからそうなのですけれども、経営者の育休というふうに言いました。

 

○佐藤委員

 それは育休ではないのです。そういう仕事の仕方をしたと言わなければだめなのです。

 

○駒崎委員

 育休ではないのですけれども、ただ、経営者こそ育休を取るべきだと思っているのです。

 

○佐藤委員

 いや、それは育休ではないのです。育休と言ってはだめです。

 

○駒崎委員

 法的にはですね。

 それでは、経営者の「育休」を取りまして、私がとっていたら何か経営者の中でも広がって、ほかに取る人が出てきたので、結構ロールモデル的には育休と言ったほうがいいという戦略を持っています。

 いずれにせよ、経営者から何も2カ月連絡が取れないとかとなると、さすがにしんどいというところもあって2時間だけにしました。結果、1日2時間だけ働いて終わったということで、今までの私は何だったのだという話なのですけれども、ただ、そういう意味ではすごく働き方を見直す機会にはなったわけなのです。

 本当に重要なことは2時間だけなのだということで、そういうのがあれば、すごく激務だったりとか、なかなか育休を取りづらいというところも取れていけるかと思いますので、確かに完全に子供、子育てに専念するのが理想なのですけれども、とはいえ、生まれたばかりのときには子供は割と1時間とか寝ていたりするわけなので、そこで寝ている間に、よし、みたいな感じでやるということができるといい。ですから、よりグラデーションのあるような育休という形でできると、もっと広がるのではないかと思うので、そこだけ思想対立があるかと思います。

 

○佐藤委員

 いいですか。これは研究会なので自由に発言しますと。

 私はただ、現状で言うと、実際は短時間勤務とかあるわけですね。ですから、それは現状でもやれるので、そういうのであれば短時間勤務を取った後に育休を取ればいいのではないかということです。

 もう一つは、育休中に何時間か働く。なぜあれができてしまったのか私もよくわかないのです。私は本来、子育てに専念するというルールで言えば、育休中なのに働けるのはおかしいではないかという気がしていて、短時間勤務があるわけだし、フレックスタイムでいいわけですね。ですから、私はそういう意味では、現状の育休を子育てに専念するというふうに定義しても、ほかの制度が今、出ているので、選択的措置義務に入っているので、私はそんなに困らないのではいなかと思います。

 育休中に仕事に行きますという方が、逆にいえば仕事をさせてもいいのかみたいなことになりかねないので、私はやはり、そこはやめたほうがいいのではないかと。フレキシブルにやるということ自体は大事です。ただ、現状がそうなっているのではないかということだけなのです。

 

○武石座長

 池添委員、どうぞ。

 

○池添委員

 佐藤委員の、まとまった育児に専念する期間を持たせるように何か仕掛けをつくるということには賛成なのですけれども、その場合に、今の育休法の規定だと、休業を取るということはあくまでも労働者側の権利で、それでは、企業はそれに対して何をしなければならないのかということはよく書かれていないと思うのです。それは企業それぞれ御事情があるから、自分たちで考えてくださいということなのかもしれないのですけれども、先ほど駒崎委員から、激務だったりとか、いろいろ仕事から離れられない方もいらっしゃるという言及があったと思うのですけれども、ある程度まとまった期間を取らなければいけないというと、職場の中での事前の仕事の調整というのが重要になってくるのではないかと思うのです。

 労働契約法に、仕事と家庭生活の調和に配慮するという規定はあるのですけれども、どうも育介休法の中にはそういう規定はないようなので、労働者に休む権利を与えるということプラス、企業の方はまとまった期間休ませてあげるということにするのであったら、それを労働者が申し出てきたのだったら、ちゃんと事前の調整をするとか、職場環境を整えるとか、業務調整をするとか、さまざまな配慮をするように努めてくださいという、効力規定ではなくて訓示規定的な意味でもいいですけれども、法律の中で何か旗を立てるなりして、労働者が長期にまとまった休業を取れるようにするための企業側の意識を醸成してあげる、意識を高めてあげるというような仕掛けも、併せてあってもいいのかと思いました。

 以上です。

 

○武石座長

 池田委員、どうぞ。

 

○池田委員

 今の駒崎委員と佐藤委員のお話ですけれども、かなり働き方の柔軟化ということで、例えば年休を半日単位で取るとか、いろいろな方法で育児期に時間を割く方法はいっぱいあって、短時間勤務という方法もありますし、私の場合は、私事で言うと裁量労働制が適用されていますので、まさに1日2時間ぐらい、しかも職住近接だったので、研究所に行って、その間は用務を済ませて、また育児をするということもできます。

 ただ、その場合ちょっと問題になるかと思うのが、女性の場合は妊娠、出産、育児というライフイベント自体が均等法で保護の対象になっているのですけれども、男性は配偶者が妊娠、出産した場合に、例えば年休をとりますとしたときに保護の対象になるのかという問題があって、当然、年休取得自体の不利益取扱いというのは、年休自体としては保護の対象になりますけれども、要するに、子育てしていた人も、海外旅行に行っていた人も、年休を取っているという意味での保護の度合いは一緒ですね。

 そういう意味でいうと、いろいろな方法で自由に子育てにかかわることをやってはいるけれども、労使で何かトラブルが起きたときに、男性は極めて危ういという側面がある。倫理的にだめですということは当然言えるのですけれども、法的な保護はされていないので、例えばそういうところがきちんと確保された上であれば、駒崎委員がおっしゃるようなことというのは、要するに、ベースとなる保護の部分でいろいろなやり方で自由にやってくださいと。もともと職場で適用されているフレックスタイムとか、裁量労働制を使ってもいいですし、在宅勤務が認められていればそれをやればいいしということになる。その上で、やはり特別な事情というか、男性がはっきりと全面的に子育てに専念しなければいけない部分について、どういう制度設計をするのかというふうにしたほうがいい。

 というのは、やはり年休を取った方がどうしたって便利な部分があるのは、もう否定しようがないので、そういうものはそういうものとして認めつつ、やはり特別な制度は特別な制度として考える。そういう意味でいうと、佐藤委員のように1カ月単位で取る。そのときに、多分短時間勤務を取らないのは給付等の関係があって、これは池添委員が多分お詳しいと思います。ヨーロッパは部分休業をしていたりしますね。ですから、給付つきの部分休業みたいなことを、先ほど駒崎委員がおっしゃったようなところに、例えば1カ月単位で取る場合に、部分休業という形での給付が出るようにするとか、それはまたやりようがあると思うのです。ただ、今みたいに何となくかかわっていますということを公的に保障するようなことをすると、後でもう一段階、また別の推進策を何年か後に考えなければいけないことにもなるので、ある程度まとまった期間の育児ということを想定した政策を、この研究会では深めていったほうがいいのかと思います。

 少ない方は少ないほうでまた、そこは分けたほうがいいと思います。混ぜないほうがいいかと思います。

 フランスとかは部分休業ですね。

 

○池添委員

 選択的にありますね。丸々1日なり、まとまった期間を休むということもいいですし、パート就業という形で部分的に働きつつ、給付も相応に受け取ることができるという、かなり細かい選択的な制度だと記憶していますけれども、そういうのはありますので、それもフレキシブルな両立の支援策にはなり得ると思うので、よろしいかとは思います。

 

○武石座長

 いろいろとありがとうございます。

 宮川局長、どうぞ。

 

○宮川局長

 いろいろと大変興味深い話をありがとうございました。

 佐藤委員のお話は大変そういう意味で、制度論として一つの提案だとは思うのですけれども、一方で、先ほどいろいろお話がありましたように、育児休業制度というのが時期の指定というか、内容のものも全て労働者に任されていて、しかもこれは年休と違って時季変更権もないような、決めてしまえばそれで事業主は一切拒否できない、かなり厳しい形成権として設定されているのです。

 私のうろ覚えで、もしかして間違っていたら大変恐縮なのですけれども、これは最初に育児休業制度をつくったときに、どういう権利にするのかというのが、恐らく少なくとも行政の内部的にはいろいろな議論があったのだと記憶しております。

 このような強力な形成権にすべきなのかどうか。そういう制度をつくることの義務化だけをして、その制度の内容についてはある程度フレキシブルにするという考え方もあったのではないかと思うのですけれども、結局最終的には形成権になったわけです。

 そういう形成権ということで、きつい制度にしたわけですので、ある意味、逆にいえば、そこから先はもう労働者の方に今、現実に既得権として与えられているものについて、例えば1カ月のものにするというのは、逆にいえば、現状から言うと既得権を剥奪することになってしまうという法的な話があるということです。

 一方で、配偶者出産休暇を福利厚生としてやること自身、それは事業主が自由に労使の関係でつくればいいのですけれども、一方、育児休業というのは先ほど言ったように、あくまでも育児のための休業として事業主が甘受しなければならない、それを受け入れなければならない。義務化されている理由は、まさに育児のためのもの。

 それでは、配偶者出産休暇というのは一体何のためのものなのか。それは事業主が甘受しなければならない義務として構成できるのかというところについては、先ほど池田委員からもありましたように、年次有給休暇も権利として最高20日間ということで、これは労働基準法で罰則つきで確保されているわけですけれども、一方で配偶者出産休暇という、それをなぜ事業主は年休を上回ってそれをやらなければならないのか。もちろん、その例として、例えば看護休暇というのがあるではないかという議論はあるにしても、そこは恐らくノーワーク・ノーペイですねという話になるわけですね。

 ですから、給付もないまま、それをつくった意味があるのかとか、配偶者出産有給休暇をつくるといったときに、なぜ事業主が有給にすることまで義務づけなければならないか。さまざまな論点はあるかと思いますが、ただ、一方で、ここの議論としては御自由に御議論をいただきたいと思いますので、そこはそれとしてお考えいただけばと思います。

 それから、もう一つ。何でこういう制度になっているのかと考えたときに、男性の育児休業などは恐らく前提としていないと思います。女性が育児で辞めなくてはいけないことについてどうするのだという想定でやったものと理解しています。ですから、逆にいえば、妊娠されて、当時ですから出産後8週間までしか休めない。それ以後はもう辞めなくてはいけないということをカバーするということだと、当然自動的に、つくったときには恐らく、そこから女性が休みをするのだという発想しかなくて、現在問題になっているような男性の育児参加をどうやって強力に進めていくかという発想は、当時は全くなかったということはある程度考えた上で、今、どうするのだという話をぜひお願いしたいと思っております。

 以上です。

 

○佐藤委員

 多分そうだと思ったのです。ですから、最初は労使協定で専業主婦、子育てに専念するときには多くは労使協定で実際は外しているわけです。ですから、多分、社会的にもそれでいいという考え方だったのだろうと思います。

 あと、もう一つ。現状で言えば短期で、日単位で取れるのを月単位でしか取れないという変更は不利益変更になるのかという話なので、やはり使い勝手が悪くなるところがある。ですから、男性の場合は現状でいうと、常に2回取れるわけです。ですから、1カ月単位にしても2回は取れるので、それが不利益かどうか議論の余地があるかと。

 あと、もう一つは、そこが難しいと、くるみんの認定のほうだけは1カ月以上というのはあり得るかもしれない。ここは少なくともやれるのではないか。駒崎委員がインセンティブと言っていたところで、くるみんの認定のほうはもう1カ月以上ですという言い方はやれるのではないかという気がします。

 

○武石座長

 ありがとうございます。

 池田委員、どうぞ。

 

○池田委員

 局長のお話も本当にごもっともだと思っていて、ですから、要するに、男性不在でも両立できるような建て付けをずっと制度として構築してきたところで、このペーパーの3ページにもありますけれども、女性だけで取り切れてしまうところに男性を割り込ませることになると、当然割り込む隙間をつくるということは不利益変更になるので、そうすると、もう先に進みようがないという議論になってしまうのです。

 そうすると、何とかして隙間をつくるということが今度、強制力が発動して、無理無理取るように仕向けるか、男性がそこに割り込むようにインセンティブをつけるか何かしなければいけないということになる、そのときに前回の議論の中で、佐藤委員からトータルで取れる期間を1年にした上で、少し長期的に育児参加ということを考えたらどうか、育休のあり方を考えたらどうかというお話があったりとか、あるいは小1の壁みたいな話があったと思うのです。なので、労働者にとって不利益にならない形で隙間をつくるという意味でいうと、例えば本人が取れる期間は1年だけれども、この1年は現行の法律が規定するところで全部取り切ってもいいし、そうでなければ、例えば子供が小学校1年生になった後の1年間の間にもう一回取れるというふうにして、分けて取れるようにすることで、女性としては早く復職したほうが、小学校1年生のときのために取っておける。早く復職する場合は男性が取るみたいな感じで、新しい権利を付与して、その権利を行使するためには、総量としての休業期間は不利益にならないのではないかと思うのです。

 

○駒崎委員

 すごく賛成です。

 育休全年齢化。つまり、育休は生まれた後に取るというふうにされたのですけれども、多分再定義が必要で、まさに私も今、小1の壁で、学童が早く終わるみたいなことで結構困っていて、今、ようやく入れたのですけれども、小3で出ていけと言われているから、どうするのみたいな感じになる。

 それは時短とかで何とかしようみたいな話もあるのですけれども、何とかできないときもあったりしますね。それとか、うちの社員でお子さんが骨のがんになってしまって、長い間休まなければいけない。ちょうどいい休みがなくて、看護休暇だと短いし、育休を組み合わせてもということがあるので、わからないですけれども、子供に関する節目みたいなもので、どうしても環境変化に適応しづらいみたいなときはあるように思うのです。

 ですから、そこにためていた1年の育休を小分けで使えるみたいにすることで、より寄り添える制度になっていくのではないかと思うので、今、育休は生まれてから1年とかというのを、もうanytime育休化。これはキャッチーでよくないですか。そうなるのではないかと思うので、そうすれば労働者としては、新たな権利が付与されて、総量は変わらないですけれども、すごく使い勝手がよくなるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

 

○池添委員

 池田委員や駒崎委員がおっしゃったように、anytime育休化。それが世に広まるかどうかは別にして、そういうアイデアもあり得ると思います。今日の研究会に来る前、何か具体的な施策のアイデアはないのかと考えているときに、前の研究会の議論でも出たのですけれども、もうちょっと子の年齢を延ばしてあげてもいいのではないかと。途中で一回取って、総量、総期間はあるにしても、ここで2カ月取ります。それで、大きくなったらまた、子の養育の、子育てというより、子育てにかかわるための休みをまた3カ月取りますとかという形で、中断も認めていいのではないかというのはあります。そうすると、多分現状のたてつけの形成権と反りが合わないということもないのではないでしょうか。ただ、休業の価値観というか、意味合いが大分広がってくるので、そこはやはり法改正をせざるを得ないのか、それを進めるとすればですね。そういうのはありますが、もうちょっと現状のたてつけにさわりがないように間口を広げてあげる形がフレキシビリティーを高めていくのかどうかと。

 ただ、そこで問題なのは、 企業側にとっては、労働者が断続的に取ることで、職場の業務のやりくりとか、お金の出し入れとか、時間のカウント等が大変で人事が疲弊してしまう。特に大企業さんだとパイがふえるわけで、そういう人がわっと来ると人事が疲弊してしまうから、企業実務との反りは合うのかというところが心配です。現実的な施策を進めていくという上では、そこが心配だと思いますけれども、私も幅を広げて、中断も認めてという形で考えていったらいいかと思っています。

 

武石座長

 すみません。座間委員がいらっしゃらない間に、かなりラディカルな議論になっておりますけれどもいかがでしょうか。

 

○座間委員

 遅れまして大変失礼いたしました。

 今の御意見は断片的にしかお聞きしていないのですが、1年とあるものを、ある程度の猶予の中で幾つか分割をして使えるようなものは使い勝手がいいのではないかという議論がされたと受けとめました。

 今、池添委員のほうからお話があったとおりで、労働者にとっては非常にいい権利だと、担当者としては思っておりますが、やはり企業におきましては、マネジメントというより利用状況の管理が非常に大変だと思っています。

 その社員がいつからいつまでの期間、利用の権利を所有するのか。そして、それをいつちゃんと利用したのか。そこをちゃんと把握しなければいけないわけですが、一職場ではなく異動もあるので、どこでどう管理データを持つかは、非常に現場といいましょうか、企業での大きい負担になります。

 。

 

○池添委員

 しかし、もともと企業は賃金台帳とか、労基法上の管理実務はもう既にノウハウはお持ちなわけで、それにどうオンさせるかどうかの話かと思ったのですけれども。

 

○宮川局長

 補足しますと、恐らく企業にとってみれば、今は生まれてから最大1年、1歳までで、さらに保育所に入れない場合等に6カ月というのがあり得るというところまでは想定して、その範囲内で取られる可能性があるのですというのが一応制度のたてつけになっているわけですけれども、例えば先ほどの池田委員のような御提案があるときに、例えば何歳までにするかは別ですけれども、X歳までの子供を持っている人たちが、ある時点でいつでも、何日から何日まで育児休業を取りますと形成権を発動されたら、それでもう企業としては休ませざるを得ないという世界を雇用管理できるかと言われたら、それはもうはっきり言って無理ということではないかと思います。

 手続上、2回目のものは1カ月前からということになるのですけれども、それを企業に求めた途端に、恐らく企業活動は相当困難を来すだろうというのが、恐らく座間委員がこの議論を全部聞いていたら言うであろう意見ではないかと思います。

 

○駒崎委員

 経営者ですけれども、別に管理できると思います。

 

○池添委員

 やはりできるところとできないところがあるのだと思うのですけれども、例えば、年休も形成権の権利ではないですか。

 

○宮川局長

 時季変更権がありますので変更ができるのです。

 

○池添委員

 変更はできます。しかし、自分が権利を持っているからといって、ばんばん年休を取る労働者ばかりかといったら、そのようなことはなくて、積み残し、繰り越しも含めると実質3割程度の年休取得率なわけですね。

 

○宮川局長

 そこは政府としては、年休取得を推し進めていくという立場であるというところはさておいても、現実論としてまさにおっしゃるとおりかもしれません。ただ、それは権利ですから、権利を止めようがない。今までの労働者の方々は、権利の行使をある意味常識的にやっていたかもしれませんが、今後の労働者の方々がそういう方々ばかりだとは限らないということは理解しておいた方がいいと思います。

 特に若い人にとってみれば、権利を行使することは当然だと思う方はどんどん増えてくるのではないかと思います。ですから、そこはやはりある程度事業主に、まさに形成権として作ってしまった、この日にここからここまで休みますと言ったら、それは事業主としては甘受しなければならない。その体制をつくるのは事業主の責任だという仕組みになっているものについて、その範囲をどこまで、どのような形でやっているのか。

 私から言うのもなんですけれども、これはあくまでも育児休業という形で、育児という場面だからこそ、事業主としてはいろいろな意味で、そこのところは義務として考えているわけですが、例えば6歳の子供で小学校に行っているけれども、この期間に1年間育児休業を取りたいと言って、それを認めるべきなのかどうかというのは、小学校に行っている間にあなたは何をやっているのだという話にもなるわけですね。

 

○駒崎委員

 しかし、今の話でいうと、取れる総量は変わらないので。同じ1年です。

 

○宮川局長

 そうではなくて、その間は別に育児をやっているわけではないだろうという話になるということです。

 

○駒崎委員

 違います。今の話で言うと、例えば子供を産んだときに6カ月の育休を取っていたら、残りは6カ月とかになるわけではないですか。ですから。

 

○宮川局長

 いや、ですから、それを例えば6歳のときとか10歳のときに取るというところは、恐らく育児休業という概念を超えた、まさに育児ではなくて養育のための休暇、休業という性格を変えなければならない。つまり、これは育児という場面でどうしても全面的に時間を子育てに使わなければならない。恐らくそういう意味だと思っています。少なくとも、個人的に私はそういうふうに理解しています。

 そういう形で世の中の事業主の方々に説得していると思います。子供に全面的に時間を使わなければならない。だから休ませるのです。そうしないと継続できません。まさにこれは継続のためのものであって、これは権利ですから、いわゆる本人のための福利厚生でも何でもないわけです。

 

○駒崎委員

 それは別に生まれた瞬間に限らないのではないですか。

 

○宮川局長

 ですから、逆にいえば、育児休業というのは現在、一応法律上は1歳までで、最長2歳までは可能な形にはなっていますが、それから、育児休業またはそれに準ずる措置というのを就学までに作ってくださいという形まではやっていますが、そこまでのところというのが、恐らく今でいう育児という、あるいはそれに準ずる状況というところが今の法律の含意であって、恐らく小学校も行ってしまった後は、一応今の育児休業法の建て付けからすれば、そこは別の世界というふうになっている。現状はそうなっているというふうに御理解いただきたいと思います。

 

○池田委員

 私がその発言をしたのは、新しい権利を付与する仕方ではなくて、要するに現状2歳まで全部女性が育休を取って、3歳まで時短をしてといった形で、男性なしでも支援が足りてしまっている状態で、無理やり男性が取る場面を一生懸命構築するにはどうしたら良いかという趣旨です。前に中里先生がいらしたときにはっきりとおっしゃっていましたけれども、ヨーロッパの場合は、妻だけの両立支援で完結しない部分、空白期間があるから、そこに男性が育休を取らなければいけない場面が発生するようになっているのです。ですから、給付も日本みたいに最後まで取り切ってもいいようになっていないというところが、取るインセンティブになっているので、現状の建て付けのままだと、何をどうしても別に、女性だけで足りていますと言われると、もうどうにもならないそうすると労働者にとって不利益にならない形で、男性が2歳までの間に、現行法の中に取る隙間をどうつくるかという話を、一つのアイデアとして新規の権利を付与するときには、もとある権利の一部を放棄してそちらに使うというアイデアがありますという話をしました。なので、別に小1の壁に対応することが目的ではなくて、2歳まで男性なしでやっていけてしまうという現状をどう考えますかという問題意識です。

 それでいうと現状、夫婦の所得が同じであれば、半分ずつ取ったほうが給付の面ではいいので、そういう意味で、例えば同じ会社で共働きの場合だと、妻は6カ月で復職して、残りは同僚の夫に取らせるように個別に企業にキャンペーンを張るというのも一つの方法だと思いますし、そこのところがない限りは、何か強烈なインセンティブをつけるとか、ある種の強引なやり方をしないとなかなか取れない。男性の育休が急に延びるということはないのではないかと思います。

 ですから、佐藤委員の、くるみんの基準を変えるというのも多分その一つだと思います。

 

○駒崎委員

 先ほどの局長の御意見だと、それでは、専業主婦世帯は男性の育休が要らないのではないかという話になりますね。誰かが専門で見ている期間というのは必要ですねという話で、それが生まれたばかりだからという話になるので、それを言っていると、男性の育児参加がないねという話で、そうだったら実際に、本当に子供に寄り添わなければいけない時期というのは、子供によってあるいは家庭によってかなり変わるはずなのです。特に子供に障害があったりとか病気だったりすると結構違うのです。一例を挙げると、例えば私たちが預かっている医療的ケア児は、小学校に上がるときにお母さん、ついてきてくださいと言って、3カ月間ぐらい教室でべた張りするのです。医療的ケアがあるから待って、時々医療的ケアをする。6時間とか教室の片隅に親御さんがいるのです。

 それはそれで問題で、看護師を配置してくださいという話なのですけれども、それはそれでやってはいるのですが、例えばその3カ月間が、休める企業があるかというと、ないのです。ないからそこで中断して、結局、仕事をやめざるを得ないという状況になってしまうわけです。

 彼ら、彼女らにとっては、その時期に育休というのが取れたら、そこはクリアできるはずなのです。そういうように、育休を取らなければいけない時期というのは恐らくもっと本当は多様なのだけれども、ここの育休というのは、生まれたばかりで一緒にいたいねという制度になってしまっているから、そこの多様性に対応できていないという話なのではなかろうかと思うのです。

 

○宮川局長

 済みません。別に議論を封鎖するつもりは全くありません。

 ただ、今の育児休業制度の両立支援制度というものは、少なくとも所定労働時間の短縮措置にしても、所定外労働の制限にしても、これは3歳までの措置にしているということと、育児休業が現実には最大でも2歳までの措置にしているということは、やはりそこの期間での育児というものが、そのままだと雇用が継続できない可能性がある。そういうところについて事業主に、そこは休業を権利として認めるという仕組みをつくっているという現状の説明と、ただ、それは現状として見れば、育児というところについていろいろなイメージをお持ちになる方は多いにしても、一応ミニマムのものとしての共通認識としては、やはり生まれてから1歳から3歳までの育児というのは、雇用の継続の面から見たときには大変なのですと、恐らく合意があるのではなかろうかと思っているところです。

 ただ、いろいろな御事情があるというところについての、就学以降のことについてのさまざまな対応をするという現状をどうするかという問題については、今、議論している育児休業制度なり、男性の育児参加という問題からすると、やや外れたというか離れた論点になるのかという感じはいたしますが、いずれにしても、議論は議論としてぜひ幅広くやっていただきたいと思います。

 

○駒崎委員

 国家戦略特区で、育休特区で持っていきましょう。

 

○武石座長

 いろいろな御意見が出ているのですが、育児休業法という法律の中で、これをどうするかということが、2番目の論点となります。分割というのは前から皆さん出ているのですけれども、例えば何歳まで、何回にするのかというあたりが最終的には重要になっていくのだろうと思うのですけ。そもそも育児休業をどう考えるか、子育て休暇にするのか、親休暇にするのか、いろいろなアイデアはあると思うのですが、その際に考えなくてはいけない課題というのは局長から御提起いただいたのかと思います。

 今日は休業の議論と併せて、4ページのマル3の休業以外の両立支援制度についてもご意見をお願いいたします。御意見の「—」が入っていないところが幾つかあるのですが、多様な与え方に対して両立支援制度ということでいうと、短時間勤務については6時間を導入すればいいということになっているのですが、先ほどの話でいうと、2時間でもいいのではないかとか、4時間もあるではないかという議論がありました。このあたりは少し課題が出てきたのかという気もするのですが、多様な働き方のところで、もし追加で御意見があれば。

 いかがでしょうか。

 

○駒崎委員

 佐藤委員がおっしゃった、女性社員の勤務先が自社の女性の育児中に配偶者の勤務先に対して配慮を依頼する件は、すごくいいと思うので、ぜひアウトプットとして具体化できたらいいと思っています。

 ネーミングを考えてきたのですけれども、「男性育児参画配慮依頼書」です。これは愛称で「イクメン依頼書」です。例えばある企業が、済みません、これ、と言ってイクメン依頼書を送ってというところで、それはもちろん拘束力はないので、ある種のキャンペーンの一環ですけれども、頼みますと言って、そうですね、お受けいたしましたという儀式を行うことで、そうですね、男性側もちゃんとしなければというふうになるのではなかろうかと思って、それを厚労省がキャンペーンしていますということであるならば、企業もそれをやっていこうというふうになかろうかと思いました。

 

 

○座間委員

 遅れて来て、なかなか議論に入れなくて申しわけありません。

 お話は大分戻ってしまいます。宮川局長が言ってくださったとおりで、育児休職期間を、育児というのを幅広にとって、年を広げてとれたらどうかという話ですけれども、企業としては趣旨が、産休、育休みたいなものと、後半で使うものというのは全く意味が違うものなので、別々の意味づけでそういう何かの配慮をしろというお話が来れば、そちらは対応できなくはないものだと思っています。

 ただ、例えば、子供が生まれたときに、2年使えるものを1年間でやめた後の1年分を、例えば5年後、6年後に取るという形になりますと、労働力という意味では同じですが、その方が5年間、6年間の間に、いわゆる業務の能力が上がっているわけで、立場が変わってきますから、立場が変わってきたときにその休暇をいきなり権利という形になりまと、いろいろな意味で、本人にとっても適切かどうかとか、いろいろな考え方が出てきますので、話は少し変えたほうがいいと、企業としてはそのほうがありがたいですし、あえて申し上げておきます。

 今のキャンペーンのお話ですけども、それは社会の動きを変えるという形ですので、今のいろいろな議論も、いわゆる固定的な性別役割意識がどうしても日本の中では払拭できないという現状であって、法律や何かの縛りでできるのか、何か別のところで動かすのか、両方ともできればそれが一番いい話になりますので、その環境づくりという意味では、私は個人的には駒崎委員の御意見には賛成いたします。そういうのが来たらできるだけ、企業の中でも応援しようという話をしていければと思います。

 以上です。

 

○池田委員

 この会の最初のときに、これは池添委員からお話があったと思うのですけれども、全ての権利を、強い形成権を前提として考えることが今後の育児介護休業法のあり方を考えるときに適切かというのは多分あると思うのです。つまり、ミニマムのところはもう大分カバーできていて、今度、上乗せであったりとか、もう少しこういうのがあったらいいねという部分については、事業主が一定の条件のもとで拒否できる権利であるとか、そういったものを柔軟に考えつつ、できるところはこういうことをやりましょうという話の仕方にしないと、多分、局長がおっしゃっている意味のミニマムラインということでいうと、もうすることがないという話になってしまうのだと思うのです。

 ですから、そこは例えば男性の育児参加にしても、まさにそうだと思うのです。いろいろな家庭の多様な事情の中でやはり発生するニーズですので、例えば、言われたから必ず取らなければいけないという形成権としてすることが適切なのかどうかということも含めて、そこはもう法律の理論的な問題として、外国がどうなっているのかということも含めて、少し柔軟に考えてもいいのかと思います。

 実際、やはり時短などは小学校卒業まで制度として導入する企業が現にあるわけで、それは何なのですかとなったときに、やはりみんながみんなそれを欲しているわけではないけれども、あったら便利だという、あるいは、少数だけれども必要だという人に対応するという側面はあると思うので、それを法律として考えるときには、やはり強い義務性を持つというのはそぐわないというのは、局長のおっしゃるとおりと思いますのので、事業主が拒否できるとか、ヨーロッパのフレキシブルワーキングなどは結構そうですね。イギリスなどは事業主が拒否できる範囲をある程度担保した上で、いろいろなメニューを提供するという建て付けになっていますから。

 

駒崎委員

 ここからここまでは形成権で義務なのだけども、ここからここは努力義務だみたいな建て付けはできないのですかね。

 

○池田委員

 努力義務というか。

 

○駒崎委員

 請求できるけれども、事業主が拒否する権利も同時にある。2層構えだったらいいかと思ったのですけれども。

 

○池添委員

 ですから、乳幼児のこの養育はマックスで最長2年までで、それ以降の男性の子育て参画の養育という幅広の意味での育児参加に関しては、緩やかな制権利制で下ろしてあげる形ですね。その際に多分、池田委員が事業主をを拒否できるという建て付けもあり得ると言ったけれども、やはり職場とか上司と自分の仕事の兼ね合いとか、相互調整は非常に重要になってくるのではないかと思うので、それは最初の研究会で言いましたけれども、例えばイギリスのフレキシブルワーキングのような制度を加えてあげて、自分の子育てとか、この養育の状況を職場にもわかってもらう。職場の方も、上司も含めて、自分たちの従業員とか部下の状況をわかってあげて、相互にコミュニケーションをとれる。

 それをどういうふうに法律構成するとか、制権利制を認める、認めないというのは議論の余地があると思うのですけれども、毛色の違うような性質の規定を加えてあげるということで、現実的にはカバーできるかと思います。

 

武石座長

 ありがとうございます。

 そうすると、3.と4.のほうが資料2になるのですけれども、こちらの支援策、今日も幾つか出ていますが、こちらの方を中心に御議論をいただいて、もし1.と2.でまだ言い足りないところまでは戻っていただいていいのですけれども、いかがでしょうか。

 

○池田委員

 法律ということではなくて、先ほどおっしゃった育児参加依頼書もそうですし、前回私が言った父親初任研修みたいなのもそうなのですけれども、男性の子育て役割というものををを少し社会的に共通イメージを持つような政策的な仕掛けというのは、本当はあったほうがいいと思うのです。

 そのときに、前も言いましたけれども、父親と母親が同等の役割を担う。つまり、ミルクをあげて、おしめをかえて、抱っこして寝かしつけてという、同等の役割を担うという対照的な側面と、父親と母親が違うという前提に立ったとしても、父親のやるべき役割ということが両方あって、そこの中身の話がなく、期間とかあれの話をしても、座間委員がおっしゃるように、企業としては何でそれに対応しなければいけないのかという話です。局長がおっしゃるように、それを法律で義務づけるということとかについては、やはり説得力を欠くとう思うので、そうすると、例えば産後の最初の1カ月は、要するに、妻が里帰り出産とか、祖父母の手を借りられないという前提に立てば、夫がどうしても育児しなければいけないですと。そこについては佐藤委員がおっしゃるように、それを5日取ったからどうとかという話ではないですから、やはり月単位で取れるようにしましょうとか、そういう議論の積み重ねをしていくことが大事だと思います。

 この研究会でしていくというのも、厚労省からそういうことを発信していくということが多分大事なのだと思うです。

 その中に、駒崎委員がおっしゃるような、いろいろな具体的な場面とかがあるわけで、そこに法制度をフィットさせていくというふうにしないと、別に取りたい人がとればという話で先に進まないと思うのでで、そういう意味でいうと、最初の産後の1カ月に夫が育児をすることを念頭に置いた政策はあると思います。

 あとはもう個一個、復職のときに、妻に早く復職してほしいから、夫の勤務先に依頼書を出してもいいし、夫婦ともに研修するということもしていいと思いますし、そういう部分はたくさんやることがあるのではないかと思います。

 

武石座長

 駒崎委員、どうぞ。

 

○駒崎委員

 今、池田委員が言ったことと通底する部分もあろうかと思いますけれども、男女ともに子育てにかかわるというのがデフォルトなのだということを徹底するために、母親学級の廃止を訴えたいと思っています。つまり、全部両親学級という名前にするのです。普通は全部両親が来る。来られなかったら最悪母親だけでいいけれども、基本は両親が来るという前提にする。

 両親学級の実施率は今、平成27年度で、実施自治体が1,187で、未実施自治体が550ということなので、3分の2程度しか実施していない。100%ではないわけです。

 なので、要は子育ては両親でするという前提にもかかわらず、最初の学級が母親に偏っている。しかも、両親学級すらやっていないところが3分の1もあるということなので、これは全くもっていけない。なので、母親学級廃止。全部両親学級にするということを打ち出す。子育ては両親でする。

 以上。そういう感じで行くのはいかがでしょうか。

 

○土岐職業生活両立課課長補佐

 ありがとうございます。

 済みません。別に縦割りの話をする気はないのですけれども、両親学級、母子保健課で担当していまして、データはおっしゃるとおりですね。3分の1程度がやっていないと聞いています。

 やっている方の3分の2の1,1001,200余りの自治体のやり方ですけれども、そこはきっちり調査まではできていないらしいのですけども、名前は母親学級とかありますけれども、母親しか対象にしていないようなところはほとんどないのではないかということは、現実ではわかりませんけれども、そういうふうに担当者は言っていました。

 

○駒崎委員

 言っても、来てもいいけれどもみたいなことなので、基本的にほぼ母親みたいな感じではないですか。

 あと、ネーミングも多分母親学級だったと思います。少なくともうちの自治体はそうでした。通常は母親が来て、時々両親のときもある程度でしょう。両親学級であればパパも来てねというメッセージにもなりますし、もう全部母親学級という言葉は使うなみたいな感じで行ければいい。

 

○池添委員

 資料2の3.と4.の育介休法上の問題と、育介休法によらないで何かという仕掛けがあるのですけれども、いずれにしても、皆さんのお話を聞いていると、やはり男性もこの養育あるいは育児、それ自体に参加する価値観は社会的に非常に重要であるのだという強いメッセージを出していかないかないと。そのための仕掛けということでおっしゃっているのだと思うのですけれども、それを例えば、行政の方が嫌がるかもしれないですけれども、法律の目的規定で書いてしまうとか、あるいは理念規定で書いてしまうとかというのも一つのやり方があるでしょうし、もうちょっと行政のほうから発信する、今後の何とかのあり方みたいな、それは審議会を通すか通さないかは手続的によくわかりませんけれども、皆さん、国として何かこういう方向を目指していこうという発信が、まずイグニッション(点火)として必要な気がするのです。

 今、この研究会では、先ほど局長が触れられたように、やはり現行の法律のたてつけの枠の中で、具体的に何ができるかというところです。それはとらわれないというふうにに御発言がありましたけれども、たてつけを気にしながら話をしていると、将来の課題の話になってしまって、現実化しそうにないような方向に行ってしまいがちな気もします。なので、現実的にできることとして、行政あるいは国としてあるべき社会の姿を皆さん目指しましょうというものを何かを出していいただく。そういうのがちょろちょろと、具体的な法制度あるいは総論的な何とか推進法という法令の中での具体的な取り組みをきっかけにして、ちょっとずつ、5年、10年かけて広げていくというやり方が現実的なような気がしています。

 世の中、均等法も昭和60年にできて、30年ぐらいかかって、小さく産んで大きく育てるという形で、いろいろ実務の中とか社会に浸透してきた経緯があるので、そういう方法を考えるということで、抽象的な話ですけれども、この研究会の報告書の中に盛り込んでいただいたらよいのかと思います。

 個別の仕掛けとしては、例えば駒崎委員が言うような話とか、池田委員が言うような話とかというのもアイデアの一つとしてあり得るのかと思います。

 

佐藤委員

 先ほど法改正だけではなくて、周辺のところで、先ほどくるみんの認定基準のお話をしていたのですけれども、あれはどの程度変えられるのかということで、例えば先ほどの男性の育休取得を1カ月ぐらいにするとか、基準を、例えば女性社員の復帰のときに、例えばカップルでセミナーをやったりすると、何か幾つか、男性の子育て世帯がカップルでの子育てで済むような取り組みをしたことを認定基準として認定するとか、つまり、それはどのぐらい変えられるのかということなのだけれども、今回、育介法だけではなく、もう少し周辺的に企業の行動を、法律ではなく変えるというツールを使うというのはあるのかというのが一つです。

 もう一つ、池田委員が言ったように、給付金のほうが、初めの6カ月だけは67%です。そういう意味では、両方働いていれば6カ月は得という話があります。こういうことをきちんと周知しているのか。今、社会保険料免除だとかは事実上もうちょっと高いですね。

 ですから、多少夫のほうが所得が高くても、半年を夫が取る場合と、女性だけがずっと取って、6ヶ月以降は50%となる場合と比較するとどうなのかな。そういう経済的な面ももうちょっとアピールするとか、現状、制度をかなり動かしてきたのだけれども、利用者が余りよく知らないということもあるかという気もします。

 

○源河職業生活両立課長

 いろいろとご意見を頂戴しましてありがとうございます。

 佐藤委員から今、おっしゃっていただいた育児休業給付の67%の話はいろいろなところで宣伝、周知はしているのですけれども、もしかしたらまだまだ足りないという御指摘かもしれません。

 それから、池添委員から意見をいただいた、男性も育児をする強烈なメッセージということですが、男女共同参画社会基本法もできまして、内閣府男女共同参画局等政府としてもいろいろ取り組んでいますけれども、それももしかしたらまだ足りないという御指摘だったのかもしれません。

 くるみんにつきましては、実は昨年度認定基準を見直したばかりで、今年の4月に新しい基準になっておりまして、それにあわせて企業で今、取り組んでいただいているところです。長期的な考えとして基準を変えるのは当然あると思うのですが、改正したばかりの新しい基準で、企業だけではなくて労側も一緒に取り組んでくださっているので、見直しに当たっては、長期的な視点が必要かと思います。

 

○土岐職業生活両立課課長補佐

 すみません。くるみんについて、物理的な制約はおっしゃったとおりですけれども、プラス、くるみんのもともとは、そういう機運醸成ですね。くるみん企業がどんどん増えているということで、子育てが世の中に広がっているのですということでスタートしている制度であって、当初は1人育休を取ればよかったし、最近の改正で、それはいろいろあって7%と、休暇を合わせて15%となりましたけれども、それをさらに1カ月以上とすると、なおさら機運醸成の性格が変わってくるわけです。ですから、そのあたりの議論、あと、次世代法がバックですけれども、それは時限ですので、そのあたりも含めて考えないといけない問題なのかと思います。

 

○武石座長

 いろいろな御意見があって、多分中長期的にやらなくてはいけないことと、4.みたいに、先ほど両親学級とか、すぐかどうかはわからないのですけれども、割と短期的にできるものがあるので、最終的に整理しなければいけないと思うのですが、せっかくこういうメンバーに集まっていただいているので、いろいろな御意見を出していただいた方がいいと思います。

 3.の2つ目の丸で、育休を希望していない男性、育休に限らず両立支援制度を別に使わなくてもいいという男性も結構いて、そういう男性に対する取得促進をどう考えるかというあたりはいかがでしょうか。

 

○池田委員

 その場合の、育休を取得希望しないというのは、年休でもいいという意味の希望しないなのか、育児参加自体に関心がないということなのか、それはどちらですか。

 

○武石座長

 両方あると思いますけれども、結構後者もあるのではないかと思うのです。育児自体は私の仕事ではありませんと、それは機運の醸成で変わっていくという部分もあると思うのですが、そのあたりをどう考えますか。

 

○池添委員

 嫌だと言う人を無理やり首根っこをつかんで取らせるという話にはならないですね。

 

佐藤委員

 基本的に、法律で強制は無理ですね。

 やはり、女性が働いているとすれば、一つは女性側の働きかけを女性自身に考えてもらう。自分のキャリアを実現する上では、あなた一人で子育てして平気なのですかということをもう少し言ってもらうような仕組みをどうするかというのはありますね。

 あと、もう一つは、妻が専業主婦です。本人は子育てしたいと言っていますと、これは多いわけです。ここをどうするかは結構大きくて、ですから、ただ、そういうカップルについても男性、専業主婦とも、先ほどの両親学級ではないけれども、やはり子育ては妻が専業主婦でも、カップルで子育ては大事だみたいなメッセージはどうですかね。

 よくあるように、専業主婦の女性の方が、例えば育児ノイローゼになる人が多いわけですね。妻は専業主婦だから、妻も子育てしたいと言っているから任せればいいのだと思っていたら、いつの間にか育児ノイローゼになっている。そういう情報を出した上で、だけれども、夫婦で話し合ってでも別々にやります、私は仕事、私は子育て。これまでは強制できないと思うのです。ただ、やはりもうちょっと情報を、両親学級の中で情報を出すということはやってもいいのかと思います。

 

武石座長

 駒崎委員、どうぞ。

 

○駒崎委員

 あとは、私はこの研究会で何となく、こうなったらいいみたいな話をする必要はないと思っていて、今、社会を変えるために何ができるかということをしないと、ぐだぐた時間だけが経っていくというふうになってしまいますので、少しでもやれることをやっていきたいという観点から言いたいのですけれども、これも職掌の範囲を外れて恐縮ですけれども、今「こんにちは赤ちゃん事業」というのがありまして、保健師さんが、赤ちゃんが生まれたときに1軒1軒回るのです。これは実はすごいことで、日本で唯一のポピュレーションアプローチ。つまり、全家庭に行くということを、しかもアウトリーチするということはほぼないのです。そこのチャンスというのをぜひ活かしていただきたいと思うのです。

 今は「こんにちは赤ちゃん事業」に関しては、赤ちゃんと母親に対してどうですかと言う。お母さんがいてくださいみたいな話なのですけれども、そこにはお父さんも当然いてくださいと言うのと、そこではお父さんに対して、お父さん、実は育児ノイローゼというのがありまして、年間何人のお母さんがこれで亡くなっているのです、ぜひこれを読んでくださいみたいな感じで、そこに紙を渡して、男性もわかりやすい漫画とかを読んで、ああ、そうなのだみたいなケアをする。対面で会える機会なので、そこのタイミングはぜひ活かしてもらいたいと思うので「こんにちは赤ちゃん事業」のバージョンアップをお願いしたいと思います。

 

佐藤委員

 それは賛成です。

 

武石座長

 池田委員、どうぞ。

 

○池田委員

 育児自体に関心がない人だと思うけれども、先ほど年休でもいいではないかということについては、繰り返しになりますけれども、それによってトラブルが起きたときに、保護の対象にならないですということですね。要するに、育休を取った場合には、育児休業を取得理由とする不利益取扱いの禁止の対象になりますけれども、年休を取った場合は、年休を取ったことによる不利益取扱いの禁止になりますから、年休は別に中身を問わないですから、草野球の大会も海外旅行も子育て参加も、休みを取ったということについての価値は一緒ですね。ですから、何か上司ともめたりしたときに、私は必要性があって取ったのだということはならないではないですか。そういう意味では、平時はどちらでもいいと思うのです。何か取られることがあったときのためでいうと、やはりちゃんと育児介護休業法に沿った制度を使ったほうがいいですというのは、労使のトラブル防止という観点からすると、それは実は介護のときに、やはり私は実は有期の人の雇い止め問題で、年休を取って介護に当たっていた人が、要するに働きが悪いからといって雇い止めになりそうだったところで、実は1日だけ介護休暇を取っていた。介護休暇を取ったということで雇い止めになるというと、そこは一段意味が変わってきますね。要するに、事情が介護だったということがここではっきりするので、そういうのを見ていると、やはり年休はすごく平時には使いやすいのですけれども、何かそういう労使のトラブルがあったりとか、端的に言えば首を切らなければいけないとか、賃金を下げなければいけないとか、そういう問題になったときには、育児だから、介護だから保護されて然るべきだという論法が通用しないという意味で言うと、やはり法律にのっとった制度を使ったほうがいいと思うのです。常に有事を想定してその政策を普及する必要もないですけれども、そういう側面があるということは理解してもらわないと危ないと思います。

 

○駒崎委員

 それはやはりハードルが高いから、戻りますけれども、育休は人事だけれども、有給は上司でいいという問題なので、多分よりカジュアルに取れるというところに関しては、年休は男性産休みたいなところで吸収して、おっしゃったように、育児が目的の休みなのだとさせていけば、今の問題は何とかなるのかと思いました。

 

○池田委員

 場合によっては、そうやって部分休業みたいなのがとりやすいのであれば、給付つきの部分休業みたいなことも、とにかく育児介護休業法の制度の中に吸収していく方向でものを考えたほうがいいのではないかとは思います。

 

○座間委員

 よろしいでしょうか。

 施策のところはそれぞれ御意見があって、そうだなと思うのですが、まず申し上げたいのは、いわゆる男性社員自身が、やりたい人はちゃんと手を挙げましょうと、忖度しないようにしましょうと、それはやはり強く出していくしかないわけで、そういった意味での国の動き、国の方針が出るということはすごく大きい意味があると思っています。

 今は周りでどういうのを整えましょうかという話をしていますが、男性に関してはまだ取りにくい部分があると思いますが、女性でも十分に整えた、ある意味整え過ぎたために、休むべきものだと思ってしまったけれども、企業としては、権利ではありますけれども、取らずに働いていただけたら、その人のキャリアとか収入とかいろいろな面でいいわけで、労働力が足りないわけですから働いてもらったほうがいいわけなのです。

 ですから、休ませる制度ではなくて、休みたい人はちゃんと手を挙げてくださいというところが大きな問題だと思っています。

 今まで皆さんがおっしゃったところを少しずつ、そちらに絡んでくると思うのですが、私としては育児休職を希望していない男性は、弊社のデータでは、過去にも申し上げましたけれども、3分の1ぐらい希望もなく取らない方がいました。ただ、そういう方を調べてみても、子供が生まれた1年間に2日以上連続した有給等を使っている人がほとんどなので、恐らくそういった休みを何らかの形で育児に使っているだろうと。ですから、強さの差はあるけれども、恐らく子育てに関心を持っている人は多いだろうと思っています。

 そうなると、いかに男性も男女ともに育児をすることがいいのだと、例えば専業主婦であっても、先ほどの産後うつですか。確かに亡くなっている方がかなりいらっしゃるということが、残念ながらまだ余り一般常識になっていないことがあるとか、あと、母親学級ですね。その名称ではなく看板をかえるということは非常に大きい意味があると思っています。

 あと、できますれば、国で何かこういう考え方であるというものが出せれば、本当は育介法の前文みたいなところが変われば、、一番大きいインパクトにはなるのではないかと思います。

 休ませる制度というか、休むべき人が休めるもの、手を挙げられるものということで議論が進むといいと思って申しました。

 以上です。

 

○武石座長

 ありがとうございます。

 宮川局長、どうぞ。

 

○宮川局長

 先ほど池田委員から年休と介護休業という話がありまして、年休も基準法では第136条で、一応賃金の減額、その他不利益取扱いをしないようにしなければならないという規定はあります。

 普通、不利益取扱いの規定というのは罰則がつかないものが最近増えていますが、いずれにしても、方針としては不利益取扱いをやめてください。ただ、恐らく池田委員がおっしゃったのは現実論として、企業の現場の中で、一般的に年休をとった人と、介護休業とか、理由がある休業をとった人では、やはり企業として現実の印象が違うのではないかと思います。現実論としてはそうなるということだと思います。

 

○池田委員

 印象が違うということですね。

 

○宮川局長

 恐らくそういう意味で、やはり育児休業とか介護休業とか、そういう育児、介護の理由がある人には仕組みをきちんと使ってもらったほうがいいという趣旨だということだと理解させていただきます。

 

武石座長

 そこは希望していないというのが、いろいろな状況の中で希望が潜在化していたりとかしているのを掘り起こしたりという、いろいろな仕掛けをすることによって希望が出てくるという部分があるのかというのが、皆さんの御意見かと思いました。

67%の給付金が、例えば夫婦の賃金格差がどのぐらいだととんとんになるのかというと、そのシミュレーションもできますね。

 

佐藤委員

 できるから、 ちょっとやってみてください。あと、社会保険料免除も含めて、実際どうなるのかシュミレーションしてみてください。

 

武石座長

 どのぐらい経済的に影響があるのか。それをちゃんと示せば、男性が取ったってそんなに賃金ダウンになっていない。33%減ると皆さん思ってしまっているのです。

 

○佐藤委員

 実際によくわからない。

 

武石座長

 こちらは保険料とか税金とかが含まれていることが理解されていないのではないでしょうか。

 

○佐藤委員

 シミュレーションのモデルをつくっていただく。平均的な賃金格差で、取るとどうみたいな。

 

○池添委員

 日本全国レベルの賃額格差で行ってしまうと結構差が出てしまうから、個別企業の中の正社員同士でこれぐらいですというふうに出した方がよいのではないかと。

 

○武石座長

 具体的な情報が出ていかないと、何となく67%だとわからないですね。

 

○駒崎委員

 それはすごくあって、イクメンプロジェクトでも本当は実質、保険とかを入れると8割ぐらいカバーされるということはほとんど知られていないという話で、私も実際、自分の社員が育休を取るときにと調べたときに、やはりシミュレーターとかがなかったです。全然違う領域なのですけれども、例えばふるさと納税だったら、自分がいくらふるさと納税したら、何か控除上限がこのぐらいだから損をしませんみたいなことが、ちゃんと総務省にそういうのがあるのです。例えば、何か給料と何とかと入れると、このぐらいカバーされますみたいなのが簡単にわかるものがあれば、何だ、結構意外に大丈夫ではないかみたいに安心できる。そういう情報のアクセスが、本当にラスト5センチのところで届いていないみたいな感じなので、そこを埋めてあげるような丁寧な情報提供をされるといいかと思います。

 

○座間委員

 それは効 きますね。

 

○池添委員

 今のそういうお話は、多分、行政とか国とか自治体の方から提供するようなお話だと思うのですけれども、先ほど座間委員がおっしゃっていた、掘り起こしていくというのは、企業が自主的に従業員の方に対して掘り起こしていくという意味も含まれた御発言だったのですか。

 

○座間委員

 はい。企業の中でもそうするべきだと思って、私の部ではやっておりますけれども、やはり社会的にいろいろな価値観の社員もおりますので、本当にそういうニーズがあるのかと、一部の意見ではないのかと、そのように思う社員もゼロではございません。そういう意味では、先ほど宮川局長から、いろいろやっておりますという御意見がありましたけれども、なかなか社員全員がそこまでの理解ができておりませんので、何かわかりやすい、強い社会的なメッセージもありながら施策がいろいろ打たれると、よりいいのではないかということです。

 

○池添委員

 なるほど。わかりました。

 育介休法の規定を見ると、事業主向けに規定があって、育休に関してどのような措置があって、どのような待遇ですということを周知することに努めなければいけないという規定があるのですけれども、これに関連して今、行政の方で、このような企業はこのようなことをやっていますという周知啓発事業をやっておられるのですか。

 

○源河職業生活両立課長

 ホームページとかパンフレットとか、本当にいろいろなものを駆使して企業の好事例は展開しております。

 

○池添委員

 多分カラー刷りでいろいろ作ってはおられるのではないかと思うのです。

 

○源河職業生活両立課長

 雑紙等、媒体は何歳の男性対象のターゲットの雑誌だったら、こういう記事とかいろいろ取り組んではいます。

 

○池添委員

 社会に対するメッセージ性があるようなものを、何か作った方がいいのではないかという話の流れになっているような気がしたので、今の取り組みを見直していくというのも一つあるかと思います。

 

○宮川局長

 恐らく池添委員がおっしゃるのは、企業が努力義務規定に基づいて、こういう取り組みをやってくださいとか、掘り起こしとは言いませんけれども、こういうふうに対象者にやってくださいという話までやっているかどうかというところなのではないかと思います。

 単純な育児休業のパンフレットとかそういうのはつくっているけれども、企業がまさに努力義務のものとして、こういうものをやってください、こういうふうにしてください、こういうやり方でいいですというところまでは恐らくやっていないのではないか。

 そういう意味での、ターゲットをとりましょうとか、とれますというのではなくて、とるための仕組みとしての企業の行動を促すような周知ということだと。

 

○池添委員

 こういう取り組みをある企業でやったら、こういう成果が出ましたと。こういうふうに育児休業などを取ったら、こんなにいいフィードバックがありましたみたいなメッセージ性があるような何かはやっているのでしょうか。

 

○座間委員

 私が返事をするのも変なのですけれども、企業の立場として、パンフレットはカラー版のものですとかいろいろ配付いただいておりまして、今のような企業の事例みたいなものが出ているとは思います。

 ただ、私が申し上げたのは、それを見るのはいわゆる人事担当者で、そういうものが必要だとわかっているわけなのです。

 一般の社員、ましてや上司ですとか、職場の周りの人がそれを理解してもらわなければいけないわけで、この厚労省のパンフレットのここに、こういう事例があったのでうちもやりますとか、やってくださいというのは、ちょっと説得力が余りない。

 今、日本がこれだけの状況で、いわゆる男女ともに育児をするということの意味がどういうことなのか、いろいろな意味での、もう少し何かアピールみたいなものがあるといいのではないかと思います。

 

○池添委員

 今、そういう事業主向け、人材担当者向け、労働者向けという、対象を分けたリーフレットとかパンフレットとかそういうのを作ったりしているのですか。

 

○源河職業生活両立課長

 雑誌等に記事を出すときには対象を考えて出しています。あとは企業の事例で言いますと、それが努力義務のどの部分に該当するかというのはともかく、法の上乗せ部分に係る好事例というのはいろいろ提供しています。

 駒崎委員に加わっていただいているイクメンプロジェクトなども、取り組んだおかげでこういう点がアップしましたという効果もあわせて載せておりまして、ただ、対象としている人に、もしかしたらちゃんと行き届いていないというのはあるかもしれませんが、担当としてはいろいろやっていると認識しています。

 

○池添委員

 何でわざわざ聞いているかというと、私自身がそういうのを知らないからだけかもしれないのですけれども、社会的にインパクトがあるものが出たら、やはり知っていると思うのです。知らないということはやはり、今現在のものでも中身はそれなりに充実しているのかもしれないですけれども、インパクトの面では欠ける部分があるのかもしれないと思って、そういうのも取り組みとしておやりになったら、もっと掘り起こしになるかもしれないと思います。

 

駒崎委員

 イクメンプロジェクトは、確かにイクメンという言葉を発明して2010年に立ち上げて、2013年には国民認知度が97%になったので、その意味では広がったのですが、その後、イクメンという言葉は広がった。それでは、男性の育休取得率は上がったかというと、ノーなのです。つまり、そこで何段階かあって、広がった、それでは、それをやってみようとなった。それでは、そこでといったときに、何というのですかね。男性育休につながっていないみたいな問題があるので、そういう意味で、やはり2の矢、3の矢がないといけないというのと、あとはイクメンという言葉が広がって、さらにムーブメントを広げようと言ってイクボスをやって、イクボスもそこそこ、イクメンほどではないけれども広がって、それでは、次はというふうに、ある程度継続的に仕掛けていくというのが必要なのです。

 なので、今回も何かキャッチーな、男性産休でもいい。こういうのをやったという、新しく動いている、世の中進んでいるのだというふうにしていかないと、これは社会運動論的な話ですけれども、やはりネタを打ち込むのは大事です。そこを意識して、政策の目玉を持ってきてほしいと思います。

 

○池添委員

 報告書の中には短期的、具体的な施策が、現実的なものが入ると同時に、やはり中長期的な課題というのも入ると思うので、それを今、おっしゃるような、例えば2の矢、3の矢という形で、裏でキャッチコピーも考えたりしながら仕込んでいったら、良いかもしれないですね。

 

○池田委員

 もう少し、例えばこういう制度が施行されていましたという周知は当然されていると思うのですけれども、それをどう使うのかということですね。

 夫婦で半々で取ったほうがお得になる制度なのですということは、多分全く認知されていないですね。半年で67%に上がりました という 事実だけが周知されても、 だからどうしたらいいということは伝わらないですよね。 それで言うと、例えば、もう大分前ですけれども、内閣府が、女性が出産退職した場合と、育休をとって復職した場合で、コストはこれだけ違いますみたいなことが、絵入りでばんと報告書が出たときに、あれはもう見てわかるではないですか。同じように、例えば同じ育休を取るのでも、夫婦で半分ずつ取ると、1年間の世帯収入のロスがどちらが大きいですかとかいうふうに見せられたら、もうお金に厳しい夫婦は、疑う余地なくこうでしょうというふうになりますね。

ですから、 妻だけが育休を取って、時短でずっと平社員でいた場合と、夫婦ともに、例えば夫が部長になって妻が平社員だった場合と、夫婦ともに課長になった場合とでどうですかと。そういうふうになると、はっきり言って、じゃあ、うちの夫婦はこうでしょうというところまで制度、政策は落ちていくではないですか。

 例えば、配偶者出産休暇 について も、 当事者の話の中で 配偶者出産休暇を取るのか どうか というコミュニケーションはほとんどないですね。何を 話すかというと 、出産に立ち会うということですね。つまり、絵的に見てはっきりわかる場面をキャンペーンでは出していくという ことです。

その 意味でいうと、私は何年か前、イクメンプロジェクトの技術審査委員をやったときに 、ある企業が出した案について このポスターは意味がないと言ったのです。男性が子供を肩車しているポスターを業者が出してきて、妻が働いているかどうかもはっきりしないし、しかも子供は1人ですね。均等にも少子化にも資するかどうかわからないイメージ これは意味がないのではないですかと言ったことはあるのですけれども、そういうことなのです。均等だったら、例えばお母さんがスーツを着ていて、お父さんがポロシャツで子供の手を引いているというイメージだと、お母さんが働いているのはわかるではないですか。しかも、子だくさんみたいな、子供が鈴なりに手を引いているみたいな、要するに、絵を見せるということをもう少し 考えた方が良い

私が この場面にこの制度が必要なのですということを 議論しないといけないと ずっと言っているのはそういうことなのです。出産に立ち会うのであれば、やはり1日必ず休ませてください。退院のときに付き添いが必要で、 数日 単位で休ませてくださいだし、産後1カ月の家事を夫が全部やらなければいけないという夫婦においては、やはり1カ月休むということに意味があるし、その夫婦で、デュアルキャリアでやっていくということがライフスタイルなのであれば、それはそういう絵を見せるわけですね。

 

○駒崎委員

 今、池田委員がおっしゃったのは政策広報の話で、やはり省庁は制度は作れど、それを落とし込むとか実装するとか、ちゃんと認知してもらうというところに関しては余りにも力をかけていないというところがあるのです。

 イクメンプロジェクトとかでも本当に、全く同じ話をしたのですけれども、結局、男性の育休とかといっても、厚労省のウエブなどすごくわかりづらいですし、本当に見づらいのです。

 そこで厚労省の方が、そこはちゃんと広報予算を取りましたと、このポスターをつくって、パンフレットをつくりますのでみたいな感じで、それを労働局に分けますみたいな。見ないからという話なわけです。

 ですから、少なくとも、ポスターとかを何万枚まくというお金を、例えば、一つわかりやすいウエブ、それこそ絵で見てわかるとか、シミュレーターをつけるとか、あとはSNSでちゃんとバズれるようにしておくとか、そういうものをつくって、そうなのだ、こういうことなのだということがわかるような、本当に最後の、せっかくつくったのに届かないという5センチを埋めるための広報予算をぜひとってほしい。

 それが増やせないのであったら、ポスターは要らないからポスターを削ってほしい。ポスターを見たとしても行動変容は起きづらいので、同じ額があるのであったらウエブとかネットで、ちゃんとスマホから見られるものをつくっていただけることで、よほど届く政策になるので、そこは本当にぜひ、今回でも心していただきたいと思うところなのです。

 

○座間委員

 今の御意見は、方向性としては同じです。あえて申し上げることにいたしました。

 社会が非常に変わっております。消費者が変わっております。企業におきましても、Eコマースですとか、ああいったものも広がっていますし、消費者の行動というのが本当に著しく変わっております。

 そういった中で、一般の若い人たちに情報を伝える方法はどうなのかと考えれば、今、駒崎委員のおっしゃったとおりで、今までと同じもので枚数をふやしてとか、少しこれをプラスアルファするとか、そういった形ですと、やはり今までと同じ流れになるという御指摘だったと思います。

BtoCのメーカーにいる立場といたしまして、非常に今の変化は不連続であるということをあえて実感しているということも申し上げて、ぜひ社会を変えるための何か、いわゆる広報活動に関しては、少し新しいやり方をぜひトライしていただきたいと思います。

 特に今回ターゲットになるのが若い方たちだというところが、今までと同じやり方だと非常に届きにくいということは感じております。

 

武石座長

 非常に貴重な御意見をありがとうございます。

 あと10分ぐらいなのですが、今日言い残したところはありますでしょうか。

 では、次回以降の予定を事務局からお願いします。

 

○土岐職業生活両立課課長補佐

 次回は調査報告の予定で、調整中ではありますけれども、調査報告が間に合わない可能性がありますので、日程も含めて追ってご連絡します。

 

武石座長

 まだ今日で終わりではないので、今後も御意見をいただけるのですが、こうやって整理していく中で、早いうちにいただいておくと大変ありがたいということなのですけれども、よろしいですか。

 法律の目的とか理念規定のお話も出ているのですが、理念だけを変えるというのではなくて、全体の制度の中身をどうするか考えた上で、理念や目的も変えることが必要か議論しないといけないと思います。

 何かあれば。よろしいでしょうか。

 それでは、大変貴重な御意見をありがとうございました。次回に向けて、また今日みたいに論点を整理していただいて、議論を進めていきたいと思います。

○武石座長

 それでは、ちょっと早いのですけれども、以上で今日の委員会を終わりにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 

 

 


(了)

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