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2017年6月21日 第72回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成29年6月21日(水)10:00~12:00


○場所

ベルサール飯田橋ファースト ホール


○出席者

遠藤、石田、石本、伊藤、井上、岩村、大西、岡、久保、
黒岩(代理:川名参考人)、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、
鈴木(隆)、鷲見、武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、桝田の各委員
(藤原委員は欠席)

○議題

(1)基本方針(案)について

○議事

○尾崎企画官 失礼いたします。それでは、定刻となりましたので、ただいまから第72回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、前回の会議から委員の御異動がありましたので、新しい委員を御紹介させていただきます。

NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事の石田路子委員です。

石田委員 よろしくお願いいたします。

尾崎企画官 どうぞよろしくお願いいたします。

 報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をよろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は、遠藤部会長にお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 委員の皆様、おはようございます。

 前回の開催が2月末でございましたので、ほぼ4カ月ぶりの開催となります。昨年度は法律改正を見据えまして、積極的に御議論いただきましてどうもありがとうございます。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、本日の出欠状況について、御報告いたします。

 黒岩委員、藤原委員が御欠席でございます。

 また、黒岩委員の代理として川名参考人、神奈川県保健福祉局福祉部長が御出席でございますので、お認めいただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 まず、議事に入ります前に、蒲原老健局長から法案について御報告があります。蒲原局長、よろしくお願いいたします。

蒲原老健局長 おはようございます。局長の蒲原でございます。

 法案について御報告を申し上げたいと思います。

 昨年12月に当介護保険部会におきまして、意見書をお取りまとめいただきまして、その後、政府部内で法案の立案作業を行いました。その上で、本年2月に地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案として、国会に提出したところでございます。

 前回の介護保険部会でも法案の内容については御紹介させていただいておりますけれども、その後の状況について御報告いたします。

 国会におきましては、3月下旬から衆議院における審議が始まりまして、去る5月26日金曜日の参議院の本会議において可決・成立という運びになりました。その上で、6月2日金曜日に法が公布となっております。

 この法案の立案過程、また、成立に至るまでに各委員の皆様初め、地方自治体の方々、あるいは関係団体の皆様方などには多くの御理解、御支援をいただきましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。

 今後、この改正法の施行に向けまして、いろいろな準備がございますので、引き続き御支援、御協力をお願いできればと思っております。

 以上、御報告申し上げました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は第7期の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(案)についてを御議論いただきたいと思います。

 前回の部会での御議論も踏まえて、事務局が基本指針(案)を作成しております。まずは資料の説明を受け、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。

 それでは、本日の資料について、事務局より確認をお願いしたいと思います。

尾崎企画官 それでは、資料の確認をお願いいたします。お手元に資料1として「基本方針(案)について(新旧案)」という分厚い資料をお配りさせていただいてございます。また、それに対応する参考資料といたしまして、参考資料1「基本指針(案)について(目次案)」、参考資料2「第71回介護保険部会で出された主な意見と対応」、この3種類の資料をお配りさせていただいてございます。不備等はございませんでしょうか。

 よろしければ、遠藤部会長、よろしくお願いいたします。

遠藤部会長 よろしゅうございますか。

 それでは、資料1について事務局から説明をお願いしたいと思います。

竹林介護保険計画課長 おはようございます。介護保険計画課長でございます。

 それでは、私のほうから資料1に基づきまして、基本指針(案)を新旧案の形でお持ちしておりますので、御説明させていただきます。

 最初に、基本指針(案)でございますけれども、おめくりいただきますとわかりますように、現行の指針を旧ということで下半分に載せておりまして、改正の御提案内容が上のほうに新ということで載せてあります。

 どのような考え方に基づいてこの改正案を考えたかということでございますが、5点ほど考えております。前回の2月の部会でも申し上げましたけれども、1つは、先般成立いたしました改正法の内容を反映するということでございます。

 2点目ですが、改正法以外にも昨年12月に当部会で取りまとめていただいた意見書がございますので、その内容を反映していくということでございます。

 3点目といたしまして、法律上、基本指針の上位規範に当たります医療介護総合確保方針というものがございます。昨年12月に改正されておりますけれども、医療介護総合確保方針の内容を取り込んでいくということでございます。

 4点目といたしまして、例えば日本一億総活躍プランでありますとか、規制改革実施計画、骨太の方針、そういった政府全体の動き、あるいは国会での法案審議でいただいた御意見、こういった政府の動き、立法府の動きの反映でございます。

 最後に、2月27日の当部会でさまざまな御意見をいただきましたので、その内容についても反映させていただいたつもりでございます。

 それでは、具体的な御説明をしたいと思います。

 旧と新のところで、一応変更部分、改正部分については傍線を添えております。中には項目の場所が移動したものもありますので、移動したものは移動したということでは傍線を引いておりません。したがって、上下を比べてみて、下にない、でも傍線が引いてあるものはどこか別の場所にあるものを引っ越した上で、中身が変わったところだけ線が引いてあるということを御承知おきいただければと思います。

 それでは、新旧に沿いまして御説明いたしますが、その前に、参考資料として参考資料1、2を御用意しております。参考資料2のほうは前回の部会でいただいた御意見とその対応ということで整理をしているものです。基本的には基本指針のほうに盛り込んでおりますけれども、内容的に基本指針以外のもので対応させていただくものもございまして、そのあたりを整理しております。

 参考資料1のほうは、基本指針の目次案ということで、ちょっとだけおめくりいただきますと、全体の構造がこれでおわかりいただけるかと思います。1ページをごらんいただきますと、まず、この指針の全体構造として、最初に前文がありまして、その後が第一、第二、第三という3部構成になっています。第一が国と自治体等の関係者の認識を共有するための総論的な部分でございます。

 第二が市町村の計画の作成に関する事項で、第二の中も大きく3つに分かれております。一が市町村計画作成の総論部分、2ページに入りますが、二が市町村計画の基本的記載事項、これは法律上義務的に計画に書いていただくことになっている事項に関するものです。三が市町村計画の任意記載事項ということになっております。

 また、参考資料1の3ページ目に入りますと、第三の都道府県の計画の作成に関するガイドラインの部分でございますが、こちらもその中がさらに一、二、三ということで、総論部分、義務的な記載事項の部分、任意的記載事項の部分という3部構成になっているところでございます。

 こういった全体の構成になっていることも少し頭に置いていいただいて、今からやや細かい資料で恐縮ですけれども、本体の資料1の御説明をさせていただきます。時間に限りがありますので、ポイントだけということになりますけれども、御承知おきいただければと思います。

 1ページから2ページにかけては前文でございますが、この部分につきましては、介護保険を取り巻く直近の状況でありますとか、あるいは先般成立いたしました改正法の概要などを追記しているものでございます。

 2ページの終わりのほうから第一ということで総論部分の記述が始まります。

 3ページ、冒頭で地域共生社会と地域包括ケアシステムの関係について整理しております。このあたりは国会でもいろいろ御議論がございまして、そういった質疑も踏まえて整理しております。いろいろ書いておりますが、例えば4段目の「地域共生社会の実現に向けた」から書いてある部分で、2行目、地域包括ケアシステムには「必要な支援を包括的に提供する」という考え方がございます。これを障害者や子供等への支援にも広げたものが地域共生社会の「我が事・丸ごと」という考え方であろうと。

 5段落目でございます。「また」から始まる段落でございますけれども、2行目から3行目にかけて、地域包括ケアシステムの中には生活支援コーディネーター、協議体が中心となって、サービス提供者と利用者が「支える側」「支えられる側」という画一的な関係に陥らないように、世代を超えて地域住民がともに支え合う地域づくりという考え方がございます。地域共生社会もこの考え方を発展させて、障害者や児童、生活困窮者なども含めて地域のあらゆる住民が役割を持って支え合いながら暮らすことができる社会、そのような考え方でございます。

 続きまして、1の部分でございますが、従前、後ろのほうに「介護予防の推進」という項目がございましたが、項目名を「自立支援、介護予防・重度化防止の推進」と改めまして、冒頭に法の基本理念なども加筆しております。

 4ページからの2「介護給付等対象サービスの充実・強化」の部分につきましては、後ろから6行目になりますけれども、サービスの充実・強化の留意事項として、働きながら介護をされている家族の就労継続、あるいは負担軽減の必要性といったものを加筆しております。

 6ページ、4の部分については、総合事業が30年4月から全ての自治体で実施されることになっていることに伴う修文でございます。

 7ページ、「さらに」以下、「まちづくり」などの加筆がございます。これは上位規範であります総合確保方針の記載に従って加筆したものでございます。

 8ページ、冒頭の二の部分でございます。御案内のとおり、6期の事業計画からは向こう3年間だけではなくて、2025年という少し中長期を見据えて地域包括ケアシステムを段階的に構築していく。その中で向こう3年間何をするのかという視点を持っていただきたいとなっておりますが、第7期の計画もそういった2025年を見据えた上で、この3年間何をするのかという位置づけを考えていただきたいということが書いてございます。

 また、三「医療計画との整合性の確保」という部分は項目自体を追記しております。後ほど各種のさまざまな関係計画との関連について触れた部分がございますが、中でも医療計画につきましては、30年度以降、介護の計画と作成や見直しのサイクルが一致するということがございまして、都道府県や市町村の医療・介護の関係者による協議の場を開催していただいて、しっかり連携していただきたい。特に今、各都道府県において、地域医療構想を策定されているということでございまして、その病床の機能分化や連携に伴って、在宅医療等の新たなサービスが必要となってまいります。ですので、介護計画の介護のサービスの見込み量と、医療計画の在宅医療の整備目標が整合的になるように協議を行っていただきたいということでございます。

 8ページの終わりから、四「地域包括ケアシステムの構築を進める地域づくりと地域ケア会議・生活支援体制整備の推進」という項目にしておりまして、記載を充実しております。特に9ページの3行目の部分でございますけれども、ケアマネジメント支援の取り組み、考え方といたしまして、1の部分でございますが、ケアマネジャー個人だけでなく、地域住民やサービス事業所等に対して介護予防や自立支援に関する理解を促すこと、地域で適切なケアマネジメントの環境をつくること。こういった地域全体を巻き込んだケアマネジメントの考え方をお示ししております。

 9ページの後半の部分ですが、五「地域包括ケアシステムを支える人材の確保及び資質の向上」となっております。御案内のとおり、2020年代初頭に向けて介護離職をなくしていくという取り組みを今、進めておりますが、このためには介護サービスの基盤の整備も必要ですし、それに伴って人材の確保も必要になります。そういった状況を踏まえて、直近の取り組み状況などを反映した記述でございます。

10ページの終わりのほうですが、六「介護に取り組み家族等への支援の充実」という項目を新設しております。現行の指針にも改正後の指針にも、家族に対する支援というのは各論でさまざまなところで施策が書いてございますけれども、介護に取り組む家族へのしっかりとしたメッセージを送ったほうがいいのではないかということで、総論部分に一つ項目を追加しております。介護保険制度が創設された目的の一つが、家族による過度な介護負担の軽減でございましたし、11ページ、現在もサービスを利用している場合でも、多くの家族は心理的な負担、孤立感を感じている。特に認知症の人を介護している家族の場合にはこの傾向が強い。あるいは一億総活躍の介護と就労の継続の両立という話もございます。こういったことを踏まえまして、現在の取り組みに加えて、地域包括支援センターの土日祝日の開所など、地域の実情を踏まえて、家族等に対する相談・支援体制の強化を図ることが重要であるといったことを加筆しております。

 七の部分は、認知症施策に関して、新オレンジプランができましたので、それを踏まえた施策内容の充実を盛り込んでおります。

12ページでございますが、八「高齢者虐待の防止等」については項目を新設しております。高齢者虐待については18年度以降、増加傾向にあり、対策が急務となっているという認識のもとで、広報・啓発やネットワーク構築、行政機関連携、相談・支援といった4本の柱で施策を整理しておりますし、また、この12ページから13ページにかけての部分ですけれども、高齢者虐待の主な発生要因として、虐待者の介護疲れといった問題もありますので、家族に対する相談機能の強化支援といったものも求められているといったことが加筆されてあります。あと、介護従事施設、従事者への研修、ストレス対策といったものも書いてございます。

13ページの九「介護サービス情報の公表」の部分については、先般取りまとめました国の規制改革実施計画の内容を踏まえて、周知等についての加筆をしております。

14ページの十の部分ですが、現行の指針では「介護給付の適正化」と書かれていた部分をもう少しレンジを広げまして、自立支援、重度化防止の取り組みなども含めて「効果的・効率的な介護給付の推進」という整理をしております。

14ページの最後の部分から15ページ以降にかけてですが、従前は「市町村相互間の連携及び市町村と都道府県との間の連携」という項目にしておったのですけれども、改正法で都道府県による市町村支援が法律上の位置づけが与えられたことを踏まえまして、「都道府県による市町村支援等」という十一の項目と、15ページの十二で「市町村相互間の連携」という項目に分けてございます。

16ページの十三でございますが、ここは先般2月の介護保険部会でいただいた御意見を踏まえて項目を新設してございます。後ほど第二以降で市町村、都道府県、それぞれの計画策定に当たってのPDCAの話が今回加筆されておりますけれども、市町村や都道府県だけではなくて、国も含めた全体のPDCAサイクルが要るのではないかという御指摘でございました。今回の改正法でも、4行目から書いてございますが、それぞれ市町村や都道府県の計画の中でまずは取り組みの目標を書いて、実績の評価をして、評価結果を公表するということが法定化されています。さらに、その結果につきましては、市町村は県に報告するし、県は管内市町村分をまとめて厚生労働大臣に報告する。ここまでが法律に書かれているところでございます。こういった仕組みも生かして、厚生労働省、こちらは本省だけではなくてブロック単位に設置しております地方厚生局の中にも昨年から地域包括ケア推進課が置かれておりますので、こういったところも活用いたしまして、各自治体の取り組み状況を分析し、一体何にお困りなのか、どういった支援が必要なのかということをしっかり検討してまいりたいと思っております。

 それでは、第二から、今度は市町村計画作成のガイドラインに当たる部分でございます。

 冒頭のところは、市町村計画全体のPDCAサイクルが必要だということをしっかり書き込んでおります。17ページでは、4段階に分けて、最初に各保険者の地域の実態把握・課題分析があり、その次に2番目で地域の共通の目標の設定、それに基づく具体的な計画の作成、3点目で計画の実行、4点目としてその実績の評価、必要な見直しというPDCAサイクルをしっかりと回していただきたいということでございます。

18ページからは、具体的な計画の作成手順ということで、最初に地域の実態の把握ということがあります。

19ページ、(三)「調査の実施」ということを書いてございます。市町村は被保険者の心身の状況とか、置かれている環境等、要介護者等の実態に関する調査をしていただきたい。その際に、国のほうで介護予防、日常生活圏域ニーズ調査といったものの調査票や実施に当たっての手引のようなものも整備しておりますので、ぜひこれを御活用いただきたいと思っております。また、同じく介護離職防止の観点からどんなサービスが必要なのかといった調査も必要と考えておりまして、こちらのほうでも、国で調査票と実施の手引などをお示ししておりますので、御活用をお願いしたいと思っております。

20ページからは、3の部分で、体制の整備ということでございますけれども、21ページ、(一)「市町村関係部局相互間の連携」というところで、障害福祉部局を例示したり、あるいは住宅担当部局を従前のものよりも少し位置づけを上げたり、あるいは防災担当部局を新たに例示するといったことにしております。

 また、(二)の部分でございますけれども、市町村介護保険事業計画作成委員会をきっちり活用していただきたいということで、先ほど申し上げましたようなさまざまな、例えば「見える化」システムを使った地域間の比較とその分析とか、各種調査の調査結果でありますとか、地域ケア会議で把握された地域課題とか、そういったものを計画作成委員会に持ち込んで、材料として、しっかりと議論をして、向こう3年間の新たなニーズにも対応していただくようなことが望まれます。しかしながら、ともすればこの計画作成委員会については形骸化している自治体もあるのではないかという御指摘も受けているところでございます。この作成委員会は、これまでも学識経験者、保健医療関係者、福祉関係者、被保険者代表者、サービス利用者、今回はその家族も追記しておりますが、それと費用負担関係者等との幅広い関係者の意見を反映する場だと整理しておりましたけれども、ここで実際議論を開催するだけではなくて、意見集約をしていただくことが重要であるということを加筆させていただいております。

25ページまで飛ばさせていただきますけれども、平成37年度、2025年度の長期推計のことについて触れている部分でございますが、その際、県が定める地域医療構想を含む医療計画との整合性を図ることが重要だということが書いてございます。

 5「目標の達成状況の点検、調査及び評価等並びに公表」というところについて、法律の記載事項も踏まえた加筆をしております。

26ページの6「日常生活圏域の設定」の部分では、前回の当部会での御意見も踏まえまして、自治会や町内会など、既存コミュニティーの活動にも配慮して定めることが重要だということを加筆させていただいております。

 7のところで、さまざまな関係計画との関係について触れております。現行の指針からの変更点という意味では、まず、平成28年の改正で法定化されました市町村高齢者居住安定確保計画、29年の改正で法定化されました市町村賃貸住宅供給促進計画、これはいずれも国土交通省の法律ですけれども、こういった計画も加筆している。27ページ、生涯活躍のまち形成事業計画、これはいわゆるCCRCの計画です。28年の改正で追記されたものでございます。こういったものを追記しております。

27ページはさらに、それぞれの計画との調和の際の留意事項を整理しておりますけれども、(三)市町村地域福祉計画につきましては、先ほど申し上げた地域共生の考え方、あるいはこの地域福祉計画が福祉の各分野の計画に関して共通事項を定める計画、少し上位計画のような法的な位置づけができましたので、そこにも留意していただきたいということでございます。

 また、(四)市町村高齢者居住安定確保計画につきましては、計画同士の調和の確保も当然でございますけれども、住宅担当部局を初めとした関係部局との連携を図るよう努めることも加筆しておりますし、また、高齢者に対する賃貸住宅や老人ホームが供給されるに当たって、市町村の介護事業担当部局においてもしっかり関与するといったことでお願いしたいということが書いてございます。

 また、(五)市町村賃貸住宅供給促進計画につきましては、今回新規でございまして、この計画は高齢者のような住宅確保要配慮者に対して賃貸住宅を供給する、その際の目標を定めるものでございますけれども、これと調和を図って、住宅担当部局との連携を図ってくださいということを加筆しております。

30ページの(八)生涯活躍のまち形成事業計画、こちらはCCRCの計画ですが、CCRCの法律のほうで、介護サービスとの調和を図ることが肯定されていることを踏まえた記載でございます。

32ページからが、二「市町村介護保険事業計画の基本的記載事項」となります。義務的に書くことになっている部分でございます。

 この部分については、現行の記載と余り変えてございませんが、35ページから4というところで、自立支援、重度化防止に関する取り組み及びその目標設定、介護給付費の適正化に関する取り組みとその目標設定という、このあたりは法律で義務的記載事項と位置づけられたことに伴いまして加筆しております。最終的には各自治体でそれぞれの状況に応じて自由に取り組みを考えていただき、目標を設定していただくべきところですけれども、余りにもヒントもなくというのもなんなので、一応国のほうでさまざまな考え方でありますとか、37ページでは例示といたしまして、1から4までの4つの例示、例えば○1ではいろいろな研修とか説明会を通じた地域で目指すべき方向性についての考え方の共有でありますとか、2にありますような住宅主体の通いの場の創出、○3に書いてありますような地域ケア会議の定期的な開催、4にありますような生活支援コーディネーター、協議体の活動といったことを例示として挙げさせていただいております。その上で、地域の実情に応じて多様な取り組みを構想していただきたいということでございます。また、目標については、保険者のさまざまな取り組みの達成状況を評価できるよう、数値目標等の客観的な目標を設定するように努めることと書かせていただきました。さらに、適切なサービスの利用の阻害につながらないことが大前提であるという留意事項についても書かせていただいております。

38ページの三から後が任意的記載事項の関係です。

 最初の部分につきましては、重点的に取り組む事項ということで、消費税財源を投入して推進している事業を中心に書いてございます。

 (一)「在宅医療・介護連携の推進」ということで、地域住民に対して的確な情報提供等を行うことを加筆しております。

39ページ、(二)の認知症関係は新オレンジプランの関係の加筆。

40ページの(三)生活支援・介護予防サービスの基盤整備のところにつきましては、なお書きの部分を追記しております。地域におけるサービスは、サービスの創出自体が目的ではない。地域の関係者とちゃんと協議して、地域のニーズや資源に基づいたものにしてくださいといったことを加筆しております。

41ページ、(四)「地域ケア会議の推進」という項目を立てております。地域ケア会議もこの指針のいろいろなところで顔を出すのですけれども、まとめて地域ケア会議の位置づけ等について整理した部分がございませんでしたので、消費税財源も投入しているということで、ここに項目を起こしました。5つの機能等についての御説明をしてあります。

 (五)「高齢者の居住安定に係る施策との連携」という部分につきましては、「さらに」から後で、居住支援協議会等の活用により、適切な入居支援、入居後の見守りのような生活支援の体制といったものを整備しながら、低廉な家賃の住まいを活用して高齢者の居住安定の確保を図ることが重要だということを加筆させていただいております。

 その後の2の「また」の部分につきましては、これも規制改革実施計画の反映でございます。

43ページの(二)、44ページの(三)の部分は、今回の法改正で事業者の指定に当たって市町村の権限や関与が強化されたことを踏まえました加筆でございます。

 (五)「人材の確保及び資質の向上」、これは現行の指針では、都道府県計画のほうにのみこういった記載があったわけですが、今回は市町村計画のほうの任意記載事項としても項目を起こしております。あくまでも介護サービスをこれからどれだけ伸ばしていくかということの見込みを立てるのは市町村でございますので、それに当たって、人材もどれぐらい必要になるのかということも推計していただき、その上で、国や都道府県と連携して、人材の確保や質の向上に取り組んでいただきたいということが書いてございます。45ページ、なお書きの部分で、総合事業のサービス単価を決めるに当たって、関係機関と十分協議を重ねて、必要なサービスが確保されるようにお願いしたいということが書いてございます。

 次に、47ページ、(三)地域包括支援センターの関係の記載を充実しております。1つは、今回の法改正で地域包括支援センターについては評価が義務づけられましたので、そういった評価をしっかり勘案して、業務量に見合った人員体制を確保すること。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員、それぞれに準ずる者を配置している場合には、それぞれ本来の資格を持っている方の配置に取り組むことと書かれてございます。48ページ、「また」の部分では、介護離職の防止などの観点から、相談支援の強化について具体的な取り組みを進めていただきたいということが書いてございます。

 以上が大体市町村計画のガイドラインになる部分でございます。

50ページからは、第三、都道府県計画のガイドラインになる部分ですが、大半が修正内容につきましては、市町村計画と同じ趣旨でございますので、都道府県計画に固有の部分だけ少し御紹介したいと思います。

57ページ、7「老人福祉圏域の設定」に当たりましては、上位規範であります総合確保方針の記載を写しておりまして、「二次医療圏と一致していない都道府県は、可能な限り一致させるよう」にしていただきたいということが加筆されております

 また、大分飛びますけれども、65ページから66ページにかけましては、先ほどの法改正によって市町村のほうの計画の義務的記載事項として自立支援や重度化防止の取り組みがありましたが、今度は都道府県の計画では、市町村が行うそういった取り組みに対する支援、あるいは介護費用の適正化といったものに関する取り組みの内容と目標の設定が義務的な記載事項として書かれてございます。例えば66ページの10行目では、1から4の例示ということで、○1先進事例の収集、情報提供とか、○2「見える化」システムを活用した分析の支援、○3市町村職員等に対する研修の実施、○4地域ケア会議への専門職種の派遣に関する関係団体との調整といった例示を挙げておりまして、しっかり支援に取り組んでいただきたいと思っております。

 都道府県計画につきましては、大体以上でございます。

75ページまで飛んでいただきまして、最後、6ということで、今回の法改正を踏まえまして、介護療養型医療施設につきまして、介護医療院等への転換を推進しながら、35年度末まで転換期限を延長しているということについて触れております。

 また、第四というところで、この指針は30年度からの第7期計画のものであるということも書いてございます。

 長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、御意見等いただきたいと思います。

 なお、多くの委員が御発言をされると思われますので、要領よく御発言いただければと思います。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 いかがでございましょうか。

 桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 地域包括ケアを深化・推進するために市町村レベルでいろいろな部分で頑張っていただくというのが非常に重要だという部分が盛り込まれていますので、この文全体についてはいいと思うのです。

 ただ、市町村レベルまでいってしまいますと、現場実態とすればいろいろな問題点が起こってきています。45ページで総合事業のサービス単価について記載していただいていますが、総合事業がスタートしたら途端に報酬が3割カットでお願いしますというところがかなり散見されたり、事業計画自体からは出てこない問題ですけれども、国のほうでは事業者に対して業務の効率化という観点から、いろいろな提出書類等について簡素化が行われています。国レベルでは簡素化されているけれども、都道府県レベルに下がってくると独自様式が追加されて、どんどん複雑になってくる。例を挙げますと、介護職員の処遇改善加算実績報告などは、都道府県レベルで全て様式が独自様式になる。しかも提出期限が7月31日までが国のレベルですけれども、香川県は7月14日までに出しなさいと、時期をどんと早める。一番問題なのは、介護職員さん一人一人の報酬総額を提出しなさい。1年間の年収の個人レベルまで書いて出しなさいというのは、そこまで必要なのか。個人情報保護の観点からいうと、非常に問題があるところがあって、国が頑張っていただいても、現場におりてきますとそういう問題があるというのも、少し現場実態として理解していただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 鈴木邦彦委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 幾つかありますが、全体として以前に比べて記載がふえている気がいたしますので、市町村の負担もふえるのではないかと考えられます。大きな市町村はいいのかもしれませんけれども、小規模な市町村は、それでなくても人口減少、高齢化で職員も削減されつつありますし、さらに負担が重くなるのではないかと考えられますので、そのような場合に都道府県がしっかりと支援することが必要になると思います。

 その上で、3ページに「介護予防」という文言があります。この部分は以前、老健事業にかかわらせていただき、市町村向けの手引もつくられたわけですが、そこにはかかりつけ医との関係が明記されておりますので、それがもう少しわかりやすくなっているといいのではないかと思います。後のほうの都道府県のところには、同じ介護予防のところの記載に衛生部門との連携があるのですが、市町村は衛生部門との連携をしなくていいのかととられかねませんので、記載の整合性をとる必要があるのではないかと思います。衛生部門と介護予防が同じようなことを、衛生部門でやるのは健康寿命の延伸の取り組みになると思いますけれども、やることになる可能性があるのではないかという気がしますが、それらを両方見て、地域の中で整合性をとるのもかかりつけ医の役割ではないかと思いますので、その辺をもう少し明らかにしていただければと思います。

 8ページの協議の場ですけれども、これは市町村や都道府県等となっていますが、医師会もしっかり入れていただくことになっておりますので、それがきちんと地域に伝わるようにしていただきたいと思います。

21ページ以降、担当部局という言葉が頻繁に出てきております。その連携は非常に重要なので、いいと思うのですけれども、中身としてはサービス付き高齢者向け住宅、サ高住の整備を介護保険事業計画と結びつける必要があると思います。市町村賃貸住宅供給促進計画や、市町村高齢者居住安定確保計画などとありますけれども、これが名前は立派なのですけれども、実態は緩い計画なので、これと介護保険事業計画のような緻密なものとはレベルが違うのです。その連携をとるといっても、一方が緩くて他方が厳しいので、結局整合性がとれないままになってしまうのではないかと思います。ぜひ介護保険事業計画との整合性をしっかりとって、サービス付き高齢者向け住宅の整備も計画的に行えるようにすべきではないかと思います。

26ページに、「日常生活圏域」という言葉が出ておりますが、これも都市部では中学校区単位と書いてありますから、そうなのでしょうけれども、地方に行きますと大体市町村単位で考えないと、少子化や人口減少で中学校区といってもどんどん統廃合でエリアが広くなっております。このまま市町村に行くと、中学校区という言葉に縛られて、どうしても中学校区にしなければならないのかと考えるところもあるようでございますので、その辺をもう少し配慮する必要があるのではないかと思います。

34ページに、「総合事業」という言葉が出てきますけれども、ここでも老健事業でかかりつけ医の役割をその中に入れていただいておりますので、実践マニュアルをよく見ていただいて、それがわかるようにしていただければと思います。

33ページに、医療療養病床から介護療養病床への転換という記載があったと思います。1つ質問ですけれども、介護療養病床からの新しい介護保険施設への転換の把握はしなくてもいいのか。介護から介護へということもあるわけですけれども、病院から施設への転換ということもあるわけで、そういったものの把握をどのように考えているのかということがあります。

 特に、今回、来年度の改定に向けてこれから介護給付費分科会で報酬の議論が行われますので、来年の2月に報酬が出てから皆さん転換を考えるという話は特別部会等でさんざんしてきたわけですけれども、なかなかすぐに決断をと言われても無理なので、そこは転換を決断した場合に、計画の量を超えたからといって転換ができないということのないように、もちろん療養病床の中でも、まず介護療養病床が優先だと思いますが、手を挙げた方は皆さん転換できるようにお願いします。これは都道府県でも同じだと思います。そうしたところが今までずっと議論してきたり、老健事業にも参加させていただいたりしている立場から見ますと、少し市町村への情報提供、都道府県へも同様の部分があるわけですけれども、不十分ではないかという気がします。それでなくても非常に量が多く、何がポイントなのか、なかなか市町村のごく少数の職員でやっているようなところでは理解が難しいのではないかという気がしますので、その支援をしっかりお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 1つ御質問がございました。事務局、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 御質問ありがとうございます。

 指針の33ページから34ページの部分の記述で、医療療養病床のことだけが書いてあって、介護療養病床はどこにあるのかという御趣旨だと思いますけれども、このあたり、技術的で細かくて恐縮でございますけれども、イについてもロについても、それぞれ市町村の計画の中で介護サービスの種類ごとの量の見込みを立てる部分でございます。この量の見込みを立てたことによって、費用も明らかになって、各市町村が1号保険料の設定などもできるという部分でございます。

 介護療養病床は、ある意味今でも介護保険法上の指定を受けているということでありますので、市町村の介護保険部局もどこに何床分のものがあるかということを知っている。かつ、それが介護保険の別のサービスに移るとしても、介護保険の枠の中で人数、種類が変わっていくということですので、通常の量の見込みという中で、そこは十分特出しをしなくてもこの部分については対応できるだろう。それに対して、医療療養病床というのは、一応今の全体の病床再編の考え方から言えば、医療療養病床の中から介護のサービスに移ってくる者も想定し得るところであるけれども、市町村の介護部局の立場に立ってみると、当たり前に行政の情報としてどこにどういう医療療養病床があって、何を考えていらっしゃるのか、介護の施設になろうとされているのか、されていないのか、そういう情報が自動的に入ってくるわけではないのです。したがって、わざわざそこについては、都道府県と連携をして、そういったことを把握して、その上で、ある意味介護保険ではなかったものから介護保険に来るわけですから、そうすると、この量の見込みは見込んでおかないと、保険料設定の際に足りなくなってしまいますので、そこは特出しで介護保険の面で見たらプラスアルファの部分なので、医療療養病床のほうだけ特出しで、しっかりそこは見込んでくださいということを書かせていただいているところでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 よろしゅうございますね。

 ほかにございますか。

 それでは、久保委員、花俣委員、大西委員の順番でいきましょう。

 久保委員、お願いいたします。

○久保委員 ありがとうございます。

 今回の議論について、4点の意見を述べさせていただきます。

 まず、1つ目は、介護職員処遇改善加算についてです。平成29年度介護職員処遇改善加算状況の調査は、ことし10月に実施されるとお聞きしています。処遇改善加算そのものが介護職員へ確実に支給されるシステムの構築と、介護職員に確実に支給されたことを都道府県と保険者において監査することが重要と考えます。また、介護職員だけでなく、事務員を初めとする加算が対象外の介護従事者に対しても、労働条件が改善されるよう考慮していただきたい。また、介護職員処遇改善加算が続く中で、介護従事者の基本的な賃金を今後どうするのか、抜本的な見直しと対策を強く要望します。

 2つ目は、高齢者虐待の防止についてです。日本介護クラフトユニオンは、「ご利用者虐待防止に関する集団協定書」を私どもと労使関係のある40法人との間で集団協定を締結し、労使がともに虐待防止に取り組む活動を行っているところです。

 今回の基本指針(案)の12ページの八「高齢者虐待の防止等」という項目に、「高齢者虐待については増加傾向にあり、対策が急務で、防止の体制整備が重要である」と記載されています。体制整備を行うには虐待を受けた高齢者への対応と、介護従事者に対して気配りのある指導と教育が重要です。そこで、1「広報・普及啓発」の項目に記載のある「自治体独自の対応マニュアル等の作成」について、より介護現場に即したマニュアルとなるようお願いするとともに、本来虐待がない環境づくりに力点を置いて取り組むべきであると意見を申し上げます。

 3つ目は、介護人材の確保についてです。介護人材確保の問題は、さらに深刻度を増しており、新設の施設では介護職員が集まらないため、開設できないこともあります。既存の事業所では人材不足のため、ご利用者をお断りするケースも発生しています。また、介護人材が集まらず、廃業を検討している経営者もいます。御承知のとおり、介護職の求人倍率は4月時点で一般の職種より倍近く高く、3.13倍となっています。都道府県や市町村においてはこのような状況をしっかりと踏まえた上で、人材確保に向けた計画を立てていただきたい。

 最後に、繰り返しとはなりますが、介護人材を確保するための原因を探るには、現在働いている介護職の不満となっている要因を解決することが重要であると考えます。その原因は、私どもの調査結果でも明らかなように、依然としてトップが賃金が安いという労働条件に係る不満が大きいところです。介護職員が長く働き続けられる労働条件を初めとする環境改善を図ることが何よりも人材確保の処方箋であると考えます。引き続き、介護従事者の賃金を初めとする労働環境の改善の取り組みを強化していただきたいと、強く意見を申し上げます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 お待たせしました。花俣委員、どうぞ。

○花俣委員 ありがとうございます。

 冒頭、蒲原老健局長からも、通常国会で介護保険法が成立したこと、あるいは6月2日に公布されたということを御説明いただきました。認知症の人と家族の会では、部会でも昨年夏の要望書の提出、あるいは参議院の参考人質疑でも、利用者負担を3割に引き上げること、あるいはそれ以前に2割負担に反対であることをずっと申し上げてまいりました。しかしながら、残念なことに、私たちの声は届きませんでした。ただ、法案成立に関して、参議院では附帯決議がつき、利用者の3割負担の実施は2018年8月から予定されていますが、その前に2割負担の影響について実態調査と分析、評価による必要な措置を講ずるとあります。また、要支援1、2の訪問介護サービスとデイサービスが予防給付から外されて、地域支援事業に移行されましたが、附帯決議では移行後の状況把握と検証を行うこととされています。特に2割負担になった認定者の実態調査は急ぐ必要があると思いますが、厚生労働省ではこの2つの附帯決議に対して、どのような具体的な対応を考えておられるのかをお教えいただきたいというのが、1点目でございます。

 資料1の3ページの上段、最終行から3行目の1にありますように「自立支援、介護予防・重度化防止の推進」の後に「介護保険制度は、高齢者がその有する能力に応じ」と書いてございます。昨年来の部会の議論でも、自立支援や重度化防止の意味するところが私にはどうしても介護保険からの卒業あるいは介護度改善を求められているように感じております。さきにも確認いたしましたように、「高齢者のその有する能力に応じ」という文言を再び重視していただいて、自立支援とは何をもって自立と言うのか、いま一度御確認いただきたいと思っております。できないことへの下支えがあってこその自立であって、以前に出ました卒業という表現は加齢そのものをまるで否定したかのような表現ではないかと感じております。

37ページの真ん中ほど「なお、こうした取組は適切なサービスの利用の阻害につながらないことが大前提であることに留意する必要がある」、ここも大変大事かなと思っております。

41 ページですけれども、新しく設けられた(四)「地域ケア会議の推進」の部分です。市町村が介護保険事業計画を策定するに当たって、利用者への情報公開、あるいは説明責任を果たすことは大変重要だと思います。特に地域ケア会議は、個別事例を検討するために利用者あるいは代理する家族など、介護者に検討の内情を開示することが必要になると思います。そこで、文末に地域ケア会議で行われた個別事例の検討内容については、利用者や家族などの介護者の求めに応じて随時情報公開、説明責任を果たすことは当然の責務であるといったような文言を追加していただくことはできないでしょうか。

 もう一点、生活支援コーディネーターとか、地域支え合い推進員、協議体といった言葉が、ガイドラインでは介護予防・日常生活支援総合事業で生活支援コーディネーターや協議体を活用することがと、いろいろなページにたくさん出てくると思います。ここで、生活支援コーディネーターが全国の保険者でどのぐらい養成されて、どんな方が担当されていて、具体的にどんな活動をしているのかを、わかる範囲でいいので、教えていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 幾つか御発言がありました。多くは御意見として承りましたが、最後は1つ御質問ということでございますね。それと、最初にありましたように、附帯決議について厚労省がどう考えているのかということの意見を聞きたいと、この2つがありましたので、事務局、御対応お願いいたします。

 計画課長、どうぞ。

○竹林介護保険計画課長 最初に私のほうから。

 附帯決議の内容ですが、恐縮ですが、きょう、附帯決議をこの場で配り損ねておりますで、もしかしたら委員の皆様も御承知の内容に幅があるかもしれないと思いますので、少し附帯決議の内容そのものもお話しさせていただきます。

 附帯決議は全部で6項目いただいていますが、今、花俣委員から御質問があったものにつきましては、3つ目の決議項目だと思っております。利用者負担割合の3割への引き上げが施行されるまでの間に、前回の改正で施行された利用者負担割合の2割への引き上げに関する影響について、施行前後における介護サービスの利用の変化や介護施設からの退所者の状況、家計への負担、高齢者の地域における生活等に関する実態調査を十分に行った上で、その分析及び評価を行い、必要な措置を講ずることとされたものでございます。

 私どもは、附帯決議を受けまして、ふだん自動的に入ってくるような、給付費のレセプトの情報とかですと、ここで言われているようなことは全部対応し切れませんので、附帯決議を受けた新たな調査みたいなものを設計して、新しい調査を実施するしかないと思っておりまして、当然、それはどういう予算を使うかとか、そういったところもありますし、誰に調査をお願いするのかということも考えなければいけませんし、調査の項目をどういう項目にしたらいいのか、このあたりも国会の審議など、もう一回ちゃんと復習して、こういう御要請に応えることができるように、今まさに検討している最中でございます。

 時期は3割負担の引き上げが施行されるまでの間に書かれていますので、調査の時期はまだめどは立っておりませんけれども、何らかの結論については当然30年8月より前にということは意識をして作業を進めていきたいと思っております。

三浦振興課長 続きまして、振興課長でございます。

 花俣委員より2点ほどあったかと思います。

 まず、1点目は今、計画課長からもお話がありました附帯決議の関係でございます。先ほど御指摘いただきました関係で申し上げますと、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護の総合事業への移行後の状況を把握し、検証を行うことといった内容が附帯決議されているところでございます。

 この点に関しまして、昨年の部会におきましても、まず、27年4月に移行いたしました78の自治体の状況で、取り急ぎお調べ申し上げましたところを御報告させていただきたいところであります。

 現在、29年度完全実施といたしておりますけれども、その間、28年4月までに実施しているところが514の自治体でございました。そちらの状況についても、私ども、昨年末に調べまして、厚生労働省のホームページにおいて公表させていただいているところでございます。いずれにせよ、まだ残りの3分の2のところは4月に実施をされたというところでございますので、これまでの2回の調査の中でわかったこと、あるいは調べ方自体がこれではちょっと不十分だ、あるいはこれではちょっとわかりづらいといった点も、少しずつ学びもございましたので、そこを踏まえて全体の実施状況をこれからしっかりと調べて御報告申し上げたいと思います。

 2点目でございます。この資料の中の41ページ、地域ケア会議に関しての求めがあれば資料を公表するといったことについて、どう考えるかというお話でございます。

 まず、そもそもの地域ケア会議に関して、私どもは指針、ガイドラインを自治体に対して出しておりまして、その中の記述を少し読み上げますと、そもそも地域ケア会議の中の個別ケースの検討の仕方に関しまして、個別のケースを検討するに当たって、課題への対応をともに検討していくということが重要であるということに鑑みまして、本人あるいは家族の方に、この地域ケア会議に御参加いただくことも効果的であるということでお示ししているのが現状でございます。

 さらに、今、花俣委員から御指摘いただきました、非常に重要な点かと思います。お求めがありましたら、どのような対応ができるか考えてみたいと思います。もちろん個人情報の関係もございますので、どこまでできるか、あるいは実務の関係、そこは考える必要があるかと思いますけれども、しっかり検討したいと思います。

○遠藤部会長 花俣委員、いかがですか。よろしゅうございますか。

○花俣委員 あと、コーディネーターのことだけ。

○遠藤部会長 そうですね。あと数量ベースのもありました。

 振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 大変失礼しました。生活支援コーディネーターの件も答弁漏れしておりました。

 こちらも30年度実施ということで、現在、実施状況、78自治体の中で、例えばどういう状況か、あるいは置いているところ、置いていないところがあったという形で御報告申し上げたところでございます。最初にスタートしておったようなところのトレンドといたしましては、社会福祉協議会の職員と兼務をしている方が多いですとか、幾つかのトレンドは把握しているところでございますけれども、いずれこちらのほうも本格実施はこれからということで、しっかり調べて御報告申し上げたいと思います。

○遠藤部会長 では、よろしくお願いします。

 お待たせしました。大西委員、どうぞ。

○大西委員 ありがとうございます。

 今回、第7期の介護保険事業計画、我々が計画をつくるに当たっての基本指針を大部にわたりまして網羅的に取りまとめていただけたことに感謝申し上げたいと存じます。

 特に内容につきまして、修正点等、異論はございませんけれども、総論的な部分で一言お話しさせていただきたいと思います。

 まず、3ページに総論で出てきますけれども、まさに地域共生社会の実現を目指してということで出てきております。「我が事・丸ごと」の包括的な支援体制を整備し、高齢者のみならず障害者や子供等への支援にも広げるということでございますけれども、これが市町村の努力義務という形で社会福祉法で位置づけられたということでございます。

 我々市町村としても、もちろんこれはやっていかなければならないと思っているところでございますけれども、先ほどからお話が出ていますように、まさに2025年に向けてそれぞれの市町村において地域包括ケアシステムの構築を今、一生懸命やっているところでございます。また、今、お話がございましたように、例えばそのために住民がいろいろ取り組むための新しい総合事業、住民主体の活動促進ということで新しい総合事業の導入にも努力しておりますが、今、お話がありましたように、まさに3分の2の市町村がこの4月からやっと新しい総合事業を導入したところでございます。その中で、やっとこれから高齢者福祉に関する地域包括ケアシステムの構築というのが具体的にやられようという中で、また障害者も子供も含めた地域共生社会に向けて包括ケアシステムをつくりなさいということで、やらなければならないという気持ちは持っておりますけれども、なかなかすぐそこまでは行けない。

 それよりも一番我々が苦労しているのは、今、地域包括ケアシステムを一生懸命やろうとしているのですけれども、市町村の担当者なり、市町村の職員はある程度理解していても、基本的に住民の方々が地域包括ケアシステムとはどういうものなのだ、なぜやらなければならないのだ、なぜそういうものをつくらなければならないのだという部分がまだ十分理解していただけていない。もちろん我々の努力不足というのもあるのですけれども、もう少し多様な主体に積極的に主体的にかかわっていただくというのがまさに地域包括ケアシステムの大事なところでございますので、多様な主体のそれぞれ各省庁の所管分野もあろうかと思いますし、それぞれが指導する関連団体というのもあろうかと思います。そういうところに対して、国あるいは都道府県の力を借りながら、もう少し意義とかその辺の認識の理解を得られるように、国、都道府県なりの御努力をいただけないだろうか。基本的には市町村が面的な横の調整をうまく図りながら、地域共生社会の実現を進めていく。そういう体制づくりというものに、よりこれまで以上に力を入れていただきたいというのが1点でございます。

 もう一点、これは今回の基本指針とは外れるのですけれども、さきに閣議決定されました骨太の方針の中に、介護保険の保険者機能の強化に向けた財政的インセンティブ付与のあり方ということが出されておりました。その中では、介護保険の保険者機能の強化に向けて、改正介護保険法に盛り込まれた交付金のあり方を検討するというのに合わせまして、調整交付金の活用についても検討するとされております。全国市長会といたしましては、これまで調整交付金につきまして、インセンティブ付与には使うべきではないということで主張させていただいております。というのは、調整交付金というのは、あくまで小規模自治体などの高齢化が極端に進んだ保険者は保険者努力をやっても、改善に向けた取り組みの成果が出にくいということで、後期高齢者の割合や所得格差を調整するために交付しているということでございますので、成果が出たところにはたくさん交付して、成果が出ていないところはマイナスで引き上げますという調整になりますと、本来の調整交付金の意義が失われかねないということでございまして、その点についてはそのような措置を講ずるべきではないということで、意見をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、伊藤委員、東委員、栃本委員、お願いします。

○伊藤委員 では、3点申し上げたいと思います。

 今回、人材確保が市町村のところでも明確に書かれておりまして、多分、市町村としては大変業務量も増えると思うのですけれども、ぜひこれはやっていただきたいと思っております。

 加えまして、先ほど久保委員からもありましたが、人材確保には処遇改善が一番の課題です。9ページから10ページのところ、最初の総論のところに、都道府県が「介護離職ゼロ」の実現に向けて、人材確保に向けて総合的な取り組みを推進することが重要であると書いてあるわけですが、そこのところにぜひ、継続的な処遇改善の実施を推進することが重要なのだということを明記いただきたいと思います。その次のパラグラフ「その際には」というところの最後、事業主が取り組むことが重要であると書いてあるのですけれども、事業主だけでなく、行政も後押しをしていただきたいというお願いであります。

 2つ目ですが、多様な担い手に関しまして、37ページの5行目ぐらいのところに「高齢者自身が担い手として活動する場を含む、住民主体の通いの場等の創出や、これらの担い手の養成」とあります。担い手の養成も重要だと思っておりますが、この担い手の事故などを含めた労働者保護、この場合労働者にならないので、担い手の保護ということについて、あわせて明記していただきたいと思っています。ブラックボランティア的なものを量産するようなことにはならないときちんと明記いただきたいと思っております。

40ページのイにも同様の「養成」というのがありますので、同旨でございます。

 最後ですが、技能実習について全く書かれていません。技能実習を実施している事業者における情報公表項目の中に技能実習の実施状況を入れていただきたいと思っております。都道府県の情報公表制度について、74ページの5にあるのですけれども、ぜひここに書いていただきたいと思っております。11月1日から施行ということで、常勤職員と同数の実習生まで受け入れることが可能になるということも報道で出ていますし、利用者がサービスを選択する際の情報として重要だと考えておりますので、ぜひお願いします。

 総論のところにも、13ページに情報公表のことが出ていますので、そこも同旨でございます。

 以上です。

○遠藤部会長 御意見として承りました。

 続きまして、東委員、お願いいたします。

○東委員 ありがとうございます。

 私は2点申し上げたいのですが、まず1点は、老健施設のことでございます。

 資料1の10ページの後ろから5行目に、「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」、「家族による過度な介護負担を軽減する」という文言がございます。実は老健施設につきましては、平成11年の厚生省令第40号において、老健施設の基本方針が示されており、そこには「その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない」とあります。そこで、今までは老健施設を表すときに「在宅復帰施設」という表現が厚労省の資料等でも使われてきたところでございます。しかし、今般5月26日に介護保険法の一部改正が国会で可決成立いたしましたが、その中に、老健施設の新たな定義が盛り込まれました。

 少し読ませていただきますと、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持、回復を図り、居宅における生活を営むための支援を必要とする者に対し」サービスを行うというように、ここでは「在宅復帰」ではなく「在宅支援」という言葉で老健施設が定義されているところでございます。それを踏まえまして、ぜひ今後は、老健施設をあらわす表現として、「在宅支援・在宅復帰施設」という形でお示しをしていただきたいというお願いをまず1点申し上げたいと思います。

 2点目は、人材のことでございます。これは今複数の委員からもご意見が出ておりました。9ページ「地域包括ケアシステムを支える人材の確保及び資質の向上」のところにも、「介護の仕事の魅力の向上、多様な人材の確保・育成」等と書いてございます。44ページ「(五)人材の確保及び資質の向上」には、今回、介護人材の推計を市町村までおろしたということが記載されていますが、厳しい言い方でございますが、現場はこんな介護人材の必要等の推計などをしていただいている場合ではないのです。本当に介護人材、特に身体介護を担う人材が全く足りておりません。サービスの提供を控える事業所もあります。老健施設でもベッド数を減らそうというお話も聞いております。そのような状況で、こういう推計とか、多様な人材と言っている場合ではございませんし、その対策を都道府県とか市町村におろしていていいのかと、介護人材の確保というものは、国のレベルでしっかりと取り組んでいただかなければいけない喫緊の課題ではないのでしょうか。これに関しましては、以前にも発言致しましたが、消費税を財源とした地域医療介護総合確保基金の中に介護人材の確保というものがちゃんと盛り込まれているわけです。

 この基金は施設整備が9割、介護人材確保が1割という財政配分になっております。これは法律で決められているので仕方がないのですが、現状で施設整備をどんどんされてもスタッフが足りません。また先ほど鈴木委員のお話にもありましたが、サ高住も非常な勢いで増えております。地域包括ケアシステムというのは住みなれた地域、住みなれたご自宅でできるだけ生活するというのが理念だったはずですが、一方で、国土交通省等がサ高住をどんどん補助金をつくって増やしているという状況は、地域包括ケアシステムの理念にも反するものだと私は思います。これ以上箱物施設をつくって、ますます身体介護を担う人材が足りない状況を助長するようなことは、厳に戒めていただきたいと強く要望するものでございます。そして出来ることならば、基金の配分もぜひ変えていただきたいと存じます。施設整備ではなく介護人材の確保に直接的に効果的な財源の使い道を考えていただきたいと強く要望するところでございます。

 以上です。

○遠藤部会長 御意見として承りました。

 お待たせしました。栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 3点述べたいと思うのですけれども、3点述べる前に最初に、介護保険部会で、前回、そして今回、市町村介護保険事業計画、都道府県計画についての基本指針について議論を初めて行ったということは画期的なことだと思うのです。これは非常に重要な一里塚だと私は思っています。

 去年示しましたように、審議会でデータを出しました。地方財政で、一般会計の上昇分はそんなに多くないのですが、中身を見ますと民生費が非常に多く従来の地方財政収入構造が大きく中身が変化しているわけですね。さらに、市町村の特別会計、介護保険特別会計を合わせますと大変な額ですよ。両方を足してみていく必要があります。したがって、国で介護保険のさまざまな法律改正とか政策をつくる、審議会とか国会でやったわけですけれども、それを受けて地方政府もみずからどういう形で地域包括ケアシステムをつくっていくかというための最も重要な計画が介護保険事業計画なのです。そういう意味では、今までの自治体の業務というものの占める介護、医療費の拡大に見合った形で責任を持っていたとはいえない。先ほど保険者機能ということがありましたけれども、きちっとやっていくことが望まれますし、今回、強化法を含めて従来議論されているものを終始漏らさず基本指針の中にきちっと書き込んでありますし、介護保険部会でさまざま議論を行った部分についても丁寧に書き込まれています。これらを読んで、これを受けて、市町村が地域住民のために地域包括ケアシステムをつくるというのは本来の責務ですので、これをきちっとやっていくことが必要だと思います。なかなか大変だということがあるかもしれませんけれども、これを一つ一つ1行ずつ読むことによって、今、求められていることは何かということを再度認識して、自治体行政に努めるということだと思うのです。

 その際、参加の方程式といいますか、今回、PDCAサイクルということがよく言われました。その場合、やはり、我々は何でもそうですけれども、計画をつくったらおしまいみたいな形になりがちなのです。計画倒れというのは我々は学生時代よくそうだったのですけれども、PDCAサイクルということを考えたときに、計画段階、実施段階、評価の段階、全てにおいて参加が求められるということだと思います。市町村介護保険事業計画の策定委員会が形骸化していることがあるのではないかというようなことも事務局で発言がありましたし、そういう部分があろうかと思います。

 この形骸化を乗り越えるための策は、まさに計画をつくったところで終わりとするのではなく、地域包括ケアシステムの強化を本当に地域で行っていくためには、計画をつくったら終わりとするのではなく、取り組みであるとか、実施、経過、そしてそれをどのように評価するか、チェックするかという部分までもある意味では市町村介護保険事業計画が、毎月やる必要はありませんけれども、プロセスを途中途中で見ていくということは必要だと思います。それを自治体の関係部局だけで行うということは、私は反対です。大変かもしれませんけれども、市民や関係者が入り計画をつくって、それが実際にどうだったかというのは、行われている状況を見る責任がありますね。それをチェックするというのも、チェックする人はチェックする人、行う人は行う人、計画する人は計画する人と分担されてはだめなので、まさにこのような地域包括、先ほどお話がありましたけれども、「我が事・丸ごと」、さらには、きょうは余り触れられていませんけれども、まち・ひと・しごと創生本部で議論されているようなこと、これから自治体はさまざまな形でこういう取り組みをしなければいけないわけだから、保険料を下げるとか、そういうことはもちろん重要です。さらに、それ以外の広範なことについてきちっと議論して、合意を形成していくというプロセスこそが重要だと思います。これが1点。形骸化を防止するため、形骸化を乗り越えて新たな姿を2025年に向けて行うためにはこれが必要ということ。

 2番目、実施状況であるとか、目標の達成状況の情報を公表する。同時に、数値目標、要するに、介護保険事業計画で定められている項目についての数値目標、数値を示さなければいけないというのは従来あるわけだけれども、それ以外のさまざまなものについて数値を示す。これこそが見える化につながるわけですし、評価ということにもつながるわけですから、今回、さまざまなところで数値目標等の客観的な記述がふえていると思うのです。これは非常にすばらしいと思いました。

 最後に、細かいことですけれども、都道府県とか厚労省との緊密な連携のもとで、介護保険事業計画を立てるといった際に、今回、先ほど事務局で触れられましたけれども、地方厚生局のことが記載されています。やはり市町村における地域包括ケアシステムの構築のために支援を行うことが地方厚生局に求められるわけでして、これも書いてありますので、非常に重要なポイントだと思うのです。基本指針をおまとめいただいたわけですから、これをよく周知していただいて、今回が介護保険事業計画そのもの、コアの部分だけではなくて、非常に広がりを持った部分に取り組むことによってこそ、逆に、そのような市町村において地域包括ケアシステムをみずから自分たちの地域でつくっていくという主体的な取り組みの第一歩になりますので、地方厚生局がぜひそこら辺について支援とか、さまざまな取り組みをしていただきたいと思います。

 長くなりましたけれども、以上です。

○遠藤部会長 どうもありがとうございます。

 それでは、こちら側にいきたいと思います。鈴木隆雄委員、佐野委員、齊藤秀樹委員の順番でお願いします。

○鈴木(隆)委員 ありがとうございます。

 私は3点で、1点は質問、2点は意見です。

 最初の質問は、11ページに新オレンジプランが1番から6番で書かれております。新オレンジプランの中にはもう一項目、認知症の予防とか診断、ケア、それらについての研究開発と成果普及というのがたしか入っていたと思うのですが、これは施策を展開していく上で極めて重要なエビデンスベースドメディシンですので、根拠のあることをやっていかなければいけないので、これが抜けている意味がわからなかったので、この点についてもし可能であれば御質問させていただきたいと思います。

 意見ですけれども、1つは、いろいろなところに出てくるのですが、例えば市町村が基本的にやらなければいけない「被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等となることの予防」云々という35ページの最後の4番のところで、この中で36ページのほぼ真ん中のところで段落が変わって「高齢者が地域社会において自立した生活を営むためには、生きがいを持って日常生活を過ごすことが重要である」、このとおりですけれども、「生きがいを持って」というためには、恐らくその前提として、生活機能の維持向上ということが基盤として入らないと、ただ生きがいを持ってやるように市町村は地域高齢者に対して働きかけていけばいいのかと、ややもすると考えられてしまうという問題があるかと思いますので、もう少しここのところには生活機能の維持向上といったことが当然前提となるので、文言として入れていただくことが大事かなと思っています。

 もう一つ、最後の意見は、41ページの地域ケア会議の件です。これも先ほど来、いろいろな委員から御意見が出されておりますが、私は地域ケア会議の推進の中の「具体的には」という段落の中で、希望ですけれども、処遇困難例とか、特に徘徊事例等について情報を共有するといったことが、個別性が強いと言われればそれまでなのですが、もし追加できればお願いしたいと思います。というのは、愛知県の調査結果ですけれども、愛知県全58市町村の中で、地域ケア会議の中で認知症高齢者の方の徘徊について情報共有しているところが約10%程度しかありません。しかしケア会議で情報共有されているような場合には、発見までの時間ですとか、恐らく生存・死亡率にも影響が及ぶなど、かなり大きく違ってまいります。ですので、認知症政策を手厚くいろいろ書き込んでいただいているのですけれども、ぜひその辺のところも追加いただければありがたいと思っております。

 以上3点です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、事務局、御質問のあった点、いかがでしょうか。

 お願いいたします。

○宮腰認知症施策推進室長 認知症施策推進室長でございます。

 御質問の点ですけれども、新オレンジプランは7本の柱になっておりまして、そのうちの1つが御指摘の認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進となるのですけれども、本指針は基本的には市町村、都道府県が介護保険の運営の中で必要なものを記載するという内容になっておりますので、もちろん研究開発ですとか、そういったものは認知症施策の中では推進していくのですけれども、市町村、都道府県が主体的に取り組む内容とは少し違うのかなということで、この指針の中には盛り込んでいないものでございます。

○遠藤部会長 鈴木隆雄委員、よろしゅうございますか。ありがとうございます。

 お待たせしました。佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 

 基本指針案については、前回要望した事項も盛り込んでいただいておりますし、大変丁寧に書かれていると思いますので、中身について修正等はございません。

 ただ、それとは別に、3点ほど要望事項をコメントしたいと思います。

 まず、1点目は、指針に示されている内容が国、都道府県、市町村においてスピード感を持って確実に実行されて、かつ、チェックされることが重要だと思いますので、今後の取り組み状況について適宜部会のほうにも報告をいただきたいと思います。

 2点目は、先ほどもちょっとお話が出ましたが、財政的インセンティブのところについては、今後検討されることになると思いますが、具体的な指標の中身や財源をどう捻出するのかなどについては、今後、部会のほうで取り上げていただきたいと思います。

 また、前回の部会で要望しました収納率改善の取り組みについても、今後検討いただきたいと思いますし、特に医療保険については、国保のほうにおいて、保険者努力支援制度の中で指標として収納率の改善というのが入っていますので、介護保険におけるインセンティブの中でもぜひ検討いただいて、収納率の強化ということを今後考えていただきたいと思います。

 3点目は、総合事業が今年4月から完全移行となりましたので、国として移行後の実態調査、検証をしっかりと行っていただいて、その結果についてもこの部会のほうに示していただきたいと思います。今回の改正では見送られた軽度者支援のあり方についても、部会の意見書のなかで総合事業の移行状況を把握、検証した上で検討することとなっていますし、事業が不十分な自治体等に対するフォローを考えても、検証は大変重要だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、齊藤秀樹委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 今回の新しい基本指針は、多くの委員から出ていますように、大変きめ細かく内容的には整理されたものだと思います。

 特に、都道府県による市町村支援が法的に位置づけられたということもあって、そのことがガイドラインにしっかりと反映されている点は、これまでと比べて非常に重要なポイントであろうと思います。

 しかし、他方、ガイドラインがきめ細かくなればなるほど、小規模な自治体における負担感は非常に大きなものが考えられます。したがって、それはスピード感というお話が先ほど来ありますが、消化不良を起こすのではないかという懸念も一方であるわけであります。都道府県の適切な関与というのは非常に大事だと思いますし、それを通じて市町村の格差が広がらないようにしていくということが、利用者側からするととても大事な点であります。

 これから都道府県の関与の仕方もさまざまだと思いますので、好事例をぜひいろいろと紹介していただく必要があると思いますので、国としてもこの基本指針をフォローアップする意味で都道府県のサポートというものもしっかりとしていただきたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。

 以上、申し上げさせていただきました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、齋藤訓子委員、小林委員で、まずはお願いいたします。

○齋藤(訓)委員 今、お隣の齊藤委員が御指摘されたように、私もこの指針につきましては、部会の意見が反映され、かなり詳細な内容が盛り込まれたと評価をしておりますが、一方で、市町村による格差も進むだろうと懸念しておりますので、他の委員も仰っていたように、都道府県のバックアップが大変重要になると思っております。

 医療計画との整合性も必要ですが、特に在宅医療系のサービスの整備計画とのそごが生じないように、このあたりも都道府県によるバックアップはしていただきたいと思います。

 介護保険事業計画の策定にあたっては「見える化」システムが大変重要なツールになるのですけれども、これも、市町村の間で利用状況に非常に地域格差があることが指摘されておりましたので、十分な研修等を実施するといったあたりの支援をぜひお願いしたいと思っております。

 最後に1点、これは質問になりますが、老人福祉圏域と二次医療圏をなるべく一致させるようにということで、今回の指針にも記載されていますけれども、医療計画のほうでも指摘されていたところで、昨年の時点でたしか5つの都道府県が一致を見ていないという状況だったと思いますが、その後、何か一致の方向で進捗があったのか、第7期に向けての見通しがこのあたりはつくのか、もし厚生労働省のほうで把握されているのでしたら、教えていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、質問につきまして、事務局、お願いします。

 計画課長、どうぞ。

○竹林介護保険計画課長 御質問ありがとうございます。

 医療計画のほうの二次医療圏と、老人福祉圏域の関係につきましては、私ども厚生労働省の医療を担当する医政局と共同で自治体の状況をお聞きしまして、今、齊藤委員から御指摘があったように、5つぐらいの県でまだ完全一致は見ていない。ただ、それはまるでばらばらというよりは、どちらかがどちらかを包含しているような状況で、大きな二次医療圏の中に老人福祉圏域が複数入っていたり、大きな老人福祉圏域の中に二次医療圏が入っているという感じで、全く不整合な状態のものはなくなっているということは確認しました。

 いずれにしても、圏域の設定というのは、平時には余り変更しないものでして、計画の見直しのタイミングでやるかどうかということですので、そういう意味で、直近の状況は調べておりませんけれども、足元では余り変わっていないかなと。

 今後、次の介護保険で言えば第7期の計画の策定に向けて、これから計画の策定の進捗状況を、私どもも先ほど御指摘があった地方厚生局も通じて、都道府県などにヒアリングを行ってまいりたいと思っていますので、その中で5県の圏域がどういう方向になろうとしているのか、私どもとしては、基本指針に盛り込まれた方向で一致する方向でちゃんと見直していただきたいと思っておりますけれども、もしかしたらそれぞれの都道府県の事情もあるかもしれませんし、その計画策定事業の中でよくヒアリングを重点的に行っていきたいと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 小林委員、お待たせしました。

○小林委員 ありがとうございます。

 本日提出されました基本指針案について、特に修正を求めるものではありませんが、何点か意見を申し上げたいと思います。

 まず、先般成立しました介護保険法の改正案においても、都道府県による市町村への支援が盛り込まれております。その際、市町村が介護保険事業計画を策定する段階からの積極的な支援を行っていただくことが効果的ではないかと思っております。

 具体的には、市町村の介護保険事業計画では、基本的には市町村の区域内でのサービス量等を見込まれているかと思いますが、より広域的な視点に立てば、市町村間での人口の流出入やサービス提供量の偏りなどといった点も明らかになってくると思いますので、ぜひ都道府県にはそうした観点からサービス見込み量などに関する具体的なアドバイスを行っていただきたいと考えます。

 また、私ども医療保険者も、第2号被保険者の保険料を徴収する立場として、介護保険制度の内容の周知に努めておりますが、特に被用者保険に加入していながら、65歳を迎え、第1号被保険者に切りかわることなどに関する問い合わせが非常に多く、制度周知が十分ではないと感じております。このため、今回の改定も契機に介護保険制度の内容に係る国民的理解の醸成についても努めていくべきだと考えます。

 もう一点、先ほど既に御意見が出ておりますように、今後、介護保険事業計画に基づく取組の実施状況などを踏まえて、保険者に対する財政的なインセンティブの指標なども検討していくことになると思いますが、その際には、ぜひこの部会でも各委員からの意見を伺えるよう、議論の場を設けていただきたいと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では、川名参考人、岡委員、井上委員の順番でお願いします。

○川名参考人 ありがとうございます。

 まず、基本指針(案)の策定、大変お疲れさまでした。こちらにつきましては、これまでの意見を盛り込んでいただいていまして、特にこれから我々自治体としてはこれに基づきまして、市町村、都道府県とも計画策定、また、施策推進というところで取り組んでいかなければいけないというところで、先ほどから皆様から御意見が出ているとおり、都道府県といたしまして、しっかりと市町村の支援をしていかなければいけないという立場かと思っております。そういう点で、お願いの点を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、これから進めるに当たりまして、必要な情報につきましては、なるべく早目に提出いただければと考えているところでございます。そういう点で、特に今回医療計画と介護保険事業計画、同時改定を進める中で、医療計画のほうは大分計画策定が進んでいる状況でございます。そういう中で、地域医療構想で昨年病床機能の分化連携という中で、在宅医療のサービス必要量というところも推計されているところでございますけれども、その推計と、今回計画の中で介護のサービス必要量の受け皿の整合性の確保をとっていくという状況がございます。

 そういう中で、参考資料2の3ページの中には、地域医療構想との関係につきましては、今後、通知により市町村に示してまいりたいと記載していただいているところでございます。我々も、そういう点で、市町村と医療関係部局、介護部局との情報交換をさせていただいているところでございますけれども、そういう中で必要な情報につきまして、できるだけ早くデータ等も含めて御提示いただければと考えているところでございます。

 先ほどから話が出ているとおり、市町村間での取り組みの格差が生じるというところが非常に心配なところでございまして、そこについて都道府県としてしっかり支援していきたいと思っております。

 そういう点で、もう一つ、先ほども「見える化」システムのお話もありました。データを提示いただいて、これからPDCAサイクルで回していくという中で、必要な地域の分析を行っていく必要がございますけれども、これも7月、ことしの夏ごろに確定版が提供されるということは聞いております。そういう中でも使い勝手がいいような、分析の効率化につながるようなシステムを、今後、確定版というところで御提示いただければと思っているところでございます。

 何分につきましても、進める中で、市町村の事務量が非常に増大しているという状況でございます。しっかりと都道府県としても支援していきたいと考えているところでございます。その部分につきまして情報提供等、また、事務負担のこれ以上の増大につながらないような点につきましても、御配慮いただくようなことでお願いしたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 岡委員、どうぞ。

○岡委員 ありがとうございます。

 本日提出されました基本指針(案)につきましては、データの収集分析や自立支援の促進、介護ロボットの導入促進といった、今般、閣議決定された成長戦略にも盛り込まれた内容や方向性に沿う中身となっており、全体的に特に異論はございません。

 特に今回の基本指針案では、保険者である市町村の基本計画策定におきまして、要介護認定や給付費等のデータを用い、課題の分析をするとともに、その実績についてはPDCAを回し、必要な改善につなげていくことになっている点について評価したいと思います。一方で、この改善プロセスは適正な指標に基づく必要があり、特に地域間格差の是正という観点を見忘れることのないように十分注意する必要があると思っています。

 ついては、全国平均との比較や市町村間での比較において、それぞれの地域特性を配慮した上で、しっかりとした指標に基づく改善が行われるよう、運用上の担保をお願いしたいと思っております。

 また、これは本文の修正に関することではございませんが、本指針の重点的な取り組み項目として掲げられております、重度化予防や自立支援の促進については、先ごろ成立しました地域包括ケアシステム強化法において、市町村に対する財政的なインセンティブが与えられることになっており、その財源手当の方法については今後検討されるものと思っておりますが、昨年9月のこの部会でも申し上げたとおり、給付の適正化や効率化努力は基本計画に基づく保険者としての当然の責務だと思っております。ついては、財政的なインセンティブを付与するに際しても、保険財政上の中立を図り、さらなる負担増につながらない方法で検討いただきたいと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 お待たせしました。井上委員、どうぞ。

○井上委員 ありがとうございます。

 今回の基本指針(案)につきましては、これまでの部会での議論が反映されたものとなっておりまして、修正を求めるものではございません。とりわけ、昨年度、この部会で議論をしている中で大きな課題であったのが、制度の持続可能性の確保であり、皆さんで真剣に議論したところでございます。これに関連いたしまして、今回の指針の中でも、PDCAサイクルの推進というところが非常にキーになってくると思います。14ページに「効果的・効率的な介護給付の推進」とありますし、また、市町村の介護保険事業計画の基本的な記載事項として、具体的に書き込むことが示されているということでございまして、このあたりのPDCAサイクルを回して、ぜひともまたこの部会にフィードバックをお願いしたいと思います。

 それに関連いたしますけれども、もう一つ、ICTの利活用というのが各所に今回明記されているところも評価しております。人材不足が課題になる中で、バックオフィス関係のICTの利活用はまだまだ進める余地があるのではないかと思いますし、また、制度の見える化を進めていく、データを利活用してよりよい制度をつくっていくという上でも、ICT化というのは非常に重要なツールになると思いますので、ぜひ推進していただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大変お待たせしました。今度はこちら側に移りたいと思います。石本委員、石田委員の順番で、まずお願いします。

○石本委員 ありがとうございます。

 1点でございます。持続可能性ということが今、井上委員からもありましたが、財源と担い手の確保という大きな2本の柱がなければ、介護保険制度は恐らく持続できないだろうと思います。我々の立場からしますと、人材確保というところで、今回、4344ページに「人材の確保及び資質の向上」とございまして、これはまさに量と質の両方を求めた表現だろうと思っております。

 そこのところで、昨年12月にこの部会で制度改正、見直しに関する意見がまとめられておりますし、その中で介護福祉士とそれ以外の者の役割分担や明確化について言及されております。その流れを考えますと、表現ぶりの問題ではあるのですが、44ページの本文中に「介護人材の」という書き方をしてあるのですが、できればここは量と質というところで考えますと、介護福祉士などの人材の確保といった表現のほうが昨年のまとめからの流れをくむという意味で、輪郭が明確化されるのではないかということを感じましたので、御検討いただければというところ、1点だけ申し上げたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 御意見承りました。

 石田委員、どうぞ。

○石田委員 ありがとうございます。

 2つ意見と1つお聞きしたいことがあるので、よろしくお願いします。

 1点は、まず、今、石本委員からもあったのですけれども、人材確保の件で、9ページにもありますが、ここのところ「介護離職」という言葉がずっと出ております。その一方で、介護離職の背景には必ずといっていいものとして介護職の離職、介護職不足という慢性的な状況があります。これがどうしても避けて通れない一番重要な問題と認識しております。この中で、主語が「都道府県は」となっておりますけれども、これは都道府県のみならず、10ページにあります事業主による改善というところだけではなくて、基本的な基盤整備の中での基本給のアップとかというところで、そこを押さえていないと人材の確保はまず根本的な解決にはならないのかなと思っております。それが1点です。

 もう一つ、2点目は、36ページにあります文言で、先ほどからいろいろ出ておりますけれども、高齢者の有する能力に応じた自立というものについての説明ですが、例えば、社会的な参加、生きがいを持ってというようなことが記述されております。しかし、先ほどもいろいろ意見が委員からもありましたけれども、一つ一つのタームの内容について、基本指針でこのように出ているのですが、「自立」ということについては、それぞれ読んだ人のイメージは非常にまちまちであって、何をもって自立とするか、何をもって社会参加とするかというところがまだ非常に曖昧のままにされているように思います。この点について、イメージしていくものをいろいろな形で、議論はもちろんしていただくのですけれども、もっときちっとしたわかりやすい提示が必要なのではないかと思っております。

 最後ですけれども、これは質問ですが、今までありましたような医療・介護連携の中で、まず8ページにあります医療計画との整合性、25ページにありました地域医療構想との整合性、57ページにあって、老人福祉圏域と二次医療圏との整合性というところです。このように医療と介護の連携を制度の中で捉えていくときに、今後、重要になってくるのが、いわゆる二次保健医療圏というか、そのフィールドがイニシアチブをとってくるキーのフィールドなのでしょうか。今後もちろん都道府県が支援していくことではありますが、協議していくフィールドが二次保健医療圏という圏域として私は想定していいのかどうかというのをお尋ねしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 事務局、どうぞ。

○竹林介護保険計画課長 御質問の趣旨は、介護保険の計画整備を進める上でも、老人福祉圏域ではなくて二次医療圏のほうがフィールドになるのかという御質問でしょうか。

石田委員 二次保健医療圏というのが一番キーのフィールドとして捉えて今後考えていくことが医療・介護連携の中でベースになるのかという点の確認です。

竹林介護保険計画課長 まず、御案内のとおり、医療のほうではもっぱら入院医療の需要に対応する圏域として二次医療圏を設定されている。市町村は人口的にも地理的にもさまざまな大きさのものがありますけれども、大半の市町村で言うと、その市町村の中で入院医療の需要に対応することが難しくて、もう少し広域的な対応が必要になるということで、都道府県の中を幾つかのブロックに分けて、昔で言えば大体の郡単位ぐらいのイメージで二次医療圏が設定されているわけです。介護のほうでは、もっぱらそういう施設サービスのような、これも少し市町村域を超えた広域的な対応が必要となる圏域の単位として、老人福祉圏域というものが定まっている。

 それぞれこれまでは別々の法律に基づいて、別々の考え方で圏域はつくられてきたのですけれども、ただ、共通点もあって、市町村の領域では対応し切れないような、広域的なサービス提供体制を整備する単位であるという意味では共通しておりますので、大半の都道府県では一致しているところも多かったですし、その後、医療と介護の連携という話が出てきましたので、そういう意味でさらに一致させていくように前々からお願いしてきたので、先ほど御質問もあったように、今、5県以外ではほぼ完全に一致してきているという状況であります。

 ですので、そういう意味では、一致してしまえば二次医療圏なのか老人福祉圏域なのかは余り実益のない議論というか、市町村域を超えて広域的な対応になるような、医療面で言えば、入院医療のニーズであるとか、こちらの介護保険のほうで言えば施設のニーズであるとか、そういったものを施設の整備をするときにも一体的に考えなければいけないし、あるいは、入院から地域在宅生活へ移行する際のさまざまな退院調整の仕組みなどもそういう単位でちゃんと仕組みをつくって円滑にいくようにするということでありますので、二次医療圏イコール老人福祉圏域というもので、ある程度の広域的な対応は、医療と介護が円滑につながるようにしていきたいということでございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 お待たせしました。馬袋委員、土居委員、武久委員、鷲見委員という順番でいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 先ず、基本指針(案)の取りまとめについて、整理をされた内容で取りまとめいただきありがとうございました。

 全体的に、よく記載されている言葉についてちゃんと整理しておかないといけないことに関し、3つの意見をいたします。

 1つは、各項目のPDCAに、評価と出てくるのですけれども、評価は、いつの段階とするか期間を定めて評価をしなければ、結果だけの評価ではいけないと思います。必ず評価には期間の定めがあるということを計画の中で、中間的な評価、推移の公表ということも盛り込むことが重要であり、計画作成を説明される中で入れていただければと思います。

 1つは、都道府県における市町村において、各保険者によっては保険料に大きな差があります。例えば、5,000円台のところもあれば3,000円台もあり、市町村、保険者によって2,000円も違うような差が市町村、保険者間であります。そのようなことを鑑みて、計画をつくるときに、一番大切なのは現状の認識やその要因というものは何なのだということを追及し、他保険者との比較検証において、地域性なのか、それとも計画と内容、実行している事業の問題などの把握から、都道府県がしっかり関与するべきところは関与していくことが大切と思います。

 もう一つ、都道府県にぜひ関与していただきたいところで、医療と介護の計画の整合性の件において、例えば個々の患者、利用者の名寄せをすることで、市町村単位でどれぐらい医療費用と介護費用の1人に対しての合計がでてくるのだろうと思います。例えば介護や地域でいろいろな活動をしたことによって、国保であるとか後期高齢者医療の1人の医療費の支出が減るということがあるわけですから、結果として見るときに、介護の費用もありますが、医療の費用も一人一人の患者、利用者の名寄せをして推移、経過を見ることは、県単位で市町村と連携しながらやるべき評価項目でないかと思います。

 そして、介護人材確保についてですが、各保険者で各サービスの事業計画をつくりますけれども、今までのように事業者へ意向調査アンケートが来て、それに対して事業者が回答したものを集計するという、これだけで介護人材確保と事業計画を立案するというのは課題と思います。事業者ととして経営の持続性や事業投資について、地域のニーズに応えるため、サービス開発、事業開発、人材確保育成するという意欲が必要だと思います。そういう面では、新規事業投資の可能性、事業の持続成長や開発、介護人材確保という3つのことについて、市町村との介護計画の事業計画に当たっては地域の事業者などと協議することが重要だと思います。ぜひそういった機会や裏づけをもって事業計画をつくっていただきたいと思います。

 最後に、市町村と県とのかかわりについて、市町村が単独でやると非効率なものがあると思うのです。市町村が担当でやるべきことであったとしても、市町村が個々でおこなうと非効率な業務などは県が集約化して一元化すると効率的にできる業務がこの項目の中では多数あると思いますので、非効率の集約化を都道府県が中心となって、まとめていくことで、市町村を支援していくことも可能ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 土居委員、お待たせしました。

○土居委員 まず、この介護保険部会で基本指針について議論ができるという形で今回、議論ができたことは大変私としてもよかったと思います。基本指針(案)は、私としては基本的にこの(案)でいいと思っております。

 その上で3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、1点目は、基本指針の中の市町村介護保険事業計画の基本的記載事項に適正化の取り組みということで、しっかりと36ページあたりに明記されているということは高く評価したいと思います。

 これを具体的に実施するということになりますと、当然のことながら、19ページあたりに書かれている「見える化」システムを積極的に活用するということは非常に重要なことで、この基本指針の中にも「見える化」システムという文言が入っているということで、これを市町村にも積極的に活用していただくことを私としても願っております。

 その中で、14ページの適正化に向けた取り組みに、直接的には書かれていないのですけれども、国保連の適正化システムを活用するということはよいとして、この介護保険部会でも何度か議論になった福祉用具の件は、当然ながら、介護報酬のところで、今後さらにしっかりと議論がなされるのだと思いますけれども、特に市町村においては、福祉用具に関しては、介護保険部会ではしっかり議論をした。地域差もある。こういうところは適正な価格づけをしていただくように第7期ではお願いしたい。そういう話には既に意見書の中でもなっているということですけれども、具体的には基本指針の中には明記されていないので、意見として、適正化の一環として、福祉用具の情報も含めて、適正化システムを活用しながら市町村には福祉用具の貸与についての適正な利用を求めていくように計画を立てていただきたいと思います。

 2つ目は、総合事業のことであります。35ページに総合事業の量の見込みをこのように事業計画の中で盛り込んでいくということが書かれていて、かつ、46ページには実施状況の把握と分析、評価を書かれていて、これは市町村、保険者におかれてはしっかりとやっていただきたいことであります。

 そこで、先ほど話題になりましたけれども、改正介護保険法で参議院での附帯決議があって総合事業については状況把握して検証しろという話で、これはこの部会での意見書でもそのように書かれたはずであります。ですので、当然事務局におかれては、今後状況の把握をされると思いますけれども、当然ながら、第6期は移行期間でしたから、取り組みが不十分だったという保険者があらわれてもいたし方ないところはあろうかと思います。もちろん、この不十分なところを今後第7期においてしっかりと好事例にならいながら、よりよいものにしていただきたいと思うわけです。けれども、不十分だからといって、総合事業はやめてまた元の仕組みに戻せという話には基本的にはならないだろうと私は思います。不十分だということは、元に戻せという話ではなくて、しっかりと定着させるように好事例にならいながらよりよいものにしていくという話になるのだろうと思いますので、決して不十分だから総合事業というやり方はよくなかったのだという話にはならないようにしていただきたいと思います。

 最後は、附帯決議の関連で、2割負担の状況を検証しろということが参議院の附帯決議でも言われているということです。けれども、なかなか議論にならないのですが、2割負担によって確実に第1号も第2号も保険料がその分だけ低く抑えられたことは間違いないわけであります。一定所得以上の方の利用者負担がふえたこともまた事実でありますけれども、負担がふえたということは、裏表の関係として、ほかの被保険者の保険料が下がっているという、この効果を全く言及しないで、とにかく利用控えが起こっているのではないかとか、そういう話ばかり議論するというのはアンフェアだと思います。ですから、2割負担の方には大変おつらいだろうけれども、みんなにとっては保険料がその分だけ、1人あたりの保険料という話になると金額は少ないのかもしれませんが、確実にその分だけ保険料は下げられていることは間違いないわけで、そういう効果もあるということは、しっかり検証の中でも踏まえていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 お待たせしました。武久委員、どうぞ。

○武久委員 基本指針には余り大きくは扱われていませんけれども、介護保険の改正の一番大きいものは、私は介護医療院の新設だと思います。これは全く違うものでございますけれども、鈴木委員もおっしゃったように、33ページ、医療療養から介護保険、計画課長がおっしゃったように、介護療養から介護医療にいく場合には同じ介護保険ですけれども、医療療養の25対1から介護医療にいく場合に、その病院があるところの市町村の介護保険料が急騰することになります。また、特別部会でも、一般病床から介護医療院にぜひ行かせてくれという意見がありましたし、かなり強いものがあって、私は10万床ぐらいの介護医療院はできるのではないかと思います。

 そうしたときに、前にも言いましたけれども、介護保険が、市町村が保険者になっているということ自身が、今まではいいとして、介護医療院ができたら1つの小さな市にある病院が100ベッド、例えば介護医療に変えたとなると、その市の保険料は急騰します。とてもではないけれども対応できません。したがって、末端の事務は当然市町村がしますけれども、保険としては都道府県がやるべきではないか。今回の介護医療院の新設というのは、皆様方はどう思っていらっしゃるか知らないけれども、物すごく大きなイベントです。医療のほうは診療報酬が下がりますから、国全体としてはいいのですけれども、介護保険の部門としてはどんと上がるわけですね。このアンバランスを何とかしないことにはやっていけないと私は思っているわけでございます。

 病院のほうは、急性期病床を厳密にして、きちっと減らしていって、一部の病床は介護医療院のほうにシフトしていくということで、全体の病床数を減らしていこう。そして、病院のほうは病床機能を分化してこう。急性期から地域包括、介リハ、慢性期となっていますけれども、では、介護保険のほうは、それに関連して対応していかないといけない。

 そのためには、例えば老健、先ほど東委員もおっしゃったように、在宅復帰の施設であると。例えば特養がついの住みかであるというように決めつけても、特養が五十何万床、老健も四十万床近いものがあるわけです。例えば1つの市に老健が1つあったら、その市のニーズをその老健が専ら担わなければいけない。すなわち、特養的な要素も要るし、医療的な要素も要るし、在宅復帰の要素も要る。100床全部を在宅復帰にしないといけないというような決めつけ方は、既に状況が変わっておると思います。

 したがって、地域によって、また、病院併設か否か、施設併設か否か、単独に山の中にあるか否かということで、ロケーションや状況によって、施設は多様な機能を持たなければ市民なりのニーズに応えられないということになると思うのです。

 そういう意味では、少しここで、保険は変わりましたけれども、運用については今後かなり考えていただかないと、なかなか厳しいものがあると思います。そういう意味で、私は別に今回でなくてもいいですけれども、介護医療院が始まったら、市町村によって物すごい介護保険料の落差があって、大変なことになるのではないかと危惧しておりますので、いろいろと御考慮いただけたらと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 お待たせいたしました。鷲見委員、どうぞ。

○鷲見委員 ありがとうございます。

 先ほどから、今回の基本指針(案)についてはきめ細やかに配慮されていると私どもも認識しております。

 その中で、PDCAサイクル、評価は客観的評価が重要であるということも各委員からお話が出ていますが、何といってもその評価を受けている使う側にとってみると、主観的評価も非常に大事だと思っています。何よりも、介護保険の中には尊厳を保持し、その有する能力に合った自立ということがうたわれているわけです。

 介護支援専門員の利用者からの信頼度の調査からは、おおむねを含みますと98%を超えております。これは人のかかわりや生活に関する相談・支援の重要性がうかがわれると思います。意欲が持てずに困難を抱えている人たちや、制度活用に至らない人たち、自分の考えが伝えられないといったサービスに結びつかない人たちの支援というのは、地域や人、制度によって支えられているという実感があって初めて、当事者は、援助に結びつくきっかけになっていくと思いますし、それを我々は現場で実感しているところです。

 医療は専門職や機関によって支えられていることが多いですが、介護は地域で支えるということを念頭に、介護保険制度を使うことが余りいいことではないとか、元気で意欲のある人がたっとばれるような風潮にならないように、ぜひ市町村もきめ細やかにきちんとバランスを踏まえて進めていっていただきたいと思います。これが1点目です。

 2点目は、レスパイトに関することでございます。現在、介護保険の中においては我々がプランをつくるときに、自立に資する支援というレスパイト機能を位置づける側面と、実際に介護する方々に対する直接的な介護負担軽減という側面であるのですが、さらに家族間のバランスなどこの支援の中には非常に幅広い概念が含まれています。今回、この指針の中でも「我が事・丸ごと」と入っているように、介護と仕事の両立に対して、さらに深めた議論、特にレスパイトに関しては必要だと思っております。

 最後になりますが、先ほど、介護医療院についてお話がございました。今後、ケアマネジメントの重要性というものは非常に大きなものがあると思っておりますので、施設においてもケアマネジメントに専念できるような体制をしっかりとれるような議論をしていっていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 介護医療院の話が出たので、私が質問した趣旨も踏まえて少し確認の質問をさせていただきたいと思います。介護医療院は特別部会の議論では、医療療養から転換するものと介護療養から転換するものは平等に扱うということだったのですけれども、今回の内容を見ますと、介護はもう入っているということで、医療から介護への転換だけが書いてあるのですが、医療療養の転換が主だと受け取る自治体も出てくるのではないかという気もします。介護保険料を考えると、介護保険から介護保険だと余り変わらないということで、介護療養の転換を優先しようということになって、市町村によって取り扱いに差が出るような気がします。基本的方向性を指針である程度明らかにしていただいて、本来は介護医療院は介護療養病床が廃止になることを受けてできるわけですから、介護療養病床からの転換が優先されるべきだと思うのですけれども、そこを曖昧にしたままにしておくと、市町村で混乱が起きるのではないかと思います。そこまで指針に入れたほうがいいのではないかと思うのですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 申しわけございません。先ほど御質問をいただいたところにのみお答えしてしまったのですけれども、実は、先ほど鈴木委員から御指摘のあった33ページで、先ほど御質問があったのが後ろの4行の「また」から後のところだったので、そこだけのことを御説明したのですが、例えば33ページの2段落目、前から10行目になお書きがございます。読みづらいのですけれども、市町村の計画の部分ですので、市町村のほうが総量規制をやっております。地域密着型サービスについて書いてあるのですけれども、現実的には介護療養病床や医療療養病床がグループホームになったりすることは余り考えられないのですが、一応制度的には全てのサービスについて同じ扱いになっていまして、こういった認知症対応型対応型のグループホーム等の、必要利用定員総数と書いてありますけれども、これが総量規制の物差しになる考え方なのです。そういう総数を設定する際には、医療療養病床及び指定介護療養型医療施設からの転換分の増加は含まないようにする。つまり、総量規制を行う際、実際に移ってくれるかどうかというときには、総量規制にひっかかるかどうかということが大きいので、そういう局面では医療療養病床のみならず、介護療養病床も総量規制からの転換も、総量規制の枠外に置くのです。同じような記述が都道府県計画のほうにもございます。そういう形で、介護療養病床からの転換は総量規制にかかることなく進められる。

 その話とは別に、今度は量の見込みというのは、保険料設定のときに必要なもので、保険料設定のときには当然、転換した分も見込んで保険料を設定していく必要があるのですけれども、そのときには今、既に介護の世界の中に入っている人の量の見込み方と、介護の外の世界から来る人の量の見込み方は、当然後者については介護保険部局では情報がないので、都道府県などからしっかりとって見込んでくださいと。そこを余り、知らない人だから、誰が来るか知らないと放っておくと、後で急に保険料が足りなくなりますよということを注意喚起している。

 ですから、転換を進めるという部分については、専ら総量規制の関係で、そこはしっかり介護療養病床のことも書かせていただいているところでございます。

遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

鈴木(邦)委員 おっしゃることはそうだと思うのですけれども、実際、地域の市町村としては、介護療養のほうはもともとその分のお金が介護保険料の中に含まれているので、そちらのほうが保険料に影響を与えないと判断すれば、医療療養から移るよりも介護療養から移るほうを優先するように働くのではないですか。それは公平平等だとおっしゃるけれども、それについてはどのようにお考えですかということです。そこを指針に入れないと市町村としては判断に迷うことはないですか、あるいは取り扱いに差がつけられるようなことはないですかということについて、確認の質問をしているわけですけれども、いかがですか。

○竹林介護保険計画課長 基本指針上はこの部分は第6期のものと全く同じ内容にしてあって、特段今回新しい判断をしたわけではないのですけれども、確かにこの基本指針だけですと、何をどうしたらいいのか読みづらいところもありますので、この介護医療院が創設されたこともありますので、この介護医療院の関係、介護療養病床、医療療養病床からの転換の関係、このあたりの計画上の取り扱いについては、別途ちゃんと整理をされた通知を補足する形で出す予定でおりまして、そういったところでは、先生御懸念のような誤ったメッセージが行かないように、しっかり明確にしたいと思っております。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 通知が出るということで、そこははっきりするということですね。ぜひそれはよろしくお願いいたします。了解しました。

遠藤部会長 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 積極的な活発な御議論どうもありがとうございました。一つ一つ大変貴重な御意見で、もっと時間をかけてお聞きしたいというものもございましたけれども、時間制約がございまして、どうも申しわけございませんでした。また、御協力ありがとうございます。

 事務局におかれましては、本日、さまざまな意見がありましたので、この意見のうち、取り入れられる部分は取り入れて、基本指針の策定作業を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次回の日程について、事務局から御連絡をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 次回の本部会の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。

 以上です。

遠藤部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきたいと思います。長時間どうもありがとうございました。


(了)

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