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2020年2月19日 令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会

○日時

令和2 年2 月1 9 日(水) 13:30~15:30

 

○場所

T K P 虎ノ門駅前カンファレンスセンター
9 階カンファレンスルーム9 A

○出席者

松井座長、浅見委員、泉山委員、小林委員、西村委員、広瀬委員

○議題

(1) 水質基準等の改正方針について
(2) その他

○議事

〇青木補佐
 定刻となりましたので、ただいまより令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては御多忙中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本検討会の開催に当たり、事務局を代表して厚生労働省医薬・生活衛生局水道課水道水質管理官の林より御挨拶を申し上げます。
 
〇林管理官 
 林でございます。よろしくお願いいたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。また、日頃から委員の先生の皆様におかれましては水道行政の推進に御協力を頂いておりますことを、この場をお借りして御礼を申し上げます。
 水道水の水質基準等につきましては、最新の科学的知見に従い、逐次改正方式により見直しを行うこととされており、本検討会を毎年開催して御審議を頂いているところです。昨年7月に開催した検討会では、六価クロム化合物の基準値の見直しを踏まえた省令等の改正方針について御議論いただき、その後、パブリックコメントを行いましたので、本日は、パブコメの結果を踏まえた対応方針案について御審議いただく予定です。また、農薬類につきましては、内閣府食品安全委員会による健康影響評価の結果を踏まえた評価値の見直し案を御提示させていただきます。そして、要検討項目に位置付けられているPFOSとPFOAにつきましては、前回の検討会以降、目標値案の検討を進めてまいりましたので、これについても御議論いただく予定です。本日は専門的な見地から忌憚のない御意見を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
〇青木補佐
 本日の委員の出席状況ですが、伊藤委員と亀屋委員が御欠席となっております。
 次に、配布資料の確認をいたします。お手元の議事次第に配布資料の一覧がございます。2枚目が座席表です。配布資料一覧の資料1「水質基準等の改 正方針について(案)」、ホチキス留めのものです。続きまして、資料1参考1「六価クロム化合物の水質基準値の見直しとそれに伴う関係省令等の改正案に寄せられた主な御意見と考え方(案)」です。続きまして、資料1参考2「内閣府食品安全委員会における評価の概要」です。続きまして、資料1参考3「その他の国・機関におけるPFOS及びPFOAの有害性評価値」です。続きまして、資料1参考4「最近の水質基準項目等の検出状況」です。次が参考資料1「令和元年度水質基準逐次改正検討会委員名簿」です。続きまして、参考資料2「令和元年度水質基準逐次改正検討会運営要領」、参考資料3「令和元年度水質基準逐次改正検討会の公開の取扱いについて」、参考資料4「六価クロム化合物に係る参照条文」となっております。配布資料は以上です。不足等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 また、報道関係者の皆様におかれましてはカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、これ以降の議事進行につきましては松井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
〇松井座長
 それでは、本日もよろしくお願いいたします。まず、議事に入る前に、本検討会の公開の取扱いにつきまして事務局より御説明をお願いします。
 
〇青木補佐
 本検討会の公開の取扱いにつきましては、昨年7月の第1回検討会で御説明申し上げたとおりです。参考資料3の「公開の取扱いについて」のとおり、個人情報の保護等の特別な理由がない限り公開するとしておりますので、本日の検討会も公開とし、また、本日の資料についても全て公開としたいと考えております。
 
○松井座長
特にございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、そのような取扱いでお願いしたいと思います。
 それでは議事に入ります。議題(1)水質基準等の改正方針について、まず最初に事務局に御説明をお願いしたいと思いますが、資料1を区切って質疑を進めたいと思います。まずは「2-1.の六価クロム化合物に関する見直し」までの説明をお願いします。よろしくお願いします。
 
〇小林係長
 お手元の資料1「水質基準等の改正方針について(案)」に基づき、六価クロム化合物に関する見直しについて説明いたします。
 まず、こちらの資料1の1ページ目は毎回、掲載させていただいているところですが、水質基準につきましては、平成15年の厚生科学審議会の答申におきまして、最新の科学的知見に基づいて逐次改正方式により見直しを行うこととされております。厚労省といたしましては、本検討会を設置いたしまして所要の検討を行っているところです。
 2ページ目からが六価クロム化合物に関する見直しについてです。経緯といたしましては、平成30年9月18日に食品安全委員会委員長から厚生労働大臣に対しまして食品健康影響評価の結果の通知を受けました。この結果に基づきまして、平成30年度第1回水質基準逐次改正検討会において検討を行い、現行評価値が0.05mg/Lのところ、0.02mg/Lに強化することが適当という方針案の取りまとめをいたしました。その後、平成31年3月に開催されました厚生科学審議会生活環境水道部会におきまして、0.02mg/Lに強化することにつきまして審議を頂き、御了承を得たところです。
 この結果を踏まえ、水質基準を改正することについて、食品安全基本法第24条第1項第7号の規定に基づき、令和元年7月に厚生労働大臣より食品安全委員会委員長に食品健康影響評価について意見を求めたところです。こちらについては、8月6日付けで回答を頂きました。その後、六価クロム化合物の水質基準値の見直しに伴いまして、関連する省令や告示についても改正する必要があるということでパブリックコメントを行いました。
 この省令や告示をどう見直すのかというところが(2)にございます。こちらにつきましては、前回の令和元年度第1回水質基準逐次改正検討会においてお示ししたものです。以下、資料中の四角の中が、前回検討会の資料から抜粋したものです。 
改めて御説明いたしますと、まず4.の(1)水質基準に関する省令については、水道により供給される水の基準について六価クロム化合物の基準を「0.02mg/L以下であること」に変更するということです。
 また(2)といたしましては、検査方法告示における六価クロム化合物の検査方法に関する改正、具体的に言えば、別表第四のフレーム-原子吸光光度法による一斉分析法の測定対象項目から六価クロムを削除するというものです。
 (3)につきましては、水道施設の技術的基準を定める省令において、浄水処理に用いられる薬品により水に付加される物質の基準や、ポンプなどの資機材等の材質基準についても六価クロム化合物の基準を、それぞれ、「0.002mg/L以下であること」と改正するということをお示ししました。なお、施行日時点で現に設置されている資機材等については、水道施設の大規模の改造時までは適用を猶予するということもお示ししました。
 (4)資機材等の材質に関する試験につきましても、4.の(2)に従いまして、六価クロム化合物の分析方法からフレーム-原子吸光光度法を削除するということです。
 (5)は、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令につきましても六価クロム化合物の基準がございますので、それぞれ、改正するということと、あとは、(4)と同様に、施行日時点で現に設置されている給水装置、若しくは設置の工事が行われている給水装置又は現に建設の工事が行われている建築物に設置されるものについては、大規模の改造時までは適用を猶予するということです。
 (6)につきましても、(2)と(4)と同様に、六価クロム化合物の分析方法からフレーム-原子吸光光度法を削除するというような改正方針案をお示ししました。
 これを取りまとめたものが四角の中の表です。それぞれ、水質基準、薬品等基準、資機材等材質基準、給水装置の浸出性能基準ということで現行の基準値と改正案をお示ししております。施行時期は今年4月ということで、前回の検討会におきまして、このような案をお示ししたところです。
 4ページです。前回の検討会後、食品安全委員会への諮問を経ましてパブリックコメントを実施いたしました。具体的には、水質基準に関する省令、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令、水道施設の技術的基準を定める省令について、六価クロム化合物の基準を改正することについて、昨年の10月15日から11月13日までの30日間、意見募集を行ったところです。この結果、計4件の意見が寄せられました。このほかに関連のない意見が2件届いているところです。
 また、この水質基準を改正するということで、検査方法告示ですとか、それに従って資機材等の材質に関する試験、給水装置の構造及び材質の基準に係る試験につきましても、六価クロム化合物の分析方法からフレーム-原子吸光光度法を削除するなどの所要の改正を行うことにつきまして、令和元年12月9日から年明けの1月7日までの間、意見募集を行いました。この結果、5件の意見が寄せられたところです。こちらも、そのほか、関連のない意見が2件寄せられております。
 (4)がパブリックコメントを踏まえた対応案です。こちらにつきましては、資料1参考1に詳しくお示ししてございます。この資料1参考1ですが、それぞれ、水質基準に関する省令等の一部を改正する省令に関する御意見や、3ページ目には検査方法告示等の改正に係る主な御意見とその考え方について、現時点での考え方をお示ししてございます。
 このうち7月にお示ししました改正案に影響するような御意見がございまして、水質基準につきましては2番です。給水装置の浸出液に係る基準ということで、要点を申し上げますと、新しい基準値を満足するような装置というか商品の供給に諸手続が必要だということで、その適用を1年猶予してほしいという御意見でした。
 また、検査方法告示等に関するところですと、3ページ目の5番と6番です。こちらにつきましては、浸出性能基準への適合性を判断するための検査法としてフレーム-原子吸光光度法を削除する案だったのですが、この方法を用いたとしても、接触容積が、1L以下の給水装置では、この浸出液の基準値である0.002mg/Lまで測ることができなくても、この方法の定量下限値である0.005mg/L以上の値が測ることができれば、補正した結果が0.002mg/L以下となり、新しい基準値を満足するかどうか判断できる場合があるため、フレーム-原子吸光光度法を削除するのはやめてほしいという御意見でした。資料1に戻っていただきまして、そのような御意見を頂きましたので、こちらの(4)の①と②につきまして御説明申し上げます。
 まず①ですが、給水装置の浸出性能基準の適用日の変更です。水栓その他給水装置の末端に設置されている給水用具の浸出液に係る基準につきましては、当初、今年の4月1日から適用するという案としておりましたが、御意見を踏まえ、1年間の猶予を設けまして、令和3年4月1日からの適用とする考え方としたいと思います。
 ②については、給水装置の浸出性能基準の適合を判定するためのフレーム-原子吸光光度法の引き続きの適用です。当初案ではこの方法を削除する案でしたが、御意見を踏まえまして、給水装置の浸出性能基準の適合を判断するための方法として、フレーム-原子吸光光度法を引き続き適用可とする考え方としたいと思っております。
 2-1の六価クロム化合物に関する見直しにつきましては以上です。よろしくお願いいたします。
 
〇松井座長
 それでは、ただいま御説明いただきました意見、特にパブリックコメントに対する対応につきまして御意見を頂ければと思います。
 
〇浅見委員
 御説明、ありがとうございました。今回の御意見で適用を変えるという御説明を頂きましたので、意見募集を踏まえて変えたので資料1参考1の4番で「対象外」という表現はちょっと強いかなと、若干思いました。パブリックコメントの定義に基づくと、対象外ということでしたらこのままでも致し方ないかなと思うのですが、実際には適用しているということで伺いました。
 給水装置の浸出性能基準の適合を判定するためのフレーム-原子吸光光度法を引き続き適用するということなのですけれども、これは、フレーム-原子吸光光度法を水道水を測るときには適用せず、給水装置に関連するものだけ残すという理解でよろしいでしょうか。
 
〇小林係長
 ありがとうございます。浅見委員の御指摘のとおりです。水道水の水質基準への適合を判断するための検査方法としては削除いたしますが、給水装置の浸出性能基準を判断するための検査方法としては、引き続き残すという方針です。
 
〇松井座長
 ほかにございませんでしょうか。浸出性能基準の適用日を令和3年4月1日ということで1年間猶予し、その間に認証を取っていただくようにしたいというお話ですが、何か御意見はございますか。
 よろしいですか。ありがとうございます。それでは、このような基本原案ということで進めていただければと思います。
 続きまして、2-2の食品健康影響評価の結果を踏まえた農薬類の見直しについてです。5ページ目でしょうか。御説明をお願いします。
 
〇小林係長
 引き続き御説明いたします。5ページの「2-2食品健康影響評価の結果を踏まえた農薬類の見直し」です。表1に、内閣府食品安全委員会から食品健康影響評価の答申があったものについてお示ししています。一部については、前回の検討会でもお示ししたところです。
 表1については、令和元年12月までに、内閣府食品安全委員会において、食品健康影響評価の結果が通知されまして、これまでの厚生科学審議会生活環境水道部会で未検討であったものをお示ししています。
 複数ありますが、表1の網掛けの部分が、新しく示されたADIから、1日2L摂取、体重50kg、割当率10%で評価値を算出したところ、現行評価値と異なる評価値が得られた項目です。これらについては目標値の見直しを実施すべきと考えられます。対象農薬リスト掲載農薬類としては3物質、その他農薬類が4物質です。それぞれ、強化であったり緩和であったり、新規に設定するものもございます。
 具体的に申し上げますと、対象農薬リスト掲載農薬類としてはカルタップ、現行の目標値は0.3mg/Lであったところを0.08mg/Lに強化、ジクワットについても現行評価値が0.005mg/Lだったものを0.01mg/Lに緩和、プロチオホスについても0.004mg/Lだったものを0.007mg/Lに緩和するというもの、その他農薬類のセトキシジムとかチアクロプリド、チオシクラム、ベンスルタップについても、それぞれ、この表のように目標値を新規に設定したり変えたりというところを、案としてお示ししたいと思います。私からは以上です。
 
〇松井座長
 前回も一部説明いただいたところも含まれているということですが、何か御意見はございますでしょうか。カルタップは強化ですが、恐らく個別評価値で0.1を超えている農薬はないので、強化されても、それほどΣ値に大きな影響はないと予想はしていますが、その辺は浅見先生からはいかがでしょうか。
 
〇浅見委員
 こちらに関しては、すごく量が多い農薬というわけではないと思いますので、大きな影響があるというわけではないかなと思いますが、プロチオホスなどは、割とよく検出される農薬かと思いますので、引き続きモニタリングしつつ、注意をしたほうがいいのかなと思います。
 
〇松井座長
 それでは、この方針で進めていただくということで、小林先生からは何かごさいますか。
 
〇小林委員
 カルタップ自体は、もともと評価値がかなり高い値でしたので、今回の改正でも他の農薬と比べてそれほど低い値にはなっていないかと思います。
  今、お話のあったプロチオホスはガラス器具に吸着する農薬で、検出実態はあるのですが測定が難しい農薬なので、測定結果の解釈には注意が必要と思います。昨年度、オキソン体が測定対象に追加され、合算で評価することになっているので、オキソン体の検出実態にも注意する必要があると思います。
 
〇松井座長
 それでは、次に進めさせていただきたいと思います。次は、2-3.のPFOS及びPFOAに関する検討と、2-4.の今後の見直し方針案のまとめについてです。御説明をお願いします。
 
〇林管理官
 資料1の6ページを御覧ください。PFOSとPOFAに関する検討です。(1)経緯です。PFOSについては、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)において、平成21年5月に使用制限の対象物質として新規登録されまして、国内では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)において、平成22年4月以降、製造等が禁止されているところです。
 また、PFOAについても、昨年の4月から5月にかけて開催されたPOPs条約第9回締約国会議において、付属書Aに追加されて、特定の用途を除き廃絶することが決定されました。こちらも化審法に基づく所要の措置について、現在検討が行われているところです。
 水道水質に関しては、平成21年4月に、これらを要検討項目に位置付けまして、検出条件の把握や科学的な知見の収集に努めているところです。
 現時点では、WHOにおいて、これらの飲料水のガイドライン値が設定されていないこともございまして、我が国では水道水質に関する目標値を設定しておりませんが、近年、海外では飲料水の目標値が設定されるなどの動きもあり、新たな知見が蓄積しつつあるところです。
 国内の水道水においては、原水、浄水から検出される状況が続いていまして、浄水場における水質管理を適切に行うという観点から、これらの暫定目標値を設定する方針が、昨年7月の第1回検討会で確認されたところです。
 (2)「各国の目標値の設定状況」です。法的拘束力のある基準は設定されておりませんが、幾つかの国では表2のとおり、目標値が定められています。一部の国においては、複数の物質でまとめてという考え方を採用している国もあります。
 (3)からが各国の状況です。まず、カナダです。2018年にPFOSについて600ng/L、PFOAについて200ng/Lと設定しております。動物実験から、耐容一日摂取量(TDI)をPFOSについては60ng/kg/日、PFOAについては21ng/kg/日というものがあります。これに、体重70kg、飲料水の割当率20%、1日当たり摂取量1.5Lから、こういった数値が計算されています。
 次にオーストラリアです。2017年に、まずPFOS/PFHxSは合算で70ng/L、PFOAについては560ng/Lが設定されています。毒性評価については、動物実験からPFOSのTDIが20ng/kg/日、PFOAが160ng/kg/日とし、PFHxSについては、TDIを設定するには不十分であったものの、PFOSと同一のTDIを仮定して、リスク評価の際にはこれら2つの物質の濃度を足し合わせるという考え方となっています。体重70kg、飲料水の割当率10%、1日当たり摂取量2Lから、こういった数値が計算されています。
 次に8ページ、米国です。2016年に環境保護庁が生涯健康勧告値として70ng/L、PFOSとPFOAの合計値として設定しています。毒性評価については、PFOS、PFOAともに、参照用量(RfD)として、0.00002mg/kg/日が示されています。これに1日当たりの摂取量、米国では体重1kg当たり1日0.054L、飲料水の割当率20%から、70ng/Lという数字が計算されています。PFOAとPFOSの両方が認められる場合は、これらの総濃度を比較するべきとなっています。23ページに別紙1がありますが、これは前回の検討会にお出しした資料と同じですので、説明は省略いたします。
 2018年に、毒物・疾病登録局(ATSDR)がパーフルオロアルキル基の毒性プロファイル:パブリックコメントのための草案として、評価値を発表しています。最小リスクレベルとして、PFOSについては2×10-6mg/kg/日、PFOAについては3×10-6mg/kg/日を出しています。ここまでは、前回の検討会でも御紹介させていただいたところです。
 このATSDRの最小リスクレベルについては、EPAの健康勧告値とは異なる状況において使用される異なるツールであることが示されています。すなわち、この最小リスクレベル、MRLsはスクリーニングレベルとして利用されるものだということで、パブリックヘルスの専門家が、ある特定の化学物質のばく露により健康影響のリスクにさらされる潜在的なエリアや人口を決定することをサポートする意図で用いられるとされているところです。また、長期ばく露に対するMRLは十分な情報がないため、設定されていないということです。
 次に欧州です。先ほどの表2のとおり、デンマーク、イタリア、スウェーデン、オランダ、イギリス、ドイツで、目標値が定められております。また、2018年に欧州食品安全機関(EFSA)は、科学意見書を公表し、これも前回の検討会でお示しさせていただいた情報です。下から4行目になりますが、PFOSとしては、13ng/kg/週ということで、1週間当たりの量ということになっており、TWIということになります。PFOAが6ng/kg/週という数字が出されています。25ページに別紙2として、これも前回の検討会でお出しした資料と同じものですので、説明は省略させていただきます。
 9ページを御覧ください。「なお」という所です。このEFSAの評価値に対しては、オランダが分析方法に疑問を呈していたり、ドイツが更なる調査研究の必要性を示しているということがございます。これが、別紙3と別紙4にございますので、そちらを御覧ください。
 26ページが別紙3です。オランダ国立公衆衛生研究所(RIVM)が公表したものです。概要の2段落目の3行目を御覧ください。「EFSAが提案したPFOAの健康影響に基づく暫定的指標値は、RIVMが2016年に導出した値より15倍厳しい値である。RIVMはEFSAの値の科学的根拠に疑問を呈し、結論が暫定的であることを考慮し、現段階では以前の勧告を変更しない」と書かれております。その次の段落ですが、その2行目の中程です。「RIVMはEFSAが勧告のための基にしている科学論文には指標値を導出するために十分なデータが含まれていないと考える」ということが書かれています。
 次に、ドイツですが、別紙4を御覧ください。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が公表したものです。中程の段落で、「BfRは」という段落があります。この3行目ですが、これらの値、これはEFSAの公表したTWI値のことですが、「これらの値を導くに当たり科学的な不確実性があることから、更なる調査研究の必要性があると考える」。そのページの下から5行目の「また、BfRは」という所ですが、「TWI算出の根拠となった疫学研究の結果に関して、因果関係のエビデンスや臨床上の関連性を吟味する必要があると考える」ということが公表されているところです。
以上が、各国・機関の目標値の設定の状況です。
 本文の9ページに戻っていただきまして、(4)の我が国における水道水からの検出状況です。全国の厚生労働大臣認可及び都道府県知事認可の水道事業者と水道用水供給事業者が、平成25年度~平成30年度に実施した水質検査の結果の集計を行ったものを次のページから載せています。
 10ページに表3がございます。前回の検討会では、平成29年度までのデータをお示しし、今回、平成30年度のデータがそろいましたので、それを新たに追加したということです。縦3段になっていて、一番上がPFOS、中段がPFOA、一番下がPFOSとPFOAを合算したものです。各年度ごとに、測定地点数、定量下限値以上で検出された地点の数、その割合、一番右の列が最大値です。
 この最大値については、表の下の注2に補足のコメントがありますが、PFOSとPFOAを足したものの最大値については、同一の地点で1年間に複数の測定が行われた場合は、PFOSの年間最大値とPFOAの年間最大値を合計としています。つまり、1つの地点で、例えば年間2回測定されたとして、PFOSとPFOAのそれぞれ高いものを足しているということですので、1回の測定で検出された結果ではない場合があるということです。もしかすると、この最大値は同じ水ではないという可能性もありまして、値としては過大になっている可能性があるということです。ただし、平成30年度については、1回の測定で検出された水であることを事業体に確認しております。平成29年度までのデータは、そういう状況があるということです。
 個別のデータを11ページから度数分布という形で載せています。11ページがPFOSのデータで、各地点での最大値の度数分布図となっています。上の図が原水について整理したもので、下が浄水について整理したものです。原水のほうを御覧いただきますと、左から濃度が低い濃度帯になっておりまして、N.D.というのが定量下限値以下のものです。その右が定量下限値超から30ng/Lまでのもの、それ以降、右のほうへいくとどんどん濃度帯が高くなっており、こういった分布になっているということです。同じように、12ページはPFOAについて整理したものです。こちらも同様の整理です。最後に13ページの図4です。こちらはPFOSとPFOAを合算したものの度数分布となっています。これも先ほど表の所で説明したように、平成29年度までのデータについては、1回の測定で検出された結果ではない場合があることに御留意いただきたいと思います。これらのデータから、原水、浄水についても、引き続きPFOS、PFOAが検出されている状況は続いているということが確認できるかと思います。
 次に14ページにまいりまして、暫定目標値の案です。(5)の①です。まず、暫定目標値の趣旨ですが、我が国の水道水の水質基準値や目標値を定めるに当たっては、主にWHOの飲料水水質ガイドラインを参考に検討を行ってきたところですが、現時点ではガイドライン値は定められていないところです。近年、ほかの国や国際機関では、毒性評価や目標値の設定が行われておりまして、一定の知見が蓄積されてきたところですが、例えばTDIの値を見ましても、近年の評価においても2桁程度の幅があるという状況になっています。他方、我が国では、水道水の原水や浄水から、まだ検出される状況が続いていまして、浄水場における水質管理を適切に行う観点から、水道事業者等に対して管理の目安となる値を示すことは、意義があるのではないかということです。
 それから、WHOでは現在ガイドラインの逐次改正に関する作業プログラムというものがありまして、その中でPFOSとPFOAをリスク評価の対象物質と位置付けて、現在検討が進められています。こういった動きをはじめとしまして、国際的にはPFOS、PFOAの評価が大きく動いている時期でもありますので、毒性学的に明確な目標値の設定というのは、なかなか難しいというところですが、現時点における諸外国・機関が行った評価の中で妥当と考えられるものを参考に、目標値を暫定的に設定するというのが暫定目標値の趣旨です。
 ②暫定目標値案設定の基本的考え方です。近年、PFOS、PFOAのリスク評価に関する知見が蓄積されてきていますが、ここ数年で行われたリスク評価の中から、妥当と考えられるTDI、又は参照用量、これを用いまして、我が国の水道水の水質基準値等の設定で用いられてきた体重、水道水の割当率、1日当たり摂取量のデフォルト値を適用して、目標値案を算定しました。
 近年のリスク評価としましては、カナダ、欧州食品安全機関(EFSA)、オーストラリア、米国の有害性評価値を確認し、妥当と考えられるものの中から、安全側の観点より最も低いものを採用するということです。
 各国・機関の有害性評価値のレビューの結果ですが、TDIとしては、PFOSについては20ng/kg/日、PFOAについても20ng/kg/日を採用することとしたいと思います。このレビューの結果は、28ページの別紙5を御覧いただきたいと思います。
 冒頭の部分ですが、15年ほど前から様々な評価機関で評価が行われてきたところですが、その評価方法も近年は改良されてきているということです。そういった趣旨のことが書かれております。①カナダ、②EFSA、③オーストラリア、④米国とございます。これまでの説明と重複するところがありますが、こういった値のTDIが出されているとか、そういったことが書かれております。
 結論としては30ページを御覧ください。これらの4つの国・機関における有害性評価値を比較すると、EFSAの有害性評価値が最も低いところですが、この有害性評価値の算出の基となっている総血清コレステロールの増加等のエンドポイントについては、評価値導出の根拠として採用することについて国際的な合意が得られているとは言い難い状況であるということです。先ほども御紹介したように、オランダ、ドイツも、疑問を投げ掛けたりしているということです。
 ということもありまして、EFSA以外の国の評価値を比較してみますと、最も低いものとしては、PFOS、PFOAともに、動物実験の結果で導出された0.00002mg/kg/日、これは20ng/kg/日ということになりますが、これを採用する形になります。
 14ページの本文に戻っていただきます。下のほうに小さく「参考 国内におけるPFOAの有害性評価について」というものがあります。昨年9月の厚労省、経産省、環境省の審議会等において、PFOAの環境モニタリング等のデータを用いた人健康に関しての有害性評価の結果が示されているところです。これを見ますと、米国のRfDである0.00002mg/kg/日、20ng/kg/日を評価値として採用している。リスク評価の基となる数字、比較するべき数字として、20ng/kg/日を使っているという事例がございますので、御紹介しておきます。
 15ページの暫定目標値案です。TDIとして20ng/kg/日を使い、体重50kg、水道水の割当率10%、1日当たりの摂取量2Lを適用して、計算式は下にありますが、目標値案としては50ng/Lという計算になります。PFOAについても、TDIがPFOSと同じ値になりますので、こちらも同じように暫定目標値案としては、50ng/Lという計算になります。
 アメリカのUSEPAにおいては、PFOSとPFOAのそれぞれについて、健康勧告値を70ng/Lと算出しているところですが、両方が飲料水中に認められる場合は、これらの総濃度を70ng/Lと比較するべきとしております。この理由としては、両者の参照用量(RfD)は、類似の発達影響に基づいており、また数値も同一で、飲料水中にこれらは同時に同じ場所で見られるということもありまして、保守的で健康保護的なアプローチとして合計値と比較するということが示されています。こうした考え方は妥当なのではないかと考えられることから、暫定目標値案についても、PFOSとPFOAの合算値として50ng/Lとしてはどうかという御提案です。
 (6)のPFOS及びPFOAの位置付けの変更です。現在、要検討項目に位置付けられているところですが、これらについてはPOPs条約の廃絶の対象物質ということで、化審法でも既に規制済み、PFOAは規制対象の予定ではありますが、水道の原水からも一定程度検出される状態が継続していますので、当面、水質管理に注意を払っていくことが適当と考えられます。
 したがって、これらの物質を、国から水道事業者等に対して水質基準に準じた検査等に努め水質管理に活用することを要請する水質管理目標設定項目へと位置付けを変更することとしてはどうかと考えています。
 最後に17ページの2-4.今後の見直し方針(案)のまとめです。(1)が農薬類です。これは先ほど御説明申し上げたとおりですが、対象農薬リストに掲載農薬類3物質については、今後パブリックコメントを行って、厚生科学審議会生活環境水道部会を経まして、見直しを行い、4月1日から適用することとしたいこと。それから、その他農薬類については、生活環境水道部会における審議をもって、同じく4月1日から適用することとしたいこと。それから、下の(2)のPFOS、PFOAについては、今後パブリックコメントを行い、生活環境水道部会を経まして、4月1日から適用することとしたいこと。その際に、項目名としては、両者の合算値ということですので、ぺルフルオロオクタンスルオン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)に変更し、暫定目標値として、これらの量の和として、0.00005mg/L、すなわち50ng/Lとすると。それから、要検討項目から水質管理目標設定項目へ変更するという内容で、今後の手続を行っていきたいと考えております。説明は以上です。
 
〇松井座長
 ただいまの説明について御質問、御意見を頂きたいと思います。特に、毒性評価の耐容一日摂取量の評価値の違いが2桁にも及んでいるということなので、その中でどの値を取るかという点について、広瀬委員からお話いただきたいと思います。特にその中で、米国のATSDRの評価値や、欧州食品安全機関(EFSA)の評価値についてはどのように考えたらいいのかということです。EFSAについては、オランダやドイツの見解も示されているところですが、我が国としてどのように考えたらいいのか御意見を頂ければと思います。
 
〇広瀬委員
 全体的な概要と導出、最終的にはTDIが20ng/kg/日になった過程については、今の説明にあったとおりです。暫定値としなければいけなかったということについては、毒性学的評価というのは、まだ各国でかなり差があるということで、それについては後で少し補足することもあると思いますが、各国で設定している値の一番低い値です。ただ、一番低い値といっても、厳しく見ればどれだけでも毒性評価は厳しく見立てられるので、ある程度国際的なコンセンサスが得られそうな辺りという妥当性を考えると、米国のEPAが今使っている20ng/kg/日がいいのではないかというのは、私としても支持できると思っているところです。
 まずATSDRの値が低いということについて、そもそもATSDRの値の導出の目的が先ほど説明があったように、行政的な施策のためのスクリーニングレベルという値を勧告するという位置付けですし、資料にも説明があるかもしれませんが、現時点では慢性影響についての参照値は出ていないということもあるということで、最後の別紙5で説明している各国の評価にはあえて加えてありません。そういう意味では、国の決めた評価値という位置付けではないなということで、そこには説明は入っていません。その代わりATSDRの説明はこの本文のほうに入っているので、そこに採用しなかった理由を記載したということです。
 国レベルあるいは国際機関レベルでということであると、欧州食品安全機関(EFSA)の値というものがあって、人での疫学的なデータで解析しているわけですが、まだまだ疫学の専門家の中でも合意が得られていないし、指標となったコレステロールの影響ということ自体の毒性学的意義についても、御存じのようにコレステロールなので、肥満などの成人病的マーカーにはなると思うのですが、毒性学的な影響に直接つながるかどうかという話は、議論のあるところでもあります。そういった意味も含めて、まだまだ評価値として採用するのは時期尚早ではないかということです。
 それ以外のところで妥当なところでというと、米国のEPAの値になるということです。この値の根拠となった毒性は、実はニュージーランドやオーストラリアも採用していますし、説明はないかもしれませんが、デンマークでも実は採用しています。ただ、計算の仕方は微妙に違うので、キースタディとしてはEPAが採用した実験データを採用しているということです。そのデータを採用した中で、EPAが最も厳しめに算出しているということで、現時点で可能な限り低くて妥当な数値を採用するということであれば、EPAの数値を採るのが妥当ではないかということです。
 オランダ、ドイツとありますが、これらの国はEFSAの値を否定的に発言しているという話もありますが、その前に表2を見ていただくと、各国がかなりばらばらな目標値を設定しているといったことがわかります。これは、目標値は健康評価値に摂取量を加えて計算しているので、これらの値が健康影響評価を厳しくしているかどうかということと、必ずしもパラレルではないのです。国によっては飲料水の摂取量を多く見積もったり少く見積もったりするので、健康評価値の値は直接は反映いたしません。
 先ほどの繰り返しになりますが、なぜ最近のEPAとか、あるいはニュージーランドなどの値のやり方がいいかというと、大体10年前ですかね、実は2008年にEFSAは、もう少し高い値で1度評価しているのです。ヨーロッパの国レベルでは今、それをまだ使っている所もあって、それに基づいて目標値を設定したりしているところはあります。2011年ぐらいまでは、体内動態の補正というのは不確実係数で300にしたりとか、ざっくりした評価だったのですが、EPAのやり方になったときからPBPKモデルという、体内動態のモデルを使ってもう少し精緻化した補正をし始めたのはここ数年、5年ぐらいの間であって、そういったやり方のほうが妥当であるということも含めて、EPAのやり方が今のところ保守的で一番妥当ではないかというのが補足説明です。
 各国の中で単純に一番低い水質濃度としての目標値を採用したのではなくて、一番低い健康評価値を取りあえず採用したということです。それが14ページの②です。まず体内への摂取量ではどのぐらいがいいかというのを見たら、そこから割当率を考えて、水質濃度としての目標値に持っていく考え方は各国別々ですし、日本では体重50kg、割当率10%というのを採ってきているのですが、これはまた違う議論の話になります。毒性評価の考え方については以上です。
 
〇松井座長
 ありがとうございます。そのほかございますか。広瀬先生、そうすると14ページの②で、TDIを20ng/kg/日にするときに使われるデータが一番広く使われているということですか。
 
〇広瀬委員
 最近、国のレベルでエンドポイントとして使われているので。
 
〇松井座長
 最近広く使われていると。その中で実際に導出されたエンドポイントとして、一番低いのがEPAのエンドポイントだということなのですね。
 
〇広瀬委員
 そういうことです。
 
〇松井座長
 あとは、暫定目標値案については、日本のこれまでやってきたやり方で、一日摂取量2L、割当率10%、体重50kgというので当てはめたということですね。
 
〇広瀬委員
 そちらは、毒性評価とはまた別の議論ですから。
 
〇松井座長
 別議論ですが、はい。浅見先生、いかがですか。
 
〇浅見委員
 今の広瀬先生の御説明で、一番厳しい毒性評価の値を用いてということで納得いたしました。あと、その次に割当率とか摂取量を考えるに当たっては、最近のWHOでは割当率20%を下限としてもいいのではないかという議論もあるかと思うのですけれども、今回の場合、食品からの摂取量もそれほど高くはないということで、20%という考え方もあるかもしれないのですが、ここでは今までの厳し目のほうの10%という値を採っていたほうがいいのかなというので、そこも現状の知見では10%ということかなと思います。いろいろな知見がまだこれからも出てくると思いますので、暫定という扱いも致し方ないところかなと思っております。
 PFOSとPFOAを足してという点も、そのようにしていらっしゃる国とそうではない国があるようですが、現状でこういう考え方で安全を見てというところでは、合計値で評価していくというのは暫定的にそれが必要かなと思うのと、この2つだけではなくて、ほかの有機フッ素系の化合物に関しても、国際的には今後も知見がいろいろ出てくるかもしれないのですが、今のところまだ定まっておらず、特に分岐型のものに関しては、恐らく直鎖のものよりも毒性が低いだろうと言われていると思いますけれども、ちょっとまだ現状では評価が十分ではないと思いますので、今後そういったところも併せて見ながら検討していくことになるのかなと思っております。以上です。
 
〇松井座長
 ほかにございますか。それでは、あと広瀬先生に御意見を伺いたいのは、アメリカの一部の州ではEFSA並みの結構厳しめのTDI、低めのTDIを設定しているのですが、それについてはどのように考えたらいいのかです。
 
〇広瀬委員
 それについても10ぐらいの州ですかね、目標値としてはEPAよりも低い値が出ているということはあるのですが、位置付けというのは全部はフォローできていないのですけれども、州によってはATSDRのように、州によってはMCLというアメリカでの基準値、それに対してモニタリングするために意識的に低い値を設定して、それをベースにして、それを超えたら本格的にやろうという値として設定するという部分もあります。全部の州ではありませんが、そういう目的でEPAの値よりも意識的に低くしているという州もあれば、エンドポイントとしてEPAとは違う値を使っている州もあります。
 不確実係数も、国際的なやり方からすると少しきつめな値をつけているかなというのがあります。これらの10個の州は一様ではなく、その州、その州ばらばらでやっているということもあって、それをまとめていくと、これは考え方次第で、どんどん低い値を設定すればするほどいくらでも低くできるという言い方はあれですが、計算の仕方次第というところもあるので、そういう意味では国レベルでやっている、オーストラリアとかデンマークとか、そういった国レベルの評価機関ではそれを使っているので、そういう値を採用する方がいいのではないかということです。あえて州レベルで設定しているというのを取りまとめて、そこでまた一番低いのを使うということは、国際的妥当性というかハーモナイズの観点からは、信頼性が下がるというほどではないのですが、積極的に採用するほどではないのかなと思っています。
 
〇西村委員
15ページの所に米国のEPAでは合算するという考え方が書かれているわけですが、この考え方は、私自身は良いと思うのですけれども、広瀬先生に確認させていただきたいと思います。PFOSとPFOAが類似の発達影響をしているということで、相加的に働くのであれば合算することは理論的にも非常に納得がいくのですが、その辺は何か知見があって、同じようなエンドポイントなので、足して評価をしても問題はないという考え方でEPAの考え方を採用するということですか。
 
〇広瀬委員
 それは、確実には相加的に曝露した実験がないと、はっきりとは言えないのですが、そこまで詳しく精査したのはないのですが、肝臓への影響とか、人への外挿性は少し高くはないのですけれども、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体経由でということであれば、同じようなターゲットで起きているということは知られています。ただ、生殖系への影響ということになると、実はまたターゲットが違うようなので、その点はまだ明らかにはなっていません。しかし、構造の類似性等を考えると、ほぼ同じ毒性学的メカニズムが関係しているのではないかという考え方は、国際的にもそれについては共有されていると思いますので、そういう考え方でいいと思います。
 
〇西村委員
 現時点では、そのような知見だということですね。分かりました。
 
〇松井座長
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、17ページのまとめの所で、農薬類については新しい改正案で、引き続き御検討いただくということ、それから、PFOS、PFOAについては、それぞれ合算して50ng/Lということで、暫定ということになるかと思いますが、そういう方向で検討していただくということでお願いいたします。ありがとうございました。
 最後に、資料1の残りの部分ですが、3.の「水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直し」についてです。事務局から御説明をお願いいたします。
 
〇小林係長
 18ページからです。これまでは、毒性評価等の最新の科学的な知見を踏まえた見直しの検討ということでしたが、もう1つ大事な柱として、水質検査結果の状況による分類の見直しも並行して行っているところです。表5になりますが、検出状況に応じた水質基準項目や水質管理目標設定項目の分類要件をお示ししております。こちらは、平成21年度に開催されました生活環境水道部会において、水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類に関する考え方で了承をいただいている考え方です。こちらの考え方に基づいて、検出状況に応じた分類変更について検討を行いました。
 分類要件としては2つ。まず1つ目が、最近3か年継続して評価値の10%超過地点があるかどうかです。分類要件2としては、1番目の要件を満たした上で、最近3か年継続で評価値の50%超過地点が存在するですとか、5か年の間に評価値を超過した地点があるかどうかということで分類要件をお示ししております。これらの分類要件に当てはまる項目について、実際に変更するかどうかを検討するという流れです。
 (2)集計及び検討結果は、詳細なデータを資料1参考4にお示ししております。こちらは表集計の結果です。参考4の8ページからが水質基準項目の検出結果データであり、12ページからは水質管理目標設定項目の検出結果のデータ、14ページからが対象農薬リスト掲載農薬類の検査結果を取りまとめたものです。こちらの集計については、日本水道協会が取りまとめている水道統計水質編から、最新ですと、平成29年度のデータから集計を行いました。
 本編に戻っていただいて、分類要件に当てはめた結果、水質基準項目としては「陰イオン界面活性剤」、水質管理目標設定項目としては、「ニッケル及びその化合物」が分類変更を検討すべき項目に該当しました。21ページに表6があります。また、表7の農薬類については、水質基準への分類変更を検討すべき項目はなかったということです。基になったデータを、先ほど申し上げた資料1参考4に取りまとめております。
 まず、陰イオン界面活性剤については、昨年度の検討においても分類変更を検討すべき項目に該当したところです。昨年度の検討においては、①~③の項目ですが、平成24年度に50%超過地点があり、平成28年度には基準値の10%値を検出した地点があったということ。あとは、販売量も一定量あるということを考慮しまして分類変更を検討すべき項目ではあったのですが、引き続き水質基準項目に据え置いて管理していくことが適当であるといたしました。また再度、今回、分類の変更の該当項目となったのですが、平成29年度においては、基準値の10%値を超えた地点が2地点存在したということ、また、陰イオン界面活性剤の販売量についても横ばいで安定していることから、引き続き水質基準項目として、給水栓水での検出状況などを注視していくことが適当であろうと考えております。
 陰イオン界面活性剤の販売量については、次の19ページの図5です。こちらの出典は日本界面活性剤工業界のホームページです。界面活性剤のイオン別販売数量の推移ということでお示しをしました。このグラフの中で、四角の菱形、赤色でお示ししたものが陰イオン界面活性剤の販売数量となっております。このほか、一番上にあるのが非イオン界面活性剤ということで水質基準項目となっております。陰イオン界面活性剤の販売数量を御覧ください。一時期、平成19年頃をピークに一度下がって、そこから数年程度横ばいだったのですが、平成24年度からまた急激に販売量が上がり、そこから横ばいで安定している状況が御覧になれるかと思います。このような状況から、やはり、陰イオン界面活性剤においては水質基準項目に据え置いて注視していくべきだろうと考えます。
 一方、水質管理目標設定項目ではニッケル及びその化合物が該当しました。こちらについては、昨年度も水質基準に上げることを検討すべき項目に該当しましたが、19ページの下の四角に昨年度の第1回の本検討会において、ニッケルの検出状況についてお示しをしたことを取りまとめたところです。①~④の結果のとおり、例えば①ですと、目標値の50%値を超えた地点は同一地点ではあったのですが、もうこの水源は廃止されており実際には使われていなかったということ。また②、平成25年度についても、高濃度のニッケルが検出されたところでしたが、水道事業者に確認を行ったところ、検出された日に同一の採水地点で採水した別試料においては、ニッケルは低濃度であったということで、給水栓の材質等から、もしかしたら採水時に細かい破片とかそういうものが混入した可能性が考えられたが特定できなかったというデータです。また③、平成27年度においては、既に管理運転のみを行っており、実際には給水されていない水であったこと。④平成28年度においては、そもそも50%値超過地点がなかったということで、引き続き、水質管理目標設定項目として給水栓水での検出状況を注視していくことが適当であると結論したところです。
 20ページ、今回、取りまとめた結果です。平成29年度のデータにおいて、評価値50%超過が1地点ありました。ただし、水道事業者に確認を行ったところ、この水源は平成30年度から廃止して使っていないということで、こちらの給水栓水についても、実際にはもう給水されていない水だったということでした。このことから、四角の中の①と同様に、このデータを水質基準に分類するかどうかという判断をする根拠としては適当ではないと考えられます。したがって、昨年度の結論と同様、ニッケル及びその化合物についても、引き続き水質管理目標設定項目として検出状況等を注視していくのが適当ではないかと考えられます。
 以上、まとめということで(3)今回の分類の見直し方針です。浄水中、給水栓なのですが、検出状況による水質基準及び水質管理目標設定項目の項目間の分類変更は行わないこととしたいと考えております。説明は以上です。よろしくお願いします。
 
〇松井座長
 御意見があればお願いしたいと思います。
 
〇小林委員
 陰イオン界面活性剤についてなのですが、図5で販売量が示されている陰イオン界面活性剤は、告示法で測定対象としている陰イオン界面活性剤なのでしょうか。告示法ではC10~C14のLASを測定対象にしてますが、実際の販売量の内訳は変わっていないということでよろしいのでしょうか。
 
〇小林係長
 ホームページ以上のものが確認できなかったところですので、この陰イオン界面活性剤の販売量の中で、LASやその他の陰イオン界面活性剤の割合については、こちらでは把握はできなかったところです。
 
〇小林委員
 その内訳がもし変わっているのだとすると、告示法で見ているC10~C14のLASは検出されないけれど、実際には違う種類の界面活性剤が検出される可能性もあるかもしれないので、そういったところを少し見ていかないといけないのではないかと思って質問しました。
 
〇松井座長
 そうですね、はい。小林先生、LAS以外のものも、C14までは測定できるのですか。
 
〇小林委員
 原理的には測定できるのですが、今はC10、C11、C12、C13、C14の5種類のLASの標準品を使って、HPLCを使ってピークを見ているので、ほかの界面活性剤は見ていません。実際に販売されている界面活性剤と、測定している物質が合っているのかどうかという意味で質問しました。
 
〇松井座長
 まずはそこから検討していったほうがいいのではないかということですね。
 
〇小林委員
 それが確認できているのかどうかを伺ったということです。
 
〇小林係長
 その販売の割合とか細かい種類別というところまでは把握はできていない、確認できなかったところです。
 
〇松井座長
 私も今のことは気になりますので、これからも引き続き、まずは販売量などは調べられれば調べて、あとは必要に応じてモニタリングも必要であればモニタリングをしなくてはいけないと思いました。小林先生、ありがとうございました。では浅見委員。
 
〇浅見委員
 今のとはちょっと別なのですが、先ほど御説明の中でニッケルの件がありまして、測定時に破片が入ったのではないかという御指摘がありました。恐らくなのですが、水道の給水栓の蛇口を調べますと、最初に出てくる初流に関しては結構ニッケルが出ることがありますので、必ずしも破片でなくても溶出するものはあったのかもしれない。そういう採水時の問題だったのかもしれないかと思いますが、全体的に検出が下がって、特に基準超過のものがなくなっているということですので、対応としてはいいかと思いますが、給水栓の最初の所はやはり一応、注意が必要かと思います。
 分類見直しはいいのですが、この表を見る機会は多分、1年に1回だと思うので、結構、基準超過が幾つもまだあるのが気になります。例えば、8、9ページの所で改めて拝見しますと、一般細菌で5件、それから9ページの塩素酸で8件、クロロ酢酸で1件、クロロホルムで2件、ジクロロ酢酸で3件、総トリハロメタンで1件、トリクロロ酢酸で8件ということで、結構、夏が暑かったりとか、消毒副生成物ができてしまい、やむなく基準超過をしてしまうケースがあったり、あと、災害もあったりということもありまして、そういう影響もあったのかもしれないのですが、この基準超過になってしまう原因をしっかりと調べていただいて、改善がされていることを次の年に確認できるようにしていただきたいと思います。併せてきちんと、健康危機管理実施要領に基づく報告がなされていたかどうかとか、きちんと対応がされていたかどうかというところも御確認いただけると有り難いと思います。
 次のページにも幾つか基準超過があります。性状項目でも、アルミニウム、鉄、マンガンですとか、臭いに関しては幾つかもともと存じ上げているところはあるのですが、性状なのでということで余り給水停止にはならずに行っているかと思うのですが、そういった点についてもきちんと改善ができるようにしていただく必要があるかと思いましたので、よろしくお願いします。
 あと、ニッケルと遊離炭酸とか目標値のあるところについて、蒸発残留物はちょっとマイナーな項目なのですが、意外と超過が多くて、蒸発残留物が200mg/Lを超えているところが677ということなので、この辺も本当は気にしていかないといけないかもしれないかなとは考えました。以上です。
 
〇松井座長
 ありがとうございます。基準超過の場所から何か報告とか上がってきているのですか。
 
〇浅見委員
 消毒副生成物ですね。
 
〇小林係長
 消毒副生成物については報告があったり、あとは、しっかりやられている所においては、例えばカビ臭が出たところについても御報告をいただいている例   はありますが、例えば、一般細菌について、平成29年度のものなので詳細は分からないのですが、基準超過した全事例について報告いただいているかというと、そうではないというところです。
 
〇松井座長
 ほかにございませんでしょうか。それでは、ただいまの、資料1の残りの部分の説明をいただいた件については、頂いた意見を踏まえて引き続き検討いただきたいと思っております。ありがとうございました。それでは議題の残りは「その他」がありますが、事務局から何かありますでしょうか。
 
〇小林係長
 特に用意しているものはありません。
 
〇松井座長
 それでは、以上で本日の議題は終了しますが、全体を通じて何かコメントがありましたら、最後に何かあれば、よろしいですか。浅見委員。
 
〇浅見委員
 こちらの検討会は主に化学物質ですとか基準全般のことを検討していて、微生物問題検討会は微生物関係のことを担当しているかと思うのですが、ちょっと昨今の状況で、微生物関係のことについて、今後何かお知らせを出される御予定とか何かあれば御助言いただければと思うのですが。
 
〇小林係長
 水道課からは、昨今、新型コロナウイルスに関して、水道事業者や水道行政の担当部局に対して事務連絡として何件か通知をさせていただいているところです。水道事業者が主催されるような啓発イベントで感染拡大防止のための対策を取っていただくことなど、そのほか幾つか事務連絡を発出しているところです。
 
〇松井座長
 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして、本日の検討会を終了したいと思います。ありがとうございました。
 
〇青木補佐
 本日は活発な御議論をいただきましてどうもありがとうございました。本日の議事録については、事務局で案を作成しまして、皆様に御確認いただいた後にホームページで公表しますので、よろしくお願いします。これをもちまして閉会といたします。本日は長時間にわたり誠にありがとうございました。
 

 

(了)

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