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2019年7月2日 令和元年度第1回水質基準逐次改正検討会

○日時

令和元年7月2日(火) 13:30~15:30

 

○場所

国立感染症研究所 共用第1会議室
(東京都新宿区戸山1-23-1)

○出席者

松井座長、浅見委員、泉山委員、伊藤委員、亀屋委員、小林委員、西村委員、広瀬委員

○議題

(1) 六価クロム化合物に係る水質基準に関する省令等の改正について
(2) 水質基準等の改正方針について
(3) その他

○議事

 

○小林係長 
それでは定刻となりましたので、ただいまより令和元年度第1回水質基準逐次改正検討会を開催いたします。委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらずお集まり頂きましてありがとうございます。本検討会の開催に当たり、事務局を代表し、厚生労働省医薬・生活衛生局水道課水道水質管理官の柳田より御挨拶を申し上げます。
 
○柳田水道水質管理官 
水道水質管理官の柳田です。委員の先生の皆様におかれましては、日頃より水道水質行政の推進につきまして御協力いただき、誠にありがとうございます。本日は、いつもと違う場所での開催ということになりましたが、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。
 水道の水質基準や、それに準ずる水質管理目標設定項目、要検討項目といったものにつきましては、最新の科学的知見に基づき、逐次改正方式により見直しを行うこととしており、毎年この検討会を開催して検討を行っているところです。昨年度の検討会におきましては、六価クロム化合物に関する目標値の見直しについて御議論いただいたところですが、本日はその見直しを踏まえた省令等の改正方針等について御議論いただきたいと考えております。
 また、水質基準等の改正方針につきましては、有機フッ素化合物であるPFOS、PFOAについて、平成21年4月にこの検討会で要検討項目に位置付けて知見の収集に努めてきたところではございますが、近年、各国や各機関で目標値設定などの動きもあるということでして、そういった状況を踏まえて御議論いただければと考えているところです。本日は忌憚のない御意見を頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○小林係長 
検討会の委員については、お手元にお配りしました参考資料1にあるとおりです。昨年度から変更はございません。本日の出席状況ですが、委員8名全員に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、配布資料の確認をいたします。まず議事次第が1枚、資料1としてホッチキス留めが1つ、資料2としてホッチキス留めが1つ、参考資料が1から3まであります。配布資料は以上です。不足等がございましたら事務局までお願いいたします。
 続いて、以降の進行に先立ちまして、座長の選出を行います。参考資料2に検討会の運営要領を付けてあります。こちらの3(2)に、「座長は令和元年度第1回検討会において構成員中から選出する」とあります。事務局といたしましては、昨年度の座長の松井委員に引き続き座長をお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、以降の進行につきましては、松井座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○松井座長 
それでは、私のほうで議事を進めさせていただきます。議事に入る前に、本検討会の公開の取扱いについて事務局より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○小林係長 
同じく参考資料2の運営要領の4その他に「(3)検討会の公開の取扱いについては、検討会において決定する」とあります。その取扱案は、参考資料3にあるとおりです。この検討会は水道課長の設置する検討会ですが、個人情報の保護等の特別な理由がない限り、基本的に公開とすることとしておりますので、本検討会は原則公開です。開催予定、委員のお名前、御職業、会議の資料、議事録についても併せて公開とさせていただいています。ただし、検討に必要なため、取りまとめ前の中間段階の調査結果、あるいは先生方から未発表の研究成果を出していただく場合は、知的財産権の保護という観点もあり、非公開とさせていただきます。なお、今回の検討会については、資料は全て公開といたします。よろしいでしょうか。
 
○松井座長 
よろしいでしょうか。それでは、特に意見はございませんので、そのような取扱いでよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入ります。まずは議題(1)「六価クロム化合物に係る水質基準に係る省令等の改正について」です。事務局から御説明をお願いいたします。
 
○小林係長 
資料1の六価クロム化合物に係る水質基準に関する省令等の改正について(案)に基づいて説明いたします。まず経緯です。平成30年9月18日に食品安全委員会の答申により、食品健康影響評価の結果が通知されました。この結果に基づき、平成30年11月15日に開催した水質基準逐次改正検討会において検討を行い、今の評価値0.05㎎/Lを0.02㎎/Lに強化することが適当との方針案を取りまとめたところです。また、翌年の平成31年3月13日に、厚生科学審議会生活環境水道部会において、上記方針案について御審議いただいて、了承を得たところです。
 この結果を踏まえ、六価クロム化合物の水質基準を改正することについて、食品安全基本法第24条第1項第7号の規定に基づき、厚生労働大臣より食品安全委員会委員長に食品健康影響評価について意見を求め、その後パブリックコメント手続等を経て新基準値を設定する予定としています。この新基準値の設定が行われた場合に、関係する省令等を改正するということで、その影響について検討を行ったところですので、資料1に基づいて御説明いたします。
 2番、六価クロム化合物に関する情報収集及び検討状況について御説明いたします。まず(1)新基準値案ですが、資料1の参考1を御覧ください。六価クロムの新評価値設定の考え方についてです。昨年度の水質基準逐次改正検討会で検討したものを抜粋して取りまとめています。食品安全委員会の評価結果として、平成30年9月18日にTDIを1.1μg/㎏体重/日としたところです。この新しいTDIから1日2L摂取、体重50㎏、寄与率60%として算出される新評価値が0.02㎎/Lだったということで、こちらについて検討を行っているところです。
 この新評価値について食品安全委員会の意見を求めるに当たり、再度最新の科学的知見を収集する必要がありましたので、六価クロム化合物の健康影響評価に関する平成30年9月18日以降の文献について情報収集を行いました。その結果については、資料1の参考2にお示ししています。六価クロム化合物の健康影響評価に関する文献レビューについてです。表1のような検索条件に基づいて文献検索を行いました。
 その結果、得られた文献が表2です。こちらについては13件の文献が得られましたが、このうち何らかの健康又は毒性影響を見ていると思われるものは1件ということで、表2の9番目の文献です。9番目の文献について、参考2の4ページに「上述した該当文献の概要を以下に示す」ということで、製油所のパイプラインや圧力容器の製造、造船業に従事する溶接工のグループに対して、溶接したときに出る煙の中に含まれる六価クロム等のばく露によるがんリスクについて評価したところです。その結果、がんリスクについては、3つのグループにおいて同程度に高いことが分かったということですが、大気中の摂取ということで、少なくとも飲み水からの影響を評価しているものではなかったということです。このことから、平成30年9月18日以降、何らかの新しい情報はないと考えられますが、この文献レビューについては現在、食品安全委員会と事前調整中でございます。
 資料1の2番(2)六価クロム化合物に係る情報については、資料1の参考3にお示ししております。こちらについては事実関係ということで、一部の説明は省かせていただきますが、検出状況について説明させていただきます。こちらについては参考3の2ページの7番です。水道からの検出状況ということで、六価クロム化合物について、平成24年度から平成28年度までの5年間について、日本水道協会が発行している水道統計のデータより、給水栓水の水質検査結果について取りまとめたもので、新評価値に対する検出状況は表のとおりです。この中の最高値は平成25年度の0.01mg/Lで、新評価値の50%値を超える検出地点はありませんでした。
 また、都道府県の水道行政部局に対して、都道府県知事認可の簡易水道事業者の六価クロム化合物の検出状況についても聞き取りを行いました。その結果、新基準値を超える所はないということでした。
 資料1の2番(3)検査法に関する検討結果です。現在、六価クロム化合物については、水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法、検査法告示があります。その中において、現在4つの方法が定められています。平成31年2月14日に平成30年度第1回水道水質検査法検討会が行われ検討を行ったところ、今後、水質基準値が強化されることとなった場合、4つの方法のうち、フレーム-原子吸光光度計による一斉分析法(別表第4)の定量下限値は、新基準値案の1/10である0.002㎎/Lを満たしていないこと、また、別の検査方法で分析が可能であるとのことから、当該検査法の対象項目から六価クロムを除外することが適当と結論付けられております。こちらについては、参考4に水道水質検査法検討会の資料を添付しています。
 資料1の2ページです。3番、薬品等、資機材等、給水装置における調査結果です。水道施設の技術的基準を定める省令の別表第1に掲げる薬品等基準及び別表第2に掲げる資機材等の材質基準について、現在、六価クロム化合物に関しては0.005㎎/L以下であることとしており、現在の水質基準値の1/10となっています。また、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の別表第1にも、六価クロム化合物に係るものが設定されております。そのうち、給水装置の末端に設置されている給水用具の浸出液に係る基準値が0.005㎎/L以下であり、これは今の水質基準の1/10で、給水装置の末端以外に設置されているものについては、0.05mg/L以下であることとなっています。
 これらの基準値の見直しについて検討するため、公益社団法人日本水道協会の協力を得て、主な薬品等における評価試験データ並びに資機材や給水装置における性能試験データを取りまとめています。厚生労働省においても、現在市場に出回っている給水装置をランダムに買い、それらの浸出性能試験を国立保健医療科学院に依頼して実施しており、こちらについても結果を取りまとめています。参考5に具体的な結果を示しました。
 資料1の参考5、水道用薬品等の六価クロム化合物に関する調査結果ということで、1ページ目に日本水道協会に取りまとめていただいたもの、2ページ目に厚労省が調査した結果が取りまとめてあります。①は、水道用薬品や水道用資機材の衛生性確認試験結果を取りまとめたものです。こちらについては水道用薬品、水道用資機材いずれも0.002㎎/L以下であったことが分かりました。
 ②は、資機材及び給水装置の浸出性調査を表にまとめていますが、こちらについても補正後の値が0.002㎎/L以下、補正を行わない給水装置についても0.002mg/L以下でした。
 2ページ、厚労省が調査いたしました試買試験について、平成29年度と平成30年度の結果を示しました。全ての結果で補正後の値が0.002mg/L以下でした。このことから、水質基準が強化されたとしても薬品や資機材、給水装置において影響はないものと考えております。
 お戻りいただいて、資料1の3ページからは、具体的な省令等の改正について(案)をまとめました。(1)水質基準に関する省令については、水道により供給される水の基準について、六価クロム化合物の基準を「0.02㎎/L以下であること」とします。
 また、(2)検査法告示においては、六価クロム化合物の検査方法より別表第4、フレーム-原子吸光光度法による一斉分析法を削除する方向が適当と考えられます。
 (3)水道施設の技術的基準を定める省令については、別表第1に掲げる薬品等基準について、また別表第2に掲げる資機材等材質基準について、六価クロム化合物の基準を「0.02㎎/L以下であること」とします。ただし、こちらについては施行日時点で現に設置されている資機材等については、当該水道施設の大規模な改造時までは、改正後の規定の適用を猶予する、いわゆる猶予規定を設けます。
 (4)資機材等の材質に関する試験については、(2)と同様に、六価クロム化合物の分析方法からフレーム-原子吸光光度法を削除することとします。給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の別表第1に掲げる浸出液に関する基準については、末端に設置されている浸出液の基準について「0.002mg/L以下であること」、末端以外に設置されている給水用具の浸出液に関する基準については「0.02mg/L以下であること」とします。こちらについても(3)と同様に、給水装置の大規模な改造時までは、改正後の規定の適用を猶予することとします。
 (6)給水装置の構造及び材質の基準に係る試験については、(2)や(4)と同様に、フレーム-原子吸光光度法を削除することとします。なお、水質検査の回数等について変更する必要はないため、水道法施行規則について改正は行わないものとします。これまで説明した基準値の改正について取りまとめたのが、資料1の4ページにある表です。これらの施行時期については、令和2年4月施行を考えています。
 5番目、今後の予定(案)ですが、今後、食品安全委員会に意見を求め、同委員会より評価結果が得られた後、直ちに意見募集を行い、厚生科学審議会生活環境水道部会等における審議を経て、水質基準に関する省令等の改正を行い、令和2年4月1日からの適用を考えております。事務局からの説明は以上です。
 
○松井座長 
ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたらお願いします。
 
○伊藤委員 
基本的なことですが、参考1は前回のこの検討会で結論が出ていることなので、復習になって恐縮ですが、四角で囲われた所で、発がん影響と非発がん影響を分けずに評価を行ったとあるのは、具体的にはこの評価値の導出過程で技術的にどのようなことを意味するのでしょうか。広瀬先生、いかがですか。
 
○広瀬委員 
申し訳ありません。この分けずに行ったというのは発がんの遺伝子毒性がある発がんの影響、遺伝子毒性がない非発がん影響を区別するとき、分からない場合は両方の評価をするというふうな、食品安全委員会でそのようなスキームを立ててやっているのですが、今回の場合はメカニズムがかなり詳細に調べられているといったところがあるので、それをベースに評価したと。結果的に、非発がん影響という評価がメカニズムとして明らかになったので、それで行ったということです。最初から両方やるというわけではなく、メカニズムベースで評価したという意味だと思います。
 
○伊藤委員 
ありがとうございます。発がん影響もあったのですか。
 
○広瀬委員 
動物実験では発がんは見られています。ただ、消化管吸収で、特にヒトから接種する場合においてはそういった遺伝毒性の影響ではなく、細胞毒性の影響でもって起きるメカニズムを外挿することが適当であろうということで、遺伝毒性があると、普通はユニットリスクといったようなアプローチを取りますが、そのようなアプローチは取らず不確実係数のアプローチで評価したということです。
 
○松井座長 
ありがとうございます。ほかにございますか。
 
○浅見委員 
ありがとうございます。大分長く議論をしてきたかと思いますが、事務局からの御提案で基準値の見直しと測定法の見直しは妥当なところではないかと思います。今後の資料についてですが、資料1の参考3で六価クロム化合物についての関連情報を準備していただいていまして、これは恐らく、前からの資料でクロムのいろいろな形態のものが入っていて、主たる用途としては鉱山排水等が含まれるという昔の専門委員会の報告が書いてありますが、今回、食品安全委員会でも議論になりましたように、この六価になってしまうところが、水道の中の塩素で六価になってしまうところがあります。毒性評価でも難しいのは、六価がまた体の中で三価に還元される等いろいろありますが、飲料水の中ではやはり六価クロムを全量六価クロムとして評価をしようということで、今回見直しがなされると理解しておりますので、そこが参考3の所で水道水でそのような知見が分かってきているというようなことを、後でまた加えられればいいかなと思っております。
 先ほどから御指摘のあるような評価や薬品と資機材の基準の見直しと、給水装置は、いずれも大分、クロムに関しては昔から対策が取られてきて基準超過のものが見られないこともありますので、今回下げても社会的な影響は最小限で十分達成できるのではないかと思っております。以上です。
 
○松井座長 
ほかにございますか。
 
○広瀬委員
 先ほどの追加のコメントですが、動物には発がんというのがエンドポイントとして見られましたが、それよりも過形成のほうがもっとも感受性が高かったので、それをもとに評価値を算出したという意味になります。
 
○亀屋委員
 不勉強なので教えていただきたいのですが、まずは分析法のところで六価の検出を見ているわけですが、一緒に共存すると思われるような三価の取扱いはどのようになっているのかを教えていただきたいのと、あとは資機材、給水装置のところでデータを丁寧に出しておられるからだと思いますが、コンディショニングや補正はどのような目的でやられていて、どのような考え方なのかを教えていただければと思います。
 
○小林係長 
まず分析法で三価のものをどう取扱っているかですが、この分析法で測定を行うと水中に含まれる三価クロムも六価クロムも検出されるため、実質的には全クロムを測っている状態です。
 
○亀屋委員
 あとはコンディショニングです。
 
○小林係長
 コンディショニングや補正ですが、給水装置の試験において、末端の給水用具などについてまず通常の使用形態にするために、一旦給水装置の中身に水をためて流すというような、コンディショニングを行っているのではないかと思います。
 
○松井座長
 浅見委員、補正の補足をお願いできますか。
 
○浅見委員
 ありがとうございます。先ほどの補正の部分ですが、蛇口の中の容積がありますので、その中の容積を単に溶出した部分の計測値ではなくて、蛇口の中の容積に対して流れる水の割合を計算して、少し通常の状態に近いような形で補正を掛けて評価するという方法をかねてより行っております。それで実測値よりも補正値が大分低い値になっております。実際使われるときには水を流して使いますので、そのときの値に近いものということで評価をするような方式が以前から定められているところで、それにのっとっているかなと思います。
 最初に御質問のあった1ページの六価クロムの考え方ですが、資料1参考1の(2)の評価結果を踏まえた考え方という所です。そこに小さな字で※で、食品安全委員会の評価書では水道水における総クロム中の六価クロムという表現がありますが、計測するときには今、全て一般的に測られている場合には総クロムで測るのが現実的で、六価クロムだけを取り出して測ろうとすると、ICP/MSやいろいろ特殊な方法で測らないといけないので、なかなか測れないということと、あとは形態が変わってしまうこともありますので、基本的に総クロムで見るのがよいだろうということと、総クロムの中で六価クロムがどのような状態かというので見てみると、水道水の中で残留塩素が存在していると、だんだん酸化されていって7割程度が六価クロムになってしまうことがあり、それが7割かもしれないし、8割かもしれないし、もう少し低いかもしれませんが、全量を、六価クロムの毒性が高いので、その評価値で評価値を定めていくというようなことで、全量を六価クロムとして考えようとなっております。ですので、本当は六価クロムではなく、クロムという名前のほうがいいのではないかと思ったりもしますが、昔から六価クロムと呼ばれている物質だということで、名称も六価クロムのままと理解しております。ありがとうございます。
 
○伊藤委員
 3ページ、(3)水道施設に関する省令、(5)給水装置についてですが、適用を猶予するという規定がセットだとあります。そこの適用猶予に関する必要性について教えていただければと思います。特に、(5)の基準については、既に設置されている装置であれば、それは改めて浸出試験をするようなことがあるだろうかという点も含めて、この猶予の必要性について御説明いただけると有り難いです。
 
○柳田水道水質管理官
 ありがとうございます。猶予につきましてはこれまでも設けておりまして、今回も案として入れたところです。今回出回っているものは、恐らくが0.002mg/Lや0.02mg/Lを下回っているだろうと考えられますが、現在は0.05mg/Lや0.005mg/Lといった基準がありますので、そこを満たすものというものが、実際あるかどうかは分かりませんが、そういったものは認められているものです。これが例えばすぐ適用となると、実際それを測って確認してということで、満たしていなかったら、全部交換しなければいけないというようなことにもなりかねないということにもなりますので、それは余り現実的ではないだろうということで、今あるものはOKとしておき、ただ、次の更新時期に新たに交換するものについては、新しい基準値0.002mg/Lや0.02mg/Lを満たすものにしてくださいというようなことで、そういった規定を設けてはどうかというふうに事務局としては考えているところです。
 
○松井座長
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは資料1については大きな修正意見が出ませんでしたので、資料1の方針に基づいて作業を進めていただければと思います。ありがとうございました。
 では、本日の議論を踏まえて、水質基準の改正の方針につきまして、事務局から再度検討をお願いしたいと思います。先ほど設明いただきましたが、今後の予定についてもう一度御説明をお願いいただけますか。
 
○柳田水道水質管理官
 それでは今後の予定について、改めて説明いたします。今回六価クロム化合物の改正の方針につきまして、いろいろと御意見を頂きありがとうございました。先ほども申しましたが、食品安全基本法の規定に基づき、今後、内閣府食品安全委員会の意見を聞くことといたします。そこで、今の0.02mg/Lという評価値(案)で了解を頂きましたら、それに基づきパブリックコメント等の手続を行い、その後、厚生科学審議会の生活環境水道部会等でも御議論いただき、新しい基準値を設定したり、新基準値の改正に伴う省令改正等の改正を行い、手続を順調に進め、来年4月1日から適用したいと考えています。
 万一、大きく変わるようなことがありましたら、そのときには御連絡させていただきますし、特段大きな問題がなければ、次回以降の検討会で状況を報告させていただきたいと思います。以上です。
 
○松井座長
 ありがとうございます。それではそのように進めていただければと思います。
 続きまして、議題(2)に入ります。「水質基準等の改正方針について」です。事務局から御説明をお願いします。
 
○柳田水道水質管理官
 それでは、資料2に基づいて説明いたします。資料2の1ページ目、これはいつものペーパーですが、水質基準については、平成15年の厚生科学審議会の答申におきまして、最新の科学的知見に従い、逐次改正方式により見直しを行うこととされております。このため、この検討会を設置して検討を進めているところです。水質基準等については、体系図として、一番上にある水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目といった3種類の項目を定めており、それぞれ検討を行っています。
 現在の状況です。まず、食品健康影響評価の結果を踏まえた見直しということで、2ページ目になります。内閣府食品安全委員会で、随時、農薬類に関しては食品健康影響評価の結果が示されているところです。前回、平成30年9月ぐらいまでの結果に基づいて御検討いただいたところですが、今年の2月末までに結果が示されているものは、ここの表1に記載のとおりです。ここに書いてあるとおり、対象農薬リスト掲載農薬類が2つと、その他農薬類が5つとなっています。網掛けの部分が、現行評価値と異なる評価値が得られたということです。
 農薬類については、これ以降も、新たに食品健康影響評価の結果が食品安全委員会のホームページ等で示されています。これについては引き続き、食品健康影響評価の結果等を見ていきまして、次回以降、もう少し集まった段階で、改めて農薬類の目標値の検討を進めていきたいと考えております。ただ、ここに書かれている農薬で、何か特に注視するものがありましたら、御意見等を頂ければということになります。これらの詳細、評価の概要については、資料2の参考1に付けております。農薬のそれぞれについて、ADI、試験の種類とか、どのような動物を使ったとか、エンドポイント、NOAELやLOAEL、不確実係数といったような概要を載せているところです。
 もう1つ、資料2の3ページ、PFOS及びPFOAに関する検討です。まず、経緯です。有機フッ素化合物の1つであるペルフルオロオクタンスルホン酸、いわゆるPFOSについては、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)において、平成21年5月に使用制限の対象物質として新規登録されました。国内においては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律において、平成22年4月以降は、特定の用途を除いて製造・輸入・使用等が禁止されています。また、ペルフルオロオクタン酸、いわゆるPFOAですが、これについては、今年の4月から5月にかけて開催されましたPOPs条約の第9回締約国会議において、付属書Aに追加されて、特定の用途を除き廃絶することが決定されたところです。
 一方、水道水質に関しては、平成21年4月にPFOS、PFOAを要検討項目に位置付けて、水道水における検出状況の把握や、科学的知見の収集に努めているところです。この検討会でも、平成22年度にPFOS、PFOAに関する最新の評価書をレビューし、主要な科学的知見の抽出、検討を行ったところ、以下の結論が得られたところです。この具体的な検討については、資料2の参考2に、平成22年度の検討会資料のPFOS、PFOAに関する部分を抜粋しています。1枚目の表裏がPFOS、2枚目の表裏がPFOAとなっております。結論としましては、ほぼ同様です。いずれも裏面の下にありますが、それを抜粋したのを資料2の3ページ目に記載しています。「さらなる体内動態解析情報やヒトへの外挿性に関するメカニズム研究情報を収集することにより、評価値を検討するとともに、より正確なばく露マージン等を求めるためにも、WHOが求めているように、飲料水濃度や環境中濃度のモニタリングの継続が望ましいものと考えられる。引き続き、要検討項目として、存在状況調査等について知見の集積を図ることにする」となっております。そのようなこともあり、現時点においては、WHOにおいてPFOS、PFOAのガイドライン値が設定されていないこともあり、我が国においては、PFOS、PFOAの水道水質に関する目標値については設定していないということです。ただ、近年、海外において、PFOS、PFOAに関する飲料水の目標値が設定されるといった新たな動きもあります。そういった知見もありますので、改めて整理を行ったところです。
 (2)現在の各国における目標値の設定状況です。海外において、法的拘束力のある飲料水に関する基準は設定されていないのですが、幾つかの国においては、目標値という、法的拘束力はないのですが、目標値といったものを定めているところです。主なものとして、例えばアメリカですと、PFOS、PFOAは70ng/L、これは合計でとなっております。またドイツでは300ng/L、英国でもPFOSは300ng/Lというところです。オーストラリアにおいては、PFOSが70ng/L、PFOAは560ng/Lといった値が定められています。
 4ページ、(3)近年の各国における状況です。アメリカについては、2016年に生涯健康勧告値を、これまで200ng/Lだったものを70ng/Lに強化しています。これは、PFOSとPFOAの合計値になります。毒性評価ですが、PFOAについては、マウス試験で得られた最少毒性量ということで、雌雄の児動物における基節骨の骨形成の低下や、雄の児動物における思春期の早発症といったものを根拠としています。PFOSについては、ラットの試験で得られた無毒性量でして、児動物における体重減少を根拠として、PFOS、PFOAともに参照用量ということで、0.00002mg/kg/dayといったものが示されています。これと、授乳婦における直接的及び間接的な水の推定摂取量の90パーセンタイル値が体重1kg当たり0.054L/day。あと、飲用水の寄与率20%から70ng/Lと計算がされているところです。そして、飲料水中にPFOS、PFOAの両方が認められる場合、PFOA及びPFOSの総濃度を70ng/Lと比較するべきとしています。9ページの別紙1に、内閣府食品安全委員会のホームページを元に、事務局で作り直したものですが、そこにもう少し詳しい概要を記載しております。
 また、アメリカですが、2018年に毒物・疾病登録局(ATSDR)が、パーフルオロアルキル化合物の毒性プロファイルについて、パブリックコメントの草案として、まだ暫定的なものと認識しているのですが、発表しております。毒性評価については、仮の最少リスクレベルとして、PFOSがラットの目の開きの遅れと子の体重減少に関する影響をもとに、2×10-6mg/kg/day、PFOAはマウスの神経発達と骨への影響をもとに、3×10-6mg/kg/dayといったものを導き出しているところです。
 あと、目標値というわけではないのですが、今年、包括的な全国PFAS(Per and Polyfluoroalkyl Substances)行動計画について公表しております。飲料水については、PFOS、PFOAについて、安全飲料水法で概説されている最大汚染レベルの設定作業を進めており、今年の末までに、規制上の判断を提案する予定との報道があったところです。これについてのもう少し詳細な概要は別紙2に記載しています。別紙2、飲用水については、真ん中ぐらいの所に載っています。飲用水以外にも、例えば浄化などについても記載されているところです。
 次に、また4ページに戻っていただいて、欧州です。現在、ドイツやイギリスにおいて、PFOSについて300ng/Lが指針値という形で定められております。数字としては同じですが、毒性評価は、ドイツとイギリスは異なっております。ドイツにおいては、TDIを0.10μg/kg/dayとして、体重70kgの大人が毎日2Lの水を飲用して飲料水からの寄与を10%と想定して算出しています。イギリスにおいては、TDIを0.3μg/kg/dayとしまして、体重10kgの子供が毎日1Lの水を飲用して、飲用水からの寄与を10%と想定して算出しています。
 最近の動きとしては、2018年に欧州食品安全機関(EFSA)が科学意見書を公表しています。毒性評価について、PFOSについては、成人における血清中の総コレステロール値の上昇や、幼児におけるワクチン接種時の抗体応答の低下が重大な影響として特定されました。PFOAについては、血清中の総コレステロール値の上昇が重要な影響として特定されました。また、出生児の低体重や血清中での肝臓酵素アラニンアミノトランスフェラーゼの高レベル症例の増加が検討されたということです。最終的に、CONTAMパネルが、PFOSについて13ng/kg体重/week、PFOAについて6ng/kg体重/weekの耐容週間摂取量を設定したところです。ただ、この値が、実際と比較してどうかと言いますと、EU諸国の摂取量調査によれば、かなりの割合の人口の摂取量が、既にこの耐容週間摂取量(TWI)を超えていることになるとも推定されているところです。もう少し詳細なものについては、別紙3の13ページに記載しています。
 また、オーストラリアについては、2017年に、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機構(FSANZ)が、ガイドライン値として、PFOSとPFHxSを70ng/L、PFOAは560ng/Lを設定しております。毒性評価については、動物実験から、PFOSのTDIを20ng/kg体重/day、PFOAのTDIは160ng/kg体重/dayとなっております。PFHxSについては、TDIを設定するには不十分であったものの、安全側を見てだとは思うのですが、FSANZは、PFHxSについてPFOSと同一のTDIを仮定して、リスク評価の際に、これら2つの物質の濃度を足し合わせることを推奨しているということです。これと、体重70kg、飲用水の寄与率10%から、PFOSとPFHxSを合わせて70ng/Lで、PFOAが560ng/Lと計算されるということです。このほかにも、カナダなどでも目標値が定められていると聞いておりまして、各国でいろいろ目標値が設定されているところです。
 (4)我が国の水道水からの検出状況です。これは要検討項目です。一部の水道事業者が測定しておりますが、全国の厚生労働大臣認可や都道府県知事認可の水道事業者と水道用水供給事業者が、平成25年度から平成29年度に実施したPFOS、PFOAの結果について、各都道府県を通じて収集及び集計を行ったところです。
 結果を6ページに示しています。まず、測定地点数と、検出された地点数、最大値、これは全測定の最大値となります。例えば、1か所で複数回測っている場合、その複数回やったうちの最大値を取って、各全測定地点の最大値として出しています。測定地点数ですが、年によって、やったりやらなかったりする所もありますので、数としては毎年ばらつきがあります。定量下限値以上で検出された地点ということですが、定量下限値は測定地点によって異なっていることに留意が必要であることと、それから、PFOS、PFOAに、さらにPFOS+PFOAといったものを付けています。これらについて、便宜上、各測定地点における、PFOS、PFOAの最大値同士を足し合わせたものとしているところです。そのため実際に複数回測定している場合は、必ずしもPFOS+PFOAの値になっていない所もあるかもしれません。また、一方のみ測定している場合は、測定した項目の値をそのまま使っているところです。
 7ページ目が、各測定地点の最大値を度数分布図にしたものです。留意事項は先ほどと同じです。左が原水、右側が浄水ということで、上からPFOS、PFOA、PFOS+PFOAとなっております。これを見ていただければ分かりますが、半分以上ぐらいがND、検出下限値未満でして、検出された所もほとんどが30ng/L以下となって、一部それを超える所がある状況です。
 8ページ目に、今後の方針について(案)を記載しています。PFOS、PFOAについては、以前からも目標値があった所もあるのですが、特に近年、各国や各機関において目標値の設定などの改定とかの動きがあるところです。また、水道水の検出状況については、各国のPFOS、PFOAの現時点の目標値を下回るようなレベルにはありますが、依然として検出されている状況が続いております。特に、沖縄県にある上水道の水源において、PFOS、PFOAが検出されているということで、沖縄県では、そういった浄水場では、活性炭処理により濃度を低減していると聞いております。ただ、国内で目標値がないこともありまして、住民が不安に感じているということで、沖縄県企業局からは、我々に対して、住民の安心や安全の観点から、早急に基準値や目標値を設定してほしいといった要望も受けているところです。WHOでも、現在ガイドライン値が設定されていない状況ではありますが、各国でもこういった目標値を設定されていることと、あと、先ほども言いましたが、多少演出されている所もあることも考えますと、浄水場における水質管理を適切に行うといった観点から、PFOS、PFOAについて、暫定的ではありますが、目標値を設定することとしてはどうかと考えているところです。これについて、本日、委員の皆様方の御意見を伺えればと考えておりますので、御意見をよろしくお願いします。以上です。
 
○松井座長
 ありがとうございました。それでは、農薬とPFOS、PFOAについて説明いただいたのですが、まずは農薬のほうからということで御意見を頂きたいと思います。
 
○浅見委員
 今回、幾つか農薬で、その他農薬に含まれているものもリストアップされて、評価値がなかったものについても、チアクロプリド等の値が付いたということで、また情報収集を進めていきたいと思います。
 やはり、農薬出荷量を一緒に考えていかないといけないので、ルーチンで出荷量が毎年情報として入る形を、我々研究班ではさせていただいているのですが、できれば行政的にルーチンになるといいと思っているところです。今のところ、チアクロプリドは50tを超えるほどではないかと理解をしているのですが、また出荷量とか使用方法等を見ながら、モニタリングするべきかどうかを松井先生とも検討をしていきたいと思います。あと、プロチオホスについては、オキソン体とともに計測する形で、今回少し評価値が上がったというか、緩和の方向のようなのですが、またモニタリングを続けていきたいと思います。以上です。
 
○松井座長
 その他、ありませんか。それでは、PFOS、PFOAについて、何か御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
 
○伊藤委員
 8ページの所、目標値を設定すること自体、大変結構なことで、是非そうしたいところです。(5)の方針についての言い方の問題なのですが、この文言だと、各国、各機関において動きがあるから目標値を設定してはどうかと読めてしまうので、日本は各国、各機関の後追いをしますというニュアンスになってしまっています。本来そうではないはずで、毒性上の新たな知見が集積してきていて、目標値設定ができるほどの段階になってきているから目標値設定を試みるのだと、そういうことであるはずですよね。言い方の問題なのですが、そういう立場でいていただければと思います。
 最初のページにもありましたように、最新の科学的知見に基づいて見直しを行っていくのであって、決して各国の動向に基づいて見直しをするわけではないということを確認させていただきたいと思います。
 
○柳田水道水質管理官
 ありがとうございます。表現ぶりとしては伊藤先生の御指摘のとおりです。後追いというよりは、各国様々な知見が集まってきたということで、検討するにも十分だろうということで、検討を行っていき、最終的に暫定的な目標値が設定できればと考えているところです。ありがとうございます。
 
○伊藤委員
 加えて、今回目標設定をしようとすれば可能だろうという見込みの下、こういう提案をされているのですよね。つまり、平成22年の参考2でも、アメリカあるいはイギリスでは、濃度値が算出されているのですけれども、日本では目標設定まではしなかった。その後新たに毒性上の知見が集まってきているので目標値を導出することができるという、そういう見込みがあるという理解でよろしいですか。
 
○松井座長
 その辺は広瀬先生から。最近、毒性情報が非常に活発に集まってきているという話も聞いていますけど。
 
○広瀬委員
 非常にちょっと説明が難しいのですが、毒性学的に設定できる見込みがあるかどうかという状況からすると、甚だ実は困難な状況があると個人的には思っています。それはなぜかというと、表2ですが、米国は70ng/L、ドイツは300ng/L、かなり毒性評価の値に差がある。しかも、かなり最近の評価です。おっしゃるとおり、平成21年以降、新たな知見は、毒性情報はかなりたまってきたのですが、その結果として、更にエンドポイントもたくさん新たに分かってきたということがあって、それのエンドポイントの取り方が実は各評価機関でばらばらでして、それはそれぞれの評価機関の専門家の見解の違いかもしれませんけれども、米国の場合は、例えば2世代試験のエンドポイントを取っていますし、ドイツの場合はラットの試験、英国の場合はサルの試験、ここには示してありませんけれども、カナダも600、200ngぐらいの値を、ガイドラインバリューとして提案しているのですけれども、それはラットの肝臓の変化が根拠です。あとは、もっと言いますと、資料にありますけれども、EFSAで取っている試験は、疫学データのヒトでのコレステロールのわずかな影響という、様々なところをエンドポイントに取ることによって、実は評価機関によって二桁ぐらいの差が出てきているという状況があります。アメリカでも一応70ng/Lというのは決まっていますし、各州ではもっとモニタリング用としてさらに低い設定はしています。ただ、それは70ng/Lを超えないためにというような位置付けであることが多いということもありまして、アメリカも、EPAの行動計画で示しているように、今年末に向けて、正に本格的にと言うのか、毒性の再評価等も見据えた国際的な角度から、今、進行形で状況が動いているというところはあると思います。そういったところで、日本は出遅れてはいますけれども、ある意味では、これから時期を同じくしてやらないといけない状況になっているということで、必ずしも毒性学的にクリアな目標値の設定というは難しいとは、個人的には思っています。その中でも暫定的なものは、例えば一番厳し目に見るとか、そういったところの目処は大分立ってきたと、そういった意味です。
 
○松井座長
 そういう意味で暫定ということで考えているということですね。
 
○広瀬委員
 今行ったとしても、多分、暫定が精一杯かもしれません。多分、何年かは掛けないけど、最終的には難しいかもしれません。
 
○伊藤委員
 だからこそWHOもなかなか動けないというところはあるのですかね。
 
○広瀬委員
 そうですね。WHOの中でも、いろいろな国のいろいろな意見が調整できなくて、今それで1、2年ぐらいずっと議論が続いています。
 
○伊藤委員
 なので、社会的なニーズがあることは私も承知いたしますが、無理なく目標値を出せるという条件が整うということも大事なので、無理して出すことは良くないかもしれません。
 
○松井座長
 フィックスした値を設定することは、難しいと思います。やはり二桁も耐容一日摂取量に違いがあり、どこのエンドポイントを取るかによっても数値が変わってくるので、ここで値を決定するということはなかなか難しいということです。情報は非常にたくさん集まってきているということは確かなので、ここで1つの目安としての目標を立てることは重要ではないかということと私も理解しております。
 
○亀屋委員
 ちょっと今のお話の関連で、平成22年の検討ということで示されている参考2のいろいろな数値と、今回示されている数値が、大分違ったキースタディの数値になっているのではないかと思いまして、毒性評価される先生方は、かなり御苦労されるのではないかなと想像するところです。それに、なおかつ寄与率を10%と見るのか20%と見るのか、大人で見るのか子供で見るのかとか、そういったことも各国によって、てんでんばらばらでやっているような状況かと思いますし、どこをどう持ってくると、これまでの我々が国でやってきたような、例えば水の摂取量の考え方であるとかといったものを、どのように直すのか直さないのかといったようなことにも、全部関係してくるかなと思いますので、そんなに急がずに、きちんと検討いただいたほうがいいのではないかと思っております。
 あと、1つ質問なのですが、4ページの真ん中に、2018年の毒物・疾病登録局(ATSDR)という所が導き出したという2つの数字が出されているのですけれども、この2×10-6とか3×10-6、これは一体どういう意味を持つ数字なのかということ、もしTDIだとすると、ほかの紹介されているものよりも更に一桁厳しいものになりますので、3ページにあったような飲料水の目標値も、それぞれもう一桁ずつ小さくなるようなことになってしまいかねないので、関係あるものを引っ張っていただいていると思うのですけれども、どういった意味合いのものかというのを、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。
 
○広瀬委員
 ATSDRのMRL自体は、実は特に何かの行政判断に直接リンクしているというわけではなくて、行政的判断のための目標値みたいな意味合いがある上に、実はまだ素案段階でして、最終的ではないと思います。この値も慢性影響を見た値ではなくて、中期的ばく露影響の値なので、そういう意味ではまだTDIという意味からすると、少し意味合いが違うと思います。ただ、同じような値は、EFSAで出した値もそのくらいの値になっています。この値は、ここに書いてあるとおりで、実際食品から、水ではなくて、食品から取る量で計算上は超えてしまうという。ただ、この計算上のばく露値も、分析の方にお聞きはしたいと思いますけど、NDの部分をどう加算するかで大分変わってきます。その辺は実態のリスクとは必ずしも一致していない可能性もあるのではないかと思います。
 
○松井座長
 5ページの上のEFSAの耐容週間摂取量とほぼ同じようなオーダーということですよね。
 
○広瀬委員
 ATSDRの値は同じくらいです。
 
○松井座長
 なので、やはりEFSAのTDIと一番大きな値を見ると100倍ぐらい違っているということですよね。
 
○広瀬委員
 そうです。
 
○西村委員
 平成22年のときに、ちょっと記憶が定かではないのですけれども、やはり今ほど情報がなかったということ、それから、6ページの表3で示していただいたように、採水の測定値が確かそれほどなかったということもあったと思いますので、そのときにちょっと数値としては決めかねたという、議論はされたと思うのですけれども、そのような経緯だったように記憶しております。
 それで、目標値を定めてはどうかという御提案なのですが、モニタリング等の測定値のデータも集積はしているのですけれども、更にデータの集積を進めるというときに、何も数値がなくて、測ってどうですかということよりも、暫定的でもいいかと思いますので、お示ししていただいたほうが、測られる方にとってはいいのかなと思います。是非、お示ししていただければ、議論の上で数値を決めていただいて、お示ししていただければと思います。
 6ページの表3についてです。これは御質問ですが、一番右側の最大値の欄に数字が並んでいますけれども、例えば平成25年のPFOSの値は30ng/L、20ng/Lと出ています。これ、多分同じ場所ではないのかなと思いますので、検討するときに、除去性が余りよくないかなとは思いますけれども、合わせてある場合には、原水がこれくらいで、浄水がどれぐらいだったかというのがあれば、そういうのを示していただくと参考になるかなと思います。多分違う場所の数値が、それぞれの原水と浄水の最大値を持って来られたのだろうと思うのですけど、そこはどうですか。まずは御質問したいと思います。
 
○柳田水道水質管理官
 ありがとうございます。記憶が定かではないのですけれども、同じ地点のものもあったと思いますし、年によっては違う地点のものもあったかというふうに記憶しております。
 
○西村委員
 何か目印でも付けていただくと、参考に少しなるかなというのは私の提案ですが、それはよろしいかなと思うのですけれども。
 あとは、もう1つ質問させていただきたいのですけれども、今の御説明の中でも出てきたところなのですけれども、PFOSで非常に高い地点というのは、何か特別な、そこだけの何か特別な環境があって、高い値が出ていると推測されるのか、例えば火事があって、化学消火剤を噴霧したとかいったようなことがあるのか、それとも割と常時高い値が継続しているような地点なのか、もし御存じであれば教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 
○柳田水道水質管理官
 ありがとうございます。検出されている所は、かなり継続して出ているというような状況ではあります。
 
○西村委員
 分かりました。どうもありがとうございました。
 
○松井座長
 ほかにございますか。
 
○浅見委員                             
 今の6ページの最大値の所なのですが、お聞きしたところでは、原水と浄水が必ずしも一対一での対応ではなくて、幾つか取水している井戸があるところの1つの原水で、高い値があるけれども、ほかの給水と混ぜて浄水で配っているので、その値が低くなっているとか、場所によっていろいろなケースがあって、必ずしも除去率をこれで評価するのは難しいような状況だったようにお伺いをいたしました。ほかにも幾つかプロセスで取られているところなんかもあるのですけれども、やはりちょっと短めのものとかは、除去率が低いとか、いろいろな傾向が出ておりますので、解析はしていきたいと思うのですけれども、必ずしも一対一は難しいかなというのがあります。あと、やはり工場ですとか、幾つか今までも汚染があった所というのもあります。平成22年の議論で思い出しますと、ストックホルム条約で、将来的にすぐに禁止になるだろうというような見通しもあったので、もっと早く下がるかなと期待していたところもあったかなと思うのですが、エッセンシャルユースとかでも残ってしまっていた部分もありますし、火事の後とか、火災の防止的な観点から使われる所では出てしまうとか、あと、全体的な摂取量でいくと、普通の日用品や食品などのほかからの摂取経路も大きいものがありますので、そういったものも合わせて評価していかないと、水道だけでばく露量を下げられるというわけではないというのが、全体的な見通しかなというところもあります。ある程度の暫定的な目標値は、要請もありますので、なるべくできればなというのもあるのですけれども、実際の制御となると、全体的に考えていただかないと難しいかなと思っております。
 
○松井座長
 どうもありがとうございます。その辺の解析も含めて、ばく露経路も複合的にいろいろあると思いますので、そのような解析をして、議論を進めていただければと思います。ほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは、事務局におかれましては、本日の御意見を踏まえて、引き続き検討をしていたただき、方向性の整理を行っていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、議題は(3)のその他ですが、何かございますか。
 
○柳田水道水質管理官
 事務局からです。報告事項なのですが、別の検討会で議論されていたことなのですが、水道におけるクリプトスポリジウム対策として、これまでの研究の報告等から、地表水を原水とする水道施設のクリプトスポリジウムなどの、耐塩素性病原生物対策といたしまして、ろ過設備によるろ過を行った上で紫外線処理をするということが有効であるといった知見が得られたということを踏まえまして、これまで表流水を原水とする場合のクリプトスポリジウム対策としては、ろ過設備であって、耐塩素性病原生物を除去できることができる設備、すなわち、具体的に言うと、濁度を0.1度まで下げることができるろ過設備というものを必要としていたところですが、これに加えて、ろ過設備の後に紫外線処理設備を設ける場合も、地表水を原水とする場合のクリプトスポリジウム対策として可能となるよう、今年の5月29日に、水道施設の技術的基準を定める省令を改正したことと、もう1つは水道水中のクリプトストリジム等対策の実施についてという通知、この通知の中に水道におけるクリプトストリジム等対策指針がありますが、この改正を行い、クリプトスポリジウム対策としての対策の選択肢が1つ増えたということです。簡単ですが、御報告させていただきます。以上です。
 
○松井座長
 何か御質問ございますか。それでは、その他事務局からございますか。何か全体を通して何かあれば。
 
○伊藤委員
 先ほどのPSOS、PFOAの目標値設定に関連してです。今回はこの物質についての世界的な動きを受けて、取り組むということなのですが、ほかに要検討項目の中で目標値設定がまだされていないものはたくさんあります。それらの中で、毒性評価を新たに行って目標値設定ができる可能性があるようなものはなかったかなと思いあぐねています。先ほどの話に出ましたように、日本はWHOの動きに連動しがちですよね。ですが、WHOの動きがなくても、毒性上の知見が集積し、目標値設定が可能であるような段階になったものについては、目標値設定を積極的に行っていくような方針、あるいは仕組みがあっていいと思うのですけど、そういう仕組みはありましたか。
 
○柳田水道水質管理官
 ありがとうございます。正に伊藤先生がおっしゃることはごもっともだと思います。これまでも、確かにWHOだとか、WHOではなくても、食品安全委員会で答申が出たものについては、この検討会でも議論して要検討項目で目標値を設定するとか、暫定的なものを見直すとか、そういったようなことはされてきております。これまで基準とか、水質管理目標設定項目とか、そちらのほうはかなり進めてきたのですけれども、要検討項目の検討が、あまり進んでいないといった実情がありますので、今回、これを期に、要検討項目については、もう一度整理を行えればというふうに、担当としては考えているところでございます。
 
○伊藤委員
 このようなものはほかにもあります。ハロ酢酸の一部など、アメリカとかでは値が出ているけれども、WHOにはなくて、日本でも検討していないという。そういう要検討項目は幾つかあります。どういう仕組みで、どのタイミングで食品安全委員会で検討してもらってという、その進め方はちょっとよく分かっていませんが。いずれにしても留意しておきたい課題であると思います。
 
○浅見委員
 厚生労働科学研究の中で、化学物質の一般的な検討をするというので、毒性評価の個別の論文が幾つか出ているもの等を利用して、仮の評価値みたいなものをこちらで設定して、検出例と簡単に比べてというのを、30か所とかぐらい、主な水系なのですけれども、実施をしたことが3年ぐらい前にありました。そこでは酸化プロピレンやアクリルアミド等が候補には挙がったのですけれども、実態調査をすると、結局それほどでもなかったというようなことがあって、緊急にやらなければいけないのは、すぐにはないかなと思っていたところなのです。やはり、局所的にそういう汚染があった場合や、御指摘のような消毒副生成物はマークしきれてないと言いますか、検出される場合はあるけれども、仮でも評価値がないとなかなか評価が難しいというところもあります。確か何年かに1回はルーチンで見直しを、5年に1回かけているものの中に入っていると思います。車の両輪だと思いますけれども、ばく露量と、仮でも値を考えながら一応実際の状況を見て毒性評価とを比べて、重要なものはプライオリティを上げて評価するというようなことは、継続して行っていく必要があるかと思います。
 
○松井座長
 消毒副生成物についても、仮の評価値や、ほかの国の評価値があればその値と比較してみて、早急に検討すべきかどうかということを、厚労科研の中でも調べていく必要があるのかと思いました。
 
○小林委員
 今のコメントに関連してです。要検討項目に関しては、検査方法が示されていないのですけれども、特に重要なものに関しては、検査法の検討も併せて行っていったほうがいいのではないかと思います。実態調査のデータを解析していくときに、それぞれの測定の方法が違っていたりとか、あるいは検出下限が違ったりするところと、解析しづらいところが出てくると思いますので、要検討項目の中で重要なものについては、水道での検査方法を検討していくことを考えていった方がいいのではないかと思います。
 
○松井座長
 基準項目等と同じような精度管理というのではなくて、まずは測定方法ということであって、そこまでの精度管理は考えてないということでしょうか。
 
○小林委員
 そこまでは考えていません。例えば、参照にできるような方法という意味です。要検討項目の測定に当たって、参考になる情報を何らかの形で出せれば有用ではないかなと思います。測定精度に関して何らかの規定を設けるかどうかというのは、まだ先の話になるかと思います。
 
○松井座長
 ほかにございますか。よろしいですか。では、連絡事項につきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 
○小林係長
 本日はお忙しい中、活発な御議論をありがとうございました。本日の議事録につきましては、まず事務局で案を作成いたします。その後、先生方に御確認をお願いしたいと思っております。その後、ホームページで公表いたしますので、よろしくお願いいたします。また、次回の検討会の開催時期につきましては、改めて御連絡をしたいと考えております。以上でございます。
 
○松井座長
 それでは、以上で本日の会議を終了したいと思います。御議論ありがとうございました。

(了)

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