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2017年10月31日 平成29年度第1回水質基準逐次改正検討会

○日時

平成29年10月31日(火) 13:30~15:30


○場所

厚生労働省共用第7会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館6階)


○出席者

松井座長、浅見委員、泉山委員、伊藤委員、小林委員、西村委員、広瀬委員

○議題

(1) 平成29年度 水質基準等の見直しについて
(2) 農薬類の分類の現状と課題について
(3) その他

○議事

○田中係長
それでは定刻となりましたので、ただいまより平成29年度第1回「水質基準逐次改正検討会」を開催いたします。
委員の皆様方には御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきましてありがとうございます。
本検討会の開催に当たり、事務局を代表して厚生労働省医薬・生活衛生局水道課水道水質管理官の東より御挨拶を申し上げます。

○東水道水質管理官
水道水質管理官の東でございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
皆様、既に御案内のとおり、水道水質基準につきましては平成16年以降、逐次改正方式ということで、最新のデータを用いて逐次見直しを行うという作業を本検討会において行っていただいているところでございます。
例えば最近の例で申し上げますと、平成26年には亜硝酸態窒素の基準化、平成27年にはトリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸の基準値の強化ということがなされました。また、基準の候補である水質管理目標設定項目につきましては、内閣府食品安全委員会において頻繁に農薬類の改正が行われているということで、おおむね、年間数物質について評価値を改定している作業も続けているところでございます。本日も、前半には、主に農薬類の評価値の改定について御議論いただく予定にしております。
また、農薬類につきましては、御案内のとおり総農薬方式で評価していただいているところでございますけれども、約5年前、平成25年に農薬類の分類の方法を変更して、今はそれに則って、いわゆる対象農薬リストに載っている農薬類を中心に、各事業者で測定していただいているところでございます。ただ、5年間の運用の中で、いろいろな問題点とか改善しなければいけない点とかが出てきているということでございますので、きょうはその御紹介と、また今後どのように改善していけばいいのか、先生方の率直な御意見もお聞かせいただければ幸いでございます。
限られた時間ではございますけれども、本日は忌憚のない御意見を賜りますよう、お願い申し上げます。

○田中係長
検討会の委員につきましては、お配りしている資料の中の参考資料1の名簿に記載しております。本日の出席状況ですが、この中で亀屋委員を除く7名に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
次に、配付資料の確認をいたします。

<資料確認>(資料1参考2、資料1参考3は委員限り)

続いて、以降の議事進行に先立ちまして、座長の選出を行いたいと思います。
参考資料2「平成29年度水質基準逐次改正検討会運営要領」では、座長は平成29年度第1回検討会において委員中から選出するとなっております。
事務局としては、平成15年の水質基準の改正時から本検討会委員を務めておられ水質基準に関する知見に長けていらっしゃる松井委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

<確認>

○田中係長
それでは、以降の議事進行につきましては、松井座長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○松井座長
ただいま座長に御指名いただきました北海道大学の松井でございます。
皆様方より御闊達な御意見をいただき、実りのある議論を行い、座長としてしっかりまとめ上げていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いします。
それでは、議題に入る前に本検討会の公開の取り扱いにつきまして、事務局より御説明をお願いします。

○田中係長
それでは、参考資料2に示してある本検討会の運営要領の「4.その他」の「(3)検討会の公開の取扱いについては、検討会において決定する」とございます。その取り扱い案を参考資料3につけています。この検討会は水道課長の設置する検討会でございますが、「個人情報の保護等の特別な理由がない限り、基本的に公開すること」としており、本検討会は原則公開です。開催予定や委員のお名前、御職業、会議資料、議事録についてもあわせて公開です。検討会に必要なために、取りまとめ前の中間段階の調査結果あるいは先生方から未発表の研究成果を出していただく場合は、知的財産の保護という観点もございまして、非公開とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○松井座長
そのようによろしくお願いしたいと思います。
それでは、議題に入りたいと思います。議題1は「平成29年度水質基準等の見直しについて」でございます。
まずは、事務局から御説明をお願いします。

○田中係長
それでは、資料1「水質基準等の見直しについて(案)」の御説明をいたします。
まず、1ページ目に趣旨が書かれておりまして、水質基準については、平成15年の厚生科学審議会答申において、最新の科学的知見に従い、逐次改正方式により見直しを行うこととされており、厚生労働省では水質基準逐次改正検討会を設置し所要の検討を進めております。
そちらの基本的な考え方を四角の枠内に書いておりまして、その下には水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目の体系図をお示ししております。今年度、予定している見直しについては2ページ目以降に記載しております。まず「2.科学的知見等に基づく見直し」となります。「2-1.食品健康影響評価の結果を踏まえた見直し」について御説明いたします。
内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果が既に示され、平成29年1月31日に開催されました第18回厚生科学審議会生活環境水道部会において審議されたものを表1に示しております。そして、これまでに厚生科学審議会生活環境水道部会において未検討のものを表2に示しております。今回は、いずれも農薬類のみが対象となっております。これらの詳細な評価結果の概要につきましては、資料1参考1にそれぞれ個別の農薬についてお示ししているところとなります。
この表1、表2のうち網かけの部分が、現行評価値と異なる評価値が得られたことから見直しを実施すべき項目となっております。今回は表1ではイソキサチオンとグリホサート、表2に示してあるものでは、2,4-D(2,4-PA)、シアナジン、その他農薬類であるジクロルプロップとメタミドホスが対象となっております。
こちらのうちグリホサートにつきましては、第18回厚生科学審議会生活環境水道部会において食品健康影響評価の結果を踏まえた評価値である2.5mg/Lを提案して了承を得たところではあります。しかしながら、再度検討した結果、水質基準等においては原則として有効数字1桁での評価値設定を行っていること、従来のグリホサートの目標値は2mg/Lでありますが、この値が他の農薬類の目標値と比較して十分高い値であること、従来の目標値2mg/Lが、水質基準項目であるTOCの基準値3mg/Lと比較しても十分高く、グリホサートの目標値をさらに引き上げるということで、TOCの基準遵守に影響を与える可能性があることなどが懸念されるため、現行の2mg/Lを継続することとしたいと考えております。
食品健康影響評価の結果を踏まえた見直しについては以上となります。
続いて「2-2.代謝物、分解性、検出状況に関する知見を踏まえた見直し」の対象について御説明いたします。
まず、対象農薬リスト掲載農薬類であるプロチオホスについて、代謝物であるプロチオホスオキソンを測定し、原体の濃度とオキソン体の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出することとしたいと考えております。
もう一つ、対象農薬リスト掲載農薬類であるジチアノンについては、速やかに加水分解され、分解物が健康影響評価の対象になっていないことから、その他農薬類に移行したいと考えております。こちらにつきましては、資料1参考2と資料1参考3に説明がございますので、御説明を小林委員からお願いしたいと思います。

○小林委員
国立衛研の小林と申します。
委員限りの資料になりますが、資料1参考2のプロチオホスの代謝物であるプロチオホスオキソンの生成の挙動とその分析法について検討した結果についてご説明します。
一般に、有機リン系農薬については塩素処理によってオキソン体が生成するということと、生成したオキソン体の毒性は原体と同等あるいはそれよりも強くなることが知られております。水道の分野では、有機リン系農薬につきましては塩素処理でオキソン体が生成することが確認できれば、オキソン体についても検査対象に含めて、測定した濃度を原体に換算して原体と合算で評価をしてきました。
平成25年に対象農薬に加えられたプロチオホスにつきましては、これまでオキソン体の検討がなされていませんでしたが、オキソン体の存在が知られていることから、今回、国立衛研で検討を行いました。
最初に、生成するオキソン体の検査方法について検討を行いました。現在、プロチオホスにつきましては、検査法として別添方法25が通知されております。プロチオホスの原体の検査方法が、そのオキソン体にも適用できるかどうかを、精製水と水道水を用いた添加回収試験で確認をしたところ、別添方法25でプロチオホスオキソンも検査ができることがわかりました。
次に、塩素処理によるオキソン体の生成について調査をしました。実験は、精製水にプロチオホスを目標値の約10分の1の濃度となるように添加して、塩素処理を一定時間行い、脱塩素処理した試料を別添方法25により検査して、プロチオホスの分解とオキソン体の生成について評価しました。その結果、経時的にプロチオホスの濃度が減少してオキソン体に変換されることが確認されました。また、プロチオホスの原体からオキソン体への変換速度は塩素濃度に依存し、消失したプロチオホスは、そのほぼ全量がオキソン体に変化することが国立衛研の検討で明らかになりました。
さらに、塩素処理で生成したプロチオホスオキソンが水中で安定かどうかということも確認しました。遊離残留塩素濃度を3mg/Lに調整した精製水にプロチオホスを添加して塩素処理を行い、室温で静置して最大72時間まで経時的に分析をしたところ、72時間(3日)後まで安定的に存在することがわかりました。
以上のことから、塩素処理によって水中のプロチオホスはプロチオホスオキソンに変化することが確認されました。また、原体からオキソン体への変換の速度は水中での塩素濃度に依存し、消失したプロチオホスはその全量がオキソン体に変化するという結果が得られました。さらに、生成したオキソン体は比較的高濃度の残留塩素の存在下においても3日以上安定的に存在しているというようなことがわかりました。
以上をまとめますと、プロチオホスについてはオキソン体のプロチオホスオキソンについても検査対象とし、測定結果の取り扱いに関しては、他のオキソン体と同様に原体の濃度に換算して合算で評価する方法が適切と考えられます。なお、最初に申しましたように、プロチオホスオキソンの検査法につきましては、プロチオホスと同じ別添方法25が適用できると考えられます。現在は、この別添方法25について複数機関でのバリデーション試験を行っておりまして、プロチオホスオキソンの検査法の妥当性について評価をしているところです。
プロチオホスオキソンについては以上になります。
続いて、こちらも委員限りの資料になりますが、プロチオホス以外の水中で速やかに分解する農薬、特にジチアノン等について検討した結果についてご説明したいと思います。資料1参考3になります。
国立衛研におきましては、平成25年の農薬分類見直しに対応しまして、新規に対象農薬リストに掲載されたものが33農薬ありますが、この検査法について検討を行いました。その際、分析中に分解が見られる農薬についても明らかにしていますので、これらの情報について整理し、対象農薬から除外すべき農薬についても考察しました。
新規に対象農薬リストに加えられた農薬の中で、特に分解性の高い農薬が4農薬ありました。これは委員限りの資料として配布されているので農薬名称を口頭でお伝えしますと、アミトラズ、ジチアノン、ピラゾレート、ベンゾビシクロンの4物質ありました。これらの農薬につきましては、いずれも検査法の検討時のバリデーションで分析中の加水分解がみられた農薬になります。文献的には、これらの4農薬いずれも加水分解の半減期は数時間から1日程度と報告されています。
今、申し上げました4農薬のうちアミトラズ、ピラゾレート、ベンゾビシクロンの3農薬についてはバリデーションで妥当性評価ガイドラインの目標を満たす真度が得られなかったことから、現在では別添方法20の2に「参考扱い」という形で掲載されております。
一方で、残りの1農薬のジチアノンにつきましては、バリデーションを行った機関の多くが分析中の分解によりピークが検出されないという結果でしたので、標準検査法が現在でも設定できていません。
なお、このうちアミトラズにつきましては、分解物(N-2,4-ジメチルフェニル-N'-メチルホルムアミジン)の標準品が販売されていること、食品分野ではこの分解物も測定して合算する評価方法になっていますので、現在、分解物と合算で評価をすることで、その濃度が精度よく測定できるかどうかを検討中であります。
以上についてまとめますと、ジチアノンについては分析中の分解によりピークも確認できない程、短時間に分解する農薬でしたので、検査が不可能ということ、また環境中でも同じように即座に分解することが考えられますので、は検査対象としなくてもよいと考えられます。
一方、ピラゾレート、ベンゾビシクロンにつきましては、分析中に分解をするため良好な真度を得ることができないのですが、分析自体は可能ですので、こういった農薬については検出実態のデータを踏まえて、測定対象とするかどうかを検討すべきと考えられます。
また、アミトラズにつきましては、分解物と合わせた評価方法について現在、検討をしているところです。
資料の説明は以上になります。

○田中係長
ありがとうございます。プロチオホスとジチアノンの見直しについては以上となります。
引き続き、資料1の3ページ目の途中から御説明させていただきたいと思います。
続いて、対象農薬リスト掲載農薬類であるジメピペレートにつきましては、平成16年に登録が失効したいわゆる失効農薬でありまして、平成25年度から27年度に原水中での検出実態がないということから、その他農薬類に移行したいと考えております。資料の※印に追記しておりますが、原水中での検出実態というのは水道統計等をもとにしているのですが、平成27年度の水道統計において、原水でジメピペレートの検出報告が1件、濃度にしますと0.0001mg/Lという報告がございました。しかし、これにつきましては、当該水道事業者にヒアリングをしましたところ、誤報告であり、正しくは不検出であるということを確認済みであります。このような理由から、ジメピペレートにつきましてはその他農薬に移行したいと考えております。
もう一つ検討を行っていた農薬がありまして、こちらは対象農薬リスト掲載農薬類のテルブカルブです。こちらも平成10年に登録が失効した農薬でありまして、これについても、その他農薬類への移行を検討していたのですが、平成27年度の水道統計におきまして、原水での検出報告が1件、0.0005mg/Lという濃度での検出がありました。検出された浄水場は深井戸での塩素処理のみという浄水場だったのですが、この水道事業者にヒアリングをしたところ、誤報告ではない、実際に検出されたという報告であることが確認されたことから、引き続き対象農薬リスト掲載農薬類に据え置くこととしたいと考えております。
以上を踏まえて「2-3.見直し方針」になります。
以上のことから、農薬類のうち対象農薬リスト掲載農薬類につきましては、パブリックコメント手続、厚生科学審議会生活環境水道部会を経て下記の見直しを行い、平成30年4月1日から適用したいと考えております。具体的には、対象農薬リスト掲載農薬類であるイソキサチオン、2,4-D(2,4-PA)、シアナジンに係る新評価値の設定、対象農薬リスト掲載農薬類のプロチオホスについてはオキソン体の測定及び原体への合算の追加、対象農薬リスト掲載農薬類であるジチアノンとジメピペレートについてはその他農薬類への移行について見直しを行いたいと考えております。
その他、その他農薬類のジクロルプロップとメタミドホスにつきましても、新目標値を設定し、平成30年4月1日から適用したいと考えております。
科学的知見等に基づく見直しは以上となります。
引き続きまして「3.水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直し」についての御説明をさせていただきたいと思います。
まず「(1)分類見直しの検討方法」について、ごく簡単に御説明いたします。表3に分類要件をお示ししているところですが、平成22年の第8回厚生科学審議会生活環境水道部会で了承された「水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類に関する考え方」に従って、これらの項目間での分類変更について検討したものとなっております。
今回の検討を行った個々の検出の状況につきましては、資料1参考4の8ページ目以降にお示ししております。まず、8ページ目から11ページ目までが水質基準項目の整理結果、12ページ目から13ページ目までが水質管理目標設定項目の整理結果、14ページ目以降が対象農薬リスト掲載農薬類の整理結果となっております。こちらは水道統計をもとに集計しておりまして、一部、当課で水道事業者にヒアリングをして修正を行っているものになります。
続いて「(2)集計及び検討結果」ですが、これらの集計を行った結果、水質基準項目の陰イオン界面活性剤、水質管理目標設定項目のニッケル及びその化合物の2つが分類変更を検討すべき項目に該当いたしました。その分類結果につきましては、資料1の6ページ目の表4にお示ししているところです。青枠と赤枠で囲っている部分がありまして、青枠の分類要件1のNOに該当する陰イオン界面活性剤、そして赤枠で囲っているニッケル及びその化合物が対象となっております。
まず、水質基準項目である「陰イオン界面活性剤」が分類要件1、最近3カ年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在のNOに該当する結果となりました。陰イオン界面活性剤の検出状況は、先ほど資料1参考4でお示しした10ページの基-41で、過去5年間の検出状況のデータになっております。分類要件1のNOに該当するのですが、こちらを見ますと、直近の平成27年度に50%超過地点が1地点確認されていることがわかります。こういった事情から、陰イオン界面活性剤につきましては、今後の検出実態の把握に努め、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいと考えております。
続いては、水質管理目標設定項目であるニッケル及びその化合物についての御説明となります。ニッケル及びその化合物の検出状況については、資料1参考4の12ページを見ていただくと、上から3番目がニッケル及びその化合物の過去5年間の検出状況の整理結果となっております。
このニッケル及びその化合物につきましては、昨年度の検討におきまして引き続き水質管理目標設定項目に据え置くこととし、浄水中の検出状況を注視していくことが適当であるとされました。そして、平成24年度から27年度の給水栓水におけるニッケルの検出状況を精査したところ、以下のとおり1から3までの状況となっておりました。
まず、1と2は昨年度の検討会で既に御報告したところであります。まず1の、平成24年度から27年度に目標値の50%超過となった地点がありまして、この地点については同一のものであることが確認されております。この水源につきましては、平成27年度に当該水源が廃止されているという状況であります。
2ですが、平成25年度に目標値を超過した1地点がございまして、こちらについては当該水道事業者に確認を行ったところ、高濃度のニッケルが検出された日に同一の採水地点で採水した別の試料ではニッケルが低濃度、0.002mg/Lであったことが判明しました。目標値を超過した試料については給水栓の材質にニッケルが含まれるために、採水時に微細な破片等が混入した可能性が考えられたとのことだったのですが、原因の特定はできませんでした。
3が今回出たデータになります。平成27年度に目標値を超過した1地点があるのですが、その地点につきましては、当該水道事業者に確認を行ったところ、当該の浄水場は表流水水源なのですが、こちらが原水水質の悪化によるカビ臭、色度等の水質基準超過のために給水を停止しておりまして、平成27年度の時点で給水をせず管理運転のみを行っているということでした。そして報告値につきましては、給水されていない水の測定値を報告したということでした。
上記1より、今後1の地点については検出の見込みがないということ、上記の2、3により、検出されたデータは水質基準に分類するかどうか判断する根拠として適当ではないと考えられることから、ニッケル及びその化合物につきましては、引き続き水質管理目標設定項目とし、給水栓水での検出状況等を注視していくことが適当であると考えております。
よって「(3)今回の分類見直し方針」ですが、浄水中での検出状況による水質基準及び水質管理目標設定項目間、今回は陰イオン界面活性剤とニッケル及びその化合物が対象となりましたが、この間での分類変更は行わない方針を考えております。以上になります。

○松井座長
ありがとうございました。
それでは、御意見、御質問がございましたらお願いします。
できましたら、農薬のところからお願いしたいと思います。
浅見委員、お願いします。

○浅見委員
ありがとうございます。
小林先生から先ほども御説明いただきましたように、オキソン体の分が入っていなかったお話をいただきまして、これは是非入れていただいたほうがいいと思います。また、先程も分解する農薬の扱いにつきましても、分解してしまうものに関しては、測定が難しいものについては入れないでおくようにということですし、あと、検出だけはされるというものであれば、検出状況を見ながらということでお願いしたいと思います。
今回の資料の扱いなのですけれども、オキソン体への変化ですとか、分析法については、学術雑誌等に御発表されたらば公表されるという理解でよろしいでしょうか。

○小林委員
現在、未公表のデータのため委員限りの資料とさせていただきました。できるだけ速やかに公表したいと思います。

○松井座長
他にございませんか。
私のほうから一つお願いします。小林委員より説明頂いたプロチオホスオキソンの変化のグラフ、図4ですけれども、0.25マイクロg/Lのプロチオホスオキソンが最終的に0.35になっているということなので、変換率は100%をやや超えているとデータで見られるのですけれども、これは回収率等が検討中ということで理解してよろしいのでしょうか。

○小林委員
はい。正確には分析上の問題がありまして、プロチオホスは非常に吸着性が高い農薬で100%回収することできないので、添加したものを測ったときに回収率が100%にならなかったということです。一方、プロチオホスオキソンは高い回収率が得られるので、水中でプロチオホスがプロチオホスオキソンに変化すると回収率が高くので、変換率が100%を超えているように見えますが、実際には原体がほぼそのままオキソン体に変換されていると解釈していいと思います。

○松井座長
そうしますと、オキソン体になると親水性がやや高まっているということも考えられるわけですね。

○小林委員
正確な物性値を今、把握しているわけではないのですが、水中での溶解性はオキソン体のほうが高いという傾向があるかと思います。

○浅見委員
後で公表されるということなのですけれども、オキソン体が結構安定して存在しているようなので、これは監視をするのにふさわしいといいますか、そうしたほうがいい農薬ではないかと思います。

○小林委員
実際には塩素処理による生成だけではなく、代謝物なので、環境中での生成も考えられますし、多分、プロチオホスよりもオキソン体の方が検出されやすいのではないかと思います。また、塩素処理した水道水についてはオキソン体しか検出されないものと思います。

○松井座長
他にございませんでしょうか。
それでは、農薬の次の「3.水質検査結果に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直し」の部分についても含めて御意見があればお願いしたいと思います。

○広瀬委員
資料1参考3の分析中に分解された農薬が、これは環境中で分解するという可能性はあるのですか。対象から外すというのは、測定できないからというのか、それとも環境中でも分解の予測もあるので、リスク的にもそれほど高くないことを考慮するのかという点について。

○小林委員
資料の報告の仕方に若干語弊があったと思うのですが、そもそも、水中に添加をして1時間程度でなくなってしまい、分析すらできないものなので、環境中では確実に分解していると考えらえるので、対象から外すことを提案しました。分析が困難だから測定対象から外すという考えではないということです。

○広瀬委員
ただ、アミトラズについて両方測るというのは、これは分解が遅いという意味ですか。そういうことではない。

○小林委員
食品の分野ではアミトラズ分解物と合算するという方法で評価していますので、水道でもそういったことが可能かどうかということを今、検討しているということです。原体のほうは分解するのですが、分解物の分析が可能かどうかということについて、評価注ということです。

○広瀬委員
これは検討中で、今は変えないけれども、確定すればということですか。

○小林委員
はい。

○広瀬委員
ありがとうございます。

○松井座長
ジチアノンについては、分解物について特段健康影響評価のリスクが高いという報告がない。知見がないということなので、原体も分解してしまうので、その他農薬に移行するという考え方と理解してよろしいですか。

○小林委員
おっしゃるとおりです。食品安全委員会の評価書では、ジチアノンについてはジチアノン原体のみが毒性評価、一日許容摂取量(ADI)設定の対象になっているということも理由として挙げられます。

○松井座長
他にございませんでしょうか。
グリホサートの2mg/Lの継続ですけれども、TOCと比較しても十分にその値が高いということがもう一つの理由になっておりますけれども、非常に妥当な考え方と思っています。非常に清澄な原水であっても、TOC自体が0.5mg/Lの値が日本の河川では見られます。0.5程度以上の濃度のTOCが常に水道原水中に存在しているということを考えれば、炭素換算ではございませんけれども、その値に2を合算すると3近くになります。その意味でも2mg/Lの継続というのは妥当な考えと私は思っています。
他にございませんでしょうか。
浅見委員、お願いします。

○浅見委員
ありがとうございます。
水質検査結果に基づく分類見直しにつきましては、先ほど御説明いただきましたように、陰イオン界面活性剤についてはもう少し様子を見たほうがいいのではないかということに関しましては、賛成させていただきます。
また、ニッケルに関しましては、今、当院でも情報収集をさせていただいているところなのですけれども、給水栓自体の採水方法にも影響を受けてしまう可能性もありますので、その辺についてももう少し調査をしながらどのようにして評価をすべきかということを情報収集したいと思っております。
全体に関してなのですけれども、今回、検出状況の資料を配付いただきまして、それを拝見いたしますと、基準超過の時点が複数見られる項目が幾つかございまして、5年間連続で基準超過をしているものだけに関しましても、塩素酸ですとか、ジクロロ酢酸ですとか、臭素酸、1年ないところもありますけれども、トリハロメタンですとか、あと、途中で基準値が改正されましたトリクロロ酢酸ですとか、ブロモジクロロメタンとか、あとアルミニウムに関しまして、ずっと基準超過の続いているところがございます。
次のページでは鉄もそうですし、マンガンは1年ゼロがあるのですけれども、それ以外続いておりますし、ジェオスミン、メチルイソボルネオールということで、基準超過があるというのがまだ続いているのが気になっております。
事務局のほうにお伺いしましたところ、全てに関して直ちに基準を超過したときに報告があるわけではないということで、2年ぐらいしてから水道統計でやっと集計が上がってきて、その原因についてもなかなかわからないという場合もありました。よくよく聞いてみるとサンプリングが間違っていたとか、後で値が修正されるという事例もございますので、もう少し報告の体制ですとか、データ精査の仕方のスピードアップを図るような方法を御相談いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○松井座長
事務局のほうから何かお考えがあれば、お願いします。

○東水道水質管理官
御意見ありがとうございます。
水道統計は御存じのように、日本水道協会のほうで取りまとめて、時間もかかっているし、データそのものもちゃんと精査されていないという実態がございます。その点につきましてはまた水道協会とも相談して、なるべく正しい値でかつ迅速にやっていただけるよう、今のところお願いしていくしかないと考えているところです。

○松井座長
どうぞ。

○浅見委員
水道統計としてはそういう面もあるのですけれども、それの改良をぜひお願いしたいというのが1つと、もう一つは健康危機管理実施要領で、基準値超過の場合には直ちに厚生労働省に報告をしていただきたいというものがあるのですけれども、それに関しての報告が全体でされていないのではないかということと、報告されれば当然どのように改善するかということもモニタリングしながら、次の年には同じところでは起こらないようにするというのが一番望ましいことだと思いますので、その辺についても報告の徹底ですとか、改善も一緒に考えていただくとか、少なくとも今の段階で基準超過が続いているようなところは、改善をお願いするとか、どのようになっているのか情報を収集することが必要なのではないかと思います。

○松井座長
その他。広瀬委員、どうぞ。

○広瀬委員
今のは基準超過が続いていると言っているけれども、同じところで続いているというデータではないですね。わからないと思われるので、そこからしないと単に続いているということだけがリスクの要因ではない気がしたのです。

○田中係長
その件について補足です。こちらで平成27年度の一般細菌2件と大腸菌2件の超過については今、事業者に情報確認をして情報が得られたところです。あくまでも経過報告なのですけれども、いずれもデータとして誤った報告ではないということでした。ただ、サンプリングの際に恐らくミスをして、採水瓶に指を触れてしまったといったような状況だったということです。採水をした時点で残留塩素がいずれのサンプルでも検出されていたということと、また、基準超過の結果を受けて再測定をしたところ、不検出であったという状況であり、その間に特段給水停止等は行っていないということを、いずれの4件からも報告を受けております。
この件について、この浄水場は県認可の水道事業者だったのですけれども、その時点での県への報告はされていなかったということまでは確認しています。

○松井座長
今後、再測定をして基準の遵守が確認されている場合は、どのように水道統計として報告すべきかとか、そういったことも含めてこれから考えていく必要があると思います。
東管理官。

○東水道水質管理官
わかりました。今の水道統計の課題ということで、厚生労働省としてもどのように改善していくかまた検討していきたいと思います。

○浅見委員
若干、補足になるのですけれども、以前水源法の改正のころであったかと思うのですが、トリハロメタンですとか特に消毒副生成物の超過の件数が目立った場合がありまして、そのころには70%を超えるような値を報告してきたところには、厚生労働省のほうから口頭でどのような状況で何が起こっているのか、改善を計画しているかどうかというようなヒアリングをかけていたことがございました。私の知っている限りでは、何年か継続してそういうことをされていたと伺っております。
そのようなヒアリングを受けた事業者では緊張感がまだ続いているようなところも伺っておりまして、70%を超えないようにということで非常に努力されている事業者がある一方で、人事の異動とかもございますし、基準超過をしても報告をすることも知らないといったようなことがもしあるとすると、それは非常に問題だと思いますので、ぜひ徹底をお願いしたいと思います。

○松井座長
それでは、その他の件について、何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは議題「(2)農薬類の分類の現状と課題について」に進みたいと思います。まずは御説明をお願いします。

○東水道水質管理官
それでは、資料2に基づきまして御説明をしたいと思います。
冒頭にも御案内いたしましたけれども、平成25年3月に農薬の分類の考え方の見直しを行ったということで、参考資料4を御用意させていただきましたが、ここには案と記載されています。当時の検討会の資料で案ということだったのですけれども、この考え方をもとに24年3月に各水道事業者に通知を出しております。この考え方に基づいて、水質管理目標設定項目の中の農薬類の分類の考え方を示したところでございます。
それが今の資料2中ほどの表です。「1.現在の分類区分」ということで5つの分類で示してございます。
農薬を測定している水道事業者の多くにつきましては、この通知に基づきまして分類された農薬のうち、表の上から2番目「対象農薬リスト掲載農薬類」これは全部で120ございますけれども、この全部もしくは一部を測定しているのが実態でございます。実際の通知には、120物質についてはかなりの確度で検出されやすいものですので、各水道事業者で取捨選択をして120全部を測ってもよろしいし、また、検出されそうな、問題となりそうなものを重点的にピックアップして測ってもよろしいという通知をさせていただいてございます。
ただ、農薬類、先ほど来申し上げていますように、水質管理目標設定項目、つまり基準項目ではないということでございますので、実際、経済的余裕がないところとか、あるいは本当にリスクがないところはそうかもしれません。地下水しか取水していない。そういったところもあると思いますけれども、実際、全く測定していない水道事業者もあるというのが実態でございます。
この通知を発出してから約5年が経過してございますけれども、今後、運用上改善が必要な知見も蓄積されたということで、本日、課題と改善の方向性について整理いたしましたので、御意見いただければと思っています。
この表「1.現在の分類区分」ということで、一番上の「水質基準農薬類」というものは、実際に3カ年連続で目標値を50%超過している地点が1地点あるとか、あるいは最近5カ年の間に超過地点1地点というのは、幸い今、ゼロでございます。
先ほど言いました2番目の「対象農薬リスト掲載農薬類」については、測定すれば目標値の1%を超えて浄水から検出されるおそれがあるものですとか、社会的要請があるもの。これは現時点で120ございます。
3番目の「要検討農薬類」につきましては、1%を超えて検出されるおそれがあるものということで、対象農薬リスト掲載農薬類に準じて知見の収集に努めるものということで、今、14農薬ございます。
我々としては、2番目の対象農薬を重点的に測ってくれという言い方をしていますので、実際に14農薬を測っている事業者はかなり少ない状況にございます。
4番目の「その他農薬類」は検出されるおそれが小さいというもので、ほとんどの自治体は測っていないということです。物質数は今84ございます。
最後の5番目の「除外農薬類」。これは以前、5年前にリストの考え方を変える前にリストに載せていたのですが、その当時の測定結果ですとか、出荷状況から考えて1%を超える蓋然性がないものということで、当面これは測る意味もないというもの、今14物質ございますけれども、こういった分類で2番目のものを中心に測っていただいている現状でございます。
「2.現状と課題」でございます。
「(1)各農薬についての定期的な分類見直し・追加」ということで、実際に今これはやっていることなのですけれども、まず最初のポツです。既にいずれかに分類されている農薬については、それぞれの原水・浄水中の検出実態を継続的にフォローし、検出実態を踏まえて分類の見直しを逐次行うということで、実際にやっているところでございます。
特に対象農薬リスト掲載農薬類のうち、近年使用実態がなく、原水・浄水で検出実態がないものについては、水道事業者の負担を減らす観点から速やかに「その他農薬類」へ移行すべきだということで、先ほど前半御議論いただきましたジチアノンとかジメピペレートですとか、そういった物質があるということで、これも継続的にやっていく。
それから、一番下のポツでございますが、新規に使用されるようになった農薬のうち、まだ分類されていない農薬についても出荷量ですとか浄水・原水での検出実態を踏まえて逐次分類に追加する。農薬については年々新しい農薬が生産されているということで、最近では昨年度テフリルトリオンについて対象農薬リストに追加したという事例もございます。こういった昨今、使用実態がふえてきて検出されるようになる可能性があるものについては、逐次追加すべきだということでございます。
裏に行きまして「(2)分解物・代謝物・異性体の考え方の整理」。先ほども前半議論がありましたけれども、現状では内閣府食品安全委員会等において評価されている分解物・代謝物・異性体のうち、水道において測定対象となっていないものがある。浄水処理過程により分解されるものもあることを考慮し、何を測定対象にするかを整理する必要があるということで、基本的には分解されたもので毒性があるものについては測っていく。測定に加えていくべきだという考え方でございますけれども、本日も前半御議論いただいたように、その分解の仕方もすぐに分解するものもあれば、徐々に分解するものもあるということで、それは個々の物質ごとにしっかりと見ていく必要があるということでございます。
特に対象農薬リスト掲載農薬類について、浄水中の形態について把握し、分解物で毒性があるものについては原体と合算した評価が必要。本日もプロチオホスのオキソン体も合算した評価をするという方向になりましたし、そういったものも今後、検討していかなければいけないということでございます。
3つ目、対象農薬リスト掲載農薬類であっても、浄水中で速やかに分解され無毒化されるものについては「その他農薬類」へ移行するということで、繰り返しになりますけれども、先ほどもジチアノンがございましたが、そういったものもデータ収集しながら分類の整理をしていかなければいけないということでございます。
(1)(2)までは基本的にこれまでやっていることでございますので、継続して我々としても進めていかなければいけないのですけれども、次の(3)でございますが、そもそもの考え方について、これでいいものかどうかということで、先生方に特に(3)について御意見をいただきたい部分でございます。
現行の対象農薬リストには120農薬が掲載されており、各水道事業者等がその地域の状況を勘案して測定を行う農薬を適切に選定することとしています。しかし、選定を行わずに機械的に120農薬類リストにあるのだから、120農薬全て測定しているという事業者もあれば、選定して農薬が流入するおそれがある表流水を水源としているにもかかわらず、経済的理由等々で測定を実施していない事業者もあるということでございます。
また、120農薬の中には全国でほとんど検出されていないものもあって、原水で同時に検出される農薬はそう多くない。一方では現行の総農薬方式、これは繰り返しになりますけれども、分母に評価値、分子に検出値、それぞれの農薬ごとに足し上げてシグマ値が1を超えるかどうかで評価を判断しているやり方ですが、このやり方による水質管理の実施は、水道水質への高い信頼性を得ることに寄与していると言えます。これは欧州なんかでもそういった考え方をされているとも聞いていますし、日本のやり方も評価されているということもございます。
以上を踏まえると、次の検討が必要であるということでございます。前半いろいろ書いていましたけれども、一言で言いますと、今の農薬類というのは基準項目ではない。水質管理目標設定項目の1つが農薬類となっている。その農薬類についてはシグマ値で1を超えるかどうかで判断している。つまり120農薬それぞれを足し上げて1を超えるかどうかで管理するかどうか、管理に問題ないかどうかを判断しているということでございますので、そもそも基準値がないということで事業者に測定義務がその時点でないということがございます。なので例えば金銭的に余裕がある事業者については全て測るし、そうでない事業者については、そこは水源が農薬に汚染される可能性がないところについては測らない。そういう選択をされている事業者も実際にありますし、そうではなくて単に表流水を使っているのだけれども、金銭的な、あと人的な観点もあるかと思いますが、余裕がないということで測っていない。本来測らなければいけないような事業者でも、測っていないところが実際にあるのではないかという問題意識があるという前提でございます。
ポツを5つほどまとめておりますけれども、1つ目のポツが、より多くの水道事業者が農薬のリスク管理を適切に実施するための分類区分などの扱いがどうあるべきか。この大前提としては、農薬類は測定義務は必ずしもないということがあって、そこで120農薬中心に厚生労働省としては測ってもらいたいと思っているのですけれども、その考え方について今後どう考えていくべきか。それとも今の考え方でもいいのかどうかというところでございます。
2つ目が、対象農薬リストの120農薬を一律に扱うべきか。先ほどもございましたとおり、比較的頻繁に検出されるものもあれば、そうではない、今はほとんど検出される可能性もないようなものもあって、それは一律に農薬方式で同じ計算式で評価することになっていますけれども、そういう考え方がいいのかという問題。
3つ目のポツが、現行の総農薬方式の考え方については、検出値を目標値で除した指標値の総和が1を超えないこととしていますけれども、その総和値についての考え方の再確認や整理が必要。今、最初のポツの2つにも関連します。
4番目のポツは派生的な課題なのですが、定量下限。今は実際は普通の一般物質、基準項目もそうですし、水質管理目標設定項目も目標値の10分の1を満たすようにということでしていますけれども、農薬類については総農薬方式で約100ぐらいの農薬を足し上げるという観点から、今のところさらに1桁定量下限を厳しくして、そこまで測定してもらう。シグマ値を精緻化するという意味があるのかなと思っているのですけれども、その考え方もまたあわせて整理が必要なのかなということで、4番目のポツを書かせていただいております。
5番目のポツは趣旨は少し違うのですけれども、「除外農薬類」に分類されたものでも、再度検出される可能性が全くないわけでもないということから、そういう意味では1ページ目の4番目と5番目の「その他農薬類」と「除外農薬類」の区別は必要ないのではないかといった問題意識で書かせていただいています。
ということで「3.今後の方向性(案)」として3つ書いておりますけれども、1つ目と2つ目については今、実際にやっていることですし、今後も継続して進めたいと思っています。
最後のポツ、(3)については原水及び浄水中の実態調査やデータ収集に努め、現行の考え方を見直す必要があるか、またはさらに継続的に検討を進めたいと思っておりますが、きょう先生方から御意見をいただきながら、今後どうしていくかも考えたいと思います。
説明は以上でございます。

○松井座長
ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見があればお願いします。

○伊藤委員
この総農薬方式というもの、そしてシグマ値を1.0にするというのは、2003年に始めた方法です。それ以来、幾つかの問題点が出てきて、今回それを整理していただいたということかと思います。
私の意見としては、そのようなことに対応していくために、現在の方法はフレキシブルに考えていけばいいだろうということになります。と申しますのも、2003年に水質管理専門委員会でこの方法を決めたわけですが、そのときのシグマ値の原案は実は0.5でありました。もちろん幾つかの理由があってそう提案されたわけです。それに対して委員会の場で意見が幾つか出て、その場で修正をされて1.0に設定されたという経緯がございます。それから、もともととりあえずこれでやってみようということであって、御承知のように各農薬の作用機序であるとか、エンドポイントは全く違うものを一緒にして合算しているわけです。ですから、基準項目ではないというものの、他の化学物質に比べると科学的根拠はそう強いわけではないということがあろうと思います。
それで本日御説明のあった実際の検査上の実態、それから、検出されている実態を踏まえてどちらの方向に持っていくかということですが、そういうニーズがあるのであれば、必要に応じてフレキシブルに考えていけばいいだろうということです。
例えば、2つ目と3つ目にかかわることですが、120の中で頻度高く検出されて、優先されるべき農薬がもしあるとすれば、例えば120の中で20あるとすると、それに対するシグマ値として0.5を設定する。その他の農薬100種類に対してシグマ値を0.5に設定するというふうに、1.0という値を分割することも一定の合理性があるだろうと思うのです。それは現在の総農薬方式、およびシグマ値1.0からそう大きな変更ではないのかなと思います。もちろん本来は先ほど触れましたように、作用機序とかエンドポイントの類似したものでグルーピングして目標値を設定していく。それは本来の姿なのでしょうけれども、それは簡単ではない可能性があるので、とりあえず現在からそう大きくない変更で、一定の合理性を有する方法というのが考えられるかと思います。議論のきっかけとして参考にしていただければと思います。

○松井座長
ありがとうございます。いろいろな考え方、方針、方向性があるかと思いますけれども、大枠としては今後の方向性(案)に書いてありますように、(1)(2)については分解物も今後含めていく。これまでどおりの考え方も含めて進めていくということ。(3)については今、伊藤委員から御意見がありましたけれども、こういったことも踏まえながら継続的に検討していかないといけないなということでございますが、他にございますでしょうか。
私の考えとしては2つ、農薬の考え方にあると思います。1つは、現行は水質管理目標設定項目ということなので義務ではない。これはすなわちこのことを測ることによって水道の需要者、市民からの信頼感が得られるということ。すなわちこれがリスクコミュニケーションに非常に役に立っているという現状が一方である。これについては非常に成功している例ではないかと思います。EUも必ずしも科学的根拠に基づいていませんけれども、合算値を使うことによって農薬の管理をしているわけですが、これは農薬が化学物質として種類が非常に多くのものが地域によっては検出されるもの、されないものが一律ではないという状況で使われている。それから、分解物というまだまだ我々が知らないような物質もある中で、どのように管理していったらいいかということを考えると、やはり合算値で考えることが1つの水道利用者に対しての安心感に貢献しているのではないかと思うわけです。
ただ、一方では(3)の3行目か4行目にあるように、いろいろと測定が未実施だったりとか、必ずしも適切に管理に利用されていない例もあったりするようなので、そういう面では少しその辺は管理目標設定項目であるがゆえに課題が残っている面もあるかなと思うので、これについてはどのぐらいのリスクがあるかこれから調べていかなければいけないかなと思っております。
浅見委員、どうぞ。

○浅見委員
自戒も込めてなのですけれども、やはり農薬は非常に種類が多くて、測っていらっしゃる方も非常に大変だと思います。一番私として気にしているのは測定の地点が少ないこと、回数が少ないことから、本当に実態を把握できているのかという部分がありますので、それはもっと効率よく地点を設定して、どうしても測らなければいけないようなところをなるべく測っていけるような方法を考えなければいけないなと考えながら伺っております。
例えば水安全計画でも、農薬に関しては項目には入れていらっしゃると思うのですけれども、本当に土地の利用の状況から見て農薬の影響を受けやすいような、農地の影響を受けやすいような事業者さんでは積極的に測っていただきたいなと思うのですが、そういうところと大事業者さんで自分で自主検査ができて、かつ、財政的にも可能なところと必ずしも一致しないところがありまして、やはり課題がそういうところに残ってしまっているのかなという感じもいたしております。今後、何とかもう少しいい方法を考えていきたいと思います。あと測っていらっしゃる方々の御要望からしましては、項目数が非常に多いので精度管理も大変でしょうし、同じような精度管理で、しかも100分の1でという精度管理が非常に大変なので、なるべく一斉分析ですとか効率のいい分析方法で測って回数をふやすとか、実際にそういう濃度が高いときに活性炭を入れる指標で測っていらっしゃるようなところは、簡易法といいますか、一斉分析法を使って頻度高く測っていらっしゃるところがありますので、そういうところのほうが実際の水質管理に使っていらっしゃるという感じもいたしております。そういった方法も広めていかないといけないと思います。測定が何とか行われて、かつ、安全が確保されるような方法を今後とも検討していきたいと思います。
まとまっていなくて申しわけありません。

○松井座長
広瀬委員、どうぞ。

○広瀬委員
特に継続案件だということで私案というか、基本的に先ほどのリストのフォローにしても、結局は強制的ではないというか、自主的にお願いする部分であるというところが多分大変で、今後の方向性の1に書いてあるように厚生労働科学研究でやるといったところで、研究のほうで大都市のデータを集めるのではなくて、農薬の出荷がありそうなところの分析を研究費のほうで集める。要するにデータが集まらないと本当にリスクがあるのかどうか、こんなことを言うと大変な作業をする人がふえそうな気がするのですけれども、実際にはデータがないのですが、想像ではやっていないところがあるというような(3)の3~4行目、傍証だけなので、実際にはそれがどのくらいの暴露であるのか、実態把握は大変だと思うのですけれども、少なくとも幾つかのポイントでそういう調査をするというのは、国の方からも少し調査するのが必要なのではないでしょうか。事業者だけに全部を水質計画で任せるというので、そんなことを言うと大変ですけれども、ここで言う話かどうかとは思いましたがコメントいたしました。
あと、もし可能だったら農薬の出荷状況とか、どの地域にどのくらい出ているかという情報は自治体だけでは多分集めきれなくて、そういうものを非公開でも国のほうで集めて、それなりに必要な場所を調査するという、公表の仕方としては難しいですけれども、商業的な機密保護の問題も絡んで難しいかもしれないのですが、でもそういう出荷状況ぐらいは集めて、それに応じてその地点の表流水を測りに行けば、本当にリスクかどうかというのはそのうちわかってくるのではないでしょうか。今日明日でできる話ではなくて、そんなことも考えていっていいのではないでしょうか。多分、水安全計画の理念はそうなっていますよね。そういうのは考えてもいいのではないでしょうか。

○松井座長
小林委員、何かございましたら。

○小林委員
検査の労力が掛かるので実態調査が大変だという点についてなのですが、検査法の検討をしている国立衛研としましては、これまでも検査の労力をできるだけ軽減するという目的で一斉分析法の開発をしてきました。今回、精度管理が大変だということに関しては、妥当性評価ガイドラインが先々週に改定されて、農薬に関しては精度管理の目標が少し緩和されたので多少は改善されたかと思います。それに加えて、実態調査に関しては厚生労働科研の研究でスクリーニング分析法を今、開発しておりまして、それがほぼ確立できていますので、来年度は公定法ではなくより簡易的なスクリーニング検査法での実態調査に乗り出していく予定があります。そういったデータの蓄積がなされていけば、現状よりも実態把握がし易くなるかと思います。

○松井座長
ありがとうございます。そういうデータが蓄積されてくれればと思います。
西村委員、どうぞ。

○西村委員
今のと関連してですけれども、2つ目の掲載農薬類120というものがありますが、これはもともと120が絶対というわけではなくて、その中から選んでくださいということで一応、リストを上げようということで上がっているということがあると思いますので、今、小林委員からもお話がありましたけれども、スクリーニング法として、モニタリング法として開発されているというのも1つはいいと思いますが、現在、もちろん個別で測らなければいけない農薬もあると思うのですけれども、ガスクロマトグラフィーを使う、または液体クロマトグラフィーを使うということで、ある程度まとまって一斉に分析できる農薬もあるので、ぜひこの120全部を一律に扱うということではなく、それぞれの事業者さんでこれが重要だ、出そうだというのをぜひ精査していただいて、そういうものだけでも測っていただくという方向で何か進めていくことが必要なのかなと思っています。
もちろん120の大部分を網羅して測るということも、それは非常にいいことだと思うのですけれども、その中の120の中の一部だけでも測るということで、それはもちろんいろいろな知見を背景として選択をしていただきたいのですが、そういうことで情報の収集、また、先ほどお話があったように水道の信頼性を担保することに使うのがいいのかなと私は思います。
あと、追加で5番目の除外農薬類なのですけれども、2つあると思うので、失効農薬は検出が非常にされないもので、現在もまだ使われているものもあるので、ここのところでその他の農薬に統一することも私は賛成ですが、その中で失効農薬だけは別にしておいてもいいのかなと。これは検出される可能性も非常に低いので、もちろん全国的に一部ではそういうことはあるかもしれませんが、そういうこともあってもいいのかなと思います。
以上です。

○松井座長
ありがとうございます。そうですね。今回、失効農薬についても失効されていて、かつ、検出もないという実態が明らかになったとすれば、それは1つそういう理由として分類にも違う考え方もあるかと思いますので、その辺も踏まえてこれから検討する必要があります。
浅見委員、どうぞ。

○浅見委員
先ほど広瀬先生から出荷量の御指摘があったのですけれども、今、前年の出荷量に関しましては、厚生労働省さんの御協力もいただきまして、県ごとに集計をしたものを研究班では共有をさせていただいておりまして、基本的には松井先生の算出のときに地域ごとに使われている農薬の出荷量を踏まえておりますので、それを踏まえた形で120のリストに反映をされています。今後もう少しわかりやすい形で優先的に測ったほうがいいものをもう少し数を絞って出せればいいという意見もありますので、今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

○松井座長
ありがとうございます。広瀬委員から意見がありましたように、一方ではそういう地域ごとの検出のおそれがある農薬についてまとめると、それが水道事業者の農薬の測定の回数とか、農薬の測定の実施に結びつくかどうかというところをこれからまた考えていかなくてはいけない点かなと思っています。それだけで農薬測定の未実施が実施につながっていくかというと、どうもそう単純でもないような気もしますので、測定の負担ということもありますでしょうし、財政的な課題もありますでしょうし、いろいろな複合的な要因があるので、そういうことはこれから今後の方向性の(3)の中でいろいろ検討していく必要があるのかなと思っています。
他にございませんでしょうか。それでは、議題2はこれで終わらせていただきまして、その他、事務局より何かございますでしょうか。

○田中係長
連絡事項を申し上げさせていただきます。本日の議事録については、後日、事務局より送付いたしますので、御確認をお願いいたします。
最後に事務局を代表しまして、水道水質管理官の東より御挨拶を申し上げます。

○東水道水質管理官
きょうは活発な御議論ありがとうございました。
今後のスケジュールをもう一度申し上げますと、きょうの前半の部分、水質基準等の見直しにつきましては、この後、見直し部分についてのパブリックコメントを年内に行いまして、その結果と対応方針につきましては、また本検討会の委員の皆様にも御確認いただきます。それで了解いただけましたら、来年2月に開催予定の厚生科学審議会生活環境水道部会で御審議いただきまして、問題なければ年度内に通知の改正をいたしまして、4月1日施行ということで進めさせていただきたいと思います。

○松井座長
ありがとうございました。
それでは、以上で本日の会議を終了したいと思います。スムーズな議事進行に御協力いただきまして、ありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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