ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会))> 平成29年度第4回DPC評価分科会・議事録(2017年9月1日)




2017年9月1日 平成29年度第4回DPC評価分科会・議事録

○日時

平成29年9月1日
14:00~15:12


○場所

全国都市会館 第2会議室


○出席者

【委員】

山本分科会長、池田委員、石川委員、猪口委員、井原委員
緒方委員、金田委員、川瀬委員、小林委員、舌間委員
福岡委員、伏見委員、藤森委員、箕浦委員、美原委員

【事務局】

医療課長、企画官 他

○議題

1.機能評価係数IIについて

○議事

○山本分科会長

 お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、平成29年度第4回「DPC評価分科会」を開催いたします。

 本日の委員の出席でございますが、川上委員、瀬戸委員、渡辺委員が御欠席と伺っております。現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立することを御報告申し上げます。

 それでは、資料の確認をお願いいたします。

○事務局

 事務局でございます。

 本日もペーパーレス開催ということで事前にメールで資料をお送りしております。席次表、議事次第、委員一覧のほか、D-1-1、D-1-2、D-1参考というパワーポイントの資料でございます。

 なお、前回のペーパーレス開催のときに御意見いただきまして、ワードのものとパワーポイントのもので、ワードのものは紙があったほうが両方見やすいという御意見がございましたので、きょうはお手元にD-1-1とD-1-2は配付をさせていただいております。適宜御活用いただければと思います。

 以上です。

○山本分科会長

 それでは、議事に入らせていただきます。

 最初に「機能評価係数IIについて」を議題にしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局

 それでは、資料を御説明させていただきます。きょうは「機能評価係数IIについて」、2つございます。1つ目が救急医療係数について、もう一つが重みづけについてでございます。資料はまとめて御説明をさせていただきます。

 まず、救急医療係数について、D-1-1の資料をごらんください。

 救急医療係数は、救急医療の患者の治療について、入院時にはその診断が確定していない等のために、検査ですとか救命処置などの通常の診療より資源投入量が一定程度大きくなることを勘案して、診断群分類点数表の点数との乖離を評価するということで、機能評価係数IIの導入時からある係数でございます。

 一方、救急医療の対象となる症例というこの係数の設定方法が、現在、参考資料の2ページ目にあります救急医療管理加算という点数を基準にしているものと、そうではないもので2種類に分かれていることなどがございますので、整理を検討させていただきたいという趣旨です。

 「2.具体的な検討」で、参考資料の4にありますものが現状の救急医療係数の定義になっております。5)と書いてあるところですが、これを見ますと、1症例当たりで入院後2日目までの包括範囲出来高点数と診断群分類点数表の点数との差の総和ということが定義になっていますが、先ほどの出来高の加算、救急医療管理加算の施設基準を取得している場合とそうでない場合で、この患者の定義について、判定方法などが若干違う部分があるという定義になっております。

 現状どうなっているかをごらんいただきたいのですが、参考資料の6ページ目が現状の病院等になっておりまして、施設基準を満たしている医療機関と満たしていない医療機関で、6ページにありますような整理をさせていただいております。グラフの左側が施設基準を満たす医療機関で、右側が満たさない医療機関になっています。左側のグラフで、縦軸が患者数となっていますのは医療機関数の誤植でございますので、訂正をお願いいたします。この医療機関数の分布を、救急車で来院した患者について、救急医療管理加算に該当する救急患者ないしは定義に合う救急患者と判定した患者の割合別に病院数の分布を見ております。左側の棒グラフで見ますと、大体60%以上のところをとっている医療機関が多い状況になっていまして、救命救急センターに該当している医療機関でデータをとりますと、中央値は68%のところであります。中には全ての患者が該当するということで100%というデータもございます。

 右側がn数、大分少ないのですけれども、この施設基準を満たさない医療機関での同様の分布ということで、こちらも縦軸は医療機関数でございますので、訂正をお願いいたします。こちらはn数も少ないので、全体的にデータがばらついている、幅があるということでございます。

 次の参考資料7ページ目が、この判定について呼吸不全のない肺炎患者のデータをプロットしたものですが、縦軸が呼吸不全のない肺炎患者について救急医療管理加算、該当した患者のどれぐらいだったかという割合で、1が100%ということで、その縦軸分布です。右側が救急車で搬送された呼吸不全のない肺炎患者数ということで、50未満のところはn数がそもそも少なくなってきますので、プロットが分布ではなくて階段状になっているのですけれども、50以上のところのグラフを見ていただくと、先ほどの分布に近い形になってきますが、150件ぐらい見ているところだと、0.6から0.8ぐらいというデータになってございます。

 次に、8こま目の参考資料ですけれども、こちらは救急医療管理加算を算定した患者が退院している日数です。死亡以外ということで分析しています。これを見ますと、ばらつきはありますけれども、3日以内に退院している患者の割合が2割ぐらいというところであります。ただ、数が大きくなってくると、大体一、二割といったところになってくる状況で、救急医療の患者の定義やその割合という状況について御紹介をいたしました。

 次に、参考資料の9ページをごらんいただくと、救急医療管理加算につきましては、入院医療について検討する分科会で、赤字になっておりますが、平成29年度、今年度の入院医療に関連する調査の中で、救急医療管理加算の評価のあり方を検討するために、救急管理加算をとっている患者の状態などについて調査をしております。調査結果自体は10月以降に速報等が上がってくる予定でございますが、入院医療の分科会のほうで、そもそもの出来高の加算の定義等々についての結果分析をする予定になっているという状況でございます。

 次に、参考資料10ページ目をごらんいただくと、救急医療管理加算の数です。先ほどグラフをお見せしましたが、施設基準を満たすところと満たさないところで、DPCの全体の数が約1,600あるうち、平成29年のデータでは満たさない医療機関が58で、大体60前後ということで、施設基準を満たさない医療機関自体の数は相当少ないということでございます。

 以上が参考資料になっておりまして、D-1-1の本文に戻っていただきますと、現状、1ページ目は、今、大体御説明したような内容を文字にしたものです。

 2ページ目をごらんいただきますと、以上のような加算等々についての現状と、出来高の加算の報酬の調査をやっていることにつきまして、「(4)論点」の1つ目としては、救急医療管理加算の患者要件を基準として、今、救急医療係数の評価をしていることについてどう考えるか。2つ目としては、施設基準を満たさない医療機関、数は少ないですけれども、施設基準を満たす医療機関と少し定義等が違っているということもございますし、その評価の対象としてどう考えるかという、この2点があるかと思っております。

 「3.対応方針(案)」としては、評価対象の判定に加算の算定を用いていることがそもそも適切か。救急医療管理加算の施設基準を取得していない医療機関についての評価をどう考えるか。救急医療管理加算を含む調査の検討状況も踏まえながら、引き続き評価のあり方を検討してはどうかということで、調査結果などが出ましたら、こちらの分科会にも報告させていただきます。議論自体はそのときしていただくのですけれども、本日お示ししたデータも踏まえて、考え方などについて、あらかじめ御意見をいただければという趣旨でございます。

 続きまして、D-1-2、機能評価係数IIの重みづけについてでございます。

 D-1-2、1ページ目の「1.背景」ですが、これまでI群、II群については重みづけを検討すると。その視点として2つ。まず1つ目は、医療機関群の特徴から見て、その特徴をより強化する視点と、2つ目、一定の機能を前提としているので、その他の機能への取り組みを促す視点と2つの観点があることと、係数のそもそもの特徴を考えて、重みづけをするとして、効率性係数、複雑性係数、カバー率係数の3つを対象に検討してはどうかということになっておりました。

 「2.具体的な検討」状況で、まず、I群、II群のそもそも群はどういう群かということの基本的な考え方ですが、DPC/PDPSでは包括点数に対応する基本的な診療密度について、それが大きく異なる医療機関については群を設定しておりまして、I群は大学病院本院、2群は診療密度、医師研修の実施、一定の医療技術の実施、一定以上の複雑性指数という4つの要件について、I群の最低値を基準として要件を全て満たす医療機関をII群ということで区別をしている状況でございます。

 マル2として、機能評価係数IIはどうなっているかということですが、こちらは参考資料の13ページ以降で御説明しますので、参考資料をごらんください。I群、II群、III群で重みづけを検討する3つの係数について、まず、13ページ目は、効率性指数について、3群でそれぞれの分布を見たものです。左からI群、II群、III群とデータが並んでおります。効率性指数については、I群、II群、III群を比較すると、中央値の太い線で見ますと、II群の効率性指数はI群、III群よりも高い傾向がある。II群の多くの医療機関はI群、III群の中央値よりも高いところにいるというようになっております。

 次に、14ページ目がカバー率指数で、同様にそれぞれの群でデータを見ておりますが、I群、II群、III群と見ますと、カバー率はI群が最も平均値、中央値が高くなっておりまして、II群、III群という順で低くなっています。I群の多くの医療機関はII群の中央値よりも高いということで、カバー率指数を見ますとI群が高い状況になっています。

 次に、15ページ目をごらんください。複雑性指数を見ますと、I群、II群、III群と並んでいますが、I群とII群は中央値を見ますとほぼ同じぐらいというデータでした。

 本文に戻っていただいて、D-1-2、1ページ目の下3分の1、「(2)重み付けに係る検討」をごらんください。I群を構成する大学病院本院は、その多くが高度な医療の提供を行う特定機能病院であり、一般論としては総合的な体制を有し、症例の特性から、在院日数は一般的な医療機関と比較するとより長期となる傾向があると言われています。

 指数の現状を踏まえると、マル1、医療機関群の特徴から見て、その特徴をより強化するという視点から見れば、係数としてはカバー率になりますし、視点のマル2、一定の機能を前提としてその他の機能への取り組みを促すという視点だと、在院日数短縮の努力を見る効率性とすることが考えられます。

 2ページ目をごらんください。I群について効率性指数、先ほどお示ししたような状況ですが、参考資料の16ページ目以降をごらんください。まず16ページ目、これはI群の医療機関について、左のグラフが平成15年度の平均在院日数別の患者数の分布、右側が平成28年度の平均在院日数別の患者数の分布、こちらは肺がんで手術ありの患者を出してきております。そうしますと、平成15年の在院日数は29.55日が全体平均だったところが、平成28年度は11.36日となっていて、15年度のグラフと比べると、ばらつき自体も短くなっているということでございます。

 なお、平成28年度、全DPC対象病院の平均在院日数は11.12日で、II群は9.98日なので、平均在院日数11.12日よりも少し長いですが、11日ぐらい、全体平均にかなり近いデータになっているということでございます。

 以降、17ページ目は同様のグラフと比較を狭心症のデータでやっておりまして、平成28年度の平均在院日数は5.19日で、DPC全体の平均在院日数は4.55日ということです。

 次の18ページ目は胆のう結石の手術ということで、これも6.9日ぐらいになっている。

 19ページ目、虫垂炎の手術ありが8.53日で、全体平均が7.14日で、1日ちょっと差がある。

 20ページ目が鼠径ヘルニアですが、同様の形になっているということでございます。

 以下、22ページの白内障まで同様にデータが並んでおりまして、いずれも平成15年度と28年度、I群同士を比較すると、かなり短くなって、分布も小さくなっている状況です。ただ、依然として平成28年度現在でDPC全体の平均値と比較すると、物によりますけれども、長さは症例によりますが、少し長い傾向になっているということです。

 D-1-2の2ページ目の上から3分の1、カバー率係数のところをごらんいただくと、これは総合的な体制を評価しておりますが、全体値で見てII群の中央値よりも高くなっているので、特徴をより強化する視点として見ると、既に多くが特定機能病院であることを踏まえると、一定以上の機能を果たしていると考えられるという分析でございます。

 次にマル2としてII群ですが、先ほどの4つの要件を満たしたところがII群で、III群よりは高い基礎係数がついております。ということを考えると、その実績要件も踏まえると、より総合的な体制を有することが期待されていると考えられますので、特徴をより強化する視点では効率性、その他の機能への取り組みという視点ではカバー率を重みづけすることが考えられます。

 効率性係数はどうかというと、II群の効率性係数はI群、III群よりも高いので、既に多くの医療機関が十分に高い指数をとっているということで、既に一定の機能を効率性係数が果たしていると考えられる。また、カバー率係数のほうはというと、I群よりは低い。III群よりは高いのですけれども、II群の医療機関の中には、医療機関群の平均的な値よりも外れて低いところも分布で見ますと一部存在するということで、また、III群の中にもII群の医療機関の中央値よりも高いカバー率指数を有することがあるという状況でございます。

 以上をまとめまして、対応方針案としては、まず、総合的な体制が既にあると考えられるI群については、視点で言うと、マル2のその他の機能の取り組みを促すという視点で効率性係数を重みづけすることにしてはどうか。2つ目の点として、平均在院日数の短縮については、既に一定程度評価できるII群は、総合的な体制をより評価するカバー率を重みづけすることとしてはどうかということで、視点としてはいずれもその他の機能への取り組みを促す視点で重みづけをしてはどうかという案になっておりますので、こちらについて御議論いただければと思います。

 御説明は以上です。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 きょう、議題はこの一本でございますので、活発な御議論をお願い申し上げます。

 最初に、救急医療係数についての御議論をいただきたいと思います。D-1-1の裏側をめくっていただいたところに事務局からの論点が2本出ております。救急医療管理加算の患者加算を基準として評価することをどう考えるか。それから、施設基準を満たさない医療機関についての評価をどう考えるかという2本が論点として上がっておりますが、この点について、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

○猪口委員

 これは調査結果を踏まえて、来年の救急医療係数に反映させるというお考えと理解してよろしいのでしょうか。

○山本分科会長

 お願いします。

○事務局

 調査結果自体も次の診療報酬改定に向けて管理加算の定義をどうするかという議論ですので、ただ、それ自体は次の改定に向けてで、秋ぐらいまでには一定の方向性をまとめますので、それを踏まえてということで考えております。

○猪口委員

 救急医療は、先ほど事務局から御説明がありましたように、最初に診断がついていない患者を対象にしますため、リソースを余計に使う面があります。もちろん使い過ぎると非常に無駄が多くなるわけですけれども、そこのバランスは非常に難しいので、よく調査していただければと考えます。

○山本分科会長

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○福岡委員

 ちょっとだけデータの確認をさせていただきたいのですけれども、スライドの6枚目のデータで、患者数ではなくて医療施設の数だと御説明いただいたのですが、実際に診た患者数を勘案すると、どのあたりにピークがあるのでしょうか。例えば、かなり多いものが極端に少ないとか、極端に受け入れ患者数が多いとか、そのような一定の傾向はあるのでしょうか。

○事務局

 本日、詳細な資料はお持ちしていないのですけれども、患者数受け入れが多い病院であってもこの割合が高い病院は一定数存在しますし、少ない病院でも、低いところもあれば高いところもあるという傾向でございます。

○福岡委員

 もう一点確認させていただいてよろしいでしょうか。8枚目に早期退院の割合というのが入っているのですけれども、実際に最近であれば、比較的早期に、特にある程度落ちついた患者であれば、翌日ですとか2日目、3日目で転院させている病院も多いと思うのですけれども、転院はこの中に勘案されているのでしょうか。

○事務局

 特に転院を除くという処理はしておりません。あくまで死亡を除いた退院をデータとしております。

○福岡委員

 転院を除くことはかなり難しいのでしょうか。

○事務局

 転院先はDPCデータでとっているので、一定の処理は可能かと思います。

○福岡委員

 ありがとうございます。

 それを確認させていただいて、幾つかちょっとだけコメントさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。例えば、かなり少ない病院が多くて、たまたま100%になったとか、たまたま少なくなったというのがちょっと気になって話したのですけれども、救急医療入院料をかなり取れている病院と取れていない病院があるということで、たしか以前にここで医療施設のヒアリングをしたときにこれが話題になったことがあって、私は質問として、救急医療管理加算を取るためには、呼吸不全の有無ですとか、脱水の有無ですとか、いろいろな要因があるのだけれども、肺炎が要件ではないので、肺炎だから呼吸不全というのはちょっと難しいのではないでしょうかとコメントしたように思うのです。あのときに、私の質問の内容も含めて、一応そこは共有されているのですよね。

○事務局

 議事録を確認しておりまして、先生の御発言は、たしか肺炎でも発熱がない患者がという御発言だったかと思います。

○福岡委員

 わかりました。では、肺炎があっても、あと、その下の、例えば呼吸不全のない肺炎というのは、これもまたいろいろと難しい面があるのではないかと思うのです。肺炎があって、呼吸不全はないけれども、例えば非常に血圧が低くて脱水があってとか、あるいは状態がかなり悪くてとか、そのような形で救急医療入院料が取れることも、その基準を満たしている症例もあることはあるので、もう少し突っ込んだ情報があればわかりやすくなる気がしたのです。実際に取れていない患者、つまり呼吸不全がないけれども、どういう要件でとれているのか、そのあたりの要件はわかるのでしょうか。

○事務局

 御質問の趣旨は、個別の医療機関ごとにどういう患者をとっているかの分析ということでしょうか。

○福岡委員

 それは余り要求していなくて、それはちょっと趣旨がずれますね。今のは訂正させてもらおうと思います。

○山本分科会長

 お願いします。

○事務局

 入院分科会で救急医療管理加算の調査をしていると申し上げましたけれども、まさに今、先生がおっしゃった、加算を取っている方と取っていない方の状態を比較するような調査を予定しております。

○福岡委員

 では、ぜひそのあたりの議論も含めて、ここにフィードバックしていただければと思います。どうもありがとうございます。

○山本分科会長

 福岡委員、そのデータを待つということでよろしいでしょうか。

○福岡委員

 個人的には非常に興味を持っているといいますか、大事なデータだと思っています。当院も2013年に救命センターになってから、救命救急センターに入院した患者の救命入院料ですとか救急加算については全例を私がチェックした時期もありまして、そのときにかなり、このあたりに精緻性を持って対応するのは難しいなといつも感じておりましたので、それがここで議論されて一定の方向性が出れば、多分、全体としていい方向に行くのではないかと思っておりますので、ありがとうございます。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。特にございませんか。

 どうぞ。

○金田委員

 金田です。

 私も同様の意見で、うちの病院のデータをきょう確認したのですが、30%から40%で、このデータを見て思ったより高いなということで、それから、常勤医も当直しているし、非常勤医師も当直しておりますし、それを完全に掌握した一定のラインを出すのはなかなか難しいですね。医師の判断になりますので、客観性を持った評価はなかなか難しいかなというのが正直なところです。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかはよろしゅうございますか。

 どうぞ。

○井原委員

 きょうの事務局案の論点に従ってお話しすると、この救急管理加算は、IをとるかIIをとるかというところで、準ずるという表現をめぐって一定の問題があることは否定できないのですけれども、救急管理加算の対象になるかどうかは、緊急に入院が必要だということで、ここのコンセンサスはある程度とれていると思うのです。ですから、一定の問題があるとしても、この論点で言う加算を基準として評価を行うことについてということに関しては、私はそれほど大きな問題があるとは思いません。

 今、入院の評価分科会のほうでここのところ、出来高点数ですからどうしてもそちらの議論になる話だと思いますので、そちらで議論していただいて、今、事務局からお話があったようになりゆきを見ようというのが1つ。

 それが同時並行で進んでいますけれど、改定まで時間は限られていますので、これがベストと言う気はないのですけれども、これよりもっといい指標があるというのなら、それはここで議論すればいいと思うのですが、点数表を見ていて他に思いつくものがないのです。となると、時間切れのときには、救急管理加算での評価を現状維持でそのまま続けることもやむを得ないのではないかと私は考えています。

 以上です。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございますか。

 どうぞ。

○福岡委員

 一言だけよろしいですか。今の先生の御発言を受けて、案としてなのですけれども、実際に緊急入院したと。それで、例えば手術などの処置を要したとか、あるいは重症患者管理の必要な病棟に入院の必要性があったとか、もう少し重症のほうに絞った評価というやり方もあるのではないかと思うのです。逆にこれはかなり幅があって、IIのほうはかなりいろいろなところでとれる部分もあってということで、そのような曖昧な部分と、狭くはなるのだけれども、ある程度図りやすい部分とバランスをとるという発想は難しいでしょうか。

○井原委員

 私が答えることではなく、事務局ですかね。

○山本分科会長

 事務局、いかがでしょうか。お願いします。

○事務局

 実際にDPCで係数の趣旨を考えると、それは一定、通常診療より資源投入があるけれども、DPCの点数表で請求することとの乖離があるということを評価する係数としてどういう定義がいいのかという視点での議論はこちらでやっていただけるので、今、定義が出来高加算になっているので、出来高のほうのということは補足の状況で、そもそも係数としてどういう定義を置いて総和を見るのが適当かといったことをまた御意見いただければと思います。

○福岡委員

 どうもありがとうございました。

○山本分科会長

 よろしゅうございましょうか。確かに井原委員が御指摘のように、加算のIIは非常に曖昧な部分がありますが、アからケは、実は結構意識して患者の状態を評価すると、チェックがつく項目は必ずあるのです。その辺は救急の担当医がどの程度意識を持ってここを見ているかということでも数値の違いは、実はこれは私の大学での経験ですけれども、意識の持ちようによっても随分変わってくるという部分はあるかと思います。

 それでは、ほかに御意見ないようでしたら、事務局から話がありましたように実態調査の結果等を見つつ、また検討を進めるということでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、今度、機能評価係数IIの重みづけのほうに参りたいと思います。これは大きく分けますと、D-1-2の裏側にありますように、まず、I群の在院日数短縮を促進するために効率性係数に重みづけをするかどうか、II群のほうにカバー率係数の重みづけをするかどうかという2つの点に絞られると思います。まず、効率性係数についての御意見を伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 お願いいたします。

○小林委員

 全般的に、ちょっと戻るのですけれども、D-1-2の最初ですね。マル1が特徴をより強化する視点に立つか、マル2がその他の機能への取り組みを促す視点に立つかという若干相反する視点があって、それで事務局案は双方を加味しながら対応案を提示されたのだと思うのです。I群、II群、III群が従来どおりこの群分けでいいというこれまでの議論でなされるときの根拠は、それぞれ特徴が出ていると。つまり、I群とII群とIII群それぞれ特徴がありますよということで、I群、II群、III群の分け方はよかったと。そういうことをもとにしてだと思うのです。

 ところが、逆にI群、II群、III群の取り組みを強化するという視点と、今、I群は効率性指数が少ないので、これをもうちょっと伸ばしてあげようという、これをずっとやっていくと、最後はI群、II群、III群が多分フラットになっていくのです。なので、循環論法的な感じがして少し違和感があるのです。

 まず、効率性指数について、I群について話すには、入院日数のことをお話しされて、効率性指数は入院日数をかなり重視している指数なのですけれども、DPCの設計そのものが1期間、2期間、3期間に分けたところで入院日数をできるだけ短くしようというインセンティブは既に働いているので、これ以上インセンティブをかけるかどうかという議論かと思います。

 2番目のII群病院についてのカバー率、ちょっと議論が先走って申しわけないのですけれども、これはI群程度の機能は持ってほしいということで、ある意味、カバー率についてインセンティブをかけることは意味があると思うのです。ただ、補足で説明させていただきますと、高度な医療を提供するということで、外科的要件が3つと内科的要件が3つで6つの要件のうち、6分の5で今回、内保連で提案したのが採択されたのですけれども、なぜ6分の5にするかというと、病院によってある程度、外科のほうに志向している病院があっても、あるいは内科のほうに志向している病院があってもいいのではないかと。全部一律である必要はないという考え方のもとに6分の5という指標を提示したので、その結果としてカバー率が少し足りないのかなと。そういう事情もありますので、その辺の兼ね合いをどうするか、若干、私の頭の中でもまだ整理されていないのですけれども、6分の6にするとかなり絞り込まれてしまって、II群病院がすごく少なくなってしまうので、それもちょっと厳しいかなという気がしますので、両面あわせて、つまりあるべき姿を見るのか、あるいはそれはちょっとフィロソフィカルな側面もあるのですけれども、全部フラットを目指すのか。その辺を議論していただいたほうがいいと思います。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 そもそも論として、先生の最初の御意見は、I群、II群、III群はそれぞれ特徴が出ているので、重みづけする必要があるのかというところからですね。

○小林委員

 重みづけという意味が、つまり、今までの特徴をもっと強化したほうがいいという視点のほうに、どちらかというと重点がある。

○山本分科会長

 それから、プラスの方向で評価するのか、マイナスの方向をエンカレッジするのかという御指摘もあったと思いますが、何か事務局のほうでこの点は御意見ありますでしょうか。お願いします。

○事務局

 ちょっと補足をさせていただきますと、群で分けるという群の設定は、あくまでも平均的な報酬水準でDPCとしてはお支払いする、平均値を決めるグルーピングの定義として、明らかに診療密度なりの差があるところに今、グルーピングを分けて平均値を設定するということなので、重みづけの議論は、グループの中でさらに何を評価するかということで、当然そのグループが持っているべき特徴なのか、その中でのさらなる努力、さらなるその他の機能の取り組みなのかという視点になると思います。そういう違いがあるので、グループの設定のことでお話があったので、補足をさせていただきます。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 選択肢としては、これをどちらもやらないというのももちろんあると思いますので、その辺も含めて御意見をいただきたいと思います。

 どうぞ。

○猪口委員

 同じような議論かもしれないのですけれども、例えばI群で効率性指数のウエートを高くしたとします。そのときに医療機関がどういうリアクションを示すかというと2通りあり得て、今と同じような患者を診つつ、全体的に在院日数を短縮するという場合と、もう一つは、従来、I群の病院ですと、割合同じ疾病群類でもリスクの少ない人は近隣の病院に紹介して、リスクの高いものを重点的に取り扱っているのですけれども、それをやめて、リスクの低い人もどんどん診るようにするという2通りが考えられます。2番目のリアクションが惹起されると、本来の趣旨と違うことが起こるのではないかという印象を受けます。

 前者のほうは、効率化を図るということで、よいと思うのですけれども、この2つを区別するのは難しいように思います。

 

○山本分科会長

 ほかにいかがでございましょうか。

 どうぞ。

○川瀬委員

 今、事務局が出していただいた資料で、肺がんのところから順番に見させていただきますと、I群というのもそれなりに平均在院日数を短縮させる努力はしているなという気がしています。例えばここにある慢性硬膜下血腫などにおいては平均よりも逆に短いところもあるし、要するに、事務局案として、もうちょっとさらにここの平均在院日数を短くしてほしいというメッセージが今のところから出てきたのかなと。私は1日ぐらいの平均との違いは、これこそ大学病院にある重症、同じDPCではなかなか分けられない重症の患者がいる分が、ちょうど1日ぐらいの違いではないかという気がして、それなら今言ったとおり、今までのカバー率を上げるような先ほどの2つの視点で言えば、より強化する視点というほうをしていただけるほうがいいのではないかと思いました。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

○事務局

 私の説明が余りよくなかったのかと思いまして、少し補足させていただきます。参考資料を後ろにお出ししたものは、I群同士で比べて平均値に寄っていて、平均値自体は、短いものはあるのですけれども、全体よりはちょっと長いぐらいになっている。今、重みづけの視点としては、分布が大分寄ってきたという変化もありますので、これがまさにそういう努力をしたのでこうなってきている。それはさらに分布を平均のほうに、I群の中でということで、I群と全体平均を比べてという意味で申し上げたのではないことを補足させていただきます。

○川瀬委員

 ただ、現実的には、I群の中でも自分たちの立ち位置がどの辺にあるかというところでも、努力はさらに現状でもできているので、ここに重みづけをすると、例えばIII群と比べると、効率性指数で言うとIII群よりはずっといいわけですね。平均的な数字で言うといいわけなので、これをさらにもっと頑張れというのは、ちょっと難しいのではないかという気がしました。

○山本分科会長

 どうぞ、お願いいたします。

○池田委員

 まず確認が1点。カバー率指数、標準化後と書いてあるグラフが14枚目ですが、多分、カバー率というのは、全DPCの数が分母で、その中で一定の数以上を見たDPCの数が分子になっていて、何%と出るものだと思います。カバー率がばらついているように見えますけれども、これは許容できるばらつきなのか、そうではなくて、例えば指数にもう少し重みをつけることによってもうちょっと上げていくとか、真ん中に集約させるとか、そのような方向で動かさなければいけないようなばらつきなのか、これは実数でわかりますか。縦軸、中央値が幾らぐらいだとか、上と下の差がどのぐらいだというのは。

○事務局

 指数として実数値でお示しすることは可能です。標準化したのはあくまで横並びでほかの指数も見ながら比較するためですので、指数を実数値で表現することは可能です。ただ、許容可能かどうかという判断、意味合いを我々でつけることはありません。

○池田委員

 I群、II群、III群に差があるかないかも大事ですが、I群の中である方向、あるいは一定のレベルを満たしていないところを引き上げるとか、下げるとか、あるいはII群だとどうだということを見るのだとすると、カバー率はもしかしたら実数と違った形で表現していただいたほうが解釈しやすいと感じました。

 あと、I群の先ほどの平成15年と28年の間、DPCが軌道に乗って、それによって在院日数のばらつきも減り、短縮もしているというのは本当にDPC制度の大変すばらしい面で、私自身もいろいろ研究したり、あるいは学会発表などでもこういうのは大変よく見るので、本当にDPCのすばらしい面をきょうは見せていただいていると思います。

 ただし、これがまだ一定程度ばらついているということですが、これは病院ごとにばらついているのか、そうではなくて、それぞれの病院で長い人も短い人もいて、これは例えば先ほど言われた同じ診断群の中でも病態が異なるとか、ほかの副傷病があるような患者もいるわけですから、それで許容できるといいますか、これに対してさらに仮に効率性指数を重く評価したとしても、ここは改善できない患者の病態に起因するほうが近いのか。つまり、病院ごとに違うのか、それとも同じ病院の中でもばらついているのかについての情報は何かございますでしょうか。

○事務局

 今いただいたお話ですと、15年の比較というよりは、効率性指数のばらつきが今、病院ごとにどうなっているかというお話のようにお伺いできましたので、それは先ほどの御指摘と同様に、群の中でどうばらついているかをお出しすればよいのかと思ったのですけれども、それでよろしいでしょうか。

○池田委員

 平成14年、15年のころの我々の分析だと、病院ごとに大きくばらついていたのです。ところが、多分そこは今、変わっている可能性があるので、それによってちょっと重みづけの議論も変わってくるかなと感じたので、発言させていただきました。

 II群のことはまた後ほどがよろしいですね。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 今の御指摘、現場の感覚としては、両方あるのではないかなと。やはり同じ疾患の名前でも全然、同じ診療科の中でも非常に在院日数にばらつきがあるものもありますし、例えば単一の科で、ある疾患で、病院ごとに見たところでもかなりばらつきがあるので、その辺はデータが出るのであれば整理をしていただきたいと思います。

 先生、どうぞ。

○美原委員

 今の議論で思ったのですが、それは大学病院に限らず、例えば同じ脳血管障害でも、我々のところで脳梗塞の長い人から短い人まで非常にばらつきがあるわけです。そういう意味では、その中で短くしようという努力はあるのであって、ほかのところより重症の患者がいるから長いのだというのは、本当にそうなのかどうか、それこそきっちりと見ないといけないかもしれないと思いました。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

○福岡委員

 今のに補足なのですけれども、DPCの制度の中でいろいろな医療機関がいろいろな努力を評価される仕組みができているわけで、その中でいろいろな軸を加えていくという方向性は多分いい方向なのではないかと思っています。ただ、ここで今、議論になったような、どこに重みづけを、どれぐらい置くのかというのはまた別の議論ができますので、もしかすると、基本的にはある程度マルチにいろいろな評価軸を導入していって、その中の重みづけは二次的に考えるという方向性のほうが全体を考えるときにはよりフェアな方向に行くのかなという印象を持っております。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、お願いいたします。

○金田委員

 金田です。

 教えていただきたいのですけれども、さまざまな疾患で大学病院が全部ではなくて、例えば17であるとか、52であるとか、抽出してあると思うのですけれども、その抽出された基準とか根拠は何か。こういうデータがよりはっきり出るところを抽出したのかとか。

○事務局

 平成15年にこの実態があった医療機関と全く同じ病院のみを取り出して比較しているということになります。15年でデータがあったものを、そのまま使っているということです。

○金田委員

 ありがとうございます。すなわち、特別恣意的にこれを出したわけではないということで、これは公平に見ているということだと。

 私が思ったのは、地域の病院の思いとしては、より頑張っているところを評価しようという姿勢はよく理解できました。それから、例えばこれが早期に退院されてくるようになれば、我々地域の病院がもっとしっかりと役割を果たしていく必要があるなという思いもいたしました。

 以上です。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 お願いいたします。

○藤森分科会長代理

 これは私の個人的な懸念なのですけれども、カバー率はほとんど診療科の構成で決まるものであって、病院の日々の努力ではないのですね。だから、これは全く違うところで、今、医療政策の大きな流れが、機能分化を進めていく中でカバー率を上げようとすると、やはり診療科をふやさないといけないとなると、ちょっとそこに逆行する。それをII群に求めることが果たして妥当なのかなと、結論はないのですけれども、ちょっとそこは懸念があります。

○池田委員

 もうII群の話をしてよろしいのですか。

○藤森分科会長代理

 II群はだめなのでしたっけ。済みません。I群の件です。

○山本分科会長

 I群の件について私も意見を言わせていただくと、先ほど川瀬委員が言われたように、例えば同じ膠原病でも、重症度が全然違うものを大学病院が引き受けていると、どうしてもその分で長くなったり、もう一つ、転院先の問題もあるのではないか。地域性ですね。都市部のように後方病院が周囲にたくさんあって転院が比較的スムーズにいくところと、そこが十分に整備されていなくて出すところがないところと、ここはやはり地域的なもので、なかなかその大学病院の努力で簡単に長くなったり短くなったりするというところはもうそろそろ限界。もちろんどこの大学病院も一生懸命やっているのは明らかでございますけれども、地域的な限界は考慮しないといけないのではないかというのが私の感想でございますが、いかがでございましょうか。

 お願いいたします。

○伏見委員

 1点、大学病院について、複雑性指数に重みづけをするかどうかの検討についての説明がなかったと思うのですけれども、複雑性指数を外した理由は何かあるのでしょうか。

○山本分科会長

 お願いいたします。

○事務局

 参考資料をお出ししたように、分布をI群、II群、III群で見たときに同じぐらいでしたので、I群の重みづけ、II群の重みづけでその特徴に着目するといったときに、DPC病院全体として同じぐらいだったので、余りそういう視点で見にくいのかなということで外しております。

○伏見委員

 たしか複雑性指数は群ごとに計算されるわけですね。

○事務局

 係数は群ごとですけれども、指数は全部同じ方法でやっておりますので、比較は可能です。

○山本分科会長

 伏見委員、よろしいでしょうか。

○伏見委員

 結構です。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 井原委員、どうぞ。

○井原委員

 1人だけ少し違う視点で申しわけないのですが、今、御意見を伺っていると、とてもこれは難しいなと本当に思いました。分科会長が最初に重みづけをやるかやらないかも含めてとおっしゃったように、これは、どの程度の重みづけを傾斜配分するかというのが、そこがないと、限りなくフラットに近いなら何のために重みづけしているのかということになってしまいますし、これをかなり急勾配にすると、文字どおり激変になってしまう。ほどよい重みづけの配分というのが一番求められる。その程度によって、恐らく皆さんの御意見も、どれを取り入れる、取り入れないというところに影響してしまう気がするのですが、いかがでしょうか。

○山本分科会長

 そこは、あえて事務局は触れなかったのではないかという気もしますが、いかがでしょうか。

○事務局

 8つの機能評価係数にはそれぞれに意味があって係数評価しておりますので、そういう意味では、仮にI群、II群では重みづけをするとしたとしても、いきなりどれかがゼロというのはやはり極端過ぎて、そもそもの係数の意味が変わってしまいますので、そこはある程度常識的なといいますか、どの係数でどうするかということにもよりますので、そこも論点にはなるかと思うのですが、いきなり大きな差というのは、当然ある程度の範囲ということから始まるかと思います。

○山本分科会長

 お願いいたします。

○美原委員

 教えてほしいのですが、今の議論の中で、I群の病院に入院する患者は重症であったり、非常に複雑であったりということが話されていたと思うのですが、例えばII群のI群に準ずる病院でも同じような重症の患者、難しい患者もいるのではないかと想像するのです。果たしてI群には、II群と比較して本当に重症だったり、本当に問題である患者が入院しているというエビデンスはあるのでしょうか。そのようなことがなければ、そちらのほうが平均在院日数が長くていいのだという議論にはならないように思います。

 以上です。

○山本分科会長

 私が申し上げたのは感覚的な部分もございますが、事務局、その辺はいかがでしょうか。客観性を持ったデータが出せるか。

○事務局

 一例としては、出来高では入院基本料を特定機能病院は分けていまして、そのデータで見ると、特定機能病院は長いということがあります。

 ただ、今、先生がおっしゃっているように、症例が重くてなのかというところは、なかなかいろいろな分析というか、統計的にやらなければいけないので、今、私の手元にはそういったものはすぐにはお出しできないですが、一般的に言われているのは、先ほど申し上げたようなことがありましたので、そのように記載をさせていただきました。

○山本分科会長

 どうぞ。

○池田委員

 もしそういうことであれば、例えばきょう出していただいた例の虫垂炎・手術ありで副傷病なしとか、鼠径ヘルニアで副傷病なしとか、この手のものは多分、もちろんII群病院でやってはいけないわけではないですが、より高度なというか、専門的なものについてI群病院の評価、分析をしたほうが、より特徴が出るかと思いましたので、もし今後、そのようなものがお示しいただけるようであれば、それによっていろいろ評価とか判断ができるのではないかと思います。

○山本分科会長

 先生は、I群の診療について虫垂炎とかでは評価できないでしょうということですね。それは私もそう思います。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員

 ちょっと議論が蒸し返されてしまって申しわけないのですが、この議論は、あるべき姿にインセンティブを与えるのかというのが一つあると思うのです。そうすると、先ほど伏見先生が御指摘されたように、I群は余り複雑性指数が突出して高いわけではないということを考えると、あるべき姿で見るならば、むしろ複雑性指数にもうちょっとインセンティブを与えたほうがいいという議論も、全然、今、話はされていないのですけれども、あるのかもしれないです。

○山本分科会長

 事務局、いかがでしょうか。今すぐ答えは難しいですかね。

○事務局

 そうですね。ちょっと御意見として。

○山本分科会長

 今、I群の話もいろいろ御意見いただきましたが、なかなか皆さん、難しいなというところかと思いますので、これはまた持ち越しということにいたしたいと思います。

 それでは、II群のカバー率係数のほうで御意見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 先生、どうぞ。

○池田委員

 藤森分科会長代理も言われたように、II群の病院に求めるべきものが、そうしたカバー率、総合力なのかということで、もしそうだということでコンセンサスを得られればそれでもいいのですが、私は2つの点でそれは慎重に検討すべきかと思っています。1つは、例えば現状のII群病院の中にもがんの専門病院で非常に高度な機能を持っているところも含まれておりまして、そういうところはII群病院として十分評価すべきと考えます。

 もう一つは、一つの医療圏の中に複数のII群病院がある場合がありますけれども、そういうところはよく見ると互いに得意分野を持っていて連携をしたり、紹介をしたりということでその地域での医療が成り立っている地域も見られます。そういったところでカバー率係数に重みをつけますと、そういう病院が競ってお互いに総合力をつけていくというのは、地域の医療にとっては必ずしも望ましいことではないのではないかと思いますので、ここは慎重に検討すべきかと考えます。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 どうぞ。

○福岡委員

 たしかI群、II群、III群を分ける議論のときにもあったのですけれども、たくさんの軸で評価されていると、全ての軸で高評価を得られないので、だとすると、多分、病院側としたら、うちは効率性をもうちょっと特化してやっていこうとか、逆にうちは少し効率性は犠牲になるかもしれないけれどもカバー率でやっていこうとか、そこから先は各医療機関の戦略になるのではないかと思っていまして、そういう視点からいくと、とにかく先ほど事務局が言われたように、急にどんという傾斜をつけられたらひとたまりもないですが、ゆっくりであればどうなのかなという気もちょっとしていて、そういうメッセージの中で今まではかっていない軸もはかるので、そのような方向性もありだよというメッセージは、政策的にはあり得るのかなという感覚を持っているのですけれども、いかがでしょうか。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 それでいくと、重みづけは必要ないというほうになってしまいますね。おっしゃるとおり、I群の病院でもやはりその地域によって特性も違いますので、どこが得意、どこが不得意というのは必ずありますので、その辺はそれも一つの特性であるという認識も成り立つかと思いますが、ほかにいかがでございましょうか。

 お願いいたします。

○川瀬委員

 事務局に質問したいのですけれども、参考資料の14のカバー率指数のI群、II群、III群の表です。私は勉強不足で標準化後という意味がわからないのですが、II群が低いというのは、病院規模がI群に比べると小さいために、例えば10例なり12例が集まらないので比較的このカバー率が低くなっているということはないのでしょうか。病院規模でやると、II群とI群ではもしかすると余り変わりがなかったりということの数字はどうかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○山本分科会長

 事務局、いかがでしょうか。

○事務局

 御質問の趣旨としては、同じ病床で比べると指数がということでしょうか。

○山本分科会長

 これは多分、II群の中で見ても、当然、病床数が多ければカバー率を高くすることはできると思うので、そういうことだと思います。

 お願いします。

○事務局

 そういうデータはお出しできるのですが、当然、カバー率係数の定義を考えれば大きいほうが高いだろうなというところではあるかと思います。

○川瀬委員

 そうすると、目指すべきというか、II群で足りないところはI群に比べるとカバー率が低いところだよ、だからもう少し頑張りなさいというのも、このグラフから頑張ってくださいというのには、例えば病床が300床、400床の病院と、平均で言うと1,000床近い病院が大部分の大学病院で言うと、どうしてもカバー率に差が出てくるのは当然かと思うのです。だからこそ、I群、II群で分かれた係数になっているのかと思ったのです。

○山本分科会長

 お願いします。

○事務局

 おっしゃるとおりで、低い、高いの分析については、I群と比較するとそういうことになるかと思います。カバー率というところが期待されるのは、II群については、III群と比較したときにII群はその要件がありますので、それを踏まえるとカバー率も期待されるのかなということで、案として御提案したという趣旨でございました。

○山本分科会長

 ほかにいかがでございましょうか。

 金田委員、どうぞ。

○金田委員

 金田です。

 きのう資料を送っていただいて、私も真っ先に思ったのは藤森分科会長代理のおっしゃったことです。例えば某地方都市の中にはII群病院が複数あって、その中にII群を目指すIII群病院も、例えば循環器のドクターカーを2台ずつ持って、どこもしのぎを削ってというようなことは実際にあるわけです。その中でカバー率を目指すということになれば、機能分化やダウンサイジングしながら適正化していく方向と逆行する可能性があるのかな。効率性は理解できるのですけれども、その点をまず思ったというのを申し上げておきたいと思います。

○山本分科会長

 福岡委員、どうぞ。

○福岡委員

 いつもそこが本当に難しくて悩ましいところなので、多分、先ほどの議論でも、それこそ大学病院は、大きい病院が多いからカバー率は稼ぎやすいけれども、効率性はしのぎにくい。II群病院は、物すごく大きな病院もあれば、比較的小さい病院もある。多分、大きな病院はカバー率は割と稼げるのだけれども、効率性と言われてしまうと、多分、大学病院と同じように重症の患者から軽症の患者、いろいろな診療科の患者がやってくるので、そこはどうしてもある程度犠牲にならなくてはいけない。

 そのようないろいろな評価をされている仕組みの中でそれぞれの病院が役割を考えているので、何もないのがいいのか、本当に議論がわからなくなってきたのですけれども、何かあったほうがいいのではないかと個人的には思ったりもするのです。済みません。感想みたいな感じになってしまいましたけれども、申しわけないです。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 II群の病院はI群並みということだから、それくらいのカバー率を持たなければいけないと考えるのか。でも、14ページの表を見ると、III群と比べれば明らかに差はついているから、そこで見るとII群としての役割は十分果たしているという見方もできるのではないかと思うのです。この議論を突き詰めると、どちらも重みづけなしがいいのではないかという話になりそうでありますが、ほかにいかがでございましょうか。

 どうぞ。

○美原委員

 前、III群を重みづけしないことになって、話のぶり返しなのですが、私はIII群の重みづけをずっと主張していたのですけれども、結局は非常によくできたので、重みづけしないという話になったのですね。でも、その中でまだどこかくすぶっているものがあって、それは何かというと、病院がとても努力しているのに報われていないと感じるのは何かというと、効率性と複雑性です。III群においても効率性や複雑性というのを重く見てほしいので、それはIII群病院だけではなくて、II群病院でも、I群病院でも同じだろうと思うのです。病院のパフォーマンスを示したときに、昔、伏見先生が『病院』という雑誌に書いていたけれども、将来的に非常に重要なのは、効率性が高くて、複雑性が高い病院が重要なのだというのを私は非常に印象深く思っているのです。つまり、結局、何もしないほうがいいのではないかと思うのです。

 そんなことを思って、でも、つけるのだったら、やはり病院の努力が報われるようなものが重みづけされたらいいなというのは、III群のときの議論を思い返して、I群、II群においても同じようだなと思いました。

 以上です。

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 お願いいたします。

○伏見委員

 せっかくコメントいただいたので補足させていただきますと、私が書いた意味は、多分、効率性、複雑性以外の係数はある程度、とるものをとったらほぼ固定されてしまうのが現状ではないかと思うのです。そうすると、結局残るのは、効率性、複雑性のところで努力が認められていることになると思うのですけれども、逆に考えると、ほかのところはもう固定されてしまっているから、努力できるのは効率性、複雑性だけだということになると、重みづけしなくてもいいのかなというニュアンスにもなってしまう。その辺はどちらがいいのか、今のところ、私も皆さんの議論を聞いていてよくわからなくなってきてしまいました。

○山本分科会長

 ほかはいかがでしょうか。

 今までの議論を通じて何か事務局から御意見ありますでしょうか。

○事務局

 御議論ありがとうございます。御議論を聞いて思いましたのは、各係数のそもそもの設定方法といいますか、定義といいますか、そういう性質がどうかというところに視点が行ってしまって、おっしゃるとおりで、係数をそもそも設定するときの定義であるとか、そういう工夫、何を評価しているかという議論。重みをつけるというのは、そういう係数がある前提で重みをつけるというまたもう一つ複雑な要因で評価を変えていくやり方をどうするかということですので、係数をそもそもどうなのかという議論を深めていくのが、また、重みづけというと1つ複雑な要素が入るので、それはそれで係数の定義を変えると重みづけはどうするのだと、そちらも考えなければいけなくなるので、全体としてより複雑になるのかなという印象を持ちました。

○山本分科会長

DPCが複雑だという御意見が医師会から出ておりますが、石川先生、いかがでございましょうか。ますます複雑化しそうな気配がありますが。

○石川委員

 これはますます複雑化しますね。

○山本分科会長

 ほかにいかがでございましょうか。

 お願いいたします。

○金田委員

 金田です。

 きょうの議論を通して1つ見えたのは、効率性にしても、複雑性にしても、カバー率にしても、そこを考えていくと、効率性が上がれば次のところをどうするか、カバー率に関しては周りとの連携をどうするかと。さまざまなことを考えていく上で、地域医療構想であるとか、地域との連携であるとか、そういうことを考えることにつながるなというのがわかって、迫井課長がいつも講演でおっしゃる、寄り添うというのはこういうことかなと思いました。

○山本分科会長

 一医療機関の努力だけではどうにもならないことがたくさんあるということだと思いますが、それでは、この件はいずれも結論が出ないような形になりますが。

 どうぞ。

○事務局

 宿題でいただいたデータは御用意するとしても、重みづけのデータというよりは係数のデータかと思いますので、全体としてやらないというほうが結局多かったと思うので、座長のおまとめとして、いかがでしょうか。

○山本分科会長

 わかりました。仕事をふやしたくないということのようでございますので、やらなければやらないという方向で、もうここでこの議論は終わりにするということもあるかと思いますが、いかがでしょうか。複雑なDPCをますます複雑にしたといってお叱りを受けるのは私も困りますので、きょうの皆様の御意見からすると、どちらも重みづけはしないという方向で検討していくことでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○山本分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、そのような方向で、事務局、よろしいですか。

○事務局

 ありがとうございます。

○山本分科会長

 それから、私、ちょっと戻りますが、先ほどの救急医療係数のところで1つ論点を御議論いただくのを飛ばしておりました。D-1-1の2ページ目の「(4)論点」の2つ目の○なのですが、救急医療管理加算の施設基準を満たさない医療機関について、評価の対象をどう考えるかという論点がございまして、これは入院医療等の実態調査の結果とは関係ないところでございますね。ですので、ここは御意見をいただいたほうがいいということでしょうか。

○事務局

 こちらも結果を見て、また資料を準備させていただいてということで、きょう大体こちらも含めて御意見いただいたと思っております。

○山本分科会長

 藤森先生、よろしいですか。

○藤森分科会長代理

 はい。

○山本分科会長

 ほかはよろしゅうございましょうか。

 かなり御意見を頂戴いたしましたが、まだ時間はたっぷりございますが、何か全体を通して御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、本日の議題は以上ということでございます。

 次回の日程については、また追って事務局から連絡を差し上げます。

 事務局、何か最後に追加はよろしいですか。

○事務局

 特にございません。

 きょうはペーパーレスが外で、タブレットを御用意できなくて済みませんでした。御協力ありがとうございました。

○山本分科会長

 それでは、これで第4回「DPC評価分科会」を終了といたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

 


(了)

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