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2017年7月11日 第4回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録

社会・援護局

○日時

平成29年7月11日(火)15:00~18:00


○場所

TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原 2階会議室(ホール2A)


○出席者

宮本 (部会長) 駒村 (部会長代理)
朝比奈 (委員) 石橋 (委員)
浦野 (委員) 大西 (委員)
岡部 (委員) 奥田 (委員)
勝部 (委員) 菊池 (委員)
小杉 (委員) 生水 (委員)
新保 (委員) 竹田 (委員)
平川 (委員) 松本 (委員)
渡辺 (委員) 吉岡参考人 (岡崎委員代理)
伊藤参考人 (福田委員代理) 前河参考人 (松井委員代理)

○議題

(1)子どもの貧困への対応について
(2)高齢者に対する支援のあり方について
(3)家計相談支援・生活福祉資金のあり方について

○議事

○竹垣課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、大野委員は御欠席でございます。

 駒村委員、菊池委員、平川委員、松本委員、川崎市副市長の伊藤参考人はおくれておみえになる予定です。

 また、岡崎委員の代理として高知市副市長の吉岡参考人、福田委員の代理として副市長の伊藤参考人、松井委員の代理として大阪府福祉部地域福祉推進室社会援護課長の前河参考人にお越しいただいております。

 吉岡参考人、伊藤参考人、前河参考人の御出席につき、部会の御了承をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○竹垣課長 どうもありがとうございます。

 ここで、事務局に7月11日付人事異動がございましたので御紹介申し上げます。

 八神大臣官房審議官です。

 姫野生活保護制度改革推進官です。

 地域福祉課長を拝命いたしました竹垣です。よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

 それでは、これ以降の進行を宮本部会長にお願いしたいと存じます。

 カメラの方は御退席ください。

(報道関係者退室)

○竹垣課長 宮本部会長、よろしくお願いします。

 また、社会援護局長は少しおくれて参ります。申しわけございません。

○宮本部会長 皆様、今日は大変暑い中、またお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

 第4回目になりますが、生活困窮者自立支援及び生活保護部会を始めていきたいと思います。

 今日は3時間という大変長丁場でございます。できれば途中で休憩も挟んで進めていきたいと思いますが、進行によろしく御協力をお願いいたします。

 先ほど事務局から人事異動についてお話がございました。

 これまで一緒に苦労を分かち合ってきた皆様が、職場が変わられるということは新天地での御活躍をお祈りするわけですけれども、同時に大変つらいところもございます。

 私は皆さんをよく存じ上げているわけではございませんけれども、金井地域福祉課長、田中推進官、渡邊室長補佐、皆様には、ここまで大変御尽力をいただき感謝申し上げております。

 今後の御活躍をお祈りしたいと思いますし、また、さらに後任の方々も大変強力な方がおみえになったということで少し勇気づけられております。これからもよろしくお願いしたいと思います。

 早速議事に入りたいと思います。

 今日は子どもと高齢者という事業分野を横断する2つのテーマと、それから家計相談支援、これは事業分野に沿っていますけれども、あわせて生活福祉資金という大変大事なテーマもこれにかかわってございます。大きくこの3つのテーマを3時間で何とか議論をしていくということになります。

 どうかよろしくお願いしたいと思います。

 まず、第1の議題でございまして「子どもの貧困への対応について」、事務局のほうから資料の説明をお願いしたいと思います。

○本後室長 資料1をごらんいただければと思います。

 時間の都合上、かいつまんでの御説明になりますので御容赦をいただければと思います。

 最初に「1.全体状況」でございます。

 資料の4ページ目でございます。

 子どもの貧困対策、教育の支援ということに限って言いますと、学習・生活面の支援、就学等に必要な金銭面の支援について、緑色の部分は文部科学省さんの施策、ブルーの部分が我々の施策ということで、いわば教育一般の部分と個別の対象者に合わせた部分という形で整理をいたしております。

 続きまして、「2.子どもの学習支援事業について」でございます。

 概要等は飛ばしまして10ページ目をごらんください。

 子どもの学習支援の利用状況でございますけれども、参加者は中学生が最も多い状況になってございます。

 親御さんの支援ということでいきますと、事業を実施している自治体さんのうち2割が親御さんの自立相談支援機関への相談登録を必須としている、といった形で事業をやっている自治体さんもあるということでございます。

12ページ目、同じく学習支援事業の状況ということであります。

 学習支援は実施しているわけですけれども、このほかに、行われている保護者に対する支援、食事の提供の取り組み例を載せてございます。生活の支援として、特に御家庭での生活の環境を整えていくというような支援も、この事業の中で行っている自治体さんがあるということでございます。

14ページ目、子どもの学習支援に関しましては、ほかに類似の事業がございます。

 ひとり親家庭の子どもさんへの学習支援あるいは文部科学省さんの地域未来塾がございますけれども、少ない自治体さんではありますが、連携して行っている自治体さんもあるということでございます。

○鈴木課長 続きまして、保護課長です。

 「3.生活保護世帯の子どもの大学等への進学支援について」でございます。

19ページ、お願いします。

 まずは現状でございますが、「丸1 高等学校等進学率」につきましては、一般の世帯に近い9割を超えるところまで来ておりますが、「丸3 大学等進学率」は、一般の7割に対しまして、生活保護のお子さんは33%ということで大分低くなっております。

 「丸2 高等学校等中退率」も、一般よりも高い4.5%ということになっております。

20ページはそれをグラフにしたものでございます。

21ページですが、「出所」のところにありますけれども、3,600ケースの保護受給世帯の過去の経験などを、ケースワーカーの方に聞き取りをいただいたという調査なのですが、このページの上のほうで、保護世帯の世帯主の最終学歴としては中学卒業、高校中退というところで半分近くを占めている状況でございます。

 下半分は、世帯主の方が子ども時代に生活保護を受けていた経験があるかと聞いた問いに対して、6.8%の方が過去に受給していたことがあるという答えとなっております。

22ページですけれども、生活保護の子どもの大学進学について、今の考え方が上のほうにございますが、生活保護ではあらゆる能力を活用していただくということでございますので、原則として義務教育修了後は就労していただくということで、生活保護を受けながらの大学進学は認められておりません。実際に進学をされる場合には、保護費の給付の対象外、いわゆる世帯分離という形をとっております、

 一方で、先ほどのように進学率が低い状況を見ますと、希望する進路に進めていないのではないかという可能性もあるかと思います。

 そういうことで、下半分にございますが、いわゆるこれは骨太方針、今年の6月に閣議決定をしたものでございますが、その中で「生活保護世帯の子どもの大学等への進学を含めた自立支援に、必要な財源を確保しつつ取り組む」ということで、政府としてこれから検討していく旨を決定させていただいております。

23ページは、現状の支援の概念図でございますけれども、高校の就学に最低限度必要な部分につきましては、公立高校相当の授業料とか通学費といったものは保護費で支給をし、右のほうにございますけれども、いろいろな追加的な費用ということでありますと、右の枠の中に「保護費を減額しない取扱い」ということで、やりくりあるいは奨学金、本人のアルバイト収入といったものを収入として認めないということで、保護費が減らないような取り扱いが「修学旅行費用等」「学習塾等費用」「大学等入学金・授業料」ということで、これは大学の授業料は含まない扱いとしております。そして、大学進学後は世帯分離という形になっております。

○本後室長 続きまして、24ページ目「特にご議論いただきたい点」ということですけれども、子どもの学習支援事業につきましては取り組みを強化すべきではないかということで、学習支援にとどまらず世帯支援につなげること、それから、子どもさんへの生活支援を行うことも含めて事業の標準的な内容をどう考えるか。

 高校を中退した人など、特に困難を抱える子どもさんへの支援あるいはほかの子どもの学習の事業との関係をどう考えるかという点。

 生活保護世帯の大学等への進学支援につきましては、最低生活保障、自立の助長という制度の目的から見て、現在の支援策をどう評価するか。今後、大学等への進学を支援する上で、どのような政策が必要と考えられるか、こういった点について特に御議論をいただければと考えてございます。

 以上でございます。

○宮本部会長 御説明ありがとうございました。

 引き続きまして、この議論を、今の事務局の御説明に基づきつつも一層深めていくために、渡辺由美子委員から学習支援の実践の御経験等に基づいてお話を伺っていきたいと思います。

 大体8分という微妙な時間でございますけれども、何とぞよろしくお願いいたします。

○渡辺委員 よろしくお願いいたします。

 私のほうから、資料5「子どもの貧困対策における学習支援の事例と成果」という、こちらの資料に基づいてお話をさせていただきたいと思います。

 また、今日は資料をつくっていないのですけれども、生活保護家庭のお子様の大学進学についても、最後に少しお話をさせていただければと思っております。

 こちらの資料なのですけれども、学習支援というようなことで、どういう形態があるのかということも含めて、私どものやっている学習支援を中心にこんなことを考えていますというものでございます。

 1枚めくっていただいて「弊団体の基本理念」は、貧困の連鎖を断ち切るためにということで、2007年から子どもの貧困に取り組んでおりまして、2010年から学習支援をしております。

 昨年でいくと、東京と、全国とありますが、宮城県、仙台市、南三陸町というようなところで、46教室で1,200名ぐらい、今年は少し事業がふえまして50教室以上をさせていただいている状況です。

 次のページ「学習支援を設計する上での重要ポイント」とあるのですけれども、どの対象のお子さんたちをやっていくかということが学習支援の成果を出すというところでは結構重要で、皆さん、財政が逼迫する中で幅広くやりたいというようなことがあるのですけれども、例えば小学生から高校生までみたいな幅広い形でやると、なかなか学力というところでは落ちつきづらかったりとかもするので、そういう意味で、どういうターゲットに、どういう成果を求めるのかみたいなところは、しっかりと考えてからやったほうがいいのかなと思っております。

 次めくっていただいて、もう一つが「2.対象とする子どもの範囲」ということで、一口に子どもの貧困といっても、貧困層にもいろいろなお子さんたちがいて、本当に家庭もなかなか厳しいという状況の方から、ひとり親でふだんの生活はどうにかなるのだけれども、塾代とか、そういう学力のところでは厳しくて準貧困層から抜けられないという層もいる中で、どこら辺までを対象にするのかとか、そういったところもあらかじめ考えておかないと、やってみたときになかなかマッチしないだとか、そんなことがあるのかなと思います。

 次のページが、形式というようなことで、私どもがやっているものを、頻度の多さとコミュニティー型か、パーソナル型かということで入れました。

 パーソナル型で一番極端なのは「家庭教師派遣」ということで、これは私どもではやっていないのですけれども、貧困家庭に家庭教師を無料で派遣するという事業もございますし、例えば、わりと今、多いのは、頻度が少なくてコミュニティーとパーソナルの中間みたいなところで「定期的学習会」というようなことで、週に1回とか週に2回とか、月に2回というようなところで、そういうところに集まって2時間学習会をするというようなことで、中学生向けの学習会ですとか、小学生から中学生とか、受験生を対象にというようなことでやっているようなものです。

 これは家庭の機能がある程度確保できているようなお子様が対象です。多くはひとり親家庭とかで、お母さんも忙しいけれども、家庭はちゃんとしているみたいな、お子さんたちに勉強の仕方を教えたりだとか、定期的にこういうところに通ってロールモデルと触れ合うことで、比較的しっかりと受験も乗り越えていくし、成長していくかなと思っています。

 それの対極にあるのが、頻度が多くて、非常にコミュニティー型といいますか、「学習支援機能付き居場所」とか「自習室」とかがあるのですけれども、困窮度が高いエリアで、家庭の機能も非常に弱い御家庭ですと、週に1回ぐらい学習会に来ても、なかなお子さんたちがうまい状態にならないということで、例えば私どもでいくと、足立区とか、江戸川区でも今度させていただくのですけれども、毎日、放課後にあけて、3~8時は来ていいよみたいなところで、来た中で毎日6~8時は勉強の時間ということで、ボランティアさんとかスタッフが勉強を教えるというような形で、非常に重たい事業なのですけれども、こういうものに来ることで、おうちがなかなかおうちではないような子どもたちもしっかりとやっていくというところでは、受験生は高校に全員行くとか、偏差値でいくと30ないような子もいたりするのですけれども、何とか行かせるということができる事業があったり、その下「自習室」という形で、週に3日とか4日とかあけて、とりあえずそこに来なさいという場所をつくるとか、そんなことがあります。

 また、こちらにあるのが「勉強カフェ」というようなところで、これは昨年ぐらいから少し始めたもので、教育委員会さんとかと一緒にやらせていただくものが多いのですけれども、どちらかというと生活困窮みたいなことは出さずに、地域の中で誰でも来ていいよという仕立てでやっているのですけれども、なかなか塾には行きづらいお子さんたちが来るようなもので、例えば二人親多子とか、非正規で二人親みたいなことだとなかなか行きづらいような、はまる学習会がないときにこういうところにいらっしゃっているのですけれども、ここの学習会も成果としては非常に出ていて、学力もすごく上がる子が出てきたりだとか、塾に行けなかったのが行けてうれしいみたいなことは言われています。

 次めくっていただきまして、学習支援というものは、ただ、学力だけではないよねと言いながら、一体どういうものが機能としてあるのだろうというときに、私たちは大体この5つの機能を考えているのですけれども、学習支援なので、やはり最初に学力をどう上げていくかみたいなことは、居場所だから勉強はそんなにいいのだよという考え方もあるのですけれども、子どもに対しては勉強ができないことがすごくコンプレックスでもあるので、自己肯定感を上げる上でも、しっかりとできるだけ勉強を教えて学力を上げていくということで、そこのところの機能は、一つ、しっかりとさせなければいけないなと思っています。

 次に「2)ソーシャルスキルの獲得」ということで、コミュニケーション能力が非常に薄かったりだとか、遅刻・欠席をしがちで連絡もしないとか、大人と信頼関係を築くことがすごく難しくて、なかなか言うことを聞かないみたいな特徴があるお子さんたちに、しっかりとそういうソーシャルスキルを与えていくという機能も、学習会という場に来ることで少しずつできていくのかなと思っています。

 「3)家庭を孤立させない」ということで、困窮家庭の子育て家庭は、ママ友もいないし、PTAともつながりが薄い中で相談相手がなかなかいなかったりするので、そういう意味では学習支援をするときに、私たちは事務局をつくっているので、事務局の担当者にいつでも御相談いただけるだとか、そういうようなことで保護者を支えることができて、そうすると、保護者の方も子どもとの接し方とか、子どもにどういうことをすればいいのかということがだんだんわかってくるので、最初のうちは本当にネグレクトぎみな親御さんも、お子さんの面倒をちゃんと見るようになるというか、連絡をちゃんと入れてくれるようになるとか、そんな機能があると思っています。

 「4)情報提供」というところで、いろいろな支援メニューがあっても、なかなかその方たちに届かないということが、どこでも聞く話なのですけれども、ピンポイントで必要な情報をお伝えするとか、例えば奨学金の情報であれば、このうちとこのうちとこのうちは絶対に使ったほうがいいから、親御さん宛てにこれを使ったほうがいいですよと言って、書類を出すところまでサポートするとか、そんなことも含めて情報を的確に届けるということです。

 「5)キャリア教育」ということで、最後は自立して働いてもらうという意味では、勉強の後で働く姿みたいなことを、困窮家庭のお子さんたちはなかなか見る場所がないので、うちのスタッフだとか、お手伝いに来てくださるボランティアさんだとか、アルバイトの大学生とか社会人の方に触れ合うことで、こんな仕事もあるのかとか、大学というのはこんなところなのかと思うことが、子どもたちの仕事への意欲をつくっていくということもあるので、こういうような機能をつけていくことが生活困窮の学習支援の中では重要なのかなと思っています。

 次は、学習会の様子なのですけれども、学力としてはばらばらなので、基本的には塾のような授業形式ではなくて寄り添って勉強を教えるということで、勉強に対して苦手といいますか、嫌いな、拒否反応が強い子も多いので、どちらかというと横に寄り添って、友達みたいに話しながらやっていくという感じです。

 その次に「■低所得家庭の生徒さんの特徴」ということで入れたのですけれども、要は、私どもの学習会に来るような生徒さんはどういう方たちかというと、これは学力が高い・低いと収入が高い・低いで4つの象限に分けたときに、圧倒的に多いのがDの生徒さんで、学力も低目で収入が低いというところで、この子たちがどういう状況かというと、もちろん学力も低いのですけれども、メンタル面もなかなか厳しかったり、勉強するモチベーションもなかったり、学習習慣ももちろんないとか、親子関係も余りうまくいっていないとか、ロールモデルもいないし、家で学習する環境もないというところで非常に厳しい状況の生徒さんなので、そこをどう支えていくかというところをやっていかなければいけないということがあります。

 そういう子たちに、どういうふうに学力をつけさせるかというところで、私どもがやっていることは、最初にいきなり勉強を教えるというよりは、信頼関係の構築みたいな、人間関係をつくっていくところから始めて、その次に小さな変化を褒めていくとか、自己肯定感を上げていくとか、そういうことの積み上げの上に学習意欲の向上ということが出てくるので、年度の事業でいくと、4月とか6月ぐらいから始まってきて、本当にみんながすごい勢いで机に向かって勉強し始めるのは年明けからみたいな学習会もあったりとかします。最初からわりと頑張る学習会もあるのですけれども、そういうところで、どう気持ちをつくっていくかみたいなところが結構重要だなと思っています。

 次に「支援コンセプト-低学力の生徒向けオリジナル英語教材」ということで、実はこれはできたてなので、持ってきたので回してもいいですか。もしよろしければ参考までにと思います。

 どれぐらい学力が低いのかというと、ここにあるように、英語で言えばアルファベットがまだ定着していないだとか、読み方がわかっていないだとか、中学3年生だけど英単語の覚え方を全然知らなかったので英単語を1個も覚えていないみたいな方たちで、市販の教材だとまず役に立たないような生徒さんが多いので、今まではずっと手づくりのプリントとかでやっていたのですけれども、余りにもその需要が多いので、今回まとめて、英語だけなのですが、テキストをつくりました。

 そういう意味では、塾の教材だとかにいく前に、本当に勉強の基礎のところをやっていくということです。

 次めくっていただくと、数学なのですけれども、これは中学生用なのですが、チェックポイントとしては「2+3=」「3+11=」というところから始めていくことが多いです。

 全くできないわけではないのですけれども、家庭学習もほとんどしていないので、とにかく練習をしていないからすごく時間がかかるとか、繰り上がり繰り下がりも概念はわかっているのだけれども、余りにもやらな過ぎるので「15-8は、えっと、6、7、8」みたいな感じになりがちなので、そんなところから追いかけてやっていかないといけないなという状況です。

 その後はうちの学習会の内容だとか、コンセプトとか研修のことが書いてあるのでお読みいただいて、何かあれば、また後ほどお声をかけていただければと思います。

 そういう意味で、学習会と言っているのですけれども、いわゆる塾だとか、普通の勉強を教えるというものとはかなり違う要素がありますし、それをやっていくことがお子さんを貧困から上げますし、お母さんとか御家庭に対する影響も大きいと思っております。

 学習支援についてはこれで終わりにさせていただいて、最後、生活保護世帯の大学進学に向けてなのですけれども、これも非常に重要な問題だと思っておりまして、生活保護世帯のお子さんは、おおむねは勉強も嫌いですし、ほとんどやらないようなお子さんも多くて、大学に行こうと思う子もそんなにはいないです。そういう中で、自分は勉強したいとか、大学に行きたいと頑張る子はいて、その子たちは本当に頑張っています。

 普通の公立高校に行くのですが、友達がやっている、例えば学校帰りにファストフードに行ってみんなで勉強をするけれども、自分はそこには行けないから自習室に来るとか、うちの自習室に来られる子は自習室に来るし、そうでなければ、どこか公共のところに行って勉強するだとか、そういうことをしながら頑張っている子たちなので、そういう子が大学進学したいというのであれば、応援をしてあげることが大人として必要なのではないかということはすごく思っています。

 子どもたちも何でもかんでも応援してくれと思っているわけではなくて、自分のものは自分でやらなければいけないということはみんなわかっています。だから、別に学費を出してくれとか、自分の生活費を出してくれということではないのですけれども、生活保護世帯の子が大学進学を諦めるのは、自分が大学に行くことで親世帯の扶助費が減るということが非常にブレーキをかけます。

 この間も話をしていたら、東京のある区の高校3年生で、都立の中の上ぐらいのすごくいいところに行っていて、学年順位は20番ぐらいなので非常に成績もよくて、当然みんな大学に行くのだけれども、その子はちょっと迷っているということです。

 今までは大学に行くことを前提にずっと勉強してきているのだけれども、いろいろ考えると、親の生活費が減ってしまうとか、やはり住宅扶助が減ることがすごく大変で、俺が大学に行くことで家賃がなくなってしまうと、家を引っ越すとかも大変だし、知り合いの人が働くのだったらうちで働かせてあげるよと言ってくれているから働いてもいいかなみたいなことを言っていて、いろいろ話を聞いていくと、本人は本当は行きたいのだけれども、いろいろ考えると親に苦労をさせても、というところが非常にネックになります。

 これは、この1人ではなくて、今まで何人もそういう子を見てきた中で、本人が行くのはもちろん本人に頑張ってもらうにしても、生活保護世帯の親世帯の生活扶助とか、特に住宅扶助が減ると、家賃負担が大きい中で非常に大変なので、そこのところは少し考えて、生活保護世帯のお子さんも大学に行く道が絶たれないようにしていただけるとありがたいなと思っております。

 私のほうからは以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 もっと伺いたい気もするのですけれども、時間が短くて大変申しわけございません。

 学習支援は勉強の支援だけにとどまらない、子どもの支援だけにとどまらない、逆に言えば、ほかの事業とどうつなげていくかというあたりを議論していかなければならないと思いますし、また、生活保護の世帯分離の仕組みが、子どもたちの進学を妨げているという傾向があることをどういうように考えていくか、このあたりについて議論を深めてまいりたいと思います。

 議論に入りますけれども、冷房がきき過ぎということはございませんか。私は上着を着ていてちょうどいいぐらいなのですけれども、もし寒いようでしたら言ってください。

 おそらくこれから議論がヒートアップして暑くなっていくとは思いますけれども、今の段階ではまだ始まっておりませんので、もし調整が必要だったらおっしゃってください。

 今日は、先ほど申し上げたように長丁場ではありますが、大きなテーマが3つ並んでおります。

 いつもどおり、赤い札を挙げていただいて指名させていただきますけれども、おそらく皆さん、複数回、御発言を希望されるのではないかと思いますので、いつも1回3分をめどにと申し上げていますが、長くて3分ということで効率的にお話をいただければと思います。

 いかがでしょうか。

 生水委員、お願いいたします。

○生水委員 ありがとうございます。

 資料1の4ページ「子どもの貧困への対応を巡る全体状況 丸3」にあります「就学等に必要な金銭面の支援」について意見を述べさせてください。

 お手元にあります机上配布資料の最後のほうのページに「奨学制度の案内」という資料がついております。こちらをごらんください。

 これの本体が、今、私が手元に持っていますこちらになります。

 これは滋賀県が作成しているパンフレットで、県内の中学校に8月ごろ配布されまして、2学期になると中学生3年生に配布されます。

 このパンフレットには、県が行う公立や私立高校の就学支援金、奨学金や奨学給付金、母子父子寡婦福祉資金貸付金や社会福祉協議会が行う生活福祉資金など、さまざまな給付や貸し付けの制度についてまとめてあります。

 このように、さまざまな制度を1つにまとめて情報提供をされているのは大変ありがたいですし、いいことだと思うのです。しかし、皆さん、これを見ていただいて、すぐに内容を理解することはできますでしょうか。

 例えば1ページの一番上にあります「高等学校等就学支援金」については、基本支給分118,800円に、市町村民税所得割額に加算金が支給されます。その下にある「滋賀県私立高等学校等特別修学補助金」についても、所得割額によって助成金が支給されます。

 でも、所得割額について理解している人がほぼいないのです。自分の世帯がどれに該当するのかわからないために支給額がわからないのです。

 県の奨学資金は、高等学校等に在学する者を対象としていますので、入学後に貸与することになっているため、入学金とか制服等の入学前に必要なお金については生活福祉資金の就学支度金や、ひとり親だったら母子父子寡婦福祉資金を利用することになります。

 しかし、世帯状況によって制限があったり、また、申し込む資金の組み合わせとかタイミングを考えて計画しなければならないのです。

 生活保護受給世帯については、高校の学費は保護費から支給されるものとか、または対象外、上限額があるので、これらを踏まえての計画が必要となります。

 そもそも高校進学に必要なお金が幾らかかるのか、また、進学費用の手当ができるのか、いつまでに手続をしたらいいのかなどの情報がなかなかわからなくて、中には私立に行くことを頭から無理だと思って、子どもが志望する高校にチャレンジすることを諦めてしまうケースもあります。

 このパンフレットには問い合わせ先が記載されていますが、相談したくても県の教育委員会、県総務部、県子ども・青少年局、社会福祉協議会と制度によってばらばらですし、個別世帯の状況に合わせて総合的に相談できる窓口がないのです。学校の進路指導では、担任が個別の家計状況まで相談に乗る余裕も知識もありません。

 そこで野洲市では、学習支援事業において、高校進学の子どもたちについては家計相談支援事業の一環として、世帯の家計状況に合わせた進学費用の計画を立てるお手伝いをしております。これによって、子どもが志望する高校の選択肢を増やすことができます。

 ただ、困っていることがありまして、学習支援事業は生活保護世帯の子どもさんも対象なのですが、家計相談支援事業では生活保護世帯は対象外であるため、資金計画のお手伝いをすることができないのです。同じ学習支援に通う子で、支援に差があるということは現場では非常につらいことです。

 高校受験にチャレンジする全国の子どもたちを応援するためには、個別世帯に合った総合的な資金計画の相談ができる窓口が必要であり、その役割を担えるのは専門的支援ができる家計相談支援事業です。

 子どもの貧困連鎖防止の観点からも、生活保護世帯も含めて家計相談支援事業の専門的支援が全国で必須として行われるべきだと私は意見を述べさせていただきます。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 大変大事な論点を出していただいたと思います。

 引き続き、小杉委員、よろしくお願いいたします。

 続きまして、菊池委員にもお願いいたします。

○小杉委員 ありがとうございます。

 私はちょっと違う角度から、労働力需要とか労働市場のほうからお話をさせていただきたいと思います。

 中学卒業あるいは高校中退の場合ですと、労働市場に出てからかなり厳しいものがあって、実態調査をいたしましても、長期にわたって不安定な状況、就業しても非正規だし、あるいは失業率も高いという状況があるので、高校を卒業するまではしっかり支援をしなければ、その先の人生はかなり厳しいと思います。一方で、高等教育になると少し事情が違ってくるというところがあります。

 今、まさに日本はものづくり大国になろうと、ものづくり立国を目指していまして、ものづくりの現場はOJTによる能力開発が非常に効果的な現場でありまして、高卒者に対する需要が物すごく高いということがあります。

 そういうことを考えると、高卒で食べていけるという意味では、十分食べていける場はあることはあるのです。一方で、教員など、高等教育に進まなければどうしようもないような層もあって、この辺をどう考えたらいいのかということです。

 1つ考えているのは、日本の高等教育は非常に特異なのではないかということなのです。

 例えばOECDの統計などで、20代の人の就学率などを見ますと、日本はむしろ低いほうなのです。OECD平均に比べて、高等教育の就学率は決して高くない、低いのです。

 ただ、高いところがどういう状況かというと、20代で60%が就学しているという国があるのですが、そういう国の状況を見ますと、半数が就業しつつ就学しているのです。働くことと学ぶことを同時にやっているというモデルが多くの国で、高等教育についてはそういうモデルがごく普通なのです。

 だから、18歳で入って22歳で出るという仕組みそのものが非常に特異であって、むしろ高等教育はもうちょっと長い時間をかけて、必要なときに必要だと感じた人が、必要なことを学びにいくということが基本的なモデルだろうと思います。

 それが日本の場合は特異な形になっていて、それが18歳で進学しなくてはというプレッシャーになっているところがあります。

 望むらくは、今、高等教育もいろいろ改革が進んでいますが、成人を対象にした高等教育ということも一般的になって、必要なときに学べる、そのための学ぶ費用を何らかの形で、奨学金なり何なりということを考えるのもいいのではないかと思っています。

 今、渡辺委員のほうから、進学を決めると、進学そのものを抑制するような仕組みがあるとしたらそこは大きな問題だと思いますが、進学後の支援については基本的には奨学金という考え方でいいのではないかと思います。先ほど渡辺委員がおっしゃられたことは、それはそれとして別として、きちんと何とかしなければならない問題ですが、個人の高等教育進学時の生活扶助については、保護の問題とは別の軸で考えなければならないところなのではないかと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 菊池委員、お願いいたします。

○菊池委員 所用のため、おくれて参りまして大変失礼いたしました。

 生活保護世帯の子どもの進学について、貧困の連鎖防止、子どもの貧困対策の観点から、子どもの学習支援の取り組みを強化するという方向性については基本的には賛成であります。

 高校生と大学生について、それぞれ法律解釈も含めて述べさせていただきたいのですが、まず理論的には、現状の高等学校等就学費が生業扶助として位置づけられていることをどうみるかという論点があると思います。

 そもそも生業扶助という文言は、戦後の生活保護法ができた当時の産業構造などを前提とした言葉遣いで、まさに生活困窮者支援のほうでは就労支援あるいは就労準備支援という文言が普通に用いられていますので、私は生業扶助という文言は改めたほうがよいと思っていますが、それはそれとして、この高等学校等就学費が生業扶助として位置づけられている。

 最低生活保障の水準を、教育扶助との関連で、今日においても義務教育と捉えてよいのかという問題があると思います。

 これを教育扶助として捉えるか、生業扶助として捉えるかで、最低生活保障の中身や、あるいは自立助長の中身、ひいては給付内容が異なってくる可能性がないか、法律の解釈問題として慎重に考える必要があるのではないでしょうか。

 現行制度を前提とした場合でも、現状の高等学校等就学費に加えて、積極的な給付をさらに設けることの適否が問題となり得ます。

 私立学校就学費用の支給あるいは学習塾費用、大学の入学金、受験料など、なかなか難しい問題をはらんでいるかなと思います。

 こうした給付も、そもそも高等学校の就学に係る費用を生業扶助として位置づけるのか、そうではなく教育扶助として位置づけるのかで、教育扶助として位置づけたほうが、そういった学習に関連して必要になってくる費用を、教育扶助にかかわる最低生活費用の一部として取り込んでいくということが解釈論としても可能ではないでしょうか。

 大学生に対する支援については、確かに自立助長に資するものではありますが、3割程度の子どもが進学していないことに鑑みて、最低生活保障との兼ね合いをどう整理するのかということです。授業料や生活費については、基本的には給付型奨学金の拡大や授業料の減免の拡大に向けた取り組みなどの筋で考えるのかなという気がいたします。

 私が直接教える学生にはそれほどいないのですが、同業者の、大学教員をやっている人たちからは、保護受給世帯でなくても、家計が厳しい中でアルバイトなどと両立しながら一生懸命学生生活を営んでいる学生も少なくない状況にあります。世帯分離がやむを得ない中でも、授業料や生活費以外の面で何らかのバックアップができないか。

 先ほど渡辺委員が住宅扶助のお話を少しされましたが、そういった面で、何らかの、生活費本体というよりは側面支援的なバックアップができないかと思っております。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今の3つの御発言に共通して、困窮者の自立支援ということから考えていくと、奨学金制度であれ、教育制度であれ、現行制度のいろいろな矛盾ということが非常によく見えてきてしまう。そこの転換を待っているわけにはいかないですけれども、我々として可能な問題提起をどんどんしていかなければいけないというようにも思われます。

 続きまして、勝部委員、岡部委員の順番でお願いいたします。

○勝部委員 社会福祉協議会の勝部です。

 5点ぐらい、現場でふだん感じていることをお話しさせていただきたいと思います。

 今回のお話の中で、高校中退以下の人たちが生活保護でかなりのパーセントであるという問題については、現場でこういう人たちの就労支援について日々悩んでいます。

 彼らはハローワークに行っても、何度行っても、高校卒業でなければ行き場がないということです。「勝部さん、幾らそんなことを言われても、僕たちは幾ら行ったって誰も相手にしてくれないよ」と、そして、「生活保護の担当のほうからは就活をするようにと言われて、行っていても、その内容を見せた瞬間にその後は何もつながらないのだ」と、「20回行っても30回行っても何ともならないのだ」と、「それだったら空き缶集めをして頑張っているほうが、まだ社会の役に立つのではないか」というお話があります。

 そういう意味でも、学校に行くということについての応援は本格的に考えていく必要があると思っています。

 その中で高校中退が大きな要因になっているわけですけれども、そこでうまくいかなくなると「8050問題」というような、親が80代で息子が50代というところまでずっと引きこもってしまって生活が立て直せないというところまで行き着いていくということを考えたときに、先ほど生水委員もおっしゃっていたのですけれども、中学校の進学時のところでのアセスメントを、福祉と学校教育のところがしっかりタッグを組んで、一人一人の家計であるとか、生活支援をできるような体制をどうつくっていくかということを本格的に考えないと、学校の進路指導の先生が、そのときそのときの状況を保護者の方と話し合ってという段階ではないような気がしていますので、ここの充実ということが一つの大きな論点になるのではないかと思っています。

 本当に林間学校に行けない、バッグがないから行けない、みんながそろえないといけないものが買えないということで、保護者がそういう社会経験をどんどんうまく利用できなくなってしまっている現状もありますので、ここはリユースをするとか、PTAとかいろいろなところでの、民の力も借りてやっていくことも重要だとは思いますが、こういうことを諦めさせていくことについての現実というのも非常に厳しいなと考えています。

 大学の進学の件に関してなのですけれども、これはまた、浦野委員ともあれなのですが、今、介護人材の不足ということも非常にある中で、看護に関してはかなり早くから奨学金の体制があるのですけれども、介護のほうとか、そういう福祉分野のところでもこういう体制がもっと各地域毎で構築できないのかとか、社会貢献の内容でできないのかということは以前から感じているところでありまして、ぜひまた、こういう体制が整うとありがたいなと思っています。

 総体としては、私たちは生活福祉資金で、2~3月になりますと学生服を着た子どもたちの行列が職場の相談室の前にできまして、そこで借り受けの内容を見ますと、何百万という大きな借金を背負って、その後、この子たちがどうなっていくのだろうかという、決裁していくときに心が動揺しながら押印しているところがあるのですけれども、その子たちの行く末は、非正規になって、結局、社会に生きていくことが難しくなって、お金も返せない、仕事もうまくいかないみたいなことになっていることが、希望を持てない社会になっている。

 ですから、正規で就職ができるのか、あるいはそうでなければ教育のところをもう少しフォローができる体制を考えないと、なかなか未来を感じられないなと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、岡部委員、お願いします。

○岡部委員 子どもの貧困に関して、教育のコストについては、教育行政を所管する文部科学省が積極的に施策を展開していただかなければならないのではないかが私の基本的な考え方です。

 その上で、子どもの学習支援事業を考えますと、今、渡辺委員からキッズドアの活動報告を非常に納得しながら聞いていたのですけれども、6ページ「2.子どもの学習支援事業について」の「支援のイメージ」について意見があります。包括的な支援と世帯全体の支援という2つの箇所で、教育と福祉の連携を図りながら、学力の向上に重きがあるのではなくて、居場所づくり、日常生活の支援、親への養育支援を学習支援が行うのだというように整理をする必要があるのではないかと考えています。

 これが子どもの貧困に関する全般的な話です。その上で生活保護との関係で2点あります。

 一つは大学等の進学に関して、23ページの図に入っているかと思うのですが、夜間大学等の進学の場合は同一世帯でいるということで生活扶助等は支給されることになっています。昼間部等の場合は世帯分離となります。

 夜間、昼間で、世帯分離をする、しないと分けるのではなく、もしこれを進めるならば、昼間部の学生も同一世帯で考えていくことがよいのではないか。一つの提案です。

 もう一点は、高等学校等の話です。現在の高等学校等の中退あるいは留年の場合、生業扶助の高等学校等の就学費用が出ない仕組みになっています。

 中退者あるいは留年者の再チャレンジを考えるならば、この規定を外すのがよい。教育の機会を継続する、かつ大学の場合について同一の世帯で生活扶助を提供する。しかし、大学等の上級学校の費用について、これは私の考え方では、文部科学省であるとかその他制度で保障すべきと考えております。そのような制度を積極的に推進していただきたい。現段階ではそれを保障する仕組みが十分でないため、御自身の中で進学費用を捻出、あるいは他の制度を積極的に活用していくことがよいと考えております。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 受給世帯の進学可能性を広げるため、大変具体的な2点にわたる御提案をいただいてありがたく思っております。

 奥田委員、お願いいたします。

○奥田委員 私からは、ざくっと言えば子どもの支援なのですが、やはり丸ごとで考えるしかないということです。

 子どもの貧困率が、今回、改善したということですけれども、率直に言って親の収入が全体でふえているという、収入の形態とか、全体像をどうつかまえるかという課題はあるかもしれませんが、結局、子どもの貧困と言えども世帯収入ですから、そうなると、親のことになります。社会的養護の問題等々は当然あるとしても、一方で、8つの論点整理のときに、子どものための世帯支援という言葉が8つの中に入って、あれは非常によかったと私は思うのです。

 ざくっとした印象ですけれども、再び学習支援にぐっと引き戻ったような感じが少ししているのです。これはちょっとひがみかもしれませんけれども。

 だから、子どもの支援を考えるときに、世帯支援をどうするかということが非常に大事で、ここは大きな問題だと思います。

 そうなると、例えば補助にしても2分の1が問題だということは論点整理のときに出たのですが、学習支援ということで区切れば2分の1という話、それは感覚的なものなのでわかりませんが、世帯支援が入ってきた瞬間に、いわゆる自立相談と同じ内容なので、その部分は4分の3なのですね。

 では、これは2分の1なのか、4分の3なのかということはやはり議論しなければならないところで、一歩踏み込むためには2分の1のままでいいのか、世帯支援を積極的にやってもらうために4分の3という話も含めてどこがいいのか。一方で、その部分を自立相談にやってもらう、これは一つの考え方だと思います。

 でも、一方で子どものものは、使い勝手のよさは、子どもの学習支援がそこで独立的に使えたというところ、それと子どもと世帯をセットにしてやっていくということが、今までの自立相談の流れとは少し違うのではないか、特異性があるのではないか。そういうことを考えると、子どもの支援の中に世帯の支援という考え方をきちんと入れて、そこを充実させるほうが、現場としては動きやすいのではないかというように思いました。

 もう一つは、訪問型の加算も利用が21.2%でとどまっているということで、ここはもうちょっと宣伝するなりして、渡辺さんのところの活動にしても、訪問型のほうがなかなか難しいというお話がさっきありました。ただ、本当に困っている子たちはなかなか出てこられないのです。

 それともっと言うと、親というか、世帯に課題があるとしたら、私の現場で言うと、子どもルートから世帯に入っていくとすごく入りやすいです。

 率直に親御さんのところに行って、あなたはどうしますかと言うと大体ノーサンキューなのですけれども、子どもさんのことで相談に来ましたと言うと世帯の中に入れてしまうのです。だから、これはアウトリーチという考え方からしてもすごく効果的だと思います。

 ですから、訪問型をどう活用できるか、世帯がどう見えてくるかということがいいだろうということ。

 それと、やらない理由の6割が受け皿がないと、これが私は衝撃的でした。正直、ホームレスの支援をやっている私からすると、地域によってホームレス団体などはゼロという地域が当然あるのです。そういうところでホームレス支援をやれと言われても、なかなかできない。それは受け皿がないからです。

 でも、子どもの支援に関しては、日本で最も地域資源というか、どこでも学校はあるわけだし、どこでも子どもさんにかかわっている人たちは基本的にいるはずなのだけれども、何か特殊化されているのではないか。

 本当に人材や受け皿がないという理由で6割がとまっているということはどうかなと思いますし、アプローチの仕方によっては、意味づけや人材育成を少ししてあげることで子どもの受け皿がもっと増えるのではないか。だから、6割が受け皿なしという理由はちょっと違和感があったということで、もっとみんなでやろうよという社会の空気をつくらないと、何か特別な人がやっているという話になると、子どもの話は解決しないと思いました。

 最後に、今後データが出せるのだったら、保護者支援が46.6%、保護者に対する支援をやっていますということなのですが、中身がわかれば、保護者に対する支援の中身は一体何だったのか。例えばそこには居住支援や就労支援が含まれているのかという話も含めて、丸ごとの話なのかということも、今後データを少し出していただければと思いました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 使い勝手のいい独自の学習支援はそれとして活用しつつも、世帯支援との連携をどう強めていくのか、大変大きな問題を提起していただいたと思います。

 最後に、事務局のほうにも保護者支援の中身について少し具体的なデータを出していただけないかというお話でした。御準備いただければと思います。

 済みません。札を挙げていただいた順番を私はよくわかっていないかもしれません。

 浦野委員、それから、吉岡参考人の順番で、その後、平川委員、お願いいたします。

○浦野委員 ありがとうございます。

 先ほど勝部委員からちょっと振られぎみでしたので。

 本日、机上資料で若干の資料をおつけしておりますが、それも御参照いただければと思います。

 実例として少し紹介をしたいと思うのは、私ども、全国社会福祉法人経営者協議会の千葉県経営協の取り組みとして若者チャレンジ支援デュアル支援金という仕組みを、今、運用しております。

 各社会福祉法人から若者チャレンジデュアル支援金という名前で、現在、介護福祉士を中心にしているのですけれども、修学期間中の2年間、授業料の補助ということで年60万円、奨学金、奨学支援金、それから、在学中の生活費の部分として月2万円の生活支援金を給付するという活動をやっております。

 一方で、これは単にお金を提供するということではなくて、学生・生徒さんたちに、施設職員として、週末であるとか、夏休みであるとか、冬休みであるとか、学業に支障のない範囲で、年間300時間くらいを目安にして施設の補助的な業務をしていただいて、この業務についても当然賃金を払うという形にしております。

 これによって、在学中から現場の仕事を理解して、業務内容を把握して、卒業後の就業がスムーズにできるのではないかというもくろみでやっているところでございます。

 これが現在は介護ということで、一方では人材を養成する、確保するという狙いと、もう一方では、社会福祉法人としての公益的な取り組みを発展させるという両面を持った取り組みでございます。こういうことをもっと広げていければ、それなりに役に立ってくるのかなと思います。

 特に、福祉分野はなかなか人材が確保できないという状況もありますので、一石二鳥を狙っているような嫌いは多少ありますけれども、こんな取り組みを広げていくということも必要なのではないかと思っております。

 もう一点お話をしますと、私自身が児童養護施設を運営する社会福祉法人の理事長でございます。

 これは全国的にどうなのかとか、別にデータを押さえているのではなくて、ざっくりとした印象なのですけれども、一時期は非常に年少、幼児さん、3歳児、2歳児くらいの入所が非常に多かった時期があったのですけれども、最近は中学生くらいの子どもの入所依頼が非常にふえています。これが私どもの特定の地域だけの特殊な現象なのかどうなのか、そこまではわかりません。

 そういう子どもたちを見ていますと、中学生になってから施設に入ってきてもなかなか学習が追いつかない。むしろこれは施設に措置されている、されていないにかかわらず、なるべく年の小さいうち、小学生の低学年であるとか、あるいは就学前であるとか、そういうところできちんとした教育環境を整えるということをしていかないと、なかなか中学生になって、今日のデータでもかなりの部分が中学生3年生を対象にしているという話がありましたけれども、何とか高校受験に間に合わせようということで、そこに力点を置いているということは全体像としてはわかるわけですけれども、その前の小学生の段階からきちんとした支援が必要なのではないかと思います。

 そういう意味では、保育所などは全国の各市町村にあるわけで、こういった保育所をどう活用していくのかというようなことも少し政策的に検討する余地はあるのではないかと、私はそんなように思っております。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 デュアル・システムという大変興味深い取り組みの御紹介、ありがとうございました。

 この後、高齢者の支援についての議論、それから、家計相談も控えております。

 よろしければ、この後、吉岡参考人、平川委員、伊藤参考人の発言で、とりあえず子どものパートを終えたいと思いますが、どうしても今の段階でということがありましたら札を挙げてください。

 それでは、吉岡参考人、お願いいたします。

○吉岡参考人 資料を見させていただきまして、3ページに文部科学省と厚生労働省、内閣府、それぞれの取り組みが示されておりますけれども、それぞれの取り組みが効果的に活用できるような仕組みにするべきではないかと考えております。

 例えば文部科学省のスクールソーシャルワーカーなのですけれども、大半が教育委員会に配置されております。そういう意味では、地域との連携がきちんと図られていくべきと考えておりまして、その拡充ということは、そういう意味での拡充であることを期待しております。

 高知市では、生活保護を含む生活困窮世帯の子ども子どもへの学習支援等は、基本的には義務教育課程は今までもやっておりますが、例えばひとり親家庭の子ども子どもの生活・学習支援も、義務教育課程までにとどまっておりますので、高校まで継続して財源的な措置が必要ではないかというように考えております。

 生活・学習支援と、親への養育支援と生活支援は一体的に実施されるべきだと考えておりまして、暮らし、生活の中で、きちんとそこはフォローしていかなくてはいけないと考えています。

 生活保護世帯の子どもの大学と高校への進学について、19ページに示されていますが、保護世帯の中学校卒業後の就職率はわずか1.7%になっておりまして、高校を卒業しますと45.5%と非常に高くなっております。

 そういう意味では、自立の助長にも効果的だと思いますし、貧困の連鎖を断ち切るという意味でも、就労へ支援がつながっていきますので、保護世帯であっても基本的には高校卒業までの就学支援が必要ではないかというように考えております。

 特に中退の方も非常に多いのですけれども、学業不振や経済的な理由とかいろいろありますが、文部科学省の調べでも、平成26年度5万3,000人余りの方が中途退学しておりますが、経済的理由では2.3%です。

 高知市で経済的理由での中途退学の状況を見てみますと、授業料の滞納があった者が、中途退学者全体の56.5%と過半数を占めておりまして、経済的な理由で、特に授業料が払えないという方が非常に多くなっておりますので、この辺をしっかりと学習支援をしていく必要があるのではないかと考えております。

 また、大学進学も非常に就職率が高くなりますので、これは法制度の中で見直しを検討していくべきではないかと考えています。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 平川委員、お願いします。

○平川委員 平川でございます。

 子どもの貧困に関しまして、今、全国の地方自治体で、子どもの貧困の生活実態調査が行われておりまして、私が住んでいる北海道においても「北海道子どもの生活実態調査結果」が報告されています。

 実態調査の詳細は述べませんが、収入や所得の格差が、子どもの学力や学習機会の差というものに対してかなり大きな差が出ているというデータが明確になっているところであり、それをどうしていくのかということが大変大きな課題と思っています。

 そういった解決策の中の一つとして学習支援がありますけれども、実施状況を見ますと、財源が限られている中で、自治体によっては対象が中学生3年生に限られるなど、まだまだ限定的なものであると思っています。

 そういった中で、実際に現場の学習支援の状況のお話を聞きますと、別の委員からのお話にありましたけれども、就学前もしくは小学校低学年からの支援が必要だということは随分言われているところであります。

 そういった意味で、生活保護や生活困窮者支援の仕組みだけではなく、保育所もそうですが、児童館や学童保育施設など、そういう児童福祉資源がそれぞれございます。特に児童館は配置が全国一律ではないわけですが、それであっても既存の子育て支援の仕組みと組み合わせた連携も一方で必要ではないかと思っております。

 奨学金についても給付型奨学金が設立されましたが、規模の問題や、支給額も2~4万円ということでかなり小さいものにとどまっているかと思いますので、これをどう拡大していくのかということや、児童養護施設なども先行実施、給付型奨学金の申し込みの受付をやっていますけれども、手続が煩雑であったり、児童養護施設の子どもでも保護者の同意が必要であったりといった、いろいろな課題があると思いますので、その辺についても課題解決が重要ではないかと思っています。

 学習支援の実施先というか、委託先の問題でありますけれども、社協と公的セクターの委託先であれば、行政との関係、被保護者の生活支援につなげていくというようなことについて意外と容易にできるということでありますけれども、委託先によってはなかなか生活支援につながりづらいところもあると聞いておりますので、その辺についての課題解決も必要ではないかと思っています。

 あと、生活保護の関係です。

2005年に生業扶助として、高校進学によっても生徒の自立の助長に効果的であるということから高等学校等就学費が新設されております。この生業も、高校進学率が90%になってしばらくたってからということで、実施が遅れた感があります。

 ただ、そのときの状況と比べて、大学進学についてはまだ70%という中において、貧困の連鎖を防ぎ、大学進学率の向上ということは極めて重要な課題でありますが、一方で、大学進学に関して法規の給付対象外となっている、それを改善していくということに向けては社会的な合意形成も必要でありますので、何が必要なのかということについて積極的に検討すべきだと思います。

 当面は、世帯分離に伴う住宅扶助の暫定的な維持であるとか、アルバイト収入の就労控除について、入学金などから授業料などにも拡大するということや、生業扶助には就職支度金もありますので、それに準じた形での大学入学支度金のようなものがあってもいいのではないかと思っています。

 次に本日の議論のテーマではないのですが、高校生のアルバイトに関して未申告の問題があります。今のところ、これに関して生活保護法78条を根拠に不正受給の扱いとされているのですが、監査指導の基準ではそうなっているのかもしれませんが、そこは少し厳しいのではないかと思っています。

 申告義務を承知していなかったり、確かに現場ではケースワーカーが説明はしていると思いますが、十分理解していないということと、本人がわざとやっているわけではないにもかかわらず78条が根拠になっているということについては、運用については63条の適用でもよいのではないかとも考えておりますので、これも工夫が必要と思っています。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 せっかくの給付型奨学金の使いにくさの問題だとか、高校生のアルバイトの未申告問題、これは我々としてもちゃんと議論できることだと思いますので、重要な提起をいただいたというように思います。

 このパートの最後の御発言ということにさせていただきますが、伊藤参考人、よろしくお願いいたします。

○伊藤参考人 ありがとうございます。

 私ども川崎市でも国の補助金を活用させていただきながら、貧困の連鎖の防止ということで、かねてから学習支援については行ってきたところですけれども、先ほどの吉岡参考人とも共通するところがあるのですが、福祉と教育の連携といったものを、この間やってきて痛切に感じたところです。

 具体的に申しますと、高校進学あるいは社会に出るために必要な基礎学力の修得、学力の向上といったものを中心に、何とか高等学校進学を目指してということで、我々もそこが一つのターゲットでやってきたわけですけれども、実態を見てみますと、中退あるいは留年といったケースも多くて、定着支援と言い方が教育の分野でいいのかどうかはあれですけれども、高等学校に入ってから教育委員会との連携というものが、ないわけではないのでしょうけれども、結果、中退をした子どもたちは、先ほど勝部委員からもありましたように、2030件回っても就職ができないという、これは19ページの資料からも証明されていると思います。

 そういったことから、基礎学力とあわせて、社会的、経済的自立をするための一つの手段として就業というものがあるのであれば、キャリア教育を早いうちから並行してやるべきではないかと思います。子どもたちも将来をどう見据えるかといった部分も含めて、家族の教育力がないわけですので、そういったことも基礎学力とあわせて必要性を感じているところです。

 もちろんキャリア教育自体も学校現場ではやっていると思うのですけれども、そこをうまく結びつけた形でやるということが第一歩で、その後の大学進学については、キャリア教育で受けた自分の目指すものがチャレンジングなものであれば、子どもたちもおのずから大学進学を目指していくと思いますので、その際に生活保護世帯が障壁となっているものがあれば、その段階でどうしたらいいかという個別ケースだと思います。

 とりあえずデータ的に、大学進学になれば就業率が高くなる、あるいは正規雇用率が高くなるから、それが生活困窮を回避する手段だとなるのは本末転倒になってしまうおそれもあるかなと感じました。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今の伊藤参考人からの御発言を含めて、低学年から支援を始める、中退をさせない、就労支援にきちんとつなげる、この連関をどうつくっていくのか。同時に、この学習支援の使いやすさみたいなものも維持しながら、ほかの事業と密接に連携させながらということになるかと思いますけれども、このあたりもさらに議論を深めていく必要があるかと思います。

 もっと議論の時間を確保したいところですけれども、もう大分押しておりまして、ここで議題2「高齢者に対する支援のあり方について」、まず事務局のほうから、資料2に基づいて御説明いただきます。あわせて、前回の部会で委員の皆さんからあった御議論に対して資料3が用意されておりますので、これについても御説明をいただきたいと思います。

 それでは、お願いします。

○鈴木課長 資料2をお願いいたします。

 「高齢者に対する支援のあり方について」ということで、まず、生活保護を受給する高齢者あるいは高齢者世帯の分析を行いまして、困窮する高齢者の支援に関しまして何らかの示唆が得られないかということで分析した結果を御紹介いたします。

 2ページでございますが、ごらんのとおり、生活保護の高齢者世帯が増加傾向にございまして、既に世帯数の半分を超えております。また、その9割が単身世帯となっております。

 下のほうに世帯類型が「高齢者世帯」から「その他の世帯」までございますが、これは上から優先して当てはめるということを頭の片隅に置いておいていただければと思います。

 3ページが、1カ月当たりの保護を開始した世帯数の推移ということで、世界金融危機の後の平成21年度に大きくふえておりますが、以降、減少傾向、特に「その他の世帯」が減っている感じになっております。一方、「高齢者世帯」は余り大きく変わらないという状況かと思います。

 4ページが「世帯主の年齢階級別にみた1か月当たりの保護開始世帯と保護廃止世帯の推移」です。

 左のほうの【保護開始世帯】を見ていただきますと、70歳以上はちょっとふえておりますが、あとは減っている方向です。右のほうも70歳以上のところがちょっとふえているということで、両方とも70歳以上はふえておりますが、それ以外はそんなにふえている状況ではないという感じです。

 5ページが「世帯類型別 世帯増減の要因分析」ということで、先ほどの世帯類型別に開始と廃止、そして、それ以外の残渣としてのその他という3類型で分けて見ますと、一番左の「高齢者世帯」を見ていただきますと、開始もそれなりに多いのですが、廃止も結構多いわけです。

 その他の要因が何かは今の時点では十分御説明できないのですが、開始・廃止以外ということで、ほかの世帯類型からの移行などが含まれるということでございますが、それも合わせると高齢者世帯はこのように増加しているという状況でございます。

 6ページですけれども、保護受給世帯の受給期間の状況です。

 平成27年度と10年前の平成17年度で比べると、特に右の【うち高齢者世帯以外の世帯】というところで「5年~10年未満」が10年前よりもふえている。すなわち平成27年度の「5年~10年未満」ですから、急増した直後の層がここに含まれると思いますが、この層が割合としては結構多いということでございます。

 7ページからが人員ベースですけれども、年齢別の人員を見ますと65歳以上がどんどんふえておりまして45%ということです。あとは落ちつき、または減っている状況にございます。

 8ページは保護率に直したものですけれども、これも65歳以上が伸び続けておりまして、あとは横ばい、もしくは低下傾向にございます。

 9ページですが、高齢者の保護率が上昇しているということですけれども、こうやって見てみますと、社会全体も当然高齢者がふえておりますが、それを上回るペースで生活保護の受給者がふえています。特に単身の方の数が大きく、これは社会全体の単身の人の伸びよりも、生活保護の単身の方の伸びが大きくなっているということでございます。

10ページですけれども、先ほどの保護率を単身世帯の分と単身世帯以外、2人以上世帯とで分けてみますと、男女、年齢階級別で見ましても、いずれも単身の部分が伸びているという状況でございます。

11ページ「世帯主の保護開始時年齢階級別 世帯数」と書いてありますが、平成27年7月の前、過去1年間に受給開始、保護になった世帯を、単身の男性・女性、それから、2人以上の男性・女性で、世帯主の年齢で分布を見たものですけれども、男性ですと4070代前半の新規開始が多いと、女性は65歳以上の新規開始が多いということになっております。

12ページですけれども、先ほどのものは1年間の開始でしたけれども、全受給世帯で同じように保護開始時の年齢を見ますと、50代後半から男女とも、特に単身の50代後半から60代前半に開始をされた層が多いという状況にございます。

13ページが保護になった要因です。

 先ほど子どものところでも出てきましたけれども、保護世帯の方は3,700世帯弱ですけれども、ケースワーカーさんに回答してもらった調査で、これまで経験したターニングポイントを回答してもらいました。主なものとして「疾病・障害」「離婚」「失職」という3つが多いのですけれども、このいずれかを経験した世帯が84%ということでかなりのウエートを占めております。

 このページは男性で、14ページは世帯主が女性の場合ですけれども、男性と比べると「離婚」の割合が多くなっております。

15ページでございますが、今のターニングポイントが保護を受ける何年前に起こったのかということを整理したものです。

 このページは男性ですが、こうやって見ますと、多くの方が2年ぐらい前までにそういう転機を経て、ある意味短期間に生活保護に至っていらっしゃるということと、それから、先ほどの三大ターニングポイントのほか、ここの1年のところでいいますと、上から2つ目の波線のところの「住まいの喪失」も、それなりのウエートがあるということでございます。

16ページは同じように、女性についてもそういう出来事の2年ぐらいの間に保護になられているということで、男性との違いは上から3つ目で縦しまの「世帯主以外の収入源の喪失」あるいは下から4つ目の「離婚」が多いということがありますけれども、大きな枠組みは、住まいのことも入れて先ほどの男性と似たような感じになっております。

17ページは、ターニングポイントを示した調査の概要でございます。

18ページで、ちょっと乱暴かもしれませんが、3点考察を書かせていただきました。

 1点目が、今日の高齢者世帯の増加が、高齢になってから保護になるというものだけではなくて、中高年、特に単身の方が保護になった後に高齢化されるという影響が入っているであろうということです。

 2つ目が、先ほどのターニングポイントから、ある意味短期間に保護に至っていらっしゃるということが多いことから見ますと、単身化などによりまして、相対的にいろいろなリスクに対して脆弱な世帯がそれなりにあるのではないかということが考えられるのではないか。

 3点目ですけれども、疾病・障害あるいは離婚という回避がなかなか難しい転機もありますが、一方で、失職とか住まいの喪失ということもあるわけでございまして、就労支援あるいは住まいの確保に取り組むことで困窮状態の緩和につながる可能性があるのではないかということでございます。

○本後室長 続きまして、20ページ目からでございます

 「2.生活に困窮している高齢者に対する支援の状況について」ということで、これはさまざまな要因が絡んでおりますけれども、例えば平均寿命の延び、少子化、家族コミュニティーの変容、そういったことに対してまとまった出費に脆弱だとか、貯蓄で賄い切れない、そういうような背景があって生活困窮になっているということが推察されます。

 こういったことを受けまして、21ページ目ですけれども、収入の確保と支出の軽減という両面から支えているということです。

 特に年金生活者支援給付金ですとか、年金の受給資格期間の短縮あるいは医療介護の低所得者対策のような社会保障全般の中での対応に加えまして、就労希望がある方への就労促進ですとか、世帯ごとのきめ細かな支援を組み合わせて対応していくということが基本的な考え方かと思います。

2227ページ目までは就労に関するデータを整理しております。

28ページ目ですけれども、高齢者に対する就労ということは、生活困窮の制度の中でも柱にされている自治体さんがございます。川崎市さんも、その一つかと思います。

 行政のほうでも高齢者の就労に関しては力を入れておりまして、29ページ目、生涯現役支援窓口を主要なハローワーク110カ所に置いておりますとか、あるいはシルバー人材センターを活用した支援を推進しているということです。

 制度的にいいますと31ページ目ですけれども、雇用保険の適用に関しまして、一番下の【平成29年1月1日施行】というところにありますが、65歳以降に雇用された方についても雇用保険を適用していくと、そういう新しい方向性を示されているわけでございます。

 こういったことに関しまして32ページ目ですけれども、この3月に決定いたしました働き方改革実行計画の工程表の中でも、高齢期の生活困窮を防ぐ就労支援の強化というところで取り上げられております。

33ページ目以降には居住に関する資料を整理いたしております。

 高齢者の持ち家率は大きく変化していないものの、高齢者世帯が増加しているので民間借家の高齢者数は増加しているということ。

34ページ目ですけれども、特に民間借家に居住している世帯は低所得者の割合が多いということ。

35ページ目、高齢者の入居者に対して6割の大家さんが拒否感を持っている。こういったことに対して、どう対応していくかということを考えていく必要があろうかと思います。

36ページ目でございます。

 「特にご議論いただきたい点」ということで、高齢期になってから生活困窮や生活保護に至ることを防ぐという観点から、その前の時期のうちに支援につながる就労支援だとか家計相談支援といったことが重要ではないか。

 今の時点で生活に困窮する高齢者の支援といたしまして、多様な就労支援ニーズにどう対応するか。シルバー人材センターですとか、就労準備支援の年齢要件のあり方あるいは家計の管理をどういうように支えていくか、居住支援といった点について御議論をいただければと思っております。

 続きまして、資料3でございます。これは宿題でいただいておりました点を整理をいたしております。

 2ページ目、成年後見の利用状況についてお尋ねがありました。

の2つ目ですけれども、プランを作成している生活困窮者のうち0.8%が成年後見を活用しているということで少のうございます。ただ、障害があるケース、一般就労が目標でないケースにおいては比較的高い利用割合になっているということでございます。

○鈴木課長 3ページですけれども、介護扶助費について御質問がございました。

 介護扶助費、それから、介護扶助を受ける人員数は増加傾向でございますが、65歳以上の方の1人当たり受給額は余り変わりがございません。

 次のページで、サービス別・要介護度別の受給者数を書いてございます。

 個々のサービス利用の上限額との関係を御質問いただいたのですけれども、現時点ではそれを把握しておりませんので、ひとまず受給者数という形でお示しいたしております。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 生活保護受給者の高齢化、高齢世帯の増大について大変興味深いデータをお示しいただいたと思います。

 単身高齢女性の低所得ということももちろん深刻なことでありますけれども、同時に、どうやら50代単身男性が抱えているリスクが、生活保護受給世帯の高齢化という現象の背後にありそうだと、それがそこでリスクに直面した方々がそのまま年を重ねておられるという現実がありそうだということでありまして、実はこのゾーンは自立相談の支援の窓口に一番たくさんおみえのゾーンでもあるわけですね。

 ということは、私たちとして、そこに何ができるのかということが非常に大事なテーマになってくるのかなというようにも思います。

 この問題について御議論をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 岡部委員、お願いします。

○岡部委員 2点お話しします。

 高齢者の収入の源泉は、非稼働収入の預貯金、年金収入、仕送り、それに稼働収入になります。そこで2つ、ぜひお願いできればと思います。

 1つ目は高齢期の前、また高齢期になってから、次のところで議論される家計や資金の管理が必要と思います。その専門的な支援をきめ細かくやることによって、生活保護前の、また、生活保護受給においても、十分なやりくりをすることができるのではないか。

 2つ目は、高齢者が就労を希望されているということもあります。高齢期の就労の場の開拓あるいは現行の中での労働能力の活用を積極的に進めるべきではないか。

 これは収入を上げるということだけではなくて、生きがいや社会的なかかわりをもつことにより社会的な孤立を防ぐとか、そういうことも考えられる。そして、その中で考えられることは、1つは一般就労が望ましいが、中間的な就労あるいは社会参加も考える。

 第1回でお話をしたかと思いますが、多様な働き方を就労支援の中に入れていただいて、収入を上げるということも意味がありますが、そのことも含めて場とノウハウと支援の仕方ということをきめ細かくやっていく必要があるのではないかと思います。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 家計管理支援と就労支援、いずれもこの場で議論を深めてまいりたいと思う論点でございます。

 竹田委員、お願いいたします。

○竹田委員 ありがとうございます。

 資料の御準備、ありがとうございました。

 地域包括支援センターができてから高齢者の支援に携わっているのですけれども、高齢期になりますと、人それぞれ、さまざまな生き方をされてきていますので、それぞれの生き方とか、生活に合わせた施策の展開がどうしても必要になるのではないかと思っております。価値観であったり、考え方もさまざまですので、こちらがいいようにお話をしても、なかなかそうはならないことも多いのかなと思います。

 日々の実践を振り返りますと、病気になって医療費がかかる。それに伴って介護費用がかかって、生活保護につなげるですとか、高齢者虐待の分離保護から生活保護につなげていくとか、認知症になって、どうしても自宅での生活が難しくて生活保護につなげていくなど、生活保護につながっていくことのほうが圧倒的に多いような感覚で日々実践しておりまして、少子高齢化の進展によって高齢者世帯は今後さらにふえていくのではないかと思っていますし、先ほど事務局から70歳以上でふえているというお話もございましたが、ますます増えていくのではないかと思っております。

 資料の20ページにもございましたとおり、生活困窮の背景にもあるように、環境的な要因、社会システム上の問題もありますので、そういった部分も考えていかなければいけないのかなと思っています。

 先日、経済産業省から公表された「不安な個人、立ちすくむ国家」という資料の中で、人生100年、二毛作、三毛作が当たり前、社会保障制度は年齢による一律の区分を廃止し、個人の意欲や健康状態、経済状態などに応じた負担と給付を行う制度に抜本的に組みかえていくべきではないかというような提言もありました。

 現状、60歳で定年を迎えるということは、みんな、赤いちゃんちゃんこを着るというような概念がある中で、定年ということは一つの大きな壁になっているのではないかと思っています。

 就労準備支援なども、稼働年齢層を対象にしているところもどうしてもありますし、前回論点にも上がっておりましたとおり、住宅確保給付金も65歳未満というところになっております。

 今回の資料の24ページを見ましても、75歳以上を超えると一般の就労ニーズも2割ぐらいまで低下していく中で、健康で、生涯現役で働く方もいらっしゃれば、病気や障害などでより難しい方もいらっしゃいますし、先ほど岡部委員のほうからありましたとおり、必要な支援があれば就労可能な方もいらっしゃる中で、先ほどの子どもの論点でもありましたとおり、就労、生活とか、債務、住居など、一人一人のニーズに合わせた支援をしていくには、一人一人の能力をきちんと見きわめていく、そういったスキルないし能力が求められていくのではないかと思っています。

 私はソーシャルワーカーとして日々実施しているわけですが、例えば本人の権利を守るという中での代弁だったり、ほかの関係機関だったり、地域住民とうまくいっていない場合に調停していくとか、仲介していくとか、生活を支えるためにネットワークをつくっていくとか、そういったソーシャルワークの機能を重要視しながら実践していますので、一人一人に合わせた支援が、結果的には無駄がない、効率的であり、効果的な支援につながっていくのかなと思っておりますので、そういったソーシャルワークというあたりも、ぜひ制度の根幹に位置づけていただきながら、より効果的な制度、施策につなげていっていただければいいのかなと考えているところです。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、朝比奈委員、お願いいたします。

○朝比奈委員 朝比奈です。

20ページにある「生活困窮のパターン・背景」というところを拝見していて、とてもよくつくられている資料だなと思っているのですが、これまで出されている、例えば就労支援の問題とか、それから、年を追うに従って規模が小さくなっていく家計に合わせて、どうやって収支を合わせていくかといった観点からのアプローチが重要であることは私も異論がありません。

 申し上げておきたいのは、それを誰がやるのかというところです。例えば「生活困窮のパターン・背景」の図で言うと「自立できない子どもを養う」という部分の課題が生活全体に影響を及ぼしているというところ、よく言われる「8050問題」のようなお話について、高齢者の子どもの世代を困窮者支援がしっかりやっていかなければいけないということは非常に重要だと思っていますが、高齢者の年代の就労支援とか家計相談を困窮者支援が中心になってやるのかどうかというところについては異論があります。

 就労支援などは最大の介護予防ではないかと思っていまして、地域包括支援センターをこれらにどのように活用していくのか、位置づけるのか、一緒に連携していくのか。どちらかがやって、どちらかがやらないという話では決してないと思いますし、地域によって高齢化率にも大分違いがありますので、地域によってさまざまな対応はあるかと思うのですけれども、基本的な軸足をどこに置いておくのかということについては十分に留意をしながら検討していく必要があるのではないかと思っております。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 地域包括支援との連携ということで、これもまた、この論点では非常に重要な問題を出していただきました。

 先ほどの竹田委員からのお話にもございましたけれども、病気のことも、どういうように、どことつなげていくのかということが大変気になるところでございます。

 ありがとうございました。

 続きまして、奥田委員、勝部委員、お願いいたします。

○奥田委員 前回からの引き続きの部分でもありますけれども、居住支援は非常に大事だと思います。

 まずは家賃の問題が今後は絶対に大きくなるので、やはり住みかえ、ただ、これは非常に気持ち的な問題がありますから、お金がないから転居しろということだけでは、しかも住宅レベルは下がるということになれば、これはうまくいくかなということが確かにあるのです。ただ、一方で大家さんの安心ということを考えると、私は生活支援と保証人をセットにする考え方がどうしても必要だと思います。これをどういう形でやっていくか。

 これは既に国土交通省が住宅セーフティーネットの中でこの概念を出していますけれども、今、お互いの協議会が始まっているということは御報告を受けていますが、もう一歩進めて、国土交通省の住宅セーフティーネットと、この制度との乗り合いをどう進めるのかということは本気でやっておかないと、お互いにばらばらになりかねないということを少し危惧しています。

 居住においては安いところへの転居、プラス保証人と生活支援をセットで考えるということです。

 2つ目としては、高齢者の働き口の確保と、岡部先生がおっしゃったとおりだと思います。ただ、この制度で言うと就労訓練事業という枠がありますけれども、これも訓練という概念なので中間的な就労としか見ていないのです。

 今後は高齢者の受け皿としての就労は絶対必要になるので、そこを経て、本就職に行くということが、70歳で始めて80歳で正職になるかというとならないわけだから、社会的就労みたいな、参加型というか、そういう概念で就労訓練事業を少し拡大していくという受け皿を今からつくっておかないと難しい。ただ、就労訓練事業というタイトルではないでしょうから、もうちょっと広げた意味で参加的就労みたいなものが要るだろうということが2つ目です。

 3つ目としては、後見人のところが0.8%ということなのですけれども、今後、成年後見人制度まではいかないけれども、一方で金銭管理が必要だという、そのさらに手前で絶対に必要なのが家計支援なのです。家計支援は絶対に必要で、生活保護世帯においても私は大事だと思います。

 一方で、成年後見まではいかないけれども、実際的には一部、家計支援ではなくて金銭管理というレベルが出てくる、これを制度的にどう保障するか。権利の問題も含めて保障するかということを今から考えておかないと、大きなニーズが出てきて、権利擁護事業を申し込んでもハードルがあって、なかなか全ての人が使えない、もしくは料金もかかります。

 ですから、そのあたりで金銭管理というレベル、ただ、成年後見まではいかないという、その手前のところは今後出るだろうということです。

 最後に、これはちょっと暴論かもしれませんが、いずれ高齢者になって生活保護にならないために手前で防ぐという表現なのですが、ひょっとすると考え方は逆で、もっと手前から一部生活保護を使うことによって、生活保護額全体を抑えるという考え方もあるのではないかと思います。

 つまり、使わない方向にどう持っていくかという議論と、もっと手前から生活保護制度を使うことによって、フルで何十年も使っていくという形におさまらない形の、いわゆる補足性の原理というものをフル活用するような生活保護に対する考え方も持ったほうがいいのではないか。生かさないと言ってしまうと、どうなのかなという気がちょっとしました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 最後におっしゃった論点は私自身も大変共鳴するところでございまして、何とか深めていきたい論点でもございます。

 続きまして、勝部委員、その後、駒村委員、菊池委員の順番で進めさせていただきます。

○勝部委員 18ページを拝見しまして、単身世帯がますます脆弱な状況になって保護に至るということは、まさに今回、我々が言っていました現在の貧困が経済的困窮だけではなく、社会的孤立が要因としてあって、そのことが皆さんを困窮に追いやっているというところで考えたときに、就労という問題を65歳になったからということで、就労は社会参加であり、仲間づくりであり、自分のアイデンティティーというところで尊厳を保てる場所であるのですけれども、それを賃金労働だけで考えますと、生活保護になった場合には就労不可となって、社会参加自体が余り積極的に認められるわけでもなく、頑張ってやったところで、結局、収入認定も難しいような状況になってくるともうやめておこうかという話で、本当に社会で必要とされない人たちがますます孤立のふちにいるというように考えます。

 今日、私は今朝から宅地で農業をやっている「豊中あぐり塾」という取り組みの中で、地域の高齢者、定年退職後の方々、70人ぐらいが集まってそうめん流しをやっていたのですけれども、本当にみんな元気で、そして、農業をやったものを、また今度、6次産業化みたいなことをして目指していこうと、本当に前向きになっていかれて、こんなに楽しい仲間が定年後に集まれるとは思わなかったというお話をされているのです。

 そう考えると、前回の議論の中でも、結局、生活困窮者支援をやっている中でも、一般就労は難しい、中間的就労とは言うけれども、その段階の社会的受け皿をつくらない限りは、ただただ一般就労まで上げていくだけでは難しいということがだんだん見えてきている中で、高齢者の分野においても先ほどお話がありましたが、少し楽しみながら仲間づくりがあって、そして、自分の尊厳が保たれて、プラス1カ月に1万円、2万円という働き方をもっと開発していくべきだろうし、そういう就労のコミュニティービジネスといいますか、社会の中で誰かが担えばいいのになと思うようなことはたくさんあって、このあたりがこれから我々が考えていかないといけない、大きな大切なことだと思っています。

 もう一点が、前回もお話をさせていただいたのですが、21ページのところで、結局、収入と支出をどうするかという、年金の生活者の方々にとっては入ってくるものは決まっている。出るものは、介護保険料はどんどん上がっていって実質生活費は目減りしていくという中で、出るものをどうして防ぐかとなったときに、一番大きい、生活を圧迫していることはやはり住宅です。都会においては、本当に住宅費が大きな要因になってきます。

 そこで前回もお話ししたように、結局、住みかえ支援に着手しないと生活が成り立たないということになって、それをやっていくとなりますと、相当な支援をしないとなかなか簡単にはいかないということがありますので、ここの体制を前回に引き続きしっかりと考えていきたいと思います。

 もう一点が、これは地域のボランティアの方とこの間話していたお話なのですが、昭和の時代は、家計簿には親への仕送りがあったと言うのです。項目の中に、食費、消耗品費とずっとあって、教育費とあって、親への仕送りがあった。今は子どもへの仕送りになっているという話で、先ほどの困窮の要因も、子どもへの支援にはお金を回すけれども、親への仕送りはできないという状況が、結局、高齢者世帯への困窮のところを、親は自分で頑張るしかない現状なのだなということを、改めてその言葉とフィットしているなと思いました。従来、若い世代が親世代を支えてきましたが、それができない経済構造が課題です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 奥田委員、勝部委員に共通して、一般就労の手前のところの高齢者就労を、孤立を防ぐ意味でもどう設計するか。ただ、所得はどれくらいのレベルで考えることができるのか。シルバー人材センターに72万人の会員がいますけれども、9日間の就労で大体3万5,000円という水準で、これと年金を合わせてもなかなか厳しいかもしれないという現実です。このあたりをどういうように考え、どう設計するかということになるかと思います。

 駒村委員、お願いいたします。

○駒村部会長代理 ありがとうございます。

 幾つか、厚生労働省のつくられた資料をどう解釈するのか。データを見て、これは一体何が起きているのかということをちょっと考えたいと思っていて、まずは資料2の4ページです。

6069歳という10歳区切りなのでよくわからない部分もあるのですが、開始がふえているのがリーマンショック直後ということで、一瞬、高齢者だから景気変動とは関係ないのかなと思いながらも、この時期にふえているということは、後で厚生労働省の資料にも出ていますけれども、数万円を何らかの形で稼いでいたのだけれども、それを失うことによって、現役と同じようにこの辺でスパイクが出ているのかどうなのか。

 ただ、6069歳というのは区切りが大きいので、65歳を境に何か違うパターンがあったのかどうか、これは気になるところです。

 同じように区切りの問題で気になっているのが8ページなのですけれども、年齢別の保護率が高齢者で上昇傾向があって、他の世代よりも上昇率が高いというようなことが見られているのですけれども、原因も考えなければいけないと思うのですが、もうちょっと丁寧に分析する必要があるのかなと思います。ここも65歳以上が一まとめになっているので、もう少し細かく年齢区分を区切って見られないのかなと思いました。

 資料3のほうで確認ですけれども、3ページのこれは私が質問したのですが、介護扶助の場合は医療扶助と違って介護保険のほうでかなり引き受けているということなので、この832億円は生活保護を受けている人の介護保険を使っている部分は除かれていると、だから、生活保護を使っている方の介護給付費はこの数倍あるのだという理解でいいのかどうかということです。この辺は資料のつくり方というか、確認になります。

 最後なのですけれども、今日の2番目の資料は高齢期の貧困の話なのですが、ちょうど今、老年学の研究をいろいろ聞いていて勉強しているのですけれども、加齢とともに人間関係は急速に変わっていくということです。

 若いときはどんどん仲間をふやしていくと、どんどん広がっていくのですけれども、高齢期になると、物の考え方が全く逆になって内向きになっていくということです。なるべく楽な人とつき合いたい、ややこしい、自分の頭を考えてつき合わなくてはいけない人とは余りつき合いたくなくなっていくという傾向が入ってくる。それはそれで人間関係は楽になるわけですけれども、急速にそういう生活を送っていくと認知機能が低下していくということがどうもわかっているようでして、65歳を過ぎたから、60代に入ったからといって働くことや、あるいはボランティアをするということをお薦めしたほうが、御本人のためにもいいのではないかと思います。

 そういういろいろな分野の知見を生かして制度設計をしていく必要があるのではないかと思いました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 私などは今の段階から友達が少ないですので、このままいくと本当にまずいなと思って伺っておりました。

 駒村委員から事務局のほうに、4ページと8ページの区切りの問題ですね。それから、介助扶助費のデータについての御説明の依頼があったかもしれません。

 区切りの問題については、どうしましょう。

○駒村部会長代理 区切りは、区切られるのかどうかですよね。

○宮本部会長 おそらく駒村委員としては、解釈の仮説がいろいろあっておっしゃっているのかなと思いますけれども。

○駒村部会長代理 まず、データをそれで出せるかどうかということです。

○宮本部会長 わかりました。

 まずデータのほう、お願いします。

○鈴木課長 区切りにつきましては、もう少し区切ったものを検討します。

 介護扶助の関係は、おっしゃられますとおり、保険給付から出ている分はここの費用に入っておりませんので、通常、居宅サービスなどを使えば9割分あるいは施設サービスであれば、プラス補足給付の、保険料が入っている分は別途この外にあるということでございます。

○宮本部会長 続きまして、菊池委員、お願いいたします。

○菊池委員 3点、いずれも生活保護との関係で述べさせていただきます。

 1つ目は意見というより事務局へのお願いなのですが、基本的には高齢者の就労支援について、高齢者の自発的な就労ニーズに対して積極的に対応していくという方向性には賛成です。

 マクロ経済スライドの本格的な発動を控え、将来的に低年金層対策が深刻になるということが確実に予想されますので、その対応策の一つとしても位置づけられると思います。このことはあくまで、自発的な就労ニーズである限りで生活保護受給者にも当てはまるだろうと思うわけです。ただ、この生活保護における高齢受給者にとっての就労の位置づけが、いま一つ不明確であるように思います。

 そこで、まず高齢の生活保護受給者の就労率などについて、生活困窮者自立支援法の対象となる高齢者との比較が可能なデータがあれば出していただけないかというお願いです。

 仮に生活保護受給者の就労率がかなり低いとすれば、傷病・障害といった状態像に起因するものなのか、あるいは自治体における運用ですね。自治体においては、高齢者に対するケースワークと、それ以外の現役世代に対するケースワークを区別して運用しているところもあると聞いております。そういったところが関係するのか、あるいは保護受給者の自立に向けた意欲によるのかといったことが気になるところではあるので、もしデータがあればお願いできないかというところです。

 先ほどから委員の皆様の御意見を伺っていますと、狭い意味での雇用労働に限定せず、さまざまな社会的な活動、アクティビティーといったものまで含んだ社会参加というものまで見据えていくべきだというお話で、私もそのとおりだと思うのですが、それに対して生活保護における就労支援像というか、そういうものが見えてきていない部分もあるので、その手がかりとしてデータがあればお願いしたいなということでございます。

 2つ目として、そういった意味で就労との関係を考える場合に、やや漠としたお話ですけれども、最低生活保障と自立助長の関係をどう捉えるかということが重要なのですが、最低生活保障というのは生活保護法1条に規定されていますけれども、それはもともと憲法25条1項に書かれている健康で文化的な最低限度の生活を具体化したものでありますが、自立助長とセットで考えた場合には、最低生活保障というものは線ではなくて、ある程度幅を持ったものとして考えられるのだと、私はそういう理解をしていまして、この点を強調したいと思います。

 そういった幅を持つものと解釈できるとすれば、例えば先ほど私が述べました教育扶助ですとか生業扶助とか、そういうもののあり方もやや柔軟に考える面が出てくるのではないかと思いますし、就労支援の関係では、就労自立給付金が導入されましたけれども、これは基準部会の御議論になるのですが、勤労控除についてももう少し多く収入が手元に残るように、期間限定ではありますけれども、控除率のさらなる引き上げなども射程に入ってくるのではないかと思います。それは現行の憲法解釈、法律解釈で可能ではないかと考えています。

 最後に、先ほどの平川委員の御発言に触発されて、ちょっと戻って申しわけないのですけれども、アルバイト未申告問題については私も問題だと思っています。

 私も複数の裁判の判決を把握していますが、行政庁の対応が適法、違法とされた、両方あるかと思いますが、違法とされたものはたしか横浜地裁の判決であったと思います。

 違法ということで、個別のケースワーカーあるいは福祉事務所の対応いかんという、その問題にとどめるのではなくて、ここで議論しているように、子どもの貧困対策あるいは子どもの自立というものを重視していこうという把握をするのであれば、未申告ということを生活保護法第27条にいう指導指示の問題と、未申告に対して第78条で対応するという問題として捉えるのではなくと、まさに第272の相談支援ですね。ソーシャルワークの対応として、より積極的にケースワーカーがかかわっていくという対応が求められるのであって、そういう方向で運用の改善を図っていかれたらどうかというように感じます。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 最初の問題に関しては、おそらく事務局のほうからお答えをいただいたほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。

○鈴木課長 最初の高齢者の就労率などについてですが、65歳以上の生活保護を受給される方が97万人弱ということで、そのうち就労されているのは4万1,000人くらいということで、割合としては4.3%ぐらいということになっております。

 基本的な考え方でありますけれども、年齢にかかわらず稼働能力がある方には就労していただくという義務が生じますので、そういう意味では、稼働能力がある方はそれを活用していただくということになります。

 ただ、そのときに、現場ではそれをどう判断しているかということでありますけれども、御指摘のように、概念としては特に年齢では差をつけておりませんが、実態のケースワークとしては高齢者の方、65歳以上の方は余り就労を選択肢としては考えない自治体もそれなりにあるというように認識をいたしております。

○宮本部会長 菊池委員の御議論は3点とも非常に大きな問題というように受けとめております。

 これからまた議論を深めてまいりたいと思いますけれども、1点だけ菊池委員が先ほど最低生活保障と自立助長の関係について、最低生活保障はある程度の幅として押さえるというおっしゃり方をされましたけれども、少し付言していただくと幅とはどういうようにイメージをすればいいのか。

○菊池委員 例えば保護受給者が就労した場合において、要するに、最低生活を下回った分だけ補足すると、それこそ補足性の原理なわけですけれども、1万円分働いたら1万円保護費を減額するかという、それは原則ですが、それだと就労インセンティブが働かないので、勤労控除で一部残りますね。ただ、それは一部しか残らないという基本的な考え方は、最低生活というものを基本的には線で捉えるという考え方だと思うのですけれども、そこはもう少し幅を持たせる。

 ただ、ずっとそれでいけるかというと難しいので、期間限定にはなると思いますが、例えば段階的に、少なくとも最初のうちは多く手元に残るようにした形で勤労控除の仕組みを設けていく、そういう幅を持たせることは許容されるのではないかという一例です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 自立助長可能な場合は逆に支援の水準が下がるという、よくありがちな議論との区別をしっかりしておいたほうがいいかなと思って伺ったのですけれども、まさに勤労控除等、自立への勢いがある場合は、むしろ幅を持って、少しかさ上げしてでも支援を強めていくという御趣旨がよくわかりました。

 ここで駒村委員から一言あるということですので、よろしくお願いします。

○駒村部会長代理 控除の見直しは前回行われて、これは基準部会のほうでも検証していて、ある程度手取りがふえて就労インセンティブは高まっていて、経済学のテキストどおり勤労数はふえているということは確認されています。

 あれでしたら、基準部会の資料を事務局から配付いただいてもいいのではないかと思います。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 時間も押してございまして、あと家計相談支援の議論が残っております。

 まだ御発言されていない方も何人かおられますので、ぜひそこは乗りおくれがないようにお願いをしておきますが、今の段階でよろしいでしょうか。渡辺委員もプレゼンだけでしたので、遠慮なく、後でもしあればお願いします。

 伊藤参考人はよろしいですか。

○伊藤参考人 後で結構です。

○宮本部会長 後でよろしいですか。

 渡辺委員は、ここでお話をお願いします。

○渡辺委員 高齢者について私はそんなに存じ上げないのですけれども、例えばうちの学習支援をするときに、学習会をマネジメントしてくださる学習支援コーディネーターとかマネジャーのような方を募集して、研修をして出すのですけれども、より高度なことをやっていただくということで、最近有償の研修とかもしたのですが、例えばそういう方にはどういう方がいらっしゃるかというと、65歳とか60歳とか、介護もあるので早期退職をしましたみたいな高齢の方がいらっしゃって、もう一回学んでしっかりとお役に立ちたいみたいなことがあるのです。

 生活保護を受ける高齢者の方とはまた違った層かもしれないのですけれども、平均寿命の延び、長寿化みたいなことが問題になったときに、要は、65歳から、できれば20年ぐらい働いてくれるといいなといったときに、先ほどものづくり大国日本で、地道なお仕事をしてくださる方がいないといったときに、例えば中小企業で地道に仕事をするとか、農作業をするだとか、そういうところは60歳とか65歳ぐらいの方がやるところでは、若者ももちろんいいのだけれども、すごく地道に働いてくださる道はあるのかなということを、何となくうちのボランティアさんとかを見ながら思いました。

 そういうときに何が必要かというと、やったことがないので、訓練だとか、今までは余り、高齢者の方が長期に働くというように見ていないからそんなに訓練をしていないのだけれども、しっかりとそこで訓練をすることで、例えば10年ぐらいは月10万円ぐらい働けて、雇用している方もすごく助かる。

 例えばコンビニの店員みたいな方も、昨今は少し高齢の方もいますし、スーパーとかでもシルバーの方とかが働いていらっしゃるけれども、ああいう人手不足のところにしっかりと入るような仕組みができると、それはそれで高齢の方の生活保護みたいなことが少し減るのかなということは何となく思いました。

 ちょっとまた議論が変わって、先ほどの生活保護家庭のお子さんのアルバイトのことでいくと、例えば私たちが直面する中では、親御さんが生活保護を受けているということを子どもに伝えていないという場合が結構あります。

 だから、大学に進学しようと思うと、実は生活保護だから世帯分離をしなくてはいけなくてというところで直面するということがあるように、高校に進学したときに何も知らないで、親御さんも余り理解がないままに、子どもは、人もやっているし、うちは家計が大変だからと思ってアルバイトをしたら大変なことになってしまったというところで、すごくそこのところの精神的ショックみたいな、やはり生活保護を受けていたのだみたいな精神的ショックがアルバイトをしていることで発覚してしまった上に収入もなくなってしまって、さらに悪いことをしたみたいに言われると、本人的には非常につらいだろうなということがあるので、そこに関しては、悪気がなくてアルバイトをしてしまったことが罰則みたいな扱いになるようなことは、本人の将来にとってはすごくよくないのかなというように思います。

 受けている方たちというか、本当にこういう生活困窮の方たちは、何か手当を受けているのだろうなと思っていると思うのですけれども、例えばひとり親の児童扶養手当と生活保護と何が違うのかとか、よくわかっていない場合とかも、親御さんはわかっているかもしれないですけれども、そういう中で、見つけられたときのお子さんの気持ちに寄り添ったほうがいいのかなということは現場ですごく感じるところです。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今の問題にかかわってということですね。岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 生活保護で高校生等のアルバイト収入については、教育あるいは進学の費用という場合には、現在、収入認定をしないという取り扱いになっています。

 裁判がもし起きたとしているのならば、そういう通知が出る以前の話が、判例等で出ているのではないかと考えます。

 事実の確認だけですが、それでよろしいですか。

○宮本部会長 平川委員から始まったお話でもあるので、そのあたりはいかがでしょうか。

○平川委員 授業料は控除されない。

○岡部委員 授業料の話ではなくて、アルバイト収入です。

○平川委員 アルバイト収入で、入学金は控除されますけれども。

 その前段の話ですね。

○岡部委員 アルバイト収入については、教育等に充てる場合については収入認定としないという取り扱いではないのですか。

○宮本部会長 菊池委員、そのあたりは、今、どうなっていますか。

○菊池委員 私の存じ上げている横浜の例は、修学旅行に参加するためにアルバイトをしてこつこつためたと、それが見つかったということです。

○宮本部会長 そのあたり、事務局、いかがでしょうか。

○渡辺委員 私から。

 例えばうちの学習会に来ている子だと、高校中退はすごく大変ということがあったのですけれども、高校へ行っても勉強がなかなかできないからバイトをして塾に行こうかと思ったときに、塾代にはならないので、バイトしてしまったらそれが生活保護認定にならないとか、そんな事例はあります。

○岡部委員 在学している方と在学していない方の取り扱いは違います。在学生で学習の費用として充てる場合については認定しないという取り扱いが最近行われています。中退して現在、10代ですが、無業の人が働いた場合は収入認定としての取り扱いをする規定になっているということです。

○宮本部会長 それは学習の費用に充てるとみなされなかったから問題視されたというような理解でよろしいでしょうか。

○岡部委員 この件は、また改めて。

○宮本部会長 事務局から整理をいただきましょう。

○鈴木課長 確かに収入認定の除外の範囲が順次拡大してきていることはそのとおりで、段階によってどの範囲を、貯蓄なりしていたかとか、使っていたかということは裁判になっている事例もございます。

 今、お話に出ているのは、それが課税調査でわかったときに、課税調査でわかれば全て不正受給ということで、今、高校生のアルバイトであっても整理をしておりますので、福祉事務所としては、申告義務があるということで御本人にサインを求めておるわけです。その上で不正受給と同じ取り扱いというようにしておるのですけれども、実際は、今、渡辺委員がおっしゃったように、お子さんは知らなかったと、おそらく親御さんが代筆されていたりとか、そういうことで本人が知らないままに不正受給ということになってしまうということが、御本人さんにとって大変心のダメージになっているという御指摘を各方面からいただいているところでございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 岡部委員から大事な情報提供をいただいたわけですけれども、同時に、単にこのアルバイトの未申告問題が周知徹底されていないだけの問題とは片づけられない面もあるというところがわかってきたかと思います。

 そういう意味では、この問題はニッチというよりは、実はこの制度のいろいろな矛盾というか、問題が重なりあったところに出てきているというところもございまして、また、これはちゃんと議論をしていきたいと思います。

 このあたりで、残るところ45分ぐらいでありまして、家計相談支援の論点が残っております。

 一瞬休憩なしでやろうかなと思ったのですけれども、委員の皆さんの人権という問題もあると思いますので、5分だけで申しわけないですが一息入れていただいて結構です。

23分から始めますので、よろしくお願いします。

( 休 憩 )

○宮本部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、第3の論点になります。「家計相談支援・生活福祉資金のあり方について」ということですが、最初に申し上げたように、ただでさえ3時間という長丁場ですので18時には必ず終わらせたいと思っております。

 皆さん、今、リフレッシュされて、これからちょっと元気になってしまって議論が長くなる可能性もあるかもしれませんけれども、そこは進行に御協力、くれぐれもお願いしたいと思います。

 質の高い議論、大事なことですので行っていきたいと思います。

 それでは、資料4について御説明をお願いしたいと思います。

○本後室長 それでは、資料4について御説明いたします。

 恐縮でございますが、ちょっと飛ばし飛ばしになります。

 最初に4ページ目でございます。

 家計を取り巻く状況ということで、多重債務の問題がございます。これはさまざまな取り組みで減少しておりますけれども、依然として多重債務にある方が存在するということは押さえておくべきかと思います。

 5ページ目でございます。

 家計全体に対する認識ということでいきますと、これは一般の調査でありますけれども、1カ月の収入や支出を把握していないという方々が1~3割存在しているということでございます。

 家計相談支援の効果という意味で、7ページ目でございます。

 3カ月ごとにステップアップの状況を調査しておりますけれども、経済的困窮の改善に関する状況ということで、家計相談に関しましては6割の方に効果があらわれているということが見てとれるということでございます。

 8ページ目、同じく効果ということで、これは自治体において有する債権について、滞納の解消等、金額ベースで把握するということで、効果を見える化しているという自治体さんの例を挙げてございます。

 9ページ目でございます。

 家計相談事業の内容ということになりますけれども、家計相談事業と自立相談支援事業の家計面の支援を比較いたしますと、赤で囲っているところでございますけれども、相談者のレシートの内容を確認するという少し突っ込んだアドバイス、それから、家計表を作成する、あるいはそこから必要な収入を設定して就職支援につなげる、あるいは数年先までのキャッシュフロー表を作成するといったことに関しましては、家計相談は行っているけれども、自立相談ではなかなかできていないということで、ここに家計相談支援事業の専門性があらわれているのかと思います。

10ページ目でございます。

 家計相談支援事業を実施しない理由といたしましては、ニーズはあるものの事業化はしにくい、あるいは自立相談支援事業で対応可能といったところが割合としては高くなってございます。

11ページ目以降は、実際の家計相談の活用事例を整理をいたしております。

15ページ目でございます。

 先ほども御議論がありましたけれども、生活保護受給者への家計面の支援ということでいきますと、ケースワークにおいて、金銭を適切に管理できないという方に関しては金銭管理支援を行っていく、あるいは自立支援プログラムの中で行っているということが、現在の生活保護受給者に対する家計面の支援としては行われているということでございます。

 続きまして「2.生活福祉資金貸付制度について」でございます。

20ページ目でございます。

 生活福祉資金の貸し付けについては、自立相談支援機関側からは貸付要件が厳し過ぎるとか、あるいは審査に時間がかかり過ぎるといった課題が指摘される一方で、社会福祉協議会側からは、制度の理解とか、あるいは償還時の役割分担についての意見があると、この双方の意見をどう考えるかということでございます。

21ページ目は、貸し付けまでの期間ということで、相談からの平均期間でいきますと、「1週間程度」あるいは「1週間~2週間程度」が多くなっているということでございます。

22ページ目は、償還が始まった後に、計画どおり償還している割合あるいは滞っている割合を見ますと、比較的滞っているという割合が高い。こういったところをどう対応するかということでございます。

26ページ目でございます。

 「家計相談支援事業との連携状況」ということでいきますと、家計相談支援事業の中では貸し付けあっせんということをいたすわけですけれども、家計相談支援で貸し付けあっせん書を作成した場合ですと、貸付決定に至った割合が8割と、そうでないケースと比べて非常に高い割合になっております。

 「償還開始後も一定期間伴走支援を行っている」というところも5割あるということで、この連携関係ということ。

27ページ目でございます。

 生活福祉資金貸付事業以外の独自の取り組みを実施している社会福祉協議会、例えば緊急時の食糧支援、独自の資金貸付・給付といったものを用意しているところが約7割あるということでございます。

28ページ目、関連する制度といたしまして年金担保貸付制度というものがございます。これは年金の受給金を担保として小口の貸し付けを行う事業であります。利用件数が約9万件、年間貸付額500億円ということで、生活福祉資金よりも大きな規模となっております。

29ページ目、この事業につきましては、平成2212月に事業廃止するということが事業仕分けをもとに決定をいたしております。

 それをもとに平成25年3月に厚生労働省で年金担保貸付事業の廃止計画を定めまして、真に必要となる資金需要については生活福祉資金制度は主たる代替措置ということにした上で、事業の段階的な縮減を行い、事業規模縮小等の措置を進める中で、その進捗状況を踏まえて、平成28年度に具体的な廃止時期を判断するということにしておりました。

 現時点で、まだ廃止時期等は取りまとまっておりませんけれども、廃止という方向が出ておりますので、これを踏まえた対応が必要になるということでございます。

30ページ目、具体的には年金担保貸付事業の中で貸付要件等々を絞っていますので、貸し付けの件数、それから、金額ともに縮減の傾向にございます。

 一方で「生活必需品の購入」というところが、貸し付けの中でかなりの割合を占めているということもございます。

31ページ目でございます

 現在、年金担保貸付事業を利用している方へのアンケートであります。

 「1.利用回数」でいきますと「初めて」という方は27%、残りは「2回以上」ということであります。

 「2.年金担保貸付が廃止になった場合の対応」ということで「支出を抑えることができない」とお答えになっている方が7割いらっしゃいます。

 その他、3233ページといろいろな状況をとっておりますので、こういったものを踏まえて、どう対応するかということでございます。

 最後のページ「特にご議論いただきたい点」ということで、家計相談支援事業につきましては、論点整理の検討会でも整理をいただいておりました必須化についてどう考えるか。多重債務をめぐる課題も踏まえ、家計面に関する専門性を持ったきめ細かな相談支援は、どの自治体でも必要なのではないか。

 1つ丸を飛ばしていただきまして、特に小規模な自治体においても専門性が確保されるためにどのような工夫があるか。都道府県単位で管内の自治体が一体的に実施するといった自治体さんもありますので、そういったものを踏まえてどう考えるか。あるいは生活保護受給者について家計相談が特に効果的な場合もあるのではないかといった点でございます。

 生活福祉資金貸付制度につきましては、使いやすい貸付制度を求められるという要請の一方で、償還の確保という要請がございます。こういったことを踏まえてどう考えていくか。それから、生活福祉資金制度では対応できないような資金ニーズへの対応について、一律の制度によりニーズに沿った柔軟な対応が確保できるかどうかということも含めて検討をどう考えるかということ。

 年金担保貸付事業の廃止を踏まえて、これまで貸し付けの対象になっていた高齢者の家計をどういうように支えていくかといった点について御議論をいただければと思っております。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 それでは、残りの時間で議論を始めさせていただきたいと思います。

 石橋委員、よろしくお願いいたします。

○石橋委員 小規模自治体ということで代表して発言をさせてもらいます。

 資料の10ページ「家計相談支援事業に関する状況 丸2」というところがございますが、7割の自治体が事業化できない、あるいは必須化できていないという状況の理由が書かれているわけです。

 小規模自治体としても、まさにこういう理由でございまして、確かにニーズはあるものの少ないということが1点と、現状、私の町もそうですけれども、自立相談支援事業でかなり対応できているという状況があるわけです。

 専門性であるとか、あるいはマンパワーの問題等々を考えるとなかなか厳しいものがあるなと思います。あるいは「特にご議論いただきたい点」の中で、都道府県単位で管内自治体が支援事業を一体的に実施する方法はどうかということもあるのですが、身近なところでやることが一番大事であって、まとまった単位でやるということは、なかなか相談できないというよりは遠慮する部分もあるのではないかと思いますので、基本は自治体がやるのだけれども、必須化はなかなか難しいのかなということが私の思いです。

 したがって、現状、自立相談支援事業でうまくカバーできていると私は認識していますので、必須化はちょっと無理ではないかと思います。大きな都市と小さな町とで、同じように議論をしていくのかはどうかなと思います。

 したがって、今の任意事業のところで円滑にやっていただく方法を議論いただくことが現実的ではないかなと思います。

 よろしくお願いいたします。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、大西委員、お願いいたします。

 その後、前河参考人、よろしくお願いいたします。

○大西委員 今の話にも多少関連するのですが、大阪市では平成28年度から家計相談事業を自立相談支援員の主任相談員に兼務させるということをスタートしております。それはコスト面の理由も多少あるのかもしれませんが、現場の相談員、あるいは相談者側からすると兼務でないと二度手間のようなところが多少なりともあるのではないかと思っています。つまり、一通り話を聞いていく中では、この家計の問題がほぼ必ずと言っていいほど出てくるということです。

 ところが、相談員が兼務の場合には、自立相談支援機関から家計相談支援事業につなぐことになるので、改めて支援を仕切り直す場合もあり、相談者が同じ話を2回することになります。もちろん、家計相談の担当者は、専門職として大変スキルが高く、その効果も先ほどの説明で、理解しているところです。

 家計相談支援事業の必須化ということについても反対というわけではなく、実際に相談を受ける側の経験では、自立相談支援事業と一体的に行うメリットが大きいのではないかという思いがあります。

 もう一点お話しますと、生活福祉資金貸付制度について、現状、大阪の自立相談支援員の状況からいいますと、ほとんど利用していないと言っています。相談員側からすると、相当に緊迫性があったり、必要性があったりするにもかかわらず、書類作成等の手続で時間がかかってしまい、結局は間に合わないというような場合が多いということです。

 社協のデータを見ましても、実際に困窮者の関係で申請をしても、申請数の60%ぐらいしか認められておらず、困窮中の緊急小口資金などは申し込みがゼロということが2年ほど続いておりますので、自立相談支援制度と生活福祉資金貸付制度との連携ということをもう一度考えておかなくては、なかなか各地でしっくりいっていないのではないかという思いを持っています。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、前河参考人、お願いします。

○前河参考人 私からは生活福祉資金の貸し付けの件と、議題が前後しますが、生活保護世帯の大学進学の点について意見をさせていただきます。

 最初の点ですが、前回も少し触れさせていただいたのですが、今日、全社協からこの資料を御準備いただいているのですけれども、大阪府全ての社会福祉法人による社会貢献事業「大阪しあわせネットワーク」が実施されております。

 この資料を開いていただくと右側にイメージ図が描かれているのですけれども、「生活困窮者レスキュー事業」として、社会福祉法人に所属するCSWやスマイルサポーターと大阪府社会福祉協議会所属の社会貢献支援員が連携し、ワンストップの総合生活相談を実施されています。

 公的制度の狭間で支援が受けられず、急迫した状況への緊急支援のため、施設長の決裁により、おおむね10万円を限度とした経済的援助や、家電や家具、日用品、食品等の現物給付が実施されています。

 経済的援助の実績ですが、平成27年度は646世帯、約4,400万円、平成28年度は670世帯、4,500万円の支援を実施されておりまして、相談の経路が福祉事務所を初めとする行政機関が最も多く、次いで自立相談支援機関、市区町村社協となっておりまして、制度の狭間の緊急的支援ニーズが高いことが示されており、こうした社会福祉法人の地域貢献の取り組みを広げるとともに、何かの緊急給付ですとか、緊急貸付等の制度化の検討も望まれるのではないかというように考えます。

 生活保護世帯における大学進学の際の世帯内保護についての意見ですが、これにつきましては生活保護を受けていない世帯との公平性が保たれないという観点はあるのですが、一方で委員の皆様の御意見と同じように、貧困の連鎖防止を考える上で、大学進学は将来にわたる就労自立やQOLに大きく影響するので、例えば実際の生活保護受給世帯における実例の課題を集積するなどして、他の委員の先生からの御意見にもありましたように、他制度の活用も含めてどのような制度設計が望ましいかについての多面的な検討が必要だと考えますので、改めて意見をさせていただきました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今のお三方の御発言ですが、家計相談支援にかかわっては、自立相談支援でその部分を頑張っている自治体ほど、いわば必須化による重複感が出てくるかもしれない。小さい自治体になると、その重複感がちょっと重くなってきてしまうということで、このあたりはどういうように工夫していくのか。

 大西委員がおっしゃったように、必須化そのものに反対しないまでも、そのあたりの整理はお願いしたいというお話だったのかなと思います。

 同時に資金の問題にかかわっては、支援機関の経済保障は非常に重要になってきているわけですけれども、そこにうまく制度が生かされていない。それから、そこに年金担保の制度の問題がかかわってくるというところで、前河参考人からもお話がありましたけれども、そうした独自の取り組みも含めて、経済保障をどう実現していくのかということが議論の俎上に上らなければいけないのかなと思います。

 議論を進めてまいりますが、先ほど延ばしてしまいましたので、伊藤参考人、よろしくお願いします。

 その後、勝部委員、お願いします。

○伊藤参考人 ありがとうございます。

 先ほどの高齢者支援との共通項も含めてお話をさせていただきたいと思うのですけれども、高齢者支援につきましては、先ほどの資料の28ページにも川崎市の取り組みを集録させていただいたので若干フォロー的な部分もあるのですけれども、本市では、清掃ですとか、警備あるいは調理補助といった、現在、人手不足と言われているような、高齢者の雇用に理解のある業種を中心に独自の求人開拓をしておりまして、その結果、たまたま求人が多い、都市部だということもあると思うのですけれども、70%を超える希望者に対する就職率を誇っております。

 一方で、入りを増やすか、出を減らすかということでの家計支援との絡みなのですけれども、働く意欲があっても持病等でどうしても就労に結びつかない高齢者を含めて、どういったことを相談しているかというと、家計支援ですとか低家賃住宅への転居などに結びついた相談の中でやっております。

 そういった意味で、今の家計相談支援事業の必須化の議論なのですけれども、実態として、結論からいいますと、本市では自立相談支援事業の中で行っておりまして、あえて家計相談支援といったものを切り出して、現在、2事業なわけですけれども、必須化に向けてという議論だと思うのですが、現状、必須事業であり、また実施する自治体からすると補助率も随分気になるところでして、自立相談支援事業を4分の3の補助事業でやっていて、逆に、総合的に全人的に相談者に寄り添えるという部分では、確かに家計支援はファクターではあると思うのですが、先ほど来出ているように、必ずしもその相談は必要のない方もいれば、収入をふやしたいのだけれども、家計の領収書を見たりとか、そういった部分も含めて判断しているようなケースも多々ありますので、むしろ本市としては、先ほどの都市と同じで、逆に、本市は大都市の分類にはなると思うのですが、現状でやりくりができている、むしろ現状の中で、そういったものの専門性を高めて、総合的に判断できたほうがよろしいのではないかと考えております。

 以上です。

宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、勝部委員、その後、新保委員、お願いします。

 まず勝部委員からお願いします。

勝部委員 15ページで「生活保護受給者への家計面の支援」というお話があるのですが、この中で社会福祉協議会が行っています「日常生活自立支援事業」、判断能力の乏しい方々に対しての支援が相当なウエートを占めています。しかし、この事業自体、財源の裏づけが非常に乏しいということがあります。

 実際、今回のことに関連して、家計支援が一般化して高齢者の生活保護の方々も含めてというような体制になるのであれば、このあたりも特に生活保護の高齢者が非常にふえているわけでして、認知症の方々、精神障害の方々の家計を、毎日、今日は新聞代だとか自治会費だとかというような細かな支援をしながら行っているという、この日常生活自立支援事業についての位置づけももう一度整理をしていただく必要があるかなというように思っています。

 2つ目が、私どものところでは貸し付けと生活困窮の相談窓口の両方をやっていまして、生活困窮の立場からいくと、もっと貸し付けを早くやってよという話になりますし、貸し付けの側から言うと、こんな方に貸しても、実際は債務が増えるだけでどうにもならないではないかということが、目の前で両者が話し合うということはよくある話なのです。

 要は、湯浅誠さんの言う「“溜め”のない生活」、ぎりぎりのところで困窮であらわれてきた人たちに対して貸し付けをさせるということになると、債務がどんどんふえていくだけで、その人たちがもう一回自立していくときによりかせになると思うので、27ページにありますように、全体でも7割近い自治体が何らかの独自の施策を持って、そのときに急場をしのぐということで、それも貸し付けでなく給付型のものを適用することで、一旦リセットして、もう一回再建させていくという方法が非常に有効であると考えているということであれば、ここのあたりが制度化のポイントになっていくのではないかと思います。

 制度にするとまた使いにくいという問題はあるのですけれども、もう少し緩やかなものを給付ができるような体制、これは大阪のレスキュー事業なども非常に参考になることだと思っています。

 このあたりは国の研修においても、独自の給付のものをいろいろとつくっていくことは、私たち自身も提案させていただいていますので、こういうことが広がってきているということは、みんながそこで困っているということのあかしではないかなと思っています。

31ページの年金担保のお話なのですけれども、私たちも年金担保の方々からたくさん相談が聞きますが、基本的には家計の入りと出がちゃんとできない生活を長らくされている方なので、「支出を抑えることができない」と書いておられるということですから、結局、年金の場合は担保ですると、次の月からはお金が減ってしまうので何とかぎりぎり生活ということで、その中でやらざるを得ないというようになるかもしれませんが、ここを貸し付けにしてしまうと、今の生活にプラスでお金が入ってきてしまうということになってくるので、これはなかなか返済という話にはならない。

 それを本当にやるのであれば、家計支援が相当しっかりとかかわっていかないと、今の生活福祉資金という枠組みではなかなか難しいのではないかと思います。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 時間も迫ってまいりましたが、新保委員、よろしくお願いします。

○新保委員 家計相談支援事業について3点述べさせていただきます。

 第1は、家計相談支援事業の意義と本来の役割をしっかり理解することの必要性があると思っています。

 家計相談支援はお金の困り事を入り口に、生活再生をともに考えて、相談者をエンパワーメントしていく相談支援です。家計相談について、支援者が相談者の家計管理を行う事業との誤解がまだあるのではないかと思います。家計表とかキャッシュフロー表の支援は支援のツールにすぎないということで、本来のあり方をしっかり周知していくことが必要かなと思います。

 第2は、この事業を独立した事業として実施していくことの必要性があると思います。自立相談支援事業と家計相談支援事業は、アプローチや専門性が異なる相談支援であると思います。

 自立相談支援事業の相談員が、家計相談支援の機能を取り入れながら自立相談をする形ではなく、家計相談支援員が独立した専門職として相談をしていくことが、スライド9のデータを見ても有効ではないかと思います。

 生活保護世帯についても家計管理の支援にとどまらず、お金の困り事の解決を図る専門的な相談支援として実施することで、世帯全体の自立支援が効果的に進むと思います。

 第3として、この事業の必須化の必要性について述べます。年金担保貸付事業の廃止や銀行カードローンなどによる多重債務問題も深刻化する中で、借金せざるを得ない世帯の持つ課題解決に向けた支援を行っていくことが不可欠だと思います。家計相談支援事業は、こうした世帯の将来を見据えた支援を行うことのできる事業で、本来のあり方で実施することによって、よりきめ細やかな支援が行き渡ると思います。

 最後に、生活福祉資金について述べます。

 この貸し付けは第1種社会福祉事業であって、貸し付けを通じた相談支援を行うことにこそ、この社会福祉事業としての意義があると考えています。民生委員の皆様の御尽力によって長年実施されてきましたけれども、この事業が本当に相談支援として本来の役割を果たせるようにするには、社会福祉協議会の相談支援体制の強化が不可欠だと思っております。

 自立相談支援事業による支援が要件化された総合支援資金や緊急小口資金については、一層双方が連携した効果的な支援を行うということが期待されていますけれども、一方で自立相談支援事業による支援を要件としていない教育支援資金の利用世帯の中にも相談支援を必要とする世帯は少なくありません。特に進学する子どもたちに対する進学後の学業の継続支援ですとか、将来を見据えたキャリア支援、早期的、継続的な支援が極めて重要だと思います。こうした支援が行われてこそ、社会福祉事業としての意味と価値が生まれてくると思います。子どものための世帯支援を充実させるためにも、これらの事業を有機的に活用していくことが必要であると考えます。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 家計相談支援ということは、判断能力を欠いた人々に対する成年後見人的な制度ではなくて、固有のスキルを持った領域であるという御主張であったかというように承りました。

 残るところ5分でございまして、せいぜい5分延長ということをお許しいただくと10分、それを奥田委員、岡部委員、生水委員、平川委員、駒村委員で均等に配分していただきたいと思います。

 そうなると、それぞれ2分ずつくらいかなということになりますのが、何とぞ御協力お願いしたいと思います。

 済みません。浦野委員もですね。そうなると、10分くらいの延長をお許しいただくということで、その時間を5人の委員で、ぜひとも平等に、均等に配分していただければと思います。よろしくお願いします。

 では、生水委員からお願いします。

○生水委員 ありがとうございます。

 野洲市は人口5万人の小規模自治体です。家計相談支援事業を行っております。

 平成11年から消費生活相談の中で多重債務相談を受けておりますが、家計相談支援事業と自立相談支援事業、もしどちらか一つしかできないのであれば、野洲市は家計相談支援事業を選びます。それほど重要な事業だと考えています。

 今から年金担保貸付の廃止後の対応について発言させてください。

 専門的支援である家計相談を行うことで、借り入れをしなくても家計を立て直せる場合があります。一つが借金の問題です。

30ページ「2.年金担保貸付事業使途別貸付実績」では、「生活必需品の購入」の次に多いのが「債務整理」となっております。借金の根本的な原因が解決されないまま貸し付けを受けて、また年金額が減れば、さらに生活が困窮するだけで、さまざまな金額が滞納となってしまうので、完済後にまた借りて借金を返済することになってしまいます。

31ページ「2.年金担保貸付の完済後に再度利用した理由」に「負債の返済や支払が滞ったから」とデータでもあらわれております。

 借金相談については、借金に至った背景や原因を丁寧に聞き取って、そして、その課題に対応するプランを立てること、また、適切な債務整理に誘導して再度の借金をしなくてもいいように数年先まで見通しを立てることが非常に必要だと思っております。

 2つ目は、貧困層よりも少し余裕のある利用者です。

 福祉医療機構が公表しております平成2812月の借入者のデータによりますと、年金額から返済額を差し引いた剰余金額21万円以上が25.9%、公的年金以外の収入が100万円以上の人が56.7%、200万円以上の人が15.9%と報告されております。

31ページに、年金担保融資が廃止になれば「支出を抑えることはできない」と回答した者が71.8%とありますが、こうした少し余裕のある利用者については家計管理をお手伝いすることで支出を抑えて、借りなくても家計を立て直すことができます。

 野洲市の多重債務相談については、平成2428年の5年間で相談件数は246件です。そのうち60歳以上の高齢者は64人、全体の26%で、実に4人に1人が高齢者です。特に最近は、総量規制のかからない銀行ローンの多重債務が目立っております。

 自己破産件数についても、平成15年から13年間ずっと下がり続けていたのが、平成28年に微増となっております。

 年金担保融資が廃止になるのであれば、高齢者がほかで借金を重ねてしまって多重債務に陥ってしまわないように、家計相談支援でしっかりと高齢者を支えるべきだと考えております。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、平川委員、そして、奥田委員の順番でお願いします。

○平川委員 平川でございます。

 簡単に発言します。

 自立相談支援事業においてもさまざまなことがアセスメントされますけれども、家計全般が見えないと適切な支援に直結しないということもございます。また、これは生活保護の指導と違いまして、本人の理解、助言が大変重要だと思います。そのためにも時間を要しますし、専門性が高いということではありますので、家計相談支援事業については大変重要だと考えています。

 実際の相談の場面では借金返済が重要だということもありますし、自己破産の手続や法テラスとの連携ということもありますので、そういった意味で専門性が高いというように考えています。

 年金担保貸付についても徐々に縮小しておりますけれども、どうしても生活保護につながってしまうという状況もありますので、代替措置や支援体制も含めて、体制を整えながら縮小していくということが重要かなと思います。

 さっきの高齢者への支援にかかわって就労の問題であります。

 柔軟な就労形態が重要だということが言われておりますけれども、連合の立場としましては、就労に関しては、現状でも1時間でも働くとか2時間でも働くとか、現状においても柔軟な就労形態はあり得ますので、ある意味で就労というものを、逆に変な形で緩めてしまわないような形で検討すべきではないかと思っております。

 以上です。

○宮本部会長 奥田委員、それから、浦野委員の順番でお願いいたします。

 最後に岡部委員ということでお願いします。

○奥田委員 結論から言うと、家計相談に関しては必須化賛成です。しかも、形態としては、例えば自立相談の中に家計専門員を必須で置くという考え方もあるでしょうけれども、私は別事業として立てるべきだと考えています。

 現在、家計支援をやってくださっている団体は、委託事業者が86%、一方、相談事業に関しては50%が行政直営であるということです。確かにそれを受けられる団体があるかないかという問題は大きいのですけれども、私はちょっと違う観点から言うと、役所が直接やるということがどこまで続くのか。私は地域の資源をどんどんつくっていくべきだと思います。

 だから、別立ての事業の入り口を増やすことによって、地域で資源を養っていくというか、つくっていくというチャンスにもなるということで、別事業で、なお必須化ということが必要だと思います。

 それと、一見最初の資料を見ると多重債務は減っているという印象ですけれども、先ほど生水委員がおっしゃったように、今、新聞紙上でも既に銀行カードローンの問題等、私も現場で、ホームレスではなくて一般の地域の生活困窮者の相談で、例えばリボ払いなどでやってしまうと借金総額がつかめないという状況でどんどん広がっていくということです。しかも、銀行は融資総額の規制がないので、かつての貸金業改正法では済まないところに領域が広がってきているので、銀行のカードローンが全て破綻しているわけではありませんけれども、これはちょっと誤解のないように。

 だから、制度上の問題は金融庁がやるとしても、実際の家計支援のニーズはこれから増えるのではないかというように私は現場では見ていますので、全体像が見えない中で、相談支援としての家計の自己管理がどうできるかということが、まず第1で、必須だということです。

 2番目としては、先ほど新保先生がおっしゃったように判断できるかできないか。相談事業は権利擁護とか成年後見とは違うのだと、全くそのとおりだと思います。一方で、先ほどの繰り返しになりますが、家計プラスアルファの分が絶対に出てくると思います。

 だから、家計支援ではなくて金銭管理というレベルの人も出てくるので、家計を必須化することにおいて、さらにこの事業を充実化して、いわゆるもうちょっと軽い段階での金銭管理事業ということも、今後考えていくべきだろうということが2つ目です。

 3つ目、生活福祉資金貸付制度ですけれども、これは県社協さんが担当するということで、緊急小口に関して、決定までに1週間から2週間以内は85%なのです。遅いと思います。緊急小口などと言っているのに2週間程度とはどういうことなのか。ですから、例えば市社協とか地区社協のほうで、もう少し直接できないのかという仕組みの問題があると思います。

 一方で、その前提として去年やっていた論点整理の議論の中では、先ほども出ましたけれども、独自財源のほうが活用されているということがはっきり出ているのです。だからと言って生活福祉資金がどうでもいいというわけではないのですけれども、あるものを両方とも使えばいいと思うので、両立てで、独自財源事業に関してどうバックアップするかということを一方で考えないと、生活福祉資金のことだけでやっていると駒が足らなくなるのではないかと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 あと5分になりました。

 浦野委員、よろしくお願いします

○浦野委員 手短に申し上げます。

 まず、家計相談支援と生活福祉資金のみならず、人にお金を貸すということなのですけれども、これはいかに一体的にやるかということが重要で、単にお金を貸すのではなくて、もちろん社協にはソーシャルワーカーがいて、きちんと相談体制をとっているというようなこともあるのでしょうけれども、そこが非常に重要で、そこをきちんとやっていくということをぜひお願いしたいと思っております。

 年金担保貸付事業の話が幾つか出ていますけれども、どの制度がそれを代替するのかということは私にはわかりませんが、いずれにしても現実にニーズを持っている人がいて、利用している人がいる。決して返済率はそんなに悪くはないという事業ですので、きちんとした受け皿をお願いしたいと思っております。

 先ほど大阪のしあわせネットワーク事業のことに言及していただいたところもございますけれども、この事業は、今、全国の社会福祉法人が各都道府県単位で実施をしようとして、次男坊、三男坊、四男坊とあちこちで生まれてきております。神奈川県が次男坊になって、埼玉県が三男坊みたいにして大分広がりを見せてきていまして、これを含めて社会福祉法人の取り組みは、都道府県単位でも47都道府県のうち半分ぐらいが既に実施に移されて、今年度中には残り半分のうちのまた8割ぐらいは何らかの形で実施に移せるのではないかというように思っています。

 大阪の例でいいますと、重要なことは、やはり、先ほど生活福祉資金に1週間、2週間の時間がかかるという話がありましたけれども、社会福祉法人がやっている事業は基本的に即日で行動するということです。もちろんじっくりと時間をかけて対応すればいいケースもあるのでしょうけれども、多くの場合には緊急に、今日何を食べるかというところの話もいっぱいあるわけです。

 米びつが空で、ガスがとまってしまっていてという話も典型的にはあるわけです。そういうときに、いかに迅速に動くかということで、さすがに行政では、そんなに簡単に迅速に動けと言ってもなかなか動けない部分もあるのだろうと思いますから、むしろ民間組織を活用していくということは、私は大いに結構なことだろうと思います。

 それと同時に、現金を渡すということをしない仕組みにしているということです。今週1週間分のお米を買いにいきましょうとか、野菜を買いにいきましょう、魚を買いにいきましょうといって、その代金を肩がわりするということはやっていますけれども、クライアントに現金を渡して、これで1週間生活してくださいというやり方はしていません。

 ここは非常に大きなポイントで、そのことが、まずは自分の生活を立て直すということの一歩にもなっていきますし、あくまで生活を支えるということであって、お金を貸すことが目的ではないということで、これは大阪のモデルの非常にすぐれたところだろうと思っています。

 またそれも、実際にお買い物に、スーパーマーケットに一緒についていって、どんなものがいいのだろうか、ひとり暮らしなのだからあんな大きなものを買ってもねとか、そんな話をしながら支援をしていくということで、まさに伴走型でやっているということでございますけれども、そういう意味でもソーシャルワーカーの役割が非常に重要なのだと思います。

 お金の問題ではあるけれども、人的に支援をしていくということの重要性を再確認したいと思っています。

 以上でございます。

○宮本部会長 済みません。再分配がうまくいかなかったようで、もう時間になってしまいましたが、岡部委員、駒村委員、お願いいたします。

○岡部委員 3点です。

 1年目年金貸付制度が廃止の方向で考えられています。こういう幅広く種類の多い、扱う金額の規模が大きい制度は、生活資金貸付制度が受け皿として考えられるのではないか。

 2点目です。

 受け皿にする生活福祉資金貸付制度は、基本的に無利子、低利子あるいは保証人なしでも借りられるという制度です。それは貸付制度ですので、償還があり、返済していただかないといけない仕組みになっていいます。それを支える体制が、今のままでよいのか、生活福祉資金貸付制度の仕組みや、年金担保貸付と生活福祉資金の関係を支える体制の整備が必要ではないか。

 3点目です。

新保委員が述べていたように、家計相談支援事業は必須事業とすべきであると考えます。

 これは今日意見として出された高齢者の支援、子どもの学習支援、それから前回出ました一時生活支援は、基本的に家計ということを切り口に生活再建を図ることで、専門的な支援が必要ではないかと考えます。

 生活福祉資金貸付制度は、家計相談事業とどうリンクしてやっていくか、これは先ほど多重債務の話が出ましたが、有効な制度資源として活用できるのではないかと考えます。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 最後です。駒村委員、お願いします。

○駒村部会長代理 年金担保貸付事業の件です。

 今、500億円ぐらい貸し付けをしているものですから、これが7割の方が我慢できないとなると、350億円が生活福祉資金のほうにやってくるとか、家計相談のほうにやってくると、これは本当に引き受けられるのかどうなのか非常に心配なところです。

 年金担保貸付事業自体は長い歴史があって、生活保護のモラルハザードがあって制度縮小に入ってきていると思うのですけれども、ちょっと古い、2010年ぐらいまでのデータ分析をしたところ、これは収入が多いのか使い方が悪いのかということがよくわからない部分があるのですけれども、双方あって、一つは都道府県別データで分析すると、経済状況が悪いところほど利用施設数が多いということで収入の問題があるのかなということです。

 もう一方で、長期データを見ると、金利と逆相関関係があるので、ある程度合理的に、これは唯一、公的制度の中で担保を持っていますので必ず返さなければいけないという制度なわけですから、そういう意味ではある程度合理的に使っている方もいらっしゃると、非常に複雑な部分で、これを潰した場合に、どのくらい生活福祉資金のほうに来るのかということを見きわめなければいけない。本当は連続的に小さくしたほうが安全ではないのかなという気がします。

 いずれにしても、ここが変な潰れ方をすると、生活福祉資金貸付にも行けない人間が、今度、多重債務のほうに回る可能性があるということです。これはさっき奥田委員が言ったように、変な金融取引に入ってはいけないということです。

 ただ、これは日本の金融の政策、個別企業の問題になるわけですけれども、OECDなどでは表面金利が非常に安く見えても、実は実質金利は高くなって、消費者が損害を受けるような錯覚が起きる広告や商品提示はしてはいけないということです。これは行動経済学の研究蓄積がいろいろあって、そういう広告は契約法でやってはいけないという規制は入っているので、そういう部分も含めて見直していく、見ておかなければいけないテーマかなと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 大変申しわけありません。私の不手際で十数分時間を延ばしてしまいました。面目ございません。

 ただ、皆さんにご発言いただくことはできたかなと思います。

 それでは、事務局のほうから次回の日程等、よろしくお願いいたします。

○竹垣課長 次回は7月27日火曜日の15時からを予定しております。

 場所は追ってお知らせをいたします。

 よろしくお願いいたします。

 また、委員の皆様にはかねてよりお知らせしてございますとおり、机上配布資料の一番後ろのページにつけておりますが、8月1日と8月3日、都内で現地視察を実施ということとなっております。

 生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業を中心とする自治体の施行状況、無料低額宿泊所の実情についてごらんいただくこととしておるところでございます。

 詳細については事務的にお知らせをいたしますので、いずれかの日で御参加くださいますようによろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○宮本部会長 それでは、今日の部会はこれで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)


<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)> 第4回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録(2017年7月11日)

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