ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 職域におけるがん検診に関するワーキンググループ> 第3回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ(議事録)(2017年9月7日)




2017年9月7日 第3回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年9月7日(木)17:00~19:00


○場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室


○議題

(1)職域におけるがん検診に関するガイドライン(仮称)について
(2)職域におけるがん検診の精度管理について
(3)その他

○議事

○事務局(田中) 定刻となりましたので、ただいまより第3回「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 今回のワーキンググループから、全国健康保険協会の守殿構成員にかわり、松下構成員に御参加いただくことになりました。よろしくお願いいたします。

○松下構成員 松下でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局(田中) なお、本日は中川構成員から御欠席の連絡を受けております。

 本ワーキンググループの開催に当たり、がん対策推進官から御挨拶申し上げます。

○がん対策推進官 厚生労働省健康局がん・疾病対策課の丹藤でございます。第3回の「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

 構成員の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中、御出席を賜り、ありがとうございます。過去2回のワーキンググループの議論におきましては、がん対策基本法やがん対策推進基本計画の基本理念に基づき、職域におけるがん検診に関するガイドラインの目的やがん検診の種類に関しての御議論をいただきました。

 本日開催いたします第3回のワーキンググループでは、これまでに構成員の皆様からいただいた御意見をもとに事務局が作成いたしましたがん検診の種類を御確認いただいた後、精度管理に関する議論を進めていただければと存じております。

 構成員の皆様におかれましては、職域におけるがん検診のさらなる推進に向け、忌憚のない御意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○事務局(田中) 初めに、資料の御確認をお願いいたします。

 まず初めに、座席表。続きまして、議事次第。

 資料1   職域におけるがん検診に関するガイドライン(仮称)の論点整理(案)

 資料2   レセプトを用いた職域がん検診の効果と精度の推計手法に関する検討

 資料3   職域におけるがん検診の実態把握のための健診標準フォーマットの運用について

 参考資料1 職域におけるがん検診に関するワーキンググループ開催要綱

 参考資料2 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針 概要

 参考資料3 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年2月)

 参考資料4 がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理(平成2811月)

 以上でございます。資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

 初めに、議題1「職域におけるがん健診に関するガイドライン(仮称)」につきまして、事務局より説明願います。

○事務局(田中) まず初めに、資料1の説明をさせていただきます。資料1には、前回、前々回のワーキンググループにおきまして、主にガイドラインの目的、そしてがん検診の種類に関する御議論をいただきましたので、それらを事務局でまとめたものをお示ししております。

 3ページ目のスライドに「第1 目的」と記しております。

 前回との変更点について説明させていただきます。第1段落に主に目的を書きましたが、ここにはもともとは「がんの死亡率を減少させることを目的とする」と記載しておりました。前回の議論におきまして、職域におけるがん検診の目的は、死亡率を減少させることももちろんですけれども、それ以外にも、従業員のQOLの維持、またがん検診を行うことによって、がんの早期発見、早期治療により、早く職場に復帰していただき、労働力を確保する。これも目的ではないかという御意見をいただきましたので、そういったことを含めるため、「死亡率を減少させること等を目的とする。」とさせていただきました。

 また、第2段落目に、「職域におけるがん検診において、ガイドラインが参考となることを目指す。なお、現在職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではない」と記載しております。第2回目までの議論でも、ここは「参考となることを目指しつつ、現在職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではない。」と記載しておりましたが、今回は修文上の都合で区切ったものでありまして、意味としては特に変わらないものと事務局で考えております。

 続きまして、4枚目のスライド以降に「がん検診の種類」をお示ししております。前回2回までの議論におきましては、この1から5に関するがん種に関しては、検診を職域でも最低限行うということで一定の合意をいただきました。ただ、その具体的な検査方法に関しましては、幾つか議論をいただきましたので、今回、それを反映いたしました。

 まず、基本的には、市町村で行われているがん検診の指針に準拠した項目を策定し、それ以外の任意で行われているものに関して、どういった書きぶりができるか、事務局で考え、作成したものでございます。

 資料の5枚目に、新たに「がん検診の推奨グレードについて」という表をつけさせていただきました。

 赤枠で囲っているところが推奨グレードA、Bでありまして、これは、任意型・対策型、いずれのがん検診においても、利益が不利益を確実に上回る根拠があるというものでして、このA、Bに相当するものが市町村でのがん検診の項目となっています。

 1つずつ見ていきますと、6ページ目の、胃がん検診におきましては、そのA、Bに相当するものが、胃のエックス線検査、また胃の内視鏡検査であります。これらを50歳以上の者に対し、原則として2年に1回行う。胃のエックス線検査に関しては、当分の間、40歳以上の者を対象としても差し支えないと書いております。

 続いて、7枚目のスライドですが、子宮頸がん検診におきましては、主には細胞診の検査を20歳以上の女性に対して、原則として2年に1回行うと記載しております。

 肺がん検診におきましては、胸部エックス線の検査、また喀痰細胞診を、40歳以上の者に対し、原則として年1回行うと記載しております。

 9枚目の乳がん検診におきましては、乳房のエックス線検査(マンモグラフィ検査)を、40歳以上の女性に対し、原則として2年に1回行う。

 また、大腸がん検診に関しては、便潜血検査を40歳以上の者に対し、原則として年1回行うと定めております。

 今までのものが先ほど示した表のグレードA、Bに当てはまるものであります。12枚目のスライドにはグレードの表を再掲しますが、これ以降は、主にグレードのCとIに当てはまるものについて説明いたします。

 グレードCに関しては、利益、主に死亡率の減少効果を示すエビデンスはありますが、その利益が不利益とほぼ同等、あるいはその差が極めて小さいものとして定めております。

 Iに関しては、その効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、利益と不利益のバランスが判断できない。インサフィシェントのIと位置づけられておりまして、13枚目以降にCとIに該当する検診の項目を記載しております。

 順に説明いたしますと、胃がん検診におきましてグレードIのものとして、ヘリコバクターピロリの抗体検査の単独法、あるいはペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査の併用法がございます。

 子宮頸がん検診については、これも推奨グレードIとして、HPVを含む以下の検診方法。HPV検査の単独法、HPV検査と細胞診の併用法、HPV検査陽性者への細胞診トリアージ法などが定められております。

14枚目には、肺がん、乳がん、大腸がん検診に関するグレードを記載しております。

 肺がん検診については、推奨グレードIとして低線量CTが挙げられております。

 乳がん検診については、これもグレードIとして、視触診の単独法、超音波単独の検査方法とマンモグラフィと併用した超音波検査法、そして40歳未満の女性に対するマンモグラフィ単独法及びマンモグラフィと視触診の併用法に関して記載しております。

 大腸がん検診については、グレードCでありまして、具体的にはS状結腸鏡検査、またファイバー検査と便潜血化学法との併用法、全大腸内視鏡検査、注腸X線検査が掲げられております。

 今回は、資料1に目的とがん検診の種類について、事務局でまとめさせていただきました。

 以上です。

○大内座長 ただいま事務局から「職域におけるがん検診に関するガイドライン(仮称)」を示していただきました。前回、7月27日の第2回でも多くの議論をいただきました。本日、それも踏まえた上で事務局のほうで整理されて、目的あるいはがん検診の種類についての提案となっております。精度管理については、後で協会けんぽと日本医師会のほうから事例の説明がございます。そういったことを含めて、また検討いたしますけれども、本日は、この第1の目的と第2のがん検診の種類について、皆様にさらに御議論いただきたいと思っております。

 まず、きょうの議論の中で、前回も、検診の種類とか推奨グレードについては、もともと対策型で行ってきた5大がんの検診については、ガイドラインで定められているものを参照するという形がふさわしいのではないかということと。その中で、AあるいはBという推奨グレードのものはそのまま推奨できるわけですけれども、恐らく職域においての大きなポイントは、現在、推奨グレードCとかIをどこまで認めるかということだと思いますので、それは各種がん検診のガイドライン、国の検討会でも一定の議論を踏まえてきたものですので、多くの方は恐らく納得されるものと思います。

 一番問題なのは、多分、第1の目的ですね。いろいろな意見がおありだと思いますので、改めて3枚目の部分について御意見いただければと思います。「第1 目的 本ガイドラインは、がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状に鑑み、職域におけるがん検診の実施に関し必要な事項を定め、がんの早期発見の推進を図ることにより、がんの死亡率を減少させること等を目的とする」。事務局から説明がありましたように、この「等」というのは、死亡率減少効果のみではなくて、特に職域においては、働く人たちの社会復帰を鑑みて、あるいはクオリティー・オブ・ライフ等を鑑みてといったことを意味するということです。そういった観点からの修正がございました。

 それから、次の文章ですけれども、これはがん対策基本法があって、さらに第3期がん対策推進基本計画が定められつつありますので、その中にうたわれていることであります。それを守りながら、「その基本理念に基づき、がん検診の項目等を設定し、職域におけるがん検診において参考となることを目指す」となっています。この辺の文言については、多分意見があると思います。

 さらに、最後の文章です。「現在職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではない。」ということについても、恐らく異なった意見の方もおられると思いますので、ここは時間をとってディスカッションしたいと思いますので、どうぞ、挙手願います。

 では、祖父江構成員。

○祖父江構成員 若干繰り返しになりますけれども、「目指す」の後の「なお、現在職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではない。」という記述を僕は抜くべきだと思います。理由としては、ガイドラインというのはもともと科学的知見に基づいて記述するものであって、現在行われているプラクティスに基づいて記述するものではありません。仮にエビデンス・プラクティス・ギャップがあれば、それをただす、埋めるということがガイドラインの使命であって、それをしませんという記述をここに含めるのは本末転倒といいますか、目的をみずから否定しているという意味合いになろうかと思います。

 さらに、ここで「任意型検診」と書いていますけれども、職域のがん検診が任意型なのか、対策型なのか、ここに関しては、まだきちんと議論は詰められていないと思います。ですから、ここで任意型検診と書いてしまうと、あたかも職域のがん検診は全て任意型検診であるかのような誤解を与えると思います。

 ここの記述の意味は、ガイドラインそのものがどれだけの拘束力を持っているのかということを示したいということが意図であるとすれば、それは目的のところに書くのではなくて、ガイドラインそのものがどのような位置づけのものかということを目的以外のところに書いたほうが私はいいと思います。

○大内座長 目的以外ということは、例えば報告書を書くときに、【最後に】とか】イントロダクション】として書くということですか。

○祖父江構成員 本来、私は職域のがん検診をきちんと法律でどのような位置づけになるのかということを定めた上で、ガイドラインを定めるというのが本筋だと思いますが、残念ながらそこのところは議論されないので、そういう位置づけである。法律上は、職域のがん検診というのは根拠が定められていないものである。したがって、そのことに関してのガイドラインを定めるということは、拘束力としては非常に限られるものであるということは、どこかに記述すればいいと思います。

○大内座長 確かに法的根拠がないので、市町村事業、対策型検診でありますが、これは健康増進法があって、その中にうたわれているわけですね。労働安全衛生法の中にがん検診項目がないので、今、言われたように拘束力はない。その辺の書きぶりということで、それとの調整も必要になってくるのではないかという祖父江先生の意見ですね。繰り返しますけれども、最後の「なお」以下について、別のところに書くこともだめですか。

○祖父江構成員 ですから、「任意型検診を妨げるものではない」という記述は、あたかも職域のがん検診が任意型であるという誤解を招くと思いますので、ここの記述はそのまま採用すべきではないと思いますけれども、法的拘束力が限られたものであるということはどこかに記述してもいいと思います。

○大内座長 法的拘束力がないこと、国民の方々が理解できるように。私どもは何度も議論していますので、健康増進法のもとに設置されているがん検診の指針がありまして、それは市町村事業として扱われているわけです。一方で、職域においての法的根拠がないといったことは周知しないといけないと思います。

 しかも、その職域におけるがん検診の受診率が、第1回の本ワーキンググループのときに事務局からデータが出ましたように、4割から6割、半数以上がカバーされているという実態があり、大きな役割を占めていますので、そういったことの説明がまず必要だろうと思います。それは私も賛成ですが、この目的としてどう定めるかというのはいろいろな意見もあると思いますが、まず祖父江構成員からありました。

 ほかの御意見、いかがですか。

 福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 まず、目的のところで、職域におけるがん検診とうたわれているのですが、前回までに議論があったように、職域における健診というのはあくまで総合健診。メディカルチェックというよりは全体の健康度を知りたいというのが第1だと思います。ですから、保健者、事業者が例えば40歳以上の方に提供する総合健診について、その中のがん検診項目だけにスポットを当てた書き方が少し引っかかります。職域で実際に行われているのはがんだけではなく全部を見ているわけです。例えば、肝臓機能はどうか、心機能がどうか、肺機能がどうか。このように総合健診の中でがんについての検査項目もあるという位置づけだと私は考えております。

 そして、今、祖父江先生がおっしゃったように、任意型検診の書きぶりが少しまずいということであれば、職域において行われている総合健診を妨げるものではないという書きぶりではいかがでしょうか。

○大内座長 立道構成員。

○立道構成員 職域においては、特に産業医間では、がん検診の種類が総合健診であるという言葉はあまり用いられていません。基本的に職域では安衛法で定められている法定健診なのか、がん検診なのかという言葉が用いられますので、ここで総合健診という言葉を持ち出すのはどうかと思います。祖父江先生のほうから、職域は任意型ではないという御議論がありましたけれども、基本的に職域は任意型だと考えます。実際、職域で健康管理をやっている者とすると、がん検診はあくまで個人の利益が優先される任意型であるものだという認識ですので、私はこの書きぶりで問題ないと思っております。

 以上です。

○大内座長 松田構成員。

○松田構成員 職域の検診が任意型か、対策型かという点から言うと、1回目にもお話ししましたが、私は限りなく対策型に近いと思っています。確かにいろいろな職場があろうかと思いますが、胃がん検診、肺がん検診で何を受けるかということを個人が選んでいるわけではなくて、多くの場合は健保組合等が決めており、それに従って、社員なり従業員が受けているということがあろうかと思います。

 先ほど総合健診云々とありましたが、総合健診という形でがん検診が追加されることはもちろんあると思います。ただし、どういうがん検診にするかということは、必ずしも個人は決めていないし、個人が全額自己負担しているわけではないと思います。会社なり、福利厚生の目的でお金を支出しているにしろ、職域が負担しているわけですから、限りなく対策型に近い。となれば、それで行われる検診項目というものも、市区町村が実施している対策型検診が参考にされるべきだと思います。

 前回は、私は緩やかな表現にしましたが、もっと厳しく言うならば、「第1 目的」の下から2行は「職域におけるがん検診において遵守されることを目指す。」と書いたほうが本当はいいのかなと。ですから、任意型ではもちろんないと私は考えています。

○大内座長 参考ではなくて、遵守されることを目指すということですね。

○松田構成員 そのほうが本来の目的になるのかなと思います。

○大内座長 はい。

○福田構成員 対策型と松田先生がおっしゃるのですが、保険者、事業者が提供する健診には公費が一切入っていないのです。健保のお金であり、場合によっては、従業員も幾らかお金を出す。そして、事業主が出す場合もある。ですから、公費が全く入っていないものを対策型と言うのは、いささか乱暴な気がします。

○大内座長 松田構成員が言われた対策型という言葉は、従業員個人が検診手法を選べないという意味だと思います。そういったことも含めて説明が必要なのでしょうね。社会的な問題点として、企業ベースで検診が行われている場合に、その費目とか検診法が一体誰の責任で、何を参考にして行われているか、よくわからない点があって、それこそこのワーキンググループで議論していくものだと思います。それが次のがん検診の種類、検査方法、対象年齢ということだと思いますけれども、今までそれが曖昧だったということがまずあります。

 今、福田構成員が言われたように、確かに公的資金は入っていないので、対策型という言葉をそこに直接入れることには無理があると思いますが、現状として、職域においての受診者の選択肢は、示されたものの枠から外れないわけですので、その辺の整合性ですね。

 どうですか、松田構成員、もう一度。

○松田構成員 今、座長がおっしゃったとおりだと思います。労働安全衛生法に決められている項目のほかに、職域でがん検診を受けている方が多々いらっしゃるわけですけれども、どのがん検診を受けるかということについてが本人が選ぶことができるのかも知れませんが、どの方法によるがん検診を受けるかというところは、恐らく本人は決めていないと思います。ですから、健保組合なりが決めていることが多いのだと私は理解しています。

 小松原構成員のところは違うのかもしれませんけれども、実態がどうなっているかということですね。自分で選べる項目があるのかもしれませんが、大半はそうではなくて、既に決められているものを受けていると私は理解しているところです。

○大内座長 では、小松原構成員。

○小松原構成員 選べることができるのか、できないのかというのは、確かにできない方もいることは事実だと思いますが、私は選べることができていると思います。例えば、バリウムで胃がん検診をやるのか、内視鏡を使うのか、それは御本人が選べていますし、肺がんにしても低線量CTを選ぶのか、選ばないのかというのは、御本人が選べています。全く選べていないところもあることはあるのですが、全てが会社あるいは保険者から言われた検診しかできないという括りでお話しをされてしまうと、間違った方向に行ってしまう懸念があります。

 それと、もう一つ、今の対策型検診は死亡率減を目的とした検診です。被用者側が実施しているものも対策型検診だと松田先生がおっしゃるのはある意味わかるのですが、目的は、例えば死亡率の減ではなくて、保険者機能の強化、健康経営の推進、産業衛生活動の推進等であり、その目的に対する対策を打っているのであってすが、死亡率減の対策を打っているのではありません。そのときに、言葉上、何かしらの対策に対して実施しているのであるから、対策型検診だといって、死亡率減の対策型検診をそのまま持ってきていいかというと、それは、議論が違い違和感があるのですが、そこはいかがでしょうか。

○大内座長 これはかねてから申し上げているのですが、そもそもこのワーキンググループの設置に当たっては、がん検診のあり方に関する検討会があって、その検討会も健康局長所轄ですけれども、その上にがん対策推進協議会があって、さらにその上位にがん対策基本法があって、繰り返しますけれども、そこに科学的根拠に基づく医療ということが最初に書かれています。

 第3期のがん対策推進協議会のアクションプランの中にも、職域まで含めた科学的根拠を持ったがん検診をするようにということも記載されている。そのことを議論しなさいということで、このワーキンググループにおりてきたわけですね。ですから、ここのミッションはそこを逸脱できないのではないかと私は思っています。

○小松原構成員 私も逸脱するつもりはなくて、そこを逸脱しないために、この最後の一文が必要だと思います。それ以外の目的で実施している検診を妨げず、死亡率減を目的に実施する場合は、これで実施してくださいで私はいいと思います。例えば生活習慣病健診という場合、バリウムを飲んで胃がんだけを探しているわけではなく、胃潰瘍とか胃荒れも含めて、生活習慣を改善してもらいたいがために、協会けんぽも含め、我々も実施しています。それをがん検診の対象年齢でないから、生活習慣病健診を実施したら、おかしいという話になると困るので、そういう意味でここの既存の任意型検診を妨げるものではないという一文は必要です。

 任意型検診という言葉がまずいのであるならば、健診でもいいです。要は、保険者、事業主が実施する健診を妨げないでほしいので、そういう文面を残すべきではないかと思います。

○大内座長 羽鳥構成員。

○羽鳥構成員 まず、職域における検診と言った場合には、事業主健診は法的なバックがあるということ。そして、そのほかの検診については、決められた項目以外は、事業主が自由に決められるということだと思いますけれども、先ほどの小松原さんがおっしゃるようなことであれば、さっき「等」と書かれた部分については、QOLの改善、それから早期発見することによって早期に社会復帰を目指す。その文言も、この「等」だとちょっと甘いかもしれないので、残していただいてもいいと思います。それから、最後の「任意型」も健診でもいいかもしれません。

 ただ、僕が言いたいのは、職域においては「がん検診」とは言うものの、事業主検診というのは、実は対策型検診と異なり、がん検診では必須とされるダブルチェックがされてなくても許されてしまうこともあるわけです。それが義務づけられていないというのはよくないので、それを明らかにうたうということも、がん対策と言う以上はそっちも重要ではないか。マル1ダブルチェックをすることマル2精密検診をしたかどうかマル3がんの的中率はどうか、この3つを追いかけることが重要ではないかと思います。

○大内座長 今、大変重要な御意見をいただきました。あくまでもここはがん検診というテーマでして、ヘルスチェックまで行ってしまうと物すごく幅広くなってしまう。あくまでもがん対策基本法、それから第3期基本計画にのっとった形で検討しなさいということが入ってきています。総合健診とか健康増進のための職域のヘルスチェックというのは、もっと総合的な議論が必要になると思います。ここは、あえてがん検診ということで括らないと、議論まとまらないと思いますので、よろしいでしょうか。

 祖父江先生、いかがですか。

○祖父江構成員 がん死亡率の減少を目的としないということになると、この目的に書いていることとは矛盾しますね。

○小松原構成員 がん死亡率の減少を目的としないことを言っているわけではなくて、また「等」という言葉で括るのではなくて、明確に打ち出したほうがいいという羽鳥先生の意見に大賛成です。がんの早期発見の推進を図ることにより、受診者のQOLの向上や労働生産性の向上、ひいてはがんの死亡率を減少させることを目的とする。最終的な目的は、それは死亡率減になると思いますが、一義的には、職域というのは、QOLの向上であったり、労働生産性の確保をどうしても避けては通れないので、そういうことを実施しつつ、最終的に死亡率の減少を目的とするという形にしてほしいと思います。

 死亡率の減少を目的にするガイドラインで、被用者側に実施してくださいというと、誰もお金を出さないと思います。それは、対策型検診として、市町村事業でやってくださいという話になってしまいます。ただ、被用者側の中で検診を受けられているという実態を鑑みると、被用者側もお金を出して頑張っているので、私は実施すべきだと思います。そういう意味では目的は並列で書いて、最終的に日本国全体として死亡率の減少を目指しましょうということが、一番すっきりするのではないかと思います。

○大内座長 那須構成員。

○那須構成員 対策型・任意型というのは、既に教科書的にコンセンサスが得られていることだと思うので、それを職域の任意型を対策だというのは、この場で論議するようなことではないのではないと思います。特定健診のように法で決められたら別ですけれども、保険者の費用は本人と会社の折半で成り立っているわけで、長い歴史があって組み立ててきているので、大事にするところは大事にし、今、羽鳥構成員からも御指摘のあった精度管理とか受診率を上げるという、十分できていないところをしっかりやるようなガイドラインにしていくべきだと考えます。

 以上です。

○大内座長 立道構成員、先ほど手を挙げられましたね。

○立道構成員 先ほど、会社の実態の中で選択性がないということを言われたのですが、現状からすると、社員が検診項目を選択することはできると思っています。多くの企業健保というのは、支援金額を設定して、項目を限定せずその中で自分で項目を選択して受けてくださいという形で実施されます。健保自体はこの項目だったら支援しますということまで項目の選定に対して強く縛るということは現状ではないと思います。

○大内座長 今後については、また後ほど議論しますが、目的に関して多々意見が出たところですが、事務局のほうから今後の方向性について、ありましたら。

○がん対策推進官 大変熱い、白熱した御議論をいただきまして、事務局として、また座長と御相談しながら、ここをどう書いていくかということを検討させていただいて、次回、お示しできればなと思っております。

○大内座長 では、そのようにさせていただいてよろしいですか。はい。

 では、時間も限られていますので、議題2に移ります。「職域におけるがん検診の精度管理について」とありますが、お二人から資料をもとに説明願います。

 まず、資料2について、本日初めて参加されております松下構成員から説明願いますが、この資料2は協会けんぽ東京支部において、レセプトを用いてがん検診の効果と精度を推計したものでして、あくまでもパイロット研究の一例という位置づけで発表いただきますので、御了承ください。

 では、松下構成員、よろしくお願いいたします。

○松下構成員 全国健康保険協会の松下でございます。よろしくお願いいたします。

 本日御説明させていただきます「レセプトを用いた職域がん検診の効果と精度の推計手法に関する検討」と題された研究につきましては、全国健康保険協会東京支部が、祖父江先生にも御参画いただきまして実施したものでございまして、平成2711月5日に開催されました第74回日本公衆衛生学会総会で発表されたものでございますが、本日は、僣越ながら、私から資料に基づきまして御説明させていただきます。

 資料2、1ページをごらんください。背景と目的としておりますが、当該研究につきましては、保険者は、実施したがん検診の情報のほかにレセプト情報を有していることから、レセプトを用いて、がん検診、肺がん検診、大腸がん検診の効果と精度を推計する手法の検討を目的として実施されたものでございます。

 なお、このような目的で東京支部が実施した研究でございまして、先ほど座長からも御説明いただきましたが、全国健康保険協会の全支部ががん検診の精度管理を実施しているというものではないことを申し添えさせていただきます。

 おめくりいただきまして、2ページからが研究の方法についてでございますが、3ページに流れ図がございますので、3ページをごらんください。

 まず、全国健康保険協会東京支部が提供する生活習慣病予防健診の2010年度受診者のうち、胃部X線検査、胸部X線検査、便潜血検査の受診者をそれぞれ抽出いたしまして、そのうち2009年度のレセプトにおいて、それぞれ胃がん、肺がん、大腸がんが主疾病と記載された受診者を分析対象から除外し、残りを分析対象群としております。この分析対象群について、2010年度の各検査の結果により、要治療・要精密検査率を試算し、次に要治療・要精密検査と診断された人のうち、2010年及び2011年の両年のレセプト主疾病にがん関連の疾病が見られた人をがん発見群として抽出いたしまして、がん発見率、感度及び特異度を試算しております。

 なお、要治療・要精密検査率、がん発見率、感度及び特異度の試算に用いました計算式につきましては、4ページのとおりでございます。

 結果につきまして、5ページをごらんください。分析結果のうち要精密検査・要治療と診断された人は赤枠で囲った部分でございますが、胃がん検診が3万2,984人、肺がん検診が1万1,343人、大腸がん検診が2万9,895人でございました。

 また、6ページをごらんいただきまして、2010年、2011年のレセプトを用いて特定したがん患者数を用いて試算いたしました要治療・要精密検査率、がん発見率、感度、特異度につきましては、この6ページの右側の表でございますが、胃がん検診が要治療・要検査率7.22%、発見率0.06%、感度75.3%、特異度92.8%。また、肺がん検診が要治療・要精検率1.95%、発見率0.03%、感度55%、特異度が98.1%。大腸がん検診が要治療・要精検率5.61%、発見率0.07%、感度68.1%、特異度94.5%でございました。

 このような結果を踏まえての考察でございますが、7ページにございますように、本研究により、がん検診結果にレセプトを組み合わせて分析することで、がんの要治療・要精密検査やがん発見率、感度、特異度の正確かつ簡便な推計が可能であることが示唆されたところでございます。

 また、要治療・要精密検査率とがん発見率につきまして、全国市区町村データとの比較が可能であることが示唆されたところでございます。

 なお、8ページにございますように、がん患者の特定手法について、平均医療費を用いた検証を行った上で、最後に本研究の課題がまとめられております。

 9ページをごらんいただきまして、3つございますポツの部分でございますが、レセプト主病名を用いたがん診断の妥当性について、今後より詳細な検討が必要である。

 また、胃がんでは、2年連続で胃がんの記載のあるレセプトをもってがん発見としたが、肺がんや大腸がんでは、検査翌年から治療を開始したと思われる患者が多く見られたことから、がん種別ごとの患者抽出手法の確立が必要と思われる。

 今後、レセプトを詳細に分析して、がん症例の効果的な特定手法の検討が必要である。

 この3点が課題として提起されております。

 簡単ではございますが、私からの御説明は以上でございます。

○大内座長 ただいま、資料2「レセプトを用いた職域がん検証の効果と精度の推計手法に関する検討」ということで、全国健康保険協会、協会けんぽの東京支部のデータを使って説明いただきました。

 続きまして、資料3に基づきまして、日本医師会のほうから「職域におけるがん検診の実態把握のための健診標準フォーマットの運用について」と題して報告いただきます。

 羽鳥構成員、お願いします。

○羽鳥構成員 これまでの議論で、職域で実施されているがん検診のデータをどのように収集して、がん検診の受診率を把握するかということが大事だと思います。問題点の一つとして、データのフォーマットが統一されていないことです。日本医師会の事業で異なる法律に基づいて実施される健診を患者さんの立場から健診標準フォーマットという概念を平成27年に日本医師会から発信しております。

 3ページ目をごらんください。健診標準フォーマットの策定と運用の必要性ということでありますが、現在、医療等の分野で医療等IDの議論が進む中、健診や人間ドックの結果データに関しては仕様が異なるために、管理者が大規模集積を行うことは困難であるということで、組織横断型の健診データ標準仕様を策定して、組織・団体間の連携が可能なデータ構築を目指そうということをやっています。

 4ページ目をごらんください。例えば、健診標準フォーマットにより一元管理できる健診としては、このような特定健診、一般定期健診、特殊健診、対策型がん検診、任意型がん検診、人間ドック、乳・幼児健診、児童生徒健診、このようなものがあります。いわゆる健診項目というのは、簡単に数えても300項目以上あり、そして、特定健康診査から児童生徒健診まで一元化することは、できることがわかりました。

 がん検診についても、対策型検診、職場の検診、そして人間ドックも含めて、標準化されたフォーマットのもとで一元化されることが大事だろうと思います。

 5ページ目には、その変換のためのツールをお示ししています。健診したときのCSVデータを、このような形で健診標準フォーマット、それから、検査の方法とか検査の条件などを記したようなものも入れたHL7SS-MIXデータなども入れることもできます。それから、日本でやった健診を東南アジアとかヨーロッパでも活用できるようなISO13606などに基づいたデータも容易につくり出すことができるということです。

 一番左側が健診機関でやっているドラムを示しておりますが、それらのCSVデータを日医が提供する標準変換ツール1でデータ変換して、CSVデータ標準化されたものをつくることができます。さらに、標準変換ツール2を用いることによって国際的なことにも対応することができます。

 6ページ目をごらんください。内閣官房、内閣府、厚労省、経済産業省などで説明しております。横倉会長、今村副会長を初め、石川先生、道永先生、私などが各場面で説明しています。

 7ページ目、これらに賛同していただきまして、日本医学健康管理評価協議会というところの10の団体が、昨年10月に共同宣言を出したということであります。

10ページ目、ごらんください。健診標準フォーマットによるデータ収集ということでありますが、今、実証実験として16の健診機関、1つの医療保険者に御協力いただいて150万件の健診データを変換しております。これは、職域の健診を利用して特定健診でカバーできていない35歳から40歳までの受診データ統一フォーマットで可能だということであります。

 最近、ある県で代表的な都市が2つ、HbA1c0.4から0.5違うということがありまして、これはこのまちの糖尿病対策が非常におくれているのではないかということを言われたわけでありますが、実は検査法が違う。HbA1cの測定でHPLC法と、酵素法の違いによって、それぞれの精度管理には問題ないか健診データがそれだけずれていたということが、この方法を使うことによってわかったということがありますので、こういうふうにして標準化するということはとても大事だろうと思います。

11ページ目、今回、特にがん検診に関連した検査の実施状況をお示しします。先ほどの150万件のうち、1次健診で抽出した60万件で、がん検診に関連した検査をしているものをお示ししています。ここでは、9施設において、いわゆる対策型がん検診の検査項目や、任意型のがん検診の検査項目が一元化されたデータベースで管理できるということをお示ししています。

12ページ目、今回、実証運用で行いました検診種別が明示されていないもの、例えば人間ドックでありますと、肺がん検診とはうたっていないかもしれないですし、胃もがん検診とうたっていないかもしれませんけれども、そういう検診の項目の名前についても幾つか例示していこうということをしています。

 そして、13ページ目、これは糖尿病でありますけれども、糖尿病についても同じようなことがされております。

 続いて、14ページ目にありますけれども、総合判定の用語、例えば「がんの疑い」と書かれていたり、「所見あり」「疑問陰影あり」とか、いろいろな言葉で書かれることがありますが、それらをいろいろな方法を用いて統一していこうということであります。

 これについては、15ページにありますけれども、これらの施設の御協力をいただいて、健診機関でそれぞれの表現をされてもいいですけれども、それをいわゆる対策型検診とかがん検診に合わせたら、どういう言葉になりますかという表を一度つくっていただくことによって、統一化できるのではないかということで行っているわけであります。

17ページ目は、法的なことで言うと次世代医療基盤法、それから日本医師会における認定匿名加工医療情報作成事業者の検討ということで、18ページ目にありますようなAMEDの事業、大内先生もお仕事されていらっしゃいますけれども、AMEDの臨床研究事業の中にも登録いたしまして、B-2における健診情報の中に入れておるところであります。

 そして、19ページ目に具体的に書かれていますが、後でゆっくりごらんになっていただけたらと思います。

 その次、20ページ目に健診データ収集のためのフォーマットパイロット事業ということで、21ページ目、1団体当たり30の健診機関で、およそ100の健診機関の健診データの変換を現在、行っております。

 そして、22ページ目、単年ごとの結果を健診機関別、受診地域別、健診種類別によって求めることができると考えております。

 そして、23ページ目にありますように、健診データベースをつくっていく。これは、日本医師会が全部とってしまうということではなくて、皆様に、そして個人の方々にPHRとしてお返ししていこうということでやっております。

 例えば、今やっている事業の一例では、ある大きな企業が日本各地の10の健診機関において人間ドックをされている。北海道から九州まで。そうすると、1つの健診機関ならばデータを容易に揃えられますが、それぞれの人間ドックとか個人でなさっている健診機関を受けるわけですが、検査法の違いや、表現の仕方が若干違うこともありますが、統一した手法でデータをそろえることをすることによって、その企業の全体のがんの発見率とかも算定できるのではないかということで、ことしはそれを目指して結果を出そうということで行っています。

 以上です。

○大内座長 ありがとうございました。

 ただいまお二人から、精度管理に関する事例として報告いただきました。ここから議論を進めたいと思います。戻っていただきまして、資料1の下段にあります構成の第3の精度管理の項目、そして、協会けんぽさんのほうからは、東京都のデータとして、精度管理の中でも大きくは3つございます。技術体制的指標、これはがん検診に従事する医師の講習等の受講義務とか、あるいは実施主体そのものです。2がプロセス指標。これは、感度、特異度とか精密検査率、あるいは陽性反応的中度、がん発見率等が示されました。3がアウトカムです。データ管理について今、日本医師会のほうから示されたわけですけれども、このような形で将来的にまとめていければと思います。

 本検討会でも、精度管理についての一定の提案をすることになっております。そもそも、このがん検診に関する検討会では、平成20年度に精度管理に関する指標等について議論されておりまして、そこに例えば検診実施機関が守るべき、あるいはチェックすべきリスト、チェックリストが公表されております。そういったことが事前にございますので、将来的にそういったことが職域でも使えるかどうか。これを今後議論していくことになると思いますが、本日は、この2つの事例を参考として、ここから始めたいと思っております。

 最初に、松下構成員から示された資料2について御質問をお受けいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○羽鳥構成員 羽鳥ですけれども、とても大事なデータだと思います。これだけのことをまとめていただいて、非常にわかりやすいのですけれども、例えば年齢別とか性別とか、いわゆる層化分析などもされているのかどうかということと。

 それから、例えば考察の7でお示しになっているように、発見率が市町村の対策型健診と若干違うのは、どういうことが考えられるか、教えていただけますでしょうか。

○松下構成員 まず、年齢等で検証しているかということでございますが、年齢別での検証は行っておらず、総数での検証を行ったと聞いているところでございます。

 また、全国市区町村データとの比較の差でございますが、そこまでの考察としては、このとき発表等はございませんで、申しわけありません、私としては存じ上げていません。

○大内座長 羽鳥構成員からの御質問、7ページのデータを拝見して、私も同じことを感じました。大腸がん検診のがん発見率が全国市町村のデータのちょうど半分になっています。ほかも若干低いのですけれども、恐らくこの大きな理由は、精密検査受診率が書いていないですね。調べてられていますか。精密検査受診率もこれから精度管理の指標に多分なると思います。全国データと差があって、精密検査が必要ですよと言われていながら、受けていない方が多数おられることもイメージできるのですけれども、祖父江先生、いかがですか。

○祖父江構成員 これは、要精検査率があって、それは全国市町村と同等ですけれども、確かに精密検査を受診しているのかに関しての情報がとりにくい状況にあったようで、正確にはわかりません。がん発見率が、結果として若干低いことになっていますけれども、これも精密検査の受診率が低いのか、先ほど羽鳥構成員がおっしゃられた年齢構成が違うのか、ここに関してきちんと詰められていません。概数として、このような数字であるということを示していることにとどまっています。

 もちろん、今後、年齢別に解析することは可能ですし、精密検査の受診率というのは把握するのは難しい。そこを感度という形できちんと。これは、むしろ市町村がはかれない指標なので、感度、特異度という形で提示することで、最終的な性能評価ができるということだと思います。

○大内座長 多分、本日初めて提示されたデータですので、データ全部の説明は難しい。

 松田構成員、どうぞ。

○松田構成員 これまでがん検診の精度、感度、特異度は、私も含めてがん登録ベースで行っていたわけですけれども、なかなかリアルタイムに照合できないとか、登録の漏れがあるといった問題、限界があったわけです。がん発見率が低いのは年齢層が若いからではないかと私は思いますが、非常に貴重な御報告で、大変勉強になりました。ありがとうございます。

 1つだけ。協会けんぽの考え方を教えていただきたいのですけれども、協会けんぽが行っているがん検診の項目はまさに対策型検診と同じです。協会けんぽのがん検診は項目、受診対象年齢、間隔において対策型検診をまさに見据えて行っているのか、そうではなくて、もっと違った項目とか若年に拡大とか、お考えなのか、その点はいかがでしょうか。

○松下構成員 全国健康保険協会で行っておりますがん検診につきましては、あくまでも生活習慣病予防健診の中で行っているということでございまして、胃がん検査とか肺がん検査を生活習慣病予防健診の中で、先ほど先生からありましたけれども、チョイスできる項目として、生活習慣病予防健診の受診の対象年齢と同じ、35歳以上の方を対象として行っているといったものでございますので、拡大等ということは現時点では考えていないところでございます。

○大内座長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○立道構成員 貴重なデータ、ありがとうございました。

 1点、お聞きしたいのですけれども、先ほど2010年と2011年でがんのあり、なしで分かれる群を見ると、医療費が変わっているので、コンタミしている可能性があるとおっしゃっていたのですが、この数は余り多くないという認識でよろしいでしょうか。ですので、無視できるという扱いでよろしいのでしょうか。

○松下構成員 この研究をやる1年前に胃がん検査のみで一旦研究が行われているところでございます。胃がんに関しては、医療費がその分高くなっているので、発見率と申しますか、そういった精度が高いのではないかという検討が行われたそうですが、残りの2つについては、もう少し精査が必要ではないかと聞いているところでございます。

○大内座長 祖父江構成員。

○祖父江構成員 これは、傷病名と医療費だけで判断しているのですけれども、本来はもう少し詳しい治療行為のほうをレセプトから抜き出して見る。具体的には、手術をしたかどうか、化学療法をしたかどうか、放射線治療をしたかどうかということでがんを判断したほうがより正確になるので、今、その試みをしてもらっています。ですから、これはレセプトの第1次の項目として、点数、傷病名の情報だけを使ってがんかどうかの判断をしたので、ある程度間違いを含んでいるという理解でお願いします。

○大内座長 冒頭にお話ししましたように、これは協会けんぽ東京支部におけるパイロット研究の一例ということですので、今後、また新たなデータが出ると思いますので、よろしいでしょうか。

 羽鳥構成員のほうから、日本医師会の健診標準フォーマットについての提言がございました。思い起こすに、私も平成12年度の補正予算のときに、医療情報システム構築に向けた経産省事業で日本医師会がORCAを始めましたけれども、そのころからの動きが読み取れます。最後のほうに現在はAMEDでも動いているということで、確認させていただいたところ、厚労省、大臣官房厚生科学課が御担当で、臨床研究とICT基盤構築の一つとして動いているということですので、健康局もこれを実際に使って、19ページに健診データ収集事業の今後の対応ということで、非常に夢のあるようなすばらしいことが書いてあって、私はこれができたらすごいなと思っています。

 しかも、ここに参加されている団体名は、昨年10月に合意形成されてステートメントが出されている。これが8ページですね。その前の7ページに、日本医学健康管理評価協議会と構成団体名がございまして、ここに全国労働衛生団体連合会、全衛連で福田構成員は副会長ですね。確認しましたところ、がん検診を全衛連で1,300万人ほどされているということですが、そういうデータがここに入ってくるとすごいのかなと思った次第ですが、一言ございますか。

○福田構成員 ありがとうございます。

 まさに羽鳥先生がやられていることを私たちもやりたいと考えています。データを一元管理することによって、例えば検診の精度もわかるだろうし、今後のがん対策の戦略も立てられるということで、この事業は何としても成功させていきたいと私も考えております。

○大内座長 では、個別に羽鳥構成員からの資料について御質問をお受けいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○福田構成員 ありがとうございます。

 少しお話が離れてしまうのですけれども、きょうの討議は、がん検診の精度管理ということでよろしいわけですね。その一つとして、このデータ構築と、もう一つはパイロットスタディーの分析の突合によって精度管理という意味合いでございますね。

○大内座長 はい。

○福田構成員 私が申し上げたいのは入り口です。前回も申し上げたのですが、がん検診をどこで受けるかで全く変わってきてしまうと思います。ですから、精度管理を言うのであれば、がん検診を実施する機関にはどういう精度管理が求められるのかということを示すのが肝要だと考えます。

 今、がん検診はどこでも受けられます。前も申しましたが、マンモグラフィさえ持っていれば、精中委の認定施設でなくても乳がん検診ができてしまう。果たして、そこから出てくるデータが正しいかどうか。まずはがん検診を実施する医療機関がどうあるべきか、そこの御議論というのはいただけるのでしょうか。

○大内座長 最初に触れましたように、対策型である市町村事業によるがん検診の精度管理に関しましては、垣添先生が座長をされていた平成20年度に検討会と別途に「がん検診事業の評価に関する委員会」というものが立ち上がって、平成20年3月付でまとめの報告書がございますので、後で皆様にその資料はお届けいたします。

 おっしゃるとおりに、がん検診を実施している機関の質の担保というのがございまして、このときに国・都道府県・市区町村の責務ということでうたって、市区町村が実施する検診ですので、検診実施機関の選定に当たっては仕様書を提出していただくということがうたわれています。ただ、そこに法的拘束力があるわけではなくて、検診実施機関が守るべきチェックリストがございまして、それが先ほど冒頭に私がお話ししたことで、恐らく精度管理の具体例として、この職域において参考資料になるのかどうか。法的拘束力がありませんので、遵守すべきなのか、参考とすべきなのかということを検討してはどうかというのが、私の今の考えです。

 ですから、福田先生が言われたように、このワーキンググループでは、そういった指標もある程度、現存している検診機関が守るべき項目、具体的に仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目というものが存在しております。それを見ていただいて、職域に守っていただくようなことでないと質の担保ができないだろうと思いますので、大変重要な点だと思っています。

○福田構成員 ありがとうございます。

 ただ、読ませていただいたのですが、精度管理については、自主的な精度管理をしなさいということであって、いわゆる第三者評価を受けなさいということがないのですね。医療機関であれば、自分たちで必ず精度管理をしているであろうとの性善説に立っているのだと思いますが、やはり、第三者評価ということをどこかでうたっていくべきではないだろうかと考えます。

○大内座長 議論を深めていく中で、そういったことについて整理することは必要だと思っています。まさに、今、福田構成員が言われたような仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理の項目の中に、第三者の専門家を交えた会を設置するとか、そういった書き込みも入っているのですね。例えば、乳がん検診であれば、マンモグラフィ講習会を修了しており、その判定結果・試験結果がAまたはBである者が読影に従事するという項目が入っています。

 ただし、これは市町村事業に対して行っていることでして、それを法的根拠のない安衛法の中にある職域にまで使えるかということは大きな議論になりますので、あくまでも私が申し上げているのは、現存するそういった項目を参考にされてはいかがかということが入り口です。

 松田構成員、いかがですか。

○松田構成員 今、何が職域で行われていて、どういう結果が出ているのかということを把握し、改善する方策・方向性を見据える上では非常に重要だろうと思います。実は、私どもの施設は日医の検診標準フォーマットによる集計に関わってはいません。今後、職域におけるがん検診の精度の担保も含めて、その前に項目をどうするかということは当然あるわけですけれども、それが決められたら、精度の担保も含めて、さまざまな手法が用いられなければならないと思います。そういう意味では、今回の標準フォーマットの運用というものが非常に有用だろうと思います。

○大内座長 羽鳥構成員にお伺いしたいのですけれども、この日本医学健康管理評価協議会、全部で10団体のみなのですけれども、今後、これは拡大される。あるいは、もっとパブリックな協議会として、例えばがん検診のあり方検討会等でも議論された上で、その報告書の中に書き込まれて、しかも、健康局長通達の中にも、例えば乳がん検診であれば、マンモグラフィ検診の精度管理について、現在は精中機構と言いますが、その受講をすることが求められるとなっているのですけれども、このような協議会のデータベース等に参画すべきとか、あるいはそのフォーマットを使うべきといったことまで広げることは可能なのかどうか。

○羽鳥構成員 ぜひお願いしたいと思います。この管理機構をつくるときにも、厚生労働省の前医療費適正化室安藤室長もオブザーバーとして参加していただいて了承していただいているということもあります。ただ、予算化するというのは今すぐはできないのでという話はありましたので、今はこの10の団体と一緒に行っています。

 実際には、日本医師会の持ち出しの部分はありますけれども、今はデータ変換のところを主にしているので、技術的なエンジニアの方々が現地に赴いて、それぞれの健診機関で変換フォーマットのシステムを説明して、そのデータを名前とかを消していただいて、それを自主的に集めている段階ではありますけれども、いずれは何らかの予算がという言い方をすると怒られるかもしれないけれども、公的なものになるのであればありがたいと思います。これは、もともとは日医健診標準フォーマットと言っていたのですけれども、その日医という言葉をとった一つの理由は、できるだけオープンにしたいということもあったので、ぜひ御協力をお願いしたいなと思います。

○大内座長 ただし、名称が健康、ヘルスですね。がん検診のケンは検査の検。ややこしいですけれども、ヘルスチェックは全体、総合健診的な扱いで、こういうフォーマットはもちろん必要なのですが、がん検診の精度管理に特化したものとして応用可能かどうか。

○羽鳥構成員 わかりました。健診、検診も表示できると思います。今回は、健康のほうの健診フォーマットということで、特定健診を中心に、例えば学校健診、高齢者の健診が主だったのですけれども、これはがん検診にも応用できるなということで、2年前から、先ほど言ったように診断名を統一していこう、診断名を統一できるような仕組みをつくっていこう。それぞれの人間ドックとか健診機関で異なっているものを対策型検診にも合わせられるような形にしようということで、今、変換作業を行って、先ほど言いましたように、50ぐらいの健診機関の御協力を得て委員の先生に出ていただいて、この病名をこれに変えることで差し支えないかということが、今、やっている作業の一つであります。

○大内座長 21ページにパイロット事業の概要とあって、扱う健診データの範囲7にがん検診が入っていますけれども、あくまでもパイロット事業という考えですね。

○羽鳥構成員 パイロット事業ではなくて本気でやりたいのですけれども、マンパワーとして、厚労省や、保険者のバックアップがないとできないかなというところであります。医師会の中には医師会共同利用施設というものがありまして、鹿児島ですと12ぐらいの病院、大分ですと、アルメイダ病院みたいに400床近くの病院も参加していますが、そういうところからはデータをきちんといただいて、がん検診についても収集しているところであります。

○大内座長 祖父江構成員にお伺いしたいのですけれども、18ページにありますAMED臨床研究事業としても動いているわけですが、これを国のがん検診のデータベースまで含めて扱うことがどの程度重要性がある、あるいは具体的なのか、先生が感じていることを言っていただけますか。

○祖父江構成員 これは、各健診機関がこのフォーマットに従ってデータ管理するということですね。これを1カ所に集めるというのは、またちょっと別の話になると思うので、それを用いて集計した結果を集めるということは恐らく可能だと思います。今、市町村のがん検診というのは、地域保健事業報告という形で集計値を集めていますね。それに類するような精度管理指標を職域でも集める仕組みをつくるというのは、精度管理のやり方として1つありますね。

 その際に、市町村ですと、受診数あるいは受診率、それから要精検率、精検受診率、がん発見率まで調べる。これを地域保健事業報告として国に集計値として報告する。あと、有害事象の発生なども調べています。この際に、市町村のほうで一番困るのが、精検受診率とがん発見率に関しては、医療機関に問い合わせないとだめだということです。この点が、職域ですと、レセプトのデータを使用できる保険者であれば、感度、特異度という指標をそのまま用いて、医療機関に問い合わせするということをスキップできるところがメリットだと思います。そのためにきょう発表していただいたと思います。

 そういうことで、保険者単位で行う精度管理の集計値を報告していただいて、職域のがん検診の実態をもとに把握するという仕組みを、職域のがん検診の精度管理についても行うというのが1つ考えられると思いますけれども、そのことをこういうガイドラインの中に取り入れるというのは一つの案だとは思います。

○大内座長 では、事務局のほうから、本件に関してコメントがあれば伺います。所掌が違うことはわかります。確かに、厚生科学課のほうからAMEDとして動いているわけですが、リンクしていきますので、健康局がん対策推進官としての御意見をいただきます。

○がん対策推進官 あくまで職位的に話せることだけお話ししますと、まず日本医師会に実施していただいている。この事業は、特定健診とか乳・幼児健診を含む幅広い健診のデータを統一して集める。収集して分析して施策に生かすということで、まさに大臣官房厚生科学課というところで、局をまたいで収集するための研究の仕組みとして動いているということです。まさに省としてデータヘルスという大きな動きの中で、医療等IDなども議論されている中で、こうした研究が非常に重要で、まだパイロット事業の状況。いつかは事業化して全国展開していくことが非常に待たれるところだと思いますし、そこは国として進めていくべき部分だと思います。

 ただ、予算の計上という意味で、今の段階で何かできると私のほうから申し上げることはできないので、それについては引き続き頑張っていくということで、きょうは御容赦いただければと思います。

 それから、まさに今後、この職域のがん検診をどうしていくのかという中で、今、ガイドラインということで、これまで全く把握できていなかった部分について、ようやく行政として、そこをこれから実態を把握して精度管理をして、よりよいがん検診を進めていく第一歩になる。まさにこのワーキンググループの中で、きょう、御意見をいただきながら、では、ガイドラインに何を書いていくのかというのは、これから先生方に議論いただきたいところですし、大内座長がおっしゃっていただいた、市町村に示しているチェックリストも非常に有効な手段なのかなと思いまして、そこも含めて議論をこれからいただければと思います。

○大内座長 報告書の中に、きょう出していただいた日医の取り組み、とはいえ、10団体も入っている。しかも今、大臣官房厚生科学課としてICT事業推進に書き込めると思います。連携するといったことで、がん検診の実態把握、精度管理について、さらに検討を進めるといった素案は多分できると思います。次回以降でその案を示していただくつもりでおりましたので、よろしいでしょうか。

○羽鳥構成員 はい。もちろん、それまでにデータを集めて、数でお示ししたいなと思います。今も100万を超えるデータを持っているので。

 1つ、いいですか。祖父江構成員にお聞きしたいのですけれども、職域の場合、感度、特異度である程度わかるだろうということですけれども、それと、今やっている市町村対策型検診における的中率とかがん発見率等は、全くイコールで評価しても構わないとお考えでしょうか。

○祖父江構成員 受診率、要精検率に関してはパラレルに行けますね。感度に関して言うと、市町村は全国がん登録ができて、がん登録との照合で感度を測定するということを一応想定していると思います。ただ、がん登録との照合というのは、実はがん登録データがフィックスされるのに時間がかかって、余りにもタイムラグがある。ですから、むしろ市町村のがん検診も、国保に限られるかもしれませんけれども、レセプトで感度をはかって、それを両者で比較するほうが、迅速性という意味ではよろしいかもしれません。

○大内座長 先ほど意見がありましたけれども、実は、職域の受診者年齢構成は全国市町村事業とかなり違います。それから、協会けんぽのデータでがん発見率が低いというのは、その理由も入っていると思います。職域における対象者の皆さんは働く世代ですから、がん種によって罹患率のピークとか、傾向があるわけですね。そういったことも検討しながら出すべきだと思っております。

 では、小松原構成員、どうぞ。

○小松原構成員 レセプトで感度という話、確かにそうだなと思います。保険者であればできるのですが、職域が実施している部分には、企業ががん検診を実施している部分があります。その数がどのぐらいの割合を占めている、正しい数字を持っていないので何とも言えませんが、かなりの数があるはずです。この方は、レセプトでは把握できなくなりますので、そこをどうするかというのを考えておかねばならない。レセプトだけということで議論を進めてしまうと、かなりの数が落ちてしまうのではないかという懸念があります。

○大内座長 今の件につきましては、いかがですか。レセプトだけでは、確かに全部把握は不可能ですので。

 祖父江構成員、いかがですか。

○祖父江構成員 もともと落ちるも何も、全数把握ということは全く考えていない仕組みだと僕は思っていますけれども、できるところでやる。今は何も把握されていないわけですから、できるところの精度を把握して報告して実態を把握する。抜け落ちるといっても、最初から何もないところでそう言ってもしようがないような気がします。

○大内座長 どうぞ。

○小松原構成員 そういう考え方であれば賛成で、レセプトで行うのはありだと思います。

 そうなると、福田先生が最初おっしゃった入り口の部分が非常に大事だと思いまして、検診を実施するに値する施設で本当に受けているのかどうか。データは来るけれども、そのデータの正確性をどう担保するかということが一番大事になってくると思います。そういう意味で、職域におけるガイドラインの中に、どういう機関に委託というか、預けるべきかということをまず書くのが一番いいのではないかと思います。

○大内座長 先ほどの仕様書ですね。それは書き込めると思います。

 どうぞ。

○羽鳥構成員  任意型検診であるので無理やり受けさせることはできないというお話もありましたから、それはそれでいいのですけれども、さっき、事業主のほうに健診の結果が来ると困るとか、保険者も、例えばがんの人がわかったら、フォローしなくてはいけないのでその後困るという議論もあったと思います。

 ガイドラインをつくり、マル1ダブルチェックする。マル2二重読影するとき、例えば呼吸器の専門医です。乳がん検診の時にはSとかAの資格取得者が読影していますということを示して、会社員の方、受診者の方がここなら受けに行ってみようということでやったら、検診機関にとってもメリットがあるのではないか、競争して、いい検査ができるようになるのではないかと思いますけれども、それはどうですか。

○大内座長 本日、中川構成員は御欠席ですけれども、インセンティブという考えもありますし、幾つかそういうことは提案できると思います。企業アクションの中にそういった提案も多分入っていると思いますけれども、事務局で何か押さえていますか。

○がん対策推進官 今、手元に企業アクションの詳細な内容がないので、そこは確認できませんけれども、そういった観点で事務局でも少し調べてみたいと思います。

○大内座長 福田構成員。

○福田構成員 ありがとうございます。

 羽鳥先生のおっしゃるとおりです。ただ、くどくなるのですが、ホームページ上でうたっていても本当にそうかという問題があります。ですから、そこをどうやって見ていくか、それを解決するのが第三者評価だと考えます。

 それから、座長、不勉強で申しわけないですが、AMEDというのは何の略になるのでしょうか。

○大内座長 正式名称は、日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)。祖父江構成員はプログラムオフィサーです。

○祖父江構成員 ジャパンのJじゃなくて、途中のAをとっている。それでAMEDです。Mは恐らくメディカル。

○福田構成員 どうもありがとうございました。

○大内座長 議事録を残すときには、AMEDではなくて、日本医療研究開発機構ということを1回書いてください。でないと伝わりませんので。御指摘ありがとうございました。

 どうぞ。

○立道構成員 今、職域のほうで精度管理という話が出て、その中で健保組合からレセプトがこういう形で使えるという御発表だったと思います。

 それと、もう一つの観点からすると、企業が実施しているがん検診が把握しにくいというところですが、これはまさにデータヘルスの中でのコラボヘルスということで、産業保健と健保組合との間の橋渡しが行われている最中ですが、コラボヘルスが浸透すれば、全数把握ができると思われます。企業側で実施している部分のがん検診の総計も出てきますし、それが最終的に健保のほうに、がんとして治療されればレセプトが上がってくるので、そういう意味で言うと、このデータヘルスを進めることによって、精度管理のことも解決していくのではないかと思います。

○大内座長 ほかに御意見ありますか。

 どうぞ。

○がん対策推進官 事務局から2点ほど補足します。

 企業アクションですけれども、そこでは普及啓発が中心で、検診機関がどうあるべきかとか、どの検診機関に委託を進めるべきかみたいな議論はされていないようでして、企業アクションのほうにもそういった観点で議論できないかみたいなことを、こちらからまた紹介してみたい。

 それから、日本医療研究開発機構、AMEDですけれども、ジャパン・エージェンシー・フォー・メディカル・リサーチ・アンド・ディベロップメントで、エージェンシーのAでございました。

○福田構成員 ありがとうございました。

○大内座長 議論は、精度管理の中で行っているのですけれども、先ほど提案しましたように、次回にできれば精度管理指標の案を事務局のほうで作成していただいて、皆さんから御意見いただきたい。そのひな形として、先ほど来申し上げています、平成20年度に策定されている精度管理に関する検討会のデータを参考としてお示ししながら御議論いただきたいと思います。きょう、皆さんが活発に御議論いただいたがん検診の質についても確認すべきではないかということがありましたので、仕様書的なものも盛り込むのかどうか。そういったことも含めて御議論いただければと思っております。

 それで、一旦、議題2について閉じさせていただいて、先ほど時間の関係で、私、概略は申し上げたのですが、資料1に戻っていただいて、「第1 目的」で議論が白熱して、その次の「第2 がん検診の種類」については、説明はしましたけれども、皆さんからの御意見をいただいておりませんので、改めてこの議題1のガイドラインの案についての「がん検診の種類」、5ページに推奨グレードA、Bが対策型、そして、12ページにCとIがありまして、これも含めた書き込みになっています。この点について、一度皆様から御意見をいただいておこうと思います。いかがでしょうか。大筋よろしいですか。

○祖父江構成員 こういう推奨グレードに関して、どういう要素で構成されているかというと、死亡減少効果があり、なし。それを主な利益として、不利益として、要精検率とか合併症というところだと思いますけれども、利益、不利益バランスでA、B、C、D、Iを決めて、それに基づいて検診の中身を決めていくというのがガイドラインの構成要素だと思います。要は、目的は何かというところで、いっぱいあるということでしたから、QOLを向上させるとか、社会復帰率を改善するということを目的とした、それを達成できるという証拠があるのかということで判断していかないと、ガイドラインとしての記述にならないですね。

 ただ、恐らく検診のガイドラインとして、そういうことをやっているところは余りないのです。ということは、ここの検討会でやるのかということになりますけれども、その覚悟があるのであれば、目的にQOL向上とか社会復帰率というのを書けばいいですけれども、もしそれを書いてしまって、そのことを記述しないことになると、科学的知見に基づいた判断をしていないということになります。そのことをちょっと確認したいと思います。

○大内座長 目的のほうにまた戻りましたけれども、そのことも含めて、事務局と座長に預からせていただいて、次回までに整理させていただくということです。

 祖父江構成員に確認したいのですけれども、12ページのCとIを、1314ページにこのように転記しているのですけれども、これはガイドラインによっては、もう5年ぐらいたったものもあります。最近のものもあります。なので、実態を本当に反映しているとも限りません。ただ、IとかCをここにこのような形で書きとめることについての意見をください。

○祖父江構成員 これをどうして書いてあるのか、私、事務局のほうに意図を聞きたいですけれどもね。これを書くということは、あたかも職域で推奨するような意図だと思われるところがあると思いますけれども、私はこういうことは書かないほうがいいと思います。あくまでグレードとしてA、Bというものを推奨するべきであって、これが先ほどの任意型か対策型かという議論と全く連動すると思いますけれども、職域のがん検診が、私は限りなく対策型に近いと思っていますし、がん対策の中の一つの行為としてあるのであれば、こういうことは余り書かないほうがいいと思います。

○大内座長 ただ、12ページに任意型と書いてありますけれども、個人の判断に基づく受診は妨げないとなっているので、推奨するとは書いていない。

○祖父江構成員 ですから、人間ドック等でやるのであれば、それはいいのですけれども、そのことを職域の一般的なこととして記述する必要は、僕はないと思います。

○大内座長 福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 祖父江先生のおっしゃることもよくわかるのですが、実際、CとかIを落としてしまったら、地域で行われている対策型の検診をただ職域に導入するだけであって、ここで議論する価値もないと思います。私は実際に健診機関を預かって、実際に受診者と接している身ですが、CとかIというのは、一つの有益な診断法としてはあると思います。

 私のところではパイロットスタディーではあるのですが、膵がんのハイリスクグループを何とか拾い出せないかということをやっています。しかし、本当にがんの死亡率を下げているかについては5年、10年待たないと答えが出ません。では、その間どうするのだという問題があります。私としては、CとIはぜひとも入れていただいたほうが、実際に受診者の役に立つと思います。エビデンスがないからだめだよと言われたら、これは言う言葉はございません。

○大内座長 「第1 目的」のところの書きぶりと調整しなければいけないですね。QOLとか職員の社会復帰、あるいは生産性の問題も含めて議論した場合に、どこまで書けるか。「死亡率減少等」となっていますので、その「等」についてと推奨グレードで。1個ずつやっていたら、多分切りがないですし、データそのものが存在しないので、Iです。ですから、厳しいですね。でも、どこかでまとめなければいけない。

 小松原構成員、どうぞ。

○小松原構成員 利益、不利益のところで教えていただきたいのですが、対策型検診というのは集団検診ですので、不利益のところに経済的な観点も入ってくると思います。要は、費用が非常に高価である。ただし、職域のところで、個人の判断あるいは企業の判断で、ある程度投資してもいいということであるならば、経済性の部分の不利益について取り払ってしまってもいいのかなと思いますが、そういう観点はないのでしょうか。

○祖父江構成員 この不利益の中には、経済的な観点はありません。

○大内座長 松田構成員。

○松田構成員 職域において、どんな検診を行うかというときに、目的は死亡率減少効果だと私は思います。ですから、対策型検診が基本になり、それが最も証拠に基づいていると思います。例えば、QOL向上のために、あるいは社会復帰の観点から、若年からがん検診を提供しようとすると、不利益の方が利益よりも大きくなる可能性が言われているわけですね。ですから、基本になるのはこのような項目であることをきちんと明記すべきではないでしょうか。繰り返しで恐縮ですが、基本にすべきは対策型検診で今やっている項目だと思います。

 先ほど、胃がん検診で内視鏡とレントゲンのチョイスができるという話がありました。現在では対策型検診でも内視鏡検査が選択できます。死亡率減少の証拠が得られれば、これまでも対策型検診の方法を変えてきています。ですから、証拠がある現行の検診が基本になるべきだと私は考えます。

○大内座長 どうぞ。

○立道構成員 先生方が議論されている証拠に基づいた、科学的根拠に基づいたがん検診がこれであるというガイドラインに関しては、職域でもすでに理解されています。理解されているのに、ほかのことをやっている。あるいは、市町村でもガイドラインが出ているのに別のことをやっているという実態があるわけです。今さら、職域の中でこのガイドラインを再度出されても、恐らく余り有効性がないと思います。なぜかというと、これが科学的根拠に基づいて行われるベースのものであるということについては、職域でも十分周知されているという前提でご議論していただきたいと思います。

○大内座長 どうぞ。

○那須構成員 私も同意見で、最後のCとIのところについて手厚くしていただきたい。1から6については、対策型ガイドラインに書いてあるので否定するものではないですけれども、そう感じます。

○大内座長 12ページの赤枠で囲ってあるCとIの部分をどのように書き込めるか。

 それすら必要ないという御意見もあるようですが、職域におけるがん検診ということで、皆様の意見をできるだけ酌み取れればと思います。今後、さらに検討させていただきますが、事務局のほうから何か案があれば、お願いします。

○がん対策推進官 ありがとうございます。

 まさに前回、前々回、先生方に議論していただいた内容を踏まえて、今回、このような形で参考としてCとIの検査を挙げさせていただいております。また座長と御相談させていただきます。

○大内座長 本日はこのぐらいでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○祖父江構成員 ガイドラインの目的というのは、私が冒頭に申し上げました、エビデンスに基づく記述をするべきであって、実態がどうということに左右されず記述する。仮に実態、プラクティスと差があるのであれば、それを是正するのがガイドラインの目的だと思っていますけれども、それはどうなのですか。皆さん、それは違うということなのでしょうか。

○大内座長 エビデンス・プラクティス・ギャップをやるべきだという祖父江先生の強い意志ですが。

 福田構成員。

○福田構成員 医学的常識ということを言うと、それはエビデンスでも何でもないとおしかりを受けるかもしれません。死亡率低下の科学的証明ができていないとの評価のようですが、CとIに示された検査法は医学的常識から考えて有効であるという思いが強くあります。ただし、その部分が証明できていない。祖父江先生がおっしゃっていることは学問的には正しいと思いますが、であれば、ガイドラインという言い方ではなくて、指針とか、もっと強いものにしたらいかがでしょうか。

○大内座長 これは、上位のがん対策推進協議会のほうに、職域におけるがん検診のガイドラインを策定すると書いていますね。

○がん対策推進官 今、閣議決定に向けて準備を進めていますけれども、第3期がん対策推進基本計画においても、職域における検診のガイドラインを策定することで検討しています。そういったことで、ワーキンググループも今、開催させていただいているわけです。そういった御理解をいただければと思います。

○大内座長 意見としては出せるのでしょうね。ガイドラインとするにはふさわしくないとか、皆さんが納得されることが大事だと思います。それぞれのお立場があるでしょうが、祖父江構成員がおっしゃっていることは、私もそう思っています。ただ、日本でがん死亡率を下げるためにどうしたらいいのかという場合に、職域で半数以上ぐらいが実際受けているのに、精度管理もやらずにいいのかということもあって、どこかで前に進まなければいけないので、その点は御理解いただければと思います。

 さらに、事務局と座長とで少し整理させていただいて、次回以降にまた御議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい。

 では、時間もあと5分ぐらいですね。「その他」の事項ですが、皆様から何かございますか。

 では、マイクを一旦事務局にお戻しいたします。

○がん対策推進官 ありがとうございました。

 次回のワーキンググループの詳細、日程等も含めまして、また調整させていただきまして御連絡をさせていただきます。

 事務局からは以上です。

○大内座長 では、本日、第3回のワーキンググループをこれで終了いたします。御苦労さまでした。

 


(了)

健康局がん・疾病対策課

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