ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会> 第7回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(議事録)(2017年9月4日)




2017年9月4日 第7回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年9月4日(月)16:00~18:00


○場所

航空会館 5階 501~502会議室(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針の改正について
(2)循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループについて
(3)その他

○議事

○事務局(久保田) 定刻となりましたので、ただいまより第7回「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、安斉構成員より御欠席の御連絡をいただいております。

 本日は、参考人としまして、日本緩和医療学会教育・研修委員会委員長、佐久医療センター緩和ケア内科部長の山本亮参考人に御出席いただいております。

 続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長の佐々木でございます。

○佐々木がん・疾病対策課長 佐々木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局(久保田) また、私、課長補佐の久保田と言います。どうぞよろしくお願いします。

 なお、三宅構成員からは、おくれていらっしゃるとの連絡を受けております。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表

 議事次第

 資料1   がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針の改正について(案)

 資料2   がん等の診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(案)

 資料3   がん等の診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(案)新旧対照表

 資料4   「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」開催要項

 資料5   「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」予定

 資料6   緩和ケアの更なる推進について今後検討すべき課題について

 参考資料1 「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」開催要綱

 参考資料2 第3期がん対策推進基本計画(案)(緩和ケア関連抜粋)

 参考資料3 がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会における議論の整理(緩和ケア研修会関連抜粋)

 参考資料4 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針

 参考資料5 医学教育モデル・コア・カリキュラム、医師国家試験出題基準及び医師臨床研修制度における緩和ケアの規定等について

 参考資料6 平成28年度厚生労働省委託 がん医療に携わる看護師に対する地域緩和ケア等研修事業(川本構成員提出資料)

 以上でございます。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いします。

 この後の進行は、福井座長にお願いいたします。

○福井座長 よろしくお願いいたします。

 早速ですが、お手元の議事次第にございますように、本日は議題が「その他」を入れまして3項目、「その他」で2題ほどございます。御検討をよろしくお願いします。

 最初に、議題1「がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会の開催指針の改正について」でございます。前回までの御意見を踏まえて、がん等の診療に携わる医師のための緩和ケア研修会の開催指針の案について御議論いただきたいと思います。できましたら、今回で指針をまとめたいと思っています。

 まず、資料1~3の説明を事務局よりお願いします。

○事務局(久保田) 改めまして、事務局の久保田になります。それでは、資料1~3の説明を行いますので、お手元に資料を御用意ください。まず、資料1に緩和ケア研修会の開催指針の改正に関する概要を記載しており、資料2に開催指針の改正案の原文、資料3が現指針と改正案の新旧対照表になっております。

 資料1より御説明させていただきます。

 まず、スライド2ですが、今回の開催指針の改正は、本検討会の開催要綱1のイによって検討されています。

 続きまして、スライド3と4になります。今回の改正の背景には、平成2812月に成立したがん対策基本法の改正において、第15条に緩和ケアの新たな定義が盛り込まれたこと。17条において、緩和ケアの診断の時から提供が明示されたことなどがあります。

 スライド5になります。第3期がん対策推進基本計画(案)においての緩和ケア研修会の課題及び取り組むべき施策が記載されております。

 スライド6ですが、現在の緩和ケア研修会の概要等を記載しております。第2期がん対策推進基本計画のもと、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標として実施しておりました。

 スライド7になります。当初の目標として掲げられていました医師10万人の受講について、平成29年7月31日の段階で達成したことを御報告させていただきます。

 スライド8です。今回の緩和ケア研修会の開催指針の改正理由につきましては、参加者・開催者の双方の負担の軽減が盛り込まれています。また、拠点病院以外の病院への広がり、医師以外の職種等、さまざまな職種への対応。がん以外の医療者に対しての実施。研修会修了者に対する継続研修などがあります。

 スライド9になります。今後のスケジュールですが、本日、開催指針の事務局案提示を行い、本検討会の議論を受けて、本年12月に新指針を公布する予定です。その後、12月よりE-learning及び集合研修プログラムを作成し、平成30年4月より新指針を施行します。平成30年度は移行期間とし、新旧プログラムが混在し、平成31年度より新指針に完全に移行する予定です。

 なお、旧指針の単位型と新指針の単位の読み替えを行うことはできません。

 スライド10になります。主な開催指針の変更点を記載しております。

 まず、表題の行ですが、「がん診療に携わる医師」から「がん等の診療に携わる医師」に対する緩和ケア研修会の開催指針としております。

 研修会の構造ですが、集合研修にe-learningが加わることとなりました。

 研修対象者ですが、「がん等の診療に携わる全ての医師」に加えて、「これらの医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者」としています。

 全医師が受講すべき施設として、「地域がん診療病院」が加わりました。

 また、全医師が受講を望ましい施設として、「拠点病院等と連携する在宅療養支援診療所・病院及び緩和ケア病棟を有する病院」としています。

 次の行に行きまして、e-learningの管理・運用を実施する「e-learning管理責任者」や、集合研修の事務を行う「集合研修事務担当者」を新設しています。

 また、研修の企画責任者は、これまで緩和ケア指導者研修会修了者のみでしたが、「精神腫瘍学指導者研修会修了者」においても、追加講習を受けることで企画責任者となることができるようにしています。

 続きまして、スライド11です。

 研修会の形式・要件ですが、e-learningは都合のよい時間・場所で受けられることから、時間規定は設けておりません。集合研修は、5時間半以上としております。

 継続研修に関しても、研修会修了者にe-learningを利用するなどして継続的に学習に努めていただくように呼びかけています。

 スライド12になります。e-learningの内容に関して説明しています。

e-learningは、10科目の必修科目と5科目の選択科目から構成されます。選択科目は、5科目のうち2科目以上を選択することが求められます。これまで、選択科目は実施主体が選択しておりましたが、参加者自身が選択できるようになります。

 内容に移りますが、これまで6でした全人的な緩和ケアを1とし、改めて、「がんと診断された時からの緩和ケアについて」、明示しております。

 次の行の2の苦痛のスクリーニングの項目に「専門的な緩和ケアへのつなぎ方」を入れました。

 3のがん疼痛に、医療用麻薬の誤解を踏まえ、多様化する医療用麻薬の注意点、副作用やその対策への説明、多職種の役割、専門的な緩和ケアへの依頼の要点などを含むようにしました。

 スライド13になります。

 8のがん等の緩和ケアにおけるコミュニケーションですが、患者への悪い知らせ、意思決定支援などが追加になりました。

 また、10の人生の最終段階における支援の中に「アドバンス・ケア・プランニング、家族の悲嘆や介護体験等への理解、看取りのケア、遺族に対するグリーフケア」が新たに盛り込まれました。

 スライド14ですが、11に「がん以外に対する緩和ケア」が盛り込まれました。

 また、14に「緩和的放射線治療や神経ブロック等」の内容が入りました。

 スライド15です。こちらは、集合研修の内容になります。

 まず、1にe-learningの内容の復習や質問を45分としております。

 2にグループ演習として、身体的苦痛に対する症状緩和、地域連携についてを180分以上行います。

 スライド16になります。4にロールプレイングによる演習として、緩和ケアにおけるコミュニケーションがあり、この中には意思決定支援が含まれています。こちらは、90分以上行います。

 また、5になりますが、がん体験者やケア提供者等からの講演、又は集合研修の実施主体や実施主体と連携する施設等が取り組むがん患者等への支援について、プログラムとして入れることとしました。

 今、申し上げた内容について、次は資料3をごらんください。

 1ページ目に、本開催指針の趣旨を記載しております。

 2ページ目ですが、緩和ケア研修会の定義、実施主体、研修対象者を記載しております。

 続きまして、3ページから4ページ目になりますが、こちらで実施担当者について記載しております。

 5ページ目からは、具体的なプログラムについて記載しておりますが、詳細は別添1として御説明します。

 次は、8ページにおいて、緩和ケア研修会の修了証書の記載があります。

 続きまして、11ページには、その他の事項としまして、緩和ケア研修会の参加機会の確保等があります。

 また、12ページよりプログラムの詳細が載っており、15ページからは集合研修について記載しております。

17ページ以降に関しては、様式ですので、説明を省略します。

 今、申し上げた資料の左側の部分が資料2になります。そのため、資料2の説明は省略させていただきます。

 以上になります。

○福井座長 ありがとうございます。

 研修の内容ともかかわりますけれども、参考資料5についての説明もここでお願いできますか。

○佐々木がん・疾病対策課長 続きまして、参考資料5をお手元に御用意ください。佐々木から説明させていただきます。

 まず、参考資料5を用意した背景でございますが、前回、6月の第6回本検討会までの議論において、若い医師、さらには学部段階から医学生等が緩和ケアに触れる機会が必要。かつ、やっているのであれば充実が必要ではないかという御指摘をいただき、また、構成員の先生方の間で議論を行っていただいたところです。

 そこで、参考資料5で、現在、卒前の医学教育、さらには医師になる医師国家試験での出題基準、また卒後一、二年目の臨床研修では、どのような規定なり改善・充実が図られているのかということで、参考資料5を御用意いたしました。

 まず、スライド2をごらんください。卒前段階については、現在、医学教育モデル・コア・カリキュラムというのがございます。

 左下の四角囲みをごらんください。そもそも医学教育モデル・コア・カリキュラムとは何かの説明になります。この医学教育モデル・コア・カリキュラム、よくコアカリと略称されるものですが、このコアカリとは平成13年3月、2001年3月ですが、ここで初めて策定されたものです。その後、平成1912月、約3年後の平成23年3月、そして6年後のこの春、平成29年3月に3回目の改訂が行われたものです。

 大学教育における位置づけですが、コアカリは卒業時までに医学生が身につけておくべき必須の学習目標を提示したガイドラインという位置づけになります。では、全ての大学が全く同じように授業を行うかというと、そうではありません。括弧書きにありますとおり、学習時間にして6年間の総学習時間数の3分の2程度を、このコアカリの必須の学習目標に沿って行う。残りの3分の1の内容や、このコアカリに記されている3分の2の内容についての教え方とか、何年生で行うかといった順番等につきましては、各大学が特色あるカリキュラムを組むものとされております。

 その下ですが、先ほど、この春、3月に改訂されたということを申し上げました。現在、1年間かけて82の医学部が独自のカリキュラム開発に取り組んでおります。このため、来年4月にこのコアカリに基づく各大学のカリキュラムが行われるものとなっております。

 スライド2ですけれども、平成22年度版と、この春まとめられた平成28年度の改訂版を左右に並べております。

 まず、この資料には書いておりませんが、今回のコアカリ改訂のいわば目玉・特徴として文科省が掲げておりますものの一つに、腫瘍の充実、がんの充実ということがございます。このコアカリ本文の中でも、腫瘍については、旧版、つまり平成22年版から独立した項目で記載することとして、28年改訂ではさらに充実を図ることとしたという記載がございます。まず、今の医学教育において、腫瘍、がんに関する教育がこれだけ充実されつつあるということを前提として御紹介いたします。その上で、22年度版で独立した腫瘍、その中でも緩和ケア、緩和医療につきましては、現在の22年版は左側にあるような書きぶりになっております。

 それに対して、今回、充実を図ることとした28年度改訂版においては、緩和ケアを独立した、小項目という言い方をよくするのですけれども、小項目にしております。その上で、ねらいとして、緩和ケアの基本を学ぶ。学修目標として、ここに6項目を列挙しているところです。

 左と右で、これまで「一般目標」としていたものを「ねらい」に、「到達目標」としていたものを「学修目標」に変えていることにお気づきいただけるかと思います。これの趣旨ですけれども、ややもすれば、教育というのは教える側が教えるリストになりがちです。それに対して、今の医学教育においては、学生が何を獲得したのか、学生に何ができるようになったのかという視点での教育に切りかえ中です。それで、ねらい、学修目標という言い方をすることにより、何を学ぶ、何ができるようになることがねらいなのか、そして学修する目標なのかということを明示するために、このような書き方になっております。

 1枚めくっていただきまして、スライド3からスライド6までが医師国家試験の出題基準です。

 スライド3に、平成25年版、下に平成30年版とありますが、平成30年版につきましては昨年6月にまとめられたところです。昨年6月にまとめられたものについては、来年、平成30年の国家試験からの適用ということになります。

 なお、平成30年、来年の国家試験からは、それまで3日間500問だったものが、2日間400問になります。これは、単純に500分の400になるのではなく、単純知識を問うようなものが、今の医学部では、臨床実習に進む前に既にコンピュータベースでのテストが行われておりますので、そこで担保されているものとして、より臨床の現場に近い出題内容を相対的に重視するということで、500分の400が単純圧縮ではなく、めりはりのある問題数の調整をしたところでございます。

 そして、それに伴い、より臨床に近い、臨床実習を経てこそ解ける問題ということを考えたときに、新しい出題基準に基づいて、来年の国家試験は行われるものという整理になっています。

 スライド3、スライド4は、平成25年度の対比になっておりますが、例えばスライド3で申し上げますと、大項目の中に平成30年版においては緩和ケアが位置づけられております。

 そして、スライド4からスライド6までをごらんください。今までは、緩和医療で、中項目1つに対して4つだったものが、平成30年版では、大項目、緩和ケアに対して、中項目で全人的苦痛の緩和、身体的苦痛の緩和、オピオイド、ホスピス・緩和ケア。そして、小目的で、さらに細かく分類されている。このように、医師国家試験において、緩和ケアがこれだけ今、重視されつつあるということを御紹介いたします。

 最後に、スライド7は、国家試験に合格して、事実上義務化されております2年間の臨床研修の到達目標です。御案内のとおり、卒後の臨床研修2年につきましては、平成12年の医師法改正により、平成16年から今の制度になっております。この平成16年度、新しい制度になった当初から、到達目標として緩和ケアが、ごらんいただいている内容で記載されているところです。臨床研修制度につきましては、5年ごとに定期的に見直しが行われているところで、現在まさに、次の平成32年からの新しい臨床研修に向けて、まずは到達目標の整理。さらには、方略や評価についての議論が行われているところであるということを御紹介したいと思います。

 なお、この臨床研修の大前提でございますが、これは厚生労働省が医師法の臨床研修の定めに基づいて、臨床研修指定病院のルールをつくります。そのルールに基づいて、こういう内容を臨床研修で指定病院は行うこと。それに対して、どのようなプログラム、カリキュラムを組むかというのは、指定病院のある意味で腕の見せどころ。より魅力あるメニューを用意することによって、約1,000の臨床研修指定病院が、8,000から9,000人の毎年、新しく医師になる若者たちに教育を行うことになっております。ですので、この到達目標の緩和ケアというものをどのような形で臨床研修指定病院が行うかということについては、今はそれぞれの病院が独自に定めているところでございます。

 ただ、今、申し上げたとおり、卒前から医師国家試験を経て、これだけ緩和ケアの教育を受けてきた、また国家試験に向けて勉強してきた若い医師が臨床研修に臨むわけですから、臨床研修の指定病院においても緩和ケアにさらなる充実が図られることを期待しているところでございます。

 また、今の論をさらに普遍的に申し上げますと、本日御議論いただきます緩和ケアの研修会が、若い医師から見ても、自分が参加したいと思ってもらえるような内容、さらには受講生がこれを学んでいるではなくて、受講生が、自分はこれができるようになった、獲得したという内容になるよう、研修会の開催指針についての本日の御議論を進めていただければと思います。

 事務局からは以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 これから三、四十分御議論いただきたいと思いますが、e-learningの運用や管理などの詳細に関しましては、山本参考人にも必要でしたら御発言いただければと思います。開催指針の改正に関しまして、ただいま事務局から説明がございましたように、研修内容と運営方法等について具体的な御議論ができればと思います。

 資料1を見ていただいて、9枚目のスライドまでのところは余り御議論いただく必要がないのではないかと思いますが、9枚目までで何か特別、御質問、御意見がございましたら最初に伺いたいと思います。いかがでしょうか。スケジュールが9枚目に書いてあります。修了証を交付された枚数が、最後の最後で10万人をうまく超えたというストーリーが、つじつまが合うようにできていますけれども、9枚目まではよろしいでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 10万人を超えたということですけれども、次の目標なり何かというのは、想定されておられるのでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 ありがとうございます。

 現時点で事務局がお示しするものはございません。逆に言うと、先ほど福井座長から、その他の中でディスカッションしたいものということがございましたので、それをまさにきょう、御議論いただこうということで考えております。

○福井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、スライドの10枚目から、変更点につきまして確認といいますか、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。概要1、「がん診療」というのが「がん等の診療」になったとか、右側の新指針の変更点につきまして御意見がございましたら。

 どうぞ、中川構成員。

○中川構成員 スライドの14枚目の主な変更点(案)e-learningの3ですが、この中の14、緩和的放射線治療や神経ブロック等の専門的な緩和ケア。御承知のように、第3期がん対策推進基本計画が、今年度、かなり時間を経ているにもかかわらず、まだ閣議決定されていないのは大変残念ですが、6月までに推進協議会の中でまとめた最終案に近いものの中でも、放射線治療の項目の中にこの緩和的放射線治療が盛り込まれております。

 一方、これは余り知られておりませんが、放射線治療の件数が伸び悩んでいます。その大きな要因の一つが、実は緩和的放射線治療の件数が伸び悩んでいるという現実があります。必要があれば、また詳しく調査することも可能ですが、そういう意味では、14として、ここに加わったのは大変重要だと思いますし、また現実のピース等の中で、今以上に緩和的放射線治療が適切に教育されるような配慮を重ねてお願いしたいと思います。

 以上です。

○福井座長 先生のお話ですと、インディケーションがあるのに緩和的放射線治療が行われないケースがかなりあるということでしょうか。

○中川構成員 数字の伸び悩みということを考えると、そういうことが起こっている可能性があると、放射線治療のソサエティーでは危惧しています。

○福井座長 いかがでしょうか。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 1つ目は、単純な質問なのですけれども、まだ決まっていないかもしれないのですが、スライド11ページの主な変更点概要2の部分です。e-learningに今回、変更された部分ですけれども、これはビデオみたいなものを見て、時間を終了したらチェックボタンが入るようなシステムなのでしょうか。かつ、たしか臨床研究のe-learningのシステムとかだと、その後にテストのようなものがついていて、それをちゃんと見たかどうかもチェックできるようなシステムがついていたのですね。それを提出することでe-learning完了の証明ということになっていたのですけれども、そんなシステムも入るのでしょうか。

○福井座長 これは、山本参考人、お願いいたします。

○山本参考人 山本のほうからお答えしますが、まだ全部確定しているわけではないので、今、構築中ですけれども、今までよくあるe-learningというのは、ただ単にしゃべっているものをビデオで見て終わるみたいな形が多くて、それだと変な話、スイッチだけ押して、そこから離れていても、終わったころに戻ればいいみたいな形になるというのがe-learningの問題としては常々指摘されています。そういう形ではなくて、読み進めていって、穴埋めをしたり、少し作業をしながら進んでいくような形のe-learningのサイトの構築を考えております。修了テストみたいなこともやりながら進めていって修了する形で、誰かがしゃべっているものを見て終わりという形にはしないような形で構築しようと思っております。

○桜井構成員 よかったです。ぜひそうしていただきたいなと思っています。

 あと、それ以外で3つほど気になったことがあります。どこのページという形ではないのですけれども、総論として言わせていただければなと思います。

 1つ目が、一番気になったのがチームビルディングに関する事項というのがどこに相当するのかということがよくわかりませんでした。これまで検討会の中でも、e-learningをやっていく上で地域のリソースがどこにあるのか、人材はどんなものがあるのかという部分も学ぶことが必要。かつ、それを実際の現場ではつなぎ合わせていくことも重要ですという意見が出たかと思っております。

 恐らくスライド14の社会的苦痛に対する緩和ケアのところで、これは働くこととお金の悩みだけになっているのですが、緩和の情報だけではなく、生活支援とかの情報のほうが私たち患者は物すごく欲するところです。こういうところに、介護保険の話ですとか、ほかのリソース、地域にどんな人がいるのかという人材の紹介ですとか、そういうところも私はぜひ入れていただきたいなと思います。

 かつ、今の集合研修のゴールというものがオピオイドの話にちょっと偏っているのかなと思います。それも大変重要ですけれども、同時にチームとしてどう動いていくのかというところも、集合研修のアウトカムの目標として、私は入れていただきたいなと思っております。

 そこには参加者として、医療者だけではなくて、ソーシャルワーカーの方ですとか看護の方ですとか地域の薬剤師さんですとか病棟の薬剤師さん、ここの人材としていろいろ紹介されている人たちも、ここの集合研修のときにはぜひ参加していただきたいなと思います。

 それが1点目。

 それから、2点目は、アドバンス・ケア・プランニングとかグリーフケア、こういう視点が入ってきたのは非常にうれしいなと、一家族・患者として思うわけですけれども、家族というものの立ち位置というのが、定義として明確になっていません。例えば文章で「患者への悪い知らせの伝え方」とありますが、これは家族も含めるのかどうなのかということも考えて頂きたい。私は含めていただきたいなと思います。大切な決断のときには家族もしっかり入れていただきたいなと思います。

 3点目が、意思決定支援の部分です。スライドで13ページあたり、8に入ってくるかなと思います。基本計画のほうでライフステージに応じた取り組みということで、高齢者のお話が出ているかと思います。高齢者の意思決定支援としてガイドラインを作成しという文言が確かあったかと思いますけれども、それとこことの関係というものも、御検討というか、お答えいただければなと思います。

 以上です。

○福井座長 事務局から答えられますか。

○佐々木がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。

 まず、1点目のチームビルディングですけれども、今の時代、がん診療・がん医療、また、本当は医療に限らずですけれども、がんをどのような形で社会として支えていくのかが、そもそもの大前提になります。そうしたときに、あえてここで特出しするというよりは、そもそもそのチームを組んでいるということが前提になっているので、ここの研修のメニューの中で明記はしていないところです。

 ただ、一方で、この緩和ケアを考えていくときに、集合研修というのはある意味でe-learningと違って、その医療機関とその地域に特異的な話ができるわけですから、そうした中で、集合研修の企画において、地域によってはもう少しこれからチーム医療が必要だというところもあるでしょうし、ある程度、いつもの顔ぶれ、既にチーム構成ができているという場合は、そこの部分をスキップできる余地がありますので、そこで固定的な書き方をしていないということがあります。

 その次、2点目の人生の最終段階における医療、ACPとかグリーフケアと並んでという文脈の中で、13ページの患者への悪い知らせの伝え方というところですけれども、これは最終的には山本先生ともよく相談しながらということになるわけですけれども、これも構成員の先生方には釈迦に説法ですけれども、患者さんが意思決定をするという場面において、家族がどうかかわるのかということを考えたときに、まずベースにあるのは、多くのケースにおいて患者さんと家族は密接不可分な場合があります。一方で、ごく一部かもしれませんが、患者さんが意思決定をする際に、ややもすれば家族のかかわり方が薄いほうがという場面もあります。

 ちょっとかたい話になりますと、医療においては、基本的には医療行為の民法上の準委任の契約当事者とは、患者さんであることを考えると、ここは「患者への」という書き方になっておりますが、当然に多くのケースにおいては、患者さんと密接不可分な家族。場合によっては、働き盛りの世代の場合は会社の方もいらっしゃるかもしれません。そういった軸になるのは患者さんで、その上で患者さんがよくよく考えて、家族と一緒に聞きたい、場合によっては職場の人と一緒に聞きたいという場面もあろうかと思いますので、そこは応用の中でやっていただくべきものと思います。

 3点目、意思決定支援で高齢者がというところですけれども、御指摘ありがとうございます。今回、第3期の基本計画において高齢者について取り組もうとしております。そうした中で、高齢者におけるがん診療。もしかしたら、それは本来、年齢で区切るべきものなのかというところから議論を始めなければならないかもしれません。いずれにせよ、意思決定を誰が行うのか。これは患者さんです。でも、患者さんの状態が、もしかしたらその意思決定をする段階で既に判断能力が失われている場合もあるかもしれない。

 そういったさまざまなバリエーションは当然組み合わせていかなければならないことですので、御指摘のとおり、最終的に高齢者のがん診療のガイドラインを策定する際には、緩和ケアの研修で取り組もうとしている意思決定支援とは、当然これは整合性のとれたものになることを考えております。

 以上です。

○福井座長 事務局のお考えを伺いましたけれども、今の点について、いかがですか。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 田村です。御説明ありがとうございました。

 チームについて、少し。おっしゃるように、緩和ケアにかかわらずチーム医療が必要だということ、地域で展開して支えていくことが必要ということは、もちろん言うまでもないことですけれども、あえて更に重ねて、医師にこれを最低限身につけてほしい。という意見となっているのは、そういう要件が現実、届いていないということがあるからだと私自身は思っております。

 ですので、基礎教育の中でそれを学んでいたとしても、緩和ケアというテーマについては、そういうチームへの意識とかビルディング、あるいはチームリーダーとして、どんな資源を使って、つまり人的リソースを使ってやっていけばいいのか、意識を喚起する意味でも、e-learningで、どんなチームのリソースがどんな使い勝手があるのか。というところをせめて学んでいただく。

 そして、研修に医師、それからかかわるスタッフも参加するということを書き入れてくださっていますから、集合研修の場面においても、いろいろな職種で学んでいくというところも大事にしていただかないと、現場に出て、患者さんや家族に、いろいろな人や資源を使って最善を目指すとはどういうことなのかという臨床力、実践力というところになかなか到達しないのではないかと思います。意見です。

 よろしくお願いします。

○福井座長 例えば、15ページの集合研修1のグループ演習ア、イとありますけれども、イの地域連携というところに何か言葉を入れるということでしょうか。もし入れるとなると。

 桜井構成員。

○桜井構成員 ウとして、チームとして動くことを学ぶとか、地域のリソースを活用して動くという具体的な言葉も入れていただきたいなと思っています。私も仲間の看取り等々に携わったのですけれども、相変わらず、主たる治療が終わるまでは介護保険はだめですとか、相談支援に行きたいと言っても主治医の許可がないとできませんという対応が現場であったりしたのが現状です。私たちも驚きました。でも、それが東京でも起きているということは、地方では多分もっと起きている可能性もあるわけで、現実として動いていないところを動かす意味でも、私はここにウとして、チームを動かすという視点も入れていただきたいなということを強くお願いしたいと思います。

○福井座長 事務局、どうぞ。

○佐々木がん・疾病対策課長 今のお話を伺っていて、そう言えばと思ったものがあります。それは何かというと、先にイメージで申し上げますと、例えばe-learningで言うと、13ページの左側の9。集合研修で言うと、先ほど座長に御紹介いただいた14ページの左側の2のイということになろうかと思います。何を思ったかというと、3年前に医療・介護一括法が成立して以来、医療提供体制の推進とか再構築とか地域包括ケアシステムとか、さまざまな言葉が飛び交いました。その中の一つに、チーム医療ということがありました。

 この3年間、全国のさまざまな状況を見てみますと、目的は何かということをもっとはっきりさせなければいけない。あくまでも患者さんがいらっしゃる。その患者さんがどういう療養環境、治療環境がベストなのか。そのことを考えることが、あえて我々と申しますけれども、我々の使命であって、その方法論として、この地域だったらこういう連携の組み方をする。訪問看護ステーションや在支診をどう組み込むか。よりそれが機能するためには、チーム医療、チームビルディングが必要だということが、ややもすれば混同されて議論されているということを感じてきました。

 その意味では、e-learningの場においても、集合研修の場においても、その目的は何かということをちゃんと理解できる。その中において、どういう連携を組むのか、チームを組むのかという思考の組み立てができるようなe-learningであれ、集合研修であれ、そのことをどう伝えればよいのかということの中で、御指摘いただいた内容についての組み込み方を、山本参考人も含めて、今後考えていきたいと思います。

○福井座長 山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 今、現場の中でチーム医療というと、専門職、いろいろな職種が組んでチームと捉えられがちですけれども、このアドバンス・ケア・プランニングも意思決定支援の一つだと思うのですが、患者さんがチームの中に入ってこられないというか、患者さんはなぜかかやの外で、患者さん抜きでいろいろなカンファレンスが行われて、そこで患者さん情報が飛び交っているし、患者さんにそこのチームで決めたことをお伝えもしているけれども、そもそも最初から患者さんがそこに参画するような工夫はないのかということが、今、私たち現場にいるナースとか医療者の中では、最近そういうことが出てきているのですね。

 なので、文言はともかく、内容の項目立ては私はとても体系立っていると思うのですけれども、e-learningで学んだことを演習を通して具体化するときに、患者さんの参画はどこで促進していくのかというところは、少し強調しておいたほうがいいのではないかなと思います。

○福井座長 平原構成員。

○平原構成員 3点ほどあるのですけれども、1つは技術的なところで、まずe-learningの時間規定なしと書いてあるのですけれども、e-learningは余り長いと見られないということがあって、どのぐらいの時間にするのが適切かということと、全体の統一が必要だと思います。12時間のものが、集合研修5時間半ですから全体で6時間ぐらいだとすると、恐らく1本30分ぐらいという目安がわかっていれば、今度の集合研修までにこのぐらいのタイムスケジュールで見ていけばいいなという計画も立つので、その辺の目安は必要なのかなということを思ったのが1点です。

 2点目、3点目は内容に関することですけれども、先ほどのACPのこと。今回の法律の改正の中で、診断時からの緩和ケアということが非常にポイントだということがあったのですけれども、先ほどのACPというのは本質的に重要なことですけれども、ここの8番に包括されているとはちょっと読み取れなくて、これはコミュニケーションの中のその場の意思決定をするという意味合いがすごくあるような気がするのですけれども、診断されてから、時間軸の中で、どこで、どういうふうに意思決定がされるかというところを一つの項目として起こしていただけないかということです。

 具体的には、10番の人生の最終段階における支援の中にアドバンス・ケア・プランニングが入っているのですけれども、アドバンス・ケア・プランニングというのは、御本人の意思を中心に、なるべく早期からということがポイントですので、最終段階とは必ずしも言えないので、10番がアドバンス・ケア・プランニングということで項目を立てていただいて、11番に家族支援、その中にグリーフとか実際の看取り支援も入ると思いますけれども、それが大きな柱だということを明示していただけないかなと思います。

 もう一点は、この場でたしか議論されたような記憶があるのですけれども、e-learningの中にも患者さんの声を入れるという話があったように思ったのです。たしかそうだと思います。それぞれの集合研修の中で患者さんを見つけてきて、話していただくというのは、なかなか実現しないこともあるので、両方でやっていくのがよかろうかと思いますし、それは私のイメージでは、恐らく1番に入れるべきかなと思いました。

 特に、診断されたときにどういうふうな思いを持っていらっしゃるのかとか、あるいは化学療法中の患者さんがいろいろな生活障害を持っていらっしゃるような声とか。そして、治療がなくなってしまったときに、どんな思いを持っていらっしゃるのかとか、そういうステージ別に患者さんの声をちゃんと反映できるようなところが1番初めの総論にあっていいのではないかと思ったので、その辺を御検討いただければと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 山本先生、今の御意見、例えば1番に患者さんの声を何かの形で取り入れていただくことは可能でしょうか。

○山本参考人 現行のものにも入っている部分もありますけれども、できるだけ取り入れるようにしたいと思いますが、かなり時間が短いので、あれもこれもやって4月までというのがすごく大変だなと、つくる立場としては思っております。

○福井座長 それから、もう1項目ふやして、家族支援とACPを別扱いにという平原先生の御意見もありますけれども、そこも可能であれば配慮していただければと思います。

 はい。

○佐々木がん・疾病対策課長 大事なのは、この研修を受けた人がそれを理解して、御本人、多くの場合は御家族とちゃんと話し合いをしながら、緩和ケアもそうですし、今後起こり得ることを話し合って、都度の意思決定に臨んでいくということがまず到達目標ですので、それに対して、この受講をする層が、どういう研修プログラムの立て方で、どういうコンテンツだったらというのを、それが伝わる形になるか、作業過程の中でまたよく御相談させていただきたいと思います。

○福井座長 項目をふやすか、ふさないかは別として、今おっしゃったような御意見でACPを捉えるということは、また相談していただければと思います。

 最初に、細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、横文字であることが示すように、海外から取り入れられたものです。決して日本が悪いという意味ではないのですが、本邦ではかつてがん告知をしなかった時期が長く有りました。ところが、日本以外の国、海外においては、宗教的な背景も踏まえ、ほとんどが、かなり厳密な契約社会です。そうすると、医師と患者の関係というのも、契約で成り立ちます。そうするとその契約を行うためには、ほぼ全ての医療上の事実、データを患者に告げるというところからまず始まります。患者と家族は、その全てを聞いたことで、いろいろ考え、医療者とも相談し、アドバンス・ケア・プランニングへと進むわけです。そのような、本邦以外では当たり前に情報を正確に与えるということがあるという前提で、次にACPが推奨されてきたわけです。

 ところが、日本では、かつてがん告知さえなかなかされなかったように、こういった医療者・患者間の契約という概念がありません。現実に、現在もがんの病名告知はされていても、例えば手術ができない患者さんに化学療法が根治療法ではないという場合には、根治ではない延命効果だけですという説明はせずに、手術に換えて行える治療とのみ伝えるケースが殆どです。希望を残すという形では、これを“否”とは私も伝えにくいと感じるのは事実ですが、大概は化学療法で根治が望めるようなニュアンスで説明、ICが進んでいる状態です。そこで早期からの、アドバンス・ケア・プランニングと言っても、本邦では事実を告げず、患者が助かることを前提にして考えている中で、プランニングを立てるという状態が日常化しつつあります。 事実、現場では、ACPを単純に捉えた医療者が、患者さんにとってはバッドニュースになる事実を伝えてしまって(ACPでは当然必須ですが)、家族から、「どうしてそんなに希望のないことを患者に言うのですか。あの話を聞いてから患者が落ち込んでしまった。そのために免疫力が落ちて、治る“がん”が悪化してしまった。これはあなたたちの責任です。」というようなトラブルが、現場で出てきています。日本の医療界では、往々にして、海外のガイドラインをそのまま持ち込むことがよくあるのですけれども、日本というのは海外に比べると宗教、文化、その他、極めて特殊です。

 これは、どちらがいいとか悪いとかとは別問題です。日本人やその社会の優しさの表出でもあるので、私は個人的には大好きですが、この辺りが非常にクールな契約社会で構成されている海外のものをぽんと持ち込んで、それを日本にすぐ当てはめるのは少し難しい理由の一例です。ACPというのが前を歩き過ぎているところにちょっと懸念があります。現場では実際にはトラブルが生じているということをちょっと頭に入れておいていただきたいと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 三宅構成員、どうぞ。

○三宅構成員 少し戻って、10の研修の対象者ですが、現行ではがん診療に携わる全ての医師ということで、目標設定があって、いろいろな施設でもどこまでの医師か、かなり悩んだところだと思います。新しい条件だと、最終的にその他の医療従事者という記載があって、そういう方に対しても義務として考えたほうがいいのか、それとも、そういう方にはなるべく参加していただくという自由参加という立場なのか。あとは、医師・歯科医師に関しては、どのような診療科の医師・歯科医師までが対象になってくるのか、もしくは最終的には全ての医師・歯科医師ということを念頭に置いているのかということを教えていただけますでしょうか。

○福井座長 どうぞ。

○佐々木がん・疾病対策課長 まず、三宅構成員の御質問からです。

 資料3の2ページから3ページの左側にありますけれども、「すべきである」「望ましい」ということで書き分けをしたつもりでおります。では、「望ましい」というのはどの程度の推奨レベルなのか。「すべきである」ということは、そうでないところはどうするのかというところまでの細かい、この場合だったら全数でなければ、例えばこうした要件からどうこうということは、今、直ちにはありませんが、「すべきである」「望ましい」ということで書き分けをしたところでございます。

 あと、細川構成員の、我が国にそもそもACPという概念自体が今の時点でなじむのかという点は、例えばきょうの資料3の7ページの左側のクがまさにそうです。患者への悪い知らせの伝え方を踏まえて、事実上、がんと診断された時から行われる治療全体の見通しが同じですので、こういう状態ですと。そうなると、治療法は事実上、こういう選択肢しかありません。ただ、その選択肢の示し方も難しいですね。冒頭、中川構成員からも、放射線のインディケーションは、根治を目指す場合もあるし、緩和ケアで使う場合もあります。

 そのときに、どの治療法を、どういう提示の仕方。しかも、物によっては同時に組み合わせてはいけないものもあるし、物によっては同時に組み合わせる。そういった中でどこまで示した上で、治療計画。その治療計画の先にある予後見通しから、こうなったらどうしますかという話をしていくというのは、確かに難しいことだと思います。だけれども、それから先のことを考えると、我が国のこれからの医療はこの方向に向かっていく。単に英米の概念を入れるというよりは、我が国独自の今までの文化からしても、これから先は入れていくべきものですので。

 ただ、1つ気をつけなければいけないのは、細川構成員がおっしゃったように、よくよく相手とのコミュニケーションの築き方とかをセットでやらないと、見よう見まねで全ての人に同じような説明をするということ自体は、これは避けなければなりません。今、申し上げた点を、コンテンツの組み込み方の中で、これから先、この説明はするけれども、こういう場合は禁忌ですよという示し方ができるのかということも含めて、一番大事な患者との、また患者御家族との信頼関係構築のところですので、そこはよく工夫したいと考えております。

○福井座長 先ほど平原先生が、アドバンス・ケア・プランニングは人生の最終段階とは限らないとおっしゃった点ですけれども、確かに「人生の最終段階における支援」と書いてあるからそうなるので、「人生の最終段階にかかわる」としてしまえば、いつ支援するかは特定していないように思います。そういうふうにすれば、言葉の上での問題はないのではないかと、今、思いました。

○平原構成員 ACPという言葉は、確かにおっしゃるとおり、まだ日本に浸透していないというのがあるのですけれども、要は、いろいろなステージの段階で、それぞれの患者さんが自分の意思を表明して、その決定を支援するような体制をちゃんとつくるということです。初めから全部決められる人はもちろんいないわけですし、当初は治療にかけていらっしゃるわけですから、それは当たり前ですけれども、バッドニュースも事前の準備ができるような形は少しずつお渡ししながら、情報としてお話ししながら、決定のときに支えていく体制をどうつくるかという視点を、研修を受けた人に持っていただきたいということです。

○福井座長 ちょっと確認だけ。

 先ほど桜井構成員がおっしゃった資料1の13ページのがん等の緩和ケアにおけるコミュニケーション、患者への悪い知らせの「患者」という言葉に「家族」を並列して入れるという御意見だったのでしょうか。このことについて、どうするかの御意見を伺いたいのですけれども、ここは「患者」という言葉だけで、このままでよろしいですか。それとも、「患者」に加えて「家族」を前面に出す必要がございますか。事務局のほうは、何といっても「患者」が最初のところですのでという話だったと思います。これにつきまして、ほかの構成員の御意見を伺えれば。

 はい。

○桜井構成員 補足でいいでしょうか。ほかの部分もそうかもしれないですけれども、「患者」という言葉の中に「家族」も含めているのかどうなのかという概念的なところも少し教えていただきたい。アドバンス・ケア・プランニングも、家族を含めて行うというのが定義だと思いますし、私たちも支援活動をしていて、20年前は多分、家族が知っていて、本人が知らないという状況から、今、逆転していく中で、御本人が家族に最期まで言わないというケースが多々あります。

 言わないことから、御本人はもういろいろな覚悟を決めていても、家族のほうが最期まで治してほしいということで、治療がとめられずにずっと続けられてしまうというケースもあったり、緩和ケアに到達できないケースもあったり、必要な生活支援に届かないケースもあったり。届いたとしても、もう間に合わないケースが多々あるわけで、意思決定支援は私は家族も含めて考えていくということを大切にしていただきたいなと思います。

○福井座長 いかがでしょうか。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 緩和医療においての対象は、言うまでもなく患者さんとその家族というところですし、今、お話があったように、相談の中でも、医師の立場では、患者さんの了解をとっているから家族のことは考慮しなくともいいのだとなってしまっている、というのが、あります。いろいろな家族の思いと御本人の合意形成も支援しながら最善を考えるということを、最初のスタートの段階で医師の方にも意識を持っていただく意味でも、家族ということを書いていただいたほうが、おっしゃるように患者さん中心なのは当たり前ですが、先に申したところも現場では起きていることですので、ぜひ考慮していただけたらと思います。

○福井座長 いかがですか。全部に「患者・家族」と書きますか。

 山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 今、地域包括ケアシステムの3枚の葉っぱの図があるかと思いますけれども、あれも去年かおととしに、「患者・家族の意思決定(選択)と患者・家族の心構え」という文語が、「患者の意思決定(選択)と患者の家族の心構え」に変わりました。意思決定を家族を抜きでというわけではないけれども、日本はどちらかというと家族主義なので、家族の意向が非常に尊重される傾向が、私は現場を見ていてあると思うので、ここは患者さんと家族への支援を並列で書くのはちょっと抵抗感があります。患者さんが主体、患者さんが中心というのであれば、患者は患者であって、家族は支援する1人と、扱われるほうがいいのではないかと思いました。

○福井座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 テクニカルかもしれませんが、最初のところで「患者(家族を含む)」と一文入れておけば、そのニュアンスは伝わるのではないでしょうか。

○福井座長 家族への配慮も必要だということを前文みたいなところで書いておくことではいかがでしょうか。価値観が変わって、患者さんが一番重要なディシジョンメーカーとなってきていると思いますので、私の個人的な意見を言いますと、並列というのはちょっと抵抗があります。よろしいでしょうか。ただ、家族も重要な場面が多々あるということは、これは当然ですので、どこかでそのようなことへの配慮が必要だという文章を考えてもらえないでしょうか。

 済みません、先ほど手を挙げていた服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 先ほど研修対象者の話がちょっと出たと思いますけれども、スライド10の新・指針のほうに「その他の医療従事者」とありますけれども、具体的な職種というのは、資料を見てもわからなかったのですが、事務局のほうでは列挙できるのでしょうか。研修会に集めなければいけないときに、どこまでの医療従事者を集めることになるのかというのがちょっと気になります。

○福井座長 どうぞ。

○佐々木がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。

 実は悩んだのです。というのも、先ほどの山田構成員の、例えばチーム医療などの多職種連携の話にもつながる話ですけれども、多職種連携、もし横文字を入れるとIPWを和訳したのでしょうけれども、プロフェッショナルだけで今の医療をやるのか。

 そういうことも含めて、さまざまなことを考えると、それぞれの医療機関、またそれぞれの拠点病院を中心として構成される、さまざまな人の関係において、それを余り限定列挙的にするよりは、こういうそれぞれの拠点病院等での判断を尊重する形で、まさにさっきのチームビルディングではないですけれども、チームを構成するときに、自分の今の病院等では、この人に受けさせたいということが読める形で、その結果、今の御指摘のような、どこまで入るのか、ちょっとわかりにくいようになったのは、そういう思考過程から、このような書き方になったところです。

○服部構成員 例えば受けなければならないとなった場合には、各施設の判断で、この人たちに受けてもらいたいというのとはちょっと矛盾してきてしまうと思います。例えば、在宅などでPTのリハビリとかをやっている人たちも入ってしまうのでしょうか、栄養士さんもこれに入るのでしょうかとか。緩和ケアに従事するとなると、その他の医療従事者、受講する人たちというのはある程度規定したほうが、研修会を開催する側としてはわかりやすいのではないかと思います。もう一度検討してみてください。

○福井座長 山本参考人。

○山本参考人 つくる立場からすると、逆に構成員の皆さんからの御意見をお聞かせいただきたいと思います。これまでの集合研修の場合は、基本的には医師に対して行っていたのですが、3分の1ぐらいは医師以外の職種が研修を受けていました。座学というか、講義部分も全部聞いていただいて、事例検討やロールプレイも一緒にしたという形になりますが、今度、こういう形になるとe-learningになる。集合研修に来る。そうすると、そのe-learningも、医師以外の職種も全部勉強してから集合研修に来るのか。それとも、そこは別にやらなくても集合研修だけ来るのか。そうだとすれば、それは医師の研修の触媒として参加するみたいな形になるような感じもしてしまうのです。

 ただ、それを全部受けるのか。そして、それを受けるのであれば、しかもこういうふうに対象者として書かれているのであれば、今までは医師しか修了証が出ていませんが、それ以外の職種にもみんな修了証が出るのか。つくる立場としては、どういう形でつくっていけばいいか。ただ、医師に対しての教育のプログラムをつくっていますので、それ以外の職種の分をつくるというのは、また全然違うロジックになってくるのかなと思いますので、その辺についての御意見を。僕がこういう発言をするとよくないのかもしれませんが、ぜひお聞かせいただければと思います。

○福井座長 現在の改正案では、e-learningを受けた人が集合研修に参加するというつくりになっています。したがって、医師以外の人も参加していただくということであれば、当然e-learningもそのようなつくりになっていないと整合性がとれない。

○山本参考人 ただ、例えば想定しているプレテストというか、e-learningを見た後、オピオイドの変換をして何mmにするかみたいな問題があったとして、それを例えば栄養士さんができないといけないのか、看護師ができないといけないのかというところにも問題が出てくるのかなと思いまして、つくり込みの部分でちょっと悩んでおります。

○福井座長 いかがでしょうか。

 桜井構成員。

○桜井構成員 私もそれがすごく気になっています。私が参加したときには、オブザーバーとして、ロールプレイのときと、あと座学のときもいられる時間はいるという自主参加の位置づけOTPTの方が参加されていたり、ワーカーさんがいらっしゃったりという形態があったのです。ああいうときは、多分修了証はもらえていないですね。

○福井座長 修了証はオフィシャルには出ないので。

○桜井構成員 そうですね。ただ、そういう形態の参加の人たちをどうするのかというところなのかなと思っています。集合研修でチームを学ぶ目的で参加していらっしゃったのがオブザーバーの方たちだと思います。それを拒絶する必要性というのは全くないと思いますし、ここの書きぶりの「すべきである」というところでとどまっているのかなと思うのです。よりリアルな話ですとか。特に、OTPTの方は結構いろいろな話を聞かれているので、そういう情報共有をする上では、集合研修のときには、オブザーバーとして多職種がいてくれたほうがありがたいかなというニュアンスをもって書いていただけるといいのかなと思います。修了証は出ませんけれどもということで。

○福井座長 今回もそのような形なのでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 今、桜井構成員からの御指摘のとおりです。

 あと、山本参考人からのレベル設定のところですけれども、もともとそれぞれの医療機関での、まさにチームビルディングを考えたときに、そこは先ほど栄養士さんを例に出されましたけれども、使われている、普通に緩和ケアを行う際に出てくる言葉は理解していただくという意味では、それぞれの職種の国試出題レベルより高いものでも、それは求めるべきものということを前提にして、この資料はつくったところです。

○福井座長 でも、e-learning10項目のかなりの部分は医師に特化した内容になっていますね。これは大丈夫ですか。

 加賀谷構成員。

○加賀谷構成員 そもそもe-learningは有料なのでしょうか。それとも、緩和医療学会とかに入っていなくても、誰でも受けられるというお考えなのでしょうか。

○事務局(久保田) 事務局になります。

e-learningそのものに関しては、無料で受けられる形を想定しております。そのため、もう既に研修会を修了した者であっても、無料で受けられる形にしております。

○福井座長 先ほど平原構成員からのお話にもありましたけれども、1本の長さは、例えば30分とか45分とか、決めているのでしょうか。

○山本参考人 基本的には、現行のものを移していくような形になるので。ただ、しゃべっているのを聞く形ではなくて、読み進めていく形なので、早く読めば早く終わるということにはなると思いますが、今までのスライドの数を基本にしてつくっていく予定にしていますので、二、三十分で1本終わるぐらいの長さになるのではないかと思います。まだできていないのであれなのですが。

○福井座長 池永構成員。

○池永構成員 実際、集合研修を運営することを想定した場合には、医師以外の方に関しては、企画責任者がサポーターとして参加を依頼して、積極的にその医師とともに物事を考えてくれる方ということになるのではないかと感じております。そのような方々に、今からe-learningを受けろと言っても、十分な人を確保することはなかなか難しいような気もいたします。逆に、そういう多職種、医師以外の方々の参加が難しくなってくるのではないかということもあります。実際的には、企画責任者が認める医師以外のサポーターとして参加していただくということが、やや現実的かなということを、これまでの経験では感じております。

○福井座長 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 今、池永構成員がおっしゃられたとおりですけれども、多分、この研修会の目的の設定だと思います。医師に広く緩和ケアということを主軸に置くのでしたら、それは医師のレベルで、それこそオピオイドの扱いとかにならないとゴールが達成できませんので、それはそこに置くのかなと思いました。

 それとあわせて、一、二、できれば教えていただきたいのですけれども、例えば目的と関連するところですが、資料1のスライドの10枚目です。全医師が受講を望ましい施設として拠点病院等と連携するという形で、在宅療養支援診療所・病院及び緩和ケア病棟を有する病院という書きぶりをされているのですけれども、このあたりを見ますと、拠点病院から後方連携という形で、地域で過ごす施設で緩和ケアをある意味普及させるということが、多分意図した展開なのかなと思います。

 一方、これが拠点病院の中の事情を考えれば、先ほど平原構成員がおっしゃったように、診断時からのアドバンス・ケア・プランニングなり、あるいはそこで今後の方向性を相談するという場を院内に広く周知させなければいけない。多分、そういう目標もあって、その2つが何となく曖昧になったまま、ここにあるような気がします。なので、地域での基本的な緩和ケアの技術を広めるということと、あるいはそういう診断時の緩和ケアというところまで出すのであれば、その辺を意識して、例えばe-learningとかのコンテンツを少し整備してみるという切り分け方もあるのではないかと思いました。

 ありがとうございます。

○福井座長 医師以外の方に出てもらっても、修了証は今までも出せていないし、これからも出さないということであれば、e-learningも別個に用意して、医師以外の方については、例えばチームビルディングなどもそこに入ると思いますし、その上で集合研修に来ていただくということは難しいでしょうか。そうでないと、医師用の内容と、医師以外の方に知っておいてほしいものの切り分けがなかなか難しいのではないかと思います。

 事務局、どうぞ。

○佐々木がん・疾病対策課長 先ほどの小川構成員、池永構成員の御指摘も含めてですけれども、もともとイメージしていたのが、例えば拠点病院に入院中の患者さんがいらっしゃる。当然ながら、治療、とりわけ緩和ケアにおいては、医師同士の会話で全てを行っているわけではない。そうなると、医師または病棟の看護師さんもいらっしゃれば、さまざまなスタッフの方がいらっしゃいます。そのときに出てくる言葉、考え方の共通基盤を共有するために、ここに書いておりますとおり、3ページから4ページにかけてのところですね。医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者。

 ですから、ここについては、ふだん接しない、その他の医療従事者までは想定しておりませんので、ふだん緩和ケアの対象になるがん患者さんと接する場合については、例えば病棟の中で治療方針の話をするときに出てくる言葉の理解とか考え方の理解、さらには、さっきの望ましいとしたところについては、退院後のことがありますので、そのときに退院後の在支診の方ですとか、また緩和ケア病棟を有している医療機関。これは、退院後を見据えたときに、同じ考え方や知識、また使う言葉の共通基盤をつくるということで考えたので、それで、その他の医療従事者なり、また望ましいとしておりますが、退院後を見据えて連携する在支診、在支病、緩和ケア病棟を有する病院という対象設定をしたところです。

 となると、目的のところで、今、申し上げた、これからの緩和ケアを考えていったときに、単に拠点病院の医師同士で話をするのではなくて、より広げていくということを目的にし、それであるがゆえに、このような内容は共通のものとして理解するということを、もう少し目的がわかるような書き方をすることによって担保できればと思います。

○福井座長 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 お気持ちはすごくわかるのですけれども、先ほど福井座長が言った手しかないと僕は思います。結局、医師のためにつくられたもので、例えば神経ブロックや緩和的放射線治療まで入ってきたときに、栄養士さん、理学療養士さんがそれをe-learningで一生懸命勉強して、同じ話ができるようになるとするのはちょっと酷なのではないか。これは医師のための研修会であるので、もちろんe-learningはこのとおりどんどん進めていいと思いますが、参加する看護師さん、薬剤師さん、PTとか、そういう人たちには、この研修会の意図とか緩和ケアとはどういうものかという概念的なe-learningでいいのではないでしょうか。

e-learningをつくる人たちにプレッシャーをかけているようで申しわけないが、そういうものを別で用意するということが、e-learningを含めて、全ての職種が参加できるようにするために必要なのではないでしょうか。○福井座長 出席してほしいと言っている割には、余り労力を使わないで、ちゃんとした準備もしないで、医師用のものをどうぞと言っているように聞こえてしまいます。

 平原構成員、どうぞ。

○平原構成員 今回の改正の目的の一つに、地域とか在宅、あと拠点病院以外の病院に広げていくということを目指しているということがございます。それで、実際、在宅では、余り緩和に詳しくない主治医に、訪問看護師さんで非常に詳しい方がバックでついて、在宅で緩和ケアするという場面もありますし、例えば中小の病院だったら、病棟の医師がそんなに詳しくなくて、そこに緩和ケアの認定さんがいてすごく助かっているという場面もあるわけですね。そうすると、全ての職種は無理ですけれども、看護師で在宅を相当しっかりやっている方とか、もちろん緩和の認定さんとかもそうですけれども、結構ついてこられるのではないかと私は思っています。

 それで、この内容は、基本的に医師はデューティーですけれども、多職種、特に看護師は、e-learningを含めて、修了した人には修了証か何かを発行するようなことがあってもいいのかなと。具体的には、全ての職種というのは難しいので、看護師というところを念頭に置きながら、看護師とは書けませんので、多職種という形で書いてもいいかなと。

 もう一つは、地域に広げたときに、例えばそこの病棟の医長さんと看護師さんとペアで来てもらうとか、地域で一緒にやっている訪問看護ステーションと主治医と一緒に参加してもらうということで、それがまた持ち帰って地域連携というか、あるいは病棟内の連携、職種間の連携が深まるということも、ここでたしか意見として少し出したことがあると思いますけれども、そういうことも狙うのであれば、なおさらそういうふうにしたほうがいいかなと思います。

○福井座長 山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 私は看護職ですけれども、看護職も他の職種も、最近はこの緩和ケアに関する研修会が至るところで開かれていて、チームにかかわっている人たちというのは、それなりに知識、スキル等を持っています。さっき先生もおっしゃっていただいたように、何も知らない医師よりはちょっとましなぐらい、経験的にも結構知っていてカバーしている部分もあります。さっきの神経ブロックの判断のようにわからないこともあるかと思いますが同じ土俵の中で学ぶことは重要だと思います。

 内容を見ると、コミュニケーションだったり、せん妄だったり、不安だったり、そういうあたりのこととか多職種連携のことというのは、結構共通して学べるので、私は新たに何々用というものをつくらなくても良いと思います。修了問題も零点のところもあるかもしれないけれども、別に修了証を出すわけではないので、e-learningをできるだけ受講して集合教育に御参加くださいということでいいのではないかと思います。

○福井座長 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 座長のほうから、先ほど30分ぐらいでということもありましたが、全体の指針・項目を見ていきますと、例えば3から7ぐらいまでは医師は必須だけれども、多職種、ほかの医師以外は、受講はいいけれども、必須ではないというぐらいにしておいて、基本的な概念とか包括ケアとかコミュニケーション、地域連携等をある意味必修ぐらいにしておいて受けてもらうということならば、可能ではないかと思いました。

○福井座長 ありがとうございます。

 これで時間が終わってしまいそうですが、細川構成員。

○細川構成員 まさにそうだと思います。看護協会が行ってきた委託事業の研修会もありますし、ELNEC-Jは、既に10万人ぐらいの看護師がこの受講を終えています。私もそうですが、例えばMSWさんの緩和ケアの勉強会や訪問看護ステーションの看護師やケアマネの勉強会、などにも講師として出ています。地域の医師会におきましては、年配の診療所の先生とかは、例えば化学療法や放射線療法を先にやってから手術をするということすら、時には御存じなくて、「えっ、まず手術が先じゃないの?その治療はおかしいね?」などと患者さんに言ってしまうというようなケースもままありました。

 これでは困るということで、京都では、府の健康課と医師会、京都府立医科大学附属病院、京都大学とが協力して、診療所の先生方に、5大がんと緩和ケアについての基本研修を丸一日のコースで、去年から始めています。最初、30人ぐらいの参加を予定していたのに、何と150名ほどの参加がありました。このように、それぞれの職種に対して、地域で結構できているところがあります。研修はカリキュラムもいろいろになりますので、余り対象を広げずに、この研修に関しては、まず医師を中心に、でも参加希望者の参加に関しては妨げないというレベルで受講可とする。もちろんe-learningはどの職種の方も自由に受けていただいて無料で参加できるというぐらいでおさめたほうがスムーズになると思います。

○福井座長 ありがとうございます。 有澤構成員、どうぞ。

○有澤構成員 薬剤師は、病院の中ではきちんとそういったチーム医療の中でしっかりやっていると思います。ところが、最近は、在宅というのが地域の中でどんどん進んでいて、かつ、ターミナルケアなども、自宅で最期を看取ってほしいという方もふえているのは事実です。そういった中で、地域の支える診療所の医師の先生も忙しいのもありますし、協働して、そういう人たちの麻薬による疼痛のスクリーニング等をしながら薬局でやっているケースもあります。

 先ほどお話があったように、ある程度自由に参加できる中で議論にも参加していくといった形でいいと思います。特別枠をつける必要は、ないと思います。参加する限りは、薬局の薬剤師も覚悟を持って参加しますので、そういうことから考えれば、必要以上に枠をつけるよりは、参加できるような形の案内をしていただけるほうがいいと思います。これだけを見ると、薬局の薬剤師が出られるか出られないかわからないので、在宅でかかわっている薬剤師で参加の門戸があるということを示していただければいいのかなと思います。

○福井座長 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 ありがとうございます。

 今までずっと発言を聞いていて、また、10年間の緩和ケア研修会を見てきて、座学というか、医師が学んで、看護師が学んで、今、そこまでの話になっていると思いますけれども、実際、これを受けて医療現場で実践して、患者が医師の説明をよかったと思える、患者が理解できるところまで行っていただきたいというのが願いです。幾ら研修を受けても、それが現場で実践されていなかったら何にもなりません。今の時点では、先ほど細川先生がおっしゃいましたけれども、いかにも治るような、希望を持たせるような言い方で抗がん剤をする。でも、医師は、この人、治らないよと思いながら抗がん剤とかを勧めて治療しているというところを私、多々、目にしております。

 そのあたりも本当に難しいことではありますけれども、どうか患者に嘘をつかないというか、患者が理解できて、患者のためになる研修会にしていただきたいなと思っております。お願いいたします。

○福井座長 ありがとうございます。

 それでは、田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 時間のない中、申しわけありません。ちょっと確認ですが、先ほど桜井構成員がおっしゃいましたが、14ページの社会的苦痛の中で療養場の選択に関することで、末期がんの診断で40歳以上から介護保険の該当になるというところ、割り当てられる総時間が少ないので,盛り込むのが難しいとおっしゃったのはわかるのですけれども、先生たちがそのことを早くわかっていて、書類を書けば、若年の方が介護保険を使っての在宅を選べるチャンスをすごくふやすことができると思うのです。ですので、そこのところは知識としてぜひ持っていただけるような内容にしていただけたらありがたいと思います。

○福井座長 これは、その方向でということでよろしいでしょうか。知識の提供の話です。はい。

 いろいろ問題がありますけれども、スケジュールからいって、ことし中には公開というスケジュールになるのでしょうか。もしそうでしたら、本日、いろいろ御議論いただきました内容につきましては、スケジュール上は難しい点も多々ありそうですので、大まかな方向は変えないつもりですけれども、事務局と座長の私で相談しながら、適宜、構成員の皆様と確認しながら、案をさらに詰めるということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 先ほどから修了証のことが出ていたのですけれども、修了者の名簿についての説明が今回はなかったのですが名簿をつくっていかれるというお話もお伺いしております。できましたら、受講したことだけは残るような形で名簿をつくっていただくということをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、看護職のほうも、認定看護師と専門看護師の方の名簿ができるようにということで、御検討いただけるとありがたいと思います。

○福井座長 それは、事務局のほうで、その方向で考えていただくということでよろしいでしょうか。大丈夫ですか。

○事務局(久保田) ありがとうございます。

 資料3の26ページを見ていただきますと、今後、医師・歯科医師以外の職種について、記録としてきちんと名簿を提出していただくようにしておりますし、また、e-learningシステムにおいても、e-learningを受けた方が集合研修を受けた場合は、それを事務担当者が集合研修を受けた者としてひもづけるような形になっていますので、その辺、全てデータとしてきちんと残すことになっております。

○福井座長 この点につきましては、よろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 時間のこともございますので、議題2に移りたいと思います。「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループについて」でございます。

 事務局より、資料4と5について説明をお願いします。

○事務局(久保田) よろしくお願いします。資料4、資料5の説明を行いますので、お手元に御用意ください。

 まず、資料4をごらんください。前回の検討会において、循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に対するワーキンググループの開催要綱の案に御承認いただきましたので、今回、開催要綱として提出させていただきます。

 また、資料4の裏面をごらんください。こちらのほうに、ワーキンググループの構成員が、ごらんの8名の方に決まりましたので、御報告させていただきます。

 資料5のスライドをごらんください。循環器の緩和ケアの提供体制のあり方に関するワーキンググループの今後の予定(案)を記載しております。

 本日の議論を得て、来年の春から夏ごろまでに数回のワーキンググループを開催し、その取りまとめを行った上で本検討会に提出していただく予定です。

 内容としましては、資料4の開催要綱の2の検討事項に対応しております。資料の中央にある内容を検討いただく予定で、循環器疾患における緩和ケアの現状と課題について。循環器疾患に対する緩和ケア提供体制のあり方について。そのほかの内容として、循環器疾患とがんにおける緩和ケアの共通点、相違点について。循環器疾患における緩和ケアチームの体制などを御議論いただく予定です。

 以上になります。

○福井座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして御意見等ございましたら、御発言をお願いいたします。

 桜井構成員。

○桜井構成員 1点だけなのですけれども、構成員名簿がついているのですけれども、循環器疾患等々の中で地域との関係が物すごく重要だと思っているのですが、ケースワーカーとかソーシャルワーカーの方の参加というのはなくて大丈夫なのでしょうか。それとも、どなたかがそれを代弁されるのか、教えていただければと思います。

○事務局(久保田) 御質問ありがとうございます。

 今回の構成員の中には含まれておりませんが、参考人として来ていただき、特に社会的な背景を中心に御検討いただく予定にしております。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 ありがとうございます。

 恐らく、この緩和ケアの中に入るのかなと思うのですけれども、心不全となりますと、長い中での認知機能障害とか、特にせん妄の問題とかもあります。そういう精神症状に関して、意思決定ということが先ほどのがんで出てきましたけれども、それを心不全の場合は長い経過の中での話がより重要になると思いますので、取り上げる話題になるかと思いますけれども、ぜひお願いできればと思います。

○福井座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 循環器にかかわる点とちょっとずれるのですが、資料5を拝見しまして、このワーキングが報告を取りまとめて本検討会のほうに上げるということだと思いますが、これを見ると第8回が随分先なのです。来年度になるのでしょうか。これまでの議論、あるいはちょっと先走りますが、資料6に書いている課題、また、まだ閣議決定されませんけれども、安倍総理が第3期の基本計画に関して、進捗状況について見ていくということも言われていたと記憶しますので、がんのほうもワーキングというか、何らかの仕組みをつくって並行して議論していく必要があるのではないか。

 どのような形でそれを行うかは、また事務局に諮っていただきたいと思いますけれども、ぜひそういったこともお願いしたいと思っています。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにこの循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方につきまして、何か御意見ございませんでしょうか。よろしいですか、事務局提案のこの資料にのっとって検討していただくということで。この検討会の構成員の中からたくさんの方々がワーキンググループの構成員になっていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議題3の「その他」についてでございますが、参考資料1の開催要綱をごらんください。この真ん中付近に2.検討事項と書いてありますが、(1)のア、イ、ウについては、今まで議論いただいたテーマでございます。

 (2)の緩和ケアの充実に向けたその他の具体的な対策についての議論をいただければと思いますが、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局(久保田) 事務局になります。

 資料6の説明を行いますので、お手元に資料6を御用意ください。資料6においては、本検討会等にて緩和ケアの更なる推進のために検討すべき課題について挙げております。今後の緩和ケア研修会について。診療連携拠点病院以外の病院における緩和ケアや在宅緩和ケアなどの提供体制について。緩和ケアの質の評価について。支持療法について。がん患者の自死について。その他疾病を含めた緩和ケアのあり方について(循環器疾患における緩和ケアの議論を受け、その他疾病の緩和ケアへの応用について等)です。

 以上になります。

○福井座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。今後のこの検討会において議論していくべき内容を列挙していただいておりますけれども、そのほかのことも含めまして、何か御意見ございましたら。中川先生は、このようなテーマをもっと間隔を詰めて検討したらどうかという御意見だったと思いますけれどもね。

 桜井構成員。

○桜井構成員 中川構成員の意見に全面的に賛成です。これだけの課題があるわけで、というか、これまでも研修会の議論が相当中心になってしまって、本質的な、具体的なシステムの話が全くできていなかった気がしています。次回が来年春とか夏というのは、私も今、見てびっくりしてしまいましたので、ぜひしっかりやっていくことが必要なのではないかと思います。

○福井座長 課長、いかがでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 どういう間隔でというのもありますし、逆に言うと、だからこそ、この資料6で挙げている6項目以外にも、こういうことがある。これは、より緊急度というのですか、優先順位づけというのも何となくニュアンスが伝わらないのですけれども、なので資料6についてさまざまな御意見をいただいて、それを交通整理して、どのタイミングで、どういう議論を挟み込めるかということを検討していきたいと思います。まず、資料6で、この項目についてはこうだとか、この項目にないけれども、今すぐ必要だとか、そういう御意見をいただければ、最終的な進行整理をしたいと思います。

○福井座長 例えば優先順位でもよろしいわけですか。この中の、まずこれを徹底的にとか。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 ありがとうございます。

 優先順位というのではないのですけれども、この辺の課題というのは、大きく分けると、先ほどの研修会もそうですけれども、拠点病院から地域での連携という話と。

 もう一つ、拠点病院の中でのケアです。特に、告知後とか。あるいは、支持療法という言葉が入っているにしても、がん治療中の方にどのようなサポートを行うのか。多分、そこの2つの議論というのが、要するに対象が病院も全然違いますし、人も違う。片方は在宅とか地域の医師で、片方はがん治療医になるかと思いますけれども、その辺を少し軸にして整理すれば、課題はかなり見やすくなるのかなと思います。

 その点でいきますと、がん患者の自殺というのを挙げていただいていますけれども、最近は医療安全の問題も絡んでいますし、特に告知ということと、先ほどの意思決定に直結する問題だと思いますので、診断時の緩和ケアというものが基本法等でより強く出ていることを踏まえると、その辺は内容がもう少し厚くなってもいいのではないかなと思いました。

○福井座長 ありがとうございます。

 患者さんの立場から、まずこれをというのはございませんでしょうか。

○桜井構成員 どれも重要過ぎて、これをというのはなかなか言えません。今、私どもがすごくストレスを感じているのは、腫瘍内科の先生と緩和ケアを併診したいということです。同時に並行して受けていけるような環境づくりというのは、すごく重要だなということを思っていますので、地域に広がるという部分も含めて考えていければなというのは、すごく思うところです。

○福井座長 ありがとうございます。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 ありがとうございます。

 いろいろなことが話し合われているのですけれども、今、医療現場でチーム医療とか、いろいろなことができ上がりつつあります。私はもう患者ではなくて経験者ですけれども、まさにがんと向き合っている方たちが困っていらっしゃるのは、1つの病院の中で各科に分かれてしまい、全体がまとまっていない。だから、主治医がその人をずっと最期までという感じで、医療者間の連携というものができていないように感じております。それは、患者の不利益であると思っております。だから、そこをもっとうまく。今、チーム医療だ、医療者間の連携だと言葉では出ているのですけれども、実際にはできていないのではないかということを考えていただきたいなと思っております。

○福井座長 先に池永構成員。

○池永構成員 ありがとうございます。

 ここの項目の中には入らないのかもしれないですけれども、私自身は緩和ケアの普及啓発の仕事を学会ではしておりますが、まだまだ緩和ケアの言葉とか医療用麻薬の抵抗感というものがあり、その中で一番大きなことは、先ほどACPということがありましたが、治療がなかなかうまくいかないとき、また症状が悪化してきたときにどうするのかということを早い時期から考えておくという文化をつくらないことには、緩和ケアというのは本来の意味では進まないだろう。病気が治ると思っていたら緩和ケアは要らないわけです。

 でも、実際そうではないということを考えていけるような形。特に、治療がうまくいかない、または症状が非常に強くて、症状をとる治療が生活の上で必要になってきたときのことを、元気なときから考えていくということを国を挙げてどう考えていくのかというのを、現場を見ていますと非常に感じている内容ではございます。

○福井座長 ほかには。

 桜井構成員、どうぞ。

○桜井構成員 ありがとうございます。

 がん対策推進基本計画の中にもあるのですけれども、今、前川構成員のほうもおっしゃったとおり、どういうふうに提供されているのかという、そのものの部分というものが必要なのかなと思っています。なので、それは緩和ケア提供体制という言葉にしてしまうのか、緩和ケアセンターの機能をより一層強化するという言葉で書いてあるのですけれども、この「強化する」というのが「どういうふうに強化するのか」という議論をするとか、本質的な部分というのは一度必要なのではないかなと思っています。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 三宅構成員、どうぞ。

○三宅構成員 何となく数値目標が達成されて、拠点病院はこれでいいかという雰囲気もあるのですが、私も現在複数の拠点病院で働いています。拠点病院同士の格差とか拠点病院の中での連携、さっきからお話が出ていますが、私も今の病院では腫瘍内科と併診する形にしていますけれども、どの程度この研修会の効果があるかという評価はされていません。現況報告でいろいろ記載するのですが、表面的なことしかわからない。

 これは、多分、緩和ケアの質の評価にもつながると思いますけれども、原案を見ると、拠点病院はもう十分緩和ケアが提供されていて、それ以外に広げていくというニュアンスが伝わってくるのですが、そうではなくて、拠点病院こそしっかりしなければいけないということをぜひ盛り込んでいただければと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 服部構成員、どうぞ。

○服部構成員 最初に池永構成員が言われていた緩和ケア研修会の修了者数、10年で10万人。頑張った成果が出たと思います。ただ、10年で10万人ですから、この10万人のうち何人が現役で緩和ケアを提供されているのかというデータはお持ちですか。10年間で10万人ですから、その中に引退していった先生たちもいるでしょうし、もうやめてしまった先生たちもいらっしゃると思いますけれども、この10万人のうち、今、大体どれぐらいが医師として働いているかというデータはお持ちでしょうか。

○事務局(久保田) 事務局です。

10万人の医師の修了者に関するデータというのは、現在、働いている、働いていないを含めて、こちらにはありません。

○服部構成員 もし、次に何十万人という目標が立つときには、現在働いている先生たちの何%に研修を終わらせるという目標にしたほうがいいのではないかという意見です。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 私は同じことを申し上げて何ですけれども、緩和ケアの質の評価。質のプロセスなり、アウトカムなり、何かの方法で評価できない限りは、教育を受けさえすれば、みんなそのとおりやると思っているのは、ちょっとナイーブ過ぎるようにと思います。実際に提供されている緩和ケアの質を何かの形でみんなの知恵を出して評価しない限りは、隔靴掻痒、研修をやったから質が上がると信じても、裏切られるのではないかという気はいたします。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 評価をデジタルで表現するのはなかなか難しいです。例えば、今、検討されている評価項目中に、緩和ケアチームに相談が寄せられるというのがあります。ここにも、2つ問題があります。

 1つには、その病院全体で緩和ケアがかなり普及していると、初期の段階のところでは主治医、担当看護師、病棟薬剤師のレベルが高く、別に相談する必要がなく対応可能なケースが多々あります。だから、緩和ケアチーム結成の最初のころは相談件数がまず増えて、病院内のレベルが上がると、徐々に相談件数が減っていくというのが普通のまともな姿です。相談件数の多寡で判断するというのは質を反映しているとは言えません。

 それと、既にこのような相談数で評価されることを病院によっては事務方が知っていて患者サイドにこちらから電話連絡する形、つまりスクリーニングかアンケート調査になるのですが、それを行った奨励を全て相談した症例数にカウントしている病院が実際にはありました。そうすると、がん患者さんのほとんど100%になります。でも、そういうものが実際に新聞に載るとその施設は全国3位の素晴らしい施設として書かれてしまっているのです。昔、例えば腰椎椎間板ヘルニアの手術件数の多寡で病院を評価することを週刊誌でやって、必要ない手術を行っている施設がトップテンに記載され、高い評価とされていました。そのうち、どれだけが症状軽減又は治ったというデータも評価もありませんでした。これは、週刊誌的、新聞紙的な発想で、よく行われていることですが、厚労省の評価をこれと同じことがなされるようなことだけは、避けていただきたいのが次の1点です。

 別件ですが、がん患者の自殺ということに関して、日本はかなりパーセンテージが高いとこの推進委員会でも言われたことがあります。しかし、欧米を中心としたがん患者の安楽死を認めている国では安楽死は自殺に含めていません。この安楽死でなくなる患者数が実はすごい数です。本当に安易にがん患者さんの安楽死をヨーロッパでは行っているということも、よくご存知とは思いますが、本邦のがん患者さんの自殺率を海外と比較するときにはこのことを考えていただきたい。少し調べていただいたらすぐに分かることと思いますが、莫大な数が安楽死されているのが事実です。

○福井座長 最近、オランダから論文が出ましたね。十数年前、全死亡のうちは安楽死が1.8%だったのが、最近4.5%までふえてきたとのことです。統計をとっても、先生おっしゃったように出てこないですね。外国はほとんど安楽死しているからとなりますので、なかなか難しい問題だと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 課長、どうぞ。

○佐々木がん・疾病対策課長 さまざまな御指摘、ありがとうございました。

 先ほどの前川構成員の御指摘にあるのですけれども、最終的には患者さんにちゃんと届いているか。では、それが届いているか否かということをどういうふうな測定をするのか。それに対してどういう方法が必要かというのは、患者中心に据えた上で考えたときにどういう同心円を描いていけるのかということで、さまざまいただいた御指摘を整理したいと思います。

 また、田村構成員、桜井構成員、小川構成員の御指摘でしたか、指針の議論がこの何回か中心だったのですけれども、結局、その指針というのはどういう形で人を育てていくかということでしたので、今までの指針での御意見、御議論を踏まえて整理したいと思います。その上で、また進行整理を御相談したいと思います。

 ありがとうございました。

○福井座長 ありがとうございます。

 最後に、川本構成員より、参考資料6「平成28年度厚生労働省委託事業 がん医療に携わる看護師に対する地域緩和ケア等研修事業」についての御報告をしていただくことになっています。

 お願いします。

○川本構成員 御報告の機会をいただきまして、ありがとうございます。前回、お休みさせていただきましたので、改めまして、私のほうから御説明させていただきたいと思います。

 厚生労働省から委託ということでさせていただきました。この事業をする前の積み重ねには、3年間の緩和ケア推進のためのリンクナースの育成事業等もさせていただいております。講義部分をオンデマンドでインターネット配信するという新しい取り組みをさせていただきました。受講対象は拠点病院の方を中心にしていたのですが、拠点病院以外あるいは訪問看護ステーションの方からもぜひ参加したいということでアプローチがありました。また、地域緩和ケアのネットワークを進めていくという目的もございましたので、交流会も含めた事業とさせていただきました。

 事業内容は、まず2つございまして、1つは、今、お話ししましたように、地域緩和ケアの看護相談に関する研修プログラムのインターネット配信をさせていただきまして、地域緩和ケアに関する知識や実践方法についての均てん化の推進ということを進めさせていただきました。その結果、いろいろな知識・実践方法等が非常に深まったという御意見をいただきました。

 もう一つの事業内容の2というものがございますが、このようなインターネット配信の講義を受けた方に緩和ケアのネットワークを構築していただくために交流集会を開きました。全国の6地区で、ネットワーク形成の促進を目的として、地域緩和ケアに関する情報交換や、いろいろなつながり方の共有、課題・解決策の共有ができたという成果をいただいております。

 インターネット配信のオンデマンドの研修プログラムでございますけれども、パワーポイントの2枚目のような内容でさせていただいております。基本的知識だけではなくて、地域連携、専門家への橋渡しについての理解も目的にしておりますので、ソーシャルワーカーの方にも講義にいただきました。

 1枚めくっていただきまして、パワーポイントの3枚目になりますけれども、実際には3,429名の方に受講していただきました。

 下に所属施設がございますけれども、拠点病院外の方が非常に多かったということと、訪問看護ステーションの方にもが非常に多く参加していただきました。

 また、病床規模に関しましても、規模が小さいところに勤務されている方により多く参加していただいたということで、本来の目的である地域緩和ケアに携わる看護師を対象とすることができたのではないかと思います。

 それから、このようなオンデマンドの研修プログラムの配信に対する評価でございますけれども、講義内容は実践に非常に役立つし、よく理解できたということでございます。

 自由記述の下の2つを見ていただきたいのですけれども、地域差が、がん医療均てん化のバリアになっていると考えるために、オンデマンド形式の研修機会は有用性が非常に高い。基礎知識として養うべき分野については、このような形式の研修がよいとか。訪問看護ステーションに所属していると研修受講の機会が限定されるために、このような研修開催を拡大してほしいという意見をいただいております。

 めくっていただきまして、パワーポイントの5枚目でございますけれども、こちらが地区別で交流集会を開いたものでございます。

 交流集会の内容で、トピックス講義というのは、MSWやがん相談支援センター相談員の方に事例とともに具体的な実践を紹介していただいたという状況でございます。425名の方に参加していただきましたが、近隣の地域で勤務している方で拠点病院、拠点病院外、訪問看護ステーション勤務の方を意図的に同じグループにする等グループ構成に気をつけて意見交流をしたという実績がございます。

 下のアンケート結果でございますけれども、参加していただいた方の多くは、拠点病院以外の病院、訪問看護ステーションに所属されているということでございまして、実践に役立つ知識が得られたとか、切れ目のない緩和ケアを提供するための地域連携のイメージがわいたということで、非常に高い評価をいただいております。

 また、最後になりますけれども、アンケートの結果の自由記載の状況をまとめさせていただいておりますけれども、実際にいろいろな意見交換をすることで、訪問看護ステーションのスタッフと現状を把握できたということとか、意見交換の中で、むしろ自分の施設の課題が見えてきたという御意見をいただきました。

 また、地域で緩和ケアをつなぐための自分自身の役割を理解、確認することができたし、連携ということの本当の意味での重要性を実感したということも御意見をいただきました。

 また、一番の成果と私たちは思っているのですけれども、3番目の地域緩和ケアに関する課題が共有できたということ。そして、その中で話し合うことで、解決策について具体的なアイデアが交換できたことに非常に意味があったという御意見をいただきました。他施設の取り組みの内容を知って、自分自身が実践すべき内容が見えてきたということで、病院勤務の看護師が訪問看護ステーションの方からいろいろな情報を得ることで、在宅緩和ケアにつながる方法というものがわかったという御意見をいただきました。

 以上でございます。

○福井座長 ありがとうございます。

 これは今年度も続いているのでしょうか。

○川本構成員 いえ、1年しか。

○福井座長 1年だけ。

 木原構成員、どうぞ。

○木原構成員 今の報告ですが、医師の参加というのは1名でもあったのですか。

○川本構成員 看護師が対象になっておりますので、申しわけございません。

○福井座長 ありがとうございます。

 何か御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、お約束の時刻が迫っておりますので、最後に事務局から何か連絡ございますでしょうか。

○事務局(久保田) 事務局です。

 次回の検討会に関しましては、事務局より追って御連絡いたします。お忙しい中、恐縮ですが、日程の調整をよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議を終了させていただきます。構成員の皆様、長時間にわたり、まことにありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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