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2017年9月6日 第3回ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会

医政局研究開発振興課

○日時

平成29年9月6日(水)15:00~16:00


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

【委員】

戸口田委員長 梅澤委員 柘植委員 松山委員 南 委員
山口委員

【事務局】

厚生労働省研究開発振興課 森光課長
厚生労働省研究開発振興課 福田室長補佐
厚生労働省研究開発振興課 本間専門官
文部科学省ライフサイエンス課 神崎専門職

○議題

1 ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認

○議事

○森光課長

 傍聴の皆様方にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますようお願いいたします。

 ただいまから「第3回厚生科学審議会再生医療等評価部会ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会」を開催いたします。本日は、委員会の定数9名に対しまして、現時点で6名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。

 本日の会議資料の確認をさせていただきます。資料は、議事次第、座席表、委員会名簿、資料1-1「ヒトES細胞樹立計画変更書」、資料1-2「ヒトES細胞株の樹立計画書」ということで、国立成育医療研究センター研究所から出たものです。資料1-3「使用する研究室と動物実験室の見取り図」、資料1-4「事前質問及び回答」、資料1-5「ヒトES細胞の樹立に関する指針」となっております。また、タブレット格納資料として、「ヒトES細胞の樹立に関する指針」と「ヒトES細胞の樹立に関する指針ガイダンス」が入っておりますので御活用いただきたいと思います。円滑な議事進行のため、頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。以後の進行につきましては、戸口田委員長にお願いします。よろしくお願いします。

○戸口田委員長

 議事の1、「ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認」になります。当委員会運営細則第4条に基づき、審議は公開といたします。今回、本委員会で扱うヒトES細胞の樹立計画は1件ですが、委員会運営細則第6条の規程に基づき、梅沢委員長代理は御退室いただきます。

(梅沢委員長代理退室)

○戸口田委員長

 本日の議事に入らせていただきます。事務局より、説明をお願いいたします。

○森光課長

 本件は、特定胚等研究専門委員会(旧特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会)で第42回で承認されました樹立計画での変更となります。樹立計画の名称は「ヒトES細胞の樹立」です。樹立機関の名称は「国立成育医療研究センター研究所」です。資料の1-1から1-5を机上に紙媒体で配布しておりますが、樹立計画その他の書類等はお手元のタブレットに格納されておりますので、適宜御活用いただきたいと思います。

 変更事項に関してですが、主なものとしては、臨床応用可能なヒトES細胞の樹立を行えるように、連結可能匿名化への変更と、それに伴うインフォームド・コンセントに係る説明文書の変更など樹立計画の該当する箇所の変更、それからヒトES細胞の樹立・培養維持区域を追加、生命倫理に関する学習歴の更新された点となります。なお、本件の事前質問は前川委員のみから頂いておりますけれども、本日、前川委員は御欠席です。御指摘に対する回答につきまして、事前に前川先生より了承を得ていることを申し添えさせていただきます。

○戸口田委員長

 提出者にお入りいただきます。

(提出者入室)

○戸口田委員長

 事前の質問に対する回答を含めまして、提出者から、10分程度で説明をお願いいたします。

○提出者

 よろしくお願いいたします。研究所長の松原でございます。本所からの出席者は私の隣から、樹立責任者の梅澤明弘再生医療センター長、分担研究者の阿久津英憲部長、研究医療課の友利久哉課長。そして中村和昭室長でございます。よろしくお願い申し上げます。

 私たちの研究所では、ヒトES細胞の樹立機関として、平成1935日に文部科学大臣の確認を頂きまして、これまで7つのヒトES細胞を樹立し、国内の研究者へ分配、及び分配機関である理研バイオリソースセンターへ寄託しております。平成2611月にヒトES細胞の樹立指針が改正され、匿名化の方法などが変更されました。本日はこの指針改正に伴い、私どものヒトES細胞の樹立計画を変更いたしましたので、御審査をよろしくお願い申し上げます。樹立計画の内容につきましては、分担研究者の阿久津から説明させていただきます。

○提出者

 早速変更内容を、お手元の資料を基に順次に説明してまいりたいと思います。資料は、様式1-2別紙です。タブレットは上から4番目になります。お手元の紙の資料は2ページ目になります。その中の(4)変更の内容です。大きく3つの項目を提示しております。1)3)になります。まず、1)生命倫理に関する学習歴の更新です。成育では生命倫理あるいは研究倫理等に関する講習会を毎年複数回、定期的に行っております。その直近の記録に更新をいたしました。

2)は今回の大きな変更点ですが、同意手続きを旧指針での連結不可能匿名化から、番号を付与した対応表による匿名化に変更するものです。それに伴い、樹立計画書の該当する箇所を修正しております。今回のES細胞樹立は、研究・医療等に広く使用可能なES細胞として、匿名化の下で樹立するように変更したものです。特に、インフォームド・コンセントに関する説明文書の変更は、この後に説明したいと思います。

 次に3)4ページです。ES細胞の樹立・培養維持区域の追加として、管理する区域を追加いたしました。私どものES細胞樹立計画は、成育のES細胞倫理審査委員会と細胞提供機関である埼玉医科大学で審査をされました。この審査結果の概要につきましては、お手元の資料の添付12になります。タブレットでは一番最後から2つ目の資料になります。添付1、添付2というファイル名が記されております。その中の添付2を御覧ください。埼玉医科大学では、ヒト幹細胞研究倫理審査専門部会と倫理審査委員会があり、書面審査分も合わせて計7回御審議いただきました。審査結果の概要に記載をしております。その審査結果の概要の中で、提出資料の埼玉医科大学の倫理委員会名簿の中で、3名の委員の性別について誤りがありますので修正したいと思います。まず、部会の委員の中の伴場委員、倫理委員会名簿の中の三谷委員と山田委員の性別が異なっていますので、訂正いたしました。

 次に、樹立計画書で今回、大きく変更した点について御説明いたします。お手元の紙の資料とタブレットは、樹立計画というファイル名になります。国立成育医療研究センター研究所の樹立計画書「ヒトES細胞の樹立」というファイル名です。ここでは修正箇所は赤字で示しております。まず、計画書の22ページ、PDFでは通しで25ページになります。計画書の下のページ数では22ページになります。その項目「11.インフォームド・コンセントに関する説明」です。項目11(4)の修正した文章を読み上げさせていただきます。樹立機関の説明担当者は、ES細胞とは何か、医療・研究等の内容の概要、ES細胞樹立によって提供者は利益も不利益も受けないこと、提供者のプライバシーは保護されること、提供は無償であるということ、樹立されたES細胞は国内外で利用されること、ES細胞から医薬品等の成果が出て、商業利用を行う可能性があるが利益を受けることはないことなどについて説明しております。

(5)は、再同意手続きの説明を記載しています。一部読み上げます。再同意手続き中は、再同意を受けたのち30日間は当該再同意手続きにかかるヒト受精胚または、ヒトES細胞の取り扱いを行わず、再同意の撤回が可能なことを伝えるとしております。

(6)(7)の修正と記載は、匿名化に関する変更です。ここも一部読み上げます。(7)になります。「提供胚は樹立機関に移送する直前に提供医療機関のスタッフがその識別標識をあらかじめ削除し、削除して匿名化した胚のみを樹立機関に移送する。また、提供者夫婦の医療情報に関する記録は、樹立機関にも伝えられるが、その際は、御夫婦本人だと誰の情報であるか分からないようにし、照合のための番号に書き換えて匿名化した対応表を作成・保管する。樹立したES細胞と医療情報などは全て、この照合番号で管理し、さらに樹立されたES細胞が医療・研究等に利用される段階で、ES細胞株樹立機関で照合番号とは異なる識別番号が付与される。したがって樹立機関では、それが由来する個人(夫婦)を特定することはできない。」計画書本文では、以上となります。

 続きまして、同意説明に使用する資料について、タブレット内の資料は添付9-1になります。ヒトES細胞樹立への凍結保存胚御提供についてのお願いです。樹立指針第253項に、インフォームド・コンセントに係る説明で、提示する事項が明示しております。その項目に合わせて、この資料では記載しております。添付資料9-12ページ目です。項目タイトルの1)ES細胞とは、2)ヒトES細胞の樹立の方法としてここではそれぞれを説明しております。3)予期される利用法について新たに追記した主な所を読み上げます。また樹立したES細胞では、以下の使用が考えられます。大学などの研究機関、医療機関、製薬会社やバイオ産業などの企業が新たな細胞や医薬品などを製品化いたします。また、将来海外にES細胞が輸出されることで、そこで医療・研究・産業等に利用されることが考えられます。そのほか今後の医学の発展に伴い有用な医療・研究等のために使用いたします。これらの用途にES細胞を用いる場合は、その時点における日本の法律や指針を遵守した上で使用いたします。

4)ES細胞の樹立計画の適切性についてです。御説明してまいりましたように、ES細胞を作成するにはヒトの受精卵を用いなければなりません。そのため我が国では、科学技術会議生命倫理委員会の総合科学技術・イノベーション会議の生命倫理専門調査会が中心となり、ヒトの胚を用いる医療・研究等の是非と、成果の社会への還元について時間をかけて議論を重ねてきました。

5)個人情報の保護について、これまでの連結不可能匿名化に関する記載を削除し、番号付与による対応表管理による匿名化について記載しています。6)樹立されたES細胞の遺伝子解析と医療・研究等の結果の開示についてと説明しています。

7)樹立されたES細胞並びに、その結果の取り扱いについて。一部読み上げます。ES細胞の樹立(作成)が成功した場合、その細胞は培養され、種々のES細胞を用いた重要な医療・研究等に用いられることになります。国立成育医療研究センター研究所では、樹立したES細胞を培養し、長期間維持・管理をするとともに、国の確認を得た国内外の医療・研究等を行う機関・組織等に対して無償で細胞の提供(分配)をいたします。またES細胞を分配機関に提供したり、そこから国の確認を得た国内外の医療・研究等を行う機関・組織等に対して無償で細胞の分配をいたします。これらのヒトES細胞を用いた医療・研究等の成果は将来学会等で発表される可能性がありますが、その際にお二人の個人情報が出ることは一切ありません。

8)樹立されたES細胞が売買されることはなく、御夫婦に報酬もないこと。ここでは海外にES細胞が提供されます。そこで医療・研究等や治療のために用いられることで利益が発生します。と追記いたしました。9)任意性の保障と同意の撤回についてです。ここでは凍結細胞を提供するとした場合の同意の撤回について記載しています。

10)凍結保存胚を提供してくださった場合のお願い(再同意について)です。ここでは提供後の再同意について説明しています。提供していただいた胚盤胞から患者さんに移植する細胞などを作成するため、安全性を確保する目的で皆さんが受診した際に実施した検査/問診などによる医療情報を利用する必要があります。これら医療情報を国立成育医療研究センターに伝えることを御了承いただきたく存じます。また非常にまれですが、皆さんと御連絡を取る可能性が出る場合がありますので、お二人がお引っ越しされた場合は病院の担当者)までお知らせくださいますと幸いです。また重い病気にかかられた場合におきましてもお知らせいただきますようお願い申し上げます。現在は想定されませんが、新たな利用法が出てきた際には御説明のために御連絡を差し上げることがあります。(再同意に関する御連絡)その際は埼玉医科大学から御連絡差し上げることになります。この連絡を受けること自体を、お断りになっても結構です。実際の手続きは以下のとおりです。丸1埼玉医科大学から新たな医療・研究等への利用について、詳細な説明を受けるかどうかを伺うための連絡を差し上げます。丸2説明をお受けいただける場合、今回と同様に、埼玉医科大学より時間と場所の打ち合わせを行い、国立成育医療研究センターの説明者が説明を行います。新たな説明について同意するかしないかは文書にて表明していただき、埼玉医科大学に返送していただきます。再同意を受けた後、30日間は新たな研究にES細胞を用いることはいたしません。この間はいつでも自由に再同意を取消すことができます。しかしながら、再同意をいただいてから30日間の保存期間以降は再同意の取消はできません。丸3説明を受けたくない、関心がないなどの場合は、お断りくださって結構です。その旨を埼玉医科大学にご返信ください。いずれの場合もどのような利益も不利益もありません。なお、この連絡を受けることに同意されても、いつでも連絡を受けることについての同意を撤回することが可能です。撤回は撤回用の文書を埼玉医科大学にお送りいただくか、スタッフにその旨を御連絡いただいても結構です。

11)は、御質問とお問合せ先を記載しております。以上の説明をより分かりやすく説明するため、添付資料9-2にて、補助資料を準備しております。

 次に、追加提出となりました樹立計画書の添付資料1112について説明いたします。ここでの変更の内容は、埼玉医科大学におけるヒト受精胚、凍結保存胚の取り扱い関連資料及び埼玉医科大学におけるヒトES細胞樹立及び胚提供に関する説明文書についてです。この中で病院長の修正、それと凍結保存胚の保存期間延長と更新保存料の金額の修正をいたしました。いずれの資料も提供医療機関内の文章で情報を更新したものになります。樹立計画書の内容には変更はございません。埼玉医科大学倫理審査委員会では承認されていましたが、成育医療研究センターの倫理審査委員会では審査されていなかったため、今回追加で審査し、承認となりました。説明は以上となります。どうもありがとうございます。

○戸口田委員長

 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、提出者に対する御質問があればお願いします。いかがでしょうか。

○山口委員

 教えてほしいのですが、私ではないのですが事前質問をされた、作成される室、一次前室と二次前室の圧力差のことについて、質問と回答をしていただいていると思うのですが、この部屋はバイオセーフティでの関係で、こういう差圧差になっていると回答に書かれていたと思うのですが、回答の「今後、改善に向けて」というのは、これは改良される予定になるということなのでしょうか。

 それとも、これはバイオセーフティで、例えばウイルスベクターなどを使うために、こういう部屋にされているような気がするのですが、そうであれば、これを変えてしまうのは余り望ましくないような気がしています。

○提出者

 御指摘、ありがとうございます。お手元の資料の6ページ、CPCの部屋番号7-4の見取り図についての質問の、1番目の御質問から1つずつお答えさせていただければと思います。

 まず1番目、二次更衣室の室圧は、一次更衣室の室圧より高くすべきではないかということです。こちらは当該施設が、封じ込めを含めた差圧管理ということになりまして、このような室圧とさせていただいております。

2番目、一次更衣室の室圧を準備室より陽圧にすることが、より良いのではないかという御指摘です。ありがとうございます。そうすることで、より差圧管理によって、管理は構造設備としては同じ考えで、今、山口委員からも御指摘になったように、どのように改善していくかについては、今後の課題となります。

○山口委員

 これは多分、作るときにこういう設計にしてしまうと、これをまた更に、自由にその場その場で変えられるのだったらいいのですが、構造上、機器そのものを変えないといけないのだとしたら、これはせっかくウイルスベクターにも使えるような部屋にされているのに、それが駄目になるのは、余り適切ではないのではないかなと思った次第です。

○提出者

 おっしゃるとおりです、ありがとうございます。どのように改善できるかを含めて、今後、検討させていただければと思います。また、御質問の2、添付資料39ページです。こちらの質問に対しても、お答えさせていただきます。こちらの当該施設は、もし先ほどの1つ目の7-4の部屋が使用できないといったような場合に、樹立の部屋として用意していきたいということで、今回、御審査をお願いしたところです。

 御指摘の室圧の管理、デガウニング室の室圧を陰圧にするべきではないかという御指摘、そのとおりです。こちらに関しては専門家を含めて、室圧管理について適切な運用ができるように、正に検討を進めているところですので、御指摘を踏まえて、改善できればと考えています。ありがとうございます。

○戸口田委員長

 そのほかはありませんか。

○山口委員

 私ばかり質問して申し訳ないです。紙媒体のほうの計画書18、通し番号で21になっていると思うのですが、第一段階ではいわゆるMEFと、ESを使うという方法にされていて、最終の第三段階目では、そういう生物由来原料基準を使わない方法に変えていくという、その第一段階のものを将来、実際の臨床応用という形では、どこまでが使われるようになるのかというところを対象患者にもよるかと思うのですが、第三段階のものが可能であって、それが実際の臨床応用に間に合うということであれば、そういう生物由来原料基準と言ったらおかしいのかもしれませんが、この場合は掛からないのかもしれませんが、そういう対応からすると、一番適切ではあると思うのですが、時間的な問題も少しあるかと思うのですが。もし、その辺のところが分かりましたら。

○提出者

 ありがとうございます。私たちはこれまでMEF(マウスの細胞)を使用する培養条件と、ヒトフィーダー細胞を使用するなどで、動物由来物質を完全に排除した方法で樹立を行ってきたところです。

 今回、計画書には「フィーダー細胞を使用しない培養環境も検討する」としました。今後、樹立培養方法を決めていきたいと考えています。フィーダー細胞なし、ゼノフリー培地の環境下で、果たして細胞が長期的に安定かどうか、慎重に判断しなければいけないと考えています。

 また、御指摘にありましたマウス胎児線維芽細胞に関しては、旧薬事法下における生物由来原料基準の考え方に従い、MEFのバンクを作成し、そこでウイルス検査等を行った上で使用していくことになります。ですので、当初からフィーダー細胞の不純物に関しても意識をして樹立を進めていきたいと考えています。御指摘、ありがとうございます。

○戸口田委員長

 そのほかはありませんか。

○柘植委員

 基本的なことで教えていただきたいのですが、樹立したものを使用するのが医療研究等で、「医療」が加わったということですが、その医療の範囲というのが、どういうものかを教えていただけませんか。

 素人考えで想定したものは、例えば美容や化粧品の開発などにも、研究ということでこのES細胞が使われるのかとか、医療というのが治療を目的としているものだけに限られているのか、その辺の範囲を教えてください。

○提出者

 説明文にて、「医療・研究・産業等に利用されることが考えられます」というように説明をさせていただきます。御質問は医療の範囲ということです。医療の考え方の枠組みがどこかという御指摘ですが、私どもが医療機関として想定しているものは、医師法又は医療法の範囲内で行われるものを想定して、記載をいたしました。お答になっていますでしょうか。

○柘植委員 ありがとうございます。ただ、勉強し直さないとよく分からないのですが、では、産業といっても、医薬品に限られる産業ということですね。

○提出者

 はい。

○柘植委員

 先ほど申し上げたような、以前の再生医療の議論のときに、何か美容みたいなものが、少し議論に入ってきたことがあったものですから、化粧品や美容というのは排除されているのでしょうか。

○提出者

 例えば化粧品の安全性についての確保。例えばですが、ES細胞から表皮細胞を使って、化粧品の中の新たな成分が動物実験できないような場合に、これらのES細胞から作成した表皮等が貢献できる部分もあるのかなと私どもは理解し、このような説明をするところです。

○柘植委員

 分かりました。

○松山委員

 今の点に関連してです。医療で、医師法、医療法はかなり範囲が広くて、先ほど委員が御懸念の美容などの部分ですが、この部分は樹立とは直接関係ないかもしれませんが、分配する際に、やはりESを使うことが適切かどうかというところは、是非とも御議論していただければ。

○提出者

 非常に大事な点だと思います。今の2つの御質問は、ES細胞の使用の範囲の適切性についての御質問と理解しています。樹立する側としては、かなり広範囲にという意味で、「医療・研究・産業等」という言い方をさせていただいております。そこの妥当性については、「ヒトES細胞の分配使用指針」において御審査される部分もあるのかなと理解しています。やはり、そこは指針への適合性が問われると理解します。

 私どもの中では、この樹立指針の中では明確に、国立成育医療研究センターでは、このヒトES細胞を用いた研究を応用し、将来的にムコ多糖症、1型糖尿症、慢性肉芽腫症、白血病のような小児慢性難治性疾患に対する画期的な治療法としての細胞移植治療の実現を目指しています、という形で説明をさせていただきます。

 ですので、私どもの樹立の計画の中の範囲には、今の御指摘は入っておりませんが、使用する方々におかれましては、それぞれの審査を受けた上で、私どもは分配をすることになります。

○戸口田委員長

 よろしいでしょうか。

○松山委員

 将来的に産業化された場合には、利益が上がる可能性があります。ここまでは非常に合理的で、結局お金が上がってこなければ研究もできないし、事業そのものが破綻すると、よく理解しています。

 その際に、例えばこういうものがずっと研究費で続けることもできないですし、ずっと成成育医療センター様の運営費交付金で行うということも、かなり厳しかろうと理解しているので、利益が上がった後に、それなりに一般管理費のような形で、例えば成成育医療センターに入ってくるというようなことが、もしそう考えておられるのだったら書いておくほうが利益相反上は問題がないのかなと、今ちょっと気づいたのですが、そこはいかがでしょうか。

○提出者

 御質問、ありがとうございます。国立成育医療研究センターでは、本ヒトES細胞が樹立された際には無料で提供することになります。また、説明文書の中では、提供者様への利益がないということを御理解いただいているところです。

○戸口田委員長

 よろしいでしょうか。

○柘植委員

 もう1つ、インフォームド・コンセントの所で、やはり私が理解できなかったので教えていただきたいのですが、計画書の通し番号27ページ。それ以外のところにも何回か出てきたのですが、今すぐに開けるのが27ページの(6)(7)で、(6)は「提供候補者からの書面による同意の取得から」という所で、それまではまとめて樹立機関から移送されていたので、連結不可能匿名化だったけれども連結可能匿名化にしましたと。それで、そのために削除されているのが、「したがって樹立機関の説明担当者が、複数の提供候補者と面会はするが」という所の、この削除されている部分が、(7)の書き足された部分に変更されているのだと思うのですが、(6)の下に書いてある、誰の凍結保存胚から樹立したのか分からないので、それは樹立するほうの研究者にも誰のか分からないという、樹立できたのがどなたのかが分からないとなっているのが、 (7)にはそういう具体的なことが書かれていないので、(7)を読むと、これは樹立機関の研究者は誰のから樹立したのか分かるかという疑問が生じました。そして照合のためにという(7)のほうの、「提供者夫婦の医療情報に関する記録は樹立機関にも伝えられる」と書いてありますよね。

 この辺で、なぜこのように変更されているのかがよく理解できなかったので、教えていただけますか。以前はかなり樹立機関の研究者にも、どなたのかという、今までの医療記録みたいなものは一切入ってこないし、樹立された細胞が連結不可能だったので、どなたの細胞からES細胞が出来たのかが分からないというのが、それがいまは連結可能にしましたと、それは分かるのですが、連結可能にしたら樹立機関でも、どなたのかが分かりますという形になるのか、医療記録まで連結されるのかなと思って、そこまでする必要があるのかなと。

○提出者

 この(6)(7)におきましては、樹立した私どもの機関では少なくとも、どなたの御夫婦様のものかは分からない仕組みを担保する形になっています。また、現実的に提供医療機関においても、それらがどなたのものかは分からないというのが、私の理解です。また、そのようにここの部分で、それを意図したと。

○柘植委員

 そういう説明になっているはずなのですね。

○提出者

 はい、計画書のインフォームド・コンセントの説明で、そういうことを意図しています。

○柘植委員

 いろいろな資料を拝見して、何箇所か出てきたのですが、この日本語は何度読んでもよく分からなくて申し訳ない。もうこれはお尋ねするしかないかなと思ったのですが、例えば(7)で、「提供胚は樹立機関に移送する直前に提供医療機関のスタッフが、その識別標識をあらかじめ削除し」ということで、これは匿名化しているということでいいですよね。「削除して匿名化した胚のみを樹立機関に移送する。」これは、もちろん分かります。「また提供者夫婦の医療情報に関する記録は、樹立機関にも伝えられるが」ということで、この場合の医療情報に関する記録は、匿名化された医療情報に関する記録ということですよね。まず1点、少し不安なのが医療情報に関する記録で、記録ではどれくらいの内容なのかというのは、結構プライバシーに関わってくることではないかというのが、まず1つあります。

○提出者

 ありがとうございます。どの程度の医療情報かということを想定しているかにつきまして、お答えさせていただきます。まずHIVに罹患していないか、肝炎ウイルスに罹患していないか、そういった将来的に、これらの樹立されたES細胞から、医薬品や特定細胞加工物を作ったときに、それらが患者さんに影響を与えると思われるものの情報のみです。

 ですので、かなり特徴的な、一言で言うと、再生医療の安全性確保法の法律に書いてあるのですが、その法律の条項に係る感染症についての御質問が医療情報です。そのように御理解いただいて結構です。

○柘植委員

 それで大分、分かりました。

○提出者

 簡単に言うと、法律に書いてあるところです。

○柘植委員

 細かくて申し訳ありません。その次の文章が、「その際は御夫婦本人だと、誰の情報であるか分からないようにし」という、文言が少し間違っていると思うのですが、これも意味が分からなかったのです。

○提出者

 これは同じ御指摘を文部科学省でも受けました。ありがとうございます。私の意図は、御夫婦本人を含めて誰の情報か。結局、私どもに、どなたのものか分からなく、古い言葉で言うと、対応表以外のものについては、たどれないようにしているということを、意図して記載しました。

 これは文部科学省でも同じ御指摘を受けており、文部科学省におきましては、ここの文言は御指摘されているのですが、何とか、これで分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。

○柘植委員

 分かりました。

○提出者

 ありがとうございます。

○柘植委員

 以上です。

○戸口田委員長

 では、訂正はなく説明の段階で分かりやすくしていただくということで、この文言のままですね。

○提出者

 はい。

○松山委員

 今のところに少し関係するのですが、ドナーを誰にするかというのは、常にESの場合は議論があって、ドナーがいないと考えるのであれば、例えばインシデンタル・ファインディングスが出てきたときに、情報をお伝えする必要はないというディシジョンメイクになるし、一方でドナーがお父さんお母さんということであれば、恐らくゲノムシークェンスされると思うので、インシデンタル・ファインディングスが出てきたときに、それをお伝えすべきかどうかという議論がある。

 説明同意文書の中では、インシデンタル・ファインディングス等をお伝えするということがないので、これはお父さんお母さんがドナーではない、そもそもドナーでは存在しないというロジックでお考えになったのであれば、それは非常に合理的な考え方だと思うのですが、そこのフィロソフィーだけ教えていただければと思います。

○提出者

 貴重な御意見、ありがとうございます。樹立されたES細胞に対して、ゲノム解析にてインシデンタル・ファインディングスがあったときに、どのように対応がなされるかという御質問です。私どもはインシデンタル・ファインディングスに関しまして、結果をお知らせするという想定はしておりません。

2つ、大きく理由があります。まず、同定された病的意義の検証が困難な場合が多いということです。また、臨床検査として要求される遺伝子検査における質的保証のレベルにもよるといったような観点があります。以上のことにより、私どもは現時点におきまして、ES細胞に関して情報を戻すといったことは想定しておりません。御質問、ありがとうございます。

○戸口田委員長

 よろしいでしょうか。それでは樹立計画の「ヒトES細胞樹立に関する指針」の適合性確認についての審議を行いますので、提出者の方は御退室ください。どうもありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明がありました樹立計画の「ヒトES細胞の樹立に関する指針」の適合性確認についての審議を行いたいと思います。御意見等がありましたら、お願いします。

○松山委員

 少し事務局に確認をさせていただきたいことがあります。今般、適合性確認に関しましては、ヒトES細胞の樹立に関する指針に関する適合性確認ということで回ってきていると思うのですが、実際に安全性確保法下に使われる場合にあっては、安全性確保法下でインフォームドコンセントはどうなっているか。基礎研究に使われる場合というのは、私の感覚では、医学系研究指針のインフォームドコンセントの取り方に準拠しなければいけないという感覚があるのですが、指針としてESのほうだけでいいのか、あるいは結構変わっているので医学系研究指針がカバーしている、要するにESのほうには書かれていなくて、医学系研究指針のほうに書かれている状況。例えばこの研究計画に関して、当該倫理審査委員会で審査を受けて機関長から了承を受けている旨の説明などは、例えば医学系研究統合指針いわゆる統合指針のほうでは求められているので、そういうものを書かなければいけないのか、あるいはESの指針でやっているから、別に統合指針のほうに関わらなくていいのか。これはちょっと解釈が分からないので、申し訳ありません。

○森光課長

 指針で確か、医学系指針の冒頭のところに、別に指針があるものについてはそちらということになっていたのではなかったかと思います。ただ、どちらにしても確か告示、どちらにしても同じレベルのもので整理をしております。それで、一応、ここの場所においては、ヒトES細胞の樹立に関する指針に適合しているかどうかというところですので、それで見ていただければと思います。指針の重複の話とか、それから、どこが出っ張って下がっているのかについては、また確認をさせてもらいたいと思うのです。確か、重複はそれぞれの指針についても、よほどのことがない限りは、恐らく二重がけはしないはずですので、そこはまた、確認させていただきます。

○松山委員

 ありがとうございます。

○戸口田委員長

 よろしいでしょうか。そのほか、御意見等ありますでしょうか。

○南委員

 すみません。先ほど、柘植委員が聞かれた部分の文言です。文言は変えないで、これでということですが、特に「その際は」から後の所は、やはり、この言葉使いだと意味が読み取れないと思います。説明を受ければ分かるのですけれども、やはり書かれたものが明瞭に通用することが望ましいと思いますので、ここをもう少し工夫ができないかと思うのです。

○戸口田委員長

 やはり残るものですので、それで意味が通らないと厳しいという判断。

○南委員

 特に、「その際は、」のあとの部分が気になります。

○戸口田委員長

 御意見をお願いします。

○山口委員

 文科省でも指摘されているので、こうすべきではないですかというのは多分、正しいのだろうと私も思いますが。

○戸口田委員長

 異なる委員会で同じ点を指摘されたということですから、やはり。

○森光課長

 すみません。今、文部科学省でも同様の指摘を受けて。

○山口委員

 その後の説明があるかと思いますが。

○森光課長

 そこの文章については、「その際は御夫婦本人だと誰の情報か分からないようにし」の所を「御夫婦本人の情報であるか分からないようにし」という日本語の修正になっているのです。

○戸口田委員長

 一応、それは修正になっているのですね。

○森光課長

 修正をするということで文部科学省から、その修正であればよろしいだろうという了解をいただいています。

○戸口田委員長

 それは全くこの委員会としても。今の話、よろしいでしょうか。柘植委員、よろしいでしょうか。

○柘植委員

 はい。

○戸口田委員長

 その点に関しては、修正されることを含んでという審議でよろしいですね。

○森光課長

 はい。

○戸口田委員長

 そのほか、御指摘の点はありますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、今の修正点を含めて、当委員会として、「ヒトES細胞の樹立に関する指針」には適合しているという御意見でよろしいでしょうか。

○南委員

 あと一点、よろしいですか。どこの部分か忘れたのですけれども、「将来的に重い病気になったとき」という表現がありました。一般の人は、重い病気というだけではちょっと分からないのではないかと思いました。どう対応できるのか分かりませんが説明を加えるなり、何らかの対応をお願いしたいと思います。

○戸口田委員長

 想定されているのは、何らかの遺伝性の疾患を思わせる病態が、要するにES細胞に影響を与える病態だと思いますけれども、そういう表現として「重い」というものがどこまで含まれるかですけれども、がんでも重たい病気ですので。ただこれは範囲を決めると非常に難しいから、ある意味、説明をその時にしていただくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは一応、議論を尽したということで、ありがとうございました。事務局から文部科学省での審議状況に関しまして何かございますでしょうか。

○神崎専門職

 それでは文部科学省から特定胚等研究専門委員会における審査経過について御説明いたします。お手元にお配りしております1枚紙の「ヒトES細胞樹立計画変更申請の概要及び特定胚等研究専門委員会における審査経過について」という1枚紙を御覧ください。

 まず、2.本申請の審査経過です。委員会運営規則に基づき、書面審査を行った結果、1名の委員により委員会での審査を必要とするとの回答がありましたことから、専門委員会を開催して審査することといたしました。なお、その他の意見として3つの意見がございました。丸1細胞提供機関倫理審査委員会の委員名簿に記載の性別に誤りがあるのではないか。これは、先ほど申請者から修正すると御説明があったところです。丸2樹立計画書24ページ18から19行目。これは先ほど御議論があったところですが、「御夫婦本人だと誰の情報であるか分からないようにし」の記載が誤解の余地はないものの日本語として分かりにくいため、「当該夫婦の情報であることが分からないようにし」とするなど、改めたほうがよいのではないか。丸3再同意の取得について、また国立成育医療研究センター研究所で既に樹立されたヒトES細胞の今後の使用方針について確認したいという意見がございました。

 続いて裏面ですが、(2)特定胚等研究専門委員会における審査です。821日に委員会を開催して審査を行っております。申請者から追加資料1112を含め、申請概要の説明がありました。続いて書面審査における意見に対し、申請者から回答がありました。丸1は申請者から説明があったとおり。丸2については、先ほど御説明があったように「御夫婦本人の情報であるか分からないようにし」に修正するという回答がありました。丸3再同意の取得について、また、既に樹立されたES細胞の今後の使用方針についてですが、再同意については今後樹立するヒトES細胞の凍結胚提供候補者に対し指針に乗っ取り説明すること。また、既存のヒトES細胞については、旧指針における「当分の間、基礎研究に限る」ことを遵守した上で、将来的な小児難病への医療応用を目指して樹立しており、国の規制のもと適切に臨床応用を進めていく方針であるという回答がありました。また、先ほど、松山委員から御質問がありました偶発的所見があった場合の対応及びヒトES細胞の分配を無償とすることについて質問があり、申請者からは申請内容のとおり対応するとの回答がありました。

 それで審議の結果、訂正内容を含め、申請内容に特段の問題はないため、委員会として基本的に承認することとしております。以上です。

○戸口田委員長

 ありがとうございます。ただ今の説明に関しまして、何か質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、先ほど御指摘の文言の記載を訂正していただくということを含めまして、提出者からの書面での回答も含め、ヒトES細胞の樹立に関する指針に適合していると、本委員会では認めたいと思います。よろしくお願いいたします。

○森光課長

 それでは、次回の開催につきましては改めて調整の上、委員の皆様方の日程、場所等につきましては御連絡をさせていただきたいと思います。以上です。

○戸口田委員長

 梅澤先生に入ってもらわないといけない。

○森光課長

 そうでした。ごめんなさい。すみません。失礼しました。

(梅澤委員、入室)

○戸口田委員長

 それでは改めまして、事務局から連絡をお願いします。

○森光課長

 次回の開催につきましては、改めて調整の上、委員の皆様方に日程、場所等の御連絡をさせていただきます。事務局からは以上となります。

○戸口田委員長

 それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。


(了)

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