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2017年8月9日 第4回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成29年8月9日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)


○出席者

委員

武石委員、池添委員、池田委員、駒崎委員、佐藤委員、座間委員

厚生労働省

宮川雇用環境・均等局長、成田審議官、源河職業生活両立課長、岡雇用環境・均等局総務課企画官、土岐職業生活両立課課長補佐

○議題

1.研究会の検討課題について
2.その他

○配布資料

資料1 個別課題についての検討(その1)
資料2 これまで出た議論の整理
参考資料1 仕事と家庭の両立支援制度とその利用状況
参考資料2 各種データ資料
参考資料3 各委員提出資料(抜粋)
参考資料4 イクメン企業アワード2016受賞企業取組事例集

○議事

○武石座長
 ただいまから第4回仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会を開催いたします。暑い中お集まりいただき、大変ありがとうございます。本日は、議事次第にある個別課題について御議論いただくことになります。早速ですが、本日の議題1「研究会の検討課題について」の説明を事務局からお願いいたします。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 資料は03の資料1を御覧ください。個別課題についての検討(その1)です。1つ目は「仕事と家庭の両立支援のための制度等のあり方」ということで、制度面についての議論をしていただきたいと思います。2つ目は「男性の育児休業の取得促進に関する課題等」ということで、制度の話と若干の重なりはあると思いますが、中でも男性の育児休業等を促進する上で、今ある課題について議論いただければと思います。
 戻っていただいて、1の中身です。マル1「育児休業制度について」を御議論いただければと思います。育児休業制度で考慮していただきたい点は、現行制度が男性が主体的に育児に取り組めるような制度になっているか。2つ目としては育休の取得時期、期間等について、どのようにお考えいただくか。このような点かと思っております。
 現行制度の取得状況等について、資料の05の参考資料1を御覧ください。これは第1回の際に私から説明しました資料ですが、真ん中の辺りに育児休業についての記載があります。原則的に1歳までで、保育園に入れないような事情がある場合、最長2歳まで取得可となっています。同じく、05の2ページ目を御覧ください。父親の育児休業の取得促進のための諸制度ということで、原則は先ほど申し上げたとおりですが、1つ目に「パパママ育休プラス」、御両親ともに育児休業を取得された場合に、原則1歳までが1歳2か月に達するまで取得することができるというもの。2つ目に出産後8週間以内の父親の育休取得の促進ということで、配偶者の出産8週間以内の期間、産休期間内に父親が育児休業を取得された場合には、保育園に入れない等の特別な事情がなくても、再度の取得を可能とした制度になります。基本的に分割はできないことになっていますが、この部分で男性の産休期間とそれ以外の部分について、言わば例外的に分割で取得できる制度となっております。
 資料03に戻ります。マル2「育児休業以外の両立支援制度について」を議論いただければと思います。男性が主体的に育児に取り組めるような制度になっているか。休業取得に限らず男性が主体的に育児参加するための制度としてどのようなものが考えられるか。それから、多様な働き方に対応した両立支援制度となっているか。制度を利用する時期、期間等についてどのように考えられるか。これらのことについて議論していただければと思います。05の参考資料1に現行制度があります。先ほどの育児休業の囲みの下の部分からになりますが、所定労働時間の短縮措置等ということで、現在は3歳までの短時間勤務制度について措置義務となっています。短時間勤務制度を講じることが困難と認められる場合については、短時間勤務制度に代わって育児休業に関する制度に準じる措置、フレックスタイム制度、時差出勤等の制度を設けていただくことになっています。それから所定外労働の制限ということで、これが3歳までの形成権です。子の看護休暇ということで、就学前まで申請すれば取得できます。時間外労働・深夜業の制限ということで、同じく就学前は申請すれば制度の対象となることになっています。まとめて申し上げます。育児休業、所定労働時間の短縮措置等、所定外労働の制限ですが、措置義務とか形成権が掛かっている期間より後、就学前までの期間において、全て努力義務ということで、現在の法体系の中で位置付けられていますので御確認ください。
 続いて、取得状況です。05の3ページ目、4ページ目を御覧ください。1つ目は男性の現在の取得状況で、4枚目に女性の取得状況を記載しています。育児休業は男性は3.16%、女性は81.8%ということで、かなり差がある状況にあります。所定労働時間の短縮等の措置ということで、現在は措置義務になっている3歳までの時短の取得状況を見ると、男性が0.5%、女性が29.2%ということで、ある意味、育児休業以上に差が開いている状況にあることが見て取れます。フレックスと時差通勤を見ていただくと、こちらは措置義務等にはなっていないのですが、企業が独自にこういった制度を整備されているところについては、男性もフレックスは14.0%、時差は6.3%と、時短と比較するとそれなりに利用されているという現状となっています。
 03に戻ります。マル3「女性のキャリア継続のための方策について」です。こちらは制度と運用の両面が関わってきます。1つ目として、女性労働者が育児をしつつキャリアを継続していくための方策についてどのように考えられるか。2つ目として、女性労働者のキャリアアップを見据えた方策としてどのようなものが考えられるかです。育介法について、キャリアアップ関係の規定は現在はありませんが、ここに書いているような取組を行う企業の例があります。第1回に座間委員から御報告がありましたが、花王株式会社の復職前セミナーに配偶者同伴を推奨されている取組とか、08の参考資料4のイクメンアワードの表彰の3つ目の会社として挙がっている大成建設株式会社で、結婚前のパートナーでも構わないということなのですが、仕事と生活の両立セミナーに配偶者の参加も可能ということにして、両立の取組を行っておられる。このような企業もあります。その他、佐藤委員からの御報告もありましたが、四者面談の導入企業もあるということです。マル4「その他」として、ここに具体的には書いていませんが、両立支援策をどのように位置付けていくかなど、そういったような議論もよろしければしていただければと思います。1については以上です。
 続いて、2ページ目をお願いいたします。2の「男性の育児休業の取得促進に関する課題等」です。マル1「多様な取得時期に応じた父親の役割及びその後の働き方に良い影響を及ぼすような育休の取り方について」ということで、1つ目の○として、女性の産休期間に比較的短期に育休を取っている男性は、どのような役割を担っているのか、またその役割を満たせる制度となっているか。2つ目の○として、女性の産休期間終了後の期間において、比較的長期に育休を取っている男性はどのような役割を担っているのか。またその役割を満たす制度となっているかです。これに関しては、07の参考資料3の3ページに、第1回目に池田委員から御報告いただいた資料を抜粋で付けていますが、真ん中の辺りに「仮説的想定」とあり、「5日未満」は恐らく入院中の奥さんのケアとか産院からの帰宅の付き合いといったものに使われると。「5日~2週間未満」だと帰宅後の育児環境整備が考えられる。「2週間~1か月未満」だと、産後1か月までの家事全般等、「1か月以上」だと復職する妻と交代しての家事・育児全般が考えられるという想定がありまして、これに従ってどのような役割を担っているのか、またその役割を満たす制度になっているのかを議論していただければと思います。
 資料03に戻ります。3つ目の○として、育児をする時間が増えること、残業しない働き方を心掛けるようになることなど、育休取得後の働き方に良い影響が出る育休の取り方、過ごし方について、どのようなものが考えられるかについて議論いただきたいと思います。
 マル2「配偶者の働き方から見る育休取得の必要性、ニーズについて」です。配偶者の働き方というのは、正規社員、専業などいろいろあると思いますが、それらに応じて、男性の育休取得、育児参加を促進することについて、どのように考えられるか。※として、例えば配偶者が正社員である場合の男性の育休取得率は2割程度であるということは、佐藤委員からの報告の中にもありましたが、このようなデータもあります。マル3「育休取得を希望していない男性に対し取得を促進することについてどのように考えるか」。以上が、03の資料1についてです。
 04を御覧ください。説明が前後して恐縮ですが、これまでに出た議論の整理をしています。先ほど申し上げた1つ目と2つ目に関して、これまで皆様方から頂いた議論ということで、こちらに記載していますので、御参考にしていただきたいと思います。
 下のほうの3と4、「両立支援制度を推進するための方策」と「その他」については、今回は論点として入れておりませんが、次回以降に議題とさせていただければと思います。説明は以上です。

○武石座長
 参考資料2のデータはよろしいですか。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 すみません、補足します。06については、第1回の際に事務局資料として出させていただいたものに、21、22、23の辺りで、子の看護休暇関係についてのデータを追加していますので、議論の際の参考にしていただければと思います。以上です。

○武石座長
 前回までヒアリング等をしてきましたが、今日と次回で、論点に関わって皆様からの意見を頂戴したいということです。論点を幾つかに分けて議論していきたいと思いますが、今日は仕事と家庭の両立支援のための制度、全般的な制度の考え方という大きなテーマが1つと、男性の育児休業の取得という具体的なところに注目したときに、どのようなことを考えていく必要があるのかという辺りについて、話を進めていきたいと考えています。
 まず、資料1の「個別課題についての検討」の1の「仕事と家庭の両立支援のための制度のあり方」ということで、マル1からマル3、その他とありますが、この辺りについて自由に御意見を頂きます。法律に関わる部分もあると思いますし、それ以外の部分もあるかもしれませんが、自由に御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

○佐藤委員
 法律でするのがいいのかというと、企業の自主的な努力でということが多くなるのかも分からないのですが、女性も関わるかもしれないですが、特に男性の育休取得ということで言うと、もちろん男性の場合は分けて取り得るのですが、累計で1年間育休を取れるというようにして、もう少し取れる期間を延ばすというのはあるかなと思います。どういうことかと言うと、男性で言うと2人目が生まれるときに、1人目の子育て中です。現状で言うと、上の子を連れて実家に戻って産むというようなことになってしまうのを、上の子が保育園に行っていて2人目が生まれるというときに、1人目の子の育休を2人目の出産の少し前からと。現状で言うと、出産予定日からは男性も取れるのですが、保育園の送り迎えなどはできなくなるわけですから、実際はその前から大事なわけです。そういうことでは、1人目の育休ということで、2人目が生まれるときに妻は産院に行っていなくても、実際上は保育園の送り迎えなどはできないわけです。このときの上の子の子育てをどうするかということです。例えばこの時期に育休を取るというのは明確だし、必要性も高いと思います。そうすると、2人目の出産予定日の少し前ぐらいから、そういう意味では男性が1人目のほうの育休として一定期間取るという使い方もできるのです。あるいは「小1の壁」というのがありますが、そういうときに夫婦で分担して取るということもあります。
 だから、男性だけとするのか、女性も含めてとするというところはあると思うのですが、実際に大企業で言うと、子供が3歳までとか、かなり育休を取れる期間が長くなっています。そういうことから言うと、もしかすると、2人目が生まれるときに1人目の子供が3歳でなければ、そこで事実上は取れるのかもしれないです。そういうようなことをもう少し広めて考えると、実際のニーズにも合っているし、男性が取ってやることも明確かなと思います。それが1つです。
 もう1つはマル2の所です。両立支援制度のところで、今は短時間勤務は措置義務です。男性で言うと、短時間勤務よりもフレックスでと。例えば夫婦でフレックスを使って送り迎えを分担するということができれば、妻のほうも短時間勤務を使わなくていいということもあるかもしれません。カップルで子育て、育休の後のかなり長期の子育て期でいうと、フレックスなどを使いながら、例えば夫婦で保育園の送り迎えを分担するということでやる。現状で言うと、女性が短時間勤務を取って、送りは夫で迎えは妻ということで、常に妻が迎えに行くということです。そうすると、短時間勤務を長く使わなくてはいけないということが起きてしまいます。両方でフレックスを使うというやり方がいいのかもしれないということがあります。
 女性のキャリア継続支援のところは、女性自身が結婚して子供がいたら、仕事と子育てを両立するためには、自分一人で子育てを抱え込んでしまっては駄目だと。あなたが仕事を続けたいとすれば、配偶者を巻き込むことが大事だというのを考えてもらうのはすごく大事だと思います。そういう意味では、結婚したり子供を産む前も含めて、キャリアを考える機会を今は女性に提供しています。ですから、女性が自分のキャリアをどう考えていくかというセミナーの中に、結婚した後にどのように仕事と子育てを両立するかというときに、配偶者を巻き込んで、カップルでの子育てが大事だというのを組み込むというのは大事だと思います。
 ですから、これを女性活躍のほうの計画の中に入れるというのはあり得ると思うのです。だから、育介法の中だけではなくて、女性活躍推進法の行動計画の中に、こういうことを例示的に挙げるということはあるかもしれません。結婚しているカップルだけを考える必要はなくて、女性がキャリアを考えるときに、もしそういうことが起きたらどうするかということの中に入れていくということも大事だと思います。
 そうすると、男性が育休を取るときの1つのきっかけとして、妻に背中を押されたというのは大きいと思うので、女性側にも変わってもらうというのはすごく大事かなと思います。

○武石座長
 1点目は、1歳までというのをもう少し柔軟にと。

○佐藤委員
 期間にするというか、1年間とか、子の年齢ではなくてということでのアイディアです。そのときにどう作るかですが、例えば2人目とすると上のお子さんをどうするかで、小学校低学年にするか、入学までであれば取れるとか、そういうのがあってもいいかなという気もしました。

○武石座長
 2点目は、今はフレックス制度が制度の中では非常に弱いのでと。

○佐藤委員
 法律上であれば、もう少し強めにしてもいいかなと思います。

○武石座長
 いかがでしょうか。

○池添委員
 今の佐藤委員のお話を受けての部分もあるのですが、ある程度の長めの期間を取った中で、ニーズに合った休業でもいいし休暇でもいいし、いろいろな取り方の組合せ、バリエーションだと思うのです。様々な組合せをする中で、ニーズに合ったお休みなり、家族責任を果たせるような制度や政策がいいのかなと思います。
 そういう意味では、今は分割休暇を特定の場合には認めていますが、先ほど累積とおっしゃいましたが、2か月取ってまた仕事をして、2か月取ってと。これは業務の繁閑との兼ね合いもあって、特に男性に対してはいろいろな職種があるので、どう取るかは人それぞれの考え方ですが、そのほうが男性も取りやすくなってくるのではないかと思います。
 先ほど事務局から御紹介いただいたペーパーの中に、「男性が主体的に」という言葉が何回も出てきたのですが、主体性を持ってもらうという意味では、いろいろな取りやすいパターンがあるということを法律で縛るのではなくて、あくまでも企業や労使の自主的な努力を政策的に進めていく中で、いろいろなメニューを用意して推進していく。そういう意味では、女性の意識も変えてもらわなければいけないという部分をおっしゃっていましたが、例えば目的規定に、「自分の子供なのだから男性も自主的に育てる意識を持ちましょう」と、男性についても意識喚起を促すような仕掛けを制度の中に入れる。ただ、それで関係当事者を縛るのではなくて、お休みを取りたいという労働者、企業へのサポート的な仕掛けを作っていく。女性活躍推進法という関連法を活用することもいいと思ったのですが、研究会が始まる前に指針を見ていたら、法令解釈的な書きぶりの所がかなり多くて、企業実務にとってのPractical Guideというような面は薄いような気はしたので、指針とは別途かもしれませんが、企業に対して、こういうことをやると女性のキャリアアップや男性の意識喚起にもつながるということを書き込めるような仕掛けも必要かなという印象を持っています。

○武石座長
 目的規定というのは、育介法の目的ということですよね。

○池添委員
 はい。目的規定で、これはどう読み込むか。割と抽象的な書きぶりになっているものですが、「雇用の継続及び再就職の促進」というのは、どうも女性をターゲットにしていて、もともとはそういう趣旨だったと思うのですが、男性にもたくさん取ってもらおうというのであれば、将来的な課題かもしれませんが、そういうところも変えていくことも検討していいのかなと思いました。

○武石座長
 雇用の継続なので、専業主婦がいる男性は関係ないという感じにはなるのですよね。

○池田委員
 現状はいろいろな理由で非就業というか、一時的に就業していない妻がいても、夫が家事・育児に参加して、再就職を支援するというのはある。女性の労働力率の現状はM字型なので、ずっと専業主婦という家庭は少ないです。。全く就業という要素がないと、育介法の趣旨からは苦しくなってくるのかもしれませんが、そこは子育て支援の文脈で考えるか、あくまでも女性の就業支援の文脈で、男性の育児の問題なども考えていくかというのは、法律論で押していくと調整が必要になる部分があるかもしれないという印象はあります。あくまでも解釈論上の話としてです。

○佐藤委員
 今の池添委員の話は大事だと思います。そうすると、その法律の趣旨のところはできたときから変わっていないのですか。

○池添委員
 ベースの骨格は変わっていないような気はします。

○佐藤委員
 すぐという意味ではありませんが、もともと女性が辞めざるを得ないのを継続できるようにと、確かにそうですよね。でも、今の現状でそこだけでいいのかというのはあります。実際上、中身としてはかなり変えてきたわけですよね。だけれども、趣旨のところは変わっていないというのは、結構大きな論点かもしれません。

○池田委員
 分割という話が出ていたので、関連する話です。現状、先ほど御解説いただいた所定労働時間の短縮とか、所定外労働の制限というのが、ずっと所定外労働を連続的に免除するものなのか、例えば火曜日と木曜日は保育園のお迎えだから免除してくださいとできるのかというところ。夫婦で子育てを考えるときに、現状の制度利用で言えば専ら妻が利用するとなると、3歳まで毎日時短で、毎日残業免除でという使い方がスタンダードだと思っていて、労務管理上もそのようにしているのだと思うのです。短時間勤務の人はフラグを立てて、4時になったら帰るという感じです。
 ただ、夫婦で子育てということになると、佐藤委員が仰ったフレックスというのが最終形態だと思いますが、月曜日は夫が4時に帰ると、会社によっては時差出勤とか短時間勤務をそのようにして、曜日の中で、火と木は夫が早帰り、代わりに水と金は残業できるというようなことが成立するのかどうか。

○佐藤委員
 現状は6時間勤務を入れなくてはいけない、ほかのものをいろいろと作るのはいいとなっているのです。それを変えてしまって、6時間勤務を入れなくても、従業員と話し合って、いろいろなものを選べるようにすればいいというのは1つです。

○池田委員
 はい。

○佐藤委員
 今は措置義務として6時間勤務を入れなくてはいけません。あとは、池田委員が言われたようないろいろなものを作るのは構わないのですよね。

○武石座長
 所定外労働の制限というのを使って、私は月と火曜日だけにこれを使うというのはできるのですか。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 今の扱いですと1の期間についてなので、最低基準としてはできません。

○佐藤委員
 最低基準としては駄目なのですが、企業がやるのはできると思います。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 法を上回る措置として労使でというか、会社と労働者で合意すればもちろんいいのですが。

○源河職業生活両立課長
 労使で合意して、残業できる日には残業するというのは認められています。ただし、残業することを強制しないようにということで、どちらかというとそちらを周知しています。

○佐藤委員
 だから、今のルールで言うと、一律に作るというような感じになってしまっているのが事実ですよね。今のようなほうが、夫婦で子育てするのがいいというのが伝わりにくいというのはあるかもしれません。

○池田委員
 1の期間についてということだから、今月は夫が毎日残業で、来月は妻がということしか、最低単位としてはできないと。法履行の意味ではですね。

○武石座長
 所定外労働と短時間というのは、利用期間の考え方は違うのですか。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 別です。

○武石座長
 短時間は1回ですよね。

○源河職業生活両立課長
 趣旨としては望ましくないものの法律上は1回取得できれば違反とはなりませんが、実際はいろいろな運用・工夫をしていると思います。

○武石座長
 それは法を上回るケースで、法律は1回でも構わないですよね。所定外労働の制限は何回でもできるのですよね。

○源河職業生活両立課長
 可能です。

○佐藤委員
 1回しか使えないのですね。

○武石座長
 短時間は1回でも違反ではないです。

○佐藤委員
 法律上は、1度フルタイムに復帰したら、また戻るというのはないのですよね。

○武石座長
 法律はそれをやらなくてもいいわけです。

○池田委員
 現状は所定労働時間を短くするだけなので、その上で残業をしている方もいらっしゃるので、実状はフルタイム勤務と短時間勤務をいったりきたりしている方は結構いらっしゃいますよね。

○佐藤委員
 なるほど。

○座間委員
 弊社の場合で一般的な話ではないと思いますが、先ほど池添委員がおっしゃったように、趣旨のところは企業にとって非常に大きな意味があると思います。適切な表現かどうか分かりませんが、休ませるための法律なのか、いかに働いて両立するための法律なのかというところで、現実の育介法においては「休ませろ」というところを強く企業としては感じますので、休ませなければいけないのだと受け止めてしまうことがあります。本当の趣旨よりも、より強く休ませなければいけないと企業が受け止めてしまう可能性があると思います。ですから、そちらのところで「両立するために」という言葉が入って、何らかの変更をするということは、非常にインパクトのあることだと思います。
 企業としては、短時間勤務の労働時間を頻繁に変えられるよりは、ある枠の中、年なり何なりの単位で労働時間の枠が決まっていて、その中をある程度按分して働くという形。それであれば、まだ管理も楽なのですが、あるときだけ短くなり、あるときだけすごく長くなるという形ですと、仕事をassignするときにも厳しいというところがあります。
 どちらかと言うと法律が、同じ人が、同じように、同じ場所で働く、居るということが労働時間であるというような考え方であるのに対して、今回皆様がお話をされているのは、どちらかというと発想とか、新しい働き方についての御議論が多く、両方あるなと思っています。そのバランスとしてどういったものがいいのかは十分に考える必要があると思って受け止めておりました。
 弊社の場合は、男性で短時間勤務を取る社員は非常に少ないですが、時差という形で、労働時間を担保した上で働く方は、比較するとかなり多いという状況です。ただ、育児や介護だから特別とか、社員自身からはそういう「だから」という枠を、できるだけ外して働きやすくしてほしいという意見もありまして、弊社ではフレキシブル勤務という形で、できるだけ労働時間や場所をフレックスにするにはどのような方法があるかということを議論しています。誰でも使えるという方向です。

○武石座長
 ありがとうございます。

○佐藤委員
 今のこの、当たり前のことでマル2の両立支援制度で言えば、座間委員が言われたように、基本的には普通の働き方がどうであるかなのです。普通の働き方に過度な残業がなければ短時間勤務をずっと使わなくてもいいのかもしれないのです。それがすごく大事で、フルタイムで残業があるから短時間勤務が大事だみたいな、多分、最初の議論はそこにあったのも事実なので、今、働き方改革と言っているので、そういう意味でそういうことも進めながら、そうするとここの両立支援制度のあり方も実態として変わってくるということも考えたほうがいいかと、今、伺っていて思いました。

○座間委員
 今の佐藤委員がおっしゃった実態は、弊社の中でもあるようです。非常に忙しくてフルタイムだと残業を断ることが厳しいので、短時間であればそういう依頼がこないので、心配なのでまずそこでやってみてという事例があったということは聞いたことがあります。
 それから、1つ申し添えたいのですが、男女ともに育児をするという制度だけではなく、そういうものの啓発、情報発信が必要だという御意見が皆様から出ておりましたが、非常に重要なことだと思います。それこそ小学校や中学校、できるだけ子供の頃からの教育や何かにうまくそういう考え方とか、そういうものを入れるような何かの仕組みがあったほうが、より社会風土の変革には近づくということは日頃感じております。
 省庁の壁を越えることは十分難しいと承知して、あえて申し上げておきます。ある程度、社会人になってから伝えると、個人の意志を強く左右するところまでいかないので、そういう考え方ができる前のところで、ある程度伝えていくということが、より社会のムーブメントにつながるのではないかと個人的に思っております。

○武石座長
 分割のことで言うと、今は休業の期間が1回の制度なので、企業に分割制度があっても給付金が出るのが最初の期間のみになってしまうという問題があり、企業が柔軟な制度を導入しても、結局、それをうまく使えないという問題があることが課題かと思っております。給付金が柔軟になるといいと思っております。
 ほかに何かございますか。

○佐藤委員
 これもかなり飛んだ話でマル3ですが、女性社員が育休を取って子育てするときに、女性社員の夫の勤務先に知らせるということはできないのかということです。通知を出すとか、今、子育て中でうちで短時間勤務を使っているので、お宅もサポートをしてくださいということを制度的にやれないですか。それから、女性社員の夫の会社の人事に連絡するとか、お宅もやってくださいということはできないでしょうか。ほかにこういう仕組みをやっている所はないかと思っております。
 私は地銀か何かでやればいいのではないかと言っています。地方銀行の女性社員の夫の会社は全て取引先なので、頭取名で出せと言っています。それは法律ではありません、運動として。これは誰も駄目とは言いにくいのです。社内結婚はやっているわけなので、もう少し地域で運動としてやれるような、働き掛けることは当り前みたいにするという。今、取引先に、うちも働き掛けしますのでお宅も理解してくださいとやっています。同時の仕事を減らして夜は受け付けていませんとか、実はそれと同じ面もあります。そういうことで挑戦状でお互いを、取引関係ではないのですが、何かできないかということです。

○座間委員
 仮に今のお話を実現的にするのであれば、子供の生まれた女性社員側の会社が何らかのパートナーへの配慮を依頼するような文面を作っておいて、子供が生まれたらそれを発行して、義務か希望か分かりませんけれど、それが家庭内でパートナーに渡り、パートナーがこういうものが来てしまいましたというか渡されていますのでよろしくみたいな流れ、実現するのならばそちらの形が近いのかと思います。

○宮川局長
 私も思っておりまして、私にはある仮説があります。もしかして、夫は自分の会社がいかに忙しいかということを配偶者に言うことによって、結局、本人が取りたくないということを隠しているのではないかと。逆に言えば、夫の会社が「うちは取ってほしいのです」あるいは「取ることは全然問題ありません」ということを配偶者にお伝えすることは、御夫婦でよく話し合ってくださいという意味では、正に佐藤委員がおっしゃった運動論としてはあり得るのではないかと個人的に思っております。

○佐藤委員
 農業セクターでは家庭内で協定を結ぶということがあり、これは何万件とやっていますよね。

○源河職業生活両立課長
 やっています。

○佐藤委員
 つまり、女性の地位向上みたいなことで、運動として協定を結ぶ形のものは農林水産省がやっているのであり得るのです。そういうものを少し参考にしてやる手はあるかもしれないです。

○池田委員
 男性の育休を考えるために、駒崎委員が前々から仰っている産後直後のところをどのようにするのかという話と、妻が復職する前後の時期をどのようにするのかという話です。
 現状の日本の法律の場合、産後に保育園に預けて復職するまでの全期間に妻が一人で育休を取っても不都合のない設計になっている。ヨーロッパの場合は、妻が取れる最大期間だけでは足りなくなるようになっている。それは前回、パパママ育休プラス、あるいは、前回改正のときに、育休期間の延長のときに議論になったことで、要するに妻が全部使えば、足りているところに夫を割り込ませようとするので、佐藤委員がおっしゃるようないろいろな工夫が必要になってくるという構造なのかというところです。
 だから現状、後ろの部分についてかなり複雑な制度変更をしないと、現実的に男性が取らなければいけない状況を作るというのは、かなり大変なのかという感想を持ちます。例えば、保育園に入れない場合の妻が取れる最大期間は今のままでいいのかとか、夫と交互に取っていくという方法をとか。保育園の入所期間を0歳児保育から復職していくのか、1歳までは夫婦で子育てしてということを目標に考えるのかという判断もあると思います。今、妻が取れる最大期間については、保育園に入れない限りずっと休んでいていい法律になっているので、そのままでいいのかということは考えないと、男性のほうも、繰り返しになりますが、無理矢理割り込みをさせないといけないことになるのかと思います。
 もう1つは、駒崎委員がおっしゃったように、出産直後の父親産休と言われている部分について、私は仮説的想定みたいなことを書きました。やはり、産後に夫がどういう形でペアレンティングをするのかということについて、少し社会的に共通イメージを持つというか。1つは、自分の経験に照らして言うならば、スキル形成は大事だと思います。女性も全く本能に任せて子育てをしているわけではなくて、きちんと、子育てのスキル形成を初期にやるわけで、沐浴の仕方やゲップの出させ方等を含めて、そこに夫も一緒に参加することが大事なことです。
 そういう意味で、社会的にきちんとプログラムを作り、そこに参加する時間を夫が持つという社会的な合意形成は、現に部分的に実施されております。そうすると最初の話に出ましたが、5日未満の育休に何の意味があるのかというと、父親初任研修期間と言うのでしょうか、そういう社会的な合意は、当然、あり得るのかと思いますが、いかがでしょうか。

○駒崎委員
 そう思います。

○佐藤委員
 取ったら免許証を出すのはどうでしょうか。

○池田委員
 産休免許証、産休認定証といったイメージでしょうか。

○駒崎委員
 運動論としてはありかもしれないですね。産休を取ったと言ったら、取りましたでフォームで自動的に何かこう画面で取ったと出てきてというようなものは、あり得るかと思います。
 あと、話に出たか分からないのですが、インセンティブを付けようという話は出ましたか。

○武石座長
 インセンティブは、前にお話されていた障害者雇用納付金のようなもののことですか。

○駒崎委員
 そうです。私は過激にペナルティーの話をしていますが、ペナルティーが無理かもしれないのならば、男性産休、育休をきちんと取らせた所は、くるみんやプラチナくるみんでもいいのですが、企業が出している事業主拠出金が少し軽くなり、そうではない所は少し高くなるみたいな感じで。そういう意味で、今だとくるみんを取っても微妙だよねと正直、これは言っては駄目だったのでしょうか、少し微妙になっている部分があるので、それは何の意味があるのみたいな話のときに、実際に事業主拠出金が軽減されるみたいなものがあると、だったら取らせようとなってくるのではないかと思うので、もう少しそれを想定に入れていただけるとうれしいと思います。


○駒崎委員
 あと、先ほど佐藤委員が言っていたことは面白いと思いました。夫側の所にワンオペ育児禁止依頼書を出して受領しましたという感じの儀式をする、ワンオペさせませんという感じでやるとかはありかなみたいな。あとは社長同士で分かりましたと言ってワンオペ育児をさせませんと、相互協定を結びましたと、だから結婚するのならばこの企業の人にという感じでネタにするみたいな。

○佐藤委員
 地方は見えるので割合やりやすいです。それから、駒崎委員がいないときに私が先ほど言ったのですが、地銀か何かが音頭を取ってやってくれるのはいいと思っています。自社の社員からやり始めれば、配偶者はどこかの取引先なので……みたいなものがいいと思います。カップルで交際することを支援するのは当たり前の企業みたいにしていく。

○武石座長
 総括すると、現状では男性が主体的に育児に取り組めるような制度にはなっていそうもなくて、今までは硬直的で女性が取ることをイメージした制度設計になっていて、そこに男性が入るときには、かなり制度の見直しが必要であろうという、といった現状認識になるのかと思います。
 何か具体的な場面でこの制度が、という御意見があれば、お願いいたします。池田委員が先ほどおっしゃっていた女性1人で2年取ることができて、パパママ育休プラスだと1年2か月だから、全然、パパママ育休プラスが機能していない、など。

○池田委員
 それもありますし、そうですね。今は、結局、女性が1人で全部育休を取って復職して、時短も必要な分だけ全部1人で取っても足りるように出来上がってしまっているのです。
 そうすると、中里先生がいらしたときの話ですが、ヨーロッパはどのようになっているのかというと、女性が制度を利用できない期間が育児の場面において必ず発生するから、男性がそこに入らざるを得ないような、男性が取れるというよりも女性が取れない空白期間が制度的に作られているということが、男性の育児参加を促進する1つの制度的な工夫になっているというお話だったと思います。それで言うと、現状、保育園に入るまで妻が1人で取ってもいいように後半部分、産休明けの部分についてはなっていますので。

○駒崎委員
 保育園に入園できるポイントで、パパが産休を取っていることが1ポイントと言ったら、みんな取ると思います。

○座間委員
 そうしたらすごく進むと思います。

○武石座長
 やっている自治体もあるのですか。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 多分、男性が育休を取ることで加点する仕組みを入れている自治体はないと思います。認可保育園の入園決定をどういう優先で決めるべきなのかを示した通知が保育課から出ているのですが、優先すべき類型の例示として障害児の方とかいろいろな大変な事案があって、その中に「育児休業を取得している方」も挙げられていますが、それを実際に優先するのかどうかは自治体の実状に応じてということが現状です。


○駒崎委員
 当初のガイドラインで、男性が産育休を取った家庭を加点することが男女共同参画の面において望ましいとすれば進むのでは。

○佐藤委員
 もちろん、シングルの女性もいるので、カップルであれば、当然、カップルで子育てをするのでしょうというメッセージを出すことも大事だと思います。

○駒崎委員
 そうですね。保育園はワンオペ育児を助長する装置ではないと、両親できちんと子育てするということを言っていくべき所なのだから、それはやるのだと、意志としてガーンと出していくという。

○佐藤委員
 そうすると、すごく進むだろうね。

○駒崎委員
 とても進むと思います。もう争って。

○座間委員
 個人的には今の意見にすごく賛成なのですが、あえて保守的な立場の意見を代弁させていただきます。男性も休めるぐらい余裕のある会社ならばいいよねと、そういうことが取れないからやろうとしているのに、それで保育園に入れないのはどうなのかみたいな。個人的には面白いなと思うのですが難しい面もあるのかと。

○駒崎委員
 例えば、これから人手不足で、要は労働者が大事になってくる。労働者を休ませもさせられないような企業は潰れろと、社会悪であると、社会にフリーライドしているだけの企業なのだから潰れて、そこが潰れたら優秀な労働者がより良い企業に労働移動するわけなので、社会全体、マクロとしたらいいのだと、1つの企業としては悲劇かもしれないが、マクロとしては善なりという態度で、労働移動を促進させるという意味において正当化され得るのではないかという理論はどうでしょうか。

○座間委員
 個人的に社会の変化の流れとしてマクロ的には賛同しますが、近視眼的には、まだ差がある中でどうやったらその方向に進んでいけるのか、少しステップが必要なのかという気がします。是非、最終的にはそういう方向にいくべきだと思います。

○佐藤委員
 現状で1か月と言わずに1週間ぐらいということであれば、取る時期もいろいろで、生まれて半年ぐらいで取るならばどうにかなるのではないのでしょうか。それができないのならば、先ほどみたいにひどい会社ということかもしれないです。半年取るというわけではないので。

○駒崎委員
 そういう意味で、1週間取れたら保育園に1ポイント加点になると言って、「では取りたい、でも取れない。何だこの会社、もういいよ辞めてやる」と言って足による投票が行われて、そのブラックが、「やばい、このままだと社員がどんどん辞めて行ってしまう、変わらなきゃ」と言って行動変容を促すみたいな。社員側からのレボリューションを促進するという、いかがでしょうか。経営者なのにこういうことを言っています。経団連に非常に怒られそうなことを言っています。

○池添委員
 育介休法の話だけではなくて、基準局マターになってしまいますが、時間短縮とか上限規制が月80時間とか100時間とか言っているものを、実際上労使でどれぐらい短く設定できるのかというところの政策も、幾つかの車輪の1つであるので、そちらもきちんとやってもらった上で、時間がそもそもの所定内に収まっているとか残業が少ないとか、そのために業務量調整とかマネジメントが適正になされているという話があってこそなのです。
 あと、もう1つは、法の施行を上回る措置は当事者の合意でやっているでしょうという話が先ほどありました。労働契約法マターで、家庭責任と仕事との両立に配慮しなければいけないという訓示規定があります。基準局マターになってしまいますが、育介休法の男性の育休とか、主体的に家庭責任を果たせるという価値観に着目しながら、契約上、例えば、プラクティカルな取組としてこういうことが考えられますということを、政策として公に発出するという何か仕立てもあれば、より、今議論している育介休法の中身とパラレルにうまく政策が回っていくような気がするので、今の皆さんの議論を伺っていて、そちらのほうの検討も加味していただけたらいいのかなと思いました。

○座間委員
 素朴な疑問です。家庭の中で育児をしたりするということは、家庭の中の価値観というか個人の価値観で、そういうところに対して企業側がどこまで立ち入るべきなのかという議論がよくあります。社員が是非取りたいということに関しては取れる制度を作りますが、義務で取れみたいなところに関しては、社内ではいろいろな議論があります。ですから、では、どのように手を挙げさせようかという話になります。

○駒崎委員
 多分、その転換が必要で、例えば、花王株式会社はすばらしいのですが、花王株式会社の職場が危険であるとします。フローレンスがすごく良くて、フローレンスの職員の夫が花王株式会社で危険な働き方をしているがゆえに、フローレンスの職員がポテンシャルを発揮できないという場合、これは社会悪であると、花王株式会社は従順というか頑張って働き方を調整している妻にフリーライドする悪しき存在なわけです。それによって他の企業の生産性も下げてしまっているということが言えまいか。
 だとするならば、価値観の問題ではなくて、社会全体の福利のために会社の働き方というものを変えなくてはいけないというロジックが構成できるのではないかと思っています。つまり、ワクチンみたいなもので、個々で打つというのは個々の話なのだけれど、社会で伝染病を広げてはいけない、その盾になるのだということで正当化されるので、社会全体の福祉を考えてという形で、個人のそれを超克できるのではないかと思います。

○座間委員
 そうすると、むしろ無理して、賛成しているわけではなく、今の話をすると、むしろ、2人とも大変なぐらいだったら片方が軸足を変えたほうが、逆にうまくバランスがとれるのではないかと、真面目にそういう話を議論している男性社員同士もいたりします。両方ともバランスを取るということが非常に大変だと。なので、そういう方向に行く途中の間に何かの仕組みがないと、逆に分担するほうがいいと、そのほうがいいバランスができるという議論にいきそうな気もしてしまいます。なので、どうやったらその道に行けるのかという、そこが悩ましいと思っています。

○駒崎委員
 でも、あれですよね、今、対企業同士で、うちが働き方改革をしても、そちらが改革しなかったら全然駄目なんだよみたいな話って、そこまで一般的ではないから、やはりそれは、その過程の中ではアンバランスは個人家庭の問題としてクローズアップされています。けれども、本当はこちらの企業が、何か割を食っているという認識というのは、もっと広げて、企業同士の喧嘩というか、おい、何とかしろよみたいなように言って、この企業に圧を掛けるというか、ここの社員からこの企業に圧は掛けられないけれども、妻側の企業から、おらって、こう、言うような何かそういう回路をつくってあげると、何か面白いのではないかというか。

○座間委員
 佐藤委員も同じですよね。

○佐藤委員
 やり方としては、企業として男性も含めてカップルで子育てするということを言わないと、今のようなことが起きるから、それはやらないと。でも、個人が取るかどうかまでは強制できるかという話はあると思います。

○駒崎委員
 それはそうです。

○佐藤委員
 だから企業として、そういう取組をするのが義務ですよという言い方はありうるのです。

○駒崎委員
 はい。

○佐藤委員
 社員を強制しろという言葉でやるかどうかの話だと思います。

○駒崎委員
 それはそうですね。

○佐藤委員
 そこだと思います。だから今みたいな、お互い、例えば同じカップルで別の会社へ勤めていますよねと、それで、そういう意味では、駒崎委員のロジックは正しいのです。そういうことを変えていくためには、会社として社員に、取ることは大事だし、取れれば取れるようにしますよということはやってくださいというのは言えると思います。

○駒崎委員
 はい。

○佐藤委員
 ただ、それを社員に、そうやれということまで突っ込むかというと、ちょっと、そういう話かなという気がします。

○駒崎委員
 そうですよね。それを政策に落とすとなると、そのように妻側の企業が夫側の企業に少なくとも、ずっと時短で、マミートラックに妻が陥るようなアンバランスな働き方をさせないようにしてくれよというのを、何か厚労省が仲介するというか、分かりませんが、お互い、そちら側の企業がこう言うと、厚労省が代わりに言ってくれるという、こういう案件がきましたとかといって、どうですか。

○佐藤委員
 でも、できるだけそう考えた上で、自分は、それほど仕事を頑張らなくていいのだという人がいるかも分かりませんが、女性の場合はね。

○駒崎委員
 妻側が、女性側が。

○佐藤委員
 考える機会を与えても、私はほどほどでいいという人にまで、あなた仕事を頑張るのだから、早く復帰しなさいと言うかどうかなのです。

○駒崎委員
 そうですね。

○佐藤委員
 もちろん法定の制度は使えなければいけないからね。

○駒崎委員
 なるほど、そうですね。でも、そういう妻側が、いや、私、ずっと時短でいいのですということだといいのだけれども、いや、本当ワンオペで、つらいわみたいなことを言ったら、OK、じゃあ、うちが夫の本社に言ってあげるからと言って、厚労省さんと言って、窓口に書いて、夫側の名前と、勤めている企業を言ったら、自動で厚労省から人事にメールが行って、それで、こういうようなリクエストが来ていますといって、分かりました、では、ノーワンオペ育児企業同盟に参加しますと言って、何か約束するような、何かそういう社会運動があると。

○佐藤委員
 運動としてはありうるだろうね。

○池添委員
 少なくとも、これも基準局の所管ですが、労働時間設定改善法には関係取引先企業が時短をやっている会社の時短推進を阻害してはいけないという、配慮しなさいという規定があるので、関係先に対する配慮もきちんと考えましょうという仕掛けは、できなくはないのではないかという気はしますけれども。

○宮川局長
 今回の検討会を働き方改革の実行計画でやることになっているわけですが、それは言うなれば、男性の育児参加を促進することをもっとやっていくということを、所与のものとしてしているのですが、実際の企業レベルに落とし込めば、やはりそこのところについての納得感をどうやって、正に育児に男性が参加していくことを、なぜ自分の企業がやっていかなければならないのかということについての丁寧な説明なり、周知とか、いろいろなものも含めて総合的にやっていく必要があると思います。そういう観点で恐らく今回の研究会をやらせていただいているのだろうと思います。正に育児の男性参加という、もともと育児休業法をつくったときの発想が、先ほど皆さん方がおっしゃっているような女性の継続を何とかしなくてはいけないということからであったのは、正直なところはあったと思いますが、今やそれが、育児の男性参加を促すためのツールとして、育児休業法がどういう形にあるべきか。あるいは、その運用、あるいは、運動論も含めて総合的に御検討いただければと思っております。

○池田委員
 取得できる上限年齢と、取れる期間を切り離すというのは、先ほど佐藤委員から、多分、前々回の開催のときも少し短時間勤務についてあったと思いますが、それは少し考えてもいいのかと思います。
 1つは、よく言う、「小1の壁」、「小4の壁」とかという、子供が中学を卒業するぐらいまでの間に、特に学校入学、卒業とかのタイミングで、子供の生活が変わるタイミングで休業ないしは時短を取りたいというニーズは恐らくあるでしょうし、だからといって、子どもが生まれてからずっとその間時短というのも現実的ではないと思いますし、その間に多分、2人目が生まれたりとかあります。1人につき、例えば使えるのは1年までとか、時短だったら3年までとかにした上で、それをどのように人生の中で割り振るかは御本人の選択で、当然それは夫婦で、妻だけで足りなければ夫も取るということが1つ。
 もう1つは先ほどの座間委員のお話で、男性自身が取りたくないと言ったときに、幾つか男性の父親役割というのは分けて考える必要があって、まず、父親はそれほど興味がない、ブレッドウィナー役割で、そのケア役割に対して興味がないという男性がいるのも多分確かだと思います。
 ただ、妻と同じ役割を夫が別に担うことに関心がないけれども、例えば、父親役割は、もともと母親役割とは別なもので、比較的、情緒的な役割よりも、教育的な役割ですか。例えば、夏休みの自由研究を手伝う、子供を連れてキャンプに行く、少年野球のコーチをするとか、父親ならではの子供との関わり方には興味があるという男性もまたいるわけです。そこは完全に性別役割分業があるのですが、父親としての役割に対しては、極めて関心があるという男性がいて、そういう人の場合、伝統的な議論では、子どもの年齢が上がるにつれて、父親の役割は大きくなると言われています。つまり、ケア的な要素よりも教育的な要素が増していくと、父親の出番が増えていく。だから先ほど言った夏休みの宿題とか、キャンプに行く、少年野球などは、全部、3歳未満で発生しないことですが、小学校に入ったぐらいから出てくる。あるいは中学受験のあれですか、子どもの勉強のマネジメントとか。そうなったとき、社員が正に御自身の選択の中で、与えられた権利を少し長いスパンで行使するということは、もしかしたら。そうすると、もっと子供と関わりたいということのニーズが実はあるということがあって、そうすると、子供が小さいときに取らなかったから駄目とは言わない、あるいは、子供の夏休みの1か月間休業を取って、小学生の子供と旅行に行きますといったことでも別にいいのではないかと。

○駒崎委員
 それはありますね。私は障害児の保育園をやっているのですが、医療的ケア児、重い障害のある子だと、例えば、よしんば保育園に入れたとしても、特別支援学校は、親は付いて来てくださいとなるのです。そこで、雇用が断絶されてしまうのですけれども、例えば、小学校の間は時短とかを組み合わせながら、そこは何とか乗り越えられることができれば、もしかしたら完全に辞めて、そこで職業……を終了にしなくてもよくなるかもしれないし、低学年の間だけ育休的なものを使うことができたりとかできれば乗り越えられるかもしれない。
 ですので、子供の状況、障害度合いによって、いろいろ人生によって休まなければいけない時期とか、時短しなければいけない時期が違ったりするので、今おっしゃったように、小学生の高学年の受験のときだけ時短するとか、自由に選べるようにするほうがいいのではないかというのは、確かにそうですね、私は賛成です。

○武石座長
 そうすると、育児休暇というよりは、親休暇のような感じですね。

○池田委員
 男性を考えたときに、そういう要素は出てくるのかという気はします。特に妻が専業主婦の場合。

○佐藤委員
 これ、2のほうにいってしまいますが。

○武石座長
 では、2のほうも含めてお願いします。

○佐藤委員
 マル2のところで、カップルで子育てするということで、そうすると、特に専業主婦、現状で言うと、日本の状況を考えると、正社員で働いていても、妊娠・出産で半分ぐらい辞めている状況があるわけですから、これも視野に入れなければいけなくて、カップルで働いている人たちと、妻が専業主婦の人がいるわけです。専業主婦の人たちも、やはり男性の子育てはすごく大事だと思いますが、これはやはり、育休取得だけというような子育て参加だとなかなか進まない。だから育休は取ってもいいのですよ、もちろん。つまり、育休取得というよりかは、男性も子育てに関わって、カップルで子育てすることが大事だと。そのときに、育休以外の子育て参加のあり方のようなものが、今のようなのもそうですけれども、やはり分かるようなメッセージというのは大事。
 ただ、ここが欠けていたのではないかと思っていて、結局、妻が専業主婦でも育休を取りなさいといったことなのですね。でも、そうではなくて、例えばその時期に残業しないで、子供が寝る前に帰って、お風呂に入れるといったことも大事です。だから、本当に一定期間取るよりも、よほど長い子育てに関わるということなので、いろいろな子育て参加のあり方のようなものを出していく。そういう意味では、妻が専業主婦で育休を取ってもいいのですが、取らなくてもこのような子育て参加が大事ですよと、今もう少し大きくなってから子供と遊ぶというのもあったと思いますが、そういうことがすごく欠けていたのかなという気がしていて、だから、そういうのを進めることが大事かなと思います。


今回、育休ということだけですが、もう少し広めにカップルで子育てするような育休を位置付けるほうがいいかと思っていて、やはり日本の現状を考えて議論したほうがいいかという気はします。夫婦で働いていれば育休は当然という気はするのです、男性も。でも、専業主婦の場合も育休を取ってもいいのだけれども、逆に言えば、妻が働いていても育休を取らなくて、変な話ですが、週2度、保育園に迎えに行くということをずっとやり続けるというのは大事なことです。だから、どれが良い、悪いというよりかは、カップルで子育てするのにはいろいろなやり方があるということを少し伝えるようにして、その中の1つが育休といったようにできるといいと思っています。

○池添委員
 そうすると、法定制度自体の骨格というか、根本の価値観が大分変わってきてしまうような気がして、それがいいかどうかは議論の余地は当然あるのでしょうけれども、でも、そういう考え方は、先ほど座間委員がおっしゃっていた、大分時間が掛かる問題である。子供が小さい頃から男性が育児に関わることというのを、親としてその姿を見せることによって、その子が大きくなったときに、また、それが繰り返されてという、長い時間掛かる問題であろうとおっしゃっていたと思いますが、そういう意味では、価値観をこれから政策的に変えていくのだというメッセージを目的規定、基本理念の中に、割と色濃く打ち出すことによって、企業に対して縛りをかけるわけではないけれども、でも、それを政策的にサポートしていきましょうと。子育てに関わる人は、男性も女性も、特に男性は主体的に関わるということが価値観として、これからの世の中に必要でしょうということをメッセージとして打ち出す。
 そういう中で、様々な休暇があり、重要なのは、やはり育児期ですね、でもそれ以外にもいろいろな子育てに関わるツールはありますということを包括していくような制度、政策といった全体的な構成になっていくのかというような印象があって、そうすると、どこを短期の工程の中で変えていけるか。5、10年ぐらい掛けて、では、どこまで変えていこうとするのかというのを長期的な視点に立って、できるものと、できないものを振り分けて考えていかなければいけないかと思いました。

○座間委員
 今の池田委員、池添委員、佐藤委員、皆さんのおっしゃっているところは、本当にそのとおりだと思っております。企業の中ということを考えると、今、新たに子供が生まれる人というのは、やはり若い人に限定されますが、ある程度の年齢の親というと、また社員層が広がりますので、強制という形かどうかは別にしておいて、何か総合的にいろいろな年齢の親としての何かの取組を支援するという形をとれば、もう育児期は過ぎたけれども、今、言ったような夏休みなり、受験のときのそういう支援で、休みたいという話は実際に社内であります。そういったところを見ると、育児に関わっているんだ、あの人もと分かる。そうなると、先例がいないのではなくて、自分も、では、小さいうちからこういうのを取ろうと思うとか、風土醸成の中では、非常に変化を促しやすくなると思いました。

○佐藤委員
 育介法で手当する話かどうか。

○座間委員
 そうですね、ちょっと違う気がしますけれども。

○佐藤委員
 その休業制度の趣旨を何にするかという話になりますね。

○池添委員
 現時点の育児休業でも、趣旨は割と曖昧になっている気がします。

○佐藤委員
 現状、もう既に法律が変わってきてしまっていて、趣旨と変わっているということですね。

○池添委員
 ええ。

○駒崎委員
 戻って恐縮ですが、インセンティブで、保育園のポイントの話でこだわるのですが、男性の産休は無理でしたら、では、保育園の送り迎えでは、これは両方でやるべきです。なぜなら、我が国の「男女共同参画社会基本法」というものがありまして、それの第4条、社会における制度又は慣行についての配慮なのです。なので、公的な施設である保育園で、性別役割分担が色濃く出たような行動をするようなことがあってはいけないわけなのです。ですので、基本的には、保育園、保育所を利用するような家族においては、ひとり親は別ですが、原則的には男女の機会均等と、共同参画に基づいて送り迎えを分担するべきであり、それをするようなカップルはポイントが高いですといったことを建前でも打ち出すということをするのはいかがでしょうか。どうです、自治体さん。男女共同参画社会基本法を鑑みて。

○宮川局長
 今や所管の局長ではなくなっているので、明確には言えませんが、先ほど企業なり、個々の労働者の方々の状況というのは千差万別であって、その中でどうしても送り迎えに行けない働き方をしている方で、かなりそういう意味で、女性にお願いせざるを得ない。あるいは、逆の意味で、男性にお願いせざるを得ない。男女両方がやるのは理想かもしれませんが、現実の働き方として、例えば、交替制の労働をしているとか、様々な深夜業の方とか、そういう個別の事情を無視して、はっきり言えば、そこだけ優遇してしまうということについてのいろいろな御意見は出てくるのではないかと直感的に思います。そういう意味では、理念としては、ある意味正しいですし、そこはそういう形のものを是非やってほしいということは、言うことはいいですし、運動論的なものだと思いますが、そこは制度論的なものになってしまうと、少しそういうリアクションというか、反発というか、そういうものは容易に想像できるものかと思っています。
 ですから、先ほどの保育園のポイント制というのは、非常に私もユニークな発想で面白いと思いますが、では、どこまで真の意味での男性の育児休業を評価するのかといったところで、では、名目だけやったことにしようといったことが出てこないかというのは、逆の意味で恐れるところです。それでも、やはりやったほうがいいというのも1つの議論かと思います。

○駒崎委員
 名目だけでも私はいいと思っていて、もうしようがないからやるでもいいと思いますが、いずれにせよ、体験によって人は行動変容をしたりとか、価値観変容というのはあるので、そういう邪な心から行動が促されて、でも、やってよかったというのはあるような気がするので、やはりそこはインセンティブを持たせたほうがいいように思います。
 一方で、先ほど局長がおっしゃったように、それができない人もいる、確かにそうなのです。でも、それをずっと言っていると、男女共同参画の理念は実現し得ないわけなのです。いろいろな人がいるからといった話なので。それよりも、男女共同参画、男女平等の価値観のほうが大事なのだと。男女は同じ人権を持って、同じくやっているのだという、そここそを我が国では重視するのであって、個別の企業の事情など、その大義の前では知らんと、知らないというか、要は、人権のほうが重要ですと。企業の利益や、企業のパフォーマンスは二の次であるということを、国としては言っていいのではないかと。変な話。

○武石座長
 厚労省の委員会としては、企業経営にも目配りする必要がありますが。

○駒崎委員
 でも、そうですよね、人権というのは、そういうものではないですか。例えば、今の話を言うと、いろいろ夜遅くまで働いている人もいるから、では、妻はワンオペ育児で苦しんでもいいですよということではないですか。

○宮川局長
 そこのところは、いろいろな働き方をそれぞれの方が選んでいるわけですし、選ばざるを得ないというか、選べなくて、そこでそういう仕事をされている方もおられるわけですので、そこのところは、やはり現実の問題として考えなければなりません。

○駒崎委員
 その議論がいつも横行するから、企業が免責され続けるのです。どんな働き方をさせてもよくなるのですね、企業は。いろいろな働き方、いろいろな事業があるから、うちはトラックだからしようがないよといったことを、それを許し続けてていいのかという話だと思います。私は企業よりかは、絶対人間のほうが重要だと思います。企業よりも社員のほうが重要と思っています。そういう時代になってくるのではないですか、これから人手不足になっていって。別に企業が幾ら潰れようと、別に日本人が、日本の人がきちんと生きていて、幸せになっているほうが重要だよねというようになるのではなかろうかと思いますし、そういう時代のほうがいいのではないですか。これだけの過労死大国において、毎年、自殺者数3万人という状況を鑑みるならば、人々を自殺させるような企業なんてあってはいけないのです。人々のほうが重要と私は思うので、余り企業のことを気遣っての制度設計というのはやめて、個人の命のほうが大事、人権のほうが大事というようにしなければ駄目なのではないですか。それは労働関係の部署からは絶対難しいと思いますけれども。

○宮川局長
 そういう意味では、一定のバランスはどうしても取らざるを得ないというのは、多分、役所の言うところだと思います。そうは言っても、いろいろな制度、仕組みをつくり、運用し、あるいは、運動論も含めて様々なものに取り組むというときには、今のそういう状況、特に、育児の男性参加という今回のテーマについて、いわゆる総論賛成、各論反対的なものはいろいろ出てくるかもしれませんが、各論反対の反対する部分についてどううまく解きほぐしていくか、その中で、制度論的なものの対応とか、運用面での対応とか、運動論のような対応というものを今後どう整理していくのかというのを是非、今後議論させていただければと思っております。もちろん、短期的にすぐできるようなツールを取り込むようなものとか、法改正も含めた中長期的な課題、更に超長期的課題も含めていろいろなものがあろうかと思います。

○武石座長
 今日の論点ペーパーの最初が、制度のあり方から始まっているのですが、この前、佐藤委員がおっしゃったように、トータルに仕事と育児に男女がどう関わるべきかというような全体の話があって、その中で、育介法で受けられるものとか、保育の制度で受けられるものとかというのを切り分けて議論していくほうが、今日のお話を聞いていると、まとまっていく感じがします。先ほどの保育所入所のポイントに加点するとか、今日は研究会なので自由な議論をしていただいて、プラスの面と、でもこれにはマイナスの面のデメリットがある、ということの整理をしていくのがこの研究会の役割だと思っています。そういう意味では、男女が育児をしていくという社会をどう描くのかという大きな話の中で、いろいろな制度に落とし込んでいくのがいいのかなと思います。慎重な意見と、もっとやるべきだという意見が両方あるので。

○駒崎委員
 ハローワークで仕事を探すときに男性育休率とか、そういうのは出るのでしたか。

○佐藤委員
 直接はない。求人票の「その他」の所に各企業は書いてもいいのです。うちはこういう会社ですと。

○駒崎委員
 何か書かせるのはどうですか。要は、きちんと男性に育児参加させていかないと、採用力が落ちると。

○佐藤委員
 今は女性活躍推進法のほうで発表している法人は見られるわけです。

○駒崎委員
 ハローワークで、要は、人を採るときの求人票で出さなければいけない項目の中にあると、今後、多分、人手不足、今でもものすごいことになっている業種がありますが、やはり人をどう採っていくかというところと、組み合わせていくという形が大事なのかと思っています。東京はそうでもないですが、地方のハローワークは結構強力なツールなのです。

○佐藤委員
 それ、難しいのはあれだよね、正直言って、年齢構成がずっと上のほうだと関係ない企業もたくさんあるわけです。

○駒崎委員
 もちろん。

○佐藤委員
 だから取りにくいわけではなくて、取る人がいないという会社もたくさんあるから、その区別が分からなくなってしまうのです、問題が。

○駒崎委員
 残業だったらどうですか。

○佐藤委員
 若者のほうはそうなっています。

○宮川局長
 企業情報を集約した形でして、簡易にアクセスできるような方法で考えている、正にその情報も強化していくというのが1つの方向性です、女性活躍の関係では。ですからそれは恐らくハローワークだけではなくて、一般的な意味での様々なツールでアクセスできるようにしていくということだろうと思います。その中には、1つ、男性の取得実績というのは入っていたかと。

○源河職業生活両立課長
 育休取得率は項目として入っています。ただ、必須ではないので、出している所と出していない所が当然あります。

○佐藤委員
 かなり外部労働市場で企業内の労働時間とかが分かるようなのは、今、整備が進んでいるので、それをもうちょっと使いやすくするというのは、そのとおりだと思います。

○宮川局長
 そうですね、男性求職者がそれを求職活動する上での重要項目と見るかどうかというのも、また別途の議論があろうかと思います。

○駒崎委員
 残業時間とかは見るのではないですか。

○宮川局長
 残業時間は見ると思います。残業の有無、それから、残業がどれぐらい実質的やっているのか。そこはあると思います。

○駒崎委員
 そうですね。情報開示義務というか、様々な場所で情報開示をしなければいけなくなると、抑制力になるとは思います。

○宮川局長
 あれは情報開示を義務付けなくても、情報開示の場をつくれば、そこに情報開示しないということが、その企業にとってみてデメリットになるようなイメージ、つまり、そこを示していないのではないですかというのはあるかと思います。

○駒崎委員
 それはそうですね。でも、日本の99%は中小企業なので、いわゆるウェブに男女共同参画何とか企業とかと載せるだけだと、採用時にリーチしないというか、地方の普通の人が中小企業に勤めるときに利用するチャネルというと、うちも仙台支社を持っているので分かるのですが、ハローワークとか、そういうことになるのですね。そこで選別をきちんとされるというか、企業が選別されて駄目な所には人が集まらないで潰れるというようになっていかないと駄目なのかなとは思います。特にハローワークは重要かと思います。

○佐藤委員
 話が変わりますが、育介法の趣旨のところ、武石座長たちが言われたように、これ、もともと継続就業ですよね。もともと女性の継続就業だったのが、今、だから多分、女性活躍推進法のほうもありますが、女性の活躍を阻害しないようなというのは、多分、将来的には、育介法にも入れる必要があるのだと思います。あと、男女共同参画という話です。
 そうすると、つまり、育介法の趣旨というのを変えるという意味ではないのですが、どういうものであるべきかというのを考えた上で今回議論する。後ろのほうですが、法律の趣旨まで変えるという意味ではないのですが、多分、実態としては、つまり、両立、継続就業だけではなくて、多分、女性活躍を阻害しない両立のあり方だよね、今はね。そういう意味では、女性の活躍を阻害しない、あるいはプラス、サポートするような両立支援のあり方というような観点がすごく大事で、そうすると、多分、男性のという話にも入ってくると思います。その辺も少し整理する必要があるかと、だから、女性が働き続ける、活躍できるような両立支援のあり方、そうすると、いろいろなところが違ってくるのではないかと。長く取れる、連続して長く取れればいいとか、カップルであれば夫婦で子育てできるのも大事だとか、何かそういうのだと、後ろの書き方も割合、分かりやすくなるという気もしています。

○武石座長
 目的規定も必要でしたら変えなければいけないのですよね、きっと。今回というよりも、どこかの時点で。

○宮川局長
 もともと法律は目的があって、法律の中に書いてある制度論がありますので、ただ、単純に目的だけ変えるというのは、恐らく法制的にはかなり困難だと思います。
 というのは、中身が変わってこそ、目的を変えるわけですので、それにふさわしい中身がなければ、それは法制的には無意味です。そうすると、今までが間違っていましたというとんでもない説明をする以外、方法がなくなってしまいますので、単純に目的だけ改正することはないと思います。

○佐藤委員
 なるほど。

○宮川局長 ただ、中身が変わって、そうすると、今までの目的では、もう読めなくなるので、目的を拡張したり、縮小したり、変更したりということは当然あると思います。

○池添委員
 そういう意味では短期的にできることを整理して、そこを具体的に良い方向にどう変えていけるか。具体的に実態を見ながら、企業の実務なども考慮しながら議論をした上で、今、局長が言われていた具体的な中身が、今の目的規定でも読み込めるのであれば、今は変える必要はないけれども、でも、5、10年の将来像を見据えて、中身をこのように具体的に変えていくということを考えたときには、目的は大分変えなければ駄目だよねと。そういう長いスパンで検討事項とか、あり方とか、価値観も含めて整理したほうがいいかという気がしました。
 それと、関係があるかどうか分かりませんが、男性の主体的な参加ということに関して、一般事業主の行動計画などをやっている次世代法があります。夫婦できちんと子の養育の面倒をみましょうねというような基本理念的な規定はあるのですが、そこで、では、男性が主体的にというところは、ちょっと読み込みにくいような気もしたので、もちろん女性が産んで育てるということも重要だけれども、そこに男性も主体的に関わっていくことも大事だというのをもうちょっと書き下して、将来的な課題かもしれませんが、変えていく。その上で、では、将来像としてある育介休、現行の育介休法の中で、次世代法は時限立法なのですが、そのときまで読み込めるかどうか分かりませんが、次世代法の基本理念規定を読み込む形で、男性も主体的に参加していくことは重要だという言い方もあるのかと思いました。

○宮川局長
 今、池添委員からお話がありましたように、実は法律上、基本的には男女は差別できません。ですから、育介法上も、女性に優遇とか、男性をこうというものはありません。それから、次世代法もそうですし女性活躍法もそうですが、あれは正に過渡的な時限立法、つまり、要は、直さなければならないからという位置付けになっていますので、女性活躍ということを普通の公序法に入れることは、相当難しい面はあろうかと思います。ただ、そこの理想とするものを何か考えて、それに向かっていくための改正として何かできるのかどうかというのは、政策的には、当然あり得べしですし、その中で法律としてやらなければならないものと法律以外の施策でそこに持っていくものは、いろいろな議論があり得ると思います。

○駒崎委員
 例えば今みたいに下の法律を変えるというのもあると思うのです、例えば男性育児基本法みたいな、何か理念法を作って。それを作る過程の中でみんなで考えて議論していって、今後はその男性育児基本法に基づいていろいろな法改正などをやっていくとか、というようにしていくというような感じで、いや、男性も育児をするものだよという感じで投げ込んでいくとかというのはどうなのですか。

○宮川局長
 1つの頭の体操としてはあり得ると思います。

○佐藤委員
 ……基本法はそういう性格だという気はしますけれども、あっちの基本法は。

○宮川局長
 だから、どちらかと言うと女性活躍の面での1つのテーマとして、あるいは次世代かもしれませんが、どちらかのテーマとして、そういう男性にももっと主体的にやってもらわなくてはいけませんよね、そのためには時限を限って男性のみの、要はあれの反対ですね、アファーマティブ・アクションの逆の発想で、男性に特別に有利な仕組みをあえて、多分、それは時限ということになるのでしょうけれども、作るというのは1つの頭の体操だと思います。
○駒崎委員
 何か、労働基本法みたいな。労働基準法はあるのですが、働くということには1億2,000万人いたら1億2,000万通りあってよくて、男性も、これまでの固定的な働き方だけでなく、様々な働き方というのがあるのだよみたいな、働くことの理念を何か規定していくみたいな形で。いや、男性何とかだと、多分難しそうなのですが。いや、何か、労働基準法はあるのだけれども、その労働の理念みたいなものを、新しい労働の理念です。新しい働くの意味です。働くというのは、多分、賃金労働だけではなくて、いろいろな働くがあって、地域で働く。あるいは、今、中間労働みたいなものがあったりしますよね。ボランティアも1つあるかもしれない。いろいろな形で個人が社会に対して価値を生み出すということは、グラデーションなのだよみたいなことを決める基本法みたいなものを作っていくことで、男性も別に時短してもいいし、別に週4で働いてもいいし、とにかく個人に合わせた、カスタマイズにされた形の労働のあり方があっていいのだみたいなものを提起していくみたいなところはできないのかなみたいな。

○武石座長
 非常に大きな話でこの場の研究会では収まり切れない話ではあるのですが、大事なことだと思うのです。すみません、ちょっとこの研究会の領域を超えているかなという気がするのです。
 ただ、先ほど女性の活躍のためにというので、子育てをしている人が就業継続プラスきちんと能力発揮ができるというようなのにすれば、女性と言わなければ育介法のほうでしっかり受けられると思いますよね。

○宮川局長
 就業継続と再就職ですね。

○武石座長
 子供を持つ労働者がですよね。もちろんそれは、後ろのいろいろな、中身が変わらないと理念だけ変わるのはおかしいという話はあるのですが、今日の議論を聞いていると、やはり今の理念から男性の育児休業をゴリゴリ押していくのは、育介法だけで言うと難しいのかなというような感じがありましたので。

○駒崎委員
 法改正を待つと短期的にやれることが少なくなってしまう。何か、短期的にやれる制度を。

○武石座長
 だから多分、先ほど池添委員がおっしゃったみたいに、あるべき姿を描きつつ、その中で、短期でできること、長期でできることというのもあって、それが法律なのか運動論なのかという、多分、そういうマトリックスの中でこの課題を整理していくのだろうと思うのです。

○佐藤委員
 今回のは、すぐというか、短期、中期を含めて、法律上やらなければと。もう1つは、企業が自主的にという部分もありますよね。あともう1つ、社会的な運動みたいなものもあるのかな。それは多分、それぞれ、分けてまとめてもいいのかな。

○武石座長
 そうですね、整理していけば。

○駒崎委員
 何か、次、そういう表みたいなものがあって、それを埋めていくみたいなほうがやりやすいのかもしれないですね。

○武石座長
 そうですね。

○池田委員
 だからある程度、短期的に言うと、先ほども言いましたけど、要するに、男性が仕事を休んで何をしないといけないのかということについての社会的合意が必要です。イクメンプロジェクトとかも、いろいろな話がありすぎて父親役割の何がマストなのかというのがよく分からないのではないかと。公園にベビーカーを押して子供を連れていくことから、その先をいった、妻と交代で育休を取るという話まで様々ある。その体験談なども濃淡がいろいろありすぎる。そうすると、会社サイドからすれば、それは個々人の選択の問題、価値観の問題で、いちいち、ああせい、こうせいと言うのは余計なおせっかいですということになる。それは、正にそのとおりだと思うのです。
 そうすると、先ほど言ったように、では、子供が生まれた直後に父親が最低限どういう役割を担っているかと、社会的役割ですよね。個人の価値観の問題ではなくて、社会的にお父さんがどういうことが役割として期待されるのかとか。あるいは、佐藤委員が前々からおっしゃっていましたが、保育園、例えば、慣らし保育はお父さんがというのもありますし、保育園の中でお父さんが参加すべき場面とか。それは、要するに、お母さんがしてもいいしお父さんがしてもいいしというよりも、むしろここはお父さんが出番ですというような、そういったものが共通イメージとして少しあると何か。あるいは、何かイベント的に、ある人からのプレミアム、もう余り言わないほうがいいのですが、プレミアムフライデーは要らないから、何か、プレミアムパパデーで何か、「毎週水曜日はお父さんお迎えの日」みたいなふうにしてくださいとかと言われたこともあるのですが。そういう意識の啓発の仕方もそうですが、何か、そういう場面を、お父さんがここにどうしてもいてくれないと困るという場面を作って、それを例えばイクメンプロジェクトの啓発の中に入れていくとか、というふうにしないと。
 現状で何が問題かというと、要するに、全部お母さんがやって、全部お母さんが育児をして、そのために育休と時短を全部、女性がフル活用しても間に合うのでしょうみたいな、そういうところを少し。ここはお父さんが出ないといけないのですというものを作っていくというか、そういうイメージを構築していくということは法律の改正を待たなくても、今の厚労省のそういう普及・啓発事業の中で、いろいろな意識啓発事業の中でできることではないかと思うのです。

○駒崎委員
 意識啓発というのは、イクメンプロジェクトがある種、何か、北風と太陽だったら太陽なのです、よく頑張ったねみたいな。だから何か、片や北風で、ワンオペ育児撲滅委員会とかいって、何かそういう人たちで、何か、いや、それは良くないよみたいな感じで、攻めみたいな場を作ってイクメンと対をなす、そういう社会運動をやっていくみたいなのはあるかもしれない。あの場で結構、ネガティブなことを言いづらくて、みんな、イクボス、頑張ったねとか、割といい感じで、国の枠組みだからしょうがないのですけれども。何かそういう、短期施策として社会運動を掛けるのだったらそういう、バズワードを作って広げていく、イクメンもそうだったのですが。いや、イクメンとかは、皆さん、当たり前だと思っているけれども、結構、失笑でしたよ、最初に出てきたとき、いやいやいやみたいな。でも広がったではないですか。やはりワードを広げて、ああ、駄目なんだとか、いいんだとかというように認識を変えていくというのは、短期施策として結構やれることなのです。なので、今だとワンオペとかは結構はやってきているので、それをワッと広げるというのは1つ短期施策でやれるし、やってもいいなと思っていますということがありますね。
 あと、短期施策として、しつこいですがインセンティブをきちんとあれしてほしいので、企業がそれをやったから何か、こうプラスがあるよねみたいなのは、次回だと思うのですが、しっかり議論できたらいいとは思います。

○武石座長
 池田委員がおっしゃった、ここは男性の出番だよねみたいな、最低ここはみたいな言い方は難しいではないですか、最後を決めるのは。だから、こういうところにあると望ましいよねとか、そんなイメージですかね。

○池田委員
 あと、私が最低限と言ったのは、例えば先ほどの佐藤委員の配偶者の働き方ということで言うと、妻の産後1か月間というのは、やはり就業の有無にかかわらず、要するに母体保護の観点から動けないわけですから、その間に、では誰が家事をやるのですかという。現状、例えば里帰り出産とか実家の親御さんの助けを借りるとかあるのですが、そこで子育ての基本的なスキルを学び、それを実地訓練しというのですか、そこは最低限。最低限という言葉がかなり強いようでしたら。

○武石座長
 そこは最低限で分かるのですが、それ以外は、なかなか最低限と。慣らし保育に来いと言っても、それも最低限とは言いにくいですよね。

○池田委員
 来なくてもいいし。

○武石座長
 そうです。

○池田委員
 だから保育園に入るときの、お支度研修という仕方を一通り覚えないと駄目ですから、しばらく保育園に足しげく通って男性が育児に関わる必要性があるではないですか、と言うことはできると思います。

○武石座長
 そういう非常にクリティカルな時期があって、こういうときにこういう男性の関わり方は非常に有効だよみたいな言い方はできると思うのです。

○池田委員
 そこはどちらかと言うと、男性こそというよりも、夫婦で一緒に行って同じような知識と技能を身に付けましょうということは言えるかなと思うのです。でも、どちらかと言えば今の話は、一番切実なのは産後1か月の時期ですね。

○駒崎委員
 里帰り出産というのは何か、禁止してもいいかなと思うのです。禁止ではないけれども、何か、里帰り出産とマイタウン出産という対の概念を作って。いや、里帰り出産をすると、結局、何か、実家の母親に頼れてしまって、母子の関係が出来てから夫が「こんにちは」みたいな感じでお客さんという、結局、一番最初の家族を形成するところを逃してしまうみたいな話があって。これはエビデンスがないので、研究者の方に是非取ってもらいたいのですが、マイタウンで実際にゼロ日から関わった夫の関わりと、そうでなくて、1か月後から関わった夫の行動は何か違うのではないかなと思っていて。マイタウン出産奨励で、そして最初から、ゼロ日から夫は関われと。だって、産後鬱とか、そういったところの危険性もあるわけだからなどと言って、何かそういう、短期施策的なもので言うと、そういうものをきちんと推奨していこうと、マイタウン出産をしようよと。

○池添委員
 そうすると、駒崎委員が言うところの人権尊重的な観点とは矛盾するような気がしていて。つまり、個人の選択を公共の政策でもって阻害するという考え方になり得るから矛盾するのではないかと思います。

○駒崎委員
 確かにね。そうですね。

○座間委員
 社会で子育てをするという概念をおっしゃっているのだと思うのです。里帰り出産をするのは、はっきり言って女性にもメリットがあるわけです。例えば女性自身だって、母親になっても全然経験がないから分からないわけです。時代が違うからと言いながらも経験者の母親からある程度の、教育というのですか、伝承というのですか、そういうことが、メリットになるわけです。残念ながらそれが得られない、伝承が受けられない人が、どうしようというときにパートナーと一緒に育児をするという話になっています。
○駒崎委員
 何か、私が問題意識に思うのは、夫のお客さん化というか、そういう、コクーンが出来てしまって、何をすればいいかと。

○座間委員
 それはすごく理解します。

○池添委員
 今日の議論で、駒崎委員がいらっしゃる前だったと思うのですが、佐藤委員がおっしゃったのかと思いますが、出産の前から男性もいろいろ関われるような形で政策を考えたらいいのではないかという提案をされていたので、私自身も出産ゼロ日から男性が関わるというのは賛成なので、では、それをやるには何かいいやり方はないのかなと考えること自体は、私は賛成です。

○駒崎委員
 男性の初任研修みたいな意味で何か、パパブートキャンプみたいな感じで、何か、どうやればいいのみたいなのを妊娠前とかに受けておいて、よし、やるぞみたいな準備ができる。今、一応、両親教室みたいなものがあって私も参加したのですが、何か、平日にやられてとか、回数も少なかったりして、父親がそういうものをインストールするみたいな機会はそんなにカジュアルにあるわけではないのかなと思うので、何か、そういうものは増やしていこうとか。

○佐藤委員
 それは、厚生行政でやっているのとリンケージもあるのですよね。

○座間委員
 ちょっと話を戻してすみません。今のやり取りで私、思い出したのですが、最初に佐藤委員のおっしゃった、2人目以降の子供が生まれるときの事前に休暇が取れる話なのですが、実際、弊社の中であったのは、切迫流産か何かで安静にしなければいけない、子供が複数いて面倒をみなければいけない、だから、もうどうしようもないから休みたいと。これ、何かできるのかと言ったときに、実は、会社の中だとそれに対する制度がないのです。仮にお子さんが近ければ、育休の期間のお子さんがいてだったらそれはできるのです、利用目的は違いますが。なので、先ほどお話があったような、そういう場面をこのようにフォローができるみたいなものが制度化されると、利用頻度は分かりませんが、育児の概念とかがすごく広がる話にはなるので、意味があるなと今、改めて気付きました。

○駒崎委員
 妻がつわりとかでいきなり体調を崩してとかといったときに、何か、フォローしなければとかと言っても、それは別に特に何でもないというか、では有給を取ろうみたいな感じになりますよね。

○座間委員
 そうですね。そこで入院されたとすると、家族が入院してしまったので、介護の休暇、看護の休暇という形では入るのですが、そこまでいかないケースですか。

○駒崎委員
 そうですね、看護休暇……。

○座間委員
 そうですね、本当につわりみたいな形もそうですよね、病気ではないけれども、ほかにいる子供たちの世話をするのにとか。確かにそういう場面もあるかもしれませんね。

○駒崎委員
 出産関連休暇みたいなイメージですよね。

○座間委員
 そこをどう線引きするかという話になりますけれども。

○駒崎委員
 それは確かにそうですね。

○武石座長
 日本の育休制度は、両親が同時に取れる仕組みで、国際的には珍しい仕組みですよね。
 そういう意味では、考え方としては1年ずつ権利があるということなので、その1年の権利をもう少しフレキシブルに使えるような仕組みにすれば、今の制度の考え方を大きく変えなくてもできるのかなという気がするのです。今の子が1歳まで2人が同時に取れるというのは、実は使い勝手が悪いというか、余り有効に使えない制度になっているのですよね。

○駒崎委員
 では、ゼロ歳ゼロ日から使えるのではなくて、-0.5歳から使えますみたいな感じにして、それは別に分割もできるようだったら、今言ったみたいなことに関して、じゃ、ちょっと休みに入りますみたいにもできますよね。

○武石座長
 考え方としてはあり得ます、別途、課題はありますけれども。いろいろな御意見が出ましたが、次回もまたこの続きのディスカッションということで宜しいでしょうか。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 そうですね。今日いろいろ出ましたので、整理させていただいて、また議論を続けていきたいと思います。

○駒崎委員
 短期、中期、長期で表があって、取りあえず短期でやれることを考えようではないかとか、という話ができるように何か整理がされているといいなみたいに。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 では、この04の資料2をマトリックス化する感じですか。

○駒崎委員
 はい。


○土岐職業生活両立課課長補佐
 それで我々が、中期っぽいもの、長期っぽいものを事務局で分類することといたします。

○宮川局長
 ものによってはその両方を兼ねているものもあるでしょうから、そこは余り厳密な意味ではなく、ある程度のイメージで、短期とか、中期、長期かということではないかと思いますが。

○武石座長
 あるべき両親の関わり方といったことについて、今日出た重要な議論を整理していただいて、また次回以降議論をお願いしたいと思います。では、次回のこと等、事務的に御説明があればお願いいたします。

○土岐職業生活両立課課長補佐
 次回の日程は、また追って連絡させていただきます。またよろしくお願いします。

○武石座長
 では、以上で今日の研究会は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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