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2017年7月13日 第3回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成29年7月13日(木)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会612会議室(6階)


○出席者

委員

武石委員、池添委員、池田委員、駒崎委員、佐藤委員、座間委員

ヒアリング対象企業

A社、B社

厚生労働省

宮川雇用環境・均等局長、成田審議官、源河職業生活両立課長、岡雇用環境・均等局総務課企画官、土岐職業生活両立課課長補佐

○議題

1.仕事と育児の両立支援に係る企業からのヒアリングについて
2.その他

○議事


【A社からの主なヒアリング内容】
・A社は女性が9割を占める。

・女性の就業継続のための制度整備に始まり、女性のキャリアアップのための意識醸成に取り組んできたが、女性を取り巻く男性と管理職の意識改革が必要となり、男性の育児休業取得を促進し始めた。

・A社では子が1歳半になった年度末まで育児休業を取得できる。(2017年7月現在)

・育児休業の平均取得期間については、男性社員が約1週間、女性社員が約1年と差がある。男性育休取得者の8割は配偶者が専業主婦であり、長期育児休業の取得や短時間勤務制度、所定外労働免除制度については取得ニーズが低い可能性がある。

・育児休業復帰後の働き方について、育児短時間勤務や残業免除の制度は女性しか利用していない。

・育児短時間勤務は、10時から3時までのコアタイムを含めた6時間のフレックス勤務とし、子どもの突発的な事情での遅めの出勤や早めの退勤を可能にするとともに、忙しい時期には残業を可能にするなど柔軟な働き方を設定できる。

・育児短時間勤務と残業免除の制度は子が小学校1年生の8月末まで取得できるようにし、「小1の壁」への対応を図っている。

・育児短時間勤務や残業免除の制度は、フルタイム勤務との行き来が可能となっている。

・制度を充実させると、制度を最大限に使おうとする人がいるが、制度をうまく活用しながらキャリアアップも目指すよう周知している。

・男性の育児休業は一部の人が長時間取得するよりも、短期間でも全員が取得することが職場の風土を変えるうえで重要。全員取得を前提に現実的に取得できる期間を考え、現時点においては1週間を推奨している。

・上記の趣旨を、経営層から発信するようにしている。

・年度初めに社員から休暇取得予定を聴取しているが、男性の育休取得対象者については、いつ取得するかを人事部が把握している。

・育児休業のうち、最初の1週間の有給化、Web申請による手続き簡素化等の工夫で男性の育児休業取得を促進している。

・当初は育休中に旅行に行くといった社員も見られたが、配偶者にとって望ましい育児休業取得のタイミング等を記載したハンドブックの作成、育児休業取得の体験談や上司のコメントをイントラネットに掲載する等の取り組みを行った。上司のコメントを求めることで上司の意識も改善された。

・男性の育児休業取得者の約半数は仕事を見て取りやすい時期に取得している。その他の多くの社員は家族と相談し、子供の行事や里帰り出産で戻るタイミング等、必要な時期に取得している。

・男性育休取得者の約7割はもともと育児休業取得の希望がなく(もともと取得希望有は約3割)、会社の方針で取得したが、育児休業取得後には8割近くが今後も育児休業の取得を希望するというように意識の変化が見られた。

・男性の育児休業取得をきっかけに部下のライフを尊重したマネジメントが組織に与える好影響を認識する管理職層が増加している。

・男性の育児休業取得促進の課題として、営業現場では1週間単位で業績進捗を確認するため、1週間の育児休業取得も業績への影響が懸念されること、配偶者が専業主婦である男性社員が多いために特に長期の育児休業取得の必然性が見出しにくいこと、共働きの場合で男女間の賃金格差がある場合に男性が取得する経済合理性がないこと、また長期取得ニーズがあっても会社として1週間を推奨しているために、逆に長期間は取得しづらい雰囲気になっている可能性があることが挙げられる。

【質疑応答】
・配偶者出産休暇はあるか。
→特別休暇として3日間ある。

・出産直後の育児休業取得者が少ないのは、配偶者出産休暇等を利用しているということか。
→おっしゃるとおり。

・推奨している育児休業の取り方はあるか。労働者にどのような情報を提供しているか。
→里帰り出産になっている人も多いので、里帰り出産から戻るタイミングや、配偶者の職場復帰のタイミングを例示として出している。
→また、夫を巻き込むために、育休からの復帰前のセミナーでは、女性社員の配偶者にも参加を呼び掛けている。そこでは、当社の男性社員は育休を取得していることを紹介したり、育休取得だけではなく、平日の関わりが重要であり、復帰後の役割分担について話し合って 
 もらっている。

・制度を最大限に使おうとするのではなく、本当に必要な分だけ制度を使い、キャリアアップも目指すよう周知しているということだが、必要な分だけ制度を活用できるよう、手続上の工夫はあるか。
→時短勤務と残業免除の行き来は、基本は1ヶ月単位で、変更する1ヶ月前までに書類を人事に提出してもらうようにしている。

・男性の育児休業のWeb申請による手続簡素化について。個人の希望をストレートに伝えるだけなのか、職場の状況を勘案し、上司と相談した上で申請するのか。
→基本的には自分で希望日を申請するが、年初に上司との面談があり、対象者はそこで上司と相談することが多い。

・1週間という期間は職場マネジメントの観点から取得しやすいのか。短い休業だと引継ぎや業績評価の観点から難しいのではないか。
→1週間であれば、夏休みやインフルエンザの際と同じくらいの期間であり、取得する側が思い切って休みやすい。
 ・例えば1か月休んだ場合、代替要員を確保してしまうと、休んだ人が戻れなくなってしまうので安易な補充ができなくなってしまう。
 ・女性と同じように3か月、半年ほど取得すれば、女性と同じように代替要員の確保をしやすくなり、楽になるのではないか。
 ・全部が全部そのようにはまわらない。希望のある方にはどうしたら実現できるかを上司、同僚と話し合い実現していただくが、全員がそうしましょうとまでは言えない。
 ・1週間が現実的ということか。
 ・ベストとは思っていないが、現実的である。

・育児休業を取得したことのない男性社員からの理解は得られたのか。最も丁寧に理解を求めなければならない層はどこだったか。
→支社の支社長。支社は全国に点在しているので、まわりの情報が入りづらい。経営層から初年度100%を目指すと発信していたが、本部から距離があるため本気度が伝わりにくく、取組が広がらなかった。営業現場の中でも取得できる事例を取材して発信したところから、営 
 業現場の社員もちゃんと取得するということを視野に入れて本部は言っているのだということが伝わり始めた。

・有給休暇の取得が進むと、育児休業の取得率に影響しないか。
→育児休業は取得する人が決まっている点で、全員が取得できる有給休暇とは意味合いが異なるのではないか。有給休暇の取得促進はこれから、というところがあるので、今後影響が出るかもしれない。


【B社からの主なヒアリング内容】

・B社は女性が15%弱。

・2000年代から女性活躍のためのポジティブアクションに取組始めたが、勤続年数が延びていく中でなかなか活躍に結びつかないことが課題であったため、単に両立できるというだけでなく、活躍できる環境づくりをするため、男性の育児参加促進に取り組んでいる。

・育児休業は長く取得すれば良いというわけではなく、復帰したい人の復帰を支援できるよう、働き方の選択を増やす等、自分なりの働き方ができることを念頭に置いた制度の拡充をしている。

・制度整備はもちろんのこと、取得者の不安解消や、コミュニケーションの強化など、ソフト面にも気を付けている。

・B社では育児休業は2年、介護休業は通算2年取得が可能となっている。

・男性の子育て参加の促進については、性的役割分業意識の払拭、働き方の見直しとして組織内での情報の共有化・効率化など、仕事以外のインプットを仕事に活かすこと、等を目的としている。

・男性の育児休業取得促進の課題は、経済的な不安、昇給・昇格などの処遇面での不安、取得しにくい職場の雰囲気の3つ。

・対策として、制度を一部有給化することで休むハードルを下げる、休業の前後を見て昇格・昇級の対象にする、不安を解消するための広報、申請手続の柔軟化などを行った。

・希望しても育児休業が取得できない人への対策として、未取得者とその上司へリマインドメールをお送りしている。

・さらに、対象者の上司へ育児休業の取得計画を作成してもらうこととしたところ、取得率が上がった。

・無理矢理にではなく希望する人が100%育児休業を取得できるようにするという方針で取組を行ったところ、男性の育児休業取得率が前年の45%から95%まで上昇したが、日数については減少し、多くの人が有給となる10日間前後で取得している。

・育児休業取得の効果であるが、社内の取得状況を調査すると、育児休業取得者と取得していない人では、残業時間や年休の取得率など、総実労働時間の平均に差があることが分かった。

・女性の勤続年数は毎年上昇し、現在は女性の方が男性よりも勤続年数が長くなっている。男女とも退職事由なども差もなくなってきている。

・働き続けることのできる現状をキープするのみならず、女性がさらに活躍できるようにすることが課題である。

【質疑応答】

・短い取得期間だが育児休業の取得者が増えているということだが、今後の期間と人数の見通し、目標は。
→期間については、働き方を見直すことを1つの目的にしており、適正な期間がどのくらいかを定めることは難しい。取得率が上がったら、1人当たりの取得日数が下がってしまったので、そこをもう少し戻すような働きかけをしていきたい。人数については、高い取得率をキープするには働きかけ続ける必要があると思っている。

・カップルでの子育てを支援するための、女性社員の配偶者への働きかけは。
→直接的な働きかけはしておらず、今後検討していきたい。社員同士の結婚が多いため、男性社員への働きかけが結果として女性社員の配偶者への働きかけになっている。

・育児支援制度の利用率が上昇した要因は。
→制度や意識啓発の相乗効果だと思っている。特に、上司への直接的な働きかけが大きいという認識。

・上司への働きかけは、業務として義務づけたのか、お願いとして行ったのか。また、部下の制度利用状況は上司の査定に響くのか。
→義務という言い方はせず、査定にも響かない。メールで計画策定等を促している。当初は、ネガティブな反応もあったが、本人とのコミュニケーションで希望をくみ取るようお願いした。

・育児休業取得者と未取得者の総実労働時間平均の比較は育児休業取得前後の比較か。
→意識調査はピンポイントの時期に行っているため、前後の比較ではない。
 ・両者の差は育児休業取得の効果と言えるのか。
 ・もともと忙しかったから取得できなかったのか、取得したことで総実労働時間が減ったのかについてはこの調査のみでは分からない。

・一連の施策に対する女性社員の反応は。
→男性が育児休業を取得することで、同じ経験や気づきを得てもらえることは好意的受け止めている。取得しやすい雰囲気が社内に広がってきている。女性自身も育児休業や短時間勤務取得に対して申し訳ないと思う気持ちが減ったのではないかと思う。

・男性育児休業取得率は100%を目標にしていたわけではないという認識で良いか。
→男性で育児休業を取得する必要のない人等を想定し、目標値は90%程度としていた。結果、100%近くが取得しており、ニーズがあることが分かった。

・育児休業取得によって家事・育児参加がしやすくなった、第2子以降出生確率が高くなった等のデータはあるか。
→意識調査では経年比較がまだできないため、データはないが、今後は取っていきたい。女性管理職で2~3人の子育てをしている人もおり、第2子出生のハードルはそれほど認識していない。

・男性の育児休業取得率が倍増しているが、特に増えた部門はどこか。
→全体的に増えている。

 

 

 


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