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2017年8月9日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

○日時

平成29年8月9日(水)14:00~


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

出席委員(19名)五十音順

◎荒 井 保 明、 石 井 則 久、 今 村 定 臣、 岩 崎 清 隆、
○小 野    稔、 倉 根 一 郎、 小早川 雅 男、 真 田 弘 美、
  澤 田 留 美、 杉 山    肇、 土 屋 文 人、 西 澤 真理子、
  根 本    幾、 配 島 由 二、 水 上 愛 弓、 三 井 博 晶、
  宮 地    茂、 山 口 里 香、 萬    知 子

欠席委員(2名)五十音順

 木 下    茂、 佐 藤 景 二
 (注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

 宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
 森    和 彦 (大臣官房審議官)
 佐 藤 大 作 ( 医薬安全対策課長)
 上 野 清 美 (安全使用推進室長)
 宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 他

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、ただいまから「平成29年度第1回薬事・食品衛生審議会医療機器・再生医療等製品安全対策部会」を開催させていただきます。本日御出席の先生方におかれましては、お暑い中、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日の部会は、従前の取扱いと同様公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の皆様におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」「部会長及び部会長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、留意事項がありますので厳守をお願いいたします。また、厚生労働省ではクールビズを実施しております。事務局は軽装で失礼させていただいておりますので、上着をお召しになられている先生方も、適宜お脱ぎいただくなど御対応をお願いいたします。

 本日は木下委員、佐藤委員より欠席の御連絡を頂いております。あとは、杉山先生が遅れて御到着されるということです。現時点で部会委員21名中18名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。

 薬事・食品衛生審議会の委員の改選が1月に行われ、この部会においては新しく委員に任命された先生方に御出席を頂いての開催となります。お手元の委員名簿に即し、本日御出席の先生方を事務局から御紹介いたします。国立がん研究センターの荒井委員です。国立感染症研究所ハンセン病研究センターの石井委員です。日本医師会の今村委員です。早稲田大学の岩崎委員です。東京大学の小野委員です。国立感染症研究所の倉根委員です。国立国際医療研究センターの小早川委員です。東京大学の真田委員です。国立医薬品・食品衛生研究所の澤田委員です。神奈川リハビリテーション病院の杉山委員は遅れてまいります。国際医療福祉大学の土屋委員です。株式会社リテラシー・リテラジャパンの西澤委員です。東京電機大学の根本委員です。国立医薬品食品衛生研究所の配島委員です。国立国際医療研究センターの水上委員です。日本歯科医師会の三井委員です。愛知医科大学の宮地委員です。埼玉医科大学の山口委員です。杏林大学の萬委員です。

 この部会の部会長は、1月27日に開催された薬事分科会において選出されております。医療機器・再生医療等製品安全対策部会は荒井委員に部会長をお願いするとされていますので、事務局から御報告申し上げます。荒井部会長から一言御挨拶をお願いいたします。

○荒井部会長 国立がん研究センターの荒井です。昨年度に引き続き、今回もこの部会の部会長を務めさせていただきます。釈迦に説法で恐縮ですが、ご存知のように薬事分科会には様々な部会があり、派手さの点では「承認関係」の方が脚光を浴びやすいのが事実です。しかしながら、実際の医療現場におきましては、実は安全をどこまできちっと管理できるかが勝負所と認識しております。本日の議論でも出てくると思われますが、現実にはものすごい情報量であるため、母集団全ての状況を把握して判断することは不可能であり、不具合を含め、起こった事柄のみが報告されてきます。そのサンプルの中から母集団の問題点をひも解いていくという難しい作業を行うのがこの部会です。このため、さまざまな領域の方々の専門的な知識を存分に発揮して頂かないと、実態解明が進まないという、構造的な弱点があります。お集まりいただいております各領域の専門の先生方には、是非とも忌憚のない御意見を頂き、国民の医療機器に関連する、あるいは再生医療機器に関連する安全を確保するという任を全うしたと考えております。今年1年頑張っていきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 部会長代理については、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定により、部会に属する委員のうちから、部会長があらかじめ指名する方がその職務を代理することとされております。部会長から御指名を頂くこととなっております。荒井部会長よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 昨年度に引き続き、小野稔委員にお願いしたいと思います。御了承ください。

○医薬安全対策課長 部会長代理は小野委員にお願いいたします。小野委員は、部会長代理席の方に移動をお願いいたします。

 7月11日付けで、事務局に人事異動がありました。医薬・生活衛生局長に宮本が着任しておりますので御挨拶させていただきます。

○宮本医薬・生活衛生局長 この夏の厚生労働省の人事異動により、医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本です。5年ぶりに医薬局に戻ってまいりました。5年前に医薬局を去るときには、旧薬事法を、今現在の薬機法に改正する骨格がほぼ出来上がった時期に医薬局を去ることになりましたが、また5年ぶりに戻ってまいりました。

 部会長からお話がありましたように、薬事行政の中では何よりも安全対策がともかく肝ですので、是非とも皆様の忌憚のない御意見、御指摘などを頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 7月11日付けで、事務局である安全対策課の課名が変更になり、医薬安全対策課となっておりますので御報告いたします。

 議事に入る前に事務局からお詫びがあります。本日お配りしております、医療機器・再生医療等製品安全対策部会委員名簿の「三井委員」の部分が、前任の「瀬古口委員」の名前のままになっております、これは訂正させていただきます。事務局からお詫びを申し上げます。

 議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事進行は荒井部会長にお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、議事に入ります。事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日の資料については、試行的にペーパーレス化を実施しております。各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。今回初めてタブレットの導入となりますので、はじめにタブレット端末の操作方法について御説明させていただきます。

 本日、卓上にはタブレット、タッチペン、操作説明書を配布しております。先生方の後方には、事務局係員を配置しておりますので、御不明な点などがありましたら御質問を頂ければと思います。

 お手元のタブレットを御覧ください。画面には資料1-1が最初に表示されています。事前に操作されてホーム画面となってしまっている場合には、画面上の「アクロバットリーダー」のアイコンを1度押すと資料が表示されます。操作説明書I「資料を閲覧する」についてです。マル1でお示ししている画面上部に資料名が表示されております。資料名の真ん中辺りを指かタッチペンで軽く触れてから離すと、選択した資料が表示されます。この操作を「タップ」と表現します。表示している資料名の右側にある「×」を押すと、資料が閉じてしまいますので注意してください。資料を閉じてしまった場合には係員をお呼びください。

 本日の資料1-1から資料5-4まで合計24種類の資料があります。現在お手元のタブレットには、資料名1--3までが、右側の辺りまでで見えているかと思います。これより先の資料については、マル2の「く」の字の記号の部分、右向きの印、こちらの記号をタップすると、これ以降の資料を御覧いただくことができます。

 説明書のII、「資料をめくる」操作について御説明いたします。マル1にお示ししておりますように、四角い枠内の数字がページを表しています。画面に表示されている資料を読み進めていく際に、マル2で表示している画面を指かタッチペンで下から上へゆっくりとこすり上げていただくと、画面がスライドしていきます。反対に上から下へこすり下げると、逆方向へ画面がスライドします。

 マル3の上下の矢印をタップすると、前後のページに移動します。画面右側のマル4で表している色の濃い部分に触れたまま上下に動かすとページを移動することができます。ページ数が多い資料の場合には、画面上部の、先ほどのページ数を表している所をタップすると、文字を入力することができますので、こちらに御覧になりたいページ数を入力すると、指定したページに移動することができます。入力について操作が分かりづらい場合は、係員をお呼びいただきますようお願いいたします。ここまでで何か御不明な点はありますか。

 ないようですので、続けて説明させていただきます。資料の裏面に移って説明書のIII「資料の拡大縮小」について御説明いたします。文字や表が小さくて見えづらいときには、マル1の操作により画面を拡大縮小することができます。親指と人指し指を画面に置いていただき、指を画面に付けたまま広げていただくと、触れた部分が拡大されます。反対に、指2本を広げた状態で画面に触れていただいて、指を狭める操作をすると、画面が縮小表示されます。お手元の資料のマル2にある「+」や「-」のマークをタップすると、ページの拡大縮小ができます。

 説明書のIV「縦書き横書き」について御説明いたします。画面の表示を、縦/横回転させて御覧になりたいときには、タブレット本体を90度回転すると、本体の向きに合わせて画面の表示が切り替わります。こちらの表示がうまく切り替わらないときには、一度タブレットを垂直に立てていただいて、机にお戻しいただくと、画面が正常に切り替わるかと思います。簡単ではありますが、以上で操作の説明は終わります。繰り返しになりますが、タブレットの操作について御不明な点がありましたら、後ろにおります係員をお呼びください。

 また、委員の先生方におかれましては、お手元にタブレットの導入に関するアンケート用紙をお配りしております。部会終了後、アンケートに御協力をお願いいたします。御記入いただいたアンケート用紙については、そのまま机上に置いて御退室ください。なお、議事の進行中は、前方のプロジェクターにも資料を投映します。

 改めて本日の資料の確認をさせていただきます。机上に紙で配布してあるものは順に、議事次第、資料一覧、座席表、委員名簿です。資料一覧に資料番号が振ってありますが、以降はタブレットに資料が保存されています。資料1-1は平成28年度の安全対策について(概要)。資料1-2は、パウダー付き医療用手袋に関する取扱いについて。資料1-3は、「薬剤溶出型冠動脈ステントに係る製造販売後安全対策について」の一部改正について。資料1-4は、電波環境協議会による「医療機関における電波の安全利用規程()」について。資料1--1は、GVP省令の一部改正について。資料1--2は、医療機器製造販売後リスク管理指針について。資料1--3は、医療機器製造販売後リスク管理計画の策定について。資料1-6は、医療機器市販直後安全使用情報収集事業結果について。資料2-1は、医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について(概要)。資料2--1は、医療機器不具合等報告。資料2--2は、コンビネーション医薬品不具合等報告。資料2--3は、再生医療等製品不具合等報告。資料2-3は、外国措置報告。資料2-4は、研究報告。資料3--1は、医療機器感染症定期報告感染症別文献一覧表。資料3--2は、再生医療等製品感染症定期報告感染症別文献一覧表。資料3--1は、医療機器感染症定期報告の報告状況。資料3--2は、再生医療等製品感染症定期報告の報告状況。資料4-1は、医薬品・医療機器等の回収報告の状況について。資料4-2は、平成28年度医療機器自主回収一覧。資料5-1は、医療機器の添付文書の記載例について。資料5-2は、「コンビネーション製品の副作用等報告に関するQ&Aについて」の改訂について。資料5-3は、PMDA医療安全情報No.50「シリンジポンプセット時の注意について」。資料5-4は、PMDAからの医療機器適正使用のお願い「大動脈用ステントグラフト使用による有害事象について」。

 当日配布資料は、紙資料のみとなります。当日配布資料1は、薬事・食品衛生審議会薬事分科会規程に基づく委員等への対応について。当日配布資料2は、薬事分科会規程。当日配布資料3は、家庭用電気マッサージ器の不適正な使用により死亡事故が発生しています。

 資料は以上となりますが、過不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。なお、本日の議題に審議事項はありません。全て報告事項となっております。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 先に申し上げておきますが、私も決してこういう類のものが得意な人間ではありません。分からなかったら聞いてくださいと言われても、こういう所で「分かりません」と手を挙げるのは結構勇気が要る作業で、私も十二分に経験しております。先ほど申しましたように、委員の方々におかれましては、このタブレットの操作がどうこうではなくて、その資料に基づいて専門的な御意見を頂くことが最も重要ですので、是非、余計なことは気になさらず分からないときには遠慮なく、おっしゃって下さい。場合によっては議事も止めますので、ともかく委員全員が正しく資料を確認できて、適切な議論ができるように進めたいと思いますので、よろしく御協力ください。議題1を始める前に、事務局から報告があるとのことですのでお願いします。

○事務局 当日配布資料1と2を御準備ください。当日配布資料1は両面印刷の一枚紙になりますが、1ページ目の平成29年6月29日付けプレスリリースについて説明させていただきます。薬事分科会の委員、臨時委員、専門委員については、薬事分科会規程第11条に基づき、「在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」とされております。今般、薬事分科会の部会に所属していた委員について、医療機器製造販売業の許可を取得している企業の役員に就任していたことが判明したため、当該委員には辞任をしていただいた上で、6月29日に本事案を公表し、同日に開催した薬事分科会にて報告をさせていただきました。こちら御報告となります。

 続いて当日配布資料1の裏面を御覧ください。ただいま御説明いたしました事案を踏まえ、薬事分科会の全ての委員を対象に、改めて薬事分科会規程への適合状況を確認させていただきました。その結果、新たに臨時委員2名が、薬事に関する企業から、定期的に報酬を得る顧問に就任していたことが判明したため、当該委員2名には辞任していただいた上で、7月31日に本事案を公表しております。なお、本部会においては規程に低触する委員はいらっしゃらなかったことを御報告いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、確認作業への御協力を頂いたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。

 今後の対応としては、同様の事案の再発を防止するため、薬事分科会の委員等就任時及び会議開催時に、薬事分科会規程や薬事分科会審議参加規程の適合状況を書面により御署名いただく形で申告していただく方向で検討いたします。具体的な方法等については事務局にて検討の上、改めて御連絡させていただきますので、御協力をお願いいたします。例えば、「薬事に関する企業」とはどのような企業が該当するのか、寄付金、契約金等の申告に関する詳細なルールなど、規程が分かりにくい点もあるかと思いますので、そういう点も含め、重要事項については事務局より改めて分かりやすく御説明、注意喚起を行い、薬事分科会の適切な運営に引き続き努めてまいります。委員の皆様には御負担をお掛けすることになりますが、この機会に改めて規程を御認識いただきますとともに、規程の遵守に御協力を頂きますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。当日配布資料1の説明は以上です。

 当日配布資料2は、薬事分科会規程、右上に当日配布資料2と付いた紙資料です。ただいまの御報告も踏まえ、改選後最初の部会となりますので、部会参加に当たって留意事項を3点ほど改めて御説明させていただきます。まず守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、「職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されています。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願いいたします。

 第2は、先ほど当日配布資料1で御報告した案件と同様のこととなりますが、薬事に関する企業等との関係です。当日配布資料2「薬事分科会規程」の6ページを御覧ください。第11条で、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。

 第3は、部会における審議事項についてです。当日配布資料2、薬事分科会規程4ページの13の所で、本医療機器・再生医療等製品安全対策部会において調査審議することとされる事項の記載がありますので、こちらは御確認をお願いいたします。

 5ページの第7条で、「部会の議決」において、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合にはこの限りではない」と定められております。このただし書きにあるように、部会における審議事項のうち、特に慎重な審議を必要とする事項であると決定された場合には、分科会において御審議を頂くこととなっております。当日配布資料2までの説明は以上です。

 委員の皆様におかれましては、薬事分科会規程を御承知の上で、本部会に御参加いただきますよう重ねてお願い申し上げます。事務局からの報告は以上です。

○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について御意見、御質問はありますか。よろしいようでしたら、議題前の報告は以上とさせていただきます。本日は審議事項はありませんので、早速報告事項に入ります。議題()について事務局から説明をお願いします。

○事務局 まず、資料1-1を御覧ください。前面のプロジェクターにも映し出しておりますので、こちらも併せて御確認ください。タブレットの操作上、資料1-1が開けない方がいらっしゃいましたら、手を挙げてお知らせいただきますようお願いいたします。

 資料1-1の説明を始めます。今回は、本年度第1回の部会になりますので、初めに平成28年度の安全対策について、まとめということでお示ししております。1ページの1.は、過去5年間の不具合等の報告件数の推移を示しております。医療機器については()でお示ししております。製造販売業者からの報告として左側の表で示しておりますが、平成28年度は外国症例も含めて、不具合報告が全部で4万8,563件あり、年々増加しております。平成28年度後期の詳細は議題2で詳しく説明しますが、特定の製品の不具合件数が増加したということではなく、全般的な増加が見られております。さらに、これは企業の安全性情報収集体制の見直し等により、不具合報告件数が増加していると考えられる部分がありますので、不具合の発生件数自体が増加していることではないと理解しております。

 3つ目の研究報告が平成28年度1,289件と大幅に増加しておりますが、これについてはこれまで研究報告のうち不具合発生件数に関するような研究であっても、個別の不具合報告として提出してもらっていたものですが、平成27年度より、このような研究については研究報告として提出するように、運用の変更を行ったため、結果として研究報告の数が増えております。

()コンビネーション医薬品の機械器具部分における不具合報告についてお示しします。こちらは平成261125日に施行された医薬品医療機器法により新たにカテゴライズされ、不具合報告の対象となっております。代表的なコンビネーション医薬品としては、インスリンペン型注入器が挙げられますが、医療機器部分であるペン型注入器等に何らかの不具合が生じた場合に、不具合報告の対象となっております。こちらの資料には国内及び外国に分けて報告数を示しておりますが、外国の報告とあるのは国内承認されたコンビネーション医薬品と同一のものが外国で使用され、不具合等が発生したことを国内の製造販売業者が知ったときに報告するものとなっており、その件数を示しております。国内・外国のいずれも国内で承認を受けた製造販売業者からの報告となります。

 平成28年度の報告件数は、国内症例661件、外国症例1,126件でした。施行時に既に承認を受けていたコンビネーション医薬品については経過措置期間が設けられており、昨年1125日から報告が義務化されましたので、平成28年度の報告件数が大幅に増加しております。

()の再生医療等製品については、平成28年度の不具合報告の件数は88件でした。こちらは平成26年の制度開始以降、使用数が増加していることから報告件数も増加しているものと考えております。

 2ページの2.平成28年度の安全対策についてです。()は平成28年度に発出した医療機器関連の安全対策通知を示しております。一番下の昨年12月に発出した「パウダー付き医療用手袋に関する取扱いについて」は、次の資料で説明します。それより前に発出した通知については、既にこの部会で報告済みとなっております。

()「PMDA医療安全情報」に掲載した情報としては、昨年度、医療機器関係で「シリンジポンプセット時の注意について」を掲載しています。こちらについても、議題()で後ほど説明いたします。資料1-1については以上となります。

 次に、資料1-2について説明いたします。こちらは「パウダー付き医療用手袋に関する取扱いについて」という通知です。昨年1219日、FDA(米国食品医薬品局)が医療用手袋に付いているコーンスターチなどのパウダーが安全性上のリスク要因になり得るとして、平成29年1月18日よりパウダー付き医療用手袋の流通を差し止める措置を取ることを発表しました。我が国においては、従来から関係業界においてパウダーが付いていない製品、いわゆるパウダーフリー手袋への切替えを進めており、既に流通している医療用手袋に占めるパウダーフリー手袋の比率は国内でも年々増加しておりますが、日本グローブ工業会より、この米国での措置を踏まえてパウダーフリー手袋への供給切替えの強化に取り組むことの報告を受けております。これを受けて、厚生労働省としても一層の安全性確保の観点から、パウダーフリー手袋への供給切替えを促すため、製造販売業者に対して、2年以内に供給切替えを行うよう通知したものとなります。

 パウダーフリーへの切替えまでの対応として、通知の3.に記載してあるとおり、パウダー付き医療用手袋に関してはアレルギーや肉芽腫のリスクがあることから、情報提供や添付文書の改訂を促しているところです。これに関して、最後のページに参考として、本年3月末時点での情報提供の状況を添付しております。なお、この時点ではまだ情報提供等が対応中と回答している製品についても、現時点で全て対応済みであることを確認しております。

 資料1-3、「『薬剤溶出型冠動脈ステントに係る製造販売後安全対策について』の一部改正について」です。薬剤溶出型冠動脈ステントに係る製造販売後の安全対策については、平成27年3月に通知しており、薬剤溶出型冠動脈ステントの使用に当たっては、併用する抗血小板剤がありますので、医療機器の製造販売業者と医薬品の製造販売業者が互いに情報提供することを指示しております。今回はその一部改正となります。

 改正の内容については8ページの新旧対照表を御覧ください。この通知では、薬剤溶出型冠動脈ステントの留置に伴う抗血小板療法に用いる抗血小板剤について、従前「チエノピリジン系抗血小板剤」と記載しておりましたが、今般、チエノピリジン系以外の抗血小板剤であるチカグレロルという医薬品が承認されたことから、これらについても同様に取り扱うための通知を改正しております。具体的には、対象となる抗血小板剤を、改正前はチエノピリジン系に限定しておりましたが、「経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患に用いられる抗血小板剤」と改正しております。

 これに関連して、次ページ、9ページ、10ページですが、チエノピリジン系抗血小板剤では血球算定等の臨床検査が必要でしたが、チカグレロルではこれらの血液検査を必要としないことから、「血液検査が必要な抗血小板剤がある」と記載を変更しております。資料1-3については以上となります。

 資料1-4は、「電波環境協議会による『医療機関における電波の安全利用規程()』について」です。医療機関では近年ますます様々な電波利用機器が使われるようになっており、その管理が適切でないと医用電気機器などの機能に支障が生じることがあります。場合によっては事故につながることもありますので、電波環境協議会により昨年、「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が取りまとめられ、医療機関で電波を利用する際の環境整備に必要な情報が提供されましたが、今回、各医療機関で電波をより適切に利用するための取組を実践するに当たり、利用可能な院内規程の具体例が必要になると考えられたことから、院内規程を定める際に利用可能な例を取りまとめております。なお、電波環境協議会は、関係する省庁、業界、利用者団体等において構成されるもので、こちらの協議会には当省からも参加しており、協議の上、作成されております。

 資料には別添として、協議会が作成した規程例を付けておりますが、具体的には多種多様な電波利用機器、医用テレメータのみ、無線LANのみ、携帯電話のみに関するそれぞれの場合についての院内規程の例が作成されております。資料1-4については以上となります。資料1については分量が多いので、ここで一旦切って、質疑応答としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ただいま説明して頂いた部分について、何か御質問等ありますか。

○西澤委員 1-4の電波のところなのですが、18ページに病院内でどういう表示をするかという印が、グリーンとイエローと赤であるのですが、これを理解するには一番上と真ん中の違いは、真ん中はマナーとして通話を禁止してくださいという意味で、特に医療機器に干渉するからというのは、緑も真ん中も同じことを書いてあるので、真ん中はマナーとして三角という意味で理解してよろしいのでしょうか。それとも、これはその範疇ではないので、電波産業会の方でやっているので、それは任意のこういう仕組みを作っているということで理解したほうがいいのでしょうか。

○事務局 おっしゃるとおりであると思いますが、文面自体からその辺りを読み取れませんので、一度、電波環境協議会の方に確認させていただきたいと思います。

○西澤委員 この表示はあくまでも例で、別にどの病院でも共通のものを使うべきであるというような話では全くないのですか。

○事務局 この規程自体は強制力を持っているものではなくて、医療機関の方々が使いやすいようにという趣旨で作られておりますので、そのとおりです。

○医薬安全対策課長 この資料の様式5の下の所に小さい文字で書いてあるのですが、これはあくまで例示としてお示ししているもので、具体的な表示のやり方については各医療機関でお決めになられるものということです。ただ、最初から何もデザインがないと、どのようにしていいかというところの方向性が分からないだろうということで、こういう例示をしているという趣旨ですので、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 そのほか、いかがでしょうか。それでは、一応先へ進ませていただきますが、もし後で気が付かれることがあれば、言っていただければ「戻ることもあり」というルールで進めさせて頂きます。それでは、ここまでについて、とりあえず現時点で御質問はないということで、資料1-5の説明に進んでください。

○事務局 それでは、GVP省令の一部改正の関係について、資料1--1から資料1--3まで説明いたします。まず、資料1--1を御覧ください。こちらの資料では、いわゆる「革新的医療機器条件付き早期承認制度」の開始に伴い、GVP省令(医療機器等の製造販売後安全管理の基準に関する省令)の一部を改正し、医療機器リスク管理計画を導入したことについて説明します。

 1.改正の趣旨の所ですが、医療機器の製造販売承認には臨床試験の成績が必要となるところ、2つ目の○にあるとおり、「医療のイノベーションを担うベンチャー企業の振興に関する懇談会」において、臨床開発に困難を伴う医療機器について、市販前の臨床試験実施に係る負担を最小化し、市販後の調査をより充実させることにより、革新的な医療機器の早期承認を行う制度を構築すべきであると、このような提言が示されて、こちらの提言に沿って7月31日に関連する省令を改正し、「革新的医療機器条件付き早期承認制度」の運用を開始したところです。

 安全対策の観点からなのですが、医薬品・医療機器の製造販売後の安全管理については、GVP省令においてこの基準を定めております。GVP省令というのは、例えば安全性に関する情報を収集する体制を構築し、それを適切に評価し、必要があれば安全対策措置を立案・実施すること。そのための手順書を整備したり、教育訓練の実施をしたりすることを製造販売業者に求めているものです。今回の革新的医療機器条件付き早期承認制度では、製造販売後のリスク管理として、使用条件の設定や市販後のデータ収集などを適切に行うことを前提としており、そのためにGVP省令の一部を改正し、「医療機器製造販売後リスク管理計画書」(医療機器RMP)、医療機器Risk Management Planの作成に関する規定を整備したものです。

 2ページの横置きのポンチ絵が、早期承認で作成を求められる医療機器Risk Management Plan(RMP)の概要を示したものです。医療機器の特性に基づくリスク情報を「安全性検討事項」として、こちらを踏まえて不具合情報の収集や使用成績調査の実施など、「安全性監視計画」を立てるとともに、リスク・ベネフィットバランスのリスクを最小に抑えるための「リスク低減化計画」の設定を行います。特にリスク低減化計画で重要なのが適正使用管理活動で、これは関連学会と連携して適正使用基準、例えば医師要件とか施設要件などを作成し、これに合致する医療機関でしか当該機器を使用させないというものです。なお、条件付き早期承認制度の詳細については、それ以降のページで参考スライドを添付しておりますので、適宜、御参照いただければと思います。

 資料1--2と資料1--3では、本制度の関連通知のうち、安全対策関連の2通をお示ししております。1--2は医療機器RMPの作成の指針をお示しするもので、先ほど説明した「安全性検討事項」「安全性監視計画」「リスク低減化計画」の内容などの解説をしているものです。

 資料1--3は医療機器RMPの様式や提出方法などの事務的な事項について、お示ししているものです。資料1-5シリーズはここまでです。

 続きまして、資料1-6、「医療機器市販直後安全使用情報収集事業結果について」です。この事業は、新たに承認された新医療機器のうち、新規性が高いものや国内外において使用経験が少ないものなど、特に市販直後の安全性確保が必要と判断されたものについて、原則として6か月間、当該医療機器の使用状況や不具合の発現状況、また臨床現場への製造販売業者による安全性情報の提供状況などの情報を、毎月、医療機関より提供していただいて、必要な対応を図ることを目的としたものです。昨年、平成28年度は旭化成ゾールメディカル株式会社の「Quattro・ICY IVTMカテーテル」を対象として、大阪大学医学部附属病院と山口県立総合医療センターの2つの医療機関に調査を依頼しました。この製品は、平成28年2月に承認され、同年9月から保険適用が開始されたものです。本品はバルーン内に生理食塩水を循環させることで、下大静脈の血液と熱交換して体温管理を行うことを目的に大静脈に留置して使用される医療機器です。6か月間の期間内において、計4件の使用がありましたが、不具合等の発現はありませんでした。また、製造販売業者からハンズオントレーニングなどの情報提供が実施されていることも確認されております。資料の説明は以上です。部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ただいまの資料1-5、革新的医療機器条件付き早期承認制度と、その次の安全使用情報の収集事業の結果について、御質問等ありますか。特に前段の革新的医療機器の条件付き早期承認制度は大きな変化で、要するにこれまで治験等々でかなり時間がかかったものを圧縮して短くして、その代わり承認の段階では、その後の安全対策を企業の方にきっちり求めて、あらかじめ提出してもらうといったことについての御説明でした。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、先に進ませていただきます。議題()について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題()医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について、資料2-1から資料2-4に沿って説明いたします。こちらも分量が多いので、まず資料2-1の7ページ、不具合等報告の全体の説明まで説明します。資料2-1の1ページ、1として本部会への報告に関する医薬品医療機器法第68条の12の規定を記載しております。本日は、平成28年度の下半期である平成2810月1日から平成29年3月31日までの報告状況について、報告いたします。

 2ページ、医療機器及び再生医療等製品の不具合報告制度は、製造販売業者等からの報告である企業報告制度と医療機関等からの報告制度の2つから成り立っております。1.では、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく製造販売業者等からの不具合等報告について、2.では、医薬品医療機器法第6810の第2項に基づく医薬関係者からの不具合等報告になります。

 まず、1.製造販売業者等からの不具合等報告ですが、医療機器の製造販売業者又は外国特例承認取得者は、その製造販売をし、又は承認を受けた医療機器について、能動的に情報を収集する義務があります。国内において、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因、又はその不具合が原因と疑われる死亡、重篤な健康被害が発生した場合、又は不具合によりそれらが発生するおそれのある場合については、製造販売業者等がそれを知った時点で、その旨を厚生労働大臣に報告する義務があります。報告の対象、情報を入手してからの報告の期限については、医薬品医療機器法施行規則第228条の20により定められております。

 また、海外において死亡又は重篤な健康被害が生じた場合、それらのおそれがあると判断された不具合情報は、それぞれの国における規制に従うこととなりますが、日本で承認を受けた医療機器と同一の医療機器が外国で使用されている場合、それらの不具合情報を日本の製造販売業者が入手したときには、日本においても外国不具合報告として不具合報告の対象となります。この場合の報告者は、日本の製造販売業者となります。

 先ほども申し上げたとおり、今回の資料では平成2810月1日から平成29年3月31日までの医療機器の不具合等報告について、各項目の報告件数を示しております。()不具合等報告の1)不具合報告を御覧ください。医療機器については、全体で2万3,506件ありました。前回の部会で報告した平成28年度上半期の件数は2万5,099件でしたので、約1,600件の減少となっております。今回の2万3,506件の内訳ですが、下に示している9つの分類で言うと、多いのは分類マル3の処置用・施設用機器等の8,661件と分類丸4の生体機能補助・代行機器の1万2,772件で、この2つで全体の9割以上を占めております。国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が8,077件、外国報告が1万5,429件ありました。また、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合報告は、国内報告が530件、海外報告が1,066件の計1,596件ありました。また、再生医療等製品の不具合報告は、国内のみで57件の報告がありました。

 2番目の感染症報告については、医療機器、コンビネーション医薬品、再生医療等製品、いずれも0件でした。

 3ページ、海外の規制当局や製造元が行った措置を報告する外国措置報告が、医療機器について1,246件、コンビネーション医薬品、再生医療等製品は0件でした。3つ目の研究報告は、医療機器について709件、コンビネーション医薬品、再生医療等製品は0件でした。感染症定期報告は、医療機器について35件、再生医療等製品は17件でした。感染症定期報告については、次の議題で詳細を説明いたします。

 また、2つ目の医薬関係者からの報告が、医療機器では318件、コンビネーション医薬品が3件、再生医療等製品では0件でした。3つ目の副作用救済給付又は感染救済給付は、医療機器、再生医療等製品ともに0件でした。

 資料2--1ですが、個別の医療機器の不具合報告について、一覧の形式でお示ししております。1ページに「注意事項」として、この不具合報告リストの見方が記載されております。この報告については、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告されたものとなります。報告に関する分類は()()までの9分類に分類されており、一覧の掲載順については、発生場所で国内と外国を分けております。それぞれで一般的名称の五十音順で掲載しております。

 2ページ以降に個別の報告を一覧で掲載しており、分類ごとに国内と外国の順番で掲載しておりますが、外国報告については参考として御覧いただければと思います。それぞれの件数については、提出された報告書の件数を示したものになっており、同一の症例で複数の医療機器が関与しているような場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがありますので、このような場合には同一の症例を重複してカウントすることになります。したがって、報告件数がそのまま症例数にはならない場合があります。

 また、報告症例の中には、不具合状況がなし又は不明であり、かつ、健康被害状況が不明のケースがあります。これは、健康被害状況が不明で、機器との因果関係を否定できないと判断するだけの情報が得られなかったため、不具合報告がされたものがあります。下の表の右端の「対応状況」の所に、対応措置の項目として、原則として平成29年3月31日の時点での措置の内容を簡潔に記載しております。「回収(改修)」と記載してあるのは、製品を医療現場等から引き上げる「回収」をした場合、又は修理や検査の実施等を行った「改修」の措置を取ったことを示しております。「情報提供」と記載したものは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでおります。

 2ページに「目次」が記載されており、その次から表の下にページ番号を示して、一覧を記載しております。資料2--1は目次以降、膨大な分量がありますので、資料2-1の2ページ以降に戻って、資料2--1から資料2--3の概要をまとめております。本日は資料2-1を用いて説明いたします。詳細については、資料2--1、資料2--2及び資料2--3も併せて御覧いただければと思います。資料2--2はコンビネーション医薬品の不具合報告、資料2--3は再生医療等製品の不具合報告のリストとなります。

 資料2-1に戻って、4ページ、全体の報告件数の推移ですが、4ページから7ページに過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフと表で示しております。4ページのグラフは、国内報告と外国報告を合わせたグラフとなります。5ページは、国内報告と外国報告を分けたグラフとなります。全体及び外国の報告件数は、これまで増加する傾向にありますが、今回、平成28年度後期では前回より報告件数が減少しております。外国報告の減少が全体の件数に直接結び付いておりますが、外国報告の減少の背景としては、分類()の減少が顕著であります。こちらの理由については、販売名が着用型自動除細動器LifeVestという機器の外国不具合報告が前回4,500件ほどありましたが、今回2,000件ほどに減少しており、大きく報告件数に影響していることがうかがえます。外国医療機器の場合、医薬品医療機器法施行規則第228条の20第2項第1号において、不具合の発生率を製造販売業者があらかじめ把握することができる場合、発生率が上回った場合に報告をするという、いわゆるトレンドを見た報告について規定があります。LifeVestの場合、不具合の内訳はほとんどが電極ベルト、充電器、バッテリーの不具合、あるいは不適切ショックによるものであるため、これまで報告されていた不具合の一部をトレンドの報告として、あらかじめ設定した発生率を上回った場合にのみ報告をすることとしたため、報告件数自体は減少しております。なお、このLifeVestについてですが、国内報告は表皮水疱形成1件と電極ベルトの故障2件の3件のみとなっており、国内における安全対策は特段不要と考えております。

 平成28年度後期は減少しておりますが、全体として外国報告が増加している背景としては、企業における外国の情報収集体制がより充実し、より適切に不具合報告が行われるようになったことも要因と考えております。不具合報告の制度上、情報を知ったところがスタートとなるため、特に外国報告については不具合の発生から情報収集まで時間の幅があり、情報収集体制が充実することで、不具合報告の対象となる古い情報も入ってくることが背景にあると考えております。全体の説明としては以上となります。よろしくお願いします。

○荒井部会長 資料が薄い割に実はかなり豊富な内容ですが、御質問等よろしいでしょうか。

○倉根委員 質問ですが、外国と書いてあるのは、実際に解析しようと思えば、それぞれの国は分かるわけですね。

○事務局 発生した国が報告の中で分かるかということですか。

○倉根委員 そうです。

○事務局 分かる場合がほとんどだとは思います。

○倉根委員 分からない場合もあるのですか。つまり、私が聞きたいのは、例えば何かが増えたときに、ある発展途上国で余計使われるようになったので、増えたということもあり得るのかと。ですから、今回は外国、日本という国内、外国という分け方だけれども、そういうのを見るためには、どこの国で起こったかを解析しようと思えばできるのですねという質問です。

○事務局 解析という話になりますと、先ほど部会長が申し上げたとおり、この報告制度が結局、外国の場合は、日本の製造販売業者に情報が入ってからの報告となりますので、結局のところ母数が分からないというところが一番の弱点ですから、なかなか1つの国でどういう状況が起こっているか。もちろん、改修等の措置が取られている場合は、そういったところの解析は可能だと思うのですが、不具合報告だけで何か語るというのはなかなか難しいということが考えられます。

○荒井部会長 この話は以前にも話題になったと思います。海外の場合の情報のクオリティにかなり差があって、機械そのものというよりは使用される環境が影響する。すなわち、劣悪な状況での使用が広まった場合に出てくるような場合に、それが機器そのもの、あるいはそれぞれの製品を問題視すべきなのか、そうではなく、環境を問題視すべきなのか、そこのところが判らないわけです。御指摘のように、バックグラウンドが大事なのですが、この前回の時もアメリカでまとめて発生したような場合には結構細かなことまで把握できるけれど、アジアの国に急にひろまったような場合には、なかなか正確な情報がつかめないというようなお答えだったと思います。そのほか、いかがでしょうか。

○岩崎委員 植込み型の機器の場合に、植え込んでから発生した期間は把握されているのでしょうか。このリストにはなかったものですから、日本の場合で結構ですが、把握されているかどうかだけ。

○機構 機構の方から説明します。確かに不具合報告のものによっては、植込み期間、いついつ植え込んで、いついつ不具合が発生したという情報を入れている報告もあるのですが、全てにおいてそれが入っているというものではなくて、全ての症例において計算するのは、ちょっと難しい状況ではあるといったところです。

○荒井部会長 そのほか、よろしいですか。

○宮地委員 かなりあると思うのですが、個々の事例についての不具合を、イエロー、レッドペーパーの方に反映するための勧告とかをするのは、ここの部会ではないのですね。でも、ほかにはあるのでしょうか。

○医薬安全対策課長 先生が御指摘の部分は、緊急安全性情報、黄色い紙とか、安全性速報の青い紙ということかと思いますが、そういう緊急な情報提供が必要な場合に、定例の会議を開いてからということになると、手遅れというか、遅くなることもありますので、通常はそういうものを出させていただく段階で、いわゆる情報の案について、この部会の先生方に書面等で事前に情報提供を御確認いただいて、発出させていただくという手続を取らせていただいております。

○荒井部会長 出所はこの部会という考え方でよろしいですか。

○医薬安全対策課長 出所はこの部会です。ほかにはそういった部会はありませんので、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 そのほか、いかがですか。よろしいですか。では次、お願いします。

○事務局 資料2-1の続きから御説明させていただきます。資料2-1の8ページを御覧ください。2-1につきましては、各分類における先ほど示しました9分類ですね、こちらにおける国内の不具合報告件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称等と、その際の主な不具合又は健康被害状況をピックアップして記載しています。こちらに示しました表の右側は、基本的には主な不具合事象を記載していますが、製品そのものには不具合がない、又は不明な場合については健康被害状況を記載しています。

 分類()の「画像診断用機器」の報告は、国内では8件報告されています。分類()の内視鏡、血液分析装置等の「生体監視・臨床検査機器等」については、国内で164件報告されています。分類()のインスリン注入器、カテーテルといった「処置用・施設用機器等」は、国内で3,131件報告されています。中心循環系血管内塞栓促進用補綴材、自然落下式・ポンプ接続兼用輸液セットは200件前後見られます。分類()は大動脈用ステントグラフト、心内膜植込み型ペースメーカリード等、「生体機能補助・代行機器」を記載しています。こちらは国内で4,004件となっています。分類()については、植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ、植込み型心臓ペースメーカのようなリスクの高い医療機器が多く分類されているということで、報告件数が多くなっています。また、大動脈用ステントグラフトについては報告件数もさることながら、こちらは大動脈瘤の治療に使用するということもあり、重篤な有害事象が多く報告されています。

 資料が飛んで申し訳ありませんが、資料5-4として「大動脈用ステントグラフト使用による有害事象について」を御覧ください。こちらは機構からの情報提供となりますが、死亡症例において不具合事象と医療機器との因果関係を評価する機構の不具合検討会において、特に本製品を使用するにあたり、感染瘤への適用、解剖学的適応範囲外への適用、ステントグラフト固定部位の不足などの状況で使用した場合、重篤な有害事象が報告されています。これらは、いずれも既に添付文書等で注意喚起されている内容ではございますが、改めて適正使用に留意いただくという意味で情報提供したもので、今回、お示ししています。

 資料2-1に戻っていただき、次に9ページになります。分類()の手術用電気メスやドリルなどの「治療・鋼製機器等」として国内で685件報告されています。分類()の「歯科用機器・材料」として国内報告は6件となっています。分類()の眼内レンズやソフトコンタクトレンズなどの「眼科用機器」については、今回、70件報告されています。分類()の「衛生材料・避妊用具・家庭用機器等」は、国内報告は9件となっています。

10ページですが、コンビネーション医薬品の医療機器部分、機械器具部分の不具合報告として国内報告は530件ありました。こちらは資料2--2に対応するものです。また、再生医療等製品は全て国内報告で57件報告されています。こちらは資料2--3に対応するものとなっています。

11ページを御覧ください。こちらは平成26年度以降、新医療機器として承認された品目の国内での不具合報告の状況について御紹介しています。11ページから12ページにまとめていますので御覧いただければと思います。期間内において国内不具合報告があったものは、平成26年度に承認されたものから12品目、平成27年度に承認されたものから10品目、平成28年度に承認されたものから2品目となっていますが、いずれも特段、対応が必要な不具合の発生というものはありません。引き続き、不具合・健康被害の状況を注意深く収集している状況です。資料2-1、2-2の説明は以上となります。

 続きまして、資料2-3、資料2-4について簡単に御説明いたします。資料2-3を御覧ください。こちらは「医療機器外国措置報告」の一覧となっています。医療機器に関する外国措置報告については、企業が外国でも同一性を有する製品を製造販売している場合に、外国の規制当局などで取られた措置について、日本の行政当局にも報告をするというものです。平成28年度上半期では1,246件の報告が来ています。資料の一番右の列には国内外での対応状況について記載しています。こちらは外国で措置を行った結果について、日本で対象製品がないという場合を除き、おおむね日本においても同様の対応を取っているという状況です。

 次に資料2-4、こちらは「研究報告」の一覧となります。医療機器の研究報告は、製品の有効性及び安全性に影響する内容の文献報告等があった場合に報告されるもので、今回、文献数にして709件ありました。今回の報告によって安全対策上の特段の措置が必要になったものはありません。資料2についての説明は以上です。よろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいま説明して頂いた資料2-1から資料2-4について、御質問等、いかがでしょうか。

○水上委員 ステントグラフトの話は、今、ここでしてもいいですか。

○荒井部会長 結構です。

○水上委員 適正使用のお願いというのを出すというお話でしたが、確か実施基準とか施設基準とかあったはずですけど、そちらの方は、そういう学会と関係して何か通知は出されるのでしょうか。

○機構 機構よりお答え申し上げます。基準の管理委員会というものがございまして、管理委員会とは、まず出させていただいた文書に関する内容については事前に御説明させていただき、確認いただいているという状況です。管理委員会の方から何か出していただくかというところについては、特段、出していただく状況ではございませんが、管理委員会のホームページに機構が出している文書については掲載いただきまして広く周知を頂いているところです。併せて、企業側からも同様の内容のものが出ていますので、それも掲載されているという状況です。以上です。

○荒井部会長 よろしいですか。御質問の趣旨は、いわゆる施設基準といった要件があるが、そのような要件から逸脱していないかと不安を持たれた、ということだと思いますが。

○水上委員 そうですね。拝見すると、ちょっと場所が違うのではないかとか、結構、拡大して使われているのかという印象があったので、お伺いしました。

○荒井部会長 そこについてはどうですか。

○機構 そこについてステントグラフト管理委員会の方では、きちっと基準が守られている施設かどうか、医師基準が適切に運用されているかについて、年々、確認されているところです。実際、確認はされている状況で特にそこを逸脱しているという話ではないと思います。ただ、中には緊急性の高いものであったり重症度の高いもので、どうしても使わなければならないという状況がありますし、今回、そういった症例が集まってきているというところで、改めて添付文書の内容等を確認いただき、また実際に使うという判断の際には、その場でもう一度立ち止まって考えていただいた上で使用していただくことを趣旨として出させていただいているということです。

○荒井部会長 よろしいですか。ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。それでは、取りあえず御質問はないということで、次は()の方に進んでいただくことにしたいと思います。議題()に入らせていただきます。議題()は感染症定期報告です。お願いいたします。

○事務局 事務局より御説明いたします。資料3--1から資料3--2まで4つありますが、資料3--1を御覧いただければと思います。リストがずらっと出ているかと思います。説明に入る前に感染症定期報告についてですが、その制度の概要について口頭で御説明いたします。報告は生物由来製品というものを対象としており、この生物由来製品はヒトや動物等に由来し、保健衛生上、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものです。こういった生物由来製品については、その原料が細胞組織等であることから、未知の感染因子である細菌ウイルス等が含まれている可能性が否定できません。このため、生物由来製品による感染症については、一般的な医薬品、医療機器、例えば化学合成品等の副作用とは異なり、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に進行するおそれがあり、また、一旦感染すれば、時間の経過に伴い軽減することなく、一定期間後に顕在化するおそれがあります。このような背景もございまして、生物由来製品については、製造販売業者に対し、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、原料動物等の感染症に関する最新の治験を常に把握し、それを集積した上で感染症のリスクを評価するとともに、その結果を機構に報告することが義務付けられています。先ほど来、御説明しています不具合報告については、自社の製品あるいは同じような製品について報告いただいていますけれども、感染症定期報告は製品が全く異なるものであっても、リスクがありそうであれば報告をするというものになります。この報告については厚生労働省の本部会に報告し、必要な措置が検討されるというものです。以上が感染症定期報告の制度の概要です。

 今回の報告状況について御説明いたします。今回は、昨年10月1日から今年3月末までの報告について取りまとめています。全体としてはそれぞれ表でまとめていますが、当然、重複がありますので重複を排除したものをまとめています。今、御覧いただいている資料3--1、こちらが医療機器になり、資料3--2は再生医療等製品となっています。資料3--1ですが、今回、報告されたものは、件数としては46件ございました。資料3--2は再生医療等製品ですが、こちらは3件ということです。細かい説明は省略させていただきますが、今回、比較的報告が多かったものとしては、資料3--1の医療機器について1ページの途中から2ページにあるインフルエンザの関係で、同じような内容ですけれども17件報告されています。また、内容の確認についてですが、これまでも一部の本部会の先生方に御確認いただいています。今回につきましても国立感染症研究所の倉根委員、石井委員、国立医薬品食品衛生研究所の内田委員の御後任の澤田委員に資料を御確認いただいていて、御意見、コメントを事前に頂戴しています。今回につきましては、先生方から安全対策措置を講ずるべきとのコメントは頂いていません。議題()に関する報告は以上です。

 続いて、特に資料はございませんけれども、1点、報告をさせていただきます。今回の資料とは直接関係ありませんが、将来的に報告されるであろうという内容になります。内容は米国でのBSEの発生状況についてです。米国農務省(USDA)が、通常のサーベイランスにおいて米国アラバマ州の11歳、高齢のウシで非定型BSEの発生を確認したことを7月に公表しています。この症例については、自然発生的に発生すると言われている非定型のBSEで、非定型のBSEについて日本の食品安全委員会では、疫学的に非定型BSEとヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病を含むプリオン病との関連を示唆する報告はないと評価しています。また、一般論として、医薬品等におけるウシ等の反芻動物に由来する原材料の使用については、生物由来原料基準というもので規制を適切に行っているところです。以上の状況から、本件、米国の11歳の高齢のウシで非定型BSEが見つかったことを踏まえての対応は不要と考えています。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。議題()に関して、説明していただきました。御質問等、いかがでしょうか。

○倉根委員 内容自体は特にコメントはないのですが、資料3--1、ほかにもありますけど、「日本脳炎B型」と書いてあります。日本脳炎にA型もB型もないので「B型」は取るのが正しいと思います。海外の文献でJapanese B encephalitisと書いてあるのもありますが、非常に古い時代の名残の名前なので、今は日本脳炎です。

○事務局 御指摘、ありがとうございます。資料の方を訂正させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。よろしければ次の回収報告に移らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは事務局より、「医療機器・再生医療等製品の回収報告の状況について」、資料4-1及び資料4-2を用いて御説明させていただきます。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者、製造業者等は、医薬品医療機器法第68条の11の規定により、製造販売等をしている医薬品や医療機器等を回収するときには、回収に着手した旨、及びその状況について厚生労働大臣に報告をしなければならないとされています。また、製造販売業者等から回収着手の報告がされた場合については、全ての事例をインターネット等で公表しているところです。本件については、同じく医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会へ報告を行うものという位置付けとなっています。

 資料4-1の1ページの1.が、回収件数の年次推移となっています。表の一番右の欄が平成28年度となっていますが、医薬品が126件、医薬部外品が14件、化粧品が87件、医療機器は406件となっています。再生医療等製品については0件であり計633件となっています。医療機器について平成27年度と比較しますと、回収件数については50件ほど減少しているところですが、ここ10年の推移等を踏まえて考えますと、回収件数そのものは400件前後というところで、おおむね同じ水準で推移しているのではないかと思われます。

 次のページ、2.「平成28年度医薬品・医療機器等の回収件数及びクラス分類」の表を御覧ください。クラス分類については危害の発生のおそれの大きいものからクラスIIIIIIとされています。医薬品等については割愛します。医療機器についてクラスIの回収が5件、クラスIIについては373件、クラスIIIについては28件、計406件という状況となっています。

 その内訳についてですが、資料4-2を御覧ください。1ページ及び2ページがクラスIの案件、3ページから69ページまでがクラスIIの案件、70ページからがクラスIIIの案件となっています。そのうち、特にクラスIの回収については平成28年に5件ありましたが、重大な危害のおそれのある事象に対し、各企業が速やかな安全措置を講ずるべきものとして回収を行ったもので、今後とも各企業に対しては安全管理に対して高い意識を持ち、必要があれば速やかに適切な回収対応を行っていただくことについて、引き続き、当局としても指導していきたいと思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。回収状況についての報告については、全体として際立って大きな変化はないという報告でしたが、御質問等、いかがでしょうか。特に、それぞれの委員の御専門の分野について、ご確認頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、最後に、議題()に進ませていただきたいと思います。ことのほか順調に進み過ぎているきらいがありますので、もし議題()の後に、今までの御説明の中でお気付きの点、もう一度確認したいということがありましたらお受けしたいと思います。取りあえず、議題()に進ませていただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 「その他」の議題としまして、前回の部会以降に実施した安全対策措置などについて、資料5-1から順に御説明させていただきたいと思います。資料5-1を御覧ください。「医療機器の添付文書の記載例について」、添付文書をどのように記載するかという記載要領の一般論につきましては、平成2610月に示しているところです。ただ、医療機器の種別ごとの標準的な記載例までは示していませんでした。そのため各工業会が任意で、この記載要領を元に、それぞれの機器について雛形となるものが随時作成されている状況です。今回は、一般社団法人日本補聴器工業会において補聴器の添付文書に関する記載例が出されたのと、一般社団法人日本眼科医療機器協会において眼内レンズ等の添付文書に関する記載例が作成され、当課宛てに提出されましたので、こちらを同工業会加盟以外の関係製造販売業者の皆様にも浸透が図られるように周知を図ったものです。今後も引き続き、各関係工業会の方々にも協力いただきながら、より分かりやすい記載方法の標準化を図ってまいりたいと考えています。

 続きまして、資料5-2を説明させていただきます。こちらは、「『コンビネーション製品の副作用等報告に関するQ&Aについて』の改訂について」というものです。コンビネーション製品の副作用報告について、制度が始まったという説明を先ほどさせていただきました。この運用のQ&Aについて、平成26年に一度事務連絡を出していますけれども、今般、より円滑な運用に資するために手続関係、その他報告の基準についてQ&Aを改訂し、それを周知したものです。

 続きまして、資料5-3、PMDA医療安全情報No.50「シリンジポンプセット時の注意について」。こちらに関しては、平成15年に「輸液ポンプ等に関する医療事故防止対策について」という通知を発出していて、輸液ポンプ・シリンジポンプの医療事故を未然に防止するための構造・機能を持たせることを指示していました。さらに、頻発する輸液ポンプの取扱いによる医療事故の事例と注意点について紹介するため、平成23年に輸液ポンプについて、「PMDA医療安全情報No.21:輸液ポンプの流量設定時の注意について」を発出したところです。今般、輸液ポンプだけではなく、シリンジポンプの取扱いにおける医療事故やヒヤリ・ハット事例が複数確認されていることから、輸液ポンプの場合と同様に、シリンジポンプにシリンジをセットする際の注意点を、イラスト等を用いて紹介するものを機構の方が作成しましたものになります。

 続きまして、資料5-4、機構からの医療機器適正使用のお願い「大動脈用ステントグラフト使用による有害事象について」、こちらは内容については議題()で説明しましたので割愛させていただきますけれども、機構から発出した大動脈用ステントグラフトの適正使用についてのお願いです。先ほどのシリンジポンプの「医療安全情報」については、機器の使い方として、当然、守るべき事項がヒヤリ・ハットとして報告が集積された場合に、機器等の安全使用推進の観点より、分かりやすい形で情報提供となるものでした。それに対してこの「PMDAからの適正使用のお願い」という文書については、既に添付文書等で注意喚起がなされているものの、重篤な健康被害を伴う不具合報告等の蓄積が確認され、かつ、医療機器不具合検討会における機構専門委員との議論において、添付文書における使用上の注意の再確認、及び慎重な適用判断を促すことが必要と判断された場合について、対象製品が多くて、かつ医療現場にスムーズに情報伝達を行う必要がある場合等に発行するものとしています。

 最後に、当日配付資料3を御覧ください。厚生労働省からのプレスリリース、「家庭用電気マッサージ器の不適正な使用により死亡事故が発生しています」と書いてあるものを御覧ください。新聞各紙やテレビニュースでも報道されましたので、御存じの先生も多いかと思いますけれども、ローラー式の家庭用電気マッサージ器をカバーを外した状態で肩ないし首に使用したために、衣服がローラーに巻き込まれ窒息して死亡したという事故が発生しています。お手元の資料1枚目下の方に写真がありますけれども、こちらは足用のマッサージ器でカバーを付けて使用すれば特に危険性のあるものではありません。ただ、20年以上前に販売されていた製品ということもあり、カバーが破れていたり、カバーがない状態で使用されていたところで事故につながったと思われます。今回の事故の原因になったマッサージ器と同じ製造販売業者による類似製品により死亡事故が過去にも5件発生していて、今回で6件目となります。製造販売業者である的場電機製作所は、本製品の使用を中止し、会社に連絡していただくようにお願いをしているところです。厚生労働省といたしましても、本製品の使用中止や家庭用電気マッサージ器の適正な使用について広く注意喚起を行うために、製造販売業者や業界団体とも連携し、様々な媒体での情報提供に努めてまいりたいと思っています。資料の説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの議題()につきまして、御質問等いかがでしょうか。昔と比べてはいけないのかもしれませんが、添付文書はこう書いたほうがいい、報告するときはQ&Aを示してこう報告してくださいなど、手取り足取りとは言いませんが、きちんと報告されるための種々の手当が組まれてきていると思います。一方、先ほどお話がありましたように、適正に使用されているとはいっても、臨床現場では、結構ぎりぎりの状況で勝負せざるを得ない場合もありますので、その結果として不幸な結果になった場合には、改めて注意喚起することも進められている状況と思います。とは言え、安全につきましては、一生懸命にやっていても、盲点が必ず出てきますので、そのような点をこの部会で御指摘いただければ大変有り難いと思います。この議題()につきまして何か御意見はございますか。あるいは先ほど申しましたように、この議題()に限らず、今日これまで御報告いただきました中で、何か御質問等ありましたら受けたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小野部会長代理 先ほど革新的医療機器の早期承認制度のお話で、販売後のPMS、Post Marketing Surveillanceの1つの目安として6か月という指標をお出しいただいていますが、実は私たちの心臓血管外科の分野は、そのような形で早期承認を頂くデバイスが最近増えてまいりまして、どのぐらいの期間で市販後調査をするのか、数で市販後調査をするのか。比較的曖昧な所があったように私は理解しているのですが、デバイスによっては、使用される頻度が余り高くないので、例えば一律に100症例登録するとなると、時間が掛かるものもあれば、すぐ登録できるものもあるし、期間だけでやっても同じようなことが言えるわけですが、その辺の今後、早期承認をした医療機器の安全性調査、いわゆる市販後治験に近いものになりますが、何を基準にどのぐらいの数をやるか、その辺のコンセンサスは決められているのでしょうか。

○医薬安全対策課長 早期承認に関して質問を頂きまして、ありがとうございます。先生が御指摘のように、今回の早期承認では、市販後の安全監視活動と、そのリスクの最小化と2つの対策を行っていただく条件の下で、少数の患者さんの臨床データでも早期承認していこうという考え方を示したものなのですが、安全監視の部分をどのぐらいの範囲でどのぐらいの期間実施すべきかというところは、個々の製品ごとにもいろいろな議論があるところです。そこについて、どちらかというと、一定のコンセンサスがあるわけではなくて、ものによっては長期の経過を少数でも見ていったほうがいいものもありますし、できるだけ早く症例の数を集めて短期間で終わらせたほうがいいものもありますし、その辺り、このような制度をこの形で新たに応用していく中で、収束していくといいますか、いろいろな事例の中から、一定の方向性を出していく必要性がある部分だと思っています。その辺り、我々市販後部門と承認審査部門と連携しながら、ある一定の方向に、現場の方々もその方が実際治験もやりやすいことにもなるでしょうし、集約していく方向で検討させていただきたいと思っております。

○小野部会長代理 ありがとうございます。まだ時間があるので、もう1つ、その先のことを質問させていただきますが、この市販後の治験という形でデータが集まってきたものに対して、効果・安全性評価委員会などで、多分安全性の評価をすることになると思いますが、例えば安全性情報は、もし不具合があった場合にはこちらの委員会にも下りてくるとは思うのですが、その辺の何て言いますか、これは安全に使えて、そのまま市販後治験はパスして通常のプラクティスに使っていいものだと判断するのか、あるいは、これは有害事象が多いから、もう少し市販後治験という形で安全性情報を収集するのか、あるいは承認を取り消すのかという判断を迫られる。まだ、恐らくほとんどないと思うのですが、今後起きてくると思いますが、その辺の判断は、どのように下されて、どのようにこういう委員会に情報を頂くことができるのか、もし決まっていれば教えていただきたいのですが。

○医薬安全対策課長 今、先生から御質問を頂いた部分は、市販後も継続したベネフィット・リスクの評価ということだと思います。この部会はどちらかというと、報告を頂いた現場での不具合情報に基づいて、安全対策をどうするかを議論する場なのですが、今御指摘いただいた部分を製造販売後の安全監視、心臓血管外科等ですと、植込型のデバイスに対して、使用成績評価の形で、市販後もデータの積み重ねを継続していく場合がありますが、そこでのリスク・ベネフィットバランスの評価、になりますと、通常は、承認について取り消すことは余りないかもしれませんが、その結果はどうだったかという評価につきましては、もう1つ荒井先生が部会長をされておられる医療機器・再生医療等製品の安全対策ではないほうの審査の部会がございますので、そちらに持ち帰って評価させていただく仕組みが現在の薬機法上の仕組みとなっております。

○荒井部会長 よろしいですか。

○小野部会長代理 分かりました。ありがとうございました。

○荒井部会長 今御指摘がありましたように、私はそちらの部会もやっておりますが、例えば今まではOSで明らかな優越性が示された場合に承認しましょうとしていた訳ですが、疾患によってはOSを示すのに5、6年掛かってしまうことがある。そこで、一定の別の指標を使ってでも承認を下ろし、その代わりOSも含めて、安全性やベネフィットも含めて評価しようという訳です。確かに御指摘頂いたように、後のデータは駄目だった時に承認を取り消すことができるのかというと、その辺はまだ難しい部分があるように思われますが、再評価をきちっとやっていくという方向で、部会では取り組んでおりますので、御理解を頂ければと思います。

○西澤委員 消費者の不適切な使用による事故ということで、2つ質問させてください。1つは先ほどの電気マッサージ器の話なのですが、非常に残念なことが起こったと思うのですが、私がちょっと分からないのは、北海道で2件目が起きているということで、私も新聞でも随分見たのですが、北海道で重点的に販売されて、それでそこで事故が起きているのか、この間も事故が起きているので、恐らく今の状態では、もちろん難しいのは分かっているのですが、今のような勧告を続けても、限られていることがあるので、なぜ北海道で2件も起きているのか、私はすごく疑問があって、もちろんそこにどこまで踏み込めるのかはあるのですが、販売会社がないからということで、できないということをおっしゃっていますが、少しその辺の情報があれば、何かもうちょっと適正に重点的に売られた地域の方に対して、また事故に遭われている方が大体同じような高齢の女性ということで、何かないのかと思って、このままだと多分何となく大丈夫かというのがあります。

○事務局 コメントをありがとうございます。地域性につきましては、実は的場電機製作所とも話をしておりまして、的場電機製作所に1,000件を超える電話とか問合せが来ていまして、それは地域別に集計されています。やはり北海道でもたくさん販売されたようです。これに関して情報提供をどうやっていくかということで今回ニュースになったので、ある程度情報は提供されたと思っているのですが、それ以外にも継続的な対応が必要と考えています。例えばポスターを作成するなどということを業界団体や的場電気製作所と相談しているところですので、事務局としても努力させていただきたいと思っております。

○西澤委員 そうですね。恐らく多分そういう事故になるとは、普通使うときには余り考えないので、どうしても消費者はリスクを過小視するというのがあると思いますから、それに対して論理的に情報提供をしたからといって、それが余り伝わらないことが悩ましいところだと思いますから、何か工夫があればと。すごく難しい。

 あともう1つ、カラーコンタクトの記事がこの間も1つ全国紙に出ましたけれども、それで読むと、カラコンは事故が減っているけれども、重篤な事故が減らなくて、1件は平成24年に角膜炎を起こして眼球を摘出したというシリアスなケースもあって、8月に局長が通知を出して、売るときの適正販売を求めるということが記事に書いてあったのですが、今日の部会で報告があるのかと思ったのですが、これは次の部会か何かになるのでしょうか。

○事務局 コンタクトレンズの販売については、平成24年に厚生労働省から販売時の情報提供について通知を出しているのですが、この改訂版を作成している段階で、先月パブリックコメントをかけておりますので、今回の部会には出せなかったのですが、もうじき発出できるかと思っております。

○荒井部会長 大変重要な御指摘だと思います。これがいわゆる医療機器というか完全な薬事法のものであれば回収といったこともあるかと思いますが、かなり歴史的に古いものも入ってきます。ガス器具などでもそういったことがありますね。なかなか周知が行き届かないコミュニティ、地域、年齢もあると思いますが、今後も引き続き検討していきましょう。これは、なかなか終わりがない話かと思います。ありがとうございます。そのほかに御質問等いかがでしょうか。

○今村委員 聞き逃したので、確認させていただきます。資料1-1の過去5年間の報告数の推移の中で、研究報告が急増している原因について、もう一遍御説明をお願いいたします。

○事務局 再度御説明いたします。こちらにつきましては、実際には報告の運用を変えたことになるのですが、今までの研究報告は、学会の発表であったり、学術論文から該当する医療機器の不具合情報があったら、それを報告するというような研究報告になるのですが、従前ですと、これらの情報については、資料1-1で言いますと、左の個別の不具合報告として報告されておりました。ただ、論文等で書かれている情報が乏しいものが多くありまして、運用として研究報告として、これまで個別の報告として受けていたもの、例えば、この医療機器でこういう不具合が何件起こりましたということも個別の報告で受けていたのですが、それについては研究報告として受けるという運用に変えまして、実際には平成27年度から運用を変えているので、今回件数が増えているという背景がございます。

○今村委員 運用方法を変えただけで、こんなに3桁も違う数が出てくるというのは、今までの方法がよほど変だったということですか。

○安全管理監 例として挙げますと、例えば1つの論文の中で死亡例が5例出ましたという研究報告があったとします。今までそれを1例1例、症例報告として、不具合報告として別途挙げていただいたのです。論文としては1件なのですが、例えば表の中に5例不具合が起こりましたとなると、その不具合について1例1例が1人の患者、年齢は分からない、ただ、不具合としてこういう症例がありましたというのを1件1件挙げていった、その1件1件が不具合報告の件数としてカウントされていたのですが、それは論文の情報としてかなり限られた情報しか個別の症例としてはないものですから、それを個別の運用報告として出すよりは、文献報告としてまとめて1本で出してもらう整理にしたということです。

○今村委員 例えば今まで研究報告に1本の報告が出てきたとして、その中に不具合例が100も含まれていたと。そうすると、1が100になるということですか。

○安全管理監 そうです。

○今村委員 分かりました。

○荒井部会長 ありがとうございます。私も分からなかったのですが、今のお話で分かりました。そのほか、いかがでしょうか。

○宮地委員 先ほどの小野先生のことにも関連するのですが、不具合情報に対する医療安全の情報のフィードバックなのですが、今まではPMSを本来作っているメーカーが、それを監視したり情報を流すということだったのですが、PMSをなるべく学会でやる方向になっていると思います。ということは、こういった医療情報が安全に運用されているかどうかというのは、学会に任せる方向になるということでしょうか。

○医薬安全対策課長 いわゆるPMSを実際に実施する場合においては、これは医療関係者の方々の御協力なしには企業もPMSを実施するのは非常に困難で、まずそういう意味では一義的には学会に御協力をお願いして、プロトコール作成から、実施段階においてもお願いしているところです。

 また、一方で最近学会がお持ちになっているレジストリを活用したり、そういう機会も段々増えてきており、企業からもかなり学会の方にレジストリの中の情報を集約していただいたりという作業をお願いして、少し全体的に学会寄りになってきている部分は最近の傾向としてはあると思っております。ただ、これはあくまで企業の責任でPMSをやるものですので、そこは、いろいろな作業分担はあると思いますが、やはり学会と企業が協力しながら対応していただくということで、是非御協力をお願いしたいと思っております。

○荒井部会長 宮地委員、よろしいでしょうか。結構、そこはデリケートなところで、学会と言ってしまうと、結構きちっとした組織に聞こえるかもしれませんが、学会の数はとんでもない数がありまして、ちゃんとしたことができる学会と、対応が難しい学会もありますので、その辺は臨床現場の情報を十分集約しながら、最終的には企業の責任という形になりますが、学会に協力していただくというスタンスで、今進めておられると理解しております。

 そのほか、よろしいですか。本日予定いたしました議題はこれで全て終了かと思いますので、事務局から連絡をお願いいたします。

○事務局 次回の部会の日程につきましては、例年通り、平成2912月頃を予定しておりますが、別途、部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがございますので御承知おきいただければと思います。なお、日程調整等につきましては、事務局より改めて先生方の御都合を伺って決めさせていただきます。また、先ほども申し上げたとおり、今回ペーパーレス化に当たりまして、最後に、委員の皆様におかれましてはアンケートへの御協力をお願いいたします。事務局からは以上でございます。

○荒井部会長 ありがとうございます。委員の皆さま、このペーパーレス化のアンケートへの御記入をお願いいたします。それでは、これをもちまして、平成29年度第1回の医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課安全使用推進室 副作用情報専門官 岩瀬(内線2751)

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