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2017年6月26日 医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会  第13回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成29年6月26日(月)13:00~15:00


○場所

三番町共用会議所第3会議室
(東京都千代田区九段南2-1-5)


○出席者

秋山 智弥 (公益社団法人日本看護協会副会長)
秋山 正子 (株式会社ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長)
有賀 徹 (独立行政法人労働者健康安全機構理事長)
太田 秀樹 (一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
大滝 純司 (北海道大学大学院医学研究院・医学部医学教育推進センター)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
河口 てる子 (日本赤十字北海道看護大学学長)
神野 正博 (公益社団法人全日本病院協会副会長)
桐野 高明 (東京大学名誉教授)
   ※高は、はしごたか、以下同様
高木 誠 (一般社団法人日本病院会常任理事)
中山 洋子 (高知県立大学特任教授)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長)
東 憲太郎 (公益社団法人全国老人保健施設協会会長)
平井 みどり (神戸大学名誉教授)

○議題

(1)特定行為に係る看護師の研修制度の推進について
(2)その他

○議事

 

○穴見看護サービス推進室室長補佐 それでは、定刻より少々前になりますけれども、先生方が皆様おそろいになりましたので、ただいまより第13回「看護師特定行為・研修部会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、本部会の委員に異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 公益社団法人日本看護協会副会長の真田弘美委員が御退任され、同じく公益社団法人日本看護協会副会長の秋山智弥委員に御就任いただいております。

秋山(智)委員 日本看護協会副会長の秋山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○穴見看護サービス推進室室長補佐 本日は、木下委員、佐藤委員、田邊委員、永井委員、中野委員から御欠席との御連絡をいただいております。

 なお、有賀委員は本日御都合によりまして、途中で退席されます。

 事務局にも人事異動がございましたので、紹介させていただきます。看護課長の島田陽子でございます。

○島田看護課長 島田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

穴見看護サービス推進室室長補佐 また、私が看護サービス推進室室長補佐の穴見でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、ここでカメラは退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○穴見看護サービス推進室室長補佐 以降の議事運営につきましては、桐野部会長にお願いいたします。

桐野部会長 よろしくお願いします。

 まず、資料の確認をお願いいたします。

穴見看護サービス推進室室長補佐 お手元の資料の確認をお願いいたします。

 まず、議事次第、座席表、委員名簿がございます。

 続いて、資料1「特定行為に係る看護師の研修制度に係る現状及び課題、今後の推進方策について」。

 資料2「特定行為に係る看護師の研修制度の充実に向けた検討について」。

 参考資料「特定行為に係る看護師の研修制度の関係法律等」をお配りしております。

 また、本日、春山委員から提出がございました資料もお配りしております。

 資料に不足、乱丁、落丁がございましたら、事務局にお申し出ください。

 それでは、部会長、引き続きお願いいたします。

○桐野部会長 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日の議題は、「特定行為に係る看護師の研修制度の推進について」、2番目に「その他」となっています。

 初めに議題1「特定行為に係る看護師の研修制度の推進について」、事務局より資料1の説明をお願いいたします。

島田看護課長 資料1を説明させていただきます。「特定行為に係る看護師の研修制度に係る現状及び課題、今後の推進方策について」でございます。

 おめくりいただきまして4ページから現状についての資料でございます。特定行為研修を行う指定研修機関の状況でございますけれども、平成29年3月末時点で40機関の指定をさせていただいておりまして、全国25の都道府県に研修機関がございます。

 参考といたしまして、右のほうに実習を行う施設として88カ所ございますが、そちらにつきましては39の都道府県で実施ができるという体制になっておりまして、なるべく就業しながら研修をしていただくという体制の整備が進みつつあるという状況かと認識しております。

 おめくりいただきまして6ページでございます。就業していただきながら研修をしていただく上では、eラーニングにより研修を受講するという体制整備も重要と考えておりまして、現在、40の指定研修機関の中で31の機関でeラーニングを導入していただいているところでございます。

 7ページでございます。特定行為研修を修了した看護師の数でございますけれども、27年度は259名でございましたが、28年度の修了者は324名ということで、これまでに計583名の方が特定行為研修を修了していただいているところでございます。指定研修機関の施設種別でみると、お示ししているような分布になっております。

 おめくりいただきまして8ページには、特定行為区分別の修了者数をグラフでお示ししております。栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連が最も多く、501名となっておりまして、次いで創傷管理関連が434名、呼吸器関連が410名といった状況になっております。

 9ページでございます。今、仕事をしておられる就業場所別の修了者の分布を見たものでございますけれども、27年度、28年度を合わせますと、病院で523名と最も多いところでございますけれども、訪問看護ステーションで15名働いていただいているところでございます。

 右下の地図でございますけれども、就業しておられる都道府県を見ると、ほぼ全国で就業していただいている状況になっております。

 おめくりいただきまして10ページでございますが、特定行為研修を受けたことによる変化ということで、永井委員に行っていただきました調査からの抜粋を掲示しておりますけれども、さまざまな行為がございますので、後ほど御参照いただければと思いますが、真ん中にございますように、「患者・家族との関わりの中での変化」ということでは、医師に聞けない質問や病状や治療についてタイムリーに根拠を持って説明することにより、患者・家族の満足感が得られるようになり、理解度が高まったというお声ですとか、医師不在時や緊急時も含めて特定行為を実施できることにより、患者・家族の安心感や自分に対する信頼感が高まったといった声、「看護師や多職種との関わりの中での変化」ということで、上から3つ目、アンダーラインを引いておりますけれども、多職種との連携の必要性をより認識し、情報交換や意見交換をしたり、連携強化のためのカンファレンスや勉強会等を企画・実施するようになったといった変化を調査の中から聞き取っているところでございます。

11ページからの資料を御説明いたします。「特定行為研修を修了した看護師の確保等に向けたこれまでの取組等」についてでございます。

12ページに予算事業の御説明をしております。平成26年度から開始しております事業でございますけれども、指定研修機関の指定前の導入促進支援、指定後の運営に係ります支援、➂では指導者育成の事業ということで、こういったさまざまな予算事業を行いながら、財政支援を行いつつ、指定研修機関の確保に努めているところでございます。

13ページでございますが、この予算事業に対しまして、平成29年度、行政事業レビューがございまして、そこで有識者の方々から御意見をいただいたところであります。この予算事業に関しまして、事業の進捗が低調である要因を分析し、補助事業についても事業を促進する仕組みとなるよう検討すべきではないかという御指摘をいただいておりまして、それに対する見直しの方向性といたしまして、平成30年度予算要求に向け、指定研修機関の一層の確保を図るため、指定研修機関に係る規定及び本事業の内容の見直しを図るということを方向性として考えております。

 具体的には、指定研修機関の飛躍的な増加を図るためには、病院団体等への働きかけが不可欠と考えておりまして、病院団体等の支援によって傘下の施設が指定研修機関となることなどを促進するよう、指定研修機関に係る規定、予算事業の見直しを図りたいと考えているところでございます。

 おめくりいただいて14ページでございますが、制度の普及に向けた取り組みの実施状況でございます。シンポジウムですとかリーフレットなどを作成しておりまして、研修制度の周知に努めているところでございます。

15ページでございますけれども、周知を進めているところではございますが、認知度といたしましては、有床診療所、介護施設といったところでの認知度が低いという調査結果が出ておりますので、こういったところにも制度の周知を図っていくよう、引き続き努力していきたいと考えております。

16ページでございます。都道府県における取り組み状況について御説明いたします。平成28年度の特定行為に係る研修制度に関するニーズ把握を都道府県がどのようにやっていらっしゃるかということを調査させていただきました。約6割の都道府県が特定行為研修制度に関する事業計画の検討などを目的として、ニーズの把握などをしているということがわかりました。詳細につきましては、下のほうに説明がございますので、後ほど御参照いただければと思います。

 続いて17ページでございます。こちらも都道府県における取り組みでございますけれども、8カ所の都道府県で平成28年度の地域医療介護総合確保基金の事業計画において、研修を修了した看護師の確保・活用のため、受講者の所属する施設に対する受講料や代替職員雇用のための支援、指定研修機関に対する研修体制整備のための支援、制度普及のための調査などを計画・実施しているということがわかったところでございます。

 おめくりいただいて18ページでございます。こちらも都道府県における取り組みでございますけれども、制度の推進における課題に関する調査でありますが、研修を修了した看護師の確保に係る目標を策定している県は5県にとどまっていたところでございます。そして、都道府県は特定行為研修を修了した看護師の確保に向けた課題として、医療機関や看護師等の研修のニーズや特定行為研修を修了した看護師の実態把握が引き続き必要と認識しているという状況がございました。

 こうした制度の実施状況など、都道府県の取り組み状況などを踏まえまして、今後の制度推進に向けた課題を20ページからまとめさせていただいております。

 推進に向けた課題といたしまして、状況につきましては、先ほど来御説明したところでございますので、割愛させていただきますが、2つ目のポツ、課題のところでございますが、指定研修機関の確保がこれまで低調ということで、指定研修機関確保のため、効率的かつ円滑に指定研修を行う体制の整備がさらに必要と考えているところでございます。そして、都道府県の取り組みですけれども、28年度事業計画を策定している都道府県は8府県、特定行為研修を修了した看護師の確保に係る目標を設定している都道府県は5県にとどまるというところでございまして、都道府県におきまして、一層特定行為研修を修了した看護師の確保のための計画的な取り組みを推進していただくことが必要と考えているところでございます。さらに、認知度の向上といたしましても、さらに進めることが必要と考えているところでございます。

 こうした課題を踏まえまして、今後の特定行為研修修了看護師の計画的な確保のための方策を考えているところでございます。22ページからでございます。

22ページの左側は、今まで申し上げました課題、検討の方向性でございますので、右側をごらんいただければと思います。まず、方策(案)の「➀医療関係団体等による特定行為研修の取組の推進」ということで、医療関係団体等のネットワークを活用した普及啓発や支援により、傘下の施設が効率的かつ円滑に指定研修機関として特定行為研修を実施できる体制の整備を行いたいと考えております。

 続いて「➁都道府県における計画的な取組の推進」でございますが、都道府県において、在宅医療等を支える看護師を地域で計画的に養成していくため、指定研修機関及び受講者の確保に係る計画の策定を行うとともに、当該計画に基づいて指定研修機関及び受講者に対する支援等の取り組みが推進されるよう、支援を行いたいと考えております。

 「➂特定行為研修制度の認知度の向上」でございまして、先ほどもございましたけれども、さらに認知度を高める必要があるところについて、より積極的な周知活動を行っていきたいと考えております。

 詳細な見直し(案)でございますが、23ページにつきましては、医療関係団体等による特定行為研修の取り組みの推進についてでございます。上の囲みの真ん中でございますけれども、現在、医療関係団体が傘下の施設と連携して、効率的な運営を行う指定研修機関が出てきているところでございまして、こうした状況も踏まえまして、見直し案を御提示させていただいております。

 下の囲みでございますけれども、指定研修機関の指定に係る規定の見直し案でございます。指定研修機関が行うこととされている以下の事務の一部、すなわち、特定行為研修修了証の交付、特定行為研修を修了した看護師に関する名簿の厚生労働大臣への提出、記録の保存、指定研修機関の指定申請及び変更の承認に係る申請といったような事務の一部に関しまして、当該指定研修機関が所属する医療関係団体等に委託することを認めてはどうかと考えているところでございます。

 続きまして24ページには、委託をした際の新たな研修機関のタイプを図で下のほうにお示ししておりますので、御参照ください。

 続いて25ページでございます。都道府県における計画的な取り組みの推進の案でございますが、下の図にございますけれども、都道府県におきまして、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関や実習を行う協力施設の確保等研修体制の整備を進めていただくということを考えておりまして、そのため「➀調査等による現状の把握及び課題の抽出」「➁関係団体等との連携体制の構築」「➂地域医療介護総合確保基金等の活用による支援事業等の実施」といったことを、➃にございますように「具体的な計画を医療計画に記載し、体制を整備」していただきたいと考えております。

26ページは医療計画策定に当たっての基本的な考え方のイメージを流れとしてお示ししております。

 このほか、参考資料といたしまして、医療計画の策定の指針全体像と、地域での医療介護の総合的確保のための改革の図などもおつけしております。

 以上、特定行為研修に係る現状、課題、今後の推進方策について御説明させていただきました。御審議のほどよろしくお願いいたします。

桐野部会長 ただいま、特定行為研修制度の現状とこれからの課題について事務局より御説明がございました。資料1の22ページの4、特定行為研修を修了した看護師の計画的な養成のための確保について、これから御意見をいただきたいと思いますけれども、議論に先立ちまして、まず資料について、何か御質問がございましたら、お願いいたします。

 中山先生、どうぞ。

○中山部会長代理 事前に言っておかなければいけなかったのですが、特定行為研修では、どこの指定研修機関も何人の看護師を募集しますと定員を決めていますね。どこも定員が満たされているのでしょうか。募集しても応募が少ないという状況はないのでしょうか。そこが今日の報告の中になかったので気になったのです。

○島田看護課長 幾つかの指定研修機関の状況などには折に触れお聞きしているところですけれども、全体的な状況につきましては、今後、調査させていただいて把握していきたいと考えているところでございます。

○桐野部会長 そのほか、ございますか。

 春山先生、どうぞ。

○春山委員 質問ではないのですけれども、追加で配付させていただきました資料について少し御説明させていただきたいと思います。

 今、ちょうど資料1のほうで、特定行為とか特定行為研修の周知が進まない、人数の把握ができない、修了者の実態が把握できないという課題のお話がありましたけれども、私が所属している自治医科大学の研修センターに平成2710月に入校して昨年9月に修了した修了生が今の活動の状況をまとめたものを、御参考までに配付していただくようお願いいたしました。

 受講の効果、修了後の活動の進め方、利用者の反応から修了者の役割といったところがコンパクトにまとめられていて、なかなか実態が見えないところが、部会委員の先生方、社会はもちろんですけれども、やはり医療施設のほうも修了者をどのように活用していったらいいのかというイメージが持てずに困っているところが多いようなのですけれども、そういった一つの参考として配付させていただきました。以上です。

○桐野部会長 どうもありがとうございました。

 そのほか、何か御質問ございますでしょうか。

 太田先生、どうぞ。

○太田委員 太田です。

22ページ、方策の中に「在宅医療等を支える看護師を」という非常にありがたい方策だと受け止めているのですけれども、9ページを見ますと、修了者の総数583名、ここに就業場所で病院、診療所、訪問看護ステーション、介護施設と書いてあります。ざっくり分けると、医者が一つ屋根の下にいる場所と、医者が一つ屋根の下にいない場所と分けることができます。すると、訪問看護ステーション、介護施設というのが恐らく医者が一つ屋根の下にいない場所ですが、23名なのです。修了者の4%ぐらいでしょうか。わずか4%しかいないわけです。ここで支援をしていただけるということで、もちろん非常にありがたいことですけれども、具体的にどういう支援をイメージされているのでしょうか。

桐野部会長 これは事務局からお願いできますか。

穴見看護サービス推進室室長補佐 訪問看護ステーション等の看護師さんが働きながら研修を受けられるよう、まず、身近な地域で実施を受けられる体制の整備等が必要であると考えております。また、看護師の特定行為に係る指定研修機関運営事業という、国の補助事業のほうでは、訪問看護ステーション等で特定行為研修を実施する場合の指導補助者に対する人件費等について支援を行っているところでございます。また、本日の部会で御議論いただきたいと考えておりますが、医療関係団体とのネットワークを活用した取り組みとともに、都道府県における計画的な取り組みの推進も必要であると考えているところです。都道府県におきましては、訪問看護ステーション等の看護師が受講できるよう、受講料等の費用ですとか、代替職員雇用の費用を支援しているところもございます。今後とも、こうした取り組みを通じて、訪問看護ステーション等の看護師が特定行為研修を受講できるよう、体制の整備を行ってまいりたいと考えているところです。

桐野部会長 この後、方策➀➁➂について順番に御意見を出していただいて検討する予定なのですけれども、そこでも議論していただいていい内容かと思いますが、今もし御発言があれば、どうぞ。

太田委員 結構です。よくわかりました。具体的に財政的な支援ということですね。了解しました。

桐野部会長 釜萢先生、どうぞ。

釜萢委員 8ページに今、修了者がこのような行為について研修ができたというところがわかったわけですが、この特定行為研修の仕組みは、研修が修了した場合には指定研修機関から厚労省に報告をする。それはこういう人が修了しましたということと、所属はどこどこの施設に勤務していますというところまではたしか出ていないのですね。9ページの就業場所がどこというのはどこから出てきたのでしたか。

島田看護課長 御指摘のとおり、研修修了時には就業場所の報告はございませんので、9ページにございます数につきましては、別途私どものほうから、指定研修機関を経由して、どこでお仕事をされているかを把握させていただいた数でございます。

釜萢委員 全員分調べられたということですか。

島田看護課長 全員分をお調べいただいたのですけれども、指定研修機関でも把握しきれなかった方というのは不明という形で計上されております。

桐野部会長 把握率が極めて高いと考えていいですね。

 そのほか、ございますでしょうか。

 神野先生、どうぞ。

○神野委員 13ページの平成29年度行政事業レビューですけれども、民主党時代でいったら例の派手な事業仕分けですね。ここでこのようにレビューされた、特に進捗が低調であるということを言われているというのは、我々この委員会も責任があるかなと思いますので、桐野部会長がおっしゃった次の➀~➂の話をしなければいけません。これ以外も含めて、これに対抗できる対策をきちんと上げなければいけないですねという確認でございます。決意でございます。

○桐野部会長 有賀先生、どうぞ。

有賀委員 今の神野先生がお話になったので、この資料の5ページ、東京のところに一般社団法人日本慢性期医療協会とあるではないですか。これは多分、ここを修了した人たちというか、ここで勉強している人たちは、みんな基本的には病院の方たちだったような気がするのです。だけれども、今言った、たった4%の人たちと似たり寄ったりの局面にある人たちも結構いるのではないかと思うので、そういう意味ではたった4%となっていますが、かなりグレーなところで沢山いるかも知れません。そこら辺は調べ方をもうちょっと工夫すると活路が出てくるのではないか。4%を40にしようという話ではなくて、多分10%を50%ぐらいのような話だと届くのではないか。神野先生、そうですね。

○桐野部会長 今のに何か事務局からありますか。

島田看護課長 レビューの評価は重いというのは私どもも同じ思いでございまして、後ほど推進策について御審議をいただければと思っております。

 修了者の計上の仕方については、確かに今回病院というくくりで聞いてしまっておりますので、もう少し細やかに聞く必要もあるかと思っておりますが、今後、調査をやっていきたいと思っておりますので、そちらのほうで改めて御意見も加味しながら検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○桐野部会長 では、資料についての質問がなければ、先ほどの22ページの方策案➀➁➂について御審議をいただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。順番にお願いいたします。

 まず、課題の1つ目、指定研修機関及び受講者の確保に向けた方策として「➀医療関係団体等による特定行為研修の取組の推進」について、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

 神野先生、どうぞ。

神野委員 ここで言う医療関係団体というのは、例えば日看協とか、私どもの全日病とか、日本病院協会といったような医療関係団体のほかに、JCHOさんとか、病院グループというか、経営母体を一つにした病院グループもここで言う医療関係団体としてきっと挙げているのだなという印象があります。実際に前回のここで承認したJCHOさんなども、恐らく医療関係団体というグループだと思います。

 ただ、そういった経営を一つにしていらっしゃる医療関係団体と、そうではない医療関係団体は、ちょっと行動様式が違うのかなということで、ここはきちんと分けて考えたほうがいいと思います。

 先ほどの新しいタイプの傘下施設独立型を認めるとするならば、ここは経営も一にするのと、そうではない、本当に集合体という医療関係団体とで、少し中身についてやり方の精査をする必要があるのかなと思っております。

 私ども、指導者講習を受託したり、eラーニングを作らせていただいておりますけれども、正直な話、先ほどの話ではないけれども、低調だということに焦りを感じております。今、恐らく傘下施設独立型ができると、また私たちのbehaviorが変わってくるのかなという気がいたしますし、eラーニングを一緒につくっているところと一緒に、今度は区分別科目もeラーニングを一部導入することによって、傘下病院を増やせるのかなと考えております。以上です。

○桐野部会長 ありがとうございました。

 今、神野先生が言われた医療関係団体等というもの、その言葉で何を意味しているのかというのは、現段階でそれをぎりぎりとやるのは難しいかもしれないけれども、どういうことを念頭に置かれているかというのは事務局からお願いできますか。

○島田看護課長 今、神野委員から御発言がありましたような、病院団体様としても考えておりますし、先ほどお話があったJCHOさんとか、そういったところがあろうかと思っているのですけれども、先ほど御指摘がありましたように、経営を一つにしていると言いますか、経営的につながりが深いところとそうでないところとが確かにあるかと思いますので、そういった点で何か規定上留意すべき点等がありましたら、細かな規定はこれから考えることになるかと思いますので、検討していきたいと考えております。

○桐野部会長 高木先生、どうぞ。

○高木委員 済生会中央病院の高木です。

 私は済生会に属しているので、医療関係グループというか、病院グループなのですけれども、法人としては経営的に確かに一つなのですけれども、基本的に独立採算の病院が79集まっているようなところなので、ちょっと特殊かもしれませんが、よく考えてみると、済生会というのは病院だけではなくて、診療所とか訪問看護ステーションとか、介護施設が多いのです。ですから、そういう意味で、こういう特定行為の看護師さんは需要が多いのではないかと思うので、一つ一つの施設がこの研修施設になるよりも、うちの病院は実は今、研修施設に手挙げしようと思っているのですけれども、それよりも確かに済生会全体として取り組めるような形のほうが効率的ではないかと思うので、ここに提案されているような仕組みができると、より関わりができやすいかなと思っています。

 ただ、残念ながら、今のところ、まだ済生会の中で特定行為についての議論が余り進んでいないということと、認知度が必ずしも高くない。最近いろいろなことで取り上げられてはきていると思うのですけれども、もうちょっとプッシュしなければいけないかなと思いますけれども、済生会を初め、日赤さんもそうだと思うし、あるいは厚生連さんなども非常に地域に属している団体ですから、そういう公的な病院団体に積極的に働きかけていかれたらどうかなと思います。

桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 東先生、どうぞ。

○東委員 全国老人保健施設協会の東でございます。

 先ほど、委員から資料1の13ページにある平成29年度行政事業レビュー、いわゆる以前の『事業仕分け』的なものを重く受け止める必要があるという発言もありましたが、私もそれは同感です。

 また、太田委員から、在宅医療の方で、もっとお役に立てるような看護師が増えてくれれば良いというお話もありました。それも同感でございます。

 有賀委員からは、「とはいえ、特定行為研修を修了した看護師が在宅医療の現場である訪問看護ステーションや介護施設で働いている割合は、現状全体の約4%であるので、それを10倍の40%に増やすということではないね」という御発言もありました。

 特定行為研修を修了した看護師の就業場所を見ますと、介護施設というのが非常に少ないです。恐らくこの中に老健施設が入っています。老健施設も医療法で規定されている医療提供機関であり、一つ屋根の下に医者がいないかというと、実は老健施設にはいる。ただ常時いるかというと、常時はいません。週休2日ですし、夜はいないというのが実態でございます。

 特養の場合は、嘱託医がいます。週に2~3回の診察で、老健施設よりももっと常時医師がいるわけではありません。そういうところで働いている看護師は、老健施設もそうですが、医師の直接の指示がなくても、事前の包括的な指示で医療行為が行えるというのは大変重要なのです。医療機関よりもむしろ必要度が高いのではないかと思います。医療機関には医師がたくさんいますから、そういう中でも特定行為研修を修了した看護師はもちろん必要なのでしょう。しかし、太田委員と同じ意見で、むしろ在宅とか介護施設等の方がこのような看護師を多く必要としているのではないでしょうか。

 そういう意味では、この部会の中で、在宅医療等における特定行為研修を修了した看護師をどう増やすのかということが余りなくて、医療機関の方の研修をもっと増やせばいいという議論になっています。22ページの医療関係団体についても、早い話、医療関係団体のことしか俎上にのぼらないわけです。日本慢性期医療協会は介護施設団体で唯一出ていますが、これも医療関係団体と言えるでしょう。私ども全老健は医療関係団体なのか、介護施設団体なのかと言われますと、老健施設が創設してから30年ずっと、都合のいいときには医療と言われ、都合の悪いときには介護と言われてきた団体でございます。そういうところの看護師さんをどう増やしていくかということも、ぜひこの部会で議論をしていただきたいと思います。医療機関だけでこれをやっていっても、なかなか増えないと思いますし、恐らく厚労省もそういうところを望んでいないのではないかと思います。在宅医療や介護施設のフィールドでの看護師をもっと増やしたいとお望みであれば、どうやればそういうところの看護師が増えるのかということをぜひこの場で議論していただきたいと思います。以上です。

○桐野部会長 ありがとうございます。どうぞ、お願いします。

平井委員 3月まで大学病院で働いて、この研修のことについて一部議論になったのですけれども、なかなか看護部のほうで積極的に進めようというのが余りなかったのですが、私がやめる直前に検討を始められたのですが、こういう研修というと、やはり教育行為ですので、大学病院としてもっと積極的に取り組むべきかどうかということは、行政のほうはそのあたりはどのようにお考えなのかというのをちょっとお尋ねして、もし積極的に進めたいとおっしゃるのであれば、大学のほうにまた言って、積極的にやるようにお伝えしたいと思います。というのは、教育する上で、大学は医者もたくさんいますし、教育には慣れていますので、場所としては非常にいいのではないかと思う次第です。

桐野部会長 どうぞ。

島田看護課長 ありがとうございます。

 さまざまな場で研修を修了した看護師は活躍することが想定されていまして、先ほど東委員からも御発言がありました、そういった施設系だったり、在宅系だったりというところもありますが、一方で、急性期の場ということも考え得るところかと思いますので、そういった場が活動の場として考え得ると思いますし、今おっしゃられたように教育の場としても非常に環境としては整っておられるかと思いますので、指定研修機関であったり、あるいは就職先ということもあろうかと思いますけれども、そういったところでもぜひお願いしたいと考えているところです。

桐野部会長 そのほか、いかがですか。

 特定行為研修の進捗が多少遅れているということで、そのための一つの方策として医療関係団体等による特定行為研修の取り組みを一つの案としてお出しになっているのですが、もちろんその前提として議論しておいたほうがいいことは、なぜ、もうちょっと勢いよく教育する場所が増えていかないのか。参入がもっとどんどん進まないのかということについて、何か改善すべきことが直ちにではなくても、将来含めて改善すべきことがあるのではないかという議論も、この中でしておいたほうがいいかなと思うのですけれども、何か御意見があれば。

 神野先生、どうぞ。

○神野委員 今、お話になったように、なかなか増えないし、今、太田委員や東委員がおっしゃったように、いろいろな施設系あるいは在宅系、普通に考えると必要なのだけれども、なかなか出てこないというのが、何らかの難しさがあるということなのでしょう。

 看護協会の認定看護師さんとか、専門看護師さんの違うところは、これは働きながらで、できれば身近な施設で実習してできるようにしましょうという建て付けだと思います。それがまだ今の指定研修機関の数だったら、身近なところでというわけにはなかなかいっていないという、非常にジレンマがあるということです。その中で、まず、1つは、先ほどの春山委員のプリントのように、もう一回、なっている人、実際に働いていらっしゃる方とかの生きざまというか、やり方をもっともっと広報いただいて、そんなにいいなら私たちもやりたいと思っていただくというのが大きな話。

 ちょっと先走って申し訳ないですけれども、医政局と保険局で違いますけれども、今まで私も余り診療報酬というのは賛成しなかった。正直な話、診療報酬はまだ早いという気持ちがあったのですけれども、ここで急ぐならば何らかの形で、今、例えば認定看護師とか、専門看護師、あるいは研修を終えた看護師で認められている項目を洗い出して、その中で特定行為と関係しているものを一項目でもつけると、これはインセンティブとして一気に働くのかなと。そろそろこれだけ仕分けで言われるとするならば、そういった手も使う時期なのかなと、ちょうど来年が診療報酬改定ですので、財源がないのはわかっていますけれども、ここで一項目考えていただくというのが一つの手なのかなと思います。

桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 本日の議論では、方策の一つとして、医療関係団体等による特定行為研修の取り組みができるように、やりやすくするように、省令の改正を含めた取り組みを医政局として推進することがどうかということだろうと思うのですけれども、その前提には、今、神野先生がおっしゃったように、いろいろな現場の工夫というのも多分相当あるのだろうと思います。

 もしこの件について何か追加があれば。

 太田先生、どうぞ。

○太田委員 議長から何か提案ということでしたので、半ば無理かもしれませんがということでお話ししたいのですけれども、私は特定行為の議論には最初のころから少し加わらせていただいておりまして、一貫してインテンシブケアの場面とロングタームケアの場面では、ナースに委ねられたミッションが違うということを主張していました。

 私は一つ屋根の下に医者がいるかいないかというのはすごく重要だということを言っているわけですけれども、障害者施設でも同じことだと思っています。

 いわゆるロングタームケアの場面での特定行為の研修のハードルをぜひ低くしてもらいたいのです。そんなことは無理だと言われそうですけれども、しかし、その根拠というのは、例えば訪問看護ステーションというのはわずか2.5人で認可されているわけです。今、大規模化という方向に向かっていますけれども、現実は本当に数名が頑張っている組織なのです。そこの中で研修に出したい気持ちは山々でも、真面目にやればやるほど忙しくなるので、現実的に研修には相当な時間的負担がかかってくるわけです。ロングタームケアに求められる特定行為というのは、知識や技術だけではなくて、判断が非常に重視されて、技術といっても動脈血を抜くとか、そんな技術は求めていないわけです。せめて脱水の補正ですから、何とかその辺を整理していただけないかというのが私の意見です。

桐野部会長 東先生、どうぞ。

○東委員 私も太田委員と全く同じ意見でございます。先ほどはもう少し介護施設の方の看護師も受け入れるようにとお願いを致しました。しかし、例えば議題に上がっている指定研修機関に、全老健が手を挙げたとして、全老健の会員である老健施設にこの話をしたとしても、一気に希望者が増えるかというと、私は増えないと思っています。それは、今の特定行為研修のスキームでは、とてもではないが老健施設の看護師とか、特養の看護師がどんどん手を挙げるということは考えられません。介護施設のフィールドで求められているのは、動脈血採血とか、人工呼吸器とか、中心静脈栄養管理とか、そういうものではないのです。ロングタームの方を見ている看護師に必要なものはある程度限られているのです。そこを急性期のものと全く一緒のスキームで研修しようというのが問題であると思っています。

 そういう意味では、この特定行為研修に、仮に「準特定行為研修」みたいなものもつくって、在宅医療とロングタームのフィールドの看護師が参入しやすいようなものにするということも必要ではないでしょうか。今の研修時間とか、研修施設の少なさとか、いろいろなことを考えると、今のスキームで介護施設の看護師がぎりぎりの人数の中で受けに行くのはとても難しい。みんな受けたいと思っていても、やはりスキームが難しいというのは私も同感です。ぜひそういう点を検討していただければと思います。

桐野部会長 ありがとうございました。

春山先生、どうぞ。

○春山委員 今、御意見が出ていることに関しまして、実際、研修自体が区分毎に独立していますので、多分、今の御議論の問題は、一つは共通科目の時間、もう一つが、私が所属している大学は自分の所属施設のニーズに合わせて区分別科目を選択できるのですけれども、多くの指定研修機関がいくつかの区分の研修がセットになっているので、そうしたときに、いわゆるロングタームケアのニーズと合わなくても、セットになっている区分の研修を全部受けなければならない。そうすると、負担というか、余分なものもやらなくてはいけないので、実際負担になるということがあり、やはりそこら辺がどうにかならないのかというのが一つあるかなと思います。

 共通科目につきまして、私も本当に当初から多過ぎると思っておりましたが、実際に私どもの指定研修機関は、病院も訪問看護ステーションも施設の方もいらっしゃいますけれども、やればやっただけの力はついていると感じています。が、もしかしたらもうちょっと働く場所に応じてスリム化できるのかなという感じはしています。

○桐野部会長 ありがとうございます。

 今、いろいろと伺った御意見については、今後、この特定行為研修をどのように変えていくかというか、バージョンアップしていくのかという問題だろうと思うのです。多分それは今後、見直しということで議論していただくということだと思いますし、今、伺った御意見についてはぜひ事務局でもまとめていただいて、今後の参考にしていただければと思うのですが、今日につきましては、医療関係団体等による特定行為研修の取り組みを推進したいということで、省令の改正が絡んでいるということでございますので、ここの委員の先生方から、部会としてこの方向でいいだろうということであれば、そういう方向でお進めいただくということでございますけれども、そろそろ時間に制限があるので、一つ一つやっていかないといけないので、申し訳ありません。この件については、こういう方向でよろしいと考えていいですか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桐野部会長 「医療関係団体等による特定行為研修の取組の推進」については、指定研修機関が当該機関の所属する団体等に、研修の管理・運営に係る事務の一部を委託できるよう、規定の見直しを行うため、事務局で省令改正に向けた必要な対応を進めていたということで、御了解いただいたということでございます。

 それでは、事務局におきましては、御意見を踏まえた見直し(案)を作成していただいて、この点については部会長に一任していただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桐野部会長 それでは、「➁都道府県における計画的な取組の推進」ということですけれども、これについてはいかがでしょうか。何か御意見等ございましたら。ちなみに今のテーマは22ページの右側にございます方策(案)の「➁都道府県における計画的な取組の推進」ということで、都道府県において在宅医療等を支える看護師を地域で計画的に養成していくため、指定研修機関及び受講者の確保に係る計画の策定を行うとともに、当該計画に基づき指定研修機関及び受講者に対する支援等の取り組みが推進されるよう、支援を行う。これはごくなるほどと思いますけれども、何かこれについて補足、あるいはこのようにしたらいいだろうというような御意見がございましたら、ぜひお願いしたいと思います。

 中山先生、どうぞ。

○中山部会長代理 補足ではないのですが、秋山委員にお聞きしたいです。私もこの方策の中に、受講料を無料にするとか、代替職員を補助するような形で財政的支援をするということも入っているとお聞きして、それはすごくいいなと思ったのですが、訪問看護ステーションから言われたのです。代替職員の確保が大変難しいと。金を出すと言っても、人の確保が難しいのはどうしてくれると言われたのですが、現実問題として、財政的に支援してもらっても、実際に来てくれる人の確保が難しいというのはあるのでしょうか。

桐野部会長 お願いいたします。

○秋山(正)委員 秋山です。東京都の施策で、他の研修に出したときの代替の訪問看護要員を確保するというのは、一応申し出たらできるとは言われるのですけれども、特定行為研修の申し出は認められていません。ただ、他の研修も実際は来られる方々の数がある程度限られていて、希望したとおりにはいかないというのが現状です。ですので、なかなか難しいとは思いますけれども、17ページを見ていますと、具体的に受講料の費用減免とか、研修体制の整備、普及啓発等ですけれども、滋賀県や特に大分県など、積極的に特定行為研修を受ける人をふやすために頑張っておられる都道府県があるということです。その成功事例というか先行事例をきちんと調べて、どういう形でされているかというのを具体的に示すことで、ほかの都道府県もやりやすいということにつながるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○桐野部会長 どうぞ。

秋山(智)委員 同じく秋山です。

 協会の立場としては、在宅推進ということで、特定行為研修を非常に推進していく方向でぜひ頑張っていただきたいと思っています。私はこの3月まで京都大学医学部附属病院で看護部長をしておりました。もともと臨床にいたときは、大学病院を退職して、実は先ほど東先生がおっしゃったように、老健で夜勤専従として勤めておりましたので、急性期から在宅に向かっていけばいくほど能力の高いといいますか、高いフィジカルアセスメントの能力が求められるということはよく存じ上げておりました。なおのこと、そういうところだからこそ、急性期でしっかりと学んでからいくべきだということを当時思っておりましたし、私自身もいずれ高齢者医療に携わるために再度急性期のところを学び直そうということで、救命やICUといったところに行った経験がございます。

 私は昨年まで6年間、京都大学医学部附属病院で看護部長をしておりまして、その中で、大学病院の中でも、中堅のナースたちの中には、在宅のところに次のやりがいを求めていく人たちもたくさんいました。そのナースたちが実際退職をして、訪問看護ステーションに行って、だけれども、思い描いていたものと違って、また大学病院に帰ってくるということもあったり、あるいは逆に、訪問看護ステーションのナースたちが24時間の訪問看護をやるために急性期でもう一度学びたいと来られるような方たちもいたのです。

 そういう経験から、地域の中でお互い、急性期から在宅に至る医療機能の違いの中で互いに在籍出向し合えるような、相互に人事交流し合えるような仕組みをつくりたいということで、京都府に提案いたしまして、京都府から基金をいただいて、実際そういうことをやってまいりました。そのときも、訪問看護ステーションのほうは、研修に出すと在宅が回らなくなるのでということで、急性期のほうから逆に3カ月前倒しで訪問看護ステーションのほうにスタッフを送って、その中で一人前として働けるようになって、その後、訪問看護ステーションのほうから大学病院に来ていただくということを進めておりました。そのためには、どうしてもそういった財政的な援助が必要になります。それを上手に使いながら、地域医療計画の中でやられるというのは非常にいいアイデアだと思っております。以上です。

○桐野部会長 平井先生。

平井委員 私どもの兵庫県は、御存じのように非常に大きくて、過密と過疎が共存するようなところで、医師不足の対応に県が非常に苦慮しているところですけれども、そうすると、訪問看護の方々の存在というのは非常に大きいのですが、実際、訪問看護ステーションの業務内容と大学病院の間で、意思疎通が全然できていないことがあって、大学をやめて訪問看護ステーションをやっていた方と、でもなかなか通じていないみたいなところがあるのです。

 なので、こういう研修などを神戸大学はまだやっていないのですけれども、そういうことをやることによって、積極的に地域の訪問看護師さんと連携をとっていて、お互いに意思の疎通、京都もそのようにされていてすばらしいと思うのですけれども、兵庫県はそういう計画が立っていないというのは、非常に問題があると思いますので、ここで県にこうするようにと厚労省のほうから言っていただくと、県も動いて、積極的にやっていくようなことになると思いますので、ぜひ進めていただければと思います。

○桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 秋山先生、お願いいたします。

秋山(智)委員 先ほどの補足ですけれども、京都もまだ1校しか特定行為研修を受けるところがなくて、京都の北部のほうのスタッフで、特定行為研修を受けさせたい施設で、本人も受けたいというニーズがあったのですけれども、なかなか距離が遠くて立ち行かないということがございました。そういう方も、可能であれば京都大学のほうから出向させて、そこの施設の中で働かせることで、代替職員を確保しつつ、スタッフが京都大学で働きながらすぐそばの病院で特定行為研修を受けるといったことも、こちらから提案しておりました。まだ実現はしておりませんけれども、そういったことも可能性としては考えられるのではないかと思います。

桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 河口委員、どうぞ。

○河口委員 河口でございます。私は北海道北見市というところにいるわけで、札幌に比べますと、本当に北海道の東のほうは医師不足、看護師不足、全てが不足して、存在そのものが危ういというところばかりなのです。だから、本当に在宅のところ等で研修等がたくさんできている人たちを配置してほしいのですけれども、とにかく今、目の前、生きていくのがというか、存在することそのものが大変という状況で、とてもではないけれども、そういう余裕がないというのが現実です。北海道は広いですから、なかなかそこまで行けなくて、常に遅れをとっているという状況でおります。

 その中で、私は赤十字の看護大学ですけれども、赤十字が広域でいろいろやっておりまして、北海道の赤十字もなかなか大変ですが、ほかに比べれば少なくとも連携等はとれるというところで、北海道からのサポートがあったら、少しでもそういうところに供給できるのではないか。ただ、かなりのサポートがないと、とにかく医師1人、2人が抜けたらその病院は存続できないような状況に陥っておりますので、看護師も同じで、病棟閉鎖がきてしまうというところで、かなり手厚くしていただかないと。

 そういう状況になったら、大学も病院も、何とか、正確に言うと生き残りのために必死になって一応連携とか何かを考えるという状況でございます。

桐野部会長 どうもありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。

 春山委員、どうぞ。

○春山委員 自治医大の研修センターでは、これまでの受講者の中に6~7人ステーションの方がいらっしゃるのですけれども、そちらの施設の管理者の方々は、研修に出すことは年に1人ぐらいであれば調整可能だと。むしろお金のことのほうがよく言われることが多いです。やはり2~3人でやられて、つまり、大規模ではないところは確かに厳しいのかなと思うのですけれども、そこはこの研修だけの話ではなく、ステーションの現任教育全てに関わる問題なのかなと思います。

 病院併設のステーションというのもありますけれども、その場合には、病院所属のときに研修を受けて、その後、訪問看護ステーションに異動という形だと、割とスムーズにいくのではないかと思います。

桐野部会長 いかがでしょうか。

 事務局のお考えでは、都道府県の支援を促進するために、このようなことを行うということを医療計画に明記していただくということを推進したいということでございますけれども、今日のこれからの御議論については、そういう方向でよいかということでありますけれども、何か具体的にありますか。

 釜萢先生。

○釜萢委員 今のお話で、医療計画にこれをしっかり書いて、例えばいつまでに何人要請するというようなことを求めることになると、それはそれで推進に役立つ面があるとは思うのですけれども、根本は、先ほど部会長も言われましたけれども、この特定行為研修を修了した看護師が本当に役に立って、ぜひいてほしい、何とか増えてほしいという思いが幅広く共有されないと、なかなかうまくいかないと思います。それをどうやったらよいのか、なかなかすぐによいアイデアが残念ながら浮かびません。先ほど神野先生は、診療報酬上の手当ということも言われましたが、この点については、まず現在も診療報酬上、例えば認定看護師さんなどの役割で診療報酬が上乗せされるという仕組みはかなりたくさんありますので、そのあたりをしっかり検証して、現状どうなっているのかというあたりを、中医協を中心にしっかり現状を分析した上で、慎重に考えるべきだろうと私は思っております。

 やはり今日御出席の春山先生のところで、研修修了者がどのように活躍しているかというのが、昨年度も、次年度も調査をやっていただくことになっているわけですけれども、何とか好事例を強くアピールして、研修修了した看護師さんはこのように非常に役に立っている、あるいはなくてはならないということを地道にアピールしていくしかないのかなと思います。

 医療計画への記載というのも、選択肢の一つではありますけれども、なかなかそれを載せたからといってぱっと増えるものでもないのだろうと思っております。反対ではありませんけれども、そういう現状認識でございます。以上です。

○桐野部会長 神野先生、どうぞ。

神野委員 医療計画に書かれるということは、目標ができて、例の基金を使えるということになるということで、恐らく医療計画に書いてあるのだという話になっているのだと思うのです。では、実際に今度は医療計画に書いてあると、それをドライブするのは誰という話になると、都道府県で恐らく地域医療協議会になるのか。そうなると、医師の話で目いっぱいの地域医療協議会に、今度看護もやってという話が、果たして都道府県にできるかどうかという話になると思います。現実問題として、地域医療協議会などを利用して、先ほどの代替看護師の話とかを動かすのでしょうかというのが、事務局に質問でございます。

○桐野部会長 事務局から、よろしいですか。

○島田看護課長 御指摘のように、医療計画に書いていただくということが、計画的に確保を進めていくためには、基金も適宜活用していただきながらということになろうかと思いますので、その上では、神野委員の御指摘のように、地域医療協議会で御検討いただくという流れになるのではないかと想定しております。

○桐野部会長 高木先生、どうぞ。

高木委員 私も医療計画に書き込むということについては全く異論ないのですけれども、先ほどからの議論を聞いていても、特定行為の看護師さんの役割は、病院の中はもちろんですけれども、地域の中で訪問看護、在宅であるとか、施設の中の看護であるとか、そういう地域に非常に密着したところの役割はすごく大きいと思うのです。看護師さんにできるだけこの研修を修了していただくようにするためには、例えば、都とか県とか、全体ではなくて、二次医療圏単位といいますか、地域包括ケアの対象になるところまでというか、そういうところにおろせるような話をしていかないと、なかなか具体的な話につながらないのかなと思います。

 そのときに、先ほどから話が出ている医療保険だけではなくて、介護保険も含めた診療報酬の中で少し方向性を示していただけると、両方からのドライブが係って、話が進むのかなという気もいたします。

○桐野部会長 結局そこまでやらないとなかなか難しいという面もあると思いますけれども、まずは都道府県において受講を促進するということだろうと思うのですが、先ほど釜萢先生がおっしゃったような、あり方をもうちょっと考えるということは、ぜひ近い将来にやっていただきたいと思います。

 局長、お願いします。

○神田医政局長 私も特定行為についての制度の立ち上げの検討の頃から議論は聞かせていただいていたのですけれども、先ほど太田先生がおっしゃったように、そもそも在宅とかで非常に重要だと言われていながら、ほとんど受講ができていないというのは非常に制度立案した立場にある者としてじくじたる思いがあります。

 今日御提案しているのは、差し当たって医療計画に入れるかどうか、また、できるだけ団体で指定の取り組みをしていただくことによって、できるだけ身近なところで実習ができる環境にできないかということを、今日は御提案させていただいているわけでありますけれども、より巨視的に見ると、医師の働き方改革というのも非常に目前に迫っていて、2年間では具体的な上限規制の時間を決めて、5年後には施行されるとなりますので、目先、今忙しいからと言っていても、罰則つきの上限規制というのがはまってくることになりますので、どうしたら医師が本来注力すべきことに注力できるような環境をつくっていけるのか。看護師さんももっと能力を発揮できるようにしていけるかという、より本質的なことを議論する必要があるのだろうと思っていますので、今日いただいた本質的な意見については、より制度についての御議論としてしっかりと受けとめて、さらに議論していく必要があるのではないか。

 立ち上げのときにかなりしっかりと検証すべきだという意見が非常に強かったように思いますけれども、お聞きしていると、先ほど釜萢先生がおっしゃったように、役に立っているのかどうなのか、それがよく見えないという認識の問題もありますし、現実的に代替が確保できない、人の確保ができないという話もありますし、お金がないのだという話と、研修期間が長過ぎて、そんなに長く現場を離れて研修させたり、eラーニングの負担をかけられないということと、いろいろな御意見があると思います。ただ、より多くの方にこの研修を受けていただけるようにするということは、大きな目で見ると非常に大事なことだと思いますので、今日いただいたような本質的な議論をさらに深めていただくように、我々としてもそのように考えていきたいと思います。

○桐野部会長 太田先生、どうぞ。

太田委員 この文言なのですが、「在宅医療等を支える看護師」という表現は非常に工夫されているのだなと実は思っているのです。ストレートに訪問看護師の養成と書いていないわけですから。これには意味があるのでしょうけれども、「在宅医療等」の「等」が何かということも恐らく具体的にイメージされているのだと思うのです。しかし、ここで一番大事なことは、地域で慢性期医療を支えるということで、在宅医療が病院医療と何が違うかというと、暮らしを支える部分が随分違って、医療の目的も違えば、医療が介入した妥当性の物差しも違うわけです。ですから、この文言を暮らしの場での医療を支える看護師と置き換えることもできるのですけれども、慢性期医療を地域で支える看護師こそが非常に重要だということを明確にわかるようにどこかに盛り込んでいただきたいと思います。

桐野部会長 今の件はいかがですか。

島田看護課長 制度創設当時から御議論いただいている先生方には今さらかもわかりませんが、特定行為研修修了者は本当にさまざまな場で御活躍いただくことが想定されて創設されておりますので、在宅医療等の中には急性期から在宅までさまざまな場でという意図で「等」が入っているところでございます。

 一方で、表現一つとっても、制度の理解がさまざまになってくるところもあろうかと思いますので、これから、先ほど局長が申し上げましたけれども、本日の後段で今後の進め方などについても御審議いただくことになっておりますけれども、その際に制度について理解していただく際の発信の仕方なども含めて、御意見を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○桐野部会長 この制度が始まるときは、気管内挿管、抜管をどうするかとか、そういう議論にすごく時間を使って、したがって、急性期医療の特定行為の教育をどうするかということに随分時間を使ったということがありまして、それはそれで非常に重要だと思うのですけれども、確かに今日の委員の先生方の御意見は、慢性期医療を今後ぜひ強化できるようにしてほしいと。それは恐らく釜萢先生が御指摘になったけれども、現場で本当に必要とされているというのがデータとして出るような仕組みを、一方で考えないといけないのかなと伺っていて思いました。

 これは大変申し訳ないのですが、時間の制限もございますので、「➁都道府県における計画的な取組の推進」については、都道府県の医療計画において、地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関及び実習を行う協力施設の確保等の研修体制の整備に向けた計画を明記していただきたいと、都道府県における特定行為研修を修了した看護師の確保に向けた取り組みを推進していくことが必要であるということを部会としてお認めいただけますでしょうか。よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

桐野部会長 それでは、これに対して厚生労働省において必要な対応が進められるように、ぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、御意見を踏まえた見直し(案)を作成してもらいまして、その対応につきましては、また同様ですけれども、部会長に一任ということでよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○桐野部会長 ありがとうございます。

 駆け足になりますけれども、「➂特定行為研修制度の認知度の向上」について、これも重要だと思いますが、御意見ございますでしょうか。

 中山先生、どうぞ。

○中山部会長代理 今日春山委員から出していただいているようなモデルを作り、訪問看護ステーションに、こんな形のことをすれば財政的なことは少し支援されるとか、こうなれば時間的なことを工夫することができるとか、もう少し具体的なレベルでイメージができるようなパンフレットを作り、それを認知度が低い訪問看護ステーションとか、あるいは施設に送付するという、うまくいったモデルを取り入れた形のパンフレットを配布するほうがいいかなと思っています。

桐野部会長 いかがでしょうか。認知度の向上というのは相対的な差異で、施設がどんどん増えていけば認知されていくのですけれども、認知が十分広まらなければ施設も増えないということだろうと思います。

 何か今まで余り行われていないようなことで、こういうこともという御意見がございましたら、お願いします。

 事務局として、認知度向上に向けた取り組みを今後検討していただくということであれば、具体的に何かお考えでしょうか。

○穴見看護サービス推進室室長補佐 特定行為研修制度が施行されまして約1年半が経過したところでございまして、先ほど先生方のほうからも御指摘がございましたし、本日の春山委員からの資料の御提示もいただいたところですけれども、ようやく今、研修を修了した方々の医療現場での活躍が広がってきているところでございます。こうした活動をさまざまな形で医療現場の方々、在宅医療の現場の方々に御理解いただくように、好事例の収集及び周知といったところを進めてまいりたいと考えております。

桐野部会長 太田委員、どうぞ。

太田委員 度々申し訳ないのですが、私は在宅医療を26年やってまいりました。そもそも在宅医療をやる医者など絶滅危惧種の時代からでして、やっと最近在宅医療が市民権を得てきたのはメディアの影響が非常に大きいと思っています。

 認知度を上げるというのは、専門職に対して認知度を上げるという御議論もよくわかるのですけれども、市民にも知ってほしいのです。というのは、私どもで特定研修を終えた訪問看護師がいるのですけれども、その人は医師の指示を仰がずに点滴ができるけれども、ほかの看護師は医者の指示を仰がないと点滴ができないということが、市民サイドには全く伝わっていないのです。ですから、こういう看護師を今、国が養成しているのだということをとにかく積極的にメディアに、新聞でもテレビでもいいのですけれども、取り上げてもらうよう、専門職ではなくて市民サイドから知ってもらう働きかけをお願いしたいと思います。

桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 認知度を上げるというのは、ここにおいでの委員の先生方、皆さんは当然だろうと思われると思いますけれども、これは医療関係者だけではなくて、市民というか国民全体にこういうことを知っていただくことが重要ではないかということだろうと思います。

どうぞ。

○秋山(正)委員 秋山正子です。先ほど東委員が施設のということをおっしゃいましたけれども、以前の試行事業のときに大分県立看護科学大学で養成された方が、大分県の僻地の老健の福祉施設長をされていまして、その現場を視察に行きました。早い臨床推論、判断をされ、肺炎は予防しつつ、発症初期の段階で手当ができるということで、入院の回数を減らしている。そういうことは今後とても重要だと思うのです。これはインセンティブがついてもいいぐらいのことではないのかというぐらいに感じたのです。

 もちろん訪問看護ステーションの中に特定行為研修を受けた者が増えるのも、私は自分が訪問看護の立場だからですけれども、大賛成です。それ以上に慢性期の、特に高齢者の施設の中できちんとした研修を受けた人が増えていくことは、高齢者のQOLにとってはとても重要だと、そのときに、実際に現場を見に行かせていただいて感じています。そういう事例の中身をきちんと提示し、そのことで、老健は施設長がドクターなわけですから、その先生たちもそういう人がいるととても助かるということを言っていただくことがすごく大事ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。なおかつ、本当に神野先生が言われるように、点数がついたらと思いますけれども、いかがでしょうか。

桐野部会長 それでは、平井委員が先に手が挙がっていたので。東先生でもいいと思うのですが。

平井委員 東先生のほうがいいかもわからないですけれども、同じような例が薬剤師のほうで、かかりつけ薬剤師とか、健康サポート薬局の制度が打ち出されたら、途端に研修を受ける薬剤師が爆発的に増えたわけです。先ほど、神野先生がおっしゃっていましたけれども、診療報酬というものにならなくても、そういう制度があるとなると、皆さん、受ける方は非常に増えると思いますので、増えれば施設も受け入れざるを得ないので、増えざるを得ないということになるのではないかと思います。

○桐野部会長 東先生、どうぞ。

東委員 ありがとうございます。

 秋山委員から本当にありがたいお言葉をいただきました。実際の老健施設では、おっしゃるように看護師のスキルによって、肺炎のみならず、いろいろな疾患の予防や早期介入ができるレベルがあるのです。実は老健施設の場合は、管理医師もいわゆる医師の第二の人生とかで老健施設の施設長をされる方も多いですので、例えば大学の教授が退官して老健施設の管理医師をする方も本当にいらっしゃるのです。あと耳鼻科とか産婦人科の医師で老健施設の管理医師をやられる方もいらっしゃいます。そういう意味では、管理医師の資質の担保というのも大事で、既に老健施設の管理医師の研修は日本老年医学会にやっていただいております。そのような中で、看護師の役割がすごく大きく、医師がいない場合に、もちろん指示があれば看護師も点滴ができるし、オンコールでもできるのです。私の老健施設のことを言いますと、看護師が、医師からオンコールで指示を受けたときに、医師がいない中で看護師がやっていいのかという疑問が看護師にありました。そういう懸念等を何年もかかって振り払い、今、できているということがあります。こういう研修を、多くの老健施設で働く看護師が受けられていれば、自信を持って点滴なり、様々なことができるわけです。

 そういう意味でも、ぜひこの特定行為研修が広まっていただきたいと思います。しかし、これは堂々めぐりなので先ほどの話になるのですが、なかなか現場でこれを受けるようなインセンティブもなければ、そういう余裕もないというのが現実でございます。おっしゃるとおり、必要であることは間違いございません。

○桐野部会長 そのほか、いかがでしょうか。よろしければ、今までいただいた御意見も踏まえて、特定行為研修制度の認知度の向上に向けまして、これも事務局で必要な取り組みを進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、資料2に移ります。事務局から資料2について説明をお願いいたします。

島田看護課長 資料2について説明させていただきます。

 ただいままでの御議論でも、さまざまな研修制度の見直しに向けた御意見をいただいたところでございます。資料2で研修制度充実に向けた検討についてということで、今後の進め方について御提案させていただいております。

 2ページの上の囲みの中でございますけれども、今後の検討に係る背景状況といたしまして、幾つかおまとめしております。

 まず、1つ目でございますが、制度創設の際の法律の附則の中で、この法律の公布後5年を目途として、その施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、所要の見直しを行うこととされているところでございます。

 また、本年4月に取りまとめられました「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」におきましては、特定行為研修制度の養成数を増やすべく、研修制度の現場の認知度の向上、より受講しやすいような研修方法・体制等の見直しを進めること、研修制度の対象となる医行為について、安全性と効率性を踏まえながら拡大することなどについての提言がされているところでございます。

 さらには、この部会の平成2612月の取りまとめにおきまして、その制度の施行時には特定行為として含めないこととした経口・経鼻気管挿管の実施及びチューブの抜管に関しては、そのあり方について早期に検討を行うべきとされているところでございます。

 こうした事項を踏まえまして、検討の進め方でございますが、御提案させていただいておりますのが、今年の秋頃から順次議論を始めるということで、まずは特定行為の実施状況等を踏まえました研修制度の現状についての評価を行わせていただきたいと考えております。その評価を踏まえまして、適宜特定行為、特定行為区分、研修の基準等についての見直しを進めさせていただくということで、今後の検討の進め方について御提案させていただいております。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

桐野部会長 ありがとうございます。

 それでは、法令でも定められている5年後の見直しということでございますけれども、特定行為に係る看護師の研修制度の充実に向けた検討につきまして、御意見をお願いいたします。

 一番初めの頃からおっしゃっていたことに含まれるとは思います。

 大滝先生、どうぞ。

○大滝委員 大滝です。

 私もこの制度の設計の頃からいろいろお手伝いさせていただきましたが、特に研修のボリュームと方針については、本当に幅広い意見がありました。時間数は当初の案からかなり削って、今の内容になったと記憶しております。実際に研修制度を動かし始めて、特に修了された方が現場でどの程度役に立っておられるか、あるいは、経験された研修内容がどうだったかということを修了者に振り返っていただき、そのフィードバックをもとに見直すことは、そういうデータが今までなかっただけに、とても重要であると考えております。また、eラーニングについても、やってもいいという程度のゆるやかな枠組みでスタートしたので、その質と量、方法などについて、実際に研修された方の御意見などを伺いながら見直していく必要があると思っております。以上です。

○桐野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございましょうか。

 釜萢先生、どうぞ。

釜萢委員 資料2の2ページの今後の検討の進め方でありますが、今、御説明があったとおりですけれども、「今後の検討の進め方(案)」の1つ目の29年秋頃より、特定行為の実施状況等を踏まえた特定行為研修制度の現状についての評価、ここがまず非常に大事でありまして、現状と認識がしっかり皆さんによく見える形にならないといけないですね。

 資料1の8ページに、区分ごとの修了者の数が出ておりますが、御案内のとおりですが、青の27年度というのは、先行した試行事業の方もかなり入っているわけなので、28年度の修了者の上の色の薄いところが新たな仕組みで研修をされた方と考えられます。

 これはやむを得ないところですが、まだそんなに多い数ではないので、現状の評価というのはなかなか難しいかなと思いますが、できる範囲で現状の評価をしっかりやって、その上で次に進めていくという形のやり方をぜひよろしくお願い申し上げます。

桐野部会長 まず、現状の評価をしっかりやって、その上で今後どうするかを考えるべきである。そのとおりだと思います。

 そのほか、ございますでしょうか。

 平井先生、お願いいたします。

平井委員 平井です。

 先ほど釜萢先生がおっしゃった、8ページの図を見ますと、修了している中で、薬剤投与が関連するのは、術後疼痛管理も含めますと7項目あるということで、お薬に関連することが非常に多いということですが、特に高齢者に限って言いますと、今、厚労省の別の委員会で、高齢者の医薬品安全使用という委員会に私も属しているのですが、そこで問題になるのが、向精神薬と睡眠薬の使い方というのを今後検討していくべきだという話になっております。恐らく中間まとめを今年出すと思うのですけれども、そういった内容を踏まえていただいて、特に長期の療養の方と高齢者になりますので、お薬の使い方というのは非常に重要になってまいりますので、ここのあたりも既にカリキュラム、科目をつくって、コンテンツをつくっていらっしゃると思うのですけれども、できるだけ状況に合わせて見直しをどんどんしていっていただくことをお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○桐野部会長 そのほか、いろいろな意見を並べていただいて結構ですので、おっしゃっていただければ。

 高木委員、どうぞ。

○高木委員 私は最初からこの特定行為の議論に参加していないので、ちょっとよくわからないので、教えていただきたいのですけれども、一つ、最初から疑問なところというのは、認定看護師さんとか、特定行為にかかわる看護師との関係というのはどうなのかということと、将来的にどのようにこれを関連づけていくのかということについての議論がされているのかどうかということは、急性期の病院の現場の中ではそういう質問とか疑問がよく出されているので、その辺についてはいかがでしょうか。

桐野部会長 今の件については事務局からお答えできますか。

○島田看護課長 特定行為研修を修了した看護師の方と認定看護師の違いということでございますけれども、まず、認定看護師の制度は御存じのとおり、日本看護協会さんでやっていらっしゃる独自の制度でございます。詳細は秋山委員からお話しいただいたほうがよろしいかもしれませんけれども、法令上の位置づけはないところでございますが、一定の研修を受けていただくという中で、日本看護協会独自のルールで認定されているところでございます。

 一方で、特定行為研修を、認定看護師の方が受けられた教育にプラスして、認定看護師の方に特定行為研修を修了していただくというコースも日本看護協会のほうでは御提供いただいているところでして、そういった認定看護師の方が特定行為研修を修了してそれぞれの修了された区分で、在宅ですとか、医療機関などで御活躍していただいているという現状でございます。

 今後の認定看護師と、特定行為研修との関係については、日本看護協会様のほうで御検討されているとお伺いしているところでございます。詳細につきましては、もしありましたら、秋山委員からコメントをいただければと思います。

桐野部会長 秋山先生、何か補足がございましたら。

秋山(智)委員 まだしっかり説明できるほどには理解しているわけではないのですけれども、特定行為研修に求められるようなレベル以上でないと、認定看護師としての本領は発揮できないと思いますので、協会としては認定看護師教育の中に特定行為研修を組み込むということで、検討を進めているところでございます。

桐野部会長 ありがとうございます。そのほか、何かございますか。

 春山先生、どうぞ。

○春山委員 方向性についてはよろしいと思うのですけれども、行為と区分も検討の中に入っておりますが、どのように現状を評価して、例えば行為の追加もしくは削除等々がなされるのかと、ちょっと疑問に思いました。

 当初から、例えば皮膚損傷に係る薬剤投与関連、こういうことが生じないようにやっているので、こういう事態は起きないという議論があったり、私たちがやっているところで、カテーテル管理のところですけれども、PICCと中心静脈が組み合わさっているために、ニーズが生じる状況が違うので、この研修を受けにくいという声をよく聞くのですけれども、そういった区分、行為の評価はどのようになされていくのかと思いました。

桐野部会長 区分、行為の検討というのは、なかなか大変だと思うのですけれども、これは事務局として、当然、見直しに含まれるわけですね。

島田看護課長 全体の見直しということでございまして、見直し後に変えないという結果も当然あり得るかと思うのですけれども、先ほど御説明いたしました、秋頃より順次検討という中で、現状についての評価ということを掲げておりますけれども、必要な調査ですとか、実態把握といったことも進めてまいりたいと思っておりますので、その中で見直しをするためにどのようなデータを集めるのかといったことを、実施状況とか、研修の受講状況などもデータを集めまして、この場でまた御審議いただけるように準備していきたいと考えております。

○桐野部会長 神野先生、中山先生の順で、お願いします。

○神野委員 今の話と違う話ですけれども、今回の今後に向けた検討の2番目に、例の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」との関連性が書いてありますので、特定行為だけの話ではなくて、検討会報告書との関連というのも議論の俎上に乗せなければいけないし、せっかく医政局長からもお話があったのもその話だと思うのです。資料2の4ページのビジョン検討会報告書で幾つかまとめていただいておりますけれども、タスク・シフティング、タスク・シェアリングに当たり、その辺のところで医師の負担軽減云々が強く訴えられておりますので、そうすると、ここでの研修制度の中で医師の負担軽減を考えると、在宅の場だけではなくて、もう一回戻りますけれども、急性期の場も含めて、急性期におけるいろいろな処置についてももう一回議論しなければいけない覚悟が必要なのかなと思います。

 以上です。

○桐野部会長 太田先生、どうぞ。

太田委員 特定行為区分の見直しがもし可能であれば、あえて慢性期医療に必要な特定行為区分を申し上げると、私の中のイメージは、カテーテル管理と脱水の補正と褥瘡のケアぐらいなのです。ですから、特定行為区分の中に慢性期医療としてまとめてしまったようなものをつくっていただけると非常にありがたいと思っています。

○桐野部会長 お願いします。

○中山部会長代理 太田先生が言ってくださったので、いいと思いますが、訪問看護ステーションの方々が受け入れにくい一つの要因として、その辺を検討していただかなければいけないのだと思います。この特定行為区分を見てみると、病院の医療に基づくもので、訪問看護ステーションの人たちが必要としているものと必ずしもマッチしていないという声はあって、それはぜひ5年後の見直しに入れてほしいと言われ続けていましたので、今日の議論でその辺の枠組みが変わればいいのかなと思っています。

○桐野部会長 いかがでしょうか。

 特定行為区分は漸進的に、少しずつ加えたり引いたりするというやり方もあるし、あるいは、今、太田委員もおっしゃいましたけれども、少し包括化していくような、つまり、幾つかを組み合わせて、組み合わせたほうがわかりやすいといえばわかりやすいので、そのようにしていくやり方もある。ただ、現在のパーツは自分が好きなものだけを組み合わせてやれるという非常に便利な面もあるので、その辺のところはやはり現状をよく評価して認識して、その上でどう変えるかということをやる必要があるのかなと思います。

 御意見ございましょうか。

 東委員、どうぞ。

○東委員 本当に繰り返しになりますけれども、ぜひ急性期医療、慢性期医療、訪問看護ステーションにプラス施設看護という面をお忘れにならないようによろしくお願いいたします。

桐野部会長 よろしいですか。

 そのほか、御意見がございましたら。

 具体的な見直しというのは今後さまざまな準備をした上で、また別途御検討いただくことになると思いますが、何かこの場で少し補足しておきたい、追加しておきたいということがありましたら、お願いいたします。よろしいですか。

 それでは、特定行為研修の充実に向けた検討については、今年度秋頃より特定行為の実施状況等を踏まえた特定行為研修制度の現状について評価いただくということで、順次、制度について必要な議論を進めていくという順番でよろしいかということでありますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桐野部会長 ありがとうございます。

 神野先生、どうぞ。

神野委員 いつまでにという期限はどうしましょうか。秋から始まるのはいいのですけれども、いつまでにというのは明示していないと思うのです。

桐野部会長 いかがでしょうか。

島田看護課長 2ページの上のほうに書いてございますが、この法律の公布後5年を目途ということで、一応そこが目途となっておりますので、そこを目指して御議論を進めていただけるように準備していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○神野委員 31年ということですね。

○桐野部会長 よろしいですか。それでは、そのようにお願いいたします。この件については、したがって、改めて御議論いただくということになると思います。

 その他、何か御意見はございますでしょうか。全体を通して、今後の見直しの件なども、大体の予定などもわかってきたと思うのですけれども、その件については今後、何回も御発言いただく機会があると思いますが。

 神野先生、どうぞ。

○神野委員 確認ばかりして、しつこくて申し訳ないのですけれども、31年からやるとしたら、30年のいつ頃までに決めなければいけないのですか。

○島田看護課長 一応目途ということで、見直しについて御審議していただいた結果、必要な省令改正ですとか、法改正が必要かどうかという議論もありますけれども、そういったことで順次進めていくというスケジュール感かと考えております。

○桐野部会長 時間的にはそれほどたっぷりあるわけではないので、できるだけてきぱきやっていかないといけないし、今後、31年からの改定はどの程度改定するかということもなるべく早目に考えていかないといけないのかなと思います。

 何か御意見ございますか。

 それでは、ないようでございますので、以上で本日の議題は全て終了いたしました。

 事務局から何かありましたら、お願いします。

○穴見看護サービス推進室室長補佐 本日はありがとうございます。

 次回の本部会では、指定研修機関の指定に係る御審議をいただく予定でございまして、開催は8月頃を予定しております。日程の調整につきましては、事務局よりまた改めまして御案内させていただきます。次回以降につきましても、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

桐野部会長 それでは、本日の第13回「看護師特定行為・研修部会」を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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