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2017年9月22日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録
○日時
平成29年9月22日(金)
10:00~12:00
○場所
厚生労働省共用第7会議室
○出席者
委員
大前委員(部会長)、明石委員、浅見委員、小川委員、苅田委員、阪口委員、下村委員、寺嶋委員、堀端委員、渡辺委員 |
事務局
関野食品基準審査課長、黒羽室長、田邉補佐、新井専門官、中嶋係員 |
○議題
1 食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定について
2 清涼飲料水の規格基準の改正について
○議事
○事務局 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ本部会に御出席いただき誠にありがとうございます。審議に入るまでの間、事務局にて議事を進行させていただきます。
初めに委員の出席状況です。本日は、阿部委員、畝山委員、二村委員から御欠席の御連絡がありましたが、部会委員 13 名中 10 名の委員に御出席いただいておりますので、当部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。
次に、平成 29 年1月に部会委員の改選があり、改選後初めての食品規格部会への出席ですので、新たに委員になられた先生を御紹介いたします。国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部第三室長の渡辺委員でございます。
○渡辺委員 今回から参加させていただきます。国立衛研の渡辺です。真菌を担当する業務に就いております。よろしくお願いします。
○事務局 続いて、事務局にも異動がありましたので御紹介いたします。食品基準審査課の中嶋です。食品基準審査課課長の関野です。
○関野課長 発令順に紹介していると思いますので私が後になりました。7月に着任しました関野です。よろしくお願いします。
○田邉補佐 最後になりましたが、食品基準審査課の田邉と申します。私は4月に着任しました。どうぞよろしくお願いいたします。
これから議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。以後の進行は大前部会長にお願いいたします。大前部会長、よろしくお願いいたします。
○大前部会長 おはようございます。本日の部会もよろしくお願いいたします。審議事項ですが、今回は2つです。まず、事務局から配布資料の確認をよろしくお願いします。
○事務局 お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事次第というもので、1枚めくっていただき、配布資料の内容一覧になっております。資料1「食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定について」。次に、もう1つの議題であります「清涼飲料水の規格基準の改正について」、こちらは資料2 - 1となります。こちらを1枚めくっていただき表の形のものが資料2 - 2、ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの表になります。次が資料2 - 3、殺菌又は除菌を行うものの表です。次が全く同じ形の表で、これが資料2 - 4、清涼飲料水の製造基準等検討項目の表になります。次の縦に見るものが資料2 - 5です。資料とは別の形でクリップ止めしているものが、本日の最初の議題となりますデオキシニバレノールの参考資料です。厚めのファイルが清涼飲料水の参考資料となります。資料の不足等がありましたら、事務局までお知らせください。
○大前部会長 資料はよろしいでしょうか。参考資料がいっぱいありますけれども。審議に入る前に、事務局から本日のこの部会の審議事項に関する利益相反に関する確認結果について御報告をお願いいたします。
○事務局 本日の部会においては、利益相反確認対象はございませんでしたので、退室の必要な委員又は議決に参加できない委員がいないことを確認しております。
○大前部会長 ありがとうございました。それでは、今日の最初の議題、食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 デオキシニバレノールについて御説明いたします。資料1を御覧ください。まず、経緯となります。デオキシニバレノール、こちらはDONと呼ばせていただきますが、このDONは穀類に発生する赤かび病の病原菌によって産生されるかび毒になります。急性毒性があることが知られております。
このDONですが、日本では 1940 年代に大規模な食中毒が発生した経緯があります。その後、平成 14 年5月に小麦のみに暫定基準値として 1.1mg/kg が設定されております。こちらの暫定基準値ですが、当時は国際基準がなく、また汚染実態データが不足していたこともありまして、当時 JECFA が定めた暫定的なTDIなどを基に設定されております。その後、平成 21 年3月に内閣府食品安全委員会が自ら評価の対象としまして、食品健康影響評価を実施し、その結果が翌年 11 月に通知されております。その後、平成 27 年7年に Codex 委員会において、小麦、大麦、トウモロコシ及び穀類加工品について国際的に基準値が設定されております。そこで、日本においても小麦の大部分を輸入に頼っている状況や、汚染実態及び暴露評価等を踏まえつつ、 Codex 委員会での食品中の汚染物質の基準設定の原則である ALARA の原則に基づいて基準値設定を御検討いただきたいというものです。
ここで参考資料1 - 1を御覧ください。こちらの食品中の汚染物質に係る規格基準設定の基本的考え方の第2の基本方針にありますように、基本的には Codex 規格の採用を検討するものではありますが、今回は後ほど御説明させていただきますが、 Codex 規格をそのまま採用することが困難ということもありますので、合理的に達成可能な範囲で、できる限り低くするという、 ALARA の原則に基づいて基準値の検討をしてはいかがかと思います。
再び資料1にお戻りください。3ページの3、食品健康影響評価の概要です。2の暴露状況に関しては後ほど御説明させていただきます。平成 22 年の食品安全委員会の食品健康影響評価ですが、DONそして同じかび毒のニバレノールについて、DONに対しては1μ g/kg 体重 / 日、ニバレノールに対しては 0.4 μ g/kg 体重 / 日のTDIを設定しております。こちらが食品健康影響評価の概要です。
次に、4の諸外国における規制状況となります。先ほども御説明いたしましたが、我が国では小麦について 1.1mg/kg の暫定的な基準値を設定しております。 ( 2 ) が Codex 委員会の基準値となっております。一番上の行の加工向けの穀粒から始まる小麦、大麦、トウモロコシの欄になりますが、 2.0mg/kg を設定しております。しかし、ここで※1と注釈が付いておりますが、この値はDONを低減する追加の加工処理が前提とされております。次の2行目に、小麦、大麦、トウモロコシを原料とする粉やフレークの基準値として 1.0mg/kg を設定しております。その次の3行目に、乳幼児向けの穀類加工品に 0.2mg/kg を設定しております。
次の ( 3 )( 4 ) では各国の状況が記載されており、米国では 1.0ppm 、EUでは製品ごとに細かく区切って基準値を設定しております。次の5は、我が国における食品中のDON低減対策及び乳幼児向けの管理となります。業界へのヒアリングによりますと、現在国内ではDONの低減や乳幼児向けの管理は行われていないというのが現状となっております。6は我が国におけるDONの規制の在り方です。先ほど4で説明しましたように、 Codex 委員会では加工向けと加工後の2段階で基準値を設定しております。我が国でもDONの低減措置について関係業界に確認したところ、国内ではDONの低減対策は行われていないため、 Codex 規格をそのまま採用することは困難であるとされております。また、乳幼児向けの管理についても、分けて管理することは現実的に困難となっております。そこで、 ALARA の原則に基づいて基準値の検討をしてはどうかと考えております。
先ほど説明を飛ばしました2の ( 1 ) 汚染実態調査と、この資料1のすぐ後ろの別紙を御覧ください。こちらは過去7年分の汚染実態調査の結果と、別紙はそのヒストグラムになります。まず、表の一番上の海外産小麦の欄で、現在の暫定基準値 1.1mg/kg での違反数を最も右の列に記載しております。この違反数から違反率を計算しますと、 1.4 %ほどとなります。そして括弧の中の数字が、 Codex 委員会が小麦粉等の基準値として設定している 1.0mg/kg で仮定して計算した場合の違反数となっております。こちらも 2 %ほどになりますが、暫定基準値と比べても過度の違反率ではありません。また Codex 委員会食品汚染物質部会では、基準値を設定する際、合理的に達成可能な水準として、実態調査データに基づいて、違反率を2~3%としておりますので、この点からも妥当であると考えられます。
次に2の ( 2 ) 暴露量推計を御覧ください。こちらは農林水産省提供の暴露量推計の表となっており、仮想の基準値に対するDONの暴露量が記載されております。表の下側2行の色付きの欄を御覧ください。小麦のみに 1.1mg/kg をおいている現状の暫定基準値と、仮想の基準値として小麦のみに 1.0mg/kg を設定した場合の暴露推計となります。長期毒性を評価する際の指標となる経口摂取量の 95 パーセンタイル値、3列の中央列になりますが、現在の暫定基準値では、未就学児で、食品安全委員会の評価結果で示されておりますTDIの1μ /kg 体重を僅かに超えております。しかし、 Codex 委員会が小麦粉等の基準値として設定している 1.0mg/kg を小麦の基準値として仮定した場合、食品安全委員会が設定したTDIと同値となっております。
再び6に戻りまして、ここでこれまでの説明を整理しますと、 Codex 委員会が小麦粉の基準値として設定しています 1.0mg/kg を小麦の基準値とすることは、違反率の観点からも妥当であります。また健康リスクの観点からも未就学児を含めた安全性が担保されているかと思われます。そこで、小麦の大部分を輸入に頼っているという状況や汚染実態及び暴露量推計の結果を踏まえつつ、 ALARA の原則に基づき、小麦に対して 1.0mg/kg の基準値を設定してはどうかと考えております。
次に、大麦についてです。同じく暴露推計より基準値を 1.0mg/kg に設定した場合でも、しない場合でも、未就学児の経口摂取量の 95 パーセンタイル値には変化がありません。大麦及びトウモロコシについては、平成 17 年~ 19 年の食品摂取量調査の結果からもその摂取量がそれぞれ小麦の約1割以下であること。そして海外産大麦のDON濃度よりも低い傾向があることからも、小麦に比べて寄与率が低くなっております。そのため、検査に要する労力、時間、コストを考慮すると、大麦、トウモロコシには、基準値を設定することはDONの低減に大きな効果が期待できないため、基準値は設定しないこととしてはどうかと考えております。デオキシニバレノールについての説明は以上になります。
○大前部会長 ただいま事務局から資料1に基づいて、DONの規格基準について説明がありました。内容としては平成 14 年に設定した暫定基準値がありましたが、これを Codex による基準値、食品安全委員会での健康評価、リスク評価の結果が出てきており、汚染実態調査の結果も出てきているということで、暫定基準値を基準値にしようということが1つの提案です。
2つ目の提案です。平成 14 年の暫定基準値の 1.1mg/kg は当時の情報から決めた数字ですが、 ALARA の原則に基づいてこのときも提案しており、今回もそれを使ったらどうかと。3つ目は、基準値の設定は小麦のみにしようと、トウモロコシ、大麦等々は寄与率が低いので、あえて決めてもあまり意味がないという御説明だったと思います。結果として、小麦で規格基準を 1.0mg/kg という数値にしてはどうかと、今までの暫定が 1.1mg/kg なので少し厳しい方向に向かっているわけですが、そういう提案になっております。
先生方の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○明石委員 少し質問します。濃度を低減する加工処理は非常に大変なものなのかどうかということと、その加工処理でどれぐらい減るのかということが1点です。もう1点は、いわゆる、加工と加工後と記載されている所があり、小麦も大麦も加工しないで生で食べることはないと思うのですが、実際に加工することでどれぐらいに減るのかということが、もし、お分かりでしたらお教えいただければと思います。
○大前部会長 いかがでしょうか。
○事務局 まず、小麦について、一般的には国内で小麦粉等に精製等を行うものがありますが、一部、全粒粉等で消費されるものはあると思います。また、低減措置については、一般的に小さい粒がDONに汚染されるということが分かっておりますので、ふるい等に掛けて小さい粒のものを除くことがDONの低減に効果的となっております。
また、小麦の状態から小麦粉に精製する段階で低減されることが分かっておりますが、その比率については、今、確認いたしますので、少々お時間を頂ければと思います。
○大前部会長 それでは、お願いします。そのほかに何かございますか。
○堀端委員 暴露量推計について質問します。食品摂取量が平成 17 ~ 19 年度の食品摂取頻度、摂取量調査時の特別集計業務、暫定基準値が平成 11 年と、割と前のデータかと思います。小麦の摂取量が、若干増えていると思うのですが、このときの小麦の摂取量は幾らで計算されているのかということをお聞きしたいと思います。
○大前部会長 いかがでしょうか。少し摂取量の推計のデータが古いのではないかという御指摘です。
○事務局 暫定基準値を設定した際の小麦の摂取量となります。1日平均の摂取量として 89.8 gという数値が使用されております。
○堀端委員 近々の平成 27 年の国民健康・栄養調査の結果でいくと、小麦、穀類が 102.6 gという数字があるはずですので、そこが変わってくると暴露量が変わるのではないかと思って質問しています。
○大前部会長 いかがでしょうか。少し暴露量が変わるから 95 パーセンタイル、あるいは 99 パーセンタイルの値も違ってくるのではないかという御指摘です。
○事務局 少々お待ちください。
○大前部会長 今の回答はお待ちしますが、そのほかに先生方から何かございますか。
○堀端委員 余り詳しくないところで恐縮なのですが、暴露量調査で未就学児という表現になっているのと、 Codex では乳幼児用穀類加工品とあり、乳幼児が3歳未満になるのかと思います。この辺りは、同じように考えてよろしいのかどうかということを確認させていただきたいです。
○大前部会長 いかがでしょうか。言葉が Codex と少し違っているということです。 Codex のほうは乳幼児用加工品ですから、乳児が 12 か月未満、幼児が3歳未満ということになっています。
○事務局 未就学児に関してですが、この表現は小学校に上がる前の6歳以下です。
○浅見委員 日本の摂取量のデータだと、そういう区分で評価することが適当という御判断ということで、よろしいでしょうか。
○大前部会長 いかがでしょうか。農林水産省のデータが未就学児という区分でやっているということで、持ってきたりされていることだと思います。
○事務局 農林水産省のデータでは、この1~6歳を調査対象としているので、このような結果となっております。
○大前部会長 それと、 Codex の3歳未満の所とパラレルと考えていいだろうかというお話かと思います。これは、なかなか答えにくいというか答えられないところですね。もともと、ベースが違っている年齢の区分なので何とも言えないと思います。
今回の基準の対象が小麦 ( 玄麦 ) とあります。玄麦というのは、まだ脱穀する前の小麦という意味だと思います。そうすると Codex の加工向けの穀粒と、その下の小麦、大麦の2つが 2.0mg/kg と 1.0mg/kg になっております。今回、玄麦というのは加工向けの 2.0mg/kg も含むという解釈でよろしいわけですか。そうすると加工向けに関しては Codex が 2.0mg/kg に対して 1.0mg/kg という提案をされているわけなので、厳しい提案になっているという解釈でよろしいですか。
○事務局 おっしゃるとおりです。
○大前部会長 先ほどのお二人の御質問について、もう少し待ちますか。加工するとどれくらい減るのかということと、小麦粉の摂取量が 27 年ですと 102 gくらいになっているというお話で、1割くらい増えているのではないかということで、それに基づいて推定値を計算すべきではないかという御質問です。
○事務局 まず、先ほど堀端委員からの御質問に関しまして今、直近の値を調べており、お時間を要しております。暫定基準値の設定の際には、小麦から小麦粉への加工ということで、減衰率を 50 %として設定しております。ただ、直近のものがありますので、もうしばらくお時間を頂ければと思います。
○大前部会長 そのほかに、御質問や御意見はいかがでしょうか。先ほどの小麦粉の摂取量が 27 年は 102g でしたか、その前が 80 幾つでしたか、すみません、その数字を今。
○事務局 89.8 です。
○大前部会長 そうすると、 10 g少しくらい増えていると、1割強くらい増えている。
○事務局 その件ですが、今回としては、現状、分かっているもので集計したものです。堀端委員が御指摘の数値については、今回、採用されておりません。
○大前部会長 そうすると、資料1の3ページの農水省の暴露推計データの 95 パーセンタイルの値、網掛けになっている所、 1.1mg/kg と 1.0mg/kg になっておりますが、もう少しこの値が大きくなる可能性があるということですよね。それを許容するのかどうかということになろうかと思います。1割も増えるかどうか分かりませんが。
もう1点は、先ほどの玄麦を使っておりますので、それも今回の基準値の中に入れており、それが加工に使われようが使われまいがということでしたが、そういう意味では少し厳しいほうの数値にしているということを組み合わせて、どのように考えるのかだと思います。
○事務局 堀端委員からの御指摘の摂取量については、申し訳ありませんが、今般は計算をしていなかったため、この場で平成 27 年の国民健康・栄養調査の値を用いた暴露推計の御提供はできません。今回の提案は暫定基準値の 1.1mg/kg から、より厳しく 1.0mg/kg を提案させていただいたものです。今般は原料の段階である小麦にこちらを設定して先ほど、先生方からも御意見がありましたが、小麦粉という形で、また、精製する過程で減衰することが分かっており、より低い濃度にはなろうかと考えております。
○大前部会長 いかがでしょうか。今の説明等で Codex の数字が 2.0mg/kg と 1.0mg/kg の両方ありますが、今回、 2.0mg/kg のほうも 1.0mg/kg とするということで、下の小麦、大麦等、これは加工後の製品、 Codex の2番目のものですが直接食用になる製品ということだと思います。当然、加工という過程は入るので、加工前で 1.0mg/kg としておくと加工後はもっと減るだろうから、どちらかというと安全側に向いているのではないかという考え方を、この部会で許容するのかどうかと言うことだと思います。
先ほど、おっしゃったように小麦の摂取量が少し増えているのは間違いないことでしょうから、それも勘案して、この部会として 1.0mg/kg でいいと認めるのかどうかということだと思いますが、いかがでしょうか。あるいは、今の摂取量である 102 gをもう一回計算し直して、農水省の数字を新しい数字に書き直して見直した後、もう一回考えるという選択肢もあることはあります。
○事務局 補足です。先ほどの3ページの暴露推計の所です。DONの経口摂取の 95 パーセンタイル値とは、多食者、小麦をたくさん食べる方の上から5%の方なのですが、こちらは小麦の濃度を 1.0mg/kg とした場合に1 µg/kg 体重 / 日になります。一方で、先ほどの平均値、これは小麦を食べる量が平均の場合で、平成 11 年では 89.8 gとなっていますが、この方では 0.31µg/kg 体重 / 日の値になりますので、平均で考えればTDIに比べて随分低くなっているということだと思います。先ほどの 95 パーセンタイル値が何gなのかということはすぐには分かりませんが、平均で見ればTDIに比べれば非常に少ないという状況になっているということです。
○大前部会長 小麦が1割増えていますから、単純に平均値は1割増しくらいにはなるのでしょう。ただ、 17 ~ 19 年のDONの汚染状態と 27 年のDONの汚染状態は違うので、単純に1割増しかどうかは正確には分からないことだと思います。
そのほかの先生方、何か御意見はございますか。
○浅見委員 全体的な考え方としては、余り厳しくしすぎても、実際上、非常に困難が生じることもあると思いますので、 1.0mg/kg という値は理解させていただきました。 Codex の中で乳幼児用の穀類については加工品を対象にした項目となっており、これに相当するような国内の対策に相当すると思われる5ページの農林水産省による製粉及び醤油業界団体等へのヒアリング結果の中で、小麦の乳幼児向けの管理については、全然仕分け管理はしていないし、実際、保存の工程等で汚染防止や低減が不可能ではないのかもしれないと思います。
Codex では5分の1とか 10 分の1の値を取られているのに、日本で何もしないでいいというようなメッセージになってしまっていいのかどうかというのは、少し引っ掛かるところです。小麦としてはこの値になるのはやむを得ないかと思うのですが、加工品を作るための保存や、そういうところに何らかの配慮をしていただくことが可能であれば御検討いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○大前部会長 いかがでしょうか。 1.0mg/kg というのは妥当として、乳幼児向けに関してはペンディングにしておいて、もう少し考えてはどうかと、もし、乳幼児向けに対して妥当な範囲で対応ができるようであれば、その数字を考えてはどうかということが浅見先生の御意見だと思います。
○浅見委員 数字までいくかは分からないです。
○大前部会長 数字までいくか分からないにしても、少し乳幼児向けに関してはペンディングにしてはどうかと。
○浅見委員 ……していただくとか。
○事務局 先ほどの暴露量推計からも 95 パーセンタイル値で現在の暫定基準値ではTDIを超えていますが、新たな基準値では未就学児においては 1.0mg/kg の新基準で、未就学児の値において同値となっております。そのため、別途、乳幼児用の基準を設けなくてもリスクは十分管理できているものと考えております。
Codex では原則、一次産品に基準値を置くということとしているため、今般の案である小麦に対して基準値を設定することが適切であると考えております。
○事務局 補足します。 Codex 規格には浅見委員が御指摘のように乳幼児向けについて基準値があります。今般はそれも含めて事務局で汚染実態調査と暴露量推計を行ったところ、玄麦の段階で基準値を 1.0mg/kg を設けることによって、乳幼児の期間についても十分配慮できているのではないかと考えており、今般については、玄麦の段階で 1.0mg/kg を置くことでフォローできているのではないかと考えております。
○大前部会長 玄麦が 1.0mg/kg という厳しい数字、 Codex の半分の数字ということですが、それで更に加工品になるということなので、実際には乳幼児用の加工品ですからもっと減っているだろうと、それがどれくらい減るのかに関しては確認中ですが、まあまあいいのではないかという御意見かと思います。
○浅見委員 この暴露量推計は、 50 %の低減率、減衰を行った後の数値ですか。
○大前部会長 どうでしょう。農水省の推計値の暴露量推計のやり方はいかがでしょうか。
○浅見委員 これは、玄麦からだけ推計されていて、実際の暴露量は、これの半分ぐらいになるのではないかという予想だということでしょうか。
○事務局 先ほどの減衰率の件も併せてお話いたします。少しお時間が掛かりましたが、麦類の加工に関する玄麦からの換算係数を、直近だと農林水産省が平成 29 年6月の国産麦類のかび毒の実態調査の結果の中で示しており、その値を用いて今回算出していただいております。
例えば、一般的な食パンで申し上げると、 0.5 ではなくて 0.61 を採用していたり、細かく作物が、うどんであったり小麦を使った製品で分かれており、その値を採用していただいております。
○大前部会長 その製品ごとに減衰率の数字が分かっているので、それと実際に食されている製品を掛け合わせて、DONの平均値なりを出しているということですか。
○事務局 はい、そのとおりです。
○大前部会長 ということは、もう既に減衰した後の数字であると、減衰率を掛けた後の数字であると。
○明石委員 食品によって異なる減衰率ですが、食品によって違うとおっしゃられたのですが、一番、減衰率の低いものでどれぐらいになるのでしょうか。
○事務局 低いというのは、一番悪いものですか。
○明石委員 悪いものです。
○事務局 悪いものとしては換算率が1というものがあります。薄力粉やそのままというものは換算の係数は1となっております。
○大前部会長 それが、 Codex の2つ目の小麦粉、大麦、トウモロコシを原料とするフラワーという、これがそうだということですか。これは、もう製品ですから1ということですか。更にそれを加工していくと、この小麦粉を使って加工していくと、うどんとか何なり加工すると、今の 0.6 と更に減っていくということですね。
いかがでしょうか。今の主なコメントは乳幼児の話なのですが、農林水産省が未就学児と言っておりますので、若干、年齢の差はあるにしても。
○事務局 先ほど、私から誤った説明をしました。農林水産省の 29 年6月の国産麦類の実態調査の結果を用いていろいろお話をしましたが、今回、実際の説明資料2の暴露推計等の試算を頂いたものについては、この減衰率を考慮したものではありませんでしたので、訂正いたします。
○大前部会長 減衰率を考慮しないということは、減衰を1として計算しているということですか。ということは、減衰すると、実際の数字はもっと下がるということでよろしいわけですか。
○事務局 はい。先ほどの浅見委員からの御指摘は、乳幼児向けについて設定したほうがいいということでしょうか、そこまでではないのでしょうか。
○浅見委員 今のことをお伺いして、これが減衰前のものであれば、まだ十分余裕があると思いますし、値を設定すること自体は結構難しいと思いますが、何か実際的にできることがあれば、業界ともう少しできればと思いました。今のお話で減衰前の数値だということと、あと、加工品をよく考えると小麦単体のものではなくて、多分、例えば、ベビーフードになってしまったものとか、ほかのものといろいろ混ざったものに対しての値かと思います。それに関しては、普通はこれよりも下がるのかと思いますので、今後、情報収集をしていただくぐらいで十分かと、場合によって、もし何かすごく問題があるということであればまたあれですが、十分低いものであるのではないかと思いました。申し訳ありません、ありがとうございます。
○大前部会長 分かりました。加工すればするほど減衰していくと、農林水産省の数字は減衰率を考慮していない数字で計算しているということなので、実態は、これはもっと低くなるであろうと。
そのほかに何かございますか。今のような御議論をトータルとして考えて、今回の御提案の 1.0mg/kg を原案どおり、この部会で承認するのかどうかということについていかがでしょうか。よろしいでしょうか。先ほどの浅見先生が言われたモニタリングに関しては、是非、お願いしたいと、それから、もし加工業者でDONを減らすような方法があれば、原則考えて十分できるようであれば、それは、またお願いするということでよろしいでしょうか。そうしましたら、原案の数字については、このままでいいということで皆さんの御了解を得たということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
DONについては今のような結論を得られましたが、食品安全委員会はDONだけではなくて、ニバレノール、NIVと略しておりますが、ニバレノールについても評価されておりますので、これもかび毒で同じ赤かびから出るのでしょうか。これについて事務局の考えはいかがでしょうか。
○事務局 ニバレノールについては、 Codex でも基準値が設定されておりません。厚生労働省では、これまで輸入麦に関して、平成 27 年と平成 28 年にて汚染実態調査を実施しております。これまでの調査結果の概要は、資料の準備はありませんが、食品安全委員会の示すTDIを大きく下回っている結果となっております。
○大前部会長 ということで、今回、ニバレノールについては、特に Codex にも出ておらず提案しないという意見です。先生方から何か御意見はございますか。
○寺嶋委員 補足説明します。ニバレノールの汚染実態調査においては、国衛研で調査を実施しているところです。これまでの調査結果から暴露評価においては、 95 パーセンタイル値でも、食品安全委員会の示すTDI値の 10 分の1程度の値だったかと思います。
ですので、食品健康影響評価の結果では、平成 22 年に実施されたので少し古いのですが、一般的な日本人の食品からのデオキシニバレノールとニバレノールの摂取が、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられておりますので、そのような実態を反映して設定されるといいかと思います。簡単ですが補足説明とさせていただきます。
○渡辺委員 国内の取組として、更に補足させていただきます。農林水産省では、DONとNIVの低減措置を実際に行っており、共汚染の多いDONとNIV、今後、DONの低減と併せてNIVの汚染防止と汚染低減が実際に図られてくると予想されます。
また、先ほど話題に上った平成 29 年6月には、国産麦類ですが、汚染実態調査の結果を公表しており、通常の食生活では健康影響が生じる可能性は低いとされていますので、これも参考になるかと思います。
○大前部会長 TDIと比べて、汚染のほうも実際の数字もほとんど 10 分の1以下ぐらいで問題ないだろうというような状況であるということで、まだ、 Codex も数字は決めていないという状況です。
ということですので、取りあえず国際的な状況をウォッチする必要は、当然あると思いますが、現段階でNIVに関する基準値の設定は必要ない、あるいは、なかなか難しいということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、先ほど申し上げたように、また Codex で新たに作るとか新たな動きがあれば、この部会で審議するとして、今日の段階では特に審議しないということで、事務局には引き続き情報収集をよろしくお願いします。
○事務局 ニバレノールについては、 Codex の基準値設定等の動きがありましたら、当部会にて報告します。
○大前部会長 それでは、審議事項の最初の審議は終わり、DONについて今後の予定の説明を事務局からお願いします。
○事務局 本日の御審議を踏まえ、食品安全基本法に基づく食品安全委員会への意見聴取や、パブリックコメントの募集等の必要な手続を進めさせていただきたいと思います。
○大前部会長 それでは、今回の2つ目の議題です。飲料水の規格基準の改正について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2 - 1を御準備ください。清涼飲料水の規格基準の改正について説明させていただきます。まず1ページです。清涼飲料水は昭和 34 年に「食品、添加物等の規格基準」の第1食品の部D各条において規定され、必要に応じて所要の改正が行われてきています。平成 14 年、 Codex 委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準改正の動きを受けまして、当部会において清涼飲料水の規格基準の改正について審議し、平成 15 年の内閣府食品安全委員会の発足とともに、化学物質 48 項目について食品健康影響評価を依頼しています。
その後、平成 21 年より食品健康影響評価の結果が得られた物質につきまして、当部会で審議し、平成 26 年 12 月にそれまで審議された物質について成分規格を改正したところです。このとき、食品健康影響評価が未答申であるということから当部会で審議できなかった物質につきまして、食品安全委員会からの答申状況を踏まえ、規格基準の改正を行うこととしています。
今般、新たに食品安全委員会から答申がありました物質に係る清涼飲料水の規格基準の改正について、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに、平成 28 年 11 月 21 日付け及び平成 29 年9月 20 日付けで諮問されています。
2の審議事項になります。食品安全委員会での評価が終了した別紙の5物質につきまして、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないもの」、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの」、「ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」について、平成 22 年 12 月 14 日開催の部会で決定しております「清涼飲料水の成分規格の改正について」の基本方針等を踏まえつつ、別紙のとおり改正するという内容です。こちらの詳細は後ほど説明します。
3の今後の対応ですが、これらの規格基準の改正案は食品健康影響評価を踏まえておりますので、当部会で了承された規格基準については、これまでに御審議いただいた項目を含めまして、パブリックコメント等の所要の手続終了後に告示の改正を行いたいと考えています。
続いて別紙の前に、参考資料2 - 2で基本方針を説明します。別冊の 11 ページを御覧ください。こちらが、ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等についてということで、基本方針を定めたものです。ローマ数字2、ミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌ありの成分規格の設定方針としましては、基本的には水道法であったり、WHOの飲料水ガイドラインの基準値を原則として設定することとしていますが、 ( 1 ) 健康関連項目のマル1の最後の部分にありますが、健康関連項目につきましては、水質基準とされている項目については成分規格の項目として設定することとしています。
続いて 12 ページの ( 2 ) 性状関連項目とありますが、性状関連項目については、水質基準及び水質管理目標において、水の性状の観点からの評価値に基づき基準値等が設定されている項目となりますので、こちらについては原則として成分規格の項目として選定しないと定めています。
続いて 13 ページの真ん中、ローマ数字3となります。先ほどまではミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌ありのものとなりますが、こちらにつきましては、殺菌・除菌なしのものの基本方針となります。こちらについては、原則として Codex のナチュラルミネラルウォーター規格に準拠する形で基準値設定を行うとしています。
先ほどの資料2 - 1の別紙にお戻りください。先ほどの基本方針を踏まえまして、本日御審議いただきたい5物質となっています。まず、ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの化学物質等の成分規格としまして、現在亜鉛については現行基準値が5 mg/L となっていますが、改正案としましては基準値なしとしています。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は現行基準値として 10mg/L となっていますが、改正案も同じく 10mg/L としています。亜硝酸性窒素については、現行基準値はありませんが、改正案としては 0.04mg/L としています。
続いて真ん中ですが、ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものの化学物質等の成分規格、こちらは上段の行わないものと同じとなっています。
最後は一番下ですが、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水の製造基準についてです。鉄につきましては現在 0.3mg/L が設定されていまして、改正案としては基準値なし。カルシウム・マグネシウム等、こちらは硬度と呼ばせていただきますが、こちらについては現在 300mg/L が設定されていますが、改正案としては基準値なしとしています。
次に資料2 - 2の説明の前に、先ほど説明しました亜鉛と鉄、硬度について、これまでの経緯を説明させていただきます。当該3物質については、食品規格部会では2度目の審議項目となっています。先ほどの参考資料1 - 2で、規格基準設定の基本的な考え方を説明させていただきましたが、ミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌ありの性状関連項目については、基準値設定とはしないこととしています。当該3物質は全て性状関連項目となっています。また、ミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌なしについては Codex にて基準がないことから、同じく基準値設定をしないこととなりまして、平成 22 年の当部会の御審議の中では、基準値は削除することで一度御了承いただいているものとなっています。しかしその後、平成 25 年4月に食品安全委員会へ諮問した際、削除することについては食品安全委員会、化学物質・汚染物質専門調査会にて審議が必要との結論を得ておりますので、平成 25 年5月の当部会にて、当該3物質については食品安全委員会からの評価結果を踏まえて、改めて基準値設定について御審議いただくこととなっています。
今般、当該3物質については、平成 29 年4月に食品安全委員会より答申がなされたことから、改めて御審議いただくものとなっています。なお、現状については先ほどの経緯で御説明しておりますが、平成 26 年の改正時に当該3物質について削除することができなかったため、当時の規制を維持する観点から、亜鉛については殺菌・除菌あり、なし、両方に設定されています。鉄と硬度については、ミネラルウォーター類には当時は規制がありませんでしたので、新たに設定することはしませんでしたが、鉄と硬度は当時の規制を維持する観点から、その他の清涼飲料水の製造基準として、原料として用いる水の基準として、現在も設定されています。以上が経緯となります。
続いて資料2 - 2の説明をさせていただきます。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの成分規格の検討項目となります。亜鉛については評価値の位置付けとしまして、先ほど申し上げた性状関連項目となっています。食品安全委員会の評価結果としましては、TDIは設定されておらず、亜鉛の摂取量に関する上限値と比較しまして、ミネラルウォーター類、水道水、食事等から亜鉛摂取によって健康被害が生じるリスクは低いと評価されています。
続いて水道法の評価結果です。平成 15 年の改正におきまして、1 mg/L 以上でお湯に溶かすと白く濁り茶の味を損なう例があるということから、味覚と色の観点から水質基準値として 1.0mg/L が設定されています。 Codex の基準値ですが、現状は基準値なしとなっていまして、食品衛生法では5 mg/L となっていますが、基準値の削除という案としています。
続いて同じ亜鉛の項目となりますが、資料2 - 3を御覧ください。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものの成分規格となります。水道法の評価結果までは同じとなりますが、右から2つ目、WHOの飲料水水質ガイドラインが変わっていまして、WHOは同じく基準値なしとなっています。こちらは、飲料水中から検出される濃度では健康上の懸念はないとされていまして、現行は5 mg/L となりますが、基準値案としては削除と提案させていただいております。
続いて資料2 - 2に戻っていただきますが、2つ目の硝酸性窒素・亜硝酸性窒素になります。こちらは健康関連項目となっていまして、食品安全委員会の評価結果としましては、硝酸性窒素について非発がん性ということで、ヒトの疫学調査において、乳児におけるメトヘモグロビン血症の NOAEL からTDIが算出されていまして、 1.5mg/kg 体重 / 日。亜硝酸性窒素については非発がん性ということで、ラットの 13 週間の飲水投与試験における副腎皮質球状帯の肥大の NOAEL からTDIが 15 μ g/kg 体重 / 日と。こちらについては不確実係数 100 で計算されています。
続いて水道法の評価結果ですが、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素については平成 25 年3月の部会で、幼児のメトヘモグロビン血症の防止の観点から評価されていまして、現在は水質基準値として 10mg/L が設定されています。水道法の中において、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素につきましては、自然界では硝酸塩に比べて低濃度で硝酸性窒素が存在するということもあり、検査法も一緒であるということから、一体として考えるということで、合計値として基準値が設定されています。
続いて Codex の基準値ですが、硝酸塩として 50mg/L 、亜硝酸塩として 0.1mg/L 。こちらは硝酸性窒素ではありませんので、換算させていただきまして、※の所にありますが、硝酸性窒素としますと約 11mg/L 、亜硝酸性窒素としては約 0.03mg/L となっています。現行基準値としては 10mg/L が設定されていますが、新たな基準値案としては同じく 10mg/L としています。
続いて資料2 - 3、殺菌・除菌ありのほうを御覧ください。亜鉛と同様に水道法における評価までは変わらずで、右から2つ目のWHOの飲料水の水質ガイドラインの値が異なっています。WHOですと硝酸性窒素は 11mg/L と設定されており、亜硝酸性窒素については 0.9mg/L となっています。こちらについても現行基準値 10mg/L が設定されていますが、新たな基準値案としては同じく 10mg/L としています。
また資料2 - 2に戻りますが、資料2 - 2の3つ目の物質として亜硝酸性窒素です。食品安全委員会の評価結果としては非発がん性ということで、先ほどと同じとなりますが、ラットの 13 週間の飲水投与試験の副腎皮質球状帯の肥大の NOAEL から、TDIとしては 15 μ g/kg 体重 / 日ということで、不確実係数 100 で計算されています。
水道法における評価結果ですが、平成 25 年3月の生活環境水道部会にてTDIの寄与率 10 %として評価されていまして、水質基準値として 0.04mg/L が設定されています。こちらにつきましては、平成 10 年の専門調査会の評価にて、亜硝酸性窒素については極めて低濃度でも影響があるということが分かっておりますので、硝酸性窒素とは分けて、単独で評価値として定められています。
Codex の基準値ですが、亜硝酸塩として 0.1mg/L が設定されています。亜硝酸性窒素に換算しますと、約 0.03mg/L となっています。現行基準値はありませんが、新たな基準値として 0.04mg/L としています。
資料2 - 3の亜硝酸性窒素を御覧ください。こちらもWHOの飲料水水質ガイドラインということで、右から2つ目を御覧いただきたいのですが、WHOにつきましては 0.9mg/L が設定されています。こちらは人工栄養児におけるメトヘモグロビン血症の予防のためというところで設定されています。基準値としましては、現行はありませんが、新基準として 0.04mg/L としています。
資料2 - 4を御覧ください。ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水の製造基準の検討項目としています。まず鉄ですが、こちらは性状関連項目となっていまして、食品安全委員会の評価結果としましては、TDIの算出はされておりません。こちらについては、鉄の摂取量に関する上限値と比較しまして、ミネラルウォーター類、水道水、食事等から鉄摂取によって健康被害が生じるリスクは低いと評価されています。水道法の評価結果です。平成 15 年改正におきまして、 0.3mg/L 以上で洗濯物や便器にしみが付くということから、味覚及び洗濯物への着色の観点より、水質基準値 0.3mg/L が設定されています。 Codex の規格、WHOの飲料水ガイドライン、いずれについても基準値は現在ないという状態となっています。現行は 0.3mg/L ですが、基準値削除という案としています。
続いてカルシウム・マグネシウム等 ( 硬度 ) についてです。評価値の位置付けとしては性状関連項目となっていまして、食品安全委員会の評価結果としましては、TDIは算出されていません。カルシウムにつきましては、カルシウムの摂取量に関する上限値と比較しまして、ミネラルウォーター類、水道水からのカルシウム摂取量によって、健康被害、健康影響が生じるリスクは低いとされています。同じくマグネシウムについても、同様に健康被害が生じるリスクは低いとされています。硬度については次のページになりますが、上記の結果よりミネラルウォーター類からカルシウム及びマグネシウムの摂取によって健康被害が生じるリスクは低いと評価されています。続いて水道法の評価結果です。平成 15 年の改正時におきまして、石鹸の泡立ち等の影響を防止する観点から、水質基準として 300mg/L 。また、おいしい水の観点から、水質管理目標として 10 ~ 100mg/L が設定されています。 Codex とWHOにつきましては、いずれも基準値がないという状態となっていまして、現在は 300mg/L と設定されていますが、基準値を削除してはどうかという案としています。
最後に資料2 - 5を御覧ください。ミネラルウォーター類中の亜鉛の含有濃度実態調査の結果となります。こちらは国内外の 150 銘柄を対象として検査をした結果となります。検出数としては 109 出ていますが、最大値として 0.093mg/L となっています。現行基準値が5 mg/L となりますので、かなり低い値で推移しています。
続いて2番目になりますが、同じくミネラルウォーター類中の亜硝酸性窒素の含有濃度実態調査の結果です。こちらは国内外の 115 銘柄の調査をしまして、検査としてはイオンで実施しますが、換算して亜硝酸性窒素として表を作成しています。全体で検出としては 13 銘柄、約1割が検出していますが、そのうち最大でも 0.018mg/L となっています。現行基準値はありませんが、新たな案で設定している 0.04mg/L と比べても低い値となっています。清涼飲料水の説明については以上です。
○大前部会長 ありがとうございました。事務局のほうから、資料2 - 1から資料2 - 5に基づきまして、規格基準の見直しについて説明をしていただきました。亜鉛、鉄、カルシウム・マグネシウム、まとめて硬度ですが、硬度については既に平成 22 年の当部会で削除するということで審議済みでしたが、食品安全委員会のほうの評価が終わっていなかったということで、まだ現行基準が残っている状態ということです。食品安全委員会からの評価ですと、いずれも食事等から健康影響が生じるようなリスクは低いということで、平成 22 年の削除という、そのときの決定どおりでいいのではないかということです。
それから、鉄と硬度につきましては、清涼飲料水の原水基準をそのまま使ったということで、それが製造基準になっているということですね。硝酸性窒素と亜硝酸性窒素につきましては、水道法の値を使っているということですが、今回は両方のトータルの分と、亜硝酸性窒素が独立した分と、分けて提案されているということになります。亜硝酸性窒素が 0.04mg/kg という結構低い数字になっています。両方合わせたのが 10mg/kg に対して、亜硝酸性窒素が独立しますと 0.04mg/kg という、少しアンバランスといいますか、そんな感じがする提案になっていますが、先生方の御意見、あるいは御質問はいかがでしょうか。実際に実態調査からいくと、亜硝酸性窒素も最大値が 0.018mg/kg なので、十分低いレベルが実態であるということですが、よろしいですか。
○浅見委員 若干補足のようになりますが、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の合計値というのと、亜硝酸性窒素単独というのが、並列しているのが奇異に感じられるかなと思うのです。もともと環境中に硝酸性窒素と亜硝酸性窒素はたくさんありまして、この濃度が高いということで、メトヘモグロビン血症を起こさないようにという水質基準値があります。またこれが排水基準等とも連動しているということもあって、窒素を中心とした考え方で、亜硝酸性窒素から硝酸性窒素に変換が起こる場合があるということも踏まえて、両方とも測って管理をしましょうということで、昔から設定をされているものが、こちらのほうにも反映していると思っています。
亜硝酸性窒素のみに関しては、別途、厳しい毒性の評価が出てきたということが途中でありまして、水道法のほうでは厳しい値で更に設定されたという経緯がありまして、その並びで考えていただけたかなということです。実際上は非常に濃度が低いということもありますので、このような値で行っていただけるのかなと思っています。
あと、鉄、カルシウム・マグネシウム、亜鉛に関しては、もともと洗濯ですとか着色の観点、味のえぐみという観点から設定をされているものですので、ミネラルウォーターに関してはそれを好んで飲まれる方もいらっしゃるということで、こういう値で基準値を削除するということで差し支えないのではないかなと考えています。
最後に細かいところですが、資料2 - 5で亜硝酸性窒素の実態調査をしていただいたのですが、以前に気が付かなくて申し訳なかったのですが、これは分析方法が多分イオンクロマトグラフ法、誘導結合プラズマではなくてイオンクロマトグラフ法ではないかなと思いますので、御確認をお願いできればと思います。以上です。
○大前部会長 そうですね。分析方法は多分間違っていますよね。
○事務局 御指摘ありがとうございます。確認させていただきます。
○大前部会長 お願いします。そのほか、先生方からこの提案に対して何か御意見はありますか。特に御意見がないようでしたら、事務局の提案をこのまま承認ということでよろしいですか。ありがとうございました。それでは、この件について今後の予定を事務局からお知らせください。
○事務局 今般の部会での審議を踏まえまして、これまでの食品規格部会で御了承いただいた項目と合わせまして、パブリックコメント等の規格基準改正の必要な手続に入らせていただきたいと考えています。具体的には参考資料2 - 3を御覧ください。別冊の 15 ページとなります。少し白黒で見にくい部分があろうかと思いますが、網掛けがちょうどなくなっている所の、ニッケルから下の部分については、これまでの当部会で御審議いただきまして、既に告示改正済みの物質や、当面の間は保留するということが決まっている物質となっています。
その上の濃い網掛けの物質、セレンからアンチモンまでの6物質がありますが、こちらが昨年度からの部会で既に御了承いただいたものとなりますので、今般、御審議いただいたものを踏まえまして、 11 物質について告示改正の手続を進めさせていただきたいと考えています。
残りの物質につきましては、食品安全委員会からの答申と汚染実態調査の結果を踏まえまして、適宜、当部会にて御審議いただきたいと思っています。以上です。
○大前部会長 ありがとうございました。資料2 - 3を見て、6物質が残っていますが、それ以外については今日の審議までで一応目処がついたということになろうかと思います。昨年度のこの表でいきますとセレンからアンチモン、この部分と今日の審議された部分を合わせて告示の改正をしたいということですが、よろしいですか。ありがとうございました。それでは、続いてその他、事務局から何か連絡事項はありますか。
○事務局 次回の部会の開催日時等につきましては、後日、事務局より追って連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○大前部会長 どうもありがとうございました。前半の議論につきましては、乳幼児等に関する議論等がありました。DONを減らすような可能性があるのだったら、特に乳幼児に関しては、 ALARA の原則に基づいて十分なコスト等々を含めて減らせるような方法があれば、それは是非、業者の方々のほうにお伝えいただいて、減らすように努力していただきたいということを、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、今日は予定としては 12 時までなので、大分早いのですが、これで今日の審議を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
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