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2018年10月19日 第13回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会

雇用環境・均等局

○日時

平成30年10月19日(金) 10時00分~12時00分

 

○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省共用第6会議室

○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、武田委員、守島委員、山田委員
 

【労働者代表委員】

梅田委員、小原委員、齋藤委員、松井委員、村上委員、吉清委員
 

【使用者代表委員】

秋田委員、及川委員、杉崎代理人(小林委員)、鈴木委員、田代委員、中野委員

○議題

 ・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部改正法の施行について 
 ・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について

○議事

○守島部会長 おはようございます。定刻よりちょっと早いのですけれども、ただいまから第13回「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出席状況につきましては、公益代表の中窪委員、松浦委員、使用者代表の小林委員が御欠席です。
 なお、小林委員は、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様が代理出席をされておられます。
 それでは、事務局から定足数の確認をお願いしたいと思います。
○松永有期・短時間労働課長 定足数について御報告いたします。
 労働政策審議会令第9条においては委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございました。カメラは入っていませんね。
 それでは、議事に移りたいと思います。本日の議題は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部改正法の施行について」「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について」でございます。
 まず事務局から資料の御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○吉村多様な働き方推進室長 それでは、事務局から資料について御説明をさせていただきます。
 本日は資料1から資料4という形でお配りをさせていただいております。通しで1から4まで御説明をさせていただきます。
 まず資料1でございますけれども、前回の部会におきましてお時間が足りなくて議論が十分できなかった部分でございます。再度、資料1という形で提出をさせていただいております。
 資料2から資料4につきましては、これまでさまざまな論点につきまして一度、部会において御議論いただいた結果につきまして、事務局としてそういった議論を踏まえて修正案という形で再度、御提案させていただいているものでございます。後ほど御説明をさせていただきます。
 まず資料1について御説明をさせていただきます。「委員からの質問事項について」という資料でございます。
 前回の部会における資料4と内容は変わっておりませんが、資料のつくり方を少し統一的にいたしまして、冒頭に考え方というものを記載するような形にしております。
 1ページ目の「1 地域指数の計算」につきましては、前回から特に記載内容は変わっておりません。
 3ページ目の「2 賞与指数の計算」につきましては、冒頭に考え方を追記しております。勤続0年の所定内給与と賞与を合算した額が計算できるような指数を作成しているということを考え方のほうに記載しております。
 4ページ目の「3 勤続年数指数の計算」につきましても、冒頭のところに勤続0年の所定内給与と賞与を合算した額に乗じることで、勤続年数ごとの所定内と賞与の額が計算できる指数を作成しているということを追記しております。
 5ページの「4 通勤手当(時給71円)の計算」、6ページの「5 賃金構造基本統計調査における学歴計初任給との調整(12%)の計算」については、特に修正しておりません。
 7ページ目の「6 退職金割合(6%の計算)」につきましても、冒頭に考え方ということで、退職給付等の費用が所定内給与と賞与を合算した額に占める割合を計算するという考え方を記載しているものでございます。
 資料1は以上でございます。
 続きまして資料2をご覧いただけますでしょうか。「同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台(短時間・有期雇用労働者に関する部分)」というものでございます。これにつきましては部会で一度、御議論いただいたものから修正している部分につきまして赤字にしております。後ほど出てきますけれども、部会での御意見を踏まえたようなものにつきましては、さらに黄色いマーカーをつけております。赤字だけになっている部分につきましては、法制的な検討をする過程で書きぶりを修正したものでございまして、内容的なものは修正をしておりません。そのため黄色く塗り潰している部分につきまして御説明をさせていただきます。
 2ページ目の真ん中あたりに「我が国が目指す」をマーカーで塗っている部分があるかと思います。これにつきましては同一労働同一賃金という用語につきまして、裸で使用することについては誤解を招くのではないかという御意見もございましたので、「我が国が目指す」という修飾語をつけまして、その後、我が国が目指す同一労働同一賃金の内容を説明するような形で、意図していることが明確になるような形にしております。
 また、我が国が目指す同一労働同一賃金の内容につきましては、従前、パート・有期と派遣を統合したような記載になっておりまして、わかりにくいのではないかという御指摘もございましたので、派遣部分を切り分けまして、派遣にあっては派遣先に雇用される通常の労働者の不合理と認められる待遇差などの解消、協定方式にあっては法の要件を満たし、協定に沿った運営が行われていることを目指すということを明記するような形にしております。
 3ページ目でございます。この部分につきましては真ん中あたりに4行ほど追加されている部分がございますけれども、この部分につきましては部会での御意見を踏まえまして、派遣における特殊性を踏まえた認識の共有が求められる旨の記載を追記しているところでございます。
 4ページ目、5ページ目にかけまして、記載が削除されている部分がございますが、これにつきましては附帯決議を受けた記述でございまして、目的のところに記載するのは不適当ではないかという御意見がございましたので、後ほど御説明しますが、基本的な考え方のところに移動をさせているというものでございます。
 5ページ目の下から2行目のところに、退職手当、住宅手当、家族手当等というものが追記されておりますが、これにつきましてはガイドラインに原則となる考え方が示されていないものの例といたしまして追記をしまして、こうした待遇についても不合理な待遇の相違の解消が求められるということが明確になるように修正をしております。
 続きまして6ページから7ページにかけまして追記されている部分がございますが、これにつきましては先ほども御説明いたしましたが、附帯決議を受けた記述を目的のところから基本的な考え方のところに移動をさせてきたものでございます。
 7ページの下から8ページにかけて定義というところがございます。これにつきましては法律に記載があるものについては記載が不要ではないかという御指摘も踏まえまして、定義のところを全体として削除をするという修正をしております。
 12ページの基本給のところでございます。基本給の問題とならない事例のロというところございますが、「待遇上のペナルティ」という表現は不適切ではないかという御意見がございましたので、法令用語も調べた上で「待遇上の不利益」という表現に変更しております。
 少し飛びまして15ページでございます。基本給の注というところでございますけれども、この記述が長いという御意見がございまして、まず小見出しをつけるという形にしております。最初の小見出しとしまして決定基準・ルールの相違がある場合という見出しをつけまして、その後に記述をさせていただいております。その後、15ページの真ん中あたりからさらに、ここからは定年後、継続雇用された有期雇用労働者の取り扱いに関する記述でございますので、その旨の小見出しをつけ加えております。さらに小見出しのすぐ後でございますけれども、部会での御意見を踏まえまして、定年後、継続雇用された有期雇用労働者もパート・有期法の適用を受けるということを追記しております。
 さらに15ページの下から17ページにかけまして長い記述がございますが、長澤運輸事件の最高裁判決を受けた記述でございます。この部分につきましては記述が長くてわかりにくい、端的にしてはどうかという御意見を踏まえまして、結論部分だけを記載するように記述を短くしております。
 17ページの手当の部分でございますけれども、ここは賞与も含んでおりましたが、賞与は手当から分離して記述したほうがいいのではないかという御意見も踏まえまして、賞与を独立した記述としております。
 18ページの賞与の問題となる事例のロでございますが、この部分につきましては直前のイと同じような前提を想定しておったのですけれども、その部分が不明確でありましたので、業績等への貢献に応じて支給している例であることを明確にしております。
 18ページの下から2行目の「3 手当」につきましては、賞与を手当から分離して記述することにしましたので、手当の記述がここから始まっているということで3の見出しがついております。また、手当の最初の例でございます部分につきましては、役職の内容(責任の程度)という記述が不明確ではないかという御意見がございましたので、役職の内容という記述に統一をしております。
 少し飛びまして23ページから24ページにかけまして、通勤手当の問題とならない例でございますが、採用圏を限定するというやり方は、公正な採用選考との関係で問題があるため、事例を少し修正しまして、本社採用の労働者と店舗採用の労働者との間で通勤手当の上限に違いがある事例に少し変更させていただいております。
資料2は以上でございます。
続きまして、資料3「同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台 対照表(派遣労働者に関する部分)」というものでございます。こちらも法制的な検討をする過程での修正、これは赤字にしております。さらに部会での御議論を踏まえた修正につきましては黄色く塗り潰しております。
構成といたしましては、まず最初に派遣先均等・均衡方式の規定、それから、26ページ以降に労使協定方式の記述と続いておりますが、黄色く塗り潰している部分につきましては、基本的に部会での御意見でも派遣の場合は関係者が多くて、派遣先の話をしているのか、派遣元の話をしているのかわかりにくいという御意見を踏まえまして、主語を明確にするような修正をしております。そういった部分が例えば11ページですとか、13ページに黄色く塗り潰しておりますが、こういった形で「派遣先及び派遣元事業主が」ですとか、「派遣元事業主は」という形で主語を明確にしております。
最後に31ページ目以降に記述を削除している部分がございます。こちらにつきまして「短時間・有期雇用労働者である派遣労働者」につきまして、いわゆる二重適用の考え方について記載をしている部分でございました。この部分につきましては難解で原則だけを簡潔に記述すべきではないかですとか、図示するなどでわかりやすく周知すべきではないかといったようなさまざまな御意見をいただきまして、この部分につきましては通達や広報資料などで図示を加えるなどして周知していきたいということで、ガイドラインの記述からは削除させていただいております。
 資料3は以上でございます。
 続きまして資料4を見ていただけますでしょうか。「短時間・有期雇用労働法、労働者派遣法の省令・指針に定める事項について(案)」というものでございます。
 1ページを見ていただきますと、まず短時間・有期雇用労働法に関する事項ということで、左に項目、真ん中に法律の条文、右側に事務局から提案をさせていただく省令・指針において定める内容(案)というものが続いております。赤い背景になっている部分が短時間・有期雇用労働法に関する部分でございまして、後ほど御説明いたしますが、4ページ目以降、緑の背景になっている部分が労働者派遣法に関する部分でございます。
 これまで部会でお示しをさせていただきました提案内容から変更していない提案につきましては、右側の欄の省令・指針において定める内容(案)の部分が黒字になっております。後ほど御説明いたしますが、部会の御意見を踏まえまして変更している部分につきまして、一番右の欄を赤字にして提案をさせていただいております。
 まず、短時間・有期雇用労働法につきましては、これまで部会でお示ししている内容から今回の提案で特に修正している部分はございませんので、1から3までの右側の欄が黒字になっているというものでございます。
 4ページ目以降の派遣の部分でございます。まず6ページ目を見ていただけますでしょうか。下の段でございます。この部分につきましては特に赤字にはなっておりませんが、下の段で賃金(法第30条の4第1項第2号ロ及び法第30条の5の対象とならない賃金)という記述がございます。30条の4第1項第2号のロの対象とならない賃金につきましては、協定における賃金の定め方といいますのは、通勤手当その他の省令で定めるものにつきましては、職務の内容等の向上があった場合の賃金の改善ということは必要とはされていないということになっております。
 また、30条の5の対象とならない賃金につきましては、派遣労働者の賃金は職務の内容等を勘案して決定するように努めなければならないというのが原則でございますが、通勤手当その他の省令で定めるものについては、この努力義務からは除外をされているというものでございます。
 両者とも職務の内容等を勘案して賃金を決定することが適当ではないものを省令で定めております。明示的にこれまでの部会で御議論はいただいておりませんでしたが、趣旨といたしましては以前、部会で御議論いただきました3ページ目の上の段の法10条の対象とならない賃金という部分がございます。これも同じように職務の内容等を勘案して賃金を決定することが適当ではないものを省令で除外をしているという規定でございまして、この省令につきましては9回目の部会で御議論を省令案についていただいております。
 具体的には3ページの上の部分の右側ですけれども、省令で規定する内容の案としては通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他の名称の如何を問わず支払われる賃金のうち、職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外のものという提案をさせていただいております。
 6ページの下の段の派遣法に基づく省令につきましても、このパート・有期法に基づく省令の規定の趣旨と同じようなものを定めることを考えておりますので、念のため案として御提案をさせていただいております。
 9ページ目を見ていただけますでしょうか。上の段の協定対象派遣労働者に対する安全管理についてでございます。前提といたしましては、労働安全衛生法などの義務が派遣先にかかっている部分を変更しようというものではございません。協定方式をとっている場合につきましては、賃金以外の待遇につきましては派遣元の通常の労働者との均等・均衡が求められておりますので、法律で求められている以上の安全管理に関する措置につきまして、派遣先が派遣先の通常の労働者に対しまして講じている部分につきましては、派遣先の通常の労働者と派遣労働者との間で、こうした安全管理に関して差が生じる可能性がございます。こうした安全管理につきまして差が生じることにつきまして、好ましくないのではないかという御意見もございましたので、派遣元が派遣労働者に対して行う安全管理に関する措置、給付のうち職務に密接に関連するものにつきましては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理な相違等が生じないようにすることが望ましいという旨を派遣元指針において規定してはどうかというものでございます。
 9ページの下の段の派遣先における施設の利用に関する配慮でございます。給食施設、休憩室、更衣室、こういったものにつきましては派遣法40条3項において、派遣先が派遣労働者にも利用の機会を与えることが必要になっておりますが、こうした3施設に加えまして、今回の改正後の派遣法40条4項におきまして、派遣先は、派遣先に雇用される労働者が通常利用している診療所等の施設につきまして、派遣労働者に対する利用に関する便宜に配慮しなければならないという規定がございます。
 部会での御意見も踏まえまして、この配慮が求められている施設につきまして、診療所以外にもあるということを派遣先の指針におきまして明記してはどうかというのが右側の案でございます。具体的に申し上げますと、健康保険組合など、派遣先とは異なる主体が設置運営しているものにつきましては、配慮の対象外であることを明示するために、「派遣先が設置及び運営し」という文言を追加した上で、施設といたしましては診療所に加えまして物品販売所、病院、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設などという形で、こういったものの施設の利用に関する便宜を図るように配慮しなければならないということを指針に書いてはどうかというものでございます。
 続きまして16ページをごらんください。比較対象労働者の情報が変更された場合等の派遣労働者への情報提供という部分でございます。派遣先の待遇につきまして変更があった場合に、派遣先から派遣元には情報が提供される形になっておりますが、派遣元から派遣労働者には情報が伝わる仕組みとなっていないことにつきまして、不適当ではないかという御意見が部会でもございました。この点につきましては、派遣元事業主は派遣労働者からの求めがない場合であっても、変更があったことが派遣先から情報提供された場合など、考慮した事項に変更があったときにつきましては、その内容を派遣労働者に情報提供することが望ましいということを派遣元指針に定めてはどうかということで提案をさせていただいております。
 資料4は以上でございます。
 最後に参考資料1から4をつけておりますが、参考資料1につきましては第9回から第12回までの部会での主な御意見ということで、事務局で御議論を整理させていただいております。
 9ページ目以降に第12回、直近の部会での御意見を追加をしている部分がございまして、12回の御意見として追加させていただいている分につきましては、下線を引いた形で9ページ、11ページ目以降に整理をさせていただいております。
 参考資料2は改正法の条文、参考資料3は新旧対照表、参考資料4は部会の建議というものでございまして、これまでも参考資料としてお配りしておりますので、説明は省略をさせていただきます。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、議論に入りたいと思いますけれども、本日の議論の流れは次のように進めたいと思います。
 まず今、御説明いただいた資料1について議論をいただきます。続いて資料2、資料3をまとめて議論したいと思います。最後に資料4を議論したいと思います。
 それでは、資料1について何か御意見とかございましたら、どうぞ発言ください。小原委員、お願いします。
○小原委員 まず資料1に関しては、今回、指数計算にあたっての考え方を追記いただき、フォーマットも統一していただいてわかりやすくなったと思います。ありがとうございます。
 その上で2点ほど発言させてください。私たちは今、限られたデータの中で「一般労働者の賃金水準」の額の示し方として、どのような方法がいいのか審議していると理解しています。決して賃金額の上げ下げの交渉をしているわけではないと理解しています。
 その上で、資料1の3ページ目の賞与指数の<具体的な計算>で示されている勤続0年の年間賞与4万9,300円という数字についてです。この4万9,300円という数字はいわゆる勤続0年目の賞与というよりは寸志などの一定額、つまり新入社員の夏季賞与のかわりに支給されるものに近いのではないかと理解しています。次のページの、勤続年数指数の<具体的な計算>の部分でも、2項に勤続0年目の年間賞与は4万9,300円とございます。勤続1年目になると年間賞与は41万7,800円となっており随分差があると思います。恐らく賃金構造基本統計調査が直前1年間、原則として1月から12月までの暦年を使っているため、勤続0年の数値は1月に支給された賞与が入っていないのではないかと予想します。勤続0年目の年間賞与は、このような賃金構造基本統計調査の癖を考慮して検討する必要もあるのではないか。例えば、勤続1年目の年間賞与の半分を加算する。この方法はかなり乱暴ですが、そのような精査をして検討することも必要なのではないかというのが1点目でございます。
 もう一点、前々回の部会で、7ページ目にある、退職金割合について、<具体的な計算>で6.02と算出されたにもかかわらず6%にするのは乱暴ではないかという発言をさせていただきました。この発言をさせていただいた趣旨は、今回は最低のレベルを決めておりますので、その場合には切り上げがふさわしい、ということです。逆に、最高のレベルを決めるときは切り捨てがふさわしい。そういう意味で発言させていただいたというのを改めて追加させていただきたいと思います。退職金割合の計算だけでなく、ほかの数字についてもそのような御配慮をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 私どもも水準の上げ下げをするつもりはないということは共有しております。
 ただいまの勤続0年目の賞与額は低いのではないかという論点については、いろいろと理由があると思っています。
 御指摘をいただいたように、中途採用者でも新卒者でも最初の数カ月とか一定期間は賞与一時金を払わないですとか、あるいは払ったとしても寸志程度というような実態もあろうかと思います。
 小原委委員のご発言は、冬の賞与が反映されていないという御懸念からの御指摘だと思うのですけれども、ただ、公表データの不完全さということについては、この賞与に限られないのではないかという思いを強く持っております。このデータのもとになっています賃金構造基本統計調査は、10人以上規模の統計です。そうすると本来であれば1~9人のデータも補正をすることも考えられてしかるべきではないかと思いますし、また、前回少し申し上げさせていただいて繰り返しで恐縮ですけれども、退職金の6%の計算の仕方についても思いがございます。本日の資料の7ページに記載がございますけれども、退職金については企業規模が30人以上を対象にした調査結果であるため、水準は高めに出てしまうという問題があり、現金給与額についても31万2,659円をベースがされております。
 率直な感想として申し上げれば、勤続0年の方で現金給与が31万円を超える方というのはなかなか想像しにくいところでございまして、勤続0年目の一般の労働者の実勢からすると、相当実勢から上振れをしているのではないかという印象を持つところでございます。
 仮に委員おっしゃるような賞与等について何らか補正をかけるというようなことでありますれば、今、申し上げた点も含めて、すべからく補正等の御検討をいただきたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。では、山田委員。
○山田委員 2点あるのですけれども、1つは先ほどの賞与のところで少し違う観点なのですが、ここでは賞与を単年でデータを使っているということだと思うのでけれども、もともとその賞与というのはその年とか、前年ぐらいの業績によってかなり変動するという性格があると思います。しかも賃金構造基本調査というのはさらに1年前の統計ということですので、たまたまその前の年とかその前が高いと高いし、そうでないとそうでないということで、実績と大きくずれてしまう。本来はその年の業績に応じて払うというのが筋なのだと思うのですが、ただ、そこは多分、実務的には極めて難しいということになりますので、次善の策として例えば過去5年間の平均とか、退職金のところもそのようなことをするということですので、そのようにしたほうが納得性はあるのではないか。それが1つです。
 もう一点は、4つ目の通勤手当のところで、もともとこの賃金構造基本統計調査というのは、所定内給与というのは基本給プラス諸手当が合算して入っている。本来の趣旨は今回の同一労働同一賃金ということで言いますと、それぞれ個別 の手当を見ながら吟味していくということになっているのが原則なわけですけれども、なかなかそれは実務的にも難しいということで、ここでは諸手当合算でということになっているのだと思います。ただ、勤務手当の部分に関しては、かなり個人によって非常にばらつきが大きいということで、その部分だけ外出しをするということで計算をしていると理解しているのですけれども、そうすると逆にこれを外出しにすることになると、どのように勤務地手当を決めるかという基準をある程度、もちろんこれは労使で最終的に決めるわけですけれども、何か基準を示すことも必要ではないかと思います。
 1つの考え方は、一旦、外出しをしているのだけれども、71円ということをもう一回それとして載せるということが労使で合意すれば、それはそういうことでもあると思いますけれども、別に具体的に実態としてどのような決め方をしているのかという追加情報を参考に示すということも必要になってくるのではないかと思います。
 そこで、もともと71円という数字を持ってきたところの調査、JILPTの調査ですけれども、これを見ていくと具体的に実費で払っているケース、あるいは実費で基本的には払っているのだけれども、上限を設けているケースとか、さまざまなパターンがどれぐらいの割合で実施されているか。実際の上限の平均なんかも示されていますので、こういうところを具体的な労使協定を結ぶときの参考情報として示していくことが必要ではないか。それをもっと言いますと、最終的に労使協定を結ぶということになっていったときに、既に調査されているいろいろな統計があると思うのですが、そういうものを少しまとめられて、何か参考にするような、これは可能な範囲ということだと思うのですけれども、そういうデータの整備みたいなこともやったらいいのかなと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。お答えになりますか。
○松永有期・短時間労働課長 今、様々な御意見をいただきました。皆さんも共通認識だと思いますけれども、限られたデータの中でどうやってより近い姿を見せていくかということでありまして、そういったところでいろいろな御指摘をいただいたと思います。どのような形で御指摘を踏まえたところをやれるかということは、課題として考えていかなければいけないかと思いますけれども、一方で御指摘の中の趣旨の一つとしては、本当にこれが実態ではないものがそのまま出てしまうことで、誤解を与えてしまうのではないかというようなところもあるのだろうと思います。そういった懸念については、そういった前提でとったものですというようなことを注記する。あるいは先ほど山田委員からいただきました通勤手当の関係については、ほかにも参考になるようなデータをお示しするとか、そういった誤解を解くような方策を考えていくというのは、一つあるのかなと思っております。
 また、小原委員からいただいた小数点以下の切り上げの問題でございます。これは我々の資料の中でかなり6.02というのをお示ししたこともあって、それが誤解されてしまったかもしれませんけれども、今日お配りしている資料をご覧いただいても、一定の仮定を置いて別の統計から超勤手当相当を引くというようなことを前提にして割合を出したものでございまして、小数点以下の数字が本当に精緻なものかどうかというところは、御議論があろうかと思いまして、ある種、堅いところで6%をお示しをさせていただいているところございます。いずれにしても示し方について誤解を与えないようにする観点でどういったことができるか考えたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、吉清委員、お願いいたします。
○吉清委員 資料1でお示しいただいている、地域指数、賞与指数、勤続年数などの指数は直近年度の指標をもとに計算されています。また、賃金構造基本統計調査の減額調整値である12%も過去5年の平均で計算しています。まず確認したいのは、こうした指数は毎年計算し直して洗いがえして、毎年あるタイミングで通達等で示すということでよいのでしょうか。
○牛島需給調整事業課長 基本的には吉清委員御理解のとおり洗いがえをして、データが変わったときは通達で毎年度公表していくという扱いになろうかと思っています。
○吉清委員 そうしましたら、それを前提に意見ですけれども、労使協定方式における協定への記載事項のベースとなる指数や数値が1年に1回改定されるのであれば、おのずと労使協定の内容も1年に1回、1年ごとに棚卸ししたり再確認することが自然であろうかと思うわけです。そうすると省令上、有効期間の年数は限定しておりませんけれども、通達で示されますいわゆる望ましいとされる労使協定の有効期間は、2年以内ではなくて1年以内とするほうが合理的ではないかと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。お答えになりますか。
○牛島需給調整事業課長 有効期間という概念は、基本的には協定当事者間が、先ほど吉清委員がおっしゃられました公的統計だとか年度の洗いがえを行った結果、もしそれをもとに検証し直して改定する必要があるのであれば、そこは改定していただく必要があるのですが、そういった必要性がないのであれば、有効期間内はそのまま当事者の合意を尊重して、有効なまま扱うという理解であります。データが毎年度毎年度洗いがえされるということと、その協定の有効期間は必ずしもリンクするものではないという理解ですので、そこは御理解をいただければと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。では、秋田委員。
○秋田委員 今の関連で申し上げます。
 実務的には労使協定を結んで賃金を変える場合も、賃金部分だけ変えるという部分改定というのは十分あり得ます。したがって、全ての協定が有効期間1年となると、変える必要のないところまで縛ることはないということと、もう一つは例えばそういった数値に準拠して決めるにしても、その数値にある係数を掛けて賃金を決定するという本協定というのは幾らでもあって、その場合に賃金表については別紙で覚書等で結び、改定していくとか、実務的にはそういうことが行われておりますので、ぜひ御配慮いただきたいと思います。
○守島部会長 では松井委員、お願いします。
○松井委員 今のお答えの「改定する必要があるのであれば、そこは改定していただく」というのは、「一般労働者の賃金水準」の数字が改定されたことによって、労使協定の内容を変える必要が生じたら改定して締結する必要があるという理解でよいのでしょうか。
○牛島需給調整事業課長 おっしゃるとおり、一般労働者の賃金水準額を超えていただかなければいけない。一般労働者の賃金水準額というものが公的統計のデータを踏まえ毎年度改定されますので、そこで公的統計のデータが上がったことによりまして、今まで定めていただいていた賃金額が逆転をしてしまう、下回るということになってしまいますと、そこは改定をしていただく必要があろうかと思います。ただ、瞬時に変えていただくというのは難しいと思いますので、一般労働者の賃金水準額は変わったけれども、一定の猶予期間は考慮しなければいけないと思っておりますが、考え方としては今、申し上げたような形で考えております。
○守島部会長 ほかにどなたか。では鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 協定方式全般について、思うところを少し述べさせていただければと思います。
 前々回、協定方式の具体的な計算式が示され、本日もその根拠となる資料をお示しいただいたわけでございますが、改めて見てみますと、相当に複雑で、皆様御指摘のとおり、わかりにくいと、私も思っているところでございます。
 そこで例えば、協定を策定すること自体の作成フローチャートとか、あるいは過半数代表選出から協定を結んで派遣契約を結ぶまでの一連の作業フローチャートみたいなものを、事務局のほうで御作成いただけるとありがたいなと思っております。以前、松浦委員から現場実態に即した議論が必要との御発言がありましたので、そうした資料を用いることで議論がより深まるのではないかと思ったところでございます。
 それから、前回も申し上げて繰り返しで大変恐縮なのでございますけれども、お示しいただいている方式というものが退職金ですとか賞与、通勤手当の相当分をオンするというような仕組みになっていることも含めまして、総じて事務局から示された水準は今の派遣の実勢よりも高くなっており、派遣労働者の方にとって賃金改善の大きなチャンスが広がる、そのような中身のものだという印象を持っております。
 派遣先事業主としては、適宜派遣契約の改定交渉に真摯に応じていくことが必要だと思っております。その点については改正法で派遣料金の配慮義務という形で盛り込まれておりますので、これからしっかりと周知ということが必要になってくると思っております。
 ただし、同種の業務に従事する一般の平均的な労働者の平均賃金として、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計が示されているわけでございますけれども、労働者の従事する業務の中には、技能や経験を要しない全くの初心者でも行うことができる業務もあると聞いております。たたき台で示されました協定方式の仕組みだけでは、こうした状況に十分対応できないのではないかという懸念も持っているところでございまして、局長通達で示す統計以外を用いる場合の運用に当たりましては、そこら辺の特段の御配慮をぜひお願いできればと思っているところでございます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。松井委員、お願いします。
○松井委員 重ねてで申しわけございません。通勤手当の時給71円の根拠となっている調査というのはJILPTの5年前の調査です。この調査が定期的に行われている調査ではないと思いますので、早急に今後の統計の取り方を御検討いただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 先ほど鈴木委員からも出ましたように、労使協定に関していろいろと議論になっています。我々労働側も、前回までの部会で、指数などの計算結果とともに労使協定のひな形を示して欲しいということを事務局にお願いをさせていただいたところです。ぜひ次回の部会の中で、労使協定全体のひな形を示していただければと思っています。我々派遣労働者を組織している労働組合としては、実務を考えると、どういった労使協定を結べばよいのかということが最大の関心事の一つなのです。ぜひ次回部会で労使協定のひな形を示していただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかの点でも。よろしいですか。では、資料1についてはまた後で何かございましたら御発言いただいても構わないのですけれども、一応これで資料1については終わりにしたいと思います。
 続きまして、資料2及び資料3について御意見等がございましたら御発言いただければと思います。では、杉崎代理。
○小林委員(杉崎代理) 以前も同様の趣旨の発言をさせていただいたのですが、今回のガイドラインについて、各企業で均等・均衡を図るためのいろいろな準備をしていくに当たって、非常に重要な指針であることは間違いないかと思っております。その一方で今、企業の、特に中小企業のいろいろな実態を踏まえますと、同一労働同一賃金に対する認知がなかなか進んでいないというのも実態でございます。
 そうした現状を考えまして、このガイドラインを一読いたしますと法令用語も多々用いられておりますし、文字の量としてもかなりのボリュームになってございますので、ぜひこのガイドラインをわかりやすいような平易な表現かつ内容も簡単な形にまとめていただいて、パンフレットなどを別途作成していただきまして、これを広く周知していくことで各企業の準備作業を促進していただきたいと思ってございます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では、及川委員、お願いします。
○及川委員 ガイドラインなのですけれども、やはりだいぶ厚くなっています。これをどういうふうに中小・小規模事業者に読んでいただくか、大切な判断材料ということで活用するという観点から、いま一度工夫ができないかというふうに見たときに、該当箇所にすぐアクセスできるようにしていただきたいという声が届いております。
 例えば1ページ目にありますような目次なのですけれども、「第1 目的」「第2 基本的な考え方」「第3 短時間・有期雇用労働者」とありますが、この中にパート・有期の方が基本給を見たいとか、あるいは賞与、手当を見たい、福利厚生を見たいというときに、どの辺に書いてあるのかということがわかるとわかりやすい。特に単身赴任とか通勤手当というところの個別を見たときに、なかなかめくりにくいものですから、その目次のところを第1、第2の言う大きなくくりではなくて、1ポツ、できましたら(1)までブレークダウンをしていただいて、中小企業が気になる手当のところを早く見ていただくという工夫をしていただくと、大変ありがたいと思っています。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、岩村委員。
○岩村委員 今のやりとりに関連してですが、恐らく、今、及川委員のおっしゃったことを一番簡単に達成できるのは、厚労省なりのウェブでこのたたき台を元に作成した完成版を載せて、全部リンクを張ってというのが恐らく一番実務的にもわかりやすいものだろうと思います。ですので、厚労省だけではなくて各労働局とかそういったところのウェブでも見られるようにする工夫をしていただければ、非常に実務的にも使えるのかなと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。では、松井委員、お願いします。
○松井委員 1つ御質問ですけれども、資料2の同一労働同一賃金ガイドライン案の18ページにある、短時間・有期雇用労働者の賞与についてです。具体的には、<問題となる例>のロの意味合いなのですが、「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社においては、通常の労働者には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず、全員に何らかの賞与を支給している」とされています。この部分は、貢献等に応じて賞与を支給しているA社ではあるけれども、会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に支給という意味は、貢献の大小にかかわらずということで読むのだと理解しています。その場合、例えば、全体として平均5カ月分の賞与を支払っているけれども、4カ月分は業績への貢献などに関係なく全員に支払っている場合についてどう解釈するかなのです。17ページの賞与の基本的な考え方の部分で、同一の貢献であれば、貢献に応じた部分につき同一で払いなさいという表現になっています。裏を返せば、貢献に応じていない部分についてはどうするのかということが記載されていません。今回のロは、今の例で言うと、どのように解釈したらいいのかを確認をさせていただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では室長、お願いします。
○吉村多様な働き方推進室長 ロの部分でございますけれども、考えておりますのは業績などに対する貢献に応じて支給をしている例として、前提としております。この部分につきまして要は通常の労働者につきましては、会社の業績等を評価はされているのですが、幾ら貢献が低い最低ランクと判断された場合であったとしても、一定額は支払っておられる。ただ、短時間・有期雇用労働者につきましては、業績等の貢献に応じて支給されるというふうに全体ルールとしてなっているにもかかわらず、全く支給をしておられない。このような場合はさすがに問題になるだろうということで、問題となる事例として記載しているものでございまして、先ほどおっしゃったような5カ月のうち4カ月は固定で、1カ月は業績見合いという、そこまで精緻な事例というよりは、正社員については貢献が低かろうが何らかの支給は一定額しているけれども、パート・有期の方については全く支給をしていない。こういった例はさすがに問題だろうということで、何らかの支給をパート・有期の方にもしていただきたいという事例として書いているものでございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか。では、資料2及び3についてはほぼというか、余り出ませんでしたけれども、意見は出たという理解で。
○村上委員 資料3の派遣労働者の同一労働同一賃金ガイドラインについては、複雑な部分が残っているという意見は変わるものではございません。ただし、主語について明らかにしていただいたところは、きちんと読めば派遣元・派遣先のどちらが実施すべきなのかがわかるようになったと思います。
 その上で31ページ以降の「第7 短時間・有期雇用労働者である派遣労働者」については、労働者側からいろいろ意見を申し上げた点も踏まえて、ガイドラインからは一旦削除をいただく整理となっています。この提案については、ありがたいと思っております。ただ、先ほどのご説明では、ここに書かれたような考え方などについては、通達であるとか資料の中でわかりやすく示していきたいということであったと思います。
 その際、ぜひ留意いただきたいのは、法の適用関係などを決め打ちすべきではないということです。たとえば、手当というのも、家族手当とか精勤手当とかいろいろ名称はあるものの、中身はそれぞれの会社の中で性格は様々ですので、誤解されることがないようにしていただきたい。また、以前の案では、精勤手当は、職務の内容に関連するものとして派遣先均等・均衡のみで整理をされていましたが、派遣元の通常の労働者に精勤手当を払っている場合に派遣労働者に全く払わないということでよいのか。そこは違うのではないかということもありますので、是非留意していただきたい。この点が意見の1点目です。
 資料2の短時間・有期雇用労働者の同一労働同一賃金ガイドラインについても、3ページの目的の部分も含め、大分整理いただいてわかりやすくなってきたかと思います。その中で労働者側としてもずっと申し上げてきたのは、今回の同一労働同一賃金の法整備というのは、本来、賃金・労働条件は労使自治で決めるべきものであるけれども、それだけだと正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に待遇差があるという現状を踏まえ、非正規雇用で働く方々の処遇をどうやって均衡あるものにしていくのかということを、労使がしっかり話し合うべきだというメッセージであると思っております。私どもとしても労使で話し合っていく際に、非正規雇用で働く皆さん方の意見をきちんと聞いて交渉していく努力を今後一層、続けていかなくてはならないと思っております。同時に、使用者側の皆さんにもそのような努力をお願いしたいと思っております。3ページに追記されている「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者を含む労使の話し合いによって確認し、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者を含む労使で共有することが肝要である」という部分は、非正規雇用で働く皆さんの意見を聴いて労使で話し合っていくことを促進していく意味合いで受けとめておりますので、ぜひこういった理解で進んでいくようにしていきたいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、一応、資料2と資料3については議論を終えて、最後、資料4にまいりたいと思いますけれども、それについて何か御意見等ございましたら。齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 確認になるのですけれども、資料4の省令・指針事項のうち、部会で議論を受けて修正した点は3点あるかと思うのですが、それ以外にも部会で議論した点については、今後、通達などで考え方を整理するということでいいのかということです。
 もう1点は意見になるのですけれども、資料4の7ページ目、労使協定の周知の部分ですが、省令案は前々回示された資料から変更されていないと思っておりますが、3番目の派遣元の各事業所の見やすい場所に提示するという方法についてです。この方法を選択する場合は、あわせて労使協定の概要の書面交付ということがセットで必要になりますが、その概要にはどういった内容を書くべきなのかということについては、十分に議論されていないのではないかと思います。概要が派遣労働者に交付されるわけなので、そこにはきっちり考え方を整理しておくべきです。少なくとも賃金や手当の額については記載事項とすべきではないかと思います。
 以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。では松永課長、お願いします。
○松永有期・短時間労働課長 1点目の御質問のところについては御指摘のとおりで、今までいただいた御意見とかについて、参考資料にまとめておりますが、それを踏まえて、省令や指針に該当するものについては、反映させていただいておりますけれども、それ以外の通達事項とかについては御指摘、御意見を踏まえて、必要なものは対応していくという方向で考えているところでございます。
○守島部会長 では鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ただいまの齋藤委員からの御指摘に関して一言、申し上げたいと思います。
 まず説明義務に関して申し上げますと、労働者が理解しやすいような形でしっかりと説明義務を果たしていくということは、今回の改正の大きなポイントでありますので、経団連といたしましても例えば経営労働政策特別委員会報告という冊子を毎年出しているのですけれども、そういった媒体などを通じ周知をしておりますし、今後も引き続きその説明義務の重要性を訴えてまいりたいと考えております。
 ただし、第9回の会合だったと思うのですけれども、労側委員から説明義務が十分果たされていなかった場合、不合理性を基礎づける事情になるということを何らか明記してはどうかという御意見があったかと思います。説明義務違反につきましては、恐らく企業名公表といったような、企業側としてはかなり大きなパニッシュメントを伴う義務事項でございます。それ以上に説明義務に違反した場合の実効性を確保するということにつきましては、謙抑的であるべきだと思っております。改正法が施行されて実態を見て5年後の見直しということが議論としてあると思いますが、そのときに、あくまでも例えばですけれども、過料を科すか否かというような議論をするということはあってもおかしくないなと思っておりますが、行政上の措置を超えて民事上の効果として実効性を担保することに関しては、最高裁判決が出ていない以上、極めて慎重に検討するべき問題ではないかと思っております。
 本日お示しをいただいた資料4の省令・指針の中には、この点の記載が入っていないわけでございますけれども、通達、パンフレットにおきましても同様に言及は避けていただきたい。これは御意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。関連して村上委員、お願いします。
○村上委員 私どもも最高裁判決というのは確定した判例法理は重視すべきと思っております。一方で説明義務は大変重要であり、それに関しまして国会審議の中でも大臣答弁において、繰り返し、説明義務を果たしている、果たしていないというところについては「その他の事情」の中で考慮されるということを答弁されておりました。国会答弁というものは無視するべきではないと考えておりまして、そういう点も配慮していただいた上で御検討いただければと思います。
○守島部会長 では、まず鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 裁判例を全部見たわけではございませんが、裁判例において、その他事情として労使交渉の経緯というのが考慮されたケースは、あくまでも労働組合との交渉といった集団的な交渉の決定した経緯あるいは合意に至るまでの交渉プロセスというようなところで捉まえて、その限りでそういった事情が考慮した裁判例があると思っております。もちろん説明義務を履行することは大変重要で、先ほど申し上げましたとおり使用者側としてないがしろにするつもりは全くございませんけれども、個々のこうした集団的な合意形成という事情と、個々の労働者への説明という行政上求められる行為とは別次元の問題ではないかという思いがあるということは、強く申し上げたいと思います。
○守島部会長 では松永課長、お願いします。
○松永有期・短時間労働課長 事務局のほうで、これは国会でも答弁させていただいたところでございますので、その答弁の考え方をお話させていただきますと、まず、説明義務を果たさせるための実効性の確保は重要でありまして、その点につきましては今回の改正の中でも説明義務を果たさないということについては、行政指導の対象にしているところで、行政としての実効性を確保していこうと考えているところでございます。
 答弁で申し上げたのは、結果的に実効性確保を促すような効果もあるということではあるかもしれませんけれども、説明義務というのは、その説明を求めた非正規労働者と事業主との間における待遇に関する話し合いの前提となるものでありまして、事業主が十分な説明をしなかったと認められる場合は、当該非正規労働者との間での真摯な話し合いがなされているとは言いがたいのではないかと考えております。
 したがって、最終的には司法判断ではございますけれども、現在でも不合理な待遇差か否かの判断に当たっての考慮要素の一つでありますその他の事情というものには、労使交渉の経緯というものが含まれていると解されるということでありまして、そういったことを考えますと、この待遇差について十分な説明をしなかったと認められる場合には、その事実もその他の事情に含まれて、不合理性を基礎づける事情として考慮されているものと考えているということで、国会では答弁させていただいたところでございます。
○守島部会長 ありがとうございます。今の点、ほかの点でも何かございますでしょうか。では及川委員、お願いします。
○及川委員 中小企業の経営者にとっての一つの最大の関心事は、自分がしっかり説明をしたかどうかということだと思っています。そういう意味で2ページ目にあります右側の指針のところなのですけれども、確認させていただきたいのですが、2ページ目にあります下のほうの指針で、1行目に「事業主は、短時間・有期雇用労働者がその内容を理解すること」の「その」の意味の確認と、そのパラグラフの一番最後に出てきます「場合には、当該資料を交付する等」の「等」は、ただし書き全文にかかるのではなくて、「当該資料を交付する等」にかかるというふうに理解してよろしいのか。「その」と「等」のところ、何をというところを少し確認させていただきたいと思います。
○松永有期・短時間労働課長 今、及川委員からの御質問は、ここで言っている「その内容」というのは、もともと説明義務の対象になります待遇差の内容とその理由ということでございます。それから、その下のほうに出てくる「当該資料を交付する等」の「等」というのは、資料を交付するという手段のところの一例として資料の交付ということでありますけれども、書面を渡す、あるいはメールでお送りする、そういったこともあり得るのかなということで「等」を入れてございます。
○及川委員 ありがとうございました。理解いたしました。
 ただし書きのところで「説明すべき事項を漏れなく記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる」、または高いレベルで資料を用いる場合にはということで、そういう条件つきでの「当該資料を交付する等」ということなのですが、もし漏れなく記載をして容易に理解をしていただくという資料を用いた場合は、中小企業の事業者は安心をして説明をしたという理解でよろしいでしょうか。
○松永有期・短時間労働課長 説明をしていただいて、その説明の内容で労働者が納得するかどうかという部分はあろうかと思います。もし納得しなければ紛争に行ってしまうということでありますけれども、待遇差の内容とその理由を説明して、あるいは、わかりやすく文書で書いて公布にしていただければ、説明義務としては果たしたというふうに考えられるかと思います。
○及川委員 要するに、そういった形で説明して納得はしていただいたが、その後に実はそうではなかったというようなトラブルになったときに、その時点でこういう資料を使って説明したので不合理性はないことが推定されていると理解させていただいていいかどうかというのが私の問題意識です。
○松永有期・短時間労働課長 最終的に説明した待遇差の内容とその理由が不合理でないかどうかというところは、個別の判断になりますので、そこは最終的に決めるのは裁判でということになります。説明義務としては待遇差の内容と理由を説明していただければ、義務としては果たしたということでありますけれども、説明した内容が不合理ではないとされるかどうかというのは、個別の判断でありまして、最終的には裁判で決まるということでございます。
○守島部会長 では岩村委員。
○岩村委員 今の論点ですけれども、こういうふうに整理できるのかなと思います。
 1つは説明をしなければいけないという義務が課されているときに、その説明義務を果たしたのかどうかというのは、ある意味、外形的な事実で判断をするということだと思います。ですので法令、指針に基づいたやり方で待遇の差についての理由を労働者に対して示すということがあれば、少なくとも外形的には説明義務というのは果たしたということになるだろうと思います。
 ただ、もう一つの問題は、説明している中身がいわば待遇の差を説明するものとして適切なものなのかどうか。ちゃんと説明できているのかという説明の中身の実質性というものがもう一つ、別の問題としてあるでしょうということだと思います。この場合には、もちろん説明しましたと言っても実際上、ほとんど中身がないということになれば、むしろ先ほど申し上げたような外形的にそもそも説明していないということになる可能性もありますけれども、そういった例外的な場合を除けば、あとは具体的な説明をちゃんとやっているか、中身がちゃんと伴ったものなのかというものになるでしょう。
 そこのときに先ほど鈴木委員と村上委員との間でやりとりがあった説明の内容が不十分であるというようなときに、それが最終的に待遇の相違が不合理だと認められるものになるのかどうかというところの判断にどう影響してくるかという議論だと整理ができるかなと思います。ですので、多分、説明義務を果たしたから待遇の差が不合理でないと推定されるというふうには恐らくはならないということだと思います。
○及川委員 ありがとうございます。よくわかりました。
○守島部会長 では、秋田委員、お願いいたします。
○秋田委員 今の関連ですけれども、説明を受けるのは個人でございますので、理解することについて個人差というのは相当数、予見されます。容易に理解できるようにということなので、一般的に、社会的に見て容易にわかるレベルということであって、くまなく全ての人が理解しましたという説明まで突き詰めて求めるということではなくて、一定の社会的、一般的に妥当な説明をすれば、あとは司法の場でというような理解でよろしいでしょうか。
○松永有期・短時間労働課長 基本的にはそのような理解でありまして、納得するかどうかというところまで求めるものではないということであります。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか。よろしいですか。
 それでは、一応、資料1から資料4まで今回は議論が出尽くしたということにしたいと思います。
 時間的にはまだ早いのですけれども、これで今回の議論は終わりにさせていただければありがたいと思います。
 最後に事務局から連絡等がございましたら。
○松永有期・短時間労働課長 次回の同一労働同一賃金部会につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして第13回「同一労働同一賃金部会」を終了いたしたいと思います。
 なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の吉清委員、使用者代表の秋田委員にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、皆さん方、どうもお忙しい中ありがとうございました。
 


 

 

(了)

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