ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会・職業安定分科会・雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会)> 第12回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会(2018年10月10日)

 
 

2018年10月10日 第12回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会

雇用環境・均等局

○日時

平成30年10月10日(水) 17時00分~19時00分

 

○場所

東京都港区芝公園1-5-32
中央労働委員会講堂

○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、守島委員、山田委員
 

【労働者代表委員】

梅田委員、小原委員、齋藤委員、松井委員、村上委員、吉清委員
 

【使用者代表委員】

秋田委員、及川委員、杉崎代理人(小林委員)、鈴木委員、田代委員、中野委員

○議題

・ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について

○議事

 

○守島部会長 それでは、定刻ちょっと前ですけれども、ただいまから第12回「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」を開催いたしたいと思います。
 まず本日の出欠状況につきましては、公益側の武田委員、中窪委員、松浦委員、使用者代表の小林委員が御欠席でございます。なお、小林委員につきましては、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様が代理出席をされております。また、公益代表の岩村委員については、少しおくれて到着されるということで伺っております。
 それでは、事務局から定足数の御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松永有期・短時間労働課長 定足数について御報告をいたします。労働政策審議会令第9条におきましては、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございました。カメラはここまでということで、特にいらっしゃいませんけれども。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、前回から引き続き「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について」でございます。
事務局から、まず資料の説明をお願いいたします。
○吉村多様な働き方推進室長 それでは、本日、先ほど部会長からも御説明がございましたけれども、労働者派遣関係につきまして前回、前々回の部会で議論ができなかった論点、それから、前回の部会において委員から御質問があった事項につきまして資料を御用意しておりますので、その点について御議論いただければと考えております。
配付資料は資料1から資料4までございますが、資料1から資料3までが労働者派遣関係の残っている論点に関する資料でございます。資料4が前回、委員からの御指摘がございました事項に関する資料でございます。まず資料1から資料4まで通しで御説明をさせていただきます。
 資料1をごらんください。「派遣先から派遣元への待遇情報の提供について」という資料でございます。労働者派遣につきましては、派遣先から派遣元に比較対象労働者の待遇に関する情報を提供し、派遣元はその待遇情報をもとに派遣労働者の待遇を決定するとともに、派遣労働者からの求めに応じて、待遇差の内容と理由について説明をすることになっております。
 まず、派遣元が派遣先から情報を受けたものをもとに、派遣労働者の待遇を決定するというところが、みずから雇用するさまざまな労働者の待遇全般に関する情報を事業主が持っているパート、有期雇用労働者の場合とは異なるところであると考えております。派遣においてどういった方を比較対象労働者にするかということでございますが、資料の3ページをお願いいたします。まず比較対象労働者でございますけれども、1つ目の○に記載しておりますが、派遣元では派遣先からの情報提供をもとに派遣労働者の待遇を決定し、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を確保するということになります。そのため、職務の内容、配置の変更の範囲が近い労働者にすることが重要だと考えております。そこで、真ん中あたりの四角で囲っている部分でございますけれども、省令において比較対象労働者につきましては、まず①職務の内容、配置の変更の範囲が派遣労働者と同一である通常の労働者で、そうした方がいない場合につきましては②でございますけれども、職務の内容のみが同一の通常の労働者、そうした方がいない場合については③でございますが、これらに準ずる者ということにしてはどうかと考えております。具体的に③の準ずる者の考え方でございますけれども、3ページの下にア、イ、ウ、4ページにエというものが記載されております。この順に考えていくというふうに考えております。
 まずアでございますけれども、職務の内容は業務の内容、責任の程度、この2つに分解できますので、どちらかが同じ通常の労働者。イですけれども、そうした方がいない場合につきましては、職務の内容及び配置の変更の範囲が同一である通常の労働者で、そうした方がいない場合につきましてはウでございますけれども、これらに相当するパート・有期雇用労働者。4ページのエでございますが、こうした方がいない場合につきましては派遣労働者と同一の職務に従事させるために、新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合における当該労働者、こういった順番で考えていくことにしてはどうかと思っております。ただ、ウ、エを比較対象労働者として選定した場合についてでございますが、4ページの※に2つ書いてございますけれども、派遣先の通常の労働者との間でいわゆる均衡待遇が確保されているとともに、こうしたことが確保されている根拠について派遣元から求めがあった場合については、派遣先は情報提供が求められるということがウとエの場合については必要であると考えております。
 その上で4ページの○2つございますけれども、就業場所ですとか雇用区分、こういったもので絞り込みをすることは可能ではないかと考えております。
 5ページ、比較対象労働者が特定されないような配慮ですとか、比較対象労働者の選定の理由、こういったことについても派遣元事業主は情報提供をする必要があると考えております。
 6ページを見ていただけますでしょうか。比較対象労働者を選定した後、どういった内容を派遣先から派遣元に提供するかということでございます。6ページの1つ目の○でございますけれども、情報提供の内容といたしましては、派遣元が派遣先からの情報提供をもとに均等・均衡待遇を確保することになりますので、そのために必要な情報が提供される必要があるだろうと思っております。そこで省令において具体的な情報の内容について、6ページの下の四角で囲っている部分でございますけれども、定めてはどうかと考えております。
 ①ですが、比較対象労働者の職務の内容、配置の変更の範囲、雇用形態。②ですけれども、そうした方を選定した理由。③といたしまして待遇のそれぞれの内容。④といたしまして待遇の性質、目的。⑤といたしまして待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項。こういったことを定めてはどうかと思っております。ただ、6ページの※の部分でございますけれども、受け入れておられる派遣労働者が協定方式の対象になる方に限っている場合につきましては、派遣先との均等が求められております一部の教育訓練、給食施設、休憩室、更衣室、こういったものに関する情報のみが提供されればよいと考えております。
 7ページ、待遇の内容についてでございますけれども、待遇の内容につきましてはパート有期のときと同様に1つ目の○ですが、待遇の個別具体的な内容として例えば1人の賃金あるいは複数人の場合の平均、上限、下限、標準的な内容、こういったことを待遇の内容とするということが考えられると思っております。また、2つ目の○でございますけれども、待遇の実施基準といたしましては、比較対象労働者の賃金水準が把握できるものであることが必要であると思っています。3つ目の○ですが、アからウのいずれによるかというのは派遣先で御判断いただくことかと思いますが、家族手当のように扶養家族の人数に応じて支給されるようなものについては、支給の前提となる実態が異なりますので、待遇の実施基準について情報提供がされる必要があるのではないかと考えております。
 8ページ、情報提供に関する手続でございます。これにつきましては事業主間、派遣先、派遣元、間でのやりとりであることも踏まえまして、四角で8ページに囲っている部分でございますけれども、省令において書面の交付等により行うということ。それから、派遣が終了した日からこうした書面等につきましては3年間、派遣元において保存するということを定めてはどうかと考えております。
 9ページ、派遣先の待遇が変わった場合の変更時の情報提供についてでございます。派遣先の待遇の変更によって派遣労働者の待遇を変更しなければならないケースも生じ得ることでございますので、9ページの四角で囲っている部分でございますけれども、変更についても同様に書面の交付等によって行って、派遣が終了してから3年間、派遣元において保存するということを情報提供に関する手続と同様に定めてはどうかと考えております。ただし、9ページの下の○のまた書きのところでございますけれども、現に派遣されております派遣労働者の方が労使協定の対象となる方だけの場合につきましては、先ほど申し上げました一部の教育訓練、福利厚生、こうしたものに関する部分以外については、変更に関する情報がなかったとしても派遣労働者の待遇には直ちに影響がないと言えると考えております。
 そこで、10ページの四角で囲っている部分でございますが、省令において現に派遣されている派遣労働者が協定方式のみである場合については、変更の情報提供につきましては一部の教育訓練、福利厚生施設以外については不要。ただし、派遣先均等・均衡方式の方が含まれることになった場合については、遅滞なくそうした情報を提供しなければならないということにしてはどうかと考えております。
さらには10ページの下から半分ぐらいのところでございますが、派遣契約終了間際の軽微な変更に関して、均等・均衡待遇の確保に影響のない範囲の変更でございますと、情報提供を求める実質的な意義がないと考えられることですから、10ページの下の部分で四角で囲っている部分でございますが、省令において派遣契約の期間が終了する1週間以内における変更であって、派遣労働者の待遇を変更しなくても均等・均衡の規定に違反せず、派遣契約において情報提供を要しないと定めている範囲を超えないもの。こういったものについては変更に関する情報提供を不要としてはどうかと考えております。
11ページ、待遇情報の取り扱いについてでございます。待遇情報の取り扱いにつきましては、派遣元指針において11ページの四角で囲っている部分でございますが、待遇情報の保管、使用は目的の範囲内に限られるということ、それから、秘密保持義務の対象になるということを定めてはどうかと考えております。
 以上が資料1の派遣先から派遣元への待遇情報の提供についての内容でございます。
 続きまして、資料2「待遇の相違の内容及び理由等の説明について」という資料をごらんください。資料2では派遣先から派遣元に提供があった情報をもとに、派遣労働者から求めがあった場合に、派遣元はどのように待遇の相違の内容ですとか理由について説明をしていくのかということについて整理をしております。
 まず資料の4ページ目をごらんください。何度か御説明をしておりますが、派遣の場合につきましては派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2つがございます。
 まず4ページから7ページにかけまして、派遣先との均等・均衡方式をとっている場合の説明について整理をしております。8ページ、9ページ、後ほど御説明いたしますが、労使協定方式の場合の説明について整理をしております。まず派遣先均等・均衡方式の場合、4ページでございますけれども、比較対象となる労働者につきましては派遣元指針に、4ページの四角で囲っている部分でございますが、情報の提供を受けました比較対象労働者との間の待遇の相違の内容、理由について説明をすることにしてはどうかと思っております。また、4ページの2つ目の○でまた書きがございますが、派遣元は待遇差の内容・理由の説明に当たりましては、比較対象労働者やその選定の理由についても説明をすることが必要ではないかと考えております。
 その上で5ページを見ていただけますでしょうか。待遇の相違に関する説明の内容でございます。これにつきましては派遣元指針に5ページの四角で囲っている内容でございますが、①決定するに当たりまして考慮した事項の相違の有無、②(1)待遇の具体的な内容または(2)待遇の実施基準、これを説明することにしてはどうかと考えております。
 具体的には5ページの下の説明というところで書いてございますが、個別の賃金の金額ですとか平均、上限、下限、標準的な内容、こういったものを説明することも考えられますし、実施基準とした場合には賃金テーブルですとか等級表、こういったものを説明するということも考えられるのではないかと思っております。
 6ページ、待遇の相違の理由についてというところでございます。これにつきましては6ページの四角で囲っている部分でございますが、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情のうち待遇の性質や目的に照らして適切と認められるものに基づいて説明を行うことにしてはどうかと考えております。具体的には説明というところの1つ目の○でございますが、考慮する事項が同じである場合につきましては、なぜ違っているのか。例えば成果、能力、経験が違うということを説明する。考慮事項が異なっている場合につきましては、成果の内容など違いを設けている理由、考慮事項がどのように考慮されているか、こういったことについて説明をすることが考えられます。
 6ページの3つ目の○のなお書きでございますけれども、資料1でも御説明をいたしましたが、比較対象労働者がパート、有期雇用労働者であったり、あるいは仮に雇い入れた通常の労働者である場合、こういった場合につきましては派遣法上の均等・均衡は、派遣先の通常の労働者との間で必要となってまいりますので、派遣先のこうした職務などがかけ離れたような通常の労働者との間でも、適切な待遇が確保されているということの根拠についても派遣元において説明をすることが必要ではないかと考えております。
 7ページ、説明の方法でございます。これにつきましてはパート・有期法の場合と同様に、派遣元事業主指針のほうで7ページの四角で囲っている部分でございますけれども、資料を活用の上、口頭による説明を基本としつつ、説明すべき事項を漏れなく記載した派遣労働者の方が容易に理解できる資料を用いる場合については、その資料の交付等の方法でも差し支えないということにしてはどうかと考えております。
 8ページ、こちらが労使協定方式の場合の説明の方法についてでございます。派遣元指針に盛り込む内容といたしましては、8ページの四角で囲っている部分でございますが、賃金については法律を満たして決定をされていること。賃金以外の待遇につきましては派遣元の通常の労働者との均等・均衡が求められておりますので、派遣先均等が求められている一部の教育訓練、福利厚生施設を除いて、派遣元の通常の労働者との均等・均衡がとれていることについて、先ほど御説明をいたしました派遣先均等・均衡方式をとっている場合の説明の内容に準じて説明をすることにしてはどうかと考えております。具体的には8ページの下の説明というところでございます。1つ目の○でございますけれども、労使協定方式をとっている場合につきましては、①で少し省略して書いておりますが、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上のものであること。あるいは②でございますけれども、賃金以外の待遇につきましては、その決定方法や相違を設ける場合については、その根拠となる事実。こういったことについて説明をすることが必要ではないかと思っております。1つ目の○の※の部分ですけれども、賃金以外の待遇でも何度か御説明しておりますが、一部の教育訓練、福利厚生施設については労使協定の対象とはなりませんので、この部分については除くという形をとっております。2つ目の○ですけれども、能力の評価など待遇の決定方式をどのように適用しているかということについても、説明することが求められるのではないかと考えております。
続きまして9ページ目をお願いいたします。説明の方法でございます。これにつきましては派遣先均等・均衡方式の場合と同様に、資料を活用の上、口頭による説明を基本としつつ、説明すべき事項を漏れなく記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合については、それを交付する等の方法でも差し支えない形にしてはどうかと思っております。資料2は以上でございます。
 続きまして資料3をお願いいたします。「その他労働者派遣法に関する改正事項について」でございます。幾つか論点がございますけれども、まず労働者に対する待遇決定方式の明示についてでございます。これにつきましては2ページ目の下の労働政策審議会の建議を見ていただきますでしょうか。建議の中にも触れられておりますが、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式、このどちらの方式をとっているかということを労働者が知り得るようにすることについて、必要な措置を講ずることが適当とされておりますので、これを受けた対応案でございます。
 3ページ、派遣労働者に対する待遇方式の明示でございますが、1つ目の○に記載しておりますが、現行でも派遣元事業主が派遣労働者の数ですとかマージン率について情報提供をすることになっておりますので、派遣元がその2つの方式のどちらをとっているかということについて、労働者があらかじめ知り得るようにするために3ページの四角で囲っている部分でございますが、省令、指針で新しく定めることを追加してはどうかと思っております。
 まず省令でございますが、労使協定を締結しているか否か、あるいは協定を締結している場合については、その範囲と終期について書類の備えつけ、インターネット利用等の方法により情報を提供しなければならないということにしつつ、指針において情報提供に当たりましては、インターネットの利用による情報提供を原則とすることを定めてはどうかと考えております。
 続きまして、労働者派遣契約の記載事項でございます。これにつきましては6ページをごらんください。2つ目の○のところに記載をしておりますが、派遣元事業主が職務の内容を考慮して均等・均衡を確保することになりますが、職務の内容のうち業務の内容につきましては、既に法律上、派遣契約の記載事項となっておりますが、責任の程度については派遣契約の記載事項と法律上はなっておりません。
 また、3つ目の○でございますが、派遣先との均等・均衡が必要であるかどうかということにつきましては、派遣される派遣労働者の方が労使協定の対象となる派遣労働者の方のみであるかどうかによって変わってくることになってまいります。
 そこで6ページの四角で囲っている部分でございますけれども、省令において派遣契約に定める事項として業務に伴う責任の程度、それから、協定の対象となる派遣労働者に限るかどうかの別、これについて追加してはどうかと考えております。
 7ページ、この部分につきましては派遣契約の記載事項に追加することに伴いまして、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳の記載事項も追加してはどうかということでございます。具体的には7ページの四角で囲っている部分でございますが、省令で責任の程度についてもこうした台帳に記載をすることにしてはどうかと思っております。
 なお、先ほど契約記載事項に追加した協定の対象となる派遣労働者であるか否かの別については、法律で既に台帳の記載事項となっておりますので、省令で記載する事項には追加をしていないというものでございます。
 10ページ、派遣労働者を雇い入れようとするときの待遇に関する説明・明示についてでございます。1つ目の○ですけれども、省令で定める事項につきましては文書の交付、その他、省令で定める方法により明示をすることになっておりまして、文書の交付以外の方法は省令で定めることになっております。また、2つ目の○でございますけれども、雇い入れようとするときの待遇に関する説明の明示につきましては、パート・有期労働法6条1項にならって設けられておりまして、同じような形で派遣についても省令で定めるというのが基本だろうと思っております。そのため、省令で書く事項といたしまして10ページの四角で囲っている部分でございますけれども、まず明示の方法といたしましては文書の交付に加えまして、FAXですとか電子メールを加えるということ。さらに明示すべき事項といたしましては、パート・有期法にならいまして昇給、退職手当、賞与の有無、苦情処理について明示をするとともに、派遣独自の話でございますけれども、協定の対象となるかどうかということについても明示をするということ。さらにはパート・有期との並びでございますけれども、事実と異なるものを明示してはならないということを定めてはどうかと考えております。
 11ページ、雇い入れ時の措置の内容の説明についてでございますけれども、これにつきましては11ページ目の四角で囲っている部分でございますが、資料を活用した方法、その他適切な方法により行わなければならないということを省令で定めてはどうかと考えております。
 続きまして、労働者派遣をしようとするときの待遇に関する説明・明示でございます。これにつきましては14ページを見ていただけますでしょうか。労働者派遣をしようとするときの待遇に関する説明・明示でございます。
 14ページの1つ目の○でございますが、派遣法31条の2第3項において、労働者派遣をしようとするときは、基準法15条1項に規定する省令で定める事項と、派遣法31条の2第2項に基づいて雇い入れ時に明示した事項のうち、省令で定める事項以外のものについて文書の交付等によって明示をすることになっております。2つ目の○でございますけれども、労働契約の期間ですとか派遣先の変更によって変わらないような待遇もございます。また、14ページの一番下の※で書いてございますが、派遣法の別の規定によって労働者派遣をしようとするときに明示をすることが別途、求められている事項もございます。こういった部分につきましては31条の2第3項に基づいて、労働者派遣をする際の明示は要しないという形にしてはどうかと思っておりまして、14ページの四角で囲っている部分でございますけれども、労働契約の期間、更新基準、就業場所、業務、始業・終業時間、休憩、休日、退職に関する事項、苦情処理といったものにつきましては、31条の2第3項によって明示をすることは要しない事項としてはどうかと考えております。
 15ページ、1つ目の○でございますが、労働者派遣をしようとするときの措置の内容についての説明でございます。これについては雇い入れ時と同様に、方法については省令において資料を活用した方法、その他の適切な方法により行わなければならないということを定めてはどうかと考えております。さらに2つ目の○でございますが、労働者派遣をしようとするときに事前の明示が困難な場合への対応を可能にするために、派遣法施行規則の26条の規定にならいまして、省令におきまして15ページの四角で囲っている2つ目の部分でございますけれども、緊急の必要があるため、あらかじめ文書の交付などによる明示ができないときにつきましては、文書の交付等以外の方法によることができる。ただし、この場合において派遣労働者からの請求ですとか、派遣期間が1週間を超えるときにつきましては、遅滞なく文書の交付等によって明示をしなければならないということを定めてはどうかと考えております。
 続きまして、調停についてでございます。これにつきましては18ページ目をお願いいたします。調停につきましては、今回、派遣労働者の方の均等・均衡待遇ですとか待遇差の内容の説明、こういったことについて紛争調整委員会の調停の対象になっております。この調停の手続につきまして、パート・有期法の省令の規定を参考に男女雇用機会均等法の調停に関する規定を準用いたしまして、必要な技術的読みかえ規定を省令で定めてはどうかと考えております。
 続きまして、派遣料金に関する配慮義務でございます。これにつきましては20ページをごらんいただけますでしょうか。派遣法26条において、派遣料金額につきまして均等・均衡の規定などを遵守できるように、派遣先は配慮をしなければならないというふうに法律上されております。この派遣料金に関する配慮義務につきましては、契約期間中の派遣先の待遇の変更によってもかかわってくることを明らかにするために、派遣先指針で20ページの四角で囲っている部分でございますけれども、契約の締結または更新のときだけではなくて、締結または更新がなされた後にも求められているということを指針で定めてはどうかと考えております。資料3は以上でございます。
 続きまして資料4、委員からの質問事項についてという資料をごらんください。これにつきましては前回の部会で委員から御質問があった事項につきまして整理したものでございます。
まず1ページ目をごらんください。地域指数の計算でございます。考え方といたしましては、地域の職業構成を全国における職業の構成比に固定をした上で、その地域の平均賃金を計算して、全国平均の平均賃金を100としたときの指数をそれぞれ計算しております。例として1ページの下のほうに北海道のハローワーク札幌の事例を記載しております。
 続きまして、資料の3ページ目をごらんください。賞与指数の計算でございます。これにつきましては賃金構造基本統計調査の特別集計から勤続0年の所定内給与、年間賞与額を導きまして、年間賞与を12で割ったもの、これをさらに所定内給与で割りまして賞与指数を計算しております。
 続きまして、4ページをごらんください。勤続年数指数の計算でございます。これにつきましては産業計の所定内給与の勤続年数別指数を最初に計算いたします。さらに産業計の勤続年数別賞与の指数を計算しまして、この2つを掛け合わせることによりまして、賞与が入った形での勤続年数指数を計算しております。その上で勤続0年の部分が100になるように指数化をして、それぞれ1年から2年、3年、5年、10年、20年の勤続年数指数を4ページの一番下の形で計算をしているものでございます。
 5ページ、通勤手当の計算でございます。通勤手当につきましては「平成25年企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査」におきまして、手当の額というものが出ておりますので、これから通勤手当の割合が平成29年においても変わらないと仮定をいたしまして、さらに制度を導入していない企業を0年として計算をするために、制度導入割合89.8%を掛けることによりまして、最終的に時間当たりの通勤手当を計算しているものでございます。
 6ページ、賃金構造基本統計調査における学歴計初任給との調整(12%)の計算でございます。これにつきましては前回の部会でも御説明をいたしましたけれども、賃金構造基本統計調査の勤続0年には経験を有する中途採用者も含まれているということで、学歴計の初任給との差、経験のない初任給との差を調整しております。この12%につきましては、賃金構造基本統計調査の学歴計初任給と、通勤手当を除きました勤続0年の所定内給与の差、これを5年間の平均をとって12%というのを計算しております。
 7ページ、退職金の割合でございます。これにつきましては就労条件総合調査の退職給付等の費用を現金給与額で割ることで計算をしております。なお、就労条件総合調査の現金給与額につきましては超過勤務手当込みでございますので、賃金構造基本統計調査の比率を用いることで、その部分は補正をしております。資料4につきましては以上でございます。
 また、参考資料という形で参考資料1~4がございます。参考資料2~4につきましては、前回と同様のものでございます。
 参考資料1につきましては、第9回から第11回までの部会での主な御意見ということで、事務局で整理をさせていただいております。7ページ以降に前回第11回の部会でいただいた御意見につきまして下線を付すような形で、前回の御意見については記載をしております。中身については参考資料1~4については省略をさせていただきます。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、議論に入りたいのですけれども、まず資料1~3について御意見とか御質問がございましたら出していただきたいと思います。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 資料1の3ページ目に、情報提供に関する比較対象労働者の優先順位の考え方が示されています。この優先順位について①、②、③のア、イまではパート・有期の待遇説明の優先順位と同じですけれども、ウ以降については異なっています。具体的には、イの通常の労働者がいない場合、パート・有期の待遇説明の優先順位は「職務の内容及び配置の変更の範囲のいずれも同一でない通常の労働者」が設定されていました。一方、派遣の情報提供の場合につきましては、ウとして「これらに相当するパート・有期雇用労働者」、エとして「通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合」と続いています。なぜこのようにパート・有期と派遣で設定の考え方を異ならせているのかということについて、意図を確認させていただければと思います。
○松永有期・短時間労働課長 ただいまの御質問についてなのですけれども、まずパート・有期のところで優先順位の御議論をいただいたのは、パート・有期の方から説明を求められたときの説明義務を履行する際の比較対象となる方をどのように選定するのかということについて、優先順位の考え方をお示ししております。一方で派遣法の関係につきましては、資料2で出てきます説明義務もありますけれども、あわせて派遣先からもらった待遇情報をもとに派遣労働者御自身の待遇を決めるというもう一つの目的があるところが、パート・有期と異なる部分でございます。
 派遣元事業主は派遣先からの比較対象労働者の情報をもとに派遣労働者の待遇を決定するわけですけれども、比較対象労働者については、職務内容ですとか職務内容・配置の変更範囲が近い方を選定するほうが、派遣先の労働者との均等のとれた待遇を確保するという法律の目的にも資すると考えております。そういった職務内容ですとか職務内容・配置の変更範囲の一致度合いが高い、実在する労働者を比較対象労働者としているわけでありますけれども、職務内容、職務内容・配置の変更範囲も異なる通常の労働者の情報をもらって待遇決定をするということよりは、派遣先が実際に雇っているパートあるいは有期の方ですとか、派遣先が派遣労働者と同一の職務に直接労働者を雇用したと仮定して、当該労働者の待遇情報をもとに待遇を決定するというほうが、より適切な待遇の確保に資するのではないかと考えておりまして、御指摘いただいたウとかエの取り扱いについては、パートの部分と違う扱いをしたというものでございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、小原委員、お願いします。
○小原委員 今の部分に関連するのですが、資料1の4ページ、先ほどは説明が飛ばされたのですが、一番下に「①~③の労働者に関しては、例えば」とございます。1番目、2番目はいいとしまして、3番目の「過去1年以内に雇用していた1人または複数人の労働者」とあり、さらに4番目には「労働者の標準的なモデル(新入社員、勤続○年目の一般職など)」とあり、かなり広範囲の方が①~③でカバーされると思います。そうだとすれば、たとえ①や②に該当する方がいなかったとしても、③のア、イでおおむねカバーされ、ア、イのような人が1人もいないというのはかなり限定的なケースなのではないかと想定しておりますが、そのような理解で良いのでしょうか。また、③のウ、エのような場合は具体的にどのようなケースを想定されているのかお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○松永有期・短時間労働課長 こちらの資料でお示ししております雇用管理区分とか、過去1年に雇用していた労働者あるいは標準的なモデルというのは、我々のほうで想定しているのは、いずれも現在ですとか過去の一定期間内に実在していたようなケースを想定しております。一方で雇い入れたと仮定した場合における労働者というのは、過去にも現在にもそういった方がいらっしゃらなくて、新たにそういう方を雇い入れた場合を仮定した労働者を想定しております。今、御指摘がありましたように、その前に①ですとか②、ア、イという形で優先順位をつけているのですけれども、ある程度業務の内容あるいは責任の程度のいずれかが同一というケースは、企業においてはかなりのケースでここに該当する方というのはいらっしゃると思っておりまして、それより下のほうの場合が比較対象者となるというケースは全くないことはないと思いますが、多くのケースはアとかイまでのケースの中でおおむねおさまってくるのではないかという想定はしております。
○小原委員 どのようなケースがウやエになるのかと御質問したのですが。
○守島部会長 そうですね。2番目の、どういうケースがありますかという話。
○松永有期・短時間労働課長 例えば小規模事業でベンチャー企業みたいなところで、そこの従業員がやっていらっしゃる仕事と全く関係ない方を派遣として受け入れるというようなケースは、典型的な例として想定しているところでございます。
○小原委員 そうであれば、これから通達やパンフレットで情報提供の比較対象労働者の考え方をお出しになるときに、かなりウやエは限定的なものが想定されているのだということを記載していただけるよう、お願いいたします。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。では秋田委員、お願いします。
○秋田委員 資料1の5ページ目に、個人情報保護の観点から事業主は個人を特定できることにならないよう配慮する必要があるとか書かれています。これは配慮というのはどのようなことなのでしょうか。例えば1人の労働者の金額を説明の際に示したとしたら、これはどう考えても特定されてしまうと思うのですけれども、それはどう配慮したら特定されないのかというのは、もし具体的にあるのであれば教えてください。
○牛島需給調整事業課長 実務に関することですので、個別具体的にどういうものがあるかというところは、動いてみてというところもございますが、例えば1人しかいないということになってまいりますと、やり方といたしましてはその方が属している勤続年数でありますとか、格付であれば大体標準的にこのような感じですというような標準モデルを示したり、また、就業規則上、恐らく幾らの範囲で基本給が決まりますといったようなところもあろうかと思いますので、そういった形での示し方も考えられるのではないかと思っております。
 ただ、いずれにしても派遣先から情報提供いただいた上で、派遣元のほうできちんとそれをもとに待遇を決定していただくところが必要になってきますので、派遣元のほうからもう少し具体的に教えていただけないですかというところがアクションとしてあった場合は、それはまた個別の中で配慮いただく形、前提でお示しいただくところは具体的にあり得るのかなと思っておりますけれども、決め打ちでこの人については幾らで幾らですといったようなところが個人情報の関係で問題になるということであれば、先ほど申し上げたようなやり方というのは一定程度、許容されるのではないかと考えております。
○秋田委員 そうしますと、いずれにしても1人の金額というのを派遣先が派遣元に出すことが個人情報として特定されるということであれば、派遣先にいる比較対象者1人の個人情報をそのように利用して、派遣元に教えてよろしいかという同意が必要になると思うのですが、それはいかがでしょうか。
○牛島需給調整事業課長 仮に特定されるおそれがある状況の中で決め打ち的にお示しいただくということであれば、そこは個人情報保護との関係では合意をとっていただくのが望ましいという扱いになろうかと思います。
○秋田委員 そうすると、全体の平均とかそういったモデル賃金とかであればいいんですが、1人の個別の具体的な金額ということであれば、本人の同意がとれないので個人情報の漏えいの保護に欠けるおそれがあるため通知できませんと言わざるを得ないと思います。これについてここでは派遣先から提供せよとなっているのですが、その辺はいかがでしょうか。
○牛島需給調整事業課長 何がしかの形で情報提供していただく必要はあろうかと思います。派遣法の情報提供の義務というものがございますので。ただ、やり方につきましては工夫の仕方で先ほど申し上げたような、少し幅を持たせての情報提供でありますとか、ルール上はこういった額になる方ですというようなところをお示しいただく、そのときに幾らですと1円単位で決め打ちをするというようなところまでは必ずしも必要ではないというところが運用の扱いなのかなと考えております。
○秋田委員 何となく曖昧なお答えだったのですけれども、いずれにしても幅を持たせた個人情報に配慮した提供でよいという御回答だと理解します。
○牛島需給調整事業課長 基本的には秋田委員の御理解のとおりで結構でございます。幅を持たせて、ただ、そこにつきましてある程度処遇の中で、そのような決まりになっているという前提がある中でお示しをいただくことは必要ではないかと思っております。
○守島部会長 では、及川委員、お願いします。
○及川委員 6ページ、7ページに移ってしまいますけれども、今の議論を踏まえますと、例えば7ページの2行目に③で比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容についてということで、次のいずれかということで、最初のアが1人に対する個別具体的な待遇内容、賃金であればその金額とはっきり書いてあります。こうした場合、少しミスリーディング的な解釈をされるのではないかと危惧をしています。
 恐らく賃金というのは労基法11条の賃金を指すのではないかと思いますけれども、だとすると手当ですとか、その他いろいろな対価はそこに入ってきますので、それぞれについて説明し、情報提供し、なおかつ6ページにありますように③で昇給ということも書いてございますので、そういった場合、かなり現場が混乱するのではないかと危惧しておりまして、現場が混乱しないような工夫についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。
○牛島需給調整事業課長 今、委員御指摘の7ページの○のアのところは、1人というのは例えばですけれども、比較対象労働者が複数人いるようなところにおいて、その中の1人ということであれば、そこは個人情報との関係では大分その特定はされないだろうというところも前提にして書いていると理解しております。その上で、どのような形でこの情報提供をするのが適当なのかというところについては、運用の話になってまいりますので、これからマニュアルでありますとか、そういったものの策定を進めていく中で、どういった情報提供のあり方があるのかというのをブレークダウンしたものを作成した上で、関係者の方に周知できればと考えております。
○守島部会長 では鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 資料1の11ページでございますが、待遇情報の取り扱いについて申し上げます。提供情報につきましては、ただ今、議論になった個人情報とならない場合でも、先ほど御説明がありましたように、場合によっては実施基準なども含めて提供するというあつかいでございますので、例えば、企業が出す求人票においても公表していないような情報も多く含まれ得るという理解をしております。そのため、派遣先としては機密情報でセンシティブな情報と捉える企業も少なくないと思っております。
 個人情報保護法第16条は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとしております。情報提供の全てが個人情報ではございませんけれども、機微に触れる情報として個人情報同様に保管と使用について目的の範囲内にするという案が示されたものと理解しており、私どもの懸念に一定配慮いただいたものだと思っております。
個人情報保護法には、別途第9条というものがございまして、これは個人情報を利用する必要がなくなったときには、当該個人データを遅滞なく削除する努力義務、あくまで努力義務でございますけれども、定められているところでございまして、この提供情報につきましても同様の扱いを指針あるいは通達等に盛り込んでいただくようなことをぜひ御検討いただきたいと思っております。私からは以上でございます。
○守島部会長 では杉崎代理、お願いいたします。
○小林委員(杉崎代理) ただいまの秋田委員と鈴木委員の御発言について、私からも指摘させていただこうと思っていた点でありますので、ぜひこういった点を配慮していただきたいと思っております。
それに加えまして、資料1の9ページですが、変更時の情報提供について、その趣旨自体は理解するところでございます。しかしながら、派遣労働者における均等・均衡のスキーム自体が非常に複雑であるかと思いますので、こういったことを規定するのであればわかりやすい形で広く周知していくことが必要だと思いますので、その点ぜひ御留意いただきたいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では岩村委員、お願いいたします。
○岩村委員 今の個人情報についてのやりとりですが、特定の個人について、その方のいわゆる法律で保護されるかもしれない個人的な情報についての保護というのが当然必要であるということは、そのとおりであろうかと思います。
他方で気をつけなければいけないのは、あくまでもそれは当該個人についての情報ということであって、ここで言っている待遇情報というのが、個人情報の類いだから一切提供できないということを認めるものではないということは気をつけておく必要があると思います。先ほどの議論を伺っていると、やや誤解を招くかもしれないという気がしましたので、その点はぜひ御留意をいただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では村上委員、お願いいたします。
○村上委員 今の個人情報に関連してなのですが、岩村委員と同意見ではあるのですけれども、先ほどの資料1の4ページの「①~③の労働者に関して、例えば」という一番下のところで、御説明いただいた中で少し気になった部分がございます。説明の中では、実在する労働者をかなり強調されていましたが、実務的には、賃金テーブル上の全部の階層に労働者が実在するのではなく、等級毎の賃金テーブルは制度としては整備されているものの、ある等級には実在する労働者がいないということは往々にしてある話です。情報提供の時点では実在する労働者がいなくとも、どういうモデルで処遇しているのかということを情報提供する。つまり、現在はその等級の労働者は実在しないけれども、比較対象はこういう人で、この等級の人ですということと、その人たちの基本給や手当の内容や支給決定方法などを、派遣先から派遣元へ情報提供すればよいのではないか。そういうものを想定していたのですが、それでよいのかどうかということを改めて確認したいと思います。まずその点だけ確認させていただければと思います。
○牛島需給調整事業課長 村上委員が言われたように標準的なモデルという形での提供というところも、そこは合理性があると考えておりますので、そういうやり方もむしろ個人情報を特定しないという形でのやり方としてあるのではないか。そういったやり方もありますということは適切に周知していきたいと思っております。
○村上委員 次に、資料1の3ページの比較対象労働者に関して、先ほど小原委員が確認した部分の続きです。①、②に該当する人がいない場合は③、③の中でもア、イがいない場合はウ、エとなっていますが、ウやエはかなり限定的な場合であろうという整理でした。ウやエはかなり限定的な場合ということであれば、どうしてウやエを比較対象としたのかということ、つまり、ウは「これらに相当するパート・有期雇用労働者」、エは「新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合」ということですから、なぜそうしたのかということや、ウやエの労働者が派遣先の通常の労働者との間で均等待遇が確保されているという根拠を情報提供すべきではないか。資料1では、派遣元事業主が情報提供を求めた場合に派遣先は情報提供することが求められるとなっているのですが、派遣元事業主が情報提供を求めなくても、ウやエを選んだ場合、派遣先はあらかじめこういうことで均等・均衡待遇が確保されていることもあわせて提供すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○松永有期・短時間労働課長 このたたき台でこのような考え方を示させていただいた趣旨といたしましては、先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、あくまでもここは派遣労働者の待遇を決める、そのために必要な情報をもらうという側面もございまして、そのときに比較対象労働者としてどういう方の情報をもらうべきかというところについては、職務内容あるいは職務内容・配置の変更範囲がなるべく近い人がいいのではないかという観点で、この優先順位を検討したところでございまして、優先順位でアとかイまで行った次の優先順位となると、職務内容も、職務内容・配置の変更範囲の異なる通常の労働者になるわけですが、そういう方の情報をもらっても、派遣会社にとっては適切な待遇の確保というのはできないのではないかということで、より職務の内容等が近いパートとか有期の方あるいは仮にそういう方を雇った場合の労働者という方を対象にしてはどうかということで、提案をさせていただいているところでございます。
 ただ、今、村上委員から御指摘がありましたけれども、ウとかエのケースにおいては当然そういったパート・有期の方においては、派遣先において実在する通常の労働者との間での均等待遇は確保されなければなりませんし、また、エにおいて仮にそういった方を雇い入れた場合においても、それは実在する通常の労働者との間での適切な待遇が確保されている必要がありまして、ここはこの根拠をどういう形で求めるかといったときに、派遣法の40条5号というスキームで使えるのではないかと思っておりまして、そのときには、ここはあくまでも派遣元事業主の求めに応じてということでありますので、そのような表記をさせていただいているところでございます。
○村上委員 今の御説明ですが、資料2では派遣労働者に対する待遇情報の説明が書いてありまして、6ページの下の○に、比較対象がウのパート・有期雇用労働者であったケースやエの通常の労働者を雇い入れたケースの場合は、派遣元事業主は派遣労働者の求めに応じ、比較対象労働者が派遣先の通常の労働者の待遇との間で均衡待遇が確保されている根拠を説明する必要があるとなっています。結局、派遣労働者の求めがあれば説明しなければいけないということであれば、あらかじめ派遣先が派遣元に対して情報提供しておくとしておいたほうが、後々混乱はないのではないかと考えますので意見として申し上げておきます。
 また、先ほど来、事務局からは、パート・有期の待遇説明の場合と派遣の派遣先からの情報提供の場合の比較対象の考え方は違うという説明がなされています。派遣元は派遣先から提供された情報をもとに派遣労働者の待遇を決めなければいけないということであるので、ウ以降の考え方が違うという御説明だったのですが、パート・有期とそんなに変わらないのではないか。結局、パート・有期であってもいろいろなバランスの中で待遇を決めていくので、どうして違いがあるのかまだ納得できない部分がございます。比較対象労働者の考え方に違いがあるのであれば、ガイドラインもパート・有期の内容をそのまま倣うというような話とは違ってくるのではないかと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では、松井委員、お願いします。
○松井委員 今の関連で、先ほど40条の第5項の規定が使えるのではないかという御説明でしたけれども、40条の5項は派遣元から求めがあった場合に派遣先が情報提供するよう配慮しなければならないという配慮義務規定です。他方、資料1の記載は「情報提供することが求められる」と記載されているので、ニュアンスがどちらなのかということを確認したいと思います。資料1で御提案のものは「求められる」と書いてあるので、派遣元が求めたら出さなければいけないと読めるのですが、どういうことなのかという確認です。
 もう一点、少し違いますが、比較対象労働者の情報提供の内容に関しての意見です。派遣先から派遣元に説明したとして、派遣元は派遣先から提供された情報を頼りに、派遣労働者の賃金・労働条件を派遣先の労働者と均等・均衡になるように決定するわけですが、さらには派遣労働者から待遇についての説明を求められたときに、派遣先からの情報をもとに説明をすることになります。この点、仮に派遣元で派遣労働者に対して待遇説明をする際や、派遣先の労働者との均等・均衡のとれた賃金を決める際に、派遣先から提供された情報が十分でないと感じた場合に、追加の情報提供や情報提供のもとになった根拠資料を派遣先に求めるなり開示ができるような仕組み必要ではないかと思います。その点ぜひ御検討いただきたいと思います。
○牛島需給調整事業課長 今の点でございますが、派遣法上の配慮義務といいますのは、努力義務よりも1段強い義務と整理されております。ですので、何がしかのものは提供していただくという形になってまいりますし、この部分については一方で派遣元がきちんと派遣労働者の方に説明を合理的にできるかどうかというところも重要になってきますので、適切に派遣先のほうから出していただくというような、どういったものを出せるかというのはケース・バイ・ケースだと思いますけれども、適切にやっていただけるような対応というものは図っていく必要があろうかと考えてございます。
○松永有期・短時間労働課長 先ほど村上委員と松井委員からいただいた指摘の中で、何でパートと取り扱いを変えるのかというところをもう少し御説明させていただくと、派遣の場合ですと、派遣先からの情報をもとに派遣労働者の方の待遇を決めるということになるのですけれども、パートの場合ですと自社の従業員の待遇というのもわかった上で、そのパートの方の待遇を決めることができますので、いいと思うのですけれども、派遣の場合、どうしても派遣先の情報をもとに決めるというところが異なっているのではないかと考えておりまして、そのときにパートの優先順位と同じような形で職務内容、職務内容・配置の変更範囲が全く違う労働者の情報を派遣会社がもらったとしても、そこから均衡ある待遇を決めるというのはなかなか難しいのではないかという問題意識のもとで、このようなウとかエという取り扱いをしてはどうかと考えたということを改めて御説明させていただきます。
 それから、松井委員からいただいた2点目の御指摘で、仮に御本人が説明をされて納得できなかった場合の追加がどうかということなのですが、説明義務としてどこまで果たすかというところは、また運用段階で詰めなければいけないと思いますが、基本的にはこの説明義務を果たして、労働者御本人が納得するというところまでは求めていないというところが現行のパート法でも同じような扱いでありまして、仮に納得いかなかったということであれば、それは今度紛争処理というスキームがございますので、労働局だと紛争調整委員会での調整というスキームがありまして、もっと行けば裁判という形になるのですが、そちらの紛争処理のスキームの中で行政という立場であれば、そういったところでの御支援といいますか、サポートをしていく形になろうかと考えております。
○松井委員 派遣労働者からの求めに応じた説明の際だけではなくて、そもそも派遣元が派遣先均等・均衡になるように派遣労働者の賃金を決める際にも、もらった情報だけでは不十分な場合も考えられると思います。この点についても、派遣元が派遣先に対して、何らか追加の問い合わせや追加の資料を求められるようなことが必要ではないか。そういう意見でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では岩村さん。
○岩村委員 先ほど来、出ていた資料1の3ページの例えば一番下のところのウのケースでパート・有期労働者、その場合、さらに4ページに行くとウの※でパート・有期労働者に関しては、派遣先の通常労働者の待遇との間で均等待遇が確保されたものである必要である。これについては派遣法の40条5項の規定に基づいてという議論がありましたけれども、私の理解では資料1の1ページに問題となっている26条という規定がありますが、そこで派遣先が提供することを求められているのは、比較労働対象者の賃金その他の待遇に関する情報なので、したがって、比較対象労働者が誰かということと、それについての待遇がどういうものかということの情報提供が求められるということだけであって、パートの場合にそれが均衡のとれたものかどうかということは、厳密に読んでしまうと入ってこないのではないかという気がします。だからそこのところは事務局の考えでは40条5項で情報提供を求めてくださいねということではないかと理解していたところでありますので、コメントだけということにしたいと思います。
○吉村多様な働き方推進室長 先ほど松井委員から、派遣労働者の方に対しての説明のところで、必要な場合については追加で情報をとるとかいうこともやったほうがいいのではないかというお話があったかと思います。これについては、まず大きな考え方といたしましては派遣労働者との関係で説明をするというのは、あくまで派遣先ではなくて派遣元が行うという形になっておりますので、派遣元のほうで従前、待遇を決定するに当たってまず情報提供を派遣先からいただいておりますけれども、それで足りないという場合もないわけではないかと思います。そういった場合につきましては、先ほどもお話しましたけれども、40条の5項というところで情報提供を派遣元から派遣先に求めることができて、それについて派遣先も配慮しなければいけないとなっておりますので、そういったところで何らかの情報を派遣先から追加でとるような形には制度としては用意しております。
○守島部会長 ありがとうございます。では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 先ほど村上委員からウとエの扱いについての御発言がありました。私が言おうと思っていたところは課長から説明いただきましたので、その補足意見でしかないのですけれども、派遣労働者の賃金の決定は、派遣元と派遣先の相対(あいたい)の派遣労働契約の中で決まる部分もあると思うのですが、その時々の派遣の相場で決められることも、現状では多いと思います。
 法改正後は、派遣先均等・均衡方式であれば派遣先からもらった待遇情報や、当該職務内容のベースに不合理でないかどうかを検討して決めていくというルールに変わります。そうしたルールに変わると、職務内容が同じ方のデータを抽出してこれに基づいて決めていくことがこれまで以上に大切となり、それが派遣先均等・均衡方式を定着させる上で重要になるという思いがございます。
 もう一点ですが、前に村上委員から比較対象者の情報についてはモデル者を周知すべきではないかという趣旨のご発言がございました。しかし、中堅中小企業においてはモデル賃金というものがない場合も少なくないと思います。また、賃金表があったとしても、昇給表だけで絶対額を示すようなものがない。それから、毎年定期的に採用しているような会社ばかりではなく、モデル者そのものがいないケースもあります。モデル者の周知ということがあっても良いとは思いますけれども、中堅中小企業の実態を十分に踏まえ、モデル者以外の場合にも対応できるような周知をぜひお願いできればと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では吉清委員、お願いいたします。
○吉清委員 先ほど議論があった、派遣先から派遣元に対する情報提供に関連してお伺いしたいと思います。
 派遣労働者のガイドライン案にあった派遣先の業績に応じて派遣労働者に賞与を支払う場合などについては、派遣元で支給額など検討する上では、派遣先の業績情報が非常に重要な情報になると理解しております。この点については、たしか前々回の議論の中で、業績情報と言っても公開前の情報まで提供し得るものではないし、それは機密情報に当たるので提供しかねるといいますか、現実的には難しいという話もありました。こうしたことも踏まえての確認なのですが、業績情報というのは、賞与だとか基本給を決定する際に必要な情報でありますので、資料1の6ページの四角囲みの⑤に該当する項目に該当し得るのかということを確認したいと思います。
 もう一点、公開された後の情報については、9ページにある変更時の情報提供に該当する事項と位置づけて、適時、随時提供してもらうことになるという理解でよいか、確認させてください。
○松永有期・短時間労働課長 今の御質問に関してですけれども、基本的に待遇情報の提供、そのときの待遇情報といった場合に、提供されるであろう情報というのは業績によって賞与なり賃金を決めますというときに、業績がこうだったらこうです、こういう処遇にしますというような業績と処遇の関係といいますか、処遇がどういう形で決められるのかという情報が提供されることが想定されるのではないかと思っています。したがいまして、この待遇の内容というところで出てくるものとしては、業績がどうであったかということよりは、その業績がどういう形で処遇に反映されるのかということについての情報をしてもらうということが想定されると思っております。
 あと、派遣元が均衡待遇を図る中で、業績の情報をもらうということであれば、これは派遣先との関係になってこようと思いますけれども、派遣先から提供可能な範囲で情報を定期的にしていただくということは、別途派遣契約の中で結ぶといった扱いになるのではないかと想定しておりますけれども、派遣先と派遣元とのやりとりの中で可能な情報を提供していただき、提供された情報の中で必要な処遇を派遣会社のほうで決めていただくというような流れになるのかなと想定しております。
○守島部会長 ありがとうございます。では、秋田委員、お願いいたします。
○秋田委員 今の議論と若干関連するのですけれども、情報に変更があったときには遅滞なく変更内容について提供するという、遅滞なくというのが、これは条文に書いてあるのですけれども、どの程度の期間なのかということと、変更があったとき、例えば派遣先で春季労使交渉で賃金が改定されました。これは大体3月ぐらいが多いと思うのですが、ただ、例えば平均の賃金が確定するまでは、昇給査定その他の実務的なものを含めると数カ月かかるという企業もないわけではない。そうすると、それが実際に確定したときが変更があったときという理解でよろしいのか。この2点をお伺いします。
○牛島需給調整事業課長 1点目の「遅滞なく」の部分でありますけれども、これは現行の派遣法におきましても派遣先から派遣元への通知でありますとか、期間制限の抵触日通知が変更されたときも遅滞なくお知らせしてくださいというのがありますが、特にこれにつきましては期限が設けられておらず、速やかにというようなニュアンスでやっている。
 一方で、1つだけ手続のうち派遣事業を廃止したときの廃止届、あと、いろいろな変更の書類を出してくださいというような場合については、10日ないし1カ月というようなところが遅滞なくということの解釈として示されているところであります。ですので、もしこの件について派遣先から派遣元への通知でありますとか、抵触日変更の通知に近いケースかとは思いますけれども、一方で10日から1カ月というところもありますので、この辺を目安としつつ、一番大事なのは派遣先から派遣元に変更した旨が可能な限り速やかに通知され、それをもとに派遣元が適切に派遣労働者の処遇の見直しをやっていただくということかと思いますので、ここは可能な限り速やかにというところで周知をしてまいりたいと思っております。
 また、当然のことながら派遣先におきまして処遇が実際に変わって、派遣元においても派遣労働者の処遇に反映しなければいけないというようなところにつきましては、そこは比較対象者の方が実際にどの賃金になったのか、それが確定した段階が変更されたときだと理解するのが自然ではないかと思っております。ただ、その後も当然、通知がなされる派遣元においては、派遣労働者の賃金のほうを変えていくという手続が必要になってきますけれども、そのときはきちんと派遣先における通常の労働者、比較対象労働者の賃金が変わった時点まで遡及した形で必要な額は追給していただく。そこは法律上、建付としては求められてくるのではないかと考えております。
○秋田委員 今、どこまで賃金を遡及するかというのは、労働契約とか労働協約とか、そういうものによって決まると思いますので、派遣先がさかのぼる場合とさかのぼらない場合と、それによって派遣労働者が遡及されるかされないか変わるというのはどうなのでしようか。そこは労使の問題だと思うのですが。
○牛島需給調整事業課長 派遣先がどこまでさかのぼるかというところではなく、派遣先で通常の労働者の賃金が変更された時点があったとすれば、その時点から義務としては派遣労働者の賃金というのは比較対象労働者と均等・均衡をとらなければいけないという形になりますので、派遣先から派遣元に変更通知がなされ、派遣会社においても、派遣労働者の賃金をどうするか、その間、料金改定をどうするかという派遣先と派遣元との交渉があろうかと思います。その上で実際にこういう賃金にしましょうというタイムラグが生じ得ますけれども、法律上はあくまで比較対象労働者の賃金が上がった時点から均衡は確保しなければならないので、その時点から義務は生じてまいりますよということを申し上げたかった次第でございまして、派遣先において遡及しなければいけない、遡及しなくていいということを申し上げたつもりではございません。
○守島部会長 ありがとうございました。では、梅田委員、お願いします。
○梅田委員 派遣先から派遣元への待遇の情報の提供について、事務局に確認させていただければと思います。
 派遣先から派遣元への待遇情報の提供義務を派遣先が違反した場合の取り扱いについてお尋ねさせていただければと思っています。例えば、既に派遣先均等・均衡方式の派遣契約に基づき派遣を実施している場合で、後から派遣先が提供した情報が虚偽であった場合や、変更情報の提供を派遣先が怠ったりしたとき、派遣法上の罰則の適用や派遣契約上どういった取り扱いになるのかということです。派遣労働者を組織する労働組合としては、組合員である派遣スタッフへの就業への影響を懸念しているわけですが、いかがでしょうか。情報提供義務違反がいきなり派遣就業の影響が出ると思いませんが、確認のためこうした点について具体的にどうなるのか、御説明いただければと思っておりますので、事務局に確認させていただければと思います。
以上でございます。
○松永有期・短時間労働課長 まず、派遣先からの情報が虚偽であった場合というのは、今、御議論いただいております26条7項違反になるということでございまして、そういった事実を労働局で把握した場合には、指導して是正させることになってこようかと思います。
 ただ、そういった違反があったとしても、派遣元としては30条3項に基づく均衡待遇というものが当然求められてきますので、虚偽であることがわかった場合には、正しい情報をもらった上で、それに基づいて均衡ある待遇を確保していただく義務は派遣元にも生じるということでございます。
 2点目の変更の場合の扱いについて、済みません、十分に。
○梅田委員 派遣労働者を組織している労働組合として、情報提供義務違反の場合における、組合員である派遣スタッフへの就業への影響を懸念しているわけですが、この点はいかがでしょうかということです。
○守島部会長 多分、虚偽の場合に派遣契約が成立しないことがあるのではないかとか、そういう話になるのではないかと思います。
○梅田委員 そうです。
○守島部会長 では、岩村さんお願いします。
○岩村委員 私も責任を持った回答はできませんが、要するにここで問題になっているのは、派遣先の待遇と不合理でない格差というものが存在しないような、そういう処遇を派遣元がしなければいけない。それを担保するために派遣先から派遣元に比較対象者である労働者の待遇に関する情報を提供しなさいという枠組みになっている。ところが、もし派遣先が虚偽の情報を提供して、その結果として派遣元と派遣労働者との間での派遣労働契約の中における待遇というものが、派遣先の比較対象労働者との間での均衡がとれていないという結果となったときには、それで直ちに派遣労働契約そのものが無効になるとか、そういうことには恐らくこの法律のたてつけ上はならなくて、仮にそれが労働者側に虚偽だと判明したとすれば、使用者である派遣元に対してそのことを伝えた上で、派遣元が今度は派遣先から正しい情報を寄越せという話になり、その上で派遣元としては、ここから先はよくわかりませんが、恐らくさかのぼって処遇を是正して、そして差額等の賃金とかいうものがもし仮にあれば、それを支払うとともに将来に向かって契約を直すということになるのではないかと思いますが、そこまでいくと裁判所の司法判断の問題になるので何とも確信を持っては申し上げられませんけれども、そうなるのかなという気がします。
 ですので、行政としても今、恐らく申し上げたような方向で派遣元あるいは派遣先に対して指導をして、是正せよという勧告なり何なりを行うという扱いではないかと個人的には思いますが、これは全然行政当局を拘束するものではありませんし、行政当局の解釈でもないので何とも申し上げられないのですが、恐らくそういう整理かなと直感的には思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、村上委員、お願いします。
○村上委員 先ほど秋田委員と牛島課長との間でやりとりされていた件の続きなのですが、派遣先で春闘などがあって派遣先の通常の労働者の処遇などが改善された場合、派遣先は派遣元に対して遅滞なく変更された情報を伝えるということなのですが、性善説に立てば派遣元は変更情報に合わせて、派遣労働者の待遇を、派遣先の通常の労働者との均等・均衡がとれるようにしていくというのがあるべき姿です。しかし実際には、派遣先から変更情報が提供されても、派遣元で待遇の見直しなどがやっていただけない場合も想定されます。その意味で、派遣労働者も、派遣先の労働者の待遇が変わったことを知る機会が必要なのではないかと思います。そうでないと、派遣先から派遣元に変更された情報は伝えられたけれども、必ずしも賃金改定してもらえない場合も出てきかねません。法律上は派遣労働者に変更情報を伝える規定はないので、例えば、派遣元指針などで派遣先の労働者の待遇に変更があった場合は派遣労働者にも伝えるといったことを書いていただく必要があると思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ではまず鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ただいまの村上委員からの御指摘の点ですけれども、変更情報を派遣労働者にも伝えてくださいということのご趣旨でしょうか。繰り返しで恐縮ですが、説明を要する待遇は、基本給だけでなくて各種手当、賞与、退職金、特別休暇ですとか労働時間の制度なども含め、ありとあらゆる待遇が対象になると思います。
 そういう意味で、説明を相当真面目にやるとすると負担も大きいということが予想されます。また、秋田委員からもございましたように、派遣先の情報変更は春季労使交渉が終わった後に集中をする。そのような事情もありますので、派遣元として待遇を変更するかどうか検討したうえ、さらに説明を行うことは相当な負担になりかねないのではないかと思っています。
 もちろん派遣元が変更情報を通知することが望ましいという点を否定するものではないのですけれども、厳格なルールづくりといったようなところまで求められると、実際問題、ワークしないのではないかという思いがあるということをお伝えしたいと思います。
○守島部会長 今のは御意見なので、秋田委員、もしよろしければ。
○秋田委員 先ほど、虚偽の情報が伝えられた場合という部分がありましたけれども、故意で虚偽の情報を伝えるというのは言語道断なのですが、一定の平均を出すときに計算ミスをしてしまったとか、こういうことは往々にしてあり得る話です。その場合の訂正というのもこれは実はこうでしたというものがあると思います。したがって、これについて岩村先生からもありましたけれども、これが派遣契約そのものを無にするぐらいの重大な内容なのかどうか、そういった斟酌も必要なのではないかと、これは実際に司法の判断の場とかいろいろな紛争の場でそうなると思います。
 逆に、事務局にお伺いしたいのですが、計算ミスで高い情報を伝えてしまいました。高く賃金を改定されて、間違っていました、済みませんということで低く訂正をした場合、派遣元としてはどう対応したらいいのでしょうか。下げられるのでしょうか。
○岩村委員 これも直感で申し訳ないです。事務局を拘束するものではありませんが、法律が要求しているのは不合理な格差を設けてはならないということだけでありまして、別に派遣労働者を派遣先の処遇より有利にするということを禁じているわけでは全然ありません。したがいまして、派遣元の判断として当然、派遣先のものが下がった場合に、それを維持することはあり得るだろうと思いますし、派遣元が下げるということになると、これは労働条件の不利益な変更となるので、それをやろうとするのであれば、御本人の同意が必要か、あるいは就業規則でやるかという、それしかないかなと思います。現行法上はそうなってしまうだろうと思います。恐らく就業規則で変更というのは多分、派遣労働者についてはかなりの場合では考えにくい話なので、あるとすると派遣労働者の同意をもらうしか労働契約法上はできないかなと個人的には思いますが、以上でございます。
○秋田委員 金額のレベルにもよると思うのですが、本来であればちゃんとした数字が情報として来ていれば、それに準じてやったのに高くしてしまったということは、ある意味、錯誤的な部分もあると思いますので、これもケース・バイ・ケースになるのかもしれませんが、いずれにしてもそういうレアケース、トラブルも発生し得るということだけ御意見として申し上げたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では、齋藤委員、お願いいたします。
○齋藤委員 資料1で派遣先からの派遣元への情報提供と、資料2で派遣元から派遣労働者への待遇説明についてそれぞれお示しいただいています。両者を見比べると、例えば、資料1の6~7ページに派遣先から派遣元への待遇情報の提供内容が書かれていますが、資料2は4~6ページに記載されている派遣元から派遣労働者に対する待遇の説明内容と見比べると、その内容には差があります。
 派遣労働者の立場からすれば、派遣先から派遣元に対して提供された情報が正しく派遣労働者に伝わることがない限り、不合理な待遇差があったとしても、その存在にそもそも気づかず、結果として待遇差の是正を求める機会も逸してしまいます。
派遣先から派遣元への待遇情報の提供項目と、派遣元から派遣労働者に対する待遇の説明項目は同一にすべきではないかと思いますので、検討をお願いしたいと思います。以上となります。
○松永有期・短時間労働課長 今の部分の御指摘について、事務局案の考え方ということで申し上げますと、説明していただく内容については、基本的にはパート・有期の取り扱いとパラレルのものと想定しておりまして、パート・有期の取り扱いと平仄をそろえた形でたたき台としてお示しさせていただいているところでございます。具体的な内容をどこまでやるべきかということについては、また御議論いただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。資料3というのもございますので、そういう意味では資料1、資料2をやめるという話ではございませんけれども、資料3についてもし何かございましたら御発言いただければと思います。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 資料3の6ページでございますが、労働者派遣契約の記載事項ということで、下の枠囲みのところの1つ目に、業務に伴う責任の程度というところがございます。具体的にどのような形で責任の程度を記載するのかについて、イメージをお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○牛島需給調整事業課長 責任の程度につきましては、例えばチームリーダーですとか副リーダーなど役職を有する方であれば、その具体的な役職でありますとか、役職を有さない方であればその旨を記載する。待遇情報の提供という意味で派遣先から派遣元に提供するときは、むしろもう少し業務上の責任、苦情対応の必要があるのかとか、業務に関連してどういったノルマ的なものがあるのかといったようなところをお示しいただかないと、これは派遣元のほうとしては処遇を決められないのではないかという感覚を持っていますので、そういったところが必要かと思いますが、派遣契約で示す責任の程度というのはある意味、それを表象するのが役職とかそういったものではないかと思っておりますので、そういったものを記載いただければ足りるのではないかと考えております。
○鈴木委員 責任の程度というのは、派遣契約ごとに千差万別だと思います。全部書くのは難しいと思いますけれども、レベル感がわかるように周知の段階では例示、記載例みたいなものをお出しいただきながら、周知をいただけるとありがたいと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では田代委員、お願いします。
○田代委員 同じ6ページの労働者派遣契約の記載事項のところなのですけれども、四角囲みで派遣労働者を30条の4第1項の規定する協定の対象となる派遣労働者に限るか否かの別を記載するということなのですが、こちらの中に加えて協定の対象となる派遣労働者に限る場合には、当然、派遣先はその協定が有効であるということを知っておく必要があるかと思います。なぜならば、協定自体の有効期限が切れて、新たに協定を結ぼうとした場合に、何らかの理由によってその協定が結ばれていないということになりますと、当該派遣労働者は協定の対象ではなくなり、派遣先基準によって派遣をされる方ということになってしまいますので、そうすると派遣先の義務としても情報の提供の範囲がふえるなど影響が考えられますので、この契約の締結に当たっては、派遣先に対して派遣元が協定の内容及び協定の有効期間について、いつまで有効なのかということに関しても何らかの形で知ることができるように定めていただければと思います。以上です。
○牛島需給調整事業課長 具体的には御議論をいただければと思うのですが、資料3の3ページでございます。マージン率と同様な形で派遣の関係ですけれども、要は協定の有効期間の周期につきましても、これは派遣先、派遣元だけではなくて一般の方々にインターネット等の方法で周知をするというところが課されますので、まずはこちらで御対応いただくというところがベースなのかなと思いますけれども、それで足りるのか足りないのか、そういったところは御議論をいただければと考えております。
○守島部会長 梅田委員、どうぞ。
○梅田委員 資料3について、先ほど鈴木委員から出ました責任の程度に関して確認させていただければと思います。
派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度を、派遣元管理台帳と派遣先管理台帳に記載すべき旨を義務づけていますが、具体的にどのような内容を記載すればよいのでしょうか。また、そもそも責任の程度とは、パートタイム労働法の通達で例示されている、「与えられている権限と範囲」「業務の成果について求められる役割」「トラブル発生時の臨時的に求められる対応の程度」「ノルマなどの成果を期待度」などなのかということを、確認したいと思います。
 また、2点目は、資料3の12ページ以降にある、「労働者派遣時の待遇に関する説明と明示」についてです。雇い入れの際と、実際に派遣を行う際に、派遣元による派遣労働者への条件、内容明示等が義務づけされていますが、これに加え、何らかの形で派遣労働者から説明内容に理解を示す署名や捺印を得る義務を付加したほうがいいのではないかと思います。なぜかというと、説明したしないのトラブル回避のためには必要ではないかということです。この提案についてどうお考えなのかお聞きさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○牛島需給調整事業課長 1点目でございますけれども、台帳にどのようなところまで書くかというところでございますが、基本的には台帳には派遣契約の記載事項を規定いただくことになっている中で、最低限、先ほど申し上げましたそれを表象するような役職等々については、書いていただく必要があろうかと思います。
 ただ、当然のことながら元にしても先にしても、その方がどういった責任程度を負うのかというところは、可能な限り詳細に確認できるようにしておくことが望ましいので、義務という形で必ずそれを書けというところまではなかなか難しいと思いますけれども、可能な限り、そういった具体的なところがわかるような記載は望ましいレベルで周知をしていく必要があるのかなと考えているところでございます。
 明示、説明につきましては、当然、派遣労働者の方が理解できるようにするというところは必要でございますけれども、そこで署名・捺印まで求めるかというところにつきましては、少し負担といいますか、なかなか難しい部分もあるのではなかろうかと思います。この場で御議論等いただければと思いますけれども、事務方として一律にそういった署名・捺印を求めるところまでは、現時点では想定していない状況でございます。
○守島部会長 岩村委員、どうぞ。
○岩村委員 今の点ですけれども、資料3の12ページの法律の31条の2でありますが、ここで法律が義務づけているのは第2項のところの一番最初を見ますと、第1号に掲げる事項を明示するとともに、第2号に掲げる措置の内容を説明しなければならないということを義務づけているだけでありますし、第3項も説明しなければならないということを義務づけているだけですので、それ以上に署名とかそういったものを義務づけることは法律上できないということだと御理解いただいたほうがよろしいかと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 先ほどの3ページのインターネットでの有効期限の周知がありましたけれども、それに関連して10ページの囲みの中では、これは労使協定の対象となる場合はということなので、特出しして当該協定の有効期間の周期と括弧書きで入れてあるのだと思いますが、先ほどの御意見もありましたように、6ページの囲みの中にも、これは周知のところの工夫かもしれませんけれども、もう少し有効期間の周知が必要だとか、単なるインターネットで出ているということよりも丁寧に周知をしていっていただくと大変ありがたいなと思っています。以上です。
○牛島需給調整事業課長 御意見を承りまして、周知という形で対応したいと思いますし、周知で十分なのかというところでもし御意見等があれば、お示しをいただければと思っております。
○守島部会長 では、中野委員、お願いします。
○中野委員 もちろん企業側も派遣元、派遣先ともに複数の企業を相手にします。今、この場で話をしていると1対1みたいに見えるのですが、実際には数多くの交渉の場を持つ状況になります。何度も繰り返して申しわけありませんが、それぞれに法律がありますから、それに縛られるのは承知しておりますが、なるべくシンプルにしていただくことが重要です。そうでないと企業側の派遣事業者に対する対応の質が変わってくる案件でもあります。もちろん伝えられた情報が違っているというのは最悪の問題だと思いますが、全体感を見た上での御判断をいただければと思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、続けて田代委員、お願いいたします。
○田代委員 先ほどの協定の周知の件ですけれども、今、中野委員もおっしゃられたように複数の派遣契約が走っていて、基本契約は1本ですが、個別契約は通常3カ月更新でやったり、更新をしていくとこの人はいいのでもう少し契約期間を延ばそうかといったような実務が考えられるところ、延ばした先の個別契約の期間が協定の周期の先にある場合も実務では考えられると思うのですが、そういった場合に、現場レベルでもこの方に関する協定はこの会社から受け入れているので、この会社の協定の周期はこの時期である。そうすると、それを超えないように次の個別契約も結んだほうがいいよねとか、そういった個別の判断もかかわってくるかなと思いますので、能動的にインターネット等で周知されている情報を見に行けばいいというお考えもあろうかと思いますが、そこは契約のほうを見たときに、そこにきちんと協定の周期が明記されていれば、その次の個別契約の期間を判断する材料としても、即座に使えるものとなるという意味では、もう少し周知のレベルとしては上げていただけるとありがたいなと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、吉清委員、お願いいたします。
○吉清委員 資料2に戻ってもよいでしょうか。8ページに派遣先均等・均衡ではなく、労使協定方式の説明があります。<説明>の1つ目の○の②として、派遣元事業主に雇用される通常の労働者の賃金以外の待遇の決定方法などの記載があります。「賃金以外の待遇」となると、派遣のガイドライン案のときの議論にありました安全管理の基準などが当然含まれてくるわけです。部会でも申し上げたとおり、派遣労働者としては、実際に働いている派遣先ではなくて、派遣元の通常の労働者の安全管理基準を説明されても実質的には意味をなさないと思います。安全管理基準の説明は、派遣先の労働者や派遣先の職場で適用されている基準を説明することが望ましいと思いますので、派遣元指針や派遣先指針等でその考えをお示しいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。では齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 私も資料2に少し戻らせていただきたいと思うのですが、説明の方法についてです。パート・有期の際にも申し上げたことなのですが、待遇の説明は、「資料を活用の上、口頭により説明することを基本」となっておりますが、やはり資料の交付を基本とすべきであると思います。
 パート・有期の議論の際に、使用者側委員から資料の交付を全て義務づけることになると過度な負担となるという御発言もございました。確かに、派遣法の規定も説明しなければならないという規定になっているので、それ以上のことを法律上義務づけることは難しいかもしれませんが。しかし、説明を受ける労働者側としてはきっちり書面交付をしていただくことが基本であると思いますので、どういったやり方があるのかということは検討すべきとは思いますが、例えば、派遣元指針に書面交付を促すような記述をしていただければと思います。以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。では梅田委員、お願いします。
○梅田委員 同じく資料2に戻っていただければと思うのですが、6ページの待遇の相違の内容及び理由等の説明についてです。「根拠」というキーワードが出ていますが、これについて確認をさせていただきたいと思います。
 まず、比較対象労働者がパート・有期雇用労働者である場合は、当該労働者の待遇が派遣先の通常の労働者との間で均等・均衡が確保されている根拠を説明する必要があると思います。この点、派遣先企業は比較対象労働者となっているパート・有期労働者の賃金その他の待遇に関する情報だけを提供するではなく、比較対象とした派遣先におけるパート・有期労働者と派遣先の通常の労働者との間で均等・均衡待遇が確保されている旨の情報提供の義務を負っているという理解でよいのかということです。
 また、その場合、比較対象となるパート・有期雇用労働者と派遣先の通常の労働者との均等待遇が確保されている根拠を示す必要があると思うのですが、具体的にどのような情報を提供すべきであると想定されているのでしょう。
 以上、2点ということで確認させていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○牛島需給調整事業課長 パート・有期の話で、こちら比較対象者がパート・有期の場合というところになりますので、待遇情報の説明ということになりますと、先ほど御議論のありました基本的には40条5項に基づいての対応という形で想定しております。その上でどういった根拠を示せばいいのかというところにつきましては、当然、パート・有期法の適用がある方でございますので、3要素に照らして、通常、パート・有期の方々に対して派遣先の事業主が説明するのと同程度の内容につきまして、情報提供いただくというところがベースになっていくのではないかと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたか。大丈夫ですか。非常に白熱したゼミみたいになってきたのですけれども、きょう資料1と2と3については議論が出たのですが、資料4については議論できなかったので、またそれについては後日、事務局と。何かありますか。5分ぐらいありますから、もしよろしければ。
○吉清委員 資料4に関係しますが、前回部会では、「一般労働者の賃金水準」をどのように示すかということについて、賃金構造基本統計調査や職業業務安定統計の求人賃金をもとにつくった数字を示すことについて議論がさまざまありました。
 その点について意見を申し上げたいと思いますが、前回の議論にもありましたとおり、今回示そうとしている数字は、賃金構造基本統計調査で言えば、勤続0年の学歴計の新卒初任給の水準を疑似的に算出し、それを「一般労働者の賃金水準」の基準値として据えたものとなります。その結果、前回にもありましたとおり理容師・美容師などの職種では最低賃金を下回るような、存在し得ないような数字も出てしまっています。前回部会では、使用者側の委員の方々から、この数字が「一般労働者の賃金水準」として独り歩きし、誤った理解や誤った印象を与えかねないといった問題提起もされたところでございます。我々労働側としましても、幾ら注釈が書かれているとしても、この表や数字が「一般労働者の賃金水準」として独り歩きすることについては、使用者側同様、強く懸念を持っているところであります。
 そこで提案なのですが、仮に今回の事務局提案のように、賃金構造基本統計調査の数字を減額調整した数字や、職業安定業務統計における求人賃金の下限値を基準時として示すならば、その数字に加えて、例えば上段に減額調整前の賃金構造基本統計調査の数字や、職業安定業務統計の求人賃金の平均値に並べて記載するなどをしてみてはどうかと思います。そうすることで皆さんが抱いているような懸念が一定程度軽減、払拭できると思いますし、2つの数字が併記されることによって前回、岩村委員もおっしゃっていましたが、記載の数字を機械的に当てはめる議論ではなくて、複眼的に労使で派遣労働者の賃金を検討し得ることの一助になると思います。こうしたことにも後押しすることになろうかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。以上です。
○及川委員 そういう工夫は業種別にいろいろお手伝いをさせていただいている中央会としては大変重要なことなので、そういう工夫をしていただいて、公表に向けて進むべきだと私も思っています。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか。では小原委員、お願いいたします。
○小原委員 資料4については時間がありませんので次回、発言させていただきたいと思うのですけれども、参考資料1の中で資料4に関係して、前回、常用雇用されている派遣労働者とそうでない方がいる実態を見て検討したほうがいいのではないか、退職金は企業の導入割合で単純平均するのではなくて加重平均して算出したほうがいいではないか、労使協定方式の場合に当初想定していた地域や業種ではない派遣先に派遣するときにはどのように対応するのかといった点について、御回答をいただけていません。今回の参考資料1の主な意見の中にも入っていませんでしたので、ぜひ次回、反映をお願いします。本日は、御回答は結構です。
○守島部会長 わかりました。ではよろしくお願いします。ほかにどなたか。よろしいですか。
 それでは、私のタイムマネジメントのミスもあり、資料4が残ってしまったのですけれども、一応これで今回の御議論は終わりにさせていただければと思います。
 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。事務局から次回等についてお願いいたします。
○松永有期・短時間労働課長 次回の同一労働同一賃金部会は、追って御連絡をさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして第12回「同一労働同一賃金部会」を終了いたしたいと思います。
 なお、議事録の署名につきましては労働者代表の村上委員、使用者代表の鈴木委員にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日は皆様、お忙しい中どうもありがとうございました。
 

 

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会・職業安定分科会・雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会)> 第12回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会(2018年10月10日)

ページの先頭へ戻る