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2018年10月2日 第11回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会

雇用環境・均等局

○日時

平成30年10月2日(火) 10時00分~12時00分

 

○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省専用第15会議室

○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、武田委員、中窪委員、松浦委員、守島委員、山田委員
 

【労働者代表委員】

梅田委員、小原委員、齋藤委員、松井委員、村上委員、吉清委員
 

【使用者代表委員】

秋田委員、及川委員、高野代理人(小林委員)、鈴木委員、中野委員

○議題

・ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について

○議事

 

○守島部会長 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから第11回「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出席状況につきましては、使用者代表の小林委員と田代委員が御欠席でございます。小林委員については、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様が代理出席をなさいます。あと、公益側の武田委員は少し遅れて来られるということで、後で参加していただきます。
 それでは、事務局から定足数の御報告をいただきたいと思います。
○松永有期・短時間労働課長 定足数について御報告をいたします。
労働政策審議会令第9条では、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございました。カメラはいらっしゃいませんね。このぐらいで終わりにさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は、前回からの引き続きで「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について」を議論いただきたいと思います。まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○吉村多様な働き方推進室長 それでは、事務局から本日の部会の資料について御説明をさせていただきます。
 先ほど部会長からもお話がありましたように、本日につきましては、前回の部会に引き続き、労働者派遣法に関して御議論いただきたいと思っております。
 前回の部会におきましては、派遣の労使協定について御議論いただいたかと思いますけれども、前回の部会では、労使協定に関する資料の4番目の賃金部分につきまして、次回以降、議論となっておりましたので、本日の部会では、この次回以降議論となっていた部分につきまして、労使協定の賃金に関する御議論をいただきたいと思っております。
 資料といたしましては資料1-1から1-6、参考資料といたしまして参考資料1から4まで御用意しております。参考資料につきましては説明を省略させていただきますけれども、参考資料1につきましては前回、前々回の部会におきまして、委員からいただいた御意見を整理しているものでございます。
 まず資料1-1について御説明をしたいと思います。「労使協定について」と書いてある資料でございます。
 1ページ目から2ページ目にかけまして、労使協定の賃金に関する労働者派遣法の規定ですとか、参議院厚生労働省委員会での附帯決議、2ページ目に労働政策審議会の建議についての記載をしております。
 1ページ目の労働者派遣法の労使協定に関する賃金の規定でございますが、30条の4第2号イのところでございますが、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として、厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となること、それから、ロでございますけれども、職務の内容等に向上があった場合に賃金が改善されること。3号でございますが、職務の内容等を公正に評価して賃金を決定すること。こういった規定がなされております。
 続きまして、1ページの下から2ページ目にかけて参議院の附帯決議でございます。一般の労働者の平均的な賃金の額は、政府が公式統計等により定めることを原則とし、やむを得ず他の統計を活用する場合であっても、一般の労働者の平均的な賃金の額を示すものとして適切な統計となることについて、労働政策審議会において検討を行うことということが決議なされております。
 このようなことを受けまして、労使協定方式の場合の賃金の定め方について、資料1-1の3ページ以降で考え方の整理を順次していっております。
 3ページ、(1)第2号イの要件でございます。1つ目の○でございますけれども、先ほども御説明をいたしましたが、協定方式の賃金の要件といたしましては、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として、厚生労働省令で定めるものと同等以上となるものであることが求められております。
 また、3つ目の○でございますけれども、同種の業務に従事する一般の労働者が比較の対象とされておりますが、ある程度の細かさで職種別の賃金水準を把握できる政府統計といたしましては、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計の2つがございます。
 4つ目の○ですけれども、ただし、同種の業務に従事をする一般労働者の中にもさまざまな能力、経験の方がおられますし、地域的な賃金水準の相違というものもございます。そこで同等以上とすべき厚生労働省令で定めるものにつきましては、3ページ目の一番下の四角で囲っている部分でございますけれども、派遣先の所在地を含む地域において同種の業務に従事する一般の労働者であって、同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金額ということを厚生労働省令で定めてはどうかと考えております。その上で具体的な金額ですとかその他の方法などにつきましては、局長通達で定めることを考えておりまして、その具体的な定め方の考え方につきましては、資料1-2で御説明をしたいと思いますので、資料1-2、横置きの「一般労働者の賃金水準及びそれと比較する派遣労働者の賃金(案)」をごらんいただけますでしょうか。
 まず賃金につきましては、1の局長通達で示す統計、これは賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計でございますが、これのどちらかを用いる場合と、下のほうの2で局長通達で示す統計以外を用いる場合の2つの場合があると考えております。
2の局長通達で示す統計以外を用いる場合といたしましては、下の枠で囲っている部分で2つやり方があると考えておりまして、国または地方公共団体が作成する公的統計を別途活用するですとか、あるいは一定数以上の標本数を確保し、無作為抽出で実施する統計を活用するということも可能にすることを考えております。
 1の局長通達で示す統計のほうに戻っていただきますでしょうか。職種別の賃金統計を把握できる政府統計といたしましては、この賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計の2つがございますので、それを用いることを考えております。一般労働者の賃金水準につきましては、職種別に分けることともに、能力、経験を代理するものとして勤続年数別に示す。さらに地域差をあらわすものとして地域指数というものを示すことを考えております。その上で、個々の派遣労働者の賃金を時給換算した上で、同等以上かどうか確認するということを考えております。
 イメージといたしましては、1-2の1ページ目の真ん中あたりに図で示しているものでございます。左側に2つ棒グラフがありますが、それが局長通達でお示しする統計として、賃金構造基本統計調査なり職業安定業務統計をもとに時給を換算した賃金水準でございます。
 まず左側の賃金構造基本統計調査でございますけれども、時給換算をしました所定内給与に特別給与を足しまして、その上で能力、経験を加味する勤続年数の指数と地域の物価などを加味する地域指数を掛けまして、時給ベースでの一般労働者の賃金水準というものを職種別に算定してお示しすることを考えております。
 真ん中の職業安定業務統計のほうでございますけれども、基本給の手当を時給換算したものに、賞与につきましては職業安定業務統計では情報がございませんので、賃金構造基本統計調査をもとに計算をした賞与の指数を掛けた上で、そこに能力、経験を加味する勤続年数指数と地域の物価等を加味する地域指数を掛けまして、時給ベースの一般労働者の賃金水準を職業別に算定をすることを考えております。
 なお、この両者には時間外手当ですとか現物給付については含まれておりません。この賃金構造基本統計調査または職業安定業務統計のどちらかを労使で選んでいただきまして、右側の個々の派遣労働者の時給換算をした賃金額と比較をして、個々の派遣労働者の方の賃金額が上回るように協定で定めていただくことを考えております。
 なお、個々の派遣労働者の賃金のうち、賞与等の諸手当につきましては個々人によって変動することも勘案しまして、平均値で代替をするですとか、通勤手当につきましては居住地によって変わってくることも踏まえて、実費支給をしているような場合については分離をして比較することも可能にしてはどうかと考えております。
 留意点といたしましては、真ん中あたりに※で5つ書いております。1点目の※ですけれども、一般労働者とは無期雇用かつフルタイム労働者を考えております。2つ目の※ですが、賃金構造基本統計調査の勤続0年目の賃金においては、中途採用の方も含まれておりますので、学歴計の初任給との差であります12%を調整しております。同じ考え方から、職業安定業務統計につきましては、求人賃金の下限値の平均というものを使用しております。4つ目の※でございますけれども、労使協定には一般労働者の賃金水準として選択をしたものと、派遣労働者の賃金の両方の数字を明示することとしてはどうかと考えております。5つ目の※ですけれども、退職金につきましては別途比較ということを考えております。具体的には資料1-2で御説明をいたしますが、3つの選択肢を御用意して、その中のどれを採用するかというのを労使で決めていただくことを考えております。
 具体的に3つの選択肢につきましては、資料1-2の2ページ目を見ていただけますでしょうか。「一般労働者の賃金水準及びそれと比較する派遣労働者の賃金(退職金の取扱い)(案)」でございます。3つの選択肢をとると申し上げましたが、1つ目が国がお示しする各種統計の中から、自社に合致するものを労使で選択をしていただくことを考えております。例といたしまして、東京都の中小企業の賃金・退職金事情を採用した場合をお示しをしております。東京都の調査では、退職手当の受給に必要な最低勤続年数として、最も回答が多かった割合である3年というものを採用いたしまして、3年以上で退職手当を支給するということを労使でまず決めていただく。その上で東京の調査の勤続年数別の支給月数に退職手当を導入しておられる企業の割合、これは69.8%ですけれども、これを掛けることで基準の支給月数を計算していただく。これが上のほうに載っているテーブルでございます。その上で自社の退職金テーブルというものをつくっていただいて、それが基準となる月数を上回っていることを確認していただくことを考えております。
 選択肢の2につきましては、派遣労働者の退職手当費用を時給換算して加算したものと、一般労働者の退職費用分である時給の6%を上乗せしたもので比較をするということで、派遣労働者のほうが上回っていることを確認していただくということでございます。
 選択肢3につきましては、給与の6%以上の水準で中小企業退職金共済制度ですとか確定給付企業年金あるいは確定拠出年金などの制度に加入をしていただくことで、同等以上と解釈をするものでございます。
 具体的な労使協定のイメージにつきましては、資料1-2の3ページ目を見ていただけますでしょうか。職務給のケース(イメージ)ということで、プログラマーの職種で労使協定を結んだ場合のイメージを記載しております。このケースにおきましては、札幌のハローワーク管内に派遣をする場合の協定を想定しておりますが、プログラマーの仕事を職務内容に応じまして、高度なプログラム言語を用いるようなものについてはAランク、中級についてはBランク、初級の部分につきましてはCランクと位置づけまして、それぞれのランクの職務内容をもとに、一般労働者の平均的な賃金で見た場合に勤続何年目ぐらいにその仕事の内容が相当するかというものを労使で決めていただくことを考えております。
 この例でいきますとAランクにつきましては10年目相当、Bランクにつきましては3年目相当、Cランクにつきましては0年目相当ということを労使で決めていただきまして、その上でプログラマーの札幌ハローワーク地域であれば、例えば0年目ですと1,112円という時給が出てまいりますので、それ以上の賃金となるようにCランクの賃金を決めていただく。この場合ですと1,450円ということで、1,112円を上回っているということで問題はない。同様にBランク、Aランクにつきましてもプログラマーの3年目、10年目を上回るような形で派遣労働者の方の賃金を決めていただくことを考えております。
 以上が2号イの部分でございます。
 資料1-1に戻っていただけますでしょうか。4ページ目は2号ロの部分でございます。要件といたしまして厚生労働省令で定めるものを除き、職務の内容等の向上があった場合に賃金が改善されるものであるということが求められております。ただし、通勤手当など職務の内容等に応じて決定することになじまないものもありますので、短時間・有期雇用労働法10条でも似たような規定がございますので、それと同様に4ページ目の四角で囲ってある部分でございますけれども、省令で通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当、その他の名称の如何を問わず支払われる賃金のうち、職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外のものということを定めて、2号ロで厚生労働省令で定めるものということを定めてはどうかと考えております。
 資料1-1の5ページ目を見ていただけますでしょうか。第3号の部分でございます。第3号では、派遣労働者の職務の内容等を公正に評価をして、賃金を決定するいとうことが求められております。具体的な評価の方法といたしましては、5ページ目の3つ目の○でございますけれども、キャリアマップ、スキルマップを整備して一定期間ごとに当てはめを行うですとか、派遣労働者の方と成果目標を設定して一定期間後に達成状況について面談を行って評価を決めるなど、さまざまなものが考えられるのではないかと考えております。
 具体的な賃金額のイメージでございますが、資料1-3をごらんいただけますでしょうか。資料1-3はあくまで平成29年のデータをもとに無期雇用、フルタイム労働者の職種別の賃金を時給換算したものでございます。基準値として太字で書いてある部分が、いわゆる勤続0年目の賃金を職種ごとに記載しております。
 注意点といたしましては、3ページ目のところに枠外に注1という記載がございますが、先ほども御説明をいたしましたが、基準値、勤続0年につきましては学歴への初任給との差を考慮して12%の補正をしているということ。それから、注3でございますが、職業安定業務統計をもとに計算した数字と比較できるように、通勤手当分の71円はこの数字から控除されているということ。注4でございますが、平成29年度の最低賃金全国加重平均の848円を下回るようなものにつきましては、「-」ということで数字を示さないということで取り扱ってはどうか。そういった場合につきましては職業安定業務統計のほうを活用していただく。あるいはほかの政府統計、あるいは独自統計という方法もあると考えております。また、注5でございますけれども、能力、経験の代理指標といたしまして勤続年数指数というものをつくっておりますが、この指数につきましては職種共通のものといたしまして、産業計のものを一律に活用してございます。
 資料1-4をごらんいただけますでしょうか。こちらは職業安定業務統計を使って平成29年のものを算出したものでございます。平成29年のデータをもとに無期雇用、フルタイム労働者の職種別の賃金を時給換算しております。基準値がいわゆる勤続0年目の賃金を職業別に記載をしておりまして、大分類、中分類、小分類それぞれ記載をしてございます。
 最後の9ページに枠外で注を記載しておりますが、注2でサンプル数が少ない、この場合ですと30を下回るようなものにつきましては、数字をお示しせず「-」としております。それから、注4でございますけれども、能力、経験の代理といたしまして勤続年数指数を活用しておりますが、職業安定業務統計では勤続年数別のデータはございませんので、賃金構造基本統計調査をもとに先ほど御説明したものと同じ職種共通のものを活用して、1年目、2年目、3年目、5年目、10年目のものを機械的に計算してございます。
資料1-5をごらんいただけますでしょうか。職業安定業務統計による地域指数というものでございます。職業安定業務統計をもとに全国計を100といたしまして、都道府県別、ハローワーク別に指数を示しております。
 11ページ目の枠外に注釈をつけておりますが、指数の計算に当たりましては、地域によって職業の構成が異なる影響を除去した上で指数化をしております。
 資料1-6をごらんください。退職手当に関する各種調査を取りまとめたものでございます。
 まず1ページ目の上のほうに退職手当制度がある企業の割合を、就労条件総合調査などの結果を示しております。また、1ページ目の真ん中あたりから退職手当の受給に必要な所要年数というものも同様に、就労条件総合調査などの結果を記載しております。
 2ページ目は、退職手当の支給月数といたしまして就労条件総合調査の例などを記載しておりますし、5ページ目からは退職手当の支給金額についての各種調査の結果、最後に9ページ目でございますが、退職給付等の費用の調査結果といたしまして、就労条件総合調査の結果を記載しております。こういったものの中から派遣会社の労使で協議をして、適切なものを選択して、決めていただくことを考えております。
 資料1-1から資料1-6の説明は以上でございます。
 参考資料1から参考資料4につきましては、参考資料1が先ほどもお話しましたけれども、前回、前々回の部会で御意見をいただいた部分につきまして、事務局で取りまとめをさせていただいたものでございます。
 参考資料2、参考資料3、参考資料4につきましては、前回お配りしているものと同じものでございますので、説明は省略させていただきます。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について何か意見、御質問等おありになればお出しいただければと思います。
 では、梅田委員。
○梅田委員 労使協定の対象者について、具体例を用いて質問をさせていただければと思っております。
 例えば1人のシステム業務に従事する派遣労働者を念頭に置いた場合、1つの雇用契約期間に派遣先で開発業務を行っている期間もあれば、派遣元における自社開発に従事している期間もあります。この場合、労使協定は実際に派遣先で就業している期間に適用されるという理解でよいか確認させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。質問ですので、もしよろしければ。
○松永有期・短期時間労働課長 ただいまの御質問につきまして、この労使協定はあくまでも派遣労働者として働く場合の基準ということになりますので、今、派遣元でとおっしゃったのは、自社内の従業員として従事するということかと思いますけれども、そういった場合はこの協定の対象ではなくて、あくまでも派遣労働者として働く場合の基準ということで考えているものでございます。
○守島部会長 ほかにどなたか。では小原委員。
○小原委員 前回、前々回と欠席しましたので、いくつかご質問したいと思います。
 まず、今回御説明いただいた労使協定の仕組みは、率直な感想として、私が初めて出るからかもしれませんが、余りにも複雑でにわかには理解ができません。実務になじむかどうか非常に疑問があるというのをまず申し上げたいと思います。
 その上で、算出方法、根拠など、現時点で資料を見て感じた疑問点などについて、幾つか御質問、確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1-2の1ページ※の2個目に、「学歴計の初任給との差(12%)を調整」とあります。「一般労働者の賃金水準」を定めるにもかかわらず、賃構のデータそのものを使うのではなくて一律減額した数値を使うことがいいのかどうか、私はわからないでいます。賃構の勤続0年に中途採用が含まれていることは理解しますけれども、全ての業種で、基準値である勤続年数0年を一律に12%減額する。そのことによって資料1-3にありますように、多くの職業の賃金が最賃を下回ってしまっているということがあります。下回っていること自体がこのやり方に課題があることをお示しされているのではないかと思っています。12%一律減額でよい根拠をぜひお示しいただければと思います。
 あわせて同じ資料で、同じ2個目の※に、「職業安定業務統計では求人賃金の下限を使用」とあります。先ほどの御説明では、下限の平均とおっしゃっていたと思いますので、下限と下限の平均は全然違いますので、ぜひ正しく書いていただきたいと思いますけれども、そもそも今は「一般労働者の賃金水準」を議論しているのです。その点からすると、求人賃金の下限ではなくて、求人賃金の一求人当たりの上限と下限の平均の平均値を求めるべきではないかと思っておりますので、御検討をお願いしたいと思います。
 また、算出根拠という意味では、今、申し上げた12%の減額率だけではなくて、勤続年数指数、地域指数の算定根拠がわかりません。地域指数については、先ほど御説明の中で資料1-5の11ページ、「構成比の違いを除去」とご説明がありましたが、一言で言われてもにわかに理解できませんので、この根拠もお示ししていただきたいと思います。その他、賞与指数の1.02、退職費用分6%をどのように算出したのかなど、今回の提案には数字の根拠が決定的に不足していると思います。根拠をお示ししていただかないと議論も深まりませんし、職場での理解も進まないと思います。次回部会では算出根拠を示していただき、その上で審議をさせていただきたいと思います。
 さらに言いますと、賞与指数1.02についてです。労働組合は賞与ではなく一時金と申し上げますけれども、1.02のうちの0.02が一時金となると、1年で12カ月を掛け算しても0.24カ月にしかならないのです。これがいいのか疑問です。
 また、退職金割合の6%も、資料1-2の2ページ目にある程度計算方法の記載がございますけれども、枠囲みの中に6.02とあったものを切り捨てて6%にしています。「一般労働者の賃金水準」を議論する際に、切り捨てで本当にいいのか。特に退職金は長期、しかも金額も大きくなりますので、切り捨てで本当にいいのかというのは疑問があります。
 もっと言えば、1ページ目の一番上の公表データの中には、退職金費用の項目がないのです。一覧表と勤続年数指数、地域指数の公表とありますので、ぜひこの退職金の費用の6%の根拠についてもお示しいただきたいと思います。それぞれ数字を示すだけではなく、根拠もあわせて示す必要があると思います。
 また、資料1-2の左の図では、所定内給与に特別給与を足し算して「一般労働者の賃金水準」を示すとしていますが、毎年業績その他で大きく変動する特別給与と所定内給与を足し算してしまうことが本当に実態を表しているのか。別々に算出して足したほうがいいのではないかとも思っていますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 最後に1点質問なのですけれども、資料1-2の2ページ目の選択肢1の例示の中に、支給月数に退職金制度導入割合を掛け算するとありますが、掛け算した数値はどんな意味をもつのでしょうか。素朴な疑問なのですが、教えていただきたいと思います。
 とりあえず以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。事務局いかがですか。
○松永有期・短時間労働課長 今、御指摘いただいた数値の考え方の根拠となるものについて、必要であればまた次回、御用意させていただきたいと思いますけれども、簡単に考え方を説明させていただければと思いますが、まず最初、賃金構造基本統計調査で12%を引いたという部分ですけれども、これは定性的なお答えになりますが、先ほども説明させていただきましたように、賃金構造基本統計調査でとりますと勤続0年の場合に、普通の新卒者の方も入っていれば中途採用で採用されて、その企業において勤続0年目という方が含まれているというもので、そのために生じてくる賃金水準の差については、この基準を考えるに当たって一定程度考慮しなければならないのではないかという問題意識があります。そこで学歴計の初任給との差ということで12%というものを出して、それを引いているということでございます。
 ただ、この初任給の水準というのが職種ごとにとれれば、それぞれの職種ごとで比較することもできたのでしょうけれども、そういったものがない中で、今回このような形で一律に割り引くという形でお示しさせているところでございます。
もう一つ、求人の下限を用いることにつきましては、これは求人も同じような形で、一定程度経験のある中途採用の方も前提にした求人ということを考えますと、そういったところで完全に真ん中の数字をとってしまうと一定程度経験のある人ということも考慮した数字になってしまうというところで、そこは勤続年数というのは、今回の基準を決めるに当たりまして、能力とか経験の代理指標として使うということを考えると、未経験の方を念頭に置いた形でお示しすることがいいのではないかということでございまして、経験値が最も少ないものということでいくとすれば、その下限をとることが1つの考え方になるのではないかということで、その下限の値というものを出させていただいてございます。
 もう一つ、地域指数についての御指摘もいただきました。こちらで全国平均について出した上で、それと職業大分類において同じ構成比にした場合というやり方をしているわけですけれども、この部分につきましては職業によりまして賃金の水準に違いがあるというのが現実としてございます。したがいまして、地域ごとの職業別の水準を何も加味せずそのまま使ってしまうと、特定のある職種、賃金水準の低いところとか、高いところというのが多い地域におきましては、その部分がより高く出てしまうところが難点でありますので、そういったものを一定程度加味することを考えたときに、全体の職業の構成比というものと合わせた形で加重平均をとった場合にどうなるかというものを出した上で、それを全国平均との値で指数化していくことを1つの考え方としてやらせていただいてございます。
 賞与指数につきましては、これは0年目について1.02ということでやらせていただいているわけなのですけれども、こちらにつきましては賃金構造基本統計調査をとりまして勤続年数ごとに所定内給与と賞与の額というものが出せるわけなのですが、0年目というか入社1年目ということであれば比較的少ないケースが多かったと思いますが、0年目については実際に賞与の場合は年間でとりますので、それを12で割るという形で1カ月当たりにして、さらにそれを時給換算で割り出すという形でやっているのですが、そういう形でとると、0年目については約2%になりますけれども、勤続1年あるいは勤続2年ということになりますと、賞与も増えてきてまいりますので、その分を加味した形で指数を算出するに当たっては計算をしているということでございます。
 退職金の根拠につきましては、これは6%という部分でございます。これは資料1-2の2枚目にも書かせていだたいておりますが、実際に退職金、退職手当相当ということで実際に退職金を支払っている場合ですとか、確定拠出、確定給付の年金の掛け金といったものもこの中には含まれるわけですけれども、これにかかる費用について厚労省の平成28年就労条件総合調査で調べますと、この費用というのが1万8834円ということでございまして、この費用が現金給与総額に占める比率を出した場合にこの数字になったということでございます。6.02となっているものを切り捨てて6%にするということにつきましては、少しでも計算を簡単にするということでどうかということで御提案させていただいておりますが、そういったところは御議論をいただければと思っております。
 最後、退職金のところで、選択肢1の例示の中でお示ししております退職制度導入割合を掛けるとしているものですけれども、これはあくまでも一般労働者の平均的な賃金ということで考えました場合には、退職金制度がない場合、具体的には退職金がなくて支給月数が0カ月ということについても、考慮に入れなければいけないということでございまして、例えば東京都の調査でいきますと69.8%以外の約3割の企業におきましては退職金制度がないということでありますが、そういった企業については0カ月とみなして全体の平均を出すとした場合に、テクニカルなところでこれを69.8%掛ければ、そういったゼロの部分を加味した形での相場の支給月数が出るということで出させていただいております。考え方としては残りの3割の企業が0カ月であると考慮して全体の平均を出すためにこの割合を掛けたということでございます。口頭での説明になりますけれども、考え方としてはそういう考え方でございます。
○小原委員 御説明ありがとうございました。
 まず、最後の退職金制度の導入割合の部分からお願いをしたいのですけれども、この数字は企業による単純平均にニアリーイコールだと思うのです。今は「一般労働者の賃金水準」を議論していますので、企業による単純平均だけではなくて、これがいいかどうかは議論が必要ですけれども、少なくとも労働者数を加味した加重平均で議論すべきなのではないかと思っています。
 また、69.8%は、資料1-6で言いますと、幾つか例示がある中の「平成28年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)」を活用したものですが、中小企業だけのデータを使って「一般労働者の賃金水準」を考えていいのかというのも議論する必要があると思います。
 さらに、次回、資料を御用意いただけると伺いましたので、そのときまた御議論させていただきたいと思いますけれども、賃構の調整値の12%の根拠についても、学歴計の初任給、つまり大卒も高卒も一緒くたにして計算した数字が使われています。つまり大卒は低く出ているし、高卒は高く出ているわけですが、もう少し細かい算出も必要なのではないかと思います。
 加えて、職業安定業務統計についても、経験ない人が本当に下限で募集されているのでしょうか。求人賃金の下限を使うことも疑問が残ります。
 そして、一番は退職金割合を単純化するために切り捨てで計算したといいますが、計算は計算機でできますので、基準値であるにもかかわらず切り捨てて単純化する必要はないと思います。先ほどの答弁は議事録から削除したほうがいいと思いますので、御検討いただきたいと思います。
 あわせてせっかく発言させていただきましたので、それ以外のところも申し上げたいと思うのですが、先ほど梅田委員が御発言されたように、労使協定は、派遣をする以前に締結すると思っています。そうであると、労使協定は派遣先の地域や職種をあらかじめ想定して締結するのだと思いますけれども、想定した以外の地域や職種に派遣した場合はどうするのかをお伺いしたいと思います。
 最後に根本的な課題として、派遣元に常時雇用され、労使協定、賃金協定を既に締結している労働者の場合には、今回例示された資料1-2の3ページにあるような時給が幾らで、賞与が時給で幾らみたいな協定をしていないと思うのです。例えば「一般労働者の賃金水準」以上の賃金協定であって、職務の内容や職務の成果、意欲などで賃金が向上されるような協定をしていることを証明することで足りるとか、整理が必要ではないかと思います。派遣元で常時雇用されている労働者と常時雇用されていない労働者の実態に照らして、協定のあり方を考えるべきではないかと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。
 いずれにしましても、法改正の趣旨である派遣労働者の処遇改善につなげるために非常に大切な部分を私たちは議論していると思っています。これまでの部会、国会でも審議されていない内容を今議論していますので、時間をかけて慎重かつ丁寧な審議をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ただいま退職金についての御発言がありましたので、それに関連して発言をさせていただければと思います。
 本日の資料にはないのですけれども、厚生労働省が行なった平成24年派遣労働者実態調査という調査がございます。その中で、派遣労働者が同一の事業所でどれぐらい通算して派遣されているかという契約期間のデータによりますと、約8割の派遣の方は3年以内におやめになる。約5割の方が1年以内にやめられるという実態です。
 一方、一般労働者の方々が退職金を勤続何年目で受け取れるかということについては、本日の配布資料1-6にありますとおり、退職手当の受給に必要な所要年数ということでデータをお示しいただいており、3年以上でないと退職金が支払われない場合も多いということが、このデータから読み取れるのではないかと思っております。
 しかし、この6%という数字は勤続計の費用平均で、勤続0年とか勤続1年とか、勤続年数ごとに計算した費用に基づいてしていないのではないか。そうした疑問がありますので、確認をさせていただきます。
 それから、同じく資料1-6の7ページでございますけれども、こちらは一例ということで東京都の退職金の調査、モデル退職金ということでお示しいただいております。例えば高卒の左側に自己都合、勤続1年ということで6万5000円という支給額が示されております。同じく高卒、自己都合の勤続37年では、851万9000円ということで、それぞれ月数で割りますと勤続1年の方は5,417円になると思いますし、勤続年数37年の方は37で割って444カ月で割りますと1万9187円になる。退職金は、一般的に、勤続年数に応じて直線的なカーブを描くというよりは、二次関数的なカーブを描くことが多く、このデータでも3.7倍の差が月数であるということでございます。
 この6%というのは今、御説明をいただいたところの私の受けとめとしては、勤続してすぐに一律に6%分を上乗せすることが想定されているのではないかと思います。一律に6%と設定された理由について2点目にお伺いしたいと思います。
○松永有期・短時間労働課長 今、御質問のところに関してお答えしますと、まず6%の算出というのは、先ほど申し上げましたように調査で出てきました退職金等の費用から算出をしているわけでございますけれども、御指摘があったように勤続年数何年の人に対して幾らかというところまでのデータではないので、勤続年数とか全て含めた中で一人当たりの退職給付の費用を出した、その結果を使って算出をしてございます。この6%というのは、そういった形で企業におきまして退職金なり掛け金ということで支払っていただいている、負担していただいている部分の割合を出したものでありまして、この選択肢2ないしは3とかでお示ししているものは、その数字を1つ参考として一般的な労働者の賃金の平均額と言えるのではないかということで、御提案をさせていただいているものでございます。
○鈴木委員 御説明の内容自体は理解しましたが、派遣で就労される方が比較的短時間でやめられるという実態を考えますと、特に勤続3年目以下の派遣労働者の同種の業務に従事する一般の労働者の退職金として、6%というのは過大になっているのではないかという感覚を持っております。これは、これは感想ということで述べさせていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか。及川委員、どうぞ。
○及川委員 資料1-2なのですけれども、中小企業は毎年毎年の景気あるいは外部的な経営環境の変化によりまして、特別給与の額というのがかなり上下するというのが実態でございます。赤字が2年続いて、次黒字になって、また次の年に赤字になってしまうようなことがあります。そういった実態を見たときに、毎年、政府が数字を公表していただけると書いていただいていますが、この毎年というのが、いつぐらいのタイミングで政府が公表するのかというところと、上にあります局長通達で示すというところの整理が理解できないものですから、要は局長通達でこういうものが出るのか、あるいは別途、人の出入りが余り激しくない時期に、3月、4月を除いた時期に例えば8月とか9月とか、そういう時期に何らか政府のほうからこういう数字が出るのかということを教えていただきたいと思っています。
 もう一点は、資料1-2で局長通達を示す統計というものとともに、2ポツで局長通達で示す統計以外を用いる場合ということで、柔軟に運用していただいていることは評価したいと思っています。そこで2ポツの統計以外のところで条件を満たせば局長通達を可能にということなのですが、条件は事前に手続があるのか、あるいはここの部分について特に2つの方法があって、後者でみずからやっている基本統計、標本統計がこれに該当するのかという御相談もあると思いますので、今後だと思いますけれども、こういった御相談に対してきめ細かに相談に応じていただけるような体制も考えていただきたいと思っております。
 以上です。
○牛島需給調整事業課長 安定局の需給調整事業課長でございます。
 今、及川委員から御質問ございました実務に関することですので、私からお答えをいたします。
 まず毎年の公表のタイミングということでありますけれども、賃金構造基本統計調査につきましては例年2月、3月ごろに取りまとめる。ただ、特別集計をして算出することもありますので、その時間をいただきたいというのはございます。
 あと、職業安定業務統計は年度でとるか、年でとるかという議論はありますが、基本的には賃金構造基本統計調査と同じようなタイミングで出せるということを考えると、統計としては年単位でとるというのが合理的なのかなと考えておりまして、そこら辺を加味すると大体3月、4月、5月、そこら辺のどこになるかというのは実務設計をしていきたいと思いますけれども、そういったタイミングになるのではなかろうかと思っております。
 ただ、一方で賃金については春闘で決めていくところもあるかと思いますので、そこら辺は実務的にどういったタイミングでお出しするかというところは今後、施行に向けて整理していきたいなと思っております。
 2点目の独自統計につきましては、これは原則として事前にお墨つきを出す、手続を経て申請をいただいて認可をするといったところは想定していないのですが、ただ、やるに当たっていろいろと御相談とかあろうかと思いますので、そこら辺は政府のほうで対応できるような窓口といいますのか、そういった御疑問がありましたときは、照会があったときはきちんと対応できるように仕組みは整えてまいりたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。松井委員、どうぞ。
○松井委員 関連しますので、退職金について1点意見を述べさせていただきます。「一般労働者の平均賃金」としての退職金であるにもかかわらず、なぜ企業規模で調査対象が異なる統計を使うのでしょうか。東京都の調査は中小企業、中労委の調査は基本的に資本金5億円以上とか従業員数1,000人以上の大企業が調査対象になっていますので、これを「一般労働者」の基準として局長通達で示すのは、ふさわしくないのではないかと思いますので、ぜひ御検討をいただければと思います。
 それから、指数の件は違和感がありますので、いくつか意見をお伝えします。まず、資料1-4の職業安定業務統計です。基準値はいいのですが、基準値にまったく別統計である賃金構造基本統計調査から算出した勤続年数指数を掛けるとしていますが、これは、ある意味、計算上の数値を示していることになります。例えば、1ページ目にある会社役員みたいな職種について、派遣で会社役員というのがあるかどうかわかりませんが、会社役員で勤続10年たったらこんなふうに上がっていくんですかというと非常に違和感があり、架空の数字になってしまっているのではないかと思います。こうした点をどう検証していくのかということもございますし、地域指数についても賃金構造基本統計調査、資料1-3は最賃を下回っているところは「-」にすると言っていますが、仮に最賃を下回っていない数字であっても、地域指数を掛けると結果的に最賃を下回るケースもかなり出てくるのではないかと思います。この場合、どういうふうに使っていくのか。
 一律に算出した各種指数を職種別賃金に掛けていくというやり方であると、算出された数値は、必ずしも実態に合わない計算上の数字になってしまっているのではないかと思います。期間的に間に合うのかどうかわかりませんが、現在、賃金構造基本統計調査については全職種を網羅するような形で統計を変えていこうという検討もされているようですので、賃金構造基本統計調査の見直し作業を早く進めて、それをベースに出していくことにしないと、実態とかけ離れた数字が「一般労働者の賃金水準」となり、現場は混乱していくことになるのではないかと思いますので、慎重に御検討していただきたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 まず、退職金の部分です。そもそものお話になるのですけれども、資料1-2の2ページ目にあるとおり、選択肢が1から3まで3つ示されています。さらに、選択肢の1を見てみますと、国が退職手当の相場を通達で示すという場合について、その相場は、資料1-6にあるとおり厚労省、東京都、中労委、人事院などの複数の調査を示すということになっており、結局どれに依拠すればいいのかというところが非常にわかりづらいと思います。
 さらに資料1-6の中身を見ていきますと、それぞれの統計データの支給月数や支給額は異なります。また、退職金制度導入割合については、中労委の調査が91.1%で最高である一方、東京都の調査では69.8%と、統計によって大きなばらつきがあるという状況です。もちろんどの調査も正しいのだと思いますし、また、どの調査を選ぶのかということは労使で選択していくことになるかと思いますけれども、ここまで統計が乱立し、数字のバラツキがある状況を見ると、結果として現場労使が混乱してしまうのではないかと懸念しております。
 さらに賃金につきましては、退職金とは別に賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計、また、それ以外の統計も認めるということになっており、待遇によって見ていくデータが異なるという状況になっておりまして、「一般労働者の賃金水準」のデータとしては、継ぎはぎ感が否めません。
 「一般労働者の賃金水準」は、労使協定方式の対象となる派遣労働者にとって、ある意味、最低賃金のように機能するのだろうと思います。その意味からすれば、もう少し現場も理解しやすいような統一的な数値を示していただく必要があるのではないかと思っています。
 もう一点ございまして、資料1-3で賃金構造基本統計調査に基づくデータと資料1-4で職業安定業務統計に基づくデータを出していただいていますけれども、両者を見比べると職種の重複があります。例えば、公認会計士を見てみますと、資料1-3では226番に公認会計士と税理士とございまして、その基準値は2,195円となっています。一方、資料1-4では181番に公認会計士の記載がございまして、基準値は1,341円であり、賃金構造基本統計調査の数値と比べると、2倍とは言わないまでも、かなりのばらつきがあるかと思います。こうした統計ごとの差がある職種の「一般労働者の賃金水準」は、どちらを基準にして使うのでしょうか。これは、労使で話し合って決定するということになるのでしょうか。この理解でよいのかについて、まずは確認をさせていただければと思います。
 その上で、どの基準を使うかは個別労使に委ねるということなのであれば、例えば1つの派遣元の中で、資料1-3と資料1-4を恣意的に使い分けるよう運用というのは、少なくとも省令などで禁止すべきなのではないかと思います。加えて統計自体は職業安定業務統計を一本化して採用するということを選択したとしても、例えばこの職種は小分類を使うけれども、この職種については小分類を使うと時給が高くなるので中分類を使うというように、恣意的に低い基準を使うといったような使い分けができないように、省令や指針で禁止をしていくべきであると思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上となります。
○守島部会長 ありがとうございます。お答えになりますか。
○松永有期・短時間労働課長 今の齋藤委員の御指摘に関してでございますけれども、統計の示し方についてはいろいろ御指摘があろうかと思いますが、なるべく実態に近いものをどうやって出すか、いろいろ検討を中でさせていただいたのですが、どうしても統計上の制約の中で細かくとれないようなところについて、そこをどういう形で加味するかというところで幾つか勤続年数の指数であったり、地域の指数というものを使ってということでお示しをさせていただいているところでありまして、これは今後いろいろな統計が出てきた中でより精緻なものが出てくれば、そういったものを使うということの検討はあり得るのかなと思っております。
 あと、御質問をいただいたところで賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計で重なる部分の取り扱いということでありますけれども、こちらはものによっては職種の定義とかが違っているものもありますので、よりふさわしいものというようなところを個別の労使で選んでいただくことも考えておりまして、基本的にはそのどちらの基準を採用するかということについて、個別の労使で話し合って決めていただくことが基本になるかなと思っております。ただ、御指摘がありましたように恣意的な運用をする。例えば今、御指摘もありましたように小分類を見たときに、低い場合は小分類を使い、小分類で見たときに高くなってしまうときは中分類を使うとか、そういったいいとこ取り的な対応は望ましくありませんので、そういったところについては一定の歯止めが必要ではないかと思っております。
○守島部会長 吉清委員、どうぞ。
○吉清委員 局長通達で示す統計以外を用いる場合について御質問、確認をさせていただければと思います。
 「一般労働者の賃金水準」を何の統計を使って基準を示すかというのは、国会の中でも議論が深まった点だと思います。その中では、賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計をもとに政府が定めることを原則、やむを得ない場合はその他の適切な統計という整理がされ、資料1-1の2ページにもあるとおり、参議院の附帯決議でも原則と例外の関係について触れていただいているところです。
 こうした点からすれば、まずは政府が公式統計などによって定めることを原則として考え、やむを得ない場合はその他の適切な統計という原則と例外の関係をきちんと省令ないし指針等で明記することが、現場の労使の無用な迷いを払拭することにつながるのではないかと思います。御検討いただければと思います。
 その上で、当然のことながら例外となる局長通達で示す統計以外を用いる場合についても、資料1-2のポンチ絵の一番下の四角の中にあるとおり、国または地方公共団体が作成する公的統計であることを原則として、それ以外の場合も集計項目ごとに実標本数を一定水準以上確保するよう設計して、無作為抽出を基本とした調査であるべきです。この「実標本数を一定以上確保する」というのは、具体的にどういったレベル感をイメージしているのか。もし今、お考えがあればぜひともお聞かせいただきたいと思います。
 また、資料1-3の賃金構造基本統計調査や資料1-4の職業安定業務統計では勤続0年を基準値として、1、2、3、5、10といった形で段階的な数値が示されているわけですけれども、局長通達で示す統計以外を用いる場合についても、段階的に示すことが可能な統計であることが原則であると理解すればいいのか、その点についても確認をさせていただきたいと思います。
 さらには、賃金構造基本統計調査とか職業安定業務統計が1年に1回更新されることを踏まえれば、例外として局長通達で示す統計以外を用いる場合についても、1年に1回程度更新される統計であることが望ましいのか、それとも極端な例として、統計の更新の頻度が5年に1回とか10年に1回みたいな例もあると思います。そういった統計の更新頻度も定めて省令や指針、通達で示す予定であるのか。こうした点についてお聞かせいただきたいと思います。
○牛島需給調整事業課長 今、吉清委員から御指摘のありました独自統計、あくまで附帯決議にもございますとおり、公的統計によることが基本ですというところは、そこは御指摘のとおりであります。そういったことをきちんと私ども周知に当たっては明確にしていきたいと思っております。きちんとそういったものの趣旨は伝わるようにしていきたいという考えでおります。
 あと、独自統計の一定数のところでありますが、ここはこの場での御議論も踏まえてというところではございますけれども、通常の統計ですと各区分ごとに大体相場観としては30程度というところがございます。ただ、それをこの場合、当てはめていったときに例外が例外でなくなってしまう可能性というのは若干ありますので、その数をどれぐらいの数、求めていくかというところにつきましては、少し整理をしていきたいと思っております。
 もう一つの御質問は、例えば職業安定業務統計で言うような勤続年数ごとに0年、1年、2年、3年、5年、10年をフルスペックでとれるようなものを基本にすべきというようなところで御質問だったかと思うのですが、そういった御趣旨でよろしいでしょうか。
○吉清委員 ということを求めるのかどうかのお考えをお聞かせいただければと思います。
○牛島需給調整事業課長 こちらの統計につきましてもある意味0、1、2、3、5、10というところにつきましては、勤続年数指数、一律のものを掛けるという形で整理しておりますので、勤続0年の部分を調べて、それを勤続年数、これは所要のものを活用して運用するという扱いも否定されるものではないのではないかと思っております。
 ただ、当然のことながら実態はこの勤続年数指数に応じた伸び方をしていない職種だというようなことを確認するために、0、1、2、3、5、10というものをフルスペックで確認することを否定するものではございませんけれども、必ずそうしなければならないというところまでは、現時点では事務局としては想定していないという形でございます。
 以上であります。
○守島部会長 では、秋田委員、小原委員、お願いします。
○秋田委員 今のやりとりと関連するのですが、まずその前に勤続年数が経験、能力の代替指標みたいな形で使われていますけれども、これはあくまで代替の指標ということで、勤続年数が長くても単純な作業をしている人はずっとそのままの能力ですので、勤続年数がたつと昇給していくことを意味しているのではないということですね。
 そうすると、先ほどいろいろな職種の話もありましたけれども、いずれにしても派遣のための統計ではないので、既存の公的統計を使うということであれば、全然マッチしないわけです。そもそもの統計の目的が違いましたから。したがって、例えばある職種については、ものすごくここの小区分でぴったりくるものがあります。だけれども、こちらのB職種はぴったりくるものがない。そうすると無理やり小区分はとれないので、もう少し大きい区分にしますという、やむを得ずそういうことになるわけです。そうすると全部大区分なら大区分使いなさいとかになると、せっかくぴったりくる項目が統計ではあるのに使えないという、これを恣意的と言われたら、これは恣意的でも何でもなくて、統計をきちんと使っていこうという正しい運用だと思うのです。ですから恣意的とか何となく曖昧な表現ではなくて、きちんとその辺のいい場合、悪い場合を明示していただきたいということです。
 それと今、申し上げましたようにぴったりこない統計なので、複数の統計を加味して使っていくことも私はありなのだろうと思います。これもそれが正しい場合と、そうではない場合をきちんとやっていただきたいと思います。
 いずれにしても、ここで法律の条文では同種の業務に従事する一般の労働者、条文そのものに同種の労働者、同種の業務なんだということを明示されていますので、本来であれば行政としてきちんとした細かい職種の統計をこのためにつくるぐらいのアクションがあっていいのだろうと思います。だけれども、それを今の今できないので、当然、公的統計を基本として、それを使っていくことになるのですが、そういう同種の業務、業務を細かく見ていくとなれば、これはやはりさまざまな業種団体で既にいろいろな調査がなされていますので、こういったものをきちんと正しく使っていける。こういう運用をするのが今、公的統計では余りに網が粗過ぎて使えないという実態からすれば、実務的にはそういうことをぜひやっていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では小原委員、お願いします。
○小原委員 大分前の質問の関連になってしまうのですけれども、先ほど齋藤委員から、資料1-3の賃金構造基本統計調査と資料1-4の職業安定業務統計で重なる職種があるとの指摘があり、事務局からはふさわしいものを労使で選択するという御回答があったかと思います。
 大分前に松井委員からお話があったとおり、賃金構造基本統計調査の見直しによって職種が網羅的にカバーされるようになれば改善されるのでしょうが、今は2つの統計を使うことが示されています。法では厚生労働省令で「定める」ことを求められており、附帯決議でも政府が公的統計によって「定める」ことを原則とされているにもかかわらず、2つの基準があってどちらを使うかは労使の選択に委ねるというのは、政府が「定める」とは言いづらいのだろうと思います。「定める」というのであれば、統計が2つであったとしても、重複する職種は1つの額を「定める」御努力をいただけないかと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、杉崎代理、お願いします。
○小林委員(杉崎代理) ありがとうございます。
 本日、示されました2つの政府統計ですけれども、例えば大卒とか高卒といった学歴別になっていないということからも、先ほど秋田委員の御発言にもありましたとおり、一部の業種や分野で現在の派遣料金の実態と乖離している現状があるのではないかと思っております。仮にこの統計を一律に当てはめるとすると、派遣先における操業や、派遣労働者の雇用自体にも影響が出ることが危惧されますので、業種分野ごとに現在の実態とどの程度乖離があるのか、どのような影響が出そうなのかということをしっかりと精査した上で、あるべき賃金水準を考えていく必要があるかと思います。
 あと、この部会自体が公労使の各委員で構成されていますが、派遣労働者の件については派遣事業者の方が当事者としていらっしゃいますので、派遣事業者の方の意見や生の声も考慮していく必要があるのではないかと思います。
もう一つ、先ほど資料1-3で棒線になっています最賃を下回る数値ついてですけれども、例えば資料1-3の理容・美容師は「-」で最賃以下ということですが、一方で資料1-4の4ページに記載の理美容師を見ますと1,173円とか1,076円という金額が出ていて、非常に金額の差が大きいことがあります。従って、資料1-3で最賃以下になってしまう数値については、「-」にして金額自体を隠してしまうのではなくて、例えば参考数値として何らかの数字を入れるといったことで、賃金決定に当たっての参考データとなるような措置をしていくのがふさわしいのではないか。「-」で隠すのはいかがなものかという意見です。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、中野委員お願いします。
○中野委員 一番初めの議論から「複雑だ」というお話が出てきましたが、これは企業にとっても同じことです。例えば退職金についてですが、退職金を何年目から支給するとか、退職金カーブをどう描くか等、そういうことは各社事業の特性等によって制度設計が違ってくるのが当たり前の話です。平均値しか使えないという事情もあるのかもしれませんが、もう少し考慮するべきだなと思うことと、今後、企業内で派遣労働者の方たちの活用がかなり変わっていく内容の法律だと思っておりますので、企業の中でも間違った指示は出せませんし、現場を混乱させるようなことはしたくありませんので、ぜひわかりやすくということを今一度、よろしくお願いします。
○守島部会長 では村上委員、お願いいたします。
○村上委員 幾つかあるのですが、まず資料1-1の3ページに関連して御質問したいと思います。
 派遣労働者の待遇決定に関しては、派遣先で同種の業務に従事している人たちとの均等・均衡を原則とした上で、派遣元で適正な労使協定を結んでそれを遵守していれば、派遣先均等・均衡の例外とするという中身だったかと思います。
 その際に、派遣元との労使協定を締結する際の「一般労働者の賃金水準」はどうするのかということを、昨年この部会でも何度か御質問をしてきて、ずっとお答えいただで、さらに国会でもずっと答弁されていたのは賃金センサスであり、また、職業安定業務統計であり、そういった公的統計がない職種もあるので、その場合はについてある程度の母数を持つ業界統計であればという説明がずっとなされてきました。先ほど使側の委員から現状と乖離があるというお話もあったのですが、そういう話はもっと前の段階で終わっている話ではないかと思っております。現状と合わせるだけであれば、法改正をする意味がないということもございますので、そういった点はぜひ共通認識としていただきたいと思います。
 3ページの「2.基本的な考え方」で幾つか考え方書かれた上で、四角囲みで記載している省令の記載事項に、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む地域」とあります。ある程度、地域で賃金水準が違うということはあるかと思いますが、質問したいのは、この地域はなぜ都道府県ではなく、ハローワーク毎の地域としているのかということです。
 質問と同時に意見でありますけれども、全国展開している企業において、賃金をある程度地域性を踏まえて変える場合に、調整手当、地域手当、寒冷地手当といった形で制度準備することもありますが、都道府県とか地域ぐらいはありますけれども、ハローワークの管轄地域ごとに賃金水準を変えるということはまず考えられません。一般的に労働者の賃金をハローワークの管轄地域毎に変えることは考えられないので、労使協定方式の「一般労働者の賃金水準」も都道府県毎ではないかという考え方を持っております。
 また、その下で、「当該派遣労働者と同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金の額」とあります。先ほど来ずっと御議論がありますが、一般の労働者は能力や経験に応じて賃金なども高まっていくわけですが、派遣労働者の方も勤続していけば能力が高まっていくわけで、その部分をどういうふうに考慮して賃金に反映するのかということがここの記述だけではわかりません。この部分は、一般労働者の平均だけではだめで、能力や経験値を勘案するということが書かれているのだと理解しますが、そうすると派遣労働者のほうも同じように評価していただくことが必要ではないかと思いますので、その点はどうするのかという質問です。
 先ほど鈴木委員からも派遣労働者の方の勤続年数が短いというお話がありましたが、無期雇用の方は別にして、有期雇用派遣、以前で言う登録型派遣の方というのは、どういった派遣先を紹介してくれるのかということで派遣会社を選んだりもしますし、その時々に応じて派遣会社を変えていく方も多いので、そうなるとどうしても勤続年数は短くなりがちですが、一方で例えば同じ受付業務や秘書業務を何年も続けていらっしゃる方もいます。そういう方々のキャリアをどのように評価するのかということも一緒に考えていく必要があるのではないかと思います。派遣会社が変わったら途端に勤続0年になってしまうという話では、派遣先均等・均衡の例外となるような労使協定とは言えないのではないかと思います。
 その観点で5ページの第3号の部分を見ると、2つ目の○で、「このため、労使協定では派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力または経験等の向上が公正に評価され、賃金の改善に反映されるよう適切な評価方法を定めることが考えられる」とあります。まず質問ですが、どこにこのようなことを示すのでしょうか。四角囲みではないので省令ではないと理解しておりますが、これをどこに書くのかを教えていただければと思います。
 まだ質問したいことはあるのですが、差し当たりここでお答えをお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。では、お願いします。
○松永有期・短時間労働課長 今、何点か御質問をいただいているので、その部分についてお答えをさせていただきますけれども、まず地域というのをどう捉えるかということでございまして、今回、地域指数を掛けるということで、資料1-5でそのたたき台をお示しさせていただいておりますけれども、ここは県単位で見るのか、もっと細かく見ていくのかというところはまた御議論があるかと思います。
 ただ、同じ県内の中でも一般労働者の平均的な賃金の額といった場合に、現実に差があるというのは事実でありまして、そういったところをどれだけ細かく見ていくかというところで考えたときに、細かく見ていくとすると1つの指標としてはハローワークでの統計があるのではないかということで、お示しをさせていただいてございます。
 ただ、実際に協定を定めていただくときに、これは県全体の指数もあわせてお示しをさせていただいているのですが、そのどちらの形で使って、例えば道内でいろいろな地域に派遣されるということであれば、基準としては北海道全体の基準を使おうということであれば、そういうものを選択することもできるというような考え方は持ってございまして、またそこは御議論いただければと思います。
 2つ目にいただいた御質問で、派遣労働者の能力、経験というものをどのように評価するのかというところでございますけれども、これは派遣会社の方でどういう形で賃金を決めるか、何を基準にして決めるかというところにもかかわってこようかと思いますが、一般的には多いのは職務の内容によって決めるというところでありますので、職務の内容によって決めるということを考えるとすれば、実際の基準の当てはめ方としては今日の資料でもお示ししておりますけれども、その職務が大体どの程度の経験などを要するような仕事なのかというところで見るというところが1つあるのかなと思っております。
 ただ、これはあくまでも2号のイの要件としてどう見るかという部分でございまして、別途、2号のロという要件がありまして、その職務の内容ですとか成果、意欲、経験等の向上があった場合には賃金が改善されることという要件はもう一つございますので、そういったところで何らかの形で就業の実態というものを見て、それによって向上が認められた場合には賃金の改善をしていただくということは別途、要件としてかかっているということは申し述べさせていただきたいと思っています。
 あと、最後にございました3号の公正な評価という部分でございますけれども、第3号の規定というのは協定に記載する事項でございますので、ここで例示しているような評価の仕方について、協定で定めていただくことを想定しているものでございます。
○守島部会長 では、梅田委員どうぞ。
○梅田委員 今、地域指数に関して村上委員から出た質問の中で、事務局から答弁がありましたが、資料1-5で地域指数はハローワークごとに定めることについては、労使協定が複雑になるのではないかと思います。とりわけ、協定書を締結する相手方が過半数代表者である場合はなおさらで、単独、かつ、アドホックに選出される過半数代表者にはかなり負担がかかるのではないかと思います。最低賃金も都道府県単位で設定されていることからすれば、地域指数も都道府県ごとで設定されるほうがいと思います。労使協定の複雑さを避けるためにも、都道府県単位の考えを示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、及川委員。
○及川委員 資料1-3のところでしたけれども、先ほど最低賃金を下回るものは「-」という表示がありましたが、確かにこれが出ることによっていろいろな業界が人手不足の中で少しでも賃金を上げていこう、生産性を向上させていこうという中で、先ほども例示がありましたように、理容・美容師のところが下回っているということのデータに受け取られる可能性があるので、資料1-4でしたらサンプル数が少ないということの「-」の意味ということで大変理解はするのですが、ここの注釈は考えていただきたいと思います。
 資料1-5の地域指数のことなのですが、中小企業の場合、大変厳しい地域、地域経済が疲弊する中でどうしても地域の中で生きていかないといけないときに、県の平均をとることによって背伸びをした経営をどうしてもしなければいけない。厳しい地域であればあるほど負担が少し加重になってしまうというのは、厳しい中で地域の暮らしを支える中小企業の今後の持続的経営を考えたときに、大変好ましくない結果になるのではないかと考えております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。続いて秋田委員、どうぞ。
○秋田委員 今の関連で地域の指数ですけれども、派遣労働者の人件費というのは派遣料金にある意味、直結するわけです。であれば地域の指数、水準というのはマーケット賃金ですから、これを無視した派遣料金もありませんし、これを無視した労働者募集というのもあり得ないと思います。もしこれを単一の都道府県ということであれば、これはローカルの中小企業では派遣事業を継続できないという、そもそも事業そのものが成立しないような可能性がありますので、ぜひそういったことはきちんと考慮いただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では松井委員、お願いいたします。
○松井委員 今の秋田委員の御意見ですけれども、おっしゃられる意図は理解するものの、今回の労使協定の金額については、そもそも派遣先均等・均衡しない場合の例外要件というものです。マーケットベースドということであれば、派遣先均等・均衡がそもそもの道として用意されていますので、そのことを踏まえた上でこの基準をどうつくるのかということは検討すべきではないかと思っています。
 その上で資料1-2の最後のページのイメージの例なのですが、今回、法律で言うところの30条の4の2号の賃金のところだけ取り出して記載をされていますが、労側からかねてから要請させていただいているのは、労使協定については1~6号まで決めなければいけないで、労使協定全体のひな形を早く示していただきたいということです。
 その上で労使協定の中では確かに30条の4の2号のイが肝になるところであり、今回のイメージのように政府が示す「一般労働者の賃金水準」の額と同等以上のものというところが肝になります。その意味で、労使協定には、きちんと賃金の額を表示すべきです。この点を省令等で担保していただきたいと思います。
 その上で先ほど来意見があった勤続年数で一律に機械的に評価するものではないということはそのとおりだと思いますが、逆にそうだからこそ、しかも今回の案は勤続0年を機械的に計算して経験がない初任給をもとに基準値を定めるという操作をしていますので、派遣労働者の賃金にこの数値を適用するに当たっては、派遣労働者の方は決して新卒者ではなくて、経験があって派遣先が変わってきている方も少なくなく、他の職場などで経験を積まれているわけですから、機械的に勤続ゼロ年の基準値を当てはめるのではなくて、派遣労働者の方の経験をしっかり見て当てはめるということが必要です。少なくとも派遣先が変わっても同じ派遣会社の場合はそういうことをきちんと配慮するようなことを省令や指針で担保していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 先ほど村上委員から、今の実勢と合わせるのでは意味がないのではないかという趣旨の御発言があったと思います。最賃を割ってしまうというようなデータのところにだけに目が行きがちですけれども、総じて、最賃を相当程度上回る数値というのも多く示されているという印象を私自身は持っております。また、全体の法改正の中での動きとして、公的データには通勤手当71円分、時給単価をオンするという仕組みが示されましたが、派遣労働者の場合には必ずしも通勤手当の支払いがないという実態もあることから、その部分だけを見ても派遣労働者の処遇改善に直結すると思いますし、繰り返しですけれども、退職金について一定の要件のもとで制度として入れる、あるいは事務局案では6%の水準で賃金に上積みをするという案が示されておりますので、総じて待遇が上がる内容になっているのではないかと私自身は思っているところでございます。
 先ほど派遣労働者の特性から、勤続年数については転職しても通算してはどうかという趣旨の御発言だったと私は受けとめたのですが、この問題はまさに皆さんがおっしゃっているように同種の業務がキーワードではないかと思っています。派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事するという方で、一般の労働者の方も同じく転職をすれば、通算するという仕組みに、実態が仮になっているのであれば、それに合わせる検討は当然行なうべきと考えますが、現状、そういう状況になっていない以上、通算するというのは発想としてはいかがなものかと思っておるところでございます。
 また、この水準というのは派遣労働の仕組み自体が需給調整機能の一翼を担っております。そういった観点からも考えるべき問題ではないかと思っております。
 私からは以上でございます。
○守島部会長 では松井委員、お願いいたします。
○松井委員 今、御指摘いただいたところは私の言い方が悪かったかしれませんが、転職した場合も機械的に経験年数を通算すべきということではなくて、少なくとも同じ派遣元の場合は、派遣元の賃金テーブルに当てはめる場合に過去の経験などに配慮すべきだということを申し上げてございます。
 先ほど御指摘があったように一般の労働者でも、転職した場合に勤続年数を通算するということは行われていないというのはそのとおりです。ただ、今回示している案では、勤続0年の部分をわざわざ機械的に操作して新卒者の賃金に下げているので、そこを「一般労働者の賃金水準」の基準値として派遣労働者の賃金と比較するときには配慮すべきだという趣旨で申し上げてございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、岩村委員、お願いいたします。
○岩村委員 大変いろいろな議論を聞いていまして、なかなか難しい問題だなと思っていました。
 2点ほど、かなり一般的な話ですけれども、申し上げておきたいと思います。
 まず第1点は、先ほど地域指数の話で、それを勘案したりとかすると場合によっては最低賃金を割ってしまって、そこがどちらかの資料では「-」になっているという話がありました。
直接的には関係ないのですが、産業別賃金で交渉しているフランスの場合も、実は労使交渉があまり活発でないと、一番最低の職種別賃金のところで賃金改定がなされず、したがって、協約上の賃金が最低賃金を下回ってしまうということが起きることがあります。というか、時々起きるのです。そのときは問題の解決は非常に単純で、それは最低賃金を適用することになります。ですのでこの場合であれば、いずれにしろ最低賃金は割れないので、最低賃金をベースにして、その上でお考えいただくことに整理としては当然なるのだろうなと思っています。
 もう一点は、そもそも協定方式をどう考えるかというところにかなり今日の御議論はかかわっているのかなと思って皆様の御議論を拝聴していました。私の理解しているところでは、もともとこの協定方式を入れようという話になったのは、派遣先均衡という考え方だけでやると、ある例えば1人の派遣労働者の方を考えた場合に、同一の派遣元を前提としますと、A事業所に派遣されたときはこれこれの賃金、その後、派遣が終わって今度はB事業所に行くと、これはまた別の賃金。それが終わって今度またC事業所に行くと、今度はまた別の賃金ということになり、派遣先でどこに行くかによって賃金が上がったり下がったりという処遇の差が非常に出てきてしまう。それは派遣される派遣労働者にとっても余りいいことではないし、当然のことながら派遣元にとっても管理が非常にコストもかかる話になりかねないということから、この協定方式によってどこに派遣されても1つの賃金でもってやってしまいましょうというのが出てきていると理解しています。
 そして、この協定方式そのものは皆様よく御存じで釈迦に説法だと思いますけれども、職種別、業務別の最低賃金を定めるというものではないのです。それは別途、最賃法の中に特別最賃というものがあって、そちらでやるという話になっているので、これはあくまでもある派遣の事業所、企業の中で派遣される労働者の賃金の平準化を図るという目的を定めていて、そのときの手がかりをこの協定の中で定めてくださいね。ただ、それを白地でやると難しいので、そのベースになるものを政府統計などを使って、その平均値ということでお示しするので、それをベースに各企業でそれぞれの企業の実情に応じた、その派遣労働者に適用される一定の処遇、派遣先がどこに行こうと変わらない一定の処遇を定めてくださいというものだと理解しています。
 ただ、公的統計自体は今日事務局からもいろいろ御説明があったように、そして労使それぞれ御指摘されたように、別にこれは派遣に特化してつくっている統計ではないので、したがって、幾つかのものもあり、かつ、直ちに使えない部分があるので、それは代替指標を使って例えば勤続年数とか、そういったものを使ってマッチするような形に構成をしているということでやっている。退職金についてはとにかく余り適切な、これだという統計がないので、幾つかの統計をお示しする中でという形でもって、今日提案があったと理解しています。
 したがって、そういった平均とかいうものを示した上で、それをベースにして、あとは各労使でそれぞれの企業に合ったものをつくってくださいね。ですから先ほど出ていた経験年数というのはどうかという話になれば、これは統計が代替指数として勤続年数というものしか用いていないので、したがって、事務局から御説明があったように勤続年数というのが一応の平均値としては示されるけれども、各派遣元でもって、いややっぱり例えばプログラマーで、このレベルの人でずっとやってきているので、その経験年数を考えてどのくらいの賃金水準を設定しましょうかということは、それは各派遣元でもってお伺いいただいて、決めていただければいいでしょうということだと理解しています。
 退職金についても恐らく同じで、これはそもそも退職金がある事業所とない事業所があるので、退職金がない事業所の場合、私もよくわかりませんが、協定方式のときに必ず退職金を入れなければいけないのかという問題もあるかなと先ほど思っていたのですけれども、それはともかくとして、そこでも1、2、3という方式を一応今日は御提案いただいて、1番目であれば、これは退職金の受給要件としての勤続年数が大体3年ぐらいになっていますね。そうだとすれば、一般の労働者についても3年未満となっていれば別に派遣労働者についても3年未満ということだと退職金はそもそも発生しませんねというやり方も、1番目のやり方であれば認められるということになる。余りそういうものが面倒くさいというのであれば、それは2番目、3番目でもってざっと丸めてやってしまいましょうというやり方だってありますねという、そういうことなのかなと理解をして聞いていました。
 ですので逆に言うと、ここで議論をするのは何か1つのものとをばちっと決めてという話ではなく、派遣元の労使がそれをベースにして、それぞれの企業で、それぞれの状況に合った適切な形でもって派遣労働者のある意味、統一的な処遇、賃金体系を決められるようなものにするんだと。しかし、ベースとなるところの公的統計となると、ばちっと来るものがないので、幾つかの選択肢なりを示した上で、それぞれが一番適したところで考えてくださいねというものだと私は理解しているので、ある意味、逆に言うと細かいところまでぎちぎちここで詰めるものではないのではないかというようには思っています。
 そこから先はむしろある程度のところでコンセンサスをとって、そしてあとはそれぞれの労使に委ねる。ただ、幾つか労側からも御懸念があったように、それだと悪用されるのではないかとか、そういったものもあるので、そこはきちんと通達とか何かでもってふたをしておくことが必要だろうということかなと理解して聞いていました。これはあくまでも私の考えなので、事務局がそう考えているかどうかは私はわかりませんし、恐らく労使の皆様の御意見とも余り合わないかもしれませんが、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、村上委員、どうぞ。
○村上委員 岩村先生の整理で、ある程度今日事務局が案をお示しいただいた意図は理解できましたが、それでよいのかということは別な部分がございます。
まず、この部会で決めるべきは、賃金水準はこうでなければいけないというものを決めるわけではなくて、何を参考にして労使協定を締結していくのかということのベースを示すんだというお話がありました。それはそうだと思うのですが、ただ、先ほどから梅田委員からもありましたように、労働組合があるところであれば、労使協定もいろいろな情報を得ながら結んでいけると思うのですけれども、派遣労働者の組織率は必ずしも高くないということを考えると、過半数代表者に過剰な負担はかけられないということは意識すべきです。
 いろいろな懸念点はありますが、私自身は、地域指数の部分は何でここまでハローワーク管区毎に細かく定めなければいけないのかというところは、かなり疑問があります。派遣料金の話は派遣先と派遣元の企業間で決めていただく話ですし、賃金とは違う話だと思っております。過半数代表者が札幌と網走で賃金が違うことまで見ていかなければいけないような指数というのは、運用上、難しいのではないか。この点をまず申し上げておきたいと思います。 また、先ほどの岩村先生からの整理のご発言とも関連して確認をしたいのですが、資料1-2の3ページ目です。プログラマーの職務給のケースということで労使協定のイメージが書かれている部分ですけれども、ここで確認なのですが、「一般労働者の賃金水準」で、札幌のプログラマーで考えると、勤続0年目は時給1,112円で、これをベースにAランク、Bランク、Cランクそれぞれの時給を上回る形で設定して労使協定を結ぶということです。
 その場合、30条の4の3号で「意欲、能力又は経験などを公正に評価し、その賃金を決定する」という要件を定めていることからすると、例えば時給1,450円のCランクの方が1年経験を積むと、時給1,900円のBランクの仕事の能力にはならないのだけれども、1年間の能力向上を評価して例えば1,500円とかそういうものになっていくのかどうかということについて確認をさせていただければと思います。そうではなくてCランクの仕事をいれば、ずっと時給は変わらないのかということについて確認したいと思います。
○松永有期・短時間労働課長 ただいまの質問につきましてですけれども、基本的に職務給でやった場合に、この職務については勤続何年目相当なのかというところで見ていくということではあるのですが、今、イの要件、ロの要件も含めてということでいくと、例えばロのほうでどういう事項、就業の実態を勘案するかにもよりますけれども、例えば勤続年数、経験年数みたいなものを勘案して、少しずつ経験すれば加算していこうということであれば、そういった形で例えば1年たったら何十円時給を上げますとか、そういう形でやるというのはロの要件としてはかかわってくるかと思います。そういった場合には、1年たったら昇給するとかいうことは、十分あり得ることかなと考えているところでございます。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。では松井委員、お願いします。
○松井委員 細かいことで大変恐縮ですが、資料1-3の3ページの注4の先ほどから何回か議論が出ている、最低賃金を下回る職種は「-」としている点についてです。この資料が公に出てしまうときに誤解がないように、まず賃金基本構造統計調査そのままの数字が最賃を上回っているわけではなくて、12%下げるから最賃を割っているということを誤解ないように伝えないと、この職種の賃金はそもそも最賃割れになっているという誤ったメッセージで伝わることはよくないと思います。あわせて、平成29年の調査であれば、平成29年6月時点の調査なので、最賃と比較する場合は平成28年度の金額と比較しないと多分合わないと思うので、誤解を招かないようにお願いしたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに、武田委員、お願いします。
○武田委員 私は意見を2点述べたいと思います。
 1点目はに十分議論が出ましたとおり、本日のデータ、統計はあくまでもベースと思っておりまして、先ほど秋田委員からもございましたけれども、勤続年数が10年だったら機械的に10年ということではなく最終的には能力や経験なども踏まえて決定されると理解できます。
 だとすれば、そうした考え方がしっかり伝わるように表記していかなければいけないのではないかと本日の議論を通じて思っております。この統計だけ出されると、これが独り歩きして、あたかも年数=能力だと誤解を生む表記になっていると思います。
これはこのまま周知する際に使うグラフではないとは思いますが、例えば勤続年数指数調整という言葉を使っていますが、果たしてその用語でいいのか。青の矢印で能力・経験(≒勤続年数)を加味すると書いてございますが、そもそも考え方として先ほどの資料1-1の3ページの四角囲みにあるように、同程度の能力及び経験を有する者というのが考え方であるならば、能力・経験調整指数であるべきです。
 そうした周知の方法や、表記の方法で考え方の伝わり方がかなり変わってきますので、ベースとしてはこの統計を出すけれども、基本的な考え方をもう少ししっかり明記していただかないと、理解が広がっていかない、深まっていかないのではないかと思っております。
 今後、日本が目指すべき方向性として生涯現役社会が今言われていますが、より長く皆が生き生きと働けるようにする。そして、その過程では学び直しも行い、それが評価され、労働者のインセンティブにもなり、企業にとっても生産性向上につながっていく。そういった流れが好循環を生み出していくと思っていますので、スキルを身につけた者が評価される。そんな仕組みに変わっていくということがより伝わらないといけない。これは一般労働者についても本来は同じだと思いますので、感想としてお伝えさせていただきます。
 2点目は統計についてです。細かいことを決め過ぎるよりは、あくまでも統計は1つのベースと捉える考え方に賛成です。ただ、ベースとなる統計は重要です。
 私が1つだけ懸念しているのは、100%完璧な統計というのは難しいと思いますが、これだけ今、次々に新しいビジネスが生まれて、産業区分も次々に変わろうとしている時代において、現実をこの統計がどれだけ反映しているのだろうという点については本日は余り議論にはならなかったですけれども、今後の課題として指摘したいと思います。統計のあり方は、この部会で議論することではないと思いますが、問題提起はさせていただきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。では、松浦先生、どうぞ。
○松浦委員 2点、申し上げたいと思います。
 1点目は、資料1-2の一番最初の※で、ここに一般労働者の定義が入っています。いろいろな場で御議論されているので、私の理解が違っているかもしれませんけれども、審議会でこの定義が出てきたのは初めてではないかと。そこで、この定義の内容を確認しておきたいと思ったのが、定義には同じ職種、同じ地域、同程度の能力・経験、無期雇用かつフルタイムの労働者とあります。
 同じ職種、同じ地域、同程度の能力・経験、フルタイムについては理解しやすかったのですが、派遣労働者の方々の中には有期雇用の方が相当いらっしゃる中で、ここをあえて無期雇用とされた意図を確認しておきたいと思います。 
 もちろん、今までの御議論の中でも出てきましたが、この規制の目的が派遣労働者の処遇改善であり、現状に合わせに行くだけであれば処遇改善につながらないというのは、先ほど村上委員がおっしゃったとおりだと思いますので、そういう政策的な判断をもってあえて無期雇用にされたのかどうかということです。当然、給与水準で見ると無期か有期で変わってくると思いますが、ここをあえて無期雇用にされた意図というものを、念のために確認しておきたいというのが1点目です。
 もう一つは、これまで御議論になってきた資料1-2の3ページですけれども、これは法律の中ですと「公正に評価し」という文言が入っているところをどう反映していくかということが非常に重要な論点だと思います。
 やり方はおそらくいろいろあって、同じ職務に従事していても熟練度を評価して賃金を上げるというやり方も1つのアプローチとしてあると思います。また、別のアプローチとしては、これは多分職務給の場合一般的なキャリア形成のあり方だと思うのですけれども、公正に評価してもう少し給料が高い仕事を次にオファーしていくという、つまり職務を変えていくことによって賃金を上げていくというアプローチもあります。要は公正な評価を反映するうえではいろいろなアプローチがあるということを付言しておきたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 第1番目についてお答えをお願いします。
○松永有期・短時間労働課長 まず1点目の一般の労働者の考え方でありますけれども、これは昨年の建議というか法制度の御議論をいただくときにも、一定程度、賃構のデータとかハローワークのデータをお示しさせていただきましたが、そのときは正社員という形でやるのかどうかというところでもお話があったかというふうに議事録とかで拝見させていただいております。今回お示しするに当たってこの一般の労働者というのを考えたときに、基本的に今回の均等、均衡待遇についての比較対象となるものが無期雇用でフルタイムの人にしておりますので、ここでの一般労働者の考え方もそういった無期雇用、フルタイムの方というところでとってはどうかということで、お示しをさせていただいたということでございます。
 2点目の公正に評価しという部分、これは御意見なのかもしれませんが、ここは職務の内容ですとか能力、経験、そういったものを踏まえて、向上があれば改善していただくという要件の中でございまして、当然、今、先生から御指摘もあったような形でよりレベルの高い仕事を確保する。それによって賃金を上げていくというのも当然、選択肢としては考えられるものであると考えております。
○守島部会長 中窪委員、お願いします。
○中窪委員 簡単に感想ですけれども、1つには今、武田委員、松浦委員からもありましたが、趣旨としては派遣労働者の処遇改善のための基準をつくっていくときに、もとになる統計がどうも通常の一般の労働者を念頭に置いている。何かそこが違和感といいますか、勤続年数にしてもいろいろな手当や退職金等にしても、本来、派遣というのはもっと違う賃金の払い方をすべきかもしれないのに、その基本になるモデルがずれているような印象がどこか残る、まあ、やむを得ないにしても、というのが1つです。
 もう1つは、先ほどから問題になっていました最低賃金ですけれども、あれは全国加重平均の額ですから、県によってはそれより低いところもありますし、県によってはそれでもだめなところもありますので、そこを境に何か数字を出さないというのも変ではないかというふうに私も思いました。
○守島部会長 ありがとうございます。では先に村上委員、お願いします。
○村上委員 通勤手当に渇し、質問と意見です。資料1-2の1ページの右のほうに※で「通勤手当は実費支給している場合など、一般賃金から分離して比較することも可」とあります。この件についてですが、まず、通勤手当について別途支払っていない場合は時給に71円上乗せするとありますが、71円の計算根拠を、本日でなくても結構なのですけれども、示していただきたいということが1点です。
 それから確認ですが、通勤手当は別途実費を払ってもいいし、時給に上乗せしても可という話ですが、例えば、1日8時間とすると片道284円以上の実費であると、往復交通費は実費で支払う方が高くなります。片道284円近辺が均衡点になるのですが、実費で払うほうが安い人たちには実費で払って、実費で払うと高くなる人には71円の時給換算にするというような、同じ派遣元で支払い方の基準を変えるということは許されないというような理解でいいのか。この点が確認の1点目です。
 もう一点が、今、労働契約法20条の趣旨も踏まえ、派遣労働者についても派遣元の労働者と同じように通勤手当、交通費を支払いなさいというようなことを行政が指導されているかと思います。こうしたことを受けて、派遣会社も通勤手当は基本給と別枠で支給するという運用に変えてきている部分もあるのですが、連合の労働相談では、その分、基本給の額を減らされたといった相談も寄せられております。こういったことはないようにしていただきたいということと同時に、今回71円という話で別途ということになるのであれば、そういった運用はなされないという確認でよいのか。この点が確認の2点目です。
 最後に意見です。通勤手当とは別なのですが、資料1-2の1ページ目の左側に地域指数調整というものが水色の文字で上についているのですが、この図示であるとミスリードするのではないかと思います。今の図示であると上乗せするとしか見えないのですが、減額する場合も御提案の中にはあります。これを考えると、図は改善していただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。御質問の点は。
○松永有期・短時間労働課長 今、通勤手当でいただいた指摘のところですけれども、基本的に通勤手当というのは同等以上と言いながら、実費で支払っているというようなケースについては必ずしも高いからいいとか、安いからよくないということでもないと思ってます。そこは別枠で見るということも1つの評価のあり方ではないかということで入れております。ただ、おっしゃったように得になるような形で人によって払い方を変えるということは、想定していなかったところでございます。
○守島部会長 では、山田さん、お願いします。
○山田委員 この問題は当然ですけれども、かなり考え方の隔たりが出てくるということだと思うのですが、どのように考えていくか。そのギャップを埋めるための私の考えを申し上げると、当然、現実に今、派遣労働者の方たちが働いているという現実があって、急激に処遇の改善ということをすると、恐らくその雇用をなくしてしまうという問題があると思います。でも、もともとの今回の趣旨というのは処遇改善ということがあるわけですから、そういう意味では入り口のところというのは、現実のところを考えながら決める一方で、経験年数などに応じて結果として処遇が上がっていくという設計が大事なのだと思います。もちろん派遣という仕事自体は、基本的には職務給的なものだと思いますので、勤続年数で処遇が機械的に上がるということではないわけですけれども、そこの部分を特にエントリーレベルのところに関しては、そういう部分を勘案して処遇改善していくという、これは完全に規定できるわけではないと思いますけれども、そういう趣旨を一定程度、示していくことも重要なのではないかと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。どうぞ。
○岩村委員 もう過ぎているのですぐ終わります。
 今回の協定の方式というのは、ある意味、今まで試みられたことのないもので、かつ、統計を使ってというのもやったことがないものだと思います。そういう意味では、しばらくやってみて、その上でまた一定期間後に見直しとか、そういったことを考えておく必要があるかなと思いますので、その点、事務局におかれても少し御検討をいただけばと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、そろそろ時間となりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○松永有期・短時間労働課長 次回の同一労働同一賃金部会につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして第11回「同一労働同一賃金部会」を終了いたしたいと思います。議事録の署名につきましては、労働者代表の小原委員、それから、使用者代表の中野委員にお願いしたいと思います。本日は皆様方、お忙しい中大変ありがとうございました。
 

 

(了)

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