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2017年9月12日 第8回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会

雇用環境・均等局

○日時

平成29年9月12日(火) 14時00分~16時00分


○場所

東京都港区芝公園1-5-32
中央労働委員会7階講堂


○出席者

【公益代表委員】

武田委員、松浦委員、守島委員

【労働者代表委員】

梅田委員、矢木代理人(小原委員)、冨田委員、松井委員、宮原委員、村上委員

【使用者代表委員】

秋田委員、及川委員、杉崎代理人(小林委員)、高橋委員、田代委員、中野委員

○議題

・法律案要綱について(諮問)

○議事

○守島部会長 定刻になりましたので、ただいまから第 8 回労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会を開催します。本日の出欠状況については、公益代表の岩村委員、中窪委員、山田委員、使用者代表の小林委員、労働者代表の小原委員が御欠席です。使用者代表の中野委員については遅れて来られるということです。なお、労働者代表の小原委員については、電機連合総合労働政策部門書記次長の矢木様が代理で御出席されておられます。使用者代表の小林委員については、日商産業政策第二部副部長の杉崎様が代理で出席されております。事務局から定足数の報告をお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第 9 条で定める、委員全体の 3 分の 2 以上の出席又は公労使各側委員の 3 分の 1 以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされていることを御報告いたします。

○守島部会長 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。議事に移ります。本日の議題は、「法律案要綱について ( 諮問 ) 」です。資料 1 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」については、平成 29 9 8 日に厚生労働大臣から、労働政策審議会会長宛てに諮問が行われました。当部会においては、同一労働同一賃金関係部分について審議を行います。事務局から説明をお願いします。

○松永有期・短時間労働課長 部会長からお話がありましたように、資料 1 は今年の 9 8 日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたものです。「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」となっております。前回この部会で御議論いただきましたパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正については、この関係法律の整備に関する法律案要綱の中の一部になっています。

 改正する法律の順序が、各法律の制定した年の順ですので、この要綱の中で順番は前後します。 5 番目に労働者派遣法で 29 ページ、 7 番目にパートタイム労働法が 42 ページ、 8 番目に労働契約法が 47 ページとなっています。前回の部会において、法案要綱の諮問に先立ち、改正法案要綱のイメージをお示しして御議論いただきました。全体については前回の部会において御説明させていただいておりますので、今回は前回の部会に提出した改正法案要綱から主な変更部分について御説明いたします。

 パートタイム労働法の一部改正について御説明いたします。資料 1 42 ページの第七を御覧ください。前回からの変更点は 43 ページの 2 の「有期雇用労働者」の定義の部分です。ここに「事業主と」というものを追加し、「事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者」という定義にしております。

 同じく 43 ページの四「不合理な待遇の禁止」です。ここの見出しについて「不合理な待遇の相違の禁止」としていたものから、「相違の」という部分を削ってあります。ちなみに現行の労働契約法第 20 条の見出しは「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」であり、やはり「相違の」という言葉はないので、それにそろえています。

 本文の中においても、「当該待遇の性質及び当該待遇を付与する目的に照らし」としていたのを、 44 ページの 3 行目に「その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して」としております。これは建議において、当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるという部分にできるだけ沿った形で条文に反映させるために修正させていただいたものです。パートタイム労働法についての変更部分は以上です。

 労働契約法については、前回からの変更点はありません。

 労働者派遣法の一部改正については、資料の 29 ページに戻ります。変更した所は 31 ページの二「不合理な待遇の禁止等」の所です。ここはパートタイム労働法での変更と同じように、見出しについて「不合理な待遇の相違の禁止」から、「相違の」を削り、「不合理な待遇の禁止等」としております。

 第 1 項の本文の 3 行目以降で、「その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して」ということで、パートタイム労働法と同様の修正をしております。

 次の変更点は 32 ページの第 3 項です。こちらについては 9 8 日の諮問後にも修正をしておりますので資料 2 を御覧ください。資料 2 2 ページの第 3 項の柱書きのただし書の所です。「ただし、 ( ) ( ) 若しくは ( ) に掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合又は ( ) に関して当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合は、この限りでないものとすること」というような修正をしております。こちらは前回の部会において、派遣法の労使協定方式の効力に関して、特に労使協定は法定の要件を満たす内容で締結されているけれども、実際にはそのとおりに実施されていないという場合の法的取扱いについて御指摘があったことを踏まえて修正したものです。協定の不遵守等の場合はこの限りでない。つまり、適用除外の効果は及ばないということを条文上明記したものです。

 なお、今年の 3 月に取りまとめられた「働き方改革実行計画」においても、派遣労働者として十分に保護が図られている場合として、以下の 3 要件を満たす労使協定を締結した場合については、派遣先労働者との均等・均衡待遇を求めないこととすると。この場合でも、単に要件を満たす労使協定を締結することだけでは足りず、「 3 要件を満たす形で協定が実際に履行されていることが求められる」という記載がされています。今回の修正により、より実行計画に忠実な内容になったと考えております。

 同じく第 3 項の ( ) の柱書きの所で、「派遣労働者の昇給その他の」の「昇給その他の」という部分を削るとともに、同じく ( ) のロの所について、「派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるものであること」といった修正をしております。こちらは前回頂いた御意見を踏まえて修正しております。

 同じく第 3 項の ( ) は、第 1 項の修正と同じように、「その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して」というように修正しております。

 次の修正は資料 1 34 ページの五「待遇に関する事項等の説明」の部分です。ここは第 1 項と第 2 項について、前回は説明事項の部分が全て 1 つの文章で規定しておりましたけれども、分かりやすくする観点で ( )( ) と分けて規定するという修正をしております。説明すべき内容についての変更はありません。以上、労働者派遣法についての説明です。

 最後に「施行期日」について御説明いたします。資料の 47 ページで第九の一「この法律は平成 31 4 1 日から施行すること」としております。二「経過措置」を設けております。中小企業主、ここでは中小企業基本法での中小企業の定義に合わせておりますけれども、この中小企業主については、平成 32 3 31 日までの間、改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の改正規定、ここで挙げておりますのは、事業主に義務がかかる部分の改正事項になりますけれども、この部分については「適用しないものとすること」としております。この場合においては、改正前のパートタイム労働法、労働契約法の規定は「なおその効力を有する」としております。

48 ページの三「検討規定」です。「政府は、この法律の施行後 5 年を目途として、改正後の各法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること」としております。資料 1 と資料 2 の説明は以上です。資料 2 による修正を反映させたものが資料 3 の内容になります。

 資料 4 は、前回の部会において御指摘のありました、派遣労働者の労使協定による待遇決定方式に関する条文の構成について資料を用意しております。資料 4 1 ページは、労使協定による待遇決定方式について、要綱で労使協定の記載事項とか要件を規定している部分と、建議で示されたマル 1 からマル 3 の要件との関係を整理したのが 1 枚目の資料です。

 労使協定で定める項目として、 ( ) 「派遣労働者の範囲」、 ( ) 「賃金の決定の方法」、 ( ) 「公正な評価による当てはめ」、 ( ) 「賃金以外の待遇の内容」、 ( ) 「その他」という構成になっています。建議の要件との関係で申しますと、マル 1 の要件については、 ( ) のイに対応しております。マル 3 の要件は ( ) に対応しております。マル 2 の要件については ( ) のロと ( )( ) に分けて規定しています。

 マル 2 の要件と、要綱での規定との関係を整理したのが 2 ページの図です。真ん中に赤字で記載している所が、建議のマル 2 の要件の記載です。左上の「段階的・体系的な教育訓練等による」という部分は、その上に記載している ( ) 「派遣元事業主は、 ( ) に掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第三十条の二第一項の規定に基づく教育訓練を実施すること」に対応しているものです。

 その下にある「派遣労働者の職務内容、職務の成果、能力、経験等の向上を公正に評価し、その結果を勘案した賃金決定を行うこと」とする部分については、要綱では 2 つに分けて記載しております。まず賃金の決定の方法として、上の ( ) のロに規定する部分と、公正な評価による当てはめに関するものとして ( ) で規定している形になっています。建議で示されておりますマル 2 の要件というのは、このような形で要綱に反映させているものです。

3 ページで、同じく労使協定に関する規定の ( ) の柱書きの所で、「通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあっては、イ」というように規定している部分の意味合いについて御指摘を受けたことを受けて作成した資料です。 ( ) の要件については、イ及びロの要件を満たす賃金の決定の方法というものを、労使協定で定めることにしておりますけれども、通勤手当のように実費弁償的な手当というのは、ロの要件に規定しております職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案して定めるものではないだろうということで、ロの要件から外しています。

 イの要件については、これこれの平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであることとしております。前回の御指摘を受けた点は、ここで言う「厚生労働省令で定めるもの」というのをどのように定めるのかということになろうかと思います。

 資料の上の所にも記載しておりますけれども、この労使協定で定める一般労働者の賃金水準の詳細については、建議の中でも「実効ある労働者保護の観点、実務上現実に対応できるようにする観点の双方から、施行段階において検討を深めることが適当である」とされたところです。具体的な内容については今後、法案が成立した後のこの部会において議論していただくことにしているものです。以上が資料 4 の説明です。私からの説明は以上です。

○守島部会長 ただいまの説明について、御質問、御意見等がありましたら自由に御発言ください。梅田委員どうぞ。

○梅田委員 派遣の所で若干確認させていただきます。

過半数代表者の選出方法に関するルールについて、建議では「省令等において・・・措置を講ずることが適当」とされていましたが、法案要綱ではどこで読み取ればいいのでしょうか。法案要綱 32 ページの二の 3 「派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の過半数で組織する・・・」という部分の「厚生労働省令で定めるところ」という部分で読み取る理解でよいのでしょうか。

その上で過半数代表の選出手続に瑕疵があった場合には、「厚生労働省令で定めるところ」によって選出されていないとして、労使協定自体が違法無効になるということの理解でよいのかということを、確認したいと思います。

○守島部会長 松永課長お願いします。

○松永有期・短時間労働課長 御指摘の過半数代表者の選出手続については、御指摘のありました建議においても、「労使協定の有効期間を定めることや、労働基準法施行規則の規定を踏まえた過半数代表者の選出等に関するルールを規定するなど、省令等において労使協定の適正性を確保するための措置を講ずることが適当である」とされております。この労使協定方式を記載している二の 3 の柱書きで御指摘のあった、最初に出てくる厚生労働省令という所で定めることが想定されるわけです。いずれにしても具体的な内容は、施行段階のこの部会で検討していきたいと考えております。

 もう 1 つの過半数の選出手続が適正になされていない場合の協定の扱いについては、その協定自体がちゃんと適正に締結されていないということで無効になるという考え方になろうかと思います。

○梅田委員 ありがとうございました。

○守島部会長 他にどなたかおりますか。宮原委員どうぞ。

○宮原委員 同じく 32 ページの派遣労働者に関する労使協定の事項に関しての確認です。

前回部会の議論などを踏まえ、「(二)、(四)若しくは(五)に掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合は・・・この限りではないとする」ということの項目を定めていただき、ありがとうございます。この労使協定の要件については、 ( ) として、「 ( ) から ( ) までに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項」ということが掲げられていますけれども、具体的に何を定めるのでしょうか。これは、基本的には 36 協定と同じような記載事項を定める必要があると理解してよろしいでしょうか、ということの確認です。

○守島部会長 松永課長お願いします。

○松永有期・短時間労働課長 御指摘の ( ) での厚生労働省令についてですけれども、現時点では、例えば有効期間というものが考えられるかと思います。御指摘のあった労基法 36 協定の関係ですけれども、そちらは労働基準法のほうでの検討状況などを見ながら、検討していきたいと考えております。

○守島部会長 他の方はいかがですか。冨田委員どうぞ。

○冨田委員 建議では、派遣先均等・均衡と労使協定方式のどちらがとられているかということについて、「派遣先や労働者が知り得るようにすることなどについても必要な措置を講ずることが適当」とされていました。この点は、建議の 6 ページに記載されています。

法案要綱では、これに該当するものとして、 36 ページの六の「派遣先への通知」という部分で事業者に対する通知が示されていますが、労働者への通知の部分が法案要綱の中には入っていないように見えます。法案要綱に記載がないのであれば、どこで規定をすることになるのかを教えてください。

○守島部会長 松永課長お願いします。

○松永有期・短時間労働課長 労働者への通知について、知らせる手段についてどうかということですけれども、雇い入れ時に待遇の内容とかを説明することが、派遣元事業主の義務でかかっておりますので、その中の説明事項の中の 1 つに入ってくるのではないかと想定しています。

○守島部会長 岸本課長お願いします。

○岸本総務課長 建議のときに、派遣先が知り得るようにということと、労働者が知り得ることという議論がありました。それを建議の文章で反映したのですけれども、労働者については、その中でまたいろいろなケースが議論されていたかと思います。特にこれから派遣会社を選んで、どこに登録しようかと考えている人にとって、労使協定方式を持っているか持っていないかというのも、また重要な要素ではないかということでそこも御指摘を頂いて、それも受け止めて建議に書かせていただきました。

 ただ、派遣法の構造として、これからどこに登録しようとしているかという方は、派遣法の法律上の登場人物ではないものですから、法律上その周知を書くことはちょっと難しいと思っております。法律未満のレベル、それは各種指針類になるのか、要領・通達類になるのか分かりませんけれども、派遣労働者については有期・短時間労働課長から申し上げたとおりです。どこに登録しようかと考えている人への周知的なことについては、今後また法律の後のレベルの議論をする場で御議論を頂ければと私ども事務局としても考えてまいりたいと思います。

○守島部会長 他にどなたかおりますか。村上委員どうぞ。

○村上委員 今回修正していただいた部分についての再度確認です。資料 3 32 ページの派遣元と労使協定の部分です。ただし書で記載された「 ( ) ( ) 若しくは ( ) に掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合」とは、例えば ( ) のイに当たるかと思いますが、労使協定では時給 2,000 円以上と定めていたのだけれども、実際には時給 1,500 円しか支払われていない場合などが該当すると思います。この場合、労使協定自体は有効だけれども、 1,500 円しか払われていなかった労働者について、派遣先均等・均衡に戻るという理解でよろしいでしょうか。

○守島部会長 松永課長お願いします。

○松永有期・短時間労働課長 労使協定のとおりに運用がなされていなかった場合というのは、 1 項、 2 項のほうの派遣先均等・均衡の適用になるということかと思います。ただ、もともと協定が 2,000 円ですので、実際の業務の中では、例えば協定どおり 2,000 円でやってほしいというような相談があれば、その協定のとおりにやるようにという指導というのはあり得ると思います。そこは現実的な対応はあり得ると思いますけれども、法律上の考え方としては御指摘のとおりかと思います。

○村上委員 もう 1 つはその後にある「(三)に関して当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合」ということについてです。(三)については前回も当てはめの問題ということで説明をいただきましたが、例えば、労使協定では半期に 1 度の評価面談を行って賃金を決定しますというように決めていたのだけれどもそれが行われていない場合はもちろん、評価面談を行われていてそれで賃金が決定されているのだけれども評価面談が協定で決めたように行われていない場合や評価面談を踏まえた賃金決定が協定で決めたように行われていない場合も「 ( ) に関して当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合」に含まれる理解でよいでしょうか。この場合、当該労働者については、法律上は派遣先均等・均衡に戻るという理解でよいのかについて伺います。

○守島部会長 松永課長お願いします。

○松永有期・短時間労働課長 御指摘の点ですけれども、労使協定どおりと言いますか、労使協定で例えば評価方法が定めてあって、その評価方法どおりにやっていなかったような場合であれば、これは協定に定めたとおりの評価をしていないということになりますので、その場合はこのただし書の適用になって、派遣先均等・均衡になるという考え方だと思います。

○岸本総務課長 基本的には今申し上げたとおりです。頭の体操になってしまうかもしれませんけれども、限界事例的に、例えば半年に 1 度評価面談を行うとなっていて、いろいろその事務手続の不手際で、その間が 7 か月空いてしまったときに、それは厳密に言えばその協定どおりではないかもしれませんが、おおむね協定の趣旨のとおりに運用されていると言えるケースもあろうかと思います。そこについて必ずしも、特に刑罰法規ではありませんので、 6 か月と書いてあるものが 7 か月になったら、その時点で協定無効ということには必ずしもならないのではないか。そこは司法判断というか、個別判断の余地があるのではないかと思います。

 

○守島部会長 ありがとうございました。他に。

○村上委員 別の件で文言の確認です。 43 ページの短時間労働者の雇用管理の改善、パート法の定義規定の所の 2 で、「「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいう」とされています。この定義については、誰と労働契約を締結しているかということの関係を書く必要があるから「事業主と」いうことにしているだけであって、「事業主」というのは個人で事業を営んでいる人や例えば秘書を個人で雇っている人も含まれ、現行の労働契約法20条の対象をこの規定を置くことによって狭めることはないと理解しています。今回の法整備によって、現行の労働契約法20条の有期契約労働者で対象が外れる人はいないという理解でよいのかという確認です。

○松永有期・短時間労働課長 契約法のその定義から変えるという意図はありません。他法でこういう定義をしてきた例がありましたので、そちらに合わせたという趣旨です。

○守島部会長 ありがとうございました。他に。

○及川委員 前回、経過措置等につきまして発言をさせていただきました。今回、 1 年間の経過措置の配慮を頂きありがとうございました。御礼申し上げます。中小企業もこの経過措置の間にしっかりとした準備をしてまいります。是非とも政府におかれましては関係法案の改正内容や制度内容について、中小企業へ丁寧な周知をお願い申し上げたいと思っています。

 ともすれば、法案は通るまでなかなか周知がしにくい、あるいは待ちの姿勢ではないかと思われるような場合もあると思いますが、今回はこういったことで大変中小企業に大きな影響があると思います。是非とも積極的な周知をお願い申し上げたいと思います。

 私ども中央会としても、また働き方改革についての協議会、業種別団体の協議会があり、それを開催して業種別の同一労働同一賃金をどうやって業界団体として対応していくのかという会議を開催いたします。現段階でやれること、大まかな内容等も私ども中央会としても周知してまいりますので、業種別のマニュアルについても特段の御支援を頂きたいと重ねてお願い申し上げます。以上です。

○守島部会長 ありがとうございました。他にどなたか。

○杉崎代理人 ( 小林委員 )  日本商工会議所の杉崎と申します。本日、委員の小林が欠席させていただいておりますので、意見を代読させていただきたいと思います。今し方も御発言がありましたが、本日示された施行時期について、商工会議所の意見を申し上げさせていただきます。

 同一労働同一賃金制度の導入については、企業において検討すべき事項が多く、またそれらは前例を踏襲することができないため、商工会議所としては準備期間を十分に確保してほしい旨を要望してまいりました。特に制度導入段階では、現場で様々な混乱や労使のトラブルも予想されることから、商工会議所はこれまで同一労働同一賃金の定義を明確化してほしい、現時点ではグレーゾーンが広すぎるガイドラインを、現場で判断できるよう明確化してほしいとの意見も申し上げています。

 現在までに、企業の実務担当者から、いつまでに何をどのように取り組めばよいか分からないといった意見が数多く寄せられており、現場の理解が進んでいるとは言い難い状況にあります。したがって、本日示された施行時期について、商工会議所として、実務上準備が整うかどうか懸念が残ると言わざるを得ません。

 そこで政府におかれましては、今回の法案の上程と並行して、企業が何に取り組む必要があるのかを分かりやすくまとめた手順書のようなものを作成していただき、早期に周知していただくとともに、中小企業の対応が進むように相談機能の強化に努めていただきますようお願い申し上げたいと思います。以上です。

○守島部会長 ありがとうございました。他にどなたか。

○田代委員 今回の法改正についてはやはり実務に与える影響が非常に大きいと重く受けとめています。現場においては、法律の内容をまず理解して、従業員の待遇を見直して、増加分のコストを捻出して労使で納得のいくまで話合いをして、さらに新たな人事制度を社内で周知徹底することは大変な時間とコストを要すると考えています。

 多くの企業が法律に違反しないように注意を払いながら対応を進めることと思いますけれども、特に、規模の小さい企業においてはマンパワーやノウハウが不足して、対応したいけれどもできないという事態が起こるのではないかと懸念をしています。

 政府においては、同一労働同一賃金制度導入に向けた今回の法改正が、我が国の雇用環境や労使関係、賃金、労働生産性にどのような影響を与えたのか、適宜、調査・検証を行っていただくとともに、様々な属性の企業や労働者から意見を聞いて、必要に応じてガイドラインやマニュアル、支援策などを見直し、改善するといった PDCA サイクルを回していただき、現場で混乱が生じないように努めていただきたいと思います。私からは以上です。

○守島部会長 ありがとうございました。他にどなたか。

○高橋委員 法律案要綱そのものの文章ではないのですが、資料 4 2 ページの所がちょっと気になりました。別にこの図解が正しくないという意味ではないのですが、この真ん中の「派遣労働者の職務の内容・職務の成果・能力・経験等の向上を公正に評価し、その結果を勘案した賃金の決定行うこと」の矢印の上にマル 2 とあって、「段階的・体系的な教育訓練等による」というのが掛かっています。

 御承知のとおり教育訓練によって得られる効果というのは基本的には気づきであったり、意欲の高まりとかであって、基本的にこの真ん中にある向上というのは単純な教育訓練だけでもたらせるものではなく、やはり教育訓練を通じて気づきとかがあって、それを就業の場で実践をすることによりこうした向上が見込まれると解するのが一般的なのではないかと考えるところで、何かどうも段階的・体系的な教育訓練に重きを置かれ過ぎた図解のようにも見えるのです。ちょっとミスリードしかねないという感じがしていて、むしろ教育訓練等のこの「等」のほうが大事なのではないかと私は思っています。

 今後この資料を使うのかどうか分かりませんけれども、もし仮に使うとするならば、その辺りにも少し配慮していただいて、工夫を凝らしていただくような図解としていただくように、これは単なる要望ですけれども、よろしくお願いいたします。以上です。

○守島部会長 ありがとうございます。他にどなたか。

○村上委員 先ほど使用者側委員の皆さんから施行日の関係で御発言がありました。前回も申し上げましたけれども、私どもとしては、基本的には大企業であろうと中小企業であろうと同じルールでやっていくことが必要だと思っていますし、そのことが公正競争条件を整え、また中小企業を強くしていくことにもなるのではないかということを、一般論として考えているところであります。

 ただ、前回も様々な御発言があり、「働き方改革関連法案」として、時間外労働の規制とのセットで施行期日が設定されているということや、個別労使における社内規定の整備の状況を踏まえ、今回の法案要綱通りの施行期日になったと理解しているところです。是非、リクエストのあったような手引書の作成などはやっていただいて、施行日が来たらすぐにスタートできるようにしていただきたいと思います。

 また、使用者側委員からはグレーゾーンが広いというお話もあったのですが、グレーゾーンはあって当たり前であって、そこを埋めていくのが労使の取組だと思います。賃金などの待遇に関する制度というのは、国や法律で箸の上げ下ろしまで決めていくような話ではなくて、労使でどのようなものが妥当なのかということを協議して決定していくことが基本だと思います。そういった集団的労使関係を大事にしたような運用を私どもとしても作り上げていきたいと思っておりますし、使用者団体の皆さんにも労働者、労働組合に呼び掛けていただきたいと思います。以上です。

○守島部会長 ありがとうございます。他に。

○岸本総務課長 何点か中小企業の関係で御指摘がありましたので、事務局としての考えを申し上げたいと思います。全く先生方のおっしゃるとおりで、特に中小企業の場合は賃金規定の整備状況などから、一定の支援もいろいろ考えていかなければいけないと思っております。

 既に 29 年度、今年度の事業として、非正規雇用の方の待遇改善に取り組む中小企業を支援する、支援センターを各都道府県に設置し、賃金規定の整備などについて無料相談を実施しています。さらに、来年度の概算要求においても、そのセンターの拡充、例えば県庁所在地に大体事務所がありますが、外に出向いて行って相談する部分の拡充や、別の新規の事業で、先ほど業種別というのがありましたが、正に業種別に、どのように同一労働同一賃金を適用していくかについて、業界別マニュアルを作るというような事業も要求しておりまして、是非獲得していきたいと思っております。予算も認められましたら、幅広く活用いただければと思います。

 また、それだけではなく、様々な事業主あるいは人事労務担当者の方の集まりがありましたら、私どもに声を掛けていただければ、どこでも何箇所でもまいります。本当にできるだけのことをさせていただいて、施行日に多くの中小企業が円滑に迎えられるように行政としても取り組んでいきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

○守島部会長 ありがとうございます。他にどなたか。

○松井委員 今の中小事業主の経過措置に関してです。これは今回の同一労働同一賃金の法整備に留まらず、現行の法律全般に関わるところなのですが、中小企業の定義の問題で是非御留意いただきたいと思っています。

現在の厚生労働省の各種法律や助成金の対象となる中小企業の定義は、基本的に中小企業基本法の「中小企業者」の定義が使われています。例えば、今回の同一労働同一賃金の法整備に関して、大きく影響を受けるのは小売業、サービス業です。そうした中、製造業の「中小企業者」の定義は従業員数が 300 人以下の事業主ですが、小売業では従業員数 50 人以下の事業主が「中小事業者」です。同一労働同一賃金の法整備に関しては、業種で見れば小売業のほうが経過措置に該当する範囲が狭いことになります。実際にはパート労働者は小売業、サービス業が多いので、施策を実行する際の助成措置等々を検討の際には、そういった点も配慮をいただきたいと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。他にどなたかございませんか。

○松浦委員 短期間でここまで御調整いただき、ありがとうございます。ここまではおおむね働き方改革実行計画に沿ったお取りまとめなのだと理解しています。今回の法案の内容に直接関係することではないのですけれども、補足的に申し上げます。ここから、まだ見えていない省令や指針などを考えていくプロセスに入っていくかと思います。もちろん先ほど村上委員から御指摘がありましたとおり、結局グレーゾーンは残り、そのグレーゾーンを各労使で話し合いながら定めていくという部分も一方でありながら、最低限、現場の運用が混乱しないように、解釈等を詰めていく必要はあろうかと思います。

 建議にもありましたように、「実務上、現実に対応できる」ようにならなければ、せっかくの規制が意図するところと逆の方向にねじれたり、あるいは運用が混乱したりといったことが起こりかねないという意味で、十分に議論、検討をしていただきたいということが、皆さんもそうだと思いますけれども、私としても要望させていただきたいところです。

 その際に 1 つ御検討いただきたいと思うのが、派遣に関する議論のところで、現在、派遣の労働側として、梅田委員が御参加くださっているわけですが、今後実務の詳細を御議論いただくときには、派遣元の方にも、少なくとも派遣に関する部分については、入っていただいたほうがいいのではないのかということです。現場の運用にとても大きな影響がある改正だと認識していますので、オープンな場で密に御議論いただいたほうがむしろいいのではないかということと、実際、需給制度部会で派遣法の御議論をされるときには、派遣元、派遣先、派遣労働者側が全て入っているわけですので、ここでも、派遣法の部分についてはそういう運営もあり得るのではないかという、 1 つのアイデアです。

 もちろん体制については、事務局の御判断になろうかと思いますので、あくまでも 1 つのアイデアとして、今後、省令や指針を御議論いただくまでに御検討いただければと思います。派遣元、派遣先、派遣労働者側の 3 者がより密にコミュニケーションを取ることは、派遣労働者の保護という観点、さらには公益にも資するものと思いますの。以上です。

○守島部会長 はい。では、局長お願いします。

○宮川雇用環境・均等局長 ありがとうございました。アイデアとして承るとともに、派遣の実態が良く踏まえられた議論がどのような形でなされるべきかということについては、事務局としてもよく考えた上で、会長とも御相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○守島部会長 ありがとうございました。どなたか他に。では、村上委員お願いします。

○村上委員 今答弁いただいたとおりだと思いますが、労働側としては、派遣労働者を組織する労働組合の代表の梅田委員もそうですけれども、小原委員の出身産別である電機連合でも派遣労働者を組織している労働組合があります。こうした点を考慮して労働側は委員を推薦しているので、もし派遣元から出席者が必要ということであれば、使用者側委員の内数で考えるべきと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。他にどなたか。ございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは意見が一応出尽くしたようですので、当部会としては、諮問のありました「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」のうち、労働者派遣法・パートタイム労働法・労働契約法の一部改正関係について、資料 3 の内容でおおむね妥当と認め、その旨、労働政策審議会職業安定分科会会長、及び雇用環境・均等分科会会長宛てに報告することとしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○守島部会長 皆様の御意見がないようですので、この旨報告を取りまとめることとしたいと思います。これについて、事務局で報告文 ( ) が用意されていますので、配布をお願いします。

                                ( 報告文 ( ) 配布 )

○守島部会長 報告文にあります「別添」は、資料 3 のうち、労働者派遣法部分、パートタイム労働法部分、労働契約法部分、関係する附則部分を抜粋したものとなっています。報告文について、ただ今お配りした案文のとおりでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは異議なしということで、この案文をもって私から職業安定分科会会長及び雇用環境・均等分科会会長に報告いたします。

 なお、労働政策審議会令第 6 条第 9 項において、「部会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」」と定められています。ただし、職業安定分科会については、運営規程上、本部会の議決をもって分科会の議決とすることができないため、 9 14 日に開催される予定の分科会に報告したいと思っています。

 また、雇用環境・均等分科会においては、今回の法律案要綱に関して、当部会が所管する審議事項以外にも、労働政策審議会への報告事項がありますので、これも 9 14 日に開催される予定の分科会に報告し、併せて労働政策審議会に報告するという取扱いとしたいと思います。

 これまで長い間御議論いただきました委員の皆様の御協力に、改めてここで感謝の念を申したいと思います。どうもありがとうございました。

 ここで、宮川雇用環境・均等局長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮川雇用環境・均等局長 ただいま御報告をおまとめいただきましたこと、誠にありがとうございます。職業安定分科会への報告を経てからという形になりますけれども、労働政策審議会の議決となれば、速やかに法案作業を行い、次期国会に提出したいと考えております。

 また、国会の御審議を経まして法律案が成立した暁には、所要の政令並びに指針について、また当部会におきまして、御審議いただくことだろうかとは思っています。その節はよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。

○守島部会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして第 8 回同一労働同一賃金部会を終了したいと思います。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の宮原委員、使用者代表の秋田委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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