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2018年7月26日 第3回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会 議事録

医薬・生活衛生局食品基準審査課

○日時

平成30年7月26日(木)14:00~16:00

 

○場所

AP新橋虎ノ門 B会議室

○議題

1.ポジティブリスト制度の具体的な仕組みについて
2.その他

○議事

 

○丹羽専門官(事務局) それでは、間もなく定刻となりますので、これから「第3回食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会」を始めさせていただきます。
構成員の皆様におかれましては、本日、御多忙のところ、本技術検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は、構成員全員の方に御出席いただいておりますことを御報告いたします。本日、参考人としてお呼びしている方を御紹介させていただきます。まず、ポリオレフィン等衛生協議会の津森企画・政策部長です。塩ビ食品衛生協議会の石動常務理事です。塩化ビニリデン衛生協議会の渡邊専務理事です。合成樹脂工業協会の児嶋事務局次長です。五十嵐技術委員です。日本製缶協会の中田衛生問題連絡会顧問です。松井衛生問題連絡会委員です。軟包装衛生協議会の坂田常務理事です。以上の皆様に御出席いただいております。なお、宇都宮生活衛生・食品安全審議官は、本日、所用により欠席させていただいておりますことをお伝えいたします。
それでは、以降の進行につきましては大前座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大前座長 それでは、本日の議事を進めさせていただきます。御協力の程よろしくお願いいたします。
最初に、事務局より配付資料の確認をよろしくお願いします。
○丹羽専門官(事務局) それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
本日お配りしました資料は、まず、議事次第、構成員名簿、座席表がございます。続きまして、資料1の関係の束がございます。この中は、1ページ目からが資料1-1、5ページ目からが資料1-2、9ページ目からが資料1-3、13ページ目以降が資料1-4となっております。続きまして、資料2といたしまして「ポリオレフィン等衛生協議会提出資料」、資料3といたしまして「軟包装衛生協議会提出資料」、資料4といたしまして「日本製缶協会提出資料」がございます。
不足している資料等ございましたら、事務局まで御指摘いただければと思います。
以上です。
○大前座長 資料はよろしゅうございますか。
それでは、これから議事を進行いたします。まず、本日の議事次第に従い、「ポジティブリスト制度の対象となる材質」につきまして、資料1-1を用いまして事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○近藤課長補佐(事務局) 事務局より、資料1-1につきまして御説明申し上げます。
1ページ目を御覧下さい。今回も第2回目の技術検討会と同様に、1番に「検討会取りまとめ等における方向性」、2番といたしまして「前回までの議論」、2ページ目の3番といたしまして「本日の検討事項」、さらに4番といたしまして「次回以降引き続き検討する事項」という形で順番に並べております。
まず、1番と2番につきましては、既に前回までに説明を進めているところでございますので、特に2番の中で前回御発言があった内容について改めて御説明いたしまして、3番に話を進めてまいりたいと思います。
2番の「主な意見(概要)」を御覧下さい。第1回目の部分は割愛いたしますが、第2回目の御意見を要約しますと、まずは熱硬化性樹脂とコーティング、さらには接着剤について今回ポジティブリスト制度の対象とする方向が望ましいということではございますが、熱可塑性樹脂と同じスピードで進める必要性については、慎重な検討が必要ではないかという御意見をいただいております。さらに、コーティング剤につきましては、アメリカの規制は捕捉できてもEUの規制が十分捕捉できていない、そういう可能性もあるのではないか、ゆえに十分な検討の後に制度に取り込めばよろしいのではないかという御意見をいただいております。また、導入に関しましては、優先順位が設定できるのではないか、という御意見もいただいているところでございます。
これらの御意見を踏まえて、3番といたしまして「本日の検討事項」を整理させていただきました。前回までの議論を踏まえた整理案といたしまして、3点並べております。
1点目は、ポジティブリスト制度の対象は合成樹脂とし、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を対象とすると整理しております。
2点目は、器具・容器包装の食品に接触する部分、食品接触面ですが、こちらに使用される合成樹脂につきましては、用途というのはコーティング等を指しますが、その用途にかかわらずポジティブリスト制度の対象とするというものでございます。
3点目は、今度は食品に接触しない部分、いわゆるマルチレイヤーの第2層目以降の外側に向かう層となりますが、こちらにつきましては、その成分が食品に移行する場合についてポジティブリスト制度の対象とするという整理を行っております。
4番目といたしまして「次回以降引き続き検討する事項」でございますが、合成樹脂以外の金属、紙等の材質について、ポジティブリスト制度の対象とする必要性、また優先順位付けについて次回以降の検討とすることをお示ししております。
3ページ目は、従前より御説明している資料でございますが、若干補足したいと思います。まず、上半分につきましては、従来と同様でございまして、アメリカとEUが対象としている材質はどこまでであるか、現在の日本の状況はどうであるかということをお示ししております。
下半分は、前回よりもブラッシュアップしております。まず、合成樹脂の分類でございます。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があるということは既に御説明申し上げておりますが、その内訳といたしまして、プラスチックとエラストマーを含めております。この2軸の組み合わせの中で、今回合成樹脂のどこを対象とするのかということをお示ししております。3ページ目の上半分でも書いておりますが、合成樹脂とゴムにつきましては峻別して考えているところでございます。このため、ゴムの位置付けを確立いたしまして、それ以外を合成樹脂として制度の対象としたいと考えております。では、ゴムとは何かということにつきましては、事務局の案といたしまして、表の下にお示ししております。まず、ゴムは、「熱可塑性がなく、架橋構造を有する高分子の弾性体」という形で位置付けいたしまして、合成樹脂と区別することを考えているところでございます。さらに、ゴムを定義することにより、これを除く部分につきましては合成樹脂として取り扱い、制度の対象とするという方向性でございます。
4ページ目にお示ししている図につきましては、第2回目にお示しした内容と同じでございます。いろいろな構造の例がありますので、これを検討の際の参考資料としてお使いいただければと考えているところでございます。
事務局から資料1-1の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大前座長 ありがとうございました。
資料1-1のポジティブリスト制度の対象となる材質につきまして、前回の検討会でも御議論いただきました。その内容も含めまして、御質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。前回は熱硬化性樹脂を入れるということが一番大きなことだったと思いますけれども、そのようなことも含めまして、御意見あるいは御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。
○早川構成員 基本的に前回の議論を踏まえた整理という形になっているので、これについて私は賛成したいということです。
ただ、導入時期についてここには明確に書かれていないのですが、例えば熱硬化性樹脂やコーティング、接着剤等についての導入時期については、実行可能性を踏まえて御検討いただければと考えています。
一つ懸念があるのは、例えばコーティングとか接着剤というふうに申し上げたときに、その定義について確認しておくことが必要ではないかと考えています。そうでないと、規制する側と事業者側で認識のずれが生じるおそれがあるので整理が必要かと思っています。
以上です。
○大前座長 ありがとうございました。
事務局からいかがでしょうか。導入時期の問題と接着剤等の定義をもう少し明確にしたらどうかという御意見でした。
○関野食品基準審査課長(事務局) 御意見、御質問ありがとうございました。
今、二つ御意見をいただいたと思いますが、一点目をお話しさせていただくと、導入時期に関して実行可能性というお話がございました。資料の2ページの枠囲みの整理案として示したものに関しましては、用途にかかわらず基本的に対象とするという考え方でございますので、この先、様々な物質について、現状どのようなものが使われているかも含めて現状把握に努めていきたいと思いますが、施行までの間にどの程度の状態までになるかといったことも十分勘案して、今いただいた御意見も念頭に置き、進めていきたいと思っております。
その際、施行時に対象とするかどうかという切り口のほかに、対象とした場合であっても、規制の程度といいましょうか、既に実績のある基ポリマー、そういったものと比べて、接着剤等に関しましては、これまでの実績等も考えれば同列に並べるのはどうかという観点での御意見だったと思いますので、施行時の規制の程度というところも含めて、実行可能性を含めて考えていければと思っているところでございます。
○大前座長 もう一点、コーティング剤あるいは接着剤の定義に関しまして、事務局から何かコメントございますか。
○近藤課長補佐(事務局) 二つ目の論点でございますが、接着剤等の定義につきまして、何を指すのかということは確かに大事なことでございます。今回、合成樹脂につきましては、ゴムを除くという切り口で定義することを考えていますが、それ以外の部分につきましても、何が対象となるのか、先ほど説明もございましたけれども、用途にかかわらずという観点も我々は検討しているところでございまして、それがどの部分に使われているのか、それが何を含んでいるのか、そういう点も含めて、どこまでのものが対象となるのかということを明示しながら対象となる範囲を決めていきたいと考えています。ですから、必ずしも接着剤とは何かという切り口ではなく、あくまで我々が制度の対象とすべきものはどこまでの範囲であるのかということの論点について、これからも検討を進めてまいりたいと思います。
○大前座長 よろしいですか。
○早川構成員 分かりました。
○大前座長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。今回はゴムの定義といいますか、それを少し前回と変えたというお話を伺いましたが、これはよろしゅうございますか。参考人の方々、むしろこちらの方面のプロの方が多いと思うので、何か御意見があればと思いますが、よろしいですか。どうぞ。
○森田構成員 御説明ありがとうございました。
前回までの議論を踏まえた整理案ということでこの3点がまとまっておりますが、私もこちらは支持したいと思います。
その一方で、これはもしかしたら次回以降引き続き検討する事項なのかもしれないのですが、最近、紙について気になっております。といいますのは、海洋に流出するプラスチックのごみ問題の関心が高まっていて、プラスチックのストローから紙のストローにするところがあり、話題になっています。例えば紙のストローということを考えたときに、紙は水に浸してしまうとストローの機能はなくなるわけですから、紙には合成樹脂コーティングされており、その場合は、合成樹脂が接触するということなので、ポジティブリストの対象になるという理解でいいのでしょうか。
また、コーティングではなくて、紙やポリマーに添加剤をしみ込ませるような使い方をした場合は、3つ目の「その成分が食品に移行する場合」としてポジティブリストの対象になるのか、一つ一つ考えていくと対象範囲をどう考えてよいか分からなくなってくるところです。
もちろん、ほかの金属等の話もあるのでしょうが、そうやってほかのもので合成樹脂の使われ方をするときに、先ほどの御質問にもあったように、コーティングというところの定義がきちんとしていないと、それがどっちになるのかよくわからないという場面が出てくるのではないかと思っています。
○大前座長 いかがでしょうか。紙については次回以降の検討とありますが、合成樹脂を使って紙に何らかのコーティングをする場合はどうか、ということです。
○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。
確かに紙や金属缶もそうですが、コーティングされる素材としてはいろいろなものがあると思っております。以前の「食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会」において8回検討いたしまして、その中では基本的には素材が紙であろうとも、または金属であろうとも、その表面に、いわゆるレイヤーを構成するようなものは規制の対象とするべきではないかという御指摘をいただきまして、その方向性で、現在、検討を進めているところでございます。御質問の中にありました素材にレイヤーを形成するものは、従前からの検討会での御提言も踏まえて、対象とする方向性で検討を行っております。
本日お配りしている資料の4ページ目、前回もお配りしておりますが、ここに器具と容器包装の構造例をお示ししております。ここにコーティングというものをお示ししておりまして、お示ししている例は、まさに以前の検討会からの方向性を踏襲したものになっており、レイヤーを形成するものは対象と考えているところでございます。
さらに、現在、紙の加工につきましても、技術が進歩していることもございまして、紙自体に含浸とか、サイズ処理と呼ばれるものが行われたものがあるということは承知しております。今回、このことについて合成樹脂という規制の枠組みで管理するのか、それとも今後検討すべき材質として挙げられております紙や金属という枠組みの中で取り扱うのかということにつきまして、現在、業界団体ともいろいろな意見交換をしながら我々も検討を進めているところです。レイヤー以外のものについてどうするかということにつきましては、さらに今後の検討として4番でお示ししている内容でございますので、その中で御議論いただければと思っております。
○森田構成員 確認ですが、レイヤーを形成するというのは、食品に接触する部分に使用される合成樹脂と捉えるという御説明でよろしいですか。
○近藤課長補佐(事務局) 基本的にはそのようになります。ないとは思いますが、例えば紙/合成樹脂/紙のようなサンドイッチ構造のものが仮にあったとして、さらには合成樹脂を組み合わせるものもあるとは思いますが、そういう多層の構造になった場合につきましては、本日の整理案の第3バレットの考え方と同じでございます。最内面を通り抜けて食品に移行することが考えられる場合には、内面の層であってもそれが合成樹脂というものである限りは、そこに含まれる化学物質は対象として考えられるべきと考えております。
○大前座長 よろしいですか。では、六鹿構成員。
○六鹿構成員 先ほどからゴムや接着剤の範囲の御説明や御質問があったと思いますが、合成樹脂の範囲もはっきりしていなかったような気がしたので、もしそこがはっきりしているのであれば、そもそもの合成樹脂の範囲がどういうものなのかということも御検討して明確なものとしていただきたいと考えています。
○大前座長 ありがとうございました。石動参考人。
○石動参考人 現在行われる検討課題というのは、EUでも過去、プラスチック規則が発効した後3年ぐらいかかりまして、非常に多くの議論がなされた複雑なテーマということになると思います。EUは、プラスチック以外の紙、金属、ゴム、色材、コーティング、接着剤、印刷インキ、これらを全部除外した形で制度を運用しています。
しかし、これらのものは、よく考えますと大きく2つに分かれまして、紙、金属、ゴムはプラスチック以外の材料を明確に示していますが、着色剤、コーティング、接着剤、印刷インキなどは材料そのものではなくて材料が使用される技術的な効用を含めて出てくるキーワードです。すなわち後者についてはプラスチックも介在しています。コーティングや接着剤、印刷インキなどは場合によっては合成樹脂も一緒に使われる。そういう複雑な構成もあって、これについては欧州では十分整理し切れないで今に至っていると思っています。ですので、今回、日本でこの複雑なテーマをできるだけ明確に整理するということは非常に有意義なことなのではないかと思います。
○大前座長 ありがとうございました。そのほか、いかがですか。今回、熱硬化性樹脂を合成樹脂の中に入れるということに関しまして、参考人から何か追加なり御意見がございますか。日本製缶協会あるいは合成樹脂工業協会から何かございますればと思います。
○松井参考人 今、ポジティブリスト化に向けてコーティングなどの原料について洗い出しをしている最中ですが、触媒をどうするのかといった細かな課題が残っている状況です。
○大前座長 そのほか何か御意見、御質問、どうぞ。
○森田構成員 熱硬化性樹脂についてお聞きしたいのですが、熱硬化性樹脂の場合は、汎用される基ポリマーが約10種類あって、それに加え添加剤もあるということだと思います。例えば添加剤のポジティブリスト化はどのように進められて、どのような分類をされているのか、状況を教えていただきたい。
○松井参考人 基本的には、塗料に使われています原料樹脂はさまざまありますが、それについての基樹脂という見方と、それに使われる添加剤という分け方で調査をしております。
○森田構成員 それぞれ、例えばリスク評価して、リスト化などされていますか。
○松井参考人 協会独自としてリスク評価はしておりません。過去から日本の塗料につきましては、外国の、主にアメリカFDAのコーティングを参照しておりますので、独自で毒性評価を持っていないというのが実態です。
○大前座長 よろしいですか。ありがとうございました。
次に「リスク管理すべき物質の対象範囲」について事務局から資料1-2の説明をよろしくお願いいたします。
○近藤課長補佐(事務局) 次に、資料1-2でございます。5ページ目を御覧下さい。資料構成は資料1-1と全く同じでございます。
2番の「前回までの議論」の中で、前回出た御意見の概要を取りまとめて御説明いたしますと、まず触媒、重合助剤につきましては、例えばポジティブリストでなくても管理できる場合、そのような管理は行っていないという御説明がございました。また、先程からお話が出ております色材につきましても、管理対象であるべきという方向性については示されているところでございますが、現在、その内容について確認や精査を行っている最中であり、時間的に見た場合には今後3年から5年を要するものではないかと考えられている旨のお話がございました。これが前回の御意見でございます。
3番の「本日の検討事項」でございますが、2つ整理案を示しております。
まず、ポジティブリスト制度において管理する物質をお示ししております。最初に合成樹脂の基本を成すもの、ベースポリマーをお示ししております。2行目につきましては、従来、添加剤という表現をしているものでございますが、今回、この添加剤につきまして、こちらの2行の表現を使わせていただいております。「合成樹脂の物理的又は化学的性質を変化させるために最終製品中に残存することを意図して用いられる物質」、これを従来からの検討の中で用いられてまいりました「添加剤」として整理したいと考えております。
次のバレットです。触媒や重合助剤につきましては、モノマーの重合反応に用いられるのですが、ベースポリマーの主体を成さず、最終製品中に残存することを意図するものではないので、これはポジティブリストによる管理ではなく、従来からのリスク管理方法、つまり告示370号の個別に管理すべきものを記載するという方法論により管理するということで整理しております。現行でも、例えば触媒に目を向ければ、ペットボトルにつきましては、ゲルマニウム、アンチモンにつきまして、既に告示370号の規格を有しているところでございますので、そのような形により管理することが適当ではないかということをお示しさせていただきました。
さらに4番目、第2回目でも御意見をいただいておりますが、色材につきましては、今後引き続き検討する必要性があると考えているところでございます。ただ、色材につきましては、既に各構成員、参考人の皆様方も御存知のことと思いますが、告示370号の一般規格の中で、溶出するものにつきましては食品添加物でなければならない、要するに指定添加物でなければならないという規則がございます。また、溶出しない限りにあってはその必要がないということで、既に規制がかかっている部分でございます。ですので、色材等の議論を仮にこれからの議論という形で先送りとなっても、現状でも規制の枠は既にあるということを前提にお考えいただければと思っております。
さらに、7ページ目に資料1―1と同様に資料を準備しております。上半分は前回と同じ資料でございます。
下半分につきまして、前回の御議論を踏まえまして、内容をより分かりやすくブラッシュアップしております。製品の流れを示していますが、モノマーから出発いたしまして、ベースポリマーに至るところに触媒等の反応制御剤がございます。反応制御剤から出ている青い矢印が上に向かい、さらに下におりていくという形で描いておりますが、これは、ポリマー中に残らないということを示唆しているものでございます。添加剤等dについても同様の意味でございます。
対しまして、ペースポリマーから加工原料、中間製品、最終製品と流れていく過程におきまして、その上にある添加剤等aからcまで、これはポリマーの中に残存することを意図して添加されるものを表しております。これは定義にもお示ししているとおりの管理対象物質になります。つまりは、今回のポジティブリスト制度において管理すべき対象は何かということについてお示しすることになるのですが、アスタリスクがついております基ポリマー、さらに上の添加剤等a、b、c、これらがポジティブリストの管理対象になると整理しているものでございます。
さらに、モノマーから加工原料、中間製品、最終製品、こちらから下に向かって矢印が延びておりますが、この部分につきましては、不純物、非意図的生成物を表しております。不純物、特に非意図的生成物につきましては、現在でも海外でその管理のあり方、そして生成・発生工程も含めた研究がなされているところでございます。既に公布されておりますが、今回の改正法第18条第3項の中で非意図的に生成するものは除くということを既に明記しているところでございますので、非意図的生成物等につきましては、アスタリスクがついていないことからもお分かりいただけますように、ポジティブリスト制度で管理することは想定していないということをお示ししております。
これらを整理いたしますと、7ページ目の一番下の青囲みの部分になりますが、最終製品に残存することを意図して用いられる物質をポジティブリストで管理を行うということになります。最終製品に残存することを意図しない物質につきましては、従来のリスク管理方法により管理するものと整理させていただきました。つまり、現状の告示370号の規制でございます。
8ページ目の資料も前回と同様でございますので、御検討の参考にお使いいただければと考えています。
資料1-2の説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
前回の検討会の御議論も含めまして、今の御説明に対しまして御意見あるいは御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。添加剤というのが随分長い言葉で定義されましたが、議論するときは添加剤という言葉で議論しないととても大変なので、議論上は添加剤という言葉を使っていただいていいと思います。御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
○早川構成員 添加ではないのですが、例えば容器包装の食品の接触面に塗布する物質があると思います。例えば曇り止め、防曇剤があると思いますが、これもこの整理の中では添加剤という形で含まれると理解してよろしいのでしょうか。
○大前座長 曇り止めというのは今まであまり出てこなかった使い方ということですが、いかがでしょうか。
○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。
お話のような曇り止めや、さらに言えば、滑りをよくする滑沢剤もあるのではないかと思います。今回、あくまで事務局案でございますが、添加剤を整理した表現ぶりを見ていただきますと分かるのですが、もともとの物理的、化学的な性質を変化させることを考えておりますので、基本的にそれが樹脂に残存するという観点も含めて考えた場合には、表面に塗ってあるもの、後天的に塗布したものにつきましては、範疇には含まれないのではないかと考えております。
○大前座長 あくまでも樹脂の中に含まれるという範囲で今まで議論がされておりまして、早川構成員がおっしゃったような使い方については今まで想定していないということでございますが、いかがでしょうか。
○早川構成員 ただ、その場合も食品に移行することは考えられると思うので、何らかの安全性の確保ということは必要ではないかと思います。
○大前座長 どうぞ。
○近藤課長補佐(事務局) それは食品衛生の大前提でございますので、食品に接触して、これに伴い食品に移行するものは基本的に管理されなければならないというのはおっしゃるとおりだと思います。このために食品衛生法第15条、第16条というものがございまして、清潔衛生の原則、有毒・有害器具の禁止というものがございます。仮にそのようなものが付着して、食品に移行することにより人体に健康影響を与えるものがあるのであれば、おのずからその条文に抵触することになりますので、まず極めて毒性の高いものが付着しているならば、これは規制されることになります。
さらに、諸外国等の文献や科学的な知見にもよると思いますが、新たに管理しなければならない極めてTDIが小さい物質が食品製造、また流通工程において使われていることが確認されるのであれば、それらの実態を把握しながら必要な規制について検討を行い、規制が必要となれば告示370号の規制を設定することになると思います。
○大前座長 よろしいですか。少なくとも容器包装に関する議論とは別のところであると解釈いたしました。
そのほか、何か御意見、御質問、いかがでしょうか。どうぞ。
○森田構成員 御説明ありがとうございました。
前回、私は、色材については取り組んで、この対象物質の中に入れていく方向性で行っていただきたいとお伝えしたと思います。その上で、業界の取り組みもお聞きしておりますし、実際には3年から5年程度かかり、一部しかできていないので2年の施行には間に合わないという御説明もあったかと思います。
そのような御説明の中で、色材がすぐに今の施行には間に合わないにしても、今後ポジティブリストの対象にしていくのか、それとも先ほどの御説明のように、告示370号で溶出するものは指定添加物でなくてはいけないという規制が既にあるわけですからそちらで行くことになると、添加剤はポジティブリスト化するけれども、色材は告示370号でというような扱いが続くということになるのでしょうか。そこが分からないので教えてください。
○大前座長 いかがでしょうか。
○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。
先程の曇り止め、滑沢剤という話も含めてのことだと思いますが、当然ながら引き続き検討が必要であろうということはあらかじめ申し上げたいと思います。
確かに現行の一般規格の中には、溶出する場合にあっては指定添加物でなければならない、指定着色料でなければならないわけですが、ポジティブリストによる管理が可能となった場合は、当然ながらその評価の結果において指定着色料以外のものが含まれてくる可能性もあります。そうなってまいりますと一般規格との兼ね合い、バランスをまた調整しなければならないということになりますので、その部分も含めて引き続きの検討とさせていただければと思っております。
○森田構成員 やはりバランスが悪いと感じてしまうわけです。他の添加剤に関してはポジティブリストでやるのですが、色材に関しては告示370号で、移行する部分はそのように告示370号があるにしても、中に様々な色材が使われていて、何らかの形で接触はしていないけれども、移行するような場合のものは当面規制がかからないということになる。ポジティブリスト化だけれども、色材に関しては除くことになるという理解でよろしいでしょうか。
○近藤課長補佐(事務局) 説明が悪かったと思いますので、改めて説明させていただきます。
そもそも器具・容器包装から食品に移行が許されているものは、あくまで指定添加物の着色料でございます。これが現在の規制でございます。ポジティブリストが導入された場合、食品に移行するものが、仮に指定着色料以外のものがあれば、それは一般規格との齟齬が生じるということになります。ですから、ポジティブリストで色材を整理する場合には、一般規格との兼ね合いの調整もとる必要があるということをお話ししておりまして、色材を今後検討しようという方向性は既に第2回でも確認しているものと思っております。ですので、その部分も含めてどのように取り扱っていくのかということは、この技術検討会の中でさらに御議論いただければと考えております。
○森田構成員 色材を今後検討しようという方向性が確認できたので、そちらはいいかと思います。そこで、先ほどの熱硬化性樹脂の添加剤にもかかわってくるのかもしれないのですが、今後のスケジュールで、例えば2年の施行となっているときに、熱可塑性合成樹脂のようにすぐにできるものもあれば、熱硬化性樹脂のように時間がかかりそうなもの、色材のようにリスク評価の時間がかかるというもの、そのような様々な状況の中で、時系列で優先順位をつけてスケジュールを立てていくことになると思います。
おそらく早川構成員がおっしゃっていたのは、そこの全体像が見えないところなのかなと思っています。ポジティブリスト化といいますと農薬を思い出すのですが、残留農薬のときにも、今まで使われていたものがあるときから違反になって、シップバックや廃棄処分になる場面が施行後はよくありました。一方で食品ロスや環境という問題も出てくるかと思います。そういうことも含めて、器具・容器包装はより複雑で、スケジュールは現実的な方向で進めていただくことも大事だと思います。どのような順番でやっていくのかということも、全体像が見える形で案をお示しいただけるとありがたいです。次の回でもいいですが、お願いいたします。
○大前座長 よろしいですか。どうぞ。
○関野食品基準審査課長(事務局) 今の御意見に対しまして、早川構成員の最初の御意見に対して私が答えたことと若干重複するのですけれども、今、議論いただいている色材もそうですが、我々としても様々な現状調査も含めてどうすべきか思案しているところです。そういう意味で、まだ今後引き続き検討というところに落としていますので、今日のところはこのあたりで、これ以上の方向性は示せないと思うので御勘弁いただきたいと思っています。
そのほか、やはり先ほどの早川構成員のお話にもありましたとおり、基ポリマーのような形で従来からやってきている実績のあるものとこれからという部分との間ではどうしても濃淡が出てきてしまうかもしれません。ただ、ポジティブリスト制度の対象にするという方針のもとで考えたときに、施行時に規制の程度というか、規制上、管理措置としての取り扱いの濃淡での工夫もまだ採り得ると思っています。完全にリスト化という形でなくても、何らかの形で一応レギュレートされている状態にもっていくことを思案しながら、何が妥当かこれから考えていく一環として、個々の物質、対象範囲をどの程度にしていくかといったことを含めて考えていければと思っております。
一方、スケジュールについては、やはりできるだけ我々は時間の許す限り検討して、思案して、なるべく妥当な合理的なところまで持っていきたいと思っていますので、初めから今の段階で、節目節目でここまでやると決めるまでには至っておりません。むしろぎりぎりまでやれるところまでやってみたいという想いもありますので、お示しする時期が次回とか次々回になるかどうか分かりません。ただ、いずれにしても、施行までの間にどこまでの範囲がまずは到達地点か、その先の問題として、若干濃淡はつくけれども、引き続きこういったところは順次取り扱っていきたいという形のお示しの仕方はあるだろうと考えております。
○大前座長 よろしいですか。非常に難しいといいますか、簡単に答えられない問題だったと思います。
そのほか、いかがでしょうか。特になければ次の「リスク管理方法」に移りたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、事務局から資料1-3の説明をよろしくお願いします。
○近藤課長補佐(事務局) 続きまして、資料1-3、9ページを御覧下さい。
こちらも資料1-2と同様に取りまとめております。2番の「前回までの議論」で示されたものにつきましては、どのように管理していくのかについて、物質毎の添加量による管理を基本にすること、その場合は、当然ながら米国の形に近いものになってまいりますので、欧州の規格をどのように考えるのかという点については一定の懸念が示されているところでございます。さらに、管理の方法が決まった際ではありますが、新たな添加剤の追加については、可能な限り迅速なシステムの検討を期待したいという意見が提示されているところでございます。
10ページ目の「本日の検討事項」でございますが、2点まとめております。
2点とも前回と変わっておりませんが、ポジティブリスト制度におきまして管理する物質は、告示により御提示して規定したいと考えているところでございます。
さらに、物質毎の添加量により管理することを基本とするものでございまして、必要に応じて溶出量、その他必要な制限を規定するものでございます。
この添加量、溶出量という考え方につきましては、6月13日に公布された改正食品衛生法第18条第3項にも示しているとおりでございまして、添加量型もしくは溶出量型、その双方が記載されていますので、いずれの方法も選択肢として採り得ることは法律上も既に示されているところでございます。
4番につきましては、次回以降の検討事項はないということで、議論としては今回が終わりになるものと考えております。
資料につきましては、11ページ、12ページにお示ししておりますが、これも前回と同様でございます。11ページの上半分につきましては、器具・容器包装の規格基準です。これは、現行の法律の中では乳等省令と呼ばれている省令第52号で規定されている部分と、先程からお話をしております食品、添加物等の規格基準、告示第370号があるというものでございます。
下半分は、添加量型規制、溶出量型規制につきまして概要図をお示ししておりまして、製造工程の流れにおいてそれぞれがどのような管理を行っているのか、これを概略化して御説明しております。
また、12ページ目につきましては、ポジティブリストの収載例でございますが、それぞれの国で管理の方法が違います。それぞれの管理の仕組みに従った記載方法となっていることを比較していただければと考えているところでございます。
資料1-3の事務局からの説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
リスク管理方法につきましては、今回この技術検討会での議論を終えたいということでございます。添加量による管理を基本として、必要に応じて溶出量等々も入れていくということでございますが、何か御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。
○早川構成員 私ばかり発言して恐縮なのですが、質問が1つと意見が1つあります。
質問ですが、「前回までの議論を踏まえた整理案」に「管理する物質を告示に規定する」とございます。これは物質名だけが告示に規定されるのか、例えば含有量の規制は別に規定すると読み取ったのですが、その理解でよろしいのかどうかということです。
それから、意見ですが、添加量や含有量を基本とすることに賛成いたしますけれども、リスク評価等を行うに当たっては溶出量についても当然考慮されると理解していますので、添加量と溶出量が関連付けられるものについては参考資料のような形で溶出量についても示すという形もあるのではないかと思っています。以上です。
○大前座長 今の御質問に対しまして、いかがでしょうか。
○近藤課長補佐(事務局) 御質問ありがとうございます。
各構成員の皆様、参考人の皆様、傍聴席にお座りの皆様も、この点についてはかなり御関心が強いのではないかと推察します。今までの議論の中で添加量型規制が望ましいのではないかという方向性を示してきているところでございますが、具体的にそれをどういう形のリストにつくり上げていくのかという御質問であると思います。確かにポジティブリストでございますので、添加する化学物質がある、そしてそれを使う対象があるというのも事実でございますので、やはり対象と使う物質というものを対象に考えることが必然ではないかと思っております。
さらに言うと、溶出量型管理であっても、最終的に食品に移行して人体に入る化学物質の量を管理するという観点において何ら変わりはないところでございますので、原則は野方図に使われるものであってはならないということがあります。つまりは、どれだけ添加して良いかという添加の規制というものがおのずから必要となってくるということも考えております。
このような点を組み合わせるとともに、さらに言えば、特段の注意を要するもの、例を挙げるならば、油性食品には使ってはならない、非常に温度に弱い、いろいろな特殊な例があると思いますが、そういう条件につきましても、衛生を確保するという観点から必要なものであれば、これはやはりリストの中、もしくはいずれかの形をもって提示して、その枠組みの中で管理していただくことが必要ではないかと考えております。
リストを作っていく上でどういうことがポイントになるのかというならば、それは材質、今回は合成樹脂になりますが、合成樹脂に加える添加剤をどれぐらい加えていいのかという管理する規制量、さらには、特殊な用途があればそういう特殊用途の記述、こういうものを組み合わせてリストはつくられていくのではないかと思います。ただ、現時点でこの場でこういうものですということをまだお見せできる段階にはございませんので、いただいた意見も踏まえながら検討を進めてまいりたいと思っております。
2つ目の点でございます。仮に添加量型規制にしても溶出量についても考慮してほしいということでございますが、ここもデータをどこの国から仕入れるかによってそのようなことが発生するのではないかと思っております。ヨーロッパでは溶出量型規制になっておりますから、当然ヨーロッパでいろいろなデータを手に入れようと考えた場合にそのようなデータが出てくることは往々にして想定されるところでございます。これが本当に我が国で予定する添加量型規制の添加量の枠組みにはまっているのかどうか、こういうものをどうしたら確認できるのかということがお話の論点ではなかったのかと思います。日本におきましては、自主的な管理というものが非常に進んでいる国でございますので、事業者の皆様がどのように管理することができるのかという方法論、こういうものにつきましても御意見を踏まえて検討を進め、さらには食品等事業者がみずからの責任を果たせるような形にできればと考えております。
○大前座長 膨大なお話だったような気がしますが、そのほか、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。どうぞ、六鹿構成員。
○六鹿構成員 ポジティブリスト自体、告示に規定するということなのですが、ポジティブリストの告示の中に含有量や溶出量の規定が入るということになりますと、現状の370号にも含有量や溶出量の規定がありますので、370号の含有量、溶出量の規定とポジティブリストの含有量、溶出量の規定について混乱してしまう可能性もありますので、そこら辺の区分を明確にしていただきたいと思います。
○大前座長 ありがとうございました。
実際に作るときは明確にしてくださいということです。何かコメントはありますか。いいですか。
そのほか、御意見いかがですか。
○森田構成員 ポジティブリストということの告示のイメージが湧いてきたのですが、例えば、基ポリマーが今、50以下ぐらいあって、添加剤が1,500とか2,000とかかもしれませんけれども、告示でそれぞれの物質名と含有量、溶出量が出てくるというイメージになるのでしょうか。残留農薬だと告示のイメージがあるのでわかるのですが、この器具・容器包装のイメージが湧きにくいものですから、教えていただければと思います。
○大前座長 どうぞ。
○近藤課長補佐(事務局) どういうものであるのか、具体物をもって説明できるのが一番良いのですが、少なくとも先ほどお話をした点のうちの前3つ、材質はポリエチレン、ポリプロピレン、PET、そういうものがあると思います。種類はたくさんありますが、そのような材質に対して、当然ながら化学物質は対象材質に機能を付与する、化学的特性を付与するということになるので、マッチングがあるわけです。そこをどう関連づけて記述するのかということで、そこで一つの表の構成ができ上がっています。その構成の中で化学物質各々についてどこまで使えるのかということを規定していく、そういうイメージなのですが、ただ、表の形がどのような形になるのか、そういう細かい点につきましては、まさに検討しているところでございます。考え方のロジックは、今お話ししたようなものでございます。
加えれば、4番目の点があって、特殊事例があるのであれば、そういうものはあえて書き込むということになると思います。
○森田構成員 分かりました。
○大前座長 ありがとうございました。どうぞ、石動参考人。
○石動参考人 添加量と溶出量の話というのは、これまでもこの検討会でも議論がありました。海外でもこの2つのキーワードをどのように関連づけるかということは非常に多くの議論がなされております。
添加量というのは、物をつくる立場の製造業者にとっては非常に重要な、品質管理の製造基準として使わないといけない重要なバロメーターです。一方、溶出量というのは、人の健康にどうかかわるのかということをかなり明確に指し示す指標として非常に重要です。
この2つの関係を今回のこのPL制度化の一環として、例えば一つのデータベースとしてデータを蓄積していく、そういった取り組みというのがあるのではないかと思います。この2つは無関係に動いているわけではなくて、今、言われたように何に添加するのか、どのような条件で使うかによっては相当な関連性が見えてくる世界でありまして、全く無関係に動き回っているものではありません。考え方によってはかなり明確に予測もできる、そういう段階に来ている。そういうツールもあります。いろんな技術的な手段も開発されてきていますので、今回のこの取り組みの中でデータベース化というのは一つ念頭に置いてもいいのではないかと思います。
○大前座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。何かコメントございますか。
○近藤課長補佐(事務局) 今回のポジティブリストを作っていく過程におきましては、国内においてさまざまな諸先輩方、各種の企業が積み重ねた歴史、ノウハウ、経験、知識、こういうものがたくさんありまして、それを統合化していくということも一つの作業になっております。その中で得られた知見、得られたデータを統合的に管理するのは確かにこれからの日本のポジティブリストを運用していく中で非常に重要だと私どもも認識しております。御要望いただいたことがどこまでできるのかということはありますが、御提言いただきましたデータを取りまとめ集約的に管理していくということにつきましては、現在、私どもでも検討は行っておりますので、それが仮にお示しできる段階になれば、このような場も通じて御説明させていただければと思います。
○大前座長 どうぞ。
○関野食品基準審査課長(事務局) 少し付け加えといいましょうか、私からもコメントさせていただきますが、御提案のデータベースのようなものが必要ということは、この世界にかかわる人間のみならず、食品を食する人にとっても場合によっては参考になるということで必要性は感じております。
実際そういったデータベースをつくるとなった場合に、誰がそれを運営あるいはメンテナンスするか、さらに施行までの間に我々が検討に用いましたものに関してはそれなりのレギュレーションの改定もあると思いますので、示すことは一定の公的な意味合いを持つものだと思います。その後それらを更新したりする場合に、果たして全てが規制あるいは制度のもとで扱われる数値、データとして示していくべきものなのか、あるいは各社それぞれがきちんととり得たデータをそこにインプットしてアップデートしていくのか、そのあたりを含めて実効性が上がらないことには始まらないと思いますので、データの提供とそのメンテナンス、更新も含めてどのようにやっていくのが一番いいかということは関係者の中で改めてみんなで考えていければと思います。
○大前座長 ありがとうございました。そのほか、御意見、御質問よろしいですか。
次に「事業者間の適正な情報伝達」ということで資料1-4の説明をよろしくお願いします。
○近藤課長補佐(事務局) 資料1-4を御覧下さい。13ページです。
こちらにつきましても構成は同じでございますが、これは第2回までに議論とはなっておりませんので、今回、丁寧に御説明させていただければと思います。
まず、以前に行っておりました検討会の「取りまとめ」でございますが、ここで示された内容としましては、大きくは2つです。
1つ目は、器具及び容器包装の製造事業者から販売事業者に対し、必要な情報を提供する仕組みが必要ではないかという点です。
2つ目は、器具及び容器包装の原材料の製造事業者が製造事業者の求めに応じ、必要な情報を提供する仕組みとすべきではないかというものでございます。その折には、知的財産が非常に含まれる情報となってまいりますので、企業秘密にも配慮しながら、事業者間の取り決め、また第三者機関の証明の活用ということについても促していくことが必要ではないかという提言をいただきました。この検討会における取りまとめを踏まえまして、今回、6月13日に公布されました改正食品衛生法が構築されております。
次に、2番の「前回までの議論」でございます。2つ大きな論点がございます。
まず、器具及び容器包装の製造事業者につきまして、製造しているものがポジティブリストを含む規格基準に適合することを確認できるように必要な情報提供を義務づけるというものでございます。
さらに、川上側に移りますが、器具及び容器包装の原材料の製造事業者につきましては、食品等の器具及び容器包装の製造事業者からの求めに応じて必要な情報を提供することを努力義務とすることでございます。
このことにつきましては第2回目の技術検討会で議論しておりませんので、「主な意見(概要)」には第2回目の議論は当然ながらございません。第1回目の方向性を取りまとめたときにどのような意見があったのか、集約的に羅列しております。幾つか論点がございますが、簡単に説明します。
最低限必要な情報はポジティブリストへの適合性ではないか、努力義務ということであるならば、しっかりと器具及び容器包装の製造事業者に対して情報が提供されるのか、こういう点に不安があるというお話です。
そのようなことであるならば、全てを義務としてしまう方法もあるのではないかということもありますが、そういうことを網羅的に踏まえた場合に、きめ細やかに検討してもらったほうがよろしいのではないかというお話が出ております。
また、原材料メーカーと加工品メーカーの責任の区分もあるのではないか、さらには、器具・容器包装の製造事業者の方々が川上側、川下側からの板挟みになってしまうのではないかというお話、立場として商流の中で非常に難しい位置にいるということの御理解を求めているところでございます。
さらには、今回も御出席いただいておりますが、三衛協の確認証明制度がございまして、こちらは既に企業の情報の保持、秘密の保持を可能としながら、自主規格への適合性の証明を行ってきているという部分もございますので、こういうものを活用することも一つの方法ではないかということが検討会の取りまとめに反映されてきた議論の中身でございます。
これを踏まえまして、3番の「本日の検討事項」でございます。前回までの議論を踏まえた改正食品衛生法上の規定でございます。2番で御説明した内容が6月13日に公布された法律の中に反映されているわけでございますが、どのような形になっているのか、改めて御説明いたします。
第50条の4は新設の条文でございます。こちらでは第1項と第2項に分かれております。第1項は、食品等の器具及び容器包装の製造事業者の方々が行わなければならない義務が書かれております。第2項につきましては、冒頭、見出しにも書いてありますが、器具または容器包装の原材料ということが書かれておりますので、容器包装をつくる方ではなく、その方々に提供している原材料の製造事業者のお話ということになり、末尾に書いてありますが、「必要な説明をするよう努めなければならない」となっております。第2項は努力義務というものでございます。
第1項の中でも、どのような内容を伝えなければならないのかということにつきましては、一と二でお示ししておりまして、一では、第18条第3項がポジティブリストの規定でございますが、ここで定める材質の原材料につきまして、定められた規格に適合しているもののみを使用した器具と容器包装であること、こういう情報が一つです。
次に、第18条第3項ただし書きがございまして、このただし書きというのは、いわゆる一定量以上の溶出が、例えばレイヤーの第2層目から溶出しない、また溶出するような構造になっていないということなのですが、こういうことであるならば、そのただし書きに規定する加工がされている器具または容器包装であること、これが二つ目の情報となり、これらのことを販売する相手の方に説明しなければならないというが二つ目の義務規定として書かれているものでございます。
このような規定があるわけですが、現在、産業界において自主基準のもとで行われている情報伝達の実際について私どもとしては確認しながら、どのような情報が伝達内容として伝達されるべきなのか、いわゆる情報の項目の確認をある程度進めていきたいと考えているところでございます。商流によりまして、下流側に行けば行くほど求められる情報の範囲はどこまでであるのかということが不明瞭になってしまう。事業者ごとに川上側に求める情報の内容が余りにばらばらになってしまうと、上流側で受けとめることが非常に難しくなってくると想定されるところでございますので、何をコアな情報として規格適合性情報の中身として求めるのか、こういう点につきまして、さまざまな本日の事例を含めて、御紹介いただく内容を踏まえて検討していきたいというものでございます。
適合性を確認するためにどういう情報が必要かという点につきましては、今、説明した内容でございます。
さらに、4番の「次回以降引き続き検討する事項」といたしましては、現在、産業界の皆様方が運用されております確認証明制度の仕組みとその有効性の検証です。その制度がなぜ有効であるのかということの検証ができればと思っております。
また、EUにおきましては、適合宣言が使用されているところでございますので、その適合宣言と現在国内にある確認証明制度を比較した場合に、どのようなメリットがあるのか、こういう点についても議論が深められればと考えております。
さらに、原材料の製造事業者から器具・容器包装製造事業者への情報伝達方法としまして、どういう方法が効果的、効率的であるのか、その内容についても今後さらに検討を進めていければと考えております。
このことに関しまして、15ページは、これも以前の「食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会」等でもお示ししておりますが、ポジティブリスト制度の全体像、下半分が情報伝達の流れでございます。
16ページを御覧いただきますと、日本と欧米における適合性情報の情報伝達について簡単に取りまとめをいたしました。下半分につきましては、現在、三衛協で行われております確認証明制度の運用の流れをお示ししております。
さらに、今後議論を深めたいと考えている部分でEUとの比較がございますので、以前にも掲上しておりますが、改めて17ページにEUにおける適合宣言書の記載内容を載せております。
事務局からの資料1-4の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大前座長 ありがとうございました。
続きまして、情報伝達の実際につきまして、資料2の説明を津森参考人からよろしくお願いします。
○津森参考人 ポリ衛協の津森でございます。
資料2を用いて三衛生協議会の確認証明についてフォーカスを絞って御説明いたします。
下段に参考といたしまして、ポリ衛協の確認証明書のサンプルをお示ししております。また、その拡大版は最終のページにも添付しており、後ほど詳細を御説明しますが、この確認証明書は、製品について衛生の観点から製造方法の妥当性の情報伝達のために会員間で使用しております。
3ページに確認証明の5つのポイントをまとめております。
1番目といたしましては、確認証明の対象となる合成樹脂や添加剤等が自主基準のPLに記載された物質であり、さらに制限条件にも合致しているという点。次に、製品もしくはその製品を用いて製造された器具・容器包装が衛生試験に合格する製法で製造されている点。この2点を協議会が確認し、証明しております。
2番目といたしまして、製造過程や製品の使用段階で使われる食品の種類や使用温度について制限がある場合は、そうした制限情報を確認証明書に明記し、確実に下流側の会員企業へ伝わるようにしています。
3番目といたしまして、どんな物質が何%含まれているかという、まさに企業秘密にかかわる処方を確認証明書に記述しなくても、その製品がPL収載物質のみから構成されているということがわかるようになっております。
5番目といたしましては、会員間の情報伝達が基本ですが、非会員の事業者への開示を禁止してはおりませんので、例えば、ポリ衛協では年間約5,000件と非常に多くの確認証明書を発行し、さらに確認証明が交付された最終製品には消費者向けの適合マーク、PLマークと呼んでおりますが、これをつけることもでき、広くサプライチェーンに浸透していると考えております。
4ページ以降の資料は、過去の検討会資料で関連する箇所を抜粋した参考資料ですので、説明を割愛いたします。
最後のページに、見本として確認証明書の拡大版を添付しております。そのページを御確認願います。御説明した重要な情報伝達の箇所といたしましては、会長名の印鑑の下側に「当協議会の自主基準に適合していることを確認したので証明する」と記載しており、ここで企業秘密となる処方を開示することなく、自主基準PLに記載された物質を用い、制限条件に合致し、衛生試験に合格した製法で製造していることを証明しております。
また、下の表の上から4段目に「制限内容」という箇所がございます。これは、使用可能な製品の種類や使用温度などの重要な制限情報を明記し、下流側の会員企業に確実に伝わるようにしております。
最後になりますが、例えばポリ衛協の場合は、設立後約45年の長きにわたり食品用器具・容器包装に起因する健康被害が皆無であることはまさに実績であり、これは協議会の確認証明を用いた活動が大きく寄与しているものと考えております。長年にわたって安全を自主基準と確認証明制度によって支え続けてきた三協議会の事業活動の積み重ねは、これからの法制度運用に当たっても大いに役立つものと信じております。
説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
同じような証明制度を持ちます塩ビ食品衛生協議会、塩化ビニリデン衛生協議会のほうから何か追加の発言がございますか。
○石動参考人 特にございません。
○大前座長 では、渡邊さん。
○渡邊参考人 私から1点。先ほど津森参考人から御説明があったように、基本的には会員の方ということなのですが、私どもは会員以外の川下のほうにもこの証明書を使って安全であるということを御案内していると聞いております。
また、層構造が多層の場合には、例えばポリ衛協さんの多層の組み合わせということがございますので、そういうときには、ポリ衛協さんのほうに私どものものが安全の自主基準を満たしていることを説明するための材料としても使っていただけているということで、そういう意味では、会員以外の証明という形でもかなり使われているということを補足させていただきます。
○大前座長 ありがとうございました。クローズのシステムにはなっていないということですね。
それでは、続きまして、資料3の御説明を坂田参考人からよろしくお願いいたします。
○坂田参考人 軟包装衛生協議会の坂田でございます。
「軟包装材料の情報伝達に関する現状について」ということで御説明を差し上げます。
まず、私ども軟包装衛生協議会とは何なのかというのは、1枚めくっていただいた後、2枚ほどにつけております。細かくは読みませんが、やわらかい包装材料、例えばスナックの袋、インスタントラーメンの袋、ああいった非常に薄いフィルム等から成る包装材料を製造している企業による業界団体でございます。ああいったものは一次包装と言いますが、食品等が直接入るものですから非常に衛生性が問われるということで、そういったところの製品、製造工場の衛生性の維持向上を目的として40年以上活動している団体でございます。
私どもは衛生管理自主基準という基準を持っておりまして、今、申し上げました衛生的な材料を使って衛生的な工場で物をつくればいいものができるという考えに基づいて活動しております。その中でも特に材料に関しましては、今日御出席の三衛協さんを含めましたいろいろな業界の自主基準に適合した材料を使うということを基本的なルールとして活動している団体であることをまず御説明させていただきます。
1ページ目に戻って情報伝達ということですが、まず、私どもが軟包装材料を製造する場合に、川上側の材料メーカーからさまざまな情報を入手いたします。当然、食品衛生法に適合しているとか、今いろいろありました業界の自主基準に適合しているとか、必要に応じて海外のFDAやEUのレギュレーションに適合しているとか、あるいは「独自の調査物質情報」と書いたのですが、例えば限定的なケースですけれども、BPAが含まれている、いないとか、いろんな必要なことがありますので、そういったことを加味して、つくろうとしている製品にその原材料が使えるかどうか判断するための情報としてまず入手いたします。
逆に、川下側といいますか、お客様の側、食品製造の事業者の皆様に情報伝達するケースを表としてまとめております。
食品衛生法の適合ということを伝達するケースが多く、現行の食品衛生法に基づきまして、食品接触層が370号試験に適合している、あるいは4ページ目に日本食品分析センターの分析の試験成績書のサンプルをつけておりますが、こういった形でご要望に応じて370号試験に適合していることをエビデンスとしておつけしてお客様にお伝えするというケースが一般的であろうと思っております。
2番目に、三衛協の確認証明書を使用するというケースです。お客様の御要望があれば、私どもの製品は非常に多層構造になっておりますので、食品接触層のみならず中間層、表層等々個別の原材料についても確認証明書を出せと言われれば、お出しするケースはございます。ただ、先ほど三衛協様の御説明で確認証明書は企業秘密を守るために非常に有効というお話がありましたが、逆に、私どもは、どこのどういった材料をどう組み合わせるかということが一つの企業のノウハウでございまして、どう組み合わせるかによってお客様の御要望の内容物や、いろんなものに対応する袋をつくるということになりますので、それを開示するということは、場合によっては秘密保持のきちんとした取り扱いをした上でお客様にお伝えするということも間々ございます。
もう一つ、3層でも5層でも何層でもいいのですが、そういった積層した加工済みのものとして確認証明をとるということも方法論としてはありますが、これは実際には非常に少ない。そこに注1と書いております。なぜかと申しますと、お客様の御要望、内容物、内容量、賞味期限、いろんなことを加味してかなり細かなカスタマイズを行います。その製品の仕様、スペックといいますか、それは莫大なことになってまいりますので、個々に確認証明を取得することは現実的ではなく、今まで行われてきてはいないということです。
逆に、もう一つ、これは御理解いただけるか分からないのですが、ここにたまたまペットボトルがございますが、例えばこの伊藤園さん向けの製品の確認証明をとったとして、別の飲料メーカーのものと同じ確認証明書をお出しすると、自社の製品と他社の製品が同じスペックであることを示してしまうということもあり得まして、もちろん安全情報としては伝わるのですけれども、容器包装の製造事業者の秘密保持という形では川上側のような仕組みがないものですから、なかなか難しいということで、その辺は今まで行われていないということです。
表のほうに戻りますと、その他の業界自主基準、例えばインキや接着剤のネガティブリスト規制とか、いろんなものがございますが、そういったものもお客様の御要望に応じて川下側の食品会社のほうにお伝えする。必要に応じて各メーカーが発行した証明するレターを添付するということもございます。
4番目のところで、先ほど申し上げましたように、非常に多品種でロットも小さくて製品のライフサイクルが短い、受注が1回しかない、いろんなケースがございます。食品衛生法の適合が受発注の大前提になっているという商習慣もあると思いますので、製品ごとに都度都度情報伝達をしない、そこは性善説といいますか、そういった形での商取引も恐らくあると思います。今回は時間がなくてそこまで細かに調査できていないのですが、実際問題としてこれはあるだろうと思っております。
なおかつ、こういったことがいろいろ組み合わされて、一つの製品に対して食品衛生法の確認証明、あるいは自主基準に適合しているということを伝えることもありますし、どれか1つしか用いないとか、ここら辺は容器包装製造事業者と取引先との間の契約に基づいて行われているというのが実態であろうと思います。
厚労省から、そのほか流通条件や使用条件等についてはどう伝えるのかという御質問がありましたので、そこに書きました。先ほど申し上げましたように、ほとんどカスタマイズでございますので、受注のときにそういった条件をお聞きして、それに見合った仕様を開発してお納めするということになります。記録として製品仕様書等に書かれることはございますけれども、後々それをお伝えするということはないと考えております。
ということでございまして、先ほど事務局からも御説明がありましたように、当初から秘密保持をどうするかということがずっと課題であったということでございまして、川上側の三衛協様の確認証明の仕組みや原材料に関しては秘密保持が非常にうまくいっていると思いますが、私どもの包装製造事業者から川下側への秘密保持という点では、これがなかなか使えないというのが今の実態で、食品衛生法の適合をお伝えする、その程度をお伝えすることで秘密を保持しているというのが現状であろうかと考えております。
以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
それでは、資料4につきまして、中田参考人からよろしくお願いします。
○中田参考人 日本製缶協会の中田でございます。よろしくお願いいたします。
3ページ目でございます。私どもの協会は、正会員として製缶会社7社及び賛助会員として鉄鋼鋼材メーカーとアルミ缶の製缶会社4社から成っております。
活動概要はいろいろございますが、この中で、今日のお話に該当しますのは4ページ目のトの「衛生問題への対応」ということで、金属缶を製造するための自主基準としてのポジティブリスト及び衛生試験法の制定第4版として平成24年度に改訂を行っております。
私どもの協会の組織的な概要は以下のとおりでございまして、この中に衛生問題連絡会がございます。ここで全ての対応をいたしているところでございます。
続きまして、5ページが、先日、私どもの食品安全への取り組みということでお見せしました「食品缶詰用金属容器に関する衛生基準(第4版)」でございますが、これにつきましては、第1版が1978年に発行されまして、その後、順次改版されて現状に至っているところでございます。
では、ここに入っているポジティブリストの中のものはどういうものなのかということでございますが、コーティング材と称するものと、もう一つは密封材(コンパウンド)というものでございます。
コーティング材の主要な目的としては、内容物の風味の維持、金属材料の腐食防止で、金属缶内面に塗装されるものでございます。これらが、今日、ポジティブリストの中では基樹脂と添加剤という形に分かれまして、こちらに書いておりますようなそれぞれの樹脂及び添加剤は、使用目的による添加剤の項目に分けてそれぞれの中身の物質が特定されております。
密封材(コンパウンド)と称しますものは、金属缶の胴部とふたの部分の結合部の密封性を確保するためのものです。コンパウンドの成分としては、天然ゴム、合成ゴムを使いました基ポリマーに樹脂と添加剤をあわせまして、密封材とした形で使っているところでございます。
続きまして、私どもの具体的な取り組み、衛生基準でございます。趣旨といたしましては、食品缶詰用金属容器の製造に用いられる原材料を衛生上の見地から自主的に規制し、金属容器としての形態で衛生試験に合格することと定めております。その目的は、食品缶詰用金属容器材料の適正化を図り、食品缶詰の衛生的安定性を確保すること、食品缶詰用金属容器というのがその範囲でございます。
衛生基準の範囲といたしましては、容器としては告示370号、もしくは中身によりましては乳等省令に適合というところでできております。原材料につきましては、この2つに加えて私どもが自主的につくっているもの、具体的に言いますとアメリカのFDA準拠ということになるのですが、それが自主的な制限となっております。
それ以外、金属缶ですのでスチールやアルミといったものもありますが、それについては日本工業規格のものを使うということで行っております。
コーティング材、密封材につきましては、今まで申し上げたとおりでございます。
最後にありますのが、食品環境検査協会からとっております告示370号試験の適合証明書もしくは乳等省令試験の適合証明書でございます。
これとは別にいろいろ御質問がございまして、使用条件の伝達についてはどうなのかという御質問を頂戴いたしたのですが、私どもは個別の製品納品時には使用条件の伝達は行っておりません。といいますのは、食品缶詰の開発が、まずはお客様からの条件提示を頂戴いたします。中身が、飲料、食品、果実や魚なのか、それに伴って充填の条件、温度と殺菌条件が入ります。その上で、もう一つ重要なのが、金属容器はどういうものを希望されるのか。2ピースであったり、3ピースであったり、最近はボトル缶もあります。もしくは魚などでは角缶、果物では丸缶などもございます。
そういった御要望をお聞きした中で、製缶会社から製品化可能な容器の仕様の提案をさせていただきまして、その上で、お客様と、充填場所、容器仕様適合合意後に充填製品化が開始されますので、この段階で最終的に決定されております。
最終受注決定後、お客様によってはコーティングに関して、先ほど申し上げました樹脂系のみの開示をお求めになるところもございますが、それについてはお話をさせていただいております。それとは別に、大まかには告示370号試験等の書類などの開示要求のある場合は開示させていただいております。
また、先ほどお話し申し上げました塗料、コンパウンドにおける詳細の物質情報の伝達ということでございますが、要求があった場合、コーティングの樹脂系のみの開示は行っております。これ以外は、塗料というのはノウハウの塊になっておりまして、ついては、私どもでもよくわからないところで、上流のメーカーから開示をもらえないところもございますので、そこについての物質情報は伝達しておりません。
下流への確認証明書の伝達につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
また、上流からの原材料調達に対する安全性の確認につきましては、開発時、納入時の契約において当協会の自主基準遵守を前提に進めており、個別の情報伝達は行っていないのが現状でございます。
以上でございます。
○大前座長 どうもありがとうございました。
ただいまの事業者間の適正な情報伝達につきまして、第1回でも一度、御議論いただきましたが、本日の検討事項に関しまして、事務局あるいは参考人からの御説明をあわせまして、御意見あるいは御質問があればと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ。
○小山構成員 行政側の立場から幾つか質問させていただきたいと思います。
今回、食品衛生法が改正されて、情報伝達ということがきっちりと法の中でうたわれておるわけでございますが、一方で、別の改正内容の一つとして許可業種の見直し、届出制度の創設というのがございます。
従来ですと、許可、届出の対象にはなっていなかったわけですが、今回、法が変わるという中で、製造業者も届出の対象となってくると思っております。行政の側からすると監視・指導という場面が出てまいりますので、そういったときは、こういった情報伝達がきっちり行われているかどうかというところを確認する作業が必要になってくると思います。今、お話を伺っている中で、必ずしも情報伝達がされるケースばかりではないということでした。そういったところを踏まえて、今後、仮に監視・指導を受ける側の立場になったときに、サプライチェーンの中で情報伝達がスムーズに行われるためにはどういったことが有効だとお考えになりますか。
○大前座長 参考人、どなたかいかがでしょうか。団体によって随分様子が違うので、なかなか難しいと思いますが、どうぞ。
○坂田参考人 ものすごくシンプルで難しい御質問を頂戴したと思いますが、私ども軟包装衛生協議会に限らず、容器包装製造の事業者は裾野が非常に広く、中というより小規模事業者が非常に多いと思います。そういう意味で、情報伝達の前に、あなたのところは届け出なければいけないということをどうやって周知するかという問題も一方であると思っています。
リソースの少ない企業ばかりですので、どれだけ負荷を軽減してあげられるか、具体的な方法はなかなか今、申し上げられませんが、今までやっていなかったようなことがすごく増えるようになると本当にやり切れないのではないかということがありますので、もちろん法の趣旨は私どもの会員に対してはちゃんと説明して理解してもらうつもりですけれども、そういった小規模事業者に対してきちんとしたガイダンスを含めてやっていただく、負荷を極小化するということはとても重要ではないかと感じております。
○大前座長 どうぞ。
○小山構成員 秘密といいますか、情報の保持というところとの兼ね合いが非常に難しいというのと、小規模事業者が非常に多いというところで、どういうふうに周知するかということだと思います。
もう一点お伺いしたいのですが、確認証明以外で情報伝達をするような場合、活用されている方法ですとか、伝達されている情報項目について何か補足等があれば教えていただきたいのですが。
○大前座長 いかがでしょうか。では、石動参考人。
○石動参考人 全て分かっているわけではございませんが、例えばSDS(Safety Data Sheet)、それから、いろんな検査機関が発行しました成績証明書、こういったものが情報伝達の基本のツールになっていると思います。説明しました確認証明制度がそれを補完している、こういう構造だと思います。
○小山構成員 ありがとうございました。
○大前座長 どうぞ。
○渡邊参考人 今ありましたSDS、そういうものについては、やはり中身の開示につながるというところがございますので、私ども三衛協でやっているような確認証明というのは、先ほどもお話ししましたように、中身については事務局が確認しますが、そのものについては問題ないという形で、中身をある意味、隠して証明できるというところは非常にアドバンテージだと考えております。
○大前座長 秘密保持に関しまして、今、三衛協がやっているような形でうまく対応できるという可能性はいかがですか。中田参考人あるいは軟包装のほうは、なかなか難しい。
○坂田参考人 軟包装の場合は、今、いいアイデアはないですけれども、工夫が必要です。三衛協さんがやられているようなことを我々なりに自分で確認して、欧州の適合宣言ではないですけれども、自己宣言みたいなことまではできるかもしれないですが、そこに第三者機関を介在させるとかいうことになると、いろいろな仕組みづくり、コスト、手間、時間とか、いろんな解決しなければいけない課題があるのではないかと思います。
○大前座長 どうぞ。
○中田参考人 私どもの業界も恐らくかなり難しいのではないかと思います。といいますのは、一点は秘密保持という、先ほど申し上げました塗料といういろんなもののブレンドといいますか、そういう構成の中でできているものですので、その一つ一つがノウハウの塊というところがございます。あともう一つありますのは、塗料がいろんな種類から成り立っている。製品に対する塗料としての種類が、それらを個別に全部ということになると、恐らく時間的なものやコスト的なものからかなり苦しいのではないか。そうすると、あと考え得るのは、できるかどうかわからないのですが、ジャストアイデア的なものは、会社対会社の中でPLオンリスト品しか使っていないというお互いの契約のようなことがうまくできるかどうかだと思います。
○大前座長 そのほか、構成員の方あるいは参考人の方、何か御意見は。どうぞ。
○石動参考人 先ほどから説明しておりますように、確認証明制度というのは会員制であります。この協議会のスタートを考えますと、大手企業、中心的な企業が音頭をとって、現在、中小まで広まっている、そういう現状だと思います。量的に大きなところはかなり押さえられているのではないかという反面、今お話のあった中小を含めた裾野まで同じようなやり方でカバーできるかどうかということについては、やはり御指摘のとおり、いろんな問題が大きいのではないかと思います。
ですので、ハイブリッド型といいますか、2つぐらいの大きな仕組みをつくっていくということで、2つ目は、今お話があったような最低限の情報伝達の項目を明らかにして、PL制度のもとでは中小を特に念頭に置きながら、実際に守れる項目を明確化するということがいいのではないかと思います。最低限必要なのはやはりトレーサビリティーだと思います。何か問題があったときに、どこにコンタクトすれば問題が絞り切れるのか、そういう伝達というよりもトレーサビリティーのほうに中小はウエートをかけたらいいのではないかと思います。
○大前座長 ありがとうございます。トレーサビリティーに関しては何か御意見ございますか。
○坂田参考人 トレーサビリティーに関しましては、昨年、厚労省がお出しになりました製造に関するガイドラインの中にも記載がございました。今回、食品衛生法でも適正な製造管理を行うということの具体的な内容はまだ示されておりませんが、恐らくそういったことが求められると思いますので、ポジティブリストとは別の観点というか、ものづくりの製造管理の中できちんとトレーサビリティーを確保していくということがなされていくのであろうと思っています。私どもに関しては、自主基準の中でそういったことを求めてやっておりますが、小さなところ、トレーサビリティーとは何のことというような会社をどういうふうにしていくかということが必要なのだろうと思います。
○大前座長 ありがとうございます。
事務局のほうから今までの御意見等に関して何かコメントございますか。
その団体といいますか、企業規模によって一律にはいきそうもないというのが今の御意見でわかったと思います。先ほど2段階でやったらどうかというお話もございましたが、これは将来的な検討事項になると思います。
○関野食品基準審査課長(事務局) 本日は御議論ありがとうございました。次回以降につなげるという意味で、今回は実態をそれぞれ御紹介いただいたわけです。我々としては、資料の中でも少し触れたと思いますが、何らかの形で制度上、一部といいましょうか、事業者によっては義務でありあるいは努力義務であったりという形になりますので、その範囲において、御提案があったように、ミニマムどこまではやっていただく必要があるかという観点での整理は必要です。加えて、企業間のやりとりになってきますので、どちらからどちらに対して、あるいは受け手も要求する側も互いに過度な要求になってしまってはその間の伝達がきちんと回らなくなるということもあります。何らかの形で標準的なものといいましょうか、ここまではぜひお願いしますということで、過度にもならず、それを下回ることもせずといったところの方向性、そういったものは行政として示していかないと、無造作になってしまうとかえって混乱して、双方の価値観の違いなどによって過度な要求になったり過小な提供になったりということになりかねませんので、何らかの整理は必要と考えている次第です。次回以降、また引き続きお願いしたいと思います。
○大前座長 非常に難しいお話だと思いますが、次回以降この件に関しては継続的に議論していくということになろうかと思います。
そのほか、参考人の方あるいは構成員の方、何かございますか。よろしゅうございますか。
では、一応、資料1-1から1-4までの検討はそれぞれ終わりました。全体を通じまして何か御意見あるいは御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。今日、問題点も随分はっきりしたということだと思います。
特になければ、議題(2)の「その他」でございますが、事務局から何かございますか。
○丹羽専門官(事務局) 事務局からは特にございません。
○大前座長 ということですので、今日の議題を終了したということで、この議論を終えたいと思います。まだ議論が残っている項目がたくさんございまして、次回以降、引き続き検討を続けるということになると思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、事務局から次回の予定につきましてお願いいたします。
○丹羽専門官(事務局) 次回の検討会については9月頃を予定しておりますが、詳細については追って御連絡を差し上げたいと思います。
構成員の皆様に配付しております「構成員必要事項連絡票」については、こちらで回収いたしますので、そのまま机の上にお願いできればと思います。
以上です。
○大前座長 ありがとうございました。
次回からもぜひ、参考人の方々あるいは構成員の方々、結構ヘビーな議論が続きそうですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 

 

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