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2017年9月25日 第4回 高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ

○日時

平成29年9月25日(月)13時00分~15時00分


○場所

経済産業省別館専用第227会議室


○議題

(1)作業チームの経過報告
(2)平成28年度モデル事業の実施結果等について
(3)平成29年度モデル事業の展開及び平成30年度からの横展開に向けた検討課題について
(4)その他

○議事

 

【平成28年度モデル事業の実施結果について】

 (マクロデータについて)

・ KDBシステムにデータが登録されれば、全体像の把握ができるようになるということをガイドラインに記載することが可能となる。

 

(個人別医療費・介護給付費データにいて)

・ モデル事業で入院医療費まで抑えることは難しいであろう。ただし、入院の発生率を抑えることができれば、保健事業の成果といえ、重要なアウトカムとなる。

・ ベースとなる27年度は入院していない者に絞り込み、翌年度は入院が予防できたかを確認する意味で、入院・外来を合算して評価するというやり方はいかがか。

・ 27年度は外来中心の者の数を押さえ、28年度に入院が発生した者と外来のみの者の数の分布をみた上で、医療費の中身を見ていくと良い。

・ 事業メニューと全く関係のない疾病で入院した場合、その入院はアウトカムではない。

・ 特定保健指導の医療費適正化効果の分析でも、がんの医療費は除いた。そのようなことを高齢者でも行ってはいかがか。

・ 各事業メニューの目的によって入院医療費や入院発生率を指標とするか否かが異なる。重症化予防については医療費に影響があると思われるが、低栄養、口腔、服薬(微妙だが)は医療費よりも生活機能が自立しているか、介護給付費の増加や要介護度の悪化を見ることに重点を置いた方が良い。

・ 総額の医療費は色々な状況を含んでいるため、2か年の変化を保健事業の効果であるというのは危険である。全体像を確認したという扱いにしたい。

・ 新規罹患率を見た際、非参加群の罹患率が非常に悪く、ここまでの差が出るかは疑問である。

・ 何に医療費がかかっているのかを見ずに、単に紐付けした参加者の医療費を平均して差を見ただけでは意味がない。

・ 治療群と非治療群を比べた際に、非治療群の新規罹患率が大幅に高いのは、レセプトには疑い病名も含まれることも理由と考えられる。薬剤情報まであると病名に関してより深い分析ができる。

・ 2年間の医療費の変化を見る際、データの取れる者という制約があるため、「効果」という言葉は使わないが、医療費の変化の要因を、(現在の分析に追加して)誤嚥性肺炎や転倒骨折のような高齢者特有の疾患も含めて見ていくべき。

 

(対象者の設定について)

・ 後期高齢者では低栄養の課題が非常に大きいことから、BMI25超への対応は十分に配慮すべきである。過剰体重に対しては地域支援事業の介護予防においても触れてこなかった。BMI25超を加えた後期高齢者に対する食事制限が効果があるという明確なエビデンスはないので、これによって対象者の選定をすることは疑問である。

・ アウトカムをどこに置くかである。肥満で変形性関節症の発症率は増えるかもしれないが、生命予後がいいということになれば、どちらを採用するかという問題。25超という意味がどういう意味かを問わなければならない。

・ ROADスタディでは27.5以上を境にしており、肥満の方が関節的には悪いという結果が出ていた。

・ 18.5など、BMI20以下のところを細分化することでターゲットを絞れるのではないか。

・ BMI18.5が痩せの一つの基準であるが、対象者数がごくわずかになってしまうので、参考値として見ることは構わないが、データの信頼性を確認しなくてはならない。

・ 複合的に全体の状態が衰えていく75歳以上の高齢者に、1つの疾病のみを取り上げて見ていくのは難しい。アウトカムをどこに置くかを確認しないと疾病管理だけに走ってしまう。

・ 歯科関連のメニューは、要介護3以上の方が対象となっていることが多く、訪問歯科健診等を行うと掘り起しになり、医療費が伸びる。その手前で何らかの対応ができればよい。肺炎対策で口腔機能に関するトレーニングを栄養指導と一緒に行うこともあるため、その点についての指標についても考えて欲しい。

 

【平成29年度モデル事業の展開及び平成30年度からの横展開に向けた検討課題について】

(高齢者の保健事業の実施フローについて)

・ 医療機関の受診状況は、単に受診しているかではなく、頻度も見て判断しないといけない。頻回受診の人の方が介入の意義はあるのではないか。また、データ的に悪化傾向にある者に積極的に介入すべき。

・ 治療中の方への保健指導に際し、かかりつけ医が介入を把握していない場合は問題である。市町村とかかりつけ医が協力して実施することが必要である。地域医師会に対して市町村が相談してくれれば協力できる。

・ 国保中央会も、厚労省に後押ししていただきながら、医師会に連携強化をお願いしたところ。

・ モデル事業実施自治体には、資料3の進捗管理シートの試行的活用で医師会等との連携を意識させるようにしている。また、複数医療機関の受診者については、総括的に把握することが難しい。手帳等を通じた情報提供が必要である。

・ 通院中の人に対する介入に加え、受診歴のない人に対する介入も必要である。

・ 医療機関の外来で栄養食事指導を受けている人は、フローでチェックできないのか。指導を既に受けている人は外せるといい。

→ 栄養食事指導以外にも保健指導の対象外とする管理料があり、KDBシステムで外すことを想定している。(事務局)

 

(高齢者の保健事業の対象者について)

・ フレイル対策であれば、低栄養をターゲットとすべきである。介護予防のための基本チェックリストでもBMI18.5Kg/m 体重と6か月間で2~3kgの体重減少を見ている。資料3の※4からもBMI25超は除くべき。

→ モデル事業実施自治体で実際に25超への取組を実施しているので、事例的に紹介することはいかがか。(事務局)

・ 個別の包括的なアセスメントをした上で、関係者で協議をしたうえで体重を落とすことが個別指導として必要というのであればわかる。しかし、一律にスクリーニング指標として入れるのは違う。

・ 学会でもフレイルの定義は厳密にはされていない。フレイルの学術的な定義にこだわるよりも、今回の質問項目から拾い上げてはいかがか。後期高齢者は個別性を尊ぶ必要があるため、フレイルをあまり厳密にとらえなくとも、スクリーニングできるものであれば、質問項目を使って進めていくという形でよい。

・ 元気な人に対して予防するのもよいが、ちょっとむせる等、変だなという人をリストアップでき、保健事業につなげられれば良い。

・ 資料3別添の※4の流れでは、栄養で入って栄養で終わるように見えるが、高齢者の保健事業は高齢者の全体を把握して、必要な人に必要な指導をすることが重要であるため、一直線でないようにすべき。

 

(その他)

・ 高齢者の保健事業はアウトソーシングされることがある。従来の保健事業とは大きく異なるので、実務の専門職に対して研修する必要である。

・ 暫定版のP17に関係者間の連携の記載があるが、広域連合との連携による保健事業の実施が、市町村行政にとって良いことであることを書いてもらえるといい。

・ 暫定版のP18に市町村の庁内連携の記載あるが、地域包括ケアシステムのケア会議の中でも議論される。生活支援だけではなく、病気も含め、重症化予防やフレイル対策を議論するということを表に出してもらった方がケア会議の中で議論しやすくなる。

・ 暫定版のP25の図は、できるだけ健康づくりをしながら、医療・介護を先延ばしできるようにするということで非常に重要であるが、「ひとりひとりの特性にあわせた対応」で止まるのではなく、「QOLの向上」を加えていただきたい。

・ 広域連合が保健事業を広く実施していくためには市町村にお願いせざるを得ない。市町村は財政の面もあるが、マンパワーが不足しており、何らかの支援の仕組みが必要である。大きな都市になるほど、医療・介護・保健の担当が複数の部局にまたがっており、関係部局間の連携を図ることが重要。

 


(了)

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