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2024年1月11日 第128回先進医療会議

○日時

令和6年1月11日(木)16:00~

 

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8F(8階)
(ハイブリッド開催)
 

○出席者


【構成員等】

新井座長 竹内座長代理 北脇構成員 近藤(晴)構成員 近藤(正)構成員 佐藤構成員
滝田構成員 長瀬構成員 比企構成員 
松山構成員 山本構成員 渡辺構成員 茂松技術専門委員

 

【事務局】

医療技術評価推進室長 先進・再生医療開発戦略専門官 医療課長補佐
研究開発政策課長補佐 治験推進室長補佐 先進医療機器審査調整官 他

 

○議題

1 新規技術(1月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
(先-1)(別紙1)(別紙2)(別紙3)
 
2 先進医療技術の科学的評価等について
(先-2)(別紙4)(参考資料1)(参考資料2)
 
3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
(先-3)(別紙5)(告示番号旧43/jRCTs061200016)

4 先進医療Bの試験終了に伴う取り下げについて
(先-4)

5 令和6年度先進医療会議開催予定(案)について
(先-5)

6 その他

 


○議事

16:00開会

 
○新井座長
 それでは、時間となりましたので、ただいまより「先進医療会議」を開催いたします。
 まず初めに、構成員の先生方の出欠状況でございますが、手良向構成員が御欠席です。欠席されます構成員の先生からは委任状の提出があり、議事決定につきましては座長に一任するとされております。その他の先生方は全員出席です。
 また、先進医療技術の科学的評価等に係る審議のため、茂松技術専門委員に御出席いただいております。なお、茂松技術専門委員におかれましては、議題2「先進医療の科学的評価等について」が終了した時点で御退出いただいても構いませんので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認を事務局からよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。画面をオンにできる方は、オンにしていただけますと幸いでございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿に続きまして、「新規技術(1月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)」として先-1の資料がございます。こちらにつきましては、別紙1、別紙2、別紙3がついてございます。
 続きまして、「先進医療技術の科学的評価等について」として、先-2の資料がございます。こちらにつきましては、別紙4、参考資料1、参考資料2がついてございます。
 続きまして、「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」として、先-3の資料がございます。こちらにつきましては、別紙5がついてございます。
 続きまして、「先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて」として、先-4がございます。
 最後に、「令和6年度先進医療会議開催予定(案)について」として、先-5がございます。
 資料につきましては、以上でございます。
 なお、今回の先進医療会議におきましては、現地及びウェブを組み合わせたハイブリッド開催で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者の先生は、会議資料(公開資料)のページ又はタブレット資料(非公開資料)のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 資料等について、よろしいでしょうか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について事務局から報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 竹内構成員より、新規技術の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて、における受理番号161番の技術について御報告がございました。
 竹内構成員におかれましては、検討対象技術について、自施設からの申請であることから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることができません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 ありがとうございます。
 それでは、「新規技術(1月受理分)の先進医療A又はBへの振り分け(案)について」の資料が提出されております。事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、竹内構成員は当該技術に関する検討には加わらないことになりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただくようよろしくお願いいたします。
(竹内構成員退席)
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御退席を確認いたしました。
 それでは、資料について御説明させていただきます。今回、先進医療の新規届出技術について振り分け審議をいただく技術が3件ございます。
 まず、1件目につきまして「先-1」の資料に基づき御説明させていただきます。1件目の技術は、受理番号161番、技術名は「Circulating tumor DNAを指標とした微小遺残腫瘍評価」でございます。適応症につきましては、切除可能な進行食道扁平上皮癌でございます。今回、慶應義塾大学病院から申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 続きまして、技術の概要につきまして御説明させていただきます。「別紙1-1」にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
 まず初めに、先進性のところでございますけれども、外科的切除可能な食道扁平上皮癌に対しては手術に化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療の開発が進んでいる。現在本邦では、標準治療は術後無治療経過観察となっているが、術前化学療法+手術後の術後補助化学療法の上乗せ効果を検証するランダム化比較試験が計画中である。仮に術後補助化学療法の有用性が示された場合には、将来的に術後補助化学療法が標準治療になる可能性がある。しかし、食道癌手術後における術後補助化学療法は栄養状態やQOL低下につながる可能性があることに加え、ニボルマブの薬剤費といった経済的負担も大きい。そこで、術後再発率が低く、術後補助化学療法が不要な患者集団を特定し、術後補助化学療法を回避することが望ましいが、その検査手法は確立されていないとのことでございます。
 次に、その下の概要のところでございますが、本試験の目的は「根治切除可能な食道扁平上皮癌において、Circulating tumor DNA(ctDNA)による微小遺残腫瘍(Minimal residual disease, MRD)検査結果陰性群の無再発生存割合が設定した無再発生存割合の閾値を上回ること」を示すことにより、ctDNAを用いて判定されたMRDの予後予測因子としての有用性をあきらかにすることであるとのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は未承認の医療機器の使用を伴う医療技術となってございます。
 「先-1」にお戻りいただきまして、本技術は資料「先-1」下方の備考欄にございます2の(3)未承認等の医療機器の使用又は医療機器の適応外使用を伴う医療技術であって、検査を目的とするものに該当すると考えられましたため、先進医療Aとして振り分け案を提示させていただきました。
 1件目の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ただいまの御説明について、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問がないようです。ありがとうございました。それでは、受理番号161の技術について、先進医療Aとして振り分けます。
 竹内構成員におかれましては、お戻りいただくようよろしくお願いいたします。
(竹内構成員着席)
○新井座長
 お戻りになられました。
 次に、2件目について事務局から御説明をよろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、2件目につきまして御説明させていただきます。「先-1」の資料にお戻りいただいてもよろしいですか。2件目の技術は、受理番号162番、技術名は「マイクロ波凝固による経皮的前立腺癌病巣標的化焼灼術」でございます。適応症につきましては、限局性前立腺癌でございます。今回、京都府立医科大学附属病院から申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 続きまして、技術の概要につきまして御説明させていただきます。「別紙2-1」にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
 まず初めに、先進性のところでございますけれども、日本発のアブレーション技術であるマイクロ波によるがん組織の凝固作用により、前立腺部分切除を導くことのできるマイクロターゼを、前立腺がん治療の新しい治療選択肢として、その機器の薬事承認の適応外使用として実施するものであり、従来法では未解決課題である「治療関連合併症としての術後腹圧性尿失禁や術後性機能障害を回避すること」で、「癌制御」と「生活の質の維持」の両立が、低侵襲で達成されることが、期待できるとのことでございます。
 次に、ページをおめくりいただきまして、効果のところでございますが、限局性前立腺がん病巣の制御と同時に、周辺臓器機能の温存・尿禁制・性機能の維持が可能な低侵襲治療。超高齢者でも実施可能であり、患者の従来治療で課題であった治療関連合併症も減じることが期待できるとのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は未承認の医療機器の使用を伴う医療技術となってございます。
 「先-1」にお戻りいただきまして、資料「先-1」下方の備考欄の3番目、未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術に該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 2件目の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問等ございますでしょうか。特にないようでございます。
 ありがとうございました。それでは、受理番号162の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。
 続きまして、3件目でございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、3件目につきまして御説明をさせていただきます。「先-1」の資料をご覧下さい。3件目の技術は、受理番号163番、技術名は「自家骨髄単核球移植による血管再生治療」でございます。適応症につきましては、閉塞性動脈硬化症に伴う包括的高度慢性下肢虚血でございます。今回、京都府立医科大学附属病院から申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 続きまして、技術の概要につきまして御説明させていただきます。「別紙3-1」にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
 まず初めに、先進性のところでございますけれども、CLTI、これは包括的高度慢性下肢虚血のことでございますけれども、の治療は、創傷を伴う場合は創傷処置、虚血を解除するための血行再建術、また感染や骨髄炎を伴う場合は抗菌薬投与やデブリードマンを行う。また同時に、疼痛コントロールやリスクのコントロールを行う。これらの治療でも局所感染が制御できない場合や、敗血症に至るリスクが高い症例では、切断が必要になる。血管再生治療とは、自己の骨髄液中から血管内皮に分化しうる未熟な細胞を含んだ単核球細胞分画を取り出して虚血症状のある肢の骨格筋内へ移植することにより、肢に新たな毛細血管を作りだす治療法であるとのことでございます。
 続いて、概要のところでございますが、本試験は多施設共同ランダム化介入試験である。薬物治療や運動療法、血行再建術などの現在保険収載されている標準治療に難治性の包括的高度慢性下肢虚血を対象とし、骨髄単核球細胞を用いた血管再生治療の有効性を評価する。本試験の対象は閉塞性動脈硬化症に伴う包括的高度慢性下肢虚血で、血行再建術や小切断が事前に施行されることが多いため、対照群は標準治療群とし、血管再生治療群との群間で比較を行うとのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は未承認の医薬品、医療機器等の使用を伴わない医療技術となってございます。
 「先-1」にお戻りいただきまして、資料「先-1」下方の備考の4番でございます。医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるものに該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 3件目の説明は以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようです。
 ありがとうございました。それでは、受理番号163の技術については、先進医療Bとして振り分けるようにいたします。ありがとうございました。
 続きまして、「先進医療技術の科学的評価等について」ということで「粒子線治療に対する科学的評価について(案)」について資料が提出されておりますので、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料「先-2」に基づきまして御説明させていただきます。
 ます、「1.背景」の1マル目でございますが、令和5年12月7日に開催された第127回先進医療会議におきまして、診療報酬改定に向けた粒子線治療の科学的評価として、全適応症を対象としたものについては、総合IIbと評価されたところでございます。
 続きまして、2マル目でございますが、事前評価において、従来の治療法との比較による前向き臨床研究の実施が望ましく、エビデンスの精査が必要。一部の適応症について一定の科学的根拠があるが、科学的根拠の乏しいものも存在する等の指摘がなされていることを踏まえまして、適応症毎のエビデンスを、第128回先進医療会議において検討することとしたところでございます。
 なお、前回の会議資料につきましては、参考資料2として付けさせていただいておりますので、併せて御確認いただけますと幸いでございます。
 続きまして、「2.検討にあたり使用するエビデンスについて」のところでございますが、日本放射線腫瘍学会(以下、「学会」という。)より提出がされた「先進医療として実施した粒子線治療と既存の放射線治療との比較」(以下、「報告書」という。)においては、適応症毎に解析結果がまとめられているところでございます。報告書本体につきましては、事前に先生方に送付させていただいておりますが、解析結果の要約といたしまして、適応症ごとに問と回答が作成されておりまして、別添として3ページ目以降に付けさせていただいております。
 続きまして、「3.粒子線治療に対する適応症毎の評価について(案)」の1マル目のところでございますが、今般、学会より提出された報告書の内容を踏まえ、以下のとおり評価し、医療技術評価分科会へ送ることとしてはどうかという提案でございまして、評価を御担当いただいた先生方の御意見を集約して整理させていただいたものでございます。
 まず、マル1、既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示された以下の適応症については、「十分な科学的根拠があるもの」として、評価することとするというものでございます。
 参考資料1「令和6年度診療報酬改定に向けた先進医療の保険導入等及び施設基準の見直しイメージ」の資料を御覧いただければと思いますが、こちらは会議としての評価結果の上段に該当するイメージとなってございます。
 「先-2」にお戻りいただきまして、こちらの区分に該当する具体的な適応症といたしましては、早期肺癌(0期~IIA期)、大腫瘍径の局所進行子宮頸部扁平上皮癌(重粒子線治療のみ検討対象)、婦人科領域悪性黒色腫(重粒子線治療のみ検討対象)となってございまして、いずれも切除不能のものに限られたものとなってございます。
 続きまして、マル2、既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示されず、引き続きエビデンスの集積が望ましいと考えられるその他の適応症については、「一定の科学的根拠があるもの」として評価することとする、というものでございます。
 再び、参考資料1「令和6年度診療報酬改定に向けた先進医療の保険導入等及び施設基準の見直しイメージ」を御覧いただければと思いますが、こちらは会議としての評価結果の中段のところに該当するイメージとなってございます。
 「先-2」、2ページ目にお戻りいただきまして、2マル目、3マル目でございますが、先進医療会議における評価結果を医療技術評価分科会へ送り、審議の結果、保険適用が妥当とされた適応症につきましては、先進医療告示から削除することとしてはどうか。
 また、その他の適応症については、先進医療A又は先進医療Bとして継続することとしつつ、今後の対応方針について改めて議論することとしてはどうか、とさせていただいております。
 また、別紙4とさせていただいている資料につきましては、「先進医療Aとして実施した粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)の最近1年間の実施状況」として、毎年学会より御提出いただいているものでございまして、1年間の実施件数等の記載がなされてございますので、併せて御確認いただければと存じます。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問等ございますでしょうか。
 長瀬先生、よろしくお願いいたします。
○長瀬構成員
 早期肺癌についての質問といいますか、解釈についてなのですが、頂いた資料に「早期肺癌(0期からIIA期)」と書かれているのですけれども、資料の3ページのデータを見ますと、IIAに関しては5年生存割合が粒子線のほうが38.8%、外科が60.2%と、どう見ても粒子線の優越性があると思えないデータが出ていますね。実際、生存するカーブを見てもそうなのですけれども、このデータを見るに、IBまでがあまり変わらないというのは分かるのですけれども、IIAを入れることに関しては、かなり疑問を感じるところなのですが。これはIIAは含めないとしたほうがよいのではないかという考えを持ちますが、いかがでしょうか。
○新井座長
 この点について、今日御参加いただいております茂松先生から御意見をいただくということでよろしいですか。
○茂松技術専門委員
 慶應の茂松でございます。
 これに関しては、いろいろな議論があると思うのですけれども、これまで肺癌に関しては、ランダマイズトライアルが全く行われていないというところがあると思っていて、放射線治療に関しては、手術できない人に放射線治療をやっているというのが現状だと思っているのですけれども、それでは勝負ができないと思っていて、手術ができない人に関してはIIA期までは認めていただければと思っているのですけれども、長瀬先生、いかがでしょうか。
○新井座長
 長瀬先生、いかがでしょうか。
○長瀬構成員
 この文面をよく読みますと、既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示されていると書いてあるのですね。この文面を解釈しますと、少なくとも、この文面をそのまま出すのはいかがかと思います。既存治療(X線治療等)、その後に外科治療を除くとか。それを入れたとして、十分な科学的根拠があるということですけれども、実際、比べる相手がどうかというと、全く無治療群、手術を何も受けなかった群と粒子線との比較ということになるのでしょうけれども、現実的にはそのデータは無理ですね。IIAの5年生存38.8%をどう解釈するかということかと思うのですが。
○茂松技術専門委員
 先生、おっしゃるとおりだと思います。この放射線治療の治療成績は、外科治療とは決して比較できないというか、問題だと思うのですけれども、外科治療がないときに一体何を選ぶのかというときに、放射線治療、特に粒子線治療をほかのIA、IB期辺りと同じように考えて、リンパ節転移があるかどうかというのは大きな問題になると思うのですけれども、その辺を考えていただければと思います。
○長瀬構成員
 なるほど。
○新井座長
 この点について近藤晴彦先生、何か御意見ございますでしょうか。
○近藤(晴)構成員
 近藤でございます。
 肺癌の病期分類というものが時期を経て結構変わっておりまして、この比較しているのはTNMの第8版を用いているのだろうと思うのですが。
○茂松技術専門委員
 そのとおりです。
○近藤(晴)構成員
 サイズが大きくて手術ができないものというのは、ほかの治療としては、普通は放射線治療になりますので、そこの選択肢としてはSRTか粒子線かということになります。この両者の比較試験がないのが非常に大きな問題であるとは思うのですが、局所制御効果が、少なくともSRTと比べて悪くはないことを考えますと、ここは病期IIAについては含めてもいいのではないかと私は考えます。
○長瀬構成員
 分かりました。外科の先生がそうおっしゃるのであれば。ただ、できるだけ手術を勧めるべきですね。
○茂松技術専門委員
 エビデンス的には外科だと思うのですけれども、外科治療ができないときにSRT/SBRTを出せるかどうかというのを放射線治療医としては考えている。
○長瀬構成員
 分かりました。了解です。
○近藤(晴)構成員
 続けてよろしいでしょうか。
○新井座長
 よろしくお願いします。
○近藤(晴)構成員
 もう一つ、今の箇所についてなのですが、ごく早期の0期が含まれて書かれているわけでございますが、0期の肺癌というのは、多くの場合、肺胞上皮の上皮内腺癌であります。それは大抵2cm以下の、CTですりガラス陰影を呈するものでありまして、そういうものは手術するとほぼ100%治ります。そういう状況ですが、実は取ってみると、まだ腫瘍になっていない前癌病変、AAH、異型腺腫様過形成と申しますが、そういうものであることもございます。
 そういうことも踏まえて、今、JCOG肺癌の外科グループでは、JCOG1906というスタディーで、そのまま自然経過を診てもいいのではないか、どのタイミングで介入するべきか、しなくてもいいのかもしれないということを検証しようというスタディーが動いているのが現状であります。ですから、そういう臨床病期0期のものに放射線治療介入するというのは、合併症がゼロではないということも考えますと、あまり適切ではないのではないかと考えます。事前に肺癌であるという確定診断がついていて、放置すると進行するであろうということが見込まれれば、もちろん治療介入というのはあるのですけれども、それを診断するのは非常に難しい状況であります。
 今、申しましたように、外科の場合は全部切除しますので、どちらであったかという確定診断がつきますが、手術以外でこのような病変の確定診断を臨床的につけるのは難しいです。気管支鏡ではほとんど到達することができません。それから、異型が非常に弱いので、生検しても病理学的にも確定診断が難しいものであります。ですから、そのことを踏まえますと、0期というのは適応から外したほうがよろしいのではないかと思います。
○新井座長
 茂松先生、いかがでしょうか。
○茂松技術専門委員
 茂松でございます。
 期に関しては、(音声切れ)ましたけども、癌を放っておいていいのかという患者さんの、治療してくれ、このまま経過を診てくれという人よりも、治療をやってくれという人のほうが多いと。それで、手術をやるべきかどうかというのはまだ分からないというのが正直なところだと思うのですけれども、手術以外の治療法がないのかというセカンドオピニオンを多く私も受けていて、明らかに癌が出ていたら放射線治療も1つの選択肢として挙げていいのではないかと。患者さんが納得されれば、経過観察というのは十分あり得ると思っております。
○新井座長
 座長からお尋ねしたいのですけれども、先生は今、明らかに癌であればとお話しされたのですけれども、私は全く門外漢ですがお尋ねします。近藤先生のお話によると、すりガラス状の画像を呈していてバイオプシーもなかなか難しいということになると、癌であることの確証がなく、この場合は経過観察になるのではないでしょうか。
○茂松技術専門委員
 癌かどうか分からないのであれば経過観察でいいと思うのですけれども、癌が非常に疑わしいというときに、患者さんからどうにかしてくれというようなセカンドオピニオンを受けることが多い。
○新井座長
 この点、近藤先生いかがでしょうか。
○近藤(晴)構成員
 私の個人的経験を申して、ちょっと恐縮ですが、このような1cm内外のすりガラス陰影の方に対して、30年ぐらい前には見つかったものは全部取っていた時期もありますが、先ほど申しましたように、早期の肺癌のこともございますが、AAH、前癌病変であるということも結構しばしばありました。ですから、今、外科の立場としては、そういう病変に対しては経過を診て、大きくなる、あるいは濃度が濃くなって浸潤傾向がみられる、そういう傾向が出たら手術を勧めるというのが一般的になっております。もちろん、癌の疑いがあると患者さんにお話ししたら、それでは手術で決着つけてほしいという方がいらっしゃることも事実ですが、それはあくまで診断的な意義が大きいということもあります。
 ですから、この段階で放射線治療が入るというのはいかがなものかなと思います。患者さんによく説明した上で、経過を診て、明らかに癌がより怪しくなっているという段階で介入しても、ほとんど治りますので、そういうスタンスのほうがよろしいのではないかなと思っております。
○茂松技術専門委員
 先生のおっしゃるとおりで、放射線治療をやってしまうと、癌かどうかは全く分からないで終わってしまいますから、外科的治療が本来やるべき治療だと私は思っておりますけれども、患者さんが、癌なのか何なのか分からなくて、何か治療をやってほしいというセカンドオピニオンを多く受けていることはたしかなので、そこはどうしたらいいのかなというのが私の疑問。
○新井座長
 この点について、私のほうから振ってしまって恐縮なのですけれども、国立がん研究センターの山本先生、何か御意見はございますでしょうか。特にコメントのようなものをいただけると幸いです。
○山本構成員
 エビデンスの考え方は、先ほど近藤先生が、私も教えを受けた者でありますが、特に追加のものはありません。
 あとは、このデータが出てくる上での構築に関しては、一定の疑問はありますが、それは今の議論の対象ではないので、この場で直接的なコメントはありません。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、長瀬先生、今の0期の問題について何かコメントいただけますでしょうか。
○長瀬構成員
 内科の立場としては、内科医の考え方でしょうけれども、癌が病理学的に証明されないと、放射線を当てることもちょっといかがなものかと思うのですね。ある意味で賭けてしまうことになるし、患者さんが納得すると言ったって、後でそうじゃなかったと言われたときに全く抗弁できないわけですね。科学的な考え方からすれば、病理で診断をつけて、それから次の治療を行うというのが筋であって、それから考えると、0期というのは取るべきでしょうし、少なくとも癌細胞が出るまでは頑張ってやるべきだと。頑張るというのは、気管支鏡をやるなり、内科としてはそういうふうに見ます。何とはなしに当ててしまうというのは、あまりそういうことは考えたくないですね。
 以上です。
○新井座長
 分かりました。
 ほかは何かこの問題について御意見は。
 比企先生、先ほどから挙手をされていますがご意見ください。
○比企構成員
 すみません、この件ではなくて、ほかの件なので。
○新井座長
 分かりました。では、後ほどまた御意見いただくということで、まずは、この早期肺癌について、ほかに何か御意見はございますでしょうか。茂松先生、どうぞ。
○茂松技術専門委員
 肺癌と言われたら、患者さんは治療してほしいと必ず言ってくると思うのですけれども、本当に肺癌かどうか分かるまで待ちましょうというふうに、セカンドオピニオンで来ると私からはなかなか言えないというのが正直なところで、エビデンスから言えばそれが正しいと思うのですけれども、最近の放射線治療は非常に副作用を少なくできるのです。ただ、癌かどうかは最終的には分からないというところが最大の欠点だと思っていますので、その辺を考え(音声切れ)。
○新井座長
 近藤先生、よろしくお願いします。
○近藤(晴)構成員
 現時点での日本肺癌学会のガイドラインにおきましても、1期以上は治療するということが書かれておりますが、治療方針のところに0期というのは含まれておりません。0期の肺癌についてどうすればいいのかということについては、外科サイドとしては、先ほど申しましたように、経過観察して、明らかに癌が怪しいという状況になったら外科的介入をしましょう。そういう形で、その時点では、まだ癌の確定診断はついていないわけですけれども、癌である蓋然性が非常に高くなっている。そういう状況であれば、治療・介入していいだろうと考えられます。
 なので、今、申しましたように、癌がより怪しいと考えられる蓋然性、進行して動きがある癌であるということがはっきりした段階で、治療・介入するというのが今の時点では正しいスタンスではなかろうかと思っております。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ほかは何かありますでしょうか。
 そうすると、今の議論を踏まえますと、0期の定義がなかなか理解しづらい部分がございますけれども、今回に関しては、「早期肺癌(0期~IIA期)」から0期を外したほうがよいのではないかという印象を持ちます。茂松先生によれば患者さんが治療してくれと言ったときはどうするのだということになろうかと思いますが、医療側としてはサイエンスに基づき説明するというのが多分必要なのではないかと思いますけれども、近藤先生、何かございますか。
○近藤(晴)構成員
 もう一つ申しますと、先ほどのようなCTで発見されるすりガラス結節というものにつきましては、経過を診ると消えてしまうものがございます。それは、恐らくウイルス性の感染だったのだろうと思われるのですが、そういうものに確定診断をつけないで、手術してみると何もないということになってしまうわけでございますので、そういうことも踏まえますと、今、申しましたように、経過を診て、明らかに癌である蓋然性がより高くなった段階での介入というのがよいのではないかと考えます。
○新井座長
 今、私から近藤先生にお聞きするのですけれども、0期として初めすりガラス状の陰影がありましたと、これが今、おっしゃられたように、癌としての蓋然性が極めて高いと判断するのは、画像上の増大傾向とか、そこの中にノジュールができるとか、そういうことだと思うのですけれども、その段階でもまだ0期ということになるのでしょうか。
○近藤(晴)構成員
 大きくなってくれば、取ってみると範囲が拡大した上皮内癌であるという形で0期になるかと思います。
 それから、肺癌の場合、肺胞の含気がございますので、それは肺胞が虚脱してちょっと濃くなるときがあります。そういうときは、虚脱して濃くなっているのか、癌が浸潤して濃い結節になっているのか分からないときがあります。この後者の場合はIA1という一番早期の段階になりますが、それでもほとんどの場合、治癒いたしますし、実際、そういう段階で取ってみても、肺が単に虚脱しているだけで0期ということもございます。ですから、その段階で手術が手遅れになるということはほとんどございません。
○新井座長
 分かりました。
 ほか、よろしいでしょうか。
○茂松技術専門委員
 私も全く問題ないと思うのですけれども、そのほかの病理学的なものとかPETとか腫瘍マーカーとか、いろいろなことがあると思うので、その辺も考慮していただいてやっていただければと思っておりますけれどもね。
○新井座長
 分かりました。今、茂松先生が御指摘された点は非常に重要なポイントだと思います。0期については、その中で本当に癌と言えるものが何なのかということを、少し先進医療を継続するなりしていろいろな形でスタディーしていただき、エビデンスを提示するという作業が必要であろうかと思います。したがって、今回に関しましては「早期肺癌(0期~IIA期)」という事務局からの御提案でございましたけれども、この0期を除くということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 では、茂松先生、若干御不満の点もあろうかと思いますが、そういった形でさせていただきたいと思います。
 今、比企先生からも手が挙がっておりました。あと、先ほど茂松先生からも食道癌について何か御発言がございましたけれども、いかがいたしましょう。まず、比企先生からお話いただくことでよろしいでしょうか。
○比企構成員
 茂松先生、よろしいでしょうか。お先に。申し訳ないです。
○新井座長
 よろしくお願いします。
○比企構成員
 では、私のほうから食道癌について、私なりの私見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。このエビデンスという形なのですけれども、エビデンスと言っても、前向き試験ではないし、バックグラウンドもかなり違っているということもあるのですけれども、基本、全生存率が対象となっていると思うのですけれども、学会のほうから、有害事象というところに、特に放射線性の心肺毒性ですね。私は肺毒性のほうだと思っているのですけれども、放射線性肺炎のことに関して、かなり低減効果が得られるのではないかということを示されております。
 実際問題、ほかの対象の腹部の臓器、もしくは骨盤内の臓器とはかなり違って、肺と食道、先ほど御発言ありましたように、放射線性の障害は少なくなったとはいえ、私の患者さんなんかでも、かなり放射線性肺炎に悩まされている方々、現在でも結構いますし、そういった意味では決して無視はできない。非常に重要なQOL、もしくは将来的な多病死といった意味でも、そういった防ぐべき有害事象なのかなと思いまして、全生存率のみならず、有害事象というものも非常に重要だと私は考えます。
 そして、現状、先進医療をそのまま継続するというわけではなくて、例えば先進医療Bとして臨床試験を別に組んでいただいて、RCTができないということであれば、単群でもいので、前向きな検討をしていただいて、以前のヒストリカルコントロールでもいいので、プロペンシティ、かなり厳しく背景を打ち消して、そろえて比較するといった試験もありなのかなと考えております。まとめますと、全生存率のみで切ってしまうのではなくて、有害事象の部分を再評価する必要というのも出てくるのかなと思いまして、発言させていただきました。もちろん、RCTを組んでいただくのが一番いいと思うのですけれども、今までの歴史的な経緯を見ますと、それは非常に難しそうでありますので、せめて単群でも前向き試験ができないのかなということが私の意見でございます。
 以上です。ありがとうございました。
○新井座長
 ありがとうございました。
 私のほうから確認させていただきたいのですけれども、今回、放射線腫瘍学会から「先進医療として実施した粒子線治療と既存の放射線治療との比較」ということで資料が出されております。その中では、従来の放射線治療に比べて粒子線治療では有害事象が少なかったという記載がございますけれども、これは比較の対象の問題などがあり、必ずしもまだ十分なエビデンスではないという理解でよろしいのでしょうか、比企先生。
○比企構成員
 基本、全生存率をプライマリーエンドポイントに持ってきてあるものですから、さらにプロペンシティなんかでかなり背景を打ち消して、しっかりとそろえる必要性というのは、少なくともあるのではないかと思いますので、前向きである程度の観察期間をもって比較していただくと、エビデンスとしても十分、保険で認められる方向に行くのではないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○新井座長
 承知しました。有害事象にフォーカスした、しっかりとした前向きスタディーを組む必要があるという御趣旨と理解してよろしいでしょうか。
○比企構成員
 そのとおりでございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、茂松先生、よろしいでしょうか。
○茂松技術専門委員
 ありがとうございます。
 これに関しては、もちろんこれからそういう手段をつくっていくことが重要だと思うのですけれども、どう考えても重粒子線の線量分布と、今までやってきたX線治療の線量分布では、肺にかかる線量と心臓にかかる線量は圧倒的に違うのですね。それで、それが圧倒的に違って、心肺毒性が明らかに軽減できるということは、「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー」、2010年に発表されていますし、アメリカでも有害事象に差があることは判明しているとされていると思っています。
 我々も食道癌のX線治療を長くやってきましたけれども、心臓毒性に関して亡くなった方が非常にいっぱいいるんですね。心膜炎、その他で亡くなって、再発だと言われて解剖したところ、再発はなくて心膜炎だったという方が何例もいるので、それは私も論文化しておりますけれども、そういうことを考えると、JAMAの2023年のOS、PFSプレスでは、有意に粒子線治療のほうが有用性が明らかに示されているということを考えると、食道癌に関しては、肺毒性、心毒性だけではなくて、今後のOS、PFSを進んでいけるのではないかと。
 ここもなかなかランダマイズドトライアルができていないところなので、難しいところがあるかと思いますけれども、その辺を認めていただければと、今回、保険収載を進めていただければと思いますし、食道癌の国民の方々の利益になっていくのではないかと思っております。
○新井座長
 ありがとうございました。
 この点について、国立がん研究センターの山本先生、何か御意見ございますでしょうか。
○山本構成員
 ありがとうございます。
 本来は、いかなる新しい治療も、既存の治療との比較、効果に優れている、副作用に優れている何かしらのアドバンテージがあって、それでエビデンスが構築されて、次なる治療が積み上げられてきている歴史を考えますと、そういうものをできる限り考えるべきだというのは、多分、どの領域でもあるのではないかと思うのですが、それが難しい状況が仮にあるとしたら、その中でどうやって社会実装に落とし込むかというのが非常に議論になるのではないかと私は考えています。これで例えば社会実装、すなわち保険適用とかに進んだときに、これの影響が相当あるのではないかと、あくまで個人的な意見ですけれども、あるのではないかなと思っています。
 すなわち、新しいお薬が例えば承認されたり、新しい治療技術が承認されるときに、ゼロベースのところから出てくる場合は例外かもしれませんが、既存の治療に対して何かアドバンテージがないと、新しいものは成立していかないと理解していますし、そのように教えられてきましたから、それができない場合は、できないなりの一定の解釈なり、一定のエビデンスがどこにあるかということを確認していくのが必要かなと思ったのですけれどもね。
 先ほど粒子線とかについては、多分これまでの長い歴史が拝見してあるのでしょうけれども、今から比較試験をやるのはちょっと大変なのかなという印象は、資料を拝見して思ったところですが、かといって、今から難しいのかなという印象は持っておりますが、その中でどういう落としどころを我々が意見する、または提案すればいいかというのは非常に疑問が残るところでございます。
 私からは以上です。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、東京大学の松山先生、何か御意見を賜れますでしょうか。
○松山構成員
 ありがとうございます。東京大学の松山です。
 個別の癌種に関して意見するということではないですし、また疾患レジストリに関して意義を否定するわけでも何でもないのですけれども、保険導入のことを考えますと、それなりに質の高いエビデンスに基づいて判断していくということが非常に大事になってくると思うのですが、エビデンスのレベルで言いますと、比較試験、RCTに基づいたものが一番いいと思います。ただ、今回の場合にはRCTができない、あるいはやってこなかった、どちらか分かりませんけれども、その理由が私はよく分からないのが1つです。
 今からやるのは大変なのかもしれませんけれども、例えば保険収載された場合には、その後に保険診療下で前向きにしっかりしたエビデンスを検証的なRCT比較試験をするということをお考えになられるとか、何らかの先を考えられた上での判断のほうが私はいいのではないかなと思います。
 以上です。
○新井座長
 松山先生、ありがとうございました。
 先ほど比企先生から御指摘があった、もう一度、心肺合併症に関してフォーカスを絞った前向きなスタディーをしっかりと実施し、それによりエビデンスがしっかり出た後に保険収載を議論するという考えはいかがでしょうか。
○茂松技術専門委員
 茂松ですけれども、よろしいでしょうか。
○新井座長
 すみません、ちょっと待っていただいて宜しいでしょうか。松山先生の御意見をいただいてからお願いします。
○松山構成員
 そういうように、サブスタディーといいますか、補助的な研究をして前向きのエビデンスを出してというのが非常にいいと私は考えます。
○新井座長
 ありがとうございます。
 茂松先生、よろしくお願いします。
○茂松技術専門委員
 RCTに関しては、これまで手術がいいのか、放射線治療+ケモセラピーがいいのかというのは、RCTはなかなか成立しなかったのですけれども、ほぼ同じ治療成績が出ていると思っているというか、間違いなくそういう結果が出ていると。それで、ケモラジエーションがいいのか、重粒子線治療がいいのかというと、重粒子線のほうが圧倒的に生命力はいい。ですから、これを今から5年間待ってやっていくよりは、新しい治療法として食道癌は重粒子線治療を認めていただければというのが私の意見ですけれども、いかがでしょうか。
○新井座長
 もう一度、比企先生に御意見をいただいてよろしいでしょうか。
○比企構成員
 私も茂松先生がおっしゃる意味は非常によく分かるのですけれども、私も山本先生がおっしゃられたように理解しておりまして、保険を通すならば、何らかの国産というか、本邦におけるエビデンスというか、本邦における理由をつくってあげないといけないような気がしまして、それで、その落としどころはどこかなとずっと考えていたのですけれども、それが5年とは言わずに、一番短くRCTまで負荷をかけずにやれる方法はと思って、単群の観察研究をコホートするのがいいのかなと思って、よさがあるがゆえ、全生存率にこだわらずに、そちらにフォーカスを置いたスタディーをということで発言いたしました。
 山本先生と全く同感でございまして、コホートなくして、これを保険収載とすると、ほかの技術も保険収載になるものがたくさん出てくるのではないかなと思いまして、そこをちょっと懸念いたします。
 以上です。
○新井座長
 この点について事務局は特に御意見はないですね。分かりました。
 ほかに何か委員の先生方から御意見ございますでしょうか。
 そういたしますと、この食道癌につきましては、今、比企先生のお話がございましたように、合併症にフォーカスを絞ったスタディーを、なるべく早めに結果が出るような形でデザインしていただいて、次回の議論の場にその結果が出るような形にするのが望ましいように思いますが、いかがでしょうか。
○茂松技術専門委員
 間違いなく合併症は減っていますし、治療成績は大丈夫だと思いますので、1年以内に認めていただければと思います。
○新井座長
 茂松先生、ありがとうございました。
○比企構成員
 すみません、比企ですが、追加でよろしいですか。
○新井座長
 よろしくお願いします。
○比企構成員
 茂松先生、おっしゃられるように、間違いなく有意差を持って合併症が減るということであれば、そんなに症例数もすごく要らないということにつながると思うので、そういった意味で症例数検査とかも結構少なくて済むので、そんなに長くかからないのではないかなと思いますので、ぜひそれがいいのかなと思って拝聴しておりました。ありがとうございます。
○茂松技術専門委員
 ありがとうございます。半年ぐらいでやりたいと思います。
○新井座長
 事務局、よろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。御議論いただき、ありがとうございます。
 御案内と申しますか、事務局から補足を申し上げますと、今回は議事の取りまとめをこのようにお願いしているところでございまして、今回出た御意見につきましては、別途また事務局から放射線腫瘍学会のほうにお伝えさせていただこうと思いますので、あくまで決議いただく内容としましては、先-2の案のところがそれでよいかというところについて御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○新井座長
 そういたしますと、整理いたしますが、先-2の資料のマル1の早期肺癌は、先ほどの議論がございましたように、0期は除くということ、それから、大腫瘍径の局所進行子宮頸部扁平上皮癌(重粒子線治療のみ検討対象)、婦人科系領域悪性黒色種(重粒子線治療のみ検討対象)はお認めいただくということ、食道癌については、早急に只今の議論に基づいて前向きのスタディーをデザインしていただくということでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 それでは、活発な御議論、どうもありがとうございました。今、申し上げた内容で決定したいと思います。改めて異議はございませんでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 よろしいですね。それでは、そのようにさせていただきます。本日の議論の検討結果につきましては、後日、医療技術評価分科会に報告し、保険導入の可否について検討していただくことになります。
 それでは、御参加いただきました茂松技術専門委員におかれましては、御退席いただいて差し支えございませんので、よろしくお願いいたします。活発な御意見、御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
(茂松技術専門委員退席)
○新井座長
 それでは、次に移ります。「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」ということで資料が提出されております。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料「先-3」に基づいて御説明させていただきたいと思います。今回、旧告示番号43番として実施されておりました「内視鏡的エタノール局所注入療法」につきまして岡山大学病院から総括報告書の提出がございました。なお、本議題につきましては、既に先進医療技術審査部会で取り上げられたものでございます。
 まず、技術の概要でございますけれども、こちらは膵神経内分泌腫瘍(長径が1.5cm以下のものに限る。)が適応症となっておりました。
 医療技術の概要のところでございますが、膵神経内分泌腫瘍(PNEN)はWHO分類により、核分裂像とKi indexに応じてGradeが分類されまして、それぞれ予後や治療内容が異なる。治療の基本は外科的な切除でありまして、悪性度の高いものや腫瘍サイズが大きい病変に対しては定型的膵切除術が標準治療法となる。しかしながら、腫瘍サイズが2cm以内かつ悪性度が低い腫瘍(G1)の治療法は議論が分かれており、手術治療に関しては術後の膵機能に配慮した適切な術式選択が必要とされている。
 近年、局所切除術の適応となる2cm以内のPNENに対して、超音波内視鏡(EUS)ガイド下に腫瘍を穿刺し、エタノールを注入することで腫瘍を凝固壊死させる注入療法が施行されてきている。EUSガイド下エタノール注入療法は、PNENに対する低侵襲治療として患者のQOLに大きく貢献でき、さらに膵機能を温存することで晩期の糖尿病発生を回避できる可能性が期待されている。
 本先進医療では、腫瘍サイズ15mm以下かつ組織学的Grade 1のPNENに対するEUSガイド下エタノール注入療法の有効性及び安全性を証明することを目的とするとなってございました。
 2ページ目に、有効性及び安全性に関する評価結果の詳細がございますが、説明は割愛させていただきまして、2ページ目、下方の結論のところでございますが、本治療の複合エンドポイントの達成割合は76%で外科的治療成績の48%と比較して、統計的に有意に高かった。また、腫瘍サイズによらず本治療の達成割合は外科的治療成績より高く、10-15mmにおいては本治療の統計的有意性が有意水準:両側10%のもとで認められた。有効性の評価については1、6か月後の腫瘍完全焼灼割合が88%と外科的治療成績の100%には及ばなかった。安全性については膵炎を20%に認めたが、1か月後の介入治療を要する膵液漏は外科的治療成績の35%に対して0%、6か月時点の糖尿病の増悪・発症割合は外科的治療成績の13%に対して12%、1か月以内の重篤な疾病発症割合は外科的治療成績の35%に対して4%であった。複合エンドポイントで有意差がついたことからも、安全性の面では手術より優れると判断される。
 以上より、15mmまでのG1非機能性PNENの低侵襲治療として、超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法は手術と同等もしくはそれ以上の治療成績が得られるものであり、治療選択肢の一つになりうると考えるとのことでございます。
 次に、先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果の(2)議事概要及び検討結果のところでございますが、1マル目、有効性評価と安全性評価を加味した複合エンドポイントでは、本技術がヒストリカルコントロールの外科的手術よりも優れていたことから、従来の技術を用いるよりもやや有効と判断した。
 2マル目、本技術に適した症例選択など、将来の薬事承認申請に向けた検討資料として、有用な情報になりうると考えるとのことでございます。
 続きまして、御担当者の評価について御説明のほうをさせていただきます。別紙5の5ページ目を御覧いただければと思います。
 主担当の竹内構成員からの御評価でございますけれども、有効性に関しましては「B.従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」。安全性に関しましては「B.あまり問題なし」。技術的成熟度に関しましては「B.当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」。総合的なコメント欄のところでございますが、「有効性評価と安全性評価を加味した複合エンドポイントでは、本技術がヒストリカルコントロールの外科的手術よりも優れていたことから、従来の技術を用いるよりもやや有効と判断した」。
 続きまして、副担当の山本構成員の御評価でございます。
 有効性に関しましては「B.従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」。安全性に関しましては「あまり問題なし」。技術的成熟度に関しましては「D.その他」。
 続きまして、技術専門委員の伊佐山委員からの御評価でございますが、有効性に関しましては「A.従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」。安全性に関しましては「B.あまり問題なし」。技術的成熟度に関しましては「A.当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」となっておりました。
 事務局からの説明は以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問等ございますでしょうか。
 比企先生。
○比企構成員
 ありがとうございます。
 この手の外科治療と内科治療を比べるときの一番重要なポイントだと思っているのですけれども、実際問題、これは膵液漏みたいな、いわゆる重篤な合併症がかなり減っているので、この時点では早期の術後成績といった点においては非常に有効な治療方法で、期待できるなというのはよく分かるのですけれども、完全切除率、いわゆるR0切除率と我々、言っていますけれども、これが外科の100%に対して88%であると。これは良性の腫瘍だったらいいのですけれども、悪性の腫瘍でこの後の12%がどうなるかというところが非常に問題だと思っております。
 将来的にこの治療をどういうふうに適応していくかということが話し合われていたと思うのですけれども、リスクの高い人で本当に膵液漏とか合併症を起こすと命に関わるという人に関しては、いい治療方法かなと思うのですけれども、そうやって限定した適応が将来的には必要になるのではないかと、コメントだけでございますが。
○新井座長
 ありがとうございました。大変貴重なコメントをいただきました。
 ほかに何か御意見ございますでしょうか。
 よろしくお願いします。
○竹内構成員
 竹内でございます。
 今の比企先生からの完全切除率がやや低いのではないかとのコメントと同様でございますが、この評価のときに技術専門委員の伊佐山委員から大変貴重なコメントがありました。伊佐山先生はこの領域の御専門でございまして、従来の医療技術を用いるよりも大幅に有効であるというコメントをいただいております。その理由は、このPNENのGrade 1というのは悪性度が極めて低いということで、ほとんど経過を追っているだけでも良いような悪性度だということを踏まえて、こういう症例に果たして手術をするのかということを考えると、今回の技術は大変有用であろうという専門的なコメントを頂戴しております。それを踏まえて、今回の総括報告書の評価表になったと御理解いただければと思います。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。それでは、この件については、これで閉じさせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、事務局から「先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて」の資料が提出されておりますので、御説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 現在申請中の先進医療Bの技術に関する取り下げの申請が2件ございましたので、資料「先-4」に基づきまして説明させていただければと存じます。こちらにつきましては、既に先進医療技術審査部会にて取り上げさせていただいているものでございます。
 1件目が、告示番号49番「人工内耳植込術」でございますけれども、取り下げ理由のところでございますが、予定されていた期間より早期にすべての研究対象者について規定している観察が完了したため取り下げる。総括報告書を後日提出するとのことでございます。
 2件目が、告示番号59番「ベバシズマブ局所注入療法」でございますけれども、こちら取り下げ理由のところでございますが、本技術が先進医療合同会議にて承認された際、「アフリベルセプトが薬事承認された場合、現在の試験計画のまま変更無しで新規患者の登録を継続して良いか否かの検討を効果・安全性評価委員会で確認する設定とすること」が附帯条件とされた。
 この度、アフリベルセプトが未熟児網膜症の適応追加承認を取得し、保険診療下で使用可能となったことを受け、試験の継続適否につき独立データモニタリング委員会で審議が行われたところ、試験中止の判断となったため、先進医療を取り下げる。
 なお、総括報告書を後日提出するとのことでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に何か御質問等ございますでしょうか。
 特にないようでございます。ありがとうございました。
 次に、事務局から「令和6年度先進医療会議開催予定(案)」についての資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 「先-5」を御覧いただければと思います。令和6年度の先進医療会議の日程(案)をお示ししてございます。構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところとは存じ上げますが、日程の調整のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○新井座長
 よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。特に御質問等ございませんでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題の残りは「その他」となっております。事務局からよろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局からは補足説明などはございません。
○新井座長
 構成員の先生方から何かございますでしょうか。特にないようでございます。
 それでは、本日の議論は以上としたいと思います。
 次回の開催について、事務局から御説明をよろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和6年2月8日木曜日の16時からを予定しております。場所につきましては、別途御連絡させていただきます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、第128回「先進医療会議」はこれをもって終了といたします。御協力ありがとうございました。
 

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