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2023年9月7日 先進医療会議・先進医療合同会議(第124回先進医療会議、第152回先進医療技術審査部会)

 


〇先進医療合同会議(第124回先進医療会議、第152回先進医療技術審査部会)
 


○日時

令和5年9月7日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者


【構成員等】

新井座長 竹内座長代理 北脇構成員 近藤(晴)構成員 近藤(正)構成員 
佐藤構成員 滝田構成員 手良向構成員 長瀬構成員 比企構成員 
松山構成員 山本構成員 渡辺構成員 坂井構成員 平川構成員 掛江構成員 
遠藤技術専門委員 後藤田技術専門委員 


【事務局】

医療技術評価推進室長 先進・再生医療開発戦略専門官 医療課長補佐 
研究開発政策課長 研究開発政策課長補佐 治験推進室長補佐 他
 

○議題

1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
 (先-1)(別紙1)


 

○議事

         先進医療合同会議
         16:00開会

 


○新井座長
 それでは、ただいまより、認定臨床研究審査委員会で承認されました先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について、「先進医療合同会議」を開催したいと思います。
 構成員の先生方の出欠状況ですが、比企構成員は少し遅れるとのことでございますが、それ以外は全員御出席でございます。
 また、先進医療技術審査部会から、坂井構成員、平川構成員、掛江構成員に御出席いただいております。
 さらに、先進医療Bに係る新規技術の科学的評価に係る審議のため、遠藤技術専門委員に御出席いただいております。
 さらに、消化器内科が御専門の後藤田技術専門委員にも御出席いただいております。
 次に、事務局の異動がございましたので、事務局から御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官 
 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、9月1日付で、事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 須田俊孝審議官でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長 
 ありがとうございました。
 続きまして、事務局から連絡がございます。よろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官 
 事務局でございます。弊省の組織再編に伴いまして、「医薬・生活衛生局」の名称が、9月1日付で、「医薬局」に局の名称が変更となりましたので、御報告いたします。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿と続きまして、「先-1」「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価等について」としている1枚の紙の資料がございます。こちらについては(別紙1)がついてございます。
 資料につきましては、以上でございます。
 なお、今回の先進医療合同会議におきましてはWeb上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。
 申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は、会議資料(公開資料)のページまたはタブレット資料(非公開資料)のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 資料等についてはよろしいでしょうか。
 よろしいですね。ありがとうございました。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について、事務局から御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告申し上げます。
 佐藤構成員、比企構成員及び後藤田技術専門委員より、先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について、における整理番号170の技術について報告がございました。
 佐藤構成員及び比企構成員におかれましては、検討対象技術について、自施設からの申請であることから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることができません。
 後藤田技術専門委員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございますが、議事の取りまとめ及び事前評価には参加することができません。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 出席されている構成員におかれましては、その他利益相反はないということでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 ありがとうございます。
 次に、事務局から「先進医療Bに係る新規技術の科学的評価について」の資料が提出されておりますので、御説明をよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、佐藤構成員及び比企構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますようよろしくお願いいたします。
(佐藤構成員、比企構成員 退席)
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御退席いただけましたので、進めさせていただきます。
 それでは、「先-1」の資料に基づいて御説明をさせていただきます。
 今回、御審議いただきます技術は、整理番号170番、技術名は、「上部消化管粘膜内がんに対するアルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法」でございまして、適応症については、食道表在がん、早期胃がんでございます。係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として坂井構成員、副担当を掛江構成員、平川構成員、遠藤技術専門委員にお願いしてございまして、総評としては、「継続審議」の御評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価におきましては、近藤正英構成員にお願いしてございまして、総評として、「条件付き適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発政策課より、追加の御説明がございます。
○研究開発政策課課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料、「先-1」の別紙1、42ページを御覧ください。こちらは様式第9号と左上に記載されていますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものをお示ししております。
 実施責任医師の要件として、診療科は消化器内科または消化器外科が必要、資格は日本消化器内視鏡学会専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験症例数は実施者として10例以上必要、その他の要件として日本消化器内視鏡学会専門医であって、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む)」の経験を有する者、となっております。
 医療機関の要件として、診療科は消化器内科または消化器外科が必要、実施診療科の医師数は、具体的内容としまして、日本消化器内視鏡学会専門医であって、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む)」の経験症例数10例以上を有する医師2名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は臨床工学技士が必要、病床数は400床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は外科系または内科系医師1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上必要、その他として日本消化器内視鏡学会の認定基準を満たす指導施設、となっております。
 その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、整理番号170でありますが、先進医療技術審査部会における事前評価について、主担当を坂井構成員、副担当を掛江構成員、平川構成員、遠藤技術専門委員にお願いしております。
 それでは、坂井構成員より概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。
○坂井構成員
 坂井でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 本医療技術の概要ですけれども、アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法は、アルゴンガスを標的表層組織に噴霧しまして、電気手術器により組織凝固を行うものでありまして、内視鏡的止血術として日常診療で実施されている手技であります。
 概要から説明させていただきます。この技術のタブレット資料の84ページ、研究計画書の中にシェーマが示されておりますけれども、粘膜層のがんをAPC療法で凝固壊死させるという治療になります。試験の概要については、現在示されておりますタブレット資料の190ページにまとめられております。
 対象は食道表在がん及び早期胃がんと診断され、併存する稀少疾患等により内視鏡的切除が困難と判断される患者さんとされています。APC療法後72週間の観察期間が設けられており、食道表在がん27例、早期胃がん27例の合計54例を目標症例数としております。
 次の191ページにロードマップが示されております。先行する後ろ向き観察研究の結果から、根治的切除術と同等の結果が得られたということで、今回の試験を立案されたという御説明です。今回の多施設共同非盲検単群臨床試験を実施しまして、可能であれば保険収載を目指すという計画になっております。右下にありますように、海外での本技術の現状は、保険適用を有する国はなし、ガイドラインへの記載及び進行中の臨床研究はなしという状況です。
 本邦ではガイドラインに記載されておりますが、実施に関しては施設の方針によるのが現状と説明されております。
 続いて、評価に移りたいと思います。
 実施責任医師等の体制につきましては、日常診療で行われている技術でありまして、提示されました条件には特に問題ないと考え、「適」と判断いたしました。
 医療機関の条件につきましても、特段の懸念はなく、こちらも「適」といたしました。
 医療技術の有用性は「不適」とさせていただきました。先ほど御説明しましたように、本技術は粘膜層に限局したがんを焼灼して凝固壊死させるという治療で、確かに内視鏡的切除術に比べますと出血のリスクが少ないと考えられますけれども、組織を焼灼するために、治療時に断端の組織診断ができないというデメリットがあると考えられます。胃がん治療ガイドラインの第6版では、内視鏡的根治度C-1の場合には焼灼法が治療選択の1つとして挙げられておりますが、内視鏡的切除術による組織診断が実施されていることが前提の治療選択となっています。
 また、食道がん診療ガイドライン2017年版では、内視鏡的切除不能例に対する治療としてAPC療法を考慮することが提示されておりますが、切除標本による組織診断は追加治療の要否決定に重要であるという旨の記述もありまして、可能な限り切除して組織診断を行うことが基本であると考えられます。
 APC療法では、組織を凝固することによって組織診断が不可能となりますので、本試験における被験者が追加治療の要否決定の機会を喪失するという不利益が生じるのではないかと考えました。
 本試験で、手術やEMR、ESDが困難と判断される基礎疾患等につきましては、タブレット資料の43ページを提示いただけますでしょうか。こちらの選択基準の4)に示されているアからクのいずれかとされております。先ほど申しました不利益があったとしても、APC療法でがんを焼灼するメリットを有する患者さんが、設定されている選択基準できちんと選択されているかという点に疑問がございまして、この点につきましては、技術専門委員の先生にも御意見をいただきたいと考えています。
 また、本技術の有用性とは異なる観点ですけれども、主要評価の適切性についても疑問がございます。本研究の主要評価項目として、術後12週の局所完全奏功割合が設定されております。完全奏功の定義としましては、肉眼的に明らかながんの局所再発を認めないこと、治療部が瘢痕化していること、生検した場合陰性であることとされておりますが、治療部に瘢痕が認められない場合には、生検は不要であると記載されておりまして、12週の肉眼所見による局所遺残再発病変の有無のみで奏功を判断することが妥当かどうか、この点についても専門の先生にお聞きしたいと考えております。
 以上、本技術の低侵襲であるというメリットと組織診断ができないというデメリットを比較しましたときに、現在の選択基準で組み入れられる患者集団に対して有用というように判断しかねましたので、有用性は「不適」とさせていただきました。
 私からは一旦以上です。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、遠藤技術専門委員より実施体制の評価をお願いします。
○遠藤技術専門委員
 皆さん初めまして、横浜市立大学の遠藤と申します。これからよろしくお願いいたします。
 私の評価としましては、実施責任医師の体制、実施医療機関の体制、こちらは「適」とさせていただきました。医療技術の有用性等に関しては、3つの点に問題があると考え、「不適」とさせていただきました。それをこれから説明させていただきたいと思います。
 まず1点目に、坂井構成員がおっしゃったように、本臨床試験の場合は、組織学的検索ができないという点がデメリットであると思います。こちらを患者さんへの説明文書でしっかりと説明することが大前提と思われます。
 また、患者さんへの説明文書の9ページ目に、再発後の治療については、約10%再発するが、多くの場合に治療できると記載されているのみであって、やや曖昧な表現と捉えました。ですので、過去の論文で何%ぐらいが再発治療可能だったのかを記載するべきだと意見を述べさせていただきました。
 また、本治療が本当に有用かどうかということで、こちらに関しては、過去に膨大な量の後ろ向き研究がありますので、一定数のニーズはあると考えました。ただ、その論文の中の1つに、食道がんに関しては、大きさが2㎝以下でコントロール可能ということが記載されていました。本研究は、なるべく適応は厳しくするべきと考えておりますので、食道病変の大きさは2㎝以下と記載するということで、実施条件欄のところに記載させていただきました。
 私からは以上です。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、掛江構成員より倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○掛江構成員
 ありがとうございます。掛江でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、同意に係る手続、同意文書に関しまして、「適」とさせていただきました。ただ、コメント欄に書かせていただきましたが、「当該研究計画が科学的に妥当であって、かつ、被験者保護の観点からも被験者が被るであろうリスクがインフォームド・コンセントによるリスクの引き受けによって許容される範囲内のものであると仮定するならば」という前提での「適」でございます。この研究計画がこれらの前提を満たしていると仮定するならば、同意説明文書については、部分的に分かりにくい箇所を照会、指摘させていただき、これらの事項については適切に対応していただきましたので、「適」とさせていただきました。
 あと、補償の内容ほかにつきましても、問題ないことを確認いたしましたので、「適」とさせていただきました。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、前提となる研究計画の科学的妥当性の部分につきまして、既に坂井先生、遠藤先生から、組織学的診断ができないデメリット、それに伴うリスクの御指摘がございましたし、また、再発評価の期間や方法、照会事項の10ページの2-1でもお尋ねいただいておりますが、その回答を拝読いたしましたけれども、これでいいのだろうかというところは、素人目にも少し引っかかるものがございます。また、私の照会事項でも、3-1、15ページの1のところで、再発評価について、別途、違う観点から質問させていただきましたが、そちらに対する御回答も、この内容で妥当なのかどうか判断が難しくございますので、ぜひ専門の先生方に御評価いただきたいと思っているところでございます。
 特に、この中で、回答の3行目のところで、「5年生存割合を現病死よりも他病死が大きく影響することが予想され」というような記載もありまして、そうすると、そもそも介入が不要ながんに対する介入にならないのだろうかとうがった見方をしてしまうところもございます。そういった研究計画の科学的妥当性等について、専門の先生方が問題ない、心配しなくていいと言っていただけるのであれば、医学的に、科学的に大きな問題はないと評価された段階で、この研究の倫理的な部分と申しますか、同意説明文書の妥当性についての評価を改めてさせていただければと思っているところでございます。
 実施条件の欄に戻りますが、被験者保護の観点から、当該研究計画において被験者が被るであろうリスク、先ほど申し上げました組織学的診断ができないことによる治療選択の部分でのデメリットやそれに伴うリスク等が、被験者個人がインフォームド・コンセントによって引き受けられるリスクの範囲内のものであるという御評価ができるかどうかを先生方にぜひ教えていただきたいというところでございます。なお、仮にその範囲内のものである、リスクを被験者が引き受けられる範囲内のものであるという御評価をいただいた場合であったとして、組織学的診断ができないデメリットについての記載はございませんし、今回、坂井先生、遠藤先生が御指摘くださいましたような問題点については、記載がそもそもありませんので、そういったところの記載を追記していただくことは少なくとも必要になってくるであろうと考えております。
 あともう一点、照会事項の3-3で御質問させていただいた内容ですけれども、16ページになりますが、説明文書の中で、「本研究に参加することにより、通常の診療時よりも詳しい観察を行います」と記載しておられて、これは通常の診療と当該臨床研究では介入頻度が変わらないというような説明と矛盾するのではないかという私の質問への回答なのですが、当該臨床研究では通常の診療において問題とされないような症状、所見も情報収集すること、それから、IADLのアンケートを行うことによって基礎疾患の病態悪化等の発見につながる可能性があると御説明くださっておられます。しかし、私の理解が足りないせいなのかもしれないのですが、これは恐らくメリットを書き過ぎているのではないかと感じるところがあります。こういったリスクとベネフィットのそもそもの評価が妥当であるかというところを、いま一度専門の先生方の御判断を仰ぎたいと感じながら、評価をさせていただいたところでございます。
 すみません。長くなりましたが、以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、平川構成員より試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○平川構成員
 東京医科歯科大学の平川でございます。よろしくお願いいたします。
 4ページ目、次のページです。まず、効能効果につきましては、将来的に幾つか議論があるのだろうと思いますが、この試験を実施する上で、食道表在がんと早期胃がんとすること自体は差し支えないと考えまして、「適」と判断いたしました。
 続いて、一番大きな論点は、有効性に係る評価になります。特に主要評価項目とこの試験の仮説の妥当性が論点になると考えます。私がしました事前の照会事項の回答におきましては、申請者から、本試験におけるAPC療法の対象患者に対する比較対照になる標準治療は存在しないため、対象疾患、主要評価項目、内視鏡的治療技術としての類似性を総合的に考慮して、レザフィリンの試験成績を参考に、症例数設計や閾値の設定が行われた旨が回答されております。
 具体的には、レザフィリンの術後6か月の奏功割合が0.885、信頼区間の下限が約0.7であることを根拠にして、本試験の12週の閾値奏功率を0.7にするということが説明されています。つまり、この試験において信頼区間の下限が0.7を超えれば試験成功であり、また、保険収載に資するエビデンスが得られたと判断する試験ということになります。
 一方、他の委員からの指摘もありますように、このレザフィリンの試験と今回実施する試験では評価時点が違うところがあります。それにもかかわらずそれを根拠にできる理由、及び信頼区間の下限の0.7を閾値にできると考えた根拠について照会をしたのですけれども、私が確認する限りでは、明確な回答は得られていないと考えます。ただ、対象疾患等が違うことは申請者の方もご理解されているのですけれども、他に参考にできる試験がないという点で、やむを得ずレザフィリンの試験を参考にしているというのが実際のところだと思います。
 ただ、今回の場合はそこが非常に重要な論点になっておりますので、このレザフィリンの試験を根拠にして統計学的なセッティングを行うことをもってAPC療法の保険収載に資するエビデンスがそこから得られるのかということについては、判断が困難であろうと、明確な根拠が示されていないと考えます。
 一方で、照会回答にありますように、本試験の対象集団である標準治療が存在しない集団で、今回実施する試験と同じような質の高い臨床試験が過去に実施されていないということであれば、レザフィリンの試験を参考にすることはやむを得ないところがありますし、実際、過去に何も試験がないのであれば、この試験がAPC療法のエビデンスを評価する重要なデータになると考えます。実際は、他のいろいろな臨床試験でも、参考にする試験がない場合に、そのPIの先生の考えに基づいて参考になる試験を選定し、そこから統計的な試験仮説を設定する場合もあると思います。その意味では、こういった対応もやむを得ない場合もあると思うのですけれども、今回、その点が非常に大きな論点になっているということになります。この申請者の主張が臨床的に妥当であり、許容できるものであることを前提にすれば、いまの試験デザイン・統計解析計画には特段の問題は認められておりませんので、統計学的な観点からは「適」と判断をいたしました。ただし、臨床的な妥当性が崩れるということであれば、統計的な観点からも認められないということになるかと思います。
 最後、その他については、特段の問題は認められないことから「適」と判断をいたしております。また、被験者の適格基準、選定方法、治療計画は、まさに今の一番重要な論点になっておりまして、私の専門外ということもありますので、その点は主担当の先生に委ねることにしたいと思います。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、坂井構成員、現時点での先進医療技術審査部会としてのまとめをお願いいたします。
○坂井構成員
 坂井でございます。
 ただいま評価いただきました先生方からの意見をまとめますと、適格基準を見直したほうがいいのではないかという点、それから、説明文書の修正も必要ではないかという御意見がございました。統計的には特別問題はないものの、主要評価項目の妥当性に関しても、まだ議論の余地があるのではないかという意見と考えまして、総合評価としては、「継続審議」とさせていただきました。
 しかし、本会議での意見を踏まえて最終決定したいと考えています。
 以上です。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、先進医療会議における事前評価については、近藤正英構成員にお願いしてございますので、近藤構成員より評価結果等について御説明をお願いいたします。
○近藤(正)構成員
 筑波大学の近藤でございます。よろしくお願いいたします。
 先進技術としての適格性ということで、私なりに検討させていただきました。
 まず第一に、社会妥当性ということで、社会的・倫理的問題等があるかないかという観点ですけれども、リスクが高くて、低侵襲の治療がないという方にメリットを与えることに対して、APC療法という既存の比較的安全性が高いもので行うことに関して、原則的には、メリットがある患者さんに行うことについては、倫理的問題等はないと考えて、Aをつけました。これも前提としては、私は臨床のことは詳しくないので、デメリットのところが過小評価されていることになってくると、少し考えなければいけないかなというところはありますが、評価としてはよろしいのではないかということで、今の段階ではつけております。
 現時点での普及性についてですけれども、こちらも臨床の実態はどうか分かりませんが、26ページの概要のところでは、年間3,000例ぐらいのところで、その次のページでは、ガイドラインに載っていて、施設の方針によって行われているということであるようですので、ある程度普及しているというBという判断を一応つけさせていただきました。
 それから、効率性のところですが、どういう観点で言うかはなかなか難しいのですが、比較的低侵襲で、特に資源をたくさん使うようなものではなくて、確立した技術で行われるということで、やや効率的かなと判断させていただきました。
 将来、保険収載の必要性についてですが、概要とか保険収載のロードマップに書かれているように、粘膜切除ができないという患者さんが増えてきて、そういうことが行われている現状を鑑みてということを考えれば、こういった普及度の高い治療で、上部消化管粘膜内がんに対して治療を行う選択肢が出てくることについてはいいかもしれないなと判断したのですけれども、ただし、前提条件としては、今回の研究によって安全性と有効性が示されればということになりますので、臨床等の技術的な専門の先生方から少しいろいろ御懸念がされていらっしゃるところを踏まえて、そこはきちんと検討しなければいけないなと考えております。
 総評としては、「条件付き適」ということでございますが、私も見たところ、臨床的な評価方法とかというところで少しどうなのかなというのは、病理的な診断ができるできないとか、あるいは、患者さんの選択基準等によっては、リンパ節転移のある患者さんなどにはデメリットがあるのではないかということがそのとおりかなというところもありまして、「条件付き適」でありますが、そのような二次的な評価等の御意見を伺って、会議でしっかりと議論をして、最終決定としていただけたらと思っております。
 私のほうからは以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、後藤田技術専門委員から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○後藤田技術専門委員
 後藤田と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、この分野、がんセンターも含めてずっと専門でやってきた経験から、まずはコメントさせて頂きます。胃癌治療ガイドラインに明記されております通り、胃がんに対する治療の原則は、完全に一括で切除して、リンパ節転移リスクがない病変であるかどうかの病理学的評価をしっかり行うことにあります。一括切除された標本による病理評価でステージを決めて、次の治療が必要かどうかをしっかり決める。決めたものを患者さんに提示するというのが極めて当たり前で通常の診療行為です。
 ガイドラインに従えば、リンパ節転移リスクがある病変では外科手術が推奨されます。ただ、手術が必要だとしても、どの程度のリンパ節転移のリスクがあるのかということまで提示できれば、私は高齢だから手術をしません、高齢だけれども5%のリスクは嫌だから手術をしますとかいうことを患者さんとともに、Shared Decision Makingしていくというのが全人的医療だと思います。
 その意味で、今回のこのAPCは、まず焼灼術なので標本の回収が出来ず病理学的評価ができない、つまりリンパ節転移リスクがどの程度あるのかを評価出来ない状況となり、臨床的に現場の感覚とはずれているかなと。年間、胃がん・食道がん合わせて約6~7万件内視鏡治療をやられていますけれども、APCで焼灼しているという症例はほとんどないというのが現状です。もちろんAPCは有用な手技なので、潰瘍等々の止血術にはかなり使われていますけれども、がんの治療は、1990年代後半にESDが出てからは、ほぼこのAPCは使われていないというのが現状です。ちょっと前まではレーザーというのがやられていましたけれども、内視鏡技術の向上でそれすらもやらなくなっています。ですので、このAPCで焼灼するという、その手技は簡単ですけれども、倫理的にどうなのかなという危惧がございます。
 それと、こちらのほうが重要なのかなと思うのですけれども、適格基準と対象病変の考え方に誤謬があるように思えます。1つでも満たす場合と書かれているのですけれども、今の時代1つ程度満たす患者さんは多く、そのような患者さんに対してガイドラインを逸脱した診療を行ってしまう、推奨してしまう危惧があります。あるいは、適格基準を3つ4つ満たす患者さんでは、まさに焼灼術という対症療法の適応となり得るかもしれませんが、幾つかの基礎疾患による余命が3年程度だとすると、そもそも2㎝程度の粘膜内がんの治療が必要なのかということがあるのかなと思います。研究のために患者さんに無駄に苦痛を与えてしまう、入院によってむしろADRが低下してしまう、などの危惧があります。もちろん患者さんはがんと診断されたら治療しないということに対してかなり不安を持たれるかもしれないのですけれども、そこは臨床医が、患者さん、家族さんと、基礎疾患のこと、治療をやることのメリット、デメリット等々を話し合っていくというのが本来の筋かなと思います。その意味では、あくまで対象療法としてAPCを、改めて、先進医療でやる必要があるのかなという気はしています。やりたければ、APCという技術はありますので、やればいいのではないかというところなのかなと。高齢者医療費の負担が問われている現在、新たに保険収載つけるほどのものでもないかなというような感じをしております。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 説明は以上でございますけれども、これまでの説明について、何か御質問等はございますでしょうか。
 質問はないようです。
 それでは、今、後藤田技術専門委員にコメントをいただいたのですけれども、そもそもこの治療は存在意義がないのではないかといったようなお話もありました。百歩譲って、どのような基準であれば、この治療法が許容されるのかということについて、後藤田先生から何か御意見ございますでしょうか。それとも、どんな基準を設けても駄目だというようなことになるのでしょうか。
○後藤田技術専門委員
 ありがとうございます。
 かなり絞った基準ならありかと思います。とPDFの資料の75ページ、患者さんの適格、選択基準のところで、これらの条件を1つではなくて、3つ、4つ合わせた患者さん、つまりは余命が3年以内と見積もられる場合で、かつ、がんをこのまま放置した場合に、がんが生命予後を決める可能性があるというような症例であれば、どの程度効果があるかは分かりませんがAPCによる焼灼術が対症療法となり得るかもしれません。ただ、表面だけ焼灼するAPCと光学力学治療とは別物ですので、この違いをプロトコールにも患者説明にもしっかり明記しておく、あるいはAPCとPDTを比較しても良いのかもしれませんね。
 もう一つは、もともとのこのプロトコールどおりに従ってやったとして、主要評価項目を局所の完全奏功割合ではなくて、APC焼灼をした場合にどれだけ患者さんの生命予後を延ばせるかと。がんの原発巣を治療しなかった症例と比べて延ばせるかという研究が必要と思います。かなりの基礎疾患があるにもかかわらず、やはりAPCで焼灼したことによって患者さんの生命予後が延びましたよね、患者さんに貢献しましたよねということが得られるようなデザインであれば、まだあり得るかなと感じております。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 今の観点で、遠藤技術専門委員にも、御意見がもしございましたら、いただきたいと思います。
○遠藤技術専門委員
 内視鏡専門医でいらっしゃる後藤田先生に意見を言うのはちょっとあれですけれども、私は、患者さんの選ぶ治療選択肢は多くあっていいかなと思っておりまして、本アルゴンビームコアギュレーターによる治療もある程度必要性のある患者さんにとっては使ってもいい治療なのではないかという、選択肢を増やすということでですね。ただ、可及的にリンパ節転移のリスクが少ない症例に絞るべきだと。さらに、後藤田先生もまさにおっしゃったように、ア~ケの中の複数、例えば2つで僕はいいのではないかなと思いますけれども、複数を認めるようなものに対して、選択肢の提示ということでこの臨床研究を行うことは、患者さんに十分インフォームすることを前提とすれば、行ってもよいのではないかと考えます。
 以上です。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ほかに何かございますでしょうか。
○近藤(晴)構成員
 よろしいでしょうか。
○新井座長
 よろしくお願いいたします。
○近藤(晴)構成員
 近藤晴彦でございます。
 私ちょっと専門外ではあるのですけれども、現状として、先ほど本邦でのガイドラインにも、ESDあるいはEMR後の遺残病変に対しては追加治療としてAPCが挙げられているとありました。それから、私確認したわけではございませんが、外保連の内視鏡試案にも内視鏡的食道悪性腫瘍腹腔鏡下焼灼手術とかそういったのがあると聞いておりますが、この辺りの位置づけは、それは別に保険診療として認められているという理解なのでしょうか。その辺りが私ちょっと理解できなかったのですが、後藤田先生、もしよろしければ御教示いただければと思うのですが。
○後藤田技術専門委員
 胃がんガイドラインの局所異常に対する焼灼術に関しては、保険では認められていません。ガイドラインですので、保険とはちょっと別個の話で、こういうような選択肢があるよという、先ほどの遠藤先生が言われたような選択肢の提示ということで、ガイドラインに書かれている。
 ただ、実際に遺残病変に対して焼灼術が広く普及しているかというと実臨床ではあまり行われておりません。現場では、確実に遺残が肉眼で見えるまで待って、遺残の範囲が分かった上で、改めてESDで切除するというのが今の標準だと思います。もちろん、その経緯の間、適格基準にありますア~ケまでのようないろいろな疾患が出てきて、ESDすることが非常に危ないとなったような患者さんに、オプションとしてAPCで焼灼するということが選択肢にあがるかもしれませんが、その程度の位置づけでございます。
○近藤(晴)構成員
 APC自体はかなり普及しているかと思うので、ガイドラインにそういうふうに書いてあると、保険適用ではないとしても、割とそういう形でやられる例が多いのかなと思ったのですが、実際は、それは追加ESDとかになるべきであり、そうなっているのが大半であるという理解でよろしいのでしょうか。
○後藤田技術専門委員
 そういうような現状です。食道がんに関しては、もうちょっと進んだものに対してですね。食道がん手術自体が胃がんの手術と比べると侵襲が高いということで、レーザー光照射によるPDIが用いられていますが、これは根本的にAPC焼灼とは全く別のものです。
○近藤(晴)構成員
 ありがとうございます。よく理解できました。
○新井座長
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、これをもって検討結果の取りまとめを行いたいと存じます。
 大変申し訳ございませんけれども、後藤田技術専門委員は一時御退席いただきますようよろしくお願い申し上げます。
(後藤田技術専門委員 退席)
○新井座長
 それでは、各先生方の評価結果どおりに決定したいと存じますが、「継続審議」ということでまとめたいと思いますが、特に御異議がございましたら、挙手をお願いしたいと思います。
(「異議なし」という声あり)
○新井座長
 それでは、そのような形にさせていただきます。佐藤構成員、比企構成員、後藤田技術専門委員にはお戻りいただきたくよろしくお願い申し上げます。
(佐藤構成員、比企構成員、後藤田技術専門委員 着席)
○新井座長
 以上をもちまして、先進医療合同会議を終了させていただきます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 準備が整い次第、先進医療会議を開催させていただきます。御参加いただきました先進医療技術審査部会の構成員の先生方、並びに技術専門委員の先生方は、御退席いただいて差し支えございません。御協力ありがとうございました。



 

〇先進医療会議(第124回先進医療会議)
 

○日時

令和5年9月7日(木)16:50~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

 

【構成員等】

新井座長 竹内座長代理 北脇構成員 近藤(晴)構成員 近藤(正)構成員 
佐藤構成員 滝田構成員 手良向構成員 長瀬構成員 比企構成員 
松山構成員 山本構成員 渡辺構成員


【事務局】

医療技術評価推進室長 先進・再生医療開発戦略専門官 医療課長補佐 
研究開発政策課長 研究開発政策課長補佐 治験推進室長補佐 他
 

○議題

1 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
 (先-1)(別紙1) (告示番号旧55/ jRCT1052210112)

2 先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)

 (先-2-1)(別紙2) (別紙3)(参考資料1)
 (先-2
-2)(参考資料2)(参考資料3)
 (先-2-3

3 先進医療の定期報告等について
 (先-3)(参考資料4) 

4 その他

 

 

○議事

         先進医療会議
         16:50開会

  

 
○新井座長
 それでは、ただいまより「先進医療会議」を開催いたします。
 構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は全員御出席でございます。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」として、「先-1」「別紙1」がございます。
 続きまして、「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(案)」として「先-2-1」「別紙2」「別紙3」「参考資料1」「先-2-2」「参考資料2」「参考資料3」「先-2-3」の資料がございます。
 最後に、「先進医療の定期報告等について」として「先-3」「参考資料4」がついてございます。
 資料につきましては、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 資料等について、よろしいでしょうか。
 それでは、今回の検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について、事務局から御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○新井座長
 ありがとうございます。
 次に、事務局から、「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」の資料が提出されております。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料「先-1」に基づきまして御説明をさせていただきます。
 今回、旧告示番号55番として実施されておりました「遺伝子パネル検査による遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子診断」につきまして、神戸市立神戸アイセンター病院から総括報告書の提出がございました。
 適応症は、遺伝性網膜ジストロフィーでございます。
 医療技術の概要でございますが、遺伝性網膜ジストロフィーの中でも代表的な網膜色素変性は、夜盲、視野狭窄、視力の著しい低下をきたす遺伝性進行性の疾患であり、本邦には約3万人の患者がいるとされております。網膜色素変性は単一遺伝子疾患であり、原因遺伝子として既に約60種類が報告され、類縁疾患を含めると250以上の遺伝子が報告されているとのことです。原因遺伝子が同定されることにより疾患予後や治療に関する情報、より正確な遺伝カウンセリングを提供することが可能となるとのことでございまして、本研究では、IRDパネル検査システム(仮称)の保険収載を目指し、臨床現場での有効性(シーケンス成功割合、原因遺伝子同定率、遺伝形式確定による遺伝カウンセリングへの有用情報還元割合、合併症精査提案割合等)の調査を実施した、というものでございます。
 2ページ目の[有効性の評価結果]のところでございますが、遺伝子パネル検査解析では、これまでの研究の解析から原因遺伝子同定率を30-40%と予想しており、今回の結果41%はおおよそ予想値であり、IRDパネル検査システムが診断に有用であることが示された。
 ロービジョンケアに関する有効性の検討を行い、遺伝子検査の結果開示時に、担当医から患者へエキスパートパネルからのロービジョンケアに関する提案をもとに情報提供を行った。情報提供によって支援につながったと診療録に記載があった患者は25名であった、とのことでございます。
 続きまして、御担当者の評価について、御説明をさせていただきます。
 「別紙1」の3ページ目を御覧いただきたいと思います。
 松山構成員の御評価でございますけれども、有効性に関しましてはB「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」、安全性につきましてはA「問題なし」。技術的成熟度に関しましてはB「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」。
 総合的なコメント欄でございますが、研究タイトルが遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリングとあるように、遺伝子の同定のみならず患者さん、御家族への遺伝カウンセリングの重要性を認識し、実際に遺伝カウンセリングを行っている。結果は目的があってなされるものであり、遺伝子診断と遺伝カウンセリングをカップリングさせた医療技術として高く評価したい、とのことでございます。
 薬事承認申請の効率化に資するかどうかの助言欄のところでございますが、こちらの技術に関しまして、令和5年5月、「PrismGuide IRD パネル システム」が製造販売承認を取得した、とのことでございます。
 続きまして、副担当の伊藤構成員の御評価でございますけれども、有効性に関しましてはB「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」。安全性に関しましてはA「問題なし」、技術的成熟度に関しましてはB「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とのことでございます。
 技術専門委員として、外園技術専門委員の御評価でございますけれども、有効性に関しましてはA「従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」。安全性に関しましてはD「その他」、技術的成熟度に関しましてはB「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とのことでございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、何か御質問等はありますでしょうか。
 特にないようですかね。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について」ということで、案が示されております。これについての御説明をよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、「先-2-1」を御覧いただけますでしょうか。
 こちらは令和6年度診療報酬改定に向けて行われます先進医療として実施されている技術の保険導入並びに施設基準に係る検討方法(案)を示した資料になってございます。
 これまで診療報酬改定に合わせて、先進医療Aの全技術、及び先進医療Bのうち試験が終了し、かつ総括報告書が提出された薬事未承認の医薬品等を伴わない技術につきましては、先進医療会議において医療技術の科学的評価とともに保険導入の適切性について評価を行ってきたところでございます。
 「背景」の1○目でございますけれども、平成30年度診療報酬改定より、先進医療として実施されている新規医療技術の保険導入に係る検討につきましては、先進医療会議において科学的根拠等に基づく保険導入の適切性に係る評価を取りまとめ、その評価結果を医療技術評価分科会(以下「医技評」という)に報告し、医技評においてほかの医療技術とともに網羅的に保険導入の妥当性について検討することとなってございます。
 2○目でございますが、平成30年度診療報酬改定における答申書附帯意見におきまして、先進医療を含む新規医療技術の評価の在り方について、医技評と先進医療会議との連携・役割分担を含め、引き続き検討が必要とされたことを踏まえまして、令和2年度及び令和4年度診療報酬改定では、以下のような対応を行いました。
 1ポツ目。先進医療会議において科学的根拠等に基づく保険導入の適切性に係る評価を取りまとめ、先進医療会議からの指摘事項や評価担当者の主立った参考意見等も含め、可能な限り詳細に医技評へ報告する。
 2ポツ目。先進医療会議での評価に係る一連の日程を、平成30年度診療報酬改定時のスケジュールに比べて1か月早める対応とする、というものでございます。
 次に、令和6年度診療報酬改定における対応方針(案)のところでございますが、今回、令和6年度診療報酬改定における対応といたしましては、前回の令和4年度診療報酬改定と同様の対応としてはどうかという御提案でございます。
 また、2○目におきまして、今年度から新たな対応方針といたしまして、先進医療として有効性・安全性に係るエビデンスを集積するに当たっては、時間経過とともに、各分野におけるそれぞれの技術に係る類似技術等の取扱いや関連するガイドラインの記載状況等も変化する可能性があることから、先進医療Aへの施設基準の見直しに係る資料等につきましては、先進医療の知見が蓄積されていると考えられる、先進医療会議に新規技術を申請し、「適」と通知された保険医療機関から、別紙3の様式を用いてエビデンスに基づいた提案書を求めることとしてはどうか、という案を示させていただきました。
 今回、御提案した全体的なフローにつきましては、おめくりいただきました「別紙2」にございます。こちらに記載がございますように、前回の改定と同様、11月末頃までに先進医療会議での検討に向けた事前評価を行っていただきまして、それを踏まえた上で、12月の先進医療会議で各技術の科学的根拠等の評価を取りまとめていただき、その評価結果を医技評に報告することとなります。
 保険導入の可否の検討につきましては、1月の医技評において、先進医療会議からの評価を踏まえて、ほかの多数の技術とともに検討されることになりまして、その上で、中医協総会において保険導入に関した審議が行われ、医療技術の保険導入及び先進医療としての継続・取消が決定されることになります。
 「別紙3」は、先ほど御提案させていただきました2○目の規定に係る先進医療Aの施設基準見直しに係る提案書の様式でございます。
 また、「参考資料1」といたしましては、医技評における今回改定の評価方法等に係る資料をつけさせていただいております。
 次に、「先-2-2」「先進医療の保険導入等及び施設基準の見直しに係る検討方法について(案)」を御覧いただけますでしょうか。こちらは、前回診療報酬改定前にお示しした資料を一部改編したものになりますが、先進医療会議の先生方に具体的にどのように御評価いただくかについての資料でございます。
 まず、先進医療会議の実績報告についてでございますが、こちらは例年どおり、本年も前年の7月1日から本年6月30日の先進医療に係る実績について、8月末までに地方厚生局長に報告することになっておりますので、本実績報告がなされた先進医療技術について、今回の評価の対象となるということでございます。そして、これまでどおりの体制で、構成員及び技術専門委員の先生方3名で事前評価としての書面審査を11月頃までに行っていただきたいと考えております。
 基本的には、構成員の先生方に主担当、技術専門委員の先生方には副担当をお務めいただきまして、主担当の先生には科学的評価及び施設基準の見直しに係る評価を、副担当の先生には科学的評価を実施していただく予定でございます。
 この際に、「参考資料2」及び「参考資料3」のようなフォームを用いまして、各先進医療A技術の薬事承認申請の状況及び科学的根拠について情報を収集し、事前評価の参考資料として使用する方針としております。
 また、資料「先-3-2-3」を御覧いただきますと、こちらが保険導入等に係る評価票に関する資料でございます。各先進医療技術につきまして、担当される先生方には、有効性・安全性等の個別評価項目について御評価いただいた上で、上の総合判定としてA~Dの判定をしていただきたいと考えております。Aは「十分な科学的根拠を有する」、Bは「一定の科学的根拠を有する」、Cは「科学的根拠が十分でなく、先進医療として継続することが適当」、Dは「先進医療から取り消すことが適当」という分類になってございます。AまたはB評価をした場合に限り、その下にあります施設基準につきましても、併せて御意見をいただければと考えております。
 「先2-2-2」の2ページ目にお戻りいただけますでしょうか。評価担当の先生方にいただきました書面審査の評価を基に、技術をア・イ・ウの3つに分類させていただく予定です。アは「構成員又は技術専門委員3名全員がA又はB評価」、ウは「構成員又は技術専門委員3名全員がD評価」、イが「それ以外」と分類してございます。
 3ポツのところでございますが、11月から12月にかけましていただいた御評価を取りまとめさせていただいた後に、その結果を12月の先進医療会議で御審議いただく予定としております。先進医療会議におきまして、それぞれの評価対象技術について、当該事前評価結果等に基づいて、先進医療会議として評価を取りまとめていただく予定にしております。
 その際の基本方針としましては、前述のアとイに該当する技術につきましては、将来的な保険導入に係る判断に必要な科学的根拠等について検討。ウに該当する技術につきましては、先進医療取り消しの適切性について検討することになります。
 先進医療会議の評価結果につきましては、先進医療から削除が適切と判断されたもの以外は、医技評に報告しまして、医技評で保険適用の妥当性を検討した上で、中医協総会に御報告させていただく予定です。
 また、先進医療から削除が適切と判断いただいたものに関しましては、そのまま中医協総会に御報告させていただく予定としております。
 5ポツになりますが、中医協において先進医療として継続が妥当とされた技術につきましては、事前評価において作成いただきました施設基準(案)も踏まえまして、先進医療会議で検討を行って、最終的な施設基準を決定していただく予定となっております。
 3ページ目の6ポツは、現在、暫定的に先進医療Aとして実施している技術の取扱いについてでございます。点線の枠の中に、第49回の本会議で御審議いただいた内容を抜粋してございますけれども、平成29年3月末日をもちまして、先進医療Bへ移行できなかった暫定Aの技術については、先進医療告示から削除することとしておりましたが、現在でも当該治療を継続的に実施中の患者さんがいる場合には、告示から削除を猶予するものとし、新規患者の組み入れは認めないままとされたところでございます。
 現在、暫定Aとしましては、御覧の1技術が継続されておりますが、平成28年4月以降は新規患者組入れを中止していること等から、先進医療Aの枠組みでの評価は困難と考えております。このため、この1技術につきましては、前回の改定時と同様、令和6年度診療報酬改定においても保険導入に係る評価は行わないこととしてはどうかと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○新井座長
 ありがとうございました。
 たくさんの内容でございましたけれども、今の御説明に何か質問等はございますでしょうか。
 従来と大きく変わらないということではありますけれども、例えば「別紙3」に示された提案書の提出を含め事務局としていろいろ考えていただいているということでありますが、よろしいでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 さようでございます。
○新井座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見・御異議ないようでしたら、事務局案のとおりに進めさせていただきたいと思います。
(構成員首肯)
○新井座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から、「先進医療の定期報告等について」の資料が提出されております。御説明をよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料「先-3」に基づいて説明させていただきます。
 まず「経緯」のところでございますが、先進医療B 告示番号52番「自家骨髄単核球移植による血管再生治療」につきましては、第98回先進医療会議(令和3年4月9日)で承認されまして、令和3年7月1日から告示適用されております。
 2○目。会議における議論におきまして、申請医療機関である横浜市立大学附属病院に対し、当該技術の適応や併用薬に関する情報について、年度ごとの定期的な報告を求めることとされました。
 3○目。そこで今回、横浜市立大学附属病院より、登録された症例につきまして、適用開始から2年時点での定期的な報告が行われました。なお、令和4年度は、登録症例がなかったため、今回が初めての報告となっております。
 今回報告いただいた第1例目の内容が記載のとおりとなっております。詳細につきましては、配付のみの資料を御覧いただけますと、幸いです。
 これらを踏まえまして、本療養を継続可として問題がないか御確認をお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○新井座長
 ただいまの御説明について、御意見・御質問はございますでしょうか。
 それでは、事務局案のとおりに進めさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
 本日の議題は、残り「その他」となっておりますけれども、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 特にございません。
○新井座長
 構成員の先生方から何かございますでしょうか。
 特にないようです。
 それでは、次回の開催について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和5年10月5日16時からを予定しております。場所につきましては、別途御連絡させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○新井座長
 ありがとうございました。
 それでは、第124回先進医療会議をこれにて終了といたします。
 どうも御協力ありがとうございました。
 

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