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2022年1月6日 第106回先進医療会議

○日時

令和4年1月6日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
北脇技術専門委員 本田技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他



○議題

 1 新規技術(1月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
  (先-1)(別紙1)(別紙2)(別紙3)
  (参考資料1)(参考資料2)
  2 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-2-1)(別紙4)(先-2-2)
  3 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-3)(別紙5)
  4 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
  (先-4-1)(別紙6)
  (先-4-2)(別紙7)
  (先-4-3)(別紙8)
  5 先進医療技術の科学的評価等について
  (先-5)(別紙9)(参考資料1)(参考資料2)
  6 令和4年度先進医療会議開催予定(案)について
  (先-6)
  7 その他

 

○議事

16:00開会




 
○五十嵐座長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
初めに、構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は、竹内構成員と福田構成員が少し遅れると伺っております。また、先進医療技術の科学的評価等に係る審議のために、北脇技術専門委員と本田技術専門委員に御出席をいただいております。
それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、委員名簿に続きまして、先-1「先進医療の新規届出技術について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙1、別紙2、別紙3、参考資料1、参考資料2がついてございます。
続きまして、先-2-1「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙4がついてございます。
続きまして、先-2-2「不妊治療に係る医療技術の検討状況について」としている資料がございます。
続きまして、先-3「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙5がついてございます。
続きまして、先-4-1、先-4-2及び先-4-3は、「総括報告書に関する評価について」でございますが、こちらには、別紙6、別紙7、別紙8がそれぞれついてございます。
続きまして、先-5「粒子線治療に対する科学的評価について(案)」としている資料がございます。こちらには、別紙9、参考資料1、参考資料2がついてございます。
最後に、先-6「令和4年度先進医療会議開催予定(案)」としている1枚紙の資料がございます。
資料につきましては、以上でございます。
なお、今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただければと存じます。
御発言いただく先生は、会議資料のページ、または送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
事前に、今回検討対象となる技術等に関しましては、利益相反の確認をしております。その結果を事務局から御説明願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告をいたします。
福井構成員より、先進医療Bとして評価を行う整理番号155の技術について、御所属されている医療機関と同じ法人内の医療機関からの申請であることから、利益相反の御申告が、ございました。
福井構成員におかれましては、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることはできないこととなってございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
構成員におかれましては、ここで、事前に何か申告すべき点ございましたら、おっしゃっていただきたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
ありがとうございました。
では、「新規技術(1月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)」資料がございます。3件ありますので、まず1件目につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
今回、先進医療の新規届出技術について、振り分け審議をいただく技術が3件ございます。
まず1件目でございますが、先-1の資料に基づき御説明をさせていただきます。
こちら1件目の技術は、受理番号134番、技術名は「子宮内膜受容能検査(ERA)」でございます。適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る)でございます。
今回、京野アートクリニック高輪から申請がございました。
係る資料につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
次に、参考資料2「生殖補助医療の全体像(イメージ)」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
今回、申請がございました子宮内膜受容能検査につきましては、こちら右のほうの青点線で囲っております「追加的に実施される場合があるもの」のうち、【⑤とセット】としているもののところに記載がある技術でございまして、生殖医療ガイドラインにおいては推奨度Cと評価がされている技術でございます。
続きまして、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙1-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
まず初めに、(先進性)のところでございますけれども、子宮内膜受容能検査に基づき個別化胚移植を行うという概念は、2013年に初めて報告され、反復して着床・妊娠に至らない一部の不妊症患者では、「着床の窓」のずれが着床不全の原因となることが示唆されたとのことでございます。
次に、(概要)のところでございますが、本技術は吸引用子宮カテーテルを用いて、子宮内膜を採取し、次世代シークエンサーを用いて236遺伝子を網羅的に解析し、内膜組織はReceptive(受容期)かNon receptive(非受容期)かを評価する検査技術とのことでございまして、本検査結果に基づいて、適切な時期に胚移植を行うことにより、着床率等が改善する可能性があるとのことでございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして、2ページ目のところでございますが、本技術は未承認の医療機器の使用を伴う医療技術となってございます。本技術につきましては、資料先-1の下方の【備考】欄にございます2の(3)「未承認等の医療機器の使用または医療機器の適応外使用を伴う医療技術であって、検査を目的とするもの」に該当すると考えられましたため、先進医療Aとして振り分け(案)を提示させていただきました。
1件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明について、何か御質問等はございますか。
よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
それでは、御提案どおり、受理番号134の技術につきましては、先進医療Aとして振り分けます。
次に、2件目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、2件目につきまして御説明をさせていただきます。
先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
2件目の技術は、受理番号135番、技術名は「子宮内細菌叢検査」でございます。適応症につきましては、慢性子宮内膜炎疑いでございます。
今回、神谷レディースクリニックから申請がございました。
係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
次に、再び参考資料2「生殖補助医療の全体像(イメージ)」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
今回、申請がございました子宮内細菌叢検査につきましては、先ほどと同様、こちらの青点線で囲っております「追加的に実施される場合があるもの」のうち【⑤とセット】としているもののところに記載があるものでございまして、生殖医療ガイドラインにおいては、推奨度Cと評価がされている技術でございます。
続きまして、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。
別紙2-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
まず始めに、(先進性)の2段落目のところからでございますけれども、これまでの報告では、慢性子宮内膜炎や子宮内細菌叢の異常は、生殖補助医療を受けている患者では約30%、さらに、反復着床不全及び不妊・不育症患者での有病率は60%に達すると言われているとのことでございます。
また、現時点における慢性子宮内膜炎の診断は、病理検査・子宮鏡・細菌培養検査などにより総合的に判断がされているとのことでございまして、1段落目の中ほどでございますが、子宮内に存在する菌は膣よりも菌量が大変少なく、20~60%の細菌は培養では検出できないと言われているとのことでございます。
次に、ページをおめくりいただきまして、(概要)のところでございます。
本技術は子宮内膜及び子宮内腔液を採取し、次世代シークエンサーを用いて、子宮内腔液に含まれる細菌の16S リポソームRNA解析を行うことで、Lactobacillus属の占める割合及び、その他細菌叢の分布を明らかにする技術とのことでございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は未承認の医療機器の使用を伴う医療技術となってございまして、資料先-1の下方の【備考】2の(3)「未承認の医療機器の使用または医療機器の適応外使用を伴う医療技術であって、検査を目的とするもの」に該当すると考えられましたため、先進医療Aとして振り分け(案)を提示させていただきました。
2件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
それでは、何か御質問等がございましたら、お願いいたします。
よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
では、受理番号135の技術につきましては、先進医療Aとして振り分けます。
続きまして、3件目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、3件目の技術につきまして、御説明をさせていただきます。
再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
3件目の技術は、受理番号136番、技術名は「強拡大顕微鏡による形態良好精子の選別(IMSI)」でございます。適応症につきましては、顕微授精を受ける不妊症患者でございます。
今回、木場公園クリニックから申請がございました。
係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
次に、改めて、参考資料2「生殖補助医療の全体像(イメージ)」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
今回、申請がありました強拡大顕微鏡による形態良好精子を選別(IMSI)につきましては、こちらの青点線で囲っております「追加的に実施される場合があるもの」のうち、【③とセット】としているところに記載があるものでございます。こちらは、生殖医療ガイドラインにおいては、推奨度Cと評価がされている技術でございます。
続きまして、技術の概要について御説明させていただきます。別紙3-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
まず初めに、(先進性)の1段落目のところでございますけれども、従来の顕微授精では、術者が400倍の顕微鏡下に、運動性が高く、形態的に良好と思われる精子を選別し、卵に注入されているとのことでございます。他方で、通常の顕微鏡下で良好と判断された精子であっても、より強拡大の顕微鏡で観察を行いますと、頭部に微細な空胞が認められる場合があり、このような精子頭部内の異常構造体は、精子DNAの断片化を誘導し、受精卵の染色体の構造異常や断片化を引き起こし、結果として、着床不成功や流産の原因となる可能性が指摘されているとのことでございます。
このような課題を解決するため、最大倍率6000倍で精子を観察し、上記のような空胞等の異常構造を有さない形態良好精子を選別し、その精子を用いて顕微授精を行うIMSIという技術が発展してきているとのことでございます。
ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は、医薬品、医療機器等の使用を伴わない医療技術となってございまして、資料先-1下方の【備考】1「未承認等の医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の使用、または医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術に該当する」と考えられましたため、先進医療Aとして、振り分け(案)を提示させていただきました。
3件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございますか。
よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
それでは、受理番号136の技術につきましては、先進医療Aとして振り分けます。
続きまして、「先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について」の資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、まず、先-2-1に基づきまして御説明をさせていただきます。
今回、先進医療Aの新規技術として御審議いただく技術でございますが、整理番号344番「PICSI」でございます。
適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復して流産を認めたもの、あるいは奇形精子を伴うものに限る)となってございまして、係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。今回、芝公園かみやまクリニックより申請がございました。
こちらの事前評価につきましては、新井構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、新井構成員より条件つき適、北脇技術専門委員より適の御評価をいただいてございます。
続きまして、別紙4の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。
まず、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は、産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。資格は、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ日本生殖医学会認定生殖医専門医であること。当該診療科の経験年数は5年以上。当該技術は、経験年数は2年以上。当該技術の経験症例数につきましては、実施者[術者]として10例以上としてございます。
また、医療機関の要件のところでございますけれども、診療科は、産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上、他の診療科の医師は不要としてございます。
その他の医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者としてございまして、病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査(24時間実施体制)は不要としてございます。
他の医療機関と連携体制は必要としてございまして、緊急の場合、その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしてございます。
続きまして、医療機器の保守管理体制は不要。倫理審査委員会の審査体制は、必要な場合に事前に開催すること。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は、10症例以上としてございます。
また、その他の要件のところでございますが、4ページ目をおめくりいただきまして、頻回の実績報告は不要としてございます。
事務局からの説明は、以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
この344の技術につきましては、事前評価を新井構成員にお願いをしております。新井構成員より、技術の内容及び評価結果について説明をお願いいたします。
○新井構成員
新井でございます。よろしくお願いいたします。
今、御説明のあった別紙4を御覧いただきたいと思います。
この「PICSI」という技術ですけれども、この資料別紙4の10ページを御覧いただきますと、「医療技術の概要図」が示されておりますが、PICSIについては、概要がそこに文字で示されております。PICSIは顕微授精の際に、DNA損傷の少ない成熟精子がヒアルロン酸に結合できるという特徴を利用し、ヒアルロン酸に接着した精子を選別することで異数性胚の発生割合を下げ、流産率を低下させるとの報告に基づき、これを実施したいということになっております。
通常の顕微授精(ICSI)に比べて、ヒアルロン酸結合というこの特徴を用いて成熟精子を選別し、そして、それを顕微授精に用いる。結果として、流産率が低くなるということでございます。
この技術について評価をさせていただきましたが、私自身はこの専門外でありますので、技術専門委員として今日御出席いただいている北脇先生にも適宜コメントをいただきたいところではありますが、別紙4の1ページ目を御覧いただきたいと思います。PICSIについての評価を私がさせていただいたものがそこにございまして、適応症は妥当である。有効性はCとさせていただきました。すなわち従来の技術を用いるのと同程度または劣る。安全性は問題ない。技術的成熟度に関しては、当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制をとっていないと行えないということでございます。倫理的問題はない。現在の普及率は、罹患率、有病率から勘案して、普及していない。効率性については、同程度または劣る。将来の保険収載の必要性に関しては、現時点においては、保険収載を行うレベルに達していないというのが、私の判断でございます。
そこに、総評があって、条件付き適としたわけですけれども、従来の顕微授精(ICSI)とPICSIに関するRCT論文が2019年のLancet誌に掲載されております。この論文では、両者に妊娠率や出産率に有意差がないということで、このPICSIを広く用いることは推奨できないと結論されております。
今回の技術に関しては、申請者は、流産率の低下ということをポイントにしてございますので、このLancetの論文のゴールとは、ゴールの設定が少し違うのだというようなことになりますが、最終的には、顕微授精ですから、妊娠率や出産率が大きな到達点になると私は理解しております。したがいまして、Lancet論文の結果を覆して、このPICSIの有用性を確認するのはかなりハードルが高いと。今回、単独施設でこの申請がなされているわけですけれども、一部修正して、学会主導で多施設共同研究のプランも示されておりますけれども、ここを明確にして、従来の顕微授精とPICSIを比較するRCTを日本で行って、日本発のエビデンスを発するべきではないかと思う次第であります。
改めて強調したいのは、このような例示した技術が今回も申請がなされましたし、前回のこの会でも申請がなされておりますが、学会が主導してしっかりとした形でエビデンスを出していくと、その必要性があるのではないかと強く思うところでございます。
私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
続きまして、北脇技術専門委員から評価結果をいただいておりますので、御説明をお願いいたします。
○北脇技術専門委員
北脇でございます。
その次の2ページを御覧いただきますと、コメントを記載しております。今、新井委員から御説明していただきましたとおりでございまして、まさしく私も同感でございます。結論としまして、学会が何らかの形で関与して、そして、多施設で検討をするということが骨子かと思います。
その中で、技術的なことですね。もう一度繰り返しになりますけれども、申し上げたいと思います。この顕微授精と体外受精は、最後の授精の局面だけが異なることでございまして、採取しました卵を小さいところで精子とブレンドするのが体外受精、この顕微授精と申しますのは、卵を顕微鏡下に固定いたしまして、その中に、その周りに泳いでいる精子を1匹つかまえて、卵の中に強制的に注入する方法でございます。そこの部分だけが体外受精と顕微授精が異なる点でございます。
ここが一つ問題でございまして、どの精子を採ってきて、それを卵に注入するかというのは、あくまで、それを操作している人間が元気そうだと思ってやるというところでございます。体外受精はたくさんの精子が勝手に判断いたしまして自然にやりますので、それは正常の生殖の局面を小さいところに持ってきただけということでございまして、海の中で魚の卵が受精するのを洗面器の中に入れて受精させるようなものでございます。そこが顕微授精の一つの問題点でございます。この中で、いかにして良好な精子を採ってくるかということで、それまでに培養液を変えたりとかいろいろやって選別してきて、最後に来ているのですけれども、いずれにしても最後は人間の目でやるということになります。そこのステップの中にこのヒアルロン酸を今回入れまして、ヒアルロン酸は成熟精子と結合するというのが知られておりますので、その結合したものだけを注入するというふうにして、ワンステップその中で選別を加えるということになっております。
先ほどございましたLancetは確かにこの方法をやっても、ヒアルロン酸をかましても差がなかったということでございますが、1つその中で反復流産患者というのに限定します。つまり、流産を2回以上した人の中でこれをやるというのを限定してやるという場合は、その成績が上がったというのが従来発表されておりますし、今回の申請も、その反復流産患者に限定したものでございます。したがいまして、その症例数は非常に限定されてくるわけですけれども、それもそこそこの数を集めてやると。
もう一つは、この症例を、最後の主要評価項目を、妊娠率あるいは出産数としたいところですけれども、そうではなくて、この良好胚、つまり、胚のいいものだけ選んできた率に限定しているというところに置いているところでございます。妊娠率や出産数は副次評価項目にしているというところでございまして、そこのところは割と注意深く検討されているのかなと考えました。
ということで、結論になりますけれども、先ほどから申しておりますように、新井先生と同じく、多施設共同で、また、学会が何らかの形で関与することは必要かと考えますけれども、このスタディそのものに関しましては、うまく練られていると考えまして、これで適とさせていただいた次第でございます。
よろしくお願いします。
○五十嵐座長
御説明ありがとうございました。
続きまして、事務局から補足資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。事務局のほうから、補足の資料の説明を少々させていただきます。
それでは、先-2-2「不妊治療に係る医療技術の検討状況について」としている資料を御覧いただけますでしょうか。今回、不妊治療に係る医療技術を御議論いただくに当たりまして、現在の検討状況について整理をしておりますので、事務局のほうより補足説明をさせていただければと思います。
まず、「1.背景」の1マル目のところでございますが、不妊治療の保険適用については、全世代型社会保障改革の方針に基づき、令和4年4月からの保険適用に向けて中央社会保険医療協議会(以下、「中医協」という。)における議論が進められているところでございます。
続きまして、2マル目のところでございますが、令和3年7月21日に開催された中医協におきまして、令和4年度診療報酬改定において適切に対応を実施する観点から、保険医療機関から先進医療に係る申請があった場合には、先進医療会議において、技術的な審議を進めておく方針について了承されたことを踏まえ、これまで先生方にも検討を進めていただいていたところでございます。
続きまして、3マル目のところでございますが、令和3年12月15日に開催されました中医協におきまして、保険適用の対象となる医療技術等の範囲に係る議論が行われまして、まず、1ポツ目のところでございますけれども、ガイドラインにおいて推奨度AまたはBとされる医療技術(男性不妊治療を含む)につきましては、原則として保険適用とする。
続きまして、2ポツ目でございますが、推奨度Cとされる医療技術については、原則として保険適用外となるが、医療機関から申請があったものについては、順次、先進医療として実施することについて、審議を進めるなどの方向性について了承がされたところでございます。
なお、各医療技術の推奨度につきましては、先ほども提出させていただきました先-1の参考資料2も適宜御参照いただけますと、幸いでございます。
続きまして、「2.先進医療会議における検討状況について」のところを御覧いただければと思います。
まず、1マル目のところでございますが、現時点において、先進医療会議における検討状況の一覧を作成してございまして、今回の会議で御審議いただいた技術も含めているところでございます。具体的には、上から順に、子宮内膜刺激胚移植法(SEET法)、タイムラプス、及び子宮内膜スクラッチにつきましては、こちらは条件付き適と、既に御評価いただいている技術でございます。
続きまして、二段階胚移植法については、継続審議、そして、現在、御審議いただいているPICSIにつきましては、事前評価結果としては条件付き適と御評価をいただいてございます。子宮内膜受容能検査(ERA)、子宮内細菌叢検査、IMSIにつきましては、先ほど振り分けの御審議をいただいたところでございます。
また、参考といたしまして、ガイドラインにおける推奨度を右の列に記載をさせていただいてございまして、二段階胚移植法以外は、ガイドラインにおいて推奨度Cと評価がされている技術でございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして、2マル目のところでございますが、こちらでは、「条件付き適」と評価がされた技術について、対応すべき指摘事項の概要をまとめているところでございます。
まず、子宮内膜刺激胚移植法(SEET法)につきましては、より具体的な比較方法を事前に定めること、医療安全管理委員会の設置を「必要」とすること、それから、本研究の後に、多施設共同研究を行う旨をロードマップに明記すること、その他記載整備等が指摘事項としてございました。
続きまして、タイムラプスにつきましては、被験者数を200例に設定した理由を記載すること、評価基準及び具体的な解析方法等について記載をすること、本研究の後に、多施設共同研究を行う旨をロードマップに明記することという指摘事項がございました。
続きまして、子宮内膜スクラッチにつきましては、背景因子を整えた比較試験とすること、症例数について、統計学的な観点から再考すること、可能であれば、多施設共同研究として実施することが望ましいという指摘事項がございました。
続きまして、現在御審議いただいているPICSIにつきましては、先ほども先生方からコメントをいただきましたが、事前評価における指摘事項として、多施設共同研究として、RCTを実施することが望ましいという指摘事項がございました。
次に、「3.今後の検討の進め方について」のところでございますが、今後は、従前の取扱いを踏まえ、こちらの記載の形で検討を進めていく予定としてございます。
① 「条件付き適」と評価がされた技術については、先進医療会議において、指摘事項に対する回答の確認を行い、適切に回答が確認された場合については、先進医療として実施することを「適」とする。
② 「継続審議」と評価をされた技術については、指摘事項に対する回答を踏まえ、改めて事前評価及び先進医療会議における審議を行うこととする。
③ まだ評価が行われていない技術については、引き続き、速やかな審議を進めることとする。
となってございます。
事務局からの補足説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
新井構成員と北脇技術専門委員、そして、事務局から御説明をいただきました。この3つの御説明につきまして、何か御意見等はございますでしょうか。
学会が関与をしていただきたいという御意見があったわけですけれども、それについては御意見ございますか。御意見がありましたら、お願いします。
藤原構成員お願いします。
○藤原構成員
やはり学会によるグリップは非常に大事かなと思っております。これは私賛成です。
それと、事務局がつくっていただいた検討状況の今後の進め方について、1つお願いしておきたいのは、2年後の次の診療報酬改定時には、もし、先進医療で評価されれば、この先進医療会議に関して評価が回ってくると思うのですけれども、それまでに、多施設共同研究のプロトコールとかをきちんと完成しておいてほしいなと思います。
○五十嵐座長
御意見ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
山口構成員お願いします。
○山口構成員
私はあんまり詳しくないのですけれども、北脇先生にちょっと質問です。こうやってA、B、Cに分けて、A・B案は保険収載の方向でいいのではないかという話ですけれども、世の中にはそれ以外のものは全部行われていて、評価されないまま野放しになっているというような状況はないのでしょうか。もし、あるとしたら、そういうものをこれからどうするかということをぜひ学会のほうで案を示すとか、リードしていくということをやっていただかないといけないのではないでしょうか。ここに出てきたものはいいのですけれども、そうでないものがそのまま放置されているということをちょっと懸念するのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
○北脇技術専門委員
御指摘ありがとうございます。北脇です。
おっしゃるとおりで、民間のレベルになりますと、門外不出の自分のテクニックということで、それを競争でやっておりますので、野放しになっているところがございます。倫理的に問題であるようなことも勝手に行われているというのが横行しておりまして、特にNYPTとか、生まれる前の遺伝子診断とか、そういったものが結構野放しで横行しているというところがございまして、我々学会としましては、できるだけそういうのを取り込んでいって、できるだけやっていこうということにしております。あまり上から抑え込んでしまうと、かえって野放しが進みますので、こういったものを包含してやるということです。
ただ、先ほどから御指摘いただいていますように、学会としても何らか規制、あるいはこの研究に対して関与をしていって、そのクオリティをコントロールしていくという操作も必要ですので、そこらあたりは御指摘いただいたとおりで、現在も学会と相談しているところでございますので、また、御指導のほどよろしくお願いいたします。
○山口構成員
ありがとうございました。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
前回のこの会議でも意見が出たのですが、関連する学会の方たちに来ていただいて、状況を説明していただくというようなこともしたほうがいいのではないかという御意見がありましたけれども、それについてはいかがですか。
○北脇技術専門委員
そのとおりでございまして、そういう機会を与えていただけるということでしたら、こちらのほうから参上させていただきます。
○五十嵐座長
それでは、こちらとしても検討をしたいと思いますが、委員の先生方で何か御意見は。
新井構成員お願いします。
○新井構成員
今の座長の御発言・御提案は、ぜひお願いしたいと思います。正直、私どもはこういう専門外のものを評価しておりましても、分からないところも多いですし、その全体像を俯瞰して、学会としてどういう方向性に行くのかということも含めて示していただけると、評価もしやすいのかなと思う次第です。
以上です。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
神村構成員お願いします。
○神村構成員
神村でございます。
先ほどの門外不出の独自のテクニックとかというあたりには、非常にそうだなと思わせられたのですけれども、たくさんの民間のクリニックレベルだと、結構な高額で治療をやりますというような宣伝もされていますけれども、例えば、こういうものは、患者さんを消費者保護という立場で考えれば、第三者のきちんとした認証がないままにこういうことが横行しているというのはどうなのかなと思ったのですけれども、そういうふうな医学的な、科学的なというのと、また、別の枠組みでも制限を加えるような話はないのでしょうか。少し話がずれてしまって、申し訳ないのですけれども、ちょっと規制対策についての改めての考え方を示していただきたいなと思った次第です。
以上です。
○五十嵐座長
どうもありがとうございます。
これについても、事務局で、また、検討をしたいと思います。御指摘どうもありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
それでは、11ページの保険収載までのロードマップにもありますように、関連学会等の関与による多施設共同研究が必要であるという御指摘をいただいておりますので、評価につきましては、条件付きの適でお認めしてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
ありがとうございます。反対の方はいらっしゃらないようですので、そのようにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
続きまして、事務局から、「先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について」の資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
先ほど御説明いたしましたけれども、福井構成員が、この技術に関する検討と事前評価に加わらないことになっておりますので、大変申し訳ありませんが、一時御退席を願いたいと思います。
(福井構成員退席)
○五十嵐座長
では、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、先-3の資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
今回、御審議いただく技術につきましては、整理番号155番「自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による末梢動脈疾患に対する完全自家血管新生療法」でございまして、適応症が末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)となってございます。
申請医療機関につきましては、東京医科大学病院でございまして、費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
事前評価につきましては、竹内構成員に御担当いただきまして、総評としては、適と御評価をいただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございます。
整理番号155の技術につきましては、竹内構成員に事前評価をしていただいております。竹内先生から、内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○竹内構成員
竹内でございます。それでは、説明させていただきます。
別紙5の56ページを御覧いただきたいと思います。この技術につきまして、概要が56ページに図で示されております。
「自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による完全自家血管新生療法」という技術でございます。左上にありますように、通常でありますと、骨髄血を採取いたしまして、その中に含まれているごくわずかな間葉系幹細胞を集めまして、それを患者さんに移植するということが行われておりますが、かなり大量の骨髄血を採取しなければいけないということで、非常にそのことが患者さんに負担になっておりました。この新技術では、患者さんから得られました骨髄血、大体これは10~20ccの骨髄血ですが、これを採取いたしまして、この中段上にありますように、病院内の細胞調整室におきまして、自己骨髄を自己血、これは同時に採取しました200ccの血液から得られました多血小板血漿を用いまして培養するというものでございます。
このようにして培養いたしますと、10~20ccから得られた間葉系幹細胞が非常に増えますので、これを用いまして患者さんに戻します。0.5ccを50か所の筋肉内に注射し、そして、移植するという技術でございます。これによりますと、患者さんへの負担が軽減されるということと、例えば動物の血漿などを使わずに、自己血液の中の多血小板血漿から培養ができるということで、完全自家血管新生療法と名づけられたものでございます。移植後1、3、6及び12か月後に、その血管の閉塞状況についての評価を行うという形で評価をしてまいります。
57ページを見ていただきますと、今回の先進医療は、このBに記載されました50症例のヒストリカルデータと比較しました単施設での検討を踏まえまして、将来的には、先進医療Bのエビデンスを踏まえて、多施設によりますオープン試験でのヒストリカルコントロールデータと比較したオープン試験を治験で行って、薬事承認を目指すというロードマップが書かれております。
海外などの状況はこの下に書いてございまして、現在、薬事承認された国はなく、ガイドライン記載がない。ただし、進行中の関係する臨床試験として、自家骨髄単核球移植による下肢血管再生治療が、バージャー病を対象として行われていることと、自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法が、同じ閉塞性動脈硬化症に対して行われているという、この2点がございます。
このようなことを踏まえまして、それでは、一番最初のペーパーに戻っていただきますでしょうか。1ページ目でございます。
これが、私が評価した結果でございます。先進医療の名称は「自家骨髄由来培養間葉系細胞移植による末梢動脈疾患に対する完全自家血管新生療法」ということで、社会的妥当性は、倫理的に問題がないと判断させていただきました。現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して、普及していない。効率性については、先ほどのように、患者さんに対する負担も少ないということで、やや効率的。将来の保険収載の必要性につきましては、「A 将来的に保険収載を行うことが妥当。なお、以下の事項について検討する必要がある」というところに、ガイドラインなどにも記載のない本技術を保険収載するに当たって、本技術の適応についての情報を収集するため、多施設共同研究などでこの点を明らかにする必要があるとさせていただきました。
総評としては、総合判定、適。コメントとして、末梢動脈疾患に対する間葉系骨髄移植は、大量の骨髄液を採取して行う取り組みがなされておりましたが、骨髄液採取に伴う患者負担の課題がありました。本技術は、自家多血小板血漿を用いて骨髄細胞を培養して増殖させるため、少量の骨髄液採取で実施でき、患者負担軽減につながる可能性がある。先進医療として、本技術の有効性、安全性を検証すべきであると考えるというコメントをつけさせていただきました。
以上でございます。
○五十嵐座長
御説明どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等がありましたら、お願いいたします。
よろしいですか。
それでは、評価結果としては、事前評価どおりに決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○山口構成員
ちょっとコメントだけよろしいですか。
○五十嵐座長
どうぞ、お願いします。
○山口構成員
結果については、何の異議もなくて、いろいろやりとりはありましたけれども、適切に直されて、最終的には適でよろしいかと思います。別紙5の8ページのところに総評のまとめがありますけれども、ちょっと御覧いただけますか。
8ページの最後に書いてありますけれども、膨大なやりとりが行われたのですけれども、本来は、もともとの施設の特定認定再生医療等委員会というところで検討しておくべきものだったのではないかと思います。つまり、そういうことがきちんと行われていないのではないかという疑問も生じるということで、それをこの施設のほうにお伝えいたしました。ぜひ、次からは、もう少しきちんと検討して出していただきたいということです。
以上です。
○五十嵐座長
大変重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。事務局としても対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そのほかはよろしいですか。
○竹内構成員
竹内です。
山口先生のコメントのとおりで、実は、これを詳しく読みますと、かなり膨大な照会事項がありまして、特にエンドポイントの設定は非常に重要な点で、例えば、死亡を母数にカウントしないというようなこともあって、クリティカルなポイントをかなりたくさん指摘いただいた最終的な研究計画書のまとめがこれでございまして、そこに行くまでの長い道のりの中で、極めてたくさんの指摘事項があったということは、山口先生がおっしゃったとおりでございます。
できれば、ここまでの長いこの照会事項等のやりとりなく、すんなり通るような形の研究計画書を最初から用意していただきたいというのは、山口先生御指摘のとおりでございますので、そのことがあった末での承認ということを確認していただいたと思っております。ありがとうございました。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
そのほかはいかがですか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
それでは、福井構成員にお戻りをいただきたいと思います。
(福井構成員着席)
○五十嵐座長
それでは、「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」に移りたいと思います。資料が3つ本日提出されております。順番に御説明いただきたいと思います。
まず1件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、1件目につきまして、資料、先-4-1に基づいて御説明をさせていただきます。
今回、旧告示番号13番として実施されておりました「NKT細胞を用いた免疫療法」につきまして、国立病院機構名古屋医療センターから総括報告書の提出がございました。
まず、技術の概要でございますけれども、こちらは、肺がん(小細胞肺がんを除き、ステージがIIA期、IIB期またはIIIA期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る)という適応症になってございました。
こちらが、II~IIIA期非小細胞肺がん完全切除例で、術後補助化学療法後にαガラクトシルセラミドパルス樹状細胞を用いた免疫療法の有無で2群にランダム化する第II相試験を行い、無再発生存期間を主要な評価項目として、その有効性、安全性を検討し、新たな治療の選択肢を開発することを目的とした、そういった試験となってございました。
次に、同じページの下方の医療技術の試験結果、有効性の評価結果のところでございますが、「最大の解析集団を対象に2年生存率を解析した結果、無再発生存率は、NKT細胞療法治療群では63.0%、標準治療群では74.3%が得られた。また、2年生存率はNKT細胞療法治療群では96.2%、標準治療群では89.0%が得られた。p値がそれぞれ0.43、0.31ということから、NKT細胞療法群は第III相試験に進む価値を有する治療法であるとみなされないと評価した。」とのことでございます。
また、ページをおめくりいただきまして、2ページ目、安全性の評価結果のところでございます。こちら、「本細胞治療に関連すると判断された重篤な有害事象は1件であった。有害事象名は全身性強皮症であった。初回治療が2015年10月21日、4回目の治療完了が2015年12月9日であった。発現日は2017年11月14日であったが、自己免疫疾患であることから、因果関係は不明とされたが、転帰は軽快であった。」とのことでございまして、次の段落のところでございますが、「本細胞治療施行期間中に発生した重篤な有害事象としては1件の全身性強皮症があり、因果関係は不明とされたが、その後、細胞治療効果安全性評価委員会の見解を踏まえ「因果関係は否定できない」とされた。その他、有害事象として、4名11件に起こったが、うち2件は因果関係が否定でき、8件は因果関係が否定できない事象と判断された。臨床検査値の増加及び発熱(grade 2以下)の軽微なものであった。1件の肺臓炎(grade 1)は因果関係が不明とされた。」とのことでございます。
続きまして、総括のところでございますが、「以上より、NKT細胞を用いた免疫療法として、体内のNKT細胞活性化を目指すα GalCerパルス樹状細胞の静脈内投与の安全性は高いことが示唆されたものの、「NKT細胞療法群と標準治療群の無再発生存期間が等しい」とする帰無仮説を否定することはできなかった。」とのことでございます。
次に、「2.先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果」の「(2)議事概要及び検討結果」のところでございますが、「国立病院機構名古屋医療センターから提出のあった総括報告書について、先進医療技術審査部会で、有効性・安全性等に関する評価が行われた。投与回数は限定されていること、また、α GalCer活性化自己樹状細胞の作用が抗腫瘍効果として間接的であることからも、有効性を示すのは困難であった可能性もあるが、Substudyを行うことで、有効性を示しうる症例の選択基準が明確になる可能性に期待したいとの評価であった。」とのことでございます。
続きまして、御担当者の先生の御評価につきまして、説明をさせていただきます。別紙6の3ページを御覧いただければと思います。
まず、主担当の松山構成員からの御評価でございますけれども、有効性については、「D、従来の医療技術を用いるよりも劣る」と御評価をいただいております。安全性につきましては、「A、問題なし」と御評価をいただいております。技術的成熟度については、「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と御評価をいただいております。
次に、総合的なコメント欄のところでございますが、「先進医療の名称は「NKT細胞を用いた免疫療法」であるが、αGalCerで活性化した自己樹状細胞の投与により、NKT細胞が活性化され、腫瘍退縮効果をもたらすことを期待した細胞治療である。投与回数が限定されていること、また、α GalCer活性化自己樹状細胞の作用が抗腫瘍効果として間接的であることからも有効性を示すのは困難であった可能性もある。」続きまして、ページをおめくりいただきまして、「本領域において適切に行われた臨床研究としてほぼ最初の報告であると思われる。本試験結果が広く周知され、がん患者が自らの判断で適切な医療を享受することを望む。」とのことでございます。
続きまして、薬事承認に資するかどうか等の助言欄のところでございますが、「Substudyを行うことで、有効性が示しうる症例の選択基準が明確になる可能性もあり、期待したい。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、副担当の上村夕香理構成員の御評価を紹介させていただきます。
まず、有効性につきましては、「C、従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と御評価をいただいております。こちら、コメント欄のところでございますが、「本研究は、非小細胞肺がん完全切除例で病理病期II~IIIA期、シスプラチン+ビノレルビンによる術後補助療法後の患者におけるNKT治療群の無治療群に対する有効性を有意水準20%と設定した下で探索的に評価した試験である。主要評価項目である無再発生存期間について、ログランク検定の結果p=0.43と算出され、統計学的な有意差は得られなかった。なお、2年生存確率はNKT群で63.0%、無治療群で74.3%であり、検出力不足により有意差が得られなかったわけでもない。また、探索的な検討として、NKT群において末梢血単核球のサイトカイン産生能IFN-γ倍率及びグランザイムB値で分類し、その変化量と無再発生存期間を比較しているが、現時点の解析結果からは、変化量が大きいほうが有効性を有することを示すデータは得られていない。以上より、本試験結果から本治療の有効性は認められない。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして、安全性のところでございます。こちらは「B、あまり問題なし」と御評価をいただいてございます。コメント欄のところでございますが、「本細胞治療施行期間中に発生した「因果関係が否定できない」重篤な有害事象としては1件の全身性強皮症があったが、転帰は軽快であり、その他因果関係が否定できない事象として8件あったものの、いずれも臨床検査値の増加及び発熱(grade 2以下)の軽微なものであった。以上より、大きな安全性の懸念はなかったものと評価した。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、技術的成熟度は「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と御評価をいただいております。
事務局からは、以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございます。
ただいまの御説明に何か御質問等はございますか。
よろしいですか。
ありがとうございました。
では、2件目に移りたいと思います。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、2件目につきまして、資料、先-4-2に基づいて御説明をさせていただきます。
今回、旧告示番号15番として実施されておりました「術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法」につきまして、静岡県立静岡がんセンターから総括報告書の提出がございました。
まず、技術の概要のところでございますけれども、こちらは、切除が可能な高度リンパ節転移を伴う胃がん(HER2が陽性のものに限る。)という適応症となってございます。
こちらの技術は、高度リンパ節転移を有するHER2陽性切除可能進行胃がん・食道胃接合部腺がん患者を対象として、非盲検、同時対照のランダム化比較試験の多施設共同研究で行うことにより、術前S-1+CDDP療法+手術に対するトラスツズマブの上乗せ効果を検証するという試験となってございました。
次に下方の医療技術の試験結果、有効性の評価結果のところでございますが、「R0切除がA群20例、B群22例に行われた。画像奏功割合はB群66.7%で、A群36.4%、p=0.08で、より高い傾向が見られた。病理学的奏功割合ypStage0/I/IIへのダウンステージが得られた割合も同様にB群で高い傾向が見られた。プライマリーエンドポイントである全生存期間に関しては、3年及び5年経過時に解析予定である。」とのことでございます。
また、安全性の評価結果のところでございますが、「術前化学療法はA群20例、B群23例で完遂となった。術前化学療法中止の理由は、A群では無効中止、有害事象中止がそれぞれ1例、B群では有害事象中止が1例であった。術前化学療法中のGrade3/4の血液毒性、非血液毒性の発生割合は、A群でそれぞれ27.3%、18.2%、B群でそれぞれ4.2%、8.3%とトラスツズマブ併用による有害事象発生割合の増加は見られなかった。また、両群とも術中合併症を認めず、Grade3/4の術後早期合併症の発生割合もA群9.1%、B群12.5%とほぼ同等であった。以上より、トラスツズマブ併用により術前化学療法中の有害事象発生割合及び術後早期合併症発生割合の増加は見られないことが示された。」とのことでございます。
総括のところでございますが、「本試験は登録不良のため、プロトコール規定に基づき2021年3月25日に登録終了となった。目標登録数130例に対して46例の登録にとどまっており、十分なサンプルサイズのもとでの解析結果ではないものの、トラスツズマブ併用により有害事象は増加しないことが示唆された。また、画像奏功割合、病理学的奏功割合ともにB群が上回っており、今後解析予定の3年、5年経過時点での生存割合でも良好な結果が得られることは期待される。一方で、本試験の適格患者数は当初の想定を大きく下回っており、「高度リンパ節転移を有するHER2陽性切除可能進行胃がん・食道胃接合部腺がん」を対象とした治療開発戦略に関しては、再考する必要がある。」とのことでございます。
次に、「2.先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果」の「(2)議事概要及び検討結果」のところでございますが、「静岡県立静岡がんセンターから提出のあった総括報告書について、先進医療技術審査部会で、有効性・安全性等に関する評価が行われた。
目標症例数の約35%しか登録できていないことから評価は困難であるが、本治療の胃がん治療における位置づけを再検討した上で、今後の研究の方向性を決める必要がある。」との評価であったとのことでございます。
続きまして、御担当者の先生の評価につきまして説明をさせていただきます。別紙7の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは主担当の山口構成員からの御評価でございますけれども、有効性についてはC、従来の医療技術を用いるのと同程度であると御評価をいただいております。コメント欄のところでございますが、一部に有効性を示唆するデータはあるが、130例の目標症例数に対して46例しか登録できておらず、有効性の評価は困難とコメントをいただいてございます。
続きまして、安全性については「B、あまり問題なし」と御評価をいただいております。コメント欄のところでございますが、「従来の治療法とほぼ同等の副作用あり。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、技術的成熟度については「A、当該分野を専門とし、経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と御評価をいただいております。コメント欄のところでございますが、「技術的には容易」とコメントをいただいてございます。
総合的なコメント欄のところでございますが、「目標症例数の約35%しか登録できていないので評価は困難。本治療の胃がん治療における位置づけを再検討した上で、今後の研究の方向性を決める必要がある。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、4ページ目をおめくりいただければと思います。こちらは、副担当の飛田構成員からの御評価でございます。
まず、有効性については「C、従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と御評価をいただいております。コメント欄のところでございますが、「本試験は130例中46例で登録終了となり、全登録患者の術前化学療法と手術が終了した時点までの短期成績として、画像奏功割合、病理学的奏功割合、ypStage0/IIへのダウンステージなど数値的に本医療技術群で高い傾向が認められていますが、根治切除割合は両群ともに90%を超えていること、生存に関する成績はまだ評価されていないことから、現時点ではCと評価しています。ただし、計画時に予定していた主要評価項目である全生存期間や無増悪生存期間に関する評価は、今後、追加レポート、総括報告書(増補版)と提出されることから、今後、それらの結果も含めた検討、評価は必要であると考えています。なお、当初の予定症例数が登録できなかった原因については、研究計画段階からの治療環境の変化の影響は少なく、試験の適格基準が厳格に定めていたため、基準を満たす患者数自体が想定より大きく下回ったとの考察がされており、そのため、ロードマップで実施予定であった第III相試験の実施は困難であることから、国際共同も含めた企業治験を中心とした治療開発を期待する旨の説明がされています。」とコメントをいただいてございます。
5ページ目をおめくりいただきまして、安全性のところでございますが、「B、あまり問題なし」と御評価をいただいております。こちらコメント欄のところでございますが、「術前化学療法中では対照群に比べ有害事象発生割合の増加は認められていませんが、術後早期合併症でG3の腹部感染が3例で認められていることから、若干の注意喚起は必要であると考えます。」とコメントをいただいております。
技術的成熟度につきましては、「A、当該分野を専門とし、経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と御評価をいただいております。
事務局からは、以上でございます。
○五十嵐座長
御説明ありがとうございました。
それでは、何か御質問ございましたら、お願いいたします。
よろしいですね。
どうもありがとうございました。
それでは、3例目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、3件目につきまして、資料、先-4-3に基づいて御説明をさせていただきます。
今回、旧告示番号46番として実施されておりました「マルチプレックス遺伝子パネル検査」につきまして、東京大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございました。
まず、技術の概要でございますけれども、こちらは、治癒切除不能または再発の病変を有するがん患者が適応症となってございまして、標準治療が既に実施されており、根治が困難と考えられるPerformance Statusが1以下のがん患者を対象として、マルチプレックス遺伝子診断パネルである東大オンコパネルを用いて解析し、治療介入への判断の根拠または病理組織学的診断の補助となり得る遺伝子異常を持つ症例の頻度を求めることで、Todai OncoPanelの臨床的有用性を検証するという試験となってございました。
次に、下方の医療技術の試験結果、有効性の評価結果の「1)治療介入の判断根拠となる遺伝子変異」のところでございますが、「治療介入への判断根拠となる遺伝子変異の定義は、検査実施時点におけるTier分類がTier 1,2及びRに分類される遺伝子異常、並びにhypermutatorとした。結果として、Tier 1,2,R, hypermutatorのうち、1つ以上有するものは108例(54.5%)であり、その内訳は、Tier分類にてTier 1が11例、Tier 2が88例、Tier Rは5例、hypermutatorが4例であった。」とのことでございます。
また、「2)病理学的診断の補助となる遺伝子変異の同定に至ったものは20例(10.1%)であった。」とのことでございます。
ページをおめくりいただきまして、「上記1)、2)のいずれかを満たす患者頻度は117例(59.1%)であった。」とのことでございます。
また、安全性の評価結果のところでございますが、「試験期間中にモニタリングを4回実施した。モニタリングにより、協力医療機関の症例で実施計画書からの逸脱が一気に判明し、倫理委員会及び先進医療技術審査部会に報告を行ったが、倫理面や有効性及び安全性の評価に影響を与える重大な逸脱には当たらなかった。人体への直接の介入や強い身体への侵襲は生じないため、安全性に懸念を生じる事項は考えてはいなかったが、日常診療の中で行われた採血や組織採取についても安全性に懸念を生じるような症例はなかった。」とのことでございます。
続きまして、総括のところでございますが、「主要評価項目を満たす患者頻度が59.1%であり、本検査の有用性が示された。副次評価項目においても、既承認薬との高い一致率による検査の妥当性、遺伝カウンセリングを要する生殖細胞系列の変異の同定による遺伝性腫瘍の診断への寄与が示された。研究実施期間中に対応する治療薬が投与された頻度は6.6%であり、治療への到達性における課題も確認された。」とのことでございます。
次に、「2.先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果」の「(2)議事概要及び検討結果」のところでございますが、「東京大学医学部附属病院から提出のあった総括報告書について、先進医療技術審査部会で有効性・安全性等に関する評価が行われた。
現段階では、がん遺伝子パネル検査の有用率が高くないが、がん化学療法の最適化には有効であると思われる旨、がん遺伝子パネル検査がアカデミアを中心として複数開発中であるが、その臨床的有用性を比較検討する際の資料として有用である旨の評価であった。」とのことでございます。
続きまして、御担当者の先生の評価につきまして、説明をさせていただきます。別紙8の3ページ目を御覧いただければと思います。
主担当の伊藤澄信構成員からの御評価でございますけれども、有効性に関しては「C、従来の医療技術を用いるのと同程度である」と御評価をいただいてございます。コメント欄のところでございますが、「本研究の有効性の基準となるTier分類ではTier1症例が11例、Tier2としての科学的根拠のあり、治験・先進医療等の適応外使用医薬品の可能性がある症例が88例あったことが示されている。治療抵抗性にかかわるTierRが15例、臓器横断的なバイオマーカーで、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を示唆する腫瘍遺伝子変異量高スコア14例が認められている。しかしながら、本がん遺伝子パネル検査によって治療がされた症例は6.6%にとどまっている。2019年6月からFoundationOne CDxとNCCオンコパネル、さらにFoundationOne Liquid CDxは保険診療でも使用可能になっている。既承認がんコンパニオンで診断された症例との比較で45例中44例で一致をみているが、保険承認されているがん遺伝子パネル検査と比較されているわけではないので、既存の診断方式に対してより有用か判断することは困難である。しかしながら、既存のがん遺伝子パネルによって、治療に結びつく症例の割合は10%程度であるとの報告があることも踏まえて、既存方法と同様と評価した。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、安全性につきましては、「A、問題なし」と御評価をいただいておりまして、コメント欄のところでございますが、「病理診断で用いられる余剰検体及び血液が用いられることから、問題ないと判断した。」とのことでございます。
ページをおめくりいただきまして、技術的成熟度のところでございますが、「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる。」と御評価をいただいております。コメント欄のところでございますが、「エキスパートパネルについては、高い専門性が求められると考えBとした。」とのことでございます。
総合的なコメント欄でございますが、「Todai OncoPanelによる解析はホルマリン固定パラフィン包埋からのDNA/RNA抽出、末梢血単核球からのDNA抽出に基づいたDNAパネル及びRNAパネルによるDNA 464遺伝子、RNA 463遺伝子の変異結果について独自の知識データベースを使ったエキスパートパネルによる臨床的な意義づけが特徴とされている。しかしながら、本試験の結果からは、Todai OncoPanelの優位性が示されたとは言い難いのではないか。また、知識データベースの更新も検査対象が広い分だけ人的リソースが必要になることが憂慮される。」とコメントをいただいております。
薬事承認の申請に資するかどうか等についての助言欄でございますが、「現段階ではがん遺伝子パネル検査の有用率は高くないが、がん化学療法の最適化には有効であると思われる。がん遺伝子パネル検査がアカデミアを中心として複数開発中であるが、その臨床的有用性を比較検討する際の資料として有用であると考える。」とコメントをいただいてございます。
続きまして、5ページ目に移らせていただきます。副担当の伊藤陽一構成員の御評価でございますが、有効性については「E、その他」と御評価をいただいております。こちらコメント欄のところでございますが、「抗がん剤が標的とする遺伝子変異の頻度が推定されただけであるので、該当の遺伝子変異を標的とした抗がん剤による治療で生存率等が改善するかは不明であり、従来の医療技術との比較は困難である。」とコメントをいただいてございます。
安全性につきましては、「A、問題なし」と御評価をいただいておりまして、コメント欄のところでございますが、「体外診断薬なので、安全性については問題ない。」とコメントをいただいております。
技術的成熟度については、「D、その他」と御評価をいただいておりまして、「体外診断薬なので、技術的成熟度は該当しない。」とコメントをいただいてございます。
事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
それでは、何か御質問等はございますでしょうか。
福井構成員どうぞ。
○福井構成員
今の3つ目のマルチプレックスについて、この研究のメインのところではなくて申し訳ないのですが、解析したゲノムの結果に基づいて対応する治療薬が投与された6.6%の方々についてのフォローアップはきちんと行って結果が発表されることになっているのでしょうか。そのような研究デザインになっているのかどうか、もし分かりましたら、教えていただきたいのですが。
○研究開発振興課長補佐
御質問ありがとうございます。事務局でございます。
それぞれ実は問い合わせているのですが、もともとその規定がなくて、実はされてないという御回答を得ております。残念ながら、そのような状況でございます。
以上でございます。
○五十嵐座長
研究成果としてそのようなデータが示されると、参考になると思います。今後は、そのような規定をつくることを検討したほうが宜しいかもしれません。
福井先生、どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、先進医療Bの総括報告書3つにつきましては、御報告をいただいたということにしたいと思います。
続きまして、「粒子線治療に対する科学的評価について(案)」についての資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、資料、先-5に基づきまして、御説明をさせていただきます。
まず、「1.背景」の1マル目でございますが、令和3年12月2日に開催された第105回先進医療会議におきまして、診療報酬改定に向けた粒子線治療の科学的評価として、全適応症を対象としたものについては、総合IIbと評価がされたところでございます。
続きまして、2マル目のところでございますが、事前評価におきまして、1ポツ目、一部の適応症について一定の科学的根拠があるが、科学的根拠の乏しいものも存在する。
2ポツ目、適応症ごとにエビデンスは検討されるべきであり、有効性・安全性等の評価が十分なものから順次検討すべきなどの指摘がされていることを踏まえ、適応症ごとのエビデンスを、第106回先進医療会議において検討することとしたというところでございます。
なお、前回の会議資料につきましては、参考資料2としてつけさせていただいておりますので、併せて御確認いただけますと幸いでございます。
続きまして、「2.検討に当たり使用するエビデンスについて」のところでございますが、日本放射線腫瘍学会(以下、「学会」とさせていただきます。)より提出された「先進医療として実施した粒子線治療と既存の放射線治療と比較」(以下、「報告書」とさせていただきます。)報告書においては、適応症ごとに解析結果がまとめられているところでございます。こちらの報告書本体につきましては、事前に先生方に送付をさせていただいておりますが、解析結果の要約として、適応症ごとに「問」と「回答」が作成されており、別添として、3ページ以降に要約をつけさせていただいております。
続きまして、「3.粒子線治療に対する適応症ごとの評価について(案)」の1マル目のところでございますが、今般、学会より提出された報告書の内容を踏まえ、以下のとおり評価し、医療技術評価分科会へ送ることとしてはどうかという提案でございまして、評価を御担当いただいた先生方の御意見を集約いたしまして、このように整理をさせていただいたものでございます。
まず①、既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示された以下の適応症については、「十分な科学的根拠があるもの」として評価することとするというものでございます。
こちらについては、参考資料1としてつけさせていただいております「令和4年度診療報酬改定に向けた先進医療の保険導入等及び施設基準の見直しイメージ」の資料を御覧いただければと思いますが、こちら中ほどの「会議としての評価結果」のところの上段の黄緑色のところに該当するイメージとなってございます。
それでは、先-5にお戻りいただきまして、こちらの区分に該当する具体的な適応症といたしましては、まず1ポツ目、大型の肝細胞がん、2ポツ目、肝内胆管がん、3ポツ目、局所進行膵がん、4ポツ目、大腸がん術後局所再発、5ポツ目、局所進行子宮頸部腺がん(重粒子線治療のみ検討対象)となってございまして、いずれも、切除不能のものに限られたものとなってございます。
続きまして、2ページ目のところでございますが、②、既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示されず、引き続きエビデンスの集積が望ましいと考えられるその他の適応症については、「一定の科学的根拠があるもの」として、評価することとするというものでございます。
再び、参考資料1にお戻りいただきまして、こちらの資料、「会議としての評価結果」のところの中段のところに該当するイメージとなってございます。
先-5にお戻りいただきまして、2マル目、3マル目のところでございますが、先進医療会議における評価結果を医療技術評価分科会へ送り、審議の結果、保険適用が妥当とされた適応症については、先進医療告示から削除することとしてはどうか。
また、その他の適応症については、先進医療Aまたは先進医療Bとして継続することとしつつ、今後の対応方針について改めて議論することとしてはどうかとさせていただいてございます。
また、別紙9とさせていただいております資料は、「先進医療Aとして実施した粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)の最近1年間の実施状況」として、毎年学会のほうから御提出いただいているものでございまして、1年間の実施件数等が記載されてございます。併せて御確認いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ありましたら、お願いいたします。
○山口構成員
よろしいですか。
○五十嵐座長
それでは、先に山口構成員お願いします。
○山口構成員
コメントです。今回はかなりしっかりしたデータが出てきましたけれども、前のを見ますといろいろで、ちょっと不十分なものもあったと思います。
今回は、具体的に5種類ほど、これはやってもいいのではないかというようなことが示されました。これは、実際に現場から見ても、特に手術など局所のコントロールができなくて、ほかに手立てがないようなものについて、陽子線とか粒子線をやられた例を見ますと、意外に長生きする例があるようです。そういうことが裏づけられたという意味でも、ぜひ、これは前向きに臨床の現場でやれるようにしていただけると、大変ありがたいと思います。
ただし、これ以外のものについては、このまま漫然と続けても、評価がいつまでも進まないという懸念もあります。一度再整理していただいて、評価をきちんとしていただくということも、ぜひ、併せて行っていただきたいと思います。
それから、ちょっと誤解を招く可能性があると思うのですが、手術など局所のコントロールができないものについては全部やってもいいということではありません。遠隔転移の中でも、腹膜播種があるものについてまで、手術ができないからということで対象になるわけではないということも、ぜひ御理解いただきたいと思います。
以上です。コメントです。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
それでは、新井先生お願いします。
○新井構成員
新井でございます。
今回の報告書を興味深く拝読いたしました。私の専門の髄膜腫についてはまだまだだなというところで、到底、この明確な科学的根拠を示すには至っていないと考えるところです。一方で、今回5つのがんが俎上の上にあるわけですけれども、これは極めて私の素人的な考えに基づき目で見て、肺がんがどうなのかなと思って、事務局に実は事前に問い合わせをしましたが、私が思うほどそう単純な話ではないということがよく理解できました。
ただ、どこかのタイミングで、これだけしっかり放射線腫瘍学会まとめていただいたわけですから、今、山口先生がおっしゃられたように、先進医療として整理してやらないものはやらない、あるいは継続するものは継続する、そのへんのめり張りをつけるためにも、放射線腫瘍学会をリードするリーダーの先生に先進医療会議などに来ていただいて、お話を拝聴して、ディスカッションをするのも一つの方法かなと思って発言をさせていただきました。
以上でございます。
○五十嵐座長
御提案どうもありがとうございます。検討させていただきたいと思います。
それでは、福井構成員お願いします。
○福井構成員
私も単なるコメントですが、これだけ高額な機械を使ってやっている治療ですので、今回出てきたような、かなりきちんとした報告書がつくれるような科学的に妥当性の高い研究デザインを最初から策定できるような体制があるといいなと思いました。最初から研究体制がきっちりしたものになっていれば、もう少し短時間で成果を出すことができたのではないかと思います。
それから、今回、保険の対象にならないものも含めまして、比較対照と比べて有害事象が少ない傾向が認められたようですので、もしできましたら、生存期間にクオリティ・オブ・ライフの要素を組み合わせたQuality adjusted  Life Yearsみたいなものを指標の一つにして費用や投資したお金、労力などと組み合わせて評価する費用対効果というか、費用効果分析というか、そういうふうな方法も用いると、有効性を示すことができるのではないかという感触を持ちました。そういう意味でできるだけ様々なバックグラウンド・専門性を持った研究者でチームを作って最初から対応できればよかったのではないかという印象を持っています。
以上です。
○五十嵐座長
これも貴重な御提案ではないかと思います。どうもありがとうございました。
それでは、本田技術専門委員お願いします。
○本田技術専門委員
コメントさせていただきたいと思います。
福井先生、貴重な御意見ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。
それから、新井構成員からの肺がんについてはどうかという御意見がございました。私もそのことについてちょっとコメントさせていただきたいと思います。
まず、資料の55~56ページですが、ここに末梢型肺がんのデータがございます。末梢型肺がんで425例というかなりの数のデータが出ておりまして、そして、局所制御率98%、有害事象が0.9%とかなりよいデータが出ていると思います。
それから、56~57ページに中枢型の肺がんのデータが出ておりますが、これも制御率も有害事象も少ない。こちらは56例でございますが、では、末梢型の肺がんの425例では数が少ないのかと。解析もそれなりにきちんとしてあると思います。
この粒子線の特徴は、先ほどお話がありました、有害事象が少ない、肺毒性が少ないというような粒子線の特徴でございます。簡単に御説明いたします。59ページのカラーの写真を御覧いただいたらいいと思います。3つのこれは縦隔腫瘍の放射線治療における線量分布ですけれども、一番左のものが従来、昔からやっていた対向二門の治療でございます。真ん中が従来のX線で最も先進的な放射線治療であるIMRT、向かって右側が粒子線治療の線量分布でございます。対向二門では多くの正常組織にも放射線がかけられておりましたが、IMRTになって線量を高線量の部分と低線量の部分が分けられるようになりました。それでも、このブルーで示されている低線量域はかなりの領域でございます。ところが粒子線になりますと、このブルーの部分がほとんどなくなる。つまり、これは粒子線の特徴であるブラッグピークを粒子線は持っておりますので、腫瘍の辺縁で完全に線量分布がシャットアウトされてしまうということで、非常に高精度な放射線治療ができます。そのために、これは肺に限らずいろいろな領域で合併症が少ないという理由がここにございます。脳腫瘍でも、効果は変わらなくても、正常な部分に対する放射線の照射領域が抑えられるということで脳実質のダメージを避けられるという報告も出ております。米国では、既に保険収載されております。
まず肺がんでございますけれども、これは末梢型も中枢型もかなりのエビデンスがございますので、これで認められなければ、これから先、腫瘍学会へ対しどのような要求をしていったらいいのかなと思っている次第でございます。外科治療との比較もという御依頼があったようでございますので、外科治療との比較を63ページにございますけれども、3年生存率が、外科手術に比べて若干いいですけれども、あまり変わらない。
しかしながら、この対象は、従来の放射線治療、既にここで報告してある放射線治療は、定位放射線治療であったり、三次元原体照射であったり、強度変調放射線治療であったり、これまでの放射線治療よりも明らかにアップツーデートの放射線治療と粒子線を比較してございますので、それと比較しても、この62ページの左の米国のレジストリにもございますように、3年生存率が体幹部定位照射では63%が、粒子線では92%と、明らかに違いがございます。ですから、これはできましたら、肺がんに関しましても認めていただければありがたい。
それから、間質性肺炎がある方は放射線によるダメージが非常に強うございます。ですから、正常範囲に極力当てない粒子線治療は、間質性肺炎を持っていらっしゃる肺がんの患者さんにも大変有効で、これ以上の治療はないのではないかと私どもは思っております。どうぞ御検討をお願いいたします。
○五十嵐座長
肺がんについて、事務局の先-5の科学的評価の案では入っていなかったわけですけれども、本田先生はそれに追加をしていただきたいという、そういう御要望でいらっしゃいますか。
○本田技術専門委員
そうでございます。
○五十嵐座長
それについていかがでしょう。ほかの先生方は何か御意見ございますか。
○横井構成員
よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
どうぞお願いします。
○横井構成員
肺がんのI期で、手術可能症例と書かれていまして、I期の肺がんの手術症例に関しましては、今、画像所見で濃度が濃いものから薄いものまで、そういうもので分類がされていて、濃度が薄いものは手術でほぼ100%治っています。それも、5年生存率、10年生存率で比較されていまして、3年生存率で比較すること自体が、手術症例と対等かと言われると、なかなか厳しい状況だと思います。
ただ、どういう腫瘍に対してそういうものをやったかというのは、肺がん登録が5年ごとで手術成績を出していますけれども、大体手術例で1万例以上のデータでそれを解析していますので、そういうものと対等に比較して、せめて、Propensity Scoreでそういう予後因子を対等にしたもので比較していただけると納得がいくデータになるのではないかなと思います。
○五十嵐座長
どうぞ。
○本田技術専門委員
ありがとうございます。
確かに、グラウンドクラスGGOの所見に対して粒子線治療をするかという御意見かと思いますが、現在でも、GGOに対して放射線治療をせざるを得ない患者さんもおられます。そうであれば、通常の放射線治療よりも、さらに肺実質に対するダメージの少ない粒子線治療を優先していただければ、患者さんも助かるのではないかと思う次第でございます。GGOに関しては、外科的な手術を、内視鏡による手術を優先されるというのは、これは普通に行われていることだと思いますので、決して外科手術を否定するものではなくて、放射線治療が対象になるのであれば、通常X線治療よりも粒子線のほうが優れているということを申し上げている次第でございます。
○五十嵐座長
この点につきまして、ほかの委員の先生方から御意見をいただけますか。
新井先生はこの点についてですか。
○新井構成員
そうでございます。
○五十嵐座長
お願いいたします。
○新井構成員
私ももともと脳外科医でありますので、外科手術の優位性というのは非常に固く信じているのですけれども、この学会からの報告書は、基本的には、あくまでも従来の放射線治療との対比においてこの粒子線治療に優位性があるかないかを議論しているのだと考えます。もちろん外科で治療すべき症例が粒子線で治療されるという問題をどう捉えるかということは議論の対象にはなろうかとは思いますが、患者さんがやはり手術は受けたくないと、粒子線治療のほうがいいのだと、あるいは放射線治療がいいのだと、そういったような選択をするような場合にどうなるのか、あるいは、先ほどお話があったように、肺にもともと何か疾患があって外科手術のリスクが高いといった症例の場合に、選択肢として、この粒子線治療が果たして妥当なのかどうかと、こういうことが議論されるべきと理解をしています。つまり、粒子線治療と外科治療を純粋に比較することが本当に妥当なのかどうか、ちょっと疑問に思うところでありまして、発言をさせていただきました。
以上です。
○五十嵐座長
どうもありがとうございます。
お二人手を挙げていらっしゃるのですが、これについてでしょうか。
では、柴田構成員お願いします。
○柴田構成員
もともと別のコメントだったのですが、ちょっと今のことについてコメントさせていただきます。もう既に先生方がおっしゃるお話について、私、統計家の立場から異論をはさむものではないのですが、外科手術とSBRTの比較をしようとするだけでも、既にSBRTを選択される方が比較的高齢の方が多いとか、あるいは、もともと手術を選択するかしないかというところで、かなり患者さんの背景が変わってくるということがある状況で、SBRTに対して、あるいはコンベンショナルな放射線治療に対して粒子線治療が上回っているという話は、確かにその傾向があるにせよ、シンプルに議論できるものではないという認識をしております。私、横井先生のお話を踏まえたコメントです。
一方で、本田先生あるいは新井先生がおっしゃっている話は、突き詰めると、結局、対象をどのように絞り込んでいくべきかという議論が本筋であって、肺がんあるいは集団を広く取ったところでの議論ではなくて、具体的にこのような条件を満たす方であれば、手術よりも一般的な放射線治療よりも粒子線治療のほうがよいであろうという話になると思うので、そこのどのように絞り込みをしていくべきかというデータを丁寧に整理していく必要があるという段階にあるのではないかなと認識しております。薬物療法などでは、個別化の話はもうどんどん進んでいるわけですが、それと同じような議論をしないといけなくて、それを議論するには、十分な情報の整理がされていないのではないかなと考えている次第です。
○五十嵐座長
コメントありがとうございます。
福田先生も、これについての御意見ですね。
○福田構成員
はい。
○五十嵐座長
お願いします。
○福田構成員
福田でございます。
私も資料を拝見させていただいて、確かに比較対照としては、放射線治療と比べるというところだと思います。特に、本田先生がおっしゃっていただいた末梢型などについて見てみると、四百何例集めていて、それはそれなりに蓄積をしていただいた数ではないかと思います。その中で、一応結果の資料です。56ページの上のほうにあるかなと思うのですけれども、拝見すると、3年生存率とかで従来のものと比べて差があるようには見えないのではないか。範囲で見ても、従来の文献のものと比べても差はないところではないかと思います。そういう意味では、ほかの今回明確なエビデンスがあるとされたものでは、比較的生存率等で改善がしっかり見られているのに対して、そこまでは至っていないと。
一方で、有害事象のほうも、これは比較対照が0からになっていますので、これもそんなに差がないように見えるのですが、実際は、多分、少し違いがあるのかなと思うのですけれども、これについては、先ほどの福井先生の御提案に私も賛成で、これまで有害事象も含めて何か優位性を示すのであれば、生存率だけではなくて、この有害事象に伴う左の経過とかを考慮して、例えばQOLとおっしゃっていただけましたけれども、私も賛成でありまして、例えばそういう指標をお示しいただくとか、それに加えて、費用対効果のほうもやっていくとか、そういうようなものを体制が必要かもしれませんが、示していただくというのが、次の方法としてはあるのではないかなと考えております。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
肺がんの点で、今、議論しているのですけれども、何かほかに御意見ございますか。
そういたしますと、十分な科学的根拠があるものとして入れていただきたいという御意見があるのですけれども、1つは、56ページですけれども、生存率に大きな差がないことと、それから、柴田先生が御指摘になった、どのような患者さんにこの重粒子線治療をするのがいいのかというような絞り込みが必要であることと、それから、QOLを考えた評価もしていただきたいという、そういう御意見だったと思いますけれども、そういう指摘を踏まえた上で、現時点で十分な科学的な根拠があるものとして、科学的評価の中に追加すべきかどうかということなのですけれども、いかがでしょうか。今の時点で、この資料だけで追加すべきであるかというふうにお考えでしょうか。それについて御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
なかなか難しいとは思うのですけれどもね。
横井先生いかがですか。今までの議論を全部踏まえた上で、御意見いただけますか。
○横井構成員
この中には、「手術可能症例」という言葉が出てきて、手術可能症例の治療成績が普通のX線をやったものよりも良好だということですけれども、「手術可能症例」には「手術を拒否する患者さん」は含まれますが、「心肺機能が悪い人」は入ってない。それから、先ほどの「間質性肺炎があって手術の対象にはならないという方」のみに絞った形での議論であれば、これがエビデンスとしては出てくるのですけれども、「手術可能症例」という言葉だけが走っていて、ごちゃ混ぜになっている気がいたします。
なので、そのへんの線引きがはっきりした段階で、「身体的に手術が可能ではない」、あるいは、「手術を拒否する」という方たちだけを対象に、既存の放射線治療と粒子線治療を比較したデータでQOLなり、治療効果なりをはっきりと対比したものが示されると、中医協に提供できるのではないかなと思います。何か議論が、手術と対比して云々というところで、では、手術に優るデータが出るかと言われると、なかなかそこは難しいような気がして、この資料を何回も読んでみたのですけれども、「手術可能症例」という言葉が中に出てきてしまうので、そのへんの線引きが、どこで区分けして、どういう対照群でというのがちょっと分かりにくいという感じがいたしまして、今回の時点でそれを明示して、エビデンスがあるから出すというふうには、ちょっと僕はならないのではないかなという気がいたしました。
○五十嵐座長
どうもありがとうございます。
それでは、全体を考えますと、この十分な科学的な根拠があるものの中に今回は入れることはできないということでよろしいでしょうか。もちろん、今日御指摘いただいた幾つかの点を検討していただいて、データをまた出していただくことは可能だとは思いますけれども、御検討いただきたいと思います。
そのほかについて、お二人手を挙げていらっしゃいますので、それでは、まず竹内構成員何かございますか。
○竹内構成員
ありがとうございました。
改めて、先-5の資料を科学的評価について(案)のところで、マル1の「既存治療(X線治療等)と比較して」というこの5つのマルポツが今回新たに保険適用の評価に耐え得るものとして挙げられたのですが、このマル1のこの文言が非常に重要かなと改めて思いました。「既存治療(X線治療等)と比較して、生存率等の臨床的アウトカムの改善が明示的に示された」ものということになる。「十分な科学的根拠」というのは、少なくともこの言葉を考えると、生存率でX線治療等と比較して明らかに優れているということが示されたものというのが、多分最低限のことなのだなというふうに理解いたしました。
「十分な科学的根拠」とそれだけでいいのかという、あるいは、どういうものを示したらば十分な科学的根拠なのかという質問を学会から受けるのではないかというふうに私はちょっと危惧いたしまして、改めて、今のディスカッションの中で、先ほどのQOLを入れたほうがいいのではないかとか、安全性についての評価を入れたほうがいいのではないかとか、それから、適応について、特に手術について、手術不能症例、手術可能症例の差について、こういう文言の中に盛り込んだほうがいいのではないかというような議論が出てくるのではないかと思います。
ということで、このマル1の文言で「十分な科学的根拠」とは何かということを少し今のディスカッションを踏まえてまとめられるといいのかなと思いました。私は、このマル1のこのセンテンスが非常に重要な意味を持っていて、多分、放射線治療学会もこれを目指して、例えば今の肺がんの議論がそうだと思いますが、いろいろなこれから研究を進めていかれるのではないかと思いましたので、これが非常に重要な意味を持ってくると思いました。
○五十嵐座長
どうも、御指摘ありがとうございました。それは検討させていただきたいと思います。
柴田構成員どうぞお願いします。
○柴田構成員
ちょっと全く違う話になってしまって恐縮ですけれども、先ほどの先-5の1ページ目から2ページ目の適応症ごとの評価についての(案)についてのコメントです。
マル1については、既に、結論自体は異存はございません。
マル2についても、扱いについては異存はございませんが、このマル2の中に、先ほど本田先生から御指摘のあったような、今後、きちんとデータを精査するなり、あるいはデータが蓄積していけば、期待が持てる対照と、このまま続けても、そういうメリットが示し得ない対照とがあると思われます。最初に、この粒子線治療の評価を始めたときに、広く間口を広げて、いろいろな患者さんを対照として実施してみるということは、全く否定されるべきものではないと思うのですが、そのまま漫然と続けてしまうことのデメリットもあるかと思います。
ですので、このマル2については、期待が持てないと思われるような対照については、一定の条件を決めて、もうAからも外すというようなことを考える必要があるのではないかなと考える次第です。
マル1のほうについては、データが蓄積していって、例えば既存のものに対して生存率等が開いてきたという成績が出てくることによって拾い上げられるという仕組みがありますが、逆に、それが拾い上げられる可能性がなくなったという、臨床試験で言うと無効中止の基準のようなものがないままずっと続いてしまいますと、少数であっても、本来期待が持てない方に先進医療Aとして御負担をいただきながらずっと続けられるということになるので、やめる基準、諦める基準というのも検討していただく必要があるのではないかなと。一律に決められるものではないと思いますが、期待が持てるものを抜き出すということの反対のアプローチとして、もう諦める線引きなども一定程度示していただく必要があるのではないかなと思う次第です。
以上です。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
今、御指摘いただいたことは、マル3として、そのような、無効中止のような基準をこれから検討することも必要であるという文章を入れたほうがいいという、そういう御指摘でもありますね。
ありがとうございます。それは検討させていただきたいと思います。
これについては、ほかの先生方からも既に御指摘をいただいているのではないかと思いました。
そのほか、いかがでしょうか。
福井構成員どうぞ。
○福井構成員
先ほど、竹内先生がきれいにまとめてくださったことですが、全般的に、治療効果が上がっていくと、有意差を出すのがますます難しくなっていくと思います。20~30%のレベルでの比較と、80~90%レベルでの比較ではかなり違ってきていて、比較上、ますます有意差を出すのが難しい場面が多くなるように思います。
したがって、科学的根拠といいますか、評価の指標には、生存期間とか生存率だけではなくて、ほかの要素も今後はますます組み入れる必要性が高まるのではないかと思います。そういう意味で本田先生がおっしゃった理論は分かりますし、もし、そのとおりだったら、粒子線治療がすばらしいということは分かりますが、そのことを臨床的に表す何かしら指標がないと、理論だけに基づいて直ちに認めましょうというふうになかなかなりにくいのが残念なところですので、ぜひ、クリアカットに照射領域を限定できるということが、有害事象にどのように反映されているのかをどうにかして示せないかなと思いました。
以上です。
○五十嵐座長
重要な御指摘ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
柴田構成員どうぞ。
○柴田構成員
先ほどのコメントとは違う切り口で、今、福井先生のお話を踏まえて、ちょっと追加させていただきます。
先ほど本田先生から御指摘のあった話も踏まえてのコメントですが、例えば、ある条件を満たす患者さんにとっては、粒子線治療で著しいメリットが生じ得るという集団は当然あると思うのです。ただし、そういうものを取り上げようとすると、患者さんの選び方を今の先進医療Aのような選び方では多分評価ができず、例えば間質性肺炎がある方であるとか、一定の基準を設けて対照の方を記述して、その中で粒子線治療の特性によって安全に治療ができて、治療成績は既存のものに劣らない、あるいは既存のものと同等以上であるということを示すというアプローチが必要になってくると思います。
それは、先ほど申し上げた話にもつながるのですが、対象を絞り込む条件をどうやって決めるかというところが本質で、それを今のAのまま続けるよりも、そのようなものには積極的にBとして出していただいて評価をされるほうが、よりしっかりとした粒子線治療のよさを評価できることにつながるのではないかなと思う次第です。
ちょっと僣越な言い方で恐縮ですが、肺がん領域の外科手術の臨床試験に私も関わってきましたし、肺がん領域のSBRTの臨床試験などにも関わってきた経験がありますが、肺がん領域の外科手術の臨床試験は、この20年ぐらいは、対象をどうやって絞り込むか、あるいは、いろいろな術式をどのような条件で選ぶとよいのかということを、20年間かけていろいろ検討されてきて、それで、著しい成果を上げておられるという印象を持っております。粒子線治療においても、必ずそういう集団があるはずで、小細胞肺がんと末梢細胞肺がんの広い意味で言うと、また、話がこじれてしまうかもしれませんが、そのような中に必ず現状の治療方法ではアンメットニーズがあって、そこに入り込む余地は必ずあると信じておりますので、そういうものはAのまま続けられるよりも、臨床試験としてBで上げていただくほうが、結果としてゴールに近づくのではないかなと思う次第です。
○五十嵐座長
御指摘どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
○本田技術専門委員
一点よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
どうぞ。
○本田技術専門委員
ちょっと話がずれるのですが、現在、がん拠点病院の認定条件でも、放射線治療医のみではなくて、放射線診断医の常勤化を定められております。ですから、放射線の切れがいいだけにターゲッティングが非常に難しい、極めて重要な治療でございますので、粒子線施設には診断医の常勤化も求めていただければと思います。
以上です。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
それでは、基本的には、事務局のお示しいただいた科学的評価(案)につきましては、御承認いただけますでしょうか。今日幾つか御指摘いただいた点も、多少文言を変えることはあると思いますけれども、1ページ目にあるマル1の5つのがん種については、現時点で十分な科学的な根拠があるものとして評価したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
ありがとうございました。
では、そのようにしたいと思います。
次に、事務局から、「令和4年度先進医療会議の開催予定(案)について」の資料が出ております。これについて御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
先-6を御覧いただければと思います。
こちら、令和4年度の先進医療会議の日程(案)をお示ししてございます。構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところとは存じますが、日程の御調整をお願いできれば幸いでございます。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
本日の議題は、残り「その他」となっております。
事務局から何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
構成員の先生方は、何かございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、本日の議論はこれで終了したいと思います。次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
次回の開催につきましては、令和4年2月3日(木)16時からを予定してございます。場所につきましては、別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
では、第106回先進医療会議をこれで終了したいと思います。御協力どうもありがとうございました。
 
 

 

 

 

(了)

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