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2022年3月3日 先進医療会議・先進医療合同会議(第108回先進医療会議、第129回先進医療技術審査部会)



〇先進医療会議(第108回先進医療会議) 



○日時

令和4年3月3日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員 北脇技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題


   1 新規技術(3月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
    (先-1)(別紙1)(別紙2)(別紙3)(別紙4)(別紙5)
    (参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)(参考資料4)
   2 先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価について
    (先-2)(別紙6)
   3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
    (先-3)(別紙7)
    4 先進医療Bの取下げについて
    (先-4)
   5 先進医療技術の保険導入について
    (先-5-1)(参考資料1)(参考資料2)
    (先-5-2)
   6 その他

○議事

 

先進医療会議
16:00開会

 
○五十嵐座長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
構成員の先生方の出欠状況ですが、福田先生が少し遅れていらっしゃるということで、それ以外の方は全員御出席です。
また、事前評価をしていただいた北脇技術専門委員にも御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿に続きまして、先-1「先進医療の新規届出技術について」としている資料がございます。こちらには別紙1~5、参考資料1~4がついてございます。
先-2「先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙6がついてございます。
先-3は総括報告書に関する評価についてでございますが、こちらには別紙7がついてございます。
先-4は「先進医療Bの取下げについて」としている1枚紙の資料がございます。
先-5-1の「手術等の医療技術の適切な評価」としている資料がございまして、こちらには参考資料1、参考資料2がついてございます。
最後に先-5-2「既存の先進医療に関する検討結果について」としている資料がございます。
資料につきましては以上でございます。
なお、今回の先進医療会議におきましてはウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては送付させていただいた資料を閲覧していただければ幸いでございます。
御発言いただく先生は会議資料のページまたは送付のみの資料のページと、あらかじめ御発言いただきますと議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
御説明ありがとうございました。
資料につきまして、何か過不足等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果を事務局から御説明願います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
まず、五十嵐座長、新井構成員、竹内構成員より、新規技術の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案における受理番号145の技術について御報告がございました。
五十嵐座長におかれましては、検討対象技術について、自施設からの申請であることから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることはできません。
新井構成員、竹内構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
そのほかの出席されている構成員におかれましては、申告すべきことはないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
次に「新規技術(3月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)」の資料が提出されております。5件あります。初めに、1件目と2件目を一緒に事務局から説明してください。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。今回、先進医療の新規届出技術について、振り分け審議をいただく技術は5件ございます。
先-1の資料に基づき、1件目と2件目について御説明をさせていただきます。こちらは受理番号141番と142番でございます。技術名はいずれも「着床前胚異数性検査」でございます。
適応症につきましては、いずれも「胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないもの、過去の妊娠で臨床的流産を2回以上反復しているもの、又は流産率のリスクを高める可能性のある染色体構造異常を有するものに限る)」となってございますが、こちらは141番と142番につきましては、使用する医療機器等が異なる技術となってございます。
今回、141番につきましては大阪大学医学部附属病院から、142番につきましては徳島大学病院から申請がございました。
かかる費用につきましては、それぞれ表にお示ししたとおりでございます。
次に技術の概要につきまして、補足も含めて御説明させていただきます。
参考資料3の「PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)について」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
左上の【概要】でございますが、本技術は胚盤胞から栄養外胚葉細胞を生検し、ゲノムの量的解析を行うことで、染色体の数的異常等の検査を行う技術でございまして、診断の結果を踏まえて、正数性の胚から優先して融解し、移植を行うというものでございます。
次に【期待される結果】でございます。当該検査結果を踏まえて移植胚を選択することにより、妊娠率の上昇、流産率の低下、妊娠までの期間短縮が期待されるとのことでございます。
次に参考資料4の「『不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査』に関する見解」を御覧いただけますでしょうか。こちらは日本産科婦人科学会が本技術の実施に当たり遵守すべきと考える条件を定めた見解でございます。
「【1】位置づけ」の中ほどでございます。本技術の実施に当たっては、日本産科婦人科学会による遺伝情報の網羅的なスクリーニングを目的としない、それから、本技術を用いて出生児の性別選択を行ってはならないなどの取扱いを遵守することとなってございます。
「【3】施設要件」に記載がございますように、本技術の実施に当たっては、日本産科婦人科学会による施設認定を得る必要があるとのことでございます。
次に先-1にお戻りいただきまして、141番と142番につきましては、未承認の医療機器等を用いた検査技術という観点から、医療機関からはいずれも先進医療Aとして申請があったものでございます。
他方で、事務局といたしましては有効性、安全性等を確保する観点から、日本産科婦人科学会の見解を含め、実施に当たってはプロトコルの遵守が必要であること、それから、認定された施設に限定して実施すべき技術であることを踏まえ、資料先-1の下方の備考の4、医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるものに該当するのではないかと考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただいたところでございます。
1件目と2件目の御説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
2つの医療機関から同じ技術が申請されて、それぞれ先進医療Aとして、医療機関側は申請を出したわけですが、内容をよく考えてみると、実施環境、技術の効果等について、特に重点的な観察や評価が必要であると判断されるので、事務局としては先進医療Bが妥当であると今、御説明をいただきました。
委員の先生方、いかがでしょうか。何か御意見はございますか。
山口先生、どうぞ。
○山口構成員
ありがとうございます。
事務局の判断を支持します。
例えば、結果を男女の産み分けとかに使われないように、秘密を守らなくてはいけないというのは非常に微妙な問題なのです。特に配慮が必要なので賛成です。
もう一つは、これは2つ出てきていますけれども、試験が終わったときに同じものを別々に解析するというのはなかなか奇妙なので、同じものであれば学会が主導するなりして、データをきちんと共通のものとして生かせるような体制を整えていただきたいと思います。
以上です。
○五十嵐座長
貴重な御意見をありがとうございます。
特に学会について要望を出しておくということは、事務局のほうからお願いできますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。非常に貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
こちらの技術はいずれも、先ほどの見解にもございました日本産科婦人科学会のほうが取りまとめて進めている技術でございまして、今回それぞれ使用する医療機器が別のものということで、別の技術として申請が来ているものではございますが、全体としては、学会としてそちらを進めているところではございますので、ぜひ、今、先生にいただいた御意見も事務局を通して伝えさせていただければと考えてございます。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
福井先生、どうぞ。
○福井構成員
私も事務局の提案に賛成いたします。
出産をめぐりましては、出生前検査のNIPTもいろいろな意味で問題を抱えていて、今回、新しい運営委員会が医学会の中に立ち上がったところです。社会的にも倫理的にも、このような遺伝子または染色体のレベルで選択するということはかなりの議論を呼ぶところですので、先進医療として取り上げるかどうかという時点で、十分な議論をしたほうがいいと思いますので、私としては賛成いたします。
以上です。
○五十嵐座長
御意見をありがとうございました。
そのほか、御意見はございますか。
それでは、受理番号141と142の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。そのようにしたいと思います。
次に3件目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。3件目につきまして御説明をさせていただきます。
再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
3件目の技術は受理番号143番です。技術名は「人工呼吸管理を要するARDS患者に対するセボフルラン鎮静療法」でございます。
適応症につきましては「努力呼吸が継続し、通常の鎮静療法で肺保護換気が不可能なARDS」でございます。
今回、神戸大学医学部附属病院から申請がございました。
かかる費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙3-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
(先進性)でございます。人工呼吸器管理下のARDS患者では、通常は鎮静薬としてプロポフォールが用いられているとのことでございますが、最大投与量を投与しても、一回換気量を制御した胚保護換気ができない患者が存在するとのことでございます。
続きまして、セボフルランでございます。こちらは全身麻酔時に使用される吸入麻酔薬となってございますが、呼吸に対して抑制的な作用を持ち、軽度の筋弛緩作用を有するため、プロポフォールでは一回換気量の制御ができない患者にセボフルランを使用することで、一回換気量の制御が可能になるという期待があるとのことでございます。
(概要)でございます。今回、プロポフォール鎮静下で人工呼吸管理中のARDS患者が過度な吸気努力により、一回換気量が10ml/kg以上を呈する場合に、鎮静剤をセボフルランに変更することで、開始6時間の時点で一回換気量が低下するか検討をするとのことでございまして、同時に呼吸メカニクスや安全性等を評価するとのことでございます。
2ページ目のマル2です。使用する医療材料及び医薬品のところでございます。本技術につきましては適応外の医薬品を使用する技術でございまして、資料先-1の下方の備考3、未承認等の医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の使用または医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術に該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
3件目の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、受理番号143の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、4件目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。4件目につきまして御説明させていただきます。再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
4件目の技術は、受理番号144番です。
技術名は「子宮内フローラ検査」でございます。
適応症につきましては「不妊症(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る)、慢性子宮内膜炎疑い又は難治性細菌性腟症」でございます。
今回、京野アートクリニック高輪から申請がございました。
かかる費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
次に参考資料2としてございます「生殖補助医療の全体像(イメージ)」を御覧いただけますでしょうか。
今回、申請がございました子宮内フローラ検査につきましては、こちらの青い点線で囲っております「追加的に実施される場合があるもの」のうち、⑤とセットにしているところの、いわゆる子宮内細菌叢検査に相当するものでございまして、生殖医療ガイドラインにおいては推奨度Cと評価されている技術でございます。
技術の概要につきまして御説明させていただきます。別紙4-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
(先進性)でございます。本技術は次世代シークエンサーを用いて子宮内腔液に含まれる細菌の16SリボソームRNA解析を行う技術でございまして、通常の培養検査または、子宮鏡、病理学的検査では困難な子宮内細菌叢の正確な把握が可能になるとのことでございます。結果に基づいて治療を行うことで着床率や生児獲得率が改善する可能性があるとのことでございます。
2ページ目でございます。本技術は未承認の医療機器の使用を伴う検査を目的とした医療技術となってございまして、先-1の下方の備考2の(3)、未承認等の医療機器の使用または医療機器の適応外使用を伴う医療技術であって、検査を目的とするものに該当すると考えられましたため、先進医療Aとして振り分け案を提示させていただきました。
4件目の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、受理番号144の技術につきましては事務局案どおり、先進医療Aとして振り分けたいと思います。どうもありがとうございました。
次に5件目の御説明を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
先ほど御説明いたしましたとおり、五十嵐座長は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますようよろしくお願い申し上げます。なお、受理番号145の進行につきましては、横井座長代理にお願いさせていただければと存じます。
まず、事務局から資料の御説明をさせていただきます。再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
5件目の技術は受理番号145番です。
技術名は「不妊症患者に対するタクロリムス投与療法」でございます。
適応症につきましては「不妊症」でございます。
今回、国立研究開発法人国立成育医療研究センターから申請がございました。
かかる費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
次に参考資料2「生殖補助医療の全体像(イメージ)」としている資料を再び御覧いただければと存じます。
今回申請がございました不妊症患者に対するタクロリムス投与療法につきましては、こちらの青点線で囲っております「追加的に実施される場合があるもの」のうち、⑤とセットの反復着床不全に対する投薬(タクロリムス等)に相当するものでございまして、生殖医療ガイドラインにおいては推奨度Cと評価されている技術でございます。
技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙5-1にお移りいただき、1ページ目を御覧いただければと思います。
ページの下方の(効果)でございますが、受精卵が子宮内膜に着床する際、免疫寛容が十分に働かないことが不妊症の原因の一つと考えられるとのことでございまして、このような母体-胎児間の免疫学的な異常による不妊症に対して、免疫抑制剤であるタクロリムスを投与し、母体の免疫状態を正常化することにより妊娠を成功させることが期待できるとのことでございます。
2ページ目の②、使用する医療材料及び医薬品でございます。本技術は適応外の医薬品を使用する技術でございまして、先-1の下方の備考の3、未承認等の医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の使用または医薬品、医療機器もしくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術に該当すると考えられましたため、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
5件目の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○横井座長代理
ありがとうございました。
ただいまの御説明について、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、受理番号145の技術について、先進医療Bとして振り分けます。
五十嵐座長にお戻りいただいてよろしいでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
少々お待ちいただければと存じます。
○五十嵐座長
5からですね。
次に、先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価についての資料が提出されております。
事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。資料先-2に基づいて御説明をさせていただきます。
こちらは第107回先進医療会議において一度御審議をいただいた技術でございますが、整理番号347番「強拡大顕微鏡による形態良好精子の選別:Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection(IMSI)」でございます。
適応症につきましては「顕微授精を受ける不妊症患者」となってございます。
かかる費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
今回は木場公園クリニックから申請があった技術でございます。
こちらの技術の事前評価につきましては、佐藤構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、佐藤構成員より「適」、北脇技術専門委員より「適」の御評価をいただいております。
別紙6の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。
まず、実施責任医師の要件でございます。診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科、
資格は、日本産婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ日本生殖医学会認定生殖医療専門医、
当該診療科の経験年数は5年以上、
当該技術の経験年数は不要、
当該技術の経験症例数につきましては、実施者[術者]として10例以上としてございます。
次に、医療機関の要件でございます。診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科、
実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上、
他の診療科の医師は不要、
その他医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者、
病床数は不要、
看護配置は不要、
当直体制は不要、
緊急手術の実施体制は不要、
院内検査(24実施体制)は不要でございます。
他の医療機関との連携体制は必要で、緊急の場合その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしてございます。
医療機器の保守管理体制は不要、
倫理委員会の審査体制は、必要な場合に事前に開催すること、
医療安全管理委員会の設置は必要、
医療機関としての当該技術の実施症例数は10症例以上としてございます。
その他の要件でございますけれども、4ページ目をおめくりいただきまして、頻回の実績報告は不要としてございます。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
この技術につきましては、事前評価を佐藤構成員にお願いしております。佐藤構成員より、技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○佐藤構成員
佐藤でございます。よろしくお願いいたします。別紙6を出していただけますでしょうか。
先ほど事務局の方から御説明がありましたとおり、前回、こちらからの照会事項に関しまして回答が得られておりませんでしたので、判定保留ということで継続審議とさせていただいております。
特に対象の患者さん、それから、評価項目とそれに伴う症例数の考え方、割りつけとそれに関する同意の説明です。特にこの辺りがほとんど回答を得られませんでしたので継続ということでしたけれども、この1か月間、申請機関とかなりやり取りをさせていただきまして、その辺りがはっきりしてきたということで、今回、再評価という形で御報告をさせていただくということでございます。
別紙6の11ページに進んでいただけますでしょうか。
まず、技術的内容を確認させていただきながら、この1か月間で内容が変わったところをかいつまんで説明させていただきます。
(先進性)は前回と同様ですけれども、復習ということで確認させていただきます。
顕微授精は通常は400倍ということで観察するわけでございますけれども、強拡大を用いますと、例えば、精子の頸部に微細な空胞があるですとか、そういった所見が見られて、染色体の構造異常、断片化ということが起こり、ひいては、着床の不成功ですとか流産になるということがございます。
そういったことが分かってくるということが言われておりますので、最大倍率6,000倍まで持っていって精子を観察して、適切な精子を選んで顕微授精を行うIMSIという方法がだんだん進んできている。今回はこれに関する申請ですということでございます。ここは前回と変わっておりません。
次に下のほうを見ていただきまして(概要)のところです。「・対象」と書いてあります。前回は顕微授精を行う患者さん、あるいは、不妊患者さんという程度の記載でしたけれども、ここのところをもう少し条件をはっきりということで、2つの条件を設定したということでございます。
1つ目は1)にありますとおり、1回以上の体外受精で受精卵ですとか移植可能胚が得られないということです。
2つ目は、精子の状態が不良であるという所見が、下のA)からD)のうち2つ以上得られるといった条件を満たした方に対して、今回の顕微ですね。強拡のIMSIを用いるものを対象にするということでございます。
ここの基準の妥当性につきましては後からお話しいただけるかもしれませんけれども、御専門の北脇先生からも、基準としては適切であろうというお言葉をいただいているところでございます。
こういった患者さんを対象にいたしまして、その下ですけれども、こういった内容であるということを説明し、2群に分けるということを併せて説明した後、コンピューターの乱数表で割りつけて300例ずつということでございます。前回は単に割りつけるということしか書かれておりませんで、自分がどちらかの群になる可能性があるですとかいったことも一切書かれていなかったのですけれども、そこのところもあらかじめ説明して、自分がどちらの群になるか決められないけれどもというところで、同意を得た後できちんと割りつけをするという手順に決めたということが回答されてきております。
その下に行ってください。具体的な精子の選別ですとか、受精の仕方の辺りは前回と変わってございませんで、顕微鏡で最大6,000倍で見て、所見がよい精子について取ってきて、受精させて、5日間培養して、胚盤胞になったところで移植をするということになる。こちらについては変わっていません。
次は評価項目でございます。前回、曖昧な形ではあったのですけれども、今回一番見たい項目はということで確認いたしまして、主要評価項目は妊娠率という形にしていただきました。
また、副次的な項目として、技術的なところもきちんと見たいということでございますので、技術の安定性の確認ということで、卵の生存率ですとか、胚盤胞期への到達率です。
あとは不妊への効果といたしまして、主要では妊娠率にしておりますけれども、副次として着床率ですとか流産率も見ましょうということで整理していただきました。
費用につきましては前回と同じですけれども、1万円ということになりますが、これも同意説明の中で割りつけをして、IMSI群に割り当てられましたら1万円かかりますということもきちんと明示していただいているということでございます。
次に行っていただけますでしょうか。こちらは概念図ということで、ただいま説明したものをシェーマで書いてあるものでございますので、こちらについては御理解いただけるものと思います。
次に進めてください。ロードマップですけれども、こちらは前回から右側の赤枠の先進医療というところを、先ほど来の説明に合わせて書き換えていただきました。
中ほどのやや上にある被験者数でございますけれども、300、300の600でございます。改めて症例数の設定について文献等の確認をしていただきまして、申請者からの報告では、IMSI群のほうが10~15%ぐらい妊娠率がよくなるだろうという文献的な解釈をされておりました。もちろん、対象疾患などが文献で微妙に違ってきますので、そのとおりとならない可能性もございます。ここだけでは片群に100例程度あれば十分差が出る可能性があるということでございましたけれども、副次の項目にございます技術の安定性ですとか、そういったものを見るためにはもう少し症例数が必要だろうということで、かつ、被験者様には特段の侵襲性はございませんので、若干多目にということで、300、300の600例ということで設定したということでございます。
その2行上の試験デザインのところです。多施設共同ランダム化と書いてございます。今回、北脇先生のほうからも、特に技術的な安定性を見るためには、単施設ではよろしくないので、複数施設でぜひという御助言がございまして、これは明示できておりませんけれども、ほかの施設もこの先進医療に加わっていただくことができるという内諾を得ているということで、実際に始まりましたら、申請機関だけではなく最低2施設、あるいは、場合によってはそれ以上の施設が参加するという計画になってございまして、症例数も、加わった施設を合わせると、片群で500例程度はいけるのではないかという回答もいただいておりますので、施設間による技術の違いですとか、技術安全性の違いですとか、場合によっては成績の違いですとか、そういったことがないかということも確認できる計画になったのではないかと考えているところでございます。
最初に戻っていただけますでしょうか。
そういったやり取りを踏まえまして、改めて私のほうから評価票を作成させていただきました。評価は先ほど説明いただいたとおりです。
適応症に関しては妥当でございます。
有効性は、文献的にはややよくなるのではないかということでBをつけさせていただきました。
安全性については問題なかろうということです。
技術的にもある程度経験があれば大丈夫でしょうということです。
倫理的にはきちんと説明もされるということで、同意説明文書を作っていただいておりますので問題はないかと思います。
普及に関しては、国の調査をしたときもそれほどまだ広がっていないということでしたので、現時点ではまだ普及していないということです。
効果に関しましては、先ほど申したとおり、結果どおりいけば、やや効果が期待できるかといったことですから、首尾よくデータがそろえば保険収載を行うことが妥当だろうということで「適」にさせていただきました。
コメントといたしましては、先ほど来説明をさせていただいておりますように、幾つかの点をクリアしたということと、多施設共同でやるということで上にいただいておりますので、結果につきましては何らかの判定がきちんとできるだろうと考えまして「適」とさせていただいたところでございます。
私からは以上です。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
続きまして、北脇技術専門委員から評価結果を御説明ください。
○北脇技術専門委員
北脇でございます。今の別紙6を引き続き御説明させていただきたいと思います。2ページが私が判定したものでございますけれども、佐藤委員から御説明いただきましたことで、ほとんど同じでございます。
ここの上からの順番で、私が異なりますのは、技術的成熟度というところが佐藤先生はAにされていたのですが、私はBにしているところであります。
これは意味としましては、生殖医療専門医を取得していることが必須であるということでございますので、そういう意味では、趣旨としては同じものでございます。
下のほうに行っていただきまして、最後の総評のところを「適」といたしましたが、そのコメントといたしましては今、佐藤先生から十分御説明をいただきましたとおりでございまして、私のほうからも申請者とやり取りを個別にというか独自にさせていただきましたので、くしくも佐藤先生の御指摘とほぼ同じような内容になっていたということでございます。
初めの顕微授精に供すべき症例の基準、つまり、どういう人を顕微授精にするのかというのを明確にしてくださいということでございますが、今、御説明がありましたとおり、そのことが十分に記載されております。
もう一つ、私のほうから追加でございます。その次のことです。IMSIです。強拡大顕微鏡によって選別した精子の客観的な基準というのがあります。これが初めのところは、先体が空胞になっているようなものは除外するとかいう割とファジーな情報が書いてありましたけれども、それは非常に普遍性を持たせる、どの施設でやっても同じようなものになるということを明確にするために、その基準を箇条書きにしていただきました。
その結果、明確な回答が得られております。これは研究計画書にきっちり盛り込んでいただいております。
最後のところは共同研究にすべきだということで、今、佐藤先生から御説明をいただきましたとおりですので、これによって症例数と技術の普遍性が担保されると判断いたしました。
以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
お二人に説明いただきましたので、何かこれにつきまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
よろしいですか。
前回は御回答いただけなかったのですが、今回はしっかりと明確な精子の選別基準などもA~Dの4項目挙げていただいて、どこの施設でやっても同じような基準を取るという方針にもなりましたし、コントロールスタディーにもなるということでよろしいでしょうか。
藤原先生、お願いいたします。
○藤原構成員
佐藤先生、これは倫理指針に従った臨床研究という形で行われるという理解でよろしいですか。
○佐藤構成員
私はそのように理解しておりますけれども、事務局、その理解でよろしいのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局といたしましても、佐藤先生と同様の理解でございます。
○藤原構成員
今、木場公園クリニックのホームページを見ていたのですけれども、倫理審査委員会とかの議事録とか、倫理審査委員会の体制とかがよく分からないのですけれども、今の指針では、その辺は公開しなくてもよかったのですか。記憶が曖昧なのですけれども、きちんとした審査を受けているのかどうかがよく分からないのです。
○佐藤構成員
先生、指針上は議事録は公開ではなかったですか。
○藤原構成員
ですから、木場公園クリニックのサイトに全然なかったので確認したほうがいいかと思います。
○佐藤構成員
申し訳ないですけれども、私は確認していないです。
たしか議事録は公開ではないですか。自分の北大病院も、こういった審査が通りましたということと、オプトアウトしなくてはならないものもございますので、それはもちろん全部公開していますけれども、これが承認されましたということは、簡単ですけれども議事録は公開しているはずです。それは指針ではそうだと思っています。
事務局のほうでそこら辺は確認していただけるとありがたいです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。重要な点を御指摘いただきましてありがとうございます。
事務局としては今すぐに正確にお答えできる材料がないところでございますので、こちらのほうでしっかり確認させていただければと考えてございます。
○藤原構成員
お願いします。
○五十嵐座長
それはこちらから確認をした上で最終的に判断したほうがよろしいですか。それとも、今日ある程度方針を決めて、もし公開していないようだったら公開するような要望をつけるとか、どういたしましょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
今、いただいた点は、先進医療としてというよりも、どちらかというと倫理指針にのっとってやっているかという観点ですので、そちらはそちらとして、もちろん適切に御対応いただく必要はあるかと思いますので、そちらは事務局としてしっかり確認及び、必要であれば対応を求めたいと考えてございます。
もし何かそこで重大な点がありましたら、御報告はさせていただこうと考えてございます。
○五十嵐座長
分かりました。
何か御意見はございますか。よろしいですか。
福井先生、どうぞ。
○福井構成員
私からも確認ですけれども、共同研究の機関もあるということで、最低限2つの施設でできると佐藤先生はおっしゃいましたが、技術の安定性を評価するのであれば、もう少し多いほうがいいと正直なところ思います。ですので、幾つあればいいのかというのはよく分かりませんが、できるだけ多くの共同研究機関で行ったほうが、技術の安定性を見るにはいいのではないでしょうか。
以上です。
○佐藤構成員
ありがとうございます。
実名としては1つは確実に上がっておりまして、そのほかにも幾つかあります。タイムリミットもありまして、そこまでしか確認できておりません。申し訳ございません。
しかし、事務局からも多分そういった形で、北脇先生の御意見も含めて伝わっていると思いますので、ぜひともということでお願いしたいと思います。
ありがとうございます。
○五十嵐座長
山口先生、どうぞ。
○山口構成員
いろいろ御説明をありがとうございました。大変よく分かったのですが、形態学的な判定というのは所見を箇条書きで挙げたということですけれども、具体的にこういう形態だったらこう判断するとか、そういう図だとか画像をきちんとみんなで共有してやっていかないと、結構病理の診断の中でもばらつきがでる可能性が高いと思います。そういうことが起きてしまうと大変困るので、特に新しい施設で誰が見るかというときに、その方の能力をきちんと担保するというものが必要に思うのですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤構成員
私は現場のところが理解できていないのですけれども、北脇先生、例えばこれは写真を残すとか、誰が判定したかとか、記録を残すとか、現場はその辺りはどのようになっていらっしゃるのでしょうか。
○北脇技術専門委員
ありがとうございます。
研究計画書に箇条書きにあるということだけしか申し上げていませんでしたので、十分な御説明ができておらず失礼いたしました。
箇条書きにありましたように「・先体に欠失がなく小胞を認めない」「・先体後部領域に欠失がなく小胞を認めない」「・過剰な核の肥大、縮小を認めない」「・精子頭部内に全体の4%以上の領域を占める空胞を有さない」「・頚部と尾部の接点が同軸上にある」「・Cytoplasmic droplet(成熟過程で排除されるべき細胞質小体)を有さない」「・尾部の欠失、コイル化、損傷、複数化、短小を認めない」ということでございまして、精子の形態異常というので、よく教科書には出ているものですので、ある程度の専門の者でしたら、この条文だけを読んでも大体は理解できますけれども、確かに先ほどの普遍性、技術の安定性というのを考えれば、そういう写真を出して、共同研究するにおいても、均てん化を目指すというのはそのとおりでございますので、それも求めたいと思います。
御指摘ありがとうございました。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
今日、御指摘いただいたことを事務局のほうから申請者に要望するというか、そういう形でよろしいですね。
皆さん、それでよろしいでしょうか。
それでは、構成員の評価結果どおり決定したいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、事務局から先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が提出されております。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。先-3に基づいて御説明をさせていただきます。
今回、旧告示番号32番として実施されておりましたヒドロキシクロロキン療法につきまして、慶應義塾大学病院から総括報告書の提出がございました。
まず、技術の概要でございます。こちらは関節リウマチ(既存の合成抗リウマチ薬による治療でDAS28が二・六未満を達成できないものに限る。)が、適応症になってございまして、抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチ患者を対象にしているものでございます。
こちらは24週間ヒドロキシクロロキン、以下HCQとさせていただきますが、HCQを200-400mg/日を投与し、既存レジストリから傾向スコアマッチングによって抽出されたヒストリカルコントロール群と比較検討を行い、有効性と安全性を検証する試験となってございました。
次に「医療技術の試験結果:[有効性の評価結果]」でございます。
「本臨床試験に登録された60例(HCQ群)、及び外部対照となる既存レジストリに登録された1,649例から抽出されたマッチング候補276例より、傾向スコアマッチングで、HCQ群及びヒストリカルコントール群各46例を抽出して比較した。24週時ACR20改善率は、HCQ群で54.4%、ヒストリカルコントロール群で28.3%で、群間差26.1%、P=0.007と、HCQ投与群で統計学的有意に高かった。なお、登録されHCQが投与開始されたHCQ群全60例での24週時ACR20改善率は45.0%であった」とのことでございます。
次のページをおめくりいただきまして[安全性の評価結果]でございます。
試験薬内服開始後の有害事象は、60例中36例に59件認められたとのことでございます。最多は感染症及び寄生虫症で60例中15例に21件、次に多いのが胃腸障害で12件認められたとのことでございます。
次の段落でございますが、重篤な有害事象は白内障予定手術及び右頭頂葉皮質下出血が認められたが、因果関係なしと判定された、とのことでございまして、有害事象または効果不十分による中止は60例中7例で、下痢2件(因果関係あり)、薬疹2件(因果関係あり)、原病増悪2件(因果関係なし)のほか、振戦1件(因果関係否定できず)が認められたとのことでございます。
[総括]でございますが、抗リウマチ薬抵抗性関節リウマチ患者におけるHCQ治療は、ヒストリカルコントロール集団よりも有効性が高く、新たな安全性上懸念される事象は認められなかった、とのことでございます。
次に「2.先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果」の「(2)議事概要及び検討結果」の1つ目の○でございます。「盲検化されずヒストリカルコントロールを用いた研究ではあるが、臨床的な有効性が示唆され、安全性についても既知の副作用以外には大きな問題を認めなかったことから、従来の治療に抵抗性を示した患者に対する一定の有用性が示されたものと評価する」とのことでございます。
2つ目の○でございます。「既に欧米で承認され、ガイドラインにも記載されている治療法であり、医療経済的にもかなりのメリットが想定されることから、薬事承認に向けて公知申請の資料として一定の価値を有するものと考える」とのことでございます。
続きまして、御担当いただいた先生の御評価につきまして説明をさせていただきます。別紙7の4ページ目を御覧いただければと思います。
まず、主担当の一色構成員からの御評価でございます。有効性については「B、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」と御評価いただいております。
コメント欄のところでございますが、「厳密な意味での比較試験ではないが、従来の薬物治療(メトトレキサート等)にて寛解が得られなかった症例を対象にヒドロキシクロロキンの有効性が一定程度示されていることから、従来の医療技術よりもやや有効と評価できると判断した」とコメントをいただいてございます。
安全性でございますが、「B、あまり問題なし」と御評価いただいております。
コメント欄のところでございますが、「有害事象は少なくないが既知のものが主体であり、重篤なものは見られず大きな問題はないものと判断した」とコメントをいただいてございます。
技術的成熟度は、「A、当該分野を専門とし、経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と御評価をいただいております。
コメント欄のところでございますが、「クロロキン網膜症などの重篤な有害事象に留意しつつ投与することが前提ではあるが、内服薬を用いる治療法であり、当該疾患の専門医あるいはその指導の下であれば実施可能と考えた」とコメントをいただいております。
ページをおめくりいただきまして、総合的なコメント欄のところでございますが、「盲検化されずヒストリカルコントロールを用いた研究ではあるが、臨床的な有効性が示唆され、安全性についても既知の副作用以外には大きな問題を認めなかったことから、従来の治療に抵抗性を示した患者に対する一定の有用性が示されたものと評価する」といただいてございます。
続きまして、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄でございますが、「既に欧米で承認され、ガイドラインにも記載されている治療法であり、医療経済的にもかなりのメリットが想定されることから、薬事承認に向けて公知申請の資料として一定の価値を有するものと考える」といただいてございます。
続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。
有効性については「E、その他」と御評価をいただいております。
コメント欄のところでございますが、「ランダム化比較試験ではないものの、マッチングを取った外部対照(HCQ非投与例)との比較によりHCQの有効性が示唆されており、既存薬の一部と同程度と解釈できる可能性がある。ただし、既存薬の中には本剤に優ると期待されるものもあること、本試験は既存薬との相対的な関係を評価する試験ではないことも加味し、現時点では「E.その他」とした」とのことでございます。
次の段落でございますが、「なお、有効性の主たる解析は適切に行われているが、HCQが投与開始された全例を分母とした評価ではないことから、本剤投与に伴い期待される効果の大きさを直接示すものではないことには注意が必要である」とコメントをいただいております。
ページをおめくりいただきまして、安全性でございますが、「B、あまり問題なし」と御評価をいただいております。
コメント欄のところでございますが、「短期間の投与・少数例での評価にはとどまるが、本試験の範囲内ではクロロキン網膜症は観察されておらず、他の事象も含め、当初の想定の範囲内の結果が得られている」とコメントをいただいております。
技術的成熟度については「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる」と評価をいただいております。
コメント欄のところでございますが、「有効性が示唆されていること、短期間・少数例の検討の範囲では大きな問題が見られていないことから、一定の成熟度にあると解釈しているが、他剤との相対的関係や長期に投与した場合のクロロキン網膜症に対するリスク等を十分に把握した上で投与されるべき状況と考える」といただいてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。
次に、事務局から先進医療Bの取下げについての資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。現在、申請中の先進医療Bの技術に関する試験終了に伴う取下げが1件ございましたので、先-4に基づきまして進めさせていただければと存じます。こちらにつきましては、既に先進医療技術審査部会にて取り上げさせていただいているものでございます。
対象となる技術でございますが、告示番号42番「ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法」でございます。
取下げ理由でございますが、「症例登録及び全症例の観察期間が終了したため、当該先進医療の取下げをいたします。総括報告書については現在、作成中となっております」とのことでございます。
下に記載がございます告示番号21番については、協力医療機関の取下げがございました。
事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。
ありがとうございました。
次に事務局から、先進医療技術の保険導入についての資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
まず、先-5-1に基づきまして御説明させていただきます。
こちらの資料の趣旨となりますが、令和3年12月に開催されました第105回先進医療会議、令和4年1月に開催されました第106回先進医療会議におきまして、令和4年度診療報酬改定に向けた先進医療技術の御評価をいただきました。
先進医療会議において御評価いただいた結果を踏まえまして、中医協で議論が行われ、最終的に診療報酬改定として対応すべき技術が決定してございますので、こちらについて御報告を申し上げます。
また、第105回先進医療会議と第106回先進医療会議において御議論いただきました資料につきましては、それぞれ参考資料1、参考資料2とつけさせていただいてございますので、こちらは適宜御参照いただけますと幸いでございます。
資料に基づきまして、御報告に移らせていただきます。
先-5-1の資料につきましては、令和4年2月9日に開催された中医協におきまして、令和4年度診療報酬改定に係る答申が行われたものでございます。そちらの資料から関係部のみ抜粋させていただいたものでございます。
こちらは1ページ目の下方にございます診療報酬改定において対応する優先度が高い技術のうち、先進医療として実施されているもののところを御覧いただければと存じます。
こちらに掲載されている技術は、最終的に保険適用とすることが決定された先進医療に係る技術でございます。
具体的な技術名でございます。まず、「陽子線治療」及び「重粒子線治療」の一部の適応症、「LDLアフェレシス療法」です。
ページをおめくりいただきまして、「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」、そして、「流産検体を用いた染色体検査」が対象となってございます。
下の※には陽子線治療と重粒子線治療において拡大される適応症が記載されてございまして、いずれも第106回先進医療会議において「十分な科学的根拠があるもの」と御評価いただいたものでございます。
診療報酬改定に係る御報告は以上となっております。
次に先-5-2にお移りいただけますでしょうか。こちらは中医協に御報告させていただきました資料でございますが、下方にございます3技術につきましては、第105回先進医療会議における御評価を踏まえて令和4年4月より削除となる先進医療技術でございます。
先ほど先-5-1で御報告させていただきました保険適用となる先進医療技術と、先-5-2に記載しております削除となるもの以外の先進医療技術につきましては、引き続き先進医療として継続するという形になってございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
何か御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。
よろしいですか。ありがとうございました。
本日の議題は、残りは「その他」になっております。事務局から何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局からは特段追加はございません。
○五十嵐座長
全体を通しまして、構成員の先生方から何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、以上を持ちまして、第108回先進医療会議を終了させていただきます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。準備が整い次第、先進医療合同会議を開催させていただきます。





〇先進医療合同会議(第108回先進医療会議、第129回先進医療技術審査部会)

 

○場所

    オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員 
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
伊藤(澄)構成員 上村(夕)構成員 田島構成員 一色構成員 後藤構成員 
坂井構成員 飛田構成員 掛江構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

   1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
     (先-1)(別紙1)(別紙2)(別紙3)



○議事



   先進医療合同会議
   16:50開会 


 

○五十嵐座長
 委員の先生方が全員おそろいになりました。ただいまから先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について「先進医療合同会議」を開催いたします。
 初めに、構成員の先生方の御出席状況ですが、本日は全員御出席です。
 また、先進医療技術審査部会から伊藤澄信構成員、上村夕香理構成員、田島構成員、一色構成員、後藤構成員、坂井構成員、飛田構成員、掛江構成員に御出席いただいております。
 資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、資料の確認をさせていただきます。お送りさせていただきました資料でございますが、議事次第、構成員名簿に続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙1~3がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
 なお、今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。
 申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただけますと幸いでございます。
 御発言いただく先生は、会議資料のページまたは送付のみの資料のページと、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 資料等につきまして、何か問題のある先生方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果を事務局から御報告願います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 五十嵐座長、柴田構成員、藤原構成員より、整理番号156の技術について御報告がございました。
 五十嵐座長におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 柴田構成員、藤原構成員におかれましては、検討対象技術について自施設からの申請であることから、同規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることはできません。
 新井構成員、五十嵐座長、佐藤構成員、竹内構成員、上村夕香理構成員、一色構成員、飛田構成員、掛江構成員より、整理番号157の技術について御報告がございました。
 新井構成員、五十嵐座長、佐藤構成員、一色構成員、飛田構成員、掛江構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 竹内構成員、上村夕香理構成員におかれましては、検討対象に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、同規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。
 新井構成員、横井座長代理、上村夕香理構成員より、整理番号158の技術について御報告がございました。
 新井構成員、横井座長代理、上村夕香理構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、申告すべきことはないということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等についての資料が提出されております。3件ございます。順番に行きたいと思います。
 まず、1件目について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、柴田構成員、藤原構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますようお願い申し上げます。
 それでは、資料について御説明させていただきます。
 まず、1件目の技術でございます。先-1に基づいて御説明をさせていただければと存じます。
 今回、御審議いただきます技術は、整理番号156番です。
 技術名は「ラメルテオンを用いたせん妄発症抑制療法」でございます。
 適応症については「せん妄ハイリスク患者」でございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として伊藤澄信構成員、副担当として田島構成員、上村夕香理構成員にお願いしてございまして、総評としては「適」の御評価をいただいてございます。
 先進医療会議における事前評価につきましては山口構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。お手元の資料の別紙1の34ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは様式第9号として記載してございますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示しさせていただいております。
 1番目の実施責任医師の要件です。
 診療科は心療内科または精神科またはこれに準ずる科が必要です。
 資格は日本サイコオンコロジー学会登録精神腫瘍医が必要です。
 当該診療科の経験年数は1年以上必要です。
 当該技術の経験年数は3年以上が必要です。
 なお、こちらの当該技術について注がございまして(せん妄の診断の実績を示す。)とございます。
 当該技術の経験症例数は不要です。
 その他、上記以外の要件はございません。
 2番目は医療機関の要件です。
 診療科は心療内科または精神科またはこれに準ずる科が必要です。
 実施診療科の医師数は不要です。
 他診療科の医師数は必要で、全身麻酔手術を実施可能な経験年数1年以上の外科医師1名以上及び経験年数1年以上の麻酔科医師1名以上を要するとなっております。
 その他医療従事者の配置は薬剤師が必要です。
 病床数は300床以上が必要です。
 看護配置は10対1看護以上が必要です。
 当直体制は内科系、または外科系当直医1名以上が必要です。
 緊急手術の実施体制は不要です。
 院内検査(24時間実施体制)は不要です。
 他の医療機関との連携体制(患者容態急変時等)は不要です。
 医療機器の保守管理体制は不要です。
 医療安全管理委員会の設置は必要です。
 医療機関としての当該技術の実施症例数も注がございまして(せん妄の診断の実績を示す。)は10例以上必要です。
 その他、上記以外の要件はございません。
 おめくりいただきまして、3番目です。その他の要件ですが、頻回の実績報告は不要です。
 その他、上記以外の要件はございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 続きまして、田島構成員から倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○田島構成員
 倫理的観点からの評価に関して、田島でございます。
 まず、同意に係る手続き、同意文書についてですけれども、説明文書中に認められました不明瞭な点について、いずれも事前の照会に対し適切に対応され、問題が解消したので「適」としております。
 具体的には、対象となる患者さんの適格基準と除外基準の定義、薬剤の内服期間とせん妄の評価期間の明記といったところでございます。
 また、本臨床研究には付随する研究が別途用意されておりまして、それに参加される患者さんの場合についての記述が説明文書にございましたけれども、その付随研究についての説明がございませんでしたので、説明を加えるか、付随研究に携わる部分を全て削除するかいずれかをしていただきたいとお願いし、付随研究は別途計画されているということで、全て削除されております。
 次に補償内容についてでございますが、本研究は死亡等の重篤な有害事象の発症も見込まれているにもかかわらず、補償内容として、医療費と医療手当のみ、補償金がない状況でございましたので、その理由についてお尋ねをさせていただきました。
 回答としましては、ラメルテオンにつきまして、これまでの使用の中で、重篤な有害事象の発生がなく、副作用救済給付に関する給付事例の通例で定めを、医療費・利用手当を超える給付の報告はないということが理由でございましたので、これも補償内容を「適」としております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 私のミスで順番を間違えてしまいまして、主担当の先生の御評価を先にしなくてはいけなかったのですね。
 申し訳ありませんが、伊藤澄信構成員から概要の説明と実施体制の評価を御説明願います。
○伊藤(澄)構成員
 ありがとうございます。
 せん妄とは場所や時間を認識する見当識や覚醒レベルに異常が生じて、幻覚、妄想などにとらわれて、興奮とか錯乱とか活動性の低下とかといった情緒や気分の異常が突然引き起こされる精神障害、一種の意識障害だろうと思うのですが、せん妄というのは手術に限らず通常の入院でも問題になりますので、外科系だけの問題ではないのですけれども、手術成績などに影響するほか、医療経済的な負担も大変大きくて、介護者の負担も大きいので、ラメルテオンによるせん妄発症抑制に新しいものができて、新しい標準医療になることは大変望ましいことだろうと思いますし、手術などの治療成績向上や医療費負担の軽減にも寄与すると期待されるところであります。
 手術に伴うせん妄というのは、心血管手術で頻度が高いということが数々の観察研究で知られておりますが、申請者によりますと、それ以外では手術部位の違いなどは影響がない、年齢と施設以外は手術の侵襲度や、ベンゾジアゼピン系とか非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬のみが、使っている人と使っていない人とで違いがあるだろうということで層別化をするという大変シンプルな構造になっています。
 ラメルテオンという薬は、メラトニンですね。メラトニンは松果体のほうから、メラトニンのMT1とMT2の受容体に対する高い親和性を有する受容体のアゴニストで、アゴニストは基本的に作動薬なのですが、2005年に米国で出て、2010年には国内で販売を開始されていますけれども、国内で製造された睡眠薬です。本適応については十分なエビデンスがあるわけではないのと、申請者が大変シンプルなデザインを提示されたのでいろいろな質問がされて、それに対してお答えをいただいたところであります。
 プロトコル全体はがんセンターがつくられておりますし、大変しっかりしたプロトコルだと思います。
 判定についても、心療内科または精神科、これに準ずる科があって、日本サイコオンコロジー学会登録精神腫瘍医が判定されるということですので、そういう意味での判定基準に関して、せん妄かどうかについては大変難しいと思いますが、そういう高いレベルの方が最終判断をされるということでしたので、評価が適切に行われることを期待しているところであります。
 概略と実施施設とかについての説明については以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、上村夕香理構成員から、試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○上村(夕)構成員
 上村でございます。よろしくお願いします。
 本試験のプロトコル自体につきましては今、伊藤澄信構成員よりお話しいただいたように、しっかりと記載されているように思います。
 本試験は高齢がん患者さんの術後せん妄の発症抑制を目的として、デザインはプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験になっておりますが、予定症例数としては多く設定されておりまして、75歳以上で678例、65歳以上で766例と設定されております。
 予定症例数につきましては、75歳以上で678、65~74歳で88人を満たすまで登録が継続されるという枠組みになっておりまして、75歳以上についてラメルテオン投与群の有益性を検証し、それが検証された場合のみ65歳以上の症例についても有益性を検証するという多重性を考慮した試験デザインがとられております。
 また、65歳以上75歳未満における有効性評価も併せて事前規定がされております。
 試験デザインについては適切に御検討いただいて記載されているかと思いますが、何点か症例の取扱いについて記載が不明瞭な点がございましたので、そちらについて指摘させていただいております。
 具体的には、手術前にせん妄が発生した症例の取扱いになりますが、そちらについてはイベントを発症した症例として取り扱って、ITT(Intention-to-treat)の原則に基づき、解析集団にも含めるという回答がなされております。
 こちらの指摘に対して、適切に御修正、御回答いただいており、6~16の評価票の項目について、いずれも「適」と判断しております。
 以上となります。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 現時点での先進医療技術審査部会としてのおまとめを、伊藤澄信構成員にお願いいたします。
○伊藤(澄)構成員
 ありがとうございます。
 十分な御説明をいただいてはいるのですけれども、パイロット的な研究で差がなかったからといって、規模が大きくなると差が出るのではないかということもありますので、プラセボに対してのせん妄の発症が抑制されましたら、プライマリーエンドポイントが陽性で出ましたら、サブグループでも解析していただけるといいと思っているところであります。
 この仕様の適応に関してはup-to-dateにも記載がございませんし、我が国発の医薬品がせん妄予防に使えるようになってくれればと思って評価させていただきました。ありがとうございました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療会議における事前評価につきましては、山口構成員にお願いしております。山口構成員から評価結果等について説明をお願いいたします。
○山口構成員
 ありがとうございます。12ページです。先進医療B評価用紙(第2号)を見ていただけますか。
 社会的妥当性は、倫理的に問題ありません。
 現時点での普及性はCで、あまり普及していないとういうことです。
 効率性は、やや効率的なことが期待されるということです。
 将来的には保険収載を行うことが妥当といたしました。
 総合判定は「適」ですが、今、伊藤先生から詳しい説明がありましたけれども、出されてきたエビデンスというのが実はあまり多くなくて、例えば術式の間で差がないといっても、ごく限られた、しかも非常に限定的な症例の中でなさそうだということにすぎないのです。これは術式を限定しないで広い範囲に適用した場合に、術式ごとの差が軽視される可能性があります。例えば、食道がんは胸腔鏡の手術が大変増えていますが、胸腔鏡の手術は時間はかかりますけれども、開胸手術に比較して侵襲は非常に低いということも分かっています。そのほか、消化管がんを触るような手術、たとえば胃の手術などの場合には、薬剤の吸収動態が変わることが十分考えられますけれども、そういう基本的なところも押さえられていません。しかし、問題はありますけれども問いかけに対しては大変真摯に答えられて、今あるエビデンスの中できちんと答えておられますので「適」といたしました。
 保険収載する場合に、これは実際にどういう対象にするのかということについては、今後議論が必要かと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 御説明は以上ですけれども、これまでの御説明につきまして何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
 よろしいですか。
 それでは、特に御異議がないようですので、各先生方の評価結果どおり決定したいと存じますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 柴田構成員と藤原構成員にお戻りいただいてよろしいでしょうか。
 それでは、2件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。2件目に移らせていただきます。
 2件目の整理番号157につきましては、五十嵐座長に事前評価をいただいてございますので、進行は横井座長代理にお願いさせていただければと存じます。
 資料について御説明をさせていただきます。再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。
 今回御審議いただきます2件目の技術は、整理番号157番です。
 技術名は「重症未熟児網膜症に対する抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬の硝子体注射療法」でございます。
 適応症については「重症未熟児網膜症」でございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 こちらは先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として一色構成員、副担当として後藤構成員、柴田構成員にお願いしてございまして、総評としては「条件付き適」の御評価をいただいております。
 先進医療会議における事前評価につきましては五十嵐構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。お手元の資料の別紙2の45ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは様式第9号として左上に記載してございますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示しさせていただいております。
 1番目の実施責任医師の要件です。
 診療科は眼科が必要です。
 資格は日本眼科学会眼科専門医が必要です。
 当該診療科の経験年数は5年以上が必要です。
 当該技術の経験年数は不要です。
 当該技術の経験症例数は不要です。
 その他(上記以外の要件)としまして、未熟児網膜症に対する硝子体注射の実施者[術者]として5例以上の経験を要する。
 未熟児網膜症の診療経験年数として、3年以上を要するとなっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は眼科と小児科が必要です。
 実施診療科の医師数は、眼科は1名以上の常勤医師、小児科は1名以上の常勤医師、日本小児科学会認定小児科専門医が必要です。
 他診療科の医師数は不要となっております。
 その他、医療従事者の配置は、薬剤師が必要です。
 病床数は400床以上が必要です。
 看護配置は7対1看護以上が必要です。
 当直体制は小児科医の当直ありが必要。
 緊急手術の実施体制は必要です。
 院内検査(24時間実施体制)は必要です。
 他の医療機関との連携体制(患者容態急変時等)は不要です。
 医療機器の保守管理体制は必要です。
 医療安全管理委員会の設置は必要です。
 医療機関としての当該技術の実施症例数は不要です。
 その他、上記以外の条件として、未熟児網膜症に対する硝子体注射5例以上の実施経験を要するとなっております。
 おめくりいただきまして、3番目です。その他の要件ですが、頻回の実績報告は不要です。
 その他(上記以外の要件)として、NICU施設を有することとなっております。
 以上でございます。
○横井座長代理
 先進医療技術審査部会における事前評価について、主担当の一色構成員、副担当の後藤構成員、柴田構成員にお願いしております。
 一色構成員より、概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。
○一色構成員
 ありがとうございます。御説明させていただきます。
 未熟児網膜症は胎児の網膜血管の成長が酸素環境の変化によって一時的に停止して、異常血管の新生を来したものです。
 重症例においては、網膜剥離を来して失明するリスクがあるため、適切な時期に治療介入をする必要があるとされております。
 従来、レーザーあるいは冷凍凝固によって異常血管の新生を食い止めるという治療が行われてきましたが、近年、抗VEGFを用いて異常血管の成長を抑制する治療法としてラニビズマブを用いた硝子体注射療法が薬事承認されて、現在に至っております。
 このラニビズマブは半減期が短いことから、1回の硝子体注射では効果が不十分で、再燃による追加の治療を必要とする症例が30ないし50%と報告がございます。そのため、新生児及びその保護者にとっては、その部分が負担となるということが指摘されていました。
 今回の申請は、ラニビズマブよりも半減期の長い抗VEGF薬のベバシズマブの単回での硝子体注射がどの程度網膜症の再燃を抑制できるかを検討するものです。
 この概要の中段からプロトコルが記載されていますが、読ませていただきます。
 「本試験では、1眼につき1回、ベバシズマブまたは対照薬としてラニビズマブを硝子体注射として投与し、24週まで経過観察を行う。病状の悪化ないし再燃を認める場合は網膜光凝固を追加する。両群においてプロトコル治療後24週目までに眼底所見が第三者判定により、ラニビズマブの追加投与またはレーザー治療を要する所見となった割合について、単施設で実施する実薬対照非盲検無作為化比較試験により比較する」ということでございます。
 主要評価項目は、各治療眼においてプロトコル治療後24週目までに眼底所見が第三者判定により、ラニビズマブの追加投与またはレーザー治療を要する所見となった割合になっております。
 副次評価項目は割愛させていただきます。
 実施体制に移らせていただきます。2ページ下段を御覧ください。申請施設は未熟児網膜症治療を積極的に行っている日本でも数少ない施設の一つであり、本疾患の治療経験のある眼科専門医が責任医師となっております。また、治療方針の決定は第三者が行うこととされており、その基準や判定の手順等についても若干のやり取りの後に、適切に修正されましたので、「適」と判断させていただきました。
 実施医療機関につきましては、特定機能病院であり、当該診療科である眼科及び小児科におけるNICUなどの診療体制も確立してございますので、こちらも「適」とさせていただいております。
 医療技術の有用性に関しましては、現在保険適用となっているラニビズマブよりも、ベバシズマブによって追加治療を減らせることが期待されているという点で、臨床的にも医療経済学的にも有用となる可能性があると考えられますので「適」とさせていただきました。
 なお、現在、同様の作用機序を有するアフリベルセプトは薬事承認の申請中でございまして、その成績次第ではアフリベルセプトがラニビズマブに代わる標準的治療薬として位置づけられる可能性が指摘されております。
 それを受けまして、今回の有用性の評価につきましてはあくまで現時点のものであるということを申し添えさせていただきます。
 この件につきましては、後ほど柴田構成員から詳しく御説明があるものと思います。
 私からは以上でございます。
○横井座長代理
 ありがとうございました。
 続きまして、後藤構成員より、倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○後藤構成員
 後藤でございます。私からは同意文書と補償内容の適切性についてお話しさせていただきます。
 一色構成員からもお話がありましたけれども、今はレーザー治療よりも抗VEGF薬による治療に標準治療が移る状況になっているということでございます。
 最初の同意説明文書において、何が標準治療なのかということがなかなか分かりにくい箇所もございました。ただ、いろいろやり取りを重ねる中で、ただ今、一色構成員が説明されたことについては適切に、きちんと親権者、つまり代諾者が理解できる形での説明がなされているということで「適」といたしました。
 補償内容につきましても、先ほど御説明がありましたけれども、エンドポイントが段階的になっており、効果がないときには次の適切な治療もしますということも記載があるということ、そして、子供に対して抗VEGF薬を投与した場合の全身状態については、まだどうなるかという安全性についても適切なデータがないということを前提として、その補償内容につきましてもきちんと同意文書にも書かれているということで「適」といたしました。
 以上でございます。
○横井座長代理
 ありがとうございます。
 続きまして、柴田構成員より、試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○柴田構成員
 試験実施計画書等の評価です。先-1の別紙2の3ページになります。6~16はいずれも「適」としておりますが、先ほど一色先生から御指摘いただきましたけれども、実施条件をつけております。
 こちらの内容に入る前に、まず、ロードマップについて補足しておきたいと思いますので、別紙2の36ページを御覧ください。
 ロードマップを見ていただくと分かるのですが、本技術はベバシズマブを重症未熟児網膜症に使うという使い方は、海外での薬事承認はなく、公知申請の対象になるのか否かという議論があり得ると思います。
 実際、このベバシズマブの重症未熟児網膜症に係る使用について、2011年に行われました医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議への第2回要望募集の際に、学会から要望が提出されています。その後、2012年に第11回会議で対象外である旨を報告されているところです。
 一方で、もともとの公知申請の枠組み、すなわち、1999年2月1日に発出されたいわゆる二課長通知の枠組みは、必ずしも海外での薬事承認を必須とするものではないですし、具体的には3番目の類型として、「公的な研究事業の委託研究などにより実施されるなど、その実施に係る倫理性、科学性及び信頼性が確認し得る臨床試験の試験成績がある場合」という類型が提示されています。
 医薬品審査管理課からも、2020年の7月2日の先進医療会議・先進医療合同会議において、必ずしも海外での承認を前提とするものではないという制度であるとの御説明がございました。ですので、今回、可能性はあるということを補足しておきます。
 もう一点確認しないといけないところとして、本件は、現時点では公的な研究事業の委託研究には該当しませんけれども、二課長通知上は、先ほど読み上げましたように「公的な研究事業の委託研究等により実施されるなど」と、「など」書きされていることと、本質はその後段部分で、先進医療Bの場合には、一般に後段に係る評価がなされています。すなわち、事前評価及び会議の場でその実施に係る倫理性、科学性、データ収集方法やモニタリングなどの規定についても含めて評価されることになっていますので、この通知の3番目の類型に合致し得ると解釈しております。
 実際、先進医療技術審査部会、あるいは、その前身である高度医療評価会議においても、この辺は許容されてきたものと理解しています。
 もちろん、制度上受入れの可能性があるということと薬事承認されることは別問題で、後者については結果等を踏まえて是々非々で判断されるものと理解しておりますが、この解釈、判断はあらかじめ研発課及び研発課を通して医薬品審査管理課にも確認していただいているところですので、大丈夫だと理解しております。
 今、述べました理解で問題ないということでよろしいかどうか、念のために事務局に確認させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○研究開発振興課長補佐
 事前に確認させていただいておりますので、御理解に相違はございません。
○柴田構成員
 ありがとうございます。
 それでは、評価に戻ります。別紙2の3ページにお戻りください。
 読み上げませんけれども、別紙2の5ページから32ページに照会事項のやり取りが収められております。この中で重要な点をかいつまんで、少し長くなりますがここでは5つだけ、恐縮ですが御説明いたします。
 まず、対象疾患が非可逆的な転帰をたどるものであることと、薬事承認、保険適用された治療法が既に存在していることを考えますと、もし仮にベバシズマブの効果が対照群であるラニビズマブに優ると証明できなくなった時点、あるいは、その可能性が低くなった時点で、新たな患者さんの新規登録は止めるべきだとも考えられます。そのため、早期無効中止の判断を加味した中間解析の実施が必要と考え、中間解析という名称ではありませんけれども、同等の対応がなされる旨の改訂がなされております。
 2点目です。重篤な有害事象が発生した場合に個別に報告するということは規定されていましたが、定期的に情報を取りまとめて、発現頻度等の変化も含めて試験継続に問題がないかですとか、試験実施計画の変更の必要がないかなどを、研究代表者が1人で判断するのではなく、第三者的な立場で判断していただく仕組みが必要だと思いますので、そういうデータを収集するようなCRF、症例報告書の変更と、効果・安全性評価委員会において定期的に適宜審議していただいて、研究に参加しておられる全ての担当医の方にも適宜フィードバックしていただくということを求めまして、そのように改訂していただいています。
 また、患者さんへの評価や治療介入等の妥当性を、完全な第三者ではないのですが、担当以外の医師が第三者的立場で判定することになっておりますが、その結果が適宜研究に参加されている担当医の先生方にフィードバックされるような仕組みも設けていただくことが必要だと思います。
 担当医の判断が適切ではなくて、追加治療を施す必要があるであるとか、そういう判断がされるケースがあり得るということですので、そういう場合は、こういう状況でこういう判断をしたということが周知されて、臨床試験に参加されている全ての医師の中で同じような判断がされるようにキャリブレーションしていくことが必要だと思いますので、それをお願いしたところです。
 3つ目ですが、有効性の評価に関わる話です。本件は非盲検試験ですし、今、述べました担当医以外の医師による評価が、厳密に独立の第三者とは言い難い状況です。これはこの領域を御専門とされる先生が少ないことに起因していまして、実施上やむを得ないと判断しております。
 ただ、その次善の策として、評価の判断が妥当か否かを事後に確認できるように、判定根拠等を一定の様式で記録して保存していただくようにいたしました。
 4つ目ですが、ベバシズマブの添付文書では、小児等で骨壊死(顎以外の部位)が現れるとの報告があるという記載があります。そういった成人以外でのリスクについて対応がなされていませんでしたので、先ほど申し上げましたCRFでの有害事象等の収集体制の変更も含めて、試験実施計画書に明記するとともに、眼科領域以外の有害事象等の評価が可能となるような情報収集体制に変更していただいたところです。
 骨壊死については論文等も調べてみましたが、例えば、小児とはいっても10代の患者さんの報告で、投与方法、投与量も違いますので、そのまま今回の対象に外挿してリスクがあると判断できるものではないと思いますけれども、それは複数の患者さんで報告されているですとか、成人では顎骨壊死等が主ですが、そういう成人と少しプロファイルの違う副作用が出ている可能性があるので、今回、未熟児に投与した場合に成人では見られなかった副作用が生じる可能性があることを前提として観察を行う体制とか規定にしておくことが必要と考える次第です。
 ただし、繰り返しになりますが、これは現時点で著しく大きな懸念があるというわけではなく、観察研究ではなくて、前向きの臨床試験として行うわけですから、その中で一般的に行われるようなデータ収集方法に基づいて実施していただければという話です。
 最後に、ラニビズマブ、ベバシズマブに加えて、先ほどもお話が出ましたが、アフリベルセプトという薬の未熟児網膜症での開発が進んでいまして、企業のプレスリリースによりますと、昨年11月に欧州と日本で承認申請を行ったとされています。
 この3剤の相対的関係については、最近の論文等々を拝見しますと、観察研究ではあるのですが、ラニビズマブに対してベバシズマブとアフリベルセプトがよい実績であるという報告がされているケースもあり、それが確定しているというわけではありませんが、そういう報告もあり、場合によっては、先ほどの評価表のコメント欄に記しましたように、今回の臨床試験を実施することの妥当性が将来損なわれるような状況になるような可能性もあります。
 ただし、薬事承認に係る臨床試験結果について、欧州の規制当局であるEMAのウェブサイトで試験結果の概要が読めましたので見てみましたけれども、現時点で、今回申請された試験の実施が不適切になるようなデータではなかったので、現時点では問題なかろうと考えております。
 この辺は今後、眼科の先生方の臨床現場での解釈ですとか御判断が必要かと思う次第です。
 もちろん、まだアフリベルセプトが本邦で薬事承認されたわけでもありませんし、選択肢になりませんので、現時点では今回の試験の実施は妥当だと考えております。
 一方で、縷々述べましたように、仮に今後それが薬事承認された場合には、こちらに挙げたような点、先ほどの評価票に挙げましたような点で、対照群が日常診療で選択可能なものよりも手控えたものになっていないかですとか、新治療群がリスクベネフィットバランスの観点で開発継続に値するものと言えるか否かなど、試験継続の妥当性ないしは試験デザインの否定と、変更の要否について、少なくとも効安での検討をしていただく必要があるかと考える次第です。
 この点について、実施計画に追加していただけるようであれば、本技術の臨床試験を実施する上で問題はなくなると考えております。
 長くなりましたが以上です。
○横井座長代理
 非常に詳細に御評価いただきましてありがとうございます。
 一色構成員、現時点での先進医療技術審査部会としてのおまとめをお願いいたします。
○一色構成員
 4ページの総評でございます。ただいま、柴田構成員から非常に詳細な御説明がございました。
 本委員会の開催までの期間が比較的短かったのでございますけれども、後藤構成員、柴田構成員におかれましては適切かつ非常に詳細な、複数にわたる照会事項を出していただき、また、申請機関からは真摯に対応していただいて、それも非常に迅速に返事を出していただいたということで、まとめる役としては大変感謝をしております。
 一時は継続審議になろうかと少し心配したところでございますが、無事に「条件付き適」ではありますけれども適という判断をさせていただきました。
 なぜ「条件付き適」となったかということにつきましては、先ほどの柴田構成員の御説明にあったとおりでございますので、ここを読み上げることは省かせていただきたいと思います。
 実際にはアフリベルセプトの位置づけによって本研究の意義が変化する可能性があるということを考慮して、効果・安全評価委員会で確認する設定をお願いしたいということでございます。
 この点につきましてはこの判断でよろしいかということについて、皆さんの御意見を頂戴して最終決定とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○横井座長代理
 ありがとうございます。
 続きまして、先進医療会議における事前評価については五十嵐構成員にお願いしております。五十嵐構成員より評価結果等について説明をお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。後藤構成員と柴田構成員、一色構成員の御説明をいただいた上で、それらを踏まえて私の評価をさせていただきます。
 まず、社会的妥当性ですけれども、倫理的な問題等はないと考えます。
 現時点での普及性に関しましては、同じ抗VEGF薬であるラニビズマブが今、行われているわけですので、Bの罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している治療だと思います。
 効率性につきはしては、先ほどから御指摘がありますように、本薬は現在使われているラニビズマブよりも半減期が長いので、やや効率的ではないかと判断いたしました。
 将来の保険収載の必要性に関しましては、有効性が示された場合には、将来的には保険収載を行うことが妥当と判断いたします。
 あくまでも現時点での総合判定といたしましては、既に重症未熟児網膜症に対する治療薬として薬事承認されている抗血管内皮増殖因子薬ラニビズマブは半減期が短いために治療後に重症未熟児網膜症が再燃し、再投与が必要となる場合があります。今回申請されたベバシズマブはラニビズマブよりも半減期が長くて、低出生体重児に病的網膜血管が新生し得る44週までの期間を1回の治療でカバーできる可能性が期待されると考えますので、総合判定としては「適」といたしました。
 以上です。
○横井座長代理
 ありがとうございました。
 説明は以上ですが、これまでの説明について何か御質問、御意見等はございますでしょうか。
 これは先進医療技術審査部会では「条件付き適」ということで、先ほどのアフリベルセプトの件を申請医療機関に一度申し上げて、その条件をアクセプトされれば「適」という格好でよろしいでしょうか。
 五十嵐座長、どうでしょうか。
○五十嵐座長
 はい。結構です。
○横井座長代理
 皆さんもそれで御異論はございませんでしょうか。いいですかね。
 それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと思います。大変申し訳ありませんが、竹内構成員、上村夕香理構成員は一時御退席いただきますようよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 竹内構成員と上村夕香理構成員は御退席されましたので、よろしくお願いいたします。
○横井座長代理
 それでは、各先生方の評価結果どおり決定したいと存じますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 竹内構成員、上村夕香理構成員にはお戻りいただいてよろしいでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。竹内構成員と上村夕香理構成員はお戻りになりましたので、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 3件目につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 3件目に移らせていただきます。
 まず、資料について御説明させていただきます。再び先-1を御覧いただければと思います。
 今回御審議いただきます3件目の技術は、整理番号158番です。
 技術名は「反復経頭蓋磁気刺激による治療抵抗性うつ病の維持療法」でございます。
 適応症については「薬物療法に反応しない治療抵抗性うつ病を対象とし、反復経頭蓋磁気刺激の急性期療法により反応あるいは寛解した患者」でございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 こちらは先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として坂井構成員、副担当として掛江構成員、飛田構成員にお願いしてございまして、総評としては「適」の御評価をいただいております。
 先進医療会議における事前評価につきましては新井構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。お手元の資料の別紙3の48ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは様式第9号として左上に記載してございますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示しさせていただいております。
 1番目は実施責任医師の要件です。
 診療科は精神科または精神神経科が必要です。
 資格は日本精神神経学会精神科専門医が必要です。
 当該診療科の経験年数は10年以上必要です。
 当該技術の経験年数は1年以上必要です。
 当該技術の経験症例数は術者として2年以上必要です。
 その他、上記以外の要件としまして、日本精神神経学会の開催するrTMS実施者講習会を受講することと、国立精神・神経医療研究センター、東京慈恵会医科大学の開催する維持rTMS療法講習会を受講することとなっております。
 2番目は医療機関の要件です。
 診療科は精神科または精神神経科が必要です。
 実施診療科の医師数は日本精神神経学会精神科専門医が常勤として2名以上が必要です。
 他診療科の医師数は不要となっております。
 その他、医療従事者の配置は不要です。
 病床数は不要です。
 看護配置は不要です。
 当直体制は不要です。
 緊急手術の実施体制は不要です。
 院内検査(24時間実施体制)は不要です。
 他の医療機関との連携体制(患者容態急変時等)は不要です。
 医療機器の保守管理体制は必要です。
 医療安全管理委員会の設置は不要です。
 おめくりいただきまして、医療機関としての当該技術の実施症例数は5例以上必要です。
 その他、上記以外の要件はありません。
 3番目のその他の要件ですが、頻回の実績報告は不要です。
 その他、上記以外の要件はありません。
 なお、こちらは下方に※がございまして「実施責任医師の要件である当該技術の経験年数および経験症例数、医療機関の要件である当該技術の実施症例数は、うつ病患者を対象とした反復経頭蓋磁気刺激療法の経験年数、経験症例数、実施症例数を示しており、反復経頭蓋磁気刺激による維持療法に限らない」となっております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 まず、先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当を坂井構成員、副担当を掛江構成員と飛田構成員にお願いしております。
 初めに坂井構成員から概要の説明と、実施体制の評価をお願いしたいと思います。
○坂井構成員
 よろしくお願いいたします。まず、概要から御説明させていただきます。
 本研究ですけれども、抗うつ薬による薬剤療法に反応しない成人うつ病の患者さんで、急性期に反復経頭蓋磁気刺激療法、以下rTMS療法とさせていだきます。こちらを実施して反応または寛解した患者さんを対象にrTMSによる維持療法を12か月間行いまして、この維持rTMS療法の有効性と安全性を確認するということを目的としています。
 概要図を御覧いただきたいのですけれども、別紙3の24ページを御覧ください。今回行いますrTMS療法は、薬物療法に反応しない治療抵抗性のうつ病の急性期治療として、2019年6月に保険収載されております。この急性期治療といいますのは、ページの左下にございますように、初回治療から6週間、30回を限度した治療を指しております。
 本邦で承認されました機器としては、今回用いますNeuronetics社製のNeuroStarのみですけれども、諸外国ではNeuroStar以外の医療機器も承認されております。
 本研究の背景といたしまして、うつ病は再燃・再発しやすい疾患でありまして、急性期治療で反応や寛解を得たとしても、その後の治療としては、現時点では薬物療法しか保険で認められている治療法がありませんので、45~60%の再燃・再発率であるということがございます。
 そのため、rTMS療法を維持期治療として12か月間行い、有効性と安全性が認められた場合には、この治療法を維持療法として保険収載するということを目的としております。
 ロードマップが25ページに示されております。こちらにありますように、臨床研究として2例実施されております。今回は先進医療として、合計300例の症例を集積いたしまして、先ほど申しましたように、有効性と安全性が確認された場合には学会から保険収載を要望するという計画になっております。
 なお、欧米での現状ですけれども、維持期のrTMS療法は諸外国でも承認されている国はございません。
 続きまして、研究の内容を御説明いたします。別紙3の28ページ以降を御覧ください。適格基準につきましては、こちらにありますように、急性期のrTMS療法によって反応もしくは寛解した患者さん、また、2番目としては、維持rTMS療法を希望する場合、治療スケジュールを遵守する意思を有する患者さんとなっております。除外基準は、こちらにあるとおりです。
 次のページをお願いいたします。主要評価項目ですけれども、登録後12か月までの再燃・再発率とされております。
 副次的評価項目につきましては御覧のとおりです。
 治療計画につきまして、35ページ以降を御覧ください。急性期治療に反応または寛解した患者さんを対象にしまして、これが患者さんの希望によってrTMS療法の維持療法あり群かなし群を決定しまして、維持療法あり群に対しては、前半6か月は週1回、後半6か月は2週に1回rTMS療法を施行するという計画になっております。
 一方、維持療法なし群に対しましては、内服中の抗うつ薬をそれまでと同一の用法・用量で継続することとされております。
 本研究で計画されておりますrTMS療法の刺激条件につきましては、急性期治療と同一の方法で、基本的にはrTMSの適正使用指針に準拠して行う計画となっております。
 この研究なのですけれども、維持療法のありまたはなしを患者さんの希望で組み入れる計画になっておりまして、この点につきまして、急性期治療で有効だった患者さんが維持療法あり群を希望されるのではないかと考えまして、このバイアスの影響を低減できる方策はないかということを、飛田先生からも研究者の先生方との間で御討議いただきました。
 NeuroStarのTMS治療装置の使用成績調査です。こちらは急性期治療後12か月間、薬物療法のみを継続した観察研究でありまして、この使用成績調査の結果と、本研究における維持療法なし群の両方の結果と比較して、この維持療法あり群の再燃・再発率が下回った場合に有用と判断するという計画に御修正いただきました。この点につきまして、この後、飛田先生から御説明いただけると思います。
 以上が研究の概要です。評価に移りたいと思います。
 実施責任医師等の体制につきましてですが、本研究の対象者は既に急性期に本技術を用いた治療を受けている患者さんでありますので、実施責任医師の要件としては、本技術の経験を1年以上、経験症例数としては2例以上としていただきまして、この技術の実施前にrTMS療法実施者講習会を受講するということを御説明いただきましたので「適」とさせていただきました。
 実施医療機関の体制ですけれども、実施医療機関としての実施症例数は5例とされております。
 先ほどお示しがありましたように、当直体制等は不要とされているのですけれども、維持期の治療としましては外来通院で可能でありまして、実施中以外には有害事象として報告されているようなけいれん等を生じる可能性はないということで「適」とさせていただきました。
 技術の有用性等ですけれども、文献的には維持期rTMS療法の上乗せ効果は約20%と報告されておりまして、今回の研究者の先生方の実験例の報告も、2例ですけれども寛解を維持しているという結果であることが報告されておりますので、rTMS療法を用いた維持療法の有効性についても期待できると考えまして「適」とさせていただきました。
 私からはひとまず以上とさせていただきます。
○五十嵐座長
 御説明をどうもありがとうございました。
 続きまして、掛江構成員から、倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○掛江構成員
 ありがとうございます。
 今、坂井構成員から御説明いただいたとおり、本研究は研究デザインについて、まず、非常にサイエンティフィックな議論を坂井先生、飛田先生にしていただいたもので、倫理の観点からは、先生方の御議論においてサイエンティフィックに当該プロトコルが妥当であるという前提において、説明文書の内容等を確認させていただいたような状況でございます。ですので、仮にこの後の先生方のディスカッションの中でデザイン等にまた問題があるという御判断があれば、今回の倫理的な観点についても変わってくる可能性があることは含みおいていただければと思います。
 この研究自体は、タイトルから前向き非無作為化並行群間比較試験と書いていただいているにもかかわらず、シングルアームスタディーであるかのように介入群、つまり、当該維持療法を実施する群についての説明しか記載されていない説明文書であったというところが非常に大きな問題としてございました。
 また、当該維持療法があたかも有効であって、これを保険収載するためのデータを集めるような研究であるといったニュアンスに捉えられるように説明で展開しているために、当該説明文書を用いて、当該維持療法を実施しない群、非介入群をリクルートすることは困難であろうと判断しました。
 また、倫理の立場から、仮に介入群が明らかに有効である場合にあっては、倫理的にもこのようなデザイン、要は明らかに有効な群と、明らかに有効ではない群を設定するようなデザインのスタディーは許容できないのではないかと考えましたので、その辺りにつきまして、15ページ以降の照会事項にあるのですけれども、そちらで御質問させていただいたところでございます。
 15ページの1に少し書かせていただいているのですけれども、説明文書全般が今、申し上げたように、非常に偏って、介入群がまるで効果的かのように書いていることと、介入群であったとしても全ての患者様に効果があるわけではないという前提が全く読み取れないような書きぶりであったのです。非常にこの介入に期待されている申請者の思いが前面に出た説明文書であったというところについて、改めて丁寧に公平な書き方をしていただきたいというところをお願いしました。
 その内容につきまして、10項目ぐらいこの後いろいろ御指摘をさせていただいたのですが、申請者のほうは割と御指摘させていただいた後は速やかに適切な修正をしてくださいましたので、その部分に関しては「適」とさせていただいたところです。
 あとは18ページの9番目の指摘事項になるのですが、本研究は18歳以上の方が対象者となっているのですけれども、未成年者に関しては代諾のみで実施するような記載になってございました。こちらにつきましては今の国の指針、臨床研究法ともに16歳以上の未成年者については、代諾に加えて御本人の同意を取得することとしておりますので、その点を国の法令指針に合わせて適切に修正することを検討していただきたい旨をお願いしました。
 これにつきましてもそのように修正をしていただきましたので、全体としては「適」とさせていただいた次第でございます。
 実施条件ではないのですけれども、本研究について、修正していただいた後の説明文書を拝見しましても、若干フェアに受け止めるのがなかなか難しいのかと思うところがありましたので、維持療法を受ける群への参加と、維持療法を受けない群への参加、もしくは、研究に参加しないの3つの選択肢を、これから説明を聞いたときに選べるのだということを、フェアに御説明していただくことを希望しますということを評価の実施条件欄に書かせていただく形で「適」とさせていただきました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 続きまして、飛田構成員から試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○飛田構成員
 よろしくお願いいたします。
 私の評価に関しては、別紙3の3ページに記載させていただいております。
 坂井先生、掛江先生からも説明があったとおりで、まず、本試験は実施可能性の問題から盲検化、ランダム化が行われず、対象患者の希望によって維持療法あるいは維持療法なしを選択できるような試験デザインとなっています。
 そのため、維持療法あり群となし群の比較に関しては、観測されるベースラインの因子の一部を共変量とした解析を実施することが計画されていますが、ランダム化及び、盲検化がされませんので、観測されないような様々な背景要因の偏りや、他の要因によるバイアスが強く試験成績に影響を与えることが考えられ、rTMSの維持療法の効果を過大に評価する試験デザインであることから、有効性の評価方法に関しては「不適」とさせていただいておりました。
 この点について、申請者の先生方に、これらのバイアスの影響を低減できるような試験デザインへの変更や、他に何か工夫できることはないか、解析上でも工夫できることがないかという点に関して何回か照会事項のやり取りをさせていただきました。その回答として研究者の先生方から、現在、NeuroStar TMSで行われている使用成績調査の12か月後の再燃・再発率も、ヒストリカルコントロールとして本試験における維持治療群の再燃・再発率との比較を行うという提案がなされました。
 臨床試験と使用成績調査の違いや対象集団間の差異などの影響に関しては、結果の解釈などを難しくする可能性はありますが、実施可能性等を考慮して最終的には「適」と判断しております。
 ただ、実施条件として記載している点についてですが、本臨床試験は参考文献として提出された2013年に報告されている別の研究者が実施した試験デザインととても類似した試験デザインです。この先行研究でも盲検化、ランダム化もされておらず、急性期治療にレスポンスした患者さんたちの希望に応じて維持治療を行うか行わないかという試験が実施されています。この文献の中でも、著者らはバイアスの問題などのリミテーションについて検討しており、適切に維持治療の効果を証明するためにはRCTを実施する必要があると結論しています。
 今回、提案された臨床試験は、この先行研究よりも症例数が多い点は一つ評価できるのかもしれませんが、エンドポイントや治療期間が異なるという違いはあるものの、RCTではないため群間比較に生じるバイアスの影響や限界があるため、本試験で観測される維持治療の効果は過大評価されるということを十分に検討、考察していく必要があると考えています。
 そのため、現在実施中の使用成績調査をヒストリカルコントロールとして利用するということに関しては、本試験の実施計画書の中で、ヒストリカルコントロールとの比較を行うと追記されましたが、詳細についてはまだまだ十分に検討されていない部分がありますので、ヒストリカルコントロールの成績が得られ次第、早急にプロトコル等を改訂して、事前に解析計画を提示していただく必要があると考えています。
 以上です。
○五十嵐座長
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、坂井構成員に、現時点での先進医療技術審査部会としてのおまとめをお願いいたします。
○坂井構成員
 ただいま飛田先生からも詳しく御説明がありましたように、本研究はランダム化しないデザインでありますので、群間に生じるバイアスの影響を払拭することはできないとは考えております。
 有効性に関する結果が過大評価される可能性が残存するとは考えていますけれども、維持療法を行わない使用成績調査300例の結果と比較することで、バイアスの低減を図れる可能性があると考えまして、実現可能性も考慮して「適」と判断いたしました。
 また、本研究でどの程度有効性が示されるか分かりませんけれども、この結果が過大評価されることを十分に考慮した上で、保険収載の申請をされる場合には適否を御判断いただくということを希望いたします。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療会議における事前評価について、新井構成員にお願いしております。新井構成員から評価結果等について御説明をお願いいたします。
○新井構成員
 よろしくお願いいたします。20ページを御覧ください。私の評価表がそこにございます。
 まず、社会的妥当性に関しては倫理的問題等はないと判断させていただきました。
 現時点での普及性に関しては、罹患率、有病率から勘案して、普及していないという判断といたしました。
 効率性についてはよく分からない部分もあるのですが、やや効率的とさせていただきました。
 将来の保険収載についてでありますけれども、これは妥当といたしました。ただ、そこに当たり前のコメントをさせていただいたわけでありますが、これは坂井構成員、飛田構成員からご指摘があったように研究デザインが今一つであり、そこに問題があるとの判断でコメントを付記いたしました。すなわち、本研究において治療抵抗性うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激維持療法の有効性が、科学的妥当性をもって確実に実証されることが、保険収載の前提になるとした訳であります。
 総評に関しては「適」とさせていただきましたけれども、既に縷々説明があったとおり、本研究のデザインがランダム化されていないことが問題と思われます。したがいまして、研究の結果の解釈には問題があると認識された訳でありますけれども、飛田構成員のご尽力によりまして、申請者との事前調整でNeuroStar TMSの使用調査をヒストリカルコントロールとして用いることになり、その効果をある程度客観性をもって評価可能になったということです。したがって、ランダム化されていない問題はある程度解消されたと判断いたしまして「適」としました。しかしながら、最終的な結果の解釈については、依然として慎重を要すると考える次第であります。
 以上であります。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 説明は以上ですけれども、これまでの説明につきまして、何か御質問等ございましたらお願いいたします。
 特にございませんか。
 それでは、各先生方の評価結果どおり決定したいと存じますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 以上で本日の議論は終了したいと思います。次回の先進医療会議の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和4年4月14日木曜日、16時からを予定しております。場所につきましては、別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、先進医療合同会議をこれで終了いたします。御協力、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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