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2021年11月4日 先進医療会議・先進医療合同会議(第104回先進医療会議、第124回先進医療技術審査部会)

○日時

令和3年11月4日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員 
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
真田構成員 佐藤(雄)構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)

○議事

〇先進医療合同会議(第104回先進医療会議、第124回先進医療技術審査部会)
16:00開会

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、認定臨床研究審査委員会で承認された先進医療Bに係る新規技術の科学的評価を目的に、「先進医療合同会議」を開催いたします。
 初めに、構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は、福田先生が、御出席の予定ですけれども、少し遅れるということでございます。
 それから、先進医療技術審査部会から、真田構成員、佐藤雄一郎構成員に御出席いただいております。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
 それではまず、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿と続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている一枚紙の資料がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
 また、今回の先進医療合同会議におきましてはウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用いたします資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧していただければと存じます。
 御発言いただく先生方におかれましては、会議資料のページ、または送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。委員の先生方、資料につきましてはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。出席されている構成員皆さんにおかれましては、利益相反はないということで、この会議に臨みたいと思います。ありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等についての資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1の資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 今回御審議いただきます技術は、整理番号154番、技術名は「家族性大腸腺腫症患者への低用量アスピリン療法」でございまして、適応症につきましては、家族性大腸腺腫症でございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として真田構成員、副担当を佐藤雄一郎構成員、伊藤陽一構成員、後藤田技術専門委員にお願いしてございまして、総評としては「適」の御評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価につきましては山口構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の御説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 資料、別紙1の23ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちら、様式第9号として左上に記載してございますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示しさせていただいております。
 1番目、実施責任医師の要件ですが、診療科は、消化器系の内科または外科が必要。資格は不要。当該技術の経験年数は5年以上が必要。「ただし、大腸内視鏡による腫瘍及び出血の処置とアスピリンの投与の経験とする」となっております。
 当該技術の経験症例数は不要。「ただし、大腸内視鏡による腫瘍及び出血の処置とアスピリン投与の経験について助手または術者として2例以上の経験を有すること」となっております。その他、上記以外の要件はございません。
 2番目、医療機関の要件ですが、診療科は消化器系の内科または外科が必要。実施診療科の医師数は、非常勤を含め2名以上。うち、日本内視鏡学会専門医1名以上が必要となっております。
 他診療科の医師数は、消化器外科2名以上かつ内科2名以上が必要。(ただし、緊急時搬送可能病院との連携がある場合は不要)となっております。その他医療従事者の配置は不要、病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は必要。ただし、緊急時搬送可能病院との連携体制があれば不要となっております。
 院内検査(24時間実施体制)は不要、他の医療機関との連携体制(患者容態急変時等)は必要、入院施設や緊急手術体制のない医療機関の場合、緊急時搬送可能病院との連携体制は必要、医療機器の保守管理体制は必要。
 24ページにお進みいただきまして、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。頻回の実績報告は不要。その他(上記以外の要件)は特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、担当いただきました真田構成員から概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○真田構成員
 真田でございます。よろしくお願いいたします。
 この技術は、先ほど御説明がございましたように、ポリープを多発して、最終的には高率でがんに至る家族性大腸腺腫症の患者に対し、低用量のアスピリンを服用していただくことによって、その腫瘍の発現や予後に関する指標がよくなるかどうかということを検証したいという試験になっています。
 技術自体は非常に簡単で、アスピリン、すなわち様々な病気で血小板を抑制する等々の作用やその他の作用で既に用いられているお薬です。
 こちら、今回主担当として審査を担当させていただいたのですが、資料の4ページから9ページのところに照会事項があり、そこに回答をいただいていますけれども、私の立場からいたしますと、この最大の懸念は1つでして、それは、本日お見えではないですが後藤田先生が別紙1の2ページのところで指摘をされている評価項目、それも主要評価項目についてです。
 今回の主要評価項目については、別紙1の1ページのところにありますように、2年間のmm以上のポリープの発生割合の累積割合、それを8カ月、16カ月、24カ月というふうに8カ月ごとの内視鏡で確認した累積の割合を見るという項目を立てていらっしゃるのですが、これをよしとするかというところが最大のポイントかと思います。
 こちらについて、後藤田先生、また私もですが、腫瘍抑制効果の保険収載を目指すのであれば、少なくとも主要評価項目はadvanced adenomaの発生割合にしていただきたいという趣旨の御照会を別紙1の4ページのところでいただいています。そこに対する回答が受容可能かどうかというところにつき、先生方にも御意見を賜りたいと考えています。
 申請者の回答は、この4ページのところから御覧いただきますと、まずは、回答、4行目のところから、FDAがこの家族性大腸腺腫症の新薬承認に臨床的有用性の指標を求めたことを受けて、国際遺伝性消化管がん学会、InSiGHTが病期分類システムの開発を行うことにした。この内容が、5ページのところに概略が記載されていますけれども、ポリープの数の大きさで病期ステージ分類を試みて、この病期に応じた治療法として5段階、AからEの段階を示し、FAPにおいては、散発性大腸腺腫の患者よりももっと細かく病期を分類することにより、推奨される観察間隔や外科的切除の基準を決めていき、ダウンステージングによる治療評価をしていこうという動きが起きているとお示しされています。
 なので、この将来的なFDAでの承認を得るために、このInSiGHT病期システムに対応できるような、つまり、グレーディングに対応できるような主要評価項目にしたという主張をされています。
 5ページの下のところにも望ましい主要評価項目にできないやむを得ない理由をもう一つ述べられていて、それは、6ページですけれども、8カ月ごとの大腸内視鏡検査による大腸ポリープの積極的治療を実施している段階では、大腸がんそのものの発生頻度が極めて少ないために、最終的に結腸手術に至る患者がいない。つまり、エンドポイントに到達する割合が非常に低いために、それらをエンドポイントとして試験を実施するのは困難と考えられたということです。
 これによって、先ほど、別紙1の1ページに示されているこのような主要評価項目、それから、副次評価項目のところに2年間の高度異型、がん、最大ポリープの発生個数やポリープの発生個数と切除個数などなどございますけれども、この辺りで予後のところも観察していこうということにされているということです。
 私の評価としては、先進医療として実施するに当たり、この評価はやむを得ないものではないかということで、この別紙1の2ページにお示ししておりますように、「適」と判断させていただいています。
 私のほうから簡単に、以上になります。
○五十嵐座長
 真田先生、ありがとうございました。
 それでは、本日は御欠席されていらっしゃいますけれども、後藤田技術専門委員からも評価をいただいておりますので、代わりに事務局から説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料、別紙1の2ページの中頃を御覧ください。こちらに、事前に後藤田技術専門委員よりいただいたコメント等がございますので、事務局で代読させていただきます。
 実施体制の評価としまして、1.実施責任医師等の体制は「適」、2.実施医療機関の体制は「適」、3.医療技術の有用性等は「不適」ということでございます。
 コメントとしまして、「評価項目設定に関して、やむを得ない理由は理解しました。しかし、将来のアスピリンによる腫瘍抑制効果の保険収載を目指すのであれば、少なくとも主要評価項目はadvanced adenoma発生割合にしていただきたい」というコメントをいただいております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 続きまして、佐藤雄一郎構成員から倫理的観点からの評価をお願いいたしております。よろしくお願いいたします。
○佐藤(雄)構成員
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
 今、事務局のほうから画面共有をしていただいている部分についてです。見させていただきまして、同意手続・説明内容、そして補償内容、全て適切であると判断いたしました。
 2つのことが気になりました。一つは、撤回が可能であるというので、撤回をして服薬を中止した場合に健康被害が出ないのかどうかということ。もう一つは、この研究は16歳以上から入ることができるのですが、16歳は未成年者ですので、本人と代諾者、つまり親権者との意見が食い違った場合にどうなるかということをお尋ねいたしました。それは、別紙照会事項の2というところで御回答いただいていて、ともに納得のいく結論でありましたので、倫理的な評価はともに「適」としてあります。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、本日御欠席でいらっしゃいますが、伊藤陽一構成員からの御評価につきまして、事務局から代わりに説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料、別紙1の3ページを御覧ください。こちらに、事前に伊藤陽一構成員よりいただいたコメント等がございますので、事務局で代読させていただきます。
 試験実施計画書等の評価としまして、6.期待される適応症、効能及び効果は「適」、7.予測される安全性情報は「適」、8.被験者の適格基準及び選定方法は「適」、9.治療計画の内容は「適」、10.有効性及び安全性の評価方法は「適」、11.モニタリング体制及び実施方法は「適」、12.被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方法は「適」、13.試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法は「適」、14.患者負担の内容は「適」、15.起こりうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わりは「適」、16.個人情報保護の方法は「適」。
 コメントとしまして、「照会事項に対して適切に改訂がなされたため、いずれも適と評価した」というコメントをいただいております。
以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上の報告をまとめまして、真田構成員から、現時点での先進医療技術審査部会としてのおまとめをお願いいたします。
○真田構成員
 真田でございます。
 先生方からの御意見を私が今の時点でまとめさせていただきました結果、総合評価としては「適」とつけさせていただいております。
 資料の別紙1の3ページのところに私のコメントを掲載していただいていますが、さりとて、主要評価項目で5mm以上のポリープの大きさのところをフォーカスするについても、やはり最終的な目標が予後の改善、あるいは手術に至る症例の減少というところを目指しているという治療目的を共有していることは間違いございませんので、今回それを後藤田先生からも御指摘いただいているところを鑑みても、私からのコメントとしては、ここにお示ししておりますように、一部「不適」と指摘されている評価項目の設定に関して、将来のアスピリンによる腫瘍抑制効果をより直接的に評価する重要性を踏まえて、本技術で副次評価項目となっているadvanced adenomaの発生割合等についても適切にデータの収集・解析を行った上で、公表するように努めていただきたい。つまり、主要評価項目が独り歩きすることのないようにお願いしたいということを述べさせていただきます。
 以上になります。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療会議における事前評価につきましては山口構成員にお願いをしております。山口構成員から評価結果等について説明をお願いいたします。
○山口構成員
 今、真田構成員のほうからあったとおりで、非常に明快に御説明いただきました。後藤田先生の御指摘はごもっともですが、後藤田先生も、理解できないわけではなくて、できない理由は理解できるが、ベストはこっちだよという形で示されたのだと思います。このグループは今までいろんな研究をやっていますけれども、同様なエンドポイントでやってきており、ベストではないにしてもワーストでないということかと思います。評価としましては一応倫理的な問題はありません。罹患率、有病率からみて、普及していないと判断しました。また、やや効率的なことが期待されるということで、将来、保険収載を行うことが妥当としました。ただし、本技術によって外科治療の必要がなくなるということが示されるという前提で、導入されることは妥当と判断いたしました。
 総合判定としては「適」で、真田先生のおっしゃったのと全く同じで、advanced adenomaを副次評価項目としてきちっと評価してもらえれば、その結果から、また次のステップに移られると思いますので、よしといたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、何か御質問等ありましたら、委員の先生方、お願いいたします。
 藤原先生、どうぞ。
○藤原構成員
 これは先進医療Bとして認めるかどうかの話なので、保険適用にちゃんとつながっていくかというところが一番の課題になると思うのですけれども、臨床試験のデザインは、先ほど真田先生もおっしゃったとおり、セカンダリーエンドポイントでそういうものを入れてやっていくことに関して何も問題はないと思うのですけれども、そもそも薬事承認までのロードマップが、14ページに出ていますけれども、この先進医療Bが終わった後の薬事承認までの流れがぼやっとしか書いていないのと、それから、この薬はバイアスピリンですので、バイエル社さんが製造・販売されていると思いますけれども、今回の試験は、購入してやるということで、バイエルさんの協力に関しては一切何も言及されていません。しかも、海外、欧州、米国ともに、このアスピリンに関するFAPの予防の効能は取得されていない中で、どうやって医療上の必要性の高い未承認薬検討会議で公知と判断して、誰が承認申請やるのかというのは全く不透明なので、わざわざ先進医療Bでやらなくても、普通の臨床研究、臨床試験でやってもらうだけでもいいのではないかなとは思うのですけれども、その辺何か聞かれましたでしょうか。
○五十嵐座長
 これは事務局に御質問ですか。
○藤原構成員
 真田先生でもいいですけれども、要は、将来申請者も決まっていなくて、そういう交渉をしているとも資料の中から見えないので、わざわざ先進医療Bでやる必要が本当にあるのかというのがちょっと見えないということです。
○五十嵐座長
 真田先生、何かございますか。
○真田構成員
 真田でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。私のほうからは、御指摘いただいた点に対して特段照会をしたわけではないのですが、確かに、これをもって一足飛びに薬事承認に向かうかということについては、企業の協力が得られない場合はなかなか難しいというのは御指摘のとおりかと思います。
 ただ、この試験について、そもそも最終的なエンドポイントを比較することは難しいということで、副次に入れられたということですけれども、この試験が功を奏していい結果が得られた際に、次のデザインの試験というのが果たしてどのようなレベルのものになるのかということを考えたときに、そこを、先ほどのadvanced adenomaの発生割合というふうに求められてしまいますと、かなり、それこそ超大規模な試験をやらないといけない可能性、あるいはリアルワールドでそこは解決できるのかもしれませんけれども、かなり大規模な試験をやらないといけないということになりますので、恐らく、この試験の結果が、何らか将来、薬事承認に向かうムーブメントの中の一つとして組み入れられる場合は、それを参考のデータとして読んでいただくような形態としてやっていただくのは悪いことではないのではないかと私自身は思います。しかしそこは照会したわけではないので、もし事務局さんのほうで何か聞かれていれば追加発言をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 バイエル社との直接の交渉をされているということは伺っておりませんので、御指摘のとおりかと存じます。
○藤原構成員
 五十嵐先生、藤原ですけれども、いいですか。
○五十嵐座長
 どうぞ、では先に藤原先生。
○藤原構成員
 先進Bとして行うことに関しては、そのほうが保険外併用医療費もちゃんと使えますし、先日の厚生科学審議会臨床研究部会で医薬・生活衛生局の医薬品審査管理課長さんが、先進医療Bの成果も将来薬事承認に使う道がこれから出ますと明言されていましたので、それは問題ないと思うのですけれども、さすがに、この試験をやっている間に、終わった後にどう保険適用、あるいは薬事承認に結びつけるのかということはちゃんと、この試験をやっている人たちが厚労省なり何なりと相談しながら、あるいは製薬企業探しをしながらやっておいていただきたいというのはコメントされておいたほうがいいと思います。
○五十嵐座長
 御指摘ありがとうございます。それと関係して、山口先生、何かございますか。
○山口構成員
 私もその点は余り気にしていなかったのですけれども、1つは薬が安いので、あえてメーカーに頼る必要はないという判断があったのかもしれません。今後これがどのように使われていくかということですけれども、やはり対象の患者は限られていますので、そういう人たちが日々、がん化するのではないかというおそれを持っているよりも、少なくともadenomaだけでも減ると、やはり患者さんに対する利益というのは大きいと思います。もちろん、malignant adenomaの発生の割合がどれぐらい減るのかというのは最終的には大事ですけれども、その辺りは結果が出たときに考えられて、いろんな道で保険収載に向かうことも可能ではないかなと思って見ていました。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、横井先生、お願いします。
○横井構成員
 すみません。これは、飲んでいただいて2年間経過を見るということですけれども、この人たちは、人生の間ずうっとがん化のポテンシャルがあるということですが、これがうまくいった場合は、結局、生涯、アスピリンを飲み続けるということをこの研究は示そうとしているのでしょうか。どなたにお聞きしたらいいかよく分からないのですが。
○真田構成員
 すみません。真田でございます。
 私、研究者とその点に関しても直接のやり取りをしたわけではないのですが、2年間有効であったからといって、そこで終わるという最終的な治療プログラムを考えておられるということは、恐らくまずはなくて、そこは、効くのであれば、その間、一生涯かも分かりませんが、長期間服用いただくということをめどにされているということは非常に理解はできると思います。
 ただ、制度上、これは2年間の保険外併用を使って2年間のアウトカムを見るということを決められたところで、この後ろの治療についてどのような立てつけをするかというところを、この結果がオープンになっていないところで決めるというのはなかなかに難しいという御判断をされた可能性はあるかと拝察はいたします。
 以上です。
○横井構成員
 ありがとうございます。
○五十嵐座長
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 こういうケモプリベンションは結構歴史が長くて、インドメタシンなどを使った研究が行われてきましたけれども、いずれの場合も、これは一生服用するのだという前提でやっていると私は理解しています。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 柴田先生、お願いします。
○柴田構成員
 これが先進医療Bとして実施されることには異存ございませんし、今回の主要評価項目、あるいは追加された副次評価項目のデータに基づいて、この治療法がアスピリン投与の薬理効果が示される一つのエビデンスになるということまでは期待できると思います。ですので、これが認められるという方向で議論されることには異存ございません。
 一方で、後藤田先生、あるいは山口先生からも評価表の中で御指摘がございましたように、今回示されるアスピリン投与による上乗せというのが本当に臨床的有用性を反映している情報になるのかというところには議論の余地があって、FDAですら、それは認めていないと思います。
 具体的にいうと、今回のステージングのステージ0にとどまる人が多ければ、このケモプリベンションの臨床的有用性が示されたとみなしますということはFDAは言っていないので。具体的にはもっとインパクトの強い介入、山口先生御指摘のように、手術が減るのかとか、そういうところでインパクトをはかるための一つの物差しとしてステージングが取り上げられているのであって、ステージ0が維持できるかどうかということに基づいて臨床的有用性が認められるということは、FDAはどこでも言っていないはずなのです。そこはロジックがおかしいと思うので、きちんと整理しておく必要があると思います。
 ステージングのスケールを見ると、後藤田先生の御指摘であるとか山口先生の御指摘のところが素人目にもインパクトのある線引きであると思います。効果があるかどうかを示すことに加えて、それが臨床的にインパクトがあるのか、それが臨床的有用性だと思いますが、そこはちょっと論点が違うので、FDAが認めた方法であるという主張はおかしいですし、最終的にはやはり今回の試験の副次評価項目の内容が重要になってくるのだと思います。論点の整理がされておけば、この試験がされること自体には反対ではございません。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
 竹内先生、どうぞ。
○竹内構成員
 ありがとうございました。大変よく分かりました。この別紙資料の1ページ目の第2パラグラフ、「本試験は」というところから始まって、「有効な大腸がんの発生抑制法の実用化(保険収載)に繋がる最終的なエビデンス構築を目的と」と書いてあるところが多分プライマリーエンドポイントの設定等からして少しなじまないのかなという感じがいたしました。
 よくこの先進医療の内容を見ていきますと、11ページ目、「先進医療の内容(概要)」の第2段落目の(先進性)というところの最後の1行は、「今回検討する長期における効果の持続と副作用の評価を加えることにより、低用量アスピリンにFAP疾患での」、ここは「重症化の抑制」という言葉がつけられていて、それに係る効能追加をしたいというお申出なのですね。
 なので、どうもこのエンドポイントの設定とこの文言、いわゆるがん発生抑制の実用化という点と、重症化というのはポリープの増大も含めて重症化と言っているので、少しこのところのエンドポイントとその適用の内容がずれているのではないかという印象を受けました。
 この11ページ目の内容であれば、このプライマリーエンドポイント設定で内容も合致するのではないかなと感じました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。そのほかいかがですか。
 そうしますと、各先生方の評価結果としては、「適」としてよろしいと思います。しかしながら、advanced adenomaの発生割合については検討結果を提出していただきたいということはコメント付記したいと思います。それで、よろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、これは「条件付き適」ではなくて、コメント付きで「適」ということでよろしいですね。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 では、以上をもちまして「先進医療合同会議」はこれで終了したいと思います。準備が整い次第、「先進医療会議」のほうに移らせていただきます。



第104回先進医療会議

○日時

令和3年11月4日(木)16:40~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員 北脇技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)(別紙2)(参考資料)
 2 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-2)(別紙3)
 3 先進医療制度の見直しについて
   (先-3-1)(参考資料)
   (先-3-2)(先-3-3)(先-3-4)
 4 その他

 

○五十嵐座長
 では、準備ができましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
 初めに、構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は全員御出席です。また、事前評価をしていただきました北脇技術専門委員に御出席をいただいております。
 資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 それではまず、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿に続きまして、先-1「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」という一枚紙の資料がございます。こちらには、別紙1、別紙2、参考資料がついてございます。
 続きまして、先-2「総括報告書に関する評価について」でございますけれども、こちらには別紙3がついてございます。
 続きまして、先-3-1「国家戦略特別区域内で実施する新規技術に係る手続の全国展開について(案)」としている資料がございまして、こちらには参考資料がついてございます。
 続きまして、先-3-2「先進医療会議における科学的評価の迅速化の対象となる認定臨床研究審査委員会(CRB)の見直しについて」としている資料がございます。
 続きまして、先-3-3「医療機器の使用を伴う医療技術の振り分けに係る見直しについて(案)」としている資料がございます。
 最後に、先-3-4「先進医療Aにおける技術の外部委託に係る見直しについて(案)」としている資料がございます。
 資料につきましては以上でございます。
 今回の先進医療会議におきましては、先ほどと同様、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用いたします資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧していただければと存じます。
 御発言いただく先生方におかれましては、会議資料のページ、または送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。資料等につきましてはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果を事務局から御説明願います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について、御報告をいたします。
 北脇技術専門委員より、先進医療Aとして評価を行う整理番号342及び343の技術につきまして、報告がございました。北脇技術専門委員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。そのほか、御出席されている構成員におかれましては、同様の事例はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 続きまして、先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等についての資料が提出されております。2件ございます。まず1件目から事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1に基づきまして御説明させていただきます。
 今回、先進医療Aの新規技術として御審議いただく1件目の技術でございますが、整理番号342番、「子宮内膜スクラッチ」でございます。
 適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る)となってございまして、かかる費用につきましては資料にお示ししたとおりでございます。
 今回、英ウィメンズセントラルファティリティクリニックより申請がございました。こちらの事前評価につきましては、横井構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、横井構成員より「条件付き適」、北脇技術専門委員より「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙1の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。まず、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。資格は、日本産婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ、日本生殖医学会認定生殖医療専門医であること。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数につきましては、実施者として5例以上としております。
 また、医療機関の要件でございますけれども、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上、他の診療科の医師は不要としております。
 その他の医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者としておりまして、病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査(24時間実施体制)は不要としております。
 他の医療機関との連携体制は必要としておりまして、緊急の場合、その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしております。
 また、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会の審査体制は、必要な場合に事前に開催すること。医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は5症例以上としております。
 また、その他の要件でございますけれども、4ページ目をおめくりいただきまして、頻回の実績報告は不要としております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 この整理番号342の技術につきましては、事前評価を横井先生にお願いしておりますので、技術の内容と評価結果について、横井先生から御説明をお願いいたします。
○横井座長代理
 よろしくお願いします。子宮内膜スクラッチということですけれども、概要としましては、生殖補助医療における反復不成功例の中に、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊娠に至らない着床不全症例が存在するとのことです。
 着床不全の原因のうち、子宮及び卵管側の器質的要因と性ステロイドホルモンや胚因子の刺激による子宮内膜の反応異常に起因する胚受容能の異常などの機能的要因などが考えられています。
 10ページの概要図を御覧ください。この機能的問題に対処するための様々なアプローチが検討されており、最近の幾つかの研究では、原因不明の再発性着床障害のある患者の着床率と妊娠転帰の両方を局所子宮内膜損傷が改善できることが示されてきています。
 本研究では、胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまでSEET法など妊娠率を向上させ得ると考えられる方法を用いて胚移植を行ったものの、2回以上の胚移植で着床・妊娠に至らない患者さんを対象としています。
 胚移植を行う予定の前周期の黄体期に婦人科用剥離子を、子宮内膜細胞採取具と言うのだそうですけれども、子宮頸管より挿入し、子宮の形状に沿って子宮内膜にゆっくりと進め、デバイスを同じ方向に数回回転させることによりスクラッチを行うという、比較的単純な方法だと思います。
 翌周期に胚移植を行い、胚移植後10日から14日後に血中hCGを測定し妊娠判定を行います。妊娠判定が陽性となれば引き続き経過を観察し、超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊娠と判定し、観察を終了とします。胎嚢が確認できなければ、化学流産として判定します。という方法でございます。
 11ページを御覧ください。保険収載までのロードマップでございます。2022年4月から2025年3月までの3年間に60例を登録し、臨床妊娠率を主要評価項目として前向きに観察研究を行うというものです。本法を施行していない患者の臨床妊娠率は約30%だそうで、それに10%程度の上乗せ効果があれば有効と判断したいというものでございます。
 このロードマップを見て、単施設の観察研究であって、また患者さんの年齢とか状態も一定しない可能性が高いために、その有用性を実施施設の本法非実施群と60例で比較検討するのはかなり難しいのではないかという感想を持ちました。
 最初の1ページ目にお戻りください。私の評価としましては、適応症としては妥当である。有効性は、従来の技術よりやや有効。安全性は、余り問題なし。軽い副作用、合併症があるそうですけれども、ほぼ問題にならないと思います。
 技術的成熟度は、当該分野を専門とし経験を積んだ医師または医師の指導下であれば行えると思います。倫理的な問題はないと考えました。現時点での普及率は、罹患率、有病率からして、普及していないと思います。効率性としては、やや効率的、将来保険収載の必要性は妥当と思います。
 総評としましては、「条件付き適」。今回の試験自体は「適」でいいかと思いますが、それを保険収載に当たってどうするかということですけれども、本試験は単施設の観察研究であり、また患者さんの状態も一定しない可能性が高いため、その有用性を実施施設の本法非実施群と比較して検証するのは難しいのではと危惧いたします。
 本研究で有用性が示唆された場合には、保険審査に当たって、多施設によるエビデンスの構築が必要と考えました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明どうもありがとうございました。
 続きまして、北脇技術専門委員から評価結果について御説明をお願いいたします。
○北脇技術専門委員
 北脇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、横井先生から御説明いただきましたのと私もほぼ同様の考え方でございますけれども、若干、もう少し専門的なことから説明したいと思います。
 机上配付をさせていただいておりますけれども、子宮の絵が書いておりますパワーポイントのカラーのものを御覧ください。
 これが体外受精の方法で、患者さんに説明するようなものですが、左側が体外受精のときに超音波プローブを用いて卵巣から卵を採取しているところです。そこから卵だけを実体顕微鏡下で分離しまして、そこに精子をブレンドすると体外受精、顕微授精は実体顕微鏡下で精子を注入するというものです。いずれにしても、この段階で外で受精をさせる。それをしばらく培養しておきますと、下の方にありますように、受精卵、すなわち胚が分割してきます。それを子宮の中に戻すということです。この子宮に戻す前に、本法では、子宮の内腔の内膜にあえて傷をつけておくという方法です。このようにしますと、免疫が賦活して、適度な炎症が起こり、着床しやすくなるという考え方でございます。
 それを少し前にやっておきまして、しばらくしてから、この右図のように、実際に胚を移植していくという方法でございます。
 これは、実はもう10年以上前に欧米で考案された方法で、その当時幾つかの方法があり、コクランでもこの有用性がそのとき示されておりました。ところが、その後、大規模な研究がニュージーランドで行われ、その結果では差が得られませんでした。コクランでは、初めはよかったのですが、その後に出版されたニューイングランドジャーナルでは、差が出なかったということになっております。
したがって、今のところ、どちらとも言えないような状況になっております。ただ、普及はされているかということになりますと、これはある程度普及されているのではないかと考えます。
 すなわち、私からのコメントといたしましては、先ほど福井先生がおっしゃったのとほぼ同様ですが、本法は一般的に安全かつ簡便な方法であると認められて、欧米でも広く行われていますが、格式ある複数の大規模RCTでは、妊娠率の有意な上昇は得られなかった。そのような背景のもとで、妊娠率上昇効果を、今回の申請にありますような単一施設、ワンアームかつ60例という少ない症例数で示そうとする計画は少し無理があるので、ある意味簡単なことですので、複数の施設で、しかもワンアームではなくて、従来法を用いた比較試験をしていただいて、もう少し症例数を増やしていただいた方が、せっかく検討するのであればいいのではないかと考えました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。先生の総合判定は「適」でございますけれども、これは変わりないということですね。
○北脇技術専門委員
 そうですね。「条件付き適」でも同じことかなと思いましたので、「適」ということでございます。
○五十嵐座長
 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、お二人の御説明をいただきましたけれども、委員の先生方、御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、福井先生、お願いします。
○福井構成員
 コメントです。私も、コクランのレビューアーティクルに目を通しましたけれども、これまで幾つも研究がなされていて、結論が出ていない状況下で、先ほど北脇先生おっしゃったとおり、一つの施設でかなりバイアスのかかったデータになる可能性が高い。しかも症例数が少ないと、どういう結果が出るにしても、エビデンスレベルがかなり低くなると思います。したがって、保険収載についての判断もできない、そういうデータになる可能性が非常に高いと思います。したがって、もしできるのでしたら、ちゃんとしたRCTで、大規模に行ったほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 北脇先生の御説明だと、格式高い大規模なRCTがあって、それで結論が出ているのに、小規模のスタディをここでやることに全く意味がないということですが、そうだとしたらむしろやるべきでないと私は思うのですが、いかがですか。
○五十嵐座長
 やるべきではないという御意見でよろしいですね。
○山口構成員
 はい、そうです。というのは、外科でも、昔、科学的な検証なしに随分いろんなことが行われました。例えば抗生物質、術後1週間ずっと投与していましたが、実はあまり意味がなかったとか、ある偉い先生が、一針ここでかけたら縫合不全が起きなくなったと主張され、これを信じてみんなやってみたが、後で結局違っていたというようなことがたくさんあって、それに懲りて臨床試験がきちんと行われるようになったわけです。そういう間違いを、この時代になって繰り返すのはやはりちょっと無駄なような気がするので、そういう意見を述べました。
○五十嵐座長
 分かりました。ありがとうございます。
 新井先生、どうぞ。
○新井構成員
 今の山口先生、福井先生のご意見と基本的には一緒ですけれども、今回の申請を認めるにしても、最低限、多施設でのツーアームの検証が必要だと思います。また、今の山口先生がコメントされたように、大きなスタディでその有効性が否定されているわけですから、これを今のこの条件だけで認めるのはちょっと厳しいのではないかなというのが私の率直な印象です。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうぞ、事務局。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先生方、非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。今回先生方にいただいたコメントもそうですし、前回にも同じような不妊治療の技術を御審議いただいた際に、保険収載に向けたエビデンスをどうやって集めていくのかという点につきまして、先生方から御指摘をいただいたと認識しております。
 こちらの点につきましては、前回いただきました御指摘も踏まえて、例えば多施設の研究ですとか、そういったことはできるのかというところを現在関係学会とも相談させていただいているところでございますので、今回いただいた指摘事項も含めまして、そういったものがまた定まりましたら先生方に御確認いただくことを想定しておりますので、事務局のほうからはそういった形での補足をさせていただきます。
○五十嵐座長
 そうしますと、これはどういたしましょうか。今日は、総合判定はしないでということですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回先生方にいただいた論点は、先進医療をやっていく中で、どういった形で最終的に保険収載をつなげるかと、そこがもう少し明らかにするべきではないかという御指摘だといただいておりますので、事務局の考えといたしましては、前回と同様の形で、「条件付き適」として、そちらのほうの回答を学会とも相談しながら準備させていただければと考えております。
○五十嵐座長
 そういたしますと、第一に2つのアームで比較試験をすること、第二に多施設で、症例数を増やした大規模試験を行うことの2つの条件付きで実施を認めるとする総評にするということですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 あともう一点、こちら、先生方にも御確認いただきたいのは、今回実施するに当たって、例えばすぐに大規模の試験が必要かどうかという点につきましても先生方の御意見を賜れればと思いますが、前回のものですと、例えば実際に先進医療として実施して、ある程度そちらのデータも踏まえて、今後、多施設の研究を進めていくと、そういった形でのイメージで御意見をいただいたと了解しておりまして、そういった形で、前回と同様の形のことを想定されているのかどうかという点だけ、確認させていただければと思います。
○五十嵐座長
 福井先生、いかがでしょう。
○福井構成員
 この研究自体は、患者さんにほとんど危害を及ぼすことはないでしょうから、そういう意味ではやってもいいと思います。でも、結果がどうであれ、これまでのエビデンスに何か有意なアドオンがあるかどうかと言われるとほとんどないのではないかと思われます。最終的には無駄な労力を使っただけということにならないかと危惧します。したがって、できることなら、山口先生もおっしゃったとおり、説得のあるエビデンスが出せるようなものを行ったほうがいいのではないかと、私は個人的には思います。
○五十嵐座長
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 大規模にやるというのは実際なかなか難しいと思うのです。やめろというのに等しいので、数が少なくてもいいから、コントロールは置いてやっていただきたいというのが私の希望です。きっちりやれば、ひょっとしたら大きな差が出たら次の試験に向かってやれます。小規模で少なくともコントロールは置かないと結論は何も出ないのではないかと思うので、ぜひそれを条件にしていただければと思います。
○五十嵐座長
 もう一つ、多施設でという御指摘もあったのですけれども、その点はどうですか。
○山口構成員
 多施設でやろうとしても、自分のところの技術がいいと思っている施設がたくさんあって、今から計画するのは恐らくなかなか難しいと思います。そのほうがベターですけれども、単施設でもきっちりエビデンスを、出せる可能性があるとしたら、単施設でもよいので症例数を少し増やして対照群を設けるということだと思います。
○五十嵐座長
 分かりました。福井先生、それでよろしいですか。
○福井構成員
 はい。やってもらっても結構ですけれども、自己満足に陥る、そういう事例の一つにならないかと危惧します。やっていただいても結構です。
○五十嵐座長
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○北脇技術専門委員
 北脇でございます。先ほど簡単に申しましたが、はじめのコクランで出ていましたのは、一回は不妊で、着床不全と思われたような症例でやってみたところ、改善が認められたというものです。ただ、ニューイングランドに出た症例は、一般的に、全部の体外受精でどうだったかということで、その背景因子が多少異なることもございますので、その辺も、今度、多施設で症例数増やしてやっていただくときに、何らかの背景因子を整えられて工夫してやられると、少しは改善する可能性もあるかもしれないということを少し付け加えさせていただきます。
○五十嵐座長
 分かりました。ありがとうございます。そうしますと、少なくとも今日御指摘いただいた点は、比較試験をぜひやっていただきたい。これが最低限ですね。それからもう一つ、症例数はもう少し増やしていただけないか。これは統計の専門家の方のアドバイスをいただいて症例数を決めるべきではないか。30%くらいの有効性を10%ぐらい上乗せするにはどのぐらいの数が本当は必要かという統計学的な事前の評価も必要だと思います。
 それから、多施設という点は、これは必ずしも多施設でなくてもいいという御指摘も今いただきました。
ということですので、背景をしっかりと整えた比較試験を行うこと、それから症例数を、統計家のアドバイスを受けて改めて設定するという2つの条件は最低限必要と、先生方の御意見を集約すると言えるのではないかと思いますが、それでよろしいですか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 では、それを条件として、「条件付き適」ということで判定してよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。何かございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。では、続きまして、2番目の申請について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1にお戻りいただけますでしょうか。先進医療Aの新規技術として御審議いただく2件目の技術でございますが、整理番号343番、「二段階胚移植法」でございます。
 適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る)となってございまして、かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 今回、英ウィメンズセントラルファティリティクリニックより申請がございました。こちらの事前評価につきましては、柴田構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、柴田構成員より「条件付き適」、北脇技術専門委員より「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙2の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。
 まず、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は、産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。資格は、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ、日本生殖医学会認定生殖医療専門医であること。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数につきましては、実施者として10例以上としております。
 また、医療機関の要件でございますけれども、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上、他の診療科の医師は不要としております。
 その他の医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者としておりまして、病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査(24時間実施体制)は不要としております。他の医療機関との連携体制は必要としておりまして、緊急の場合、その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしております。
 医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会の審査体制は、倫理委員会が設置されており、届出後当該療養を初めて実施するときは必ず事前に開催すること。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は10症例以上としております。
 また、その他の要件でございますけれども、4ページ目をおめくりいただきまして、頻回の実績報告は不要としております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 この整理番号343の技術につきまして、柴田構成員に事前評価をお願いしておりますので、その結果を御説明ください。
○柴田構成員
 資料、先-1の別紙2の5~6ページを御覧ください。こちらに技術の詳細が示されております。専門的な内容につきましては後ほど北脇先生にお願いしたく存じますが、まずは概略のみ、私から御説明いたします。
 本技術が申請された背景ですけれども、生殖補助医療を受けつつも、反復して着床・妊娠に至らない方の中に、形態良好胚を移植しているにもかかわらず、妊娠に至らない着床不全症例が存在しており、原因は幾つかあるようですけれども、そのうち胚由来因子の欠如または減少による子宮内膜の胚受容能の低下に起因する着床率低下を改善する方法として、本技術、二段階胚移植法が提案されております。
 概要については7ページに図がございますので、こちらを御覧ください。マウスを用いた基礎研究ではございますが、着床周辺期の胚と子宮内膜がシグナル交換、クロストークをしており、胚は着床に向けて子宮内膜の局所環境を修飾しているとの結果があり、それを根拠としてday2に初期胚を移植し、残りの胚は培養を継続、引き続きday5に胚盤胞を移植するというのが二段階胚移植となります。
 胚移植、初期胚にはクロストークによる子宮内膜の胚受容能を高める働きを期待し、継続培養によって選択された胚盤胞がより高い確率で着床することを期待しているものだと書かれております。
 今般の申請では、新鮮胚移植を行う場合と凍結・融解胚移植を行う場合の両方を対象に含んでおります。
 その具体的な内容は、資料戻っていただきまして、5ページの下から6ページにかけて記されておりますが、ここで読み上げるのは省略させていただきます。
 6ページの下に、効果としては、胚盤胞移植における妊娠率の向上が期待されるところとされており、先進医療にかかる費用は47,010円とされています。
 保険収載までのロードマップは8ページを御覧ください。まず、右下ですが、薬事承認ですとかガイドライン記載等は欧米でもございません。類似の技術として、前回審議されましたSEET法があります。左側の青いところですが、先行研究の結果が論文としてまとめられており、本日の資料ですと、参考資料のPDF、ちょっと膨大なページ数になりますけれども、その712ページにこの論文の結果のテーブルが出ておりますけれども、二段階胚移植法を受けられた方、延べ90名とday2のみの方法を受けられた方延べ90名をマッチングして比較した結果、臨床妊娠率はそれぞれ33.3%と18.9%、着床率はそれぞれ17.2%と9.4%と、二段階胚移植法で統計学的有意に高かったと報告されています。
 ただし、対照群では0ですけれども、二段階胚移植群では双胎が1件で、割合としては3.3%観察されておりまして、また、二段階胚移植を受けられた方のうち43.3%に相当します39周期では、胚盤胞の培養に失敗し、二段階目の胚盤胞移植には進めていない、そういう方がいらっしゃいます。4割以上いらっしゃるということです。
 解析自体はIntention To Treatで行われているので、その点についての扱いは論文では問題なく集計されていると思います。ただし、同一医療機関の中で時期をずらした2つの方法の比較ですので、先ほどの技術もそうですけれども、結果にバイアスが入っている可能性があるとか、一般化可能性については今後確認をしていかないといけない状況のエビデンスレベルだという認識です。
 右側の赤い部分ですが、今回の先進医療Aでの実施に伴って、申請医療機関では前向きの観察研究を実施するとされています。成績の評価方法は、超音波検査により胎嚢が確認されたものを臨床的妊娠として、この臨床的妊娠率を、日本産科婦人科学会より報告されている単一胚胞移植、胎盤法移植による妊娠率との比較を行うとされています。
 詳しい副次評価項目は、この資料の12ページに記されております。先ほど指摘しました双胎につきましては、本技術の対象の除外基準として多胎妊娠がハイリスクと考える方は除外されることになってはいるのですが、エンドポイントの中でも多胎妊娠率も調べることになっています。
 長くなりまして恐縮ですが、評価表に戻ります。資料、1ページを御覧ください。
 適応症は、A、妥当であるといたしました。有効性については、まだ不確定ではあり、今後データに基づいて裏づけがとられる段階ではありますが、一応Bとしております。従来の技術よりもやや有効としておりますが、これはそう期待されるという段階のものです。
安全性は、現時点ではA、問題なしとしております。技術的成熟度はB、社会的妥当性はA、現時点での普及性はB、効率性は、判断できませんので、判定困難としております。比較対照とすべき保険導入されている医療技術が特定できないと考えましたため、判定困難とした次第です。
 また、本技術のそのものの有効性や安全性の結果にも効率性というのは左右されるところですので、今後得られるデータに基づいて裏づけがとられるべきだと思います。例えば臨床的妊娠率の向上にとどまらず、先ほど、先行研究論文に基づいて指摘させていただきました多胎の件ですとか、胚盤胞の培養ができずに二段階目の胚盤胞移植に至ることができなかった方が4割強いらっしゃったという話なども、総合的には効率性の評価に影響があると考える次第です。
 ただし、データに基づいて本技術の有用性が示されるのであれば、将来的に保険収載を行うことは妥当な技術であろうと考えております。
 総評は「条件付き適」としておりますけれども、本技術そのものには疑義はないのですが、その有用性を示すために提示されている申請医療機関の観察研究計画は修正していただくべきところがあると考えておりまして、「条件付き適」といたしました。
 コメント欄ですけれども、効率性の話は先ほど御説明しましたとおりで、もう一点、前回の会議で審議されたSEET法との使い分けですとか、相対的な関係が曖昧にされているところがありまして、保険導入までのプロセスでデータに基づく検討が必要になるものと考えております。
 幾つか、書面には出しておりませんが、確認すべき事項というのを口頭で指摘させていただきます。
 提出された研究計画書では、日本産科婦人科学会より公表されているデータと比較を行うとされていますが、本研究の結果得られる臨床妊娠率の比較対照となる既存のデータはあらかじめ特定しておくべきですし、どのような解析方法によって判断を下すのか、あるいはその解析方法がどのぐらいの精度で結論を導けるものなのかというのは現時点で確認しておくべきだと考えます。そうしなければ、漫然と450名の方のデータを集めた結果、バイアスだらけで議論ができないという話にもなりかねませんし、場合によっては比較対照をきちんととった評価をする必要がある、あるいは、今回行う研究の結果、そのような研究を追加しなければならない、SEET法との比較をしなければならない、あるいはSEET法との使い分けを考えなければならないためにデータをとる必要がある、そういうことになる可能性があるためです。
 今ちょっと申し上げましたけれども、同時期に本法を改良したと説明されているSEET法が同一医療機関から申請されていますので、両者が並行して実施されることになり得ると思いますけれども、それを先進医療制度下でどのように使い分けるのかとか、SEET法よりも本法のほうが多胎のリスクは少し高い可能性がある状況で、臨床研究の結果が得られた時点で、SEET法と本技術の妊娠率上昇効果が同じ程度であったときに、どのような結論を導くことを想定しているのか、最終的に保険導入する際に、本技術とSEET法をどのように比較するのか、あるいはその比較に必要な情報は現在の研究計画書で定められた評価項目でカバーされているのかとか、最終的にSEET法と本法ともに保険導入するべきとの考えで申請されているのであれば、その根拠は何かなどについて説明していただきたいと考えております。
 細かいことではあるのですが、説明同意文書のほうにも少し前のめりの記載があるように思います。同意文書の2ページ、参考資料の732ページ目になりますけれども、ここに、「先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療法や技術のうち公的医療保険の対象になっていないものです。二段階胚移植法は、先進医療として厚生労働大臣によって認められた医療技術です」と書いてあります。これはうそではないのですが、制度を熟知されていない一般の方には、優良誤認といいますか、誤解を与える可能性もある記述だと思いますので、例えば「先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療法や技術のうち、現時点では公的医療保険の対象になっておらず、その対象とすべきものかどうか評価を行うことが必要とされているものです。二段階胚移植法は、厚生労働大臣によって先進医療制度のもとで評価を行うことが認められた医療技術です」などと改めていただく必要があると思います。
 また、必要であるかどうかは専門の先生方の御意見もお伺いしたいところですが、二段階胚移植法の二段階目が実施できない方が先行研究では4割強いらっしゃったようなので、その点についてもあらかじめ説明同意文書の中で説明しないといけないのではないか。そのことの意味合いなどを一般の方に分かるように伝える必要があるのではないかなどとも考える次第です。
 最後に、ロードマップにつきましても、前回の審議時にも同様の御指摘がありましたし、先ほどの審議の中でもございましたが、最後の保険収載までには少し今回の申請に伴って出されている研究計画だけでは不十分なところがあり、さらなる検討が必ず必要になると思いますので、その旨を追記していただく必要があると思います。
 具体的には、先ほど申し上げた事項の整備ですとか、多施設での検討ですとか、比較対照の取り方の妥当性についてさらなる検討が必要になる可能性もあると思います。
 評価としては以上です。
 先ほど事務局から御紹介のあった施設要件についてですが、例えば学会における体外受精、胚移植の臨床実施に関する登録がされている施設などというのがあるようですが、そういう施設に絞るなどという条件をつけなくてもよいのかなどというのはちょっと気になっております。
 ほかの要件で事実上絞り込めているということであればよいかなと思いますが、先ほどの件も、先進医療の技術だけに狭く絞ってみると要件は軽くてもよいという主張を申請医療機関の方がされているようですが、一連のプロセスがきちんと管理されていないとこの先進医療を受けられる方にとってデメリットが生じ得る可能性もありますし、この申請医療機関はきちんとした体制を整備されているとは思いますが、ほかの医療機関も参加できるという条件であるということを考えますと、ちょっと施設に絞りをかけなくてよいのかなあというのが気になっているところです。前回の審議案件との横並びも踏まえて、調整が必要かもしれないと考えております。
 私からは以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、北脇技術専門委員から評価結果について御説明をお願いいたします。
○北脇技術専門委員
 北脇でございます。よろしくお願いします。
 今御説明いただきましたのとほぼ同じことでございます。繰り返しになりますので、できるだけ違うところだけを申し上げたいと思います。
 まず、机上配付資料、また同じものを出していただきまして、もう一度確認させていただきたいと思います。今の二段階というのは、この右側の図のように、胚を子宮の中に戻すのですが、実は排卵後5日後ぐらいになった胚盤胞というものを戻すのですが、それよりも前の排卵後2日頃に胚を1つ戻しておくということで、子宮内膜と胚の相互作用が起こり、子宮内膜の受け入れ態勢がより整うことで、本来の目的としている5日目の胚盤胞の受け入れが良くなることを目的とした方法です。
 この方法は申請者らによって考案されました。ちなみに、SEET法と呼ばれる、前回検討しましたのは、その一段階目に、胚を入れるのではなくて、それを培養したコンディションドメディウムをここの中に注入するということによって済ませようというものです。1つ目の胚が着床してしまうと、2つとも着床してしまって多胎になるというリスクがありますので、それを防ごうということと、より簡便に行えることを狙ったものがSEET法です。そこのところが違う点であり、両技術とも現在審査に出されているということです。
 私のそれ以外の評価は全部同じでございまして、評価用紙の下を見ていただきますと、本法は一般的に安全かつ簡便な方法であると認められます。目的とする妊娠率上昇については、報告は少なくとありますが、その1つは2011年にフランスで妊娠率の有意な上昇が見られたというのがありました。御説明がありましたとおりですが、その後、日本から別の施設で報告があり、それでは変わらなかったということで否定されており、むしろ多胎が多かったということになっていますので、まだ議論の余地があるところです。
 また、その試験も全部少数の症例数でやっておりますので、大規模なものは一回もやられたことがないということがあります。有意な上昇がなかったとする報告もあります。さらに、同一の施設から、本法を変えようとするSEET法が先進医療に申請されている中で、多胎リスクが多少でもSEET法より高いと予想される本法の妊娠率上昇効果を、単一施設かつワンアーム、今回450例ということですが、示そうとする研究計画には改良の余地があるとさせていただきました。
 こちらのほうも、多施設で、またツーアームでやることはそれほど難しいことではありませんので、このようにやっていただけるならばと考えます。
 先ほど柴田先生のほうから1つだけ、施設のことで問題ないのかということがありましたけれども、こちらに関しては、体外受精そのものが、学会で指定されている600余りの施設でないとできないことになっています。また、体外受精は全例登録制になっており、そこで縛りをかけておりますので、施設に関しては恐らくは問題ないかと思います。
 その中でも、クオリティコントロールをしている施設グループがあります。この英クリニックもその一つですので、このグループの多施設でやられるというのは一つのアイデアではないかと考えております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、お二人の先生の御評価結果につきまして、御質問、御意見いかがでしょうか。
 柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 すみません。私、説明の中で1つ、しまったなと思ったところがあったので、北脇先生に御助言いただきたいと思います。私、先ほど参考資料712ページの、先行研究の成績を御説明する際に、単回の移植の方法と今回の二段階法の間に大きな妊娠率の差があり、統計学的有意な差もあったと論文に書いてあると御説明しましたが、論文をよく読んでみると、この単回の胚移植がday2に行われています。day2に行われている妊娠率と今回の二段階法を比較することというのは、本来あるべき比較なのでしょうか。先ほどの御説明では、day5辺りに移植されることが多いということで、そこが妊娠の可能性が高いというウィンドウであるならば、実際に行われている通常の方法よりも少し不利な状況に比較して有意に勝っていたという結果になっているのであれば過大評価をしてはいけないなと思いましたので、ちょっと御助言いただければと思った次第です。
○北脇技術専門委員
 ありがとうございます。北脇ですが、よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 どうぞ、お願いします。
○北脇技術専門委員
 ただ今御指摘のとおりでございます。本来ならば、day5に従来法で胚移植している群と比べないといけないということでございます。day2よりもday5の胚の方が成長しており、着床率が良いことが知られておりますので、この群と本来比べないといけないということでございます。御指摘のとおりでございます。
○柴田構成員
 ありがとうございました。
○五十嵐座長
 それでは、佐藤先生、お願いします。
○佐藤(典)構成員
 佐藤です。
 先ほどから出ていますけれども、SEET法とのすみ分けといいますか、考え方ですけれども、実は私、前回、SEET法の担当をさせていただいておりまして、そのときに、今回の二段階胚移植法は多胎の可能性があるので、SEET法は優れているのだという論法で申請者は書かれておりまして、私はそれをそのとおり信じておりましたところが、今回こういうものが出てきて少なからぬ衝撃を受けているのですけれども、北脇先生が先ほどからすみ分けと言っていらっしゃるのですけれども、まさにそのとおりで、これ、どうなのでしょう。北脇先生にお聞きしていいかどうか分からないのですけれども、この申請者はどういう考えを持ってこの2つの治療法を、患者さんの適応ですね。どちらも多分、繰り返す不妊の方を対象ということは変わらないと思うのですけれども、僕としては、てっきりSEET法を優先させて、二段階移植法でなくてSEET法に世の中を変えていこうという考え方の人たちだと思って先月はお話しさせていただいた。この辺、もし私が分からないような背景があって、この研究も併行しなくてはならないのだという理由があったら教えていただきたいなと。
 ちなみに、今回のは1年間で450周期の症例数を出していますけれども、前回は1年で1600なのですね。つまり、SEET法のほうがたくさんできる、やるという考え方が背景にあるような気がするのですけれども、ちょっと答えにくいかもしれませんけれども、この申請者は何を考えているのかというところですね。ちょっと言葉を選ばなくて恐縮ですけれども、北脇先生、もしよろしかったら教えていただきたいなと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○北脇技術専門委員
 北脇でございます。よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 どうぞ、お願いします。
○北脇技術専門委員
 御指摘のとおりでございまして、実は私も、今回の二段階法が出ていることを当初知りませんでした。SEET法を最初事務局からいただいて、それだけかなと思っていたら、後で出てきまして、驚いた覚えがございます。
 それと、先ほど先生御指摘いただきましたように、1600例というのは、1年間に自施設でやっているのが1600例だから、1600例としたと記載があったかと思います。それなのに、それプラス450症例がどこから出てくるのかというのは、確かに今回疑問であり、別に本当にやるのかということでございます。
 ですから、コンディションドメディウムではやはり足らないのかもしれないと申請者は思っているのかもしれないので、原法の二段階とSEET法を取りあえず両方出しておこうというのが実際のところなのではないかなという気がいたします。
○五十嵐座長
 では、事務局のほうからお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 すみません、事務局でございます。
 先生方の色々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。事務局の認識している範囲での、前回SEET法との違いというところでございますけれども、前回のSEET法の際は、適応症のところが胚移植を受ける不妊症患者ということで、いわゆる生殖補助医療を受ける方全てに実施し得る技術というような形で医療機関のほうも提案いただいて、そういった形で、一定先生方に御確認いただいたという認識でございます。
 他方で、例えば今回の資料ですと先-1のところでございますが、この二段階胚移植法の適応症等のところを御覧いただきますと、今回あくまで、いわゆる生殖補助医療を受ける方全てではなくて、そういった、例えばSEET法を実施される方も含めて、これまで反復して着床・妊娠に至らないのに限るというところで、SEET法よりも一定、対象患者さんは絞られていると。そういったものにだめだった方が対象になっているのではないかという認識をしていたところでございます。
 加えて、先ほどから御議論いただきました、いわゆる多胎妊娠のリスクがあるというところにつきましては、別紙2の3ページ目の「倫理委員会による審査体制」のところを御覧いただければと思いますが、そういった観点から、前回の場合は「必要な場合に開催すること」という要件だったかと思いますが、今回につきましては、こちらの当該医療を実施するときは必ず事前に開催することということで、一定そこは厳しく置いているという、前回SEET法との違いにつきまして、事務局が認識している範囲で補足させていただきます。
 以上でございます。
○佐藤(典)構成員
 佐藤ですけれども、よろしいですか。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○佐藤(典)構成員
 今、事務局の方、説明されたのも分かるのですけれども、私、実は、前回のときもそうですけれども、この申請者の方、例えば今の話で言ったら、SEET法がだめな場合、こっちをやりましょうみたいな感じかもしれないのですけれども、そういった選択基準ですとか、どういうフローチャートでやるのかということをしっかり明記していないのですね。事務局さん、お優しいので、優しく推定してあげていただいているかもしれませんけれども、研究でやるというところは、そこは明記しなくてはならないところではないかと思うのですね。
 ですから、柴田先生や北脇先生も御指摘されているとおり、今、条件付きということであれば、そのSEET法とのすみ分けといいますか、どちらを優先して治療するかですとか、そこで妊娠が成立できない場合とか、そういうものをきちんとするというのがまずまず入り口として必要なのだろうなということを今感じたところでございます。
 僕も、前回見て、どことなく、臨床研究といいますか、研究のプロトコール含めて緩いなあと感じて、そこを余り厳しく指摘しなかったのはちょっと反省材料ではあるのですけれども、そういう印象は持っております。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。どうぞお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 非常に重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。まずSEET法との使い分けが必要ではないか、そこを整理する必要があるのではないかという点につきましては、先ほど柴田先生から、条件として御指摘いただいたとおりでして、そこはしっかりと実施していただくに当たっての条件として医療機関に回答を求めたいと考えております。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 先ほど、柴田先生は、コントロールをあらかじめ提示していただきたいと御指摘いただきました。それから、SEET法と本法との使い分けを記載すること、特に多胎のリスクについて記載していただきたい。それから、同意文書の修正と、二段階目にある一定の割合の方が向かえなかったということの説明も必要であると指摘いただいております。
 それから、北脇先生からは、1施設でなくて多施設で行ったほうがいいのではないかという御指摘もありました。北脇先生、間違いありませんね。
○北脇技術専門委員
 はい、そうです。前回のSEET法のときも、自施設単独で全ての症例を検討するというのもありましたので、できればそうしていただきたいと考えます。それと、他の施設で否定的なコメントが出ておりますので、多施設でやっていただけると説得力が増すと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。柴田先生、多施設で実施することを条件として加えるべきでしょうか。
○柴田構成員
 理想的には、やはりそれがあったほうがよいと思います。それをどうこの研究、どのような形で研究体制を組むのかというのは、単施設の場合と多施設の場合では、申請医療機関さんとしても準備の仕方が変わると思いますので、大変だろうとは思いますが、先ほどの北脇先生初め先生方の御意見を踏まえますと、必要な検討事項ではないかなと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、それも条件としたいということですね。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 これはやはり条件付きでなくて、継続審議にすべきだと思います。いろんな問題が出てきて、きちっと対応してもらわないとだめということであって、1つ2つ直したらいいよという話ではないのですね。これはぜひ継続審議にして、もう少し練ったほうがいいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。御指摘は多々いただいておりますので。ほかの先生方、いかがですか。
 どうぞ、神村先生から。
○神村構成員
 神村でございます。
 私も、ちょっとこのままでは、やはりSEET法との関係、兼ね合いが一番気になるところでもありますし、それから、患者さんへの説明を拝見したところでも、やはりちょっと不誠実な説明の仕方だと思いましたので、今回は保留させていただいたほうがいいと思っております。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 では、福井先生、お願いします。
○福井構成員
 順番からいって、SEET法の結論が出てからのほうがいいのではないかと思いました。スタンスが定まっていないような気がしました。意見です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。SEET法での臨床研究の先進医療Bの結果が出てから改めて考えていただきたいという御指摘ですね。ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、新井先生、お願いします。
○新井構成員
 今までの議論をお聞きして、ちょっと偏った意見かもしれませんが申し述べます。今回の技術を申請している施設からスクラッチ法というのも申請されているわけですね。これらの技術をどのように整合性を持たせて実施するのかがはっきりしません。さっき柴田先生が、患者さん説明用の文言に、厚生労働大臣によって認可されたというような記載があったとおっしゃっていましたが、患者を集めるための一つの方策として先進医療が変なふうに悪用されないのかなと心配しています。これはあくまでも私の個人的感想でございますが、一言付言させていただきます。
 以上です。
○五十嵐座長
 御意見ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、少なくとも今日はたくさん御指摘いただいた中で比較対照をあらかじめ提示しておくこと、それから、SEET法と本法との使い分けについてしっかり書くこと。特に多胎のリスクについて明記していただきたい。それから、説明同意文章の修正ですね。これも必要である。それから、二段階法の二段階目にいかない方がある程度いるということも説明が必要であると。それから、できれば複数の施設でこの試験をやっていただきたいという御指摘がございました。
 これらをあらかじめ今日は御回答いただけませんので、申請者にもう一度お返しをして、そしてその返事を待つということで、今回は判定はしないで保留ということにしたいと思いますが、それでよろしいですか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、今回これは保留とさせていただきます。そして、今日御指摘いただいた数々の件につきまして、申請者にフィードバックしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。それでは、そのような方針にしたいと思います。
 続きまして、2件目、事務局から先-2のほうの説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先進医療Bの総括報告書に関する評価についてのほうに移らせていただきます。資料、先-2のほうを御覧いただければと思います。
 今回、旧告示番号16番として実施されておりました「リツキシマブ点滴注射後におけるミコフェノール酸モフェチル経口投与による寛解維持療法」につきまして、神戸大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございました。
 まず、技術の概要でございますけれども、別紙3のほうの11ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、小児期発症難治性再発型ステロイド依存性ネフローゼ症候群の方に対しまして、リツキシマブ治療後の寛解維持療法としてミコフェノール酸モフェチルを投与するという技術になってございまして、リツキシマブ投与後にミコフェノール酸モフェチルの投与を行った群と、リツキシマブ投与後にプラセボの投与を行った群との比較を行い、プラセボよりも寛解維持効果に優れることを検証するといった試験になってございました。
 先-2にお戻りいただきまして、1ページ目下方の医療技術の試験結果「有効性の評価結果」のところでございますが、主要評価項目はtreatment failure発生までの期間でございまして、こちらの中央値がミコフェノール酸モフェチル、以下、MMFと呼ばせていただきますが、MMF群では784.0日、プラセボ群では472.5日、観察期間と追跡期間の全期間を通じたMMF群のプラセボ群に対するハザード比は0.593であり、統計学的有意差は見られなかったとのことでございます。
 また、treatment failureの内訳は、MMF群ではステロイド依存性が5、頻回再発が3、ステロイド抵抗性が1、併用禁止の併用薬使用が14、続きまして、プラセボ群では、ステロイド依存性が10、頻回再発が8、ステロイド抵抗性が2、併用禁止の併用薬使用が5であったとのことでございます。
 また、観察期間中には30%を超える群間差で推移し、計画時の予想20%を上回っており、試験治療期間中である観察期間のみを対象とした追加解析においては、プラセボ群に対するMMFの統計的に有意な差は認められたが、観察期間終了後の追跡期間中には徐々に群間差が小さくなっており、これはMMF中止後速やかに再発を呈したため、あるいは再発を危惧して、多くの症例で併用禁止薬(免疫抑制薬)を導入し、treatment failureと判定したためと考察されているとのことでございます。
 また、ページおめくりいただきまして、「安全性の評価結果」のところでございますが、登録症例のうち、試験治療が開始された全ての症例78例を安全性解析対象集団に設定した。試験薬の投与を中止した症例は、プラセボ群21例、MMF群4例であったとのことでございます。
 Grade3のinfusion reactionは、プラセボ群の肺炎1例のみであり、grade2のinfusion reactionで2例に認められたのは、プラセボ群の喉頭浮腫のみであったとのことでございまして、infusion reaction以外で多く認められたgrade3以上の有害事象及び副作用は、インフルエンザ、上気道感染、低アルブミン血症、好中球数減少、発熱性好中球減少症であり、いずれも感染症または免疫に関連した事象であったとのことでございます。
 治療を要した感染症では、発生者数は、MMF群がプラセボ群に比べて多かったとのことでございまして、死亡例はなかったとのことでございます。
 試験薬との因果関係が否定できないinfusion reaction以外の重篤な副作用は、プラセボ群では3例6件認められ、MMF群では6例6件認められたとのことでございます。
 「総括」のところでございますが、観察期間及び追跡期間を通じたtreatment failure発生までの期間を延長することは統計学的には検証されなかったが、疾患活動性を抑制する効果が示唆されていること、観察期間終了時ではtreatment failure発生までの期間を延長することは確認されていることから、臨床的には有効な寛解維持療法と考えるとのことでございます。
 続きまして、御担当者の御評価につきまして説明をさせていただきます。別紙3の3ページを御覧いただければと思います。
 まず、主担当の伊藤(澄)構成員からの御評価でございますけれども、有効性に関しては「B、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」と御評価をいただいております。
 こちら、コメント欄のところでございますが、「主要評価項目で統計学的な有意差は得られていないが、疾患活動性が一定レベルの患者の再発予防に対して有用である可能性がある。」とのことでございます。
 続きまして、安全性の御評価でございますけれども、こちらは「C、問題あり」と御評価をいただいておりまして、「免疫抑制剤として、感染症または免疫に関連した有害事象は発現している。本試験ではCとするほどの重篤な有害事象の発現は見られていないが、免疫抑制剤としての慎重な取扱いが必要であることを勘案して、Cと評価した。」とコメントをいただいております。
 また、技術的成熟度につきましては「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導のもとであれば実施できる」と御評価をいただいております。
 続きまして4ページ目、総合的なコメント欄のところでございますが、「小児期発症難治性頻回再発型/ステロイド依存性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの有効性は、研究代表者らがランセットで既に示している。それに引き続いてMMFの投与が再発予防に有効であるかどうかを、17カ月間のMMF、あるいはプラセボの投与で有効性と安全性が検討された。その結果、投与期間中は3割を超える群間差があったが、投与期間を終了すると、再発、あるいは免疫抑制剤の追加投与が必要になっている。
 一方、MMFは、免疫抑制剤であるので、感染症または免疫に関連した有害事象は発現している。本試験前にシクロスポリンを内服していた被験者はtreatment failureになる傾向が見られていること、MMF投与終了期間前にtreatment failureになっている被験者も2名いることなどから、リツキサン投与前の患者の疾患活動性の多寡に依存して、MMF投与によって再発抑制できるか否かに違いがありそうなことが伺える。一方で、プラセボ投与でも再発がない患者が4割いることは留意すべきと思われる。また、17カ月の試験期間を超えて投与を続けた場合、MMFが再発予防に寄与し続けるのかは不明である。
 本試験からは、難治性頻回再発型/ステロイド依存性ネフローゼ症候群に対してリツキサン投与後の再発予防として疾患活動性が一定の患者に対しては有用であることが推察される。」とのことでございます。
 また、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄でございますが、「小児期発症難治性頻回再発型/ステロイド依存性ネフローゼ症候群患者のリツキサン投与後の再発予防に関わる主要評価項目で統計学的有意差が見られていないこと、ベネフィットが期待できる患者の疾患活動性について明確になっていない点は憂慮するが、本適応の薬事承認申請について資する資料であると考える。」とのことでございます。
 続きまして5ページ目に移らせていただきまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。有効性につきまして、「B、従来の医療技術を用いるよりもやや有効である」と御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございますが、「主たる解析において統計学的有意差は得られなかったものの、MMF投与による効果を示唆する結果が得られており、一定の有効性が期待できる。
 ただし、これは単に検出力が僅かに不足して有意差が得られなかったと解釈すべきではなく、MMF投与終了後に想定以上に再発あるいは再発が危惧されたために、併用禁止薬が導入され、treatment failureと扱われたことで群間差が薄まっているための結果と解釈すべき状況であり、申請医療機関側も考察しているように、MMFを中止しても再発抑制効果は期待できるとの報告もあったために、本試験の追跡期間中にもある程度の再発抑制効果を期待していたところ、実際にはMMFの効果は想定とは異なっていたという結果でもあり、現時点で治療効果を過大に評価することは避けるべきと考える。」とのことでございます。
 また、安全性につきましては「C、問題あり」と御評価をいただいておりまして、「MMF群で治療を要した感染症が増加しており、単に当該感染が生じた患者数が増加しているだけではなく、感染回数も増えていることから、一定のリスクはある。ただし、Cとはしているものの、薬剤の特性から想定されるリスクでもあり、得られるベネフィットとの比較考量がなされた上で用いられるのであれば本技術の臨床的意義を否定するような問題とは考えていない。」とコメントをいただいております。
 また、技術的成熟度につきましては「B、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導のもとであれば実施できると御評価をいただいておりまして、MMF投与終了後比較的早い段階で再発が生じる、あるいは再発が危惧されるために事前の想定と異なり、多くの患者で免疫抑制剤の導入がなされていた状況を踏まえると、ベネフィットを最適化するためには適正な使用方法に関する情報収集が必要とも考えられ、現時点ではBとした。」とコメントをいただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。ステロイド依存性の頻回再発型のネフローゼの方では、ステロイドが長期間投与される結果、低身長、白内障、骨粗鬆症や、あるいは感染症などが起きることが知られています。こうした副作用の少ない薬剤で治療する事を目指す新しい治療法として、リツキサンを用いた治療の結果が今回出されたものです。
 何か質問、御意見ございますでしょうか。
 竹内構成員、どうぞ。
○竹内構成員
 1点、柴田先生にお伺いしたいのですけれども、その評価されたこれまでの成績の中に研究代表者がランセットに報告されたリツキシマブの有効性というのが示されているというコメントがあったと思いますが、これは評価期間は6カ月目でしょうか、それとも12カ月目でしょうか、あるいは18カ月目でしょうか。教えていただければありがたいと思います。というのも、今回はリツキシマブ、4回、一番最初に投与した後、通常、成人であれば6カ月目、6カ月おきに繰り返すのですが、これは繰り返していないので、ちょっと通常のリツキシマブの使い方と違う形で、その効果を補うためにMMFが乗せられたのかなと思いましたので、質問させていただきました。
○柴田構成員
 すみません。そのランセットの論文も評価時に参照したのですが、どういう評価だったのか、記憶が曖昧で、今すぐお答えできないのですが。申し訳ございません。
○竹内構成員
 分かりました。すみません。
○五十嵐座長
 ほかはいかがでしょうか。
 では、よろしいですね。どうもありがとうございました。
 次に、事務局から、先進医療制度の見直しについての資料が提出されております。4件ありますので、順番にいきたいと思います。まず、1件目について御説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それではまず、先-3-1「国家戦略特別区域内で実施する新規技術に係る手続きの全国展開について(案)」の資料を御覧いただけますでしょうか。
 まず、1.背景の1マル目のところでございますが、現在、先進医療Bの新規技術の審議において、「国家戦略特区における保険外併用療養の特例」の対象医療機関からの申請については、先進医療会議における科学的評価の迅速化を図る取組を行っているところでございます。
 こちらに、通知における関係箇所の抜粋を記載してございますが、下線部のところに記載がございますように、一定の要件を満たした場合については、特別事前相談、それから先進医療会議における科学的評価の迅速化、いわゆる合同会議の開催が可能となってございます。
 続いて2マル目のところでございますが、現在、5つの区域で18施設が対象となっているところで、これまで18件の技術が先進医療として承認されているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、2.見直しを行う経緯のところでございますが、今般、内閣府より、国家戦略特別区域基本方針に基づき、国家戦略特区における規制の特例措置の全国展開について、検討を行うよう要請があったところでございます。
こちらの※書きの下線部に記載がございますように、国家戦略特別区域基本方針におきしては、特例措置の活用から一定期間が経過し、特段の弊害がない特区の成果については全国展開に向けた検討を重点的に進めるなど、全国展開を加速化させるとのことでございます。
 続きまして、3.見直し(案)の1マル目のところでございますが、現在、国家戦略特区の区域に限定して実施している保険外併用療養の特例について、以下のとおり見直し、全国展開を行うこととしてはどうかという提案でございます。
 具体的な変更点といたしましては、まず1点目でございますが、現在、国家戦略特区の区域外となっている臨床研究中核病院についても、保険外併用療養の特例の利用を可能とするというものでございます。
 また、2点目でございますが、現在、国家戦略特区の区域外となっており、かつ、臨床研究中核病院ではない保険医療機関についても、保険外併用療養の特例の利用を希望する旨の申請を可能とするというもので、これまでは特区内の保険医療機関に限って申請が可能であったものを、特区外からも申請を可能とするというものでございます。
 なお、※書きのところにございますように、申請があった場合につきましては、従前のとおり、当該医療機関の臨床研究中核病院と同水準以上と認められる臨床研究実施体制を有する保険医療機関としての適格性につきまして、先進医療会議において審査を行っていただくことを想定しております。
 また、2マル目、なお書きのところでございますが、事務局のほうで行っておりました特別事前相談の部分につきましては、今後、通常の事前相談に加えて、申請医療機関の書類作成等の支援を行っていくことで対応してまいりたいと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問、お願いしたいと思います。
 藤原先生、どうぞお願いします。
○藤原構成員
 見直し案の最後のページのマル1のほうは仕方ないと思いまして、恐らく北大病院とか国立がんセンター東病院と岡山大学が該当するのだと思いますけれども、これはやっていただいても構わないと思うのですけれども、2番の戦略特区の区域外の臨床研究中核病院ではない医療機関について、ここは「申請を可能とする」にはしてありますけれども、過去の事例、例えば、さっき、この前にありましたけれども、今日の合同会議の第1例目は、先日、リトラクションが決まりました阪大、国循のhANPの先進Bで、そういう不祥事が大分時間たってきて起きたとか、それから、規制改革会議絡みで言うと、以前ここで、平成27年にプロトコールを勝手に変えたとかいうので非常に問題になった金沢大学のカフェインの臨床試験、先進B。実際は高度医療評価制度とか、それより前の話のやつですけれども、あれも規制改革会議が、これを早くやれとかいうような議論を公開ディスカッションなんかでやっている中で計画されて出てきて、結局、後から不祥事でいろんなケチがついたというのもあるので、マル2については、ちょっとそこまでやるのか。というのは、これをやると先進医療技術審査部会とか先進医療会議で申請をしっかりまたチェックしたり、大変な作業がまた出てくるようなことを懸念いたします。
○五十嵐座長
 御指摘ありがとうございます。どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 大変貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。少し事務局のほうから補足をさせていただきますと、今回、こういった全国展開、マル2の部分については慎重に行うべきではないかという御意見として伺わせていただきました。
 こちらにつきましては、まず、今回の全国展開に係る提案させていただいた趣旨といたしましては、これまで、あくまで地域を限定して申請を受け付けていたものについて、地域の限定を外すというものでございまして、原則として、従前のとおり、一定の評価項目に基づいて御評価いただくという、そういったプロセスは必要であると考えております。
 したがいまして、従前に比べて大きく基準が緩まるものではないとは考えております。
 ただ、他方で、今回先生方にこういった全国展開という大枠の方向性につきまして御了承がいただけましたら、一定、こちらの手続の見直し等も必要になってくるとは考えておりますので、具体的な評価項目等につきましては、改めて先生方に御確認いただく機会を設けたいと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 いかがでしょうか。
 藤原先生、いかがですか、今の御返事について。
○藤原構成員
 規制改革会議の言うことを聞かないといけないという圧力は感じますが、従前、規制改革会議絡みでやっていると政治家さんが出てくることが多いので、そういうのがこれからどんどん先進医療会議とかにかかることを皆さん覚悟しておいていただければといいかなと思います。
○五十嵐座長
 柴田先生、お願いします。
○柴田構成員
 私も、マル2については、ちょっとこれを入れるのは避けたほういいのではないかと考えております。もちろん、規制を改革することには一定の意義があるのかもしれませんが、次に御説明いただく内容なども考えますと、必ずしもマル1に該当しない医療機関でも、しっかりとした実績のあるところについては次の案件の対象になり得ると思いますし、先進医療の技術審査部会及びこの会議でいろいろ拝見しておりますと、先進医療の臨床試験を組んだことのない医療機関が出してきた申請がそのまますんなり通るということはほとんどなく、部会で何度ももみ直してようやく認められるということが少なからずあります。
 そういうものをいきなり特別扱いをしても、結局遠回りになると思いますので、そういう実績のあるところは次の案件での拡大の中に含まれますし、今回のマル2はちょっと広げ過ぎではないかなあと個人的には考える次第です。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 竹内先生、お願いいたします。
○竹内構成員
 私もほぼ同じような意見でございます。マル1については、やはりこれまでの国家戦略特区でやってきた実績を踏まえて、その区域外でも同じようなクオリティのある病院ではやはり広めていったほうが、全国的に広めていったほうがいいのではないかと思っていました。
 マル2については、このマル2の文言で、申請があった場合には、当該医療機関の「臨床研究中核病院と同水準以上と認められる」と書いてあるのですが、同水準を維持するというのは、現在認定されている臨床研究中核でも大変なのに、それに該当する医療機関が果たしてあるのかという観点で、そもそもマル2というのは大変、実際実現するのが不可能に近いような文言なのではないかなと感じました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、この事務局から出されている先-3-1の2ページ目の見直し(案)の1つ目の○のマル2ですね。これは今回お認めしにくいというのが多くの先生方の御意見だと集約してよろしいでしょうか。
 そうしますと、このマル2は認められないということになりますが、事務局、どうですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先生方、マル2は慎重にするべきという御意見ですとか、そもそもそんな該当性があるのかというところにつきましては、非常に重要な御指摘をいただきましてありがとうございます。
 恐らく、実際、先ほど竹内構成員からも御指摘ありましたように、なかなかこういったものを維持していくのも大変ということで、そもそも、一定、かなり厳しいといいますか、多数の評価項目にわたっておりますので、今回、全体として、例えばマル1ですとか、こういったことをおおむね先生方がよしとしていただくのであれば、例えばマル2の部分についてはそういった評価項目等も併せて御確認いただく機会を設けさせていただければと考えておりますが、そういった形ではいかがでしょうか。
○竹内構成員
 竹内です。
 今の御意見、一理あるのは、臨床研究中核病院として認定されていた機関が、例えばある一定の条件を満足しないためにその認定が外れたような施設というのは、もしかしたら同水準の施設として、これからもこのような基準を満足する、臨床研究中核病院とほぼ同水準と考えてもいいということはあり得るかなと少し思いました。完全にこのマル2の文言がないと、これから、例えば臨床研究中核の入れ替えも含めてたくさんの、非常に厳しい基準を満足しなければいけない中で、それをずっとその病院が維持できるのかという観点でも少し考えておかなければいけないなという気はします。今の御意見も踏まえて、マル2については、全てオープンにするというよりは、何らかのトラックを残しておくということもちょっと重要かなという気もいたしました。ありがとうございます。
○五十嵐座長
 そうしますと、どういたしましょう。マル2に対しては慎重であるべきという御意見もありますけれども。
○竹内構成員
 慎重であるべきということは変わりなく、それでいいと思いますが、少し、先ほどのように、臨床研究中核病院が認定されていて基準を満足しなかったような施設についてはちょっと考えて、どういう形で満足しなかったにもよると思いますが、少しその枠を維持しないと、やはり日本の先進医療、あるいは日本のこの医療技術の進歩というのがとまってしまってもいけないなとはちょっと思いました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 私も、最初はマル2は省いたほうがいいかなと思いました。ただ、今の議論を聞いていると、少し技術部会とか大変かもしれませんけれども、先進医療始まった頃、かなりひどいレベルのところがたくさんあったのが、やっているうちにだんだんよくなってきたこともありますので、そのルートをやはり残すべきかなと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 藤原先生、お願いします。
○藤原構成員
 私も、竹内先生のお話を聞いて、そういう大人の対応、必要だなあと思って、このマル2は残していただいてもいいとは思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、このマル2は、文章を変える必要はなくてよろしいですか。これはこのままでよろしいですか。
○竹内構成員
 多分、運用の仕方とかこの意義というのは分かりやすい形で皆さんにお知らせすればいいのかなという気がします。
○五十嵐座長
 事務局、どうぞお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 いろいろと御指摘いただきましてありがとうございます。まさしく、今、竹内構成員におっしゃっていただいたとおりで、運用部分で、例えば先生方の御懸念ですとかそういったところはしっかり御議論いただけるような形で、またその評価部分のあり方については別途お示しさせていただく予定でございますので、そういった形でまたぜひ御確認、御議論いただければと考えております。
○五十嵐座長
 それでは、大人の対応をしようという御指摘ですので、基本的には見直し案のとおりにお認めし、全国展開を行うという方向で進めていきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
 どうぞ、福井先生。
○福井構成員
 臨床研究中核病院と「同水準以上」というところがきついように思います。「同等レベル」ぐらいにしておいたほうがいいのではないかと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
 すみません。こちら、もともとその区域内でこれまで、従前までやってきた文言そのまま持ってきたものでして、そういった、例えば文言の見直し等も含めて実際の評価のプロセスの見直しの際に御意見いただければと考えております。ありがとうございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、この見直し案どおりで全国展開を行うという方向をお認めしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、2件目について事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、2件目の御説明に移らせていただきます。先-3-2を御覧いただけますでしょうか。こちらは第123回先進医療技術審査部会において御審議いただき、御了解をいただいております内容でございます。
 まず、1.経緯の1マル目でございますが、平成30年4月に臨床研究法が施行されたことを受け、先進医療Bとして申請される技術の多くが認定臨床研究審査委員会、以下「CRB」といたしますが、こちらで審査されることとなってございます。こちら、CRBと先進医療技術審査部会の審査項目が重複していることを踏まえ、両制度の整合性を図りつつ、先進医療Bに係る審査を迅速化・効率化する取組が進められているところでございます。
 具体的には、一定の要件を満たした場合に、いわゆる合同会議の開催が可能となるというものでございまして、要件につきましては、特に下線部のところでございますが、臨床研究中核病院に設置されたCRB、または次のページにございます審査を行った臨床研究が先進医療Bとして「適」になり、かつ、審査を行った当該臨床研究の主要評価項目報告書または総括報告書及びその概要が部会及び先進医療会議で評価された実績を有する認定臨床研究審査委員会が原則として対象となっているところでございます。
 次に、2マル目のところでございますが、令和3年度を目処に、その実績等に基づき、当該審査等の見直しについて検討するとしていたところでございまして、先進医療会議における科学的評価の迅速化の対象となるCRB、以下「迅速化対象CRB」といたしますが、こちらにおける先進医療Bの審査実績を報告させていただくとともに、今後の運用について御提案をさせていただきたいというものでございます。
 続きまして、2.審査実績の報告のところでございますが、現状、迅速化対象CRBの一覧と迅速化対象CRBで審査を行った臨床研究が先進医療Bとして「適」となった実績につきましては、3ページ目に記載させていただいたとおりでございます。
こちらを踏まえて、3.今後の運用(案)の1マル目のところでございますが、本運用の開始以降、迅速化対象CRBの審査を経た臨床研究(先進医療B)の申請件数がまだ蓄積していないことを踏まえ、原則として、従前の取扱いを継続してはどうかという御提案でございます。
 また、2マル目のところでございますが、現在、迅速化対象CRBとなっているCRBであっても、審査を経た臨床研究(先進医療B)が臨床研究技術審査部会にて「不適」または「継続審議」と評価した実績があるCRBについては、当該CRBで新たに審査を行った臨床研究が先進医療Bとして、「適」または「条件付き適」と評価された実績が認められるまで、迅速化対象CRBから除外してはどうかという御提案でございまして、具体的には3ページ目に記載しております黄色となっております実績が該当する箇所となってございます。
 続きまして、3マル目のところでございますが、今後、迅速化対象CRBの実績が蓄積された段階で、先進医療会議及び先進医療技術審査部会に改めて御報告させていただき、必要に応じて迅速化案の見直しを行うこととしてはどうかという御提案でございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、見直し(案)の記載どおりに進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、3件目について事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、3件目の御説明に移らせていただきます。先-3-3「医療機器の使用を伴う医療技術の振り分けに係る見直しについて(案)」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
 まず、1.先進医療における現状の取扱いの1マル目でございますが、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく承認または認証を受けていない、以下「未承認等」とさせていただきますが、未承認等、若しくは承認または認証事項に含まれない用法・用量、効能・効果または性能等、以下「適応外」とさせていただきますが、適応外の医療機器の使用を伴う医療技術は、通知に定められた分類に基づき、原則として先進医療Bに振り分けを行っていただいているところでございます。
 続きまして2マル目のところでございますが、当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいという観点から、未承認等の体外診断用医薬品の使用または体外診断用医薬品の適応外使用を伴う医療技術及び未承認等の検査薬の使用または検査薬の適応外使用を伴う医療技術につきましては、通知に定められた分類に基づき、原則として先進医療Aに振り分けを行っているところでございます。
 今般、医療機器の使用を伴う検査技術というものが行われるようになってきているところでございまして、こういった背景を踏まえて、従前より、先進医療Aとして取り扱ってまいりましたいわゆる未承認、適応外の体外診断用医薬品の使用を伴う医療技術と同様、一部先進医療Aとして実施可能なものがあるのではないかという観点から、今回見直し案を検討させていただきました。
 それでは、2.見直し(案)のところでございますが、未承認等の医療機器の使用または医療機器の適応外使用を伴う医療技術のうち、検査を目的としたものについて、こちらの考え方に基づき振り分けを行うこととしてはどうかという提案でございます。
 具体的には、マル1、当該医療機器の使用による人体への影響が極めて小さいものについては、原則として先進医療Aに振り分けることとする。
 マル2、当該医療機器の使用による人体への影響が極めて小さいものであっても、当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるものについては、原則として先進医療Bに振り分けることとする。
 マル3、マル1、マル2以外のものについては、引き続き、原則として先進医療Bとして振り分けることとする。
というものでございます。事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何か御質問、御意見等ございますか。
 どうぞ、柴田先生。
○柴田構成員
 私、基本的なこの方針について異存ございません。見直し(案)のところのマル2の解釈について、念のために確認と申しますか、私の意見を申し上げさせていただきますと、このようなもの、新しいタイプの医療機器が、例えばAI技術を使った医療技術であるとかそういうものが出てきて、そういうものについて適切な水準の評価というのが必要になると思いますが、気をつけないといけないところとして、ピュアサイエンスとしての性能は評価できていても、臨床的なアウトカムですとか、患者さんの治療選択に影響を与え得るですとか、判断にばらつきがあるであるとか、そういうものが適切に評価されないまま臨床導入されると危険なものというのは今後出てくると思いますので、やはり基本はしっかりとBで認め評価をする前提ではあるけれども、例えば類似のものが既にもう認められているであるとか、明らかにマル1で挙げられるような影響が小さいなどということは例外的にAに移すのだというような、どちらが主かというところの主従の関係がぶれないのであれば、問題ないと思います。
 逆に、何でもかんでもデフォルトでAに詰め込んでおいて、問題のあるものだけBに引き戻すというやり方にすると、いろんなものを見落としてしまう可能性があるかなというのを危惧しております。
 以上です。
○五十嵐座長
 御指摘いただきました。ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、今の御指摘、大変重要だと思いますが、基本的にはこの見直し(案)の記載どおりに進めていきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 続きまして、4件目の御説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、4件目の御説明に移らせていただきます。先-3-4「先進医療Aにおける技術の外部委託に係る見直しについて(案)」としている資料を御覧いただけますでしょうか。
 まず、1.先進医療における現状の取扱いと議論の経緯の1マル目でございますが、先進医療Aについては、通知上の規定により、保険医療機関間で受託・委託契約を結んだ場合を除いて、原則として技術の工程の一部を外部に委託することを認めていないということになってございます。
 他方で、2マル目のところでございますが、こちらの取扱いの例外といたしまして、第97回先進医療会議において御審議をいただきました「染色体G-Banding法による流産絨毛染色体分析」につきましては、質の担保が可能であることや診療報酬上の取扱い等を確認した上で、衛生検査所への委託についてもお認めいただいたところでございます。
 また、3マル目でございますが、その際の御議論の中で、先進医療制度ができたときと比較し、染色体検査やゲノム検査等について外部委託を行うことが増えている。
 2ポツ目、医療機関内での検査に限るべきであるのか否か、検討していく必要があるのではないかなどの御意見をいただいたところでございます。
 今回このような御意見も踏まえまして、診療報酬における取扱いも踏まえつつ、見直し(案)を検討させていただいたところでございます。
 それでは続きまして、2.診療報酬における検査を目的とし技術の取扱いについての1マル目のところでございますが、告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」「第3部 検査」において、「当該保険医療機関以外の施設に臨床検査技師等に関する法律第2条に規定する検査を委託する場合における検査を要する費用」については、算定が可能とされているところでございます。
 また、2マル目のところでございますが、通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」におきまして、「検査に当たって施用される薬剤は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する」とされているところでございます。
 こちらを踏まえた次のページをおめくりいただきまして、3.見直し(案)のところのまず1マル目でございます。今後、新たに申請のあった先進医療Aとして実施する検査を目的とした技術については、申請医療機関からの提案を踏まえ、衛生検査所に対する、臨床検査技師等に関する法律第2条に規定する検体検査、こちらの委託を可能としてはどうかというもので、具体的に委託が可能な検査はこちらに記載のとおりでございます。
 また、2マル目でございますが、有効性・安全性等を確保する観点から、衛生検査所への委託を行う場合は、先進医療会議において承認された検査用薬剤及び検査手法等を用いている衛生検査所に限ることを施設基準としてはどうかというもので、当該衛生検査所が先進医療会議において承認された検査用薬剤及び検査手法等を用いているかどうかについては、実施医療機関の責任においてしっかりと御確認いただく、そういったものでございます。
 また、3マル目のなお書きのところでございますが、現行、先進医療Aとして実施されている検査を目的とした技術については、有効性・安全性等を確保するための施設基準の再検討が必要となることから、申請医療機関から外部委託に係る申請があった場合に、個別に先進医療会議において検討することとしてはどうかというものでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、見直し(案)に記載されているとおりに進めたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日の議題は、残り「その他」となっております。事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方からはいかがでしょう。何かございますか。
 よろしいですか。
 それでは、本日の議論はこれで終了したいと思います。次回の開催につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和3年12月2日(木)16時からを予定しております。場所につきましては別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、第104回の「先進医療会議」はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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