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2021年10月7日 第103回先進医療会議

○日時

令和3年10月7日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 藤原構成員 山口構成員 北脇技術専門委員
【事務局】
審議官 医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐
先進・再生医療開発戦略専門官 研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他



○議題

 1 新規技術(9月・10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
   (先-1)(別紙1)(別紙2)(別紙3)(別紙4)(参考資料)
 2 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-2)(別紙5)(別紙6)
 3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-3-1)(別紙7)(先-3-2)(参考資料)
 4 その他


○議事

16:00開会




 

 

 

 

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
 初めに、構成員の先生方の出席状況についてお話をいたします。本日は福田構成員より御欠席との連絡をいただいております。福田先生からは委任状の提出があり、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされております。事前評価をしていただきました北脇技術専門委員に本日は御出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、事務局の異動がありましたので、事務局から紹介をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
 まず初めに、9月14日及び10月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 間隆一郎審議官でございます。
○審議官
 間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 続きまして、関野秀人医療機器審査管理課長でございます。
○医療機器審査管理課長
 関野と申します。よろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿に続きまして、まず先-1「先進医療の新規届出技術について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙1、別紙2、別紙3、別紙4及び参考資料がついてございます。
 続きまして、先-2「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙5、別紙6がついてございます。
 続きまして、先-3-1及び先-3-2につきましては「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」でございまして、先-3-1には別紙7が、先-3-2には参考資料がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
 また、今回の先進医療会議におきましてはウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいておりますので、そちらのほうを御参照いただけると幸いでございます。
 また、申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧いただければと存じます。
 御発言いただく先生方におかれましては、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言をいただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 委員の先生方、資料について何か問題ございますか。よろしいですか。
 それでは、審議に入りたいと思います。今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告をいたします。
 まず、福井構成員より、新規技術の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)における受理番号130の技術につきまして、御所属されております医療機関と同じ法人内の医療機関からの申請であることから、利益相反の御申告がございました。福井構成員におかれましては、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることはできません。また、北脇技術専門委員より、先進医療Aとして評価を行う整理番号340の技術について御報告がございました。北脇技術専門委員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員の先生方におかれましては、改めて申告すべき案件はほかにはないと御理解してよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 それでは、「新規技術(9月・10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)」について審議したいと思います。資料が提出されておりまして、4件ございます。順番に行きたいと思います。まず、1件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 まず、先-1の資料に基づきまして御説明をさせていただきます。今回、先進医療の新規届出技術について振り分け審議をいただく技術が4件ございます。
 まず、1件目でございますが、受理番号129番、技術名は「家族性大腸線種症患者への低用量アスピリン療法」でございます。適応症につきましては、家族性大腸線種症でございます。今回、京都府立医科大学附属病院から申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 それでは、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙1-1の1ページ目を御覧いただければと思います。まず初めに先進性のところでございますけれども、家族性大腸線種症はがん抑制遺伝子であるAPCの変異による常染色体優性遺伝の疾患で、40歳台で50%、放置すれば60歳頃にほぼ100%大腸がんを発症する疾患とのことでございます。また、大腸がんの発症を抑制する唯一の治療法は、20歳台に大腸を全て摘除することとのことでございますが、その場合、生活の質が著しく低下するため、薬物治療を開発する必要があるとのことでございます。
 先行研究におきましては、短期的に低用量アスピリンを用いた場合に、大腸腫瘍の増大リスクが減少することが分かっているとのことでございまして、今回長期的な使用における有効性、安全性を検証するとのことでございます。
 3ページのところでございますが、本技術は医薬品の適応外使用を伴う技術となってございまして、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 1件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 それでは、先進医療Bとして振り分けたいと思います。
 次に、2件目について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先ほど御説明させていただきましたとおり、福井構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますようよろしくお願い申し上げます。
(福井構成員退席)
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。
 それでは、改めて資料について御説明をさせていただきます。再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。振り分け審議をいただく2件目の技術でございますが、受理番号130番、技術名は「自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による末梢動脈疾患に対する完全自家血管新生療法」でございます。適応症につきましては、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)でございます。今回、東京医科大学病院から申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 それでは、技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。別紙2-1の1ページ目を御覧いただければと思います。まず初めに先進性のところでございますけれども、近年、薬物治療や血行再建術に限界のある重症の末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)に対して、自己末梢血または自己骨髄由来の幹細胞を虚血四肢骨格筋へ筋肉内移植することにより、虚血組織の血流を確保し、組織障害や壊死を軽減させようとする試みがなされているとのことでございます。
 今回、重症末梢動脈疾患の方を対象に、患者さん自身より採取した骨髄間葉系細胞を自己末梢血から調製した多血小板血漿を用いて培養し、虚血下肢内へ筋肉注射にて移植を行うという治療の有効性を検証するとのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページ目のところでございますが、本技術は未承認の再生医療等製品の使用を伴う技術でございまして、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 2件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、先進医療Bとして振り分けたいと思います。ありがとうございました。
 福井構成員はお戻りいただけますでしょうか。
(福井構成員着席)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、3件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。振り分け審議をいただく3件目の技術でございますが、受理番号131番、技術名は「子宮内膜スクラッチ」でございます。適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまで反復して着床・妊娠に至らないものでございます。今回、英ウィメンズセントラルファティリティクリニックから申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 それでは、技術の概要につきまして、補足を含めて御説明をさせていただきます。まず、参考資料といたしまして8月の先進医療会議で提示させていただきました資料を添付しておりますので、こちらの11ページ目「不妊治療における診療の流れ(イメージ)」を御覧いただければと思います。今回申請がございました子宮内膜スクラッチにつきましては、こちらの吹き出しで囲っておりますいわゆる特定不妊治療に係る技術でございまして、特にフロー図の右側にございます胚移植に係る技術となってございます。
 それでは、別紙3-1の1ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、先進性のところでございますが、生殖補助医療における反復不成功例の中に、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊娠に至らない着床不全症例が存在するとのことでございます。着床不全の原因は様々なものがあるとのことでございますが、幾つかの研究では、原因不明の再発性着床障害のある患者さんの着床率及び妊娠転帰を、局所子宮内膜スクラッチにより改善できることが示されているとのことでございます。
 次に、概要のところでございますが、本当に技術につきましては、胚移植を行う予定の前周期の黄体期に、婦人科用剥離子を子宮内腔に挿入し、スクラッチを行うという技術でございまして、翌周期に胚移植を行うとのことでございます。
 こちらの技術につきまして、2ページ目、別紙3-2にございますように、使用する医療機器は適応内となってございまして、先-1の下方に記載がございます「未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術」に該当すると考えられますので、先進医療Aとして振り分け案を提示させていただきました。
 3件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 では、ただいまの説明につきまして御質問等ございますか。よろしいですか。
 それでは、先進医療Aとして振り分けたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、4番目の技術の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、再び先-1の資料にお戻りいただけますでしょうか。振り分け審議をいただく4件目の技術でございますが、受理番号132番、技術名は「二段階胚移植法」でございます。適応症につきましては、胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまで反復して着床・妊娠に至らないものでございます。今回、こちらも英ウィメンズセントラルファティリティクリニックから申請がございました。係る費用につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
 それでは、技術の概要につきまして、補足を含めて御説明をさせていただきます。再び参考資料としております11ページ目「不妊治療における診療の流れ(イメージ)」を御覧いただけますでしょうか。今回申請がございました二段階胚移植法につきましては、先ほどと同様、吹き出しで囲っておりますいわゆる特定不妊治療に係る技術でございまして、特にフロー図の右側にございます胚移植に係る技術となってございます。
 それでは、次に別紙4-1の1ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、先進性のところでございますが、こちらの技術につきましても生殖補助医療における反復不成功例のうち着床不全症例の方を対象とした技術でございまして、二段階胚移植は先行して初期胚を移植し、残りの胚は培養を継続し、引き続き後日に胚盤胞を移植するという技術になってございまして、初期胚にはクロストークにより子宮内膜の胚受容能を高める働きを期待し、継続培養によって選択された胚盤胞がより高い確率で着床することを期待する技術とのことでございます。
 こちらの技術につきまして、3ページ目、別紙4-2にございますように、使用する医療機器は適応内となってございまして、こちらも先-1の下方に記載がございます「未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術」に該当すると考えられますので、先進医療Aとして振り分け案を提示させていただきました。
 4件目の説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 では、この技術は先進医療Aとして振り分けたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、「先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について」の資料が提出されております。今回2件ございますので、順番に行きたいと思います。まず、1件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-2に基づきまして御説明をさせていただきます。今回先進医療Aの新規技術として御審議いただく1件目の技術でございますが、整理番号340番、「子宮内膜刺激胚移植法(SEET法)」でございます。適応症につきましては、胚移植を必要とする不妊症となってございまして、係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。今回、英ウィメンズセントラルファティリティクリニックより申請がございました。
 こちらの事前評価につきましては、佐藤構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、佐藤構成員より「適」、北脇技術専門委員より「条件付き適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙5の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。
 まず、実施責任医師の要件でございますが、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。資格は日本産婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ日本生殖医学会認定生殖医療専門医であること。当該診療科の経験年数は5年以上。当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数につきましては、実施者(術者)として10例以上としております。
 また、医療機関の要件でございますけれども、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上。他の診療科の医師は不要としております。その他の医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者としておりまして、病床数は不要。看護配置は不要。当直体制は不要。緊急手術の実施体制は不要。院内検査(24時間実施体制)は不要としております。他の医療機関との連携体制は必要としておりまして、緊急の場合その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしております。医療機器の保守管理体制は不要。倫理審査委員会の審査体制は、必要な場合に事前に開催すること。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上としております。
 次のページにお進みいただきまして、その他の要件でございますが、頻回の実績報告は不要としております。
 説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 整理番号340の技術につきましては、事前評価を佐藤構成員にお願いをしております。佐藤構成員から技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○佐藤構成員
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。それでは、先ほどの別紙5を出していただけますでしょうか。
 今回は不妊治療ということで、かなり専門性が高い領域と思います。技術専門委員として北脇先生にも御評価いただいております。正直、私はこの領域の専門ではございませんので、まず私のほうから技術の概要と科学的評価の概要を説明させていただきますけれども、御専門の北脇先生のほうからさらに追加で御説明、補足いただければ大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、別紙5の6ページ、先進医療の概要でございますが、実は先ほどの議題1のほうで新たな先進医療の振り分けの中で、今回申請のあった英クリニックのほうから2題申請の振り分けの内容があったと思うのですが、その中で補足資料の説明があったと思いますけれども、今回の技術も特定不妊治療という中の胚移植というところに該当するものでございます。その中で、先ほどの書類の中にも実は「先進性」のところと同じような文章が書かれているのですが、「先進性」のところの1段落目の6行目辺りから今回の技術の基本的な概念ですけれども、不妊治療等の研究の中で、子宮内膜の胚受容能の低下に起因する着床率低下を改善する技術として、1999年に二段階胚移植というのが考案されたと書かれております。
 このコンセプトといたしましては、その次に書いてありますとおり、着床周辺期の胚と子宮内膜にはシグナル交換(クロストーク)があるということで、ここを生かした治療ということで二段階胚移植。二段階胚移植と言いますのは、次の行にありますとおり、day2に初期胚を移植して、残りの胚を培養して、引き続きday5に移植するというものでございますけれども、これによって妊娠率、着床率の向上が認められたのですが、その4行ほど下です。この方法を用いますと、少なくとも胚を2個移植するということで、多胎の問題が必然的に出てくるということでございます。ですけれども、胚と子宮内膜のクロストークというのは非常に重要だということをこの申請者たちは以前から考え、研究しておりまして、この段落の一番最後のところに書いてあるのですが、子宮内膜胚移植法(SEET法)を考案いたしまして、これを治療法として使っているということでございます。
 9ページはSEET法の概要ということで、文章は先ほど説明したとおりです。体外受精によって得られた受精卵を体外で5~6日間培養するということです。ここで得られた胚盤胞を一旦凍結保存をして使うということで、凍結胚移植という形になるのですが、この際、左側にありますDay2からDay5のところで培養するのですが、矢印左下のほうに「培養液上清凍結」というのがあります。この技術は、胚胞を培養したときに上清を回収するのです。胚胞からいろんなファクターが出るということで、これを使うことによってクロストークを確保する、維持するということを期待しているということでございまして、培養液は培養液として凍結保存し、一方、day5まで培養した胚胞そのものも凍結するというところを行う。
 右側のほうを見ていただきまして、実際に妊娠が期待できる状態になりますと、「月経17日目」と書いてありますけれども、培養液をまず注入して、その後、「20日目」と書いてありますが、凍結していた胚胞を移植するという技術でございまして、これによって多胎を防ぎつつ、子宮内膜とのクロストークを維持するといいますか、活用するというような技術ということでございます。
 次のページに進んでいただいて、保険収載までのロードマップということで、申請者らは事前に幾つかの臨床研究をされているようでございますけれども、そこに書いてあるのはSEET法ですが、通常の胚移植と刺激法とSEET法という3群に分けて、着床率とか妊娠率を比較検討ということで行っておりまして、これによって着床率や妊娠率の改善が期待できる可能性が示唆されたということでございまして、明らかに有意差を持ってこちらが優れているというところまで言い切れていないという状況ですけれども、こういったデータが出ている。
 その下のほうにありますが、予想される有害事象として、ごくまれに感染等があるということで、安全性も十分であったということをデータとして得ているということでございます。
 これを基にして、今回先進医療Aとして申請してきたわけでございますけれども、今回は前向きの観察研究という形で、1年間かけて160周期の妊娠の機会を捉えて評価をしようということで、既報2の妊娠率、胚盤胞の妊娠率も分かっているということがございますので、そういった背景で単群でやって、この妊娠率が上がるということをもってして保険収載に持っていきたいというのが基本的なコンセプトでございます。
 この治療法につきましては、前回の振り分けのときの資料にもございましたけれども、不妊学会のほうでアンケートをしたときには、かなり多くの施設が既にこの方法を妊娠が成立しない妊婦さんに対して使っているということがございますので、日常的にもかなり広がっている技術ということもあるので、申請者としては1,600周期という大きな数で実施して、観察研究の中で評価をしたいということでございます。
 右下の黄色のところを御覧いただきまして、このSEET法というものの現状の評価でございます。もちろん、薬事承認もそうですが、ガイドラインの記載は特にないということでございます。国内のガイドラインにつきましては、日本生殖医学会で最近鋭意作成されているということでございまして、そのうちの一つでこのSEET法というものをガイドラインの中で評価しておりますけれども、そこに書いてあります記述もありますが、この申請者を含めて、ランダム化試験で5つほどの臨床試験がされているのですけれども、背景とか方法が必ずしも一致していないというところもございますが、メタアナリシスでは十分な有効性が証明できていないと。ですけれども、一部の症例では有効であることが期待できるということがございますので、治療オプションの一つとして考慮されるべきだということで、推奨レベルCという評価を受けて、ガイドラインに記載されているところでございます。
 こういった背景の治療法だということでございますけれども、資料の12ページ、どういった観察研究の組み方をするのかということでございます。適応症は胚移植を必要とする不妊症ということで、通常の不妊治療をして無効であった妊婦さんを対象とするということで、期待するのは臨床的妊娠率の向上ということでございます。この先に書いてあるのは、先ほど説明したこととほぼ同様のことでございます。
 13ページの最後のほうですけれども、この研究者たちが初期の頃にやった、先ほどの論文と違う論文ですが、症例数25例と少ないのですが、単一の胚盤胞移植の妊娠率が56%に対し、25分の20ですけれども、母数は少ないですが、SEET法で80%ということが得られて、期待できるのではないかということを述べているところでございます。
 14ページを御覧ください。こちらが選択・除外基準で、胚移植を受ける不妊症の患者さんということ、それから除外基準は感染リスクです。手技的にはそれほど難しいことではないですけれども、一定の感染リスクもあり得るということで、こういった除外基準だということでございます。
 15ページに進んでいただきまして、評価でございます。主要評価項目は臨床的妊娠率ということで、血中のhCGの値が0.1mIU/mlを超えたものを妊娠と判定するということで、これをもって妊娠率を算出する。副次的にはhCGの陽性率とか流産率、その他のところをいろいろ評価するということも検討する。
 次に行ってください。認められましたら、来年の4月から1年間、1,600症例、1,600周期を想定しているということでございまして、観察研究でございますので、実施可能数ということになるわけですが、1年間のこのクリニックの受診数を考えると、十分クリアできるということ、それから既に2万周期以上実施しているということで、実績も十分あるということで、観察研究の大きな数字の中で有効性を出していきたいということでございます。
 概要は、私からは以上でございますけれども、大変恐縮ですが、北脇先生、補足あるいは私の説明で足りないところを御教示いただけますでしょうか。
○北脇技術専門委員
 北脇と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま佐藤先生が御説明されたのでも大変よく分かるのですけれども、専門の立場から若干の補足をさせていただけましたらと思います。
 それでは、恐れ入りますけれども、机上配付の図面に替えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 机上配付のほうが今、画面共有ができなくて、先生方のお手元にあるかと思いますので、そちらで進めていただけますと幸いです。
○北脇技術専門委員
 では、お手元の机上配付の図面を御覧いただきます。これは先生方も十分御存じのことで、大変恐縮ですけれども、体外受精、胚移植、顕微授精の基本的な図です。左側の子宮のところから超音波ガイド下に卵巣に針を刺しまして卵を回収して、下の培養皿のところに入れまして、そこで精子とブレンドいたしますと受精卵が完成します。ブレンドしますと今、申し上げましたが、普通に小さい場所でブレンドするのを「体外受精」と言っておりまして、右のほうにあります顕微鏡下で卵に針を刺しながら精子を核内に注入するというやり方を顕微授精と言う強制的なやり方です。ここのところだけ違うということで、あとのところは全部同じ工程でございます。
 受精卵ができましたら、培養中に卵割していきまして、大体2日ぐらいしますと4細胞期になります。それで子宮の中にそっと戻してやるということで、これで工程が終了になります。これは大体2日間の培養ですが、先ほどから出ていますのは、大体6日とか培養しますと、胚盤胞というところまで卵が成長しまして、それぐらい培養したほうが妊娠率が良いということで、最近は多くの場合そうしています。さらにその胚を一旦凍結いたしまして、別の時期に解凍して子宮に戻すといったことが最近はほとんどの症例で行われているというのが現状でございます。
 実は先ほどから出ておりましたスクラッチ法というのは、右側の子宮の絵のところにありますが、この子宮の内側のところに意図的に傷をつけることによって、むしろ着床が促進されるということでございますし、二段階法というのは、1つ目の胚を採卵の2日後ぐらいに入れておいて、6日後にもう1つの胚を入れるというテクニックでございます。
 今回のSEET法は、今、佐藤先生から御説明がありましたように、初めの2日目のときに、従来は卵を入れていたのですが、そうではなくて、培養のコントロールメディウムを子宮腔内に入れておくことによって、着床準備状態が促進されるという仕組みでございます。それがまず予備知識ということです。
 体外受精というのは、日本産科婦人科学会あるいは日本生殖医学会で全例報告制、登録制になっておりまして、またサーベイランスも行っております。現在生まれる子供は日本で年間に90万人ぐらいおられますけれども、そのうちの16人に1人、つまり、5万以上は体外受精児で生まれるという世の中になっておりまして、サーベイランス上でも体外受精児は安全に、また、奇形が上昇することなく生まれてくるということが分かっております。
 また、歴史的にも40年以上経過しておりますので、体外受精で生まれた子供がさらにその子供を産んでいるという世の中になってきておりますので、そういう意味では、世界的に非常に普及している方法でございます。そちらに関しては特に問題はないかと思います。
 今回のSEET法でございますが、もう一度別紙5の10ページを開けていただけますでしょうか。この先進医療では、佐藤先生から御説明いただきましたように、1,600例をするということです。これは英クリニックが1年間に1,600例やっているので、1,600例全部をそれに当てるということのようです。
 主要評価項目は臨床妊娠率でございます。妊娠率が上昇するかどうかということを見るということですが、それのコントロールを今回置いておりません。比較をするのは、学会で集計した妊娠率が全国平均でいきますと20~30%ぐらいですので、それよりも上昇しているかということでございます。英(はなぶさ)では今回の方法をとらなくても成績はいいわけですが、私のほうから意見を申し上げますと、それがSEET法をするから上昇するのか、英(はなぶさ)で従来法でやっていても上昇するのかということは、今回の研究計画だけでは判明しない可能性もあるのが一つです。もう一つは、英クリニックはこのSEET法で非常に成績が良かったとして、今日、日本で多くの施設が取り入れているとしていますが、2020年にコクランレビューに発表されているように、世界的にいいますと有意差が得られなかったとなっています。したがって、有意差が出ているのは、この施設のみの成績でございまして、それ以外のところでは有意差は出ていないということでございます。
 ということから、国際的にも認められるか、あるいは国際的でなくても、日本でもある程度他施設でもあまねく保険に使えるような技術ということであれば、他施設も入れてこの技術を検討していっていただいてもいいのではないかと少し感じた次第でございます。
 以上でございます。
○佐藤構成員
 ありがとうございます。
 それでは、別紙5、評価のほうを御説明したいと思います。
 まず、私のほうからでございますが、適応症については妥当であるということ。有効性につきましては、今、北脇先生からも御説明がありましたけれども、従来の技術、普通の胚移植法から比べますと、やや有効という期待はあるという程度であろうかと思っています。安全性につきましては、技術的にも大きな問題なしということで、これはほかの施設の論文、メタアナリシスを見ても安全性は問題なかろうということで、国内のガイドラインにもそのように書かれてはございます。技術的成熟度につきましても、それほど特殊な技術を要するということではございませんので、そこに書いてあるとおり、経験を積んだ医師の指導があればオーケーということで、Aだろうということです。倫理的なところは、不妊治療特有のいろいろな難しさはあるかもしれませんけれども、この方法を用いることについては問題なかろうと考えております。
 現時点の普及性でございますけれども、下のほうにも書かせていただきましたが、学会でアンケート調査をしたときに、何らかの形でこのSEET法を取り入れているというのが4割ぐらいの施設でございますし、英(はなぶさ)さんはかなりやられているようですけれども、他の医療機関も含めてある程度は普及しているものだと考えられます。
 効率性ですが、既に保険導入されている医療技術と比較して改善がどうかですが、特定不妊治療自体が現在保険導入されている技術はございませんので、今のものと比較してということに関しては判定困難だろうということでございまして、将来的にこれの有効性が証明されれば、妥当ではあろうと考えております。
 総評で、私も技術的なところで「適」とさせていただきましたけれども、これは観察研究でございますし、これをもって本当に保険収載するかどうかというのは、この研究が終了した後の評価になるのかなと思っています。
 改めて、大規模なRCT等をやらないと証明はできないだろうということがそこで得られれば、きっとそういう事後の評価になるのかなと思っておりますが、では、この先進医療Aをやらないで、すぐに単群の観察ではなくて、もう一回大規模な割付をしなさいというのも一つの判定法あるいは指針かなという考え方もございますけれども、かなり現実的には臨床的にやられているという実態もございますので、まずは観察研究として大規模に行って、いろんな解析を経て、そこからさらにこういった条件で割付試験を組むという方向もありかなということも含めて、「適」とさせていただいたところでございます。
 次のページに進めていただけますか。ここは北脇先生の御判定でございますので、北脇先生、ここを御説明いただいてよろしいでしょうか。
○北脇技術専門委員
 こちらのほうは特に先生のお話と変わるところはございませんので、特に問題はないと考えますが、一番下のところは、ただいま申し上げましたのと同じことでございますので、最終的にはもう少し大きい規模の研究がなされたほうがいいのではないかという意味で、そういったコメントを書かせていただきました。
 以上です。
○佐藤構成員
 ありがとうございます。
 私から及び北脇先生からの説明及び判定は以上となります。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 お二人の先生、御説明どうもありがとうございました。
 最後に御指摘になった保険収載に当たっての御指摘の点について、初めに事務局から見解をお話ししていただきたいと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先生方、大変貴重な御指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。先生方に今、御指摘いただいた点につきまして、保険収載に当たっての評価という観点で、事務局の見解のほうを少々述べさせていただければと思います。
 先生方も御存じのように、今般生殖医学会によって作成されましたガイドラインにつきましては、今後出てくる新たなエビデンスというものを整理して改定されていく予定と聞いておりますので、保険収載の議論の際にはそういったガイドラインの内容も合わせて御確認いただくことを事務局としては想定しております。
 なお、付け加えさせていただきますと、令和3年度から4年度にかけまして、厚生労働科学研究として「生殖医療ガイドラインの適切な運用と今後の改良に向けた研究」を行うこととなってございますので、厚生労働省といたしましても、引き続き関係学会と連携しましてガイドラインの追記、改正に向けたさらなるエビデンス収集を行う予定としております。
 事務局からの見解は以上でございます。
○五十嵐座長
 見解を説明していただきました。ありがとうございました。
 それでは、お二人の先生と事務局の見解を含めまして、委員の先生方、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。藤原先生、お願いします。
○藤原構成員
 1つ目は、保険収載の道が、単施設がこの先進医療Aをやった後に保険収載になると別紙5の10ページのロードマップではなっていますが、最後の矢印のところは、「さらなる検討が要る」とか何か書いておかないと、Aが終わった後に、ロードマップに保険収載と書いてあるから、先進医療が終わったら保険収載をやってくださいとかと言われても困るなと思って。福井先生のやっておられる医技評で多分評価されることになると思いますけれども、単施設でやったもので保険収載は難しいと思うのが1点。
 もう一つは、被験者数のところで1,600周期となっていて、1,600例にはなっていませんが、ここは例数で示していただかないと、今日のAとBの区分けのところも、この英クリニックが先進医療Aに2つほど技術を申請されていますので、全部の症例をこれに費やすのは難しいでしょうし、1周期だけでなくて、何周期も失敗された方はやることもあると思いますので、「被験者数」のところは「症例数」に書き換えていただいたほうがいいかなと思いました。
 以上の2点です。
○五十嵐座長
 御指摘ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 1つ、北脇先生に御助言いただきたいのですけれども、既に行われているランダム化比較試験の中で、こちらの申請医療機関のところは差があったけれども、ほかでは差がなかったと御説明いただきましたが、ここの試験のみ差がついた理由などについては、何らかのスペキュレーションなどがなされているのでしょうか。
○北脇技術専門委員
 御質問ありがとうございます。
 海外で他の研究はなされておりますので、そのやり方などが微妙に異なっているのかもしれません。
 それと、ちょっと細かいことになりますが、妊娠率と申しますのは、年齢が最も大きいファクターでございますし、40歳以上ですと、ほとんど妊娠が困難となりますので、年齢の分布という点をまずそろえないといけないといったことがありますので、本当にそういうバックグラウンドをそろえてしっかりやろうと思いますと、かなりの症例数をやらなければいけません。
 英クリニックはランダム化をした研究成果を既に出版しているのですが、その中身は48例と25例の症例数での2回の試験であり、症例数としては必ずしも十分ではないのかなと思います。一方、コクランでは500例以上になっており、そういう意味で、本技術が本当に有効であれば、もう少し大きな試験が必要かなと考えました。ありがとうございます。
○柴田構成員
 ありがとうございます。
 今のお話を踏まえますと、今回デザインは観察研究であるのはやむを得ないところもあるかもしれませんが、提出されている研究計画書の中に少なくとも学会のデータを参照する程度ではなく、こういう要因を考慮した上で比較を行うなど、もう少し詰めた比較の仕方を書いておいていただく必要はあるのかなとちょっと考えた次第です。
 先ほど藤原先生もおっしゃいましたが、この観察研究で成績が出ただけで評価をするのは難しそうであるという御指摘もありましたし、先生方の御判断もあったので、次のステップを進みやすくするためには、観察研究で外部の対象と比較するというのは現時点で許容するとしても、もう少し具体的な比較方法を事前に定めておいていただいて、その上で次のステップとしてほかの施設に展開するとか、そういうRCTが必要であるとかという議論ができるようにしておく、仕込みをしておくことが必要かなと感じた次第です。
 先進医療の評価自体は私も異存ございませんが、事務局のほうから、提出されている研究計画書を施設の中で審査されていると思いますので、そこをもう少し具体的に評価方法を記すようにというふうにしていただくというのは一つの選択肢かなと思いました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。貴重な御指摘をいただいていますけれども、事務局、いかがですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 先生方、非常に重要な視点で御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 先生方、もし差し支えなければ、会議からの御意見といたしまして、今、先生方からいただいた意見を事務局のほうで取りまとめさせていただきまして、申請医療機関のほうに伝えさせていただくということはさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○柴田構成員
 よろしくお願いいたします。
 恐らく会議の書類としては、申請書のほうの有効性の評価方法のところに追記していただくとともに、研究計画書のほうの改定をしていただいて、倫理審査を通していただくということになるかと思います。
 また、これはAとして実施する以上、ほかの医療機関から希望が出た場合には、こちらの申請医療機関の研究には参加せずに、この医療技術だけを実施するということがなされるのだと思いますが、それはそういうものなのですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今、御指摘いただいた点は、先生の御認識のとおりでして、先進医療Aの場合は、必ずしもこの申請医療機関が実施している研究に参加するという形は取らなくてもよいこととなっておりますので、御指摘のとおりだと思います。
○柴田構成員
 別のコメントになってしまうのですが、前回の先進医療会議でもお話ししましたが、毎年1回行われる実績評価のときに、有効であった、有効でなかったという情報が出てくるのですが、先ほど北脇先生からも御指摘いただきましたように、例えば年齢ですとか、そういうファクターがないと解釈し得ないということであるならば、先進医療の事務的な手続としては情報を出していただくとして、何らかの形で学会等でこういうものについて、今回の申請医療機関の研究以外にもデータを集めていただくとか、そういう仕組みをつくっておいていただくことで、次、仮にRCTをするとしても、その条件の設定等に必要になる情報を得ることができるのではないかなと思ったのですが。
 粒子線治療などではそういうことが学会の協力を得てデータを集めておられるので、かなり重要なデータだと思いますし、コクランであまりポジティブなデータがないまま、行き場がなくなってしまうと、皆さんにとっても、実際にこの治療をされている先生方にとっても困られると思うので、何らかの形でデータを取れるような枠組みが提案できればよいのかなと思うのですが、その点について、事務局の御見解をお伺いできますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 非常に重要な点を御指摘いただきましてありがとうございます。まさしく保険収載に向けたエビデンスをつくっていくというところで重要なところかと考えておりますし、先生にいただいた今回の御提案ですとか、そういった学会のほうで一定程度御協力いただけないかということは、また事務局のほうでも整理させていただいて、相談させていただければと考えております。
 以上でございます。
○柴田構成員
 ありがとうございました。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 ありがとうございます。
 この技術はどこでもちゃんとできて、しかも質が担保されるということが示されるべきだと思います。一部の施設で名人芸でできているものだという話になると、保険収載としては難しいと思うので、藤原先生からも御指摘がありましたけれども、ぜひ複数の施設がきちっと管理された状態でということを希望します。
 それから、細かいことですけれども、施設要件の中で技術者、胚を取り扱えるものが必要だと書いてありましたが、これは具体的にどういう資格の人なのでしょうか。もし分かったら教えてください。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局から少し補足をさせていただきますと、先生、別紙5の3ページ目の「その他医療従事者の配置」のところの御指摘かと理解しております。こちらにつきましては、もし誤認等がありましたら、北脇先生に補足いただければと思うのですが、いわゆる胚培養士と言われている方ですとか、そういった方が入ってくるのではないかというところではございますが、こちらにつきましては、不妊治療の保険適用自体が、今、まさしく中医協で議論されているところでして、この辺の要件がどうなっていくのかというのは、そちらの議論の推移も見て最終的に決めさせていただくという形になろうかと思いますので、ちょっと漠とした書き方で大変恐縮なのですが、いわゆる胚培養士の方ですとか、そういったものを想定している文言と御理解いただければと思います。
○山口構成員
 分かりました。
○北脇技術専門委員
 北脇ですけれども、補足、よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 お願いします。
○北脇技術専門委員
 今の3ページのところでございますが、日本生殖医学会生殖医療専門医というのがサブスペシャリティの専門医制度でございまして、それを持っていて、かつ施設要件を得た施設。これも登録制になっておりますけれども、そこのところだけがこういった生殖補助医療、体外受精などをすることができますので、それが現在、日本全国に600施設余りございますが、そこのところでございます。そこにただいま御説明ありました胚培養士という技術職が勤務しております。胚培養士というのは、現在のところ国家資格ではございませんが、一応学会等で認定する制度がありまして、そういう技術者、メディカルスタッフが医師の監督の下にやっているということでございます。
 失礼しました。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○竹内構成員
 竹内です。
 1点、北脇先生にお尋ねしたいのですが、施設要件の中で医療安全管理委員会の設置は必要がないということですが、特に胚培養、採取、保存、その管理等で、例えば間違って廃棄されてしまったり、保存状態がよくなくて胚の質が悪くなったりとか、そういう意味での安全管理体制というのはこの技術には必要ないのでしょうか。
○北脇技術専門委員
 北脇でございます。御質問ありがとうございます。
 どこに書いていましたでしょうか。
○五十嵐座長
 3ページの下のほうです。
○北脇技術専門委員
 そうですか。
 先ほど御説明いたしました施設基準のところの600幾つかの施設は、必ず院内に倫理委員会とか医療安全の設備がないと施設基準が満たされないことにはなっておりますので、当然そこはあると思っておりましたけれども。
○竹内構成員
 そうしますと、3ページ目のこれは不要ではなくて、要と考えてよろしいでしょうか。
○北脇技術専門委員
 そうですね。いかがでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今、竹内先生から非常に重要な点を御指摘いただいたと認識しておりまして、北脇先生のお答えもこちらは必要であろうという趣旨と理解いたしましたので、もし会議全体として差し支えがなければ、そういった形でここは「要」という形で修正をするといった形で進めさせていただいてもよろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 生殖補助医療を行うクリニックはスタッフの数も多いので、人的な余裕があるのかもしれませんが、医療安全管理委員会を自前で用意することは簡単ではありません。しかしながらこうした体制の整備は重要ですので、3ページの医療安全管理委員会の設置は、「必要」のほうに変更させていただいてよろしいでしょうか。佐藤先生、よろしいですか。
○佐藤構成員
 私もちょっと悩んで、医療安全管理委員会というものが、委員の構成とか、ものすごい定義が厳しいものにしてしまうと、先生が今おっしゃったとおり、クリニックの中で置けないかもなと。ただ、培養を行うこういった施設は何らかの形で安全装置はあるのだろうなと思って、必ずしも必要でないというほうでいいのかなと思ってつけたのですけれども、医療安全管理委員会の定義をどこら辺にするかということも含めて、「要」にしておいて、ちゃんと安全管理してくださいということを要求するということはよろしいのではないかと思います。ありがとうございます。
○五十嵐座長
 ほかの先生方もそれでよろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。神村先生、どうぞ。
○神村構成員
 神村でございます。
 参考資料のほう、患者説明の資料ですけれども、説明文書のことについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○神村構成員
 説明文書の2ページのほうでございます。今回の試験についての説明の中では、二段階胚移植というのは、かなり有効性が高い妊娠率が期待できると言い切っておられて、SEET法によって双胎の妊娠を予防できるというふうな説明をされておりますが、この説明、認識で正しいということでよろしいのでしょうか。二段階胚移植は高い妊娠率が期待できると言い切っている辺りについては、いかがなものなのでしょうか。教えていただければ。
○五十嵐座長
 北脇先生、お答えいただけますでしょうか。
○北脇技術専門委員
 今、探しておりますが、説明文書の2ページ目のどの辺りに書いてございますでしょうか。
○神村構成員
 2ページ目の1ポツ「今回の試験について(試験の目的について)」というこのパラグラフの中、2段目、3段目辺りのところにそのような内容で記載されていると思いますが。
○北脇技術専門委員
 これは英(はなぶさ)が説明するとしたら、そのとおりでございまして、先ほど佐藤先生が御説明いただいたところでございます。二段階胚移植というのが、私も説明させていただきましたが、2回胚移植をするということですけれども、それで有効性があるということを英(はなぶさ)が2005年ぐらいにしております。それが添付されていると思います。
 二段階胚移植であれば、2つとも着床してしまいますと双子になってしまいますので、そこで、1つ目の胚をコントロールメディウムにするというのが今回の改良点でございます。彼らが説明するとしたら、このような言い方になるので差し支えないかと考えますが、いかがでしょうか。
○神村構成員
 ありがとうございました。
 患者さんの心理としましては、非常に期待が高まるような御説明だなと思いますし、双胎の可能性を予防できる、防げるということを主眼にお考えになるのかなと。不妊治療というものよりも、不妊治療にさらに双胎の危険を防ぐというところに主眼を置いているのかなというふうに見えるのですけれども、そのような理解であまり問題はないものなのでしょうか。
○北脇技術専門委員
 今、日本産科婦人科学会を含めて、単一胚移植というのを推奨しておりまして、双子になることが分娩と児の予後に危険が多いということでございますので、多くの場合で単一胚移植を実施しております。ですので、双子を防ぐということは非常に重要なファクターとして捉えていますので、これでいいのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○神村構成員
 ありがとうございます。そういう御専門の方々の認識もあってということでしたらば、双胎を防ぐというところがかなり重要な視点なのだなということを理解いたしました。
○北脇技術専門委員
 大変重要なところかと思います。違和感は覚えませんでしたけれども、いかがでしょうか。専門過ぎて逆によくないのかもしれませんけれども。
○五十嵐座長
 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、そのほかはいかがですか。柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 非常に細かいところで申し訳ないのですが、今、先生の御指摘を踏まえて改めて説明文書を読みましたら、この説明文書は「試験」と書いてあるのですが、これは観察研究であるはずなので、そこのところは記載を整備しておいていただく必要があるのと、あと、計画書のほうも、これは観察研究であるということが明確ではないので、そこを改めて書いておいていただくほうが後々混乱が生じないかなと思いました。すみません。記載整備の話のみです。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。それも重要な御指摘ではないかと思います。ありがとうございました。
 ほかはいかがですか。
 そういたしますと、今日たくさん御指摘をいただきましたので、その一つ一つにしっかりと対応させていただきたいと思っております。
 その上で、これの評価をしたいと思うのですけれども、事前評価としては「適」と「条件付き適」が出ておりましたので、「条件付き適」と考えておりましたが、委員の先生方は「条件付き適」でよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
ありがとうございます。
 それでは、先生方からいただきました御指摘に全て対応させていただきたいと思います。
 これについては、どのように変えたかという御報告は、後日御報告する必要はございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 そちらの先生方に御確認いただく方法につきましては、これまでの先進医療への取扱いも含めて整理して、また何らかの形で先生にお伝えさせていただくことは考えておりますので、また別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 私もチェックいたしますけれども、いろいろな御指摘をいただいた案件ですので、対応については委員の先生方にもフィードバックしたほうがいいと思います。それでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、2番目の技術の御説明を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、再び先-2の資料を御確認いただければと思います。こちらは先進医療Aの新規技術として御審議いただく2件目のほうの技術でございますが、整理番号340番、「タイムラプス」でございます。適応症につきましては、胚移植を必要とする不妊症となってございまして、係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。今回ミオ・ファティリティ・クリニックより申請がございました。
 こちらの事前評価につきましては、福井構成員及び北脇技術専門委員にお願いしてございまして、福井構成員より「条件付き適」、北脇技術専門委員より「条件付き適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙6の3ページ目を御覧いただければと思います。こちらは当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。まず、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。資格は日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であり、かつ日本生殖医学会認定生殖医療専門医であること。当該診療科の経験年数は5年以上。当該技術の経験年数は不要。当該技術の経験症例数につきましては、実施者(術者)として10例以上となっております。
 また、医療機関の要件でございますが、診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上。他の診療科の医師は不要としております。その他医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者としておりまして、病床数は不要。看護配置は不要。当直体制は不要。緊急手術の実施体制は不要。院内検査(24時間実施体制)は不要としております。他の医療機関との連携体制は必要としておりまして、緊急の場合、その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることとしております。続きまして、医療機器の保守管理体制は不要。倫理審査委員会の審査体制は、必要な場合に事前に開催すること。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は10症例以上としております。
 また、その他の要件でございますが、頻回の実績報告は不要としております。
 説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 この技術につきましては、事前評価を福井構成員にお願いしております。福井構成員より技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○福井構成員
 私も技術委員の北脇先生に頼るところがかなりあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは主として臨床疫学的な立場からの評価をいたしました。別紙6の9ページを最初に御覧いただきたいと思います。この先進医療は、不妊症の方々からの体外受精及び顕微授精後の受精卵をタイムラプスという機械で培養した場合と通常の培養方法と比較をして、タイムラプスを使った場合に妊娠率が高くなるということを評価したいということだと思いますけれども、タイムラプスの特徴というのは従来の方法と異なりまして、2番目に書いてありますように、従来の方法ですと、卵を培養器の外に出して観察するとか、連続的に観察するということができなかったのですが、タイムラプスではそれができるということで、培養の環境が改善するために、最終的に妊娠率も上がるだろうという論理構成だと思われます。
 1ページ前に戻っていただきまして、今回、当初申請があった研究デザインにつきまして、いろいろやり取りをいたしまして、最終的にこのような形で差し当たって行っていいのではないかと判断いたしました。採卵した後、体外受精及び顕微授精後の受精卵をここでランダマイゼーションして、タイムラプスにて培養するのか、従来法をもって培養するのかを分ける。実はタイムラプスで培養された胚、それから従来法にて培養された胚の両方を見て、最適な卵、つまり、タイムラプスでベストなものがあれば、それを移植する。ですから、もともと質の低いレベルで、非常に高齢の方という場合は、もしかして質の低いところでの比較かもわかりませんし、比較的年齢が若くて、全体的に質の高い胚の場合には、選択するときの分類法で言うと、非常にレベルの高いところでの比較になるかもしれません。
 そういう意味で、移植するところでは様々な交絡因子が関わってきますので、今回の評価では、あくまでも左側のタイムラプスにて培養なのか、従来法にて培養なのかというところでのランダマイゼーションで、観察項目としましては、分割率であったり、あくまでも胚の見た目の評価がより質が高いかどうか、良好分割胚率、胚盤胞発生率、有効利用率などになり、右側の最終的な妊娠率につきましては、あくまでも観察研究のレベルにとどまると考えます。
 10ページに行っていただきますと、今までは臨床研究もそれなりにされておりますけれども、有効性の評価は厳密には行われてこなかったため、今回の先進医療で前向きのランダマイゼーションスタディーをやることになったとのことです。明年の4月から2023年10月までに200例で、主要評価項目は先ほど説明させていただいたような項目で、副次的に、臨床的妊娠率、着床率、生産率などを観察するということでございます。
 欧米では、欧州の生殖医学会のガイドラインでは不可欠な指標と結論づけているそうですが、米国の生殖医学会のガイドラインではタイムラプスについては言及されていないと記載されております。
 1ページに戻っていただきまして、私の判断としましては、適応症としては妥当である。有効性は、理論とあくまでも観察研究の中から従来の技術を用いるよりもやや有効な可能性がある。安全性は問題ない。技術的成熟度は、当該分野を専門とし経験を積んだ医師または医師の指導下であれば行えると判断しました。倫理的問題はありません。現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して、普及しておりません。効率性もやや効率的な可能性があるということになります。もしこれで有効性が検証されるようですと、将来的には保険収載を行うことが妥当であると考えます。総合的には、これはあくまでも最終的なアウトカムを指標とした試験ではございませんので、私としましては、採卵をするところでの御夫婦のランダマイゼーションをして、最終的なアウトカムである妊娠率とか生産率について、タイムラプスにランダムに割り振られたグループと従来の培養器に割り振られたグループで比較することが必要ではないかと考えた次第です。
 私からは以上でして、北脇先生からも評価をしていただいておりますので、もしよろしければ私と違うところについて御説明いただければありがたいですけれども。
○北脇技術専門委員
 ありがとうございます。福井先生、本当に正確に、専門的に御説明していただきましたので、簡単な補足だけさせていただきます。
 まず、8ページを出していただけますでしょうか。これは福井先生も大変御苦労されたというところですが、ここのところがまずあります。左から2つ目の丸、胚の無作為化ということで、採卵された幾つかの卵を現場で無作為に2群に分けるというのを実体顕微鏡下でやるというところですが、やっている本人が無作為だと言いながら分けているというところは少しあるわけです。それと、先ほど福井先生もおっしゃったように、一番右のところで、どちらの方法で培養したかにかかわらず、最適な卵を移植するというところがございます。
 申し遅れましたが、タイムラプスは大体15分に1回ぐらい撮像いたしまして、培養器の中にカメラがありますので、外に出して人間が見なくても、後になってからテレビ画像で見ると、早送りのような感じで状態が分かるということになります。したがって、胚によって育つ速度が少しずれますので、4日が最適な場合とか、6日が最適な場合とか、そういうズレも出てまいります。人間が観察しますと、1日1回昼間に観察するだけというようなことになりますので、必ずしも最適とは限らないということがあります。それでタイムラプスを最近導入しているところも増えてきているということです。
 先ほどおっしゃっていただきましたけれども、この場合も海外でのコクランでも妊娠率に有意性を見出すところまでは得られておりません。したがって、ガイドライン、先ほど欧州のほうでは必要だと書いてあるということですが、まだ明確なエビデンスがないので、さらなる研究が必要であろうと書かれている程度かと思います。米国のほうには記載されておりません。したがって、日本では導入しているところがありますが、導入はしているけれども機械が置いてあるだけというところもあると思います。
 次に10ページを出していただけますでしょうか。このようにいたしますと、右の先進医療のピンクのところに「多施設前向き」となって、先ほどと違いまして、今回は多施設で、内容を見ますと、12施設でやっていますので、それぐらいありますと、かなりの客観性が得られるということに関しては評価ができると思います。ただ、200例ということですと、本当にそういうことで差がつくのかなというのは非常に心配ですので、サンプル数はもう少しあってもいいような気がいたします。
 主要評価項目は妊娠率を置かずに、卵のクオリティーで置いているというのは、そういうこともあるかと思いますので、いいかと思いますけれども、有意差がつくほどにそういうのは差がつくのかなというのがあります。例えば分割率がよくても妊娠率がいいことと比例するかというと、必ずしもそうではありませんので、そこのところも難しいところでございます。ですので、この研究のみで大きく有意差がついて、そのまま即保険収載になるというのもなかなか難しいかなと。これは福井先生もおっしゃっていましたが、そういうところがありますので、少しその辺の症例数に工夫していただいてもいいのかなというのが私の感想でございます。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 そうしますと、1ページ、2ページの評価につきましては、いかがですか。北脇先生、先生がおっしゃったことは2ページに全て書いてあると理解してよろしいでしょうか。
○北脇技術専門委員
 書いたことの説明をさせていただいたつもりでおります。
○五十嵐座長
 分かりました。
 そうしますと、お二人共「条件付き適」という御判断ということでよろしいですね。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、委員の先生方、御質問等ございましたらお願いいたします。神村先生、どうぞ。
○神村構成員
 10ページのロードマップですけれども、先進医療、主要評価項目のところに幾つか挙げられておりますが、これらが評価されたとしても、これらは保険収載に合致するような項目と言っていいのかどうか、ちょっと疑問があるのですが、いかがなのでしょうか。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○福井構成員
 個人的にはこの試験だけですぐに保険収載というのは無理ではないかと考え「条件付き」という言い方をしました。つまり、これは最終的なアウトカムに至る中間での評価で、中間レベルでタイムラプスがより優れているということが分かれば、初めてもっとたくさんの方を対象にした最終的なアウトカムである妊娠率、生産率を見るスタディーをやるべきではないかと思いました。
○神村構成員
 分かりました。
○五十嵐座長
 柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 まず、事務局に確認したいのですが、今回の試験は観察研究ではなくて、臨床試験として計画されて、臨床試験として病院の委員会を通っているのでしょうか。観察研究なのか、臨床試験なのかがちょっと曖昧だったので。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今、御質問いただきました点につきまして、事務局の現時点の理解といたしましては、臨床研究として実施するという形で申請いただいているという認識でいます。
○柴田構成員
 分かりました。
 確かに研究計画書、参考資料の1,062ページを拝見しますと、介入なしになっているので、そういう解釈もあるのかなと思ったのですが、これは解釈としては微妙な気がしていて、通常タイムラプスだけをやって、一連の診療がなされるということであれば、その結果は後からまとめて解析をするというのも観察研究で、先ほどの案件と同じようにいいと思うのですが、今回そこの部分が最終的にお医者さんと御本人が相談して決めるので、そこは無理やり割り付けるわけではないので、通常診療の中だと解釈しているということですか。これはグレーだと思うので、どちらも間違っているということではないと思うのですが。
 それは確認していただくとして、もしこれが観察研究なのであれば、ここの試験デザインのところは観察研究だと書いていただく必要があって、福井先生に2つ前のスライドで整理していただいているように、培養方法をランダム化する観察研究とか、そういうふうにしていただく必要があるのではないかなと思います。神村先生から御指摘があったように、主要評価項目のところが実際の保険収載に必要なエンドポイントになっていないことも踏まえますと、先ほどの案件で藤原先生から御指摘があったように、先進医療と保険収載という矢印のところに一言追加していただく必要があるのかなと思いました。
 最後のコメントですけれども、既に北脇先生からも御指摘いただいていますが、被験者数のところは、具体的に何で200例にしたのかというのを書いておられませんので、この研究では、例えば分割率であるとかそういうものを評価するのに200例で十分だと考えておられるのか、臨床的妊娠率についてある程度のめどが立つ数として200例だと思われているのかというのは、具体的に書いていただく必要がありますし、また、具体的な解析方法あるいは解析方針について、事前の紹介事項の回答の中では取り上げられていますけれども、具体的に研究計画書の中に書き込まれていないので、具体的な解析方法、非劣性だと判断するときの非劣性のマージンの大きさなども研究計画書及び先進医療の申請書に書いておく必要があるかなと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、幾つか御指摘いただきましたので、これについて申請者に修正をお願いするということでよろしいですね。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 事前評価としては、お二人の委員の先生が「条件付き」ということで御承認をいただいているのですけれども、この委員会としてはいかがでしょうか。先ほどの御指摘をした上で、「条件付き適」ということでよろしいですか。
(首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、先生方、大変詳細な御報告と御指摘をいただき、ありがとうございました。そのようにさせていただきたいと思います。
 次に、事務局から「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」の資料が提出されております。これも2件ございます。まず、1件目について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料先-3-1に基づきまして御説明をさせていただきます。今回旧告示番号15番として実施されておりました重症心不全に対する免疫吸着療法につきまして、北里大学北里研究所病院から総括報告書の提出がございました。
 まず、技術の概要でございますけれども、別紙7の15ページを御覧いただければと思います。こちらは拡張型心筋症などの心筋自己抗体を有する慢性心不全の方に対しまして、イムソーバTRによる自己抗体の吸着を行うといった技術となってございまして、心筋シンチグラフィによる心機能の改善の評価を行うといった試験になってございました。
 次に、16ページのところでございますが、左上方の図にもございますように、本先進医療の対象となる方よりもより心機能が悪い方を対象といたしまして治験が実施されていたものでございます。また、左下方の図にございますように、3回当該治療を実施し、有効であった方を無作為化して割り付けし、5回治療を実施した方と無治療の方を比較するという試験デザインになってございました。
 それでは、先-3-1にお戻りいただきまして、1ページ目の下方「医療技術の試験結果」のところでございます。被験者数は23例で、基礎心疾患は拡張型心筋症が20例、虚血性心筋症が1例、Becker型筋ジストロフィーが1例、アドリアマイシン心筋障害が1例でございました。
 2ページ目の上方、有効性の評価結果のところでございますが、第1クール(3回治療)奏効例は8例でございまして、この8例を1:1に無作為化して、第2クール(5回治療)群4症例と第2クール無治療群4症例を比較したとのことでございます。
 第1クールでの奏効例の数が想定よりも少なく、主要評価項目を評価するために必要と自ら定めた無作為化を受ける被験者数24例の集積に至らなかったとのことでございます。
 この結果に対して、奏効率が想定(90%)より著しかった32%のため、当初予定していた統計解析は実施できず、本研究は失敗に終わった旨の説明がなされており、試験実施計画書で事前に規定された主要評価項目の解析結果は提示されてございませんでした。
 また、定性的な結果といたしましては、総括報告書に第1クールで奏功し、かつ第2クールでも5回治療を行った4症例では、追加した第2クールによって主要観察項目(左室駆出率)がさらに上昇することはなかった。第1クールで奏功し、かつ第2クールで無治療であった4症例では、途中で5回治療に変更した患者は存在しなかったとの記載がなされており、事前に設定された仮説は検証されてございませんでした。
 その他、無作為化による2群比較におきまして統計学的有意差を認めた副次観察項目はなかったとのことでございます。
 また、「安全性の評価結果」のところでございますが、免疫吸着カラムに関連する有害事象は認めず、血液浄化を実施するためのブラッドアクセスに関し、2例でカテーテル感染を認めたとのことでございます。
 続きまして、先進医療技術審査部会からの総括が記載されてございますが、無作為化治療中止試験において、免疫吸着療法による主要観察項目の改善を評価したが、自ら事前に定めた解析方法によって有効性を示すことはできなかったとのことでございます。
 なお書き以下のところでございますが、申請当初に統計専門家を含め立案した主たる解析の実施が困難という見通しとなり、修正不能と判断された以降は、統計専門家の直接的な関与がなかったとされており、それが本研究の結論取りまとめ時の混乱に影響したものと考えられる。また、総括報告書の作成時及び照会事項への回答作成時においても、新たに統計専門家の見解を求める等といった申請医療機関としての責任を持った対応が確認できなかったとのことでございます。
 続きまして、御担当者の御評価につきまして説明をさせていただきます。別紙7の3ページを御覧いただければと思います。まず、主担当の一色構成員からの御評価でございます。有効性に関しましては、「E.その他」と御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございますが、「当初提出された報告書において、中途で目的を追加変更し、さらにプロトコールに沿った主解析に関する言及を伏せ、『自らが予め設定した解析』として提示されていた解析方法は、これを主解析として扱うのであれば必要なプロトコール変更の手続きを省略していたものであった。これに伴う結果の解釈の誤りは最終版では修正されたが、結果的に想定された有効例数が得られず、プロトコールに沿った主解析が出来ずに結論を出しえなかったことを踏まえ、ここでは有効性を評価することは不可能と判断した。」とのことでございます。
 続きまして、安全性の御評価でございますけれども、こちらは「B.あまり問題なし」と御評価をいただいておりまして、「本技術には大きな安全性の懸念はなかったものと評価した。」とコメントをいただいております。
 また、技術的成熟度につきましては、「D.その他」と御評価をいただいておりまして、「本療法の有効性の評価自体が不可能とされていることを踏まえ、その技術的成熟度も評価不能と判断した。」とコメントをいただいております。
 総合的なコメント欄のところでございます。「収縮能の高度に低下した難治性の心不全例の予後は悪く、心機能を回復させる有効な治療法が存在しない現状において、本療法に対しては一定の期待感があった。本研究に先行して行われた治験における心機能評価の指標として、研究者の意図に反して設定された心プールシンチの結果がnegativeとなったことの経緯については、研究者の立場に一定の理解をするところではあるが、研究者の独断によってプロトコールの変更申請をしないまま研究目的の変更やそれに伴う解析内容の変更を試みたと解釈せざるを得ない経緯、倫理的に判断して組み込んだと説明される症例登録などの結果、本来証明できる可能性のあった本療法の有効性が、解析不可能という形で終焉したことは残念な結果と総括する。」とのことでございます。
 5ページ目に移らせていただきまして、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄でございますが、「本療法は治験においても有効性を示せずに終わっている。もし、本研究の結果を基に薬事承認の可能性を検討するのであれば、新たに抗心筋抗体価が高値の症例を対象として有効性を検討する意義はあるかも知れないが、研究者らは継続を断念しており、実質的に薬事承認の道は閉ざされたものと考える。」とのことでございます。
 続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。有効性につきましては、「E.その他」と御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございますが、「すくなくともA~Cとする根拠は本試験結果から全く示されていない。申請医療機関が自ら事前に定めた主要評価項目の解析方法では有効であるとの結果を示し得ておらず、本試験結果に基づき本治療法は既存治療と同程度以上で有効であるとの主張を行うことは適切ではない。なお、本試験は無作為化部分に両群合計24名が必要であると申請医療機関が自ら試験実施計画書に記しており、また、無作為化前の第1クールで効果が得られない患者を3名見込み、27例の登録が必要と定めている。しかし登録されたのべ25名のうち奏効したと判定され無作為化に至った患者数は8例に留まっており、第1クールの治療成績も申請医療機関が予め自ら想定していた水準に至っていない。また、主たる解析ではないが付加的解析として、第1クール終了後に改善が見られ、無作為化がなされた8例を抽出して行った反復測定分散分析の結果をもとに、「治療前、3ヵ月後、6ヵ月後の期間で、免疫吸着療法によって左室駆出率が有意に改善した」旨の主張がなされていた。これは、探索的解析であったとしても、結果として改善した患者のみを抽出し改善しなかった患者を除外した集団における解析結果に基づき「免疫吸着療法によって左室駆出率が有意に改善した」と主張することは不適切である。この点について指摘したところ、申請医療機関から総括報告書の当該主張部分を削除する旨の回答がなされた。」とのことでございます。
 また、安全性につきましても「B.あまり問題なし」と御評価いただいておりまして、「本試験の結果から大きな問題点は見いだされていない。」とコメントをいただいております。
 技術的成熟度につきましては、「D.その他」と御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございますが、「申請医療機関が自ら事前に定めた解析方法によって有効であるとの結果を示し得ておらず、技術的成熟度はA~Cのいずれとも評価が困難である。今後本治療法の評価を継続するのであれば、申請医療機関が自ら事前に定めた方法によって有効性を示し得なかったという事実を踏まえた対応を取る必要があり、また、第三者の関与も含め客観的な方法に基づき研究がなされること・結果の評価がなされることが重要と考える。また、本試験結果が公表される場合には、申請医療機関が事前に想定していた第1クールでの奏効率が想定よりも著しく低かったこと、及び主たる解析である無作為化後の群間比較に基づき有効性を主張することは不可能であったことが明示されることが必須であり、その上で探索的な解析結果の考察がなされる必要がある。」とのことでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、御意見、御質問ございましたら、お願いいたします。山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 簡単にコメントします。これはもともと奏効率90%という予想でやっていて、実際には32%ということで、8例しか解析対象にならなくて、それをランダム化しても何も答えが出ないということなのです。問題は、今、御説明にありましたように、一色先生とか柴田先生からのいろんな問合せに対して、そもそも解析の方法が統計学的に非常に問題のある回答がたくさん交じっていて、とても統計の専門家が一緒にこれに真剣に対応したのではないのではないかという疑問がわきました。問い合わせましたら、あまり深く関与していなかったということがわかりました。これは非常に問題で、研究者が個人の裁量の中で不正確な見解を述べて、それが間違っているということは、施設としての責任が取れていないということだと思います。この辺りは厳重に指摘して、今後そういうことのないようにということを申し上げたいと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○竹内構成員
 竹内です。
 私も事前に想定した有効率90%が結果だとして、32%だったというところに非常に大きな衝撃を受けたのですが、総括報告書等の中にそれはどうしてだったかということの解析あるいは分析結果というのは示されているのでしょうか。
○五十嵐座長
 柴田先生、お願いします。
○柴田構成員
 柴田から御説明いたします。総括報告書の中では、倫理的配慮で適格基準を広めに取ってしまったために、なかなか効かなかったのではないかという考察が一部なされていたのですが、私としましては、それは受け入れられないと考えています。理由は、そのような適格基準を定めても90%に至るはずだという設定で本試験が始められたので、それは後づけの解釈なのではないかなと思います。
 ただ、そういうところが当初は効くと思っていたけれども、後になって振り返ってみると、もうちょっと適格基準を変える余地があったかもしれないという考察、それ自体はスペキュレーションとしてはあるかもしれないという解釈をしております。
○竹内構成員
 ありがとうございます。
 当初想定された有効性が期待される患者群と実際に組み入れられた患者群が違っていた、そういう理解でよろしいでしょうか。そういうエビデンスといいますか、そういうことはちゃんと示されているのでしょうか。
○柴田構成員
 事前に適格基準の範囲内の患者さんが登録されていますので、この患者さんが登録されたときに、もともと90%以上の方が奏効するというふうに考えられていた状況で、残りの10%の方ばかり登録されたわけではなく、もともと適格基準の中に入っている方が登録されていたので、90%が3割まで落ちるということは、想定が正しくなかったと解釈すべきではないのかなと考えております。
 申請医療機関の方は、先ほどの適格基準の中で効かなかった人が多く入ったと言いたさげではあるのですが、そうだったとしても、もともと奏効率が90%出るはずであったので、その見込み自体が過大な期待であったというふうに解釈せざるを得ないと認識しております。
 また、探索的な解析をしていろいろな抗体価の動きであるとか、抗体価の種類であるとか、そういうものを絞り込むと、もしかしたら効果があるかもしれないという考察はされていますが、それもあくまで探索的な結果ですので、もし今後続けるのであれば、そういうものをどういうふうに事前に絞り込むのかということを検討して進めていただく必要がある。そういう考察結果でした。
○竹内構成員
 ありがとうございました。
○五十嵐座長
 統計学的な処理も含めて問題が多かったことで、残念ながらいい結果が出なかったということです。ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 では、2件目について、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 続きまして、先-3-2の資料に基づきまして説明をさせていただきます。こちらは先進医療評価委員会で審議がなされました131I-MIBGを用いた内照射療法の総括報告書に関する評価の御報告でございます。
 技術の概要につきましては、9ページ目を御覧ください。こちらは初発及び再発の高リスク神経芽腫に対しまして、β線放出核種であります131Iを標識したカテコールアミン類似物質(131I-MIBG)を投与するといった技術になってございまして、強化療法として大量化学療法及び造血幹細胞移植を行うといった試験になってございました。
 10ページ目のところでございますが、こちらの先進医療の結果を踏まえて薬事承認申請に向けた公知申請を検討するというロードマップになってございました。
 それでは、1ページ目にお戻りいただきまして、下方の「有効性の評価結果」のところでございます。「全登録例8例において造血幹細胞移植が行われ、造血幹細胞が生着した症例は100%であった。RECISTに準拠した効果判定は、SDが87.5%(7/8例)、NEが12.5%(1/8例)であり、奏効率は0%であった。MIBGシンチグラフィによる効果判定は、CRが62.5%(5/8例)、SDが37.5%(3/8例)であり、奏効率は62.5%であった。」とのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、「安全性の評価結果」のところでございますが、「全治療例8例に用量制限毒性は認められなかった。全試験期間で発現した主な有害事象は、下痢、骨髄抑制、食欲不振、発熱、嘔吐、倦怠感、発熱性好中球減少症、悪心、腹痛であった。」とのことでございます。
 また、「評価時期別の有害事象発現状況は、131I-MIBG内照射療法施行により、主な有害事象として、食欲不振が8例中8例、骨髄抑制が8例中7例に認められた。」とのことでございます。
 また、「死亡例は認められず、ダブルルーメンカテーテルの不具合が生じたが、試験薬との因果関係は否定された。」とのことでございます。また、「特に問題とすべき臨床検査値異常やバイタルサインの異常は認められなかった。」とのことでございます。
 続きまして、「2.先進医療評価委員会における審議概要及び検討結果」の本会議での評価結果のところでございます。「本医療技術の安全性は確認されたと考える。一方、有効性については、131I-MIBG内照射療法単独の有効性を示唆する成績は得られたものの、本医療技術については、131I-MIBG内照射療法の大量化学療法及び造血幹細胞移植とのセットでの成績を見る必要があるため、現時点では評価できない。この点は更なる追跡または有効性を確認するための別試験等で明らかにする必要がある。」と評価がされております。
 各構成員の評価結果につきましては、5ページ目以降を御覧いただけますでしょうか。
 まず、主担当の中西構成員の評価結果でございます。有効性につきましては、「E.その他」とされております。
 コメント欄のところの抜粋でございます。「本医療技術の最終的な目標は従来から実施されている大量化学療法と造血幹細胞移植に131I-MIBG内照射療法を併用することにより有効性の向上を図ることにある。したがって、有効性評価は131I-MIBG内照射療法、大量化学療法、造血幹細胞移植の3者の併用によるアウトカムを評価することが必要である。本試験においては、初発例75%、再発例25%と治療予後が異なる集団が含まれており、加えて症例数及び追跡期間不足のために、現時点で有効性を判断することはできない。」とのことでございます。
 また、安全性につきましては、「B.あまり問題なし」と御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございます。「本試験の安全性に関しては、1)131I-MIBG内照射療法単独の安全性、及び2)131I-MIBG内照射療法を併用した大量化学療法及び造血幹細胞移植の安全の2点から評価する必要がある。1)については、試験に登録された8例すべてで試験薬との因果関係のある重篤有害事象をきたすことなく大量化学療法・造血幹細胞移植へ移行できており、安全性は確認できたと考える。2)については、大量化学療法において不可避の有害事象は発生しているものの大量化学療法において通常見られる範囲のものであり、131I-MIBG内照射療法の併用によって有害事象が増加・重症化されたとは考えられない。また、造血幹細胞移植生着率は100%で、1.576年時においてイベントの発生もないことより、安全性は確認できたものと考える。」とのことでございます。
 ページをおめくりいただきまして、技術的成熟度につきましては、「C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制をとっていないと実施できない」と御評価をいただいております。
 コメント欄の抜粋でございます。「治療の特性上、特殊な設備、放射性物質の取り扱いに習熟した者や有資格者、小児血液学の専門家等が必須である。したがって、高い技術的成熟度が求められる。」とのことでございます。
 総合的なコメント欄のところでございます。ページをおめくりいただきまして、最後の段落のところでございます。「本医療技術の安全性は確認されたと考える。一方、有効性については、131I-MIBG内照射療法単独の有効性を示唆する成績は得られたものの、本医療技術については、131I-MIBG内照射療法の大量化学療法及び造血幹細胞移植とセットでの成績を見る必要があるため、現時点では評価できない。この点は更なる追跡または有効性を確認するための別試験等で明らかにする必要がある。」とのことでございます。
 また、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄でございますが、「本試験において131I-MIBG内照射療法の安全性は確認され、かつその有効性を示唆する成績は得られた。しかし、現時点では追跡期間不足のために予後改善に繋がるかどうかは断定できない。ついては有効性を確認するための臨床第Ⅱ相試験の追加が望まれる。しかし、希少疾患であり、追加試験の実施は必ずしも容易でないことも理解できる。予後を大幅に改善できるという追跡結果が示された場合には薬事承認申請の効率化に資する可能性がある。ついては今後とも予後の追跡を厳密に行っていただきたい。」とコメントをいただいております。
 また、ページをおめくりいただきまして、副担当の飛田構成員の評価結果でございますが、有効性に関しては、「E.その他」と御評価をいただいております。
 コメント欄の抜粋でございます。「本試験が高リスク群神経芽腫患者を対象に、本医療技術2週以内かつ大量化学療法開始前の評価期間におけるDLTを評価する第Ⅰ/Ⅱ相非対照のオープン試験であることから、従来の医療技術と比較することはできないため、その他と評価しています。」とのことでございます。
 また、安全性に関しては、「B.あまり問題なし」と御評価いただいておりまして、「DLTは認められず、重篤な有害事象の発現は1例のみとのことで、安全性については大きな問題はないと思われるものの、8例の少数例での検討であることから、Bと評価しています。」とのことでございます。
 技術的成熟度に関しましては、「A.当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」という御評価をいただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 では、委員の先生方、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 取りまとめたのですけれども、ちょっと誤解があって、少し訂正させていただきたいと思います。本試験は、131I-MIBGの大量化学療法及び造血幹細胞移植に対する上乗せ効果を見るためのものなのです。ただ、これをやる場合、MIBGをやると、大量化学療法の副作用が増えたり、造血幹細胞移植ができなくなるのではないかということで、本試験のプライマリーのエンドポイントは、こういう内照射療法がそういう治療を邪魔しないかどうか、安全性、用量制限毒性を見るということが第一の目標です。
 有効性に関しては、2ページの下から7行目「有効性については、131I-MIBG内照射療法単独の有効性を示唆する成績」と書きましたが、これは単独でなくて、最終的に内照射をやって、化学療法をやって、造血幹細胞移植をやった後の評価ですので、これは併用の有効性をある程度示唆する成績が得られたということに訂正したいと思います。
 したがいまして、これは単に併用するときの安全性がある程度確認されたというだけで、その有効性に関しては、今回全く比較はできていませんので、委員の方の御指摘もありましたように、今後比較試験をやったりして明らかにしないと、保険収載の道は開けないということだと思います。大変失礼しました。そこを訂正させていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですね。
 では、御報告をいただいたということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日の議題は、残りが「その他」となっておりますけれども、事務局から何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
 参加されている構成員の先生方、全体を通して何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和3年11月4日(木)16時からを予定しております。場所につきましては、別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、第103回の「先進医療会議」をこれで終了いたします。御協力どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

(了)

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