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2021年8月5日 先進医療会議・先進医療合同会議(第101回先進医療会議、第120回先進医療技術審査部会)

○日時

令和3年8月5日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員 
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
上村構成員 佐藤(雄)構成員 飛田構成員 本田技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)(別紙2)

○議事

〇先進医療合同会議(第101回先進医療会議、第120回先進医療技術審査部会)
16:00開会

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたのでただいまから、認定臨床研究審査委員会で承認された先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等につきまして「先進医療会議」を開催いたします。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 初めに、構成員の先生方の出席状況について御報告いたします。本日は全員が御出席です。
 また、先進医療技術審査部会から飛田構成員、本田技術専門委員、上村構成員、佐藤雄一郎構成員に出席をしていただいております。
 続きまして、事務局の異動がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 なお、頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御了承ください。
 それでは、8月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 中田勝己医療技術評価推進室長でございます。
○医療技術評価推進室長
 中田でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お送りいたしました資料でございますが、議事次第、構成員名簿に続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには、別紙1、別紙2がついてございます。
 資料の確認は、以上でございますけれども、資料について、不足、誤り等ございましたら申し出ていただければと思います。
 また、今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言される方は、会議資料のページまたは送付のみの資料のページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上大変助かりますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 追加資料の別紙2というのが、今日来ていましたけれども、それは配付されていますね。
○医療課長補佐
 配付されているものと伺っています。
○五十嵐座長
 よろしいでしょうか。それを含めまして、資料等につきまして何かございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、御報告をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関して、利益相反につきまして御報告いたします。
 竹内構成員、上村構成員について整理番号151の技術について報告がございました。
 竹内構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 また、上村構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円を超えておりましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなってございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、出席されている構成員におかれましては、今、御指摘いただいた点以外の開示すべき利益相反はないということでよろしいでしょうか。
○柴田構成員
 柴田ですが、よろしいでしょうか。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○柴田構成員
 1番目の案件については、国立がん研究センターの案件ですので、一応必要でしたら待機室のほうに移りたいと思います。
○五十嵐座長
 では、対応について、どうぞ説明してください。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 今、御発言いただきました事項につきましては、特段退席等必要ございませんので、通常どおりお進めいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○柴田構成員
 はい。
○五十嵐座長
 その他、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等についての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、上村構成員におかれましては、整理番号151番の技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 (上村構成員 退席)
○医療課長補佐
 確認できましたので進めさせていただきます。
 それでは、改めまして、資料について御説明させていただきます。
 先-1の資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 今回御審議いただきます技術、整理番号151番、技術名は、局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する化学療法同時併用強度変調陽子線治療でございまして、適応症につきましては、局所進行頭頸部扁平上皮癌(喉頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)でございます。
かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 こちら、先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として、山口構成員、副担当として後藤構成員、飛田構成員、本田技術専門委員にお願いしてございまして、総評としては、条件付き適の御評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価につきましては、福田構成員にお願いしてございまして、総評として、条件付き適の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より、追加の御説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。お手元の資料先-1の別紙1を御覧ください。
 こちらの52ページですが、先進医療実施届出書の様式9号で、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示ししてございます。
 まず1番目、実施責任医師の要件ですが、診療科は、放射線治療科またはそれに相当する科が必要。
 資格は、日本放射線腫瘍学会認定放射線治療専門医が必要。
 当該診療科の経験年数は、10年以上が必要。
 当該技術の経験年数は、陽子線治療について2年以上、ただし、放射線治療(4門以上の照射、運動照射、原体照射または強度変調放射線治療(IMRT)による対外照射に限る)による療養について1年以上の経験を有するものは陽子線治療についての経験は1年以上が必要。
 当該技術の経験症例数は、実施者、術者として1例以上が必要。
 2番目、医療機関の要件ですが、診療科は、放射線治療科及び頭頸部内科またはそれに相当する科が必要。
 実施診療科の医師数は、放射線治療専従の常勤医師が2名以上配置されていること。うち1名は、放射線治療専門医であることが必要。
 他診療科の医師数は不要。
 その他医療従事者の配置(薬剤師、臨床工学技士等)は、医学物理士、診療放射線技師が必要で、マル1病院内に日本放射線治療専門放射線技師認定機構の定める放射線治療専門技師を含む専従の診療放射線技師が3名以上配置されていること。
 マル2陽子線治療室1室当たりの2名の診療放射線技師が配置されていること。
 マル3放射線治療に専従する常勤の医学物理士認定機構認定医学物理士が1名以上配置されていることとございます。
 病床数は不要。
 看護配置は、放射線治療に専従する看護師2名以上が必要で、がん放射線療法看護認定看護師またはがん看護専門看護師であることが望ましいとございます。
 当直体制は不要。
 緊急手術の実施体制は不要。
 院内検査(24時間実施体制)は不要。
 53ページにお進みいただきまして、他の医療機関との連携体制は、これは患者容態急変時等でございますが、これは、自施設で、「がん診療連携拠点病院等の整備について」(健発0110第7号平成26年1月10日)に準拠した複数の診療科で構成されるキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にてその機能を果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文書にて示せること。患者容体急変時に迅速に対応ができる体制を有していることが必要。
医療機器の保守管理体制は必要。
 倫理委員会による審査体制は、審査開催の条件として、審査開催の条件、2か月に1回以上、それから随時審査の体制ありが必要。
 医療安全管理委員会の設置は必要。
 医療機関としての当該技術の実施症例数は、2症例以上が必要。
 その他としまして「がん診療連携拠点病院等の整備について」(健発0110第7号平成26年1月10日)に準拠した、肝胆膵外科、肝胆膵内科、放射線治療科、放射線診断科を含む複数の診療科で構成されるキャンサーボードを設置すること。
 注としまして、キャンサーボードの目的、方針、業務、構成メンバー、開催日程、記録の作成、保管法などを指針もしくは規定として文書化していることとございます。
 3番目、その他の要件ですが、頻回の実施報告は不要。
 その他としまして、日本放射線腫瘍学会指定のデータベースへの全例登録を行い、当該学会調査・指導(治療方針遵守、安全管理体制説明同意書等)に応じること。日本放射線腫瘍学会が作成した疾患・病態ごとの統一治療方針に準拠した治療を行い、日本放射線腫瘍学会への定期的な実施報告(有効性、安全性、キャンサーボード開催歴等)を行うこと。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうも御説明ありがとうございました。
 では、整理番号151の技術につきましては、先進医療技術審査部会で、事前評価を行っております。主担当を山口構成員にお務めいただきましたので、山口構成員から概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○山口構成員
 ただいま、最初に概略の説明がありましたけれども、本研究は、局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して、強度変調陽子線治療、IMPTの治療後に、患者のQOLについて、晩期有害事象の発生割合をIMRTのヒストリカルのデータと比較するということで、IMPTの晩期有害事象低減を評価するという、そういうデザインになっております。
 これは、研究計画書の中に明記してありますように、安全と有効性を確認する試験であり、臨床第Ⅱ相試験という具合に位置づけられております。これは、研究者自身が言っていることであります。
 主要評価項目は、先ほど申しましたように、晩期有害事象、副次評価項目として、生存割合とか、有効性についても検討するということで、3.5年で75例の登録を目標にしております。
 いろいろやりとりがありましたけれども、25ページのところにあります、ロードマップを御覧いただけますでしょうか。
 これによると、今回の先進医療が終わったら、すぐに保険収載されるような流れになっているのですが、研究者自身も述べているように、フェーズ2の75例のスタディーで、有効性が担保できないまま、最後の点からだけ、直ちに保険収載の持ち込むのは難しいと思います。ところがこの点があまり明解に述べられていないので、先進医療Bから保険収載に行く前にフェーズ3スタディーをやる必要があることなどをきちんと記載していただければいいのではないかというところで、判断いたしました。
 実施体制につきましては、全て、一応、適ということで承認いたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 続きまして、副担当の本田技術専門委員より、実施体制の評価をお願いいたします。
○本田技術専門委員
 本田でございます。
 評価いたしましたが、実施体制、その他につきましては、特に問題なしということで、適と判断しております。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、本日、御欠席ですが、後藤構成員からの評価につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料の2ページ目、中頃を御覧ください。
 倫理的観点からの評価でございまして、4、同意に関わる手続、同意文書について適。
 5、補償内容について適。
 コメントといたしましては、当初同意文書において、本研究が副作用のみについて評価するように読めたことから、副次的ではあるが安全性・有効性も評価することを明記してもらうこと、化学療法の内容と併用が必須であること、さらに「局所進行頭頸部扁平上皮がん」のほかのがんとの違いなど実施に必要な修正は行われたことから適とした。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 続きまして、飛田構成員から試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○飛田構成員
 飛田です。よろしくお願いします。
 私の評価書に関しましては、その続きの2ページ目、3ページ目に記載しています。
 本技術である化学療法併用のIMPTの有用性を示すために、先ほど山口先生からも説明がありましたとおり、本来であれば化学療法併用のIMRTを同時対照とした比較試験を実施し、安全性として晩期有害事象の発現、有効性として生存率等を比較する必要があろうかと思っています。
 ただ、研究者側は、ランダム化が困難であること、対象治療のヒストリカルデータが存在するということで、同時対照ではなくて、ヒストリカルデータから事前に設定した閾値と比較するような単群試験を実施する計画とした旨が回答されています。
 この点につきましては、先ほど、山口先生からもありましたように、ロードマップにも関係するので、また、後ほど説明したいと思います。
 まず、本試験を単群の閾値比較試験として実施することにつきまして、安全性の評価の点については、併用される化学療法については、投与間隔の異なる2つのレジメンが設定されていますが、過去にいろいろな試験が実施され、幾つかの試験ではウィークリーのほうが若干、安全性が軽減されるような結果がある状況であり、かつ、有効性の評価については、本対象技術であるIMPTの効果に対する事前情報が少なかったためなのか、主要評価項目である晩期有害事象の発現割合に基づいて設定された症例数の範囲内で、有効性に関して設定された閾値に対する評価が行えるように、有効性には少し甘めの期待値を設定している状況であり、さらに仮に患者登録ペースが予想を上回る場合には、検出力を高めるために、予定症例数を増やすということを検討するような不用意に試験途中で症例数変更できる計画になっている状況など、いくつかの懸念点がありました。
 これらについて、別紙の1の4ページ以降に記載されているとおり、何回か、研究者の先生方に事前に照会をさせていただきました。
 その主旨としては、本試験自体が第Ⅱ相試験と設定されていること、別途、観察研究として対象であるIMRTのデータを収集する計画であること、本試験終了後には、必要に応じて第Ⅲ相試験を実施する予定があるなどを回答いただき、その他の細かい点につきましても、プロトコール等の修正がなされたことを考慮して、私の評価としては、いずれも適と判断いたしております。
 ただ、予定している観察研究については、本試験と同様の基準で、治療後2年時のグレードⅡ以上の晩期有害事象発現状況や、有効性のデータが収集されること、さらに、本試験の結果と比べてどのように評価するかについても、詳細に、事前に計画しておく必要があろうかと思いますし、照会事項のやり取りの中で回答されているような本第Ⅱ相試験の結果に基づく評価と、開発方針の考え方に基づいてロードマップについては再考すべきであろうと実施条件欄のほうに記載させていただいております。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、各先生方の評価を山口構成員にまとめていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○山口構成員
 今、飛田先生からも詳しく御説明がありましたが、全体の研究体制としては問題ないと思いますし、いろんなやりとりがあって、真剣に答えていただいて、研究の内容はよくなったのですけれども、それに対応したロードマップのほうが、もう一つ、このままでは承服しがたいというところがあって、条件付き適という具合に判定いたしました。
 それ以外は、申し上げたとおりでございます。
 あと、細かいところでは、併用する化学療法はウィークリーとスリーウィークリー、2つが、その施設の都合によって決められるような書き方になっていますが、やはり論文によっては、ウィークリーのほうが、副作用が少ないという、当然ですけれども、そのようなペーパーもあります。果たして、この副作用の効果を判定するときに、ばらばらの背景で、インテンシティも違うし、投与スケールも違う化学療法を適用に振り分けていいのかという疑問もあります。何回かやりとりをしたのですけれども、ベッドがないからできない施設もあるとか、なかなか理解しがたい回答もありました。
 ただ、今回がフェーズ2の前段階としての試験であるということであれば、これで見てみるのも良いのではないかということで、条件付き適といたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療会議における事前評価について福田構成員にお願いしております。
 福田構成員から評価結果等につきまして、御説明をお願いいたします。
○福田構成員
 福田でございます。
 私の資料は、22ページにございます。よろしくお願いいたします。
 基本的には、今、お話しいただいた技術審査部会の先生方の御意見と同様なのですけれども、上からよろしいでしょうか。
 まず、倫理的問題等については、ないと考えます。
 それから、現時点での普及性に関してですが、当該疾患について、IMRTを使った技術は、それなりに実施されているようでありますけれども、この本技術IMPTを応用した技術については、国内では、まだ3例ということで普及していないという形でつけさせていただきました。
 それから、効率性なのですが、ちょっと悩ましかったのですけれども、今回のものでは、IMRTと比較して、疾患に関しての有効性、例えば、局所領域制御割合とか、全生存割合とか、2年後の全生存割合とかは同等であることを示すと。それで、晩期有害事象が少し減るということを示しているということですから、基本的に有効性が変わらないようなものを見ようとしていると。さらに言うと、本技術は、それなりに費用がかかるという認識がありますので、効率性に関しては同程度ではないかということでつけさせていただきました。
 それから、将来の保険収載の必要性ですけれども、保険収載について議論をすることは、当然やるべきだと考えますが、それについては、一応、下に書かせていただきましたけれども、保険収載に当たっては、既存の治療法との比較が適切に実施されるということが必要だと思います。
 また、先ほども少し言いましたが、この治療は多額の費用がかかるということが見込まれますので、追加的にかかる費用に見合う効果が得られるのかどうかというようなところも、どちらかの時点で、収載後かもしれませんけれども、検討すべきではないかと考えます。
 総合的な評価としては、私も条件付き適とさせていただきました。
 条件は、既存の治療との比較可能性を担保できる解析が必要ということで、これも技術審査部会の先生方と同意見であります。
これは、ヒストリカルデータと比べてということなのですけれども、やはりメインでメリットが期待されているのが、晩期有害事象の減少ということで、それによりQOLの低下が避けられるというところであります。
 それを検証するために、今回、この試験の中でもQOLデータを、EORTCを使って取得すると書かれております。それは、適切だと思うのですけれども、ヒストリカルデータの中には、このQOLデータを既に取得しているものがないということで、本試験と並行して行われる観察研究において、それを取得するということになっています。
 ですから、その辺りも含めて、発生率が変わるだけではなくて、QOLがどうなっているのだということも含めて、適切に、患者背景とか、その辺りは当然ですけれども、比較ができるようなことを、解析等を含めて作成していただいた上でやっていただくのが重要かなと思っています。
 また、先ほども少しありましたが、計画にもともと書かれておりますので、将来的には、既存の治療法、具体的には、IMRTを使ったものということになるかと思うのですが、これと直接比較を行う検証試験を実施していただくのが望ましいのではないかと思いまして、このような記載をさせていただきました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの説明につきまして、委員の先生方、何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、各先生方の評価結果どおり決定したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 上村構成員におかれましては、お戻りいただいてよろしいでしょうか。
 それでは、上村先生、お戻りください。
 それから、本田技術専門委員には、御出席いただきましてありがとうございました。御退席されて結構です。
 (本田技術専門委員 退室)
 (上村構成員 入室)
○五十嵐座長
 それでは、2件目の技術につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、一度先-1の資料にお戻りください。
 今回御審議いただきます技術、続きまして、整理番号152番、技術名は、急性期脳梗塞へのテネクテプラーゼ投与でございます。
 適応症については、脳梗塞発症から4.5時間以内でございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 こちら、先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として、上村構成員、副担当として佐藤雄一郎構成員、柴田構成員にお願いしてございまして、総評としては、条件付き適の御評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価につきましては、新井構成員にお願いしてございまして、総評として、条件付き適の御評価をいただいております。
 引き続きまして、医政局研究開発振興課より御説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 それでは、事務局でございます。
 お手元の資料先-1の別紙2を御覧ください。
 こちらの36ページが、先進医療実施届出書の様式9号で、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示ししてございます。
 まず1番目、実施責任医師の要件ですが、診療科は脳神経内科、脳神経外科ないしそれらに準ずる科が必要。
 資格は、日本脳卒中学会脳卒中専門医が必要。
 当該診療科の経験年数は、5年以上が必要。
 当該技術の経験年数は不要。
 当該技術の経験症例数は不要。
 2番目、医療機関の要件ですが、診療科は脳神経内科、脳神経外科ないしそれらに準ずる科が必要。
 実施診療科の医師数は不要。
 他診療科の医師数は不要。
 その他医療従事者の配置は不要。
 病床数は100床以上が必要。
 看護配置は10対1看護以上が必要。
 当直体制は脳神経内科、脳神経外科ないしそれらに準ずる科の1名以上が在院または自宅待機。実施診療科医師が自宅待機の場合、病院内の他診療科の1名以上が在院することが必要。
 緊急手術の実施体制は必要。
 院内検査(24時間実施体制)は必要。
 他の医療機関との連携体制は必要で、連携の具体的内容として24時間体制で緊急受入れ可能な連携。ただし、自院で緊急時医療を完結できる場合は、連携不要とございます。
 医療機器の保守管理体制は必要。
 医療安全管理委員会の設置は必要。
 医療機関として当該技術の実施症例数は不要。
 33ページにお進みいただきまして、 3番目、その他の要件ですが、頻回の実施報告は不要。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 それでは、整理番号152の技術ですけれども、先進医療技術審査部会における事前評価の主担当を、上村構成員にお願いいたしております。
 上村構成員から概要の説明と、実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○上村構成員
 それでは、技術の説明からしてまいります。手持ちの資料の別紙2のほうを御覧いただきながら進めていこうと思います。
 急性期脳梗塞が血栓溶解剤としましては、長年にわたりまして国内外ではアルテプラーゼのみが用いられてきました。
 近年ですけれども、心筋梗塞の治療薬として、新しい血栓溶解薬としてテネクテプラーゼ、以下TNKと申しますが、この脳梗塞の治療への科学的エビデンスが集積して、海外ガイドラインでも脳梗塞患者へTNK使用が推奨され、臨床応用もされ始めてきたということであります。
 この試験研究では、発症後4.5時間以内の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞急性期患者におけるTNKの安全性を、まずは少数例で確認した後に、有効性及び安全性をテネクテプラーゼと対照として非マスキング無作為化並行群間比較試験にて検討し、試験薬開始後早期の良好な血管再開通に関する優越性を証明するというものであります。
 主要評価項目としましては、まず、安全性検討フェーズというところがありますけれども、こちらでは、新しい薬を使いまして、投与後24時間から36時間以内の症候性頭蓋内出血発現数を見ていくということになります。
 それで、安全性が確保されたというところが確認されました後に、比較検証というところに入っています。こちらが本体といいますか、主たる目的を達成するためのフェーズになるわけですけれども、有効性の主要評価項目としましては、投与開始後の初回血管造影時の良好な再開通。これは、mTICIグレード2b または2cまたは3、非常に簡単に言ってしまえば、50%以上の開通が見られると、そういう状態です。
 あるいは、回収対象血栓がない患者の割合を見る。
 安全性評価として、投与開始後24~36時間以内の症候性頭蓋内出血発現率および90日時点での全死亡率を見ていくということになります。
 副次な評価としましては、それに加えまして、アウトカムに相当するようなスコアを見ていくということになります。
 目標の症例数としましては、223例ということで、安全性の検討フェーズが先行しますので、そちらで3例の検討をした後に、比較検証フェーズのところで、各群で、テネクテプラーゼ群が110例、アルテプラーゼ群が110例ということで比較をすると、そういう臨床試験になります。
 以上が概要になります。
 それで、実施体制につきましての評価、それから、実施医療機関の体制、それから、医療技術の有用性というところにつきまして、まず、最初に、私のほうからコメントをいたしまして、副担当の先生方の御意見を伺った後に、全体としての総評を最後に加えたいと思います。
 それでは、実施体制の評価ということで、私のほうから進めてまいります。
 体制につきまして、これは、実施責任医師などの体制、それから、実施医療機関の体制ということに関していいますと、これは、脳卒中を専門的に診ている施設ということでの条件が付いていると理解しておりまして、そうであれば、十分に可能ではないかと考えております。
 4.5時間以内に試験薬も含めて投与するということになりますので、比較的地域等において、専門的に診ているというようなところが、地域の医療機関と連携しながら、患者さんを診ていると想像しておりますので、そういったところで、多分、実施が可能であるということかと思います。
 問題の医療技術の有用性なのですけれども、これは一定の有用性、すなわち標準治療であるアルテプラーゼの血栓溶解療法に対する優越性は、期待はできるのかと思っております。
 ただし、1つ留意しておく必要があるポイントとしては、少なくとも、この新しいテネクテプラーゼですけれども、海外におきましても、これは、適応症は急性心筋梗塞であって、脳梗塞への使用ということは、オフラベルでの使用で、現状は使われているということ。ここについては、まず、理解をしておく必要があろうかと思います。
 その上で、これまでの技術に関する歴史的な背景といいますか、これまでの臨床試験、それから、海外のガイドラインの状況等を少し見てみましたけれども、少なくとも、これまでに複数の比較的大きな臨床試験が組まれておりまして、脳梗塞の患者さんを対象として、テネクテプラーゼとアルテプラーゼでの血栓溶解法の比較というのがなされてまいりました。
 その中で、これは1つだけではないのですけれども、先行する研究としましては、EXTEND-IA TNK試験という試験がありまして、それ以外のところでは、実は、必ずしもテネクテプラーゼがアルテプラーゼに対して一貫して優越性を示してきたというわけではないということは、まず、理解をしておく必要があります。
 一方で、今、御紹介しましたEXTEND-IA TNKという試験におきましては、脳梗塞患者に対してテネクテプラーゼによる血栓溶解療法とアルテプラーゼによる血栓溶解療法を比較しておりますけれども、そこにおきましては、テネクテプラーゼが血栓除去術施行前の再灌流をより改善したという結果が得られております。これが2018年の論文でありますけれども、実は、恐らくこの研究が非常に背景となって、現在の、例えば、米国のガイドラインですけれども、アメリカン・ハート・アソシエーションあるいはアメリカン・ストロークアソシエーションのガイドラインが出ておりまして、これは2018年に出たガイドラインに対して2019年にそのアップデートというのが出版されておりますが、その中では、このEXTEND-IA TNK試験の結果を反映した形で治療薬の選択というのが推奨されています。
 実は、2018年に書かれているガイドラインでは、そこまで強い推奨をしているというような書き方ではございませんでして、むしろ、特に優越性が示されていることということではないのですけれども、テネクテプラーゼも1つの選択肢として、アルテプラーゼに代わる可能性というのはあるというような書き方をされていたと思いますけれども、2019年のアップデートでは、比較的少しテネクテプラーゼの優越性というのを意識したような形で、むしろそちらも積極的に選択することを考えるような書き方がされております。
 この研究ですけれども、EXTEND-IA TNK試験を、恐らく十分参考にされて、非常にエンドポイントにしても、同じような評価をされるということでデザインをされております。
 そういうことで、もし、この試験で、もう一回、これは日本人を対象にした研究ということになりますけれども、再灌流というところでの優越性というのが示されるということであれば、これがポジティブであれば、非常にいいことでしょうし、仮にネガティブであったとしても、それはそれで我が国だけの話ではなくて、グローバルレベルで非常に強いエビデンスとなるということで、今後の治療薬を考えていく上で、非常に重要な研究になると考えました。
 それで、実施の条件ということなのですけれども、安全に関わるモニタリングにつきましては、これは、柴田構成員のほうからも類似の指摘があるかと思いますけれども、やはり、これまでの臨床試験の結果を見てみますと、少なくとも標準治療と比べた場合に、この新しいtPAが特別安全性というところで問題になるというような事実はないと考えております。
 とはいうものの、大きな懸念はないかもしれませんけれども、今回、日本人で比較的たくさんの患者さんに初めて投与していく試験でありますので、十分な安全性に対する配慮、モニタリング等を実施していただくということは重要かと思っています。
 それで、適切なタイミングで、新規の治療方法が、場合によってはですけれども、リスク・ベネフィットという意味で、特にリスクの部分、安全性という意味で、何らかのシグナルが出ているとか、そういうことがあれば、試験の継続ができるのかどうかというのは、常に考えていく必要があるのかなと思っていますので、適切なタイミングで、そういった評価もしていく必要があるのかなと思っております。
 これは、いろんな考え方がありますので、どういうやり方がベストかというのは、一言では言えないと思いますけれども、今回、1つの群で100人ぐらいの患者さんが入っていくわけですので、例えばですけれども、20%とか、そういった患者さんが入った段階で、特に安全性というところで問題がないかというところを、せっかく効果安全性評価委員会も専門家の先生方をそろえて作っていらっしゃいますので、そういったところの判断を仰ぐとか、そういうことも1つの方法にはなるのかなと考えております。
 あと、これは、マイナーなポイントで最後に、本当にマイナーなことですけれども、実は仮説に対しまして、幾つかの臨床仮説は、先ほど申し上げたように、優越性を示すということなのですけれども、これが、再灌流率で新規治療が標準治療に対して14%上乗せされていくというようなことが前提にはなっているということなのですが、そこの考え方について、少しお尋ねしたのですけれども、少し行き違いがあったようでして、しっかりと私が言いたかったことは、その仮説と臨床的な妥当性について、実施計画書の中でしっかりと書き込んでくださいということでしたので、そこについては、何かやりとりはありましたけれども、しっかりと書かれているようですので、特に問題はないかと思います。
 一旦、ここで私からの評価というのは止めようと思います。
 ありがとうございました。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 それでは、続きまして、副担当をお務めいただいた佐藤雄一郎構成員から倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○佐藤(雄)構成員
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
 倫理的な観点からの評価をいたしました。
 今、上村先生からも実施条件のところで御指摘がありましたし、また、柴田先生からも、この後、御説明があるかと思いますが、研究計画上、被験者保護の観点から、登録の、特に一時停止ということをすべきではないかということも、もちろん倫理的な観点ですが、それ以外のことについて検討いたしました。
 御覧いただいている別紙2の3ページを御覧いただきたいと思います。
 この手の、救急の場面での研究ですので、きちんとした説明同意がなされればなされるほど、治療に影響が出てしまうという問題があります。
 この点についてお尋ねしたのが、この資料の10ページからの回答の2というところですが、できるだけ短く説明をして、治療というか、2つのお薬の投与が遅れないように工夫をするというような御回答をいただきました。
 あとは、先進医療会議の新井先生のほうから、対照薬のアルテプラーゼのほうが自費となっているけれども、それについてはどうかという御質問をしていただいて、この点については、アルテプラーゼは、恐らく標準的な治療法で使われている薬だと思いましたので、そうであるとすると、研究目的というのが上乗せされている、そのこと自体は、もちろん説明をしなければいけませんが、その分の薬剤のお金を取るということ自体は、倫理的には許容できるのだろうと思いました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、同じく副担当をお務めになられた柴田構成員から、試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○柴田構成員
 佐藤先生の項の次、引き続いて3ページを御覧ください。
 6番から16番まで評価しておりますが、11番と12番を不適にしております。
 結論を先に申し上げますと、本申請を不適にするべきとは考えておりませんが、この不適にした2つの項目について、適切に改訂がなされるのであれば、適にしてよいと考えております。
 コメント欄に、その内容を書いておりますけれども、まず、本試験の意義自体は認め得ると思います。
 また、実施体制等に鑑みて、試験実施が不適切とも言えないと考えております。やって問題ないだろうとは、総論的には思いますし、試験実施計画書も比較的丁寧に書いてありますが、以下にお話ししますような内容が、問題があります。
 3つあるのですが、1つ目は、比較検証フェーズに関して、事前に登録継続の可否を検討するタイミングを定めて、具体的な手順であるとか、意思決定方針を試験実施計画書に定めることが必要です。
 これは、どういうことかと申し上げますと、先ほどから上村先生からも御説明いただきましたように、今回の被験薬が著しくリスクの高いものであるとは認識していませんけれども、国内で臨床試験が行われていない状況で、用量設定試験を簡便に済ましている。つまり、今回、海外での用量設定を踏まえて、3例での検討に基づいてランダム化に進むという状況になっていますので、その不確実な判断が仮に間違っていたときに、きちんとブレーキを踏めるような仕組みで臨床試験を実施する必要があります。
 今回の臨床試験の計画は、安全であることが事前に分かっている臨床試験としては許容できますけれども、そういう不確実性が高い状況で、220例の患者さんを登録した後に、実はまずかったということが分かっても、それは、大変問題になりますので、登録中に本当に続けていいのか、あるいは場合によっては中止したり、あるいは一旦止めてプロトコール改訂をしなければならないのではないかなどということを、きちんと臨床試験の組織として定めておく必要があります。
 これは、研究を代表する医師が1人で決めるものではなく、どういう状況になったらIDMCに諮るのかということをプロトコールに書いておく必要があるという趣旨です。
 例えば、有害事象の発生頻度あるいは重篤な有害事象の発生頻度が想定を超えていたなどということがあれば、立ち止まって考えないといけませんので、そういう対応が必要であると考えております。
 2点目は、これは、比較的細かい話ではあるのですが、臨床試験を実施する上で重要な論点なので、やはり、ここはきちんと詰められないと許容できないという項目なのですが、試験遂行上の重要な意思決定に係る規定、止める、止めないであるとか、モニタリングレポートをどう共有するであるかとか、そういう多施設共同臨床試験として実施するに当たって、混乱を回避するための規定が不十分です。
 例えば、この領域の専門家の先生方、これから14の医療機関が追加される予定ですが、そこで患者さんを登録されるお医者さんにとっては、研究代表医師の先生方は、どういう方であるかというのは十分御存じですし、簡単にコンタクトが取れると思います。
 けれども、臨床試験は、そのような医師だけで行うものではなく、CRCであるとか、事務スタッフがサポートしながら進めるものですので、この先生に連絡しておいてほしいといっても、連絡先も分からないとか、どのようにコンタクトを取っていいか分からないということであれば、多忙な医師が日常診療の中で、この試験を、プロトコール違反をせずに遂行することは不可能です。
 問題が2つあり、仕事の分掌を可能とするようにプロトコールが書いていないこと、あるいは引き継ぎを可能とするようにプロトコールが書いていないことというのが問題です。単施設の試験であれば問題ありませんし、短期に終わる試験であれば問題ないですが、この2点は、きちんと書いておかないと混乱が生じます。
 例えば、新しい先生が入ってこられたときに、このプロトコールを見て何をしないといけないかが分からないようであれば、逸脱だらけになってしまいます。そういうところの詰めが甘いと思います。
 特に、重篤な有害事象の報告方法であるとか、中央モニタリング結果の意思決定の反映方法が具体性を欠くというのは問題で、適切に試験進捗を管理できる参加医療機関が誤解なく試験を遂行できるよう記載整備が必要です。
 3つ目は、これは少し次元の異なる話になりますが、薬事承認申請までのロードマップ、同じ資料の26ページ目になるのですが、こちらでは、先ほど上村先生からもお話がありましたように、米国、欧州においては、心筋梗塞に対して承認されている状況で、なおかつ、今回の急性期脳梗塞に対しては、ガイドライン記載があります。
 左上のところに赤字で書いてあるのですけれども、最新試験では、従来のアルテプラーゼよりも有効であるという状況にあるので、そのような状況で、本先進医療が終わるまで、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に要望を出すタイミングを遅らせていいのかというのは、ちょっと考える必要があると思います。
 これについては、絶対に今出すべきだとは考えておりませんが、制度上は、要望を出すことができる条件は満たしている可能性があるので、一旦会議に開発要請を出す必要もあるのではないかと考える次第です。
 それについては、申請医療機関の先生方にお伺いしまして、先-1別紙2の追加資料というのがお手元に届いているのかと思いますが、そこの回答の中で、四角の中に要件の一部を引用しておりますが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の要望募集の対象として、「医療上その必要性が高いもの」ということの基準が示されていますが、その中に、疾患の重篤性などがあるのですけれども、その中に、今回は対象の疾患としては該当していると思いますので、医療上の有用性の基準を満たすかどうかということを伺っております。
 3つあり、既存の療法が国内にない、欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れている、欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる、という条件があるのですが、少なくとも、ウは厳しいかもしれませんが、アも類薬がありますが、イには該当する可能性があるので、そこのところを詰めて要望を出すということはあるのかもしれないと考えております。
 最終的には、検討会議で、これは必要性が低いと判断されることによって、企業に対する開発要請が出ない可能性もありますけれども、現状、そのような要請を出して、企業に開発を考えていただくような、事前の準備は必要だろうと思います。
 と申しますのも、本申請医療が終わるのは2024年以降になると思いますが、そこから企業が適応拡大ではなく、未承認薬の承認申請の準備をしないといけなくなると、国内に薬が入ってくるのが何年後になるか分からないので、まず、薬を承認申請してもらうための土壌作りはしておいて、最終的に企業が今後行うであろう治験と、この先進医療のデータを組み合わせて評価ができるという形にもっていくような時間的な前後関係を無駄がないような形にするべきではないかと考える次第です。
 ただ、先ほども申し上げましたように、このイに該当するかどうか、明らかに優れているという話は、ある程度主観性がありますし、上村先生がおっしゃったように、たくさんの試験で優越性が示されているわけではないので、ここは、これをやらなければ認めないというほど、強いことを申し上げるつもりはございません。
 評価表に戻っていただきまして、最後のところに書いておりますが、ちょっと補足いたしますと、試験実施計画書は、1つの臨床試験のプロトコールとして見る限り、例えば、これが単試験で行われる研究であるならば、質が低いものではないと思いますが、開発ロードマップの中の1つのピースとしての本試験の位置づけ、用量設定の情報が少ないとか、本来的には、企業による治験が実施されるべき状況にあるなどを考えると、被験者保護の観点から不十分ですし、多施設共同研究支援体制が本試験のためだけに運用されているわけではないことなどを考えると、改訂が必要であろうと思います。
 先ほど見ていただきました別紙2の追加資料の2番を御覧いただけますでしょうか。資料があちこちに飛んで申し訳ございません。
こちらの中に、直前ではございますが、モニタリング報告書をきちんと各施設の医師に提供し、なおかつ、一定症例数、ここでは試験登録全体の約半数が登録された時点でIDMCに明示的に提供する。内容が良かろうと悪かろうと、そこで一旦IDMCに判断を仰ぐという形になっているので、ここを40例にするか、100例にするのかというのは、ちょっと詰める必要があるかとは思いますが、試験の登録の途中で、責任医師1人ではなく、IDMCに諮って、適切に進めていいかどうかの判断をされるということであれば、許容できるかと考える次第です。
 細かい話ではあるのですが、ここに提供するだけではなく、提供して、登録継続の可否あるいは試験継続の可否あるいは試験の内容の変更の要否をIDMCに判断してもらうようにするということを明示的に書いていただく必要がかるかなと考えております。その点については、事後に改訂していただければ、認め得るのではないかなと思っております。
 ひとつ、照会事項の細かいところは省略いたしますが、本試験については、因果関係があるもののみが、法律に基づいた報告対象になるというようなプロトコールの規定になっています。これはCRBを通っているので、そういう考え方もありますし、CRBが認めているのであれば、そういう規定はいいと思いますが、なぜそういう規定にしたのか、因果関係を問わずに、重篤なものが出たときに、疾病等報告をせずに、因果関係があるものだけに絞った理由については明らかにしておく必要があるので、その点、研究実施計画書の有害事象報告のところに追記していただくということが必要であろうと考えております。
 最終的には、CRBに認めていただけるのであれば、それで進めてもいいかなと個人的に判断する次第です。
 長くなりましたが、私からは以上です。
○五十嵐座長
 詳細な御説明をありがとうございました。
 それでは、上村構成員に現時点での先進医療技術審査部会としての方針のまとめをお願いいたします。
○上村構成員
 事務局のほうから、もう一度評価表の総評のところを出していただければと思います。
 私からの全体の総合評価として、現時点での評価は、条件付きで適とさせていただきました。
 これは、ただいま柴田構成員のほうから、まだ、実施計画書等の記載の整備であったり、体制の整備といったところ、そういったところのコメントがございますので、こちらは適切に今後対応できる内容だと理解しておりますけれども、現時点で、そこがまだ完全に反映されていないということがありますので、そこを修正していただいていけば、問題ないかと思います。
 冒頭申し上げたように、血栓溶解療法自体は、恐らくこういった専門性の高い先生方のところでやられるということであれば、適切なレベルでの評価、安全性に対してのリスクマネジメントも十分できると思いますので、ぜひ、そのように進めていただければいいかと思います。
 最後にコメントなのですけれども、柴田先生のほうからも再度御指摘があったように、このお薬自体、テネクテプラーゼ自体が、国内で未承認薬なのです。ですので、いわゆる適応外で使うという選択肢も全くないような状態です。ものが日本にないという状態ですので、そこは、今後、この薬を使うようにするということを目指すのであれば、そこが最大の問題点かなと思っております。
 この試験で結果がポジティブであったとしても、国内に薬がないということですので、すぐに臨床で使いましょうという話にはつながらないということになります。これは、レギュレーションがどうだとかという以前にものがないという話になりますので、そこをどう考えるかということです。
 ですので、今後、申請者が考えていらっしゃる開発戦略と、それから、この会議体も含む規制側の考え方、それから、製造元の考え方というのが、ある程度同じ方向を向いて、このプログラムを進めていかないと、この試験はせっかくやっても、承認申請に向けた明確な意思決定につながらない試験として終わってしまう可能性があるというところに、強く私自身は懸念を感じております。
 試験自体のサイエンティフィックな価値は高いと思います。これは、海外で試験が一旦行われていて、その追試という意味もありますけれども、やはり、まだ本当の意味で優越性というのが確定しているわけではないと理解していますので、もう一度ここを日本人という対象の中で、もう一回やるということは、先ほども申しましたけれども、グローバルな意味でも非常に価値のある試験になると思っていますが、一方で、国内で、これが治療法の選択というところにデシジョンメイキングに直結しない臨床試験で終わってしまうということであれば、非常に残念なことになると思います。
 この試験自体は、200人強の患者さんを組み入れるということになりますので、恐らくスクリーニングということに関していうと、もっとたくさんの患者さんをリクルートしてということになると思います。
 そうすると、試験自体に大変な人員を割いて、お金や時間、そういったものを費やして実施していくわけですので、それが無駄な試験に終わるというのは避ける必要があるのかなと思います。
 ですので、実は、研究者の先生のほうに、この結果がポジティブであった場合あるいはネガティブであった場合、どういった意思決定になるのでしょうかということをお聞きしているのですけれども、ポジティブであればいいのですが、ネガティブであった場合にも、安全性というところは、ある程度の意味がある結果が出ると思いますというような御回答だったと思いますが、やはり、これだけ大きな研究をされるわけですから、特にエフィカシーに関して、有効性に対しての結論というのをしっかりとつけていただいて、決着をつけるということをやっていただきたいと思います。
 それで、我々の先進医療技術審査部会のほうでも、いわゆる総括報告書というのが、様々な先進医療のほうから、試験が終わった後に出てまいりますが、よくありがちな議論で、データが出てきたのだけれども、結局、治験でやり直さないと難しいですねという話で終わってしまうことも多々あるのです。それは、やはり、もし本当にそうであれば、最初から治験でやるべきであろうとは思うのですけれども、試験自体はしっかりとデザインされていますので、ここで出てきた結果を、やはりクリティカルなデシジョン、意思決定、つまり承認申請に使えるのかどうか、もし、使えるのだったらどういう条件になるのかといったところを、やはり試験が始まる前に、ある程度、規制側のほうでもしっかりと確認をしてから進めるべきではないかと思います。
 先進医療の制度の中での臨床試験の意味というのが問われる、非常に重要な試験かなと考えます。
 以上になります。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、先進医療会議における事前評価につきましては、新井構成員にお願いをしております。新井構成員から評価結果等について説明をお願いいたします。
○新井構成員
 新井でございます。よろしくお願いします。
 別紙2の22ページを御覧いただきたいと思います。私の評価が、そこに記載されてございます。
 まず、社会的妥当性に関しては、倫理的に問題等はないと判断いたしました。
 現時点での普及性に関してはCで、罹患率、有病率から勘案して普及していないということでございます。実際、まだ日本では承認されていない薬物ということで、致し方ないところでございます。
 効率性に関しましては、今、縷々御説明があったように、海外などでは、従来の薬剤に比べてやや効率的という報告もありますので、やや効率的という判断をいたしました。
 将来の保険収載の必要性に関しましては、A、将来的に保険収載を行うことが妥当といたしました。
 括弧の中にございますように、今回申請の先進医療実施、その結果を基に、未承認薬迅速実用化スキームにのっとり、最終的には企業による治験を実施することが望ましいというコメントを記載させていただきました。
総評でございますけれども、今、技術審査部会のほうから御指摘のあった点を修正するということが前提になりますけれども、適という判断をいたしました。
 コメントでございますけれども、試験実施計画書にも記載されているように、テネクテプラーゼは海外ではガイドライン等で推奨されており、将来的にはアルテプラーゼに取って代わる可能性がある注目度の高い薬剤でございます。
 したがいまして、テネクテプラーゼの安全性・有効性を確認するためには、先進医療ではなく治験としての実施が優先されるべきである。しかしながら、これは、申請者にも確認したところでありますけれども、テネクテプラーゼの販売権を有する製薬メーカーはいずれも、現時点では本邦における販売する意思を有していないと、治験にも消極的であるということでございました。
 このような事情を鑑みて、今回の先進医療への申請を適と判断したという次第でございます。
 私からは、以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 説明は以上ですけれども、これまでの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 藤原先生、どうぞ。
○藤原構成員
 すみません、1つだけ聞いておきたいのですけれども、対面助言記録とかがついていましたので、それとかを読ませていただいたのですけれども、先ほど新井先生もおっしゃったのですけれども、このテネクテプラーゼに代わっていかないといけないという焦りというか、悲壮感が脳卒中学会にあるなと対面助言記録を読んでいて思ったのですけれども、アルテプラーゼというのは、もう日本からなくなる可能性が物すごく高いのでしょうか。申請者さんのやりとりの中で、どのぐらいこれが製造中止になる可能性があると言われていたのですかね。
 何か、前の2018年からのいろんな国循とPMDAとのやりとりの記録を見ると、かなり危ないような感じが書いてあって、これは、早く変えないといけないというのを脳卒中学会が考えていると、私は読めたのですけれども。
○五十嵐座長
 事務局、御返事できますか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 御質問いただきました事項につきまして、アルテプラーゼの流通に関する御質問だと理解してございますが、現時点において厚生労働省におきまして、そのような事実関係については把握してございません。
○五十嵐座長
 藤原先生、よろしいですか。
○藤原構成員
 厚生労働省が把握できていないだけで、マーケットがもうそういうふうに動いているのかどうかというのは、よくあることなので何とも言えないですけれども、新井先生もおっしゃっているように、例えば、治験でやるのがきれいなのですけれども、テネクテプラーゼをアメリカで製造販売している会社がGenentechと書いてありましたので、Genentech社が、日本の市場に興味がなくて日本に参入する気がなかったら治験薬の提供もしませんし、治験に関する情報もくれませんから、治験をやりたいといっても、治験を組みようがないわけですね。
 それで仕方なしに、今日の回答とかを見ていくと、向こうの売られている品目を、多分、個人輸入という形で入れて、こちらで使おうということで、やむにやまれずやっているという感じが表れているのですけれども、そういう事情とアルテプラーゼがもうなくなるということが非常に、蓋然性が高いという2点があれば、これは本当に早くやっておかないと、ある日突然、tPAによる脳卒中の虚血性の疾患ですかね、脳梗塞の治療ができなくなりますという事態になるわけですから、その辺どのぐらい先取りして、これを組んでいるのか、少なくとも学会さんのいろいろな対面助言の記録などを見ると、学会さんはかなり焦っていらっしゃって、それが現実味を帯びているから、これを組んでいると私は理解したので、この先進医療Bの申請を却下するのは、さすがに難しいだろうなと。
 また、柴田先生がおっしゃるようないろいろな点を押さえて、条件付き承認に向けて早く医薬品審査管理課等と相談していただいて、プリペアドネス、今の新型コロナへのワクチンと同じようなことですけれども、早めに準備をするのが大事なのかなと印象を持った次第です。
 もう一点、先進医療Bの薬事承認申請の活用ですけれども、これは活用できますので、御心配なさらないで結構だと思います。結構というか、ちゃんと使えると皆考えておりますので、そこは御安心いただければと思いますが。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 どうぞ。
○新井構成員
 今の藤原先生のお話なのですけれども、これも別に生産元に明確に意思を確認したわけではないし、私も脳卒中学会に直接関わっているわけではないので、うわさレベルの話ではございますけれども、生産元が、日本の市場に余り興味を示していないというのは、どうも事実のようでありまして、いわゆる日本がスルーされるような状況が、もしかしたら起きるのではないかと、そういう危惧があります。
 テネクテプラーゼに欧米で切り替わって、従来品が、結局、アルテプラーゼが製造中止になって、日本がtPAの治療ができないという、そういう大変困った状況が起こり得るのではないかという、ちょっとオオカミ少年的なところはあるのですけれども、そういう心配は、かなり我々脳卒中に関わる脳神経外科、神経内科の医師は共有しているというのは、実際のところでありますので、一応、付言させていただきました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ほかの先生方、何か御意見ございますか。
 どうぞ、上村先生。
○上村構成員
 この研究で明らかになるとすればですけれども、再灌流の率が、先行研究では大体10%ぐらいに対して、テネクテプラーゼの場合は、22%ぐらいと。
 今回もそれに対して、上乗せをして、もう少しいいかもしれないということを想像されているわけですけれども、仮に出てきた場合は、基本的には、もともと持っている薬剤のメカニズムに即した効果が得られたということを証明できるわけですけれども、一方で、これまでの海外での承認の条件だとか、国内でアルテプラーゼが承認されたときの状況を見てみると、いわゆる臨床の患者さんでのクリニカルなアウトカムといいますか、QOLであったりとか、そういったもののスコアでの評価がされていまして、そういった治験であるとか、先進医療をもう一回組み直すというのは、事実上、僕はできないのではないかと想像しているのです。
 と申しますのが、実は、この研究の前に、EXTEND-IA TNKという試験があって、その試験をもう一度やり直すようなタイプの研究が、今回組まれているのですけれども、フェーズ3試験というのは、実は既に海外で行われていまして、その研究は、結構大きな試験を組んでいて、500人ぐらい、正確には500人が組み入れられてインクルードされたのが380とか390人ぐらいの試験ですけれども、1,000人近いストロークの患者さんをスクリーニングして入れたという国際共同治験になります。
 この中では、実は、テネクテプラーゼは、少なくともプライマリーのアウトカムでは、実は、優越性を示せなかったのです。ですので、もう一回、今、申し上げたフェーズ3試験と同じような試験をグローバルなレベルで、誰かがやるかといったら、多分やらないのではないかと思います。
 そうすると、よりどころになる研究というのが、海外のデータで、先ほど言った再灌流のところのデータが優越性を示しているというところ、それから、非常に数としてはフェーズ3のアウトカムを見るような試験よりも少し少ないのかもしれませんが、それなりに患者さんのQOL等については改善が見られたということですので、サロゲートといっていいのかどうか分からないですけれども、再灌流を基にして、この薬を日本国内で、海外が承認していない中、日本だけが、この適応症で承認をするという選択をするのか、するのであれば、使えるようになるということだと思いますけれども、もし、しないということになれば、あり得るとすれば、今言ったフェーズ3のやり直しですね、それを求めるということになりますので、それは事実上、ただでさえ、この試験で3年あるいはもっと長い期間の研究期間が見込まれていて、そうすると、もう5年経った段階では、もう一回アウトカムスタディーをやってくださいと言われても、そういう余力は多分残っていないと思います。
 ですので、その辺の、この試験が、もしサロゲートで承認に結びつけるということが、可能性として非常に高いというのであれば、その認識は、我々は持った状態で、この先進医療として進めていただくというのを確認してからやるべきだと、先ほどの総評のところでも似たようなことを申し上げているのですけれども、そこは非常に重要なポイントかと思いましたので、強調させていただきました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 2つございます。
 今、上村先生御指摘の件ですけれども、海外において、今回の効能が、FDA等によって薬事承認されていないことそのものは、本邦において医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に諮れない理由にはなりませんし、本邦において適応拡大が認められない理由にもならないです。
 それは、特にがん領域において、藤原先生に後でフォローしていただければと思いますが、海外において薬事承認されていないインディケーションが山ほどあって、それが日本国内において適応外使用であることによって、臨床現場で不都合が生じるということを解消するために、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、海外での薬事承認を必須としないという条件が盛り込まれた経緯があるのです。
 ですので、今回、本当にこの領域の先生方が、この薬がないことによって、医療上、医療現場で著しい不利益が生じるということを懸念されているのであれば、やはりそれは企業に対して開発要請を出す理由にもなりますし、また、それが本邦において、この今回のインディケーションに対して適応拡大がなされないということを強く予想させる状況でもない、きちんとした根拠があれば、適応拡大はFDAが承認していなくても日本のPMDA、MHLWが承認するということは、過去にもたくさんやってこられましたし、今回についてもそういう蓋然性があるのではないかなと考える次第です。それが1つです。
 もう一つ、私も藤原先生がおっしゃったのと同じように、申請医療機関の先生方であるとか、学会の先生方が非常に強い懸念を持っておられるということが、書類から読み取れました。ですので、逆に、なぜ今の段階で開発要請を出さないのかということは疑問に思います。
 一方で、開発要請を出すということは、企業に対してかなり強い要請を出すことになるので、バランスを欠いているという判断になるのであれば、開発要請を出さないという行政的な判断もあり得るかもしれません。ただ、それは医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において検討をしていただいて、バランスを考えて、将来、類薬等がなくなるリスクであるとか、今回のテネクテプラーゼの開発が遅れることによって生じる問題等も考慮した上で、開発要請を出す、出さないというのは、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において判断されると思うので、そこはそこで大所高所から判断していただければいいと思うのですが、ここまで危機感を持っておられる申請医療機関の先生方が要望を出されないということに対しては、個人的な疑問を持ちます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 藤原先生、柴田先生からコメントをいただきたいとおっしゃっていましたけれども、何かございますか。
○藤原構成員
 特にございません。ただ、開発要請をかけるにも、製造販売業者が日本法人にはないので、開発要請をどこにかけるのかというのはちょっと、出すところがないので、どうしようもないというところはあるかなとは思うのですけれども。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○竹内構成員
 竹内です。少し背景で教えてもらいたいことが2点ほどありまして、上村先生は、2ページ目の中段で、アルテプラーゼに対してテネクテプラーゼの有益性が示された試験が1試験しかないと書いてございましたが、他の試験では再灌流も含めて優越性が示せていないと理解していてよろしいでしょうか。それにもかかわらず、ガイドライン上ではテネクテプラーゼのほうがアルテプラーゼよりも優れていると記された理由などが分かったら教えていただきたいのが第1点です。
○上村構成員
 私も論文を読んでの判断ですので、学会の構成員でもないので、実際の、例えば米国のAHAであるとか、ASA等での議論が、どのようになっていたというところまでをちょっと追えていませんけれども、少なくとも、複数の臨床試験が組まれております。
 私の解釈なので、もしかしたら、脳卒中の専門の先生方の解釈と違うかもしれませんので、そこは御注意いただきたいと思うのですけれども、私が理解している中では、キーになる試験というのは、多分3つあると思います。
 1つ目の試験は、いわゆるフェーズ2の後半といいますか、フェーズ2Bに相当するような試験になりまして、ここでは2つの薬剤に対して比較的少ない患者さんで再灌流を中心にして評価をしています。
 ここでは、実は、私の評価表の中の記載に若干不正確な部分があるのかもしれませんが、テネクテプラーゼのほうが優越性を示しております。正確な数字がちょっと出てこないですけれども、有意差をもって再灌流が、テネクテプラーゼが勝っているのです。
 この試験で比較的少ない数だったことと、それから、実は再灌流の率が全体的に高いのです。
 その後、いわゆるフェーズ3に相当するものが2本あると理解しています。
 その1つが、先ほど申し上げましたEXTEND-IA TNKという試験になります。ここでは、再灌流率が10%に対して、たしかテネクテプラーゼが22%に対して、アルテプラーゼが、たしか10%だったと思います。大体そのぐらいです。もしかしたら、細かな数字は違うかもしれませんけれども、それとほぼ同時ぐらいに恐らくやっていた試験だと思いますが、他施設での国際共同治験という形で、フェーズ3試験が組まれていまして、そこでは、いわゆるアウトカムに相当するものを見ていますが、基本的には、それは、勝てていないのです。
 あと、幾つかの試験で明確に勝ったという感じがしていないのも事実です。
 実は、それらをひっくるめまして、いわゆるメタ解析というものがなされていて、それも研究者の先生のファイルの中に、メタ解析の論文も載っていますけれども、全体的に見ると、トレンドとして、やはりよさそうではあるのです。
 ただ、決定的によかったかというと、そこが少なくともクリニカルなアウトカムの部分で、決定打になるようなものが出ていないというのも、そういう解釈をされているのではないかと思います。
 ということで、2018年時点のガイドラインを見てみますと、必ずしも優越性が示されているわけでもなく、かつ、非劣性が示されているわけでもないのだけれども、このテネクテプラーゼについては、アルテプラーゼに代わる、代替の治療法として、可能性としては使ってもいいというような記載になっています。
 2019年の段階で、そのアップデートというのがなされるのですけれども、恐らく、そのアップデートの根拠になった試験が、先ほど申し上げたEXTEND-IA TNKというものの中で、パーフュージョンで勝ってしまったと、これは10%が22%になるというのは、いろんな考え方があると思いますが、比較的差としては、まあまあの差がついて勝っていますので、そこがあるので、アクティベートの中では、むしろテネクテプラーゼのほうを使うことを示唆するような書き方に変わったと。
○竹内構成員
 分かりました。
 もう一点、アルテプラーゼは、もう特許が切れていて、ジェネリックあるいはシミラー品が生産されるということはないのでしょうか。市場から全くアルテプラーゼがなくなってしまうという懸念に対して、ぜひ学会としては、テネクテプラーゼをどういう形でも国内で認めていくということが、非常に大きなモチベーションになっていると伺いましたが、通常であれば、アルテプラーゼの代替品といいますか、ジェネリックあるいはシミラー品が作られているというのが普通なのではないかと思いますが、その辺りの情報が、もしありましたら、教えていただければ、もしそれがなくて、市場から全く血栓溶解療法がなくなってしまうということは、本当に、今、議論があったように、大変な日本の危機だと感じました。
○上村構成員
 アルテプラーゼが米国で承認されたのは、2016年とか、そのぐらいだと思います。ですので、少なくとも、その段階では、米国あるいはその他の地域でも、特許を多分持っているので、当然、新薬として使われていて、国内においても、まだ、私の理解では、特許が切れていないと理解しています。もしかしたら間違いかもしれません。
 それで、特許期間については、私も2つの薬剤がどうなのかということと、薬価のところで、米国での薬価は、どうもテネクテプラーゼのほうが若干安いような書き方をしているような論文とかもあるので、実際、お幾らぐらいなのかなというのをちょっと調べようと思ったのですけれども、そこまで、私も勉強不足で調べ切れていません。
 ですので、テネクテプラーゼの、少なくともフェーズ3試験の中では、比較的1,000人規模の試験をやっていて、そこに対しては、ある程度、ベーリンガーインゲルハイムが、恐らく米国外での販売権を持っているのかもしれません、その辺の権利関係は分かりませんが、少なくとも、いろいろな支援をしたということが、The New England Journal of Medicineのところの論文の中にも書かれていますので、何とか承認にもっていこうという意図は、多分あったのではないかなと理解しています。
 そうであれば、これが2018年ぐらいですので、ひょっとしたらテネクテプラーゼのほうが特許という意味では、長く持っているのかもしれませんが、その辺の事実関係は不明のまま議論をさせてもらっているという状況であります。
○竹内構成員
 ありがとうございました。
○五十嵐座長
 事務局のほうからは、コメントはありますか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 今、話題に上がってございましたが、特許関係のことですとか、後発医薬品の開発状況について、申し訳ございませんが、当方において付言できることはございませんので、その旨、御報告させていただきます。
○五十嵐座長
 ほかは、いかがでしょうか。
 柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
 ちょっと特許の話とかも、今後の戦略に大きく反映すると思いますので、この会議で、そこまで結論づけられるとは思えないのですけれども、難しいとは思うのですけれども、ただ、私のところでのコメントは、厳しいコメントは書いていますが、やっていただくということを前提とした厳しいコメントであるということは申し添えさせていただきたいと思います。
 また、先ほど藤原先生からお話がありましたように、企業が特定できないので、開発要請の出しようがないというのは、全くそのとおりなのですが、一方で、応募してくれるかどうかは分からないとしても、開発社の公募をかけるという手段はありますので、それは、日本の検討会議として、あるいは厚生労働省として、この問題意識を持っているということを対外的に示していただく道はあるのではないかなと思う次第です。
 もちろん、これは、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で判断されるべきことなので、打ち返されるかもしれませんが、ただ、先進医療をやる以上、先ほど上村先生がおっしゃったように、最終的に臨床現場に導入されるということを念頭においてするものですので、論文を書くためにやっているわけではないので、できる限り取り得る手段は可能な限り取りつつ、この試験を進めていただくというのを望んでいるところです。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 そのほか、御意見ございますか。
 先進医療会議では、適という事前の評価をいただいていましたが、本日の先進医療合同会議での御意見を集約しますと、条件付き適としたいと考えます。いかがでしょうか。それでよろしいですか。
 それでは、条件付き適としたいと思います。
 いろいろと御議論いただきまして、学会も含めて、ぜひこの試験をやっていただいて、有効性の判断を出していただきたいと考えております。
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、先進医療合同会議は、これで終了させていただきます。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 準備が整い次第、先進医療会議を開催させていただきますので、今しばらくお待ちください。よろしくお願いいたします。



第101回先進医療会議

○日時

令和3年8月5日(木)17:30~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 神村構成員 佐藤(典)構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bの取下げについて
   (先-1)
 2 不妊治療の保険適用について
   (先-2)
 3 その他

 

○五十嵐座長
 それでは、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
 初めに、構成員の先生方の出席状況ですが、本日は全員御出席です。
 資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。また、繰り返しでございますが、頭撮りにつきましては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
お送りさせていただきました資料についてでございますが、議事次第、構成員名簿に続きまして先-1「先進医療Bの取り下げについて」としている1枚紙の資料がございます。
 続きまして、先-2「不妊治療の保険適用について」としている資料がございます。
 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等ございましたらお申し出いただければと思います。
○五十嵐座長
 資料につきまして、何かございますか、よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について事務局から御説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 本日出席されている構成員におかれましては、開示すべき利益相反はないということで、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、審議に入りたいと思います。
 事務局から先進医療Bの取り下げについての資料が提出されております。これについて御説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料、先-1を御用意ください。
 現在、申請中の先進医療Bの技術に関する取り下げの申請がございましたので、説明させていただきます。
 こちらにつきましては、既に先進医療技術審査部会において取り上げさせていただいているものでございます。
 整理番号5番、NKT細胞を用いた免疫療法でございます。
 こちらの取り下げ理由のところを御覧いただければと思いますが、本試験は予定症例数66例に対して、23例を登録した時点から、4年半にわたり症例が登録されておらず、コロナ禍の影響で新規症例組入れが困難であった。また、医療環境が変化しており、頭頸部がんの診断と、標準治療が過去の症例と大きく変化してしまった。そのため、症例登録の著しい遅延に当たると考え、細胞治療効果安全性評価委員会において審議を受けた。
 その結果、試験の早期中止の勧告を受けたために、研究実施計画書の記載にのっとり、本先進医療を取り下げる。
 なお、総括報告書については、提出準備中であるとのことでございます。
 また、協力医療機関の取り下げにつきましても、資料にお示ししているとおりでございます。
 事務局からの御説明は、以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 では、続きまして、不妊治療の保険適用についての資料が提出されております。
 事務局から説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、資料先-2につきまして御説明させていただきますので、資料を御準備ください。
 1ページ目「不妊治療の保険適用について」でございます。
 1枚お進みください。
 画面共有のほうをお願いします。
 不妊治療の保険適用については、これまで中央社会保険医療協議会において議論等進んでおりますので、その御報告をさせていただきます。
 2ページ目でございます。
 不妊治療の流れ概略図というものでございまして、こちらは、現在の不妊治療の流れ図と保険適用との関係性について御説明するものでございます。
 不妊治療において不妊症の原因の検査及びその原因となっている疾病の治療につきましては、既に疾病とその治療の関係性が明らかであって、有効性・安全性等が明確になっているものにつきましては、一部保険適用されているというところでございます。
 例えば、男性不妊に対する精管閉塞が原因であれば、その解除ですとか、女性不妊において、卵管の癒着等による閉塞が原因であれば、その閉塞の解除術、といったものについては既に保険収載されているというものでございます。
 他方で、そういった原因が明らかでないもの、またはその原因の治療はしたものの、引き続き不妊症という定義に当たるような状態で引き続くもの、いわゆる機能性不妊と言われるような状態の方に対する人工授精であるとか、体外受精、顕微受精等行う、いわゆる特定不妊治療と呼ばれたり、医学的には生殖補助医療と言われるようなものでございますが、そういったところについては、現時点においては保険適用外とされているというものでございます。
 次に、3ページ目をお願いいたします。
 そういった中で、不妊に悩んでいる方に対して、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、どうしても高額な医療費がかかるという、その配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成するという趣旨で、不妊治療の助成事業というものが平成16年度に創設され、様々なルールの改正をされてきているというところでございます。
 こちらは後ほど御説明いたしますが、令和2年度補正と書いてございます、沿革の一番下のところでございますが、令和3年1月1日から所得制限の撤廃ですとか、回数のルールについて1子当たり6回までと、これまでは患者さん当たりという整理だったのが、お子さん1人当たりの6回までといったような整理に変わったりですとか、2回目以降の治療についても助成額を30万円に拡充する等の大幅な見直しを行っているというところでございます。
 続いて4枚目をお願いいたします。
 不妊症・不育症へは、そういった治療そのものへの助成事業のみではなく、不妊専門相談センター事業という左上の不妊症や不育症について悩んでいる夫婦の方などを対象にして、治療と仕事の両立支援に関する相談対応ですとか、様々な情報提供等を行う事業について、都道府県に対する補助金を出していたりですとか、右上の不妊症・不育症支援ネットワーク事業や、左下、不妊症・不育症のピアサポーターの育成事業、また、右下の不妊症・不育症に関する広報啓発促進事業といった様々な取組を行っているところでございます。
 続いて、5ページ目をお願いします。
 不妊治療の保険適用に係る政府方針として、これまで様々な閣議決定がなされておりまして、ポイントとしては、真ん中の菅内閣の基本方針のところで、昨年の9月に閣議決定された項目でございますが、少子化に対処し安心の社会保障を構築という中で、不妊治療のへの保険適用を実現するというところが定められたというところでございます。
 それを踏まえまして、全世代型社会保障改革の方針ということころで閣議決定された事項でございますが、一番下の箱の中の2行目の真ん中辺りでございますが、令和4年度当初から保険適用を実施することとし、工程表に基づき保険適用までの作業を進めると定められているところでございます。
 次に、6ページ目をお願いいたします。
 今、お話しいたしました工程表と呼ばれるものが、こちらのスライドでございます。
 マル1の保険適用については、今、申し上げたとおりで、令和3年度中に詳細を決定し、令和4年度当初から保険適用を実施することとして、取組を進めるとなっております。
 加えましてマル2、保険外併用の仕組みの活用というところで、不妊治療におけるオプション的な処置などで、直ちに保険適用に至らないものについては、例えば、エビデンスを集積しながら保険適用を目指す先進医療などの保険外併用を活用することにより、できるだけ広く実施を可能とするという形で方針を出していただいています。
 その工程表の中で、これまで、令和2年度中に実態調査を行い、その報告書を出していたりですとか、令和3年度の夏ごろ目途に学会のガイドラインを作成するというような形で取組を進めておりますので、その進捗について御報告させていただきます。
 次のページをお願いします。
 資料の7ページ目でございます。
 こちらは、今、申し上げた実態調査の概要でございます。
 令和2年度、子ども・子育て支援推進調査研究事業の中で、実態調査というものを実施しております。
 本調査研究におきましては、医療機関、特に産科・婦人科に対するものと、泌尿器科に対するもの2種類のアンケート調査を行ったりですとか、不妊治療の当事者、一般の方を対象としたアンケートをそれぞれ実施しているというところでございます。
 調査手法や調査期間、回収状況については、下に示している状況でございます。
 次の8ページ目をお願いいたします。
 その調査結果の概要につきましては、一部抜粋してお持ちしております。8ページ目は女性不妊治療について実施されている治療法及び、右側の棒グラフは、実施している医療機関の割合というものをお示ししております。
 タイミング指導や人工授精、IVF、いわゆる体外受精でございますが、そういったものにつきましては、数多くの医療機関で実施されているという一方で、比較的、実施されている割合が低いものまで様々ございますというところでございます。
 次に、9ページ目をお願いいたします。
 また、女性不妊治療におけるオプション検査治療とされているものにつきましては、項目としてアシステッドハッチング、ERA/ERPeakなど様々なものもございますが、そういったものについては、実施されている医療機関数や割合について右側のほうにお示ししておりますとおり、先ほど申し上げたとおり、項目によって様々な実施状況であるというところでございます。
続いて、10ページ目をお願いいたします。
 今のところまでは、実態調査に関連する御説明でございますが、続いてガイドラインの策定に関する御説明でございます。
ガイドラインの策定までの経緯でございますが、まず、厚生労働科学研究費補助金に係る研究班において、ガイドラインの原案を昨年度内に行っていただきました。
 そのガイドラインの原案を基にして、日本生殖医学会におきまして、学会会員や関係学会等からの御意見を踏まえてガイドラインを作成・公表していただいているという状況でございます。
 次の11ページ目をお願いいたします。
 こちらは、ガイドラインの直接の中身というよりは、今、冒頭御説明した厚生労働科学研究費補助金の研究班のほうで作成された不妊治療における診療の流れのイメージ図でございます。
 本資料の冒頭において、当初から御説明させていただきましたフロー図と一部重複いたしますが、基本的には受診された不妊症に悩んでいる方々に対して、女性側、男性側それぞれの原因の検索を行い、それぞれ原因が同定されるようであれば、その治療を行うと。
 その治療を行った上で、またはその原因となる疾患がはっきりしないという場合においては、タイミング法や人工授精、特定不妊治療をそれぞれ医師の判断で、患者さんの状況に応じて必要なものを実施していただくという形になります。
 特に特定不妊治療の中のフローについて吹き出しで書いてございますが、卵巣刺激、造精刺激等をして、採卵、採精を行い、得られた卵子、精子を用いて、体外受精や顕微授精を行うことによって受精卵を得ると。
 そこから受精卵を培養して、胚として成立させ、その胚をそのまま直接戻す新鮮胚移植、胚移植というものですとか、一時的に胚を凍結保存して、それを改めて融解させた上で、移植する凍結胚移植といった治療を行って、着床、妊娠維持につなげていくといった全体のフローになってございます。
 次のページをお願いいたします。
 こういったフローを整理した上で、ガイドラインの内容について一部御説明させていただきますが、ガイドラインの構成として、一番上の本書の構成という箱の中の一番上のマルでございますが、学会のほうで40項目のクリニカル・クエスチョンというものを設定し、それに対するアンサーを記載するというような形で、現時点においてのエビデンス等について整理していただいているという状況でございます。
 次のページをお願いいたします。13ページ目でございます。
 こちら、ガイドラインにおけるエビデンスレベル及び推奨レベルというものが設定されておりますので、御紹介させていただきます。
エビデンスレベルについては、もう先生方よく御存じのとおりだと思いますが、このガイドラインにおいては、このようなルールで整理されているというものでございます。
 推奨レベルにつきましては、先ほど申し上げたクリニカル・クエスチョンのアンサー1つずつに対してABCという推奨レベルがそれぞれ振られているという構成になっています。
 これらの推奨レベルにつきましては、推奨されている検査法、治療法の臨床的有用性やエビデンス、浸透度、どれだけ広く実施されているかという趣旨でございますが、それや、医療経済学的観点等を総合的に勘案し作成したと、学会のほうで整理していただいてございます。
 推奨レベルは、以下のように解釈するということで、Aが強く勧められる、Bが勧められる、Cが考慮されるといったものでございます。
 次をお願いいたします。
 具体的な内容につきましては、ちょっと細かくなってしまうので割愛しておりますが、生殖医学会のホームページ上に公開されてございます。
 14ページ目でございます。
 「今後整理及び検討が必要な事項について」ということで、先日の中医協総会において、お諮りしたものでございます。
 不妊治療の保険適用に向けて、現時点で考えられる今後整理及び検討が必要な事項やスケジュールについて、以下のとおりお示しすると。
 1ポツ「保険適用に係る検討について」というところでございますが、不妊治療の保険適用に係る検討に向けましては、有効性・安全性等の整理及び確認が、これがこれから必要になりますが、それに当たって、医療技術、医薬品、医療機器等、個別のものについて具体的な算定要件や施設基準等について、ガイドラインの記載事項を参考とした個別の検討というのが、これから必要になるということで、今後、事務局において整理してまいりたいと考えてございます。
 続いて2ポツ、薬機法上の承認の観点からの整理及び検討についてというところで、医薬品等については有効性・安全性等の確認、薬機法上の承認の可否等について、薬事食品衛生審議会、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議における検討が行われるものと認識しております。
 3ポツでございます。今後エビデンスの収集が必要な医療技術等の取扱いについてと、先ほどの工程表のマル2の部分に相当するものでございますが、有効性・安全性等の確認の結果、現時点においては保険適用とならない医療技術等については、今後の保険適用を目指したデータ収集を進めるなどの取組を進めていくという観点から、先進医療の実施と考えられると。
 なお、※書きのところでございますが、先進医療について、保険医療機関から申請があった場合には、申請を受けつけた上で、先進医療会議において技術的な審議を進めておくことにより、効率的な実施準備が可能となるとさせていただいています。
 4ポツで、今後、考えられるスケジュールでございますが、8月以降随時、薬食審、未承認薬検討会議における議論や、先進医療会議における議論、中医協において引き続きその保険適用に係る議論を行うということで、本日、先進医療会議も検討の進捗状況について御報告させていただいているというところでございます。
 次に、15ページ目をお願いいたします。
 中医協総会におきまして、課題と論点という形でお示しさせていただいた点について、1点を御報告させていただきます。論点のマルの2つ目の赤枠で囲っているところでございます。
 さらに、今の説明と一部繰り返しになりますが、現時点において有効性・安全性等が確認できないものの、今後保険適用を目指すものについては、先進医療等の保険外併用療養費制度の活用が考えられると。
 その際、令和4年度診療報酬改定において、適切に対応を実施する観点から、保険医療機関から先進医療に係る申請があった場合には、申請を受理していただいた上で、先進医療会議において、まずは、技術的な審議を進めておくことができることとしてはどうか。
 なお、先進医療として実施することの決定は、保険適用の範囲に係る議論を踏まえる必要があることから、令和4年度診療報酬改定と併せて行うこととしてはどうか、という論点をお示しさせていただき、中医協総会においては、異論なく御了解いただいたというところでございます。
 ここまで資料となります。
 それで、本日御説明させていただいたような形で、今後、個別の医療機関から不妊治療に関連する先進医療に関する技術的な提案というか、申請がまいる可能性がございます。
 そういったものにつきまして、今、御説明させていただいたとおり、先進医療として実施すること自体の決定は、不妊治療の保険適用の範囲等が定まった後でなければならないと考えてございますので、実際に実施することの決定自体は、令和4年度診療報酬改定と同じタイミングと考えてございますが、そこまでに技術的な審議について先行して行っていただくということについて、御了解いただきたいというところで、本日御説明させていただきました。
 長くなりましたが、事務局からの御説明は、以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 何か御質問等ございますでしょうか。
 どうぞ、柴田先生。
○柴田構成員
 非常に重要な取組だと思います。
 先進医療会議あるいは先進医療技術審査部会等の役割について確認させていただきたいのですが、もう令和4年度の話が出ているので、先ほどの工程表の矢印を踏まえて、近いうちに何件かそういうものが上がってくるという、候補が決まっているという認識でよろしいでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 現時点において、どこの医療機関からどのような御提案がというところまでは、現時点で、お話しできる状況ではございませんが、今後そういった申請が来得る状況であると御理解いただければと思っております。
○柴田構成員
 もう一点、これで終わりにしますけれども、枠組みとして、先進医療Aを前提とした申請が来るのか、先進医療Bを前提とした申請が来るのか、いずれだと認識しておくとよいのでしょうか。
 一旦、そのかけかえが生じたりすると、間に合わなくなると思うので。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○医療課長補佐
 事務局でございます。御質問いただきありがとうございます。
 まさに先生から御質問いただいた点につきましては、個別の医療技術の内容次第だと思っておりまして、いずれともあり得るということだと思います。
 その振り分けにつきましても、ほかの申請が来た場合と同様に、その振り分けについても先進医療会議において承認していただいた上で、必要な手続を踏んでいただくという形で想定してございます。
○柴田構成員
 ありがとうございました。
 本当に申し訳ないのです、最後に1つなのですけれども、Bとして出されてきて、実は、ほかの医療機関もたくさん参加したいなどというものが出てきたときに、ちょっと混乱するかなというのを懸念しています。
 Aの場合は、比較的やりやすいと思うのですが、そこのところをBで出されるものがあるときには、事前に交通整理していただいたほうがいいのかなと思いました。
○医療課長補佐
 ありがとうございます。
 御懸念の点、大変重要な点だと思いますので、私どものほうで、事前にそういった申請が参った場合には、留意して十分見させていただくという形で対応したいと考えております。
○五十嵐座長
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 時間がないのに申し訳ないですけれども、迅速に進めるために、こういう取組を、先進医療で検討するのがいいと思います。
 全体の中で、1つ心配されるのは、これが迅速に保険導入されるためには、ガイドラインがきちんとしていないと無理だということだと思います。
 例えば、患者さんの相談センターを作っても、そこの専門家がアドバイスをするときに、ガイドラインがきちんと決まっていないと、なかなか指導することはできないと思います。
 それから、先進医療の中であっても、それを判断する場合に、やはりガイドラインがきちんとしていないと、それに対してアドバイスしたり、評価することは難しいと思うのです。
 ちょっと流れを見ていますと、割と短時間に、クリニカル・クエスチョンを40項目作ったと書いてありますけれども、中身を見ていないので何とも言えませんけれども、本当にきちんとした流れが示されて、それぞれ不妊に対してどのような治療法があって、それぞれの治療法に適切な評価、エビデンスがどうなっているかということがきちんと評価されている必要があります。ただ単にクリニカル・クエスチョンだけを40項目集めても、それはガイドラインでも何でもないので、その辺りは、きちんとできるかどうかというのは少し気になります。そこのところができていれば、こういう具合に進んでいくことに何の異論もないという意見です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがですか。
 先進医療会議と技術審査部会の専門委員のメンバーを見ますと、技術専門委員として、産婦人科の先生が2人いらっしゃるのですが、先進医療会議の構成員の中には、産婦人科の先生がおられません。産婦人科医の中で、生殖補助医療の専門家の方もメンバーとして、今後加わっていただくことも考えなければいけませんね。
 ほかは、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今回は、中間報告ということですので、今後新しい情報が出て来たときには、この会議で報告をしていただきたいと思います。
 委員の先生方、それでよろしいですか。
 ありがとうございます。
 では、本日の議題は、残りはその他となっておりますけれども、事務局から何かございますか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 事務局のほうからは、特段追加等ございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方のほうからは、何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の議論は、以上で終了したいと思います。
 次回の開催につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和3年9月2日木曜日、16時からを予定してございます。場所等につきましては、別途御連絡させていただきます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、第101回の「先進医療会議」を終了いたします。
 どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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