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2021年6月3日 第99回先進医療会議

○日時

令和3年6月3日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 佐藤構成員 柴田構成員 竹内構成員
長島構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他



○議題

 1 新規技術(5月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
   (先-1)(別紙1)
 2 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-2-1)(別紙2)(先-2-2)(別紙3)
 3 先進医療Bの取下げについて
   (先-3-1)(先-3-2)(別紙4)
 4 その他


○議事

16:00開会




 

 

 

 

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。委員の先生方、お集まりいただきましてありがとうございます。
 初めに、構成員の先生方の出席状況です。本日は、全員が御出席です。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、資料の確認のほうをさせていただきます。
 議事次第、委員名簿に続きまして、まず、先-1「先進医療の新規届出技術について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには、別紙1がついてございます。
 続きまして、先-2-1及び先-2-2は、先進医療Bの総括報告書に関する評価についてでございまして、こちらには、別紙2、別紙3がそれぞれついてございます。
 続きまして、先-3-1「先進医療Bの取下げについて」としている1枚紙の資料。
 それから、先-3-2「先進医療Bにおける不適切事案について」としている資料がございまして、こちらには、別紙4がついてございます。
 資料につきましては、以上でございます。
 また、今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。
 申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧していただけますと幸いでございます。
 御発言される先生方におかれましては、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、今回の会議でございますが、試行的にユーチューブによるライブ配信を行うこととしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは、以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 資料等あるいは会議の進め方につきまして、何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反については、特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 本日出席されている構成員におかれましては、申告すべき利益相反はないということで、よろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 それでは、新規技術、5月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案についての資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 それでは、先-1を御覧いただきまして、受理番号124番、技術名が「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」でございます。
 適応症は「遺伝性網膜ジストロフィー(網膜色素変性および類縁疾患)」となってございまして、今回、神戸市立神戸アイセンター病院より申請がございました。
 費用につきましては、表にお示しさせていただいたとおりでございます。
 技術の概要につきまして、まず簡単に御説明をさせていただきます。
 別紙1-1の1ページ目を御覧いただければと思います。
 まず、こちら先進性のところでございますが、少々事務局のほうから補足も含めて御説明をさせていただきます。
 こちら遺伝性網膜ジストロフィーは、遺伝性の眼疾患でございまして、その中でも代表的な疾患である網膜色素変性でございますが、こちらは、視力の著しい低下を来す遺伝性、進行性の難病となってございます。
 次に、概要のところでございますが、今回の技術は、遺伝性網膜ジストロフィーの患者さんの血液検体からDNAを抽出いたしまして、疾患原因遺伝子82遺伝子の異常の解析を行う技術とのことでございます。
 また、こちら解析の結果を踏まえまして、エキスパートパネルを開催、それから検討いたしまして、病的変異の同定と、それからロービジョンケア計画を含め治療計画の策定、遺伝情報に基づく正確な遺伝カウンセリング等を行うとのことでございます。
 こちらの技術につきましては、次のページをおめくりいただきまして、別紙1-2、2-1のところに記載させていただいておりますとおり、解析を行いますプログラムが未承認となってございます。
 本技術につきましては、包括的なプロファイル検査に基づくロービジョンケアの策定、治療計画の策定を行う技術でございまして、加えてエキスパートパネルでの検討、遺伝カウンセリングなど、施設基準の設定だけでは、適切な評価が可能なデータの入手は困難と考えてございまして、事務局といたしましては、今回、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 事務局からの説明は、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、何か御意見、御質問はございますでしょうか。
 よろしいですね、先進医療として既に認められている肺がんの遺伝子パネル検査と類似していると思います。よろしいでしょうか。
 それでは、受理番号124の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。どうもありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が2件、本日提出されております。1件目につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回、医療機関より2件の先進医療技術の総括報告書が提出されまして、先進医療技術審査部会におきまして御評価が行われましたので、その評価結果につきまして、順に御報告をさせていただきます。
 まず、先-2-1を御覧いただけますでしょうか。
 今回、旧告示番号4番として実施されておりました「コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法」につきまして、独立行政法人地域医療機能推進機構仙台病院から総括報告書の提出がございました。
 まず、技術の概要でございますけれども、別紙2の5ページ目のほうを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは、対象はコレステロール塞栓症の方となってございまして、そういった方のうち、血管内操作、それから、血管外科的手術を受けまして、コレステロール塞栓症と診断された方でございます。右下の図にありますように、リポソーバーLA-15システムを用いた血液浄化療法を行いまして、LDL等のリポ蛋白等を除去いたしまして、最終的に透析導入値を評価するといったような技術でございました。
 先-2-1の方にお戻りいただきまして、1ページ目中ほど、有効性の評価結果のところでございますが、主要な解析対象手段32例におけます、治療開始24週の透析導入率でございますが、こちらは3.13%であったとのことでございます。
 こちらは、事前に閾値を40%と設定してございまして、こういったことを踏まえまして、統計学的に有意に低下したとのことでございます。
 また、安全性の評価結果のところでございますが、本試験治療との因果関係が否定できない有害事象といたしまして、耐糖能異常ですとか、血圧上昇等がございました。
 また、グレード4の有害事象としましては、急性循環不全、急性心不全、胸部大動脈瘤破裂等がございまして、それぞれ1例ずつございましたが、いずれも本試験治療との因果関係は認めなかったとのことでございます。
 続きまして、担当者の御評価について御説明をさせていただきます。
 別紙2の2ページのほうを御覧いただければと思います。
 まず、主担当の一色構成員からの御評価でございますけれども、こちら有効性に関してはA、従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効であると御評価をいただいております。
 コメント欄のところでございますが、本疾患の予後が極めて不良であることと、有効な治療法が存在していない現状を考慮すると、本治療法は、統計的に有効性が証明されたという結果に加え、プライマリーエンドポイントに設定された透析導入率の症例数が32例中1例のみで、想定外に少ない発生率を示した点は、評価に値すると思われるとのことでございます。
 続きまして、3ページ目、次のページにお移りいただきまして、安全性の評価のところでございますけれども、B、あまり問題なしと御評価をいただいております。
 こちらコメント欄のところでございますが、血液浄化療法自体は、既に手技的に確立していること、有害事象として本療法と関連するものはないと判断がされていることから、本治療法自体は、おおむね安全と考えられるが、本疾患患者の全身状態が不良な場合が多いことを踏まえ、運用に当たっては、一定の注意が不可欠と思われるとのことでございます。
 技術的成熟度は、A、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できると御評価をいただいております。
 次に総合的なコメント欄のところでございますけれども、コレステロール塞栓症の予後は極めて不良であることを鑑み、既に臨床応用されている本治療法を本疾患に応用したことによって、腎機能の悪化を防ぎ、透析導入に大きく減少させることを示したことの意義は、大きいものと評価するとのことでございます。
 また、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄のところでございますが、透析導入が避けられることは、個々の患者の肉体的精神的負担を減らすという意義にとどまらず、医療経済学的に見ても十分なメリットがあることが期待され、薬事承認申請の足がかりとして十分な価値を示したものと思われるとのことでございます。
 それでは、続きまして副担当の飛田構成員の御評価でございます。
 有効性につきましては、B、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であると御評価をいただいております。
 こちらコメント欄でございますが、本試験は、従来の医療技術との比較試験ではなく単群試験であるが、治療開始後24週までの透析導入率は、事前に設定された閾値40%よりも有意に低い結果が得られており、1995年から2007年のJCHO仙台病院のヒストリカルデータとの治療開始24週後の生存率の比較で、死亡割合が約13%程度低い結果が得られていることから、本医療技術の有用性は示唆されていると考えると、コメントをいただいております。
 また、安全性につきましては、B、あまり問題なしと御評価いただいておりまして、血液浄化療法と薬物療法を併用する本技術による安全性については、おおむね良好と考えるが、関連の有無を問わずに、死亡、それから重篤な有害事象が認められることから、一定の注意が必要であると考えるといただいております。
 また、技術的成熟度はA、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できると御評価をいただいております。
 事務局案の説明は、以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますか。
 どうぞ。
○福井構成員
 この評価は、これでいいと思いますが、この技術、今後はどういう扱いになるのでしょうか、または、どういうふうに、さらに進めていくのか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今後の点につきましては、本技術に使われております、いわゆる脂質を吸着する膜のリポソーバーのほうが、もともと薬事の適用外でございまして、こういった今回のデータ等を基に、薬事承認の適用拡大の道に進むものと考えております。具体につきましては、実際に企業ですとか医療機関と、また御相談ということになりますが、恐らくそういう道に進むのではないかと考えているところでございます。
○福井構成員
 はい、了解しました。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○山口構成員
 ちょっとコメントですけれども、有害事象は、それほどないという結論にはなっています。しかし、かなりの率で有害事象が出ていて、大体透析した対象では67%で有害事象が出ています。
 それから、グレード4の有害事象も8例出ていて、この技術自体が、ある程度の危険性があるものなので、これをもって直ちに、この療法があまねく行われるべきという結論にはなっていないと思います。
 ただし、やはり透析移行がある程度防げるというのは、非常に大きなメリットなので、評価としては高いのですけれども、今後、実際、臨床にどのように当てはめていくかは、まだ、幾つか問題点が残っていると理解しています。
 以上、コメントです。
○五十嵐座長
 重要なコメントをいただきまして、ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、御説明については、これで終了したいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、2件目の御説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料先-2-2に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 今回、旧告示番号11番として実施されておりました、「FDGを用いたポジトロン断層撮影によるアルツハイマー病の診断」につきまして、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターから総括報告書の提出がございました。
 まず、技術の概要でございますけれども、別紙3の10ページを御覧いただければと思います。
 こちらは、アルツハイマー病、これからADと呼ばせていただきます。ADと、それから前頭側頭葉変性症、FTLDの鑑別診断におけるFDG-PETと髄液ptau181の診断能の差を評価するための、多施設共同前向き観察研究として実施されていたものでございまして、こちらは最終的に138例が登録されたとのことでございます。
 続きまして、先-2-2のほうの資料にお戻りいただきまして、まず、1ページ目中ほど、医療技術の試験結果のところでございますが、こちら有効性解析対象手段は、AD群が89例、FTLD群は19例、それから両群合わせて108例となってございます。
続きまして、有効性の評価結果のところでございますが、FDG-PETによる診断の感度は94%、特異度は78%、それから正診率は92%、ptau181による診断の感度は62%、特異度は79%、正診率は65%であったとのことでございます。
 また、安全性の評価結果のところでございますが、FDG-PETが実施された135例のうち、19例(22件)に有害事象が発現したが、FDG-PET検査との因果関係は不明の1件を除き、関連なしであったとのことでございます。
 また、重篤な有害事象が2例(2件)発現いたしましたが、いずれも髄液採取による低髄圧症候群でございまして、FDG-PET検査との因果関係はないと判断されたとのことでございます。
 続きまして、御担当者の評価について、御説明のほうをさせていただきます。別紙3の3ページを御覧いただければと思います。
主担当の伊藤構成員からの御評価でございますけれども、有効性に関しては、E、その他と御評価をいただいております。
 こちらコメント欄のところでございますが、本試験は、FDG-PETが施行された135例のうち108例を評価の対象としている。試験開始初期には、ADとして組み入れられた被験者のうち、Aβ42が正常範囲やったものが除外されてFASとして評価されており、総括報告書からFDG-PET施行時に、ADとFTLDの鑑別に有効であると結論付けるのは困難である。本試験からは、認知症の診断がつき、かつCSFでAβが基準値以下であった患者のADとFTLDの病型鑑別に、脳脊髄液のptau181より診断能が高かったという結論が得られているが、臨床診断に用いる時点での画像診断に基づく評価ではないため、性能評価を適切に行うことは困難である、とのことでございます。
 続きまして、安全性の御評価でございますけれども、こちらは、A、問題なしと御評価をいただいております。
 また、技術的成熟度につきましては、A、当該分野を専門とし、経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できると御評価をいただいております。
 続きまして、総合的なコメント欄、次のページのところでございますが、認知症の診断として、2012年より保険適用となっている脳脊髄液中のptauとFDG-PETとの比較検討であるが、ADであることの診断の一部として、βが基準値以下であることが、有効性の解析に用いられている。Aβが基準値以下であることをADの選択基準にするのであれば、研究計画策定時に、除外基準として設定すべきではなかったのかと憂慮されるとのことでございます。
 また、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言なのでございますが、認知症の画像検査としてMRI以外にも、脳血流SPECT、FDG-PET、アミロイドPET、タウPETなどがある中で、侵襲性を伴う脳脊髄液のptau181よりもADとFTLDの病型鑑別診断能が仮に高かったとしても、本試験の結果からは、FDG-PETの利用価値は、ADとFTLDの鑑別診断に限定されるべきと思慮するとのことでございます。
 続きまして、5ページ目に移らせていただきまして、副担当の山中構成員の御評価でございます。
 有効性につきましては、B、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であると御評価をいただいております。
 また、安全性につきましても、A、問題なし。技術的成熟度につきましては、A、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できると御評価をいただいております。
 こちらコメント欄のところでございますが、まず、1ポツ目でございますが、今後の有望な診断法になり得ると考えるが、症例数の点から本試験のみで、感度、特異度を十分に評価することには注意を要する。
 2ポツ目、135例のうち解析対象が108例となっており、20%が解析除外例とされた。少なくない割合であるが、この解析除外の臨床的な妥当性について評価することが必要と考えます。
 3ポツ目、有害事象の頻度や求められる技術的成熟度については特段問題ないと考えますとコメントをいただいてございます。
 こちらは、本件の技術評価につきまして、技術審査部会のほうでも御議論やコメントをいただいておりまして、その際に整理いただいた概要を御紹介申し上げさせていただきます。
 概要といたしましては、まず、こちらの試験の感度の値でございますが、こちらについては、評価してよいと御意見を頂戴しております。
 また、本検査を臨床で使用したときに、陽性的中率ですとか、陰性的中率がどうなるのかということにつきましては、今回の試験結果からは不明でございまして、こちら記載されております正診率については、過大評価化されている可能性があるとのことでございます。
 また、除外例が多く、どういう患者を対象に、次のステップの評価を行うのかということについては、慎重に考えた上で試験を組む必要があると御意見を頂戴しております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問はございますでしょうか。
 どうぞ、お願いします。
○柴田構成員
 今、御説明いただきましたとおり、部会のほうでも、この試験の評価できるところと、評価できないところの議論をさせていただきましたが、それについて補足です。
 この試験のプライマリーエンドポイントである感度の評価という観点では、たくさんの患者さんが除外されていること自体は問題なく、ゴールドスタンダードであるADの診断あるいはFTLDの診断が適切になされているのであれば、この試験から感度及び評価項目の中の特異度の評価は妥当です。
 診断方法の評価は、感度、特異度を押さえるだけでは終わりませんので、伊藤先生御指摘のように、このものを今後、臨床現場に導入するには、もう少し検討が必要ですが、第一段階の感度を押さえるという試験のデザインあるいは結果については妥当でした。
 一方で、これは、伊藤先生御指摘のとおり、また、山中先生も御指摘のとおり、たくさんの患者さんが除外されているということは、これをどういう患者さんに対して適用すればいいのかについては、今後、議論が必要です。そこを丁寧に詰めないことには、陽性的中度、陰性的中度が高い診断方法とはなりませんし、この技術が、この会議で福田先生に御評価いただいた際に、保険導入の前には、きちんとその後の治療であるとか、予後あるいは介護等への影響も勘案してメリットを評価すべきであるとの御指摘がありましたが、その議論をするためには、先ほどのどういう対象に適用するのかというところの絞り込みが必要です。それについては、現時点で試験を立ち上げたときよりも、少し適用除外になる方が多かったということは、最初のどういう方を対象に検査をすべきかというところは、今後慎重に検討しなければならないことが、この試験の結果分かった、そういう状況であると思います。
 ですので、この試験で、プライマリーエンドポイントは達成されましたが、それに基づいて、すぐに保険収載されるべきであるとか、臨床的な価値まで完璧に評価できたということではないというところは、留意が必要かなと思う次第です。
 以上です。
○五十嵐座長
 補足説明いただきまして、ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、御説明につきましては、これで終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの取下げについての資料が提出されております。これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、まず、資料先-3-1に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 こちらは、先進医療Bの取下げについてでございますが、先進医療名は、周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法でございまして、申請医療機関は大阪大学医学部附属病院でございます。
 こちらにつきましては、昨年度も何度か当会議でも御報告をさせていただいている不適切事案でございますが、こちら取下げ理由のところにも記載がございますように、本先進医療における科学的根拠となる論文について、研究活動上の特定不正行為(ねつ造、改ざん)があったというものでございます。
 こちら本事案につきましては、先進医療技術審査部会のほうで御議論いただいていたところでございますが、今回、先進医療技術審査部会における御議論が取りまとまりましたので、本件の取下げと併せまして御報告のほうをさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして先-3-2のほうを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは、部会のほうからいただいた意見書でございますが、2段落目の中ほどから記載をいただいておりますように、こちらは臨床研究及び基礎的研究に対する社会の信頼を大きく損なう重大な事案であったと、技術審査部会のほうから御意見がございました。
 また、なお書き以下に御記載いただいておりますように、申請医療機関におきましては、先進医療に参加いただいた方々の被験者保護、それから再発防止を徹底いただくとともに、これらに関する取組状況等につきまして、先進医療技術審査部会に継続的に御報告いただくこととなってございます。
 また、議論の経緯につきましては、その下のほうに記載いただいておりますが、下から2段落目のところにも御記載がございますように、研究不正の概要と臨床研究への影響、当該臨床研究参加者への対応状況及び事案の原因分析と再発防止策等に関する報告書が、令和3年2月及び4月の先進医療技術審査部会に提出されまして御議論をいただいているところでございます。
 また、次の段落でございますが、御議論の中で、根拠及び参考論文の妥当性に疑いが持たれながら、臨床研究への影響について組織として検討されることがなく、長期間が経過していたこと等につきまして、特に厳しい御指摘がございました。
 先進医療技術審査部会における資料につきましては、別紙4として添付させていただいているところでございます。こちら詳細な内容につきましては、御確認いただければと存じますが、最終的な対応につきまして、概要のほうを事務局の方から御説明させていただきます。
 それでは、ページおめくりいただきまして、47ページのほうを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは、4月16日の技術審査部会のほうに提出させていただいた資料でございまして、下のほうの3ポツのところに、事務局の対応及び今後の対応案が記載されてございます。
 まず、1)厚生労働省から阪大への指導及び今後の定期的な報告のところでございますが、今回の不適切事案は、研究者個人や診療科のみの問題ではなく、組織としてしっかり対応すべきであるという部会のほうでの御意見等も踏まえまして、まず重大事案としての受けとめと、被験者保護の継続及び実効性のある再発防止策の徹底について、3月26日付で厚生労働省から阪大のほうに事務連絡を発出してございます。
 また、次のページでございますが、被験者保護のための観察研究と再発防止策に関する進捗状況につきましては、定期的に先進医療技術審査部会に御報告を行っていただくこととなってございます。
 次に2)臨床研究実施施設への当該事案の周知のところでございますが、こちらは全国の研究機関にしっかりと周知すべき事案であるという御意見等を踏まえまして、別添2のとおり、臨床研究中核病院、それから国立高度専門医療研究センターの各施設に対しまして、事務局から事務連絡を発出いたしまして、本事案について広く周知を行っております。加えまして、適切な臨床研究実施体制について、再確認いただくよう依頼したところでございます。
 また3)文部科学省への伝達と関連施設への周知でございますが、本件は、基礎研究部分の不正でございまして、文部科学省にも状況を共有するべきであるという御意見を踏まえまして、本事案の詳細につきまして、文部科学省に伝達の上、研究不正の再発防止策を含めた本事案につきまして、橋渡し研究支援拠点への周知を実施しているところでございます。
 また、最後に4)先進医療としての取扱いについてのとこに記載がございますように、今回提出いただいた先進医療技術審査部会からの意見書等を御確認いただきました上で、今回の先進医療会議を経て、当該先進医療については、告示から削除されるということとなってございます。
 事務局からの説明は以上でございますが、山口構成員から補足やコメント等をいただけますと幸いでございます。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 山口先生、お願いいたします。
○山口構成員
 本案件は、実は昨年の2月に初めて先進医療技術部会に出て、昨年だけで4回議論が行われました。
 と申しますのは、私どもが最近取り扱った案件の中でも、最も厳しい反応のあった案件でして、ほぼ全委員が、先進医療の信頼性を損なう重要な問題であるという共通の認識のもとで、長い期間議論をいたしました。
 その結果、やはり先進医療の仕組みに対しても、やはり、このままでは、こういう案件に対してなかなか対応できないのではないかという問題点も明らかになってまいりました。
 特に、論文の不正があるということは、あまり前提にして試験が組まれていませんので、こうなったときに、研究責任者や施設が、どのように迅速に調査を進めていくかということがはっきりしていません。本件でも、2月に発覚して報告までに5か月かかっています。
 その間に、やはり患者の対応に問題がなかったとか、その確認もちゃんとできていないということで、非常に厳しい意見が多くの委員の方から出ました。
 もう一つは、いろいろな体制がとられましたけれども、研究責任者や施設としての責任をどのように取るのか、ここを直しますというだけでは済まないのではないかという意見が強く出ました。現状では、こういう再発は防止できないのではないかという意見がたくさん出ました。
 これは、厚労省だけに限らず、文科省のそういう基礎的な研究についても、やはりリンクしたものですので、単純に厚労省だけで解決できる問題ではありません。今回の事件を契機に、やはりこういうことは非常にまれなことではなくて、実は起こり得るべきことですので、それに対して、どのように厚労省及び文科省を含めて共同して対策ができるかという問題を提起したという点では良かったかと思います。
 最終的には、報告書、先ほど提示されましたけれども、ほぼ、100点とは言えませんけれども、きちんとしたものが出ましたので、今後3か月単位で、あるいは6か月単位でフォローするとか、これで終わりということではなくて、対策のほうがきちんとされているかどうかということを検証した上で進めたいと考えております。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 先進医療部会としても、この件につきましては、大変憂慮しており、何度か議論をしてきました。そして、本日、最終的な方向性が示されました。
 特に、山口先生が御指摘になりましたように、不正な研究成果に基づく先進医療であることが判明したときに、厚労省あるいは文科省としてどう対応するか想定されていないという問題点も指摘いただきました。この点について、両省が協力して対応策を考えていただきたいと思います。
 委員の先生方、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 どうぞ。
○長島構成員
 長島です。
 私、最初から極めて重大な事案と受けとめて、いろいろ厳しいことの意見を述べさせていただきましたが、1つは、まさに研究の段階であると、そもそも、この先進医療の会議以前の問題が起こってしまうと、先進医療できちんと審査ができないという大変困った問題なので、これは根本的な問題ですので、先ほどお話があった、文科省と、まさに教育あるいは医療現場のところでしっかりとした対応が必要かと思います。
 もう一方は、やはり組織として対応が極めて遅くなったと、これは組織の問題かと思います。
 いずれも先進医療会議だけでは、とても対応できないことですが、先進医療を含めた研究の根本的な問題ですので、文科省、厚労省を含めて、これも災いではありますが、これを教訓にきちんとした原因を究明して、それぞれに対するしっかりとした再発防止をする、それも全国にしっかり周知して、そのことで、全国の研究の質を向上させるということであれば、せめてもの救いであると思います。
 ただし、今後もこの研究において、被害者保護をしっかり続けるということと、当該施設でしっかり再発予防ができるかというのは、本会議としてもしっかり注視していくという必要があると思いますので、今後もしっかりお願いしたいと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 御指摘ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいですか、それでは、御報告どうもありがとうございました。
 本日の議題は、残りその他になっております。事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 事務局からは、特段追加の事項はございません。
○五十嵐座長
 委員の先生方、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 本日の議題は以上ですけれども、長島構成員が今回をもって御退任となります。一言御挨拶をお願いいたします。
○長島構成員
 私は研究の現場にはいなくて、まさにかかりつけ医として、患者さんのすぐそばにいるという立場でしたので、被験者、患者、国民の視点から、やはり安全・安心ということは極めて重要かと思いますし、また、研究の成果がきちんと国民に還元されるということも重要かと思います。そのことが、本会議等を通じてきちんと国民に伝わると、この透明性ということも非常に重要かと思います。
 今後もきちんと国民の役に立てるような先進医療を続けるためには、本会議の存在が極めて大きいと思いますので、委員の先生方の活躍をますますお祈りいたします。
 本日まで、ありがとうございました。
○五十嵐座長
 これまで、長島先生には大変御尽力いただきまして感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 それでは、次回の開催につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和3年7月8日木曜日、16時からを予定しております。場所につきましては、別途、御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、第99回の「先進医療会議」をこれで終了いたします。
 御協力、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

(了)

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