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2020年12月3日 第93回先進医療会議

○日時

令和2年12月3日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 佐藤構成員 柴田構成員 竹内構成員
長島構成員 福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員 笹子技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他



○議題

 1 令和2年度先進医療技術の実績報告等について
   (先-1-1)(参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)(先-1-2)(先-1-3)
 2 先進医療の実績報告について
   (先-2)
 3 先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価について
   (先-3)(別紙1)
 4 粒子線治療について
   (先-4)(参考資料4)
 5 その他


○議事

16:00開会




 

 

 

 

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「先進医療会議」を開催いたします。
 お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 初めに、構成員の先生方の出欠状況について御報告いたします。本日は、全員御出席の予定です。
 また、事前評価をしていただいた笹子技術専門委員に御出席いただいております。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿と続きまして、先-1-1「令和2年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告書について」としている資料がございます。こちらには参考資料1、参考資料2、参考資料3がついてございます。
 次に、先-1-2としております「1年間の実施件数が0件である先進医療技術に係る医療機関の今後の対応方針等」としている資料がございます。
 次に、先-1-3としまして「暫定的に先進医療Aとして実施している技術について」としている一枚紙がございます。
 次に、先-2として「先進医療における実施報告について」としている一枚紙の資料がございます。
 続きまして、先-3「先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価」としている一枚紙の資料がございまして、こちらには別紙1がついてございます。
 さらに先-4「先進医療会議からの指摘事項に対する回答」としている資料がございまして、こちらには参考資料4がついてございます。
 資料については以上でございます。
 また、今回の先進医療会議におきましても、Web上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧していただければと思います。発言される先生におかれましては、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 資料等について何か問題ございますか。よろしいですか。
   (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 横井座長代理より、先進医療Aとして評価を行う整理番号337の技術につきまして報告がございました。横井座長代理におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。では、出席されている構成員におかれましては、申告すべき利益相反はないということでよろしいでしょうか。
  (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 続きまして、令和2年度先進医療技術の実績報告等についての資料が提出されております。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 先-1-1から1-3に従って御説明をさせていただきます。
 まず、先-1-1は、令和元年7月1日から令和2年6月30日の1年間に実施された先進医療の実績報告をまとめた資料になってございます。
 1ページからでございますけれども、先進医療Aにつきまして、技術数につきましては22種類、実施医療機関数は104施設。また、保険外併用療養費の総額及び先進医療費用の総額につきましては、それぞれ30.2億円、56.4億円となってございます。
 先進医療Bにつきましては、技術数が61種類、実施医療機関が225施設、保険外併用療養費の総額が6.7億円、先進医療費の総額が5.3億円となってございます。
 先進医療AとBの合算値につきましては、一番右の欄に記載させていただいております。
 2ページに移りまして、過去1年間の先進医療A及びBの技術数の増減を示した表になってございます。
 先進医療Aの技術につきましては、当初29種類で始まっておりましたけれども、1種類の技術が新しく承認されまして、令和2年度診療報酬改定の際の議論におきまして4種類が保険収載、4種類が削除となっておりまして、結果的に6月30日の時点で22種類となってございます。
 また、先進医療Bの技術につきましては、当初59種類でございましたけれども、10種類の技術が新規承認されまして、1種類が診療報酬改定の際の議論で保険収載、7種類が実施期間の終了等に伴って取り下げられましたことから、合計としまして61種類となってございます。
 この期間の総括報告書の受理数といたしましては、11種類となってございます。
 3ページは、過去5年間の実施医療機関、全患者数、金額等の実績を示した表となっておりまして、こちらの実績につきまして、技術ごとに示しております資料が参考資料1~3になってございます。
 参考資料1は、先進医療Aの技術に関して実施件数や費用等を一覧にしてございます。
 また、参考資料2につきましては、先進医療Bの技術について同様に一覧にしております。
 参考資料3につきましては、先進医療Bの終了予定日、計画時患者数等を一覧にしておりまして、進捗状況等の閲覧が可能となってございます。
 次に、先-1-2を御覧いただければと思います。こちらは先ほどお示しいたしました過去1年間の実績におきまして、実施件数が0件であった技術について、その理由及び今後の対応方針を申請医療機関に報告していただいたものになってございます。
 1ページは先進医療Aになっておりまして、希少な遺伝子疾患の診断を伴う検査技術やいわゆる暫定Aの技術が含まれております。
 2~5ページにわたりまして、先進医療Bで実施件数が0件だったものをお示ししております。こちらは、例えば2ページに記載させていただいている技術のように、症例の登録が既に終了したものが多く含まれております。また、5ページを御覧いただければと思いますけれども、告示番号33番や58番のように、新型コロナウイルス感染症の影響からまだ0件であると御報告をいただいております。
 最後に、先-1-3を御覧いただければと思います。こちらは暫定的に先進医療Aとして実施している技術についての説明でございます。
 「1.背景及び現状」の1つ目にございますように、平成20年の先進医療告示第2項各号に掲げられた先進医療のうち、平成24年11月30日の先進医療会議におきまして、先進医療Bへ振り分けることとされた技術につきましては、暫定的に先進医療Aとして実施されているところでございます。
 この暫定Aの技術につきましては、1ページの波線で囲まれておりますような取扱いをすることになっておりまして、平成28年4月以降は新規患者の組入れについては認めないことになってございます。
 この点につきまして、事務局では定期的に確認を行っておりまして、その結果を下の表にお示ししてございます。表に記載がありますとおり、前回確認いたしました令和元年11月1日時点から今回の令和2年11月30日の時点におきまして、新規患者の組入れは行っていないことを確認しているところでございます。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますか。特にございませんか。
 (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 それでは、説明どおり構成員の先生方には御確認をいただいたことにいたします。ありがとうございました。
 続きまして、事務局から先進医療の実績報告についての資料が提出されております。これにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 先-2の資料に基づきまして御説明させていただきます。
 「先進医療における実績報告について」でございますけれども、「1.現状」からでございます。
 先進医療は、将来的な保険導入のための評価を行う評価療養として位置づけられております。したがいまして、実施保険医療機関から毎年の実施状況について定期的に報告を求めることとしております。
 具体的には、当該年の6月30日までに先進医療を実施している保険医療機関を対象としまして、前年の7月1日から当該年の6月30日までの間に行った先進医療の実績について、地方厚生局に報告をすることとなっております。
 事務局におきまして、この地方厚生局に提出された実績を集計いたしまして、先ほど御確認いただいたような資料として年に1回この会議に報告をさせていただき、御確認いただいているところでございます。
 一方で、臨床研究法における特定臨床研究として行われている臨床研究につきましては、実施計画を厚生労働大臣に提出した日から起算して、1年ごとに定期報告を行うことが義務づけられております。また、再生医療等安全性確保法が適用される研究につきましても、提供計画を提出した日から起算して、1年ごとに再生医療等の提供の状況について報告が義務づけられているところでございまして、この2つの法律に基づく研究に該当する先進医療につきましても、同様に定期報告を行っているという形になってございます。
 臨床研究法の施行に際しまして、先進医療の通知の改正を行った際に先進医療における定期報告についても、令和2年をめどに、研究の開始から起算して1年ごとに地方厚生局に報告することを検討することとなってございまして、今回それに基づきまして、事務局で検討をさせていただきました。
 「2.対応案」でございますけれども、先進医療における定期報告の時期やその在り方について検討させていただき、現在、1年間の間に先進医療にかかった費用の全体の総額なども取りまとめて資料として報告しておりますので、これについては一定の期間を定めて取りまとめる必要がございます。
 また、先進医療における実績報告は、臨床研究法及び再生医療等安全性確保法下で求められる報告内容と異なっているということがございますので、今後も従来どおりの定期報告を継続してはどうかという形でご提案させていただくものでございます。
 なお、臨床研究法及び再生医療等安全性確保法の報告体制の今後の状況に鑑み、実施医療機関の負担軽減にも配慮しつつ、その実績報告の内容につきましては、今後も適宜見直すこととしてはどうかという形でご提案させていただきます。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明、今後の対応案の内容につきまして、何か御質問等ございますか。従来どおりの方法で定期的に報告していくことにしたいということですけれども、それでよろしいでしょうか。
 (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 続きまして、先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価についての資料が提出されております。これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 先-3の資料に基づきまして御説明させていただきます。
 先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価ということで、整理番号337番「胃内視鏡的手縫い縫合術」という技術につきまして、今回御審議いただければと考えております。
 適応症につきましては、抗凝固薬や抗血小板薬を継続して服用しており、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の術前に2cm以下の早期胃がんと診断され、胃のESDにて病変切除した症例となってございます。
 この技術につきましては、本年4月に開催されました先進医療会議におきましてご審議された技術でございます。その際に継続審議となっておりまして、その後、適応症及びお送りしております実施計画書について修正がなされております。
こちらの事前評価は、引き続き福井構成員及び笹子技術専門員にお願いしてございまして、どちらも「不適」と御評価をいただいているところでございます。
 また、別紙1の3ページを御覧いただければと思いますけれども、当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししているところでございます。こちらの詳細な説明については割愛させていただきます。
 説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 整理番号337の技術につきましては、事前評価を福井構成員にお願いしております。福井構成員より、技術の内容及び評価結果について御説明をお願いいたします。
○福井構成員
 それでは、資料別紙1の27ページの図を御覧いただきたいと思います。どのような先進医療かについて、恐縮ですけれども私から簡単に説明させていただきます。私、不十分な点が多いと思いますので、後ほど笹子先生から補っていただければありがたいです。
 これは技術名が「胃内視鏡的手縫い縫合術」でして、適応疾患が抗血栓薬を服用していて術前に3cm以下の胃がんもしくは胃腺腫と診断され、ESDにて病変切除された症例になります。
 先行研究は、左側のブルーのバックグラウンドの表にございますように、今まで3つの医療施設で30例に行われていて、このときは主要評価項目が術後3日目の縫合維持率でして、そこに挙げましたように、効果があるということにはなっております。
 今回の先進医療は、内視鏡的手縫い縫合術を用いて予定症例数が60例、抗血栓薬服用者で胃のESD粘膜欠損部に対して内視鏡的手縫い縫合を行って、術後出血が予防できたかどうかが主要評価項目になります。単群の臨床試験でございます。
 手技自体は、26ページにございますように、ESDを行った後、内視鏡を使って手縫いで連続縫合を行って、粘膜の欠損部を閉鎖するというものです。
 この技術につきましては、幾つもの点で多くの質問のやりとりがございまして、お手元の資料の5~21ページにわたって、幾つもの回答を得てきております。
 5ページで、もともと抗血栓薬を服用している患者さんという言葉ではあったのですけれども、実際は対象群に継続服用群だけではなくて中断群も入っているとか、6ページにも、血栓リスクが多様な患者が含まれていることについての疑問・質問があり、7ページには手技についての疑問もございまして、必ずしも手技のレベルが統一的に保障されているわけではないのではないかということについても、何回もやりとりが行われました。
 そのようなやりとりを経まして、私の評価が1ページにございます。適応症としましては、抗血栓薬を服用中とはいうものの、どういう基礎疾患があって、どういう抗血栓薬を服用しているのか、また、それを服用し続けることのリスクと、やめたときのリスクの勘案がなかなか難しいという状況でして、適応症自体がなかなかリーズナブルに決められないというのが、最終的な結論ではないかと思いました。
 有効性につきましては、従来の技術を用いるのと同程度または劣るとしていますけれども、私は手技的なことはよく分からないところもございますので、ぜひ笹子先生からコメントをいただければと思います。
 安全性につきましては、あまり問題はない。
 技術的成熟度は、当該分野を専門とし、数多く経験を積んだ医師、または医師の指導下であれば行える。
 社会的妥当性は、倫理的問題等がありまして、研究デザインが誰もが納得できるような形になっておらず、やりとりの内容からも今のワンアーム、単群での研究ですと、思ったような結論を妥当性を持って導き出すことはなかなか難しいのではないかと思いました。
 普及性は、罹患率・有病率から勘案して普及していない。
 効率性は、やや効率的の可能性はある。
 現時点で考えられる範囲内では、将来的に保険収載を行うのは難しいのではないかと考え、総合的には「否」といたしました。術後出血率を主要評価項目とする、このような研究デザインでは、適切な被験者選択基準の設定が非常に難しく、私としては本手技と従来の手技を比較するランダム化比較試験まで持っていかないと、いろいろ挙げられている疑念や不確実性を克服できないのではないかと思いました。
 以上です。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 続きまして、もう一方、事前評価を担当してくださった笹子技術専門委員より、評価結果等についての説明をお願いいたします。
○笹子技術専門委員
 では、別紙1の2ページの私の評価表を御覧いただきますとよいと思いますが、適応症は先ほど福井先生からもございましたけれども、抗血栓薬というのは抗凝固薬と抗血小板薬があって、適応がいろいろ違います。背景に、抗血小板薬ですと脳梗塞や心臓の冠状動脈の動脈硬化、狭窄等で治療しているという方が多いと思うのですが、抗凝固薬の場合は、血栓症あるいは心房細動があり左房内血栓形成予防目的とか、そういう背景にリスクがある患者さんです。抗凝固薬を短期間この治療をするときだけでも止めることが非常にリスクが高いという患者さんがいるのだとしたら、そういう基礎疾患による生命予後と、この小さな2cm以下の内視鏡でとって治るような早期胃がんの生命予後とのバランスとか、非常に難しい問題がたくさんあり、その点を明確にしてくださいというやりとりを何回もしたのですけれども、当該施設の循環器内科医や脳外科医が止められないと言えばそれでいいという返事しか来なくて、それでは一般化できません。どういう患者さんが入ってくるかが全く不明瞭で、適応症がそこではっきりしないと将来的に保険適用という形にはしにくいわけです。そういうことを大分やりとりして、今の時点でこの治療を先進医療として扱うのは、無理ですねという感じが私はしました。
 それから、有効性に関しては、どうしても抗凝固薬、抗血小板薬などを切れないほど、1週間くらい切ることすら非常にリスクが高いような患者さんであれば、今ある技術ですと内視鏡の専門の先生何人かに聞いてみると、2cm以下のものをESDでとった場合の穴ぐらいであればクリップで閉じられると。だから、クリップで閉じる技術というのは結構普及しているし、そんなに時間がかからないらしいのですが、この縫合に関しては、最初の30例の中でも非常に時間がかかっている例も幾つかあって、有効とは言い難いのではないかと判断しました。さらに、本当に出血を恐れるようなケースであれば、腹腔鏡を使って胃は切らないけれども、腹腔鏡下で小さな傷で小さく胃を切りとり縫合する技術ですと、いろいろな凝固機能を備えた機械を使って出血なく処置できます。だから、必ずしも内視鏡でなくても、そんなに患者さんに侵襲がかからないし、安全性からいくと、こちらのほうがいいかもしれないという考えもあって、これはともかくお薬を飲ませ続けてやりたいということでしたので、有効性という意味では劣るのではないかという感じがいたしました。
安全性に関しては、もともと1種類の抗血栓薬を飲んでいるぐらいだったら、今は止めずにESDをやる先生もたくさんいて、そんなにもともとリスクはないよと言う先生もおり、安全性は、時間がかかるけれども縫うことであまり問題ないと一応しました。しかし、実際の30例の報告が27ページに出ていましたが、30例中に術後出血を3例もしているんです。10%出血するのだったら、クリップもしないで放置してESDをやるのとほとんど一緒ではないかという意見を言う内視鏡の先生も結構おられました。
 それから、技術的成熟度に関しては、内視鏡視野の中で、しかも運針もするということで、腹腔鏡でやるのとは大分訳の違う難しさがあるので、かなり経験を積んだ人でないと無理だろうと判断しています。
 先ほども言いましたように、がんの疾患予後と非常に重篤な併存疾患があるような人の予後の問題、それから、適応が非常に曖昧だとか、もっと安全性を求めるのであれば別の方法があるということを考えると、倫理的に若干問題があると言わざるを得ないかなと判断いたしました。
 これは、普及はしておりません。
 それから、全体としては効率性という意味で落ちるだろうと。
 適応がはっきりしませんので、保険適用していくにはどういう患者でということがはっきり言えない以上、難しいという判断でございます。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、お二方から事前評価の結果を御説明いただきました。何か構成員の先生方、御質問等ございますか。
 山口先生どうぞ。
○山口構成員
 質問ではなくて、私もお二人の委員に全面的に賛成です。本技術の有効性は動物実験でも検討していますけれども、具体的には8例全例が1週間後には縫合部が離開しているというデータがあります。しかも最初の8例ぐらいの臨床例でも、半分ぐらいで1週間後に癒合していないというデータがあるにもかかわらず、単群でどうやってその有効性を示すかということで大いに疑問がありました。まさに笹子先生がおっしゃったとおり、今は代替の治療法もありますし、これを単群でしかも複数の施設でやると、その副作用、技術的な練度など非常に疑問があって、否定的な回答にならざるを得ないと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 御意見ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
 笹子先生どうぞ。
○笹子技術専門委員
 最後に付け加えますけれども、一番最後に質問をもう一度繰り返したら、それに対する回答はしてこられなくて、取り下げますみたいな話だったと思います。
○五十嵐座長
 追加ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、構成員の評価結果どおり決定したいと存じますが、皆さんそれでよろしいでしょうか。
 (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長    
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。評価委員の先生方、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から粒子線治療についての資料が提出されております。事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 先-4の資料に基づきまして、御説明させていただきます。
 先月の先進医療会議におきまして、粒子線学会より提出されました報告書について御議論いただいた際に、構成員の先生方からさまざまな御指摘をいただいたところでございます。それを事務局で取りまとめ、先生方に内容について御確認いただいた上で、学会に照会させていただきました。今回その回答がまいりましたので、御確認いただければと考えております。
 では、1ページから御説明させていただきます。
 まず、1つ目についてですけれども、既存治療との比較について、どのような制約があるのか明確に回答をという指摘でございました。
 こちらにつきまして、まず、粒子線治療は放射線治療の新技術となっておりますので、X線を用いた既存の放射線治療を比較対象とするのが妥当であると考えているとのことでございます。この場合、下記に示したとおり一定の制約はあるものの、既存治療との比較は可能であると考えているということでございます。
 逆に、粒子線治療と手術との比較を考えた場合に、粒子線治療実施例の多くが手術非適応例であるなど、同じ疾患・病態であっても、その背景が大きく異なっているために、比較することは困難であるという回答でございました。
 その次に、制約について御回答いただいております。
 まず、線量分布上で明らかに優れた新技術を旧技術と比較する研究そのものが、もともと必要と考えられていなかったという状況であったとのことで、これまで、例えば強度変調放射線治療など新しい技術についても、ランダム化比較試験は実施されていなかったとのことでございます。
 2ページに移りまして、現状の日本において粒子線治療と既存の放射線治療のランダム化比較試験を行うと、先進医療と保険医療との比較となるため、患者の費用負担の面から平等性を保つことは困難であると考えているということでございます。こちらにつきましては、平成28年第41回先進医療会議、第39回先進医療技術審査部会においても議論されており、単群での試験デザインも許容できると御判断いただいたと学会としては認識しているとのことでございます。
 その次でございますけれども、ランダム化が困難な場合には、次善の策として傾向スコアによる比較が考えられるということでございますが、こちらはX線治療のデータベースが構築されてはいるものの、疾患ごとの詳細な情報が入力されていないという状況であり、現実には困難であるという形で回答をいただいております。
 最後でございますけれども、現状の方法としては、平成27年に会議に提出させていただいたように、先進医療として実施された粒子線治療の論文を含めてシステマチックレビューを科学的に行うこと、さらに、統一治療方針による全例登録データの解析を比較対象となる疾患・病態について患者背景をそろえて実施することで、既存の標準的放射線治療との比較を可能な限り明確に提示したいと考えているという回答をいただきました。
 続きまして、2つ目の指摘事項でございます。解析データを提出いただく予定の疾患を11ほど挙げていただいておりましたけれども、こちらはどのように選んだのかを説明してくださいという形で指摘させていただいております。
 こちらにつきましては、先進医療において統一治療方針における全例登録を実施している全疾患でデータをまとめるという回答をいただいております。
 提出資料作成に当たりましては、まず学会内に臓器別ワーキンググループを設けていただいたということでございまして、こちらのタスクが3ページ上にございますけれども、システマチックレビューを行うこと、また全例登録データの解析を実施することが主な目的ということでございます。
 この中で、このワーキングの趣旨を関連学会の理事長宛てに説明して、各臓器のワーキンググループにそれぞれ他の学会から専門委員を2名ずつ派遣していただいたということでございます。専門委員のリストにつきましては、参考資料4の1ページに記載させていただいております。
 このワーキンググループの中で、比較対象とする疾患・病態が適切であるか、システマチックレビューをどの範囲で実施するか、レジストリーデータ解析の進め方や妥当性について、放射線腫瘍学会とそれぞれの臓器の関連学会が一体となって資料作成を行うという方針で進めますという回答をいただいております。
 続きまして、3つ目の指摘事項でございますけれども、解析データを提出いただく予定の疾患の中に少数転移性腫瘍というものが挙げられておりました。こちらにつきまして、それぞれのがんの肝転移の手術適応が違うように、転移性といっても原発巣のがん種によって腫瘍の挙動や病態が異なるので、それぞれの原発巣のがん種ごとに解析したデータを出すべきではないかという御指摘をいただいております。
 こちらにつきましては、原発巣別にその成績を提示するようにいたしますと回答いただいておりまして、システマチックレビューの結果を基に、妥当な提示の仕方を検討させていただいた上で報告させていただくという回答をいただいております。
4つ目の指摘事項でございますけれども、限局性肺がんについては、手術による切除が標準治療であるため、手術を比較対象とすべきではないかという御指摘をいただいております。
 こちらにつきまして4ページですけれども、粒子線治療実施例の多くが手術非適応例であることから、同じ疾患・病態であっても、その背景が大きく異なっているために、現時点で比較することは困難だという回答をいただいております。
 全例登録されたデータについては、各施設のキャンサーボードで審議された症例で、手術適応例と不適応例を分けて解析することは可能であると回答をいただいておりまして、患者背景をそろえた形で成績を提示するという回答をいただいております。
続きまして、5つ目の指摘事項でございます。現在予定しているデータ解析のプロトコルやスケジュールを提示してくださいと指摘させていただきました。
 こちらにつきまして、まず手順として1~10まで記載いただいております。また、参考資料4の2ページに、資料2として、そこに至るまでの学会内で定めていただいたロードマップを提示いただきました。現在12月になりますので、ワーキンググループのリーダー会議や一次選択が行われている最中ですけれども、今後、二次選択あるいは採用論文決定等を進めていくという予定で提示をいただいております。
 データ解析の計画書につきましては、臓器ごとに作成する予定としているとのことですので、出来上がり次第この会議に提示いただく予定になってございます。
 5ページ、最後の指摘でございますけれども、報告書に記載いただいていた重粒子線の分科会の構成メンバーと御所属先を教えてほしいという指摘でございました。
 こちらにつきましては、参考資料4の3~10ページに、メンバーと所属先を記載していただいております。
 また、この分科会におきましては、先-4の資料の5ページの下でございますけれども、各疾患における治療適応や治療法の改良等の議論、また、粒子線治療施設から各疾患に対する実施状況や成績について報告を受け評価を行う、また、今後の臨床試験立案の検討を行うという3つの業務を行っているという回答をいただきました。
 今回このような形で回答を確認いただきまして、また、追加で指摘事項がある場合には、前回同様、事務局で取りまとめた上、学会に回答を求めることとさせていただければと思いますので、どうぞ御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、先-4の資料にあるように、11月30日付で日本放射線腫瘍学会理事長等からの御返事をいただいたわけですけれども、これについて何か御意見・御質問ございましたら、お願いしたいと思います。
 柴田構成員どうぞ。
○柴田構成員
 資料先-4の3ページ、4番の問いに対する回答で1つコメントさせていただきたいと思います。
 こちらは、明確に手術が標準となるような患者さんに対して、ランダム化比較試験ないしはランダム化ができないにしても、手術される患者さんとの比較をするべきではないかという問いにしか読めない明確な質問だと思いますが、それに対して4ページの1段落目のような回答がなされることは非常に問題だと思います。質問自体は、手術ができる方との比較についての議論をされているので、手術非適応の方の話はまた別の問題として取り上げられるべきだと思います。また、この会議においても、手術可能例と手術不能例あるいは手術非適応の患者さんに対する評価というのは、しっかり線引きして議論していきましょうという議論はしてきたところであって、そういう議論に対してこのような回答をされるというのは非常に問題ではないかと思います。
 ランダム化比較試験が容易でないという御説明は一定の理解ができますけれども、今議論になっているのは、標準治療として手術が現時点では一番いいのではないかと受け入れられている状態の患者さんに対して粒子線のよさを主張するのであれば、それとの比較をしなければ、保険診療に導入する際の妥当性の議論ができないのではないかという議論の枠組みが伝わっていないことが危惧されます。
 薬物療法等において類似のものとの比較をするというのは、薬効の存在を証明するという観点であれば一つの方向性としては標準的な考え方ですが、ここで今問題になっているのは、粒子線治療に効果が存在するかどうかという論点、薬でいうと薬効が存在するかどうかという論点と、それに加えて、既存の治療法と相対的な比較をして一定のメリットがあるのか否か、メリットがなく同等なのか、等、既存のベストな治療法、モダリティーを問わず既存のベストの治療法との相対比較に基づいて保険診療の中での位置づけを決めよう、そのための根拠を明らかにしようというデータを収集しているわけですから、そこの議論を曖昧にされたままやりとりが続くと、技術の評価がスタックしてしまってまずいのではないかと思いコメントさせていただきました。長くなって申し訳ございません。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。4ページの先生が御指摘になったところは確かに問題なのですが、一番最後のパラグラフでは「手術適応例と不適応例を分けて解析することは可能と思われます」という文章は入っているんですね。しかし、これについて、しっかり手術例と比較するということは書いていないということですね。ありがとうございます。
 では、横井先生、お願いします。
○横井構成員
 私も4番のところが気になりました。限局性肺がんだけ見ますと400例中120例が手術適応例で、30%が手術適応例を治療されていることになるので、手術適応例がかなりの割合を占めています。そのために手術適応例に関しては、外科治療成績との傾向スコアによる比較を最低でもやったほうがよいと。それでないと、標準的治療との優劣、同等性、非劣性も何も示されないという感じがします。外科治療成績に関しては、5年ごとに行っています肺がん登録で約1万例ずつの手術症例の詳細なデータを学会が持っておりますので、それと粒子線治療をやられた詳細なデータとの傾向スコアマッチングは十分可能だと思っております。
○五十嵐座長
 御意見ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。山口先生どうぞ。
○山口構成員
 先ほどの柴田先生の御意見に私も全く賛成なのですけれども、3つ目の問いに対する答えを見ると、あまり細分化して比較すると解析症例が少なくなるので、システマチックレビューでやるのだという話だと思います。しかし、そもそも非常に解析例が少なくて、クリニカルなエビデンスの少ない疾患に関して、システマチックレビューの結果というのは本当に信頼に値するかというと、必ずしもそうではないと思います。
 放射線の先生は、システマチックレビューで全部やってしまうのだというスタンスが見られるのですけれども、疾患によっては必ずしもレビューしても十分なエビデンスがないと、その信頼性は必ずしも高くないということもぜひ御理解いただきたいと思います。
もう一つ、大変立派な分科会をつくられてということなのですけれども、今回御報告いただいたときに関与した分科会も、このようなプロセスで行われたのでしょうか。あるいは、この次に行われるものに関しては立派なものだけれども、今まではやっていないということなのですか。そのあたりをはっきりさせていただきたいと思います。事務局のほうで分かりますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 今、御指摘いただいたのは、5ページの指摘の分科会の成り立ちの経緯ということでしょうか。
○山口構成員
 先-4の参考資料の2ページに、立派なロードマップがあるのですけれども、これはこれから行われるものに関してですが、報告いただいた研究に関しては、このようなロードマップに従ってちゃんとプロセスを経て決められたものなのか確認していただきたいと思います。ここにお示ししました委員というのは、これからのものに関する委員だと思います。というのは、平成2年6月に任命とあるからです。今回報告いただいたものに関しては、同じようなリストはあるのでしょうか。実際に、その先生たちが集まって具体的にディスカッションを重ねた上でできたものだという記録などのエビデンスがあれば、示していただきたいと思います。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 御指摘いただきまして、ありがとうございます。少なくとも令和2年度の診療報酬改定の検討の際には、このようなロードマップ等につきましては事務局としては把握していないところでございます。過去を振り返ってみますと、平成28年度の診療報酬改定の議論の際、こちらは先-4の資料に言及があります平成27年に会議に学会から提出されたシステマチックレビューにつきましては、ロードマップではなかったと思いますけれども、同じように外部の他臓器の専門の委員の先生方も踏まえてシステマチックレビューをまとめて提出いただいたという経緯があったと承知しております。
○山口構成員
 この2ページを見ても、先ほど申し上げましたように、全体の流れがシステマチックレビューのためのワーキンググループみたいになっていて、ほかの学会の先生方と対象疾患をどうするかという議論が、どこで行われているかよく分かりません。実際に、これはこれからこうするという話ですけれども、今までもそういうことが行われた上でちゃんとやられているのだと、例えば、議事録とかこういうプロセスでやりましたということも一度お示しいただければ大変ありがたいと思います。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 確認させていただいて、また報告させていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 それでは、ただいま幾つか重要な御指摘をいただきました。その御指摘を基に取りまとめまして、事務局から学会に照会したいと思います。それで、また御返事をいただくということにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 (首肯する構成員あり)
 ○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 本日の議題、残りは「その他」になっております。事務局から何かございますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
 全体を通しまして、構成員の先生方から何かございますか。よろしいですか。
 (首肯する構成員あり)
○五十嵐座長
 それでは、本日の議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 次回の開催につきましては、令和3年1月7日、16時からを予定しております。場所については別途、御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 では、第93回先進医療会議をこれで終了いたします。御協力どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

(了)

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