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2020年8月6日 先進医療会議・先進医療合同会議(第88回先進医療会議、第103回先進医療技術審査部会)

○日時

令和2年8月6日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 柴田構成員 竹内構成員 長島構成員
福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員 真田構成員 高橋技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)

○議事

〇先進医療合同会議(第88回先進医療会議、第103回先進医療技術審査部会)
16:00開会

○五十嵐座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、認定臨床研究審査委員会で承認された先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について、「先進医療合同会議」を開催したいと思います。
 初めに、この7月をもちまして石川構成員が御退任をされました。
 これに伴いまして、8月から長島公之先生に新たに構成員に加わっていただくことになりました。長島先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○長島構成員
 長島でございます。よろしくお願い申し上げます。
○五十嵐座長
 それでは、構成員の先生方の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、山本構成員より御欠席との連絡をいただいております。
 また、先進医療技術審査部会から真田構成員、高橋技術専門委員に出席をいただいております。
 欠席されます構成員、それから技術専門委員の先生方からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りについてはここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿と続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている一枚紙がございます。こちらには別紙1がついてございます。合同会議の資料は以上でございます。
 今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただきますので、発言される先生方におかれましては、会議資料のページ、または送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。委員の先生方、資料について何か問題ございますか。
 よろしいですか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について事務局から御報告をお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。そのほかの構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-1の資料に基づきまして御説明させていただきます。
 今回御審議いただきます技術は、整理番号141番、技術名は「膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法」でございまして、適応症につきましては、膵神経内分泌腫瘍。こちら、WHO2017分類で病理組織学的Grade1.かつ腫瘍径15㎜以下となっており、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当を真田構成員、副担当を柴田構成員、佐藤構成員、高橋技術専門委員にお願いしておりまして、総評としては「適」と御評価いただいております。また、先進医療会議における事前評価は横井構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の御説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料、別紙1の一番最後のページになりますけれども、53ページを御覧ください。こちらが様式第9号となってございまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものについてお示ししております。
 1番目、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は消化器内科相当が必要、資格につきましては日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が必要、当該診療科の経験年数は10年以上、また当該技術の経験年数は不要となってございます。当該技術の経験症例数は不要、その他としまして、EUS-FNAを200例以上経験していることが必要となっております。
 続きまして2番目、医療機関の要件でございますけれども、診療科は消化器内科相当が必要、実施診療科の医師数は必要となっておりまして、消化器内科医が2名以上となっております。
 他診療科の医師数でございますけれども、消化器外科医が2名以上必要となっております。その他医療従事者の配置は不要、病床数につきましては400床以上が必要、看護配置は10対1看護以上が必要、当直体制は、外科系又は内科系の医師1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査(24時間実施体制)が必要、他の医療機関との連携体制は不要となっております。
 また、医療機器の保守管理体制が必要となっております。医療安全管理委員会の設置が必要で、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。
 その他の要件としまして、1ページおめくりいただきまして54ページになりますけれども、頻回の実績報告としまして、研究開始5例までにつきましては、実施日及び術後早期の疾病の有無等について、厚生労働省医政局研究開発振興課に報告を行うことが必要となっております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、この整理番号141の申請につきまして、先進医療技術審査部会における事前評価について、主担当を真田構成員、副担当を柴田構成員、佐藤構成員、高橋技術専門委員にお願いしております。
 初めに、真田構成員から概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○真田構成員
 真田でございます。それでは、先生方お手持ちの資料の先-1、別紙1、39ページのところに概要の一枚図がございますので、御覧ください。
 今回は、膵臓の神経内分泌腫瘍、最大長径15㎜以下で、grade1のものに対して、以下に既存療法は外科手術と記載がありますように、外科で切除することが現在までの標準の治療法ではございました一方で、後ほど先生方の御評価でも触れられている部分かとは思いますが、小さいものについては、一定期間経過観察も可能というガイドライン上の記述もございます。それらは後ほどといたしまして、その腫瘍に対して、超音波内視鏡と、超音波内視鏡下穿刺針、これはアスピレーションバイオプシーに使われている針でございますけれども、それとを経皮的エタノール注入療法用剤、いわゆる注入用のエタノールを用いて、その下の概念図にございますように、胃のところに超音波内視鏡を入れ、そのガイド下に膵臓の中に針を刺し、その腫瘍の中に到達したときにエタノールを注入し、このエタノールによって腫瘍を焼灼するという治療法になります。
 こちら、恐らくお手持ちのみということになると思いますが、参考資料の3ページ、適応外、あるいは未承認の有無について、この内視鏡下穿刺針というのは体腔内の組織や細胞を吸引・採取するための針でございますので、これを使ってエタノールを注入するということについては適応外。それから、エタノール注ですけれども、こちらは幹細胞がんにおいて適応がございますので、今回の膵臓神経内分泌腫瘍に関しては適応外ということになっていると理解しております。
 次のページにロードマップがございます。先行臨床研究の後、本会の先進医療Bを実施され、その次に穿刺針については治験を計画され、エタノールについては、今回、良好な結果が得られた場合、公知申請等々を検討されるということの予定でございます。
 こちらの穿刺針につきましては、この穿刺針が恐らくクラスIIIになるのでしょうか、私もよく分かりませんが、どのような治験がデザインされるのかというイメージが私はよくつかめないのですが、別々に治験、あるいは薬事承認に向けた動きをされるという御予定ということになります。
 私の指摘事項は、先-1別紙1にお戻りいただきまして、20ページから27ページまでの間、回答4のところにまとめられております。私が申し上げた事項は2点でございまして、まず試験計画書の中の1セッションと書いてあるのですが、このセッションの定義が文章からは余り明瞭に読み取れないこともございましたので、その辺りを明確に説明してくださいということを申し上げました。
 2つ目は、今回は最大長径15㎜以下の腫瘍を対象にいたしますが、エタノール注の使用量につき、彼らが先行研究から得たデータによって、1回の注入量が余り多いと予後が悪くなるということで、1回1mlまで、1セッション当たり2mlまでだったと思いますけれども、そのセッションを2回まで実施できるということで今回の治療を計画されておりますが、大きい腫瘍であればそれをカバーし切れないのではないかということを懸念として申し上げたところ、同じ資料の23ページのところにセッションのイメージ図がございますが、このように、腫瘍にぎりぎりかぶるような形でエタノールを注入していきます。普通は、この周囲に細かい周辺の転移層がある可能性が高いですので、そこにマージンをつけて大体5㎜ぐらいのマージンをつけた体積を計算しますので、それを使いますとエタノールの注入量不足になるのですが、今回の膵内分泌腫瘍というのはそのようなサテライトが発生しにくい腫瘍であるということで、腫瘍径ぎりぎりを狙いますということを申されて、それであれば、計算上、エタノールは足りることになりますので、それを明確にしていただくべく記載を追加していただいたということで、私の懸念点は解消され、私の判断としては「適」といたしました。
ほかの先生方からの御評価をいただいた後、私の総合評価について改めて述べたいと思います。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。続きまして、高橋技術専門委員から実施体制についての評価をお願いいたします。
○高橋技術専門委員
 高橋でございます。音声はよろしいでしょうか。
 実施体制でございますけれども、内容をよく読ませていただきましたが、十分な先生方の御経験と、それからバックアップ体制ということがございますので、実施体制については特に問題ないのではないかと判断しております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。続きまして、本日は御欠席ですけれども、佐藤構成員からの評価をいただいております。事務局から代わりに説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 お手元の資料、別紙1の2ページの一番下のところを御覧ください。こちらに事前に佐藤先生よりいただいたコメント等がございますので、事務局で代読させていただきます。
 倫理的観点からの評価としまして、4.同意に係る手続、同意文書「適」、5.補償内容は「適」ということでございます。
 コメントとしまして、本件療法に必須の副作用があり、一方で可能性のあるベネフィットは定かでないところがあるが、そのことも含めて説明されており、説明内容、費用負担(本件療法について1回11万円)は適切であると判断した。補償内容については、本件療法は医薬品・医療機器の適応外使用になるが、臨床研究保険の対象になることが確認できたというコメントをいただいております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。続きまして、柴田構成員から試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○柴田構成員
 お手元の資料、別紙1の1ページ目をまず御覧いただけますでしょうか。この医療技術の概要という欄の下のほうに主要評価項目という項目がございます。こちらの御説明から先に始めさせていただきたいと思います。
 この試験は、主要評価項目としてこちらに挙げられている有効性と安全性の項目を両方満たす患者さんの割合が外科治療に優ることを証明したいと、目指して始められるものです。有効性に関しては、1カ月後及び6カ月後の腫瘍完全焼灼がなされていることというのが必須条件で、安全性の観点ではこちらに挙げたような問題の回避というのがなされることが必須要件。こちらの両方が満たされている患者さんの割合というのを調べようというものです。
 私の評価がこちらの書類の3ページになります。本日、詳細は口頭では御説明いたしませんが、お手元の資料の7ページから19ページに事前照会いたしました内容に対する回答がつけられております。
 結論といたしましては、現時点でいずれも「適」としてよろしかろうと判断しております。ただし、先ほど申し上げましたエンドポイントの特性から、仮に、この試験の結果、統計学的に有意な結果が得られたとしても、その有意さのみをもって本医療技術のよしあしを判断するというのはちょっと危険であるので、あらかじめ指摘しておきます。
 先ほど見ていただきましたように、エンドポイントは有効性の観点と安全性の観点を組み合わせたものであるので、有効性の面で既存治療に劣り、安全性の面で優るという結果である可能性もあります。実際、お手元の資料の11ページを開いて見ていただきたいのですが、こちらに赤字で表がまとめられています。外科治療と本治療のこれまでの成績を表にまとめていただいたものですが、本治療の先行例2例は、腫瘍完全焼灼のところには×がついております。一方で安全性のところには全て〇がついています。逆に、外科治療のほうは、有効性のところには全部〇がついていて、安全性のところでところどころ×がついている。かなりたくさん×がついていますので、それに対する低侵襲の治療を開発するという目的自体は十分理解できるところですが、このような傾向にありますので、単純に目標を達成できた割合の数字だけを比較すると、このような中身に関する議論がおざなりにされてしまう可能性がありますので、そこについては注意が必要であるということを申し上げたかったということです。
 先ほどの3ページに戻っていただきまして、2点目ですが、手術と今回の治療で治療手段が異なりますので、ふだん論文等で使われます合併症のグレーディング基準が異なります。グレーディング基準が異なることによって、一方の治療方法に対して有利になるであるとか、同じものを見ていないであるとか、そういう問題が生じます。
 ただし、その点については実際に出た事象を後々きちんと分析していただくですとか、現時点でできることとしては、申請医療機関の先生方は定義を明確にした上で比較可能になるようにということで配慮してプロトコールへの記載をしていただいておりますので、これも許容可能かなと考えています。ただ、繰り返しになりますが、単純な割合だけ見るのではなくて、どういう事象が起きたのかというのをグレードも含めて、あるいは転帰も含めてきちんと見た上で最終的な評価がなされるべきであろうと考えます。
 また3つ目は、現時点での話ですが、低侵襲の治療の開発、常につきまとうジレンマでもあるのですが、有効性の面で、先ほど×がついている箇所がありましたけれども、そういう問題があるということもよくあることですので、あくまで低侵襲であっても、まだ開発中、あるいは評価中のものであるということがしっかり上の中に伝えられた上で実施されることが必要であろうと考えます。
 実施条件欄に記しましたことは、短期間での成績のみになりますし、低侵襲であるということが達成できたとしても、きちんとした長期予後のデータは何らかの形で取るべきであろうと考えております。そこまで臨床試験の枠組みに入れてしまいますと、試験がかなり大きな規模になってしまいますし、実施可能性の面で負担が大きいというのも理解できますので、代替案として、試験としては短期間の成績でまとめられることは許容できると思いますが、その最終的な結果を観察研究でフォローすると申請医療機関の先生方がおっしゃっていますので、その結果を先進医療技術審査部会に報告していただくということを求めたいと考えております。
 私からは以上です。
○五十嵐座長
 大変分かりやすく御指摘をいただきました。ありがとうございました。それでは、最終的に真田構成員に現時点での先進医療技術審査部会としてのまとめをお願いしたいと思います。
○真田構成員
 真田でございます。
 お手持ちの資料、先-1別紙1の4ページのところを御覧ください。総評としては、「適」とさせていただいております。コメントのところに記載いたしましたことでございますが、今、柴田先生から御説明がありました短期研究の結果と長期観察研究の結果の両方について、総括報告のような形で先進医療技術審査部会へ確実に報告される体制を整えていただきたいということを条件とはいたしますが、こちらはこの試験の立てつけという問題とはやや別個の問題になりますので、この臨床研究としての評価といたしましては「適」といたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。続きまして、先進医療会議における事前評価につきましては、横井構成員にお願いしております。横井構成員から評価結果等につきまして御説明をお願いいたします。
○横井構成員
 横井です。
 評価結果について御説明いたします。社会的妥当性につきましては、ガイドラインにのっとった治療適応対象であり、また、ゼロではないですけれども、リンパ節転移頻度が極めて低い病態と考え、また治療後の再発のフォローもされますので、倫理的問題はないと考えました。
 現時点での普及性は、保険適用のない治療ですので、普及はしておりません。
 それから、既に保険導入されている医療技術は手術治療ですけれども、それに比べては侵襲が少なく、機能温存も図れることより、やや効率的と考えます。
 将来の保険収載の必要性に関しましては、保険収載が妥当と考えます。
 ただし、現ガイドライン上、試験対象患者の全てが治療の対象となると定まっていないことから、本治療方法の有効性・安全性が示されたとしても、保険導入に際してはその対象を慎重に決定する必要があると考えます。
 総合判定としては「適」といたしました。本治療は現在の標準治療である手術療法に比して侵襲性が低く、膵機能の温存も期待できる治療法と思われます。しかし、対象患者はガイドラインの一定の条件を満たす非機能性腫瘍に対して6~12カ月ごとの経過観察を選択肢としてもよいという腫瘍を有するため、その旨を被験者に十分に周知した上で同意を得る必要があるため、説明文書等の修正をいただきましたので、「適」といたしました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、説明は以上で終了いたしましたけれども、これまでの全ての説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 長島先生、どうぞ。
○長島構成員
 長島でございます。
 このガイドライン等で経過観察も選択肢の一つとされる10㎜未満で無症状、あと画像上、浸潤所見を認めないというようなものに関しては、そもそもこの研究の対象にしないという考え方もあり得るかと思いますが、そこをどうするかということと、患者さんに説明するときに、経過観察にする、手術療法を選ぶ、本療法を選ぶ、どれを選んだらいいかという判断材料が示されないと判断のしようがないと思うので、そこのところの判断材料というのが必要かと思いますが、そこに関してはどうなっていますでしょうか。
 それから、その時点では一定の条件を満たしているので、本研究には参加しないと判断したが、その後、例えば症状が出たとか、画像上異常が出たので、これを選択したいというような場合のフォローというのも必要かと思いますが、その辺り、いかがでしょうか。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 これは事務局に御質問でしょうか。
○長島構成員
 はい。事務局でもし御回答いただければ。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 重要な御指摘をいただき、ありがとうございます。10㎜以下の方々、経過観察を選択してもよいという方々をこの治療の対象とすべきかどうかのところにつきましては、評価された先生方にぜひ御意見を伺えればと思っております。患者様の説明につきましては、横井構成員に御指摘いただいたところでもございまして、説明同意文書も医療機関のほうで変更を加えられているということですので、そこについての妥当性について御議論いただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 そうしますと、まず真田先生に御返事いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○真田構成員
 真田でございます。
 私が、評価のところで少しお話ししたように、先ほど横井先生からもまさにその点について御指摘いただいたところと思いますけれども、加えられた説明文章の変更で、私としてはそこを説明していただくことで、あとは患者さんに判断をいただくことで良いかと。それが例えば誘導になってはいけないのですが、私は、今修正が入った記載でそこは十分に反映されているのではないかという判断を致しております。
○五十嵐座長
 横井先生、いかがですか。
○横井構成員
 私も、真田先生と同様の意見です。今のガイドラインでは、この対象となっている腫瘍は一応治療の対象になっています。ただ、NCCNのガイドラインやヨーロッパのガイドラインで、最近小さなものがたくさん見つかるようになって、こういうもののナチュラルコース分かっていないために、経過を見てもいいのではないかという意見があり、治療を選択するのか、経過観察を選択するのかは、両方説明して、患者さんに選んでもらって、いずれにしてもフォローアップするということになっています。同様の主旨が患者さんに伝わるような文章になったと思いますので、それで患者さんに御説明いただいて、同意を得られれば治療の対象としていいのではないかと思いました。
○五十嵐座長
 ただいまお二人の先生から御説明いただきましたけれども、36ページのところにそれがあると思いますが、長島先生、よろしいですか。
○長島構成員
 それを見た上で言っているのですけれども、これはこれでいいのですが、これで多分、患者さんに判断ができないだろうと。経過観察も一つの選択肢となり得ますと言われても、自分はどれなのかと。そうすると、さっき言ったような、即座の手術、即座の本療法、あるいは、例えば6カ月の経過観察でそれぞれどんなメリット、デメリット、あるいはその後どのようになり得るというのは、今までのデータがないと、これは委ねられても判断のしようがないのではないかということなので、これはこれでいいとしても、説明するときにそこを十分に説明していただきたいというのを追加していただければと思います。
○五十嵐座長
 今、御指摘になったことは御要望ですね。ありがとうございます。事務局から、申請者にお願いすることはできますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 非常に貴重な御指摘をいただき、ありがとうございます。先生から御指摘いただいた点、大変重要なことだと思っておりますので、必ず医療機関のほうにお伝えしようと思っております。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 今の長島先生の御意見、私もちょっと同意するところがありまして、同じように並べられると、現在のスタンダード何かと分からなくなってしまいまずいと思います。特にこの技術は、諸外国のレポートを見ても余り症例数は多くありません。多いところで11例、古い論文だと、2006年からやっていますけれども、余り普及していない。それと、外国の例によりますと、完全に消えていない例が結構多いのと、やはり膵炎とかいろいろ副作用もあるようです。日本での症例数も少ないので、低侵襲ではありますけれども、合併症が多い可能性があるということが懸念されます。それから、完全には治療できない可能性もまだあるのだということを十分強調して説明すべきだと思います。
 高橋先生のほうから、最初の5例は、そういう点でも、副作用とか、技術的に大丈夫なのかということも含めて厳重に見るという、適切な対応だと思いますので、そこを厳重に注意してやっていただければいいのではないかと思いますけれども、まだまだ技術的には未熟なものだと私も思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。いずれにしても、患者さんに適切な説明をしていただきたいという御要望だったと思います。
 そのほかいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、この研究をする際には、患者さんに、ナチュラルコース等、経過観察も含めた十分な説明をしていただくということを条件に、評価結果どおりの決定にしてよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 それでは、事前評価結果どおりにしたいと思います。ただし、患者さんへの説明は十分に行うということを付議したいと思います。どうもありがとうございました。
 何か、全体を通しまして、委員の先生方、御意見等ございますか。
よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして「先進医療合同会議」をこれで終了させていただきます。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。準備が整い次第、「先進医療会議」を開催させていただきます。
 



第88回先進医療会議

○日時

令和2年8月6日(木)16:35~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 柴田構成員 竹内構成員 長島構成員
福井構成員 福田構成員 藤原構成員 山口構成員 高橋技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
   (先-1)(別紙1)(別紙2)
 2 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価について
   (先-2)(別紙3)
 3 既評価技術の新規共同実施に係る評価等について
   (先-3)(別紙4)
 4 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-4)(別紙5)
 5 先進医療Bの取下げについて
   (先-5)
 6 先進医療の保険導入等の検討について
   (先-6)(別紙6)
 7 申請医療機関からの報告について
   (先-7)
 8 その他

 

○五十嵐座長
 それでは、これから「先進医療会議」を開催いたします。
 まず初めに、構成員の先生方の出欠状況ですが、本日は山本構成員より御欠席との連絡をいただいております。
 また、事前評価をしていただきました高橋技術専門委員から御出席をいただいております。欠席される構成員の先生方からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿をおめくりいただきまして、まず先-1「先進医療の新規届出技術について」という一枚紙がございます。こちらには別紙1、別紙2がついてございます。
 続きまして、先-2「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている一枚紙がございまして、こちらには別紙3がついてございます。
 続きまして、先-3「先進医療Aの新規共同実施に対する事前評価結果等について」という一枚紙がございまして、こちらには別紙4がついてございます。
 さらに、先-4「総括報告書に関する評価について」でございますけれども、こちらには別紙5がついてございます。
 さらに、先-5「先進医療Bの告示取下げについて」としている一枚紙がございます。
 次に、先-6「先進医療の保険導入に係る検討における指摘事項及びそれに対する対応について」という一枚紙がございまして、こちらには別紙6がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。資料等につきまして、委員の先生方、よろしいでしょうか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 五十嵐座長より、先進医療Aとして評価を行う整理番号338の技術について報告がございました。五十嵐座長におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討に加わることは可能でございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。出席されている構成員におかれましては、ほかに利益相反はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)について、資料が提出されております。2件ございますので、まず1件目について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-1の資料に基づきまして御説明させていただきます。今回御審議いただきます技術は、整理番号114番の「超急性期脳出血に対する遺伝子組換え活性型第VII因子投与」でございます。適応症につきましては、非外傷性脳出血(発症後2時間以内)となっておりまして、今回、国立循環器病研究センターから申請がございました。かかる費用につきましては表にお示ししたとおりでございます。
 技術の概要につきまして、簡単に御説明させていただきます。別紙1の1ページ目を御覧いただければと思います。こちら、(先進性)のところでございますけれども、日本を初めとする6カ国共同の研究者主導のRCTでございまして、発症後2時間以内の脳出血患者に対する遺伝子組換え活性型第VII因子と偽薬投与の治療効果を比較し、この第VII因子の有効性と安全性を検証するという試験でございます。
 おめくりいただきまして3ページでございますけれども、こちら、今回使用する医薬品に適応外使用のものが含まれておりますので、今回、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。これにつきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですね。
 では、この受理番号114の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。
 続きまして、2件目の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-1の資料にお戻りいただきまして、2件目の振り分けの御審議をいただきたい技術でございます。受理番号115番「国内完結型マルチプレックスがん遺伝子パネル検査」でございまして、適応症等は、進行・再発固形がんとなってございます。今回、岡山大学病院から申請がございまして、かかる費用については表にお示ししたとおりでございます。
 技術の概要につきまして、簡単に御説明させていただきます。別紙2を御覧いただければと思います。1ページ目でございますけれども、こちら、ここに記載させていただいております適格基準を満たし、また除外基準に該当しない患者様に対しまして、このTSO500という医療機器を用いまして523のがん関連遺伝子を網羅的に解析するという技術になってございます。
 ページをおめくりいただきまして3ページでございますけれども、今回使用する医療機器が未承認のものでございますので、今回、先進医療Bとして振り分けを御提示させていただいたところでございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、受理番号115の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、事務局から先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料、先-2を御覧いただければと思います。「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。今回、先進医療Aの新規技術として御審議いただきます技術でございますけれども、整理番号338番「胃粘膜下腫瘍に対する内視鏡切除」でございます。適応症につきましては胃粘膜下腫瘍となっておりまして、かかる費用につきましては資料にお示ししたとおりでございます。
 今回、大阪国際がんセンターより申請がございました。こちらの事前評価につきましては、山口構成員及び高橋技術専門委員にお願いしてございまして、山口構成員より「条件付き適」、高橋技術専門委員より「条件付き適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙3の3ページ目を御覧いただければと思います。当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件をお示ししてございます。
 まず、実施責任医師の要件でございますけれども、診療科は消化器内科又は消化器外科、資格は消化器内視鏡専門医、当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数につきましては、実施者「術者」として3例以上、その他としまして、上部消化管ESD300件以上の経験を有する消化器内視鏡専門医が実施責任医師として内視鏡切除を行うとしております。
 また、医療機関の要件でございますけれども、診療科は消化器内科かつ消化器外科、実施診療科の医師数は、消化器内科常勤医師2名以上、他の診療科の医師数としまして、麻酔科の常勤医師1名以上、消化器外科常勤医師2名以上、そのうち1名は日本内視鏡外科学会技術認定を受けており、腹腔鏡下胃切除率50例以上、胃LECS10例以上の経験を有するとしております。
 その他の医療従事者の配置は不要、病床数は1床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査(24時間実施体制)は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会による審査体制は、定期開催及び迅速審査、随時開催でございます。
 医療安全管理委員会の設置は必要となっておりまして、その他としまして、当該技術の適応を検討するためのキャンサーボードが開催されることとしております。
 また、その他の要件としまして、頻回の実績報告は6カ月間又は5症例までは毎月報告という形でお示ししてございます。
説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。この整理番号338の技術の事前評価を御担当いただきました山口構成員から、技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○山口構成員
 それでは、資料の25ページを見ていただけますでしょうか。
 この技術は、胃粘膜下腫瘍に対して粘膜を内視鏡で切って、そこを掘り進んでいって、粘膜下腫瘍をえぐり取るという技術でございます。かなり高度の技術を要するものと思われますけれども、世界では中国で随分行われて、かなりよいという成績が出ているわけですけれども、やはりこれは穿孔リスクがかなり高くて、もし穿孔がおきた場合にはその対応が結構難しいことになる可能性があります。それから、当然出血しますので視野が悪くなり、断端が分かりにくく、組織学的に断端が不明という例が結構多く認められます。フォローアップ、1年ぐらい見ているのですけれども、まだまだ不十分でその後どうなったのか未だ不明であり、中国でたくさん症例をやっているから安全性が確保されているわけではないと、そういうことが1つ問題としてあります。
 それから、我が国におきましてはまだまだ症例数が少なくて、きちっとやれるかどうかということで、実施施設の要件についていろいろやり取りがありました。
 もう一つは適応の問題ですけれども、先ほどの議論にも重なるのですけれども、これは非常に小さい胃の粘膜下腫瘍に対して適応されており、3㎝以下ということですので、10㎜であろうと5㎜であろうと、超音波内視鏡でこういう所見があったら悪性の可能性が高いので取ったほうがいいのだという適応でやっているわけです。しかし実際には、超音波内視鏡でその辺縁がギザギザしているから悪性だとかいうのは、かなり大きいものに関してはそのとおりなのですけれども、それが5㎜とか10㎜、そういう小さなものになると、そういうデータが実は余りありません。
 そういうことから、余り小さいものまで強引に内視鏡で悪性か悪性でないか判断ができてやるというのはおかしいということで、研究者とは大分やり取りして、やはり適応をもう少し絞っていただきました。要するに、11㎜以上、ある程度の大きさがないと判断ができないということです。
 もう一つは、今回の対象となるような疾患に対しては、まず2㎝以下であれば経過観察でいいわけであって、それに対して積極的にFNAをやったりしたほうがいいというエビデンスはありません。かつては、GISTは小さくても非常に悪性化して、見つけ次第切ったほうがいいという御意見もあったのですけれども、23ページを御覧いただきますと、50歳以上の剖検例では、非常に小さいGISTに関してはほとんどが悪性度の低いものであったということです。検査を行えば小さなJISTがかなりの頻度で見つかります。決して全ての小さいGISTが悪性化するわけでないということも分かってきていますので、やはり適応に関しては慎重にしていただきたいということで、やり取りを随分重ねました。かなり厳しいことを申し上げて、誠実にちゃんとお答えいただいて、適応を絞ったり、それから説明書のほうを変えたりしていただいて、慎重にやっていただくことになりました。それから、やる施設の技術的な要件ですが、きちっとやれる人の技術度が確認できる状態でやってくださいということで、慎重にやるようにということでお認めいたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。続きまして、高橋技術専門委員から評価結果について説明をお願いいたします。
○高橋技術専門委員
 高橋でございます。
 御専門の山口先生と、それから研究者の間で20件近くの質問とそれに対する回答を十分読ませていただきまして、今、山口先生おっしゃいましたように、大変真面目に回答されているという印象でございました。技術的にはまだ成熟しておらないところがございますので、やはり最初の何例かはきちっと御報告いただきたいということで、私はコメントとしまして、安全性、技術的成熟度に問題があるから、研究開始後5症例までは実績報告が必要であるということで、「条件付き適」とさせていただきました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、お二人の御説明につきまして何か御質問等ございますでしょうか。
 横井先生、どうぞ。
○横井構成員
 完全切除が必要だと書かれていて、偽皮膜損傷を認めた場合にR1と定義するということですけれども、こういうくり抜いたようなものの腫瘤の切り出し方法とかサージカルマージンって、やり方はもう決まっているのでしょうか。
○山口構成員
 実は病理学的に半分が不明です。というのは、焼き取りますので、断端の距離が十分取れない場合には分からないのです。ただ、やった結果が肉眼的には完全に取れたので問題ないということですけれども、病理的にはやはり断端が分からないということは半分ぐらいあるということで、余り悪性度の高いものに関しては非常に問題が多いと思います。
○横井構成員
 そういう腫瘍の切り出し方法を幾ら定義しても分からないものは分からないということになってしまうのですね。
○高橋技術専門委員
 高橋でございます。
 この辺のところも、山口先生と、それから研究者の間で大分やり取りがあったのですけれども、この程度で仕方がないなというところが現実ではないかと思います。焼いてしまいますので、なかなか分からないというところでございます。
 以上です。
○横井構成員
 ありがとうございます。
○山口構成員
 いろんな危険性を考えたのですけれども、実際にはやはり小さいGISTの悪性度の高いものというのは頻度的には少ないのです。もう一つは、肉眼的に一応取れたら、病理学的な結果がどうであろうとも予後は悪くないというデータも一部ありますので、この辺りまでは許してもいいのではないかなと判断いたしました。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 適応も11㎜から30㎜以下と厳しくしていただきましたし、それから、研究開始後5症例までは実績報告をしていただきたいということで、「条件付き適」という御判断をいただいておりますが、そのような決定でよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 反対の意見はないようですので、「条件付き適」と判断させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 次に、事務局から既評価技術の新規共同実施に係る評価等についての資料が提出されております。これについて御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料先-3を御覧いただければと思います。今回、先進医療Aの新規共同実施として御審議いただきます技術でございますけれども、先進医療Aとして既に告示されております「細胞診検体を用いた遺伝子検査」でございます。
 適応症につきましては、従来と変更なく、肺がんとなってございます。今回、委託医療機関として申請いただいたのが宮城県立がんセンターでございまして、受託医療機関につきましては既に実施が認められております自治医科大学附属病院でございます。
費用につきましてはお示ししたとおりでございまして、事前評価につきましては横井構成員に御担当いただきまして、総評として「適」という御評価をいただいております。
 続きまして、保険医療機関の要件について御説明させていただければと思います。別紙4の6ページを御覧いただければと思います。こちら、共同実施による先進医療を実施可能とする受託側医療機関の要件でございまして、こちらにつきましては既に告示をされております施設基準と同様になっております。
 続きまして4ページ目を御覧いただければと思います。こちらに共同実施による先進医療実施可能とする委託側の医療機関の要件が設定してございます。受託側との相違点でございますけれども、診療科のところが呼吸器内科又は腫瘍内科、呼吸器外科となってございまして、委託側、医療機関の要件の診療科もそのようになってございます。また、医療機関としての当該技術の実施症例数でございますけれども、受託側が100例以上となっているのに対しまして委託側が5例以上という形で相違があるということでご ざいます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。この技術の事前評価を横井構成員にお願いしております。横井構成員から技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。
○横井構成員
 この試験は3月の本会議で承認いただいたもので、1年間に500例集積するという予定で、他施設で検体を採取して、申請施設の自治医大で分析するというものですので、検体採取を行う施設として宮城県立がんセンターを追加するという意味合いでございます。したがいまして、本先進医療実施可能とする保険医療機関の要件に該当していれば問題ないと考えましたので、適応性に問題はないと判断して「適」といたしました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、構成員の御評価結果どおりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 続きまして、事務局から先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が提示されております。これについて事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、医療機関より1件の先進医療技術の総括報告書が提出され、先進医療技術審査部会におきまして評価が行われましたので、その評価結果について御説明させていただきます。
 先-4を御覧いただけますでしょうか。今回、告示番号25番として実施されておりました「11C標識メチオニンを用いたポジトロン断層撮影による再発の診断」につきまして、北海道大学病院から総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますけれども、別紙5の32ページを御覧いただければと思います。こちら、脳腫瘍の患者に対して放射線治療を行った後に、脳のMRI画像で再発が疑われた方に対しまして、従来法であるFDG-PETと、この炭素11メチオニンPETというものを撮影するということでございます。FDG-PETですと放射線壊死との区別が困難である中、このメチオニンPETを行うことによって脳腫瘍だけが光るため、再発の診断が容易になるという技術でございました。
 試験結果でございますけれども、別紙5の2ページを御覧いただければと思います。2段落目でございます。まず有効性でございますけれども、このメチオニンPETとFDG-PETが実施されて、病理組織検査が陽性であった32例における両PETの感度比較では、メチオニンPETの再発診断の感度は1.00であったのに対し、FDG-PETの感度は0.50であり、両群間に有意差が認められたとのことでございます。
 また、その下に安全性の評価結果について記載がございまして、有害事象10例に認めて、1例、LDH増加が因果関係を否定できず副作用とされたということでございます。
 重篤な有害事象につきましては2例に認め、うち1例が死亡したが、いずれも原疾患の悪化による悪性神経膠腫であり、メチオニンPETとの因果関係は否定されたとのことでございます。
 総評といたしましては、新しいメチオニン専用合成装置を用いた炭素11標識メチオニンPET検査は、脳腫瘍の放射線治療後の再発診断において臨床的に有用性が高く、比較的安全に検査を実施できると考えられたということでございました。
 続きまして、担当者の御評価について御説明させていただきます。別紙5の3ページを御覧いただければと思いますけれども、主担当の伊藤構成員の御評価でございます。
 有効性につきましてはA「従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」と御評価いただきまして、コメントとしまして、本試験ではメチオニンPETが陰性の症例は病理検査がされていないため、偽陰性の検出が難しかった点を十分理解した上で、指摘事項に対する回答に基づいて、メチオニンPETとFDG-PETの感度・特異度を推定していただいております。
 その結果ですけれども、こちら、表に記載ございますけれども、メチオニンPET検査では、感度0.94、特異度0.74、FDG-PET検査では、感度0.47、特異度1.0となってございました。
 メチオニンPET検査は推定の結果を見ても感度が高く、最初に選択する検査法になると思料する。また、陽性的中率も十分に高く、単独でも十分に有効な診断手段ではないかというコメントをいただいております。
 また、安全性につきましては、A「問題なし」と御評価いただいております。技術的成熟度につきましては、B「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいておりまして、サイクロトロンの併設が必須であり、限られた施設で実施されること、また放射線治療後の再発と放射線壊死の鑑別という専門性の高い領域における高度の判断が必要であるためBとしたとコメントをいただいております。
 総合的なコメントといたしまして、FDG-PET検査に比べ、放射線治療後の再発と放射線壊死の鑑別において精度の高い検査であることが示されたが、メチオニンPET検査が陽性であっても再発と断定できない症例があることは留意する必要があるというコメントもいただいております。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率に資するかどうか等についての助言につきましては、3行目でございますけれども、薬事承認申請には資するとコメントいただいております。一方で、メチオニンPET検査が臨床現場で使用される際は、従来のFDG-PET検査の位置づけを検討することが必要でないかということでコメントをいただきました。
 続きまして5ページ目からでございます。副担当の柴田構成員の御評価でございます。有効性につきましてはA、従来の医療技術を用いるよりも大幅に有効であると御評価いただきました。ただし、コメント欄のところでございますけれども、必ずしも特異度が高くない可能性があることについて注意が必要であり、感度も100%という点推定値自体は試験デザインの特性によって生じる過大評価が含まれている数値であることに注意が必要であるとコメントいただいております。また、対象患者における診断に求められる全ての面で既存技術に優ると結論づけられるわけではないということも御指摘いただいたところでございます。
 安全性につきましては、A「問題なし」と御評価いただいております。
 技術的成熟度につきましてはBと御評価いただいておりまして、6ページ目でございますけれども、この試験のデザインから厳密なデータ収集を行うことが困難であるという制約から、臨床試験の結果得られた数値のみを形式的に取り上げて、医療体系の中に組み込んでいくことは実際には容易ではないのではないかと御指摘いただいております。
 本技術の有用性は認められるものの、既存の診断方法との使い分け等について、今後丁寧に検討していく必要があるという観点も御指摘をいただいたところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 特にございませんか。
 それでは、これをお認めしたいと思います。ありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療Bの取下げについて、資料が提出されております。これについて御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-5の資料に基づきまして御説明させていただきます。大臣告示されております先進医療Bの技術に係る取下げの申請がございましたので、資料先-5に基づきまして御説明させていただきます。
 なお、これらにつきましては、既に先進医療技術審査部会にて承認されているものでございます。
 まず、告示番号2番「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植」でございますけれども、実施計画書に従いまして、有効性に関する中間モニタリングを実施したところ、早期中止を検討する条件を満たしたということでございます。独立データモニタリング委員会での審議の結果、早期中止を勧告されたため、この臨床研究は中止とし、先進医療Bに係る届出を取り下げるということで、総括報告書については準備中とのことでございました。
 また、告示番号11番「FDGを用いたポジトロン断層撮影によるアルツハイマー病の診断」でございますけれども、こちらも試験終了のため、先進医療取下げということでございまして、総括報告書は現在作成中ということでございます。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療の保険導入等の検討についての資料が提出されております。これについて御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-6の資料に基づきまして御説明させていただきます。「先進医療の保険導入に係る検討における指摘事項及びそれに対する対応について」でございます。こちら、2ポツ目でございますけれども、令和元年12月5日開催の第82回先進医療会議におきまして、この診療報酬改定に合わせて既評価技術の保険導入に係る検討を行った際に、1名以上の評価担当の構成員等から、先進医療から取り消すことが適当と評価された技術、また、保険導入に係る検討に必要なエビデンスを集積する観点から、特別に指摘があった技術につきましては、次回の診療報酬改定までに各技術に応じた指摘事項への対応を求めることとされております。
 今年の6月に行われました第86回先進医療会議におきまして、この指摘内容とその課題について御議論いただきました際に、課題に対する現時点での対応案の提出を医療機関に求めることとしてはどうかという指摘がございました。
 この指摘を踏まえまして、医療機関又は学会に指摘事項について照会を行いまして、この対応案が提出されたため、御確認いただきたいというものでございます。
 具体的な指摘事項、回答案につきましては別紙6を御覧いただければと思います。別紙6の1ページ目でございますけれども、今回、課題を紹介させていただきました技術が7つございまして、こちらに対してそれぞれ回答案をいただいているところでございます。
 まず1つ目の技術、告示番号1番の「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」につきましては、高周波切除器を用いない術式等の保険適用のロードマップについて関連学会と検討することという形で課題をいただいたところでございます。こちらにつきましては、学会の協力を得て、高周波切除器を用いた術式と用いない術式の比較を行うという形で回答をいただいております。
 また、1つ飛ばしまして、告示番号6番「抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査」につきましては、当該技術の臨床的有効性について文献等で提示することと課題を頂戴しているところでございます。こちらにつきましては、再発までの期間及び生存期間のデータをまとめる予定であると回答いただいているところでございます。
 また、15番「培養細胞によるライソゾーム病の診断」、16番「培養細胞による脂肪酸代謝異常症又は有機酸代謝異常症の診断」につきましては、実施医療機関を増やす等の取組を行いまして、当該技術の普及性の向上を図ることと御指摘をいただいたところでございます。
 こちらにつきましては、ライソゾーム病の診断の大阪市立大学医学部附属病院からは、現在、本検査に関しては医療法に準拠した検査体制を確保することが難しく、今後、この検査体制の確立が可能かどうかを検討すると回答いただいております。
 また、島根大学医学部附属病院からは、今後、病院間連携による患者様の確保及び国内外の研究施設と連携した精度管理技術の開発を行う予定であると回答いただいております。
 最後に、21番の「LDLアフェレシス療法」につきましては、当該技術の既存技術と比較した有効性について文献等で提示することと課題を頂戴しておりまして、こちら、記載させていただいているような観察研究の実施準備を進めているところと回答いただいているところでございます。
 また、2ページ目でございますけれども、告示番号2番、5番、陽子線治療、重粒子線治療につきまして、日本放射線腫瘍学会のほうにいただいた御指摘を紹介させていただいた次第でございます。
 2ページ目がこの学会からの回答になってございますけれども、この回答の1段落目からでございます。令和2年度改訂におきまして、登録データの一部を提出させていただきましたが、患者背景等を踏まえた十分な解析に至らず、対象とする病期や比較すべき既存治療の設定などが不明確であったということでございます。
 そこで、学会において統一治療方針に掲げた疾患について、提出資料「先進医療として実施された粒子線治療と標準治療との比較」を作成いたしまして、データとして示すという回答をいただきました。
 また、この既存の標準治療としては、既に保険収載されて広く行われている強度変調放射線治療を中心とした高精度レントゲン治療において、ガイドライン等に採用された治療成績を提示するという形でいただいております。
 また、粒子線治療の治療成績につきましては、先進医療として実施された日本の粒子線治療で、統一治療方針のデータ解析による治療成績、またこれまで論文として発表された治療成績、また、システマティックレビューによるその他の重要なエビデンスを明確に記載するとしておりまして、この資料作成につきましては、資料収集と情報の客観性、透明性を確保するために当該疾患を専門とする他学会及び診療ガイドライン委員会などの御協力のもとに作成する予定とであると回答をいただいております。
 以上、6つの技術につきまして回答案をいただいたところでございますので、こちらを踏まえ、医療機関のほうには次期改訂に向けて取組を進めていただくと同時に、先生方におかれましては、また追加で御指摘事項などある場合には、この場で御審議いただきまして、その指摘事項につきましては医療機関のほうにお伝えしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方、何か御意見等ございますでしょうか。
 一応こちらからの課題事項につきまして、それぞれの担当の機関、あるいは学会から対応方針については具体的に示していただいたものだと思います。したがいまして、これをしっかりと検証していくということが必要ですので、事務局としては、これは全ての御返事をいただいたときにまたこの場でそれを御披露して御意見いただくということでよろしいでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、この課題とその対応案の回答をいただいた際に、こちらの会議にお諮りさせていただく旨お伝えはしておりまして、そこで何か追加で指摘事項がある際には、再度医療機関のほうにお伝えさせていただいて、さらなる対応をお願いすることはありますという形でお伝えはしているところでございます。ですので、何かこの場で追加の御指摘ある場合にはそれをこちらのほうで医療機関のほうにお伝えするということでございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何かこの場で御指摘になるような点、ございますでしょうか。
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 粒子線治療のことですけれども、今までの報告を見ると、評価不能というのがかなり多数を占めていて、結局、評価できていないというのがあるので、必ず評価不能を少なくするというか、評価をきちっとできる体制を整えるということを1つぜひ要望していただければ大変ありがたいと思います。でないと、評価できたものだけ評価して、よく効いたという形のメッセージが届くわけですね。非常にまずいと思いますので、比較できることも含めて、やはりデータの質を上げていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。福田先生はいかがですか。
○福田構成員
 すみません。ちょっと別な点ですけれども、ちょっと確認ですが、技術の15番と16番の実施件数がゼロだったものですが、これは取組を検討していただくということでこの方針で進めていただければと思いますが、これを拝見する限り、次回の改訂のための議論にはデータが出てこないように私には思えるのですけれども、そうすると、この御検討いただいたものについて、多分、さらに継続をということであれば、その時点での、あと何年ぐらいとか、具体的な見通しをお示しいただくような必要があるのではないかなと思います。今とは言いませんけれども、この先あとどのぐらいで具体的に集まるのかみたいなところもお願いしないといけないのではないかなと考えます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。そのようなこちらからの要望を伝えるということですね。よろしいでしょうか。
 そのほかいかがでしょうか。
 それでは、このような対応をさせていただきたいと思いますので、どうもありがとうございました。
 本日は、予定しておりました議題は一応済んだのですけれども、追加の議題がございます。事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、追加の議題で御審議いただきたいものがございまして、本議題に係る審議につきましては、審議会等会合の公開に関する指針に基づきまして非公開とさせていただきます。
 なお、本議題に係る資料及び議事録につきましては、後日、先進医療のホームページ上で公開させていただきたいと思います。
 それでは、大変恐れ入りますけれども、傍聴の方におかれましては、一時御退席をお願いいたします。
 先生方におかれましては、会場の傍聴の参加者の方が御退出されるまで少しお待ちいただければと思います。
 (傍聴者退出)
○先進・再生医療迅速評価専門官
 それでは、御説明させていただきます。先生方のお手元に先-7と別紙7という資料をお送りさせていただいたところでございますけれども、こちら、非公開の会議となりますので、メールでも御連絡させていただきましたが、取扱いについてはくれぐれも留意いただきますようよろしくお願い申し上げます。あと、この会議終了後に速やかに破棄していただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
 まず、先-7の資料に基づきまして御説明させていただきます。申請医療機関からの報告ということで、今回、先進医療として行われている技術につきまして、参考論文による研究不正行為による研究実施計画の変更についてということで医療機関のほうから報告がございました。
 1ページ目、経緯のところを御覧いただければと思いますけれども、告示番号B17番、先進医療Bとして行われております周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法におきまして、研究計画立案のもととなる参考論文1編で特定不正行為が認定されたということでございます。
 2ポツ目、報告の概要のところを御覧いただければと思います。(1)のところでございますけれども、2017年12月に大阪大学研究厚生委員会委員長及び国立循環器病センター理事長に対しまして、大阪大学医学部附属病院の元医師及び国循元室長が発表した21編の論文において特定不正行為が疑われるとする申立てがございました。
 この申立てを受けまして大阪大学のほうで調査が行われまして、その結果、5編の論文について特定不正行為が認定されたとのことでございますけれども、そのうち1編につきましては、現在、先進医療Bとして実施中の上記特定臨床研究の研究計画立案の基となる参考論文の一つであることが判明したということでございます。
 具体的な中身につきましては別紙7のほうに記載させていただいておりますけれども、こちら、COPD併存肺がん患者に対する周術期低用量hANP投与が術後心肺合併症発生の軽減に有用な可能性があることを論じた研究でございます。その中におきまして、別紙7の5ページでございますけれども、掲載されているグラフに改ざんがあったことが認定されたということでございます。
 先-7の2ページ目でございますけれども、この研究につきましては、患者登録は既に終了しておりまして、現在は観察期間中となっているところでございます。
 2つ目の〇でございますけれども、この申立て以外に、この医師の方が関与した論文6編につきましては、国循で追加調査が行われる予定ではありますけれども、そのうち1編は、この先進医療研究の研究計画立案の根拠論文の一つとなっているhANP投与ががん細胞の転移抑制効果を有する可能性を論じた基礎研究及び臨床研究であるとのことでございます。
 (2)認定臨床研究審査委員会での継続の審議の概要ということでございますけれども、こちら、研究代表医師より大阪大学の認定臨床研究審査委員会に対し上記の経緯が報告されまして、2020年の5月から6月にかけて4回にわたって、この臨床研究の継続の可否を含めた審議が行われたところでございます。
 審議におきましては、今回の研究不正によって試験の根底が揺らぐ可能性はあるものの、患者保護の観点から、安全性に関する評価項目の追加等に伴う試験実施計画書、同意説明文書の変更、患者への研究参加継続への再同意取得及び説明文書の送付等の必要な対応を行った上で、特定臨床研究として継続することと意見がなされたということでございます。
 こちらを受けまして、医療機関のほうから、先月7月9日に行われました先進医療技術審査部会に、この研究実施計画の変更という形で、この報告と試験変更届出が提出されました。
 先進医療技術審査部会のほうでも、この議題について、非公開で審議が行われているところでございます。技術審査部会のほうでは、別紙7の最後のページにございますPatient letterの中身を修正案や、不正に関する詳細な報告書を提出することを決定した上で、今後も継続して審議を行うという結論になっております。
 この先進医療の技術につきましては、先進医療会議のほうでも承認を受けたという経緯を踏まえまして、この会議の場でも御報告させていただくということでございます。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。これは技術部会のほうでまだ審議中の案件ということでよろしいですか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 座長先生おっしゃるとおりでございまして、今現在、技術審査部会でその内容等につきまして詳細に議論を行っているところでございます。
○五十嵐座長
 その結論はいずれ近いうちにこちらにも御報告されるのでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 はい。技術審査部会で一定の結論とか出た場合には、また改めてこの会議の場で御報告させていただくことになるとは思います。それがいつかというのは今申し上げることはできないのですけれども、その際には必ず御報告させていただくということでございます。
○五十嵐座長
 以上のような御説明ですが、委員の先生方、何か。
 どうぞ、山口先生。
○山口構成員
 技術審査部会のほうでの様子をちょっと御報告しておきます。
 技術審査部会では、全構成員がほぼ、とんでもない事態であるということで、まず報告が遅いとか、説明が全然まだいっていないとか、それから、調査が不十分という種々の御指摘がありまして、計画書の変更でなくて、まずはその辺りを急ぐようにということで、突き返したような形になりました。
 実際、2つの大きなポイントがありまして、1つは、今回使われている薬剤の安全性に関わる問題が1つ、もう一つは、そもそもこの研究の意義である再発防止とか転移抑制ということに関する根本的なデータに関する論文についての評価がまだ不明であるということなのです。
 特に転移を抑制するとかそういうことに関しての論文の完全な評価が、大阪大学のほうで調査しているわけですけれども、まだ報告書が上がってきていないということで、それを早急に上げていただいて、それがどの程度の重みを持つものかということで、場合によっては先進医療を中止するという選択肢もあり得るということでお返しして、今、向こうから返事をいただいているところです。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。確かに告発の時期が2017年12月ですから、今から2年半ぐらい前の話ですものね。
 どうぞ、長島先生。
○長島構成員
 長島です。
 この先進医療の研究の根幹は、国民患者の信頼です。その信頼が失われるということは、この先進医療の制度そのものの危機でありますので、まずは当然患者保護を最優先すべきですが、やはり再発予防というのをしっかり行って信頼を回復させるということが重要ですので、まずは、研究機関、あるいは個人で徹底的な調査を行い、そこでしっかり検討して再発予防策を出していただくということ。あるいは、個人、研究機関、さらに国としても、この制度として再発予防をしっかり行うということを、まずしっかり調査の結果を踏まえた上で行い、国民の信頼回復に努めるということで、これは極めて重大かつ深刻な事態と受け止めております。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。そのほか、御質問、あるいは御意見いかがでしょうか。
 どうぞ、竹内先生。
○竹内構成員
 竹内でございます。
 私、十分理解できなかった点が1つあるのですが、この不正を働いた医師というのは、今回の先進医療の研究の中で役割を持っている医師と理解してよろしいのでしょうか。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 こちらの医師につきましては、臨床研究の計画立案に関わっていました。一方で、患者さんの診療には関わっておらず、臨床研究自体のデータを扱える立場にもなかったとお聞きしております。
○竹内構成員
 分かりました。それは大変深刻だと思います。ありがとうございます。
○五十嵐座長
 ほかにいかがでしょうか。
 福井先生、どうぞ。
○福井構成員
 これは不正論文を書いた先生方は全面的に認めていないのでしょうか。異議申立てがあったということですけれども、その根本的なところから対立しているのか、ある程度は認めた上で調査がさらに進められるのか、被告発者の先生方はどういう状態なのでしょうか。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 論文不正自体の調査は、大阪大学と国立循環器病研究センターの調査委員会で行われてきたところでございます。その調査の過程で、御指摘いただいたような被告発者からの異議申立て等の機会もあったとはお聞きしております。最終的な調査報告書が我々のところに届いておりませんので、ご質問の点については今後の会議等でお示しできればと考えております。
○五十嵐座長
 よろしいでしょうか。
 大変深刻な状況ではありますので、いずれにせよ、大阪大学と国循の両方から正式な報告書が来ると思います。それを基に、技術審査部会でもう一度しっかり討議していただいて、その御報告をこちらにしていただく段取りと理解してよろしいですか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 はい、御指摘のとおりでございます。
○五十嵐座長
 それでは、山口先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、追加の議題はこれで終了したいと思います。
 最後の議題、残り、その他になっておりますけれども、何か事務局からございますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-6につきまして少し補足させていただければと思います。先ほど山口構成員のほうから、粒子線に関して評価が不明である件数が多いと御指摘をいただいきました。こちらにつきましては以前も頂戴した御指摘でございまして、回答のほうには載っていなかったのですけれども、学会のほうには既にお伝えしております。学会のほうからも、ちゃんと評価ができるような評価軸を作成しますという形で回答いただいておりますので、次の実績報告等の際には対応していただいているものと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。そのほか、構成員の先生方から何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、今日の議題は以上で終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和2年9月3日16時からを予定しております。場所については別途御連絡させていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、長時間にわたりまして活発な御意見をいただきました。これで第88回「先進医療会議」を終了いたします。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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