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2020年7月2日 先進医療会議・先進医療合同会議(第87回先進医療会議、第101回先進医療技術審査部会)

○日時

令和2年7月2日(木)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
福田構成員 藤原構成員 山口構成員 山本構成員 佐藤構成員 飛田構成員
斎藤技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)

○議事

〇先進医療合同会議(第87回先進医療会議、第101回先進医療技術審査部会)
16:00開会

○五十嵐座長
 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから国家戦略特別区域内で実施する、先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について「先進医療合同会議」を開催したいと思います。
 初めに、構成員の先生方の出席状況について御報告いたします。
 本日は、石川構成員から御欠席という連絡を頂いております。
 また、先進医療技術審査部会から佐藤構成員、飛田構成員、斎藤技術専門委員に出席を頂いております。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿と続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙の資料がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 資料につきましては以上でございます。
 また、今回の先進医療会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただきました資料を閲覧していただきます。
 発言される先生方におかれましては、会議資料のページ、または送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 資料等につきまして、何かございますでしょうか。よろしいですか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 それでは、今回の検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、御報告をお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、同様の事例はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 次に、事務局から「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」、説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料について補足をさせていただきます。
 追加で「先進医療会議事前評価担当員からの指摘事項に対する回答」としまして、1枚紙の資料を本日お送りさせていただいております。御確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、先-1の資料に基づきまして説明をさせていただきます。
 今回御審議いただきます技術は整理番号140番、技術名は「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に対する凍結療法」でございまして、適応症については結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫でございます。
 係る費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当として山本構成員、副担当として飛田構成員、佐藤構成員、斎藤技術専門委員にお願いしておりまして、総評としては「適」の御評価を頂いております。
 また、先進医療会議における事前評価につきましては、竹内構成員にお願いしてございまして、総評として「条件付き適」の御評価を頂いております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の御説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の資料、別紙1の21ページ目を御覧ください。
 審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるもの、様式第9号について御説明いたします。
 まず、1番目の「実施責任医師の要件」でございますけれども、診療科は泌尿器科または放射線科。
 資格につきましては、日本泌尿器科学会または日本専門医機構認定泌尿器科専門医または日本医学放射線学会認定放射線科専門医となってございます。
 当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術の経験年数は不要となってございます。
 当該技術の経験症例数も不要となってございまして、その他、上記以外の要件はございません。
 2番目の「医療機関の要件」でございますけれども、診療科は泌尿器科または放射線科。
 実施診療科の医師数は必要となってございまして、具体的内容につきましては、小径腎悪性腫瘍に対する凍結療法の経験を3年以上有する常勤の泌尿器科専門医もしくは放射線科専門医1名となってございます。
 他診療科の医師数は不要で、その他医療従事者の配置としまして診療放射線技師が必要となってございます。
 病床数は250床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は医師2名以上が必要となってございます。
 緊急手術の実施体制は必要で、24時間実施体制を持つ院内検査が必要となってございます。
 また、他の医療機関との連携体制は不要となっております。
 医療機器の保守管理体制は必要となっております。
 また、医療安全管理委員会の設置が必要となっております。
 医療機関としての当該技術の実施症例数は不要、その他としまして、小径腎悪性腫瘍に対する凍結療法の経験が5例以上あることとなってございます。
 3番目「その他の要件」としまして、頻回の実施報告等は不要となっておりまして、その他の要件はございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 では、整理番号140について評価結果を御報告いただきたいと思います。
 初めに、主担当である山本構成員から御説明をお願いいたします。
○山本構成員
 山本でございます。
 お手元の別紙1の資料を御覧ください。
 先進医療の名称は「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に対する凍結療法」で、申請医療機関の名称は九州大学病院でございます。
 お手元資料の13ページです。この凍結療法の概要図がございます。
 「技術の概要」ですけれども、CryoHitと言われる小径腎悪性腫瘍に対して承認されて保険収載されている凍結療法の機器を用いて、腎にある悪性腫瘍ではなく、この疾患に伴う腎血管筋脂肪腫を凍結させて壊死させることでございます。
 「試験の流れ」もそこにありますけれども、対象を選んで同意を取って、事前検査を行い、登録をし、それから、今、この腎血管筋脂肪腫に対する治療として内服薬が1つあるのですけれども、そちらは中止をしていただいた上で、血管造影、動脈塞栓を必要に応じて実施し、その上で凍結療法を行うということで、その後、腫瘍が縮小するかということを9か月後に評価を行うことになっております。
 この裏側には薬事承認申請までのロードマップが載っておりまして、この先進医療を行って、IVR学会からニーズ検討会に要望をかけて、公知申請の検討をしてもらう。難しければ、必要があれば治験を考えるということになっております。
 欧米での現状は、米国では薬事承認があり、欧州でもある。ただ、ガイドライン記載はない。進行中の臨床試験もないということになっております。
 資料、別紙1の2ページ目を御覧いただきまして、まず【実施体制の評価】の私の評価部分ですけれども、責任医師の体制、実施医療機関、医療技術の有用性ともに「適」としております。
 最初に提出された資料で、モニタリング手順書の提出がないとか、幾つか体制面の不備はございましたが、照会したところ、対応する準備は整っていて、この会議の直後のCRBにかける予定で準備はされているということで、そちらの資料等は確認いたしましたので、体制面としては「適」とさせていただきました。
 では、斎藤先生に。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 では、続きまして、斎藤技術専門委員からお願いいたします。
○斎藤技術専門委員
 斎藤でございます。
 評価表のとおり、実施責任医師の体制は「適」、実施医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性も「適」ということにいたしました。
 追加として、本技術はもともと小径の腎がんに適応がございまして、現在、日本では私の知る限りでは28医療機関に入っていると思われます。ですから、均てん化はされていると思うのですが、実はこれは先ほどのポンチ絵でありましたように、針を刺して凍結するのですが、1つの症例に平均3本ぐらい要るのです。定価で1本15万円近くする高いものを使いますが、手術代はほとんどその機械代だけで持っていかれてしまうという状態ですけれども、今、問屋に聞くと大体2,000本ぐらい出ているそうなので、そうすると、3本使うと年間で650症例ぐらい行われているというのが実績だと思います。
 これは泌尿器科からの申請なのですが、私は九大とはコンタクトがないので分からないのですが、実際問題は泌尿器科で入院して、技術をやるのは放射線科というのが現状だと思います。実は10年前に適応になるときの保険適応の審査も私が保険適応委員会でたまたま担当していましたので概略は分かっているのですけれども、そこら辺ということでございます。
 問題は、ここに書いてありますように、言い方が悪いのですけれども、針代が非常に高いので、その前にアンギオでエンボリをやるというのが定型化しつつあるので、非常に問題だと臨床の面では考えている。今回は対象疾患が違いますけれども、恐らくそういうことが起きてくるのでしょう。それの各医療機関の言い方とすると小径と言われているのですが、径が大きいので出血が予想されるのであらかじめエンボリをやったということ。あと、エンボリをやる機材がなかなか泌尿器科専門のものがないので適応外使用になっているのです。
 要するに、肝臓に対する塞栓物質を使ってくる医療機関が非常に多いので、そこら辺が今後、これを進めるに当たって問題かということで、評価に関しては全て「適」ということですが、そこら辺がしっかり見ていかなくてはいけないということでございます。
 以上です。
○五十嵐座長
 大変貴重な御指摘も頂きまして、ありがとうございました。
 では、続きまして、佐藤構成員から倫理的な観点の評価をお願いしたいと思います。
○佐藤構成員
 佐藤でございます。
 別紙1の2ページを御覧いただきたいと思います。
 今回、4の項目、5の項目、両方とも「適」といたしました。
 当初は自己負担分についても研究費で持つという形になっていましたが、その後、修正がされまして、保険適用の部分の自己負担分については患者さんに負担をしていただくという形で、大体17万8000円弱ですが、一定の治療的な効果が見込めることから許容できると考えました。
 健康被害が起こった場合の手当て等についても、十分になされておりますし、相談体制も適切と判断いたしました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 では続きまして、飛田構成員から試験実施計画書等の評価をお願いしたいと思います。
○飛田構成員
 よろしくお願いします。
 お手元の資料、別紙1の3ページに私の評価表がありますので、そちらを御覧いただきたいと思います。
 今回の試験のデザインについてですが、選択基準ではmTOR阻害薬の投与の有無が不問にされている一方で、有効性の評価はmTOR阻害薬投与中止後に高率にPDになるということに基づいて評価し、解析する計画となっています。そのため、本医療技術が実際にどういう患者さんに投与するべきなのか、投与対象になり得るのかということに関して、将来的なこの医療技術の位置づけや適切な対象となり得る患者集団というのがどこにあるのかということに関して、少し照会をさせていただきました。
 その回答が別紙の資料の後にあるのですけれども、申請者からの回答としては、本試験の成績の結果に応じて、本技術の投与対象を含めたガイドラインを改定する検討がされているということ、mTOR阻害薬投与中止後、あるいは未投与の場合であってもAMLが増大しない患者の割合が9~12か月ぐらいで10~20%という成績等から、解析方法についても妥当と考えるというような回答がなされています。
 今回、安全性の側面に関しては、本試験では登録症例が3例になった段階で、一時的にこの試験の登録を中止して、中間解析を行って、治療後3か月の時点までの有効性と安全性からその後の登録の再開を判断する計画になっています。
 その次に「実施条件欄」ですが、先ほど山本先生から御指摘があったとおり、モニタリングの手順書や実施計画書の副次評価項目の解析に関する記載等に関しては適切に修正され、この会議の直後に開かれるCRBで申請し、この部会へも変更申請を行う予定であるという回答がなされていましたので、私の評価としては6番目から16番目、いずれも「適」と判断させていただきました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの御説明を踏まえまして、山本構成員から現時点での先進医療技術審査部会としてのおまとめをお願いいたします。
○山本構成員
 別紙1の4ページ目に総合評価を記載しております。
 総合評価は「適」とさせていただきました。飛田先生からもございましたけれども、幾つかちょっと不備、それから修正が必要な箇所はございますが、事前のやりとりの中で適切に修正されるということは確認されましたので「適」と判断させていただいております。
 この対象疾患なのですけれども、神経内科のほうでも難病ということになっていて、特に乳児とか小児の段階で難治性のてんかんを起こしたりするような方もありまして、今回は16歳以上になって、このAML、血管筋脂肪腫をきちんと治療するということになっておりますけれども、そこに至らないようなレベルの重症度のある方もありますし、ちょっとこの研究計画書からだけでは読み取れない、かなり重症感の相当違う対象者が含まれる可能性があるということもありまして、ちょっと選択除外基準など、そういうところにも少し事前に照会はかけておりますが、その辺りは適切に修正していただけるということは確認いたしました。
 それと、mTOR阻害薬がファーストチョイスということなのですけれども、申請者とのやりとりの中で、必ずしもファーストチョイスと言って皆さんに使えるような状況でもないということと、みんなに使った場合にそれほど望ましい結果がみんなから得られるわけでもないということで、いまだかなりアンメットメディカルニーズのある領域であろうと推察しております。
 ということで「適」ですけれども、ちょっとCRBとの修正の変更申請の辺りの順番は事務局で整理をしていただかないといけないとは思いますけれども、修正後の内容であれば「適」として判断できるかなということで、技術部会のほうは「適」と判断させていただいております。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、先進医療会議における事前評価に移りたいと思います。
 竹内構成員に事前評価をお願いしております。御説明をお願いいたします。
○竹内構成員
 資料、別紙1の11ページを御覧いただきたいと思います。
 私のほうは、倫理的なところは問題なし。現時点での普及は、あまり普及していない。効率性は、やや効率的と判断させていただきました。
 一番引っかかりましたところは、先ほど山本先生、飛田先生からも御説明いただいた適応のところでございました。
 将来の保険収載の必要性について、妥当であるけれども、本技術の適応、複数あるいは治療法の中における位置づけなどについて検討する必要があるのではないかというコメントを記載させていただき、特に私が一番気になりましたのは、本技術が結節性硬化症でAMLサイズ1cm以上4cm以下というサイズのところで、これまでのガイドラインでは3cm以上の場合は薬物治療を第1選択薬とするというガイドラインがございまして、この技術が導入されますと、すなわち第1選択薬、薬物治療をする前のサイズ1cmから3cmに対してこの凍結治療をするということになりますので、ここの点はガイドラインにない適応が拡大するのではないかということで少し心配をいたしました。
 これについて、別添、添付資料141ページ、ちょっと後ろのほうになりますが、御覧いただきますと、European UrologyにこのAMLのサイズ別の腫瘍増大率というのが示されておりまして、それによりますと4cm以下のものの腫瘍増大率は年間0.1cm、かなり少ないという記載がございましたので、この点も踏まえまして、もう一度、この点はどういうふうにお考えになるのかということを質問させていただきました。
 そうしますと、先ほど山本先生も御指摘になっておりましたが、このAMLには原因によってかなり増大率に差があるということで、特にこの結節性硬化症によるAMLというのは急速に進行するのだと回答を頂きまして、このEuropean Urologyに記載のある4cm以下のサイズのもので年0.1cmということは通常ないということで、したがって、その回答の中にもpersonal communicationで、もし薬物治療を中断あるいは無治療の場合に9か月経過すると80%から90%は進行する。その進行する腫瘍の増大率も大きいというコメントを頂戴しまして、文献上の裏づけはないのですが、そのようなことであれば、この1cm以上4cm以下のAMLに対して凍結療法をするのは妥当だと考えました。
 したがいまして、私はその意見を伺う前まではこのような形で「条件付き適」にしておりましたが、昨日の晩、新たなこの回答書、7月1日付で先方から得られました回答書が添付にございましたが、これを読んでいただきますと、今のようなサイズの問題、あるいは腫瘍の増殖の問題について、きちんとしたエビデンスがあって、このようなことを記載し、この1cm以上4cm以下の増大するAMLに対する凍結療法と考えているということをお返事いただきましたので、私はこれをもって「適」としていいのではないかと考えました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、御説明はこれで全てしていただいたのですけれども、これまでの御説明につきまして、何か御質問あるいは御意見ございますでしょうか。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 私は専門ではないのですけれども、腹部のCTを撮ると時々見つかりますが、我々は基本的には良性に近いのでほとんどのものは放っておいてもいいのではないかと理解したのですけれども、こういう疾患の場合には通常のものと違い非常に急速に増大するのだということですけれども、本当に具体的なそういうデータがあるのでしょうか。
 斎藤先生など、御存じでしたら、教えていただきたいと思うのです。
○斎藤技術専門委員
 一般的にはそう言われているのですけれども、具体的なデータはないと思います。
○山口構成員
 研究者が想定するというのは、思っているだけなのでしょうか。
○斎藤技術専門委員
 一般的にはそう言われていて、私たちもそういう認識がありますけれども、症例自体がそんなにありませんから、比較対照するようなものはないので、それをバックアップするような論文などは少ないと思います。
○山口構成員
 今までの症例をある程度見て、やはり急速に増大する例が多いということを示していただかないと、適応が非常に広くなってしまって、竹内先生が最初に懸念されていたようなことが起きるのではないかと思って、ちょっと発言しました。
○竹内構成員
 ありがとうございます。
 山口先生、実は私もそこのところを一番懸念しておりまして、この治療法をやったときに自然経過が分からないと、本当にこの治療法が効いたのかどうなのか、判断できないのではないかと思いまして、SDになったといっても、もともと進行しないものにやってSDというのは当たり前ですので、そこが一番、懸念材料でございました。
 追加の添付資料にその回答がございまして、私も専門家ではないので、この自然経過がどうなのかということに関しては、論文がないので検索できませんでしたけれども、回答書の中に御自分たちの経験で、これは明らかに増大するのだということを非常に強く書いてこられましたので、それならばと私は判断したという背景でございます。
 論文的に記載はないだろうと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○山本構成員
 先生方の御懸念、私も同様に感じております。
 personal communicationということで今は回答を頂いているのですけれども、要は試験をやった後にどういう形でガイドラインに位置づけていくかというときには必要になってくる話だと思いますので、やはり並行して、観察研究であっても論文として出していただくとか、ちょっとそういうことはコメントとしてこちらからつけていく必要があるのかなと思います。
 個人的には、このTSCというのは神経内科領域ではすごく難病という印象がありまして、どちらかというと大きくなるよりも、小さい間の難治性てんかんをどうするかとか知的障害をどうするかとか、そちらのほうが神経内科的にはすごく問題になる疾患だと記憶していたのですけれども、今回、これを見ると比較的そういう症状が軽くて、大きくなってくると今度はAMLのせいで腎機能に問題が出てきて、そちらが生命予後にも関係してくるというお話だったので、難病で希少疾患でさらに相当重症度に差のある症例が存在するということなのかなと思いましたので、そういう意味ではあまりまとまった症例報告がないというのは、それはそれで仕方がないのかなという気はしたのですけれども、今後この治療のガイドラインに位置づけていくのであれば、先生方御指摘のようなベースラインのデータがないと、この試験だけやっても浮いてしまうということだろうなと感じております。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 そういたしますと、この成果をぜひ論文化していただきたいということと、ガイドラインへの反映についても十分考えていただきたいというコメントが出ているわけですけれども、そのほかにございますでしょうか。
 どうぞ。
○柴田構成員
 柴田です。
 飛田先生のほうで閾値の設定の妥当性等についても照会はされていますので、それについては一定の解決をしていると思いますが、先ほど竹内先生をはじめ他の構成員の先生方からも御指摘がありましたように、自然経過がやはり分からないと閾値50%というのが妥当かどうかというのはやはり分かりませんので、この結果、仮に50%が統計学的に棄却できたとしても、広く使われることを主張するには非常に弱いエビデンスになってしまうことが懸念されます。
 例えば、女性で妊娠を希望される方にとっては福音になると思いますが、ほかに選択肢がある方に対して、これを広く使えるかどうかという議論をするときには、やはり先ほどの臨床の先生方の御指摘が重要になりますし、統計学的にも形式的に有意差が示されても臨床的有用性を示したことにはならないという解釈になり得るので、先ほどお話が出たように、personal communicationを見える形に論文化していただくとともに、それに伴って閾値50%の妥当性を補っていただくようなことが必要なのではないかと思います。
 現状においては可能な限りの対応が取られているとは解釈いたしますが、今後、それを並行して進めていただくのが結果を解釈する際に有益になると考えます。
○五十嵐座長
 御指摘ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 では、今日御指摘を頂いた幾つかの点を付議するという形で事前評価結果どおり決定してよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、全体を通して、何か委員の先生方、ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これをもちまして「先進医療合同会議」は終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 準備が整い次第「先進医療会議」を開催させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。



第87回先進医療会議

○日時

令和2年7月2日(木)16:35~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
福田構成員 藤原構成員 山口構成員 山本構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 新規技術(6月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
   (先-1)(別紙1)
 2 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-2-1)(別紙2)(先-2-2)(別紙3)(先-2-3)(別紙4)
 3 先進医療Bの申請取下げについて
   (先-3)
 4 先進医療実施医療機関からの報告について
   (先-4)(別紙5)(参考資料1)
 5 その他

 

○五十嵐座長
 それでは、準備ができたようですので、これから「先進医療会議」を開催したいと思います。
 まず、初めに構成員の先生方の出席状況について御報告いたします。
 今日は、石川構成員から御欠席との連絡を頂いております。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿に続きまして、まず先-1「先進医療の新規届出技術について」という1枚紙の資料がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 続きまして、先-2-1、こちらは総括報告書に関する評価についてでございますけれども、こちらは別紙2がついてございます。
 先-2-2、こちらも総括報告書に関する評価についてでございまして、別紙3がついてございます。
 先-2-3、こちらは3件目の総括報告書の評価でございますけれども、こちらには別紙4がついてございます。
 続きまして、先-3「先進医療Bの申請取下げについて」としている1枚紙の資料がございます。
 最後に先-4、先進医療実施医療機関からの報告についてとしている資料がございまして、こちらには別紙5、先-4(参考1)とついてございます。
 資料は以上でございますけれども、今回の先進医療会議につきまして、先ほどの合同会議と同様にウェブ上で行うこととさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 資料については、皆さんよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、今回、検討対象となる技術等に関しまして、事前に利益相反の確認をしております。その結果につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 本日出席されている構成員におかれましては、開示すべき利益相反はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、新規技術6月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案について資料が提出されておりますので、これについて御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-1の資料に基づきまして、御説明させていただきます。
 今回、先進医療の新規届出技術について振り分け審議を頂く技術が1件ございます。
 受理番号113番、技術名は「膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法」でございまして、適応症につきましては、膵神経内分泌腫瘍(WHO2017分類病理組織学的Grade1,かつ腫瘍径≦15mm)でございます。
 今回、岡山大学病院から申請がございました。
 係る費用については表にお示ししたとおりでございます。
 技術の概要につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。別紙1-1の1ページ目を御覧いただければと思います。
 こちら、内容の(先進性)のところでございますけれども、膵神経内分泌腫瘍に対する治療は外科切除が基本でございますけれども、膵切除の死亡率や術後の合併症率はほかの消化管手術と比べても高い傾向にあるとのことでございます。
 (概要)の2段落目でございますけれども、こちらは超音波ガストロビデオスコープを挿入しまして、膵臓の腫瘍を描出いたします。その後、カラードップラーモードで穿刺ライン上に主要な血管がないことを確認した上で、試験機器を用い腫瘍穿刺を行い、試験薬である無水エタノールを注入するという技術になってございます。
 2ページ目になりますけれども、今回使用する医薬品及び医療機器に適応外使用のものが含まれておりますので、今回、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これは先進医療Bとして判断するということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、受理番号113の技術について、これは先進医療Bとして振り分けになります。
 続きまして、先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が3件提出されております。順番に説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、医療機関より3件の先進医療技術の総括報告書が提出されまして、先進医療技術審査部会におきまして評価が行われましたので、その評価結果について順に御報告をさせていただきます。
 1つ目の技術につきまして、先-2-1を御覧いただけますでしょうか。
 今回、旧告示番号11番として実施されておりました「術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法」につきまして、京都大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますけれども、別紙2の13ページを御覧いただければと思います。
 対象は原発性乳がんで、エストロゲン受容体が陽性でHER2陰性のものに限るとなっておりまして、標準治療終了後にランダム化を行いまして、対照群である標準的内分泌療法5年間と試験治療群であります標準的内分泌療法にTS-1の内服を1年間加えたものを比較するという試験になってございます。
 先2-1の資料にお戻りいただきまして、1ページ目中ほどより下に試験結果がございます。
 「(1)中間解析の結果」でございます。
 中間解析を行った結果、60か月時点の浸潤性疾患のない生存期間に対する累積生存率が標準治療群81.83%、試験治療群87.71%と有意に勝っていたために独立データモニタリング委員会より有効中止が勧告され、試験が早期中止されたとのことでございます。
 また、安全性の評価につきましては、1ページ目の下のところにございますけれども、有害事象発現例数が対照群970例中760例、試験治療群954例中944例となったということでございます。
 続きまして、担当者の御評価について御説明をさせていただきます。別紙の2の3ページを御覧いただければと思います。
主担当の山中構成員からの御評価でございますけれども、有効性に関しては「A.従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」と御評価いただいております。
 約2,000例をランダム化した先進医療としては最大規模の臨床試験において、中間解析で有効中止となっております。また、ハザード比の0.63は過去の乳がん術後補助療法の試験の成績と比べても大きく評価できるため「A」評価としたとコメントを頂いております。
 次に、安全性の御評価でございますけれども「C.問題あり」と御評価いただいております。
 口腔粘膜炎などの消化器症状及び血球減少が観察はされるが、これまでの他がん種を含むS-1の安全性データと特に相違はない。グレード1の事象がほとんどであって、グレード3以上の頻度は少なく、化学療法に慣れた医師であれば問題にはならないが、グレード3以上が出ないわけではないので、重い副作用ありに当てはまるとして「C」評価としたとコメントを頂いております。
 技術成熟度は「A.当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいておりまして、がん治療を専門とする医師であれば問題なく試行できるとコメントを頂いております。
 4ページ目に移りまして、総合的なコメント欄のところでございますけれども、先進医療下で最大規模となるランダム化比較試験を実施したこと。中間解析で有効抽出となる差が見られたこと。+5-6%のiDFSの上乗せは平均的なリスク/ベネフィットのバランスが見合うと考えられること。日本において転移性進行乳がんでは使い慣れた薬剤であること。後発品が出ており、価格的にも高価な医療技術でないこと。以上の4点から効率的な医療技術と考えられるとコメントを頂きました。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合に、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言につきましては、術後補助療法のように、症例集積や試験期間の点から試験コストが著しく高く、製薬企業が開発に手を出しにくいが、アンメットニーズがある領域において、先進医療を活用してエビデンスを作った。同様の試験を行うことは難しいので、ぜひ本先進医療の結果の活用を検討すべきであろうと頂いております。
 ただし諸外国では、S-1の乳がんにおける薬事承認は存在せず、使用実態もない。そのため、今回の結果をどのように保険収載につなげていくかについて、今後検討が必要であるとコメントを頂いております。
 最後に、137施設から登録があり、うち登録の多かった施設を中心に、13施設450症例に対するサイトビジットを行っている点は評価できるが、薬事承認等を検討する場合、データの信頼性についてさらなる担保が求められるとコメントを頂いております。
続きまして、副担当の山本構成員の御評価でございます。5ページ目を御覧いただければと思います。
 有効性につきましては「B.従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」と御評価いただいております。
 主要評価項目は達成されているため「B」と評価した。なお、副次評価項目のOSでは差がなかった点について、新たな付随研究として長期予後観察を行う計画があるとのコメントを頂いております。
 安全性につきましては「C.問題あり」と御評価いただいておりまして、試験薬群で有害事象が多いことが示され、研究者も安全性に注意が必要としていることから「C」と評価したとコメントを頂いております。
 技術的成熟度は「A.当該分野の専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいておりまして、上記のごとく安全性の評価は必要だが、通常の抗がん剤治療と同等の技術と経験があれば実施可能と思われるため「A」と評価したとコメントを頂いております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、何か御質問等ございますか。
 どうぞ。
○柴田構成員
 山中先生の評価のところで、薬事承認への活用のところの欄に書いてあったコメントについて、ちょっと事務局に確認させていただきたいと思います。
 一般に、部会でもちょっとコメントしたのですが、薬事承認を取得するために公知申請のスキームに載せるためには、海外の薬事承認等が必要である、あるいは海外で広く使われている実績が必要であるという前提があると言うPMDAの職員の方もいらっしゃいますし、いろいろな先進医療の案件が出てきたときに、その案件ごとに判断がぶれているように見える部分がございました。
 それで確認しておきたいのですが、平成11年に出てきた医学薬学上公知の場合の治験のデータを伴わない薬事承認申請の対象範囲について、今回の臨床試験のようなものは対象になるというふうに通知の文言上は理解できるのですが、そのような理解で正しいのでしょうか。
 また、もう一点、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を経ずに公知申請を行うというプロセスというのは現状もまだ残っているというふうに、いろいろな通知であるとかそのようなものを拝見する限り解釈し得ると思うのですが、その認識も正しいのかについて。
 その2点について、事務局のほうから御確認いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品審査管理課審査調整官
 医薬品審査管理課からお答えします。
 今、御指摘を頂いた平成11年のものというのは、恐らく研究開発振興課と医薬品審査管理課で出している「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」という通知のことかと思いますけれども、この通知は、現状でも機能しているものですので、未承認薬検討会議を経ずに公知申請ができるというスキームは現状も存在します。
 その中に要件として3つパターンが書いてありまして、1つ目、2つ目は海外における当該効能または効果等により承認されているという条件がかかっているものでございますが、3つ目についてはそのような海外での承認を前提としない条件で公知申請に使用できるというものもございまして、そこを読み上げさせていただくと「公的な研究事業の委託研究等により実施されるなどその実施に係る倫理性、科学性及び信頼性が確認し得る臨床試験の試験成績がある場合」と書かれております。
 ですので、今回のように海外で例えばTS-1が乳がんの適応を持っていないというような場合も含めて、必ずしも海外での承認を前提とするものではないという制度であるとお答えさせていただきたいと思います。
 以上です。
○柴田構成員
 ありがとうございます。
 今の点、明確になったことは非常に重要だと思いますし、今後の先進医療のデータの活用にあたって一つ明確な指針になると思います。
 どうもありがとうございました。
○五十嵐座長
 重要な御質問を頂きました。ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、2件目の技術についての説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 2つ目の技術につきまして、先-2-2を御覧いただけますでしょうか。
 今回、旧告示番号3番として実施されておりました「ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法」につきまして、静岡県立静岡がんセンターから総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますけれども、別紙3の8ページ目を御覧いただければと思います。
 こちら、非扁平上皮非小細胞肺がんの完全切除後にランダム化を行いまして、ビノレルビン+シスプラチンとペメトレキセド+シスプラチンに割り振るという試験でございます。
 主要エンドポイントは、全生存期間となってございました。
 先-2-2の資料にお戻りいただきまして、まず1ページ目の下のところに試験の結果がございます。
 まず[安全性の評価結果]でございますけれども、全適格例を解析対象集団とした4コースの治療完遂率は、ビノレルビン+シスプラチン群で72.7%、ペメトレキセド+シスプラチン群で87.9%でございました。
 また、一番下の段落のところでございますけれども、本試験で認められた有害事象は過去の試験の結果から予測可能なものであって、グレード3以上の発熱性好中球減少症、血球減少は有意にビノレルビン+シスプラチン群で頻度が高かったとされております。
 2ページ目に移りまして[有効性の評価結果]でございます。
 当初、本試験の有効性の主要評価項目はOSでございましたけれども、試験途中にDFSに変更して解析を行っております。観察期間中央値は45.2か月であって、ハザード比は0.98、95%信頼区間は0.81から1.20となってございます。OSについては、今後も観察を継続する予定であるとのことでございます。
 [総括]でございますけれども、完全切除された非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象に、術後補助化学療法としての無再発生存期間におけるビノレルビン+シスプラチンに対するペメトレキセド+シスプラチンの優越性は示されなかった。治療完遂率はペメトレキセド+シスプラチン群で良好であって、グレード3以上の発熱性好中球減少症や血球減少の頻度も有意にペメトレキセド+シスプラチン群で低い結果であったということでございました。
 続きまして、担当者の御評価について御説明をさせていただきます。別紙3の3ページを御覧いただければと思います。
 総括報告書に関する主担当の伊藤構成員からの御評価でございます。
 有効性に関しては「C.従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と御評価いただいております。
 安全性につきましては「B.あまり問題なし」。
 技術的成熟度につきましては「A.当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいております。
 総合的なコメント欄としまして、完全切除された2期あるいは3A期の非扁平上皮非小細胞肺がんに対して、術後ビノレルビン+シスプラチン併用療法が標準治療として実施されている中で、本試験の結果を総括すると、ビノレルビンを使うよりもペメトレキセドを使うほうが副作用はやや少ないが、生存率の差がなかったとのことである。しかしながら、本試験の対象は非小細胞肺がんのうち2割程度を占める扁平上皮がんが除外されておりまして、扁平上皮肺がんの完全切除例を対象とした術後補助化学療法については適応されないことに留意する必要があるとコメントを頂いております。
 また、薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうかについての助言欄につきましては、扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんの2、3A期完全切除症例を対象として生存率は変わらず、副作用が少ない術後化学療法として評価し得るとコメントを頂いております。
 続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。
 有効性につきましては「C.従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と御評価いただきました。
 コメントとしまして、本試験は標準治療に対してペメトレキセド+シスプラチン併用療法の優越性の検証を試みた試験であって、この優越性を検証できなかったため厳密には両者が同等との結論は導けない。あくまで試験結果からの推察として「C」と判断したということでございます。
 安全性につきましては「B.あまり問題なし」と御評価いただきまして、因果関係が否定できない死亡は各群1例ずつ。その他の重篤な有害事象はビノレルビン+シスプラチン群で11.9%、ペメトレキセド+シスプラチン群4.8%であり、軽い副作用とは言えないものも含まれるが、当該疾患領域における薬物療法としては想定の範囲内であることから「B」としたとコメントを頂いております。
 技術的成熟度につきましてはAと御評価いただきまして、特に大きな問題は見られていないとコメントを頂いているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 特にございませんね。ありがとうございました。
 では、続きまして、3件目の技術についての説明をお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 3件目の技術につきまして、先-2-3を御覧いただけますでしょうか。
 今回、旧告示番号6番として実施されておりました「ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法」につきまして、東京大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございました
 技術の概要でございますけれども、別紙4の10ページを御覧いただければと思います。
 末梢血単核細胞を患者から採取をしまして、IL-2とゾレドロン酸を加えて培養し、γδT細胞を増殖させます。その増殖した細胞を患者に経静脈投与するという技術でございます。
 先-2-3にお戻りいただきまして、試験結果でございますけれども、1ページの下のところで[安全性の評価結果]でございます。
 9症例で重篤な有害事象を認めまして、本試験との因果関係が否定できなかった1例は、γδT細胞投与後に腫瘍の縮小とともに咳嗽や発熱等、肺炎様の症状が現れ、入院治療まで至ったということでございまして、サイトカイン放出症候群を引き起こした可能性が考えられたとのことでございます。
 2ページ目にお移りいただきまして[有効性の評価結果]につきましては、PFSの中央値が95日でございました。こちら、本試験PFSの中央値3か月を閾値として期待PFSを4か月と設定して試験が実施されており、閾値の3か月は満たしたものの、期待PFSには達せなかったため、有効性を示すことができなかったとのことでございます。
 この試験につきましては、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の開発によって肺がんに対する治療が大きく変化したため症例登録が困難となって、目標症例数には未達となってございます。
 また[総括]の一番下のところでございますけれども、実験室内で2年以上凍結保存していた細胞を培養して得られたγδT細胞の一部に核型異常を認めまして、安全性の検証やリスク管理の重要性を再認識したということで御報告いただいております。
 担当者の御評価につきまして、別紙4の3ページ目を御覧いただければと思います。
 主担当の松山構成員からの御評価でございますけれども、有効性につきましては「D.従来の医療技術を用いるよりも、劣る」と御評価いただいております。
 安全性につきましては「C.問題あり」。
 技術的成熟度につきましては「C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制をとっていないと実施できない」と御評価いただきました。
 総合的なコメント欄ですけれども、有効性に関しまして、期待PFSには達せなかったため有効性を示すことはできていない。安全性に関し、有害事象として報告された症例はアンダーコントロールであって、本来は「B」として評価すべきかもしれないとコメントを頂いております。しかしながら、γδT細胞の核型異常についての言及があり、これが患者さんに投与されたものではなかったとしても、安全性上の懸念を払拭し切れるものではなく「C」として評価したとコメントを頂きました。
 続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。
 有効性につきましては「E.その他」と御評価いただきまして、点推定値としてはほかの治療法と同程度の無増悪生存期間が観察されていますけれども、予定よりも小規模であった単群の探索段階の試験における結果であって、形式的には従来の医療技術を用いるのと同程度であるともし得るが、ここではその他としたとコメントを頂いております。
 安全性につきましては「C.問題あり」と御評価いただきまして、サイトカイン放出症候群によるものと考えられるグレード3の肺炎が観察されていたため、上記の表記としたとコメントを頂いております。
 また、本治療につきまして、負担が少ないという特徴を踏まえて、総括報告書内に抗がん剤治療が困難な病勢が進行した患者にも適応であると期待されると記載されているとのことです。
 しかし一方で、この患者においては基礎に肺気腫と間質性肺炎を伴っていて、呼吸予備能が低下していることから、投与後の免疫反応に対して入院治療が必要となったと考えられると考察されていること。また、この患者さんは易感染状態であることから、初回投与後の経過は進行性肺がんの悪化に伴う肺炎の可能性が高いと考えたと記録されていることから、本治療の今後の適応対象と期待されている抗がん剤治療が困難な集団においては、相対的に同様の事象が発生するリスクが高くなる可能性があることにも注意が必要であるとコメントを頂いております。
 技術的成熟度につきましては「C」と御評価いただいておりまして、現時点で本治療法の有効性を示唆するデータが不十分であること。投与対象として適切な集団が特定できていないこと。一方で、負担が少ないとの本治療の印象で抗がん剤治療が困難な集団を選択することは、副作用の観点から現時点のデータに基づくと必ずしも容易ではないことから、臨床試験を実施するに当たってもかなりの経験を積んだ医師を中心とした体制による慎重な実施が必要と考えるとコメントを頂きました。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
 では、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から「先進医療Bの申請取下げについて」の資料が提出されております。これについて、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 現在申請中の先進医療Bの技術に関する取下げの申請がございましたので、資料の先-3に基づきまして進めさせていただきます。
 こちらにつきましては、既に先進医療技術審査部会にて取り上げさせていただいて承認されているものでございます。
 整理番号99番「一側性高度感音難聴に対する人工内耳挿入術」でございますけれども、こちらは取下げ理由のところでございますが、実施責任医師が2020年4月より当該医療機器の製造販売事業者の設置する寄附講座に異動したことにより、利益相反管理の上で研究責任医師の変更が必要となりました。申請医療機関からの申請が困難となったため、申請中の先進医療の取下げを行うとのことでございます。
 今後につきましては、当該先進医療で用いる医療機器の製造販売業者と利害関係のない責任医師の下で他の医療機関からの申請を検討しているとのことでございます。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、次に事務局から先進医療実施医療機関からの報告についての資料が提出されております。これの御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-4の資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 このたび、先進医療実施医療機関からの報告がございましたので、こちらで取り上げさせていただく次第でございます。
 まず、先-4の「1.経緯の概要」のところでございますけれども、Birt-Hogg-Dube症候群、BHD症候群と略させていただきますけれども、この遺伝子診断につきましては、平成31年2月より先進医療Aとして実施されているものでございます。
 今般、申請医療機関である横浜市立大学附属病院から本先進医療に係る研究計画書の逸脱に関する不適切事案について御報告がなされました。
 別紙5が医療機関から提出をされた報告書になってございます。
 別紙5の1ページ目の「2 経緯」のところを御覧いただければと思います。もともと、先進医療と並行して臨床研究を行っていただいておりまして、こちらにつきましては単施設で実施するものと想定されておりました。
 しかしながら、研究開始後に研究責任者へのヒアリングで、研究対象者24名のうち9名について研究対象者の病状、交通事情等によって研究機関のみで遺伝子検査後の結果説明及び遺伝カウンセリングまで実施することができないおそれがあることが判明いたしました。
 これを受けまして、2019年9月に研究責任者の方が研究計画書の変更の可否について当省に相談に参りました。
その際、研究計画書の妥当性や現在の状況が不適切事案に該当しないかを倫理委員会に諮って、倫理委員会の意見をもって報告するよう指摘をさせていただいきました。
 (3)のところでございますけれども、2019年9月27日に横浜市立大学附属病院のヒトゲノム・遺伝子研究等倫理委員会に報告が行われまして、審議結果としまして、2ページ目上のところ、ア、イ、ウですけれども、直ちに研究を中断し適正にプロトコル、説明同意文書の修正を行うこと、研究対象者に誠実な対応を取ること。まずは遺伝カウンセリングを行い、研究対象者への適切な対応を取ることが倫理委員会から指示がなされました。
 (4)でございますけれども、研究責任医師の方は研究対象者に対して誠実な対応を取ること及び遺伝カウンセリングを行うことが最優先と考えて、2019年10月以降に9名の研究対象者に対して再度連絡を行い、横浜市立大学附属病院を再受診するように依頼をしております。
 そのうち6名については後日、再受診され、結果説明や遺伝カウンセリングを行うことができましたが、残りの3名の方については来院が困難な状況であったため、それぞれの紹介元医療機関と相談の上、研究責任者が紹介元医療機関に出張し、遺伝子検査の結果説明及び遺伝カウンセリングを行ったということでした。
 この間、研究計画書については、2020年3月まで変更申請が行われなかったということでございます。
 「(5)ヒトゲノム等委員会への再報告」でございますけれども、研究責任者から報告・変更申請が行われなかったために、2020年3月のヒトゲノム等委員会にて対応を報告するように指示がありまして、研究責任者により2020年3月26日のヒトゲノム等委員会に経過報告が行われました。
 ここでこの間に至るまでの経過報告が行われまして、それを受けヒトゲノム等倫理委員会では、9月の委員会の意見が研究責任者に十分理解されておらず、研究計画書の変更がないままに行動し、結果的に研究計画書から逸脱となっていること。また、研究者がその理解ができていないこと。委員会での報告内容から臨床と研究の区別がついていないと判断できることから、科学的かつ保険収載に向けた評価にたえるデータを収集することはできず、これ以上本研究を進めるのは困難と判断し、研究を中止するよう勧告されたとのことです。
 さらに、研究計画書からの逸脱を点検及び再発防止について報告するよう指示があったということでした。
 それを受けまして、3ページ目の「3 研究責任者の自主点検」でございますけれども、こちらに点検の結果を記載していただいております。
 まず、アのところでございますが、研究機関以外での遺伝子検査結果説明・遺伝カウンセリングの実施及び観察・検査スケジュールの逸脱が3名の対象者によって発生しました。
 また、その下のイのところでございますけれども、観察・検査スケジュールの逸脱ということで、こちらは8名の方においてプロトコルに定める観察スケジュールを遵守されていなかったとのことでございます。
 医療機関のほうで原因分析がなされまして、その分析が4ページ目、5ページ目のところに記載をされています。
 6ページ目の「5 再発防止策」のところを御覧いただければと思いますけれども、この原因分析を受けまして医療機関として再発防止策を検討し、策定をしたということでございまして、まず研究責任者としての再発防止策としましては、制度・指針の理解及び研究責任者としての責務遂行に関する知識の取得として、学内外の倫理講習会や臨床研究セミナーなど積極的に参加して、知識習得に努める。
 また、適切な研究計画書の作成及び研究実施ということで、適切な研究計画を立案するという形になっております。
 「組織としての再発防止策」につきましては「ア 教育研修の充実」。臨床研究セミナーを定期的に開催して、ルール徹底を図る。また、当該先進医療の制度や指針に関するセミナーも加えて開催するとしております。
 「イ 研究計画書等の作成サポート体制の充実」。こちらは、研究実施支援組織の所属医師や専門職が作成サポートに入るという形になっております。
 「ウ 研究支援側の教育」につきましても、eラーニングの受講及び学内外の臨床研究セミナーへの参加を積極的に行うとしております。
 「エ 状況報告書等による研究実施計状況の把握」につきましては、先進医療制度で実施する研究については、通常年1回行う実施状況報告に加えて、3か月に1回のヒアリングを行い実施状況の把握を徹底するとしております。
 「オ 研究の適正実施の管理・監督」につきましては、モニタリングの充実という形で規定をしているところでございます。
 また、最後の「カ 指針等違反者に対する措置の明確化」につきましては、改善がなされるまでは研究実施を許可しないなど、指針等の違反者に対する措置を明確にするという形で、以上のような形で再発防止策を規定していただいて報告をしていただいているところでございます。
 先-4にお戻りいただきまして「2.報告の概要」の4ポツ目のところでございますけれども、今回、この先進医療に関しましては、研究が中止になることを踏まえ、横浜市立大学附属病院は先進医療の実施医療機関の取下げを行う予定とのことでございます。
 なお、倫理委員会は、研究対象者のほうについては十分に対応できていたと判断しているところでございます。
 「3.今後の対応方針(案)」でございますけれども、本先進医療につきましては、申請医療機関である横浜市立大学附属病院のみで行われていたものでございます。
 今回、横浜市立大学附属病院で研究が中止され、先進医療の取下げに伴いまして、実施される医療機関が存在しないこととなってしまいます。2ポツ目のところでございますが、本先進医療を承認する際に、この申請医療機関から提出された研究計画書等も併せて審議した経緯も踏まえまして、横浜市立大学附属病院からの取下げが行われる本技術につきましては、先進医療告示から削除することとしてはどうかと御提案させていただくものでございます。
 また、3ポツ目でございますけれども、その他、本事案について追加で対応すべき点について御審議いただきたいと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 横浜市立大学附属病院の事例です。研究計画書の逸脱をし、再発防止策をしっかり行ったが、この技術に対しては先進医療の告示から削除するという事務局からの御提案です。委員の先生方、何か御質問、御意見ございますでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 すみません。山本です。
 事務局に確認をしたいのですけれども、この経緯のところを読むと、取りようによってはこの研究責任者の方は研究計画書の改訂が必要だということを認識していて、その手続の相談もしていて、倫理委員会にも報告したのだけれども、一方で検査実施済みの患者さんたちで、逸脱はするのだけれども、遺伝カウンセリングをせずに、結果を何も連絡せずに数か月放置するということについては、そういうことをすることは、要は被験者さんの利益を損ねるというふうに、倫理的な観点に立って、逸脱を承知でこういうことをしたというような取り方もできないことはないのです。
 しかし、当該大学のヒトゲノム等委員会では、結論として、この研究責任者の認識が診療行為と研究行為の混同があったと断じておられるのですけれども、それは実際にそういうことなのでしょうか。ちょっと経緯だけ読んでいると、研究責任者は検査結果をやはり早く説明しなければいけないという気持ちが高じてこういうことになって、事前にある程度、研究であることを認識していたようにも思えるのです。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 事務局のほうからもヒアリングをさせていただいた限りでは、この研究計画書の記載のとおりで、先生のご指摘のとおりと認識しております。
○山本構成員
 そうなると、結果的に逸脱を起こしていらっしゃるのですけれども、手続を見ていると、これを一つ一つクリアするのに数か月かかりそうな話なので、割と誠意のある対応をした結果、逸脱が出たようにも思えるのです。
 その場合、しかもかなり変わった症候群で、国内でここしかこの遺伝子診断をやっていなくて、これは一旦取り下げたとしても、この先進A自体を削除してしまうと、この先生がもしやろうと思っても、もう一回、一から全部やらないといけないことになってしまって、手続としてはそれが一番簡単できれいではあるのですけれども、実際、医療上というか、研究なのですけれども、今後潜在的なこの研究のキャンディデートに対しての不利益はないのかなというのがちょっと気になりまして、一応確認をさせていただいたのです。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 非常に重要な御指摘を頂き、ありがとうございます。
 この経緯につきましては、報告書に記載があるとおり、先生に御指摘いただいたとおりではございます。
 確かに、この研究自体が希少疾患に対する遺伝子診断ということで、この技術を審議していただいた際にも、そういうところの価値が非常に高いということでお認めいただいたところではございます。
 ただ、この研究の中止につきましては、医療機関の中の倫理委員会の判断でございまして、そのところを事務局としてどうこうというのは難しかったというのが正直なところではございます。
 現時点で、その研究計画書等も最終的に修正が認められないまま、この研究が中止になっているところでもあり、やはり今後、この技術に対して、再度もし先進医療と行うということであれば、新たに申請を頂いて、ブラッシュアップされた研究計画書なども含めて、また御議論していただくのがよいのではないかと事務局としては考えているところでございます。
○五十嵐座長
 よろしいですか。もったいないですけれどもね。
○山本構成員
 そうなのですよ。割と誠意をもって対応していらっしゃったように経緯からは見えるので、かなり研究者同士としてすごく同情してしまうのと、取り下げないで後で変更申請を受け付けるようにすることと、一旦取り下げて削除して、もう一回、新たに一から先進Aとして出してくることについては、割くエネルギーとか時間的な手間とかが大分違うような気がするので、ちょっと困りましたねと。
 それをそこまでやらなければならない事案なのかなと、この研究責任者の受けるパニッシュメントとしてちょっと過剰な気がしまして、この方が横浜市立大学のおっしゃる一通りのセミナーをちゃんと再教育して、そういうことを一通りやった上でプロトコルの変更申請をかけてこられたら、こちらが審査を受け入れるような状態にしておいてあげることができるのであれば、そうしておいてあげたほうが手間というか、何というか、事務局も含めて、我々も含めて、全員のロスを少しでも減らすことはできるのかなと思ったのです。
 もう一つは、ちょっと正直、今どき来られない方にわざわざ出向いてされていますけれども、今でしたらウェブで面談することも可能ですし、検査を実施しているところはこの研究機関ですけれども、その後の説明とか遺伝子カウンセリングとかをウェブ上でやったって別に構わないわけなので、正直ちょっと、いろいろな面ですごく外形的なルールに縛られて非常に手間をかけてしまうようなことになるなというのが正直な感想でして、ちょっとでも効率性をある程度考えて手続を考えてあげるというのも重要なことではないかなと思いました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○山口構成員
 私も実は山本先生と全く同じ意見で、これは9人ですけれども、6人は電話をしたら結局来てくれたわけですね。本当に動けなくてできなかったのは3人だけということで、これは誰が見たってやむを得ない事情だということは分かりますし、山本先生もおっしゃいましたけれども、せっかく準備して有意義なことをやっているわけですから、そこを迅速にやるという工夫を加えることでこの研究は可能であればぜひ継続されることを希望したいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがですか。
 どうぞ。
○柴田構成員
 この技術の対象になる潜在的な方々に対する選択肢を迅速に提供しなければならないという御指摘は私も同感です。それは何らかの形で、次に申請があったときに、きちんと交通整理をつけて対応できるようにするという手は考慮の余地があるのではないかなという気はいたします。
 一方で、私は山本先生と認識が少し違うところがありますので、資料を見ながら事務局に確認させていただきたいと思います。
 資料の先-4の別紙5の2ページのところに、ヒトゲノム・遺伝子等倫理委員会から3つのことが指摘されています。ウなのですが「ドロップアウト(同意撤回)は最終的な選択であり、まずは遺伝カウンセリングを行い研究対象者の適切な対応をとること」と書いてあります。これは非常に違和感を覚える指摘で、裏読みをするとドロップアウト、同意撤回という形を取ろうとされていたのではないかなと懸念するところもあります。
 それはここの場で詰めても仕方がないことなので、そこは横浜市立大学さんのほうできちんと判断されたのだと思いますが、この技術に関して言うと、遺伝カウンセリングをしっかり行うというのが大前提での計画になっているので、そこのところが行われないまま長期に放置されるようなことがあってはまずいと思いますので、そこは今後、次に出されるときには、先ほど山本先生がおっしゃったように、例えばオンラインでできるようなこともきちんと計画の中に含めるのか否かとか、安易な同意撤回という形で患者さんを放置しないようにするとかというところは丁寧に詰めていくような形でプロトコルをつくり直していただく必要はあるかなと思います。
 この経緯の中には書いていないのですけれども、この9人の方がどのぐらい、ちょっと表現が悪いですが、遺伝カウンセリングをされないまま置いておかれたのかというのは気になるところなので、次回きちんと計画を立てられるときにはそういう、場合によっては、委員会に指摘をされた後の対応は迅速にされているという記録がされていますが、その以前にこの9人の方がどのぐらい検査後置いておかれたのかというのはちょっと気になるところなので、もし情報があれば教えていただきたいです。しかし、これについては結論としては異存ないので、次に申請されるときには同じようなことが起こらないように、これまでの経緯を踏まえた対策を含めた計画を出していただければと思います。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。
 どれぐらい遺伝カウンセリングがなされないまま患者様が置いておかれる状態が続いていたかということにつきましては、事務局でも把握していないところでございます。
○五十嵐座長
 幾つか先生方から御意見を頂きました。1つは横浜市立大学附属病院から取下げの方針が示されているが、事務局としては今後の対応策等を横浜市立大学附属病院に図っていただいて、それが確認できれば取下げをしないでペンディングの状態にしばらく置いたほうがいいのではないかという御意見です。
 もう一つは、そうはいっても、やはり一度は取り下げていただいて、もう一度仕切り直しをしていただきたいという御意見だったと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 ちょっと多分、外形的に確かに一旦取り下げて、唯一の医療機関が取り下げたらその空白になっているものを削除せざるを得ないだろうということだと思うので、そこは仕方ないのかなとは思いますけれども、こういう経緯で一旦削除されたものについて次に申請されてきたときに、できるだけ効率的に回していただくということを確認できれば仕方がないかなとは思いますし、柴田先生がおっしゃったように、状況に合わせて、今回はこういうことが起こっているので、研究計画書を適切に修正していただくのは本当に必要なことなのだろうと思いますし、我々には分からない、何か内部で検討したときに、倫理委員会のほうでやはりこのまま続けさせるのはまずいと思う何かがあったのかなとは思わざるを得ないというか、そういうふうにこちらとしては理解せざるを得ないとは思いますので、仕方がないかなと思うのです。
 ただ、やはり唯一、ここしか検査を出していないということと、もう一つ、比較的最近に見つけられた症候群で、だんだん医療現場での認識が上がってくると、これが削除されたことで結構混乱を来す可能性はあるかなと思いますので、空白期間ができるだけ短くなるように関係者の皆さんの努力をしっかりしていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○横井構成員
 私も、患者さんたちで困られる方がどのぐらいいらっしゃるのか。結構遠くからいらっしゃって来られないという方が出てくるということは、日本中にそういう患者さんがいらっしゃって、横浜市立大学までアクセスできないといいますか、1回は来たけれども、それ以降来られないということで、患者さんがどのぐらい不利益を得るのかというのが一つ。
 もう一つは、この先生の行動を見ていると、その先生が所属されている医局とか大学からのサポートがほとんど得られていなかったのではないかというのはちょっと思うので、大学側はどういうふうにサポートしたのかというのが知りたい。
 もう一つは、この関連学会はこの研究に対してどう考えているのか。関連学会があるのかどうかもちょっとよく分かりませんけれども、やはり日本の医療としてこの疾患に対してどういうふうに対応するのだという考えがあってもいいのではないかなと、そんなふうに思って聞いていた次第です。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 重要な御指摘を頂き、ありがとうございます。
 大学のサポートの状況ですとか関連学会につきましては、事務局でもこの報告書以上の把握は正直に申し上げてできていないというところであります。ただ、こちらは指定難病ではなく、特にこの疾患についての研究班等もなかったというところは承知をしているところでございます。
 1点、事務局から御説明をさせていただきますと、先進医療Aの告示、施設基準告示自体はこの医療機関が取下げを行った後も、この会議で認められなければ残るということになります。横浜市立大学病院の取下げ自体は医療機関側からの申請に基づくものになりますので、先ほど申し上げましたとおり、会議のほうから何か御対応を依頼するという形でしか、対応としては難しいところではあるのですけれども、取下げがなされた際に、この技術の空白期間をどのようにするかというところを御議論いただければと思って、今回お示しをさせていただいたところでございます。
 仮に横浜市立大学病院が取下げ申請を行った場合に、どうしても当初の先進医療会議で承認された際の議論等も含めたところの研究計画書にのっとった技術ではなくなってしまうという観点から、今回、対応案として削除を提案させていただいたというところでございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 そうしますと、今回先進医療の告示から削除はするけれども、横浜市立大学のほうには再度体制を組み直していただいて、もう一度再申請していただくという要望を出すという方針を取りたいと思います。
委員の先生方、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 どうぞ。
○山本構成員
 それで結構と思います。
 もう一つは、後で出口の評価のときに多分、告示番号は変わりますけれども、一続きのものとして評価してあげるような形での、その辺りの工夫もよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 評価する際にもしっかりと、今までの経緯を踏まえて、できるだけ迅速に対応するということですね。
 そのほか、この件につきまして、委員の先生方、いかがでしょうか。
 それでは、大変貴重な御意見を頂きました。基本的には事務局の対応案を会議としては了承したいと思いますが、それと同時に、横浜市立大学病院のほうには体制を組み直して、再申請をしていただきたい。これは日本の患者さんのためですので、そのような対応を取っていただきたい。そして、出していただいたときにはこれまでの経緯を踏まえて、できるだけ迅速に対応したいということも記録として残していただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、予定をいたしておりました審議事項はこれで終わりです。
 最後、残りはその他になっておりますけれども、何か事務局からありますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先ほどの先-4の御議論いただいたところにつきまして、まず事務局のほうから医療機関のほうに会議での内容と再申請についての要請という形でさせていただければと思います。
 また、医療機関から何かしら回答等がございましたときには、この会議に一度お諮りをさせていただければと思いますので、また御確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、フォローアップについても、この会で御報告いただきたいと思います。
 構成員の先生方から、何か全体を通してございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、今日の議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましてですけれども、先日御連絡をさせていただきまして、令和2年8月6日、予備日となっていたのですけれども、開催をさせていただければと思います。
 16時から予定しておりまして、現時点でウェブ上での開催とさせていただく予定でございますけれども、正式な案内につきましては別途御連絡をさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、第87回「先進医療会議」はこれで終了いたします。
 どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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