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2020年4月2日 先進医療会議・先進医療合同会議(第85回先進医療会議、第97回先進医療技術審査部会)

○日時

令和2年4月2日(木)16:00~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館専用第15会議室(12階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 新井構成員 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
藤原構成員 山口構成員 山本構成員 真田構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)

○議事

〇先進医療合同会議(第85回先進医療会議、第97回先進医療技術審査部会)
16:00開会

○五十嵐座長
 それでは、ほぼ時間になりましたので、これから国家戦略特別区域内で実施する先進医療Bに係る新規技術の科学的評価を目的に「先進医療合同会議」を開始したいと思います。
 初めに、構成員の先生方の出席状況について御報告したいと思います。
 今日は、福田構成員と横井構成員が御欠席と御連絡が来ております。
 先進医療技術審査部会から真田構成員に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 欠席されます構成員、それから技術専門委員の先生方からは、あらかじめ委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。
 次に、事務局の異動がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 本日もよろしくお願いいたします。
 4月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 谷口裕太先進・再生医療開発戦略専門官でございます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 よろしくお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 立野陽子先進医療機器審査調整官でございます。
○先進医療機器審査調整官
 よろしくお願いします。
○五十嵐座長
 続いて、資料の確認をお願いします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 申し遅れましたが、頭撮りについてはここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、合同会議についてですが、議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先‐1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙がございます。
 こちらには別紙1がございます。
 資料につきましては、以上でございます。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等につきましては、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言される先生方におかれましては、会議資料のページ、またはタブレットのページ等、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 資料につきましては、よろしいでしょうか。
 では、今回、検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果につきまして御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 山本構成員より、先進医療Bとして評価を行う整理番号139の技術について報告がございました。
 山本構成員におかれましては、検討対象技術につきまして、自施設からの申請であることから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討及び事前評価に加わることができません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 そのほかの先生方におかれましては、同じような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 次に、事務局から先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について、説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、山本構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになりますので、大変申し訳ありませんけれども御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
(山本構成員退室)
○五十嵐座長
 よろしいですか。
 では、整理番号の139ですけれども、先進医療技術審査部会における事前評価におきまして、主担当を真田構成員にお願いしております。副担当を飛田構成員、それから佐藤構成員にお願いしておりますけれども、お二人は本日御欠席でございます。 
○先進・再生医療迅速評価専門官
 それでは、先‐1の資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 今回、御審議いただきます技術は、整理番号139番、技術名は「治療抵抗性肺高血圧症患者に対する肺動脈自律神経叢除神経治療」でございまして、適応症につきましては、治療抵抗性肺高血圧症となってございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、先ほど座長の先生から御説明いただきましたとおり、主担当を真田構成員、副担当を飛田構成員と佐藤構成員にお願いしておりまして、総評としては「適」の御評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価は、新井構成員にお願いしてございまして、こちらも総評として「適」の御評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加の御説明がございます。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元にございます資料別紙1の24ページを御覧ください。
 審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるもの、様式第9号について御説明いたします。
 1番目の「実施責任医師の要件」でございますが、診療科は循環器内科相当、資格としまして日本循環器学会認定循環器専門医が必要となってございます。
 また、当該診療科の経験年数は10年以上が必要、当該技術の経験年数及び経験症例数につきましては不要となってございます。
2番目の「医療機関の要件」としまして、診療科が、循環器内科相当の診療科が必要となってございます。
 実施診療科の医師数は必要で、循環器内科相当が10名以上となっております。
 また、他診療機関の医師数としまして、心臓血管外科相当の診療科5名以上が必要、また、その他医療従事者の配置としまして、臨床工学技士が必要となってございます。
 病床数は200床以上が必要で、看護配置は7対1看護以上が必要、また、当直体制につきましては、内科系の医師1名が必要となっております。
 緊急手術の実施体制ですが必要、また、院内検査の24時間実施体制も必要となっております。
 他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置が必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっておりますが、その他としまして、肺高血圧症の診療経験が過去3年間で30例以上及び不整脈アブレーション治療が1年間で50例以上の経験が必要となっております。
 3番目「その他の要件」としまして、頻回の実績報告等の必要はございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、真田構成員から概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いいたします。
○真田構成員
 真田でございます。
 今回、国立循環器病研究センターから申請がございました治療抵抗性肺高血圧症患者に対する肺動脈自律神経叢除神経治療について評価の御説明を申し上げます。
 別紙1の1ページのところには概要が示されています。肺高血圧症は様々な原因がございますが、割と若年層から多く発生する疾患でございます。
 最近までは確たる治療がございませんでしたが、薬物治療が進歩してまいりまして、幾つかの肺動脈圧を下げるお薬が出てまいりました。
 あわせて、ガスを吸入したりする治療もございますが、そのような内科的な治療をもってしても肺動脈圧を下げることができない、つまり、薬物治療に抵抗性の患者は少なからず存在いたします。
 この5年生存率ですけれども、非常によろしくありませんで、新たな治療法が望まれているというのも事実であります。
 そこで、彼らが計画したのは、カテーテルによるアブレーションによって、自律神経叢を除神経するという機械的な治療でございます。
 これについては、資料別紙1の16ページのところにシェーマが書いてありまして、この技術の概要が説明してございます。
 肺動脈がこの解剖図に示されていますけれども、このカテーテルを左下のところ、つまり、静脈系から逆行性にカテーテルを右心房、右心室、肺動脈の中まで進めてまいりまして、この肺動脈の壁の外側にある自律神経叢に高周波発生装置で刺激を加えます。
これは結局、平たく言いますと電子レンジと同じような技術で、熱を加えることによってこの自律神経叢の働きを停止させると、動脈が反応性に拡張するわけです。その拡張によって肺動脈圧を下げるという治療になります。
 概要は今、申し上げたようなとおりですが、この技術の基になっているのは、心臓の不整脈に対して、その不整脈が発生する心臓の筋肉部分に対して、同じく電子レンジのようなこのカテーテルアブレーションを施すことによって、その筋肉のところに熱を加えて不整脈の発生源を無力化することによる、不整脈の治療であります。
 これは、もちろん心臓の中及び左心の根元にある肺静脈については、既に広く行われているものでありますが、肺動脈、つまり右心から入って、肺静脈からさらに肺のほうに向かうところについては、今のところはそこまでカテーテルを入れるという適応はございませんので、このカテーテルは適用外の使用ということになります。
 ただ、カテーテルをそこまで持っていって熱を加える技術そのものは、不整脈治療で非常に広く行われていることと同じ技術と考えていただいて結構です。
 私の評価でございますけれども、お戻りいただいて、別紙1の1ページから2ページのところですが、全て「適」とさせていただきました。
 まず、責任医師等の体制、実施医療機関の体制でございますが、先ほど研発課さんから御説明がございました要件第9号のところで、日本循環器内科認定循環器専門医がいて、その他の経験のところで肺高血圧診療の経験が過去3年で30例以上及び不整脈アブレーション治療が1年間で50例以上という経験の縛りがございます。
 これは循環器内科という標榜科と日本循環器学会認定循環器専門医というところだけでは、必ずしもこの肺動脈治療に精通しているということは保証できないのですが、この技術経験の縛りがあるということをもって、その体制を「適」と考えました。
 医療技術の有用性については、先ほど御説明をしたとおりで、今のところ内科的治療抵抗性の状況ではノーオプションですので、それに対するアプローチということで適当ではないかと考えました。
 このお手持ち資料の8ページから11ページのところまでが私の照会事項でありますが、簡単に申し上げますと、主要評価項目について、こちらでは全死亡、肺移植、病状悪化、病状悪化のところに心不全入院もしくは6分間歩行距離の15%以上の低下もしくはWHO-FC悪化もしくは臨床症状増悪に伴うPAH治療薬強化発生までの時間という時間変数になっておりますが、この項目の中に必ずしも時間変数で捉えにくいものがあるのではないかという照会に対して、そこは妥当に対応していただいたと考えております。
 あと、先行研究の評価において、主要評価項目が必ずしも今回挙げられたものと一致していなかった点についても議論はございましたが、それについても適切な回答が得られたと考えましたので「適」と考えました。
 あとは、カテーテルアブレーションの際の技術について、少し細かいことになりますけれども質問を加えて、それも妥当な回答が得られたと考えましたので、全て「適」と考えた次第です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、倫理的な観点からの評価につきましては、佐藤構成員にしていただいたわけですが、本日は御欠席ですので、事務局から代わりに説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 お手元の別紙1の2ページ目を御覧ください。佐藤構成員より評価をいただいております「倫理的観点からの評価」について代読いたします。
 4番目「同意に係る手続き、同意文書」につきましては「適」、5番目「補償内容」につきましても「適」の御評価をいただいております。
 コメントとしまして、説明文書および同意取得手続き、また、被験者への補償内容は適切である。患者負担が約115万円と高額であるが、このうち先進医療に係る費用の一部(相当部分)は研究費により充当するとのことであり、標準治療が奏功しない患者に対して行われるものであることも併せて考えると、許容可能であると思料する。相談体制も整備されているとのことでございました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 もう一つ、試験実施計画書等の評価につきまして、飛田構成員に評価していただきましたけれども、本日は、やはり御欠席ですので、事務局から御説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 飛田構成員からいただきましたコメントにつきましても、同じく別紙1の2ページ目の中ほどを御覧ください。「試験実施計画書等の評価」につきまして、6番目「期待される適応症、効能及び効果」から16番目「個人情報保護の方法」につきまして、いずれも「適」の評価をいただいております。
 コメントといたしまして、本試験での適格基準となる治療抵抗性の定義、主要評価項目の評価方法及び目標症例数の設定について若干の懸念点がありましたが、照会事項を踏まえて適切に計画書に追加記載される旨の回答がなされたことから、いずれも「適」と判断いたしましたとのことでございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、以上のことをまとめていただきたいと思いますので、真田構成員、お願いいたします。
○真田構成員
 総評といたしましては、佐藤先生から御指摘があった患者さんの負担額のところが、この計画書では最終的にこの会議で「適」と了承された後に、その研究費等の状況によって最終決定されるという文言がございましたので、それについては事務局さんのほうにこの記載に齟齬がないかどうかということを御確認いただくことを条件に全て「適」となるのではないかと考えました。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療会議における事前評価につきまして、新井構成員からお願いいたします。
○新井構成員
 それでは、机上資料の14ページを御覧いただきたいと思います。私の評価について、そこに記載がございますので、御説明申し上げます。
 まず、社会的妥当性(社会的倫理的問題等)ということで、これは今、御説明があった中にもございますように、倫理的には問題がないと判定をいたしました。
 現時点での普及性に関しましては「C」ということで、まだ十分に普及はしていないという評価でございます。
 効率性に関しましては、まだ実際のところ、正確な評価はなかなか難しいというところもございますので、「B.やや効率的」という評価にさせていただきました。
 将来の保険収載の必要性に関しましては、将来的に保険収載を行うことが妥当、なお、保険導入等の評価に際しては、以下の事項に留意すべきということでございまして、そこに私のコメントを記載させていただきました。
 血管のデナベーション治療は、高血圧に対する腎動脈周囲の自律神経叢焼灼術などがありますけれども、実際にはなかなか十分な効果が得られていないというのが実情であります。今回の手技に関しては非常に期待もあるのですが、一方で、その有効性を十分慎重に評価する必要があるだろうということでございます。
 総評といたしましては「適」とさせていただきました。
 ここにもコメントを付しておりますけれども、肺高血圧に対するデナベーション治療については、慶應大学のグループからの報告が既にございます。ただ、これは1例の症例報告でございまして、その1例に関しては4か月後に肺動脈の血圧の低下があったという内容です。まさに本邦では1例しか報告されていないということでございまして、保険収載の適否に関しては、症例数を増やして得た治験の結果を基に、効率的に有効性が得られる症例グループを選別する必要があるように思います。例えば、このスタディーでは、特に肺高血圧症のタイプごとに群を分けたりとか、そういったようなことはしておりませんので、その辺がやはり一つポイントになるかと考えます。
 有効性を確実に証明できるグループを同定して、そこに例えば適用を認めるとか、そういったような配慮が必要なのではないかと思った次第であります。
 私からは以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上で説明は終わりましたけれども、何か御質問等はございますでしょうか。
 どうぞ。
○石川構成員
 これは20例というお話なのですけれども、16~80歳と結構幅広ですよね。これは肺高血圧症ということでざっくりと言っているのですけれども、原因がいろいろあると思うのです。私が以前見たのは、先天心でオペができなくて、アイゼンメンジャーになってしまってというような感じです。
 それから、原発性の肺高血圧なんかもありますけれども、これは全部そこに一くくりにしてしまってやっているのですか。
○真田構成員
 御質問ありがとうございます。
 今回は、この肺動脈に対するアブレーションという手技に、今、新井先生からも御発言がございましたけれども、まだ知見の集積がございません。
 肺動脈圧が高くなる理由は幾つかございまして、それに対する効果も今、どれに効いてどれに効かないということも、その情報も蓄積されていないということですので、彼らの目的としては、まずは探索的にどういうものに効くかということについても集積をしたいという意図があって、それに対して必要最小限な症例数、実現可能な症例数が20例という記述であったと理解していますので、この試験だけをもって判断できるというわけではございません。
 むしろ、これはフィージビリティーに近い試験と考えて、その後、症例の集積に伴って、より効果のある、より効果が期待できないような症例の振り分けがなされている、あるいはオペレーションの振り分けがなされていくものと理解しています。
○石川構成員
 私が言いたいのは、全く原因が違うと思うのです。血管の問題なのかとか、そういうので大ざっぱに肺高血圧症ということで一くくりにして、この神経の神経叢を焼却してと、何かすごくアバウトな感じがするので、それでお聞きした次第なのですけれども。
○真田構成員
 先生が御指摘のとおり、例えば最も大きい原因を挙げても、特発性の肺動脈の、例えば細血管の肥厚に伴うものがあったり、あるいは最近注目されているのは、静脈血栓が知らないうちに肺動脈の細部に詰まってしまうことによる血管床の減少によるものなどがあって、このエチオロジー次第では、やはり肺動脈の主管を焼くだけではなかなか効果が得にくいと考えられるものもあるのですけれども、彼らがまず選んだのが、内科的にもうやることがない、手の施しようがないノーオプションの人たちにトライをするということであることと、同じ肺血管床の減少、あるいは肺動脈の有効な体積の減少が最終的には肺動脈の血圧の上昇に関与しているという終末像に関してはほぼ同じですので、そこのエチオロジーによって多少の違いがでることはあっても、それぞれの病型からの知見を得ることについては、意味としてはあるのではないかと理解いたしました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○藤原構成員
 この別紙の17ページの「薬事承認申請までのロードマップ」というのが書いてあるのですけれども、この試験自体を行うことは、国循の肺高血圧のグループがしっかりやっていますから、症例数もあるので可能だとは思うのですけれども、その後、実際に治験をやって薬事承認の申請を行うまでのところが、プロトコールとか今、いろいろな資料を見ましたけれども、あまり明確ではないのです。
 これはアボットさんとか、日本光電さんとか、今のアブレーションのキットを持っている医療機器メーカーの方々が、この試験を受けて成績がよかったら治験をやりますというような構想は持っていらっしゃるのかどうかというのを一つ聞きたい。
 それから、平成30年8月22日にPMDAの関西支部でレギュラトリーサイエンス総合相談という実際の対面助言の前の相談を受けられていますけれども、既に2年半ぐらいたっていますが、それ以降は何も対面助言とかを受けられた記録がないので、本当に申請まで企業さんとかが考えてくれるのかというのがちょっと不安なので、出口のところをもう少し教えていただけませんか。
○真田構成員
 そこについては、記載があまりなかったと理解をしていますので、事務局さんのほうで何かあれば。
○研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。
 貴重な御指摘をいただきありがとうございます。
 企業と相談しているかという点につきましては、事前相談の段階で企業と試験について相談しているとお聞きしております。
 ただ、事前相談を受けたのは少し前になりますので、その後の経過がどうかということについては、確認させていただこうと思います。
 また、PMDAにつきましても、御指摘のとおり平成30年8月の相談以降、我々としては相談のご報告をいただいておりません。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○藤原構成員
 その辺を承認して、前に進める際には、出口をちゃんと見据えておいてあげないと、試験が完遂して、もう時間が過ぎてしまうので、気づいたらいつの間にか症例が入らなくて、フェードアウトしてしまったということにならないように、ちゃんと最初から道筋をつけてあげるようにしてあげてください。
○五十嵐座長
 貴重な御指摘をありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、評価結果につきましては、特に変更する必要はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、そのようにしたいと思います。
 では、山本構成員にお戻りをお願いしてください。
(山本構成員入室)
○五十嵐座長
 それでは、以上をもちまして、先進医療の合同会議は終了させていただきます。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 準備が整い次第「先進医療会議」を開催させていただきます。
 



第85回先進医療会議

○日時

令和2年4月2日(木)16:40~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館専用第15会議室(12階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 新井構成員 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
藤原構成員 山口構成員 山本構成員 高橋技術専門委員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価について
   (先-1)(別紙1)
 2 先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-2)(別紙2)
 3 その他

 

○五十嵐座長
 それでは、準備ができましたので、ただいまから先進医療会議を開催いたします。
 まず、構成員の先生方の出席状況について御報告いたします。
 本日は、福田構成員、横井構成員から御欠席との連絡をいただいております。
 また、事前評価をしていただいた高橋技術専門委員から御出席をいただいております。
 なお、事前評価をしていただいた笹子技術専門委員は御欠席と御連絡をいただいております。
 欠席されます構成員、技術専門委員の先生方からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するということになっています。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 頭撮りについてはここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先‐1「先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価」としている1枚紙がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 続きまして、先‐2「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙がございます。こちらには別紙2がついてございます。
 資料に関しては以上でございます。
 また、今回も合同会議と同様にタブレットを使用していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 先生方、資料につきましてはよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 山口構成員、笹子技術専門委員より、先進医療Aとして評価を行う整理番号337の技術について報告がございました。
 山口構成員、笹子技術専門委員におかれましては、検討対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でございましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 ということで、出席されている構成員におかれましては、利益相反はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、先進医療会議にて継続審議の評価を受けた先進医療Aの技術の再評価についての資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-1の資料に基づきまして御説明させていただきます。
 整理番号335番「Zenker憩室に対する軟性内視鏡的憩室隔壁切開術」でございます。
 適応症につきましては、Zenker憩室となっておりまして、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。
 本技術につきましてですけれども、令和元年12月に開催されました第81回先進医療会議で御審議いただいた技術でございます。
 その際に「継続審議」と御評価いただきましたけれども、今回、先進医療会議からの指摘に対応されて再度提出されているため、今回御審議いただくことになってございます。
 なお、指摘に対応された結果、先-1の費用の部分につきまして変更があったことを御報告させていただきます。
 こちらの事前評価につきまして、柴田構成員及び高橋技術専門委員にお願いしてございまして、柴田構成員より「条件付き適」、高橋技術専門委員より「条件付き適」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙1の3ページ目を御覧いただければと思います。
 当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件案をお示ししてございます。
 こちらを御説明させていただきますと、上からまず「実施責任医師の要件」でございますけれども、診療科は消化器内科または内視鏡内科、資格は日本消化器内視鏡学会専門医、当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は術者として2例以上、その他としまして、この2例以上の経験は当該技術経験者の指導下で行う必要がある、また、食道または胃の内視鏡的粘膜下層剥離術を術者として50例以上の経験を有するとなってございます。
 「医療機関の要件」としましては、診療科として消化器内科または内視鏡内科、実施診療科の医師数として手術に必要な常勤医師3名以上、他診療科の医師数として緊急手術時に対応できる常勤消化器外科医3名以上、その他の医療従事者の配置は不要となってございます。
 病床数は300床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は要、緊急手術の実施体制、24時間実施体制の院内検査は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会による審査体制、また、医療安全管理委員会の設置は必要、その他としまして、24時間画像診断を実施する体制が整備されていることとされております。
 また「その他の要件」といたしまして、頻回の実績報告について、5症例までは毎月報告となってございます。
 説明は以上になります。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 この技術につきましては、事前評価を柴田構成員にお願いしております。
 技術の内容とその評価結果について御説明をお願いいたします。
○柴田構成員
 お手元の別紙1の14ページを御覧ください。
 こちらに技術の概要を記してございますが、口頭ではちょっと御説明しにくいので図を御覧いただきたいと思うのですが、右上の「治療前」のところの白い矢印の部分をナイフで切除するような技術となっております。
 前回12月に御審議いただきましたところからの大きな変更点としましては、14ページの右下の1番のところです。これまでは鎮静薬を使って全身麻酔をせずに行うというところを一つのメリットとして挙げられていましたが、安全性を担保するために全身麻酔を行うということに変更されております。
 また、それに伴いまして、細かなところですが、インジゴカルミンなどを使うのが適用外使用に当たるということで、6番のところですが「生理的食塩水を局注」するに変更されております。
 技術についてはこのようなものですが、15ページに記載されていますロードマップを御覧ください。
 本申請の一つの懸念材料としましては、青い枠で囲んでございます「臨床実績」のところが2例であるというところです。
 技術としては期待がされるものではございますが、国内での経験が少ない中、また、前回審議時には、全身麻酔でないということもあり、いろいろな穿孔が起こったときにどうするのかなどという懸念もありましたが、今回、先進医療としては、申請医療機関としては、20例を総被験者数とする研究を実施されるという形になっております。
 ただし、本件は先進医療Aとして実施されますので、必ずしもこの研究に参加される医療機関のみで実施されるわけではないというところが一つ問題になり得るところです。
 概要については以上です。
 評価票を御覧ください。
 別紙1ページ目に私の評価を記しましたが、適応症としては妥当だと考えます。
 有効性は「B.従来の技術を用いるよりもやや有効」であることが期待されます。
 安全性については「問題あり」としておりますが、これは実際にやってみていただかないと分からない部分だと思います。
 技術的成熟度としましては、まだまだ国内での実績が少ないということもありますので、「C」といたしました。
 社会的妥当性は「倫理的問題等はない」、現時点での普及性については普及していない「C」としました。
 効率性については「やや効率的」と記しました。これは、申請医療機関の先生方の想定どおりであれば「大幅に効率的」になるという余地はあると思いますが、現時点では十分な情報がないために「やや効率的」にとどめていると御理解いただければと思います。
実際に行われて、有効性、安全性の観点で大きな問題がなければ、保険収載を行うことは妥当ではないかと考えております。
 コメントのところですが、1行目は省略いたしまして、前回審議時に問題となりました点の大半は解決しましたので、総合判定は「適」とし得ると思います。
 一点、国内における先行例が少ないために、現時点で幅広く先進医療Aとして実施することに懸念があり、実施状況の情報共有がなされる手だてが必要と考えるとコメントをさせていただきました。その懸念点につきましては、後ほど高橋先生にも御指摘いただければと思います。
 めくっていただきまして、別紙1の6ページ以降に前回の審議時以降の指摘事項に関する回答が記されております。
 安全性に関する考え方については、前回の段階では、本技術のよいところと既存の技術のデメリットが比較されていたのですが、本技術においてもデメリットがありますし、既存の技術においてもメリットがありますので、それぞれの技術のリスクベネフィットバランスがきちんと評価できるような論点整理をしていただく必要があると考えて、それについて明確にしていただきました。
 その結果、7ページの一番最後の段になりますが、安全性を担保するために、気管挿管及び全身麻酔下での施行を原則としましたという形にされております。
 2ページ目が先ほどお話ししました先行実施例が2例のみであるということに対して、安全性を担保するために、あるいは指導体制等の整備を図るために検討していただいた内容が記載されております。この内容が先ほどの医療機関の要件の中に反映されているものです。
 3、4、5番等についても適切に回答され、さらに11ページの指導体制についての回答も追加していただきまして、内容としましては適切に変更されたのではないかと考える次第です。
 3ページに戻っていただきまして、先ほど「医療機関の要件」の最後に、頻回の実績報告が必要であるとなっておりますが、先ほど実施状況の情報共有がなされる手だてが必要と考えるとコメントいたしました点については、この頻回の実績報告がなされるということで対応可能なのではないかと考えております。
 注意点としましては、先ほどお話しましたように、これは先進医療BではなくてAなので、臨床研究に必ずしも参加されない医療機関があった場合に、合併症の発現状況であるとか、そういう問題が情報共有されない可能性があります。
 それに対する対応として、この会議に報告されるということであれば、重大な問題があった場合に広く公開される余地があると思いますので、その辺は対応していただければ許容可能かと考えた次第です。
 私からは以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 事前評価を高橋委員にお願いしております。
 評価結果等につきまして御説明をお願いいたします。
○高橋技術専門委員
 よろしくお願いします。
 高橋でございます。
 今、柴田先生からの御説明があったとおり、こちらからいろいろな論点を差し上げたわけですけれども、それに的確に答えられました。
 特に、呼吸性のいろいろな移動があるので、全身麻酔がいいのではないかというようなことも全て受け入れていただいたし、これは私はやったことがありませんし、どのような技術を持った人が行えば安全にできるかというところで、向こうからESDの十分な経験症例数、50例というと十分だと思います。
 それから、前はそばに立っているだけでもいいようなことが書いてあったのですが、自分で2症例行った者がこの技術に参加できるということで、大変安全性も担保されたのではないかと考えております。
 別紙1の1ページ目の柴田先生から御指摘されたところで、効率性のところだけが私と違って、あとは全部一緒でございます。
 効率性につきましては、私は、外科手術よりは大幅に内視鏡治療、しかも短時間で行えるということがありますので、もしこれが有効な技術であれば大幅に効率的であろうと「A」としたわけですが、そこは先ほどの柴田先生の御意見どおり、将来的に今のままではまだ内容が明らかでないので「B」に落としておこうということだと思います。
 私のコメントでございますけれども、本技術は最初の段階では2例だったのですが、その後2例、合計4例になっております。いずれも成功して、安全であったと報告を受けております。
 けれども、やはり本邦での本技術の臨床実績は少なく、4例では成功率、合併率、再発率などについては解析が困難であり、症例の蓄積が必要となる。そのため、まれな疾患でありますので、研究開始後5症例までは毎月実績報告が必要であろうと。ここは柴田先生が先ほどおっしゃったように、重大な副作用があれば、それが確実にこの場ではっきりするわけですので、そういう意味においても、こういう条件をつけて「適」とするべきではないかと思いました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見等はいかがでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 いろいろ直していただいているので、いいと思うのですけれども、feasibilityの問題で、頻回の実績の報告で5症例までは毎月報告というのを課すのはいいのですが、ちゃんとやってくれるのかというか、逆にやっていないときにそれを関知できるのかというのは実務的に大丈夫かと。
 これは恐らく事務局に聞く話かと思うのですけれども、そこを一応確認しておきたいのです。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 重要な御指摘をいただき、ありがとうございます。
 まず、この頻回の実績報告につきましては、通知にも記載がございまして、当該医療機関は実績について地方厚生局を通じて医療課に提出をすることとなってございます。
 また、それとは別に、この先進医療全体として、安全性報告の義務が課されておりまして、重篤な有害事象等が発生した場合は、先進医療Aの場合は同様に地方厚生局を通じて医療課のほうに報告をすることとなっておりますので、仮に5例の後に重篤な有害事象等が発生した場合には、そちらのスキームを使って事務局のほうで把握するという形になってございます。
○五十嵐座長
 よろしいですか。
 どうぞ。
○藤原構成員
 今のに関連すると、プロトコルを見ると、この試験の事務局は消化器内科の先生なのですよね。だから、忙しいのに大丈夫かというのが心配です。
 多分、NHOの本部が関与するとか、この病院の臨床研究部もあるから、そこが関与するとか少しフォローをしてあげないと、先進医療Aといっても、初めて経験されるような先生だと困るので、そこは気をつけてくださいと言っておいたほうがいいと思います。
 それから、事務的に、届出書の1ページ目のここの病院の院長先生の下瀬先生は整形外科なのですけれども消化器内科になっているので、これは消化器内科を削除しておいてあげたほうがいいと思います。すみません、地元なもので。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 先生にいただいた2点の御指摘は必ず医療機関にお伝えして、まず、報告の体制については先生の御意見を医療機関に伝えて、しっかりと行うようという形で御連絡をさせていただきます。
 また、届出書につきましても、医療機関のほうにお伝えして、訂正をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○山本構成員
 どうしても藤原先生がおっしゃったのと同じことが非常に気になっているので、ドクターが誠意を持ってやっていたとしても、施設としての実績報告を忘れていたら、それが見つかったときに施設として結構重大な制裁を受ける可能性がありますということを施設全体で分かっておいていただかないと、出している科の先生の努力に任されてしまうというような実態は、特に地方病院とかではある可能性が高いので、この実績報告は非常に重い措置ですということをきちんと伝えておいていただきたいと思います。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 非常に重要な御指摘をいただき、ありがとうございます。
 この実績報告、また、その後の安全性報告についても、再度しっかりと周知をさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、構成員の評価結果どおり決定してよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、そのようにしたいと思います。
 続きまして、先進医療Aに係る新規技術の科学的評価等について説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料先‐2を御覧ください。「先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。
 今回、先進医療Aの新規技術として御審議いただきます技術でございますけれども、整理番号337番、技術名は「胃内視鏡的手縫い縫合術」でございます。
 適応症につきましては、抗凝固薬や抗血小板薬、一般的に抗血栓薬と言われておりますけれども、これらを服用しており、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の術前に3センチ以下の胃がんもしくは胃腺腫と診断され、胃のESDにて病変切除した症例となってございます。
 かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。
 こちらの事前評価は、福井構成員及び笹子技術専門委員にお願いしてございまして、福井構成員より「継続審議」、笹子技術専門委員より「継続審議」の御評価をいただいております。
 続きまして、別紙2の3ページ目を御覧いただければと思います。当該技術を実施するための実施責任医師及び医療機関の要件案をお示ししてございます。
 まず「実施責任医師」の要件でございますけれども、診療科は消化器内科、内視鏡内科、胃腸内科、消化器外科、内視鏡外科となってございます。
 資格として、消化器内視鏡専門医、当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数、症例数は不要となってございます。
 その他としまして、食道または胃、大腸の内視鏡的粘膜下層剥離術を術者として300例以上の経験を有するとなっております。
 続きまして「医療機関の要件」でございますけれども、診療科は実施責任医師と同様、実施診療科の医師数は常勤医師2名以上、他診療科の医師数、その他医療従事者の配置は不要、病床数は20床以上、看護配置は不要、当直体制、緊急手術の実施体制、院内検査が必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制、倫理委員会による審査体制、また医療安全管理委員会の設置は必要となってございます。
 また、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要、その他といたしまして、本先進医療導入前に実地見学を行うこととされております。
 説明は以上になります。
 御審議のほどよろしくお願いします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 この技術につきましては、事前評価を福井構成員にお願いしております。
 技術の内容とその評価結果につきまして、御説明をお願いいたします。
○福井構成員
 別紙2の7ページを御覧いただきたいと思います。
 この手技は、ESDを行った後、内視鏡下に粘膜を針と糸を使って手縫いのような形で縫合します。そうすることによって、術後の出血の可能性を低くするという技術です。
 その次のページを御覧ください。ロードマップです。
 「適応疾患」のところを御覧いただきますと、抗血栓薬を服用しており、術前に3センチ以下の胃がんもしくは胃腺腫と診断され、胃の内視鏡的粘膜下層剥離術にて病変切除された症例について、この技術を適用します。主評価が、術後の出血率を比べるというものです。
 先行研究は、この技術を開発された日本医科大学の後藤先生のグループが今まで30例行っています。下の表を御覧いただきますと、全部で30例のうち、一番下の行の「完全維持時の術後出血」は1例(4%)で、抗血栓薬服用者15名につきましては8%だったという先行研究の結果です。この先進医療では予定症例数60例で、概要のところをもう一度読ませていただきますけれども、抗血栓薬服用者に対する胃ESD後粘膜欠損部への内視鏡的手縫い縫合の術後出血予防効果の評価ということになっております。
 少し気になった点として、同じ資料の12ページを御覧いただきたいと思います。真ん中付近の「被験対象小基準」というところに6項目がございますが、その3番を御覧いただきますと「ESD前2週間の時点で抗血栓薬を1週間以上継続して内服している症例」ということになっていまして、この文章だけですと、この技術を適用する時点では必ずしも抗血栓薬を内服していなくてもいいということになってしまいます。
 2週間前に飲んでいたらいいということで、実際、現場では、休薬できる患者さんはほとんど抗血小板薬にしても、抗凝固薬にしても、できる限り休薬しているのが実情です。
 このことの意味について、iPadで右上のページで556ページを見ていただきたいと思います。真ん中から下のところに「試験登録」という部分がございまして、そこの4行目からですけれども、抗血栓薬の取扱いに関しては、原則継続とし、日本消化器内視鏡学会が提唱する「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡ガイドライン」を参考にしつつ、最終的な判断は担当医師の判断に委ねることにすると書いてあります。
 別紙2に移っていただきますと、この後藤先生たちのグループが引用している論文の中にDongという方のシステマティック・レビューがあり、抗血栓薬の継続服用群では術後出血率が23%、非服用群で5%という数値が引用されています。実は、このシステマティック・レビューの論文の中には休薬群のデータもございまして、それを計算しますと7.9%となります。
 したがって、研究デザインとして、もともと術後出血率が23%と非常に高い被験者グループと、中断すれば7%ぐらいになるグループが入り得る、そういう対象患者の登録基準になっているものですから、そこのところはきっちりしていただかないと、被験者数の計算にも大きな影響を与える点だと思います。私はその点が非常に大きな問題だと考えます。
 1ページ目を見ていただきますと、私の判断では、適応症としては、被験者の選択基準を明確にする必要があるのではないかと、この時点では妥当ではない。
 有効性につきましては、先行研究で示されておりますように、従来の技術を用いるよりもやや有効な可能性はある。
 安全性につきましては、あまり問題ない。ただ、この手縫いの縫合にはかなり時間がかかっているようです。平均すると、数時間プラスになります。このことは患者さんのヘルスアウトカムにどういう影響を与えるかどうか、少なくとも身体的な負担もあるのは事実だと思います。
 技術的成熟度としましては、比較的安全に行えるようです。
 社会的妥当性につきましては、研究デザインがもう少し厳密に作成される必要があり、そういう意味では倫理的な問題にもつながると思います。
 普及性につきましては、罹患率、有病率から勘案して普及していません。
 効率性につきましても、出血率が低くなるということで、やや効率的な可能性はある。
 将来の保険収載の必要性につきましては、適切なデザインで行われた試験の結果によるとしかこの時点では言えないと思います。
 総評としては、中核となる研究デザインのところをもう一度考えていただいた上で「継続審議」としたほうがいいのではないかと判断いたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日は御欠席されていらっしゃいますけれども、笹子委員にも評価をしていただきましたので、その評価結果等につきまして、事務局が代わりに御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 笹子技術専門委員の御評価につきまして、別紙2の2ページ目を御覧いただければと思います。上から御説明をさせていただきます。
 まず、適応症につきましては「B.妥当でない」と評価いただいておりまして、リスク患者の腺腫は除外すべき、また、血栓リスク、抗血栓薬の種類、病変部位の詳細な検討が必要とコメントをいただいております。
 有効性につきましては「B.従来の技術を用いるよりもやや有効」、安全性については「B.あまり問題なし(軽い副作用、合併症あり)」、ただし、術者としての当該技術の経験症例は必要と考えるとコメントをいただいております。
 技術的成熟度につきましては「B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又はその指導下であれば行える」と御評価いただいております。
 社会的妥当性につきましては「B.倫理的問題等がある」と御評価いただいておりまして、プロトコルや説明文書に検討すべき事項がある、対象の標準治療は抗血栓薬を中止しないESDとは言い切れず、現在の適応では既存治療との比較が必要とコメントをいただいております。
 現時点での普及性は「C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない」と御評価いただいております。
 効率性につきましては「B.やや効率的」と御評価いただいておりまして、希望的にはそうだが、実施時間の延長など問題点も多く、オプションにはなり得る程度の技術とコメントをいただいております。
 将来の保険収載の必要性につきましては、判断できないと御評価いただいておりまして、総評といたしまして「継続審議」と御評価いただいております。
 コメントといたしまして、適応症が幅広く、血栓リスクや出血リスクが多様な患者が含まれていて、一般化した場合に安全性が担保されない点が懸念される、部位、大きさ、薬剤内容を検討し、対象の厳選、あるいは層別化した検討を行う必要がある、また、説明文書にも変更すべき点があるため、プロトコルを練り直して、再審査したいとコメントをいただいております。
 これとは別に御意見の詳細もいただいておりまして、こちらは事務局のほうで御紹介をさせていただきます。
 まず、対象患者につきまして、申請医療機関のほうでは、抗血栓薬服薬が1週間以上継続している患者全てを適応にしているところですけれども、こちらは先ほど申し上げました血栓リスクが非常に幅広い患者群が入っておりまして、心筋梗塞の既往がある方や臨床的な脳梗塞の既往がある方でも、専門家に打診をして薬剤投与を短期間中止する場合、短期間で失効する薬剤に置き換えて再開時期を調整する場合、そしてヘパリン化する場合などの選択肢がございます。血栓リスクが多様であって、ESDにおける出血リスクとのバランスになります。
 次に、胃がんの病変部位による手術実施の難易度にも大きな差がある点も考慮すべきと御意見いただいております。
 また、胃腺腫は基本的な経過観察でよく、特に3センチ以下に限ると治療の適用ではない場合が多いので、新規技術の研究的医療の対象には加えるべきではないと考えますと御意見いただいております。
 また、抗血栓薬を休薬したり、新規経口抗凝固薬への転換をしたりする場合のESD出血リスクは術中出血を含めても5%と推測でき、ヘパリン化症例や休薬しないよりはるかに少ない。説明文書にはこのような選択肢があることが記載されておらず、中止による血栓リスクと中止せずに行う場合の説明の両方がなされるべきと考えます。
 また、申請医療機関は先ほどの憩室の隔壁切開術と同様、臨床研究として行う予定でございますけれども、この単アーム試験では、容易な部位の症例、適用範囲でも小さめの病変の症例だけとなりがちであり、一般化した場合に安全性が担保されない点が懸念され、部位、大きさ、薬剤内容等を層別化して検討する必要があるとしております。
 また、これ以外にも、申請書の当該技術の経験症例数が不要となっていることに関して、このような手技の研究として妥当性を欠くというコメントをいただいておりまして、この試験をもって、将来、保険収載することはなかなか難しく、どうしても休薬もNOACへの変更もできない患者に絞って行うべきであるとされております。
 また、臨床研究のプロトコルにつきましても、イベントの術中及び術後出血イベント、血栓関連イベントが合計で何例以上発生した試験を中止するという基準の事前設定は不可欠であるという御意見も頂戴をしているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問等はいかがでしょうか。
 どうぞ。
○山口構成員
 前回発言しましたが、技術的な面からコメントします。基礎的な検討が行われていて、2つ論文が出ています。
 一つは、クリップと比較して物理的な強さがどうかということで、やはり連続して縫ったほうが強いというデータがあります。
 もう一つは、豚で数値を出しているものがあるのですけれども、1週間後には縫合部が全部オープンになっているという結果です。これを見たら普通は、結局1週間後には一例もくっついていないわけですから、どうにかくっつく方法を考えるのが本当だと思います。しかし、さらに臨床例をその中でやって、4例続けて1週間後にくっついていない。
 少し工夫したらくっついたのだというのがその後4~5例追加されているのですけれども、このデータからしたら、まだまだ技術的にはどこがどう改良されてきちんとできるのかどうかということが分かっておらず非常に安全性に懸念を感じます。
 内科の先生は、傷は縫えばいいと思っているかもしれませんけれども、基本的には、例えば汚い傷は縫わないほうがいいのです。縫うにしても、隙間を空けてやらないと駄目なのです。ですから、縫合するよりクリップのほうが案外いい可能性も十分あるわけなのです。
 技術的にやはり相当難しそうで、1針5分ぐらいかかっているのです。1針5分は相当な難しさと考えられますので、これは簡単にどこでもやっていいという形で広がると、あまりいいことはないのではないかと思うので、そこに一つ疑問を感じます。
 もう一つは、臨床のデータも少し出ていますけれども、30例のうち3例は出血していますし、必ずしも有望な結果ではありません。これを基に全国一斉にやろうというのはちょっと危険ではないかという感じはするので、継続審議として、その辺りもぜひ、どういう考えなのか聞いていただければありがたいと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございます。
 どうぞ。
○福井構成員
 先ほど、縫合にかかる時間のところで曖昧な言い方をしてしまいましたけれども、粘膜欠損部の大きさが平均して37ミリのところで、縫合時間の平均値が46分プラスマイナス17分ということです。今、先生がおっしゃったことだと思いますけれども、かなりの時間がかかっているようです。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 福井先生が先ほど結果の中でおっしゃっていたように、抗血栓薬、抗凝固薬の中止は、どういう基準で外科的な処置をするときにやめるかというのは、ガイドラインが出ております。循環器学会も出していますし、今ちょっと見てみたら、消化器学会も内視鏡手術のときの休薬の目安も出しています。
 インターネットで見るだけで、いろいろな病院がそういう目安を公表されているのですけれども、研究計画書のほうの参考文献が554ページにあるのですけれども、御自分たちの研究の論文だけを引いていらっしゃって、実際にそういう対象になる方々の休薬についての一般的なお話とか、休薬できない方について、あえてこういうことをするのだとか、この技術を使わなければならない医学的背景とか、どういう患者さんを選ぶのが妥当であるかとか、その辺りの考察がこの計画書自体がその辺が甘いという気がしますので、つくり直していただくときには、そこからちゃんとしていただかないと、これでは入る患者さんがかわいそうかと思います。
○五十嵐座長
 層別化が不十分だという御指摘だと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 そうしますと、お二人の構成員が「継続審議」という御判断をされました。それから、委員の先生方からもそれに賛同する御意見が多かったのではないかと思いますので、ただいまの御議論を踏まえまして、継続審議ということに決めたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、そのようにさせていただきたいと思います。
 以上で今日の議題は終わりました。残りに「その他」が1つありますけれども、事務局から何かありますか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 特段ございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方からは、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、今日の議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和2年5月14日木曜日16時から予定しております。場所については、別途御連絡をさせていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 それでは、第85回「先進医療会議」をこれで終了いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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