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2019年11月7日 先進医療会議・先進医療合同会議(第80回先進医療会議、第90回先進医療技術審査部会)

○日時

令和元年11月7日(木)16:00~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館専用第15会議室(12階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員
福井構成員 山口構成員 山本構成員 伊藤構成員 真田構成員 田島構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)
 

○議事

〇第90回先進医療技術審査部会
16:00開会

○五十嵐座長
 では、委員の先生方もお集まりのようですので、これから「先進医療合同会議」を始めたいと思います。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 初めに、本年9月から新たに構成員に加わっていただくことになりました新井一先生に一言御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○新井構成員
 順天堂の新井でございます。専門は脳神経外科でございまして、9月、10月と2回欠席しまして、大変失礼いたしました。今回からしっかりとお役目を果たすように頑張りますので、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、先生方の御出欠状況について御報告いたします。
 きょうは、福田構成員、藤原構成員から御欠席との連絡をいただいております。また、先進医療技術審査部会から、伊藤構成員、真田構成員、田島構成員に出席していただいております。
 欠席されております構成員の先生方からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては座長の私に一任するとされております。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでにさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 先生方のお手元の封筒のうち合同会議用の資料の御説明になりますが、まず、議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先-1「先進医療の新規届出技術について」という一枚紙がございます。こちらには別紙1としておりますホチキスどめの資料がついてございます。
 資料の説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。資料につきまして、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 では、今回検討対象となる技術等につきましては事前に利益相反の確認をしております。その結果を事務局から御報告お願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 竹内構成員より、先進医療Bとして評価を行います整理番号133の技術につきまして報告がありました。竹内構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価には加わらないことになります。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。そのほかの御出席されている構成員におかれましては、同様の事例はないということでよろしいでしょうか。
 (「はい」と声あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料先-1に従いまして御説明申し上げます。
 今回、この合同会議におきまして御審議いただく技術は、受理番号99番「小児の神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害に対するボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法」でございます。申請医療機関は東京都立小児総合医療センターとなってございまして、かかる費用は資料にお示ししたとおりでございます。
 なお、先進医療技術審査部会からは、主担当に真田先生、副担当としまして田島先生、伊藤先生、そして技術専門委員の斉藤先生に御評価をいただいております。また、先進医療会議からは五十嵐先生に御評価をいただいておりまして、いずれも「条件付き適」と御評価いただいております。
 資料の説明については以上でございますが、先ほど、資料の説明の際に失念しておりました点について補足させていただきます。
 今回もタブレットを使用しておりますので、届出書類等についてはタブレットから閲覧していただければと存じます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者の方は、会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。事前評価は先ほどお話しいただきましたけれども、主担当、真田構成員、副担当、田島構成員、伊藤構成員にお願いしております。技術専門委員の斉藤委員にも評価をお願いしておりますけれども、本日は欠席されていらっしゃいます。
 では、初めに真田構成員から概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。
○真田構成員
 真田でございます。
 それでは、早速まいります。本技術ですけれども、「小児の神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害に対するボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法」となっております。
 概要につきましては、皆様お手持ち資料の24ページをごらんいただきますと、一枚紙で記されております。こちら、どのような技術かというのは、左下のこの概念図を見ていただければ一番わかりよいかと思いますけれども、排尿筋の過活動ということになりますと、頻回に尿失禁等を繰り返す状況なのですが、それに対し、現在の標準的な服薬治療としては抗コリン剤が使われておりますが、それになかなか反応しない、症状が制御できない患者さんに対して、その筋の過活動を抑制するためのボツリヌス毒素A型、ボトックスの商品名で販売されているものですけれども、こちらをこの図のように膀胱内に均等に注入することによって、その過活動の抑制を得るという技術であります。
 対象の患者さんは、こちらに6項目記されておりますが、年齢が5歳から18歳、器質的な脊髄病変、つまり、神経因性であるということ。特徴的なのは、この4番、5番など、症状がある程度固定しているものについてが対象となり、さらに、先ほども申しましたように、1種類以上の抗コリン薬の内服で症状が制御できないというふうな患者さんが対象になります。
 この試験のデザインでございますが、右半分に記載されております。この試験ですけれども、試験の内容としては、どちらかといいますと早期臨床試験に当たります。用量としては、申請者の先生方の書かれたところによると、100単位と200単位の2用量を、こちら、海外では多く経験があるものなのですが、国内では小児に対してこの治療の経験は直接的にはないということで、その使用経験と早期的な臨床指標を得るためにこの試験を計画され、2用量で、まず低い用量から3例行う。それから、3例中、DLT、つまり、用量規制毒性が発生しなければ次の用量に上がる。DLTが発生した場合にはさらに3例を追加し、6例になりますが、その6例中、DLTが1例のみであれば次のレベルにまいる。それから、2例以上発生した場合には、その当該用量をMTD、つまり、最大耐用量として、効果・安全性評価委員会等々に諮り推奨用量を決定するというデザインの試験を御提案されています。
 主要評価項目としては、ですから、用量規制毒性、つまり、安全性に係ること及びその用量を決定するということであって、有効性に係る評価項目は押しなべて副次的評価項目とされているのが特徴であります。
 私、この試験の事前評価を担当させていただいて、いろいろ申し上げたのですが、主な論点となりましたのは、やはりこの試験デザイン及びこの試験からどのような情報を得て次につなぐかというところであります。
 私の主な照会事項としては、お手持ち資料の15ページからにお示しをしております。私、有効性と安全性について、このデザインでは、やはり場合によっては得られる情報が少な過ぎて、この疾患が小児における、いわゆるオーファンディズィーズといいますか、該当者が少ないものであり、しかも試験を進行するには少ない対象者の中から試験を実施して、有効性・安全性を評価しないといけないというところの困難性というのは十分理解いたしますし、また、この治療法は内科的治療に反応しがたい患者さんに行うものですので、必要性というのは十分に理解できるという上で、このデザインについて意見を申し上げたところです。
 例えば、この24ページの図を見ながらお話を聞いていただければわかりやすいと思いますけれども、まず、この用量が2用量の設定なのですね。通常、早期臨床試験で用量設定に係るデータを得る場合には、一般的には、少なくとも3用量を試して、その用量反応曲線を得るというのが通常でありますが、こちら、2用量にしてある理由として、海外でのデータが既にある程度蓄積されていること、また患者さんの数が少ないこと等々を理由に挙げられたわけでありますけれども、例えば、この右側の図の中で低用量で全くDLTが発生しない。で、3例で高用量にいくわけですね。発生しないので。次、高用量で2例以上発生してしまったということになりますと、このデザインのままでは、その時点で試験が終わってしまうわけですね。
 各用量を3例、その上、データはパープロトコールセットといいまして、試験を完遂した症例だけのデータが集積されますので、それが解析対象になりますので、場合によっては2例以下の状況で、この当該濃度の有効性・安全性を判断しないといけないという状況に陥る可能性がある。
 そういうところを許容しておきますと、そのような状況になったときに、この試験から安全性・有効性のデータを得るのは難しいのではないですかという御指摘をさせていただいたわけです。そのやりとりがこの15ページ、16ページ、17ページ、18ページのところまであるのですが、その過程で、こちら、PMDAさんにも事前の御相談に行かれています。
 これはフォーマルな相談ではありませんので、あくまで議事メモという形でこちらに情報を提供いただいていて、その情報は、委員の先生方、タブレットの412ページからの資料になりますけれども、かいつまんで申しますと、PMDA、機構側は何を申していたかといいますと、まずは、この試験は医師主導治験でやることが望ましいと。2つ目に、この医師主導治験で行う、つまり、GCP準拠で行うのであれば、安全性と有効性に分けるデザインでも可。3つ目に、この治験以外で行うという枠組みであれば、PMDAは意見はしないと述べているわけであります。
 これはこのほかの似たような状況にある試験でも恐らく一様にこのような状況でアドバイスが出るということは想定されますので、余り特殊なことは申されていないと私は理解しましたが、これはあくまで医師主導治験でやるという前提で、安全性と有効性の試験を分けていいのではないかという判断をいただいたということで、今回、当初的にはこのような安全性を前面に評価する試験を提案されたのだと思いますが、そもそも先進医療でございますので、次につなげる、あるいは先進医療の一つのゴールとしては、例えば未承認薬検討会議等々の会議に上げる。今回も、こちら、申請者の方々から御提供いただいたロードマップは、お手持ちの資料の25ページにありますけれども、やはり一義的にはこの未承認薬検討会議にかけて、公知申請相当の判断をいただくことで世に広めていきたいということを申されているので、ある程度この試験で先進医療に係る有効性と安全性がそれなりに推定できる状況でないと、やはりデザインとしてはよろしくないのではないかという御提案を差し上げましたところ、最終的に、この資料の17ページの下段にございますように、推奨用量の決定後に当該用量レベルに合計最大6例まで登録するようにデザインを変更しますということ。
 それから、18ページの最後のところに、こちらは安全性に係ることで、今回、単施設の御提案をいただいたのですが、技術が伴うものについては、技術といいますと、これは注入するという手技ですけれども、が伴うものについてはやはり少なくとも複数施設でその平準化を図っていただくことが必要ではないですかと申し上げたところ、それを御理解いただいたと私は理解していますが、最後のところに、まずは当院単施設で開始させていただき、ゼロ例申請における最初の数例の治療実績の審査をいただく機会に、多施設化を検討したいと明言していただいております。
 よって、この2点ですね。まず、最大6例までのデータを得て判断できるデザインとすること。それから、多施設化を最初の3例の継続性評価の際に検討を必ずすること。この2点の条件をもって、私は「適」としてよいのではないかと判断いたしました。
 私からは以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。では続きまして、田島構成員から、倫理的観点からの御評価をお願いいたします。
○田島構成員
 同意に係る手続、同意文書につきまして、机上配布資料の別紙1の4ページから9ページに具体的な指摘内容がございますのでそれをごらんいただきたいのですけれども、当初の申請内容では、説明文書の研究内容の説明が不十分な点、健康被害に対する補償の説明に混乱が見られる点、患者さんの自己負担額が明記されていない点、同意撤回文書について、撤回の範囲が区別されていない点、アセント文書の誤記などの問題がありましたが、これら全てが適切に修正されましたので、最終的には「適」の評価をいたしました。
 ただし、真田先生の御指摘に従って、今後研究計画が変更されることになります場合には、その際に同意文書も含めて貴説に改定していただく必要がございます。
 次に補償内容につきましては、保険に加入され、適切に対応されておりますので、これも「適」の評価といたしました。
 以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。では、続きまして、伊藤構成員から、試験実施計画書等の評価をお願いいたします。
○伊藤構成員
 試験実施計画等の評価としましては、本試験が一般的な3例コホートに基づくMTBの推定を行うようなデザインになっておりますので、試験のデザインのプロトコールとしては一般的に適していると判断しました。
 ただ、実施体制の部分のところで、当初出していただいた計画書の中では、別紙参照という形で、誰が何を担当するのかが明記していなかったので、質問と事前照会事項としては、21ページの回答5のところになりますけれども、モニタリング体制等の組織部分のところを明記してくださいということで、明記していただきました。
 机上配布のものとしては、118から119ページのところが実施体制ということになっています。ただ、そのプロトコールをよく読みますと、モニタリングに関してはデータセンターに所属するモニターが個別にモニタリングする個別モニタリングとデータセンターのほうから行う中央モニタリングの両方がプロトコール上は書いてありまして、どちらでやるのですかと。通常は、個別モニタリング入る場合は中央モニタリングがなくても十分にモニタリングはできると考えられるのですが、両方やるのですかということをお聞きしたところ、両方やりますという御回答でした。品質が上がる方向での体制なので、余りここは問題にならないかなと思いました。
 以上修正していただきましたので、試験実施計画書等の評価としては「適」と評価いたしました。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、きょう御欠席されていらっしゃいます斉藤技術専門委員からの御評価をいただいておりますので、これは事務局から説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長補佐
事務局でございます。
 本日、斉藤先生が御欠席のため、事務局が代読させていただきます。
 お手元の資料、別紙の2ページ目になりますけれども、こちらの中ほどに御評価をいただいております。
 「実施体制の評価」としまして、1番目、実施責任医師等の体制、2番目、実施医療機関の体制、3番目、医療技術の有用性等につきまして、いずれも「適」の御評価をいただいております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では最後に、真田構成員から、現時点での先進医療技術審査部会としてのまとめをお願いしたいと思います。
○真田構成員
 先進医療技術審査部会としての評価結果でございますが、お手持ちの資料の3ページの下段に示しております。
 私、先ほど申し上げた計画変更に絡みまして、関連書類を全て整備していただき、その変更が確認された時点をもって「条件付き適」とするという判断とさせていただきました。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では続きまして、先進医療会議における事前評価につきまして御説明させていただきたいと思います。
 評価結果は私が担当いたしましたので、22ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、社会的妥当性に関しましては、倫理的問題はないと判断いたします。
 それから、現時点での普及につきましては、全く普及しておりませんので、これからの新しい治療法ではないかと思います。
効率性につきましては、まだ小児における有効性等は出ておりませんけれども、しかし、海外等のデータを伺うところによりますと、ある一定の効果はあると伺っておりますので、Bの「やや効率的」という判断をさせていただきました。
 それから、将来の保険収載の必要性につきましては、Aの将来保険収載を行うことが妥当である。ただ、保険導入等の評価に際しては、以下の事項について検討する必要があるとさせていただきました。この治療は、成人の排尿筋過活動による尿失禁、これはDDSと私書きましたけれども、正確にはNDOの間違いですので、修正をお願いしたいと思います。の治療薬として海外で承認されています。現在、我が国でも治験が行われておりまして、間もなく承認予定となっております。この小児のNDOにも第三相試験が海外にて実施中で、その中間解析によると、安全性には問題がないが、有効性については、先ほど申し上げましたように、結論はまだ出ていないという状況にあると伺っています。ということで、小児NDOへの治療を保険収載する際には、事前に本療法の安全性や合併症と有効投与量について確認しておく必要があるとさせていただきました。
 以上のことから、総評といたしましては、先ほど御説明ありましたように、先進医療技術審査部会から幾つかの変更・修正を求められておりますので、これらの指摘事項が適切に変更・修正されたことが確認できた段階で「適」と判断するということで、「条件付き適」とさせていただきました。
 以上です。
 これまでの説明につきまして、何か委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 本質的なことではございません。基本的に「条件付き適」の方向で賛成いたします。処置のときに全身麻酔が必要になるということで、IC文書と、計画書の試験参加による不利益というところにはそれが書いてあるのですが、肝心の処置の投与方法のところにそれが書いていないので、小児科の先生であれば恐らく当たり前のことだと思いますけれども、記載整備の意味で、この手技のところに、全身麻酔の上でこれをやるということをちょっと明記しておいていただいたほうがいいかなと思いますので、お願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 そのほかいかがでしょう。
 どうぞ。
○柴田構成員
 申請医療機関の先生方も変更については同意されているので、変更するという方向性で構わないと思うのですが、もともと提出された試験に対して、真田先生の御指摘は理解できるのですけれども、もともとの計画が著しく医薬品の評価のあり方として不適切かというと、そうでもないように思います。
 拡大コホートをつくるとメリットがあるのは、新たにプロトコールをつくり直すことなく早期に試験が継続できるというのが効率的な医薬品評価という観点でメリットがありますが、一方で、先進医療の場合には、そこで医療機関の追加であるとかそういうことの審議が挟まってしまうので、必ずしも治験の場合のようにスムーズに次の試験が開始できるとは限らないので、そこの試験をここにくっつけることによる総開発期間の短縮というのはちょっと望めない可能性もあります。
 もう一つ、そこで6例追加することにより症例登録期間が約1年延長することになると思いますので、未承認薬検討会議に意見出しをするタイミングも1年おくれる可能性があります。その間海外での動向がどのようになっているのかによって、開発の選択肢が狭まってしまう可能性があるので、早目に結論を出して、有効性は次のステップで検証・確認するという2段階の開発戦略のほうが柔軟性が高く、その時点での海外の動向に合わせてドラッグラグを解消するという選択肢がとりやすくなるのではないかなあと私個人としては思いました。
 なので、申請医療機関の方々がおっしゃっていることが科学的であるとか、治療法の開発の方針、戦略として著しく逸脱しているわけでもないと思いますし、先進医療ももともと一つの試験だけで全てのことを確認するべしということではなかったので、フェーズI、フェーズII、フェーズIIIのそれぞれのステップで積み重ねて、最終的に薬事承認、保険収載が目指せるロードマップであるかということが課題であったと理解していますので、そこのところが誤解のないように世の中の方に伝わるといいのではないかなあと思いました。
 ただ、これについてはもう申請医療機関の方が改定に同意されているので、この方針には私は問題ないと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。そのほか。
 どうぞ。
○真田構成員
 柴田先生の御発言をいただきまして、私、その御発言の趣旨はごもっともだと思います。私が1つ気にしましたのは、PMDAさんとの面談の中でも、これは医師主導治験で行うことを強く推奨されていると。これはやはり安全性等々が担保されていない、有効性等についても探索的なデータしか得られないという段階においては、やはり薬機法下の試験として行われるということが相当ではないかと。その場合には、今、柴田先生おっしゃったように、安全性と有効性を分ける試験というのを効率的な一つのチョイスとしてあると、いただいた議事メモにも書いてあったのかなと私は理解いたしました。その中であえて先進医療を選択されると。先進医療は薬機法下の試験ではございませんので、というところにおいてこの試験のありていを考えたときに、やはり有効性については、もしこれで明らかにならない場合は追加の試験を考慮しますと書いてあったので、追加の試験を考慮するということが書いてあって、しかも、その可能性高い場合が存在するというときに、あらかじめ手を打っておいたほうがいいのではないかという思いでこのように申し上げたというところです。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○柴田構成員
 あらかじめ手を打っておいたほうがいいという御指摘はそのとおりだと思います。それについてはもう追加のコメントはないのですが、PMDAが試験を分けたほうがいいという理由は、実はこの治療に限ったことではなく、一般に抗がん剤においてもフェーズIのエキスパンションコホートをつくることに対して、結構、それは避けたほうがいいというコメントすることが多いです。世の中の流れとしては、エキスパンションコホートをつけてフェーズI、IIとしてやる治験の開発の仕方がグローバルには一般的になっているので、PMDAも否定はしないのですが、迷ったときには分けたほうがいいというのは、これに限ったことではなくよく言われていることですので、この治療法は、特に治験の場合と特殊な開発をしたほうがいいという指摘がなされているわけではないと理解するほうが自然ではないかなあと思います。それはコメントです。
○五十嵐座長
 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 もちろん、薬剤開発の王道というのはあるので、それから若干外れていることは間違いはないと思いますけれども、1つは小児であるということと、それから、小児であって、しかもかなり希少な疾病であって、手技的な侵襲性もあるので、非常にやりづらい試験だと思います。特に国内で治験を一本立てるということが非常に難しい領域であろうとは思います。
 一方で、海外で開発が進んでいるということで、それをできるだけキャッチアップして国内の使用実績をつくりたいというところがあるのだと思いますので、それでいくと、先進医療、薬機法下ではないのですけれども、実績として最大12例を集められるということと、用量設定としては確かに2用量だけですけれども、それでも2用量を見ておくというところは、プランBとしては悪くない考え方だと思いますので、どうしても海外で走っているときに、最終的にどういう承認が国内でとれるかどうかわからない状況でやっているということもありますので、そういう意味であれば、ある程度とれるだけの症例をとっておくというのも悪くはないと思いますので、12例積めるのであれば、12例というか、最大で12例ですね。おっしゃるように、確かに3~4例で終わってしまうと何とも言えなくなってしまうというところはありますので、症例の実績を積むという意味ではこのデザインも悪くはないのではないかなあと個人的には思いました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。どうぞ。
○山口構成員
 私は余り詳しくないのですけれども、ちょっと教えていただきたいのですが、これは成人では米国で使われていて、タブレットの67ページを見ると、大体9カ月から10カ月効果が持続したということが記載されています。これはその後また何回もやらなくてはいけない治療なのでしょうか。そういうことが小児でも一緒なのでしょうか。ちょっとそのあたり、わかっていれば教えていただきたいのですが。
○真田構成員
 こちらは、効果が減弱した際には繰り返し行われることが前提の治療です。ですから、成人では6~9カ月ということで、小児でも6~9カ月というのが必ずしも同じかどうかということはわからないということも一つのトピックだったのですが、大体6週間の時点の効果をプライマリーに見ますということでした。
 今回については、そこは何カ月持続するかというところは、有効性の観点にもつながってくるのですが、今回のプライマリーエンドがどちらかというと安全性のほうに振れていましたので、そこは余り私としては触れなかったということでございます。
○山本構成員
 ボトックス一般に、もう既にいろんな適応とれていますけれども、全てが数カ月しか効果はないということで、どうしても必要があれば継続的に投与は必要になってしまうというものなので、それはこれも同じということだと思います。
○五十嵐座長
 有効な場合には定期的に治療を繰り返さなければいけない治療法であると御理解いただきたいと思います。そのほかいかがでしょうか。
 それでは、とりまとめをしたいと思います。
 (竹内構成員 退席)
○五十嵐座長
 今までの御意見をまとめますと、基本的には事前評価結果どおりに決定したいという方向でよろしいかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 (「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 では、竹内先生にお戻りいただいてください。
 (竹内構成員 着席)
○五十嵐座長
 それでは、以上をもちまして「先進医療合同会議」を終了させていただきます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 準備が整い次第、先進医療会議を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。
 



第80回先進医療会議

○日時

令和元年11月7日(木)16:36~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館専用第15会議室(12階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 横井座長代理 新井構成員 石川構成員 柴田構成員
竹内構成員 福井構成員 山口構成員 山本構成員
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(報告)
   (先-1)(別紙1)
 2 新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)
   (先-2)(別紙2)(別紙3)(別紙4) 
 3 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-3-1)(別紙5)(先-3-2)(別紙6)
 4 先進医療B及び協力医療機関の取下げについて
   (先-4)
 5 粒子線に係る報告書について
   (先-5)(参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)
 6 臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(報告)
   (先-6)(参考資料)
 7 その他

 

○五十嵐座長
 では、これから「先進医療会議」を開催いたします。
 先生方の出席状況ですけれども、福田構成員、藤原構成員から御欠席との連絡をいただいております。お二人の構成員からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされております。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表、会議名簿をおめくりいただきまして、先-1「先進医療の新規届出技術について」という一枚紙がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 続きまして、先-2「先進医療の新規届出技術について」、こちらは新規のものになりますけれども、一枚紙がついてございまして、別紙2、別紙3、別紙4がついてございます。
 続きまして、先-3-1「総括報告書に関する評価について」という資料がございまして、こちらには別紙5がついてございます。また、先-3-2「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」という資料がございまして、こちらには別紙6がついてございます。
 続きまして、先-4「先進医療B及び協力医療機関取下げについて」という一枚紙がございます。
 続きまして、先-5「日本放射線腫瘍学会からの粒子線治療に係る報告について」という資料がございまして、こちらには参考資料1、参考資料2、参考資料3がついてございます。
 最後に、先-6「臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(報告)」という資料がございまして、こちらには参考資料がついてございます。
 また、今回も、先ほどの合同会議と同様、タブレットを使用していただきたいと思います。
 資料につきましては以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。資料等につきまして、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 次に、今回検討対象となる技術等に関しましては事前に利益相反の確認をしております。その結果につきまして、事務局から御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。本日出席されている構成員におかれましては、開示すべき利益相反はないということでよろしいでしょうか。
 (「はい」と声あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 では、新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進Bへの振り分け結果についての報告資料が提出されております。これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-1に基づきまして説明させていただきます。こちら、10月に持ち回りで御審議いただきました振り分け結果の御報告でございます。
 先ほど開催されました合同会議において御審議いただきました、受理番号99番「小児の神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害に対するボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法」でございます。申請医療機関、費用についてはお示ししたとおりでございます。
 この技術につきましては、医薬品の適応外使用を伴いますので、先進医療Bとして振り分けられました。
 本試験の概要につきましては、先ほど御審議いただいた技術でもございますので、省略させていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、「新規技術(10月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(案)」の資料がございますので、これを事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 先-2の資料に基づきまして説明させていただきます。今回、先進医療の新規届出技術について振り分け審議をいただく技術が3件ございます。
 まず1件目、受理番号100の技術でございます。技術名「再発性Clostridioides  difficile関連下痢症・腸炎に対する糞便微生物叢移植」でございます。適応症につきましては、再発性Clostridioides difficile関連下痢症・腸炎ということで、今回、滋賀医科大学医学部附属病院より申請がございました。費用につきましては表に示しているとおりでございます。
 技術の概要につきまして簡単に説明させていただきます。別紙2の1ページをごらんいただけますでしょうか。こちらの中段の(概要)のところでございますけれども、バンコマイシンやメトロニダゾールといった抗菌薬治療に対して再発性、もしくは抵抗性の再発性CDI、こちら、Clostridioides difficile関連下痢症・腸炎のことでございますが、の患者様が対象となっております。
 このような患者様に対しまして、3ページ目の下、5番のところでございますけれども、健常人ドナーから糞便を採取いたしまして、生理食塩水と攪拌、ろ過することで微生物叢抽出液を抽出いたします。それを同日中に被験者、こちら、患者になりますけれども、大腸内視鏡を施行して、盲腸まで内視鏡を先進させて微生物叢抽出液を散布するという技術になってございます。
 こちら、今回使用する医療機器等に未承認のものは含まれてはおりませんけれども、技術の内容上重点的な観察が必要と判断いたしましたため、事務局としては、今回、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。では、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 では、受理番号100の技術につきましては先進医療Bとして振り分けたいと思います。
 続きまして、101の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 受理番号101の技術は、「化学放射線療法後の術前後デュルバルマブ療法」でございます。適応症につきましては肺尖部胸壁浸潤がんでございまして、今回、国立がん研究センター東病院より申請がございました。費用につきましては表に示しているとおりでございます。
 技術の概要につきまして簡単に御説明させていただきます。別紙3の1ページをごらんいただけますでしょうか。
 こちらの下段に本試験のシェーマを示していただいておりますけれども、肺尖部胸壁浸潤がんの患者様に対して、化学放射線療法後に術前のデュルバルマブ療法を2コース施行いたします。その後評価を行いまして、手術可能、切除可能な症例に対しては手術を行い、術後デュルバルマブ療法を22コース施行いたします。評価の結果、切除不能と判断された場合には、増悪がない場合には追加のデュルバルマブ療法、増悪があった場合には後治療に進むという試験になってございます。
 1枚おめくりいただきまして3ページでございますけれども、今回使用する医薬品に適応外のものが含まれておりますので、今回、先進医療Bとして振り分け案を提示させていただきました。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 それでは、受理番号101の技術につきましては、先進医療Bとして振り分けたいと思います。
 それでは、次の102の御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 3件目、受理番号102番の技術は「Zenker憩室に対する軟性内視鏡的憩室隔壁切開術」でございます。適応症につきましてはZenker憩室ということで、今回、呉医療センター、中国がんセンターより申請がございました。
 費用につきましては、表に示しているとおりでございます。
 技術の概要につきまして、別紙4の1ページをごらんいただけますでしょうか。
 咽頭食道憩室、Zenker憩室と申しますけれども、こちらを有する患者さんを対象といたしまして、軟性内視鏡を使用して、憩室隔壁の粘膜を切開し、輪状咽頭筋を切開することで憩室を開放する技術でございます。
 おめくりいただきまして3ページでございますけれども、今回使用する医療機器等に未承認のものが含まれておりませんので、今回、先進医療Aとして振り分け案を提示させていただきました。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 では、受理番号102の技術につきましては、先進医療Aとして振り分けたいと思います。
 次に、事務局から先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が提出されております。これにつきまして御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 今回、医療機関より2件の先進医療技術の総括報告書が提出され、先進医療技術審査部会におきまして評価が行われましたので、その評価結果について順に御報告させていただきます。
 1つ目の技術につきまして、先-3-1をごらんいただけますでしょうか。今回、旧告示番号44番として実施されておりましたアキシチニブ単剤投与療法につきまして、杏林大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますけれども、「医療技術の概要」をごらんいただければと思います。ゲムシタビン化学療法耐性となった切除不能・再発胆道がん患者を対象として分子標的治療薬であるアキシチニブによる治療の有効性と安全性を検討する試験でございました。
 下段の試験結果のところに移ります。まず、安全性の評価結果でございます。合併症につきましては、アキシチニブによる特徴的な有害事象は、転移性腎細胞がんを対象とした別の国内第II相試験における頻度と同等でありました。しかし、アキシチニブによる治療と因果関係が否定できない予期せぬGrade3の腹水の発現を2例認めております。
 有効性に関しましては、主要評価項目であるPFS中央値は2.8カ月でございました。下の[総括]のところにも記載ありますとおり、閾値の2.0カ月は超えましたが、期待値の3カ月には到達しなかったという結果でございました。
 続きまして、担当者の御評価について御説明させていただきます。別紙5の2ページをごらんいただけますでしょうか。
 総括報告書に関する主担当の伊藤構成員からの御評価でございます。有効性に関してはC「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」となっておりまして、コメントとしまして、主要評価項目であるPFS中央値は期待値には到達していないけれども、閾値の2.0カ月は超えており、一定の効果は期待されたとコメントいただいております。
 安全性に関しましては、Cの「問題あり」と御評価いただいておりまして、コメント欄でございますけれども、19例のうち4例に腹水が発現いたしまして、うち2例は薬剤中止後に急激に増加しているということで、本試験との因果関係の可能性はpossibleとされ、重篤未知の有害事象として報告されております。
 こちらは、専門家の予測を超える速さで腹水が出現しておりまして、本剤使用中止後の腹水については十分な配慮が必要であると思われるとコメントいただいております。
 続きまして技術的成熟度でございますけれども、Bの「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいております。
 総合的なコメントが4ページに記載されておりますけれども、下のところでございます。当初設定した閾値の2.0カ月は超えており、効果は期待されますが、腹水の発現が重篤未知の有害事象として報告されております。進行胆道がんに対する二次治療のエビデンスもほかに出現しており、アキシチニブを用いた治療については安全性の懸念を払拭することが優先されると思われるとコメントいただきました。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合に、承認申請の効率化に資するかどうかにつきましては、二次治療についてのエビデンスが公表されてきている状況のもとでは、安全性の懸念が有効性に勝るとは判断しにくいと御評価いただいております。
 続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございます。有効性に関してはC、「従来と同程度」と御評価いただきまして、コメントとしましては、既存薬を超える成績、あるいは既存薬を超えることが期待される成績とは言えないとコメントいただいております。
 安全性に関しましては、Cの「問題あり」と御評価いただいておりまして、腹水の出現が注意を要すると御評価いただきました。
 技術的成熟度はBで御評価いただいておりまして、コメントといたしまして、有効性が十分に確立したわけではないこと及び既承認のがんにおいては見られなかった腹水などの有害事象が観察されていることを踏まえると、技術的成熟度は高いとは言えないとコメントをいただいてございます。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何か御質問等ございますか。
よろしいですか。
 それでは、2件目の技術について説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 2つ目の技術につきまして、先-3-2をごらんいただければと思います。告示番号36番として実施されておりました「多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍治療」につきまして、聖マリアンナ医科大学病院から総括報告書の提出がございました。
 こちら、技術の概要でございますけれども、先-3-2の1ページ中ほどにございます。患者本人から末梢血を採血し、血液成分分離容器に注入後、遠心分離器で遠心分離を行ってPRPを分取いたします。その分取したPRPを患部の大きさに応じて塗布し、治療終了後に創傷部の面積測定を評価する試験でございました。
 試験結果、下段にございますけれども、安全性としましては、有害事象発現率は34.8%でありましたが、PRP療法との間に因果関係はないと結論されております。
 また有効性に関しましては、感染に伴う脱落症例1例を除いて、23例中22例を解析対象とし、奏効割合は72.7%、潰瘍面積縮小率は平均66.38%でございました。
 続いて、担当者の御評価について説明させていただきます。別紙6の2ページ目をごらんいただけますでしょうか。総括報告書に関する主担当の伊藤構成員からの御評価についてでございます。
 まず有効性に関しまして、B「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」と御評価いただいております。
 こちら、コメントは3ページにございますけれども、潰瘍の治癒率に関しては、別試験のプラセボ群に比べて著しくすぐれているとは言いがたいのではないか。また、4ページ目の上段になりますけれども、本試験の対象者がトラフェルミン、あるいは局所陰圧閉鎖処置を4週間実施した無効例が対象となっておりますが、別試験のプラセボ群の成績を見ると20週で完全治癒率が増加していることから、4週の時点で難治であるから既存治療が無効であるとは言いがたかったのではないかと憂慮するとコメントをいただいております。
 安全性に関しましては、Aの「問題なし」と御評価いただきまして、コメントとして、自己血液由来なので、リコンビナント製剤に比べて造腫瘍リスクは少ないと思われると御評価いただきました。
 技術的成熟度は、A「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導のもとであれば実施できる」と御評価いただきまして、コメントといたしまして、細胞調製施設を必要としないPRP分離容器が用いられており、技術難易度は高くないと思われると御評価いただいたところでございます。
 総合的なコメントといたしまして、細胞調製施設を必要とせず、PRP分離容器と遠心分離器で自己血液から治療薬を調整する治療法であります。ただし、オープン単群試験であって、既存治療に比べて明らかに有効であると評価することは困難であると御評価いただきました。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうかのところでございますけれども、既存治療よりも本治療法が有効であるとする論拠は乏しく、薬事承認資料とするには既存治療との比較試験が必要ではないかと思料するとコメントいただいております。
 副担当の山中構成員の御評価でございますけれども、有効性としてはBと御評価いただいています。コメントとしましては、解析対象22例のみの少数の結果であること、少数施設による研究であること、評価項目に関するブラインドの程度が不明であることの3点から、結果の再現性への期待をサポートする何らかの追加データは必要であると考えますとコメントいただきました。
 安全性につきましては、Aの「問題なし」の御評価をいただいております。
 また、技術的成熟度に関しましてもAの御評価をいただいております。
 こちら、技術専門委員としまして五十嵐構成員よりも御評価いただいております。五十嵐構成員の御評価としましては、有効性は、A「従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」と御評価いただきまして、コメント欄のところですけれども、本試験は28日以降の既存治療によっても上皮化に至らないものを対象としていて、より条件の悪い皮膚潰瘍に対してこれだけの奏効率を示したのはある意味画期的とも言えると御評価いただいております。
 安全性に関しましては、Aの「問題なし」と御評価いただいておりまして、理論的にも重篤な副作用の発生は考えにくいといただきました。
 技術的成熟度はAと御評価いただいておりまして、臨床検査等で日常的に用いられる遠心分離器で患者末梢血液から分取することができ、採取後の患部への塗布も特段の技術を必要としないとコメントいただいております。
説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。では、ただいまの説明につきまして何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 次に、事務局から先進医療B及び協力医療機関の取下げについての資料が提出されております。これにつきまして御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 大臣告示されております先進医療Bの技術に係る取下げの申請がありましたので、資料の先-4に基づきまして説明いたします。
 なお、これらにつきましては、既に先進医療技術審査部会にて承認されてございます。
 まず、先進医療Bの取下げでございますけれども、告示番号2番「十二種類の腫瘍抗原ペプチドによるテーラーメイドのがんワクチン療法」でございます。こちらは試験終了のために先進医療取下げということでございます。
 また、告示番号36番「多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍の治療」、こちらは先ほど総括報告書で御報告させていただいたものでございますけれども、試験終了のために先進医療を取り下げたとのことでした。
 また、協力医療機関取下げとして、告示番号51番「水素ガス吸入療法」の医療機関が1件取下げになってございます。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。何か御質問等ございますか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。
 次に、事務局から粒子線治療に係る報告書についての資料が提出されております。これにつきまして御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 それでは、先-5「日本放射線腫瘍学会からの粒子線治療に係る報告について」をごらんください。現在、先進医療AとBのいずれにおきましても粒子線治療が実施されているところでございます。
 「背景」の3番目の○にありますとおり、平成28年9月に開催されました第45回先進医療会議におきまして、学会より方針が示されております。この破線内に抜粋して記載してございますけれども、その際の資料は参考資料1として添付させていただいてございます。
 まず先進医療Bについてでございますけれども、比較対象を厳格に設定するなど重点的な評価が必要な適応症については、先進医療Bで実施すること。さらには、先進医療Aでも同適応症を実施していた場合には先進医療Bの患者を優先すること、そして、本来は先進医療Bの対象となる症例が先進医療Aに含まれていないかについて、中央モニタリング及び施設訪問で調査することといたしました。
 一方、先進医療Aにつきましては、各疾患でこれまでどおり統一治療方針に基づいて実施しつつ、これまでに蓄積された既治療例につきましては、観察研究の結果を論文化していくこととされました。
 これらの方針が確認されまして、2番「学会からの粒子線治療に係る報告について」の1番目の○にありますとおり、先進医療Aとして実施された粒子線治療、学会による施設訪問等に係る報告書を学会でとりまとめていただき、年1回、先進医療会議で定期的に報告していただくこととされました。
 また、2番目の○のとおり、キャンサーボードの質の担保と均てん化を目的としまして、先進医療Aとして実施される粒子線治療の適応判定のためのキャンサーボードの指針が平成29年11月に学会より提出されました。こちらは参考資料2として添付してございます。
 おめくりいただきまして、今回は昨年に引き続きまして、学会より報告書が提出されましたので、参考資料3として添付しております報告書について御確認いただきたいと思っております。
 それでは、参考資料3をごらんください。1枚おめくりいただきまして2ページ目から3ページ目には、2018年7月1日から2019年6月30日までの1年間に治療を開始した症例の状況を記載していただいております。陽子線治療全体として1,142例、重粒子線治療全体として687例に実施されており、その内訳につきましてはごらんのとおりでございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目、4)でございますが、キャンサーボードの実施状況について示されておりまして、その実施状況は99.9%であったと報告がございました。
 施設訪問に関しましては5ページ目の7)からになりますけれども、記載されている調査項目を実施施設に対して調査を行いまして、その結果が6ページに記載していただいております。19施設、報告書を受領いたしまして、全施設で先進医療の実施体制が適切に整備されていることを確認されております。また、幾つかの施設については今後訪問調査を予定しているとのことでございます。
また、6ページ下段、モニタリングにつきましても、陽子線治療と重粒子線治療それぞれ18施設と5施設でモニタリングが行われておりまして、適切に運用されていることが確認できたというところでございます。
 また、7ページ目以降に2016年から2017年までに先進医療Aとして粒子線治療を開始した肝細胞がん、膵がん、肺がん、少数転移性腫瘍の陽子線治療、重粒子線治療それぞれの臨床成績を掲示していただいております。
 7ページから肝細胞がんの陽子線治療、8ページに肝細胞がんの重粒子線治療、9ページには膵がんの陽子線治療と重粒子線治療、10ページに限局性肺がんの陽子線治療、11ページに限局性肺がんの重粒子線治療、12ページに局所進行肺がんの陽子線治療、13ページに転移性肺腫瘍の陽子線、重粒子線、それぞれの治療、14ページに転移性肝腫瘍の陽子線、重粒子線治療、15ページに転移性リンパ節の陽子線治療、重粒子線治療、16ページに転移性腫瘍に対する有害事象を記載していただいております。
 また、それぞれのがん種につきまして、参考資料として、現在の標準治療の成績もあわせて記載していただいております。今後も年1回程度、粒子線に係る報告書を学会にとりまとめていただきまして、先進医療会議で定期的に報告することとしてはどうかと考えております。
 御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。では、何か御意見、ご質問等、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 では、特に御意見がないようですので、これにつきましては御了解いただいたということにしたいと思います。
 続きまして、事務局から「臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(報告)」が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 資料先-6をごらんいただければと思います。臨床研究の円滑な推進に向けた取組について御報告させていただきます。
 まず、1.目ですけれども、第75回先進医療会議、7月に開催されたものでございますけれども、において御承認いただきました認定臨床研究審査委員会、CRBで認められた臨床研究に係る先進医療Bの審査迅速化につきまして、関係通知を改正し、令和元年11月1日より適用することといたしました。
 本取組は、1にあります特定機能病院、臨床研究中核病院、または国立高度専門医療研究センターが、2にあります臨床研究中核病院に設置されたCRB、または審査した臨床研究が先進医療Bとして「適」となり、当該臨床研究の総括報告書等が先進医療会議及び先進医療技術審査部会で評価された実績を有するCRBで承認された臨床研究を先進医療Bとして申請した場合に、先進医療会議と先進医療技術審査部会の合同開催を行うこととするものでございます。
 3.目でございますけれども、令和元年11月1日の時点で審査迅速化の対象となるCRBを記載させていただいております。1ページの下側と2ページの上にまたがって記載させていただいておりますけれども、こちらに関しましては、今後、厚生労働省の先進医療のホームページにて公開する予定としております。
 1枚おめくりいただきまして2ページ目の1.目でございますけれども、なお、審査迅速化の対象となる場合でありましても、事前評価担当者が先進医療技術審査部会で継続審議となる可能性が高いと判断し、合同会議座長の了承が得られた場合には、審査の効率化の観点から、通常の審査を行うこととしております。
 最後に2.目でございますけれども、本取組については、令和3年度をめどに審査方法の見直しについても検討する予定でございます。
 続きまして、2の「保険適用された医薬品同士を比較し、診療ガイドラインの改善につなげるなど、診療の最適化に資する臨床研究を推進する取組について」でございますけれども、こちらも本年7月の第75回先進医療会議において御審議いただきました際に、既に保険適用となっている医療技術等の再評価を行うものを目的とした臨床研究であって、一部に保険適用外の検査等を含むものについては、既存の保険外併用療養制度を前提とすれば、選定療養の枠組みの中で取り扱うことは妥当ではないかと御意見を頂戴いたしました。
 これに基づきまして、ことしの10月25日に行われました第428回中央社会保険医療協議会にて選定療養に係る議論がなされましたので、この御意見もあわせて御議論いただいたところでございます。
 議論の結果としまして、「既に保険適用となっている医療技術等の再評価」が本来の趣旨であり、保険導入を前提としない選定療養の趣旨とは大きく異なること、また、選定療養自体が患者の自由な選択と同意によるものであるが、本件は通常、その回数や検査時期等について臨床研究計画で規定されていて、必ずしも患者の自由な選択によるものではないのではないかという理由から、選定療養の枠組みに対応するのではなく、むしろ本件の趣旨を鑑みると、保険導入のための評価を行う評価療養を見直すことによる対応を検討することとなりました。
 こちらに関しては、先進医療会議でいただいた御意見をもとに中医協で議論がなされたものでございますので、御報告をさせていただきました。
 事務局からは以上でございます。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。では、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ。
○山本構成員
 最後のところですけれども、これは、ですから、基本的には比べる、もう通っている、承認を受けて保険で認められているその範囲内で、例えば2種類の治療薬を比べて、どちらがより効率的かみたいなことを調べる、いわゆる特定臨床研究には当たらないガイドラインのための臨床試験で、一部、検査が保険適用外の場合という話だったのですよね。これは中央社会保険医療協議会、中医協さんで、むしろ評価療養を見直すことになるというのは、つまり、評価する、いわゆる主たる介入のものがたとえ保険の適用範囲内であったとしても、ちょっとでも保険適用外の検査あるものは全部、例えば先進Bでないとできないとか、そういう方向に転ぶということでしょうか。そうすると、ますますいろんなもののハードルが高くなって、全体としては医療の適正化を若干阻むような、阻害する要因になる可能性もあるのですけれども、この評価療養を見直すというその対応が具体的には一体どういう方向に行くのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 重要な御指摘、ありがとうございます。先生が今おっしゃられたような具体的な内容については、今後、事務局と関係部署等とで検討していくという段階でございますので、確たることは申し上げられないところでございます。こちらに記載させていただきましたとおり、評価療養を見直すという選択肢も含めて検討させていただくということで御理解いただければと思っております。
○山本構成員
 今のところ、まだどういう方向か決まっていないというのはいいのですけれども、本当に、特に検査内容が1つでも保険から外れていたら全部先進Bで挙げないと、例えば特定臨床研究にしますとか、先進Bにしますとか、いわゆる臨床試験のハードルをどんどん上げていくということが果たして医療の適正化に資する方向なのかどうかということはちょっと考えて進めていただきたいなと思います。細かいところを一生懸命ルールを適正化していくと、大きな方向性がずれていくということにはならないようにお願いします。
○五十嵐座長
 よろしいでしょうか。大変重要な御指摘ではないかと思いますけれども、検討していただきたいと思います。どうもありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○柴田構成員
 山本先生のおっしゃった話とちょっと似た話なのですが、一応懸念事項だけお伝えしておきますと、もともとは、比較している治療法自体が保険収載を目指すとかそういう話でない状況で、比較をより公平にするために適切に検査を入れようとすると、その検査が保険適用外の回数であるとか条件が保険適用外になってしまうために、そういう臨床試験ができないことに対してどのような解決策があるかというのがもともとの話で、当時、竹内先生からちょうどわかりやすい事例を御紹介いただいて、すごく見通しがよくなったと記憶しております。
 それに対して、もしそれを全部一括先進医療Bに入れるという形になってしまうと何が起こるかというと、それを回避するためには、2つの治療法を比較するためにフェアな検査を入れなければならないということを諦めて、バイアスの入った試験計画でもう保険診療の中でやってしまおうという方向に流れてしまうので、医療行為の最適化をフェアに行うという観点を損ねてしまうほうに誘導してしまう危険性があるので、そこのところについては御配慮いただいたほうがいいかなと思います。
 厳密にしっかりしたルールのもとで臨床研究を行わなければならないというのは大前提ですので、そこは十分理解しておりますが、制度設計がうまくいかないと逆に不適切な臨床研究を誘導してしまうことになっては、本来の関係者の方々が想定されている状況から乖離すると思いますので、ちょっとそこだけコメントさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 重要な御指摘ありがとうございます。今後、先生方の御意見等を踏まえまして検討させていただきます。また必要に応じて、先生方に御意見を頂戴するような機会を設けさせていただくこともあろうかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 では、きょうの議題は、残るところ、「その他」1つになりましたけれども、何か事務局からございますでしょうか。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 事務局からは特段補足等はございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方、いかがですか。
 よろしいですか。
 それでは、きょうの議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療迅速評価専門官
 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、令和元年12月5日木曜日16時からを予定しております。場所については別途御連絡させていただきます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、これで第80回「先進医療会議」を終了したいと思います。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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