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2019年7月4日 第75回先進医療会議

○日時

令和元年7月4日(木)16:00~

 

○場所

全国都市会館第2会議室(3階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員
福井構成員 藤原構成員 山口構成員 横井構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 既評価技術の新規共同実施に係る評価等について
   (先-1)(別紙1)
 2 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-2-1)(別紙2)(先-2-2)(別紙3)(先-2-3)(別紙4)
 3 先進医療Bの取り下げについて
   (先-3)
 4 臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(案)
   (先-4)(別紙5)
 5 その他


○議事

16:00開会




 

 

 

 

 

○五十嵐座長
 それでは、私の時計では4時になりましたので、これから「先進医療会議」を始めたいと思います。
 構成員の先生方の出欠状況ですけれども、きょうは、梅村構成員、福田構成員、山本構成員から御欠席との連絡をいただきました。欠席されております3名の先生方からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされております。
 では初めに、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先-1「先進医療Aの新規共同実施(6月受付分)に対する事前評価結果等について」としている資料がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 続きまして、先-2-1「総括報告書に関す評価について」という1枚紙がございまして、こちらには別紙2がついてございます。
 続きまして、先-2-2、こちらも「総括報告書に関する評価について」の資料でございまして、こちらには別紙3がついてございます。
 次に、先-2-3、こちらも「総括報告書に関する評価について」としている1枚紙がございまして、こちらには別紙4がついてございます。
 続きまして、先-3「先進医療B及び協力医療機関の取下げについて」がございます。
 最後に、先-4「臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(案)」がございまして、こちらには別紙5がついてございます。
 資料の確認は以上でございますが、不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡ください。
 また、本日もタブレットを使用していただきたいと思っております。届け出書類等につきましては、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページ、またはタブレットのページをあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。何か資料に関しまして問題はありますか。よろしいですか。
 それでは、早速始めたいと思います。今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 今回検討対象となります技術等に関しての利益相反については、特にございません。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 本日出席されている構成員におかれましては、利益相反はないということでよろしいでしょうか。
 (構成員首肯)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から「既評価技術の新規共同実施に係る評価等について」の資料が提出されております。これについて説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、資料先-1をごらんください。今回、先進医療Aの新規共同実施として御審議いただきます技術は、先進医療Aとして既に告示されております「CYP2D6遺伝子多型検査」でございます。
 適応症につきましては、従来と変更なくゴーシェ病となってございます。
 今回、委託医療機関として申請がありましたのが、大阪私立大学医学部附属病院でございまして、受託医療機関につきましては、既に実施が認められております東京慈恵医科大学附属病院でございます。
 費用については、お示ししたとおりでございまして、事前評価につきましては、五十嵐構成員に御担当いただきまして、総評として「適」という御評価をいただいております。
 続きまして、保険医療機関の要件について説明したいと思います。別紙1の6ページ、最後のページをごらんいただけますでしょうか。こちらには共同実施による先進医療を実施可能とする受託側医療機関の要件とございまして、こちらにつきましては、既に告示されております施設基準と同様になってございます。
 続きまして、5ページ目には、共同実施による先進医療を実施可能とする委託側の医療機関の要件が設定されてございます。
まず、委託側医療機関の実施責任医師の要件としまして、診療科として小児科が必要。資格としましては、小児科専門医が必要とされております。また、当該診療科の経験年数としては1年以上。その他の要件として、ゴーシェ病の診療経験を有することとされてございます。
 続きまして、医療機関の要件でございますが、診療科として小児科が必要で、実施診療科の医師数としましては、ゴーシェ病の診療経験を有する医師が必要とされてございます。その他の医療従事者の配置としましては、常勤の薬剤師が1名以上でございまして、病床数は200床以上、看護配置は10対1の看護以上という体制が必要となってございます。
 最後に、その他の要件は、特に設定されてございません。
 事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 この整理番号5の技術につきましては、私が事前評価を行いましたので、技術の内容と評価結果について、私から御説明させていただきます。
 ゴーシェ病という名前が今出てまいりましたけれども、これは糖脂質であるグルコシルセラミドを分解するグルコセレブロシダーゼの欠損による疾患です。酵素欠損ですので、その結果としてこのグルコシルセラミドが体中にたまるわけですが、特に肝臓、脾臓、骨髄、肺などにたまりますと、いろいろな臨床症状が出てまいりまして、貧血、血小板減少、肝脾腫、骨の症状など全身の症状が出てまいります。
 この病気の治療薬として、酵素補充療法の製剤がこの10年間ぐらいの間に出てまいりまして、静注用と内服用があります。内服用の製剤として、サデルガというカプセル製剤が市販されているのですけれども、この薬は先ほどお話いただいたCYP2D6という、これはシトクロムP450のいろいろな種類のうちの一種ですけれども、これによって分解されます。このCYP2D6遺伝子には多型がありまして、その多型に応じてシトクロムP450の酵素活性、分解能が異なってまいります。つまり、非常に酵素活性が強いものと、ほとんどないものと、中間型と3つに分類されるわけですけれども、もし、ゴーシェ病の治療薬を代謝が非常に悪いプアメタボライザーの方に投与しますと、薬の副作用である湿疹や頭痛、目まい、下痢、いろいろな症状が生じやすくなるということで、そうではない中間型と代謝が正常な方にこれを投与したいということで、投与する場合にあらかじめ遺伝子型を調べることによって、患者さんを選ぶあるいは代謝の遅い方を除外するための検査薬と御理解いただきたいと思います。
 日本には、これを検査する市販の検査薬がありませんので、海外で承認されているCYP2D6遺伝子だけを診断する体外診断薬を用いて、その遺伝子型のタイプを調べて治療開始前に峻別することを目的とした検査と御理解いただきたいと思います。
 先ほど御説明がありましたように、この遺伝子の多型検査は先進医療Aとして認められておりまして、東京慈恵医科大学の小児科の先生方が実施しているわけで、今回、大阪市立大学の小児科がこれに加わりたいということで申請が出ていると御理解いただきたいと思います。
 別紙1の1ページ目に評価結果を示させていただきました。
 委託する場合の有効性はCで、既にある検査薬と同じものを使います。
 それから、委託する場合の安全性は問題がない。
 委託する場合の技術的成熟度も、Aの「当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える」検査です。
 ほかの施設で実施することの社会的妥当性(社会的倫理的問題等)、特に倫理的問題等はないと判断いたします。
 現時点での普及性は、非常にまれな疾患ですので、罹患率、有病率から考えましても、普及はしていない、Cと判断いたしました。
 委託する場合の効率性は、B「やや効率的」と判断いたします。
 ということで、最終的には共同で実施する医療機関としての必要条件についても特に問題はありませんので、総合判定としては「適」と判断させていただきました。
 以上、私からの御説明です。何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 (構成員首肯)
○五十嵐座長
 では、構成員の評価結果どおり決定したいと思います。ありがとうございました。
 次は、「先進医療Bの総括報告書に関する評価について」審議したいと思います。資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 今回3件の先進医療技術の総括報告書が提出されてございます。いずれも先月に行われました先進医療技術審査部会におきまして評価が行われ、承認されておりまして、今回はそのご報告となります。
 まず、1つ目の技術につきましては、先-2-1をごらんください。
 告示番号12として先進医療Bで実施されておりました「冠動脈又は末梢動脈に対するカテーテル治療におけるリーナルガードを用いた造影剤腎症の発症抑制療法」について、横浜栄共済病院から総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますが、別紙2の最後のカラーのページをごらんいただけますでしょうか。カテーテル治療等を行う際には造影剤が必要になってまいりますが、その場合には造影剤腎症が起こる可能性があります。今回の技術は、腎臓の活動を活発にして、多量の尿が出る状態を続けるべく、右下にありますような医療機器を用いまして、尿と同量の水分補給を続けるようなシステムでございまして、これによって、造影剤腎症を予防できるかどうかというのを見るという試験でございました。
 お戻りいただきまして、2ページをごらんいただけますでしょうか。医療技術の試験結果が記載されてございます。
 まず、1つ目の安全性の評価結果でございますが、有害事象は60例中11例に発生しましたが、主要評価項目であります造影剤腎症発症例5例を除きますと6例であったということでございまして、いずれも非重篤であったということでございます。ただ、リーナルガード治療に関連するものとしまして一過性低血圧があり、過去の報告では、心不全の発症も報告されておりますので、今後注意が必要かもしれないということも記載されてございます。
 また、有効性の評価結果でございますが、主要評価項目であります造影剤腎症の発症率としましては、58例中5例に発症し、その発症率は8.6%とのことでございました。副次評価項目であります重要心血管事故や腎障害は認めなかったとのことでございます。
結論でございますが、遷延する腎機能障害はなく、高リスク群では造影剤腎症を発症しているものの、ヒストリカルコントロールと比較して、その発症率は有意に低値だったと結論されております。
 本総括報告書に関する主担当の一色構成員からの御評価については、有効性としましては、Bの「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」とされておりまして、「造影剤腎症の発症頻度は過去の報告よりも低値であることが示された。高リスク群に造影剤腎症の発症を認めたが、いずれも一過性で時間と共に回復していることを踏まえると、造影剤腎症の防止の目的は達成できたものと考える」とコメントをいただいております。
 また、安全性につきましては、Bの「あまり問題なし」とされておりまして、コメントとしましては「腎機能障害を除くと60例中5例に合併症を認めたが、重篤なものはなくいずれも回復しており、安全性に特段の問題点を認めない」とのことでございました。なお、2例に一過性の血圧低下を認めておりますので、特に高リスク群においては管理中の慎重な観察が必要と考えるとのコメントも付されてございます。
 次に、技術的成熟度でございますが、こちらはAの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とされておりまして、コメント欄には「取り扱いに特殊な技術を要するものではないと考える」と記載されてございます。
以上を踏まえまして、総合的なご評価としましては「本機器は概ね安全であり、一定の臨床的有用性が示されたものと判断する」とされております。
 4ページに移りまして、薬事承認申請の効率化に資するかどうかについての助言欄でございますが、「本機器の有効性については、ランダム化試験を含めたメタ解析にても証明されておりまして、透析移行例や死亡例の減少が示されております。造影剤腎症が予防できることの意義は少なくなく、本機器の薬事承認申請の効率化に資するものと考える」とご評価いただいております。
また、副担当の山本構成員の御評価としましては、有効性については同様にB、安全性についてもB、技術的成熟度についても同様にAと御評価いただいております。
 続きまして、2つ目の技術になりますが、先-2-2をごらんいただけますでしょうか。こちらは旧告示番号13として先進医療Bで実施されておりました「特発性肺線維症の急性増悪患者に対するトレミキシンを用いた血液浄化療法」でございます。
 こちらは、日本医科大学付属病院から総括報告書の提出がございました。
 技術の概要でございますが、別紙3の最後のページをごらんください。カラーのページになりますけれども、特発性肺線維症の急性増悪症例というのが非常に予後の悪い疾患群に対しまして、従来の治療法でありますステロイド投与、免疫抑制剤投与や、好中球エラスターゼ阻害剤投与に加えて、今回の技術でありますトレミキシンによる血液体外循環を用いることによって、有効性・安全性を確認するといった探索的な試験でございました。
 お戻りいただきまして、1ページ目をごらんいただけますでしょうか。一番下の段の「医療技術の試験結果」になりますが、まず、安全性の評価結果につきましては、有害事象が20例中16例認められ、そのうちPMXとの因果関係を否定できない有害事象は、脳梗塞、血尿、鼻出血が各1例であったとのことです。重篤な有害事象につきましては、20例中11例に認められまして、そのうち死亡が10例であったということです。PMXとの因果関係を否定できなかった脳梗塞の1例を除き、死亡とPMXとの因果関係は否定されたとのことでございます。
 2ページ目、有効性の評価結果でございますが、主要評価項目であるKaplan-Meier法により推定したPMX療法開始後4週間時点での生存率は65%でございまして、生存率の95%CIの下限は外部参考値である40%を上回ったという結果でした。また、Kaplan-Meier法により推定したPMX療法開始後の12週時点の生存率についても、外部参照値を上回ったという結果でございました。
 3ページの結論でございますが、急性増悪例に対するPMX療法の施行によって生存率が既存治療と比べて向上し、肺酸素化能や胸部画像所見が改善することが確認され、また、安全性についても臨床使用上特段の問題はなかったことから、PMX療法は有用な治療法であることが示唆されたと結論されてございます。
 こちらの総括報告書に関して、主担当であると伊藤構成員からの評価結果でございますが、有効性はC「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」と御評価されております。4ページに移りまして、コメント欄でございますが、6行目から「コルチコステロイド+シクロスポリンに遺伝子組換えヒトトロンボモジュリンを併用した肺線維症急性増悪患者の3か月生存率が70%という成績も示されており、PMX療法を併用しないステロイド大量療法および好中球エラスターゼ阻害薬さらにシクロフォスファミドおよびシクロスポリンの治療との比較対照試験なしでPMX療法を有効と評価することは難しい」とコメントいただいております。
 続きまして、安全性についてですが、Bの「あまり問題なし」とされております。ただ、コメント欄をごらんいただきますと、20例のうち2例に脳梗塞が今回発症いたしまして、うち1例は、ブラッドアクセス抜去に起因した脳空気塞栓症でPMX療法と直接関係しないと評価されておりますが、本治療の実施に伴って発現したものであり、もう1例につきましては、PMX療法3本目の翌日に発症した脳梗塞で、因果関係が否定できないとされております。
 続きまして、技術的成熟度でございますが、Bの「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とされております。コメント欄でございますが、体外循環に精通した実施者が必要ではないかとされております。
 5ページにまいりまして、以上を踏まえて総合的なご評価としまして、最後の3行になりますが、「様々な治療法も進歩しており、本治療法の有効性を明確にするためには同時対照比較試験が必要ではないかと思慮する」ということでございます。
 次に、薬事承認申請の効率化に資するかどうかについてでございますが、「治療前エンドトキシンの欠測など、20例の登録症例のうち9例(11件)が適格基準に違反/抵触しており、本試験結果のみで、薬事承認申請に十分であるとは言い難い」とコメントいただいております。
 また、副担当の飛田構成員の評価でございますが、有効性はC、安全性はB、技術的成熟度はBとなってございまして、伊藤構成員と同様の御評価でございました。
 最後に、3つ目の技術になります。先-2-3の資料をごらんいただけますでしょうか。こちらは先進医療Bで実施されておりました「ステロイドパルス療法及びリツキシマブ静脈内投与併用療法」でございます。こちらは生育医療研究センターから総括報告書の提出がございました。
 別紙4の最後のページをごらんいただけますでしょうか。技術の概要でございますが、対象が小児期発症難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群ということでございまして、真ん中の枠にありますように、リツキシマブ療法とステロイドパルス療法を行うといった治療法でございました。主要評価項目としては、完全寛解割合を評価するということで試験が組まれてございました。
 お戻りいただきまして、1ページの「医療技術の試験結果」をごらんいただけますでしょうか。安全性の評価結果でございますが、今回、安全性解析対象集団は2例でしたが、死亡を含む重篤な有害事象及びGrade3とGrade4の有害事象を認めず、リツキシマブに特有なinfusion reactionは、全てGrade2軽度なもののみだったことから、本疾患に対するリツキシマブ投与とステロイドパルス療法の安全性は高いと考えられるとされております。
 また、有効性の評価結果でございますが、解析対象が2例ではあるものの、2例ともに寛解に到達しておりまして、最終観察時にも寛解を維持しておりました。観察期間中にたんぱく尿も減少し、慢性腎不全に移行していないことから、本疾患に対する本技術についての有効性は示唆されたということでございます。
 最後に結論としまして、本疾患有効性及び安全性の結果から、解析対象集団は2例であるものの、本疾患に対するステロイドパルス療法及びリツキシマブ静脈内投与の併用療法の寛解導入効果、たんぱく尿減少効果が示唆され、また、リツキシマブ静脈内投与後に末梢血中のB細胞数が枯渇するものの、数カ月で回復に転ずることから、安全性についても大きな問題はないと考えられると結論されております。
 こちらの総括報告書に対しましては、主担当としまして石川構成員に御評価いただいておりまして、有効性についてはBの「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」とされております。コメント欄のところでございますが、2例では完全寛解率50%でございましたが、その後2例ともに完全寛解が得られたとの報告がされており、また、その後再発がないということでございますので、難治性のネフローゼ症候群にとっては、今回の治療については大きな期待が持たれると。しかしながら、有効性は示唆されるものの、今回は2例しか実施できていないということで、今後、多くの知見を積み重ねていくことを期待するとされております。
 続きまして、安全性でございますが、Bの「あまり問題なし」とされております。コメントでございますが、総合的にGrade3、4以上の有害事象はなかったとのことでございましたが、実施症例数が2例であるので、さらなる積み重ねが重要であるとされております。
 技術的成熟度につきましては、Aの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とされておりまして、コメント欄には、「ステロイドパルス療法は既に多くの施設で実施されておりますが、リツキシマブ投与については、感染症管理も含めて指導医及び施設全体の経験が必要と思われる」とコメントされております。
 これらを踏まえまして総合的なご評価としまして、目標症例数20例に対して2例の実施数であったことは大変残念であるが、有効性・安全性などについては一定の期待が持てるものであり、この治療開発の進歩に期待したいとコメントをいただいてございます。
 続きまして、薬事承認申請の効率化に資するかどうかについての評価でございますが、こちらの研究につきましては、今後、医師主導治験が実施されるということでございますので、今後の臨床試験デザインの検討に資するものと考えるとコメントいただいております。
 続きまして、副担当の柴田構成員の御評価でございますが、石川先生の御評価と同様に有効性についてはBの「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」、安全性についてもBの「あまり問題なし」とされてございます。
 技術的成熟度につきましては、石川先生の御評価とは少し異なりますが、Bの「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実現できる」とされておりまして、コメント欄になりますが「有効性・安全性ともに期待はされるものの、現時点では日常診療に導入する段階には至っておらず、提示された少ない情報からは推測するにBとした」ということでございます。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 3つの先進医療Bの総括報告をいただきましたけれども、何か御質問等ございますか。どうぞ。
○藤原構成員
 資料2-1の別紙3の3ページの「医療技術の試験結果」の最後の3行に「本臨床研究で有用性が示唆されたPMX療法を医療現場に提供することの臨床的意義は極めて大きいものと考える」と書いてあるのですが、5ページの「薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効果率に資するかどうか等についての助言欄」では、「薬事承認に十分であるとは言い難い」と回答が書いてあって、「医療技術の試験結果」の記載が書き過ぎのような気がするのですけれども、ここは申請者さんの見解という理解でよろしいのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御指摘いただき、ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりでして、こちらの総括報告書の概要につきましては、申請者からの総括報告書を抜粋したものでございまして、それを受けての担当評価者の御評価がその後に続くという構成になってございます。
○藤原構成員
 ならば、安心しました。
○五十嵐座長
 3ページに書いてあるほうは実施した人が自分で書いたものだと理解していいわけですね。5ページ以降が、それを客観的に評価した場合の結果であるということですね。
 そのほかいかがですか。よろしいですか。
 それでは、特にその他ないようですので、御説明を承ったということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、先進医療Bの取り下げの資料が出ておりますので、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、先-3の資料をごらんいただけますでしょうか。 まず、先進医療B全体の取り下げでございますが、告示番号12番「冠動脈又は末梢動脈に対するカテーテル治療におけるリーナルガードを用いた造影剤腎症の発症抑制療法」でございまして、先ほど総括報告書の評価結果について報告させていただきましたが、試験終了のために取り下げるとのことでございます。
 次に、告示番号16番「アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法」でございますが、取り下げ理由といたしましては、2019年3月31日に試験期間終了となったために取り下げるとのことでございまして、総括報告書については準備中とのことでございます。
裏面に移りまして、こちらは先進医療Bの協力医療機関の取り下げでございます。告示番号51番「水素ガス吸入療法」でございますが、東京都済生会中央病院について、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たせなくなったので取り下げるとのことでございます。
 報告は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 続きまして、事務局から「臨床研究の円滑な推進に向けた取組みについて(案)」の資料が提出されております。この説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、先-4の資料につきまして御説明申し上げます。
 まず、これまでの経緯でございますが、1つ目、先進医療につきましては、保険診療の対象にならない新しい医療技術等を対象として、保険診療と保険外診療との併用を認め、将来的な保険導入のための評価が行われているところでございます。
 2つ目でございますが、2018年4月に臨床研究法が施行されたことを受けまして、先進医療Bとして申請される技術の多くが認定臨床研究審査委員会(CRB)で審査されることとなりました。しかしながら、CRBと先進医療技術審査部会の審査項目が重複しているとの指摘がございまして、両制度の整合性を図りつつ、先進医療Bに係る審査を迅速化・効率化していくことが求められているところでございます。
 3つ目でございますが、他方、質の高い保険診療のためには、まだ保険適用になっていない技術だけではなくて、既に保険適用となっている医療技術等の再評価も重要であるとされておりまして、保険適用された医薬品同士を比較して診療ガイドラインの改善につながる臨床研究を推進する取り組みが求められております。ただし、このような臨床研究は現在の仕組みでは、いわゆる混合診療になってしまう場合もあるという課題がございます。
 これを受けまして、第74回先進医療会議におきまして、以下の論点2つについて議論を行っていただいたところでございます。
 まず、論点1につきましては、CRBで承認された先進医療Bの審査過程の迅速化・効率化を進めるに当たり、申請医療機関については特定機能病院または国立高度専門医療研究センターであり、かつ、臨床研究中核病院に設置されたCRBの承認を受けた臨床研究を対象として、先進医療会議及び先進医療技術審査部会を合同開催とすることとしてはどうかという御提案をさせていただきました。こちらにつきましては、別紙5の1枚目が前回の資料となっておりまして、こちらに詳細を記載してございます。
 論点2でございますが、質の高い保険診療のために、既に保険適用となった医療技術等の再評価を行うことを目的とした臨床研究であり、一部に保険適用外の検査等を含むものであって、臨床研究法における非特定臨床研究としてCRBで承認されたものについては、患者の安全性が一定程度確保されていることを踏まえると、どのように取り扱うのが適当かということを論点とさせていただきました。
 最後の○でございますが、論点1につきましては、先月の先進医療技術審査部会におきましても議論がなされたところでございます。
 2ページに「2.論点1に係る先進医療会議及び先進医療技術審査部会での意見等」をまとめさせていただいております。
 5つ挙げさせていただいておりますが、1、両会議におきましては、今回の特定機能病院または国立高度専門医療研究センターから申請された臨床研究のうち、まずは臨床研究病院に設置されたCRBの承認を受けたものを迅速化案の対象とすることについて御了承いただきました。一方で、ほかのCRBへの対象拡大の要件及びCRBの審査の質の評価法については、引き続き検討することとされました。
 2、臨床研究中核病院に設置されたCRBの質を確認するためにのより適切な立入調査のあり方について検討するとともに、臨床研究中核病院に設置されたCRB以外のCRBも含めて、全体の質を底上げするための取り組みについても検討するべきではないかという御意見をいただきました。
 3、合同会議で結果的に「先進医療技術審査部会で継続審議」となった場合には、通常よりも審査期間が長期化するといった可能性もございますので、合同会議の対象となった技術となった場合でも、必要に応じて通常審査へ差し戻しできるようにしてはどうかという御意見をいただいております。
 4、今回の迅速化案によって、実際にどれだけ迅速化されたかについては今後検証していくべきだろうと御指摘をいただいております。
 5、先進医療AまたはBへの振り分けについても運用の見直しを行って、審査期間の短縮を図ってはどうかという御意見をいただいてございます。
 「3.上記2への対応(案)」でございますが、先ほど御説明したそれぞれの御意見に対しましての対応案でございます。
まず、1、迅速化案を適用するCRBの対象拡大の要件についてでございます。
 1つ目でございますが、CRBでの審査を経て先進医療会議等において審査された臨床研究については、先進医療会議等からの指摘事項があった場合には、その後のCRBでの再審査におきまして、それらの指摘事項がCRBへとフィードバックされることになります。これを先進医療の審査実績として位置づけまして、この実績が一定基準に達したCRBについては、当該CRBからの申請に基づいて、迅速化案の対象とすることについて本会議で了承することとしてはどうかという御提案でございます。
 2つ目でございますが、今回の迅速化案の当面の対象となります臨床研究中核病院に設けられたCRBにつきましても、運用開始2年後をめどに先進医療の審査実績を確認し、その実績が一定の基準に達していない場合や、また、臨床研究中核病院の立入調査に係る指摘事項に対応できない状況が続く等の場合については、対象からの除外について本会議で検討していただくこととしてはどうかと御提案させていただきました。
 そしてこの一定の基準についてですけれども、別紙5の2ページをごらんいただけますでしょうか。一番下の波線部分になりますが「先進医療Bの審査実績に基づく迅速審査対象CRBに係る基準について」でございますが、原則としまして、当該CRBでの審査を経て新規の先進医療Bとして承認され、かつ、その臨床研究の総括報告書が最終的に先進医療技術審査部会で承認された実績がある場合に、迅速審査の対象CRBとして相応と判断することとしてはどうかと考えてございます。
 しかしながら、このような要件を満たすためには数年間がかかってしまうということもございますので、2つ目の○としまして、上記の要件を満たさない場合であっても、当該CRBでの審査を経て新規の先進医療Bとして承認された実績があれば、暫定的に迅速審査の対象CRBとして相応と判断することとし、その後、臨床研究の終了をもって速やかに総括報告書が提出され、先進医療技術審査部会で承認されたことをもって対象CRBとして確定することとしてはどうかと御提案させていただいております。
 先-4の資料にお戻りいただきまして、3ページでございます。2、CRBの質の担保につきましては、臨床研究中核病院に対して国が年1回の立入調査を実施しているほか、予算事業におきましてCRBの審査能力向上促進に向けた取り組みを行っているところでございます。こちらについては、別紙5の3ページに御紹介させていただいております。
 3、迅速化案の対象技術の通常審査への差し戻しについてでございますが、審査期間を短縮するといった観点から、合同会議の対象技術であったとしても、事前評価の担当者がこの技術については先進医療技術審査部会で継続審議となる可能性が高いと判断した場合には、合同会議座長の了承が得られた場合に、通常審査の対象に戻すこととしてはどうかという御提案でございます。
 4、迅速化案の効果検証についてでございますが、本迅速化案の運用開始2年後をめどに、実績を先進医療会議及び先進医療技術審査部会に報告することとしまして、必要に応じて、本迅速化案の見直しを行っていきたいと考えております。
 5、振り分けの運用見直しについてでございますが、今回の迅速化案の対象技術のみならず、全ての先進医療の振り分けについて随時、持ち回り開催で審議を行い、効率化を図ってはどうかと考えてございます。ただし、そのとりまとめにおきまして、構成員の先生方の意見が一致しない場合は、必要に応じて構成員を招集した本会議で検討を行うこととしてはどうかと考えてございます。
 最後「4.論点2に係る先進医療会議での意見等」について、3つとりまとめさせていただきました。
 1、既に保険適用となっている医療技術等の再評価を行うことを目的とした臨床研究であって、一部に保険適用外の検査等を含むものについて、具体的にどういった臨床研究を対象とするのか等について、もう少し整理していく必要はあるものの、保険診療の質を高めるための取り組みとしては、前向きに検討していくべきであろうと御意見をいただきました。
 2、ただし、こういった臨床研究を仮に先進医療として取り扱うことした場合には、かえって手続が煩雑となって研究の推進につながらないのではないかといった御意見もありました。
 また、3、保険導入を目指すという先進医療の制度趣旨にはなじまないため、既存の保険外併用療養費制度の中では選定療養の枠組みの中で取り扱うことが妥当ではないかといった御意見もいただいたところでございます。
 以上につきまして、御討議いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 詳細な御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 では、論点1と論点2の2つの点について、それぞれ別々に御意見あるいは御質問をいただきたいと思います。まず、論点1に係る事務局案につきまして、御意見・御質問はいかがでしょうか。
 藤原先生どうぞ。
○藤原構成員
 1は対応案でいいかなと思うのですけれども、1つ確認しておきたいのは、先進医療Bの審査の実績があるCRBと臨床研究中核病院のCRBが対象で、例えば、今走っている先進医療Bなどを過去にCRBではなくてIRBで審査しているような医療機関は、今回は対象としないという理解でよろしいのですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御指摘いただき、ありがとうございます。今回は当初の実施計画の段階からCRBで審査したものを実績としたいと考えておりますので、移行申請で中途からCRBで審査したものについては、今回は想定していないところでございます。
○五十嵐座長
 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、論点1に対して事務局案をいただいたわけですけれども、これについては基本的に御承認いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 続きまして、論点2にも御説明があったわけですけれども、何か構成員の先生方から御質問・御意見等いかがでしょうか。
どうぞ。
○福井構成員
 先-4の資料の最後のところですけれども、先進医療として取り扱うことでかえって煩雑になりそうだというのは、私もそう思います。選定療養の枠組みで取り扱う場合の具体的な手続はどうなるのでしょうか。既に保険適用となっているものと、そうでないものを比較検証して、どちらがより好ましいのかを決める場合の手続はどうなるのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御指摘いただき、ありがとうございます。選定療養で取り扱うかどうかということも含めて、今後検討していく必要があると思いますし、1に書かせていただきましたとおり、具体的にどういったものを取り扱っていくかについても、これから検討が必要かと思います。ですので、現段階ではなかなかお答えしづらいということで御了解いただければと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。特にございませんか。
 特に論点2については、まだ不明なところが多いので、これからみんなで討議していこうということになるのだと思いますけれども、この基本的な方針について御承認いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 事務局に確認ですけれども、論点2について今後どのような形で検討するかについては、何かプランがあるのですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 本件については、先進医療よりも選定療養の枠組みのほうが妥当ではないかという御意見も踏まえまして、中医協での選定療養の議論に、先進医療会議からの御意見としてあげることについても検討させていただきたいと思っております。
○五十嵐座長
 皆さん、それでよろしいでしょうか。では、そのようにしていただきたいと思います。ありがとうございました。
 きょうの議題は、あと残りの「その他」だけになりましたけれども、事務局から何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方からはいかがでしょうか。何かありますか。よろしいですか。
 では、きょうの議論はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 8月はもともと予備日となっておりますが、現時点では開催の予定はございません。次回の開催につきましては、今のところ令和元年9月5日(木)16時からを予定してございます。場所については別途、御連絡させていただきます。
 本日はありがとうございました。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、第75回「先進医療会議」をこれで終了いたします。御協力ありがとうございました。
 
 

 

 

 

 

 

 

(了)

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