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2019年6月6日 第74回先進医療会議

○日時

令和元年6月6日(木)16:00~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館講堂(低層棟2階)
 

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員
福井構成員 藤原構成員 山口構成員 横井構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)
 2 臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(案)
   (先-2)
 3 その他


○議事

16:00開会




 

 

 

 

 

○五十嵐座長
 時間よりも少し早いですが、皆さんおそろいになりましたので、これから「先進医療会議」を開催したいと思います。お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 構成員の先生方の出欠状況について御報告いたします。きょうは、梅村構成員、福田構成員、山本構成員から御欠席との連絡をいただいております。3名の先生方からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとお申し出をいただいております。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先-1「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」としている1枚紙がございます。こちらには別紙1がついてございます。
 次に、先-2「臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(案)」としている資料がございます。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届け出書類等につきましては、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上大変助かりますので、よろしくお願いいたします。
 説明は以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。資料等につきまして、何か不備な点はございますか。よろしいですか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、御報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 今回、検討対象となります技術等に関しての利益相反については、特にございませんでした。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 出席されている構成員におかれましては、利益相反はないということでよろしいでしょうか。
 (構成員首肯)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」資料が提出されております。御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、先-1の資料に従いまして、説明申し上げます。
 今回、御審議いただく技術は、整理番号131番「切除およびラジオ波治療困難な難治性肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法治療」でございます。
 適応症につきましては、肝細胞癌となっておりまして、腫瘍径3cm以内で3個以下、または腫瘍径5cm以内で単発の腫瘍条件と、Child-Pugh score9点以下の肝機能条件を満たし、肝切除とラジオ波焼灼療法の適応とならないものに限るとされております。
医薬品・医療機器等の情報については、ごらんのとおりでございます。
 申請医療機関は、東京医科大学病院でございます。
 また、費用につきましては、表にお示しさせていただいたとおりです。
 今回の技術の事前評価につきましては、山口構成員に御担当いただいておりまして、総評として「適」という御評価をいただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきましたように、整理番号131の技術につきましては、事前評価を山口構成員にお願いしております。山口構成員から技術の内容と評価結果について、御説明をお願いいたします。
○山口構成員
 それでは、御説明申し上げます。
 本技術は、肝細胞がんに対しての新しい治療法です。今まではラジオ波などで焼灼する手術が行われています。この新しい技術のいいところは、熱が出ないので、周囲に例えば門脈とか危険なものがあっても、比較的安全に施行できるということが売りです。
世界的にどうかと申しますと、米国ではFDAで2011年、欧州ではCEマークを2010年に取得しておりますが、それほどたくさん行われているわけではないのと、一つは肝細胞がんに対する報告が余り多くないというところが問題かと思います。全世界で広く行われているので、日本でもやらなければならないという技術ではありません。
 それから、本邦では、東京医大でわずかの症例ではありますけれども、大きな副作用はなかったということなのですが、何しろ症例数が5例で6病変とか非常に少ないので、まだわからない点があるかと思います。
 それから、有効性についてもこれではもちろん評価できませんが、1例再発していますし、諸外国のHCCだけについてのリポートを見ましても、1年後には50%とか40%再発しているというデータもありますので、現在ある、特にTACE、動注療法に比べてどこまで有用かということは、この試験だけは評価がなかなか難しいのではないかと思います。
 本邦でもほかに行っているところはなさそうで、このままいくとなかなか症例が積み重ねられなくて評価できないままに終わることもありますし、ごらんいただきますように、5ページからずっとやりとりがたくさんありまして、なかなか難しい試験ではあると思うのですけれども、一応ブラッシュアップされて、これでフェーズ2としてやってくださいという結論になりました。
 別紙1をごらんいただきますと、倫理的には問題ありません。それから、現時点での普及性についてはCで、普及していない。効率性は、やや効率的なことが期待されるということです。将来的には保険収載を目指すべきだと思いますが、一応「適」としましたけれども、このままの形でこのデータだけでは、すぐ保険収載にはつながらないので、やはり比較試験が必要ではないかと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ありますでしょうか。横井構成員どうぞ。
○横井構成員
 技術的に難しさがどの程度かということがあって、やっていらっしゃる人はほとんどお1人でやっていらっしゃって、かつ1施設がフェーズ2をやられて、そこで10例やって1年間のインターバルを見て、さらに認可されてということで、資料のロードマップのところで学会要望が出て、その後、企業への開発要請が出て、企業治験にいって、その後薬事承認という、さっきの薬事承認までのロードがすごく遠くて、本当にこれをやって、ここまでいくめどがどこまであるのかなというのが疑問で、現時点でこれをフェーズ2で先進医療でお認めすることに妥当性があるのかどうか、ちょっと読んでいて疑問に感じましたので、質問させていただきました。
○山口構成員
 御指摘のとおり、これは恐らく術者は1人だろうと思います。技術的にはかなり難しそうで、ラジオ波のように、真ん中に穿刺して焼灼するわけではなくて、3本ぐらい刺したりして難しそうです。本当にこの技術が広く保険収載されて認められるためには、広くこの技術がきちんと習得できて、間違いなく同じような成績を出せるというところまでやらないといけないので、かなり道は遠いのではないかと確かに思います。それは全くそのとおりだと思います。
○五十嵐座長
 いかがでしょうか。どうぞ。
○福井構成員
 資料を拝見して、技術審査部会とのやりとり、照会事項に対する回答の最後のものが、昨年1月26日になっています。本日の会議に上がってくるまでに随分時間がたっているのですが、これは審査の過程で1年以上かかるような何かがあったのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 平成30年に臨床研究法が施行されたことを受け、部会で「条件付き適」となった後にかけかえが必要だったということで時間がかかったとのことでございます。
○五十嵐座長
 どうぞお願いします。
○竹内構成員
 拝見していて5ページ、6ページの評価票なのですが、特に実施体制の評価が「不適」となっていて、ここについてのコメントが書かれていますけれども、これはいろいろな意味で改善されたということで御判断されたのだと思いますが、具体的に特に実施体制、肝切除不応例あるいはラジオ波焼灼不適例の判断の実施体制はどのように改善されたのか、もしおわかりになればと思いまして。
○山口構成員
 実際には、施設要件から5例以上やっていなければだめだということで、ある程度クオリティーはコントロールされざるを得ないという判断だと思います。
○竹内構成員
 そこのところに多分リスクがあると考えられたのかなと思うのですけれども、これは消化器内科のグループがされているとすると、肝切除不能例の判断は他の診療科と一緒に判断すると書いてあるみたいですが、例えば、実施体制の中で消化器外科のチームあるいは放射線診断科のチームが入って、肝切除不応例あるいはラジオ波焼灼不応例と判断するような組織体制が必要なのではないかという指摘だったと思うのですけれども、具体的に他の診療科のチームのどういう方が責任者になって、最終的にどう判断されるかといったところがこの書面ではどうも読み取れなかったので、多分そのあたりが実施体制がという評価につながったのかなと思ったのですが、これはやりとりの中で改善されているのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局から補足させていただきます。27ページをごらんいただけますでしょうか。こちらの回答にありますとおり、そういった判断基準を明確にするために、2段落目のとおり「肝切除が困難である判断基準」としまして、消化器内科医や放射線科医、消化器外科医が協議して、それを判断するということで担保されていると判断されたと承知しております。
○竹内構成員
 多分それは一般論で、この施設でその体制がどうかということを山口先生が評価者としてコメントされたのではないかと思うのですけれども。実際、この施設でその体制が整っているかどうか、実際にはどなたが他の領域の専門家で、どういう枠組みの中で判断するのかといったところを求めたのではないかと思ったのですが。これは一般論ですよね。
○山口構成員
 恐らく、普通の病院であればキャンサーボードとかそういう組織があって、そういうものに乗ると思うのですけれども、ここが具体的にどの会議体なのかちょっと不明ということはそのとおりだと思います。
では、条件としてそういう会議体をきちんとつくって、規則などもちゃんとつくった上で運用するように付加したいと思います。
○五十嵐座長
 そうしますと、総合判定は「条件付き適」に変わりますか。そうしましたら、1ページの総合判定が今は「適」になっているのですけれども、キャンサーボード等の具体的な体制をつくっていただくという条件のもとで「適」という御提案ですけれども、いかがでしょうか。
 事務局から何かありますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 22ページをごらんいただけますでしょうか。こちらに具体的にどういった判定を行うかが書かれてございます。「さらに、治療効果判定に関しても以下のように定めました」ということで、「modified RECISTの判定は、2名の以上の医師(放射線科医1名と担当医師1名など)が読影し、意見が分かれた場合は合議により決定する。さらに、各担当医によるもののほかに中央判定を行う。中央判定に関しましては以下のように定めました」ということでございまして、効果判定委員会の組織は別途、委員会が設置されているということでございます。
○竹内構成員
 済みません、くどいようですが、消化器外科専門医は必要ないのですか。放射線診断科、消化器外科専門医、3つの診療科が書いてあるのですが、そのうち他診療科が1科でもあればいいと、ちょっと読み取れなかったものですから。
○研究開発振興課長補佐
 26ページをごらんいただければと思うのですけれども、こちらに医療機関の要件を定めておりまして、具体的な内容としましては麻酔科常勤医師1名以上、消化器外科常勤医師3名以上、そのうち最低でも1名は肝胆膵外科学会高度技能指導医の資格を有するということを定めております。
○竹内構成員
 ということは、この委員会は、いずれも放射線診断科の先生で、肝胆膵消化器外科の先生はいらっしゃらないということですか。
○研究開発振興課長補佐
 27ページの中ほどの「肝切除が困難である判断基準」にありますが、試験担当施設の消化器内科医、放射線科医、消化器外科医が協議し、切除不能と判断された場合」ということで定めております。
○竹内構成員
 では、消化器外科医が必要ということですね。そうすると、やはり22ページの効果判定委員会ですけれども、適応を判断するのであれば、肝胆膵外科の先生に入っていただいたほうがいいということになりますでしょうか。
○山口構成員
 この時点では、こういう内科的な治療に必ずしも消化器外科の先生は詳しくないのではないかということかと思いますが。
○竹内構成員
 わかりました。このあたりの整合性がとれるように全体としてお考えいただければ一番いいのかなと思います。
○五十嵐座長
 そうしますと、この申請そのものは一応、必要条件を満たしていると考えて、あえて「条件付き適」に戻さなくても「適」のままでよろしいですか。
○竹内構成員
 この文言が、全部整合性がとれていて、全部適合しているのであれば大丈夫なのかなという気がいたします。
○山口構成員
 多分今の御指摘は、みんなでやると言っているけれども、本当にやれるのかどうかという疑問だと思うので、こういう会議体でこういうメンバーでやるという規定をきちんとつくってやったほうが、確かに明確でそごがなくなると思います。ですから、やはり条件はつけたほうがいいかなと思いました。
○五十嵐座長
 それでは、やはり「条件付き適」に変更したいという御意見ですけれども、ほかの先生方いかがでしょうか。よろしいですか。
では、最初の判定とは少し変わりましたけれども、効果判定委員会等にしかるべき幕内基準というものがあるらしいですけれども、そういうものをしっかり踏まえた上でメンバーをそろえていただくということで、「条件付き適」としたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 (委員首肯)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 続きまして、事務局から「臨床研究の円滑な推進に向けた取組について(案)」が資料として提出されております。これについて、御説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 先-2の資料に従いまして御説明いたします。
 まず1ページでございますが、現状と課題を挙げさせていただいております。
 まず、1つ目としまして、我が国の医療保険制度においては、必要かつ適切な医療について、基本的に保険診療で行われるものであること。また、保険適用となるものについては、治療の有効性・安全性が確認されたものであることとされております。
 2つ目としまして、先進医療におきましては、いまだ保険診療の対象にならないような新しい医療技術等を対象としまして、保険診療と保険外診療との併用を認め、将来的な保険導入のための評価が行われているところでございます。
 一方、平成30年4月より臨床研究法が施行されました。こういった現状を踏まえて課題を2つ挙げさせていただいております。
 まず、1つ目としまして、臨床研究法が施行されたことを受けまして、先進医療Bとして申請される技術の多くが認定臨床研究審査委員会(CRB)で審査されることになりました。このCRBと先進医療技術審査部会の審査項目が重複しているという御指摘をいただいているところでございまして、そのためこれら両制度の整合性を図りつつ、先進医療Bに係る審査を迅速化・効率化していくことが求められているところかと思います。
 また、2つ目としましては、質の高い保険診療のためには、既に保険適用になった医療技術等の再評価も重要でありまして、例えば、保険適用された医薬品同士を比較して診療ガイドラインの改善につなげるなど、診療の最適化に資する臨床研究を推進する取り組みも求められているところでございます。ただし、このような臨床研究は、現在の仕組みでは混合診療となってしまうケースがあるという現状がありまして、それも2つ目の課題として挙げさせていただいております。
 2ページは、先進医療の概要を示したスライドになります。右真ん中の枠でございますが、現在の実施状況としましては、先進医療Aが29技術、Bが65技術となっておりまして、合計94の先進医療が実施されているところでございます。
 3ページは、先進医療の実施の流れを示したスライドでございます。まず、上から保険医療機関から事務局を介して先進医療会議に先進医療技術の申請があるのですけれども、その前にはIRBやCRBで審査して、承認された技術が申請されることになります。先進医療会議で先進医療AあるいはBで振り分けられた後に、未承認あるいは適応外の医薬品等を含むような研究は先進医療Bとして右側のフローに進むわけですが、その場合には、まず先進医療技術審査部会で技術的妥当性、試験実施計画書等の審査が行われまして、そこで「適」と判断された場合には、下の先進医療会議に進みまして、社会的妥当性等の審査を行っていただいて、「適」に至れば先進医療の実施という流れになってございます。
 4ページでございますが、臨床研究法の概要をお示ししております。一番上の枠にありますとおり、臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、あるいは臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定めることによって、臨床研究の対象者を初めとする国民の臨床研究に対する信頼性の確保を図ることを通じて、その臨床研究の実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的として臨床研究法が施行されております。
臨床研究法の内容については表にお示ししたとおりでございます。
 5ページには、臨床研究法の対象範囲をお示ししてございます。臨床研究法の対象となる臨床研究につきましては、赤の波線で囲まれた研究となります。すなわち、医薬等を評価する臨床研究のうち、治験以外のものが臨床研究法の対象となります。その中で、未承認・適応外の医薬品等の臨床研究、あるいは製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究については、特定臨床研究と位置づけられて、臨床研究法の遵守が義務となっております。
 一方、適応内の医薬品等の臨床研究あるいは製薬企業等から資金提供を受けていない臨床研究については、非特定臨床研究として同法の遵守は努力義務となってございます。
 6ページをごらんください。臨床研究法に基づく臨床研究実施の流れをお示ししてございます。まず、上から研究責任医師が実施計画・計画書等をCRBに提出しまして、国が認定したCRBにおいて、その計画書等が審査されることになります。そこで承認がなされたものについては、厚生労働大臣に実施計画を提出し、jRCTというレジストリへの登録・公開が義務づけられてございます。
 7ページには、臨床研究の施行状況が示されてございます。令和元年5月7日現在でございますが、jRCTに登録された臨床研究は合計で1,209件でございまして、そのうち臨床研究法における特定臨床研究が1,140件、非特定臨床研究が50件、それ以外が19件となってございます。
 また、2つ目、認定臨床研究審査委員会(CRB)の数ですが、合計で91件設置されているという状況でございます。
赤枠に書きました特定臨床研究につきましては、企業から資金の提供があるもの、あるいは未承認・適応外の医薬品等を評価する臨床研究が含まれてございますが、このうち先進医療Bとして現在実施されているものは、30件強にとどまっております。
 8ページをごらんください。こちらは御紹介となりますが、そういった特定臨床研究の実施にあたり先進医療制度をうまく利活用する取り組みとしまして、先進医療技術実用化促進プログラムという取り組みがなされております。一番上の1つ目にありますとおり、臨床研究法施行に伴い、全ての特定臨床研究が国への届け出が義務づけられました。こういった臨床研究につきましては、評価療養を含む保険外併用療養制度を活用しない限り、保険適用部分も全額患者負担となりますので、今後さらに多くの臨床研究が評価療養での実施を求めて、先進医療の申請が増加することが想定されております。
 2つ目ですが、そのため申請技術の品質の底上げや審査の迅速化に対応するために、平成30年度の先進医療実用化プロジェクトとしまして、臨床研究中核病院における先進医療のプレ事前相談機能が設置されました。
3つ目ですが、平成30年度につきましては、その事業の一環としまして、臨床研究中核病院5機関程度に事前相談窓口を設けまして、申請者からの事前相談に対応しているという状況でございます。
 9ページをごらんいただけますでしょうか。しかしながら、このような臨床研究が進みにくい要因の1つに、先ほども課題で挙げさせていただきましたとおり、先進医療B試験に係る審査項目が重複していることが挙げられるかと思います。具体的には、表にお示ししておりますとおり、左からCRB、先進医療技術審査部会、先進医療会議の審査項目を挙げさせていただいておりますが、上の4項目、いわゆる臨床研究としての妥当性を評価するといった項目については、CRBと先進医療技術審査部会との審査項目が共通しているところかと思います。しかしながら、5番目にあります将来的な保険導入を目指す観点からの評価につきましては、CRBでは評価がなされていないということでございますので、先進医療技術審査部会での一定の審査は引き続き必要ではないかと考えております。
 10ページは話題が変わりまして、医療技術の再評価に関する資料になります。これは厚生科学審議会臨床研究部会におきまして、今後の臨床研究、治験活性化計画について議論がなされ、これまでの議論の中間とりまとめとして基本的な考え方や今後の対応等について整理し、平成31年3月29日に公表されたものでございます。
一番上の枠になりますが、「革新的な医薬品、医療機器等の研究開発を推進するとともに、質の高い医療の提供には、保険適用された医薬品同士を比較し診療ガイドラインの改善になげるような診療の最適化に係る臨床研究も重要であり、こうした臨床研究を行いやすい環境が求められている」ところでございます。
 11ページは、先ほどもお示しさせていただいた臨床研究法の対象範囲でございますが、今述べたような保険適用された医薬品同士を比較して、診療ガイドラインの改善につなげるような臨床研究のうち、臨床研究法における非特定臨床研究、いわゆる青枠ところについては同法の遵守は努力義務となってございます。
 12ページですが、そういった背景もございまして、臨床研究法下で実施されている非特定臨床研究につきましては、令和元年5月7日時点で50件にとどまってございます。
その一つの理由としまして、2つ目に挙げさせていただきましたとおり、保険適用された医薬品同士を比較するような非特定臨床研究を行う場合には、回数越えの検査等の保険適用外の部分を含むことも想定されまして、その場合には現行の保険外併用制度の対象とならないために、保険適用部分も全額患者負担になってしまうといった課題があると考えております。
 13ページですが、以上を踏まえた今回の論点を2つ挙げさせていただいております。
まず、1番目としましては、CRBで承認された先進医療Bの審査過程の迅速化・効率化をどのように進めるかを挙げさせていただいております。
 2番目としましては、質の高い保険診療のためには、既に保険適用になった技術の再評価を行う臨床研究も重要ですが、一部に保険適用外の検査等を含むものであって、臨床研究法における非特定臨床研究としてCRBで承認され、患者の安全性が一定程度確保されたものについてどのように取り扱うのが適当かということで、論点を挙げさせていただいております。
 14ページですが、論点1についての対応案をお示しさせていただいております。左側が現行の先進医療技術Bに係る審査のフローになりまして、右側が御提案する迅速化案でございます。
通常であれば、CRBで審査がなされた後に申請を受けて振り分けがなされ、先進医療技術審査部会及び先進医療会議での審議を経て先進医療の実施となりますが、迅速化案として、CRBで審査・承認された技術につきましては、先進医療技術審査部会、先進医療会議を同時に行う先進医療合同会議で審議させていただきたいと考えております。
また、この場合、合同会議における審査項目を簡素化するといった考え方もあるかと思いますが、当面は従来どおりの評価を行うこととして、その評価に当たっては、CRBでの資料を活用し、効率化に努めたいと考えております。
 15ページです。こういった迅速対応の対象について、申請医療機関やCRBにしてはどうかという御提案でございます。
まず、1番目の対象とする申請医療機関でございますが、臨床研究の実施体制を担保するといった観点から、まずは特定機能病院、国立高度専門医療研究センターを対象としてはどうかという御提案でございます。
また、2番目としまして、対象とする認定臨床研究審査委員会につきましては、審査の質を担保するといった観点から、国が年1回立入調査を実施しております臨床研究中核病院に設置されたCRBを対象としてはどうかという御提案でございます。なお、ほかのCRBの対象拡大につきましては、別途、先進医療会議及び先進医療技術審査部会におきまして、必要に応じて検討していただいてはどうかと考えております。
 16ページには、臨床研究中核病院の一覧を示してございまして、17ページには特定機能病院の一覧をお示ししてございます。
また、論点2につきましては、今回対応案をお示ししておりませんが、先進医療制度の中で何らかの対応が可能かどうかにつきまして、御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 御説明ありがとうございました。
 論点が2つありました。13ページにおまとめいただいていますけれども、まず、1番目の認定臨床研究審査委員会(CRB)で一度承認された先進医療Bの審査過程の迅速化あるいは効率化をどのように進めるかということで、14ページに対応案をお示しいただいておりますけれども、これをごらんいただいて、先生方の御意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
○山口構成員
 まず、第1番目の論点は、簡素化というのはやはり必要だと思います。現場に大変負荷がかかってきて、同じことを何回もやるのは嫌だというのは当然のことだと思うので、基本的には賛成です。
 CRBのクオリティーの問題ですけれども、臨床研究中核病院だからいいのかというと、必ずしもそうではない場合もあります。立入検査のときにそういう視点からの検証が、実際にCRBとしてのクオリティーを客観的に評価できているかどうかだけ教えていただければ。今までどういう件数をこなして、その間に何も問題なかったとか、そういうことはきちんと評価されているのでしょうか。
○研究開発振興課長
 臨床研究中核病院に対する立ち入りはやっていますし、あわせてCRBに対してもやっていたかと認識しております。この取り組みによって、一定の質の担保はできると思います。
○山口構成員
 私の質問は、CRBは非常に重要なポイントになってくるので、もし不十分であれば見直しをやってもいいのではないかと思って質問しました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。ほかはいかがですか。どうぞ。
○山口構成員
 2番目の論点もよろしいですか。
○五十嵐座長
 まず1番目について、この対応の仕方でいいかどうかを含めて、ほかに御意見ございますか。どうぞ。
○柴田構成員
 2点お伺いしたいことがあります。1つ目は細かい話ですが、14ページの迅速化案の右側の青い四角とピンクの四角、まず振り分けと合同会議の関係ですが、この案では、例えば6月の先進医療会議に振り分けの議題が上がって、7月の合同会議で審議するという形になるのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 そのように考えております。
○柴田構成員
 ここは1カ月と結構長いので、例えば、ここも振り分けについては事前に書面の審議ができるという規定にもなっていますし、そこの運用を少し改善していただくと、審議の内容あるいは審査の内容、評価の内容については維持しつつ待ち時間を短くできれば、皆よいのではないかと思いました。
 2点目ですが、これはコメントになるのですが、9ページはわかりやすくまとめていただいていると思うのですけれども、CRBと技術審査部会での議論にダブりがあるというのは事実でございますが、一方で、通常、臨床試験や治験を組む際に、余り注目されていない論点として、下から2行目の将来的に保険導入を目指す観点からの評価があります。これは医療技術自体が保険収載することに妥当かどうかという切り口と、もう一つは臨床試験のデザインや組み方が、保険の診療報酬点数をつけるつけない、あるいはどのくらいの点数にするかという議論をする際に、必要なエンドポイントが立てられているか、あるいはそういうフォローアップの仕方、観測の仕方がされているのかということは、実は臨床試験の方法論の専門家の中でも余り意識されてきていなかったことです。
 コメントが長くなって恐縮ですが、90年代ぐらいから欧州や米国、日本の3極でICHのもとで臨床評価・薬効評価のガイドラインのすり合わせがされていく中で、臨床試験の在り方が二極化しています。1つは、プラセボ対照試験で、薬効の存在を証明するために臨床試験を行うという流れ、これはFDAが中心になってよく言っていたことです。欧州や日本も旧来は保険に導入するとか評価するという意味で、既存薬との相対的な関係を問うていた流れが過去にはあったのですが、それがだんだん薬効の存在の評価ということにシフトしていきます。臨床試験の方法論の専門家も、どちらかというとそういう観点で臨床試験のプロトコルを見るようになるのです。一方で、論点2にもつながるのですけれども、新しい医療行為が既存の医療行為と比べてどういう位置づけにあるのかという観点、医療の価値の評価、有用性の評価についても実は重要な論点で、そういうものも細々としてではあるのですが臨床研究の中でされています。特に、この場では保険導入を議論する際に、価値や有用性の臨床的な意味合い、社会的な意味合いを評価できるようなデータをとっておくことが重要になるので、現時点ではそういうところが通常の臨床試験の専門家の中にまだ手薄なので、ここに○がついているというのは、そういう論点が大事なのだということを取り上げていただいているという意味で大事なことかなと思います。
 以上、コメントです。
○五十嵐座長
 コメントありがとうございます。そうしますと、14ページの迅速化案に関しては、ブルーの先進医療会議の申請受理・振り分け、特に振り分けの対応については、メール等で書面評価してもいいというサジェスチョンをいただきましたけれども、これについて事務局はそのように考えていると理解してよろしいですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御指摘いただき、ありがとうございます。いただいた御意見を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 柴田構成員としては、そのような対応をもししていただけるとしたら、14ページの迅速化案について何か特段御意見ございますか。
○柴田構成員
 特に総論として問題はないと考えています。
○五十嵐座長
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
○藤原構成員
 論点1について、2つほどコメントになると思います。
 全体像としては問題ないと思うのですけれども、今の臨床研究法上のCRBにかける審査、特に初回ではなくて、2回目以降でプロトコルが変更になったときに、非常に軽微な内容でも、現行の臨床研究法の規定ではCRBに毎回審査をかけないといけないというのがあるので、今後、プロトコル改訂時の手間をどのくらい軽減できるかを臨床研究法の改定時などに考えていただきたいということと、先進医療合同会議で審議した後に、もう一遍CRBにかけますけれども、ここでは通常は素通しにしないと、CRBにかけてCRBで指摘を受けたら、また合同会議に戻ってくるという負の連鎖になるので、それは運用うまくCRB側には伝えておかないといけないという2点です。
○五十嵐座長
 貴重な御指摘だと思います。ありがとうございます。
 福井構成員どうぞ。
○福井構成員
 私も、全体的にはこの論点1についての対応策は賛成です。ただ、山口構成員と全く同じ意見ですけれども、CRBの質をどう担保するかというところが、論理をなぞっていくと、そこだけが具体的にどうするのだろうと引っかかります。これまでに1,000件を超える特定臨床研究での審査が行われているそうですので、客観的なCRBの質の評価について、多くの人の目に見える形にしてもらえればありがたいです。
○五十嵐座長
 今まで厚労省としては、CRBの客観的な評価についてのデータを示したことはあったのでしょうか。
○研究開発振興課長
 現時点でもCRBの質の向上ということで事業を立ち上げて、全体のCRBの質の向上の取り組みを行っているのですが、明確な指標をそこに掲げているかというと、必ずしもそうではない実態があります。まずは、臨床研究中核病院では、CRBの質の向上の取組を事業でやっていますので、そういったところで限定的に臨床研究中核病院に属するCRBという形にさせていただいていますが、それだけでいいのか、あるいは、さらに拡大する場合にどういった基準にするのかというのは引き続き整理していきたいと思います。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○竹内構成員
 14ページの迅速化は大変いい取り組みかなと思いました。藤原構成員が御指摘された点と似ているのですが、最終的に先進医療合同会議で審議された内容をCRBにフィードバックするときに、もう一回簡易審査すると、ここで非常に時間がかかってしまうという問題があって、ここは先進医療合同会議からCRBに指示を出せば、その指示の内容を受けて修正されたらそのままCRBに通すという形のほうがいいのではないかと。結局、合同会議から指摘されたとおりに審査委員会は直しますので、そこで独自に判断することは多分ないと思うので、どちらかというと、ここは指示ではないかという気がいたしました。
それから、今の臨床研究中核病院のCRBという観点では、多分実績を評価して、例えば1年間の実績、議事録でそこに要件がきちんと担保されているかどうかを詳細に見ていけば、臨床研究中核の中でも満足しているところとそうでないところがある程度抽出できるのではないかという気がいたしました。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○研究開発振興課長
 法律上のたてつけは当然あると思うのですが、いずれにしても運用上、余計な手続が発生しないように、できるだけ取り組みたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そういたしますと、論点1については、基本的に14ページの右側の迅速化案はこれでいいけれども、先進医療会議の振り分けのときに書面審査を使うとか、あるいはCRBの簡易審査を指示して確認だけで済ませる、あるいはCRBそのものの質の担保をこれからどうやってブラッシュアップしていくかという要望のもとに、14ページの迅速化案はよろしいのではないかという御理解でよろしいでしょうか。
 事務局、それでよろしいでしょうか。そういう要望が出たと御理解いただきたいと思います。
 では、山口構成員、2番目の論点について御意見をいただきたいと思います。
○山口構成員
 2番目は、もっと重要な論点だと思います。というのは、抗がん剤の治験などの場合には、今の標準治療と勝った負けたということで、どちらかが出てきたら片方が消えるという形になるわけですけれども、高血圧や糖尿病などのいろいろな薬が出てきたときに、いいところはそれぞれあるのでしょうけれども、市場から消え去っていくことはありません。それを評価するためには非常にハードルが高いので、こういう仕組みをつくれば、もう少し整理されて本当に必要なものだけ残るのではないでしょうか。今は少々保険でカバーしても、それに見返りがあるだけの効果があると思うので、ぜひ、案をしっかり出してやっていただきたいと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 こういう取り組みは今までなかったので、ぜひ推進してほしいという御要望ですけれども、ほかにいかがでしょうか。古い薬の場合は、本当に検証がないまま使われているものもあるわけですよね。
 藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員
 これも今、山口構成員がおっしゃったように、既に保険適用されている既承認品目の比較、だけれども研究的要素がある場合、今の療養担当規則だと原則をギリギリ言うと多分、全額自己負担でやりなさいということになるので、診療ガイドラインに乗せるような臨床試験・比較試験をやるときは苦慮するところです。参考資料19ページの「保険外併用療養費制度について」という、いつも厚労省がホームページにアップしているものを見ますと、保険診療との併用が認められている療養に、評価療養と患者申出療養と選定療養があって、先進医療や治験であれば評価療養で保険導入のための評価を行うという理屈のもとに、合法的な混合診療が認められているのですけれども、既承認となると既存の評価療養とか患者申出療養の枠に多分入らなくなってしまうので、詭弁のような形になりますが、一部に保険適用外の検査をやる場合には、選定療養に新しい枠組みをつくってやってみるというのが、健康保険法などのいろいろな法律を変えなくてもできる逃げ道かなとは思います。
○五十嵐座長
 どうぞお願いします。
○柴田構成員
 今の藤原構成員の御指摘にも絡むのですが、この検査とはどういうものかを整理しておいたほうがいいと思います。例えば、患者さんをフォローアップしているときに、がんで言いますと、新しい技術で再発を早くディテクトできるような技術が出てきた、それを評価したいということであれば、その検査方法自体が評価療養になると思うので、今の議論の論点2からは外れるものだと思います。
 こちらで挙げられているのは、日常診療で行われる検査であるけれども、研究として対応するために、通常の保険診療での通常の回数を超えて行われるものであるとか、対象は少し外れる使い方をするというものに関して、その検査自体は保険診療に入れることは想定していないけれども、臨床試験を実施する上で科学的に必要であるので、検査が上乗せされていて、それが混合診療になり得る、そういうものに対する対応であるという理解で正しいですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 おっしゃるとおりでございます。
○柴田構成員
 もう一つ念押しですが、4月3日に医療課から保険の疑義解釈の事務連絡が出ていたと思いますが、保険診療の中で通常行われているものとして、保険が通っている薬の使い方についてはあえて特出しせずに、通常の保険診療の判断、保険の適用になるかならないかの判断は、日常診療であろうが、特定臨床研究であろうが変わらないという趣旨の疑義解釈が出ていたかと思います。つまり、研究の中で検査をしたとしても、その検査が日常診療の範囲を逸脱していなければ、基本的には先進医療としてここに出てくる必要はなく、研究だったとしても保険診療の中でできるという理解ですが、例えば、あり得ないかもしれないですが、PETを非常に頻回にとるとか、そういうのは保険の中で認められていないけれども、どうしても科学的に必要であってそういうことをやりたい場合には、論点2の中に落ちるということを想定しているということですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 そのように考えております。ありがとうございます。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○福井構成員
 臨床疫学の中にはヘルス・サービス・リサーチという分野があります。これは非常に厳密な科学的な評価をされて、例えば、保険で認められているとか、診療に用いるべきだという判断が下された後、日常診療で行われている、リアルワールドでの有効性評価を頭に置いているのか、あるいは、最初に科学的な評価が行われたのと同じくらいの厳密性を求めているのかによって、受け取り方が大分違ってくるのではないかと思います。そのところを明確にしておいたほうが、理解する上でありがたいのですが。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○医療課長
 先生の御懸念の点はよくわかるのですけれども、基本的に先生のおっしゃる意味では、例えば、私ども保険として考えるのであれば、最初におっしゃったような、いわゆるリアルな診療状況において、どういう有効性が証明されるのかについては非常に興味があるところなので、もちろんそれは非常に大事なことだと思いますし、それを推進しなければいけないというのが一方であります。
 ただ、今回の藤原構成員がおっしゃったような話というのは、実はそういうリアルワールドのデータで集めるという場合と、もう一つ、科学的にある程度有効性を見ようというプロトコルもあると思います。ですから、どういうプロトコルであったとしても、例えば、それがいわゆる通常の保険で決めている枠から出てしまうことがどうしても必要になってくるときがあると。そういうときには、例えば、ここで示しているように臨床研究法の審査によって、一定の安全性はしっかり保たれていると。さらに、回数がふえているものであれば一応許容されるのではないかということで、今回制度としての説明をさせていただきました。ただ、私どもが本来保険として求める部分としての有効性は、先生が最初におっしゃられた、いわゆるリアルワールドにおいてのまさにその薬だとか、その治療法、その技術が有効であるのかどうかについて、私どもは臨床研究として推進・底上げしていきたい部分だと思っています。
○五十嵐座長
 どうぞ。
○竹内構成員
 論点2のポイントで、こういう形の枠組みをつくって臨床研究を推進するというのは本当にいいことで、ガイドライン、リコメンデーション等の質を上げるためにもぜひ必要な取り組みだと思うのですけれども、これをやって果たして11ページに書いてある非特定臨床研究の件数がふえるかという観点でいうと、今だと例えば、余り大きな声では言えませんけれども、査定されても医療機関が自腹を切っても安い検査ならば、現行の取り組みの枠の中で先進医療にかけないほうがむしろスムーズに行えるところがあるので、この50件というのは実はここに入っていない、でも、実際のガイドラインに資するような臨床研究が走っていて、それをかえって抑制してしまうのではないかという懸念もあります。というのは、先進医療として申請すると非常に手続が難しくて、いろいろなハードルがあって、さっきのリアルワールドのデータとはちょっと違う研究的な側面が非常に大きくなるということで、本当にこれで促進できるのかというのがちょっと懸念としてありました。
 さっきのPETがわかりやすいのですけれども、例えば、月に1回来ている患者さんを、ある対照薬でそろえるために月に2回来院する、そこが保険診療ではなじまなくて、検査は査定されてしまう。でも、例えば、血算とかCRPぐらいなら医療機関が負担を負ってもいいのではないかと思えば、わざわざここに挙げてこないケースがあるかなという気はいたしました。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。なかなか結論は出ないのだと思います。しかも、いろいろな場面が想定されますので。ただ、こういう枠組みが1つできると、将来さらに我々が行ってきた医療の質を正しく評価するという一つの大きな枠組みになることは確かですよね。ですから、そういう意味でこれをどういう形で推進するかというのは、この回で全て決めることはもちろんできないわけですけれども、基本的にはこういうものをつくっていただきたいというのは、先生方は御同意いただけますでしょうか。
 どうぞ。
○福井構成員
 私も、反対のつもりで言ったわけではありませんので、論点2も進めていただきたいと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 しかも、いろいろなことが想定されますので、ここですぐどうすべきかということはなかなか言えないと思うので引き続き検討しなければいけないし、もう少し具体的なものを示していただいて検討するほうがいいような気がするのですが、いかがでしょうか。
○竹内構成員
 ぜひ、推進される方向で検討していただければと思います。
○五十嵐座長
 きょう出席の先生方は皆さん、そのような基本的な方向性を持っていると御理解してよろしいでしょうか。
 (構成員首肯)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、基本的にこれを推進するという方向で、いろいろ考えていただきたいということにしたいと思います。ありがとうございました。
 きょうの議題は、もう一つ「その他」となっていますけれども、事務局から何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局からは特段ございません。
○五十嵐座長
 構成員の先生方からは何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、きょうの議題はこれで終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 次回の開催につきましては、令和元年7月4日(木)16時からを予定してございます。場所につきましては、別途御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの会議は終了したいと思います。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

(了)

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