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2019年1月10日 先進医療会議・先進医療合同会議(第71回先進医療会議、第80回先進医療技術審査部会)

○日時

平成31年1月10日(木)16:00~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第15会議室(12階)

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 梅村座長代理 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
藤原構成員 山口構成員 山本構成員 横井構成員 田島構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 先進医療専門官 他

○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)
 

○議事

〇第80回先進医療技術審査部会
15:59開会

○五十嵐座長
 では、時間になりましたので、ただいまから国家戦略特別区域内で実施する先進医療Bにかかる新規技術の科学的評価等につきまして、「先進医療合同会議」を開催いたします。
 委員の先生方の出欠状況ですが、きょうは福田構成員からご欠席との連絡をいただいております。
 また、先進医療技術審査部会から田島構成員に出席をいただいております。
 欠席される福田構成員からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては私、座長に一任するという連絡をいただいております。
 では、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。
 資料の確認をさせていただきます。議事次第をおめくりいただきまして、座席表、構成員名簿に続きまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている横紙がございます。こちらにはホチキスどめの別紙1がついてございます。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等につきましては、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページまたはタブレットのページとあらかじめご発言いただけますと議事の進行上、非常に助かりますので、よろしくお願いいたします。
 また、タブレットに今回、間に合わなかった資料といたしまして、机上に3つの資料を配付させていただいております。
 1つが、少しぶ厚目の横紙のホチキスどめの先進医療B 実施計画等評価表の別添としている資料でございまして、もう一つが医薬品医療機器総合機構 薬事戦略相談個別面談記録、そして最後が先進医療実施届出書の様式第10号となっております。
 資料等につきまして不足等ございましたら事務局までお知らせください。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 何か資料で問題ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について事務局からご報告をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反についてご報告いたします。
 竹内構成員、藤原構成員、山口構成員、横井構成員より、先進医療Bとして評価を行う整理番号127の技術について報告がありました。
 竹内構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価には加わらないことになります。
 また、藤原構成員、山口構成員、横井構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、同規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能であります。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 そのほかの今、ご出席されている構成員におかれましては、同様の事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、次に事務局から先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について、説明をお願いしたいと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 それでは、先-1に従ってご説明申し上げます。
 今回ご審議いただきます技術は1件でございます。
 整理番号127、技術名はパクリタキセル腹腔内投与併用・周術期化学療法でございまして、適応症については4型進行胃がんとなっており、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。
 先進医療技術審査部会における事前評価につきまして、主担当を藤原構成員、副担当を田島構成員と柴田構成員にお願いしておりまして、総評としては継続審議のご評価をいただいております。
 また、先進医療会議における事前評価は山口構成員にお願いしてございまして、総評として条件つき適のご評価をいただいております。
 続きまして、医政局研究開発振興課より追加のご説明がございます。
○先進医療専門官
 よろしくお願いいたします。研究開発振興課でございます。
 お手元の先-1、別紙1にございます一番最後の56ページをごらんください。こちらで実施責任医師の要件及び医療機関の要件についてご説明させていただきます。
 まず実施責任医師の要件でございますが、診療科は外科系または内科系の診療科あるいは診療部でございます。資格は外科専門医、内科認定医またはがん薬物療法専門医が必要です。当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術経験年数は要件ございません。当該技術の経験症例数も要件はございません。その他の要件といたしまして、胃がんに対する化学療法及び手術の経験が必要でございます。
 次に、医療機関の要件でございます。診療科は、外科系及び内科系の診療科あるいは部です。実施診療科の医師数は経験年数10年以上の医師が2名以上でございます。他診療科の医師数の要件はございません。その他、医療従事者の配置は薬剤師が必要です。病床数は100床以上。看護配置は10対1看護以上。当直体制は外科系または内科系の診療科あるいは部の医師が1名以上。緊急手術の実施体制が必要。院内検査の24時間実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制に要件はございません。医療機器の保守管理体制も要件はございません。医療安全管理委員会の設置は必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数に要件はございません。
 その他の要件はございません。
 あわせまして、机上の別冊資料の先進医療届出書、様式第10号についてもあわせてご確認をいただければと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 どうもありがとうございました。
 この整理番号127の案件ですけれども、先進医療技術審査部会における事前評価を藤原構成員が主担当、それから、田島構成員と柴田構成員に副担当をお願いしております。
 初めに、藤原構成員から概要の説明と実施体制の評価について、結果をご報告いただきたいと思います。
○藤原構成員
 お手元の別紙1の1ページ目をまずごらんください。医療技術の概要は、これまでも先進医療会議で何度もかかっていますけれども、パクリタキセルという抗がん剤の腹腔内投与を臨床試験で検証していくという、今回の申請の場合は4型進行胃がんという原発巣の非常に大きな胃がんを対象に、術前・術後でパクリタキセルの腹腔内投与を使うものを、後から柴田構成員から多分説明していただけると思いますが、複雑なデザインのIII相比較試験をやっていきましょうという内容でございます。
 まず私のほうで実施体制の評価が自分の担当だったので、そこをまず話させていただいて、その後は柴田構成員、田島構成員にそれぞれのパートのご説明をしていただければと思います。最後に私のほうで総合コメントをさせていただきたいと思います。
 1ページ目の下のほうをごらんいただければいいのですけれども、実施責任医師あるいは実施医療機関の体制に関しては、全く問題ないと考えております。医療技術の有用性は適にしていますけれども、実際はこの試験が終わってみないと有用性の最終的な判断はできませんので、それはご承知おきいただければと思います。
○五十嵐座長
 続きまして田島構成員から、倫理的観点からの評価をお願いしたいと思います。
○田島構成員
 同意に係る手続、同意文書につきまして、説明文書の補償に関する記述を修正していただきましたのと、細かな字句の修正をしていただきまして、問題点が解消いたしましたので、適と評価しております。
 補償につきましては、保険加入をして医療費及び医療手当の支払い準備をされており、内容は適と判断いたしました。
 患者相談の対応は整備されております。
 以上でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 続きまして、試験実施計画書等の評価を柴田構成員からお願いいたします。
○柴田構成員
 お手元の資料の別紙1、25~32ページあたりに、事前に照会事項をお渡ししまして、申請医療機関の先生方からご回答をいただいております。
 基本的に問い合わせに対してはご回答いただいたと考えるのですが、33ページ、中間解析のときに、本試験の中間解析は一定数、イベントが観察された段階で無効中止あるいは症例数の再設計を考えるための中間解析が設定されています。
 私が指摘した33ページの1なのですが、例えばCY0とCY1の構成比が著しく異なった場合には、イベントが発現するタイミングが想定からずれますので、場合によっては患者さんが登録中の段階で中間解析が行われることもあります。その段階で、例えば条件つき検出力が30%ぐらいであったときに、患者さんを登録し続けるのかという問題が出てきます。逆に予後がいい集団ばかり登録されていた場合には、中間解析のタイミングがおそくなります。なおかつ、最終解析のタイミングがかなりおそくなることも出てきます。結論が出るまでに長期間、時間を要するような場合に、試験計画の変更がうまくできないであるとか、リスクベネフィットバランスの観点あるいはほかの治療手段の出現などの観点から、例えば条件つき検出力が30%ぐらいであったならば、もうこの試験はやめたほうがいいのではないかという効果安全性評価委員会の判断がされることはあり得ると思います。
 つまり、現在の計画では計画どおりに事が進めば、一定の水準でデシジョンメーキングできるように設定されていますが、中間解析のタイミングが早まった場合あるいは遅まった場合、長期に追跡しなければ結論が出ないようになった場合に、効果安全性評価委員会の先生方は臨床的観点も含めて、無効中止を判断しないといけなというケースが出てくることが懸念されます。そういうことも加味して中間解析のルールを設定しておくほうがいいのではないかという趣旨の質問をいたしました。
 けれども、回答としては統計学的な観点からのご回答のみで、試験の実施可能性であるとか、リスクベネフィットバランスと比較衡量したときの条件つき検出力30%程度の意義を判断できるような形のルールにはなっていなかったので、そこは直していただくほうがいいのではないかとは考えております。
 ちょっと長くなりましたが、評価表に戻っていただきまして、現状、試験の設定が統計学的には間違ってはいないのですが、臨床の先生方と十分なコミュニケーションをとられていないのではないかと危惧される部分があるというのが先ほどご指摘した部分です。その辺は修正していただくべきところもあるかもしれませんが、現行の設定自体が間違っているというわけではありませんので、一応、現時点では適としております。
 コメント欄にいろいろ書きましたが、今、申し上げたことのほかにPMDAとの相談の過程で、試験デザインについてはコンセンサスが得られていないと懸念される状況になっています。エンドポイントを全生存期間にするべきであるとか、CY0とCY1をまぜて評価するべきではないであるとか、術前補助療法、術後補助療法を分けて評価しないといけないのではないかなどという論点が挙がっていますが、そのような状況では形式的には試験デザインはきちんと組まれていますが、薬事承認までのロードマップを考えたときに、この試験では薬事承認までの道のりが厳しいと予想されます。そういう状況ですので、それでもあえて本試験を実施する意義があるか否かについては、ほかの腹腔内投与の試験の実施状況ですとか、ロードマップの妥当性も加味して議論する必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○五十嵐座長
 ありがとうございました。
 では、現時点での先進医療技術審査部会としてのまとめを藤原構成員にお願いいたします。
○藤原構成員
 まずお手元に机上配付資料できょう入っておりました、過去の腹腔内パクリタキセルあるいはドセタキセル投与を用いた先進医療Bの一覧表という表紙がついてあるものを皆さんごらんいただければと思うのですが、今回、事務局にご尽力いただきまして、これまでに皆さん方もたくさん申請を見ていらっしゃると思いますが、一体、幾つの申請があったかもう一回、整理し直していただいたのがこの1枚紙でございます。ここにあるだけでも7つの試験が行われておりまして、一番昔に先進医療、その当時は高度医療でございましたけれども、この腹腔内投与が検証し始められたのは今から約10年前、平成21年の12月1日が告示日でございます。ここではそこの一番上に書いてありますように、パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法という題目で、初めてこの東大さん、今回と同じ申請者でございますけれども、始めたのがこのパクリタキセル腹腔内投与の検証でございます。
 そのときに申請者がどのようなロードマップを書いて、この先進医療というのは出口は薬事承認、保険償還でございますので、どういうことを10年前に考えていたかというのが5ページの薬事承認申請までのロードマップというものです。これは平成23年5月31日の第24回高度医療評価会議にかかったものでございますけれども、これがその当時、10年前に申請者たちが考えた薬事承認、保険償還までのロードマップでございます。
 一番下から2番目、高度医療制度下第III相試験と書いていますが、これが昨年、Journal of Clinical Oncologyといいまして世界で一番いいがん薬物療法の臨床成績を発表する雑誌の一つでございますけれども、それに採択されて掲載された論文があるのですが、それが最終的に成果になったのですが、その第III相試験を踏まえまして胃がん治療ガイドラインに収載していただいて、公知申請をして保険適応に持っていきたいというのがそもそも申請者たちが10年前に考えたところでした。したがって、この1つ上、高度医療制度下の第III相試験、2011~2015年というところまでは実際に実現されて、きちんと進んできたわけでございます。
 ただし、今回もう一度ゆっくりと過去の申請資料とか申請資料に入っていますPMDAとの事前面談、これは正式な議事録が残る対面助言とは別に、PMDAがアドホックにパクリタキセル腹腔内投与をやっている先生方と会って、毎回いろいろなアドバイスをこの10年間しているのですけれども、それも全部見直してみました。これは各回の先進医療会議あるいは先進医療技術審査部会で示されている公開資料でございますので、そのあたりをまとめたのが机上配付の資料でございます。
 その中で大きなエポックとして最初に私が気づいたのは、机上配付資料の17ページなのですけれども、これは平成26年4月17日の先進医療会議、17回の先進医療会議にこの申請者らが回答として提出したものの中の資料にある記述でございます。PMDAとの事前面談を2013年11月15日に行っているのですが、その中でどういうふうにPMDAからアドバイスされているかといいますと、第III相試験がGCP準拠レベルで行われていれば、通常の薬事承認申請が可能である。これはいつもPMDAが言うことなのですけれども、治験でなくてもGCPレベルで先進医療が行われていれば、薬事承認申請は可能ですよという表現をしています。
 ただし、その2つ目を見ていただいたらわかるのですけれども、この時点で公知申請は難しい。平成26年、今から4年前、最初に申請、告示されたのが平成21年ですから、その21年から5年後の時点で、そもそも申請者たちが公知申請を目指しますと言って書いていたロードマップが全面的に否定されたわけです。公知申請は難しいですよと言われています。しかし、残念ながら今回の申請者以外、近畿大学、それから、名古屋大学もこの1枚紙を見ていただいたらわかりますけれども、中心となって腹腔内投与の申請をこれまで繰り返しているのですが、みんなロードマップでは最終的には公知申請を狙いたい。あるいは企業さんと組んで治験をやって薬事承認をとりたいというのが延々とこの10年間、繰り返し書かれているのですが、そもそも公知申請が難しいということを言われているのが5年前でございます。
 それ以降、さまざまな回答のやりとり、毎回申請が上がってくるたびに繰り返しているのですけれども、どのロードマップを見ても各申請者さんは、最後は公知申請か薬事承認を目指しますというふうに、これは先ほど申し上げたとおり繰り返しています。
 そこの判断の最終的にとどめを刺された事態が昨年ございました。昨年の7月4日なのですけれども、これは別紙1の資料の14ページ、15ページ、16ページをごらんいただければと思います。横紙のものですが、これは7月4日に開催されました医薬局が主催でやっています医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議の資料、これも公表資料でございますけれども、この資料3-3でパクリタキセルの腹腔内投与に関する公知申請が可能かどうかの最終判断がされました。これが昨年の7月4日です。そこでどういうふうに判断されたかというと、だめですと。先ほどPMDAが5年ほど前に公知申請は難しいですよと言われていましたけれども、最終的に厚労省の検討会議で公知申請には行きませんという判断がされています。
 その理由が15ページから16ページにかけていろいろ書いてあるところでございますけれども、きょうの審査に関連するとすれば、16ページの備考欄を見ていただきたいのですが、要望者からは複数の用法・用量が要望されている一方で、要望書においてパクリタキセルを20mg/m2から40mg/m2に増量することによる効果は明らかではなく、検討が必要である旨の考察がなされていることを踏まえると、今後、臨床試験を実施する等により要望内容の臨床的有用性をより明確に示すべきであると考える。また、腹腔内投与は新投与経路に該当することから、要望された用法・用量が薬事承認されるためには、パクリタキセルを腹腔内投与した際の毒性試験、薬物動態試験等の情報が必要ですよと念押しをされています。
 これに対する回答は、今回、7月4日にあったのでこれに対してどう思いますかということを、一連の流れを踏まえてお聞きしました。それが12ページ、13ページに申請者のほうから回答が来ておりますが、何となくかみ合わない回答になっていますので、これは読み上げませんけれども、10年同じような指摘をずっと会議あるいはPMDAからもされている中で、最終的に公知申請の道が閉ざされたということは、ロードマップの根幹が崩れてしまったので、申請者たちがこれからそれを踏まえてどういうふうに考えるかというのは、今回、回答のやりとりの中で一切触れられませんでした。残念なところですけれども、それはしようがないなと考えています。
 さらにPMDAから平成27年5月に、これも厳しい指摘を1つされています。きょう後から机上配付資料で配っていただいた紙ですけれども、これは平成27年の4月23日にPMDAの薬事戦略相談個別面談という記録、これも正式な対面助言ではないので申請者側がメモとしてつくっているものの記録をコピーで皆様方に見ていただいているのですけれども、一番最後のページを見ていただきたいのですが、四角で囲っているところです。腹腔内投与の検証試験終了後の薬事申請についてというタイトルで書いてありますけれども、そもそも薬事申請は、製薬企業が行うものである。これはこの10年ずっと申請者と厚労省のやりとり、あるいはこの会議とのやりとりを見ていましても、誰が申請するのかというのがこの10年間ずっと曖昧なままに来ています。パクリタキセルについては先発品もありますし、後発品もありますので、先発品メーカーあるいは後発品メーカー、どこかと長い交渉をして、10年あれば何度でも交渉できるのですけれども、1回もその交渉がしっかりされたという経緯はありませんですし、ということは薬事承認申請を担う企業が10年間、1社もあらわれなかったというふうに私は理解しました。そうすると公知申請もだめ、薬事承認申請を目指そうにも、申請してくれる企業もないとなると、この先進医療会議の出口が閉ざされる状況で新しく試験をしても、それは臨床試験を先進医療という枠組みの中で組むことの意味が余りないのではないかと私は思いました。それをまとめたのが別紙1、最後の3ページにあります総評のところでございます。継続審議ということにしていますのはなぜかといいますと、いろいろな条件を書いてコメントしたいというので、それで継続審議にいたしました。
 実施条件としては、読み上げますと、本試験を先進医療Bとして開始するには、薬事承認を担ってくれるパクリタキセルの製造・販売企業を探し出して、申請についての内諾、例えば試験が成功すれば申請しますよ。これは企業がよく言ってくれるセリフなのですけれども、そういう企業を探してください。それから、先ほど医療上の必要性の高い未承認薬検討会議の資料にありましたように、投与経路の用法・用量の追加というのは薬事的には非常に重い申請になるので、結構PMDAとか厚労省の医薬局というのは保守的な判断というか、厳しくその審査をすることが多いのですけれども、投与経路の用法・用量の追加に薬事上、必要と思われる薬物動態試験等の要否は、事前にPMDAと議事録の残る対面助言が主だと思うのですが、そういうもので明確なアドバイスをもらったほうがいいのではないかと考えました。
 したがって、きょうの時点でそういうものがきっちりされていませんので、なかなかきょうの時点で適、条件つき適、不適という判断をするのは難しいと考えています。
 コメント欄は、きょうずっと説明してきたことのまとめをもう一回書いているのですけれども、腹腔内パクリタキセルあるいはドセタキセル投与は平成21年以降、延々と高度医療、先進医療、患者申出療養で検討されてきました。これらにおいて出口として強調されてきたのは、いわゆる公知申請・承認というスキームでした。しかし、昨年、2018年7月4日開催の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議において、パクリタキセルの腹腔内投与は医学薬学上、公知の申請に当たらないという判断がされ、この大前提が崩れた現在、タキサン系抗がん剤の腹腔内投与法の出口戦略は抜本的に見直す必要があると考えますし、このまま薬事承認・保険償還への明確なロードマップを描けないまま、漫然と先進医療を続けていくのは患者さんに益するところがないと考えます。
 1つアドバイスとして、先進医療でやらなかったらどうすればいいんだというふうに彼らは考えると思うのですけれども、私はやるとすれば、公知申請の要望は胃癌学会から上がっているのですが、胃癌学会の診療ガイドラインに腹腔内投与、先ほど申し上げたように先進医療の中でやられた第III相試験がフェニックストライアルというのですが、Journal of Clinical Oncologyに昨年7月に公表されていますので、そういうすばらしいランダム化比較試験の成果をもとにすれば、診療ガイドラインの記載は容易に変更できると思うので、胃癌学会のガイドラインにちゃんとそれを取り込んでいただく。取り込んでいただいた上でもう一度、PMDAあるいは厚労省と相談して、出口がどういうふうになるかというのを考えていただければいいのではないかと思います。
 以上です。
○五十嵐座長
 詳しい説明どうもありがとうございます。
 続きまして、先進医療会議における事前評価につきまして、山口構成員に評価をお願いしておりますので、評価結果等につきましてご説明をお願いいたします。
○山口構成員
 今、藤原先生からお話がありましたけれども、36ページ、私の評価は社会的妥当性に関しては論理的な問題はないとしました。それから、現時点での普及性はほとんど一般的には行われていない。効率性はやや効率的としましたが、これは期待されるところであって、今までのエビデンスははっきりと、これはほかのやり方に比べて有効というものはございません。将来の保険収載の必要性は、将来はあるのではないかと考えています。
 総評ですけれども、総合判定のところは適、条件つき適、否としかありませんので、今回、条件つき適とはいたしましたが、条件をつけるとしたら先ほど藤原先生のご評価もありましたので、かなり厳しい条件をつけなければなかなか適とは言えないと思いますけれども、一応、条件つき適といたしました。
 というのは、薬事申請までロードマップという39ページをごらんいただけますでしょうか。先ほどのお話を聞いていると全然これはだめだという感じなのですけれども、なぜこれがこんなことで話題になっているかご説明します。一番左の臨床研究の段階でマル1とマル2の試験がございますが、1年生存割合が78%とありますが、今まで胃がんで腹膜播種のある者の1年生存というのはここまでなかったので、これは実は非常に期待されるデータだったわけです。
 これが結局ずっといろいろ引きずっていて、これは当然いいはずだということになって、右のピンク色の4、5、6というのは探索的な研究が行われ、同じような結果が出ているということで、その次の3列目の8番目の検証的試験に行きました。Phase III、これは非常に期待されていて、多分いい結果が出るのではないかと思ったところが、患者さんの中にもともとの治療、要するに対照群に当たった人がIPつまり試験群の治療を受けた例がかなりあったため、結局、有意の差が得られませんでした。最初のもくろみでは、このあたりでしっかりと差が出て、申請に持っていけるということだったのですが、ここで大きく狂ってしまったわけです。それで、その下にある10番が今回申請されたわけだと思うのですが、対象がちょっと違います。
 それと今回、4型胃がんというのはスキルス胃がんのことですけれども、これは極めて予後の悪いがんです。これは腹膜播種がほとんど必発で、予後が悪いのでこういうものを対象にやろうということです。まず今回は腹腔鏡で腹膜播種があるかないかを見て2群に分けます。そして、もし腹膜播種がない場合に腹腔内を洗浄してがん細胞がいる場合といない場合に分け、癌細胞がいる場合には腹腔内化学療法をやってから手術をして、また化学療法を加えます。もしもいない場合には、そのまま手術をして化学療法を行います。そういう4つに分けてやったわけです。
 1つの問題は、CY0とCY1は大きく予後に違いがあるので、両方とも割とdisease-free survivalで見ているのですが、短い時間の検証では特にCY0の場合は評価できないのではない恐れがあります。したがって、PMDAの言うように分けるべきかなとも思いますが、これは絶対にだめというわけではない。恐らく今回の未承認薬・適応会議で一番問題だったのは、エビデンスがはっきりしていないというところだと思うのです。用量の問題もありますけれども、本当に効くのかというところでエビデンスが出てきていないと。だから公知申請するわけにはいかないというのが一番の肝なのです。研究者としては恐らく別な形での今回の試験をやってみて、そこで次こそしっかり差を出して公知申請に持ち込みたいという気持ちもよくわかります。また、参加している施設を見たらほとんど胃がんの有力な施設が全部入っているので、学会の意思もあるのだろうと思います。ですからここで否定してしまうのはよろしくないということで、継続審議に近い形で私は3つしかなかったので条件つき適ということにしました。
 条件はどのようなことかといいますと、柴田先生の言われたようなことも含めて、特にPMDAは最初に相談を受けたときには、はっきりした回答を出していない面もあります。それから大分時間がたっていますので、もう一度そのあたりしっかり詰めて、今回の試験でこういう結果が出たら、こういう形で進めていくということをきちんと詰めていく必要があります。そして、何でメーカーが乗ってこないかというと、これは新薬でも何でもなくて、薬が安いということがあるかもしれません。だけれども、非常に試験としては重要なものだから、ぜひいい結果が出たら、用量の試験も含めてきちんとしたことをやることについて協力してくれという努力をしておく必要があると思います。それをやっていただいて、そういう条件をクリアすればやってもいいのではないかというのが私の判定でございます。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 山口構成員のご意見も、藤原構成員のご意見とほぼ同じと考えてよろしいですね。ありがとうございます。
 では、これまでの説明につきまして何かご質問等ございますでしょうか。どうぞ。
○柴田構成員
 今回、改めて先ほど藤原先生からご説明があったように、PMDAとの議論の過程をまとめてもう一度、確認いたしましたけれども、例えば公知申請に当たらないという判断は、先ほど山口先生おっしゃったように、横向きの紙に書いてありましたように、第III相試験の結果が芳しくなかったということのみによるのか、あるいは制度論上のものなのかというのは、PMDAにはっきり確認していただく必要があると思います。
 投与経路が変わることに伴う問題が話をややこしくしているのか、あるいはシンプルにPhase IIIの結果が芳しくなかっただけなのか、あるいはそれとは別の理由が先ほどの議事録には理由は書いていないけれどもあるのか、公知申請に該当しないというコメントだけ書いてありましたが、そういう状況であれば申請医療機関の先生方も困ると思いますので、そこのところは議論していただく必要があるかなと思います。
 また、今回の試験に対するPMDAとのディスカッションで、デザインについてまだ意見がかみ合っていないところがありますが、必ずしもPMDAの主張が100点満点で正しいというわけではないと思います。例えばDFS、無病生存期間をエンドポイントにしてはだめなのかという意見に対して、通常のがんの臨床試験では2つ論点がございます。そのエンドポイントが全生存期間の代替エンドポイントとして認められるだけのエビデンスがあるかないか。エビデンスがあるのであれば、overall survivalを見るかわりに無病生存期間を見ることが正当化されることはあります。これはほかの領域ですが、たしか呼吸器だったと思いますが、先進医療の会議の場で全生存期間のかわりにRFSだったか、代替エンドポイントに変更を認めたというケースがありましたが、そういうことはFDAにおいてもなされていますので、そういう観点でもだめなのかという話は、実はPMDAとの議論の中で詰められていません。申請医療機関の方がDFSは代替エンドポイントとしてエビデンスがあるというアピールはされていますが、それに対してなぜPMDAはそれを認めないのかという議論はされていないので、その辺のところは詰めていただく必要があるかと思います。その辺のところも含めて、単純にまだすり合わせがされていないところについては、主張すべきは主張していただいて、PMDAの意見を聞くべきところは聞いていただいて、コンセンサスをとるように努力していただく必要はあるかと思います。
○五十嵐座長
 そうしますと、継続審議でよろしいというご意見ですね。ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
○山本構成員
 未承認薬・適応外薬検討会議ですけれども、藤原先生はたしか親会議の委員でいらっしゃって、私は循環器ワーキングの座長をやっているのですが、これは結構歴史の長い会議になってきておりまして、最初のころはワーキングでいろいろ、かなり長時間持ってエビデンスのはっきりしないものについても何カ月というか、1年、2年もってどうしようか、こうしようかということを議論していたのですが、スピードアップを図るためということで、たしか数年前から十分なエビデンスが得られていない場合は一旦お返ししますという形で比較的、足りなかったら先に返してしまって、そこにもう少しちゃんと積んできてねといって再調整してくださいねというような、ワーキングのところでも割と速い判断をするという方針になっていますので、一旦だめと言われたから二度とだめというものではないと思います。ただ、先進医療で一度ネガティブな結果が出たということについては、重くとられていると思います。
 もう一つは一旦、公知申請ができないというか、公知申請に当たらないという判断をされたというところの内容をもう少し確認されるほうがいいのではないかと。そういうのも含めて、また、完全に閉ざされているわけではないと思いますので、先ほどからあった申請する企業を見つけるというのが安い薬は本当に大変なので、それをずっとやって何年も過ごすという可能性も出てきますので、その場合は検討会議のルートを何とかこじ開ける。こちらをこじ開ければ申請する企業が決まっていなくても、そちらから企業の公募ということもできますから、それはそれで会議の事務局をやっている担当課、部署ですね。PMDAでなくて恐らくそれは医薬品審査管理課になると思いますけれども、そちらを通して公知申請に至るためには、何が足りないのかということも聞き合わせていくほうがよろしいのではないかと思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
○福井構成員
 私も患者申出療養の関係で、この治療の判断が大変難しくて困っています。患者申出療養の制度自体の立ち上がりの経緯から言いましても、これはサイエンティフィックな側面だけでの判断ではなくて、私自身も含めて委員は倫理的な側面とか、患者さんの要望をできるだけくみ入れることも、最初から重要な要素だったものですから、スタディーデザインから言ってとても保険収載するかどうかの判断に役に立つとは思えないデザインであっても、認めてきているというのが実情です。先進医療の枠組みでサイエンティフィックな判断を明確にしていただければ大変ありがたく思います。
○五十嵐座長
 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 そうしますと、継続審議をしていただいて、ぜひPMDAと幾つかの点で相談をしていただいて、またこちらに出してくる、あるいは患者申出のほうに出すという道も含めて、もう一つ、胃癌学会のガイドラインの変更も考えていただくということも相談していただくということで、事前評価結果どおりの方針でよろしいでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 五十嵐座長、取りまとめの前に竹内構成員にご退出いただく必要がございます。
(竹内構成員退室)
○五十嵐座長
 失礼いたしました。竹内構成員は議事の取りまとめには加わらないということですね。
 それでは、もう一度繰り返しますが、事前評価結果どおりの方針でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長
 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、竹内構成員に戻っていただきたいと思います。
(竹内構成員入室)
○五十嵐座長
 それでは、以上をもちまして「先進医療合同会議」をこれで終了させていただきます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。準備が整い次第、先進医療会議を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。



第71回先進医療会議

○日時

平成31年1月10日(木)16:42~

 

○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第15会議室(12階)

○出席者

【構成員等】
五十嵐座長 梅村座長代理 石川構成員 柴田構成員 竹内構成員 福井構成員
藤原構成員 山口構成員 山本構成員 横井構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
研究開発振興課長 先進医療専門官 他

○議題

 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-1)(別紙1)(別紙2)
 2 平成30年度先進医療技術の実績報告等について
   (先-2-1)(先-2-1(参考1))(先-2-1(参考2))(先-2-1(参考3))
   (先-2-2)(先-2-3)
 3 平成31年度先進医療会議開催予定(案)について
   (先-3)

 

 ○五十嵐座長
それでは、「先進医療会議」をこれから開催したいと思います。
先生方の出欠状況ですけれども、本日は福田構成員からご欠席との連絡をいただいております。委任状の提出もいただいておりまして、議事決定につきましては私、座長に一任するとされています。
それでは、資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、座席表、委員名簿をおめくりいただきまして、先-1「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」という横紙がございます。こちらにはホチキスどめの別紙1、別紙2がついてございます。
次に、先-2-1としております横紙の「平成30年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」という資料がございます。こちらには参考資料1、2、3がついてございます。
続いて、先-2-2とする横紙がございまして、こちらは「1年間(平成29年7月1日~平成30年6月30日)の実施件数が0件である先進医療技術(先進医療A)に係る医療機関の今後の対応方針等」となっております。
先-2-3は縦の1枚紙ですが、「暫定的に先進医療Aとして実施している技術について」とする資料でございます。
最後に、先-3「平成31年度先進医療会議開催予定(案)」としている資料がございます。
また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
資料等につきましては何か問題はございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、今回、検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果についてご説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については、特にございません。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
出席されている構成員におかれましては、今回は利益相反はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○五十嵐座長
では、そのようにしたいと思います。ありがとうございました。
先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
それでは、先-1をごらんください。
ご審議いただきます1つ目の技術については、自己細胞シートによる軟骨再生治療でございます。
本技術は、第76回の先進医療技術審査部会でご審議いただいた技術でございます。
適応症については、変形性膝関節症の軟骨欠損となっており、費用については資料のとおりでございます。
こちらの事前評価は竹内構成員にお願いしてございまして、総評としては適のご評価をいただいております。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
整理番号128の技術につきましては、事前評価を竹内構成員にお願いしております。竹内構成員から技術の内容及び評価結果について説明をお願いいたします。
○竹内構成員
それでは、技術の内容について簡単にご説明申し上げます。
29ページ目のカラーのスライドをごらんいただきたいと思います。今回の医療技術の概要図でございます。適応疾患は変形性膝関節症の中の高位脛骨骨切り技術、HTOと略称しておりますが、High Tibial Osteotomyの適応に限るということです。この高位脛骨骨切り術(HTO)という術式は左側、変形性関節症でO脚変形になったものの脛骨の一部を切り取りまして、その開いた部分に人工骨を入れてアライメントを整えて、変形性膝関節症を治療するという術式でございます。一般的に変形性膝関節症の標準的な治療の一つに人工膝関節置換術がございますが、日本ではHTOが古くから行われておりまして、この適応も一部の患者さんで承認されてございます。
このHTOの問題点は、アライメントは治りますが、軟骨面は全く修復されません。したがいまして、左にありますように軟骨の欠損部分がある面がありますと、これはそのまま放置されますので、HTOの有効性が劣る可能性があります。そこで今回、この細胞シート移植法というものを用いまして、軟骨の部分欠損、全層欠損があるところにこれを補いまして、うまくいけば右側のように術後1年、軟骨、特に軟骨成分の機能が十分発揮されます硝子軟骨が誘導されるだろうと、このHTOに伴って細胞シート移植をするものでございます。
次のページをめくっていただきまして、薬事承認申請までのロードマップでございます。ヒト幹細胞の臨床研究、これの臨床研究を終えまして実施期間3年、実施症例数8例で安全性の評価をしてまいったということで、東海大学の医学部付属病院CPCで行いまして、今回この先進医療Bを認められました先には、このセルシード社がつくります再生医療製品を用いまして企業治験に持っていくということで、薬事承認の申請を目指すものでございます。下に製造拠点が株式会社セルシード細胞センターというところで軟骨再生細胞製品を製造するということでございまして、適応は軟骨欠損面積1.0以上8.4未満のものに対してこれを用いるということでございます。
先進医療におけます選択基準は、ここに書いてあるとおりでございます。
このような概要でもとに戻っていただきますと、別紙1の一番最初のところにございます自己細胞シートによる軟骨再生治療の評価でございます。倫理的問題等はございません。罹患率、有病率から勘案して現時点で普及していない治療技術でございます。効率性は、やや効率的というふうに判断しております。
また、保険収載に向けては、導入に際して以下の事項について検討する必要があるというふうにコメントをつけさせていただきました。それは本治療法の適応となる症例の基準を明確にして、この高位脛骨骨切り術(HTO)に本治療法を組み合わせることが標準的治療法として行われております人工関節置換術など、他の標準的治療に対してどれくらい有意性があるのか。医療経済学的な課題等々を検討する必要があるというコメントをつけさせていただきました。
最終的な総評として、それらを総合してこれまでたくさんの議論が行われてきましたが、適とさせていただきました。コメントは、変形性膝関節症の標準的治療である高位脛骨骨切り術(HTO)でのアンメットニーズに応えるべく、この術式に追加して行う自己細胞シートを用いた軟骨再生治療だという認識のもと、外部対照群が設定されております。これまで、自己細胞シートを用いた軟骨再生治療をしなかった場合、すなわちHTO単独群のQOL等を評価する前向き臨床試験に関する情報が十分でないというご指摘が再三ございましたが、今回この改善点として外部対照群を設定していただきました。その中で、前向き臨床研究の中でスクリーニング期間が設定されておりませんでした。そこで、スクリーニング期間を術前3カ月というふうに文言を追加していただきまして、この外部対照群の評価に関しても論理的な、客観的な説明がなされたと判断しました。以上を踏まえまして、指摘事項に対する回答が適切であったということで、適というふうに判断しております。
以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
では、ただいまの説明に対しまして何かご質問等ございますでしょうか。特にございませんか。
それでは、構成員の評価結果どおりに決定してよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長
ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。
もう一つ、新規技術についてございますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
先-1にお戻りください。続いてご審議いただきます2つ目の技術は、薬物療法に反応しない双極性うつ病への反復経頭蓋磁気刺激療法でございます。本技術は、第79回の先進医療技術審査部会でご審議いただいた技術でございます。
適応症につきましては、薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソードとなっておりまして、費用については資料にお示ししたとおりでございます。こちらの技術につきましては、事前評価を福井構成員にお願いしてございまして、こちらも総評しましては適とご評価をいただいております。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
それでは、福井構成員から技術の内容、評価結果につきましてご説明をお願いいたします。
○福井構成員
別紙2の23ページに相当する図を見ていただければと思います。反復経頭蓋磁気刺激でして、この機械は既に2017年に大うつ病について薬事承認を得ている機械でして、これを今回は双極性うつ病に対して用いようというものでございます。
資料を読みますと、この装置自体に患者さんをランダマイゼーションして、中央から送られて来た、恐らく数値だと思うのですが、それを入れますと機械のほうで実刺激なのか偽刺激なのかを判断して刺激を与えるというものでして、患者さんも研究者も実刺激が行ったのか、偽刺激が行ったのかがわからない機械の設定になっているそうです。
これを用いて双極性うつ病に対して有効かどうかを検証するために、次のページを見ていただきますと、先行試験としましては日本では4名の患者さんに行われて、3名が4週間の治療を完了して、そのうち2名は6カ月後もうつ症状がほぼ消失した状態だったとのことです。もう一つは海外で既にシステマティックレビューも行われておりまして、19編の研究から181名の双極性うつ病患者についてこの治療の有効性が示されていて、実刺激では44.3%に反応があって、偽刺激では25.3%に反応があったとのことです。全体ではNNT、Number needed to treatといいまして、これは1人の患者さんで有効性を得るために、6名の患者さんに治療をする必要があるという数値で6とされております。その181名中さらに刺激の部位が右の前頭前野に高頻度ではなくて低頻度の刺激、高頻度というのは5~20Hzで、低頻度は1Hzだそうですけれども、低頻度のものを右前頭前野に刺激を与えるとNNTが3になる。つまり3人に治療をすると1人で有効な結果が得られるというシステマティックレビューが行われていて、日本ではわずか4名ですけれども、先行試験があるという状況下で、今回は96名の患者さんをリクルートしてランダム化比較試験を行おうというものです。この結果がよければ、学会要望などを踏まえて薬事承認の申請に至りたいということであります。
最初のページに戻っていただきまして、社会的妥当性としましては既にたしか1万5000人くらいにこの機械は用いられているということですし、大きな副作用もなくて30分間、刺激している間に頭痛、局所の疼痛、不快感、筋収縮などがあらわれることが20~30%あるそうですけれども、刺激をやめた後は何も副作用としては起こっていないように見受けられます。したがって、倫理的な問題等はありません。
現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して普及していません。効率性は、やや効率的と思います。うつ症状については、10項目とか17項目の質問のレーティングスケールを用いて何点なのかを評価します。かなり経験を持った医師に限定して対象患者さんの評価をするということです。数値から言いまして今までのシステマティックレビューなどを含めまして、それほど劇的にという感じではないのですが、統計学的には有意差があり有効性が今までは示されているということで、やや効率的だと思います。
将来の保険収載の必要性につきましては、将来的に保険収載を行うことが妥当と考えます。先ほど申し上げましたように、海外でのシステマティックレビューもありますし、本研究で有効性が示された場合には、保険収載を速やかに行うことが私は妥当と思います。
したがって、総評としては適といたしました。
以上です。
○五十嵐座長
ありがとうございます。
それでは、ただいまのご説明につきまして何かご質問等ございますでしょうか。異議はございませんか。
それでは、構成員の評価結果どおりに決定してよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長
ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。
続きまして、事務局から平成30年度先進医療技術の実績報告等についての資料が提出されておりますので、ご説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
先-2-1、2-2、2-3に従ってご説明を申し上げます。
まず先-2-1でございますが、こちらは平成29年7月1日から平成30年6月30日の1年間に実施された先進医療の実績報告をまとめた資料になってございます。
先進医療Aにつきましては、マル1のところでございますが、技術数は28種類、実施医療機関は794施設。また、マル5の保険外併用療養費及びマル6の先進医療費用の総額に関しましては、それぞれ約38.6億円、約235.7億円となってございます。
隣の列に移りまして、先進医療Bにつきましては技術数が64種類、実施医療機関が233施設、保険外併用療養費の総額が約6.1億円、先進医療費の総額が約4.4億円となります。
先進医療AとBの合算値に関しましては、一番右の欄の記載のとおりとなっております。
次のページに移りまして、過去1年間の先進医療A及びBの技術数の増減を示した表になってございます。先進医療Aの技術につきましては、当初35種類で始まっておりますが、4つの技術が新しく承認された一方で、6種類が保険収載されまして、また、5種類が削除されまして、結果的に6月30日時点で28種類となってございます。
また、先進医療Bの技術につきましては、当初67種類でございましたけれども、8種類の技術が新規承認されまして、2種類が保険収載、9種類が実施期間の終了等に伴って取り下げられたことから、合計としまして64種類となってございます。この期間の総括報告書の受理数といたしましては、7種類となってございます。
次に3ページ目をごらんください。こちらは過去5年間の実施医療機関、全患者数、金額等の実績を示した表となっております。これらの実績について技術ごとに示しております資料が参考資料1~3となっております。
参考資料1は、先進医療Aの技術に関して実施件数や費用等を一覧にしてございます。
参考資料2は、先進医療Bの技術について同様に一覧にしてございます。
参考資料3につきましては、先進医療Bの終了予定日、計画時患者数等を一覧にしておりまして、進捗状況等の閲覧が可能となってございます。
参考資料1をごらんいただきますと、先進医療Aにつきましては告示番号15番、16番、26番など、本期間内に実施件数が0件とする技術が5技術ございました。また、参考資料2をごらんいただきますと、先進医療Bでは告示番号1、2、3など、計16技術が当該期間内で実施件数がゼロとなっております。
次に先-2-2をごらんください。こちら先ほどお示ししました過去1年間の実績で0件だった技術につきまして、その理由及び今後の対応方針を申請医療機関に報告してもらったものになります。
1ページ目は、先進医療Aの技術のうち0件だった技術をお示ししておりまして、こちらには希少な遺伝疾患の診断を伴う検査技術でありましたり、告示されてから期間がまだ短い技術などが含まれてございます。
2ページ目から5ページ目につきましては、先進医療Bで実施件数が0件だったものをお示ししております。こちらは告示番号1、2、3等のように症例の登録が既に終了したものが多く含まれてございまして、また、告示番号28や49のように患者登録が進まず、既に取り下げられたものもございます。また、告示番号54以降の技術に関しましては、まだ実施体制が不十分であったり、告示からの期間が短期間であるという理由から、まだ0件とご報告をいただいておるところでございます。
最後に先-2-3をごらんください。暫定的に先進医療Aとして現在実施している技術についての説明でございます。1つ目の○にございますように、背景及び現状としまして、平成20年の先進医療告示第2項各号に掲げられた先進医療のうち、平成24年11月30日の先進医療会議におきまして、先進医療Bへ振り分けることとされた技術については、暫定的に先進医療Aとして実施されているところでございます。
この暫定Aの技術につきましては、破線で囲まれておりますような取り扱いをすることになってございまして、2つ目のポツの下線部のとおり、平成28年4月以降は新規患者の組み入れについては認めないということになっております。この点につきまして、事務局では定期的に確認を行っておりまして、その結果を2ポツ目の下の表にお示ししてございます。表にありますとおり、前回確認いたしました平成29年11月30日時点から今回の平成30年11月30日の時点におきまして、新規患者数の組み入れは行っていないということは確認できてございます。今後も定期的に確認いたしまして、報告させていただきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明について何かご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
最後に、事務局から平成31年度の先進医療会議開催予定(案)について資料が提出されております。ご説明お願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
先-3をごらんください。平成31年度の先進医療会議の日程案をお示ししてございます。
構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいとは存じますが、日程の調整をお願いできれば幸いでございます。
以上でございます。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
では、きょうの議論は以上としたいと思います。
次回の開催につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
2月はもともと予備日となっておりますが、現時点では開催の予定はございません。
次回の開催については、平成31年3月7日木曜日、16時からを予定してございます。場所については別途、ご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長
ありがとうございました。
それでは、第71回「先進医療会議」をこれで終了いたします。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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