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2017年9月20日 第2回食品衛生法改正懇談会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

○日時

平成29年9月20日(水)10:00~12:00


○場所

新橋会議室 8階 8E会議室


○出席者

食品衛生法改正懇談会構成員(敬称略)

朝倉 宏 浦郷 由季 片野 緑
川西 徹 桑崎 俊昭 中村 重信
花澤 達夫 浜田 陽子 平沢 裕子
森田 満樹 横田 明美

オブザーバー

鋤柄 卓夫 (農林水産省 消費・安全局 食品安全政策課 課長 )
吉田 易範 (内閣府 食品安全委員会事務局評価第一課長)
西川 真由 (消費者庁食品表示企画課課長補佐)
高橋 亨 (消費者庁食品表示企画課課長補佐)
井河 和仁 (消費者庁消費者安全課政策企画専門職)

事務局(9月14日時点)

宇都宮 啓 (生活衛生・食品安全審議官) 大西 友弘 (生活衛生・食品安全企画課長) 関野 秀人 (食品基準審査課長)
道野 英司  (食品監視安全課長) 黒羽 真吾 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長) 森田 剛史 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長・食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
梅田 浩史 (食品監視安全課輸入食品安全対策室長) 蟹江 誠 (食品監視安全課HACCP企画推進室長) 一戸 和成 (生活衛生・食品安全企画課長補佐)

○議題

食品衛生法を取り巻く現状と課題について

○議事

○大西生活衛生・食品安全企画課長 定刻となりましたので、第2回「食品衛生法改正懇談会」を開催させていただきます。構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。まず、本日の出欠状況でございますけれども、大前構成員が御欠席で、他の11名の構成員は御出席をいただいております。

 なお、第1回目に御欠席されていた構成員が2人いらっしゃいますけれども、一言ずつ御挨拶をいただければと思います。

 まず、朝倉構成員でございます。

○朝倉構成員 国立医薬品食品衛生研究所の朝倉でございます。よろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 次に浜田構成員でいらっしゃいます。

○浜田構成員 料理研究家をやっております浜田と申します。私は料理研究家という肩書ではあるのですけれども、フードコーディネートの会社をやっております。また、子供が2人おりまして、といっても成人になるのですけれども、食育が原点で仕事をやってまいりました。

 今回はよろしくお願いいたします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 どうもありがとうございました。カメラ、頭撮りの皆様はこれまでとさせていただきます。以後の議事につきましては、川西座長にお願いいたします。

○川西座長 早速、議事に移りたいと思います。

 第1回では配付資料の中の資料2「食品衛生法を取り巻く現状と課題について」のうち、最初から「リスクコミュニケーションについて」までを事務局に説明していただいて、それに関していろいろと質問あるいは御意見等をいただきました。

 本日は、とりあえずその続きを進めさせていただいて、まず事務局より「監視指導について」から最後までの説明をお願いしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 構成員の皆様のお手元には第1回と同じ「食品衛生法を取り巻く現状と課題について」という資料と、緑色のファイルに前回会議の参考資料をとじ込んで御用意をしております。

 今、座長から御紹介いただきましたとおり、前回の続きで、まず資料の御説明から始めますが、資料の148ページの「監視指導について」をお開きください。

149ページは「監視指導の法的位置づけ1」ですが、食品衛生法第22条で「厚生労働大臣及び内閣総理大臣は、国及び都道府県等が行う食品衛生に関する監視又は指導を定めるものとする」と定められています。151ページのとおり、国が作成する「食品衛生監視指導指針」があり、国、都道府県等の監視指導に関する役割などの基本的な方向、あるいは違反状況、危険情報等を踏まえた重点的に監視指導すべき項目などの基本的事項等々を定めることとしています。また、輸入食品につきましては「輸入食品監視指導計画」を国が作成いたしまして、輸出国の食品衛生規制、食品衛生上の問題の発生状況等を踏まえて、重点的に監視すべき事項等を定めています。都道府県においては「都道府県食品衛生監視指導計画」を作成し、その地域における食品の生産、流通、製造・加工の状況等を踏まえて、重点的に監視指導すべき項目等について定めています。152ページには「都道府県等監視指導計画」の詳細について、153ページには夏期・年末の一斉取り締まりについてまとめてあります。毎年7月、12月に、施設に対する立入検査、あるいは事業者や消費者への注意喚起について、集中的に取り組んでいるところです。154ページは「食品衛生行政を担う自治体数の推移」ということで、食品衛生行政は都道府県、指定都市、中核市、保健所設置市、特別区に担当していただいていますが、特に近年、中核市が増加しているのに伴って自治体数が増加し、平成29年度では144の自治体が食品衛生行政を担っています。一方、155ページですが、地方自治体で食品衛生の業務を担当する食品衛生監視員数は横ばいで、その職員の多くが食品衛生以外の業務と兼任をしています。と畜場においては、と畜検査員が勤務していますが、と畜頭数が横ばいであるのに対し、と畜検査員数は減少しています。157ページですが、食鳥の処理に関しましても、処理羽数は増加していますが、食鳥検査員数は減少しています。つまり、食品衛生行政については、担当する地方自治体の数は増えているけれども、担当者数は減っているという傾向があるということです。また、158ページですが、HACCPについてはまた後で詳しく出てきますが、大規模な食品事業者ではHACCPの導入が進み自主的に衛生管理に取り組んでいますが、中小規模の事業者ではHACCPの普及は進んでいません。

 次に、159ページ以降が「登録検査機関について」です。160ページですが、製品検査を行うための設備や、検査に関する信頼性・中立性確保などの一定の要件を満たした者を厚生労働大臣が登録をするという制度です。162ページに登録検査機関の概要がありますが、政府の代行機関として業務規程の認可を受けた製品検査を行うことができ、2017年2月時点で103の登録検査機関があります。輸入食品等に関する検査は平成27年度で約15万件を実施しています。163ページに登録検査機関で行っている検査の種類がありますが、タール色素の検査、厚生労働大臣または都道府県知事が命令した場合の検査、収去食品等の試験事務の受託を行っています。164ページですが、登録検査機関の課題として、業務管理要領、GLPを定めておりますけれども、最終改正から約10年が経過しているため、最近の状況に合わせて国際的な整合性も含めて見直しが必要になってきているという課題があります。地方衛生検査研究所がありますが、GLPの実施が難しい部分があることが課題としています。また、検査員の要件についても、食品衛生法で大学の過程が定められていますが、昔に定めたものであるため、最近の大学等の学部・学科が多様化している実態と合わなくなってきていることが課題になっています。

 次に、165ページ以降が「輸入について」です。輸入食品につきましては、167ページのとおり「輸出国対策」「輸入時対策」「国内対策」という3段階で監視体制を敷いています。まず「輸出国対策」としては、168ページですが、在京大使館を通じて我が国の食品衛生に関する情報提供を行うことや、二国間協議、現地調査・情報収集、輸出国の担当者を対象とした説明会開催、技術協力などを行っています。また169ページのとおり輸出国政府には衛生証明書を発行していただいて、輸出国で検査や管理が適切に行われていることを証明していただくことにより輸入食品の安全性の確保を図っています。170ページのとおり輸入前相談を実施しており、食品を輸入しようとするときに事前に御相談いただくことによって、食品衛生法違反をしないで済むようにしています。171ページですが「食品等の輸入の届出」ということで、食品を輸入しようとする者は氏名、住所等を届け出なければならず、172ページのように全国の港や空港等で届出の窓口を設けています。173ページですが、届出があると、まず届出の審査があり、さらに必要に応じて検査を実施します。初めて輸入される食品や継続的に輸入されている食品については「指導検査」を実施するということで、輸入業者が登録検査機関に委託をして検査を実施するものが平成27年度で約9万3,000件ありました。また、過去の検査結果から違反の可能性が高い食品につきましては「命令検査」ということで、これは27年度約5万9,000件実施されています。一方、過去の検査結果等から違反の可能性が低い食品については、統計学的な手法に基づいて、一定数を抽出する形で「モニタリング検査」を実施していて、これが27年度約5万2,000件ありました。平成29年4月現在、「命令検査」の対象品目については、175ページのとおり、全輸出国から輸入される17品目、その他31カ国・1地域から輸入される67品目を対象としています。例えば全輸出国から来るフグ、すじこ、キャッサバ、あるいは中国から来るあさりなどが「命令検査」の対象となっています。検疫所で輸入食品の検査業務を担当しておりますけれども、食品衛生監視員数の伸びが頭打ちになっていて、一方で輸入届出件数が増加しています。177ページ目に検査等の実施状況がデータを示していますが、2010年~2016年だけを見ましても、届出件数は着実に増加している一方で、検査総件数は減少しています。その内訳を見ると「モニタリング検査」は約2%台前半で推移していて5万数千件程度でほぼ横ばいということに対して、登録検査機関でやっている「命令検査」は減少しています。「命令検査」の対象になるような、注意すべき食品が減ってきている実態もあろうかと思います。「指導検査」はほぼ横ばいで9万件程度で推移しています。表の一番下に「違反件数」がありますが、違反件数は大幅に減少傾向にあります。輸入食品に関する課題としては、まず、引き続き輸出国対策の強化を図っていくことであります。日本の食品につきましても、後で御説明するHACCPの導入により衛生管理を強化していくことを検討しているわけですが、日本国内でHACCP導入が進みますと、今度は輸入食品につきましても同等性を確保していくということで、相手国でのHACCPによる衛生管理を求めていくことが考えられます。また、輸出国政府発行の証明書については、適切なリスク管理が求められる動物性食品のうち、日EUEPA等で輸入量の増加が見込まれる製品等について衛生証明書の発行を求めていくことが課題です。さらに輸入時の検査体制の強化についてですが、先ほども検疫所の食品衛生監視員数が頭打ちになっているという話がありましたが、職員の資質の向上ですとか効率的な検査体制をどうやって確立していくか、あるいは輸入時検査について民間の検査機関のさらなる活用も検討していくことが課題です。

 次に、179ページ以降「輸出について」です。輸出食品は、基本的に国内の食品衛生の問題ではなく、輸出について食品衛生法上の規定もありません。一方で、181ページにありますように、先ほどは日本に入ってくるものについて輸出国対策をしているという話がありましたけれども、逆に輸出相手国からも日本に対して輸出国対策が求められるということで、牛肉、豚肉、食鳥肉が例示されていますが、2国間で協議をして日本から輸出をしていくことになります。182ページは水産食品についてですが、各国から輸出については厳しい要件を満たすことが求められています。183ページですが、相手国から衛生証明書の発行を求められるということで、平成27年度では、都道府県で1万5,000枚程度、厚生労働省で2,565枚という衛生証明書を発行しております。輸出の促進を図っていくことが農林水産業振興の上でも重要な課題ですが、衛生証明書の発行の事務が増加する中で、食品衛生法に関連する規定がないということで、地方自治体では人員や予算の確保に苦慮しているということで、食品衛生法に必要な規程を設けることを検討する必要があります。また、輸出手続については、農林水産省などとも連携をしながら、簡素化・迅速化・利便性の向上を図っていくことも課題です。

185ページ以降、既に食品衛生分科会で改正項目として取り上げられた4項目について、順次御説明してまいりますが、1つ目がHACCPです。

HACCPにつきましては、187ページにHACCPの概要を整理しています。188ページ以降、食中毒の発生状況、異物混入事例等のデータがあり、こうした食中毒、異物混入を防止する上でどうやって取り組んでいくかという中で、HACCPの導入が課題になっています。191ページに国内の現状とこれまでの施策をまとめていますが、我が国ではHACCPについては、食品衛生法に基づく「総合衛生管理製造過程承認制度」があって、事業者が任意で厚生労働大臣の承認を受ける仕組みが設けられていますが、任意ですので、192ページのとおり大規模な食品事業者では導入が進んでいるけれども、中小規模の事業者では普及が進んでいないという実態があります。一方、193194ページですが、世界では、米国、EUで既に義務化がされていて、その他のアジア等の国々でもHACCP導入が進んでいる状況です。196ページですが、この問題につきましては、昨年、厚生労働省で「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」を開催して、事業者団体からのヒアリングなどを行って、議論の取りまとめをしています。197ページにその概要がありますが、食品ごとの特性、事業者の状況等も踏まえつつ、HACCPによる衛生管理を制度として位置づけることが必要という御提言をいただいています。制度化の対象としては、全ての食品等事業者に対して衛生管理計画の策定をしていただき、その中で一般衛生管理、すなわち施設の設備の衛生管理とか、食品取扱者の衛生管理等をきちんと守っていただくようにすること、それからHACCPによる衛生管理として、この検討会では「基準A」「基準B」としていますが、事業者の規模等に考慮しつつ、「基準A」はコーデックスの7原則を守るような形でのHACCPの導入を求め、基準A以外の小規模な事業者等については「基準B」として、基準Aに比べて柔軟な対応をするということが、検討会の取りまとめで提言されています。実際にHACCPを導入していくためには、手引書の作成などについて国も支援していくことが重要だということで、198ページのとおり衛生管理策定のための手引書の作成を食品関係団体と厚生労働省と相談等しながら進めているところです。199ページがHACCPの制度化に向けた課題ですが、幅広い食品事業者がいますので、現場での理解の促進と認識を共有しながら、基準A、Bの仕分けをした上で、どのように基準Bの導入を進めていくかが課題としています。また、国、地方公共団体が連携しながら事業者とどのように進めていくか、さらにHACCPについての知識等を持つ人材を育てていくことも課題です。

 2つ目が200ページ以降の「営業届出の創設及び許可制度の見直しについて」です。201ページですが、この問題についての基本的な考え方としては、全ての食品等事業者に対して、先ほどのようなHACCPによる衛生管理を制度化していく中で、それらの事業者を行政としてどうやって把握していくかが課題であるということです。営業の許可については、202ページに食品衛生法の規定があります。第51条「都道府県は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(中略)であって、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない」としています。また第52条では「前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない」ということで、許可制がとられています。第51条に基づく政令で定める業種が204ページにありますが、1飲食店営業、2喫茶店営業、3菓子製造業、4あん類製造業、以下㉞添加物製造業まで34業種が定められています。これらの業種については、昭和47年に最後の改正があって、それ以降は見直されていないということです。一方、205ページですが、都道府県が独自に条例で定めている「許可業種」、あるいは許可までいかない「届出業種」もありまして、「条例許可業種」は表の上になりますけれども、漬物製造業とか水産加工品製造業といった「製造・加工業」、あるいは魚介類販売行商というような「販売業」、さらには「運搬・保管業」についても条例で「許可業種」として定めている場合があります。一方、「届出業種」もありまして、ふぐ処理・取扱業、食品製造業等について「届出業種」としている自治体もあるということであります。205ページの下の注にありますが、この資料は47都道府県と20政令市への調査結果をまとめたものでして、表の中の括弧内の数が自治体数になっています。例えばふぐ処理業ですと、9の自治体では条例で「許可業種」になっていますが、34の自治体では「届出業種」になっているということで、地域によっていろいろと状況が違うことがうかがえます。また、206ページ以降、各業種ごとに規格基準が定められているか、衛生規範等が定められているか、国際的なコーデックスの基準があるかどうか、過去にどのような食中毒事件等が発生したことがあるかを一覧表で整理しています。規格基準や衛生規範の有無等について、非常に多様な状況になっていることがわかります。211ページには政令で定める業種以外の業種で、厚生労働省の衛生行政報告を求めている給食施設、乳さく取業、野菜果実販売業等についても、政令で定める34業種と同様に規格基準等が定められているものがあります。さらにそれ以外の業種においても、212ページのように一部については、例えば漬物製造業などがありますが、衛生規範等が定められています。213ページ以降、同一施設における許可の重複取得状況調査についてまとめています。食品の製造・加工、流通の形態が多様化をしているので、その結果、1店舗で複数の許可が必要になるケースが非常に多くなっているということで、その実態を調査したものです。調査対象等は213ページに記載のとおりですが、調査結果をごらんいただきますと、例えば菓子製造業者は飲食店営業、乳類販売業、食肉販売業、魚介類販売業の許可を重複してとっています。業種によってどれとどれをとる必要があるという組み合わせが変わってきますが、このように製造業者や販売業者はいろいろな許可をとらなければいけない実態があるというのを、215ページまで調査結果を整理しています。216ページですが、コンビニ、スーパー、ファーストフード、あるいは弁当、仕出し店などの業態ごとにどのような許可を複数とらなければいけないかという代表的なものをピックアップしまして、整理したものがこちらの表になります。やはりコンビニですと当該店舗の中でもさまざまな食品の提供、多様な食品提供が行われるため、飲食店営業、食肉販売業、乳類販売業、魚介類販売業、菓子製造業等等の許可が複数必要になってくる実態があります。217ページですが、これまでも許可の手続等につきましては、規制改革を進めてきた経緯があります。218ページに課題を整理させていただいています。業種ごとのリスクに応じて、例えば食中毒のリスクが高いとか、規格基準が定められているとか、過去の事例等を踏まえて衛生上の配慮が特に必要と考えられるなど、一定の基準を設けて、許可の対象事業者を整理していくことが課題です。余り細分化されずになるべくリスクに応じた形で整理をしていくこと、また複数許可の問題についても実態に応じて簡素化を図ることも課題として挙げています。

 3点目として、219ページ以降「器具・容器包装について」です。器具・容器包装につきましては、220ページ以降、現状に関する資料があり、輸入している容器包装等が増加傾向にあることが222ページに、国別では中国からの輸入が多く、材質別では合成樹脂製の輸入が多くを占めていることが223ページにあります。224ページのとおり国内では非常に多くの製造業者等があり、225226ページのとおり食品衛生法では器具・容器包装について規格基準等を定めて、それを遵守していただくことになっています。227ページのとおり、材質別規格が定められ、溶出試験をしなければいけない等を定めていますが、現行では主に毒性が顕著な物質について制限をかけるという形で、ネガティブリスト制度を採っています。一方、231ページのとおり、合成樹脂の一部については、業界団体として使用を認めた物質のリストを定めているということで、ポジティブリスト制度により容器等の制限をしており、232ページのとおり自主基準が定められていて、安全性の確認等が行われています。 233ページですが、器具・容器包装について不良、違反が認められた割合は、国内流通品ですと0.08%と低い水準ですが、輸入品だと若干多くなりまして0.35%になっています。234ページに我が国と欧米の比較がございますけれども、アメリカでは合成樹脂、紙、ゴムについて1950年代から既にポジティブリスト化されており、EUでは2010年から合成樹脂についてポジティブリスト化されていますが、日本では先ほど紹介したとおり、合成樹脂について業界の自主基準によりポジティブリスト化されている状況です。器具・容器包装の問題については235ページのとおり「食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会」を昨年に8回開催し、236ページがその検討会の取りまとめ概要ですが、「目指すべき方向性」として、国内での共通ルールの必要性と国際的な整合性を図る観点からポジティブリスト制度を基本とすべきとの提言をいただいています。237ページですが、ポジティブリスト制度の具体的な仕組みとして、合成樹脂を対象にすること、また、リスク管理の方法については、どういう物質の範囲で、リスク評価をどうやっていくか等が引き続き検討課題とされています。また、器具・容器は原料を加工して製造されますが、各製造段階にかかわる事業者間で必要な情報を伝達していくことも課題とされています。さらに、製造事業者の適正な製造管理や、行政による事業者の把握、監視指導等の実施体制の構築等も課題とされています。239ページですが、器具・容器包装については、ポジティブリスト制度の対象となる材質の範囲、リスク管理方法、事業者間の情報伝達、製造管理の制度化、製造事業者の把握の仕組みを今後の課題として挙げています。

 最後に「食品リコールについて」です。241ページですが、食品衛生法では厚生労働大臣が食品衛生法違反の事業者に対して食品の廃棄、回収等を命ずることができますが、こういった行政からの命令によらずに自主的に事業者が食品の回収等を行った場合については食品衛生法の規定がありません。しかしながら、242ページですが、都道府県等に照会したところ、食品の自主回収があった場合の行政への報告について、条例で規定している自治体は87、要綱等で規定している自治体は21、規定していない自治体が27となっており、どういう場合にどういう内容の報告をするかとかいうことも、自治体によって分かれています。243ページですが、米国ではFSMA法があってリコール計画を策定したときにはそれをFDAに通知することが規定されています。EUでもRASFFという安全警告システムが設けられていて、域内で自主回収等があった場合のリコール情報を各国で共有するシステムが整備されています。244ページでは、日本国内において医薬品、自動車、生活用品の自主回収に関する仕組みをまとめていますが、例えば医薬品については、医薬品製造販売業者が自主回収をした場合には、その旨を厚生労働大臣または都道府県知事に報告しなければならないという規定があり、その情報は独立行政法人医薬品医療機器総合機構のウエブサイトで公表される仕組みになっています。245ページですが、食品リコールについては、行政への自主回収の報告の法的位置づけ、また、それを国民と情報共有するためのリコール情報の提供システムの整備を課題として挙げています。

 事務局からの説明は以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明に関して、委員の皆様から御意見、御質問などをいただきたいと思います。前回同様、数多くの分野がありますので、議論が余り拡散しないように幾つかのテーマに区切って議論したいと思います。

 また、第1回の懇談会に出席されなかった委員の先生方もおられますし、それ以外にも御質問、御意見を前回のときのトピックに関して言い切れなかった委員の先生方もいらっしゃると思いますので、最後に前回の論点も含めた全体については、御質問、御意見を伺う時間を設けたいと思います。

 まずは、きょう説明していただいた部分について、一通り御質問、御意見をいただきたいと思います。

 第一に今の御説明の「監視指導について」から「輸出について」までに関して、御意見あるいは御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○中村構成員 監視指導を担当している自治体として少し意見と御質問なのですが、さまざまな制度が構築されて食の安全、安心が進むことは非常にいいことだと思いますけれども、HACCPとか輸出の証明、リコールとさまざまな制度が出てきたときに、やはりそれがきちんと機能しているかどうかをチェックすることが非常に重要になってくると思います。恐らくそのチェックは自治体が担っていくことになるのだろうと思うのですが、御説明にあったとおり、なかなか人員がふえないという中で、東京都の場合ですと食品衛生に携わる監視員が大体300名強おりますけれども、自治体によっては数十名しか人員がいない自治体もあります。そうしますと、やはりできる、できないという地域によってチェック機能の格差が生じてしまうことは好ましいことではないと思っておりますので、そういった人材の育成に関します研修等を含めた国の支援をお願いしたいというのが1点です。

 これから営業許可の業種が絞られてきますと、当然のことながら私どもの収入も減ってくるわけで、そうした収支が減ってくる事業に対してなかなか人がつけづらい状況も出てくると思います。ですので、やはりそういった財政的な格差も現実にはありますので、国のほうからそういった財的な支援も、ぜひともお願いしたいと思っております。

 登録検査機関のところで1点お願いがございまして、164ページになりますが、その中で上の段の3つ目のポツといいますか「なお」のところですけれども、「登録検査機関同様GLPの対象となっている地方衛生研究所では、改正GLPの実施が困難ではないか」と書いてありますが、これを素直に読みますと、全ての地方衛研が対応困難であるようにも読めてしまいますので、あくまで「地方衛研の中には」という形で表現ぶりを変えていただければと思います。

 私のほうは以上でございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 ただいまの御意見に対して何かございますか。

○道野食品監視安全課長 御意見ありがとうございます。

 大まかに3点かなと受けとめております。

 まず1点目でございますけれども、HACCPや輸出やリコールなど、そういった仕組みができてくるとチェックの必要が出てくるということで、人員の確保だとか自治体間の格差とかについての対応、さらに人材育成についてどうしていくのかでございました。

HACCPに関しては、むしろ事業者サイドに衛生管理の責任を明確にしていく部分があるわけです。検討会の報告の中でも「見える化」を指摘していますけれども、要するにいろいろなことを衛生管理について文章化していく、見える化していく、事業者サイドで衛生管理計画もつくってもらうことで、むしろそれを食品衛生監視員は検証していく形で、今のように各施設を回って一つ一つ指導していく形態からそちらにシフトしていこうということです。もちろん、導入時には相当食品衛生監視員の方に活躍していただいて、導入指導は必要になってきますけれども、長い目で見ると、むしろ事業者側にそういった衛生管理に関する責任をしっかりと位置づけていく仕組みだと考えています。

 ただ、いずれにしても、食品衛生監視員の方も人材育成という観点で申しますと、HACCPに関しては、2年前から毎年各ブロックごとに食品衛生監視員の指導者の研修もやっていまして、今、通算で500人近くの方を養成しているということで、引き続き私どもとしてもやっていきたいと考えています。

 人が足りないことに関して、絶対数について足りなくなってくるのではないかという御懸念に関しては、やはり自治体サイドで食品衛生監視員をふやすのか、それともアウトソーシングができる仕組みにするのかは、これから検討していかねばならないのではないかと思います。

 例えば、食鳥検査の制度は県知事が検査をすることが原則はなっていますけれども、指定検査機関に委任することができる。そういう選択肢を設けているわけです。それで委任をしたい、委任をすると判断した自治体に関しては、それを委任することができています。現実にたしか1020くらいの自治体で、現在食鳥検査については外部機関に委任をしている。そういったこともやっています。

 現に登録検査機関のところで出ましたけれども、試験室内の検査については、登録検査機関に都道府県が委任することも現行でもできているわけです。都道府県として、地方自治体として、要はマンパワーをふやして対応するのか。それともアウトソーシングをするのかについて、選択の幅を広げていくことも制度改正とあわせて考えていかないといけないことかと考えています。

 2番目の営業許可の見直しにつきましては、確かに大ぐくりにしていくと、先ほど資料で見ていただいたとおり、細かく許可をとらしていることは、その分手数料をたくさん取っていることも裏返すと言えるわけです。これは最終的には地方自治法に基づいて、地方自治体の手数料の取り方の問題でもありますので、その辺は最終的には自治体でお考えいただかなければならないことです。もちろん自治体の事務としてふえる部分についてそれがあれば、財政措置についても我々で検討していかなければいけない問題だと受けとめています。

 衛生研究所については、GLPの対応が困難ではないかと書いている部分について、全ての衛研というわけではないであろうという御指摘でございまして、それはそうだと思います。

 いずれにしても、例えばISO17025は今、グローバルスタンダードになっているわけです。そういった仕組みを取り入れていかないと、なかなか国際的な、例えば輸出、先ほど出ていた輸出もそうですし、輸入もそうですけれども、なかなか検査データとして通用しない部分が現実に発生しています。ただ、GLPの基準については、法律事項ではなくて実は省令事項でございまして、この内容につきましては、さらに地方自治体の皆さんだとか、登録検査機関の関係者の方々からもよく意見を承りながら、検討していかなければいけない問題かと考えております。

 以上でございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 よろしいですか。

○中村構成員 はい。

○川西座長 今の中村委員と同じ部分の「改正GLPの実施が困難ではないか」という部分ですが、中村委員は、対応がちゃんととれているところもあるのだという書き方にしてくれということですけれども、私はもう一つは困難ではないかということの表現の先に、国としてはどうもっていこうということを考えておられるのかを、今の時点で聞けたらと思います。先ほどの回答で意図は少し感じられたのですけれども、もう少し追加していただければと思います。

○道野食品監視安全課長 ありがとうございます。

 実は前々回の平成7年の食品衛生法改正のときに、こういった業務管理基準の考え方を地方衛生研究所についても登録検査機関についても取り入れたということで、当時はISOガイド25を前提に業務管理基準を作成したのです。ただ、組織の管理の部分はさすがに食品衛生法の中で余り規定ができないので、実質現場の管理の部分だけを取り入れた。外国に対しても、一応日本の国内基準はISO基準に相当するものですという説明がある程度できたわけです。

 ところが、国際基準がさらに先にいってしまったという現状の中で、一部の衛生研究所だとか検疫所の輸入食品の検査センターはISO規格の認証の取得をしているわけですけれども、やはり全体でそれをやっていくのは、なかなか現実的に難しい部分もあります。そういった意味でも、そこはそれぞれの判断でやってくださいということで本当にいいのか、それとも食品衛生法の基準を改正して、皆さん、何とかそこは国際的な動きについていってくださいというのがいいのかは、我々もまだ判断しかねている部分がございます。御承知のとおり、衛生研究所については全国に70以上あることもありまして、恐らく今後の運営だとか組織だとかということも、それぞれ議論されている部分もあると思いますので、そういったことも踏まえて御相談させていただければという趣旨であります。

○川西座長 私たちの国立医薬品食品衛生研究所も、我々は国ということで地方の衛生研究所と一緒にいろいろと勉強会を持ったりするわけですけれども、やはり地方衛生研究所もだんだん人が減って非常に苦しい状況になっている。ただ、登録検査機関にどんどんどん持っていってしまっていいのかということの議論も必要かなという気もするので、そのあたり、今回の食品衛生法の改正と大きくリンクすることではないけれども、将来の国の姿として、どういう形が監視検査機関のネットワークとしていいのかは、議論が必要だと私は思うところです。

 これは単なる意見です。

○道野食品監視安全課長 やはり最低限、行政機関として持っていなければならない検査機能といいますか、もっと言えば危機管理的なものも含めて、例えば今、食中毒の関係でマスコミ等でもかなり出ている、話題になっているものがありますけれども、そういった危機管理という観点から全部をアウトソーシングするのは、実際に住民の方々の健康確保だとか、食品の安全確保の観点から課題はあると考えておりまして、そういったことも含めてやはり議論する必要があると承知しております。

○川西座長 ありがとうございます。

 それ以外に、輸入の問題、輸出の問題がまだございますけれども、何か御意見、あるいは御質問ございますか。

 どうぞ。

○片野構成員 「輸入食品について」発言いたします。

 輸入食品の安全性は、消費者にはとても関心の高いところになります。国は輸入食品監視指導計画を毎年つくってて、パブコメの募集であるとか、リスコミの実施などをされていると承知しています。その中で、いつもいろいろとお聞きすると、来年度はこうしますという形でお返事をいただくのですが、今後中期的にどういうようにしていきたいのかとかをお聞きすると、いつも「単年度計画です」とお返事をいただく形です。いろいろな対策、例えば輸出国対策ですとか、監視員の人材育成などの課題もあるかと思います。もう少し中期的な視点を持った計画とかも検討していってはどうかと思っております。

 以上です。

○川西座長 何かいかがでしょうか。

○梅田輸入食品安全対策室長 輸入食品安全対策室の梅田です。御質問ありがとうございます。

 今、御指摘いただいたように、毎年度監視指導計画を策定して実施をしているということでございまして、計画自体は毎年度でございますけれども、御指摘のあったように過去のこれまでの経緯であるとか、今後の輸入動向をある程度見据えた形での中長期的な計画も念頭に置きながら立ててはいるわけであります。そういう点で、ここにも課題として書かせていただいたような、従来輸入時検査にも力を入れてきましたが、やはり効果的な監視をやっていく面においては、もとから正していくという点で制度全体、輸出国での衛生対策にもこれまで以上に力を入れていかないといけないということで考えておりまして、そういった全体的な対策をもって輸入食品の確保をしていきたいということであります。

 その背景として、この課題の中にもありますように、今後も経済連携の進展という中で、輸入食品がどんどんふえていく可能性も見据えて、対応しなければいけないということがあります。

 その一方で、地方自治体でもあったような人材の確保についてもなかなか難しい面も予想されるということで、当然体制の確保、人材確保という面では、必要な人員の確保であるとか、検査機器の充実等で体制の強化を引き続き努力はしていきます。

 一方で、先ほど申し上げた輸入食品にどう対応していくかという点では、引き続きこれまで以上に輸出国対策にも力を入れていくことが重要だという認識のもと、計画を立てているということでございまして、計画の中でいろいろと公表等をさせていただいて意見交換させていただく中で、さらに皆様方の御意見を踏まえて、今後の計画の策定・実施をしていきたいと考えています。

○川西座長 ありがとうございます。

 何かございますか。

○片野構成員 要望としては、中期的な計画があるといいかなと思った次第です。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○桑崎座長代理 特に輸入食品の課題のところの資料を見ましたけれども、正直申し上げてかなり突っ込んだ内容になっているなという印象です。輸出国対策が重要だということなのですが、中身は何かという議論だと思うのです。やはり大事なところは、輸出国政府に衛生上、配慮が必要な食品をしっかり対応してもらう、見てもらうことがベースになると考えたときに、従来、肉については法定根拠があって衛生証明書をとっている。今度は肉以外の製品、資料を見ると乳製品、さらに大抵水産食品は、前の資料を見るとフグなどをいっているのだと思いますが、そういうリスクが高いものについてしっかり輸出国政府に対応してもらう。その結果が衛生証明書でついてくるのだという意味では、かなり輸出国対策は前進するのかなというのが正直なところです。

 以上です。ぜひしっかり推進してほしいと思います。

○川西座長 エールのような御意見ですが、どうぞ。

○梅田輸入食品安全対策室長 ありがとうございます。

 先ほどの御質問と絡みますけれども、輸出国対策を強化していくことで、御指摘のあったように輸出国政府にいかに責任を負っていただくかということで考えておりまして、HACCPもその対策の一つであるということでありまして、自主的な取り組みでありますが、それを輸出国政府がどのように監督指導しているのかということで、国のシステムとして輸出国政府に関与をしていただくことを、今後輸入食品への適用ということで考えております。

 また、衛生証明書の発給に関しましても、輸出国政府が日本向けの輸出食品に対して衛生対策を確保する、保障するという点で証明書が作成されるわけですので、そういう仕組みを通じて、輸入食品の安全確保を図っていきたいと考えてございます。

○川西座長 どうぞ。

○道野食品監視安全課長 片野委員から中長期的なということもありますので、少し補足をさせていただきます。

 次のページに輸出の話も出ていますけれども、やはり動物性食品に関する衛生規制は国際的に見ても厳しくなっているわけです。リスクが高いこともあって、そういったことでグローバルスタンダードとして定着しているのは、先ほど桑崎委員がおっしゃったように食肉に関しては、これはどこの国が輸出する場合にもそういう衛生証明書というか、実質的に安全を政府が一定の保障をすることで貿易が成り立っています。幾つかの国では水産食品についても同じようなものを求める状況になってきています。ただ、何でも証明書をとればいいかということでもないわけでして、それはやはりリスクに応じた考え方をとっていく必要があります。そういったことで、考え方としてはリスクの高いものについては、輸出国政府サイドに必要な安全性の担保を示してもらうことが大事かと思っています。

 そういった意味で申しますと、食肉としても、さらに水産食品についてもリスクの高い部分、桑崎委員がおっしゃったようなフグだとか、そのほかにも自然毒の関係で生産段階での対策が必要なもの、国がコントロールしなければならないものはやはりあるわけでございます。例えば貝毒だとかといったものは、先進国では行政機関がしっかりと管理をしている。そういったものについて、やはり途上国からの輸入もあるわけですので、きちっと政府側からそういった管理の証明をとっていこうということで、進めていきたいと考えています。

 また、HACCPにつきましては、もちろんのべつ幕なく、例えばコーデックスの要件に該当するようなHACCPをどの輸入食品に求めるというのは、内外無差別の観点から難しい部分があります。そういったことで、やはり日本でコーデックスHACCPレベルの管理ができている食品群について、輸入にも求めていこうということになると思います。

 具体的に申しますと、今、食肉が例に挙がっていますけれども、食肉については基本的にコーデックスのHACCPの要件を国内に適用しようとしています。そういった意味で、輸出国に対しても食肉に関しては、コーデックスレベルのHACCPが日本への輸出の要件ですよと、それについて証明してくださいということを要求しようという考え方になるわけです。

 そのほかの食品にあっても、リスクの高いもの、日本である程度コーデックスHACCPの実施率が高い、具体的に言うと基準Aですけれども、基準Aの実施率が高い食品については、輸出国に対してそういったレベルのHACCPの管理が要求できると考えております。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかに、今のコメントに対する質問でも結構です。

○平沢構成員 153ページにあります「夏期一斉・年末一斉取り締まり」で、食中毒への注意喚起を飲食店とかいろいろな施設でされているとは思うのですけれども、飲食店の中には生食のリスクについてまだしっかり理解していないところが、鳥肉料理の店などであるような印象を受けます。どちらかというと高級とされる鳥肉料理の店で生の刺身とかが出てきたりするものですから、肉を生で食べることのリスクがきちんと伝わっていない印象があり、もうちょっと注意喚起をしていただきたいと思います。

○川西座長 これはリスクコミュニケーション関連といってもよいかもしれませんが、いかがでしょうか。

○道野食品監視安全課長 鶏肉に関しては、特にカンピロバクターによる食中毒で、細菌性食中毒の中では患者数、事件数ともに一番多い。食鳥処理場段階でのカンピロバクターの汚染レベルを下げていこうということは一つあるわけです。今、御質問のそういったリスクコミュニケーションといいますか、消費者に対する情報提供、事業者に対する情報提供に関しても、特に昨年、肉フェスというイベントで、福岡と東京で加熱不十分な鳥肉が提供されて大きな食中毒事件があったこともございまして、昨年の夏期一斉取り締まりからはっきりと鳥肉のリスクについて書いたチラシを各保健所に配布をしまして、保健所から各飲食店の事業者に対して指導を個別にしてもらうことを進めております。

 また、飲食店の事業者自体が余りリスクを認識せずに提供しているのではないかという御指摘もございます。それにつきましても、ことしの春に、要は食鳥処理場から出荷されて飲食店に提供される段階で、これは加熱加工用なのですよということがわかるように表示であるとか、商品の規格書であるとかいうものに明確に加熱加工用と示していただいて、着実に飲食店事業者の方にその情報が伝わるようにするということにつきまして、消費者庁の協力を得まして、各業界団体に協力を得て通知をしています。

 そういったことで、現在カンピロバクターの食中毒が出たときには、そういった情報伝達があったのかどうか。わかっていて飲食店事業者は出したのか、それともわからずに出したのか。そういったことも含めて調査をしてもらって、食中毒の原因がどういうところにあったのかを保健所でも明らかにしていくということで、言ってみれば、そういったリスクの高い鳥肉が生で提供されにくい環境をつくっていくことが非常に大事だと思って、そういった観点で情報提供なり、監視指導なりを進めているところであります。

○川西座長 よろしいですか。

 横田委員、どうぞ。

○横田構成員 輸入ではなくて輸出の課題の184ページなのですけれども、今の規定では180ページにあるとおり「国際的な連携を確保するために必要な措置を講ずる」としか書いていないところをもう少し具体化をして、輸出食品についての衛生証明書等を位置づける方針であるという理解でよろしいのでしょうか。

 割と論点になりそうなのが、1条の目的規定もきちんと手当てをしないと、恐らく外国の輸出国対応を求めるのであるからこちらもしっかりするという、国際協力といってもむしろ相互協力の面がかなりあると思いますので、その点をきちんと位置づけないと、事業者のためにやっている感じになってしまうので、そうではなくて、輸入の安全性確保のためには輸出の対応も必要なのだということを、食品衛生法の目的規定との関係でも少し詰めて考える必要があるのかなと思いました。

 これはコメントです。

○川西座長 何かいかがでしょうか。

 わかりました。その辺を考慮して。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○浜田構成員 非常に消費者目線なのかもしれないですけれども、173ページの「輸入食品に対する検査について」で、「指導検査」「命令検査」「モニタリング検査」と3つあるというお話で、その条件というかそれの振り分けが、違反の可能性が高い食品、低い食品ということが下2つ、命令とモニタリングで分かれると思うのですけれども、この高い低いという根拠がどういうような感じであるのかが気になりました。

 あと、177ページの「届出・検査・違反状況推移」で、届け出をした件数の中から検査に至るまでの、22年度の段階で12.3%だったのが28年度では8.7%になっているというような、この推移というかこれがなぜこうなったのかが私が理解できなかったのと、一番右下に違反件数が773件とあるのですけれども、773件についてこの後どうなったのかを教えていただけたらと思いました。

○川西座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○梅田輸入食品安全対策室長 それでは、輸入食品の監視の具体的な仕組みについて、若干御説明を加えたいと思います。

 資料の167ページ目に監視体制の概要で3段階にわたって監視をしていて、その中で「輸入時対策」として、輸入者には輸入の都度、食品を輸入する場合には厚生労働大臣に届け出をする義務が課されているということでございまして、その情報をもとに検疫所において審査を100%行うことになります。その中で、特にこれまでの違反状況等を鑑みまして、違反が続いているもの、基本的には複数違反が見つかったものにつきましては、輸入の都度、検査を輸入者に命令する検査命令制度がございまして、検査が毎回されるものでございます。

 それ以外に173ページの流れにございますけれども、初めて輸入される食品、継続的に輸入されている食品につきましては、輸入者がみずから安全性を確保するという責務のもと、検疫所でそういった食品に対して指導を行うというものが「指導検査」で、そこに書いてございます9万3,000件余りの実績でございます。

 真ん中は先ほど言った「命令検査」で、輸入の都度行うものです。

 その下にそれ以外のものについても、言ってみれば、過去の検査結果等から違反の可能性が低い食品というカテゴリーになるわけですが、そういったものにつきましても、先ほど御紹介させてもらった毎年度の年度計画に基づきまして、「モニタリング検査」を行政としてやってございます。それは統計学的手法に基づいて、これはコーデックス等でも考え方についてガイドラインが示されておりますが、一定数を統計学的な違反を見つけるのに必要な検体数を基本として計画数を立ててございまして、そういう検査でもって確認をしていくことでございます。

174ページにございますが、モニタリング検査によって違反が見つかれば、モニタリング検査の頻度をアップしましていわゆる強化をしまして、集中的に同じような食品の違反状況を確認します。その中でまた違反が見つかることになりますと、先ほど申し上げた輸入の都度、輸入者に検査を命令する「命令検査」になるわけであります。

 ただ、その下にありますように、摂取によって直ちに健康被害が発生する可能性があるような場合ですと、一回違反が見つかることで「命令検査」に移行するものもございます。そういう取り組みの中で、検査を強化したりしているということでございます。

 2つ目の御指摘にございました177ページの検査総件数、2番目の行でありますけれども、検査総件数の割合についての御質問がございましたが、検査総件数は下にございますような、先ほど申し上げた行政が行うモニタリング検査にモニタリング検査以外の行政検査もございまして、それは現物を確認しに行くということで、例えばBSEの貨物に対して確実に証明書と現物が一致しているかどうか確認をするものがございますので、そういった検査を含めまして行政検査としてございます。

 それから先ほど言った命令検査、指導検査、こういったものを合わせて検査総件数としてございます。先ほどの説明の中でもございましたけれども、割合から申し上げれば、届出件数に対する割合が22年度ですと12.3%あったものが、28年度ですと8.7%に減少しているということでございましたが、これは届出件数自体がどんどん伸びている状況の中で、違反件数が減少しております。これによって命令検査に移行する食品が少なくなるということで、母数がふえている中で検査総数が減っている。検査命令の分が減ることによって、トータルとしての検査総件数も大きく減っていることが大きな要因だと思っていますけれども、そういう関係で、検査率という点では減少しているのが現状でございます。

 その点について、御心配の声をいただくわけではありますけれども、今、申し上げたとおり違反件数自体が減ることによって、結果として率が減るという見方もできますので、そういう点では検査率が減ること自体がいけないことか、問題かというと、決してそうではないのではないかと思っているところであります。

773件の違反につきましては、積み戻しまたは廃棄という処分を個々の食品に対して行いますとともに、輸出国政府であるとかあるいは輸入者を通じまして原因調査、それに基づいた再発防止に取り組んでいるということでございます。

○川西座長 ありがとうございます。

 大体よろしいですか。

 では、時間の関係もございますので、また最後に全体でお聞きしますので、先に進ませていただきます。

 次に「HACCPについて」から最後の「食品のリコールについて」まで、御意見、御質問をお願いします。

 どうぞ。

○横田構成員 議論の前に趣旨がわからなかったところについて確認したいのですけれども、218ページの「営業届出の創設及び許可制度の見直しに関する課題について」の最後の●についてもうちょっと教えてほしいのですが、これまでの御説明のとおり、コンビニだといっぱいとらなければいけないとかいろいろある。ここで挙がっている例がそことは少し流れが違うように思いまして、「長期間流通する食品製造であっても、『調理』を行う施設として」云々というのは、現行の運用でも実態と乖離しているという御指摘なのでしょうか。この点を確認したいのです。

○道野食品監視安全課長 これは前段に昭和40年代までに現行の34業種が順次定められたということで、近年の食品の製造・加工、流通の形態が多様化する中で、現状の営業実態から乖離している。その具体的例として、先ほどの前段の説明は、コンビニのように多様な食品に対応するようになってきていて、製造、流通ともに一つの営業許可だけでは済まない、多様化していることがあります。

 もう一つ「多様化する中で」という中の別の例でして、例えば簡単に言うと惣菜製造業を考えていただくと、昭和40年代というか以前に関して言うと、惣菜製造業の施設基準のガイドラインとかを見ますと、想定しているのは街の角の総菜屋さんなのです。ところが、コンビニ等で販売されている惣菜類をつくっているものも惣菜製造業なのですけれども、これは工場形態である程度一定の流通期間を前提とした衛生管理がされているわけです。街の角の総菜屋さんの基準は、やはり持ち帰ってすぐ食べる、要するに飲食店の延長線上での衛生管理が前提になっていて、したがって流通期間というかシェルフライフも非常に短いことが想定される。

 現状としては同じ惣菜製造業でもそういった非常に短い流通期間、もしくは購入後すぐ食べることを前提とした微生物管理をやっているものと、ある程度長い時間流通することを前提に工場形態で製造管理もかなりレベルが高いものをやっているものの2つに、既に現実は分化してしまっている。

 工場形態のところに惣菜製造業だったり飲食店営業だったりという許可基準が適用されている。多様化の例としてここには挙げさせていただいています。

○川西座長 どうぞ。

○横田構成員 そうしますと、現行の許可制度が前提としている分類枠組みが製造業寄りなのか販売業寄りなのかとか、あるいは物の性質に着目して細分化してしまっている点で問題があると思うのですけれども、今のやりとりまで別の観点として、どのくらいの消費期限や賞味期限を想定した営業形態なのかというような、一種のリスクマネジメントというかリスク管理のあり方の手法面での分類。どのような形態での再構成が適切なのかについて、単に統合すればよいというものではなくて、現状のリスクとハザードのバランスに合わせた検討が必要になると思うのですけれども、そこまで踏み込んだ改正をするつもりなのか、それとも簡素化を念頭に置いて手数料収入等の調整は各自治体でやってくださいという話なのか、この辺の見通しについて教えていただきたいのです。

○川西座長 いかがでしょうか。

○道野食品監視安全課長 両方考えています。

 一つは、もちろん簡素化の話は当然あると思うのですけれども、ここで例示しているものについては、具体的に言うと、製造と調理と販売はそれぞれ求められる衛生要件は違ってくるわけです。先ほど申し上げたような非常にシェルフライフが短いことを想定している食品は、基本的には調理と考えられますし、ある程度のシェルフライフを確保する観点での製造管理のものについては、製造という概念で考えていく。

 当然、製造と調理では求められる施設要件も変わってくるでしょうし、衛生管理のレベルも変わってくることがありますので、中身から見ても、製造と調理は整理をするのが規制の合理性を確保するために必要ではないかと考えているわけです。

○川西座長 いかがですか。よろしいですか。

○横田構成員 それで多分前回も議論になった販売、あるいは飲食店営業のところでの店側のマネジメントと客側のマネジメントの切り分けの議論が、業の分業レベルの話なのか、それとも業は業で一まとめにした上で、中での衛生管理基準とかHACCP類似の全体計画の話になると思って、整理は必要か前回の議論を踏まえた上で気になるところです。

○川西座長 ありがとうございます。

 一応御意見ということで、よろしくお願いします。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○桑崎座長代理 HACCPについて幾つかお願いがあります。

 1つはHACCPの制度化に当たって、行政の役割は当然あるわけですけれども、食品団体、事業者団体の役目は相当大きいものがあると考えています。具体的には資料にもありますけれども、事業者がHACCPを導入しやすいように手引書をつくるというのも団体にお願いをしていると聞いておりますし、それにもうちょっと申し上げると、中小規模の事業者が導入しやすいようなきめ細かな対応という意味で考えると、やはり事業者団体の役割がそこにあるのではないかと思います。

 そういう視点で見ると、資料の199ページに「国、地方自治体の役割」の中で、業界団体との連携を図っていくという記載がございます。大事なことなので、この点については、ぜひ食品衛生法の枠組みの中でこの内容を明確に規定して、国の姿勢を明らかにしていただきたいというのが1点目。

 ちょっとマイナーな話で申し上げると、食品衛生法の第61条に食品衛生推進員の規定があります。都道府県が食品衛生推進員を委嘱して、その人がさまざまな自主的な衛生管理活動を推進する規定でございます。この規程もあるわけですから、この規定をもうちょっと積極的に活用いただけるような検討について、お願い申し上げたい。

 以上です。

○川西座長 花澤委員、どうぞ。

○花澤構成員 186ページの下のほうのブルーのところに書いてある、「条例で規定されているため、1全国統一的な内容ではないこと、また、2全ての営業者に対して、画一的な基準となっているため、実効性及び着実性に課題がある」という記述なのですけれども、これはもうちょっと具体的に、どういうところが問題なのかを御説明願いたいというのが1つ。

 先ほどの議論であった、輸出に対する証明書みたいな話。まさに横田先生がおっしゃったように国際整合性ということで、こちらもHACCPを整理するし、相手国もきちんとやってくださいということで、お互いの衛生レベルを均等にしてそれぞれ証明していくという考え方なのだと思います。今、HACCPの制度化というときに、皆さん誤解というか心配しているのは、何か特別な認証をとらなければいけないのではないかということを考えられる事業者もいるので、それはそういうことはないことは厚労省からお聞きはしていますけれども、輸出の際にも今、おっしゃった特定の基準Aが多いものについては、政府として輸出証明を出していただけるというお話なので、ぜひそういう観点から取り組んでいただきたいと思っています。

 以上です。

○川西座長 どうぞ。

○道野食品監視安全課長 それでは、まとめて。

 まず、桑崎委員からの御指摘については、検討させていただきます。

 それから花澤委員の1つ目の御質問ですけれども、これは現行の基準は規模だとか扱う食品の種類によらず、一律の衛生管理基準が示されていまして、現場の食品衛生監視員が実際の営業の形態に合わせて指導している状況にあります。もちろん大手では既にマニュアルだとかといったものもつくって、施設に適応したものを使っておられるということがあるわけですけれども、それ以外ではなかなかそうなっていない部分が多々あるということです。

 そういったことでHACCPなり、今度導入しようとしている衛生管理計画につきましては、そういったそれぞれの事業者の方が使用されている原材料だとか製造方法だとか、施設に最適化した衛生管理をみずから策定していただくことによって、効果と実効性を上げていこうということであります。そういう意味で、ここの青地の部分については、実行性、着実性に課題があると書かせていただいていまして、それを解消するのが今回の衛生計画の策定等々という考え方であります。

HACCPに関しては、御指摘のとおり認証の必要はございません。輸出に関しても、今は運用の中で都道府県の協力も得ながらやっているのが実情であります。

 以上です。

○花澤構成員 もう一つ、「全国統一的な内容ではないこと」という1がありますけれども、それも御説明願えると。

○道野食品監視安全課長 これは食品衛生法のたてつけなのですけれども、こういった衛生管理の基準に関しては、知事が条例で定めると規定をされています。国がガイドラインを出して、それを踏まえて地方が条例で定める仕組みになっています。そういった意味で、全国統一的な内容ではないという記載になっているわけです。

○川西座長 よろしいですか。

○花澤構成員 今の1なのですけれども、我々事業者としてよく一般的に出る話として、それぞれの保健所によって微妙な指導の差異があると受け取る人が多いので、画一的な基準と、全国統一的なというのはなかなか難しいところですけれども、やはり基本的にHACCPの制度化という新しい概念を入れていくときは、全国的統一がとれたものをやっていただくのがより重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○川西座長 どうぞ。

○道野食品監視安全課長 資料でいいますと、198番の資料になりますけれども、先ほどから出ておりますとおり、事業者団体でそれぞれ業態だとか取り扱っている食品等に即した、対応のための手引書を作成していただいています。これは厚生労働省でも協力をさせていただき、また、できあがったものについては厚生労働省サイドで確認をして、全国の自治体、保健所にも通知をすることを通じて、全国的に同じような考え方で保健所の現場が導入指導をしていくことを進めていきたいと考えています。そういったことで、全国統一的であり、なおかつ実効性のある衛生管理の導入を進めていきたい。そういうように進めているところであります。

○花澤構成員 よろしくお願いします。

○川西座長 ほかにございますか。

 どうぞ。

○中村構成員 今のお話を伺っていて、許可の関係と届け出の創設の部分なのですけれども、218ページにも書いてありますとおり、やはり業種ごとのリスクに応じた制度の構築ですので、リスクを考えたときには、先ほどから道野課長からありますとおり、それぞれの施設にあった最適化された衛生管理計画、要するにHACCPの制度化と許可業種の届け出制、許可制はリンクして考えないといけないのではないかと思います。

 したがいまして、やはり許可なり届け出なりを行っていただく際には、衛生管理計画が既にできていることを必須にしていかないと、整合性がとれないのかなと思います。その辺についての御検討をお願いしたいということ。

 一方で、業種を統合していきますとこれは規制緩和の部分ですので、恐らく規制緩和ですとよく即日施行という形がございますけれども、やはりHACCPの制度化とリンクということを考えれば、HACCPの制度化と同時に施行という形で、施行の時期については十分御検討いただきたいところでございます。

 話が飛びまして、リコールのところでございますけれども、リコールをこれから全国統一的なものをやっていくというようでございますが、リコール制度の対象とするものをどの範囲でしていくかは、やはり十分御検討いただきたい。

 私どもの自治体は、サラダの中に青虫が入っていたとかという苦情があって、そういうものについて回収とかもあるのですけれども、やはり健康被害、リスクに考慮して、どういった範囲まで制度の対象とするのかについては、十分御検討いただきたいと思います。

 以上でございます。

○川西座長 どうぞ。

○浦郷構成員 今のリコールに関してなのですが、今は自主的なリコール、自主回収については法規制がなく、ただし、都道府県において条例などの制度があるということで、私たち消費者も自主的なリコールに関しては、テレビとか新聞とかで大企業などは大々的に報道できるので、そういうものに関してはわかるのですけれども、そうでないものがあると思いますので、やはり一元化はとても大事なことだと思っています。

 課題のところで、一元化に向けての全国共通のシステムの構築とかがありますけれども、具体的にどういう一元化の仕方になるのか。厚生労働省のほうにきちんと全てを上げてもらって、それを各都道府県で共有していくのか。そこら辺がよくわからないので、そこを教えていただきたい。

 やはり国民への周知が一番大事だと思いますので、そこをどのように周知させていくのか。

 あと、先ほどもありましたけれども、どれをリコールの範囲とするのか。やはり何か不純物が入ったとかという場合は、とても危険があるので回収は必要だと思いますけれども、印字がちょっと違ったとか、印字に関しても危険なものもあるかもしれないですが、本当に小さなことでのリコールで、その食品自体が回収された後どうなってしまうのか。それが食品ロスにつながるのではないかが、消費者としてはとても気になるところでもありますので、そこら辺もきちんと今回のところで考えていただきたいと思います。

○川西座長 一元化というあたりは、どういうようにイメージとして捉えればよろしいですか。

○道野食品監視安全課長 30年度の概算要求でシステムについて要求して、基本設計をやることにしています。私どもの考え方としては、できれば事業者の方にはオンラインで届け出をしていただいて、最終的にはそれが全国一覧性を持ってウエブ上で見られる形ではないかと思います。制度的にはリコールをする事業者の方に、基本的に現場の監視は都道府県ですので、都道府県への報告を義務にする形で、制度としてはそうして、実行上といいますか実際に起こることは、むしろウエブ上で一覧性を持って見られるようにすることが一番望ましいのではないかと考えています。

 それから範囲についてなのですけれども、基本的には食品衛生法なので、やはり食品衛生法の違反に該当するものが基本と考えております。そういった意味で、品質だとかといった観点でのものは、当然対象にはならないという考え方で進めたいと考えています。

○川西座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○森田構成員 リコールの一元化については、これまでも消費者団体で、先ほど浦郷さんがおっしゃったように健康影響のないものが捨てられているという、食品ロスでもったいないという観点から問題意識を持っていろいろな調査をやってみたりしてきました。きょうも出てきたところなので、一元化に関してはとても歓迎したいと思っています。

 そのときの情報提供のあり方なのですけれども、今、大体年間1,000件と言われているものの中で、半分が表示のもので半分が食品衛生法違反となっていますが、地方自治体によっては、そこは分けずにアレルギーのものも全部自主回収としてやっています。アレルギーのものは、消費者庁との調整、食品表示法との関連もあるのかもしれませんが、一覧性ということで一つにしてほしい。自主回収しているものを全部一覧にして、そのうえで見たいものが振り分けられる。要するにアレルゲンのあるもの、食品表示法のもの、それから食品衛生法上問題のあるものと一目で見られるように、データベースをつくって情報提供をしてもらいたいと思います。

 例えば地方自治体の長野県だったら、Aは健康影響のおそれがある、Bはアレルゲン、Cは健康影響のおそれがないものとなって分類してますし、米国でもいろいろなレベルで変えてクラスに分けていますし、EURASFFでもぱっと見るとseriousnot seriousかが一目ですぐわかる。そういうように今、あるものがどういう種類のものなのかを分類していただくことで、それによって、例えば今までだと自主回収といっても事業者判断なので、ブランドイメージを損なうようなものも自主回収されているわけですけれども、明確な理由についてもそこで振り分けてもらえれば、消費者もわかりやすい。

 一番リコールで大事なのは、本当に気をつけなくてはいけない食中毒とか、硬質異物とかといったものが埋もれてしまうことなのです。年間1,000件ありますから、1,000件もあると何が大事なものなのかがわからなくなってしまうので、そこがわかるようなつくり方、情報発信をしてもらいたいと思います。

 そのためには、やはり法的な位置づけの付与があって、資料の前のほうになってしまうのですが、HACCPの中で異物混入の健康被害報告数とかが出てくるわけなのですけれども、ここのところもどういうときに回収するのか。例えばFDAだったら硬質異物の考え方がまとまっていたりしますので、こういう部分も明確にしていただかないといけないのかなと。といいますのは、ここの硬質異物の健康被害で9割(214件)とあるのですが、恐らくこれは自主回収されていないものも相当数あると思います。硬質異物で健康被害があっても自主回収に至っていないものもあるという現状も実態としてはあると思いますので、そこも含めて考えていただきたいということがあります。

 リコールとは別に、第1回目に平沢構成員がお話ししましたが、例えば医者に行って健康危害があるようなものをどこかでちゃんと情報発信してほしいというのがありましたが、前回は健康食品の話でしたが、こういった硬質異物で健康被害があるものでも自主回収に至らなかったり、食中毒でもう食べられてしまってサルモネラの汚染とか、自主回収には至らないけれども健康被害のおそれのあるようなものが、そういうジャンルのものがあると思います。そういうものに関しても、情報提供を検討していただきたいと思います。

 以上です。

○川西座長 最後のところは前回とリンクした話になりますが、何かコメントございますか。

○道野食品監視安全課長 まず、硬質異物の件につきましては、数年前に異物での回収事例が多々あって、事業者団体からも皆さんからも、FDAの例もあって判断基準を示せという議論がありました。なかなかその時点で示せていなかったのですけれども、御指摘のとおり、189ページにあるような、過去に保健所に硬質異物による健康被害の報告があったものを、まずは実態を調査しようということで実態を調査して、実際に健康被害のあったものはどういう原材料などどういう段階で混入したかについて調査をし、まずはこれをHACCPの危害要因分析に使ってもらいましょうと。行く行くこれが判断基準になるかどうかはあるのですけれども、まずはHACCPの危害要因分析の材料として使っていただくことによって、こういった考え方をまずは定着させていこうという観点で、これは出しているものです。

 食中毒には至らない、現物がないものについて、食品衛生法違反だったという事実関係を皆さんに情報を提供することにつきましては、今、適切な答えは用意していないですが、研究させていただきたいと思います。

○川西座長 ありがとうございます。

 時間がもう残り少なくなってしまったのですけれども、これから前回の部分も含めて、また前回出席されなかった方も含めて、全ての部分に関してまだ言い足りなかったこと、その他をきょうはとりあえず皆さんにコメントしていただいて、それに対する厚労省の御回答は次という感じで、とりあえず言っておきたいことをばっと言っていただいてと思います。

 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○花澤構成員 今の硬質異物のデータ、大変ありがとうございます。我々事業者団体として、厚労省にもいろいろとお願いをしています。

 今、リコールの話で最後の245ページに「法的位置付けの付与」の中の一番下の丸で「衛生管理計画の中にも自主回収の手順について定めることを検討」ということで、こうなると全ての事業者がこれを書かなければいけないという意味で、今、おっしゃった例えば異物だと、ああいうサイズのものがこういう状況であるから、これを基準として危害分析してくださいと非常にわかりやすいことだと思います。ぜひリコールについては、先ほど東京都の中村課長からもお話があったように、やはり基本的には食品衛生法の世界で安全性にかかわるものを選んでいくというか、スクリーニングしていくというか、そういう観点でやっていただけると、先ほどの食品ロスの問題、いろいろな問題があります。まさにリコールに事業者も振り回されますし、消費者も振り回されるところがありますので、ぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 また回答は次回ということで。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○片野構成員 前回言い損ねたことで3点お伝えしたいと思います。時間もないので、手短にお話ししたいと思います。

 1つは食品添加物についてです。食品添加物は、前回既存添加物についてのお話もありましたが、これの扱いをどうしていくのかということの問題意識を持っています。

 平成7年の食品衛生法改正のときに添加物がポジティブリスト化になって、それまでの天然添加物が、既存添加物という形になり、既存添加物は経過措置ということで定めたということなのですけれども、ずっと「既存」のままなのかという問題意識を持っています。とりあえず、そのときは一旦ポジティブリスト化にするので、やむを得ないという形でやったとは思うのですが、それから20年以上たっていますし、これから10年、20年後もずっと「既存」というのは、ちょっとどうなのかと思っています。これについての考え方をつくっていただけたらと思っています。

 前回、健康食品の話がありましたけれども、健康食品に限らず新規食品をどうしていくのかも課題かと思っています。今、食品衛生法では食品添加物、器具・容器包装とかおもちゃとかという形で分類されて、例えば添加物はきちんとしたリスク管理が行われ、今度容器包装などもポジティブリスト化されるということで整理をされているのですが、食品という名前だったらそのままというのもどうなのでしょうか。食品であっても、今まで食べたことのない、例えば錠剤などのような形での食経験がないとかというものが、リスク管理の網から外れてしまうことになると、これも考えていく必要があるのかなと思っています。EUとかオーストラリアではそういう仕組みがあるとも聞いたのですが、こちらについても検討いただければと思います。

 最後に、残留農薬についてです。先ほど食品ロスと回収とかの話もありましたが、ポジティブリスト以降後もかなりのものがまだ評価されないで残っていて、一律基準が適用されています。輸入食品等を含め基準外となった食品が廃棄されたりということも多いかと思います。消費者としては厳しくしてもらえるのは大変ありがたいことなので、そんなに文句を一々言うことでもないかと思う一方で、果たしてそういう形がいいのだろうかということで、気になっております。こちらについても、今後の進め方などを検討いただければいいかと思っています。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○朝倉構成員 164ページの、「登録検査機関に関する課題について」の中、「検査員の要件の適正化について」の最後で「明確化の要請あり」となっているのですが、こちらはどちらからの声であったのかがわからなかったので、おわかりであれば教えていただきたいと思いました。

 また、リコールの件に関して今後制度化される方向性にあるということで非常に喜ばしいことかと思いますが、中には重篤性に加えて、緊急性を有するような事案も含まれるかと思いますので、そうした場合の緊急的アップデートをわかりやすい形でお示しいただくよう、御検討いただければと思います。

 以上です。

○川西座長 ありがとうございます。

 回答は次回で。よく覚えておいてください。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○森田構成員 1点だけ気になった点なのですけれども、119ページの「食品中の汚染物質等について」の「重金属」で、カドミウム、鉛、メチル水銀とあるのですが、ヒ素がないのが気になっております。ヒ素を入れていただくこととヒ素の介する汚染物質対策として取り組みが、直近、中長期的でもいいのですけれども、今まで取り組まれている部分も含めて、そこも入れていただきたいと思います。

○川西座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○横田構成員 全体の進め方についてもなのですけれども、きょう、幾つかの課題がかなり組み合わさって施行される可能性があるように思いました。この懇談会がどこまでやるのかわからないのですが、施行時期とかなり届け出制が入りますので、条例では網がかかったかもしれないけれども、今まで法律の対象ではなかった事業者に対する周知徹底の時期等も多分課題になると思いますので、この懇談会の射程がどこまでなのか。要するに、あらあらの制度設計の話なのかわからないのですけれども、その点について議論する必要があれば、少し議題として考えておいたほうがいいと思います。HACCPの導入まで込みで施行するのはやはりこのくらいの時期だよねみたいな議論までここでするのか。それとも一個一個の課題として認識するのか。ある程度制度設計の組み合わせ論についても、議論の射程が及ぶのかどうかについても考えておいてください。

○川西座長 ありがとうございます。

 今のポイントは非常に重要なことかと思いますので、どのようなイメージでこの懇談会を考えているかを今、答えられますか。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 今回いろいろなテーマがありますが、それぞれの項目ごとに実現可能性、行政側の準備、事業者側の対応、消費者への周知などに要する期間を考えていかなければなりません。したがって、何々は何年まで、何々は何年までということをこの懇談会で決定する必要は全くありません。しかし例えば、この項目は施行まで慎重に時間をかけたほうが良いとか、この項目はすぐに実施して欲しいというようなことについては、この懇談会で御意見をいただければと思います。

○川西座長 ありがとうございます。

 座長の不手際もあって、時間がもう押し迫ったということもあって、きょうの最後にまとめて質問、コメントしていただいたことについては次回に事務局からお答えいただいて、前回、特に健康食品の関係のことで幾つか意見をいただいており、きょうの議論も共通する部分がいくつかありますから、そのあたりも厚労省側から前回お答えいただいていない部分もありますので、次回は、そのあたりの整理も含めて、御意見を整理して、また、まだ言い足りなかった部分もあろうかと思いますから、それも追加的にご議論させていただくことにさせていただければと思いますが、よろしいですか。

 そんな予定をもって、本日の議論はここまでとしたいと思います。

 それでは、次回の日程等、事務局のほうから御説明をお願いします。

○大西生活衛生・食品安全企画課長 次回の開催につきましては、10月4日を予定しております。場所については、追って御連絡いたします。

○川西座長 では、本日は以上で終了いたします。

 本日は特に最後部分は、非常に時間がタイトになって申しわけありませんでした。次回以降また積極的な御意見、御討論をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 


(了)

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