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2017年6月27日 第3回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録

社会・援護局

○日時

平成29年6月27日(火)13:30~16:10


○場所

東海大学校友会館 阿蘇の間(霞が関ビル35階)


○出席者

宮本 (部会長) 駒村 (部会長代理)
浦野 (委員) 大西 (委員)
岡崎 (委員) 岡部 (委員)
奥田 (委員) 勝部 (委員)
菊池 (委員) 小杉 (委員)
生水 (委員) 新保 (委員)
竹田 (委員) 平川 (委員)
松本 (委員) 渡辺 (委員)
前河参考人 (松井委員代理) 園田参考人 (明治大学理工学部建築学科教授)

○議題

(1)一時生活支援・居住支援等のあり方について
(2)自立相談支援・就労支援のあり方について(前回の続き)

○議事

○金井課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の委員の出席状況でございます。本日は朝比奈委員、石橋委員、大野委員、福田委員は御欠席でございます。それから、松本委員は若干おくれてみえるということでございます。

 また、松井委員の代理として、大阪府福祉部地域福祉推進室社会援護課長の前河参考人にお越しいただいております。また、本日は居住支援に関する議論の参考人として、明治大学理工学部建築学科園田眞理子教授にお越しいただいております。

 前河参考人、園田参考人の御出席につき、部会の御承認をいただかなければと思いますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○金井課長 どうもありがとうございます。

 あわせて本日は、国土交通省の住宅局安心居住推進課から北課長に御出席いただいております。

 出席委員につきましては、17名となっており、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしております。

 それではこれ以降の進行を宮本部会長にお願いしたいと存じます。カメラの方は御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○金井課長 宮本部会長、よろしくお願いします。

○宮本部会長 それでは、第3回目になりますけれども、生活困窮者自立支援及び生活保護部会を始めさせていただきたいと思います。本日は、一時生活支援及び居住支援等のあり方についてですが、前回、自立相談支援それから就労支援についての議論も積み残しておりますので、まだ十分議論をし切れておりませんので、途中からまたこの議論も続けていきたいと思っております。

 ただ、その前に今日の主題でもあります一時生活支援・居住支援等について、事務局のほうからまず資料の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○本後室長 それでは、資料1をごらんいただければと思います。まず、おめくりいただきまして、「住居確保給付金について」でございます。

 3ページ目をごらんください。住居確保給付金につきましては、雇用情勢の改善により、新規支給決定件数は減少傾向にございます。約5,000件でございます。一方で高い常用就職率を示しておりまして、現在のところ離職者対策としては所定の効果が確認できると考えてございます。

 続きまして、一時生活支援事業についてでございます。6ページ目をお開きください。ホームレス対策の経緯ということでございます。ホームレスの人数でありますけれども、直近29年の調査では、5,534人ということで、ピーク時の4分の1ということになってございます。

 一方で7ページ目、ホームレスの実態というところでありますけれども、高齢化それから路上生活期間の長期化が課題となってございます。

 9ページ目をごらんください。「一時生活支援事業の実施状況丸1」でございます。実施自治体数につきましては、28年度で236自治体ということになっておりますけれども、特にホームレスが確認されなかった自治体で取り組みが進んでいるというところが見てとれます。

10ページ目をごらんください。人口規模ごとに見てみますと、特に人口15万人未満の市区町村において、一時生活支援事業の実施箇所数が大幅に伸びてございます。それから、右下の箱ですけれども、特に借り上げ型シェルターを設置する自治体数が伸びているという状況でございます。

11ページ目は、「一時生活支援事業の実施状況丸3」ということで、広域で実施をしている大阪府さんと静岡県さんの例を載せております。

13ページ目をお開きください。一時生活支援事業の中で、自立支援センターにつきましては、6割強の退所者が就労または福祉措置により退所をしているという状況でございます。一方で、シェルターというところで見てみますと、3~5割の退所者が就労または福祉措置により退所ということになってございまして、これは論点整理の検討会のときでも、シェルターのあり方、シェルターにおける支援のあり方を論点としてお示しをいただいているところでございます。

○田中推進官 引き続きまして、資料16ページでございます。「無料低額宿泊所について」ということでございまして、無料低額宿泊施設は「生計困難者のために無料又は低額な料金で利用させる施設」として、社会福祉法の第二種社会福祉事業として位置づけられています。平成27年6月に調査をしたところ、全国で537カ所、入所者数1万5,600人、うち生活保護受給者が約14,000人となっています。このほか、社会福祉各法に位置付けのない施設も1,236カ所あるという状況でございます。

 こうした無料低額宿泊所等の中には、いわゆる「貧困ビジネス」と言われるものもございまして、こうした施設に対して質の確保を図るために、これまで、16ページの下の記載にあるようなガイドラインの策定、見直し、あるいは住宅扶助基準の見直し、その一方で、優良施設への支援といった取組を行ってきたところです。

 さらに17ページになりますが、生活保護受給者の宿泊施設と生活支援のあり方をテーマに、関係者による意見交換会を昨年10月から開催し、本日御出席の大西委員、岡部委員、奥田委員にも御参画をいただきまして、4月に一定の議論の整理をさせていただいたところでございます。

 その内容が18ページにございます。「1.基本的考え方」にございますとおり、無料低額宿泊所の中には、いわゆる「貧困ビジネス」と言われるような悪質な事業者がある一方で、さまざまな生活支援に熱心に取り組んでいる事業者も存在することから、悪質な事業者を規制しつつ、生活支援を行う良質な事業者が活動しやすい環境づくりを進めていく必要があるということで、悪いものは取り締まり、いいものは支援をしていくということが基本的な考え方になっています。

これに基づいて具体的な検討については、「丸1 悪質な事業者に対する規制について」というところに、下線部を引いてございます。現在、ガイドラインという形で規制されているものにつきましては、ガイドラインではなく、法令に基づく最低基準を設け、その基準を満たさない施設及び運営となっている事業者に対しては、行政が改善命令、勧告・公表などを行うことができるよう、法令上の必要な規定の整備を検討する必要があるのではないかということでございます。

 これにつきましては、1920ページに参考資料をつけさせていただいておりますが、19ページ一番右側が無料低額宿泊所になっております。真ん中あたりで横軸に勧告、改善命令という欄がございますが、上のほう、障害者あるいは高齢者、保育所の関係の施設につきましては、勧告、改善命令を法令でかけられるということなのですが、無料低額宿泊所のところは「-」になっておりますとおり、勧告や改善命令がないという仕組みになっております。こうした法令上の規制については各自治体においても工夫をされており、20ページにございますような条例で、勧告や命令、あるいは公表といった措置を講ずることができるよう条例を制定されておりますが、裏返せばその法令の部分が欠けているということで、法令上の規定の整備を検討する必要があるということが1つでございます。

 また18ページに戻っていただきまして「丸2 生活支援について」でございます。現在、生活支援をされている施設につきましては、事実上、生活保護の生活扶助と住宅扶助から費用を出しているという現状があるわけですが、これに対して、下線部のところですが、その費用について生活支援の提供にかかるコストに対応した支出の仕組みを検討することが必要ではないかという御指摘をいただいております。また、これに当たって、◆で書いてありますが、1つ目、生活支援を必要とする方の状態像を明確にし、その方の状態に応じたサービスを確立していくということで、現在、無料低額宿泊所に入っている方々の状態像がなかなかよくわからないというところがございますので、そういった状態像を明確にして、一体その方々にどんな支援が必要なのかということを確立していく必要があるのではないかということ。

 2点目のところは、「『一時滞在型』と『長期滞在型』という2つの類型を基本とし」とございますが、中に入っている方は若年者の方から高齢者の方までいらっしゃって、若年者の方は就業支援につなげていく、短期で地域移行していただく必要がある一方、高齢の方について、ついの住みか的に暮らし続ける場合には何が必要かということ。あるいは「また」以下にございますが、「地域で生活する生活困窮者等に対する生活支援についても、併せて、検討する必要があるのではないか」ということで、基本的には意見交換会においては無料低額宿泊所に入っていらっしゃる主に生活保護受給者について議論をしていたわけですが、生活保護受給者以外の方に対する支援も検討する必要がある。

 最後が、居住者の生活の質が確保されるよう、その者が入所する施設の基準やサービスの水準を定めるといったことや情報公開が必要ということです。あとはコンプライアンスの状況の確認ということが必要ではないかということ。こういう具体的な手法については、生活保護基準で対応したり、事業として対応する方法などが考えられるということで、これをまたこの場でいろいろ御議論いただければと考えております。

21ページからが保護施設の資料でございます。22ページに、保護施設は社会福祉法上の第1種社会福祉事業ということで、救護施設ほか5類型がございます。目的としては「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行う」ということとされており、生活保護法上に位置づけのある施設でございます。

23ページに、どういった方が入っているかというデータをお示ししておりますが、男女比が2対1ということです。「年齢」については、65歳以上が52.8%ということで、高齢化が進んでおります。「入所期間」については、10年以上を足すと4割以上ということで、やはり長期化している傾向が見られます。一番下、「利用者の障害状況」というところは、精神障害者の方が41.1%いらっしゃいますが、知的障害や身体障害と重複して精神障害がある方も足し合わせると、精神障害をお持ちの方が5割を超えるという状況になっています。

24ページでございます。右側にございますとおり、退所者の状況については、地域移行割合が31.1%ということで、入所期間の長期化が進む中でもなるべく地域に移行していくという御努力を救護施設の皆さんにはしていただいており、こういった数字になっております。25ページにございますような、保護施設通所事業とか救護施設居宅生活訓練事業ということで、地域で暮らしていけるような取組を行っているところでございます。

26ページでございます。保護施設に関して平成16年の生活保護制度の在り方に関する専門委員会の報告書で、保護施設について総合的な見直しを検討する必要があるという御指摘をいただいており、そうした点も含めてまた御議論をいただきたいということでございます。

○本後室長 続きまして、「5 新たな居住支援について」ということで資料をまとめてございます。

28ページ目「居住に関する資源を巡る課題」ということで、真ん中あたりでございます。これは民間賃貸住宅等でも供給が乏しいゾーンということで、1つは安価な家賃の住宅、それから施設ほどではない支援や見守りのある住宅、このあたりの資源供給が乏しいのではないかということが課題となっております。

29ページ目、これは後ほど北課長のほうから御説明をいただく住宅セーフティーネットの見直しの仕組みでございます。

30ページ目、こういったことに対して、住宅行政、福祉行政が連携を強化するということで、両省で局長級の連絡協議会を開催しております。非常に連絡を密にしながら検討を進めているところでございます。

31ページ目、これは自治体の中の仕組みでございます。居住支援協議会、47都道府県と19の区市町で設置をされておりますけれども、京都市さん、大牟田市さんのように、福祉の関係者と住宅の関係者が非常に密に連携をとりながら取り組みを進めている例もございます。

32ページ目でございます。これは自立相談機関における居住支援ニーズをまとめたものでございます。新規相談のうち、住まいに関する相談は、多少あるが5割より少ないとする機関が全体の約6割。それから、連帯保証人・緊急連絡先の確保が課題になっている機関、これが約半数を占めるということで、相談のうち、かなりの割合が占められているということでございます。

33ページ目、居住支援ニーズを少し見てみますと、住まいの喪失により生活困窮に至ったケース、これを全体と比較しますと、同居家族がない、人間関係・社会とのつながりに課題がある、経済的に頼れる人がいない、そうお答えの割合が高くなってございます。居住支援ニーズと社会的孤立の状況、これは非常に裏表の関係だということがここから見てとれます。

34ページ目でございます。今年度から生活困窮者自立支援制度の中で、住宅に関する個別の支援ですとか、担い手の開拓といったものを支援する事業を行ってございます。

37ページ目でございます。こういったことを踏まえまして、現在の「居住に関する資源を巡る課題への対応状況」について整理をさせていただいております。

 居住に関する資源を巡る課題については、新しい住宅セーフティーネットにより、制度的な対応が相当程度なされていると考えております。今後、実効性のある施行に向けて引き続き福祉・住宅行政の連携を深めていく必要がある。ここが大きな一つの課題だと考えてございます。

 一番下の4、一方で施設ほどではない支援や見守りの提供、ここに関しましては、そうしたニーズ全体への包括的な対応という仕組みは今、十分ではないと考えております。各地で先進的な取り組み事例が展開されておりまして、それには共通する要素があるのではないかと考えてございます。

38ページ目でございます。左上、東京のNPO法人ふるさとの会さんの取り組みでございます。元ホームレスの方等々でありますけれども、地域に点在するアパート・戸建ての住宅に居住をしております。こうした方々、社会的孤立ということが裏表にありますので、共同のリビング、サロンといったものをつくりまして、そこを運営する職員さんが居場所づくりそれから同居者同士のトラブルミーティング、相談支援といったことを担っております。居住支援を受ける人が生活支援の担い手として就労するといった側面もございます。

 同じように右側NPO法人抱樸さんの取り組みがございます。これは後ほど奥田委員のほうから御説明をいただけると思っております。

 こうした共同のリビングをつくりまして、入っている人同士の仲間づくり、関係づくりを支援するというところに共通点が見られるかというふうに考えております。

 それでは、「特に御議論いただきたい点」ということで整理をいたしております。40ページ目でございます。一時生活支援事業につきましては、ホームレスの高齢化、長期化も見られる中、効果的な自立支援のためにどのようなことが考えられるかということ。それから2番目、生活保護受給者の住まう場につきまして、無料低額宿泊所については、悪質な事業者の規制に係る法令の規定を整備する必要があるのではないか。生活支援サービスを提供している場合、そのコストをどのように賄われることが適当であるか。保護施設については、報告書以降の取り組みをどう評価し、どのような役割を期待するか。

41ページ目、新たな居住支援につきましては、1つ目は新しい住宅セーフティーネットによる制度的な対応ということに対しまして、実効性のある施行に向けて福祉・住宅行政がどのように連携していくか。それから安心して住まうために孤立の解消に向けた支援や見守りをどのように提供していくか。先進的な取り組み事例に共通する要素は、孤立の解消を目的に、共同リビングを設けるなどして、住む人同士の共生を支えることではないか。支えられる側に固定されるわけではなく、支える側としての役割も果たせるのではないか。こうした見守りがあれば、民間賃貸住宅に居住しやすくなるのではないか。こういった点につきまして、御議論をいただければと考えてございます。

 飛ばし飛ばしで恐縮でございます。説明は以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今、御提示いただいた論点を中心に議論をしていきたいのですけれども、その前に、今の論点の中でも大事な項目でもありました住宅行政と福祉行政の連携を巡って、国土交通省の北課長のほうからもお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○北安心居住推進課長 国土交通省の住宅局安心居住推進課長をしております北と申します。

 さきの国会で住宅セーフティーネット法の改正法が成立いたしました。本日は、その制度並びにそれに関連する予算制度の概要を御説明させていただきます。

 資料2をお開きください。表紙を1枚めくっていただきますと、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律、これが通称住宅セーフティーネット法と申しておりますが、その一部改正法がさきの国会で成立しておりまして、4月26日に公布されております。法律の施行は公布後6カ月以内となっておりますので、ことしの10月下旬には施行されるということで、現在、施行に向けた作業の準備を進めているところでございます。

 今回の法改正が行われました背景といたしましては、高齢の単身者がまだまだ増加する、あるいは若年層におきましても収入が伸び悩んでいるというような中、一方で民間の賃貸住宅の大家さんのマインドとしては、家賃滞納ですとか孤独死ですとか、そういった面から高齢者や低額所得者などの方々に対して、入居に対する拒否感のようなものもあるというような調査もございます。

 一方で、公営住宅は数がふやせない中、民間の賃貸住宅の空き室ですとか、戸建て住宅の空き家、そういったものは大分ふえておりまして、その中には比較的新しくてすぐにも使えるようなものもあるということで、そういった民間の空きストックを有効活用して、これを住宅確保要配慮者に提供していただこうというための法律としたところでございます。

 法律の大きな構成は、下の赤い箱で書いてありますが、左側になりますが、まず、登録制度というものを創設いたしました。住宅確保要配慮者と申しますのは、法律の中に定義がございまして、高齢者ですとか子育て世代、低額所得者などの世帯でございます。そういった方の入居を拒まない、拒否しませんという賃貸住宅を大家さんに登録していただくという制度でございます。そのため、幾つかの予算上の支援措置などをするとともに、右側の箱でございますが、そういった方の入居の円滑化に関する措置として、居住支援のさまざまな協議会ですとか居住支援法人というような制度、あるいは家賃債務保証の円滑化ですとか、そういったものをやっていこうというような内容でございます。

 次のページから項目ごとに資料をつくっております。

 2ページ目でございますが、大きく分けまして丸1、丸2、丸3という3本柱のような形の制度になっております。先ほど申しました要配慮者向けの賃貸住宅を登録していただく制度というものをつくります。そして、登録住宅の改修、リフォーム等が必要であれば、そういったものへの経済的な支援あるいは入居者に対する家賃を低廉化するようなものに対しての経済的な支援、そして要配慮者の入居を支援するための措置等々でございまして、下に図が描いてございますが、要は、民間の大家さんに住宅確保要配慮者の入居を拒みませんという住宅を都道府県などに登録していただきまして、その情報を要配慮者にちゃんと提供しながら、要配慮者に居住支援協議会などを通じて入居支援をしまして、登録住宅への入居を促進していこうという仕組みでございます。

 3ページ目でございますが、登録制度と申しますのは、2番目のところに赤字で書いてございますが、先ほど言いました要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を都道府県あるいは政令市、中核市に登録をしていただきます。この登録住宅、最低限の住宅の質は担保しようということで、耐震性能があるもの、さらにある程度の面積が必要だということで、原則25平方メートルという最低居住面積水準を提示させていただいて、省令等で定める予定でございますが、その下の※の2番目に書いておりますが、主に戸建ての空き家などを活用した共同居住型のいわゆるシェアハウス的なもの、こういったものも今回登録住宅の中で使えるようにしていこうということも考えておりまして、そういった場合の最低限の面積基準等についても定めさせていただいて、使わせていただこうというようなことを考えております。

 上に戻っていただきまして、1番で都道府県や市区町村に供給促進計画を策定していただくこと、これは必須ではございません。策定をすることもできるというような規定に法律がなっておりますが、この計画の中で、法律上あるいは法律に基づく省令で定めました要配慮者にプラス、地域においてこういった方を要配慮者として受け入れたい、指定したいというような場合には、要配慮者についてこの計画の中で定めることも可能といたしますし、あと、地域においては住宅ストックを活用するときに、例えば先ほど言いました面積などがもうちょっと小さ目の、原則25平方メートルと申しましたが、もう少し小さ目のストックも活用するというようなことであれば、そういった面積基準を緩和するようなことも計画の中でやっていただけるような、地域の実情に応じた対応を可能とする制度を考えております。

 4ページは経済的支援ということで、予算措置の内容でございますが、登録住宅を登録していただく大家さんに対するインセンティブとして、多少の改修、リフォームが必要な場合は、例えばバリアフリー化する、耐震改修をする、あるいはシェアハウス的に使うための用途変更、間取りの変更等を行う。そういったものに対しましては、補助金で支援をしていこうということでございまして、地方公共団体を通じた社会資本整備総合交付金による間接補助型の支援、下に書いてあります、国3分の1、地方3分の1という制度とともに、地方公共団体がすぐに予算措置ができなかった場合のことを考えまして、しばらくの間は地方負担なしであっても、国のほうの3分の1だけの補助金というものも支援メニューとして用意をさせていただいたところでございます。

 大きな2番でございますが、低額所得者の方が登録住宅に入居しようとしたときに、家賃負担等を多少軽減してさしあげるための措置として、地方公共団体と国とで合わせた間接補助型の制度メニューといたしまして、家賃の低廉化に要する費用と、もう一つは入居時に家賃債務保証会社を使った場合の保証料に対する補助というものも予算支援メニューとして用意をさせていただいております。

 めくっていただきまして5ページでございますが、住宅確保要配慮者の入居に対する支援策といたしまして、居住支援法人というものを都道府県が指定できるという制度を用意させていただきまして、そういった居住支援法人が家賃債務保証等を自ら行ったり、あるいは登録住宅等の情報提供や入居相談をしていただくというようなことを考えております。また、そういう居住支援活動を行う居住支援法人さらには改正前の法律からございますが、居住支援協議会の活動、そういったものに対しまして、国のほうから活動経費に対して一定額の補助を行うというような制度も予算上用意させていただいております。

 また、家賃債務保証の円滑化という4番でございますが、連帯保証人等保証人が立てづらい場合に、家賃債務保証会社による機関保証を使うというような場合、家賃債務保証業者についての情報提供をしっかり行う、適正な家賃債務保証業者というのがどういうところかがわかるような制度が要るだろうということで、今般、住宅セーフティーネット法に合わせまして、家賃債務保証業者を国のほうに登録をしていただく。これは義務ではありませんで、一定の要件を満たす業者さんが任意ではございますが、国に登録したいということであれば、登録をできるような制度を今、準備を進めているところでございます。

 そういった登録された家賃債務保証業者に対しましては、保証につきましての保険を住宅金融支援機構のほうで引き受けるという新しい制度をあわせて今回立ち上げることを予定しております。

 また、居住支援法人にもその地域において家賃債務保証を現に行われているNPOや社会福祉協議会等ございますが、そういったものを居住支援法人としての機能として期待をしているところでございます。

 最後の5番でございますが、生活保護受給者を民間賃貸住宅に入居させる際の大家さんからの強い要望事項として、住宅扶助費についての代理納付をさせていただければ受け入れますという声はかねてよりあったところでございまして、代理納付につきましては、公営住宅などについては比較的進んできているのですが、民間賃貸住宅ではまだまだ余り使われていないという状況がございました。今回の住宅セーフティーネット法の改正に合わせまして、厚生労働省と協議、調整をさせていただいて、賃貸人のほうから家賃滞納等のおそれがあるような場合につきまして、大家さんから保護の実施機関に通知をいたしますと、それを受けました保護の実施機関のほうで代理納付とすべきかどうか要否を判断していただくというような手続を法律上の規定を置かせていただきました。こういう手続の根拠規定を置かせていただきましたので、今後代理納付を必要とされるような場合においては、賃貸人からの通知等があれば、保護の実施機関のほうで適切な判断をしていただけて、代理納付が促進されるようなことを期待したいということで、このような規定を設けさせていただきました。

 6ページは居住支援協議会ということで右側にございますが、不動産関係の団体と居住支援関係の団体そして地方公共団体の住宅と福祉部局、こういったものが連携した居住支援協議会が現時点で47都道府県、3月末ですと19の区市町、今年度になりましてからさらに2つできておりますので、今、6668にまでふえてきておりますが、居住支援協議会が現在設立されているところでございます。

 最後のページが居住支援法人制度ということで、今回の法改正で導入させていただいた制度でございまして、居住支援活動を行われているNPOや社団、財団法人、社会福祉法人あるいは居住支援を目的とする会社などにつきまして、都道府県で指定をいたしまして、居住支援法人に、右側の箱の丸1、丸2、丸3、丸4と書いておりますが、こういった業務をしていただこうということでございます。

 ※に書いてございますが、法律上、居住支援法人は家賃債務保証業務を行う業務として位置づけさせていただいておりますが、実際に業務を行うかどうかは、そこに書いてありますような地域の実情を踏まえて判断していただくということで、家賃債務保証を行うだけの備えはしておいていただく必要はございますが、実際に行うかどうかはその時点での判断をしていただくということで、主に丸2や丸3のことを中心に行っていただく居住支援法人についても指定はできるような運用をさせていただきたいということを今、考えているところでございます。

 今回の制度を総括しましては、民間の空きストックを活用しまして、それを有効活用し、低額所得者や高齢者などの住宅確保要配慮者に円滑に提供していただく。そのために、居住支援協議会、居住支援法人などの活動とも連携をしながら、それをバックアップしていこうという制度でございます。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 一方で空き家が増大していく中で、他方で住居を安定的に確保できない社会的弱者もまた増大している。この状況をいかに打開していくのかということが大変重要な課題として浮上しているように思います。

 今、北課長のほうから御説明のあった住宅行政のサイドからの展開、これを踏まえつつ、私どもとしてどういうふうに知恵を出し合っていくのかということを議論していきたいわけなのですけれども、まず、議論の素材を提供していただく意味で、無料低額宿泊所における支援だとかあるいは地域に住まい続けるための支援の具体的な経験として、奥田委員から少しまとまったお話をいただきたいと思います。恐縮ですけれども、10分程度でお願いできれば幸いです。よろしくお願いします。

○奥田委員 奥田です。

 早速お話をさせていただきます。

 うちの法人はもともとホームレス支援から始まって、来年で30年というところになります。先日、北九州で大きな火事がありまして、6人が亡くなったということですが、当初は貧困ビジネス等々いろいろな話題が出たのですけれども、私たちとしては結局、頭金がなく、1日500円で泊まれて、保証人がなく、審査もない。そういう状況で入れる住宅ということで利用する人が非常に多かった。ただ、一方で何とか屋根の下には入れたけれども、亡くなった6人のうち、今も2人が身元不明ということで、果たして暮らしとか地域生活という意味ではどうだったのかという課題が大きく残っている火災でありました。しかも、16人が住まれていたのですが、生活保護受給者は4名であったということでありまして、必ずしも生活保護受給者云々というところの話題でもないということであります。

 そこで、法人の資料、たくさんやりましたけれども、お土産で持って帰っていただくところが大きいと思います。10分ですので。

 特に1枚目のところは、私たちはホームレス状態から自立ということに当然力を入れてきましたけれども、さらに力が必要だったのは生活継続率です。結局、ホームレスから自立しても、再びホームレスに戻ってしまうというケースが全国で相次いでいましたので、いかに出会いからみとりまで支えるかということをテーマにしてきました。

 私たちの基本的視座は、下のページですが、経済的困窮と社会的孤立ということで、今回の生活困窮者自立支援法の概念とまさに同じところできました。私たちの場合は当初、経済的根拠をハウスレス、孤立の問題をホームレスと呼びまして、ハウスとホームは違うという概念のもとに活動の枠組みをつくってきました。それにおいて、居住支援もある意味同じような枠でありまして、住宅の問題と暮らしの問題は別だというふうに考えてきました。住宅確保をどうするかということとともに、暮らしの継続、安定というものをどうするかということ、この2本立てです。そうなると暮らしの問題が入りますので、総合的かつ継続的な支援ということになります。

 最初に議論の中身に入ってしまうと、まずいかもしれませんが、生活困窮者自立支援法の場合は半年とか1年ということなので、支援機関が特定されている。暮らしという話題に入った瞬間に、機関の問題はどうなるのかということも一つ大きな問題になります。

 さらに、暮らしの成立に関しては、経済的な問題のみが課題ではない。孤立の問題が非常に大きいということで、必ずしもお金があるからということではありません。先日の火事においても、年金受給額が2月で40万あった人がそこに暮らしていたということもありまして、これはやはり暮らしの問題ということも大きくありました。

 次のページに行きます。私たちが行っている支援の全体図、ここが全てなのですが、一番左上のところに路上生活者であるとか、居住確保の困難者がおられる。その後、中間施設ということで、ホームレス自立支援センター等々を使って、半年間で就労支援も含めた自立へと向かいます。その後、地域で住宅を確保して、一般的にはここでおしまいということになります。しかし、この後孤立という状態になると、大体皆さん正直頑張り屋さんが多いのです。いい加減な人というよりは、私の印象としては真面目な人。余り助けてと言えない人たちが最後まで残るという構造でありまして、孤立・限界まで地域で頑張ってしまうので、最終的にはハイコストの介護施設であるとか病院のほうに行くということで、しかも、遠隔地に行く。

 それに対して、私たちが考えている全体のスキームは下の図です。中間施設までは一緒で、まずAタイプということで、住宅確保ができればまあまあ自力で生活できる人たちのグループ。ここでも住宅の確保と保証人の問題はあります。

 真ん中の赤い枠のところが法人で新たにつくってきたところです。まず、Bタイプとしてサポートつきの地域見守り居住ということで、基本、地域で個住しながら見守りをどうつけるかというところをどう確保するか。さらに地域の個住が、見守りがついていてもなかなかひとり暮らしができない。しかし、高度な専門施設に行く必要はないというところの方々を受けるということでCタイプ、生活支援つきの共同居住というところをつくりました。

 最終的には、必要があれば専門施設へと行くわけでありますから、できるだけ住みなれた地域で最後まで暮らせるようにというところがこの赤い枠組みであります。

 では、赤い枠組みの中をざっと紹介します。5ページですが、住宅確保困難者、要配慮者ですが、これは国土交通省さんのホームページからも言葉をいただきましたけれども、こういうことであります。そして、私は一時生活支援事業で言われているところの中間施設の必要はこれから出てくると思います。ともかく一時的に引き受けるというところが必要だと思います。ただ、これも先の議論になってしまいますが、現在の一時生活支援事業には、相談は自立相談員が当たるということになっていますけれども、今回のホームレス調査に見られるような高齢化とか障害であるとか長期化というところを考えると、やはりこれの専門的なスタッフの配置が必要なのではないか。あるいは、単独の市町村では難しいので、広域化を進めるための施策が必要ではないか。そういうふうに思っております。

 その下です。まず、タイプAですが、住宅確保支援グループということで、ともかく住宅までたどり着ければ何とかなるという人たちがまずいるということです。この支援内容としては、不動産情報の提供と、保証人の提供。抱樸では、独自で十数年前から保証人バンクという、NPOの中で連帯保証制度をつくりました。

 次のページに行きます。それで、住宅情報をどう確保するかということで、これも十数年前に自立支援居宅協力者の会という不動産業界の方々に協力を願いまして、今、北九州で40社、福岡で10社、不動産業界の方々のチームをつくりました。本人に合わせた物件提供、例えば、自立支援センターを出るときに、小倉北区のどこどこの会社に就職した。お金がないので歩いて通勤したい。幾らまでの家賃ということで情報を流すと、この40社からすぐに情報が提供される。あるいは我々の支援方針を大家さんとか管理会社に共有する。家賃滞納情報をどれだけ早いタイミングでつかむかというのが一番大事なのです。皮肉な話、いい大家さんになるほど手おくれになります。いいよ、いいよと言って、来月まで待ってあげるよと、これをやってしまうとアウトなのです。ですから、これは別に冷たいとか温かいの問題ではなく、本当の親切だったらその日に連絡が来るかという話が勝負になるのです。あとは事故の対応、保証人バンクの利用です。

 保証人バンクは下のところで、保証人が確保できない人、あと保証会社の審査が通らなかった人あるいは最近は、ハイリスクの人たちに対して保証会社が保証人を2人立てろという条件を出してきます。これはなかなか難儀なのです。あと、保証人バンクの機能としては、大家さんの安心です。特に大家さんの相談相手になる。早目、早目の生活支援等ができるということです。

 あるいは逝去時、亡くなった後の処理というものに責任を負えるかどうか。正直、家賃滞納も大家さんは不安なのですけれども、家の片付けが相当大きな負担になっている。あと、本人の安心としても同じようなことで、特に保証人バンクは求償権の放棄と書いていますけれども、普通家賃保証が起こると、本人を裁判に訴えるのですけれども、私たちは訴えても一緒なのです。ホームレスに戻られるだけですから。だから、私たちは訴えませんということを明言した上で、だから裏切らないでねという、ケアに変えていくという概念でやってきました。

 実績を見ていただくと、保証人バンクを利用されなかった人の生活継続率が92%、保証人バンクを利用された方の生活継続率は98%、やはり生活支援付もしくは連携している状態で暮らしておられる方々は生活支援が継続できているということです。

 利用料金等はここに書いてあるとおりですが、3分の1が保証のための積立金、あと3分の1が自立支援貸付金、これは無利息でお貸しできる自立のために必要なお金を貸すという制度です。3分の1がスタッフ経費で使っています。

 次のページに行きます。タイプBですが、ここからが一番の大事なところで、やはり見守りつきの地域居住グループということで、ある程度の見守りが必要だということです。うちの場合は、本来は地域の支え合いで全てやれればいいのですが、正直、私はそれだけでは難しいと思います。地域の支え合いをコーディネートする人、地域の支え合いをつくる人という意味でプロが必要だ。いわゆる多機関連携というものです。それを誰がするのかということが非常に大事。その中で、うちの場合、非常に力を発揮したのは互助会でありまして、特に自立した「なかまの会」という当事者組織ですね。この人たちがお互いに支え合っている。あと、ボランティアも大きな力を持っています。「サポート委員会」というものがあって、見守りのサポートをずっとしています。

 しかし、ボランティア部分だけでは無理で、NPOの生活サポートセンターというプロフェッショナルが8人で、1,200人ぐらいを担当しています。あと、保証人バンクとか居宅協力者の会との連携があります。

 その下は、サポートセンターの中身ですが、小倉のサポートは自立支援センターを出た人たちが中心で、今、約900人。

 八幡のセンターは、NPOが独自で支援した人たちで、230人ということです。

 どちらかというと、上のほうが就労している人が多い。下のほうが高齢者が多い。

 次のページを見ていただきますと、イメージ図なのですが、サポートセンター、1,200人を8人で見ているって、そんなの無理だろうという話なのですが、当然無理です。サポートセンターが何をしているかというと、直接アウトリーチをして生活支援をしているだけではなく、地域の資源のコーディネートをどうするかというのは、これを一番の大きな。要するに、プレーヤーをどれだけふやして、どれだけそれをコーディネートしていくかというのが勝負なのです。だから、自立生活サポートセンターが対象者との間にこれだけの地域の資源をコーディネートしたり誘ったり、いろいろなことをしているということです。

 それと、下が支援の実績ですけれども、やはりアディクション等々の問題が多いので、一番下、金銭管理ですね。これは自立支援法の中では家計支援ですから、自立性が非常に高い部分での支援が制度化されたと思っています。でも、一方で、金銭管理のレベルが必要な人というのは、一定数おられるということも認識すべきだと思っています。

13ページですが、サポートセンターの支援内容はこんな形です、見てください。例えば、1番目だけ見ますと、2015年度にサポートしていた人で離職者が28名、一方で再就職まで行った人が33名。サポートセンターがいなければどんどん離職していきますから、自立後、大体1年以内に離職、退職の相談に来られる方が約50%、2人に1人です。それと最後の9番目が金銭管理、結構金銭管理のニーズは大きいということです。その下、ちょっとおもしろいのでつけておきましたけれども、私たち、1,200人を同じようにサポートはしません。ちゃんとアセスメントをして、この人、ちょっと語弊がある言い方ですが、危ないよという人と、この人は大丈夫だよという人の、それをどう判断するかで、危険度指数というものをつくってやっています。このようにランキングがあって、A+になると大分危険だという判断になる。けれども、このとおりにはならないですけれどもね。

 ただ、そのときに一つおもしろいのは、一番左の丸3のところです。収入形態、就労というのが実は点数が高いのです。生活保護のほうがよっぽど社会とのつながりが大きくて、就労のほうが非常に孤立していく可能性が高いということで、実は就労自立のほうが継続危険が高いということにもなります。

15ページに行きます。「サポートセンターの現在(2016年度末)」ですが、こういう状態で千数百名が進んでいる。

 その下のページは障害率です。ホームレスの人たちで自立した人たちの約50%が知的障害等を持っておられたということで、これは相当高い数字になっています。

17ページ、先ほど出ましたサポートの民間部分ですが、ボランティア部の中にサポート委員会というものをつくりまして、声がけとかカフェ、サロンをやっていたり、お手紙、中には誕生日のお祝いなんかしてもらったことがないなんていう人もいますから、そういうこと。もしくは、年賀状が来たことがないとかですね。最近、おもしろいのが、「冥途のみやげプロジェクト」といって、死ぬ前に何か一つ夢を叶えましょうという、これはボランティアベースでやっています。しかも、このボランティアの中には当事者が当然入っています。こういうものを誰が組織するのかということがやはり大事なのです。

 互助会は、助ける、助けられるを超えてお互いでやりましょう。今、地域の方も含めて、互助会の会員は263名、うち当事者が157名を占めています。ですから、全体の半分以上は当事者が占めているということですね。「なかまの会」には、当事者組織の中には20名の世話人会がいて、地域を6つに分けて各地域の世話人と称して日常的な見守り作業等をしています。お葬式も「なかまの会」のお葬式になっています。

 次のページに行きます。タイプCです。これが生活支援つき共同居住グループで、単身生活は難しいけれども、ある程度の生活支援があれば、共同生活が可能な人。ここがなければ一気に専門施設になりますので、社会的コストも非常に高くなるし、遠隔地に行かざるを得なくなる。こういうところを一つつくるべきだ。ここに1つ可能性があるのは、無料低額宿泊施設の拡大解釈だと考えています。

 無低に我々がこだわっている理由は何かというと、制度ではないので、誰でも入れられる。例えば高齢者施設というと高齢者しか入れないし、障害者施設というと障害者しか入らない。無低でやる意味は何があるかといったら、誰でも入れられる。そのかわり、補助金がない。経営的には苦しいけれども、自由度は高い。だから無低にこだわっています。そういう意味で私たちは、無料低額宿泊施設の新しいモデルになれば。前から私は1種と2種の間の1.5種をつくろうということで、後でも言いますが、無低の概念ではおさまらないわけです。

 次のページに行きます。北九州の入居者状況ですが、一つだけ見ていただきたいのは、一番右です。「生計」というところで、生活保護利用者が6割しかいない。無料低額宿泊施設の議論を生活保護だけでやってしまうと、4割取り残しますよということを、これどうするのですかという話です。

 あと、下は北九州抱樸館の利用の料金等です。

 次のページに行きます。23ページ。これは館内サービスの一覧です。また見ておいてください。

24ページ。館内サービスの中にボランティアセンターというものをつくりました。やはり支えられっぱなしでは人間はだめなのです。だから、地域の困りごとを引き受けるというお助け隊というものを派遣する。結構ホームレスのおじさんたちは技術を持っていたり、人材の宝庫なので、やっています。そんなことをボランティアセンターでやっています。

 あと、最後ですけれども、25ページ。「タイプD 専門ケア必要グループ」で、これは地域の介護施設とか病院、救護等の生活保護施設等、専門性の高い施設に最後はお願いするという場面になります。しかし、一つだけ私が課題だと思うのは、家族がない人でそういう専門施設に入った後、わたしはつなぐという作業と戻すという作業が連続的に行使されていく社会でないとだめです。つなぐだけだったら、投げ渡しで結局その先どうなったかわからないという状態でほったらかされる。これの典型的だったのが例のたまゆら火災だったと思うのです。ですので、このところ、幾ら専門性が高いといっても「つなぎ・もどし」というものを従来、家族や家庭が担ってきた機能だけれども、そこがなくなったときに、社会としてだめだと思ったら戻せるかという、誰が判断するのかというところが勝負だと思います。

 最後に、無低の施設の今後ですが、規制は必要だと思います。法的根拠が必要です。調査できる体制が必要だし、指導もしくは業務停止も可能でないとだめです。しかし、規制だけ先行してやるのは反対です。規制だけ先行すると、良質資源が喪失される心配があります。規制と支援というか推進は同時並行的でないとだめだと思います。さらに無低は生活支援付の共同居住ということで、もともと無料低額宿泊施設は居住というか、住宅という概念しかなかったはずです。施設でもなければケアという概念がなかったので、これをいつまでもいつまでも無低の議論でやっている限りは、法的にも枠がずれてくるのではないかと思います。だから新たな枠が必要なのではないか。

 最後は、縦割りをどう超えるかということで、生活保護と生活困窮者自立支援法の枠を超えるか等を含めて縦割りをどうするかということが問題です。

 済みません、以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 今、奥田さんのおっしゃったタイプA~Dをいかに地域で多元的に柔軟的に実現できる条件、たとえ奥田さんがいなくともできる条件を整えていくのかということが問われているのだろうと思います。

 続きまして、今の議論も踏まえつつ、先ほど住宅行政と福祉行政の連携ということを申し上げましたけれども、まさに連携という観点から学術的な議論、リサーチも踏まえた学術的な議論を重ねてこられた明治大学理工学部の園田先生からお話をいただきたいと思います。

 今、奥田さんに10分と申し上げて、明らかに10分以上でしたけれども、15分程度でお願いできれば幸いであります。

○園田参考人 では、15分で頑張りたいと思います。

 お手元の資料4を見ていただきたいと思います。私は、「生活困窮者・被保護世帯等の安定的な居住の実現のために必要なこと」について、話題提供したいと思います。

 まず、ターゲットは誰かということです。真ん中にあるのは、2015年の国勢調査の生年別の人口分布です。日本の人口分布はフタコブラクダです。今回、議論しているのは、実は1つ目のこぶである、団塊の世代、1973年当時25歳、現在69歳の人たちです。そして、もう一つのこぶである、団塊ジュニアの世代。1998年当時25歳、現在44歳の人です。

 いろいろなことを考えるときに、まず、ターゲットを確定する必要があるのではないでしょうか。

 左下図の、1973年の朝日新聞に発表された上田篤先生による、当時の現代住宅双六ですが、赤く囲んだところを見ていただきますと、「すみこみ」、「飯場・ドヤ」、「はなれ・同居」、「橋の下・仮小屋」、「下宿」、「木造アパート」というものがあります。これが45年を経て、高度成長期に取り残された団塊の世代が、現在の特に高齢世帯の生活保護という形で噴出しているのではないか。

 右側の、もう1つ団塊ジュニアのほうですが、お示しした図は雇用形態別男性の非婚率です。正規雇用か非正規雇用か完全失業かで完全に結婚できるかどうかということが決定されます。実は、この世代、1998年というのは、山一証券とか拓殖銀行だとかが潰れたアジア通貨危機のまっただ中に社会にデビューをした人です。この人たちが44歳になっています。現在、介護保険の保険料をちゃんと払っているでしょうか。大変気になるところです。

 私は数十年というか、長らく住宅のことをやってまいりましたけれども、住宅政策の上では、日本の住宅のセーフティーネットは公営住宅であると説明されてきました。戦後の1951年に、低所得の人のために低家賃で良質な住宅を提供するというのが、公営住宅の設立の趣旨です。

 ところが、この公営住宅は、私がお示しした図を見ていただきますと、下から2層目、オレンジ色のところに該当します。実は公営住宅の下にもう一つ真っ赤なところですが、低質な民間賃貸住宅が日本では最下層というか、あるいは下支えをしている状況があると思います。この中で特に一番下の民間木造住宅と、下から2段目の公営住宅で何が起きているかということなのですけれども、公営住宅は1996年にかなり抜本的な改正が行われました。それ以前の公営住宅というのはむしろ私は跳び箱を跳ぶときのスプリングボードであったと言っているのですが、若い人たちが結婚してよりよいところに住んで生活したいというときに、まずは公営住宅に入って、子育てをしながら貯金をして、次のステップに進むというスプリングボードだったわけです。ところが、1996年にはある意味完全に福祉住宅化ということで、所得階層も上限25%まで。それから応能応益家賃という形に変わりました。

 しかしながら、日本の住宅政策というのは暗黙裏のうちに2人以上の世帯を前提としてきたので、営々としてつくられてきた公営住宅は、2DK以上というのが原則というか普通であって、公営住宅に単身世帯の入居が認められたのは1980年になってからです。したがって、現在は、1DKとか1LDKの公営住宅はありますけれども、数の上では非常に少ない。ですから、住宅としてはそこそこでなおかつ応能応益家賃ですので、非常に低家賃のものも多いのですけれども、貧困の連鎖と最近言われていますが、80代の親御さんが亡くなると次の60代の方がそのまま直系で継承してしまうというケースですとか、あるいは実際にはかなり年をとってから公営住宅に住みかわる方がいらっしゃるわけですが、そこで虚弱化が進み、関係資本のない孤立の状況の中で、公営住宅の中でも孤立化とか孤独死が頻発しているという状況がございます。

 一方、民間の住宅、中でも私たちは「木賃(もくちん)住宅」と言うのですけれども、そこにはたくさんの生保世帯、準生保世帯の方がお住まいです。こういう住宅は極めて質の悪いものが多いです。しかしながら、家賃はそんなに低くはないのです。ここの中で虚弱化が進み、同じように関係資本がないという状態が孤独死あるいはもうここにはいられないというと東京の場合だと東京以外の都外施設に行ってしまう。そこで火事が起きたというのが、いわゆる“たまゆら事件”でありました。

 そういうことで、民間賃貸住宅の中に、特に低質な民間の木造賃貸住宅の中に占める生保受給世帯の割合がどのぐらいかということで、私がざっくり試算してみたのですが、(事前に本日の資料提出したところ、事務局のほうから御指摘があって、実は分子と分母の数をそろえるときに私に誤りがありましたので、資料には過大な数値が出てきておりますので訂正します。)かたいところでいうと、民間の賃貸住宅の約5%、ですから20戸に1戸に生保世帯が入居しているというのが、大きなつかみでは日本の実情だと思います。ここで何を言いたいかといいますと、国交省の住宅政策と厚労省の生活保護とか困窮者支援という政策統合による真の居住のセーフティーネットの構築というのは、ここで今日、議論しているわけですが、急務だろうと思います。

ところで、「唯一の朗報」と書いたことが起きています。日本には空き家が激増しております。先ほど北課長のお話にもありましたけれども、直近の2013年時点の住宅・土地統計調査では、全住宅の13.5%、820万戸が空き家です。多分国交省のほうで分析なさったと思うのですけれども、そのうちの半分強が賃貸用の住宅でありまして、429万戸ございます。うち、現行の耐震性を満たしていて、駅から1キロ以内のものが137万戸あるという結果です。一方、今、激増しているのがピンク色、オレンジ色の部分、「その他空き家」と私たちは言いますけれども、これはもともとは持ち家であったところが入居者の方がお亡くなりになったり転居されたりして、そのまま空き家になっているもので、その多くは1戸建て住宅ではないかと思われます。ですから、住宅はないわけではなく、空き家はいっぱい余っているというのが住宅分野からぜひ指摘したいことです。

 しかしながら、次のページの上を見ていただきますと、だがしかし、家はない。生活困窮者の方、生保の方に家はないということになっています。なぜでしょうか。

 確かに賃貸用の空き家はたくさんあるのですが、遊んでいます。民間の家主さんは高齢者、障害者等に対して、借りたいですというと、その方の属性を聞くとお断りされます。これは国交省で何回も民間の日本賃貸住宅管理業協会などにお願いされて調査されていますが、拒否感が非常に強い。その理由を聞くと、家賃を払ってもらえなくなるのではないか。近隣とのトラブルがすぐ起きてしまうのではないか。一番怖いのは、居室内で死亡事故が起きてしまうのではないか。だから貸さないということです。

 しかしながら、実は家主さんも実情はどうかということで言うと、日本の民間賃貸住宅というのは、ものにもよりますけれども、大体10年間で建物の費用は償却してしまうのです。ですから、建物の建設費の償却が終わっているものであると、無理して貸さなくてもいいという判断があります。それからもっと多いのは、家主さん自体が高齢化していて、建物も老朽化しているので、無理をしなくていいというだけではなく、経営意欲自体が減退しているということがあります。お金は入ってこないわけですが、でも、家賃は下げたくない。ですから、信用力のある方が借りに行くと、今、どういうことが行われているかというと、フリーレントです。ほかの人の家賃を下げたくないので、何カ月間はただで貸します。ということで家賃が維持されています。

 あるいは私の教えているような学生が借りに行くと、ずっと4年間住んでくれるのであれば、学割をしてあげますと。そういうことで何とかマーケットのプライスを維持しようということが行われています。

 一方、もう一つ増えつつあるその他空き家ですが、これは放置された状態に近いと思います。なぜなら、それを持っている人はほとんどが素人と書きましたが、それは賃貸を目的とするようなことで建てた家ではないからです。自分の家、親の家だったわけです。ですからそれを運用しようとか、追加投資しようという動機がそもそもないのですが、実はそうしようと思っても、日本の住宅政策上、いまだに古い建物は価値がないということになっていますから、今回改修に対して補助金をつけられたわけですけれども、3分の1補助です。だとしても、本当にあと3分の2を自分で手当てをして、それをマーケットに出そうと考えられる方は極めて少ないという状況があります。

 一方で空き家特措法という法律ができて、今、各基礎自治体では空き家の調査をされています。ところがそこはどういう状態かというと、除却偏重と書きましたけれども、お隣に迷惑をかけるようになったものをとにかく壊すことを公的に行えるようにしましょうということが優先されていて、まだまだ使える空き家を活用しようということは、空き家特措法の中には、極めて微弱であるということと、実は空き家を調査しているところと、住宅を活用しようとするところ、あるいは福祉部門というところは、基礎自治体に行くと全く別々に行われているので、そこのところの線がつながっていないという問題もあるのではないかと思います。

 こんなにふえている空き家を活用するには何が必要かというと、結局のところ、「生活支援」というソフトがないと、ハードが使えないという状況があるのではないかと思います。これは御本人のためだけではなく、家主にとってもそうなのです。家主の安心感から見て、入居者の方の見守りそれからいろいろな方との近隣との交流それから励まし、それから最悪の事態にさせないための下支え、底抜け阻止というのは、家主さんにとって最大の安心感なわけです。これはイコール御本人にとっての関係力の回復と安心感ということで、そういう意味での「生活支援」というのは大変重要だと思っております。

 ところが生活支援というものは、いろいろな方にお聞きすると財源がない、担い手がないということになっているのですが、私は先ほど御紹介のあった本当に画期的な福祉住宅行政の連携強化のための連絡協議会が始まったということで、資料を見させていただいているのですが、最初にすばらしい図が載っていたので、そのままここに掲載させていただきました。「住宅確保要配慮者等に対する居住支援施策(見取り図)」というものを見ますと、入居支援に始まって、生活支援の提供というところに、対象別にありとあらゆるとは言いませんけれども、本当にたくさんの施策メニューがここに挙げられているわけです。

 私が思いますのは、実はお金が足りないのではなく、知恵を使っていないのではないだろうか。知恵を使うところはどこであろうかということで考えると、実は一番の現場、地域の実情に即したまさにここにいろいろオレンジ色で挙げられているもの、それからそれをつなぐものとして居住支援協議会という水色のものがあるのですが、居住支援協議会でもあるいは社会福祉協議会でも福祉事務所でもいいと思うのですが、こういうものを本当に縫い合わせて、地域の事情に即した統合的な運用を行う。その中では地域独自の創意工夫ということが必要ではないかと考えています。

 これは私のある意味独断で考えた、こういうことができないかという新しいデザインです。どういうことかというと、地域の普通住宅を活用したグループ居住ということを推進してはどうかと考えております。

 現在、東京ですと、生活保護の住宅扶助の上限額が5万3,700円、多分1Kのお風呂があるかないかどうか、16平方メートルぐらいの一間の部屋を借りるのが精一杯でしょう。生活費も加えて生活保護費全体で仮に13万円。月給13万円の公務員だと考えたらどうでしょう。暮らせますでしょうか。ここに生活支援を届けたり、あるいはこの方の孤立化を防ぐことは大変難しいです。生活保護というのは、“ネット”ではありません。私は“鉄板”だと思います。少し努力すると、生活保護費が減給されるので、その人はそれを超えない限り、その鉄板から浮かび上がれないわけです。ですから、そこに吸いついてしまう。

 私の考えたパラダイムシフトは、イメージとしては、自転車で10分程度で行き来できる半径2~3キロメートルのところに、保護の方が例えば3人いらっしゃれば、月給39万円の3人家族の公務員家族だったら生活できないでしょうかという考え方です。3DK60平方メートルの住宅、家賃10万円、結構いいものが借りられると思います。ここで共同的な生活、これはこの方たちだけの閉じられたという形よりも、先ほど来お話があるように、何らかの専門的な支援、バックアップが必要だと思うのですが、そこから9万円ぐらいの費用を捻出しようという私の捕らぬ狸の皮算用です。そうするとそこに半径2~3キロメートルの中に10ユニット30人の方がお住まいであれば、9万円の費用を集約すれば、月額90万円になります。であれば、月3人の見守り支援員を配置して、大変なことが起きる一歩手前を何とかできないかと思っております。

 なぜそういうことを考えたのかということなのですが、「『地域・グループ居住』による『地域経済』の活性化」ということが必要ではないかと思ったからです。なぜかというと、私たちは地域にたくさんの社会保障費を投入し、なんとか皆さんが安定的な生活をと思っているわけですが、地域に関係資本というダムが蓄積されない限り、生活保護費などは砂に水をまいているような状態ではないでしょうか。生活保護費の投下が地域の経済循環を創出するような、そういう可能性はないのだろうか。国全体の生活保護費、これは予算ベースで、2016年で3.8兆円という数字ですが、うち16%の住宅扶助費6,000億が、日本国の、ほとんどが低質な民間の賃貸住宅に対してこのお金が使われているわけです。

 先ほどいろいろ家賃滞納のお話もありましたが、最終的にはこのお金は保護の対象となっていらっしゃる方あるいは困窮者の本人ではなく家主に行くわけです。最終的にこのお金を受け取っているのは誰か。家主であるということです。ですので、そういうところで遊休化している住宅をフルに活用し、そこに今、使っているお金と同じだけのお金で先ほど言ったようなグループ的な居住という中から、生活支援員、ここで雇用が創出する。ここで生活が展開されることによって、いろいろな経済行為の中から納税が行われたり、あるいは雇用を生むことによって、未来の納税ができないかという私のデザインです。

 ですから、ここでの議論というのは「いろいろなところとの関係性」というのがあると思うのですが、まさに地域をどう活性化するかという意味で言えば、地方創生とかそれから雇用を生む働き方改革とか、いろいろ今、キャッチフレーズで言われているようなことも、ある意味すごい関係していて、そういう見方ができないかと思っています。

 最後にせっかく機会をいただいたので、多少衝撃的なことを言うと、住宅扶助費が年間約6,000億ですね。10%とは言いませんが、このうちの5%、300億円を家主さんから出してもらえないか。そうすれば、ちゃんとした賃貸住宅経営ができますよ、あなたの遊休化している家について、入所者への生活継続を支援して貸せる安心感をお約束できますよという、例えばそういう費用に回せないか。そういうようなことも考えられないかと思います。

 最後、「解法の実例」ということで、先ほど来いろいろ御紹介があった「ふるさとの会」です。私もいろいろかかわりを持ってお手伝いしてきましたけれども、ふるさとの会の周辺に介護事業会社だとか、それから社会的不動産ということで、最近は家主さんに寄り添う建物賃貸借家賃保証会社を設立したり、そういう中で空き家を活用し、居住の安定とそこの事業の中で雇用を創出し、「支援付き就労」を実現されています。ただ、最近の課題は最後のみとりということが大きな問題で、医療との連携ということが最重要課題というようなこともお聞きしております。

 2つ目の「京都市高齢者すまい・生活支援モデル事業」というのは、通称地域善隣事業というニックネームで、「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」という、厚労省のモデル的な3年限定の事業で誕生したものです。京都市が居住支援協議会をつくって、そこがプラットフォームになっています。家探しは協力する不動産事業者が担当しておりまして、京都市は、小学校区の割りというのがすごいきちんとしているというか、逆に言うと強いところですけれども、そこの入居後の支援ということでいうと、これは京都市の老施協の方々が各地区の社会福祉法人8団体を選定し、不動産会社のお兄さんと、社会福祉法人のスタッフがユニットを組んで住みかえのところから住みかえた後の見守りまでやるということで、2年間の間で44件の成果を上げていらっしゃいます。

 もう一つは都市型で、「住まいサポート福岡」ですが、これは福岡市社協がそこにコーディネーターを置いて同じように不動産事業者の協力店とそれから生活支援を担う支援団体、不動産事業者は28社、生活支援を担う団体は14団体で、さまざまにある介護保険とか死後事務とか相談、権利擁護、そういう22種類のサービスを提供されています。こちらは2年間で118件の実績を上げられたということです。

 最後、もう時間をオーバーしていますが、「(参考)個々バラバラな行政の問題」ということを指摘しておきたいと思います。私は長らく住宅をやってまいりましたけれども、実は、基礎自治体の役割というのは、この少子高齢社会、特に高齢と生活困窮者の支援ということで大変重要だと思うのですが、福祉の各種の事業は市町村ベースです。介護保険も市町村ベースです。都市計画も実は市町村ベースです。ところが、住宅は住宅政策という専課は基礎自治体にはない場合が多いのです。日本の住宅政策は、公営住宅をつくることで20世紀一生懸命やりましたが、空き家の活用というのは、住宅部門で受けられるところがなく、企画課とかあるいは都市計画部門が担当していたりしています。ましてや民間の賃貸住宅というのは、行政のらち外でした。住宅セーフティーネット法は以前からありますけれども、この問題を視野には入れているのですが、市町村をベースにした抜本的な取り組みがない。ここは霞ヶ関ですが、あるいは永田町の責務ということで言うと、基礎自治体にきちんとした分野間の連携が図れるような枠組みをつくるということも極めて重要ではないかと思います。

 それから、少し先のことを心配すると、特に最後のみとり問題というのが大都市ではこれから大きな課題になっていきます。それを全て社会的入院という形で引き受けられるのかどうか。医療というものも基礎自治体の中でどう位置づけるのか、大きな課題ではないでしょうか。

 済みません。以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 園田先生、御専門はハード面でありますけれども、ソフト面と申しますか、生活支援の確保のための財源論についても大変大胆で具体的な御提案をいただきました。昔の社援局だったら、こういう話を聞いたらひっくり返っていたかもしれませんけれども、今はもう正面から受けとめていただけるのではないかというふうに思います。

 それでは今、2つのプレゼンテーション、それから北課長のお話も踏まえて、議論を開始していきたいと思います。ただ、今日、御案内のとおり、時間も大変タイトでございまして、もう1つ自立相談支援と就労支援の議論も行わなければなりません。どちらかに力点を置いてお話をいただけると助かるのですけれども、もちろん両方お話しいただいても構いませんが、進行に御協力をいただければと思います。

 それから、御案内にとどめますけれども、今日は高知市長の岡崎委員御本人が初めて御出席をいただいております。それから、松本委員はこの後御用で1520分ごろ退席の御予定と伺っておりますので、少し早目にお話しいただければと思います。

 それではいつもどおり、赤い札を立てていただいて、議論を進めてまいりたいと思います。では、大西委員、それから岡崎委員お願いします。

○大西委員 大西でございます。

 先ほど事務局から保護施設のあり方ということで、触れていただいておりますので、机上に私ども全国救護施設協議会の現在の状況について資料を提出させていただいております。傍聴の方にはその資料がございませんので、ちょっとわかりにくいかと思いますが、短時間で流れと現状、そして今後の展望について少し御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、救護施設についてですが、その歴史は大変古いものです。戦前の救護法から数えますと、ほぼ100年近い歴史があります。

 社会福祉法第2条に定めた第一種社会福祉事業であり、生活保護法第38条1項に規定された保護施設の一つです。その条文では「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする」と規定されておりますが、その時々の時代のニーズに対応した運営をしてきたと思っております。代表的なものとして、昭和33年に精神病院からの社会的入院患者の問題に対応した緊急救護施設の制度化があります。

現在、救護施設にはおおよそ1万7,000人が入所していますが、大体57%ぐらいは精神関係の障害を有している方です。また、何かしらの事情で特別養護老人ホームや障害者施設の専門施設に入れない方、あるいは3障害に該当せず、制度の狭間に置かれた方、ホームレスの方、矯正施設出所者の支援、DV被害者の緊急一時保護等による受け入れを行っております。このように救護施設では、他の福祉施設では受け入れることが難しい方の受け皿としての役割を担ってきました。

 昭和36年に全国の救護施設の組織化を図り、全国救護施設協議会を結成し、この4月からは全社協の種別協議会の一員となって活動を行っております。

 全救協では、生活困窮者自立支援法が施行前の平成25年に救護施設が地域のセーフティーネットとしての役割を積極的に担うことを主たる狙いとして「救護施設が取り組む生活困窮者支援の行動指針」を策定して、全会員施設に対して関連する事業への取り組みについて推進してきました。平成2829年度は、主要項目について「第二次行動指針」に引き継ぎつつ、特に「生活困窮者自立支援制度による就労支援」と「包括的な総合相談の設置・運営、または地域の相談支援ネットワークへの参画や実施協力」の2点を重点として掲げています。特に認定就労訓練については、全施設の認定取得を目指しています。

 資料下段の表は、行動指針に掲げる事業の取り組みでございます。3つのカテゴリーと、3つのフェーズに整理をし、行動指針の実施前後の比較です。例えばカテゴリー丸1「救護施設の機能として制度化されている取り組み」のフェーズA「すべての救護施設が取り組むべき事業」に属する事業は、7090%の実施率となっております。

 続いてカテゴリー丸2「救護施設の機能をさらに活かす取り組み」では、フェーズB「救護施設が現状以上に取り組む事業」として推進をした結果、これも80%を超える実施率となっております。行動指針を掲げる前の実施率と比べ、その数字が伸びていることが分かります。このように、多くの救護施設でさまざまな事業に取り組み、循環型施設として機能しているところですが、それぞれの地域の事情等により、長期に施設を利用している方がいることは事実として認めるところでございます。

  資料にもありますとおり平成16年の生活保護制度のあり方に関する専門委員会の報告の中で、救護施設は「生活扶助だけでなく自立支援を行うことを目的とした施設であること」、「地域生活を希望する者、またはその可能性がある者に対しては積極的に地域生活へ移行を促進すること」ということが示されました。これを受けて全救協では、平成19年に救護施設の今後の機能強化の方向性として「セーフティーネットの強化」と「地域生活移行支援の強化」の2つを提案いたしました。これらをしっかり裏づけるために、救護施設では自立支援の観点から、受け入れた利用者の次の展開、いわゆる生活の継続や他法施設への措置変更、地域移行をより適切に行うためのエビデンスとして、全救協自らが開発したWHOの国際生活機能分類、ICFの理念を含めた、「救護施設個別支援計画書」を多くの救護施設で活用し、「施設から地域へ」、「地域から施設へ」という循環が可能な支援体制の構築に向け取り組みを進めてまいりたいと思っています。

今般の社会福祉法人制度改革における「法人組織のガバナンスの強化」や「事業運営の透明性の確保」、「地域における公益的な取り組み」等にきちんと対応するとともに、会員施設における第三者評価の受審の促進により、質の高いサービスを救護施設として目指したいと考えています。本年度中に救護施設版の第三者評価の基準ガイドラインが示されると思いますので、これらを通じて救護施設の見える化を丁寧に行い、

救護施設が正しく認知され、社会、地域住民に期待される存在としての役割を果たしていきたいと思います。

 以上でございます。

○宮本部会長 大変ありがとうございました。

 続きまして、岡崎委員。原則3分程度の御発言ということをルールにしておりますので、よろしくお願いいたします。

○岡崎委員 1回目、2回目、来られませんでしたので、代理を出させていただきました。生活支援相談センターをモデル事業のときから、厚生労働省の方々の御支援もいただいて立ち上げておりまして、実績で言うと、今、大体年間で700件ぐらいの御相談を受けております。もちろん、いろいろなケースがありますので、基本的にはどういう相談も決して断らないということを一つの大きな基本としています。そして最後までずっと伴走型でいく。「諦めない、そして断らない」というのをキーワードとして生活支援相談センターを運用しております。生活困窮の相談が多いので、700件のうちの約4割は福祉事務所につなぐということで、あと6割はさまざまなケースがありますので、ケースごとにそれぞれ相談をしながら、また、専門の機関につないだりということにしております。多分、地方都市の今の課題は、抱樸の具体的な事例、奥田様も30年近くやっていますので、ずっと積み重ねる中で、今、総合的な対応が非常に可能になってきていると思いますが、通常の地方都市の悩みで言いますと、私どものところは行政と最初からの立ち上げを共同でやりました、高知市の社会福祉協議会と基本的にはこれに民協、社協が入りますけれども、基本的に運営を回していますけれども、民間のNPOがまだまだ十分に組織体としてありませんので、そういう組織体を育てていくということにしないと、行政も社協もマンパワーだけでは回せないので、そこが非常に大きな課題だと考えております。

 もう一つ、本日の議題で関連します、例えば一時生活支援また居住支援の関係で言うと、人数は少ないですけれども、児童福祉施設ですね。これは今、少し運用も融通がきくようになりましたが、児童福祉施設で知的障害のある子供さんが、特別支援学校の中学校、高校を卒業して、そのまま1人になるケースがたまにあるのです。そうしますと、特別児童手当とかは18歳までで、障害年金は20歳からなので、1819歳の間に収入が切れるのです。たしか、今もそこは多分カバーできていないのではないかと思いますが、そうしますと、例えば児童福祉施設なので、親しい親族がいないという場合もあるので、そういう子供さんが1人になる場合があるのです。そうすると、制度の谷間があったりするので、ここは多分、運用改善で、例えば20歳まで施設にいられるようになったのではないかと思いますが、財源の問題とかいろいろあると思いますし、高知市でも現実にその子供さんは外へ出て、収入がないので、非常に対応に困ったというケースもありましたので、制度上そういう谷間がある部分もあるので、そういうところを含めてしっかりサポートしていくということが重要だと思います。

 それともう一つは、コーディネートする人が、今日も勝部さんを初めコーディネートをされている方々がたくさん来られていますけれども、いろいろな制度、縦割りのものを、当然我々の市町村で言うと横にできるだけ面的につなげていかなければいけませんので、コーディネーターは必ず必要です。私どもは市社協を中心に地域福祉コーディネーターをブロック割りにして15名、市社協の中へ置いていますけれども、そこで地域からいろいろ上がってくるものをできるだけ調整しながら専門的につなげていくというのが必要なのですが、そういうコーディネーターは絶対必要になりますので、そういうコーディネーターがいないとつながりません。地域福祉コーディネーターというのはこれから各市町村各地域ともずっと置かれていかないとつながらないので、そこの財源の確保ということは頭に置いておいていただきたいと思います。

 それと生活保護で言いますと、ケースワーカーはものすごく忙しいですし、今の生活保護の割合というのは高齢者が受けるケースが非常に多くなっていますので、入退院が頻繁にありますし、また、介護の手続とかかなり煩雑になっていますので、例えば事務の支援員とか、就労できる年代で言うと就労支援員とか、それから生活保護の中学生をできるだけ高校進学をする必要がありますので、修学支援員とか、私どもも非常勤特別職で支援員を幾つかの分野に分けて、多分20名以上色々な支援員を置いていますので、ケースワーカーの本体の正職員プラス外回りをやる職員も相当いるので、そういう部分と役割分担しながら、そして財政負担をどうするかということを考えながら、総合的に進めていくということが非常に重要だと考えます。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続きまして、駒村委員それから平川委員、お願いいたします。その後、勝部委員、お願いします。

○駒村部会長代理 ありがとうございます。

 2つほど情報をいただければと思います。大きく2つです。国土交通省のほうの住宅確保要配慮者、これは大体どのくらいの人数がいらっしゃるという想定でこの議論があったのかですね。タイプ別に想定されているボリュームというのは、どんな感じだったのかというのを教えていただければと思います。

 それから、今日は住宅政策と生活保護、生活困窮者政策がクロスオーバーするところなのですけれども、資料1の28ページ。先日、考えさせられたのですが、28ページのサービス付き高齢者住宅の位置づけなのですが、これは大阪の事例らしいのですが、生活保護を受けている方でもサービスつき高齢者住宅は使えるというところで、家賃を住宅扶助の水準まで思いっきり下げておいて、生活保護から共益費等を出していただいて、さらに要介護ということになれば、関連グループ企業からのサービスにたくさんいっぱい使っていただくというような動きがあるということになってくると、介護保険もクロスオーバーしてくる分野かなと思っていて、実際にはP28のサービスつき高齢者住宅はウイングが左に広がってきているということかなと。他法他施策優先なので、問題ないといえば問題ないのかもしれませんけれども、一方では、これは介護保険政策のところで議論するべき問題なのかもしれませんが、生活保護を受けている方の介護との関係の情報をいただけるかなと思っていて、要介護者がどのくらいいるのか、それから要介護者の居住場所はどうなっているのかというのと、それから介護扶助のみならず、介護扶助の総額は一体どういう状況になっているのか。今、生活保護受給者はかなり高齢化をしてきているわけですから、今回、議論の生活支援という話とはちょっとずれるかもしれませんけれども、介護の話もかかわってくるのではないかと思って、事務局にそういう数字があればお出しいただければと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 最初の質問は事務局からということで、2番目のサ高住については、これは事務局にお尋ねしていいのかあるいは北課長にお話を伺うべきなのか、ちょっとわからないところがありますけれども、とりあえず事務局からお願いいたします。それから先ほど私、その後平川委員と申し上げましたが、御退席が近づいている松本委員からも札を上げていただいておりますので、この後、松本委員からお話をお願いします。

 それでは、よろしくお願いします。

○北安心居住推進課長 国土交通省のほうから、まず、住宅確保要配慮者の数字なのですけれども、今日細かいデータは全部持ってきていなかったのですけれども、統計上、いろいろ重複があって、なかなか難しいのですけれども、少なくとも高齢の単身者については、向こう10年で100万人ぐらいふえるという人口上の推計があって、そのうち2割ぐらいは、恐らく民間の借家に居住する割合になるだろうということで、それだけでも20万というようなこともあります。

 あと、要配慮者そのものとして、今回、低額所得者、公営住宅の昔でいう原則階層という収入分位25%、要は、下4分の1というところが入っているのですけれども、それも含めると、実は要配慮者はかなりのボリュームになります。逆に言うと、対象者がそれだけになりますけれども、ただ、その中で持ち家に既にいらっしゃる方とか、そういうものを抜いていくと、今回のような政策で引き受ける部分というのはおのずとある程度限られるだろうというのと同時に、使えるほうの、供給サイドからの使える空き家というようなものからある程度目安をつけて、我々の今回の制度の目標としては、年間5万戸ぐらいは登録住宅としてまずは登録をしていただこうという目標を実はしておりまして、今回の法律のKPIではスタートが今年の10月からと半年になるので、最初の3年半で175,000戸というのをKPIに置きました。というようなことを今、やっております。

 もう一点、サービス付き高齢者向け住宅につきましては、御指摘のように大阪などではかなり生活保護受給者も入られている家賃水準のサービス付き高齢者向け住宅がどうも多い。大阪はかなりあるということで、都道府県別で平均家賃を見ると、たしか大阪は低目に出ています。全国平均ですと家賃と必須サービス費で大体合わせて10万円ぐらいの設定なので、生活保護水準まではいかないところなのですけれども、大阪だけは低いところがございます。それが成立している背景としては、御指摘のとおり、本来介護は外づけですから、どの介護事業者を使うのかは利用者が選ぶのですが、実態は併設されているところや、関連するところを使われており、恐らくパッケージで供給するスタイルになっているというのがどうもあるようです。このことは大阪府で調べられたもの、国の財政審でも出ているものがありますけれども、大阪の場合のサービス付き高齢者向け住宅ですとか介護付きの有料老人ホームですとかが要介護4とか5の人に関しては特養よりも介護費用がかかっているというようなデータが出ていたりしまして、どうもそういう形で成立させているエリアもあるようだというのは、数字的には出ているという状況がございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 では、北課長からのお答えということはよろしいですね。

○駒村部会長代理 生活保護で介護を受けている人の情報はまた厚生省に後日でお願いします。

○宮本部会長 今、一言お願いします。

○鈴木課長 追ってデータを整理して提出させていただきます。

○宮本部会長 では、続きまして松本委員、お願いします。

○松本委員 私のほうは医療からということですので、実は、ホームレスの方や生活困窮者の方で住居を転々とされていらっしゃる方で、生活保護も受けていらっしゃらないという方が時々来院されます。例えば糖尿病の重症の方で壊疽を起こしているとかあるいは腎障害を起こしている疑いのあるような方、外来の通院では難しいと思われる方がいらっしゃいます。入院を依頼するのですけれども、生保にも入っていらっしゃらないので、医療扶助が受けられない。こういった方は治療に難渋することがあります。

 難しい問題だとは思うのですけれども、正直言って、生活相談支援センターに行く時間も余裕もないし、区役所等に行って実際に申請をする余裕もないという方に対して、例えば何らかの緊急避難的な手当てができるといいのかなということを年に何回か経験することがありますので、問題提起としてお話をさせていただきます。

 結局、何回か外来でいらっしゃっているうちにまたどこかに行ってしまう。あの体でどこに行ったのだろうということがございますので、何らかの手立てがないかなということを思っております。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 それでは平川委員、それから勝部委員、お願いします。

○平川委員 ありがとうございます。

 最初に、特に議論いただきたい点のうちの、無料低額宿泊所の関係です。悪質な事業者の規制に係る法令の規定の整備であるとか、生活支援サービスを提供している場合のコストをどのように負担するかというところです。無料低額宿泊所は措置施設ではないということでもありますし、入所される方と宿泊所との契約関係の中で入居されるという話になるかと思いますが、その場合、結局、例えば生活保護受給者であれば福祉事務所は助言、相談ということで本人に行いますけれども、宿泊所との直接的な関係というのはかなり薄いという制度的な状況があります。一方で、福祉事務所との関係を強くすると措置施設になるのかということになりますと、それはまた規制が強くなってしまって、逆に自由な実態に応じたサービス提供ができなくなったり、入居者についても限定されてしまうというような問題がありますので、その辺の論点について、もう少し詳しく記載をお願いできればと思っております。

 特にコストにつきましても、保護費でやるのか、ほかの制度でやるのかという論点もありますし、もっといえば、国の制度ではなくて、無料低額宿泊所については地域偏在が、多分それなりにあるかと思いますので、それは地方自治体の自主的な取り組みの中でやってくださいという考え方もあるのかもしれません。その場合、それもどうしていくのかということや、交付税措置の中で何らかの行政需要をしっかりと見ていくのだというやり方もあるかもしれませんし、その辺、どういうやり方があるのかということも含めてもう少し詳しく論点のあるポイントというものを、今後ヒント的なことも含めて記載をしていただいたほうがいいのかなと思っております。交付税措置ですと、例えば大阪は単身者が多いので、福祉事務所費についてはどうも十分に交付税措置がされていないのではないかという意見も昔からございますけれども、そういう問題はありますが、その辺をどうしていくのかということもしっかりと押さえておく必要があると思っているところであります。

 それからもう一つ、一時生活支援の関係です。宿泊支援とセットということでホームレス対策事業やシェルター事業を組み込む形で制度化されたというような経過もあるかと思いますが、その場合、現実、地方の労働福祉団体がやっている支援の中を見てみますと、フードバンク、食糧支援というのが大きなポイントになっているというようにお聞きしております。自立支援事業などでフードバンクの団体と連携して食糧支援を実施するというケースや、フードバンクの団体が困窮家庭へのアウトリーチ機能に着目するというケースもございますし、今日の資料の中でも、静岡のほうではそういうフードバンクの取り組みということも一つ紹介されておりますので、フードバンク事業の役割ということについても見える化をしていき、重要な資源の一つだということで位置づけをしていく必要があるのではないかと思っています。フードバンク事業、実際、フードバンクの担い手がいないという問題がありますので、そういう問題も少し解決していかなければならないかと思っているところであります。

 以上、2点にわたって意見として言わせていただきます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 両方とも大変大事な問題でございまして、無低の規制あるいは質確保については、これは改めてたたき台などを出していただくなり、例えば奥田委員からいろいろ御意見もいただくなりして少しずつ進めていければと思います。

 それでは、勝部委員、お願いします。

○勝部委員 今回の居住支援協議会の取り組みということですが、住宅をどうやって設置していくかということについて、生活困窮者自立支援法が始まりましたその前のモデル事業のときから、我々大変大きな課題でありました。昨年1年で40件ほどの住みかえ支援をしておりまして、40件というのはおよそ週1で引っ越しをさせているということになります。それぞれの方々の保証人がいない問題、家探しそれから住宅を借りるための初期費用がない方々の応援、それからいろいろな手続が全くできない方々、また、生活用品が整えられないということで、住宅を設定するということについては労力と手続、たくさんのことが必要になります。

 引っ越しする前の家のいろいろな課題も残されておりますので、さらにということになります。ここでこういう体制が整って、居住支援団体というのがきちんと明確になって、この部分のボリュームというのが相当出てくるところをハード面とソフト面でサポートできるということは大いに期待したいと思っているところですが、一方で、URは日本で一番大きな大家さんということになると思うのですけれども、居住支援の中の不動産としての賃貸としてここは協力してもらえるのか。

 私どもの街はURもたくさんある街ですので、保証人がなくて非常に入りやすいという面もあるのですが、全体としてその後のいろいろな課題が出てきたときにサポートする、生活支援のところでいろいろな課題を抱えているのも現実です。URの果たす役割にも期待したい。

 先ほどサ高住の問題が大阪の独特の課題ということですが、我々は高齢になったりとか、それからいろいろな生活課題を抱えている方々、民間住宅にいきなりというのは難しいと思われる場合には、サ高住を活用しているということもあります。当然そこの1階部分には運営法人がデイサービスを持っていて、ヘルパーがやってくるというふうなことで、実態としてはそこで生活が何とかぎりぎり回せるということもあるのですけれども、嗜好品すら買い物ができない。全く何も自分のお金が残らないという設定の生活をやむなくしているという状況もあります。新たな居住支援の形のところで生活支援もついたサポートのような体制ができれば、住宅を選ぶというところでももう少し幅ができるとも思います。居住支援法人と生活困窮者支援との連携も大いに期待したいなと思います。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、竹田委員、岡部委員なのですけれども、済みません、私の不手際もございまして、今日は1610分まででございますけれども、自立相談支援・就労支援についての議論は、少なくとも40分ぐらいは確保しなければいけないかというふうに思っておりますが、そうしますと残るところ5分ということになりまして、どちらか後段のほうに回っていただいたほうがはまるという方はおいでですか。それともこの段階で。岡部委員、竹田委員。わかりました。では、ここで言っていただきます。

 では、竹田委員。

○竹田委員 では、後段で。

○宮本部会長 いいですか。それは何か申しわけないような気もしますので、では、後段のほうで御発言いただく。

 では、岡部委員、お願いします。

○岡部委員 まず、平川委員から出ました貧困ビジネスについて、基本的に貧困ビジネスは必要悪という考えの下で存続するのは断じて許されないと考えます。それは納税者にとっても、必要に適正に使われているかどうかであり、また制度に対しての信頼感につながってきます。悪質な事業者と良質な事業者を切り分ける法的な規制が必要です。法的な規制と言ったときに、ガイドラインではなく、法律で書き込むことが可能かどうか。それはサービスを提供する事業者、利用される人それぞれの観点から法律で書き込むことができないか。またそれ以外の方法でできないかが議論がされました。もう一方は、良質なサービスを提供している事業者については、積極的に促進する方向で制度的な手立て、財源的な手当てができないかという意見が出されました。これは平川委員への応答ということでさせていただきたいと考えます。

 もう一点、一時生活支援事業の関係なのですけれども、ホームレス自立支援法、生活困窮者自立支援法で積極的に関わった成果が出ましたので、ホームレスの数は非常に減ってきました。しかしもう一方でホームレスの長期化や高齢化と同時に、多様な生活の課題のあるホームレスが路上に残っています。そこで、これは自立相談支援事業の中でアウトリーチで働きかけを行い、発見、相談につなぎを行う必要があります。具体的には巡回相談支援事業。これは自立相談支援事業の範疇に入りますが、そこで専門的な働きかけをする職員がいないと行えませんので、質、量ともに人的な整備を図る必要があるのではないかと思っています。

 先ほど、奥田委員、大西委員等も言われましたように、支援は、住居の提供と同時に、やはり専門的な支援を投入していかなければいけないとをおっしゃったと思います。人と仕組みができるかどうかを、本事業の中では考える必要があるのではないか。もう一つは園田参考人等がおっしゃった総合的な相談と、そして総合調整し、具体的な介入の3段階ぐらいのことは、基礎自治体の中でパッケージ化してやれるようなセクションがあるのがよいのではないか。生活困窮者自立支援法の中の生活困窮者自立相談支援事業の中で、すでに形式的にはできている。その中でこれらの情報の収集と提供とその活用ができるかどうかになるのではないかと思います。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 無低についての先行する委員会の背景についてもコメントをいただきました。この後ですけれども、浦野委員それから渡辺委員について、この前段のテーマについて最後に御発言をいただいた上で、その後自立相談支援及び就労支援の残された議論なのですけれども、これは前回、菊池委員と新保委員、札を上げておられるのにそこで止めてしまいましたので、約束は守らなければということで、菊池委員、新保委員から口火を切っていただいて、竹田委員は大変お待たせすることになるのですが、その後にお話をいただきたいと思います。そのような段取りでお願いします。

 では、浦野委員、お願いします。

○浦野委員 手短に申し上げます。

 まず、一時生活支援事業について。例えば、借り上げ型のシェルターなどが年を追ってある程度ふえてきているというデータがございます。それはそれでとても大事なことだろうと思うのですけれども、例えば、空き家を使うということではなく、空き福祉施設を活用するということはできないだろうかと思っております。

 例えば、障害者の分野のグループホーム。常に満床というわけではない。空いているときもある。もちろん満床のときもあるでしょう。そういうところを空いているときだけでも使えるような仕組ができないだろうか。そこに当然職員が一定程度配置されていますので、職員による支援ということもできるのではないか。もちろん、法律上別の制度だとか、別の財源だという話は当然出てくるのでしょうけれども、何も福祉施設側がそれで新たにお金をくださいという話ではなく、空いている資源を使うということを、この中で取り入れることができないか。例えば、養護老人ホームの現在の入居率が91%ぐらい。9%ぐらい空いているのです。もちろん空いている理由の中にはややけしからん部分もあって、財源が一般財源化された途端に措置をしなくなったというような問題もあるのですけれども、それでも現に養護老人ホームが91%ぐらいであるとか、軽費老人ホームも93%ぐらいだということで、若干空いている。常に空いているとは限らないけれども、空いているときはそういうものに活用するというようなことはできないだろうか。この辺は制度をどうやって整理していくかということがあると思います。

 それから居住支援について1点感想を申し上げますけれども、確かに貧困ビジネスの問題というのはあるのだろうと思います。私はやはりここは当然物理的な条件としてきちんとした居住環境ということが大事であると同時に、そこに専門職をきちんと配置していく。そのために一定の費用を公的に見ていく。社会福祉士を配置するというようなことも考える必要があるのではないだろうかと思います。ただ、一つ一つの無料定額宿泊所に一人一人社会福祉士を配置するというようなことは難しいかもしれない。また、経営主体によっては、社会福祉士の人材確保ができるという自治体ばかりではないだろうと思います。

 そこで、例えば地元の社会福祉協議会とか社会福祉法人が持っている人材ストック、社会福祉士を5人抱えている、10人抱えているという中で、無料定額宿泊所と契約して社会福祉士を例えばそこに1名派遣配置をする。あるいは2カ所を1名で配置するとか、そこはいろいろあるのだろうけれども、やはり一定程度そこに専門職が関与して、そこの居住者の人権をきちんと守っていくというような仕掛けをしていくということが必要なのではないかと思っております。

 以上でございます。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 続いて渡辺委員、それから前河参考人もこの部分で御発言したほうが適切であるということで、最後にお願いいたします。よろしくお願いします。

 では、渡辺委員。

○渡辺委員 ありがとうございます。

 私のほうは、子育て世代に当てはめてみると、園田先生がおっしゃっていたその他空き家みたいなものは、低所得の子育て世代には非常にマッチするのではないかと思っておりまして、非常に所得が少ない中で、狭いアパートに住んでいて苦労をされている方たちなので、そういう方たちが家賃の補助みたいなものが空き家政策の中で入って、クオリティー・オブ・ライフも上がり、生活の質も上がるのでいいのではないかと思っています。

 これは先日、ある不動産屋さんからキッズドアさんでちょっと某区の福祉部署を紹介してくれませんかと言われたのですけれども、要は、その方は不動産屋をやりながらその他空き家みたいなものが非常に多くて、どうするかというと、結局借り手がないと潰してコインパーキングにするのですけれども、結局装置産業なので、コインパーキングにしても幾らも入らない。でもまだまだ住める家だから、誰かに借りてほしいのだけれどもということです。その方は空き家対策をやっているので、既にその区の、空き家の部署とはつながっているのだけれども、福祉の部署とはなかなかつながれないので、どうやっていったらいいかわからないみたいなことがあります。そういう意味でも、本当に高齢者の方は大変だと思うのですけれども、子育て世代とかでうまく使ってくれるのだったら、ビジネスとして、不動産屋さんが一生懸命入ることで回る仕組みができるのかなということはちょっと思っております。

 その方も言っていたのですが、1つは大家さんが、キッズドアさんが借りてくれるのだったらいいのだけれども、福祉というか、御家庭に貸すのだとちょっとあるかもしれませんねみたいなこともあって、まだまだ空き家になっていて困るし、大家さんも貸したいというか、親が亡くなってしまった後の家をどうにかしたいと思っているのだけれども、それを次の世代に半分社会貢献みたいなことも含めて貸していくみたいな事例がないので、そういうことをうまくムードをつくっていく。「思い出の家を次世代に」みたいなそういうムードづくりをして事例が出てくると、親が亡くなった家を潰したくはないけれども、置いておくと最後本当にぼろぼろになって強制撤去みたいになってしまうみたいなところで困っている方がいらっしゃるので、そういうところはうまくこの制度を使って、家賃補助があるから低所得の方も入れるし、そこでお家のない方とマッチングするようなことが進めばいいなと思いました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 では、前河参考人、お願いします。

○前河参考人 大阪府のほうからは、無料低額宿泊所の法規制の問題と保護施設について手短にお伝えしたいと思います。

 大阪府におきましては、資料1の20ページで御紹介いただいていますように、条例を設置しております。平成29年4月1日現在で141事業者の届け出がありまして、各福祉事務所と連携して、未届け事業者の把握ですとか、届け出推奨の実施に努めておりまして、条例施行以降、条例に基づいて勧告等を行った事例は見られておりません。結果的に、この条例の設置によって悪質な事業者の排除に効果が見られておりまして、その反面、条例を制定していない自治体に流れていることも考えられますので、法令で規制されることがかなり効果があるのではないかと考えております。

 あと、保護施設のあり方の件なのですが、先ほど大西委員からも御紹介いただきましたように、救護施設が行動指針に従いまして、大阪府内でも救護施設が地域支援ですとか大阪しあわせネットワークにおけるさまざまな地域貢献、自立相談支援の受託それから認定職業訓練事業の実施、一時生活支援の実施といった先進的な取り組みを実施されております。こういった取り組みが保護施設全体で広がることが望ましいと思いますので、現状の無料低額宿泊施設への緊急な対応とともに、今後、全国における保護施設の実情ですとか課題を調査研究等で明らかにした上で、今日的な保護施設のあり方とか今後期待される保護施設の専門機能についての検討や議論をしていただきたいと思い、御意見させていただきました。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 急がせてしまって大変申しわけありません。一時生活支援それから居住支援については、今日、御欠席の朝比奈委員から文書での御発言もございます。事務局のほうからポイントだけ御紹介いただけますでしょうか。

○本後室長 委員の皆様、机上配付資料というものがございます。「朝比奈委員提出資料」というものですけれども、一時生活支援それから居住支援について御意見が出ております。一時生活支援事業につきましては、単に一時的な生活の場を提供する機能にとどまらず、サロンのような場につなげることによって、集まった人たちのかかわり、自立相談支援機関以外の支援者による観察による見立てを深めるということができるのではないか。そして、サロンのような場は、一時生活支援事業専用である必要はなく、施設ほどではない支援や見守りの提供の枠組みにも一致するのではないか。

 それから、サロンで短時間のボランティアをやる。そういうことの工夫もあるかもしれない、そんな御意見でございます。

 居住支援に関しましては、その人に何かあったら誰が動くのかという具体的な対応が求められている。そういうことはむしろ後見制度で位置づけられている身上監護の内容に近い。公的保証制度の仕組みづくりがぜひとも必要だ。これは生活困窮以外の分野でも共通の課題ということなので、横断的な枠組みが基盤となるべきであるといった御意見をいただいております。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 これで最初の議題を終了させていただきます。

 延長して時間もおつき合いいただいた園田参考人と北課長、大変どうもありがとうございました。中身のあるお話も大変参考になりました。改めて感謝申し上げます。

 その上で、続きまして、自立相談支援・就労支援について議論を続けてまいりたいと思いますが、先ほどお願いさせていただきましたとおり、それでは菊池委員のほうからまずお願いをしたいと思います。

○菊池委員 今日の点について2点、それからその後で前回分について2点ほどお話しさせていただきたいと思います。本日分に関して、1つはいわゆる無料低額に関してですけれども、悪質な事業者に対する規制をどうするかということで、いわゆる私的自治の原則あるいは憲法上営業の自由が保障されている中で、法令でどこまで規制できるかということで、このあたりは事務局がプロでありますので、詰めてお考えいただきたいのですけれども、その際、規制の根拠法として、生活保護法に根拠を置けないとすれば、たとえこれを社会福祉法に位置づけるとしても、従うべき基準ではなく、参酌基準とせざるを得ないのではないか。その意味では自治体での具体的対応に委ねざるを得ない部分が残るだろうと思います。

 規制の仕方を考えるに当たっての一つの要素となり得る施設の類型としては、今日の資料にもございましたけれども、預かり施設である無届けの施設に対する規制としては、無認可保育所もございますが、やはり生活施設である有料老人ホームとの類似性が高いように思われます。有料老人ホームは老人福祉法に根拠を置き、無届けでも改善命令等が可能となっていますので、一定の法的な規制は可能かなと考えます。ただ、これは直感的ですけれども、有料老人ホームよりも、いわゆる無料低額施設の定義が難しいのではないか。どこまで規制をかける施設とするかという、この書き方が結構難しいという気がいたします。

 もう一点は、保護施設の類型についてですけれども、これは少なくとも1950年の生活保護法全面改正時から変わっていないということでございます。現在とは全く異なる医療、福祉、介護サービスの制度枠組みのもとに設定されたものであります。それぞれの施設が生活保護制度の実施にかかわって、大きな役割を果たしてきたことは言うまでもないところでありますが、保護基準自体が本格的な見直しのもとに置かれている昨今、居宅保護のみならず、施設保護についても同様の見直し、例えば施設類型の改変等が図られてよいのではないかと思います。とりわけデータも出ていますが、精神医療や障害者施策との兼ね合いが気になるところであります。障害者部会の駒村部会長がいらっしゃるのですけれども、障害者部会では精神障害者のための地域の受け皿づくりの議論をかなりやっているところで、その議論の中にこの施設をどう位置づけるのかというのは実は余り意識されていない面があるのではないかということで、こちらのほうでも障害者施策との兼ね合いを念頭に置く必要がありますし、障害者部会のほうでもこちらのほうの議論を気にしていく必要があるのではないかということです。

 それから、前回の分ですが、2点お話しさせていただきます。

 1つは、自立相談支援のあり方について、これは前回私、申し上げたのですが、本人同意がない中で行政機関に対してどこまで情報収集、情報提供を認めるかという点につきまして、やはり納税情報に係る行政事務は、公権力の行使に係る典型的な権力的行政作用であるということで、慎重にならざるを得ないということを述べさせていただきました。

 それに対して、生命の危険がある場合には対応が必要ではないかという御意見も述べられたように記憶してございます。まさに、行政職員の目の前にいる市民が生命の危機に瀕しているということであれば、それは例えば生活保護の急迫保護の問題として扱い得るとも考えられなくはありませんし、そもそもそれは公務員たるものの本来的な職務として当然に認められるものであるという余地もないとはいえないわけで、要は、生命の危機というのがそこまでの現実的危険のある状況を指すのではないのだとすれば、余り抽象的に議論をしても仕方がないといいますか、国民のプライバシーあるいは自由権に密接にかかわる法律改正を必須とするほどの立法事実となり得る具体的な事案、ケースを念頭に置いて、具体的に議論をするのが生産的ではないかと考えます。ただ、私としては法改正という大上段の議論はなかなか難しくて、恐らくはそのレベルではない段階で何らかの実質的な対応がどこまで可能かという、そういう知恵を絞るという作業なのかなという気がしております。

 最後に、就労支援につきまして、前回、町村の立場からの竹田委員、石橋委員の御意見がございました。前回、都道府県が主導して広域対応を行う大阪府の仕組みが紹介され、大変参考になって、そういった広域対応も工夫の余地があるのかなと思いましたが、ただ、そのこととは別に、生活困窮者自立支援のスキームが生活保護に準じていることについて見直す必要があると思います。とりわけ、生活困窮者自立支援に地域共生社会の一つの基盤としての期待があるのだとすれば、福祉事務所を設置しない町村において、都道府県が管轄するという枠組みを改めるべきではないでしょうか。意欲のある町村が自らあるいは活発なNPOなどと協力して事業展開ができないという現状は、ことし社会福祉法の改正で、市町村に対して包括的な支援体制の整備義務を課したこととの関係で平仄が合わないように思います。このことは、福祉事務所を設置すれば町村でも現時点でも実施可能であること、また、町村に事業実施を認めても、生活保護はやはり県に残るということを踏まえてもなお、変えるべきではないかと思います。ただ、このことは全ての町村に実施義務を課すという趣旨ではありません。町村が手を挙げやすいよう、補助金交付要件や人員基準などのハードルを低くすることも必要かと思います。

 このことは、実は私、福島県の第一原発事故による避難指示解除を契機に、今、住民が戻りつつあると、そういうところで新たなコミュニティーの再構築を模索し始めているのですが、戻ってこられる方が高齢者中心であるとか、若い人がいないとか、そういう中でどうやってコミュニティーを再構築していくかという中ではやはり全員動員体制でつくっていかざるを得ないという、そういった積極的な取り組みをしようという自治体がもしあるのではあれば、それを困窮者支援の枠組みでも応援してあげるという、そういう取り組み、改正をお願いしたいということでございます。

 長くなって済みません。以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 4点、いずれも大変根本的な問題を御提起いただきまして、特に前の論点にかかわって、無低の規制というのは、その定義とも関連して、施設類型そのものの見直しにつながるのではないかという御議論、これはまた事務局のほうにも受けとめていただいて、もう一回論点を整理させていただければと思います。

 残りの2点の、最初の情報提供、特に納税にかかわる権利、義務の問題でこれをどういうふうに受けとめるか。ひょっとしたら今、生水委員、お話しいただいたほうがつながりますか。それとも後でよろしいですか。

○生水委員 でも、先に。

○宮本部会長 わかりました。

 では、新保委員。それから竹田委員、そして生水委員、それから小杉委員という順番で進めたいと思います。よろしくお願いします。

○新保委員 それでは、前回の続きですけれども、断らない支援、そして人が人を支える支援を行っていくためには、人材をきちんと配置することが本当に重要だと思います。ぜひ、人材配置基準を明らかにしていただきたいと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございます。

 それでは、続きまして竹田委員、よろしくお願いします。

○竹田委員 今日は、ソフト、ハード含めていろいろな論点で議論がされたのかなというふうに思っています。私が先日、支援に携わった中で、一軒家ではありましたが、結局、その方は、自らガスを止め、水を止め、地域から孤立をして、ゴミが出せなくて結局家の中にごみをため込んでしまう。結果的に家で生活ができなくなって、また新しい住まいを探していくという、そういう状況がありました。

 実際、保護したときに、「私、もう死ぬかと思った」ということを言っていましたし、「今日は誰か助けに来てくれないかなと思って、玄関に座っていた」と。実際に扉1枚開ければ誰かに助けを求められるかもしれないという中でもなかなか助けを求められない人々もやはり地域の中にいます。周りで気づいても支援を必要としないという方もいて、その中でどこまで自己決定を尊重しつつ、一方で保護していかなければいけないか、そういったところで、私たち専門職としての価値とか倫理があります。この間、いろいろ話題に上がっておりますさまざまな家族関係の問題ですとか地域からの孤立、または生活困窮状態とか社会的な孤立を含めて、そういった複雑な問題をきちんと分析していけるような専門的な知識ですとか、また、先ほど来出ていますとおり、さまざまな関係機関をつないでいくそういった専門的な技術を含めて、私は社会福祉士ですけれども、ソーシャルワークの価値と知識、技術による統合的な実践というものがどうしても必要になってくるのではないかと思っています。

 自分で着た服も他人に着せられた服も、服を着ていることには変わりないわけですが、いかにお仕着せではないように、自立支援をしていくかというところに、専門職としての役割というところがあるのかなと思っています。先ほど来人材の配置というところも出ていますので、ぜひその辺もあわせて御検討いただけるといいかなと思っています。

 もう一点、居住支援に関してなのですが、当然基準で金額が決まっているわけです。例えば、私が先日アパートを探していたときにも、道路一本向こうへ行くと基準が何千円高いということになってきて、どうしても高いほう、高いほうへと行ってしまうというところがあります。地域の中でもアパートがないわけではないのですけれども、当然住まう場所というのが必然的に決まってきてしまう。制度によって住む場所が決められてしまうような感覚があって、その辺なかなか難しいところではあるかと思いますけれども、本来であればどこで住むかというのは人それぞれ決められている部分もありますので、是非そうした基準というところの難しさはあるかと思いますが、御検討いただけるといいのかなと思っています。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 それでは、生水委員、お願いいたします。

○生水委員 ありがとうございます。

 お手元の資料の、朝比奈委員、大西委員の資料の一番最後のページにあります絵のところをごらんください。私のほうからは、前回申し上げましたとおり、支援調整会議における個人情報の取り扱いについて、要保護児童対策協議会などを参考にして支援者間での情報共有について、守秘義務を踏まえた法律上の枠組みを整備することが必要ではないかと考えております。今回は具体的な事例を提示し整理してお伝えします。

 配付資料の絵をごらんください。例えば夫が失業で借金があって、国民健康保険税を滞納している。妻は精神疾患、成人した子供がひきこもり、祖母が要支援、こうした生活困窮世帯の場合、関係機関としては、自立相談支援機関、納税推進課、保険年金課、地域包括支援センター、高齢福祉課、発達支援センター、健康福祉課など複数課の関わりとなります。

 まず、上段、課題丸1の本人の同意がとれない場合ですが、妻がかかわりのある健康推進課に対して、支援を拒否した場合、健康推進課は困窮状態を知りながらほかの課に情報提供をすることはできないので、世帯に支援を届けることができず、結果放置してしまうことにもなります。

 また、課題丸2の世帯支援のための情報共有ができない場合、妻は健康推進課に対して拒否はしているものの、同居する要支援の祖母がかかわりのある地域包括支援センターに対して、「実は息子が失業して、税金滞納もあるようだ。成人した孫は引きこもっていて心配だ。」と世帯の困窮状態の相談をして、それを知った祖母からのSOSをキャッチした地域包括支援センターが、健康推進課や発達支援センター、納税推進課に状況確認をしようと思って家族の情報提供を求めても、妻や夫や子、本人の同意がなければそれぞれの課が持つ情報を共有することができません。せっかくキャッチしたSOSを支援につなげることができないのです。

 裏面をごらんください。ここで支援調整会議における個人情報の取り扱いを整備し、仕組みを活用することができれば、祖母のSOSのサインをキャッチした部署が気づいて、自立支援機関に声をかけることで、自立支援機関がコーディネーター役を担い、そして関係機関を召集して情報共有の場をつくることはできます。これによって保険年金課が「国民年金、国保税、の減免や軽減の措置が使えていませんよ」、また、納税推進課が、「夫と納税相談中です。アプローチできます。」、発達支援センターが「息子のひきこもり支援に入る予定です。」など使える制度や状況を共有することが出来ます。こうした情報がつながることで、1つの支援機関では止まっていた支援が動き出して、世帯丸ごと支援が可能になるのだと思います。

 先ほど、菊池委員からも個人情報の取り扱いについて御意見がありましたが、税の職員も市の職員です。目の前に困っている市民がいれば何とか救いたい、何とかしたいと思うのは税の職員であっても同じなのです。税の担当者も福祉の担当者も、さまざまな部署も分け隔てなく、市民のために何とかしたいと思って動きだそうとしている市役所はやはり全国にたくさんあります。市民のために何とかしたい、何とか頑張っていきたいのだと思う市の職員たち、市役所が頑張ることができるような、そんな法制度の改正になることを望んでおります。

 以上です。ありがとうございます。

○宮本部会長 大変具体的な御発言をありがとうございました。

 引き続き、菊池委員のお話とのすり合わせといいますか、接点を模索していきたいというふうに思います。

 続きまして、小杉委員、よろしくお願いいたします。

○小杉委員 ありがとうございます。

 前回の言い残しで、3点小さく。

 まず、前回の中で就労準備支援事業の話と、認定訓練事業の話と無料職業紹介事業について。無料職業紹介事業のほうから話させていただきますと、自治体が無料職業紹介を行えるようになるというのは確かに効果的なのですが、一方で、労働の専門部署とつながることも非常に大事だと思います。就職あっせんという話は、どんなところでもあっせんすればいいという話ではないので、相手方をきちんと見られる目というものも必要なのです。そういう意味で、きちんと労基法が守られたような職場であるのかとか、そういった情報も非常に大事なのです。私は、できれば無料職業紹介事業としてあっせんするにしても、その事業所について、ハローワークなり何なりから情報をとるとか、何かそういう形できちんとその事業所に対しての労働側の目というのも必要なのではないかと思います。

 前回もちょっとお話した、最近行いましたOECDからのニートレビューということで、日本の政策についてのチェックといいますか、提言があったのですが、その中で一つ、日本にはまだなくて、好事例ということで、ノルウェーの例が紹介されたのですが、そこでまさに社会サービス部門と労働のマッチングなんかをする部門がワンフロアで同時に営業して、1人の人に対して複数の支援を同時に行う。そういうワンストップ型というものが提案されていました。生活保護の相談のところにハローワークが出ることによって、かなり効果的になったという話も聞きます。そういう方向もあわせて考える必要があるのではないかと思います。これが1点目。

 2点目は就労準備支援事業の場合の、前回の話題にならなかったので一応一言お話したいのですが、65歳以上の方を就労準備支援事業から外すということはないように。現在、65歳以上の方の就労率というのは物すごい勢いで高まっています。それだけ健康な方も多いですし、雇用保険法も変わったので、それに合わせて65歳以上の方たちに対しての就労準備支援事業もぜひ広げていただきたいと思います。

 3点目。認定就労訓練事業所、これがなかなかふえないのは問題で、そこでやはり技術的支援ということが出ていまして、これは大変大事だと思います。そこで、考えてほしいのは、例えばこれまでも障害者の雇用をふやしたときに、障害者の人に合わせて事業の中から仕事を切り出すというようなことは、障害者の雇用アドバイザーみたいな方たちがこれまでもやってきたことです。その辺のノウハウも含めて、人に合わせて事業を切り出すということについて、これまでやられた例えば障害者に対するアドバイザーの方などのノウハウも取り入れながら、技術的支援のあり方というものを少し整理して、いろいろなところでできるようなガイドライン的なものをつくっていくのが大事ではないかと思います。

 以上です。

○宮本部会長 いずれも大変具体的な御提案をありがとうございました。参考になりました。

 さて、残り約10分でございますが、今、札が上がっているのは平川委員と奥田委員でいらっしゃいます。これをお二人に配分するということでよろしいですか。

 それでは、平川委員。

○平川委員 簡単に意見を言わせていただきます。

 就労準備支援事業の関係でございますけれども、小規模の福祉事務所の設置主体、体制が大変弱いということで、被保護者の就労準備支援事業との一体的な実施という自治体がかなり多いのではないかと思います。

 ただ、一方でそれに対して就労準備支援事業を実施する際のノウハウであるとか地域支援ということについては、自治体間では不可能、差がありますので、何らかの形で広域な県などの支援ということも重要ではないかと思っています。一方で、大規模福祉事務所などでは、相談件数も多くて、別窓口で行っているというようなところも多いわけでありますが、その中で問題になっているのは、準備支援事業そのものが最長1年という期間が定められているというところが課題としてあるのかなと思います。長ければいいというわけではないとは思いますが、就労経験がなかったり、あったとしても本当に短いというふうなハンデを抱えた方が多いという中で、生活習慣を整えるということについてはなかなか時間と手間を要してしまうということも事例として聞いております。短期集中型で効果を上げるということも重要ではありますけれども、一方で状況に応じて1年限定の例外ということについても、一定程度検討していく必要があるのかなと考えているところであります。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 それでは、奥田委員、よろしくお願いします。

○奥田委員 済みません、さっきは参考人で今回は委員で。ごめんなさい。

 私も前回手を挙げておったのですけれども、1つは理念的な話で申しわけないのですけれども、相談のことについて、前回、出口がない中で、勝部さんがおっしゃったと思うのですけれども、出口がない中で断らないというのは、非常に相談員にとってプレッシャーだし、バーンアウトするのではないかという意見が多数出たと思うのです。そのとおりだと思います。

 しかし、一方でおこがましいのですが、私は、相談には2つの機能があって、岡部委員が最後に少し触れてくださったと思うのですが、1つは問題解決をするというのが相談の一つの目的である。でも、一方で今日、これだけ困窮、孤立が進んでいる中では、相談自体が実は支援なのだと。関係の保持とか相談そのものが実は支援なのだということを一方で押さえておかないと、出口がないから相談を受け付けませんという逆転現象が必ず起こる。これはまずいということで、相談には2つの機能がありますよということを前回言いたかった。

 もう一つは、就労準備等の話ですけれども、私はやはり、当初、法律をつくっていく中で、就労訓練事業所なり社会的企業みたいなものをどう生み出すか。ある意味では、今まで障害分野しかなかった。それをどう支援付の就労というような新しい概念を、しかも一般就労の枠でどうつくるかということが結構議論されたと思うのですが、実際、始まってみると、なかなかその立ち上げのほうにお金も回らないし、力も注がれないということなので、そこを見直して、やはり新しい就労分野をつくるという、これは企業の中につくるという発想とともに、新たに中間的なものをつくるという、中間というのが手前と企業の中間という意味ではなく、独立したある意味一定の受け皿としての中間というものが要るのではないかということが2つ目。

 そして、今日の話題のことで言うと、一時生活支援の人材に関して私は気になります。人材育成においても、一時生活支援担当者の育成はどうするのか。もしくは、そもそもシェルター借り上げ型で言うと、支援員がほとんどついていない状態なので、これをどう確保するか。2つ目としては、居住支援協議会にこの分野がどうコミットするかというのを絵の中にちゃんと入れないと、どうしても国土交通省の絵の中には、自立相談事業所ということは入っていないわけですから。ここは本当に無茶な言い方ですが、居住・生活支援協議会ぐらいの意識に変えないと、やはり居住が箱の話になってしまう。これが2つ目。

 3つ目。これは具体的なのですが、代理納付、今後、物すごく大事になります。代理納付に関しては、家賃のみならず、保証料とか、共益費とか、さまざまに広がってくると思いますので、そこは範疇に置いておかないと、今回の資料でも、国土交通省の資料の中には「等」と書いていましたので、その「等」の部分が例えば保証料金を月割りで納めているという形態もあるのですね。そうなると、家賃と同時並行に月割りの連帯保証料が入ってくるので、例えばそういうところをどう広げるかというのも議論の範疇だと思います。

 以上です。

○宮本部会長 ありがとうございました。

 何とか時間内に後段の議論も、皆さんからすればこれで終了したとは思えないというところもあるかと思いますけれども、ひとまず一段落をさせていただくことができたかと思います。

 それでは、事務局のほうから次回の日程についてアナウンスをお願いできればと思います。

○金井課長 どうもありがとうございます。

 次回は7月11日火曜日の15時からを予定しております。場所は追ってお知らせいたします。ありがとうございました。

○宮本部会長 それでは、今日の議論も引き続いて、次回以降議論として広げていきたいというふうに思います。

 本日の部会はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)


<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。

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