ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)> 第1回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録(2017年5月11日)
2017年5月11日 第1回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録
社会・援護局
○日時
平成29年5月11日(木)15:00~17:30
○場所
都市センターホテル 5階会議室(オリオン)
○出席者
宮本 (部会長) | 駒村 (部会長代理) |
朝比奈 (委員) | 石橋 (委員) |
浦野 (委員) | 大西 (委員) |
大野 (委員) | 岡部 (委員) |
勝部 (委員) | 小杉 (委員) |
生水 (委員) | 新保 (委員) |
竹田 (委員) | 平川 (委員) |
松井 (委員) | 松本 (委員) |
渡辺 (委員) | 吉岡参考人 (岡崎委員代理) |
伊藤参考人 (福田委員代理) | 前河参考人 (松井委員代理) |
○議題
(1)生活困窮者自立支援法及び生活保護法の見直しについて
(2)当面の検討スケジュールについて
○議事
○金井課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第1回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の委員の出欠状況を御報告いたします。本日は、奥田委員、菊池委員が御欠席でございます。
また、駒村委員は、おくれての出席と聞いております。さらに朝比奈委員は若干おくれておられます。
また、岡崎委員の代理として、高知市副市長の吉岡参考人、福田委員の代理として川崎市副市長の伊藤参考人、松井委員の代理として大阪府福祉部地域福祉推進室社会援護課長の前河参考人にお越しいただいております。
吉岡参考人、伊藤参考人、前河参考人の御出席につき、部会の承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○金井課長 どうもありがとうございました。
出席委員につきましては19名となっております。社会保障審議会令に定める定足数3分の1を満たしておりますので、開催の要件を満たしております。
それでは、部会長を選出していただくまでの間、社会援護局地域福祉課長の金井が議事の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、開会に当たりまして、定塚社会援護局長から御挨拶を申し上げます。
○定塚局長 本日は、お忙しい中お運びいただきまして、ありがとうございます。第1回の「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げさせていただきます。
御承知の方も多くいらっしゃると思いますけれども、厚生労働省におきましては昨年度来、我が事・丸ごとの地域共生社会づくりを進めてまいっているところでございます。現在、国会のほうに地域包括ケア法案という形で社会福祉法の改正を提出しておりまして、この中では市町村における我が事・丸ごとの包括的な支援体制づくりなどもあわせて盛り込んでおるところでございます。現在、衆議院を通過して、引き続き参議院で御審議いただこうとしているところでございます。本日、これから皆様方に御審議いただきます生活困窮者自立支援制度並びに生活保護制度の見直しは、地域共生社会づくりに向けて、もう一歩進めていただくものとも考えているところでございます。
言うまでもなく、地域において生活困窮という課題を抱える方あるいは世帯が浮かび上がってくる、あるいは発見されたという場合には、しっかりと自立支援につないでく、支援していくという仕組みが非常に重要でございます。この生活困窮者自立支援制度におきましては、各地域での支援を進めていらっしゃる方々の御尽力によりまして、平成27年4月の施行以降、全国の窓口で多くの方の相談をまさに丸ごと受け止めながら、住まいや就業も含めて丸ごとの支援を続けていただいているところでございます。
今回はこの機能をさらに強化し、全ての自治体でしっかりと底上げ強化をしていく、こういうための検討を行っていただくようお願いを申し上げたいと思っております。
また、生活保護制度につきましては、平成27年3月をピークといたしまして生活保護受給者数は減少傾向にございますけれども、一方で単身の高齢者が増加している状況にございます。そうしたことを背景として、生活保護費のおよそ半分を占めている医療扶助費が増加していること、また、アパートなどでのひとり暮らしが困難な受給者に対して、劣悪な住居を提供して高額な利用料を徴収している、いわゆる貧困ビジネスと呼ばれるものの横行など、さまざまな問題が生じているところでもございます。そのため、こうした医療扶助のさらなる適正化あるいは貧困ビジネスへの対応なども求められているところでございます。また、就労支援の強化、子どもの貧困への対応という課題も大変重要な課題としてございます。こうした課題に対して、生活困窮者自立支援制度とあわせて御検討をお願いしたいと考えています。
御参集の皆様方の深い経験、知見を生かしていただきまして、平成30年の通常国会に両制度の改正法案を提出すべく、見直しの方向性を年内にまとめていただきたいと考えております。ぜひ充実した御議論を心からお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○金井課長 それでは、まず、委員の方々の御紹介でございますが、大変恐縮ではございますけれども、お手元の資料の委員名簿をもって紹介とさせていただきたいと思います。
また、事務方の出席者につきましては、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、これをもって紹介にかえさせていただきます。
なお、新たに社会保障審議会の臨時委員に御就任いただきました皆様には、厚生労働大臣からの任命状を、また、全ての皆様に生活困窮者自立支援及び生活保護部会に属する旨の社会保障審議会会長からの指名書をお手元の封筒に入れさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に移らせていただきます。
初めに、本部会の部会長の選出についてでございます。
参考資料1をごらんください。社会保障審議会関係法令・規則をとりまとめて抜粋したものでございます。社会保障審議会令でございますが、1枚おめくりいただきまして3ページの真ん中ほどにございます部会第六条第3項で、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されております。本部会には社会保障審議会の委員として菊池委員、駒村委員及び宮本委員がいらっしゃいます。部会長は、この3名の委員の互選により選任することになります。あらかじめお三方に御相談いただき、宮本委員に部会長をお願いすることになりました。この互選により、宮本委員が部会長に選任されたこととさせていただきます。
それでは、これからの議事運営につきましては、宮本部会長によろしくお願いいたします。
○宮本部会長 部会長を仰せつかりました宮本と申します。マイクの関係で着席してお話しさせていただきたいと思います。
生活困窮者自立支援制度については、立ち上げ時も多少かかわらせていただきました。この制度を導入したときには、必ずしも広く皆さんに理解が行き渡った制度とは言いがたいところもあったのですけれども、その後の皆さんの御尽力、特にこの制度を現場で担ってくださった皆様の御奮闘で、この制度は着実に地域に定着し、またその理解も広がっているように思います。
これからなお一層、この制度のポテンシャルを引き出していくことが必要であると思います。何となれば、今地域の制度改革の1つのひな形としても自立支援制度が注目されているというところもございます。そのために、委員の皆様の忌憚ない御議論をよろしくお願いしたいと思います。
もう一つ、今度の部会においては、生活困窮者自立支援制度との関連の中で生活保護制度についても議論することになりました。関連というのは具体的にどういうことなのかということですけれども、御存じのように、自立支援制度というのは支援期間中の経済保障の仕組みというのがまだなくて、その期間、一時的に生活保護制度などを活用していただくというのは非常に大事なことではないかと個人的には思っております。いずれにせよ、この関連をどう考えていくのかということも含めて、この部会で議論をきちんと詰めていきたいと思ってございます。何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
まず、部会長代理を指名させていただきたいと思います。社会保障審議会令第六条第5項に、「部会長に事故があるときは」、つまり私に事故があるときはということになりますけれども、「当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されております。そこで、今日はまだお見えになっておりませんが、御本人も御了解ということで、駒村委員に部会長代理をお願いしたいと考えております。
カメラはここまでの撮影ということで御容赦願って、議論を始めていきたいと思います。
(カメラ退室)
○宮本部会長 まず、議題1についてです。「生活困窮者自立支援法及び生活保護法の見直しについて」、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○田中推進官 それでは、資料1~資料4まで御説明させていただきたいと思います。私、生活保護を担当しています田中と申します。よろしくお願いします。
非常に大部な資料でございまして、省略しながら御説明させていただきたいと思いますが、それでも25分程度お時間をいただくことをお許しいただければと考えております。
まず、資料1-1でございます。「今般の検討を取り巻く状況」ということで、今日に至るまで、どのような経緯を経て議論になっているのかを御紹介申し上げます。
ページをおめくりいただきますと「生活困窮者自立支援法の検討について」という資料と「生活保護法の検討について」という、似たような資料がついております。
まず、「生活困窮者自立支援法の検討について」ということでございますが、一番上に法律の検討条項が記載されております。法律は平成25年に成立して、平成27年4月から施行ということになっておりますが、施行後3年の見直し規定がございます。これが1つでございます。
次に、真ん中に経済・財政再生計画改革工程表とございます。昨年「経済財政諮問会議」で決定されたものでございます。下の太い枠の中でございますが、「2017年度の次期生活保護制度の在り方の検討に合わせ、第2のセーフティーネットとしての生活困窮者自立支援制度の在り方について関係審議会等において検討し、検討の結果に基づいて必要な措置を講ずる。(法改正を要するものに係る2018年通常国会への法案提出を含む)」ということでございます。この審議会で御議論、検討いただくということと、法改正するものは2018年、次期通常国会に提出することが決められているということでございます。
2ページは、生活保護法に関するものでございます。法律の見直し規定は5年となっております。困窮者自立支援法と同様の記載が一番下にございまして、関係審議会で検討ということと、結果に基づいて法改正するものは通常国会への提出を含むということで記載されております。
3ページでございます。こうした法律あるいは政府の決定とともに、今般、介護保険法等の一部を改正する法律案で、社会福祉法改正案を提出しているところでございます。この中に、地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進ということで、我が事・丸ごとの地域福祉推進の理念を規定しているわけですが、2にございます市町村が、この理念を実現するために包括的な支援体制づくりに努める旨を規定しておりますが、その中で3番目の○にございますが、主に市町村圏域において、生活困窮者自立相談支援機関等の関係機関が協働して、複合化した地域生活課題を解決するための体制が規定されております。
4ページの図の一番下にありますとおり、自立相談支援機関は協働の中核を担う機能ということで位置づけられているということでございます。
5ページに、『「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)』とございますが、これは当省の、我が事・丸ごと地域共生社会実現本部というところで決定したものでございます。一番下に「実現に向けた工程」という記載がございまして、平成30年ということで、報酬改定と並びまして生活困窮者自立支援制度の強化が位置づけられております。
こうした背景に基づいて7ページでございます。「両法に係る検討経過と今後の検討の枠組み」という資料でございます。これを少し詳細に説明させていただきたいと思います。
まず、左上にございます生活困窮者自立支援法につきましては、4月まで「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」で御議論いただきました。ここにいらっしゃる方も多く御参加いただいているものでございます。お手元に参考資料2がございますので、後ほどごらんいただければと思いますが、さまざまな論点をここでおまとめいただいたということでございます。
一方、生活保護法はテーマごとの検討ということでございまして、「生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会」ですとか、「生活保護受給者の宿泊施設及び生活支援の在り方に関する意見交換会」ということで、これも参考資料3、参考資料4につけさせていただいておりますが、この4月まで会合を開催し、とりまとめをいただいているということでございます。
また、並行して下のほうにございますが、国と地方の協議ということで、自治体の皆さんと協議させていただいている最中ということでございまして、こういう経緯を踏まえて、この部会「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」ということで、改正法案の提出を含めて検討していくということでございます。
真ん中に「主な検討事項」と書いております。まず、生活困窮者自立支援法については論点が多岐にわたるということで、自立相談支援のあり方、就労支援のあり方、家計相談支援のあり方、子どもの貧困への対応、一時生活支援のあり方、居住支援のあり方、高齢者に対する支援のあり方、制度理念、自治体等の役割ということで、制度全般にわたる御議論をお願いできればと考えております。
下のほうは生活保護法でございます。就労支援のあり方、子どもの貧困への対応ということで、今ほど申し上げました生活困窮者自立支援法とあわせて御検討いただきたいということと、健康管理のあり方、医療扶助のさらなる適正化、あるいは無料低額宿泊所等の規制、単独で自立した生活が困難な者に対する生活支援の検討ということで、これはテーマごとに検討してきた検討会の意見も参考にしながら御議論いただければということでございます。
参考までにということでございますが、一番下に生活保護基準の改定ということで、これも来年度予定しておりますが、これにつきましては別の部会「社会保障審議会生活保護基準部会」で既に検討を始めておりまして、そこで検証を進めていくということでございます。
今ほど申し上げましたことを1枚の資料にまとめたものが資料1-2になります。「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会の審議事項について」ということでございます。基本的に、今ほど申し上げましたことを整理させていただいたものでございます。
「1.本部会の設置について」ということで、法律の検討規定ですとか、改革工程表の記載といったことを踏まえて、生活に困窮する方への対応として相互に密接に関連する生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の課題及びその対応方策について、それぞれの施行状況を踏まえて一体的に議論いただくため、本部会を設置することとしたということでございます。
「2.本部会の主な議題について」ということでございますが、今ほど御説明申し上げました検討会ですとか、国と地方の協議といった議論も参考にしながら、以下の項目を中心に両制度の一体的な見直しについて御議論いただきたいということで、項目については先ほど御紹介させていただいたとおりでございます。
一番下は、生活保護基準に関する検証については、「社会保障審議会生活保護基準部会」で取り扱うということでございます。
資料1については以上でございます。
引き続き、資料2について御説明させていただきたいと思います。
「生活困窮と関連する様々な社会状況」ということでございます。貧困に関するデータをまとめたものでございまして、世帯構成や貧困の状況等々についてのデータ集でございます。時間もございませんので、項目と概要だけ簡単に説明させていただきたいと思います。
1ページの世帯構成の推移と見通しということで、単身世帯、高齢者単身世帯、ひとり親世帯ともに今後とも増加が予想されるということでございます。
2ページが、生涯未婚率の推移ということでございますが、2030年には男性約28%、女性で約19%になると見込まれているということでございます。
3ページが、生活保護の状況でございます。局長からも少し紹介がありましたが、受給者数は214万人ということで、平成27年3月をピークに減少に転じております。
一方、世帯数164万世帯ということで、高齢者世帯が増加しておりまして、世帯全体は増加しておりますが、高齢者世帯以外の世帯については減少傾向が続いているということでございます。
5ページでございます。相対的貧困率でございますが、国民生活基礎調査のデータあるいは全国消費実態調査のデータ、それぞれの数字を記載させていただいておりますので、ごらんいただければと存じます。
6ページが、ジニ係数の推移ということでございます。社会保障・税による再分配後のジニ係数は、近年ほぼ横ばいとなっております。
7ページでございます。給与所得者のうち年収200万円以下の方の割合の推移ということですが、近年は概ね横ばいという状況でございます。
8ページでございます。正規雇用と非正規雇用労働者の推移でございますが、非正規雇用は、平成6年以降現在まで緩やかに増加しております。正規雇用は、平成26年までの間に緩やかに減少しておりましたが、平成27年にプラスに転じて、平成28年も増加しているという状況でございます。
9ページが、失業率・長期失業者数の推移でございます。完全失業率は低下傾向ということでございまして、失業期間1年以上の長期失業者数は、減ってはおりますが約76万人いるということでございます。
10ページが自殺者数の推移ということで、全体で減少傾向になっておりまして、2番目の○にございます経済・生活問題を動機とする自殺というのはグラフの緑の部分になってございますが、これも平成21年から減少傾向になっておりまして、平成28年は3,522人となっております。
11ページは、刑務所出所者数の推移ということで、総数は減少傾向でございますが、高齢者は人数・割合とも増加しているということでございます。
12ページが、ホームレスでございます。平成15年以降把握している限り毎年減少しているのですが、依然として約6,000人のホームレスの方が確認されているという状況でございます。
13ページが、フリーター・ニートの数の推移でございます。フリーター数は平成28年で155万人、ニート数は平成28年で57万人ということでございます。
14ページが、ひきこもりについてということでございます。これはあくまでも推計ということですが、真ん中にございます内閣府関係調査では、定義のとり方はいろいろあるのですが、広義のひきこもり状態にある方が54.1万人、狭義のひきこもり状態にある方が17.6万人となっているということでございます。
資料2については以上でございます。大体横ばいとか、そう悪くなっているということはないという状況と言えるのではないかということでございます。
資料3の説明をさせていただきたいと思います。
「生活困窮者自立支援法の施行状況」ということで、繰り返しますが、平成27年4月に施行されまして大体2年経ちましたので、その施行状況について御紹介させていただきたいと思います。
1ページが、制度の概要でございます。まず、一番左の包括的な相談支援ということで、自立相談支援事業は必須事業ということで、全国901福祉事務所で実施いただいているということでございます。
次に、本人の状況に応じた支援ということで、いろいろな施策を講じているわけですが、一番上の居住確保支援ということで、住居確保給付金の支給を必須事業ということで実施されております。
また、就労支援ということで、就労準備支援事業、認定就労訓練事業。緊急的な支援ということで、一時生活支援事業。家計再建支援ということで、家計相談支援事業。子ども支援で、子どもの学習支援事業ということで、こうした事業を任意ということでそれぞれ実施していただいているということでございます。
4ページをごらんいただければと思います。まず、生活困窮者自立支援法の主な対象者ということで、一体どんな方を対象とした法律なのかを改めて御説明させていただきますと、生活困窮者は既に顕在化している場合と、課題を抱えているが見にくい場合とがあり、法の施行に当たっては、この2つの視点でとらえていくことが重要ということでございまして、下のイメージ図は一番左が既に顕在化しているもの、右にいくと見えにくくなっているものということで、イメージとして図で整理したものでございます。
一番左の顕在化でいうと、福祉事務所来訪者のうち生活保護に至らない方がいます。真ん中のホームレス、経済・生活問題を原因とする自殺者あるいは離職期間1年以上の長期失業者、一番右がひきこもり状態にある方ということで、それについては先ほど御紹介させていただきました。その下の紫色、スクール・ソーシャル・ワーカーが支援している子どもたちも当然対象には入ってくるだろうということです。
あわせて一番下に、税や各種料金の滞納者、多重債務者等ということで、これも一応外縁としては入ると。全てが全て貧困ではないということも考えられますが、その中で当然対象者もいらっしゃるということで、全体としてこういった方々を対象としていくということを改めて整理させていただいたものでございます。
5ページでございます。生活困窮者自立支援法における支援状況ということで、2年たってどういった状況なのかということを整理させていただきました。
一番左上でございますが、施行後2年間の支援状況ということでトータルの数字でございますが、新規相談者は約45万人、プラン作成により継続的に支援した方は約12万人、就労・増収した方は約6万人、支援における就労・増収率は約7割ということで、実績は上がっているといった状況でございます。
2つ目の○でございますが、平成27年度と平成28年度を比較してみますと、プラン作成件数、下のほうにございます集計結果のプラン作成件数をごらんいただきますと、平成27年度3.6が、平成28年度4.3ということで伸びてきておりますので、相談を包括的に受け止めて支援していくことが定着しているのではないかと考えております。
3つ目の○でございますが、このように就労・増収率の実績は高い水準にございますが、支援においては一般就労や増収といった状況だけではなくて、それらに至るまでのステップアップを丁寧に把握していくことが重要ということでございまして、6ページでございます。
では、一体どういったステップアップの状況になっているかについてですが、支援当初3カ月の状況をまとめたものでございます。下のほうにグラフになっておりますが、丸1意欲・関係性・参加に関する状況、丸2経済的困窮の改善に関する状況、丸3就労に関する状況。それぞれステップアップした状況を調べましたところ、右にございます支援当初3カ月で丸1~丸3のいずれかがステップアップしている者の割合が56.8%ということで、それなりに効果が出ているという状況が見てとれるかと思います。
次に、8ページでございます。新規相談者の状況ということで、性別・世代別・就労状況等について集計したものでございます。このような属性が明確なサンプル3万8,967ケースをグラフ化したものでございます。
まず、全体の6割を男性が占めておりますが、特に40~50歳代の就労していない男性、下のグラフでいいますと40代、50代の赤い部分が全体の21.4%を占めているということで、結構なボリューム層になっているということでございます。
2つ目、全体の約28%が就労している。男性で24%、女性で34.6%。下のグラフで言いますと、男性が一番下の青い部分、女性が真ん中の緑の部分ということで、これが全体で28%ということで、就労している方についても、それなりに御相談があるという状況でございます。
3つ目が、65歳以降の相談者が全体の約18.5%ということで、若年者だけでなくて、高齢者の相談も一定程度あるということでございます。こうした状況が現状ということでございます。
9ページ以降、実施状況の詳細を15ページまでつけさせていただきましたが、これは後ほどごらんいただければと存じます。
16ページに飛んでいただいて、法定事業等の利用状況と支援効果ということで、先ほど冒頭概要の中で7つの事業を御紹介させていただきましたが、これらの利用状況と効果についてどうなっているかをまとめさせていただいたものでございます。
まず、1つ目の自立相談支援事業の就労支援でございますが、約7割の就労・増収率ということで効果を上げているということでございます。
17ページでございます。就労準備支援事業と認定就労訓練事業の効果ということでございます。まず、就労準備支援事業につきましては、利用によって自立意欲や就労に関する状況のステップアップが確認できるということで、左下の図が、就労準備支援事業を利用した場合と利用していない場合をそれぞれ上下で対比しておりますが、特に意欲・関係性・参加に関する状況あるいは就労に関する状況で有意にステップアップが確認できるということでございます。
認定就労訓練事業でございますが、これは一般就労の前に一定の継続的な柔軟な働き方の就労を想定した事業ということでございますが、それはそのような利用実態が確認できているということでございます。
18ページでございます。家計相談支援事業と一時生活支援事業でございます。家計相談支援事業ですが、左下の先ほどの対比で見ますと、ここは経済的困窮の改善に関してステップアップが確認できるということが言えます。
一時生活支援事業については右下でございますが、住まいの確保安定等を初めとして就労・健康面も含めた、幅広い改善が確認されます。
19ページでございます。子どもの学習支援事業と住居確保給付金ということでございます。
子どもの学習支援事業についてですが、利用者の高校進学率で見た場合98.2%となっておりまして、全世帯平均に近い実績ということで、貧困の連鎖防止に対する効果が確認できるということでございます。
住居確保給付金でございますが、新規支給決定件数は減少傾向ではあるのですが、いずれにせよ高い常用就職率、右下の赤いグラフで示しておりまして、離職者対策としての効果が確認できるのではないかと考えております。
20~30ページは、実態面から見た効果をお示ししたもので省略させていただきたいと思います。例えば22ページに、地域づくりを意識した取り組みということで幾つか事例を載せさせていただいておりますが、地域づくりにも貢献しているということが見てとれるということでございます。
31ページに飛んでいただけますでしょうか。居住に関する資源をめぐる課題ということで、居住について少し整理させていただいた資料でございます。縦軸に生活支援の要否、横軸に供給価格の高低ということで、さまざまな支援があるわけですが、一方、真ん中の部分、灰色の供給が乏しいゾーンがございまして、1つは支援や見守りは不要なのですが、安価な家賃の住宅が乏しい。2つ目として、施設ほどではないけれども、支援や見守りのある住宅が乏しいということでございます。
32ページ、33ページに、国交省の今国会に提出して成立しました法案の概要が載っておりますが、こういった形で国交省のほうで一部カバーしているものを、我が方としてこれとどのように連携していくのかとか、あるいは困窮者自立支援制度というところでどういった部分を補っていくのかということを、これから御議論いただければと考えております。
34ページは、国交省との連携の連絡協議会をしておりますので、参考までに添付させていただきました。
35~37ページまででございますが、先ほど少しお話しさせていただきました「生活困窮者自立支援のあり方に関する論点整理の検討会」の概要がついております。
前後して恐縮ですが、37ページに名簿がついておりまして、宮本部会長を初め、ここにいらっしゃる8人の委員の方にも御参画いただきました。
35ページが制度の効果ということでございますが、これは今ほど御説明したことをまとめたものでございますので省略させていただきたいと思います。
36ページが、今後さらなる対応を要する課題と主な論点でございます。
左側の1つ目、まだ支援につながっていない生活困窮者への対応ということで、自ら相談機関に相談することが難しい方にも確実に支援することが必要だとか、経済的困窮かどうかにかかわらず、全ての相談を断らないことを徹底することが必要ということを御指摘いただいております。
また、支援メニューの不足ということで、就労の場を求める取り組みを試行錯誤している自治体が多い段階ですとか、就労準備支援あるいは家計相談支援というのは、支援によって不可欠であるものの実施率は3~4割ということで、まだ余り高くないということ。
あるいは3つ目として、今ほど御説明申し上げました、住まいをめぐる課題への支援が不足しているのではないかといったような御指摘をいただいております。
こういった御指摘について、どういった論点があるのかというのが真ん中から右でございます。冒頭御説明申し上げました項目に沿って、多岐にわたる論点を御提示いただいておりますが、それぞれの論点については、また各論の議論のときに御紹介させていただきたいと考えております。
資料3につきましては、以上でございます。
最後に、時間が長くなって恐縮ですが、資料4「生活保護制度の現状について」に沿って御説明させていただきます。
1~8ページ目はデータでございます。9ページは改革工程表ということで、データにつきましては先ほど申し上げましたとおり、1ページ目にございますが、受給者数は214万人で減少に転じているものですが、世帯は高齢者世帯がふえているので増加しているということでございます。これは後ほどごらんになっていただければと存じます。
11ページでございます。生活保護法につきまして、生活困窮者自立支援制度は平成25年に新法制定ということだったのですが、生活保護法はこのときあわせて改正法を提出・成立しておりまして、改正内容としましては「1.就労による自立の促進」ということで、就労支援事業の創設ですとか、就労自立給付金の創設を行わせていただきました。
また、不正・不適正受給対策の強化や医療扶助の適正化あるいは健康・生活面に着目した支援ということで法律改正を実施させていただきました。詳しい資料は12ページ以降についておりますけれども、また各論で御議論いただきたいと思いますので、本日は省略させていただきます。
28ページに飛んでいただけますでしょうか。これも先ほど御説明申し上げました「生活保護受給者の健康管理支援に関する検討会」ということで、委員として御参画いただいている松本委員初め、8人の先生で御議論をいただいたものでございます。
概要については29ページにつけさせていただいておりますが、生活保護受給者につきましては、生活習慣病の割合が一般の医療保険の加入者と比較して非常に高いということになっておりますが、健診データが集約されておりませんので、生活習慣病の予防・重症化予防の取り組みが十分に実施できていないという状況でございます。こうした状況について、データに基づいた健康管理を実施する必要があるのではないかといった御指摘をいただいておりまして、そういった方向で報告書をおまとめいただいているものでございます。また、これについては個別の議論のときに詳しく紹介させていただきます。
30~32ページが、無料低額宿泊所に関する意見交換会の御紹介でございます。無料低額宿泊所は30ページの一番上にございますが、生計困難者のために無料または低額な料金で利用させる施設ということで、社会福祉法の規定に基づく第2種社会福祉事業でございます。
これについて、ガイドラインの策定・見直しですとか、住宅扶助基準の見直しということで対応してきたわけですが、まだ質の低い劣悪な施設があったり、一方で生活支援を行っている優良な事業者もあるということで、こうしたことに対してどう対応していくかということを31ページ、32ページにございますが、意見交換会という形で32ページに名簿がございまして、ここに御出席いただいている大西委員、岡部委員、奥田委員も御参加いただいたわけですが、これは昨年から開催させていただきまして、31ページにあるような議論の整理をおまとめいただきました。
「1.基本的考え方」にございますとおり、いわゆる無料低額宿泊所の中にも貧困ビジネスと言われるような悪質な事業者がある一方で、さまざまな生活支援に熱心に取り組んでいる事業者も存在します。そこで、悪質な事業者を規制しながら、生活支援を行う良質な事業者が活動しやすい環境づくりを進めていく必要があるのではないかということで、2に記載されているような具体的な検討の視点を御提言いただいたということでございます。
33ページでございます。「生活保護制度に関する国と地方の実務者協議」ということで、生活保護に関して地方に関係するものを中心に、この2月から現在開催中ということですが、3回議論をさせていただいております。メンバーとしては、本日も御参加いただいている大阪府さん、高知市さん、邑南町さん、また、指定都市会からも御参画いただきまして、また夏ごろに向けてとりまとめをしたいと考えておりますので、これにつきましても、どこかの段階で御報告をさせていただきたいと考えております。
最後、34ページでございます。生活保護基準の検証ということでございますが、生活保護基準も先ほど申し上げましたとおり、来年4月の見直しに向けて基準の検証というものを「社会保障審議会生活保護基準部会」で、駒村委員や岡部委員に御参加いただいて、そこに記載しているような各種の検討項目について御議論をいただいているということでございます。
大変短い時間で雑駁な説明で恐縮でございますが、私からは以上でございます。
○宮本部会長 大変膨大な資料を要領よく御説明いただき、ありがとうございました。
それでは、まず、今の御説明に関連して、これから御意見もいただきますけれども、質問等がございましたら自由にお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今回は初回ですので、皆様がどういう取り組みをされているのかなど自己紹介も兼ねてお話しいただければと思います。これから御意見を承りますけれども、なるべく複数回御発言できるような仕切りをしていきたいと思っておりますので、大体3~4分程度の発言時間ということで、幾つかの問題をお話しされたい場合は次回に期するという形で、もう1回なるべく回すようにいたしますので、1回ごとの御発言をなるべくコンパクトにまとめていただければと思います。
それから、お手元に赤い立て札があると思いますけれども、これは前回の検討会からいろいろ知恵を絞って導入したやり方でございまして、御発言があるときはこの札を立てていただけると、見落としがなく皆様に満遍なくお話をいただけるかと思っております。
それから、今の説明に対する御質問は、とりあえず伺ったところ出ませんでしたけれども、これからのお話であわせて出していただいてももちろん構いません。よろしくお願いいたします。
それでは、どなたからでもいかがでしょうか。
初回ということで皆様少しジェントルにお振る舞いですけれども、だんだん皆さん活発に御議論されることは間違いありませんので、口火を切っていただける方どなたかにお願いできればと思いますが、小杉委員と目が合ってしまいましたが、いかがでしょうか。
○小杉委員 目が合ってしまったので口火を切らせていただきます。
私、労働政策研究・研修機構というところにおりまして、もともとは教育社会学が専門領域で、主にやってきたことが、若い人たちが学校を卒業して職業人として自立するまでの過程が研究領域だったんです。その過程で1990年代末から2000年代初めぐらいに非常に若者の自立が難しくなる時期があって、そこで労働政策の中でも若者の自立支援がテーマになってきて、そこで地域サポートステーションのようなものができてくるという過程にずっとタッチしておりました。その過程で、就労支援という領域をいろいろ勉強させていただきまして、結果としてここにも出させていただくという流れがございます。
ということなので、私が一番関心を持っているのは就労支援の部分です。就労支援の現場をそんなにたくさん歩いているわけではないですが、特にこれがまだ必須事業になっていないところが非常に問題だと思っていまして、ぜひそれを必須事業にする形に進めていただければと期待しております。
それから、認定職業訓練事業の事業主がなかなか見つからないという事態もあるかと思います。これをどうしていくかもこれから大きな問題で、幾つか実は今、人手不足が物すごい状態で、いろいろなところからいろいろな形でだれか手伝ってくれる人はいないかという要請はあるのですけれども、なかなかそれがこの事業に結びつかない。それは、事業所の求めるものとの違いもございますが、いろいろな工夫の仕方でそれを埋めることもこれから可能ではないかと思います。
そこで1つ大きな問題だと思っているのが、労働者性という問題です。自分のところでこういう人たちに働いてもらえないかと思いながらも、ひょっとしたら生活困窮者を使い捨てにする事業所みたいなレッテルを張られたらとても怖いので、なかなか踏み出せないというお話もございます。その辺、こういう形で就労の機会を与えてもらえれば非常に望ましいといいますか、こういうやり方なら安心だというモデルでもつくっていただけますと、いろいろな事業所に働きかけもしやすいと思いますので、できればそういうところまで検討していただければと思います。
以上、今思っている意見はそんなところです。
○宮本部会長 ありがとうございました。就労支援事業は、確かに先ほど田中推進官からの御説明にもあったように、この間の取り組みの中でも成果は挙げているのですけれども、そこでどういう条件の組み合わせ・取り合わせがこの成果に結びついているかを含めて、これから議論を深めて、分析を続けていかなければならないと思ってございます。そのあたりも御議論をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、いかがでしょうか。では、勝部委員お願いします。
○勝部委員 では引き続き。大阪の豊中市の社会福祉協議会の勝部です。よろしくお願いします。
この制度の立ち上げのときにも議論に参加させていただきました。その前のパーソナルサポート事業のところから言いますと、もう5年こういう事業にずっとかかわってきていまして、地域の中では相当寄り添い型の支援、アウトリーチをして、いわゆる予防的に早期に発見して、早期に解決していくということについては、かなり定着してきた感があります。
その中で見えてきたものというのが、ひきこもりという問題の大きさです。特に、先ほどの資料では34歳までのニート、ひきこもりということで出ておりましたけれども、高齢化がかなり進んでいると。40代、50代というのが困窮者の中で相当出ておりますが、その中で8050問題、いわゆる80代の親に50代の息子・娘という、困窮者支援の相談窓口には全国的にたくさんそういう課題が出てきていて、親を虐待している息子だというふうに、経済的虐待という対象としてとらえていたものから、そうではなくて、その子たちの生活支援をどうしていくのかということをあわせて考えていかなければいけない。いわゆる丸ごとの支援が重要だということが、この間、大分全面的に理解されてきたように思います。
実態としては先ほどのお話とかぶりますが、実際、かなり長期にひきこもっている方々については、一般就労までの道筋が半年であるとか1年という短いスパンで生活改善をしていくことはなかなか難しくて、制度を就労準備や就労支援を一定の期間で縛ってしまいますと、彼らがまたそこから狭間で落ちてしまうということもありまして、このあたりの支援のそれぞれ個人のペースに合わせた応援の仕方みたいなことも今後どうしていくのかということは大きな課題かなと思っています。
一方、貧困ビジネスとあわせまして、ひきこもりに対する悪質な業者、就労させますということで、何百万のお金を投資すれば本人たちに仕事させていきますよとか、二次障害が出て大変な子どもたちに対して、多くのお金を支払えば病院へ入院をさせてやるという業者が出てきたりということで、家族はそういうものにわらをもすがる思いでたどり着くということがあって、アウトリーチを伴う生活困窮者の窓口に自治体間でかなり格差があると。相談を待っていて受けてくれる相談窓口と、おうちまで出向いていって本当に家族の中に入って相談に乗れる体制というのは、自治体間でかなり格差があるなというのが2つ目の問題意識です。
3つ目が、相談員の労働環境と専門性ということになります。我々は冗談のようによく話しているのですけれども、相談員そのものが非正規の対応をしていますので、4月から相談の反対側に座っているかもねというお話になって、今後、非正規で就労支援員あるいは相談員という形でやっていることが劣等処遇などの問題につながっていく可能性が非常に高いのではないかという懸念があります。このあたり相談員の専門性、そういう人たちの一定の位置づけを今後やっていくことが、この事業をよりよいものにしていくことに発展するのではないかということで、今回の委員会では、ぜひこれを持続可能性のある継続的な事業としてしっかり根づかせていくために頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。3点、大変大事な問題を御指摘いただきました。介護支援の時間軸の問題、制度がいろいろな形で、不正な形で使われてしまう可能性については、なかなかつらいことですけれども、きちんと対処しなければならないだろうと思います。それから、3番目の相談員自身の生活保障というか見通しの問題も、また非常に根本的な問題でございます。
今、御発言が反時計回りのような形で始まってしまいましたけれども、これでよろしいかどうか。
○岡部委員 わかりました。首都大学東京の岡部です。
今回こういう場に参加できて非常にうれしく思っております。といいますのは、90年代の後半以降、貧困・低所得者問題が非常な広がりや深さを持って進み、その解決の取り組みとして、地域あるいは自治体、国の皆様が非常に熱心に取り組んでこられました。その成果の1つとして低所得者対策として生活困窮者自立支援法の成立、貧困対策としての生活保護法があり、この2つの制度を一体的に検討しようという場にかかわれたことは非常に意義があります。
検討の内容を見ますと、制度の仕組みあるいは事業の内容あるいは支援の方法、体制も含めて非常に広範囲で、これをこれから検討していくには相当部会長として大変ではないかと思っていますが、検討には非常に期待しています。
私は、地域の中でどの人も生きられる場、活動できる場の仕組みをつくるにはどうしたら良いのかに関心があります。貧困・低所得者あるいは社会的な孤立をしている人たち、またもう一度自分の人生をやり直したいという人たちに対して、実のある検討がこの部会で提供できたら、社会福祉を教える者としては非常に意義があり期待しております。
先に話されたお二方と比べて内容のある話ではありませんでしたが、そういう気持ち・姿勢でここに臨んでおります。よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。自立支援法と生活保護制度との関連、一体性については、こちらこそ岡部委員に期待しておりますので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
何となく形式的な形で進めておりますけれども、この論点は自分議論と重なるというところがございましたら、順番にはこだわらないで積極的に御発言いただければと思います。
○岡部委員 では、1点だけ。
この部会での守備範囲を最初に一応示しておいたほうが良いと思いますが、基準部会と特別部会はある程度関連性が出てきます。その点、御発言いただきますようお願い致します。
○宮本部会長 先ほど検討事項という形で幾つか具体的に挙げていただいたのですけれども、言ってみれば論理的な関係として、自立支援制度と生活保護制度をここで生活困窮者自立支援制度とのかかわりでという前提はありますけれども、一体に論じていく意味というのはどういうふうに理解すればいいのか、このあたりは私が先ほど申し上げたように、そのこと自体ここで議論していくことだと思ってございますけれども、議論のたたき台として事務局に材料をお出しいただければと思いますが。
○鈴木課長 保護課長でございます。
基準との関係でございますが、一義的には基準は基準部会でということではありますけれども、やはり受給者の方の自立支援ということで、相互にツールとして関係することがございますので、例えば、就労自立の給付金の話とか相互に関連するものについては、相互に報告しながら立体的な議論ができるように努めてまいりたいと思います。
○宮本部会長 岡部委員よろしいでしょうか。具体的に挙がっている項目だけを拝見しますと、生活保護制度に関連しては医療扶助の問題、子どもの貧困の問題、無料低額宿泊所等をめぐる貧困ビジネスの問題等、広く考えれば受給者の生活自立にかかわるような問題が挙げられているわけでございますけれども、恐らく困窮者自立支援制度と生活保護制度を保護制度の実態としては、先ほど田中推進官から御説明があったように、働こうにも働けない高齢者の方々が非常にふえているわけでありまして、その方々の健康等をきちんと保障していく施策、これは生活自立にかかわる施策として大事だと思って、そういう形でつながるのかなとは思っていたのですけれども、医療扶助や子どもの貧困や無料低額宿泊所等の問題と、今、鈴木課長がお話しになった点のつながりというのがもう少しあれば、お話しいただければと思うのですが。
○鈴木課長 今、部会長からお話がありました医療扶助や貧困ビジネス対策は一義的にはこちらの部会で御議論いただきたいと考えております。基準のほうは、今期は特に生活扶助本体、生活費がどういう水準になるのかということ、そして、有子世帯の扶助・加算をどうするか、あるいは級地をどうするかといったことが課題になっております。有子世帯の関係につきましては、給付として出すものは主に基準部会の業務でございますけれども、子どもの貧困対策ということで、対策の全体像としてこちらで御意見があるものについては、きちんと基準部会にお伝えしていくということ。また、基準部会での扶助・加算の議論も踏まえて、こちらで全体像として御議論いただくということになろうかと思います。
○宮本部会長 続きまして、本後室長からも御発言がございますので、よろしくお願いします。それから、委員の皆様も、ここは非常に大事な問題でもあるかと思いますので、ぜひ御発言を御準備いただければと思います。では、室長、お願いします。
○本後室長 部会長から今お話がございましたが、特に生活困窮者自立支援制度と生活保護の制度を一体的に議論することの意義に関連して補足的に御説明させていただきたいと思います。
資料1-2をごらんいただきますと、検討項目の中で特に就労支援は生活困窮者自立支援制度と生活保護制度、これは前回の改正のときにも両方パラレルの仕組みとして運用を開始しております。特に自治体におきましては、生活保護、生活困窮者自立支援制度の対象者を事業としては一体に実施しているところもあるということで、就労支援という大きなくくりの中では、まさに一体に議論していただくことが必要だろうと思っております。
それから、子どもの貧困への対応という観点でいきますと、生活困窮者自立支援制度の中では学習支援、特に中学校の世代の方を主に対象にしているわけですけれども、さらにそこが高校の中退や、高校に行っていない方、その世代の方全体の難しい方をどうしていくかという議論もあろうかと思います。生活保護制度の中では、それに加えまして大学等の課題は常に言われているところでございます。このあたりは生活困窮者、生活保護制度を連続的にとらえていかなければいけないという点があろうかと思っております。
それから、生活困窮者自立支援制度の中で居住支援のあり方がございます。田中推進官の説明の中にもありましたけれども、住居の確保をどうしていくかとともに、それに加えて生活支援をどうしていくかという大きなテーマがございます。そして、生活保護制度の中でも無料低額宿泊所の規制ですとか、単独で自立した生活が困難な方に対する生活支援の検討ということで、重なる面、重ならない面があろうかと思いますけれども、ここもかなり一体的に議論してくい意味があるのかなと考えてございます。
それから、生活困窮者自立支援制度の大きなテーマである自立相談支援ということで言いますと、これは論点整理の検討会の中でも論点として挙げていただきましたけれども、冒頭部会長からも御発言いただきましたが、生活困窮者自立支援を行う中で生活保護をどのようにプランや審議の中で組み込んでいくのか。そこはどちらの制度ということではなくて、むしろ連続的にきちんと切り目なく支援をしていけるような体制が必要ではないかという論点をいただいておりますので、ここはかなり密接に関係するところかなと考えております。これはいずれも、非常に関係するところかと思いますので、そこをあわせて御検討いただきたいと思っているところでございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。今、本後室長から生活保護制度との関連につきまして、受給者の生活支援に力点があること、それから、就労支援にかかってももちろん問題にしていくわけですけれども、恐らく高齢化が進む生活保護制度の中で、就労困難な人たちにやみくもに就労自立を求めるわけではないというニュアンスのお話だったと思いますが、そのあたりが承れたのは大変よかったのかなと思いますし、また、生活保護制度を自立支援のプロセスの中で活用していくということについてもお話をいただけたのは、よかったなと思っております。
今のことにかかわって渡辺委員に札を立てていただいておりますので、よろしくお願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。私、子どもの貧困対策をやっておりますNPO法人キッズドアの渡辺と申します。いわゆる低所得世帯の子どもたちの学習支援をしております。東京と宮城県の仙台にも事務所がございまして、仙台、南三陸とやっているのですけれども、昨年でいきますと46教室で1,200人ほどの生徒さんを見てまいりました。
その中でまず1つは、子どもの貧困対策が生活困窮者自立支援法や生活保護法の中に入りまして、こういう事業が全国に広がっているということは非常に価値があることだと思っておりますし、これによって非常に救われている御家庭がたくさんあるということは感謝とともにお伝えしたいと思っております。
そんな中で私たちがやっている中で見えてくるところとしては、学習支援ということで低所得の御家庭が非常に学力が低いということなのですけれども、学力の低い原因というのが単に勉強の問題ではなくて、家庭において文化資本も環境資本も生活資本も全てが欠落しているという状況です。例えば、本当に食事が満足にできてなくて、夏休みの間は昼食を出さないとだめだし、一日3食食べない子が結構いるということもあります。例えば、文化資本といいますか、環境資本といいますか、最低限の生活のしつけですとか、ソーシャルスキルとかコミュニケーション能力がなかなか伝達しないような御家庭があって、例えば居場所にパジャマを着てきてしまった子がいて、それはパジャマだから1回着がえてこようねということを言うだとか、そういう御家庭もあるのだなということがわかってきました。
あと、一般的に普通にしているだろうと思う体験が欠落してしまっているというところで、例えば中3生になって実は動物園に行ったことがない子がいたということがわかって、この間のゴールデンウィークに寄附を集めて、その子たちを旅行に連れていったのですけれども、旅行するのが初めてだったという子たちがいる中で、生活における自立支援の中でも学習支援の内容の標準化といいますか、単に勉強を教えるのではなくて、家庭背景みたいなところを踏まえて必要な支援をしていくということを、子どもの貧困対策の中でやっていかなければいけないだろうなということが、困窮者自立支援法の委員会の中でも随分出てきて、それはすごくありがたいなと思っています。
また、学習支援ができて高校の進学率は上がったのですけれども、例えば、指標として卒業率でもないですけれども、中退される御家庭がすごく多いというところを踏まえつつ、キャリア教育とか自立につなげていくということをしっかりと子どもの貧困対策の中でやっていくのが重要かなと思っております。
基準部会との関係でいきますと、そういうことになっている背景としては非常に家庭の収入が少ないということがありまして、生活保護を受けている御家庭も、受けずに何とか頑張っている困窮の御家庭も非常に厳しい中で、子育て世帯の生活困窮の方たちをどう支えるかみたいなところは本当に議論していただければいいと思いますし、保護費だけではなくて、例えば、準要保護と言われる就学援助のあり方みたいなものも、額もこのままでいいのかと。中学校に上がったときに制服が買えない御家庭がたくさんあるとか、そういう中で額の問題ですとか、地域の問題も大分改善されてきましたけれども、やはり安心して子育てができる社会にしていくために、どうしていくのかということをこの会でも議論ができればいいなと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。今、渡辺委員から自立支援制度と生活保護制度について、子どもの貧困という観点の非常に大事な御示唆をいただいたかと思います。生活保護制度の中でも、子どもの貧困の連鎖を防ぐためにもソーシャルスキル、ソーシャルキャピタルをきちんとそこに投入していかなければいけないのだけれども、これは自立支援制度との連携でできる可能性が広がっていくということです。大変ありがとうございました。
朝比奈委員、よろしくお願いいたします。
○朝比奈委員 市川市生活サポートセンターそらの主任相談支援員をしております朝比奈と申します。
市川市の自立相談支援事業は平成27年の本格施行からなのですけれども、千葉県では中核地域生活支援センターという、対象を限定しない包括的な相談事業を平成16年から県内13カ所で実施しておりまして、そちらの状況の中では、生活困窮者だけではなくて生活保護受給世帯の方々への支援も経験してきております。そういった立場から発言させていただこうと思っております。
今日御説明いただいた資料3の中で、生活困窮者自立支援法の主な対象者はどんな人たちかということを図で示されたものを大変興味深く拝見させていただきました。既に顕在化している部分と、見えにくい右側の部分をどうやって深めていくかということが、より重要な論点になろうかと思っております。
例えば、私どもが携わっている相談の現場では、つかまえたくてもつかまえられない10代後半の子どもですとか、20代、30代の若者、SNSなどを使ってどんどん動いていく人たちにたくさん出会ってきています。そのあたりにどうやって迫れるかということが大きな課題になっていて、恐らく体力が落ちてくる40代、身動きができなくなってくる50代以降にどうにもならなくなって施策のターゲットになってくるのかなと思うのですけれども、より早くという意味では、そのあたりにどうやって迫れるのか。特に、暴力や虐待の結果として家族や家庭の基盤を失っている人たちにどうやって迫れるかということが非常に問題意識としてはあるかなと思っています。
そことの関連もありますが、先ほど居住支援のお話も出ていたのですが、住まいを確保するだけではなくて、住み続ける支援が必要だというのはよく奥田委員がおっしゃっていることなのですけれども、保証人が得られるだけではなくて、最近は保証協会など保証会社の仕組みを使うところもふえてきているのですけれども、緊急連絡先すらない人たち、こうした人たちに対して、ある意味積極的に地域のつながりを提供していく意味で、地域ベースの公的な保証の仕組みづくりなども必要なのだろうと思っていて、生活支援が必要だということは論点になっているのですが、建物に生活支援をつけるのではなくて、地域のつながりの中で生きていただくことを含めた生活支援、ネットワークづくりが必要なのだろうと思っています。
あわせて、私たち生活保護の受給の方々は、ケースワーカーさんとの連携は非常に日常的なのですけれども、児童相談所もそうなのですが、指導の権限を持って相談に当たるのと、そうではない立場で相談に当たるのでは、御本人たちにとって意味合い、とらえ方も違ってくるだろうと思っております。ですので、生活保護のケースワークにも大変強い興味・関心がございますので、そういった観点からも発言させていただこうと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。これも両者の連携について大変触発的な御意見を2点にわたっていただきました。
議論を進めてまいりますけれども、石橋委員は16時30分ごろに退室の御予定があるということで、もしよろしければ先にお話をいただけるとよいかと思いますが、いかがでしょうか。
○石橋委員 私は行政の長ということで、人口1万1,000人の町長をやっておりますけれども、非常に小さな町ですので、こういった問題については既に顔が見える関係になっていまして、いわゆるセーフティーネットは張りめぐらされているという感じが実はしています。
私は今4期目ですが、町長になってから、とにかく女性の貧困・命、子どもの貧困・命を絶対に守っていくんだということを公約に申し上げて、そういった観点からいろいろな助成制度も含めて、今は日本一の子育て村を目指してということで、特に金銭的には第2子からの無条件の保育料無料、あるいは中学校卒業までの医療費の無料ということをやっています。
平成20年度からは町独自に福祉事務所を設けまして、町で福祉事務所を持つというのは結構少ないかもしれません。恐らく広島県とか島根県ぐらいかなと思っていますけれども、そのおかげでいろいろな問題も把握できるようになっています。ですが、人口は少ないのですけれども、さっき言ったようなネットワークがあるものですから、相談ケースそのものが年間で18件しかございません。少ないのだろうと思うのですけれども、そのうち半分は本人からの直接の相談があるのですが、残りの半分は民生委員さんや保健師さん、知人の方から連絡があるということで、皆さんがお互いにつながっているところが一番強みなのかなと思っています。したがって、生活保護受給者も平成20年度には60人ぐらいおりましたが、今は30人ぐらいです。ですから、1万1,000人で30人、1,000人当たりに直しますと3人ということになります。同時に、就労に非常に力を入れていまして、体制も福祉事務所は課長兼務ですけれども所長をやっていまして、あとケースワーカーが3人おります。町にも無料職業紹介所を設けておりまして、そこへ必ずつないでいくという形で、そこは結構マッチングをしております。ですから、困窮されている方も結構就労いただいている。働く場も、私どもは医療福祉関係含めてさまざまな職種がございますので、そういう点ではいいのかなと思っていまして、ひとつ町長のあり得る姿勢も絡むのかなと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。首長さんが真剣になっていただけると、小さな自治体がここまで輝くのだなということがよくわかるお話でございました。今後ともよろしくお願いいたします。
先ほど来、自立支援制度と生活保護制度の関連で、どういう観点から一体としてとらえるのか、どういうふうに連関させていくのかということに1つ力点を置きながら話を進めてさせていただいておりますが、冒頭申し上げたように、今日は初回でもございまして、皆様の活動等を紹介いただくことも兼ねて、あるいは事務局のほうから相当詳しい御説明もございました。それに対する質問や新しい資料のお願い等をいただくことも兼ねて、お話をさらに進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
大野委員、よろしくお願いいたします。
○大野委員 皆様こんにちは。私は民生委員という立場で今回参加させていただきました。明日5月12日は「民生委員・児童委員の日」なんです。それで、今日この会場に入りまして、皆様の胸元を拝見しましたら、民生委員を応援していますという応援バッジを付けていらっしゃる方がいて大変うれしかったです。ありがとうございます。
この民生委員制度というのは、大正6年にできた救貧・防貧をテーマに活動を続けているものでございます。また、地域性など、いろいろなものがありますから、民生委員がすべて同じ活動というわけにはまいりません。この100周年を機に、全民児連では記念事業の1つといたしまして、社会的孤立を背景とした課題や心配事を抱えた世帯への支援について、「全国モニター調査」として調査いたしました。現在、民生委員は23万人強いますが、全員に調査票を配付し、現在、収が済んで、整理を行っているところでございます。明日は「民生委員・児童委員の日」ということで、その第1次報告を公表する予定でおります。今後、時間をかけていろいろな課題が出てきたものを分析して、私たちの活動につなげていけたらいいなと思っておりますので、自己紹介がてら民生委員を紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。民生委員制度は今年で100年目をお迎えになっているわけでございまして、自立支援制度もネットワークの中でしっかりその一角を支えていただいていると理解しております。今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、竹田委員、よろしくお願いいたします。
○竹田委員 このような重要な部会に皆さんと参加させていただくこと、大変に光栄に思っております。私は北海道の道東にあります釧路町の地域包括支援センターで、直営の地域包括支援センターですので社会福祉士として勤務していますので公務員でもあります。制度創設からずっと地域包括支援センターで働いておりまして、高齢者の方の相談に応じることが大半です。また、現在、社会福祉士として実際に今、成年後見人として受任しておりますが、いずれも生活保護を受給しておりまして生活保護費を私が代わりに管理しているという状況でもあります。生活保護を受けている方も非常に多いのではないかという問題意識を持っております。また、日本社会福祉士会の理事も務めております。そういう中で、今日は地域包括支援センターという立場から3点ほど申し上げたいなと思っております。
1つは、日々数はそれほど多くはないにしろ、虐待の対応の中ではどうしても要保護者の分離保護を図っていく上で、住まいの確保と同時に生活保護の申請は避けて通れないわけですけれども、先ほど朝比奈委員からもありましたように、保証人の確保というのは年齢的なものもあって、基準の中でアパートを探すというのはなかなか難しいところもありますので、そのあたりもぜひ検討していただけるといいかなと思っております。
2点目が、事務局の説明によれば高齢者世帯が増えているということでしたけれども、同時に、認知症の高齢者の方もかなり増えておりまして、成年後見制度の活用もかなり多くなっているのではないかと思っていますので、そのあたりの兼ね合いや資料としてもし可能であれば、どのくらいの方が実際に活用しているのかがわかると、判断能力が低下した人々の自立と尊厳の確保という観点から議論を深めていただけるといいかと思っております。
3点目でございますが、先ほど来、一体的に議論ということで制度の一体性や連続性が今後議論されていくということで期待しているわけでございますが、支援というのは御本人との信頼関係なくしてはなかなか前に進んでいかないということもありますし、時に信頼関係を構築するにはかなり長い時間を要することもありますので、一時的に生活保護を活用した場合においても、横断的に同じ支援者がかかわっていく中で伴走し、例えば、生活保護からの自立という形で、本人を主体としてかかわっていくような仕組みづくりも必要ではないかと思っております。そうすると、そういった制度を担っていく人材を今後どのようにとらえて考えていくかというあたりも論点として挙げていただけるといいのかなと思っております。
今後の議論を大変期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。これまた3点非常に大事な論点を出していただいて、2番目の論点に関連して、つまり認知症と成年後見人制度の観点から、制度の活用の資料をお出しいただけないかということでしたけれども、活用というのはもうちょっと具体的にお話をいただけると、事務局も助かるのかなと思いますが。
○竹田委員 もし可能であれば、生活保護なり生活困窮の事業の対象者の中で、どのくらいの方が実際に後見制度を利用しているのかというような数値がわかりますと、議論の内容に資するのかなと思っておりますので、可能であればお願いしたいと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。その点はよろしいでしょうか。
○本後室長 それは調べまして、あるかどうか今は定かではありませんけれども、お出しできるものをお出ししたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
端から順番にというところから、皆さんどんどん自発的に御発言いただくモードに変わってきておりますけれども、続きまして生水委員、お願いします。
○生水委員 皆さん、こんにちは。野洲市は滋賀県南部に位置します人口5万の町です。私は市民部市民生活相談課で相談業務を担当しております生水と申します。
この市民生活相談課は、総合相談窓口と位置づけておりまして、断らない相談を目指し相談者をたらい回しにすることがないよう心がけ対応させていただいております。生活困窮者自立支援法については当課で所管しておりまして、相談支援、家計相談支援については市の直営、学習支援事業についてはNPO法人に委託しておりますが、当課が事務局を担っておりまして、丸投げすることなく一緒に事業を行っております。
今回の制度について非常に感じていることがありまして、それはこの制度によって自治体、市役所のあり方、職員の働き方が変わる必要があるのかなと感じております。
1つは、先ほど勝部委員がおっしゃったように、自治体のアウトリーチというところにおいては、個人情報の取り扱いが大きく課題にあると思います。これが市役所においては税の滞納であったり、使用料の滞納であったり、また福祉情報であったりといった生活にかかわるさまざまな情報を持っております。これをどのようにアウトリーチとして活用していけるかとなると、例えば野洲市の場合では、納税推進課において債権管理条例を制定しておりまして、生活再建のベースに滞納整理を行っております。特徴としては、生活困窮状態による徴収停止や債権放棄を規定しているのですが、また、生活困窮者を支援するために市民生活相談課が意見書を提出することなどによって、税金等の延滞金を全額減免する規則を制定しております。この各課が力を合わせる減免の仕組みによって、生活困窮に陥る可能性のある人を早期に掘り起こすことができると考えております。
それと、先ほどもお話があったように、専門職としての人材育成・配置も本当に大きな課題です。特に家計相談支援事業において、必要性と効果は大変理解されているものの、これを必須化した場合において、専門性を担保して事業を進めていくにはどのような仕組みが必要なのかということが大きな論点だと思いますし、もう一つは、生活保護を活用して支援をしていくにおいて、遮断されることなく家計相談支援を連続して行うことが現場では非常に求められております。こうしたところからは生活保護と生活困窮者自立支援制度の支援の連続性についてきっちりと議論していくことが必要だろうと思っております。
もう一つは、地域の拠点として市町村の基礎自治体のあり方、役割がどのようなものか。地域力強化事業を進める上で、地域だけで、住民だけで課題が解決するものではなくて、専門的な支援をしていく基礎自治体の役割をしっかり落とし込んでいけるかという議論が重要なことだと考えております。ここの議論によって、基礎自治体の職員の働き方、組織のあり方まで変わっていくと思いますので、私もしっかりと学びながら勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。個人情報の扱い、専門職の位置づけ、生活保護制度の活用、ひいては基礎自治体のあり方そのものにかかわって、この制度の施行こそが自治体を大きく変えていくきっかけになるのだという大変説得力のあるお話をいただきました。
続きまして、いかがでしょうか。では、しばらく向こうから来ましたので、こちらの新保委員、よろしくお願いいたします。
○新保委員 明治学院大の新保と申します。よろしくお願いいたします。大学では社会福祉学科に所属しておりまして、公的扶助論やソーシャルワーク演習などを担当しております。
実は、学生時代に生活保護の制度に出会いまして、その後、自分も生活保護のケースワーカーとして働いた経験があります。そのころから本当にどうしたらいい支援ができるのかなと思い悩みながら、今の職場に移りましてからも全国の担当職員の皆様と御一緒に、そのあり方を考えることに取り組んでまいりました。
生活困窮者自立支援制度が始まりましてからは、主に従事者養成研修の企画・実施にかかわらせていただいています。ここ数年は、生活困窮者自立支援制度の目標が2つあり、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」と「生活困窮者支援を通じた地域づくり」ですけれども、こういう理念を実現していくために支援者に何が求められるのか、そして実際何ができるのかを、この部会にもいらっしゃいますが、全国の熱い実践者の方々から学ばせていただいているところです。
個人的には、この部会で生活困窮者支援と生活保護の双方が一体的に検討されることにとても大きな意義があると思っています。制度の目標の1つに「尊厳の確保」という言葉が入っておりますけれども、これは非常に大きくて重たいことだと感じています。生活困窮者だけでなく、生活保護受給者の方々も尊厳が損なわれやすいということは現実としてあり、ずっとそういう状態が続いているのではないかと思っています。一人一人が「制度の利用者」としてではなくて、「地域に生きるかけがえのない存在」として尊重されたり、自己実現できるという支援のあり方を一体的に考えていくことができるとしたら本当に望ましいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。今、新保委員から自立支援制度と生活保護の一体的な議論の重要性を大いに強調されつつも、あわせて地域づくりというお話が出まして、論点検討会の中では生活保護に引きつけて自立支援制度を議論していく重要性とあわせて、逆に生活保護から一旦離れて投資的経費を扱うような部局のマターとしても、この制度を大いに具体化していく重要性が議論されていて、そのあたりの議論を踏まえての御発言をいただいたのかなとも思っております。
ほかにいかがでしょうか。そちらの順番を途中でとめてしまったのですけれども、高知の吉岡参考人、よろしくお願いいたします。
○吉岡参考人 高知の吉岡でございます。高知市長の岡崎が今日は所用がありまして、参考人ということで代理で来ておりますけれども、自治体ですので、高知の取り組みについてお話をさせていただきたいと思います。
実は10年以上も前になりますけれども、三位一体改革のときに生活保護の国庫負担のあり方について、高知市長の岡崎が市長会の代表として国の協議の場に出ておりまして、そのときのワーキングのメンバーに私も入っておりました。非常に懐かしく思っているのですけれども、今、資料を見せてもらいましても、全国的に都道府県を見ますと北海道と大阪と高知と今、沖縄県も入っていますが、そして福岡ということで、相変わらずの当時と同じような状況だなと思いました。
高知はまた、中核市でもいつもワースト10に入っていまして、平成28年は6位になっていますけれども、大体いつもワースト5位ぐらいに位置しておりまして、上位はやはり函館市さんや尼崎市さんとか相変わらず同じようなメンバーとなっております。那覇市さんが入ってきたのはちょっと驚きましたが。そういう中で、例えば、北海道や福岡だったら炭鉱の町でしたので雇用が厳しくなったということ、それから、大阪などは集団就職されたり、万博の関係もあったと言っていましたけれども、故郷へ帰れなくなって生活保護に入ってしまったという話も聞いております。では高知はなぜと考えたときに、沖縄さんが入ったのでやはり所得が低いというのもありますし、高齢化が全国より10年先に進んでいますので、非常に高齢者が多くなっているということもあります。
確かに政令市・中核市は生活保護率が高いです。他人社会であり、人口の多い都市に入ってくると顔が見えなくなって安心して生活できるということがあります。高知県の紹介をしますと、高知県の中でも西のほうの四万十川近くの幡多郡は、10年位前は大体10パーミル前後でした。なぜかというと、まさに地域の中で支え合う共助の形ができていまして、あそこのおじいちゃん、おばあちゃんが大変だから野菜やお米ができたので持っていってあげたらどうかとか、お米ができたので持っていってあげたらどうかという支え合いの精神がありました。逆に、東の室戸市のほうは現在、かなり厳しい状況になっていまして、実は昨年57パーミルまで上がっていまして、大阪市よりも高くなっています。そこは漁業の町ですので、海から陸へ上がると仕事がなくなるということもあります。ですから、今回もテーマに出てきますけれども、地域の中でいかにコミュニティーをしっかり保ちながら支え合えるようなまちづくり、地域づくりが大事であるというのが1つだったと思います。
2つ目に、私が分析した中では、今、高知市の保護率は37パーミルぐらいあるのですけれども、全世帯の51%が高齢者世帯です。そのうち9割以上が単身です。彼らに就労の話をしても、そこまでの就労意欲はないといいますか、70代、80代になるとどんどん就労意欲が薄れていきますので、この人たちが何らかの形で社会参加をしたいというような、簡単な仕事や、ボランティアでいいですけれども、そういう就労の形を考えていかなければいけないのではないかと考えています。その中で大事なことは、今の生活保護制度の中に高齢者をこのまま入れていていいのかなと前から疑問に思っていまして、高齢者対策として、分けて考えたほうがいいのかもしれないなと思います。
今、高知市は生活支援相談センターを、平成25年10月から立ち上げおりますが、第4回生活困窮者自立支援全国研究交流大会を本年11月11日、12日に高知市で開催いたしますので、ぜひ皆様にも参加してもらいたいと思います。
本市の生活支援相談センターでは、平成27年4月から平成28年10月の1年半の間の相談件数は大体延べ2,200件ぐらいあり、その中でやはり40代、50代が多くて、一番多いのが収入と生活費の相談で697件、全体の約3割を占めています。40代、50代の方というのは多分お子さんは中学生ぐらいです。では、高知市の中学生はどうかというと、就学支援制度もありますけれども、大体クラスで3人に1人が就学支援制度を使っているんです。たしか生活保護率は37パーミルぐらいなので、3~4%ぐらいの生活保護世帯なのですけれども、就学支援制度の利用状況から相当厳しい生活実態があるということがわかりますので、相談される方々がどういう形できちんとした仕事について、子どもたちを育てていくかをしっかり分析しながら支援しなくてはいけないと考えています。
その支援策の1つとして、高知市が平成25年から高知チャレンジ塾というものを始めまして、生活保護世帯のお子さんやクラスの友人などを集めて大体年間400人ぐらいの生徒を支援しています。延べで約1万2,000人、市内10カ所で就学支援をしております。生活保護者の方の生徒の就学率もかなり上がってきました。生活保護を受けている親の子どもが生活保護を受け、その子どもも受けているということから、この貧困の連鎖を断ち切ろうということで始めたものです。また、高知では最近こども食堂が始まっています。地域の方々が朝学校に行って食事をつくっています。朝食を摂らない、摂れない児童に対して地域の方々の支援が今始まっています。いろいろな形で地域でできることをやりながら、地域の中で何ができるか、高齢者の制度をどうしていくか、それから、子どもたちをどうして支援していくかを3点セットで考えたらどうかと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、伊藤参考人からお話をいただければと思います。
○伊藤参考人 自治体が続いておりますので、私のほうから。川崎市副市長の伊藤でございます。本来ですと、福田市長が出席ということで委員になっているのですけれども、今日は欠席ということで代理出席させていただいております。
福田市長は、20あります政令指定都市市長会からの推薦という形で参加させていただいておりまして、政令指定都市といいましても基礎自治体ではございますけれども、規模に応じていろいろと課題があると思います。特に大都市となりますと、経済や社会のエネルギーという形で牽引している一方で、さまざまな形で大都市ならではの課題が生じておりまして、これまでも政令指定都市の市長会を通じまして国のほうにもいろいろな提言をさせていただいております。そうした中で生活保護制度あるいは自立支援制度につきましても、幾つか提言させていただいております。詳細については今は避けたいと思いますけれども、そういった意味ではいろいろ国にもお世話いただいております。
そうした中で、若干視点を変えて川崎市を御紹介させていただきたいと思います。先ほどアウトリーチの話があったと思いますけれども、それに関連してですが、本市でも生活向上のために、自立支援のための相談窓口なども開いているのですけれども、先ほどの資料にもありましたように、福祉事務所来訪者のうち生活保護に至らない人というのは比較的顕在化しているとあったのですが、右側にひきこもりになったり、なかなか顕在化していない見えにくい方たちが大きな課題だということは、これまでも各委員さんが述べられてきたことだと思います。
実は、局長さんからも冒頭お話がありましたように、我が事・丸ごと地域福祉の推進とも絡んでくるのですけれども、地域包括ケアシステムも皆様方は御案内だと思いますが、まさに2025年問題ということで、基本的には団塊の世代の方たちが後期高齢者になる2025年を見据えて、75歳以上ですから介護ニーズや医療ニーズが高くなってきます。それをどうしていくかというところから、主に高齢者介護の問題から検討が始まったと認識しておりますけれども、本市では高齢者だけでなくて障害者ですとか、母子世帯あるいは生活保護あるいは生活困窮者も含めた地域住民全てを対象にして検討を進めております。若干風呂敷を広げ過ぎたという懸念もあるのですけれども、大体1つのケース、例えば、生活困窮の方から相談が来ると、就労の課題だけではなくて、その背景にはDVがあったり、疾病や健康問題、大きな負債という、平均すると1人3つぐらいの課題があって、それは生活困窮だけではなくて、児童相談所に行けば子どもさんの課題は世帯の課題であったりということで、そういったものを複合的に見ていこうというのが本来の趣旨でございます。
それを今まで相談窓口というと、それぞれの専門機関がそれぞれ相談に来た方たちに対応していたわけですけれども、それですと見えない部分、本当に必要なところにどうアプローチしていくかという部分が希薄になるということで、実は政令市ですので区役所がございます。川崎市は150万人に達したのですけれども、その中に7つの行政区がございまして、その区の中に当然福祉事務所があるのですけれども、福祉事務所の中で地域見守り支援センターという組織を昨年度設置いたしまして、おおむね中学校区レベルでそれぞれ職員・保健師を中心に地域を割り当てまして、積極的に出ていきましょうと。アウトリーチと言ってもそこで自己完結はしなくて、むしろそこで課題を発見し、専門のセクションにつないでいこうと。しかも、行政の職員だけでは課題はなかなか発見できませんので、地域にいらっしゃる、それこそ民生委員さんですとか、地域包括支援センター、町内会・自治会といった多くのネットワークを構築しつつ、課題を発見し、必要なセクションにつないでいくと。そのつなぐ先が、例えば貧困の課題であれば、場合によれば福祉事務所かもしれませんし、本市では生活自立・仕事相談センター、だいJOBセンターという愛称で呼んでいるのですけれども、そこにつないで就労相談をしたり、自己完結はできないけれども、いわば出張コンシェルジュのような形で取り組んでいるところでございます。これは、もともとは地域包括ケアですので高齢者がメーンではあったのですが、縦割りを排除しましょうということで、まさに包括的な対応に着手したところでございます。ただ、その組織体制をつくったのは昨年4月ということで、まだ緒についたばかりですけれども、非常にチャレンジングな気持ちで私どもは対応していきますので、ぜひ皆様方からもアドバイスをいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。先ほど人口1万人の邑南町の町長、石橋委員からのお話があり、その後、高知市の吉岡参考人からのお話があり、人口150万人の川崎市からの伊藤参考人のお話があって、やはり自治体の規模が大きくなるにしたがって問題が複雑化し、困難化していくと。ただ、同時に今の伊藤参考人のお話にあったように、そうした複合的な困難に包括的に対応していく新しいアプローチに果敢に取り組まれているということも、また浮かんできたのかなと思っております。
私の司会の不手際もございまして、最初はお一方4分くらいでお話をお願いして、小杉委員、勝部委員などは守っていただいたのですけれども、その後、議論が熱を帯びるに従って少し延びる傾向にもございます。場合によっては、後で小杉委員や勝部委員には2回目の発言を保証するということも考えなくてはいけなくなってきましたので、御協力をよろしくお願いしたいたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。それでは、浦野委員、よろしくお願いいたします。
○浦野委員 行政の方が続きましたので、社会福祉法人の人間として一言御挨拶がてら、お話を申し上げたいと思います。
私は、全国社会福祉法人経営者協議会で協議委員を務めておりますが、自分自身が日ごろ勤務している法人が神奈川県にございまして、児童養護施設、乳児院、養護老人ホーム、特別養護老人ホームなどを経営しております。先ほど申し上げましたように、全国社会福祉法人経営者協議会の協議委員を務めており、この間、皆様方御承知のように、社会福祉法人制度改革が数年来の議論を重ねて昨年3月に法律ができ、その1つの中で社会福祉法人の公益的な取り組みの責務が描かれました。このことと生活困窮者の支援は、私は表裏一体の課題なのだろうなと思っております。
確かに、戦後、社会福祉のさまざまな専門性の発展ということで、社会福祉事業も非常に専門分化してきたということがあって、ともすればこの50年間の中で、我々社会福祉法人経営者の中にも、生活困窮の問題というのが自分のフィールドと直接関係がないという認識をやや持ってきてしまった、そういう反省はあると。しかしながら、言うまでもなく全ての社会福祉事業はそのルーツは生活困窮者問題であって、生活困窮者でたまたま高齢者であった方が老人福祉の分野に進んだり、たまたま児童であった方が児童福祉の分野に進んだということであって、社会福祉の仕事というのは全て生活困窮の問題が共通点としてある。社会福祉法人制度改革と生活困窮者の自立支援の課題は、まさに底がつながっているのだなという認識を持っております。
一方で、生活困窮者の課題を考えたときに、実は社会福祉法人がある意味では、潜在的には大きな資源の保有者であると思います。多分、日本中の社会福祉士の中で所属はどこですかといったときに、社会福祉法人に所属しているという人が非常に多いだろうと思いますし、あるいは例えば、ものの資源などをとっても、先ほど来出ていますけれども、学習支援の取り組みをしようというときに、身近にすぐに使える場所、保育所は夜は空いていますよねとか、老人ホームの会議室はすぐに使えますよねとか、あるいは通院や買い物で交通手段がないという人に、デイサービスの車が昼間は使えますねとか、そういう意味で資源はたくさん持っていると思います。この資源をいかに活用していくかということが今、課題なのだなと思っています。
それには我々自身が、この課題が社会福祉法人の最も原初的な課題なのだということをしっかり認識することが当然必要になります。一方で、この資源を引き出していく、うまく使いこなしていただくためには地元を見る必要がありますが、行政やあるいは今まで私たちは、どうも国や県だけを見ていて、地元社会あるいは地元行政をきちんと見ていませんでした。社会福祉協議会の側も、全国社会福祉協議会ですとか都道府県の社会福祉協議会ですと、社会福祉法人をしっかり見てくださっているわけですけれども、市町村のレベルになると社会福祉協議会と地元の社会福祉施設とが、うまく連携がとれているところもあるのだろうと思いますが、十分にとれていないところがある。こういった市町村の社会福祉協議会が社会福祉法人と協働することによって、地域の福祉課題、さまざまなことに応えていけるのではないかと思っておりまして、いかに社会福祉法人を使いこなしていくか、あるいは社会福祉法人自身が力を発揮していくために何が必要かということを勉強しながら、皆さんと話し合いをさせていただければありがたいと思っております。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。自治体のほうから複合的な困難に対する包括的な支援についての決意表明があったのに続いて、社会福祉法人のほうからも、いわば多元化した社会福祉法人の活動の原初的という言葉を使われましたけれども、困窮者問題は出発点であるのだということから、この問題を基礎に多元的な活動を連携させ包括化させていくというお話もございました。どうもありがとうございました。
続きまして、日本医師会から松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 日本医師会の松本でございます。「生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会」につきましては、先ほど田中推進官から簡単に説明がございましたけれども、その構成員の中でここに出ているのは私だけでございますので、簡単に紹介方々お話をさせていただきたいと思います。
資料4の29ページにございますけれども、いろいろな問題がございます。確かに生活保護受給者は医療保険の加入者と比較して、生活習慣病の割合が非常に高いことがありまして、その健診データが十分に集約されてません。ただ、これは生活保護受給者だけではなくて、いろいろなところで健診が行われていますけれども、例えば、乳幼児健診、それから、学校健診、事業所に入れば一般健康診査、それから、特定健診あるいは対策型がん健診とたくさんの健診がありますけれども、これを一元的に集積されたデータというのはなかなかできていないわけです。これは国も取り組んでいますけれども、日本医師会もこれについては非常に大事な点だと思っておりまして、日医健診標準フォーマットを発足させまして、今これに取り組んでいて、データの集積を頑張ってやっております。そういった点がまず1点。
それから、生活保護受給者の健康管理につきましては、確かに生活習慣病の割合は高いのですけれども、実際的にはメンタルの部分で非常に大きな問題を抱えている方が多い、あるいは両方持っていらっしゃる方が非常に多いという問題があります。
生活保護受給者の方の受診となると頻回受診のことがよく言われますけれども、私も診療所で実際に診察しておりますけれども、必要なのになかなかきちんと受診していただけない。そのために、きちんとした治療ができないという問題の方がむしろ多いんですね。メンタルの問題を抱えている中で、例えば、最初のうちは2回、3回としっかり来るのだけれども、2カ月、3カ月経過すると来られなくなる。聞いてみると、やはりメンタルの面で問題があって家から出ることができなくなってしまったということが非常に多くございます。そういった問題をどうするか。
このデータを例えば、生活保護受給者の方であれば、健診であれば健康増進法にのっとった健康診査がございますけれども、こういったデータを用いたり、あるいは医療機関でのデータを用いたりして福祉事務所に集めて、それをもとにして健康管理を実施して本人あるいは家族に介入していくことが考えられていますけれども、これもいろいろな問題がありまして、かかりつけ医としっかりと連携して、この問題に取り組んでいただきたいということが1点。
それから、福祉事務所でこういったことをやるには人的な資源の問題とかいろいろあると思いますし、介入するに当たっては、どういった介入方法が費用対効果が高いのかということもございますし、非常に数が限られていると思いますので、そういった問題が検討会のほうでも議論されました。
また、データのインフラ整備につきましては、全体として取り組んでいかないといけない問題でもありますし、もっと大きな問題として、国を挙げての課題として健康寿命の延伸というテーマが大きくありますので、こういったところにもかかわってくる問題ではないかと思っております。
今日は簡単に御説明を申し上げました。よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。実は、困窮者自立支援制度当初の議論から、健康問題が自立支援という目標のためにもいかに大事かということが繰り返し議論されてきたわけでございまして、今このような形で日本医師会からも専門職としていろいろアドバイスをいただけるということで、大変心強く思っております。
続きまして、大西委員、お願いいたします。
○大西委員 大阪の府内で生活保護によります救護施設や特養、それから、各種の委託事業を請け負ってその事業の運営に当たっています。主に救護施設を出発としておりますので、今全国の救護施設の代表もさせてもらっています。
現場サイドの話で細かくなるかと思うのですが、私の法人で今、大阪では福祉の5カ所でそれぞれの地区の社協とジョイントで相談事業しています。先ほどの話と関係があるかもわからないのですが、職員数は足りません。新保委員には申しわけないのですが、質がどうかなという支援員さんもおられるということで、その辺にちょっと問題があるのではないかという思いを持っています。
それもあわせて貧困ビジネス問題に関連してくるのですが、同じような場所で生活保護を担当されている福祉事務所のケースワーカーの数、質をしっかりと議論していただきたいと思っています。それによって大きく被保護者の行き先が変わってまいりますので、大変重要なポイントだと思っております。
それから、相談事業については先ほど厚労省から御説明がありましたが、ある程度定着して成果も上がっているかと思うのですが、やはり就労訓練に関しては、いま一つ広がりがないかと思います。私どもの団体、全国の会員救護施設で183施設とわずかな組織ですが、全施設で認定を取るようにということで行動指針に掲げてやっております。私どもの法人も既に5カ所の救護施設があるのですが、全部認定を取っておりますが、そこから先ほど浦野委員が触れたかったのではないかという、そういった認定を取ってお金を吸い取りませんので、就労していただくことによって、それに付随する旅費であったり、食事代であったりを施設で賄うことによって、公益的な取り組みにつなげているという施策を持って今、運動をしております。
大阪では「しあわせネットワーク」ということで各法人がお金を拠出して、生活困窮者に対してお世話する事業も早くからやっているわけですが、このデータを見ておりますと、まことに手前みそですが、そこに救護施設等をかませた流れというのは大変効果を上げている。ある1人の支援員がいろいろと付き添って寄り添ってやる、しかし、そこで救護施設を利用して衣食住の問題とか一時的な宿泊であったりと、一時入所などは相当ピンポイントで押さえていかないといけない問題ではないかと思っています。
どうぞ救護施設をよろしくお願いいたします。簡単ですが、御挨拶にかえたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。救護施設も今非常に複合的な機能を発揮していただいているところでございまして、またいろいろ御助言をお願いしたいと思います。
平川委員、よろしいですか。
○平川委員 連合の平川でございます。
連合としては、制度創設時に検討会の委員を出させていただきまして、就労支援の関係含めて意見等を述べさせていただいた経過があります。
また、連合は政策的な面だけではなくて、労働福祉協議会という事業団体に加入しておりまして、さまざまな就労支援や家計相談支援事業を地方自治体から受けて取り組みを行っております。地方組織の取り組み含めて特徴的な課題については引き続き交渉を交わし、意見を述べさせていただければと思っています。
そうした中で、今意見があった中で、実施体制やこの制度をどう動かしていけばいいかというときには、専門性の問題や人材の問題が大きな課題ではないかという御意見がいろいろあったのではないかと思います。私は、別の福祉人材の検討会の委員もやっておりまして、その中では社会福祉士の位置づけや課題についても検討がされておりますけれども、専門性の問題や処遇の問題については、制度を動かしていく上ではかなり大きな課題ではないかと思っております。
例えば、先ほど言った生活保護受給者の健康管理支援の問題ですけれども、現場の福祉事務所のケースワーカーが本当に健康の相談までできるかというと、松本委員もおっしゃっていましたけれども、率直に言ってなかなか厳しい状況がありますし、それをどう担保していくのか。そこに当然、保健師等が必要ですけれども、では、どうやって保健師が配置できるような体制をつくっていくのかということまで考えていかないと、健康管理支援が必要だねということだけでは物事は動かないのではないかと思いますので、そういう観点も重要ではないかと思っています。
また、高齢者の貧困の問題についても、低年金・無年金問題はこれからますます深刻化してくると考えているところですし、それを防ぐために社会保険の適用拡大等を進めておりますけれども、足元急増する低年金・無年金者、そして住まいの問題をどうしていくかというのは深刻な問題だと思います。生活保護問題とあわせてしっかりと考えていかなければいけないと思っております。
先ほど高齢者の住まいの問題がございました。高知の話がありましたが、私は出身が旭川市で、旭川市も高知市と競うぐらい生活保護率が高い町ですが、旭川市は高齢者の住まいが大変深刻な問題になっています。旭川は低所得のシェアハウスというのが非常に多い町でして、また無届けの有料老人ホームもかなり多いという状況です。そういった中で、高齢者の住まいの場をどうつくっていくかについても、しっかりと考えていく必要があると思っています。
最後に、連合の組合員の中には生活保護のケースワークも多数おりますし、私自身も地方自治体の労働組合出身ですので、そういう現場の実態も聞きながら意見を言わせていただければと思います。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
続きまして、前河参考人からよろしくお願いします。
○前河参考人 大阪府知事の代理で、大阪府で生活保護制度と生活困窮者自立支援制度の両方の担当課長をしております前河と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
全国知事会代表ということで、広域自治体としての私たちのあり方を、今回この制度が施行されて非常に考えさせられているところなのですが、これまでの生活保護制度の中でも広域自治体として実施機関の監査や審査業務、職員の人材育成といったところに尽力してまいりましたが、この生活困窮者自立支援制度におきましては、先ほどから幾つも出ている意見の中に、相談体制ですとか、人材育成のあり方等かなり課題があると思っておりまして、それに対して広域自治体として市町村に対してどのような支援を行っていけるのかというところが非常に大事かなと思っております。
この法律施行後、大阪府の取り組みとしましては、定期的に市町村の職員の方に集まっていただいて会議を実施しましたり、あとは全市町村を毎年1回は訪問しまして窓口の状況を確認させていただいたり、相談の実情を聞かせていただいたりといった取り組みもしております。
その他、研修の実施ですとか、単体の自治体では取り組みがなかなか難しい就労支援に関連しましても、広域実施を呼びかけて一緒に実施させていただいたりといったことを通じまして、市町村さんとのコミュニケーションを大切にして、丁寧な広域支援を心がけております。
こうした取り組みを通じまして、各自治体、実施機関で負っている課題や取り組まれている好事例を含めてお伝えさせていただければと思っておりますし、これからのよりよい制度設計のために、できるだけいい形での提案をさせていただければと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長 ありがとうございました。先ほど来の規模の違う3つの基礎自治体からの御発言に続いて、都道府県の立場からのお話をいただきました。広域実施の要請については2年目でますます明らかになっておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
大分皆様から御意見を伺うことができましたが、駒村委員はまだでしたので、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長代理 済みません、別件で研究報告会がありましたので、おくれて参りまして大変申しわけございません。慶應義塾の駒村でございます。部会長代理を御指名されております。よろしくお願いいたします。
部会長をお支えして、簡単に自己紹介を兼ねて問題意識を申し上げたいと思います。 簡単に自己紹介を兼ねて問題意識を申し上げたいと思います。
専門は経済学でございまして、社会政策を研究対象にしております。経済学を専門にするとなると、すぐインセンティブとかペナルティーとかばかりと思われがちなのですけれども、そういうタイプではございませんので御安心ください。昨年6月から大学のファイナンシャル・ジェロントロジー研究センターのセンター長も務めておりますが、どんなことをやっているのかというと、加齢に伴う認知機能の変化が経済行動や人々の選択行動に与える影響についての研究を行っていると。認知症までいかなくても認知機能というのは人生に当たってさまざま変化しておりますので、いろいろなファクターによって構成されているわけです。その中で、学習とか就労とか健康とか貯蓄といった人生の上で変わる認知機能、心理的な変化が経済活動にどういう影響を与えてくるのかという切り口でやっております。そういう意味では、21世紀は認知科学や神経科学の時代と言われておりますので、経済学にこういう分野を取り入れている研究分野です。社会政策、公共政策としてどういう支え方・支援があるのかということを考えていく、社会神経科学という分野が今新しく生まれてきているようでございます。脳の働きや心理の変化を経済学に取り込んでいく。そこから公共政策を考えていくという分野でございます。
当然、貧困の分野も大事な研究分野でございまして、貧困状態から発生するストレス、虐待から発生する、あるいはネグレクトから発生するさまざまなストレスが、子どもの育ち、子どもの神経・心理にどういう影響を与えてくるのだろうか。貧困状態に長期さらされている子どもの学力が低いのは一体どういうわけなのか。ここは、かなりの研究が実はありまして、いわゆる脳の機能の一部がうまく動かなくなる。貧困から来るストレスによりワーキングメモリーが弱くなってしまうといったことで学力にも不振が出てくると。あるいは高齢の方が自らの健康を余り気にしなくなってしまう。忠告してもなかなか行動が変わってくれないのは、知識の問題、リテラシーの問題もあるかもしれないけれども、「あした」の自分、「あさって」の自分を大事にしなくなってしまっている。自己肯定感や自尊心、自己効力感が極めて長いストレスの中で下がってしまったということであるならば、こういう人に対しての支援というのは、工夫する必要がある。子どもに対しては、あなたのことを大変大事に思っている人が社会にいるんだと、地域にいるんだということを知ってもらう支援が最も有効で、ただ、ひたすら数値を求めるのではなくて、プロセスをちゃんと見て評価できるような支援。それから、高齢の方に対しては、あなたを必要としている人がこの町・地域にはいるんだと。したがって、どうぞ健康で健やかにお過ごしくださいと。体力が戻りましたら、どうぞボランティアという形で社会参加をしてください、あなたを待っている人がいますということをわかっていただくような支援というのが大変重要ではないかと思います。
そういう意味では、人を支えるという仕事は福祉事務所あるいはさまざまな支援団体、難しい業務だと思いますけれども、各地域で行われているそういう心理的なプロセスまでさかのぼって、うまくいったケースを共有して、この仕組みを共有できて、また開発できる形で生活困窮の問題と生活保護の問題を克服していければと思います。
最初ですので好き勝手なことを申し上げましたけれども、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○宮本部会長 ありがとうございました。経済学の立場であると同時に、心の中の細かいグラマーのような、文法のようなもの、当事者の心の動きをきちんと押さえていくことが制度の議論の上でも、非常に大事なことだということを強調していただきました。
また、恐らく秋口、報告書をまとめる段階に入ってくると、私たち自身の健康管理というのも非常に大事になってくる可能性がありますので、委員に対する健康支援というのもぜひ事務局、事務局も大変ですけれども、皆さんお互いおもんばかっていきたいと思っております。
さて、今日は実は議題がもう1つございまして、当面の検討スケジュールということになります。この議題の時間を確保したいのですけれども、まだ若干余裕もないわけではございません。それで、先ほど申し上げたように、やはり生水委員出ましたね、勝部委員もありますよね。比較的冒頭の御発言が短かった方を中心に、補足の発言があればということになりますが、では、勝部委員を先に、次に生水委員お願いします。
○勝部委員 ありがとうございます。ちょっと損したなと思いながら聞いていましたので感謝します。
私は、生活困窮者自立支援の研修の場面でも携わらせていただいたり、全国のワーカーのいろいろな集いの場面にも参加させていただきますと、私の目を見るとワーカーがみんな泣き出します。断らない福祉というのはそれくらい苦しいと。断らない福祉というのは制度がないものを支えるということですから、それほど苦しいという実態に前面にワーカーが立たされているということを、まずこの機会に皆さんに知っていただきたいと思います。そのためには、そういう人たちを支えていく仕組みづくりをしていかなければいけないということが、この制度の最初のお話のフレームにありましたが、出口づくりをしていくところの弱さが非常にワーカーをワンナウトさせていく、本当に2年で何人の人がやめていくのかという実態になっていると。ここも、この事業を継続・発展させていくためには非常に重要な観点だと思っています。
その中で、中間的就労ということが議論されたにもかかわらず、きちんとした形で中間的就労のガイドラインですとか、実態としてどういうことまでやっていけるのかということが、出口を自分たちなりにやっているところは、それぞれの自治体の範囲ではやっていますけれども、これが合法的なのかどうなのかということを悩みながら運営しているのが現状ですので、今回は見直しですので、このあたりもしっかりと議論させていただきたいと思っています。
もう一つは、今回、生活福祉資金が困窮者支援と一体型で支援することになって、以前は貸し付けた後は督促のお手紙を出すぐらいで、そのままどうなっていくかなかなかフォローがしにくかったものが、しっかりと本人たちのフォローをしながら就労支援、生活支援に向けていくことができるようになったというのは大変大きな成果だと思っているのですけれども、ただ、その中でも今伸び続けているのが教育資金です。子どもの貧困というお話が先ほど来から続いておりますが、高校進学のときに400万円、大学進学で600万円、こんなにお金を借りて、この子たちが本当に生きていけるのかという危惧をしながら私たちは貸し付けの現場に立たされているということがございます。この人たちが結婚して子どもを産んでという未来を持って仕事ができるか、仕事につけるかというお話になったときに、例えば、社会福祉の仕事を目指してくれても、それに見合う賃金がもらえない。もっと言いますと、社会福祉士になっても就職が業務独占ではありませんので、何も仕事につけないということで、やはり苦労されているという現実もありますので、ぜひとも子どもの貧困、子どもたちの教育費の問題についても、この機会で議論できればいいと思っております。
保証人の問題は先ほど朝比奈委員からもありましたが、私たちは去年1年間で34件の保証人のない方々の住みかえ支援をやっています。大変厳しいです。ゼロ・ゼロ物件、保証人がいなくてお金がない人たちの引っ越し支援を待ったなしでやっていくということは、大変厳しくて時間が問われるという対応など、現場でやっていることをこれからも少しずつお話しさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、最後ということで生水委員、コンパクトにお願いします。
○生水委員 90秒だけ。今、皆様のお手元に「野洲市くらし支えあい条例」というリーフレットを100部お持ちしたので、せっかくですからこれだけを御紹介させてください。
この条例ついては、市民生活相談課が消費者相談と生活困窮者支援を包括的に行っていることから、積み重ねた事例を元にこれらの仕組みをマニュアルとして作成しました。特徴としまして、生活困窮者の定義を「経済的困窮、地域社会からの孤立、その他生活上の諸課題を抱える市民」として困窮法より対象者を広げています。なぜなら、野洲市では断らない相談を目指しておりますので、生活困窮者自立支援法における対象者の定義ではカバーできないからなんです。そうしたことから、先ほど朝比奈委員からも対象者の御指摘があったと思いますが、ぜひとも対象者の定義について御議論いただいて、現場が安心して働くことができるようにお願いしていきたいと思います。以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど申し上げたとおり議題2ということになりますが、当面の検討スケジュールについて事務局からお話をいただいて、それについても皆さんの御意見を承りたいと思います。事務局からよろしくお願いいたします。
○田中推進官 それでは、お手元の資料5「当面の検討スケジュール案」という資料をごらんになっていただけますでしょうか。
まず、本日5月11日、第1回ということでキックオフということで開催させていただきました。また、恐らく来月以降になろうかと思いますが、第2~5回ということで、テーマ別に御議論をいただければと考えております。
テーマは、ここにとりあえず記載させていただきまして、今日幾つか御意見をいただきましたので、当然どこかで織り込みながらやっていきたいと思っております。順不同となっておりますが、次回はテーマ別の1ということで、自立相談支援のあり方と就労支援のあり方を議論していただければと考えております。テーマに応じてということですが、節目でヒアリングなども織り込みながら議論を進めていただければと考えております。
そのほかテーマ別の2つ目に記載してあるのが、家計相談支援のあり方と子ども・高齢者ということでございます。今日教育の話がございましたので、恐らくここで御議論いただくことになろうかと考えています。
また、テーマ別の3つ目として、一時生活支援のあり方、居住支援・生活支援のあり方ということでございます。
テーマ別の4つ目ということで、健康管理、国と地方の協議の報告は主に生活保護にかかわるものでございますので、そういったことも含めて生活保護関連について御議論いただければと考えております。また、3つ目の都道府県、社会福祉法人の役割は、生活保護に限らず困窮者自立支援制度を含めて、自治体、特に都道府県の役割、あと浦野委員からお話がありましたが、社会福祉法人の役割といったことを御議論いただければと考えております。これは次回以降、大体7月ぐらいまでにかけて4回御議論をしていただければと考えております。
8月以降は詳細についてはまだ決めておりませんが、第6回以降、前半の議論を踏まえてさらに検討を進めていくということで、また議論の進捗によって進め方については御相談させていただければと考えております。
私からは以上です。
○宮本部会長 よろしいでしょうか。大体こんな検討スケジュールを考えているということだと思いますけれども、必ずしもこのとおりに進めていくということでもございませんし、また、必要な新しい論点も随時織り込みながらということになると思います。今日出たお話の中でも、先ほど勝部委員からもお話があったように、支援者の支援といいますか、論点整理の段階でも断らない制度にしていこうということをみんなで議論したわけですけれども、そのこと自体が委託先の弱い立場の支援者にとって大きなプレッシャーにもなっていくという構図も私たちは考えていかなければいけないわけでございまして、支援者の支援だとか、あるいは論点整理の中で強調された、まちづくりとしての困窮者支援といった問題も生活保護と関連を考えていく一方で、あわせて考えていかなければいけない問題だろうと思います。
あくまで例として挙げましたけれども、委員の皆様からこの段階でこうした論点はぜひ入れていくべきだという御意見がありましたら、ぜひ、躊躇せずお出しいただければと思います。それは後で事務局なり私のほうに御連絡いただくとして、この段階で何か皆様から確認しておきたいことなどがあれば、スケジュールに関連して何かあれば、ぜひお出しください。
また、単に建物の中で議論するだけではなくて、私たちとしても現場に赴いて現実をちゃんと見る機会をつくっていくことが大事かと思いまして、私としては事務局にはそのような機会もつくっていただくようにお願いしております。また、具体的な計画についても御案内できればと思っております。
平川委員どうぞ。
○平川委員 時間がない中済みません。スケジュール案でテーマ別に9あるのですけれども、こちらの審議事項と数が合いません。要するに、高齢者に対する支援のあり方、制度理念、自治体等の役割というのが生活困窮者自立支援制度の審議事項としてあるのですけれども、それは8月以降にやるということなのかどうなのか、余りはっきりしていないのでお聞きしたいと思います。
○宮本部会長 恐らくそこはさっき申し上げたように、具体的なスケジュールはこれから皆さんの意見も踏まえて確定していくということになると思いますけれども、事務局からいかがでしょうか。
○田中推進官 数が合わないというか、まとめて書いてあるところがありますので、自立相談支援、就労支援は記載のとおりだと思います。家計相談、子ども・高齢者も生活困窮者自立支援制度の中で項目として挙っております。3つ目に一時生活支援、居住支援・生活支援とございますが、無料低額宿泊所等はここで議論することになりますので、そこに含まれるということでございます。あと、テーマ別で健康管理も書いてございまして、その他制度理念、自治体等の役割というところは、国と地方の協議の報告や都道府県、社会福祉法人の役割等ということでまとめて書いてございますので、若干数字としては合わないかもしれませんけれども、一応項目としては整合しているということで考えております。
○宮本部会長 平川委員、よろしいですか。
岡部委員どうぞ。
○岡部委員 1点だけ。テーマ別で2番目に子ども・高齢者とありますが、子ども・高齢者以外の対象で障がいの方々であるとか傷病の方も生活困窮者の中にいらっしゃいます。それが第6回以降に入っているという理解でよろしいでしょうか。あるいは、これらを含めてということでしょうか。
○宮本部会長 岡部委員のおっしゃるとおりだとは思いますけれども、本後室長、よろしくお願いいたします。
○本後室長 子どもについては、既に学習支援の事業や子どもの貧困対策ということで大きなテーマとして事業もありますので論点を挙げてございます。それから、高齢者につきましては、論点整理の検討会の際に、高齢者の相談が思ったよりも多かった。住まいも含めてさまざまな課題もあろうということで、特出ししてテーマとして検討してほしいということであったかと思います。そのほかに個別にこういう方、こういう方という検討をするかどうかについては、今の段階では考えておらなかったわけでございますけれども、委員の皆さんの御意見を頂戴しながら検討していきたいと思います。
○宮本部会長 恐らく岡部委員も障害者という柱を立てろということではなくて、この話を広げながらそこに議論を及ぼしていくということだと思います。
○岡部委員 それを包含して議論するということで、テーマ別の第1回の自立相談支援事業というところから地域の多様な人たちの課題を行う。テーマ別2のところでは、子ども・高齢者を中心に議論するという理解でよろしいでしょうか。
○宮本部会長 そういうことだと思います。よろしいでしょうか。
今の御意見も踏まえて次回以降、それぞれの論点、主にはこうした流れを意識ながら随時皆さんからも付加的な論点をお出しいただいて議論を深めてまいりたいと思います。
それでは、事務局から次回の日程について御連絡をお願いいたします。
○金井課長 次回は、6月8日木曜日の10時から予定しております。場所はまた追ってお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 皆様の御協力で、時間に関しては5時半ぴったりの終了となりました。次回もよろしく御参集をお願いいたします。
今日の議論は、ここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)> 第1回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録(2017年5月11日)