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2018年7月30日 第7回政策評価に関する有識者会議 労働・子育てWG 議事録

○日時

平成30年7月30日(月) 13:00~15:02

 

○場所

厚生労働省 共用第9会議室(20階)
 

○出席者

玄田座長、渥美委員、岩佐委員、内田委員、皆川委員、遠藤委員

○議事

 

 

 

○政策評価官室長補佐
定刻になりましたので、ただいまから「第7回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG」を開催いたします。政策評価の担当をしております宮崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、そして大変お暑い中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。部屋もかなり暑いのですが徐々に涼しくなると思います。本日は遠藤委員が所用により1時間ほど遅れると連絡を頂き、岩佐委員も少し遅れて御参加と聞いております。
それでは、本日の議事進行については、座長の玄田先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
本日は、議事次第にありますとおり、5つのテーマの実績評価案について委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、配布資料及び平成30年度に実施する政策評価についての進め方について事務局より御説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
最初にお手元の資料の確認をいたします。本日の会議資料は一番上から、議事次第、WGの参集者名簿、資料本体と続いてまいります。資料1~5は枝番が付いておりますが、1~5は本WGで御議論いただく実績評価書(案)と実績評価書の後ろに、その関係する施策について説明した添付資料を付けております。本日は5つのテーマになりますので、5つの実績評価書にそれぞれ添付資料を付けております。参考資料として1~5の5点あります。参考資料1は「政策評価実施予定表」、参考資料2は「有識者会議の開催要項」、参考資料3は「厚生労働省における政策評価に関する基本計画(第4期)」、参考資料4は実績評価書の基となっている各目標ごとの「事前分析表」です。今回の評価の実績評価書を作成する対象は平成29年度なのですが、これは平成29年度の直前の平成29年3月に作成しております。
なお、形式的な御紹介ですが、参考資料4の事前分析表に書いてある施策目標の番号は、事前分析表を作った後、平成29年9月に厚生労働省の政策体系の順番の入れ替えなどを行っており、組織再編がありましたので、施策目標の順番も入れ替えた関係で、事前分析表に書いてある番号が実績評価書と少しずれているケースがありますが、内容については変わっておりません。最後の参考資料5、平成30年3月の前回会議で頂いた指摘事項への現在の対応状況について整理した整理票になります。参考資料5については、後ほど議事の最後に「その他」として概要を御報告したいと思います。資料に不足などありましたら事務局までお知らせください。
引き続き、議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は議事次第にあります(1)の1から5の順番で御議論いただく予定でしたが、こちらは政策体系の目標の順番ですが、担当課の都合により大変恐縮ですが、4,3,1,5,2の順番で議論いたします。1つのテーマごとに担当課の入れ替えをし、担当課から御説明をいたします。1つのテーマの時間は約20分程度とし、最初に担当課から5分程度で御説明し、その後、大体15分程度で御議論いただくということで進めたいと思います。
本日は実績評価書を議事としておりますので、測定指標の実績値や評価結果の今後の方向性を中心に御意見を頂き、今後の方向性ということで次年度以降の目標についても御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上です。
 
○玄田座長
ありがとうございました。何か御質問等、御意見ありますか。よろしいですか。それでは、早速4、1つ目のテーマ、施策番号Ⅳ-3-1の「技能継承・振興のための施策を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
能力評価担当参事官の瀧原と申します。資料に即して座って御説明いたします。資料は4-1と4-2になります。
資料4-1の施策の概要です。「技能継承・振興のための施策を推進すること」ということで、施策の概要としては、2番目の四角にありますとおり、1として「ものづくりマイスター」による技能伝承、地域における技能振興の取組、若者のものづくり分野への積極的な誘導の推進、2が卓越した技能者の表彰や技能五輪国際大会等の技能競技大会の実施を通じた、学校段階も含めた若年者に対する「技能」の重要性・魅力の発信の推進という形です。
この施策については後ほど御説明いたしますが、予算額はそこにありますとおりの額で、若干の上下はありますが、ほぼ横ばいの形で進めてきているということ、執行率は平成28年度まで出ておりますが、平成28年度においては99.2%であったというものです。
先ほど申しました施策の1と2に即した形で測定指標を設定しておりますが、施策がどういったものかということで資料4-2を併せて御覧いただければと思います。資料4-2は横紙で次のページに、「ものづくりマイスター」と先ほど申しましたが、これは「若年技能者人材育成支援等事業」という形で平成29年度予算額で34億円というものです。これは若年のものづくりや技能離れという実態を踏まえ、技能尊重気運の醸成や、産業活動の基礎となる技能者の育成を図ることが目的で、そのように「ものづくりマイスター」というものを認定し、その方に技能継承をしていただくというものです。
「ものづくりマイスター」とは一体いかなるものかというのは、次の四角の「都道府県」とある右側に認定条件が書いてあります。製造、建設技能等の100強の職種の方々で技能士1級以上、あるいはそれに相当するような技能五輪全国大会の成績優秀者等の方で、実務経験15年以上、長年その分野において活躍された方で、かつ技能継承等の活動の意思・能力があり、若い人をしっかり育てたいという意欲のある方を認定しております。
これは平成29年度の予算額なので、次の左側の「中央」の下に「ものづくりマイスター等の認定」という形で認定数が書いてあります。平成27年度で7,225名です。書いていなくて恐縮ですが、最新の平成29年度末の数字で言いますと、9,624名で、更に2年を越えて2,000名ほどの方の認定を増やした形です。この「中央」と書いてありますのは、技能・振興センターというものを委託契約でやっており、それの中央部分、日本全体を見る部分の委託契約の中で、このような方々を認定していくという形で、そのためのいろいろな講習などもやるわけです。その方に実際、企業や学校等に行って指導していただくのがこの事業の核です。
「都道府県」とある下に「ものづくりマイスターの開拓」とその下に「ものづくりマイスター等の派遣」と書いてあります。これは、地元にそのような指導・継承に意欲のある方を開拓するのは委託で地方の都道府県単位でやっており、それを中央が認定し、かつ今度はその方々を派遣するのを都道府県レベルでやっているというものです。
その方々を実際にどのような所へ派遣しているのかと言いますと、若い技能者がいる中小企業などで、正に現場、会社に行って、その方に、ものづくりマイスターの方が持っておられる技能を実技指導したり、あるいは工業高校に行き、建築や製造関係の分野を学んでいる人たちに授業の中で、ものづくりマイスターの方が指導しております。ものづくりマイスターがここの一番の核で、直接指導が受けられるので御好評をいただいております。
その他、ものづくりの魅力の発信ということで、学校の先生に対して講座を開いたり、見学会をやったり、更には地域において「ものづくり体験教室」、これは高校生よりも更に年齢の低い中学生や小学生などが体験する機会にも、ものづくりマイスターの方も含めて、地元の技能者に御協力を頂いています。これがこの事業の全体像です。
戻っていただき資料4-1の測定指標です。指標1は、ものづくりマイスターに関して、ものづくりマイスターの活用、来ていただいて指導を受けた後に、この方々に習ったことを踏まえて技能検定を受けてみる、あるいは競技大会に出てみるという形での人材育成に活用した企業の割合ということでアンケート調査を取っております。下の表の平成29年度は、実績値は90%で、目標としておりました80%を超えることができました。ちなみに、これについては非常に好評を頂いていることも踏まえ、平成30年度は目標値を少し高く設定し直したいということで85%と考えました。
続いて、概要の中の2の指標2です。技能五輪全国大会の来場者に対するアンケートで、先に指標を御説明いたしますが、この全国大会に来場した若年者層のうちで、大会をきっかけに職業能力の習得に意欲を持った割合です。この技能五輪全国大会がどういったものかというのは、資料4-2の2ページを御覧ください。
各種技能競技大会ということで、日本国内では3種類のものをやっております。イメージは下のピラミッドのような所を見ていただきたいのですが、上のレベル、中間レベル、初級レベルという形で考えていただければ結構です。一番上の1級技能士あるいは特級という方々については、技能グランプリという非常に高いレベルの方が競うものとして実施しております。2年に1回実施しており、上の表の一番下にありますが、今年度は兵庫県で開催予定です。
次に、中級レベルとして、2級技能士辺りの方々のレベル感でやっているのが技能五輪全国大会で、これは技能検定2級相当以上、原則23歳以下で、年齢的に制限のある、正に、若い人に限定された大会です。種々の技能について競技をするというもので、これは毎年やっております。昨年は栃木県でやり、今年は11月に沖縄県で開催する予定です。これについては、下の図の黄色い所にある、金メダルを取ると国際大会に出場するつながりを持っているものです。
若年者ものづくり競技大会は、初級レベルで技能検定3級程度でやっており、これは工業高校やあるいは職業訓練施設等で技能を習得中で、まだ企業に就職していない方で20歳以下の方々を対象として競技をしているもので、これは毎年夏にやっており、今年は石川県で8月1日、2日とやります。
3種類のものをやっておりますが、このうちここで指標としているのは、真ん中の全国大会、我々としても一応、技能競技大会の中核を成すものと考えており、参加者も一番多いこともあり、この大会に見学に来た若い人たちにアンケートを取り、見て、少し職業能力に関心を持ったという方々の割合ということで、平成29年度は実績で97%と、目標としている80%を超えたという状況です。
最後に指標3は、実際の技能検定の受検者数という数字で見ております。先ほど申しましたように、3級というのはちょうど入門レベル、初級レベルになりますので、それを受けている若い人の受検者数を伸ばすということで取り組んでおり、結果として、平成29年度は4万3,114人で、目標値は前年度実績以上で前年度実績を5,000人ほど超えることができました。これについても平成30年度には同じような目標値にしたいと考えております。
次に、4-1の裏です。これについてはお陰様でいずれも目標が達成できました。先ほどの有効性の評価について、ものづくりマイスターに関しては、やはり実際に直接技能を伝えてもらえることが、この制度の良い所で、参加者の方にもその部分に非常に好評を得ていることが、この目標が達成できた結果だと思います。
指標2は、実際に全国大会は結構地味で、スポーツ大会ほど派手さはないのですが、2日間にわたり、本当に若い人たちが一生懸命その競技に取り組んでいる姿を直接見ていただくことが効果的だったのではないかと思います。それらの中で、若者への取り組みが有効に働いて指標3も達成できたのではないかと考えております。
次年度の目標については、先ほど御説明しましたので、この形でいきたいと考えております。私からの説明は以上です。
 
○玄田座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして御意見、御質問等をお願いいたします。私から、指標2で2つ伺いたいのですが、まず若年者というのは、何歳から何歳を想定されているのでしょうか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
35歳で考えております。ただ、大会の話でいきますと、イメージは更に若いレベルになっているというのが実際ではあります。
 
○玄田座長
実際にはもう少しお若い20代とか、場合によっては10代の方も含めて。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
中心になっているという状況はありますけれど、制度としては35歳。
 
○玄田座長
もう1点、若干意地悪な質問になるかもしれませんけれど、指標2の「意欲を持った割合」ということになりますと、こちらは、やはり意欲を持っているから技能五輪大会においでになっているわけで、これに触れて意欲が高まったかどうかということは、若干意味合いとしては微妙なところがあるのではないかという意見があり得ると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
そうですね。私もこの大会を実際に見学させていただくと、やはり実際に見たときに非常に面白いなとか、あるいは自分でこういうのをトライしてみたいという気持ちが、多分湧くというのは非常によく分かるのですが、我々としては、湧いた後どうつながっていくかというのが大事だと思っております。そういう意味では、一つには、今回の指標には入っておりませんけれども、技能五輪の選手数というのがどう伸びてきているか。幸いにして、資料4-2の2ページで実績を出しておりますが、真ん中の全国大会でいいますと、これが一番大きいのですけれど、平成27年度が1,183名でしたが、平成29年度が1,337名という形で、そんなに極端ではないのですが、少しずつ増えてきています。ここの部分を我々は大事にしていきたいと思います。
では、今年も伸びるのかと言われると、先ほど言いましたように、これは全国でありますので、今年は沖縄という形で、若い人が出るには少し負担もあるかなと思いますので、端的に毎年毎年伸ばしていくというのは、そのときの状況もあろうかと思います。ただ、トレンドとしては、やはりこういうところを伸ばしていくということが大事だと思います。
もう1点は、とはいえ大会に出るのは非常に限られた、日本の中でも1,000数百名というレベルですので、やはり、もう一つは、技能検定そのものを受けていただくことだと思っております。それを指標3にしておりますけれども、3級というのは、正直申しまして工業高校の生徒が頑張れば受かるレベルですから、まだ一人前には遠いレベルです。ただし、そこを最初のステップにして2級、3級と上がっていくというシステムを持っておりますので、まずこの入り口の3級のところを増やしていって、まずは知ってもらう。そこから、実際就職して、その現場で働いて、その技能者として育っていくという流れを見る意味でも、3級をしっかり見ていきたいという形で考えております。
 
○玄田座長
分かりました。
 
○渥美委員
御説明いただき、ありがとうございました。各種技能競技大会、とても興味深いですし有意義なことだと思います。私の家系は1000年続いた宮大工なのですが、宮大工の例えば技能は、見る人が本当に限られていて、要は技術というのは本当に極めつけ棟梁クラスでないと分からないのです。ですから、この枠にはまらない技術というのは恐らくあるのではないか。要するに、特級というのは、審査する側の審査スキルがないと特級というのは分からないはずなので、これにはまらないものもあるのだろうと思うのです。一応、はまる前提で申し上げると、基本的には拡大してどんどん若い人たちを上げていく、それで究極の特級まで増やすというのが、多分将来的な方針だと理解したのですけれども、それに対応させて測定指標を見ると、これはもうかなり上限に近い90%を超えている実績値になっていて、80%目標を85%に上げたというのは分かるのですけれど、実績値が既に90%ですから、普通に考えれば下がることはない、この目標を達成できるだろうなと。要するに、目標設定自体が余り意味がなくなっているかもしれない。さっきの玄田先生の質問に近いのですけれども、これはもともと設定したものだから達成しました、あるいは、このように修正しましたという話だとは理解しているのですが、目的がその拡大であり底上げであれば、もっと違う指標があってしかるべきかなという気がするのですけれど、その辺りはいかがでしょうか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
ありがとうございます。今、いただいた御意見、我々もいろいろ考えていく中で、しっかり考えていかなければならないポイントだとは思います。まず、今までの整理としましては、おっしゃるとおり、どんどん上の1級技能士をしっかり作っていくという形ではあります。宮大工の例をそのまま直接取り上げる必要はないのかもしれませんが。
 
○渥美委員
関係ないかもしれません。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
いえいえ。ですが、非常にトップの、日本でも、この技術はこの人しかいないという部分は、そこはもちろん絶対必要なものとは思いますが、我々施策の対象としては、そこまではエリアにしていない。
 
○渥美委員
もうちょっと普遍的なものなのですね。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
そうですね。正に、そこは伝統芸能とかにも近づいたり。
 
○渥美委員
そうですね。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
国として、そこを大事にしないといけないところですけれど、我々はもう少し広く労働者の観点という形で、広く労働者の中で技能を持つべきレベル、一定程度のパイのある方々をしっかり作っていくという形で考えていますので、それは、しかも、すごく優れた人を少数作るのではなく、持続的にずっと技能のある人をちゃんと送り出していくという観点で、確かにずっと今横ばいで大体行けているという形ではありますが、対象者はどんどん変わっていっていると思っています。大体言いますと、技能五輪大会を見てくるのは、例えば学校のときに地元に来たら見に行くという形ですから、あとは一定世代で、それを持続的に続けていくことが大事だと思っております。1回例えば80%とか90%を達成したら、それで後は放っておいても、放っておいてもとは失礼な言い方ですけど、うまくいくというよりは、毎年毎年、次の世代、次の世代へと続けていくということが大事だと思っております。そういう意味では一定程度同じ目標を常に掲げるということには意味があるのかなという意識は持っております。ただ、おっしゃるとおり、それはそこの、先ほどの玄田先生の話とつながりますが、次の、その人たちが上に行ったときにどうなっていくかというところは、これではまだ捉え切れていない部分がありますので、我々もそこも含めて1級技能士までちゃんとつなげていくところを考えていく。ただ、これはどうしても技能継承というイメージでこの部分を考えていますので、まずは若い人に持続的にここに入っていただくというように考えています。
 
○渥美委員
参考値で伺いたいのですけれども、3級技能者の受検者は、右肩上がりではないですか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
はい。
 
○渥美委員
1級も右肩上がりですか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
1級はまだそこまでは、横ばいという感じです。
 
○渥美委員
でも、下がってはいないということですね。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
そうですね。ですので、イメージとしては、多分このまま放っておくと、若者の技能離れが、影響が何年後とか、10年とか20年で出てくる。それを今のうちにしっかりやることによって、将来下がるのをきっと防げているのではないかという形で取り組んでいるということです。
 
○渥美委員
分かりました。ありがとうございます。
 
○皆川委員
指標1について1点質問です。こちらはものづくりマイスターの方を様々な所に派遣されて、その結果、技能検定等につながったという割合を目標として示しているのですけれども、参考値になると思うのですが、ものづくりマイスターの方を派遣する具体的な件数は、年間どのくらいでしょうか。
 
○人材開発統括官付参事官(能力評価担当)
一応、1企業に1人派遣しての、1人日という形で考えて、平成29年度の実績は約21万人日でございます。
 
○皆川委員
ありがとうございます。
 
○玄田座長
よろしいですか。ほかに御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて実績評価書への反映をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
それでは、次のテーマに移りたいと思います。準備、よろしくお願いいたします。
続きまして、施策番号Ⅴ-2-1「地域、中小企業、産業の特性に応じ、雇用の創出及び雇用の安定を図ること」につきまして、担当課から、やはり5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○職業安定局雇用開発部
まず初めに、指標1につきまして、地域雇用対策課のほうから御説明いたします。
 
○玄田座長
資料番号はどれになりますか。
 
○職業安定局雇用開発部
資料番号は資料3-1になります。
 
○玄田座長
お願いします。
 
○職業安定局雇用開発部
本指標につきましては、少子高齢化の進展に伴う人口減少や東京一局集中等の地域における雇用問題に対応するために、当局が実施する地域雇用対策を評価する指標となっており、都道府県が中心となり、産業政策と一体となって安定的な雇用創出を図る、地域雇用創造プロジェクトを測定指標としております。
本事業は、平成28年度の補正予算成立を踏まえまして、平成29年2月から実施しておりまして、平成29年度から目標を設定させていただいているところです。目標の設定に当たっては、本事業の実施団体である都道府県が掲げた年度ごとの目標としております。平成29年度においては、目標の1.7倍に当たる3,330人の正社員就職を達成し、1件当たりの政策コストについては103万円と、平成28年度までに実施していた類似事業である戦略産業雇用創造プロジェクトの108万円と比べて、5万円ほど安いことから、着実な成果を上げたと我々としては判断しています。目標設定について、実績が大幅に目標を上回る都道府県がありますことから、都道府県が目標設定を行うに当たっては、過去の実績や地域の雇用情勢等を踏まえた目標設定となるよう指導して、適切な事業運営に努めてまいりたいと考えています。以上です。
 
○職業安定局雇用開発部
続きまして、同じく資料3-1の指標2の、職場定着支援助成金の部分です。こちらは、雇用管理改善に取り組んで職場定着等の目的を果たすということで、助成金を団体に支給するものと事業主に支給するものがございます。こちらの助成金については5コースありまして、指標としては資料にあります、1については、中小企業団体助成コースの支給を受けた事業協同組合等の構成員である中小企業が、本事業終了後に求人を出している求人充足率の平均から取っておりまして、2~5のコースにつきましては、助成金の支給を受けた事業主の事業所における支給後の6か月後、労働者が実際に定着しているかどうかを調べて、目標としております。実績及び有効性の評価ですが、平成29年度につきましては、4の保育のコースで未達成がありましたが、5つのうち4つのコースで目標を達成していることから、従業員の職場定着に寄与しているものと考えております。また、効率性の評価につきましても、職場定着助成金や雇用管理制度の導入実施、離職率低下等の目標を実際に達成して、従業員の職場定着を図った事業主に助成をしておりますので、効率的に実施しているものと考えております。
現状分析としまして、平成29年度の職場定着支援助成金の支給額は約58億円で、前年度と比較して6億円ほど増えておりますので、この助成金は活用されて、従業員の職場定着に寄与しているものと考えております。
次期の目標につきましても、引き続き求人充足率・労働者の定着率を指標として、効果的・効率的な実施を継続したいと考えております。なお、職場定着助成金はほかのいくつかの助成金と整理統合しまして、30年度からは人材確保等支援助成金となっております。以上です。
 
○職業安定局雇用開発部
続きまして、指標の3について御説明いたします。指標3は建設業を対象に、建設労働者確保育成助成金の支給を受けた事業所の労働者の定着率を目標設定としているものです。定着率を見る対象コースの1つは、雇用管理制度助成コースということで、中小の建設事業主が評価・処遇制度でありますとか、あるいは研修制度などを導入する計画を作成し、計画を実行した上で、入職率の目標を達成した場合に助成をするものです。
もう1つのコースは、魅力ある職場づくり事業コースですが、これは若年者、あるいは女性労働者の入職、定着を図ることを目的として実施をします。例えば建設業の役割や魅力を伝える啓発活動、あるいは労働安全管理の取組に対して助成をするものです。
平成29年度の実績についてですが、29年度の目標値につきましては、雇用動向調査による、中小建設事業主の離職率を踏まえまして、逆算で定着率を89%と置いております。
実績につきましては、目標の設定値を達成をしており、支援内容の有効性の面においても、そして効率性の観点では、助成金による支援という手法を用いていますが、適切な予算措置、あるいは執行に向けて、企業規模、あるいは年齢の要件に合わせて、助成率を設定するなど、毎年度見直しを進めておりまして、一定の成果を上げているものと考えています。
ただ、現状分析の所で記載をしていますとおり、建設業界全体では、若年入職者が減り、就業者全体の高齢化が進んでおりますので、担い手の確保は、将来を見渡した中で、継続される最も重要な課題だと認識をしております。こうした中で、建設業は、非常に小規模な事業主が多数を占めておりますので、こういった助成金の活用を図っていただいて、引き続き雇用管理改善が図られていければと考えております。
なお、平成30年度の目標設定に関しましては、本助成金のコースを活用した事業所の、過去3か年の定着率の平均値以上という考え方に改めまして、30年度は95%と89%から設定値を上げています。以上になります。
 
○職業安定局雇用開発部
続きまして、指標4について御説明をいたします。指標といたしましては、労働移動支援助成金の中の1コースである再就職支援コースの支給対象となった者のうち、3か月以内で再就職を果たした者の割合としております。このコースは、事業規模の縮小等により、離職を余儀なくされる労働者に対する再就職援助につきまして、職業紹介会社への再就職支援の委託、再就職のための休暇付与等を行う事業主に対して助成するものです。29年度の目標は、前年度以上ということで、55%以上としていたところですが、実績は55.1%となりまして、目標を達成しております。有効性についての評価ですが、目標も達成していることから、事業主への助成が再就職援助計画対象者等に対する早期再就職支援の実施、対象者の早期再就職の実現に寄与しているものと考えております。また、効率性につきましては、支給対象者である再就職援助計画対象者の状況を踏まえて、毎年度予算も見直しているところですが、早期再就職の割合は増加傾向にあることから、効率的に実施しているものと考えております。
次期目標等への反映の方向性につきましては、失業なき労働移動、雇用の安定の実現のため、引き続き早期再就職割合を目標とし、効果的・効率的な実施を継続していきたいと考えています。以上です。
 
○玄田座長
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等お願いいたします。
 
○内田委員
指標3について質問・意見を申し上げたい。先ほどの御説明の中で、建築業の若年労働者の担い手が少ない、確保しなくてはいけないと。一方で、そういったことを確保していくためにも、助成制度を行なってくのだというお話でした。連合としましては、公契約、官から民への入札があって仕事が発注されるわけですけれども、そこの単価の問題。いろいろ地方へ行きますと、入札制度の枠の中で、単価が契約上厳しいとの意見を聞く。そうなると、労働条件の所で吸収をしなくてはいけないと。したがって、なかなか労働者を雇用するだけの労働条件が確保出来ないので、そういった問題もあるのだという話が地方へ行くと聞こえるわけなのです。本来こういった支援制度というのではなくて、自律的に各企業が、建設業の方が自分の所の社員を雇い教育するということが必要でないか。そういったことからいくと、我々が各省庁に今お願いしているのは、公契約に対する基本理念をきちんと法整備して、各地方自治体では公契約基本条例を結んで、適正な価格を設定すべきとの要請をさせていただいています。
そもそもこういった支援制度をしなくてはいけないような実態にあること自体が問題ではないかなと思っております。一方でそれがなくなれば、当然何もできなくなるわけでありますし、なかなか入札制度の細部の所に入り込むというのは難しいのかも分かりませんが、そういった問題意識だとか、次年度、将来に向けて、中小企業を、とりわけ建設業の皆さん方の雇用確保策について、省内での議論があればお伺いしたいと思います。
 
○職業安定局雇用開発部
建設業の振興という意味では、厚生労働省は、雇用の安定と能力開発という側面から施策を進めているわけですが、業全体の振興という意味では、国交省の部局と、先ほど委員の御指摘があったような、適正な価格でありますとか、あるいは適正な工期の設定でありますとか、そういった課題を共有しながら、我々厚生労働省として、労働行政の観点から、どういった支援ができるかというのを、今組み立てて、助成金も毎年見直しをしながら進めているわけです。その意味では、建設業全体がより良い方向に向けていくために、国交省と情報共有しながら、その中で国交省からいろいろと要請等も受けながら、今後の施策の中で生かしていきたいと考えています。
 
○内田委員
中小企業庁をはじめ、政府もこの辺の問題意識を持っておられて、下請け法の遵守とか今年度予算化もして、いろいろ取組を行なっているということは承知をしております。我々、グループ全体を捉えれば、請負契約、公契約と民間という部分以外に、民間対民間の問題もありますので、その辺のところは民間の立場として、下請け法の遵守に連合としても取り組んでおりますので、公契約についても、相乗効果が上がるような、先ほど国交省さんというお話もありましたけれども、省庁間の横串も差しながら、社会全体が良くなるような、そういった指標のあり方も含めて、検討いただければと思います。
 
○玄田座長
ほかに御意見はいかがでしょうか。
 
○渥美委員
測定指標1についてお尋ねいたします。地域活性化雇用創造プロジェクト、これは非常に有意義なプロジェクトだと思うのですけれども、執行額が年によって上限があると思うのですが、直近の執行額は745億円ぐらいですか。資料3-1の一番上の所ですけれども。
 
○職業安定局雇用開発部
執行額全体は、これら関係する予算を全部積み上げになっていまして、地域活性化雇用創造プロジェクトだけではないです。
 
○渥美委員
どれぐらいなのですか。要は僕が計算したのは、全然意味がない数字なのですけれども、下の3300人で割って、1人の正規就業者を生み出すのにいくらかけたのかなと計算すると、2,200万円となってしまって、コストが悪すぎると思ったものですから、幾らくらいかなと思って。1人生み出したことの波及効果は当然あると思うのですけれども、そういう指標がそもそも3,146人という目標値自体が適切なのかを判断したくて伺いました。
 
○職業安定局雇用開発部
29年度の予算自体が51億円ございまして、うち29年度の執行額は34億円になります。これはもともと予算上では、応募団体が少し多いだろうということで、実際に応募してみたところ、予算額を下回った応募であったということ、それから、選定する際に申出があったもの全てOKとするわけではなくて、企画評価委員会という第三者機関を設けさせていただきまして、そこでの評価等を踏まえて選定し、また、個々の事業についても精査させていただいた上で採択させていただいているということです。そういった観点から、どうしても予算の執行額については、予算額を下回っているということです。
 
○渥美委員
要は、1人の正規雇用者を生み出すのに150万円ぐらいかかっているけれども、その人たちが就業した後は、波及効果が続くだろう。だから、この事業というのは正規就業者を測定しようとしている、そういう理解でよろしいですか。
 
○職業安定局雇用開発部
そうですね、はい。
 
○渥美委員
分かりました。ありがとうございます。
 
○玄田座長
確かに全般的にそうですね。1人の雇用機会を生み出すために、どれだけの公的な支出がなされたのかというのを、もっと分かりやすく表現されると、波及効果の意味がより伝わるかもしれませんね。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。少し時間がありますが。
 
○皆川委員
指標2で、簡単な形式的な質問なのですが、実績値の所の、1から5まで挙げていただいた、4の29年度の保育労働者雇用管理制度助成コースの所については、横棒を引いているのですが、これは数値は出ていないということなのでしょうか。
 
○職業安定局雇用開発部
29年度の4の所が、横棒、バ-になっているのですが、こちらの助成金は28年度の10月に年度の途中で新規に作られて、29年度のときにはまだ支給が1件も出ていなかったので評価をできないと。実績がなかったということです。
 
○皆川委員
分かりました。ありがとうございました。
 
○岩佐委員
今の関連ですけれども、この介護・保育労働の制度整備助成の支給を受けた事業主というのは、30年度の目標では介護と保育を一緒にしてパーセンテージの定着率を確認するということを予定されているということなのですかね。
 
○職業安定局雇用開発部
30年度から、介護と保育のコースが1つのコースに統合されましたので、それに伴って目標も1つということです。
 
○岩佐委員
私の質問の趣旨は、後の保育の関係で、恐らく保育所をどう充実していくかということと、保育労働者の人たちがどれぐらい定着するのかというのが、結構関係があると思ったものですから、元データとしては、保育と介護とは別々には出るのですかね。
 
○職業安定局雇用開発部
1つの事業主単位で言えば別ですが、助成金自体は制度が同じで、介護事業主向け、保育事業主向けというのを統合しましたので、助成金の目標と実績としては1つになります。1つずつを見れば、保育がどうというのは。
 
○岩佐委員
私の質問の趣旨は、これ自体の目標値としては一つあり得るとは思うのですけれど、もっと別の観点で検討するときに、保育労働者の人の助成金との兼ね合いでいうと、どれぐらい定着しているかみたいなことが、政策判断の上で必要になることもあり得るのかなと思って。ですから、これの目標値の取り方を変えてほしいとか、そういう趣旨ではないのですが、もとのベースの数値は、それはそれで簡単に出るのでしょうかという、そういう質問です。
 
○玄田座長
今後そういうふうに分けて、こういう御質問があったときに、それぞれの評価をするというのは、そういう御準備は可能なのですか。
 
○職業安定局雇用開発部
それぞれの評価対象としては助成金の1つなのですが、数字を追い掛けることは可能ではあるかと。
 
○玄田座長
どういう意味があって介護と保育とを1本化したのですか。
 
○職業安定局雇用開発部
全く制度的には同じで、種類ばかり多いと、かえって事業主さんが混乱するということでしたので。
 
○玄田座長
分かりました。
 
○皆川委員
私も細かいところは分からないのですけれども、何ていうのですか、指標の取り方とか、政策目標の……の仕方で、分かりにくくなることはないですか。
 
○職業安定局雇用開発部
助成金としては、介護・保育は特には出していますが、職場定着を図るというこの助成金では、この雇用管理改善に取り組む事業主というのは、職種を問わずというのがあって、その中で特にというところは、同じ雇用管理の中でコースをしていますので、それの一環でということで、数字は出ますが、この助成金の活用だけをもって、保育関係の定着がいいとか悪いとかまでは、もともと拾えるものではないので。
 
○玄田座長
指標4はぎりぎりクリアーでよかったなという感じですが、いじわるに言うと、こういうのは、助成金の効果なのか、最近は比較的景気がいいものですから、景気によってこの効果がもたらされただけではないかというような批判があった場合には、どのようにお答えになる御準備ですか。
 
○職業安定局雇用開発部
確かに今おっしゃったように、ここ最近雇用情勢もよくなってきてというところもあるかとは思うのですが、一方で、助成金も制度の見直しなどもやっておりまして、例えば一例を挙げますと、再就職の準備に早く入れるようにということで、会社を離職する前に事業主が求職活動のための休暇を付与した場合に、その休暇分の賃金を補助するという仕組みも導入しておりまして、そういう休暇を与えると、やはり再就職までの期間への効果が高いということも、データを見ると、そういう傾向も見られますので、確かに雇用情勢というところもあるかとは思うのですけれども、助成金による効果もあるのかなというように考えています。
 
○玄田座長
重要なところですよね。休暇の付与の仕方によって効果があるようだというのは、大事な情報だと思いますので、是非その辺りも今後より広がっていくように、政策に生かしていただければと思います。ほかによろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映をよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
それでは、次の御準備をお願いします。
続いて、施策番号Ⅲ-1-2の「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援をすること」について、担当課から5分程度でお願いします。
 
○労働基準局賃金課長補佐
厚生労働省労働基準局賃金課の松本と申します。よろしくお願いいたします。資料1-1です。まず、施策の概要ですが、こちらの最低賃金は、現在、地域別で、最高だと958円で、最低737円という状況です。そちらにつきまして、今、政府の目標としまして、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げて、全国加重平均が1,000円となることを目指すという形で引上げを行っております。先週も今年度の改定額の目安が出たところです。こういった最低賃金の引上げに向けて、特に引上げがなかなか難しいとされる中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援を図るという内容です。中身については後ほど指標のところで説明しますが、大きく分けて、最低賃金総合相談支援センターでの相談事業、個別の助成ということで業務改善助成金、あと、業種別中小企業団体助成金の3点です。そちらについての施策の予算額、執行額等が記載されております。こちらは、評価書を作るときに間に合わなかったのですが、平成29年度の執行額、執行率については、執行額のほうが15.6億円で、執行率については48%となっております。当初予算の推移がありますが、平成30年度から、先ほど申し上げた相談支援センターの事業と、団体の助成金が、他の労働時間等の関係の助成金や相談事業と統合される形になりましたので、その分の予算が少し減った分があって、平成30年度はこういった額になっている状況です。施策に関係する内閣の重要施策は、こちらのニッポン一億総活躍プラン、あと、骨太の方針、成長戦略、資料には平成28年のものが記載されておりますが、その後、平成29年、30年の骨太の方針、成長戦略、あと、平成29年3月の「働き方改革実行計画」でも同様の内容、年率3%程度を目途として引き上げて、1,000円を目指すと記載されております。
指標の説明に移ります。指標1が、先ほど申し上げた相談事業、最低賃金総合相談支援センターの相談件数です。こちらは賃金引上げに向けて、生産性の向上等に取り組む中小企業を対象に、経営・労務管理改善等に関する相談、具体的には販路開拓とか資金調達、マーケティングのような経営の関係と、あと、労務管理としては、賃金や労働時間制度、就業規則、高齢者雇用など、いろいろなことに関する相談を行うという形です。目標値は前年度の数字等を目途に1万1,000件と平成29年度は置いておりましたが、実績としては1万4,000件で、達成している状況です。
指標2、指標3の関係が個別の助成金で、業務改善助成金という内容です。資料1-2に助成金の中身が書いてありまして、事業場内の最低賃金額を引き上げ、かつ、そういったことについての設備投資を行った場合に助成を行うという形です。こちらについては実績値と目標値がありまして、平成29年度、記載した時点では788件でしたが、その後、数字が更新されて、現在、798件が最新の数値です。目標値700件に対しては達成という状況です。
指標3につきましては、この助成金の支給の要件自体は、事業場内の最低額の賃金で働く労働者の賃金を引き上げることですが、それに伴って、それ以外の方の賃金を引き上げたのがどれぐらいあるかで集計をしております。平成29年度についてはまだ集計中という形です。参考に付けている指標4が、業種別の中小企業団体助成金という形で、厚生労働省で定めている33業種について、業種別の業界における生産性向上や、賃金向上のための市場調査、ビジネスモデルの開発、共同購入、あるいは販路開拓のための展示会などを行う場合に一定額を助成するという内容です。
こちらが指標の状況で、施策の分析に移らせていただきます。総合判定としては、指標1、2の件数が目標値を上回っていることを踏まえて、Aと判定しております。施策の分析につきましては、有効性の所ですが、指標1、2について、目標件数を上回っており、事業者の関心や支援のニーズが一層求められていると考えられることから、有効に機能していると評価できると考えております。効率性の評価については、予算額のところにもありましたが、毎年、補正予算を一定程度組んでいる形もあって、執行率がやや低い状況です。こちらについては、今後の予算要求ではより事業主のニーズを反映させ、当初から必要額をきちんと要求していくという形で、執行率を高めることをやっていきたいと考えております。現状分析としては、指標1、4に関しましても、平成28年度と同数の相談や応募があったことから、平成29年度についてもニーズがあったと考えています。簡単ではございますが、説明は以上とさせていただきます。
 
○玄田座長
ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問をお願いいたします。
 
○内田委員
実績評価書の裏面の総合判定について質問させていただく。この件の所で「目標を達成していると判断した」という、この目標とは、各指標、1、2、3、4の目標のことを言っているのか、資料1-1の表紙の所の施策の概要という所で「中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援を図る」と、支援を図るという所の目標のことを言っているのか、どちらの目標を達成したと言っているのでしょうか。
 
○労働基準局賃金課長補佐
こちらにつきましては、下のほうの測定指標の目標値でございます。1万1,000と700と書いている所です。
 
○内田委員
そうすると、「施策目標の達成に向けて」は数値ではないが、「施策目標の達成に向けて現行の取組が有効かつ適切に実施されていると判断できることから、下の数値目標を達成していると判断した」というのがおかしくないか。
先ほどもありましたように、26日に目安小委員会のほうから答申がなされて、大臣のほうに答申書が出ているわけですね。そこの答申書の中身に、このように書かれているのです。「政府による各種支援策の効果はいまだ十分に上がっているとは言えず」と答申書に書かれて、大臣答申がされているわけですね。ただ、公益委員の方もこのことを使っているわけではなくて、答申書の中身ですから、三者構成の中で議論した結果として、委員長が答申しているわけですが、一方でこういう答申が出て、先週のことですから。施策がまだ不十分だと言っている答申が一方で出ている中で、A評価で、なおかつこういういいのだという文言や数字が出ているのです。確かに数値的にはこうなのですが、去年立てた目標はこうなのですが、ちょっと認識が甘いのではないかと思います。いろいろな施策があるのですが、使い勝手のところなのか、水準のところなのか。例えば、目標の立て方も、こういった立て方ではなくて、中小零細企業を各都道府県単位にリストアップして、この概算値のことに関して、去年のことに関して、国の施策の取組はいかがでしたかといった調査をするとか、もう少しマクロの視点に立った調査がないと、ここで言うような、国の施策が十分だと、評価に値するのだというところまで言えないのではないかと思います。それで少し、次に向けての課題提起というようなことになるのでしょうが、その辺はいかがかという意見、質問も含めてなのですけれど。
 
○労働基準局賃金課長補佐
ありがとうございます。すみません。冒頭の所で質問の趣旨を取り違えました。目標値と目標とありますので、今、数値の所で言っているのは目標値で、目標を達成しているというのは、全体の引上げ支援を図るというところです。ただ一方で、御指摘いただいたとおり、先週の答申で、いまだ十分ではないというような文言、審議の過程の中でですが、周知不足といいますか、そういうところもあって、まだ十分に使えていないようなところがあるという御意見があったことを踏まえて、答申にも結びついているのは事実です。そういったところにつきましては、この施策の執行額を上げていくところにも結びついていくとは思いますが、周知や広報といった所を徹底していく形でやっていきたいと思います。目標値の立て方については引き続き検討させていただければと思います。ありがとうございます。
 
○内田委員
もう1点だけ。施策の概要にあるように、あくまでも生産性向上のための支援なわけで、最低賃金が上がることについて、ネガティブな見解もいろいろな所で出ますから、鶏と卵みたいな関係もあるのですが、最低賃金が上がるということは労働者の生産性もそれだけ上がるのだと、企業にとってもwin winの関係になるのだといったことも含めて、幅広くPRしながら、よりよい環境になっていくような、そういった施策の立案を是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 
○玄田座長
ほかにいかがでしょうか。考えとしては、指標3が達成されているとすれば、生産性向上に向けた動きを反映しているのだろうという思いでこの指標3があるわけですか。
 
○労働基準局賃金課長補佐
そうですね。最低賃金というところを上げるのですが、先ほど、内田委員からも御指摘がありましたとおり、できるだけ多くの方の賃金が上がり、それが消費につながり、企業の収益につながり、さらに賃金に帰る。最低賃金の引上げは、政府全体の経済の成長と分配の好循環を回していくための重要な施策という形になりますので、そういった面ではここの指標も大事になってくるかという認識です。
 
○玄田座長
よく、最低賃金の引上げに対して一般的に懸念されるのは、雇われている人にとってはいいけれども、それが雇用機会にマイナスの影響を与えてはということなので。だから、この指標が満たされると同時に、その恩恵を受けている人たちが決して少なくはなっていないということをやはり必要な情報だとすると、指標をもう少し丁寧に作る必要があるかと、社会的な関心が高い部分だけに、もう少し別の指標の検討が必要かなということですかね。
 
○労働基準局賃金課長補佐
御意見、ありがとうございます。最低賃金の目安の審議の中でも同じような御意見がありまして、最低賃金の引上げの直接的な影響はどうなのかと、失業、雇用に当てられる影響はどうなっているか、この数字を見ればいいというのはなかなか難しいのですが、議論にはなっているところです。今の状況ですと、人手不足の状況もありますが、失業率は減っていて、労働者数全体は増えていて、今のところ、最低賃金引上げに伴い雇用機会が失われるということは見受けられない形で、3%目標を維持する形で、目安を頂いておりますが、雇用への影響は支援策だけに限らず、最低賃金全体として必要な点だということを十分認識して進めていきたいと思います。
 
○玄田座長
ほかに御意見はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映などをお願いいたします。
 
○労働基準局賃金課長補佐
ありがとうございました。
 
○玄田座長
それでは、次の御準備をよろしくお願いいたします。
続きまして、施策番号Ⅶ-1-1「保育の受け皿を拡大するとともに、それを支える保育人材の確保を図ること」につきまして、担当課から5分程度で御説明をお願いします。
 
○子ども家庭局保育課企画官
よろしくお願いします。子ども家庭局保育課企画官の唐沢と申します。私のほうからは、保育の関係についてお手元の資料5-1の実績評価書と資料5-2の添付資料を用いて御説明申し上げます。資料5-1の1枚目の冒頭3行くらいにございますが、この施策は保育に関する受け皿拡大等を通じて、子どもの健全な育ちを支援する社会を実現し、ひいては安心して子どもを産み育てることを可能とする社会づくりを推進する取組です。施策の背景、3段目にあるように、保育の受け皿等に関する課題としては、都市部を中心に待機児童が多く発生しており、全国的な保育需要、女性就業率の上昇等に加味する中、保育の受け皿整備が課題となっているという点、また一方で、標準的な保育の時間以外の時間帯、例えば残業で夜間であるとか、あるいは休日等の、いわゆる時間外の保育に対する保育の多様なニーズも増えてきているという状況から、そうした働き方の多様化等に伴う保育需要にも対応していくという、大きな2つの課題があります。
そうした中、各種の取組を推進しているところですが、この1枚目の下段にある測定指標を御覧ください。この事業に関しては3つの指標を掲げております。1点目は、正しく昼間の保育サービスの提供ということで、認可保育所等をきちんと整備していくものです。この指標については平成25年度当初の目標値に対して、「待機児童解消加速化プラン」というものを実は平成25年に設定し、5年間で待機児童を解消しようということで、当初40万人という目標でしたが、その後加速して10万人加えて50万人の受け皿を整備することによって待機児童を解消しようということで、目標値としては平成29年度末で291万人を掲げたところです。現在、平成29年度の実績数については集計中ですが、平成28年度の実績値では284万人分の受け皿、また平成29年4月1日時点での昨年調査した見込数ですが、平成29年度末で約300万人程度が推定されているところですので、現時点での見込値に沿えば、この指標値に係る目標値は達成できる見込みです。
一方、指標2については、先ほど申しました2点目の課題と呼応するものですが、延長保育ということで、正規の時間、夜間とか、あるいは休日等に対して保育のサービスを提供するものです。こちらについては平成25年の数値に比して、20万人増の数字を平成31年度で設定しているところですが、それについての実績値は御覧いただくとおり、平成28年度の昨年度の実績値で、当初の目標値を数字的には達成している状況にあります。
また、指標3ですが、これは病児・病後児保育ということで、実際に保育をされている中で体調不良児等々に対する病児に対するケアをする取組です。こちらについては基準年が平成25年度の延べ50万人に対して、「少子化社会対策大綱」では平成31年度で延べ150万人です。そもそもこの病児・病後児保育に対する人数が多ければいいのかというのもありますが、一応この数字に対する状況ですが、実績値自体は基準値よりは増えている状況です。この目標値との対比で見ますと、更なる利用児童数の大幅な増が必要という状況になっております。
裏面を御覧ください。この事業に関する現時点での目標達成度合いの測定評価及び総合判定です。一部平成29年度実績が集計中ということですので、各指標に対する達成状況はまだ記載をしておりませんが、現時点での数字の状況等を見ますと、正しくこの保育の受け皿という面では指標1が根幹なる部分ですが、指標1の数値目標についてはほぼ達成できる見込みである等々の状況を鑑みまして、達成に向けて進展ありという評価をさせていただいているところです。判定理由については、先ほど申しましたような状況ですので説明は省略させていただきます。
施策の分析です。まず、有効性の評価です。指標1と指標2に係る部分については、各地域において利用者ニーズ等を勘案した取組等を進める中で、結果として利用児童数の増加に寄与している状況ですが、病児・病後児保育については利用児童数は増加しているものの、なかなかその事業というものが病児・病後児というのがいつ発生するか分からないとか、感染症時に非常に発生するとか、あるいは病気等で登録をしていたが病気が治ったからキャンセルするということで、非常に事業の安定性、経営が不安定になるという指摘もあることから、この事業をより定着させるためには事業の安定的な運営を図ることが必要であると、課題分析をしているところです。また、効率性の評価ですが、この事業、保育というのは市区町村が保育の実施主体になっているところですが、各市区町村でやる事業を国が全面的に支援するということではなく、各市区町村において一定の費用負担を課すという意味での効率的な運営を図るとともに、受け皿整備という問題は取り分け待機児童の多い自治体はそれだけニーズが高いという状況ですので、そうした地域に対しては補助率を少しかさ上げする等の運用によって、地域の実情を踏まえた運営を図っている状況です。
3点目は現状分析です。先ほどの説明と重複する部分ありますが、指標1、指標2については当初設定した目標は達成する見込みという状況です。一方で、御承知のように女性の就業率は年々上昇してきている状況にある。また、働き方の多様化もどんどん進んできている。そういうことから保育ニーズは依然高まっている状況にありますので、引き続き各地域において更なる保育の利用者の増が想定されることを踏まえた対応が必要であると考えております。また、指標3の病児保育については、先ほど申しましたように一定ニーズが出てきている状況ですが、事業の安定的な運営の課題解決を図っていく必要があると考えているところです。
最後に、次期目標等への反映の方向性です。こうした現状分析の下、まず保育の受け皿の拡大については、昨年6月に「子育て安心プラン」を公表しました。冒頭申しましたように、平成29年度末までの「待機児童解消加速化プラン」が昨年度末で終了したところですが、現時点でも女性の就業率の上昇等に伴い、一定の待機児童がまだいるというような状況もありますので、昨年6月に公表した「子育て安心プラン」に基づき、今後は各地域において、取り分けその潜在的な保育ニーズ、保育サービスを受けたいけれども、実際申し込んでもどうせ利用できないだろうというような考えを持っている保護者もいるように聞いていますので、もう少し保護者に寄り添うような支援等をしながら潜在的な保育ニーズも勘案して、女性就業率の更なる上昇に伴うニーズに対応した受け皿整備をし、「子育て安心プラン」に基づき再来年度末、2020年度末までに待機児童の解消を図ることとしております。
指標2、これは延長保育についてです。先ほど申しましたように、昨年度で当初設定した数値目標を達成している状況にありますが、こちらについてもやはり不断の全体的な保育需要が増えるにつれて、ニーズも増えてくることが予想されますので、市区町村において新たにその地域の実情とか、利用者ニーズを踏まえた整備計画を策定いただき、それに基づく新たな目標値を設定し、今後とも計画的に取組を推進していく必要があると考えております。
最後3点目ですが、病児・病後児保育に関わるものです。先ほど申しました事業の安定的な運営の問題については、今回のこの実績評価よりも昨年度来私どもとしても何とかしなければいけないのではないかという問題意識を強く持っておりました。そういったこともあり、平成28年度の事業運営においては補助の仕組みを少し改善し、より事業が安定的にできるようなことで改善しましたので、今後はこうした取組を推進し、それをフォローする中で更なる地域の実情に応じたよりよい取組としていきたいと考えております。簡単ですが、私からの説明は以上です。
 
○玄田座長
それでは、ただいまの説明について御質問、御意見をお願いします。
 
○渥美委員
病児・病後児保育なのですが、日本で初めて40年前に病児保育を始めた保坂智子先生という大阪の医師にお話を伺ったことがございます。過去40年間、こういう病児・病後児で死亡した児童はゼロ、これはとても誇るべき数字です。そもそもご存じのとおり、病児保育は医療従事者が主に関わっていて、それ以外のタイプも保育従事者と、こういうプロが関わっているということです。ですから都市部中心に拡大しているNPOがやっているものよりも、医師を中心としてなされている病児保育のほうが児童にとってはいい。厚生労働省が広げていることについては、僕はとても有意義なことだと思っています。思っている前提で2つ申し上げたいのです。
まず、具体的に地名を申し上げると、岐阜県の下呂というところで、病児保育をなさっている医院があって、それもちょっと広域展開しようというタイミングのときに、地元医師会のお偉方、男性医師たちが反対しているのです。要は、病児保育をきっかけに、自分たちのテリトリーを侵されるのではないかという縄張り意識です。ですから、私も個人的に研究で分布を取ったことがあるのですが、今の病児保育の現状はかなり偏っています。ですから、要するに子育て家庭がアクセスできるようにまずなっていないのです。そういう分布の偏在というものは、是非、厚生労働省として課題認識として持っていただきたい。では、何でそれが広がっていないのかというところは、プラスで、例えば、見る御家庭がいるから、例えば三世代同居率が高いから、そういうのは分かるのです。けれども、そうではない原因もあるので、そこは是非もう少し深掘りして調べていただきたい。これが1点です。
もう1点ですが、150万人という目標設定自体は、現状、実際に女性就業率が100%ではない、就労継続率が100%ではない状況においては、その阻害要因になったり、絶対そうなので妥当だと思うのです。思うのですが、私は少子化対策の研究者として今まで20数箇国に行っているのですけれど、病児保育の利用児童が延べ人数でもここまでいる国は日本なのですよ。世界最多なのです。要は、海外のスタンダードは、病気のときくらいは親が休んで一緒にいる。だから、そもそも子どもは誰かに一緒にいてもらう権利を持っていて、それは身近な家族であるべきだ、だから、そもそも病児保育というのは必要ないし、そういうことに行政が手を差し伸べるべきではないと、こういう考え方が1つあるわけです。日本はいきなりそこに行かないのは当然私も分かっています。ただし、今、国も働き方改革をやっているタイミングなので、次のステージとしてはそもそもそういうsick leave、病気休暇制度もある中で、そういう公的な制度を、例えば企業が取らせずに、マタハラ、パタハラっぽくそういうときは預けるのであれば、多分これは右肩上がりに増えてしまいますよね。それは国の財政圧迫要因にもなるし、違うのではないかと思うのです。今は増えている状況だからニーズに即してというのは分かるのですけれども、どこかで厚生労働省で研究会を立ち上げていただいて、適正な水準であるべきだと思っています。要は、例えば実際に扶養家族の利用が余りにも多い企業の働き方は、絶対問題がある。だからそれは、例えばちょっとそういう人は、制度的に可能かどうか分かりませんが、保険料引き上げとか、個別企業は無理だと思うのですけれども、とにかく何らかの企業に対する意識改革のきっかけをしないと、ここは働き方改革とは逆行する要素でもあるので、そこは両面をにらみながら、今後いずれ中長期的な数字設定をしていただきたいという趣旨で、申し上げました。以上です。
 
○子ども家庭局保育課企画官
御指摘ありがとうございます。この事業は先ほど申しましたように、150万人という数字を高く設定するのがいいのかどうかということも含めて、検討しなくてはいけないと思っていますので、貴重な御指摘を踏まえて、今後検討したいと思います。
1点目の分布の話なのですが、御承知かと思うのですけど、この事業は一応平成25年度から数値還元しているのですが、実は子育て施策は平成27年度、ちょうど3年前が1つの転機となりまして、子ども・子育て支援制度という、内閣府に子ども・子育て本部ができて、その給付の新しい仕組みができました。その中で、この病児保育とか延長保育というのが、「地域子ども・子育て支援事業」という法律に基づく支援事業として位置付けたという状況です。実は、この150万人という数字は、そういう状況下で、自治体もどういうふうにやっていいか分からない中で、需要を見込んで立ち上げてしまった部分がございますので、3年くらいたった中で、すごく進んでいる所といろいろあります。1例を申し上げると、実は昨年度ちょっと事例集を作りました。やはり先生がおっしゃるようにある地域では非常に進んでいるけれど、全然進んでいないと、どうしたらいいか分からないというノウハウの部分もございます。特に、病児を扱うという部分でなかなか機微なところもありますので、そういったところの地域差がないようなことは、我々も重要な認識だと思いますので、まだ十分ではないかもしれませんけれど、一応その事例集みたいな取組を通じて横展開などもしていきたいと考えています。
 
○渥美委員
分布の何か地図みたいのがあるわけですか。
 
○子ども家庭局保育課企画官
はい、あります。
 
○渥美委員
あるのですか、御免なさい。私が見に行ってないだけなので、分かりました。
 
○子ども家庭局保育課企画官
数も、実績を追う中でどの地域に何箇所くらいかということもございますので、今日後ろに参考資料として付けさせていただいているものがございますけれども、病児保育というのも今全国で診療所が何箇所、病院が何箇所、当然そのベースとしてどこの地域にというのもございますので、今後、先生御指摘のように、地域ごとのバランス等を見ながら全国的に国でやる施策というのも全国的にきちんと質の高い病児保育を提供するためにどういう手だてが必要か、さらに、財政が限られている状況ですので、どうしたらいいかということは鋭意検討していきたいと思います。
 
○渥美委員
はい、ありがとうございます。
 
○玄田座長
そういう分布の情報は一般で公開されているのですか。
 
○子ども家庭局保育課
はい。直近のものがまだできていないのですが、平成27年度実績くらいのものが、毎年、都道府県で福祉関係の会議をやっていますが、そこの場で資料として配ったりして、そういった分布も含めて、自治体のほうには周知しております。
 
○玄田座長
平成27年度で、最新のものはないのですか。
 
○子ども家庭局保育課
今ちょうど28年度実績が、内閣府のほうで今正に取りまとめられているところなので、そこから。
 
○玄田座長
少し遅いですね。
 
○子ども家庭局保育課
そうですね。そこは御指摘のとおりです。
 
○玄田座長
ちょっと御検討いただいて。
 
○子ども家庭局保育課
はい。
 
○玄田座長
ほかにいかがでしょうか。
 
○内田委員
先ほどの御説明の中で、女性労働者が増えることによって待機児童も増えるような話がありましたが、今の社会の流れから言うと、男性が育児を行なうとか、家庭に入るということが必要なわけで、国の支援策も含めて、そういった政策が必要でないか。
 
○子ども家庭局保育課企画官
御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりの要素があると思いますし、保育児童が増える要素というのはいろいろあると思います。私が1例として申し上げたのは、これまでの女性就業率と保育利用申込み数の相関関係が非常に高い相関にありましたので、その相関からすると、今、女性就業率が72.7%というのが直近の数字で、日本もどんどん毎年1%くらい増えている。その1%増えるごとに、非常に比例関係で保育の申込み数が増えてきているので、それが北欧の80%くらいに女性が活躍すると、大体どれくらいになるだろうと。そういうときに見込まれるということで1例として申し上げたので、必ずしもそれだけが要因ではないと思っています。推計値を出すときの1つの指標としてそういうのを出しているので、今回の資料では女性就業率の上昇というのを1例として挙げさせていただいた状況でございます。
 
○玄田座長
この現状分析のところで、「女性就業率の上昇、働き方の多様化等に伴う」と書いてあるのですが、この2つくらいで渥美さん、いいのですか。確かに女性就業率がぱっと目に浮かぶ感じもしなくもないけれど、大体こんなものかな。保育ニーズの多様化でやはり政府の対応として考えると。
 
○渥美委員
育休の取得期間は結構この辺は大きく作用しますよね。スウェーデンみたいに1年はどちらかが取るものだとなってしまうと、もうちょっと数字が変わってくると思うのですけれど。厚生労働省も、今できるだけ育児休業を交代で長く取るようにという施策は当然動いているのですけれど、まだ取得期間は全然男性のほうが短すぎるから、だからもうちょっと男性が取って、できるだけ公的負担が掛かる部分は減らすという施策が重要かなと思います。
 
○玄田座長
良い一文はないですか。ワークライフバランスがうまくできていないとか、何かそれが保育ニーズに結果的につながってしまっているということですよね。何か難しいね。
 
○子ども家庭局保育課企画官
実は待機児童の問題というのは、御承知だと思うのですけれど、全国で1700くらいある自治体のうちの2割くらいの自治体に集中していて、過疎地では子どもが減ってきているというような状況もあったりして、保育の機能というのも単にお子さんだけではなくて、地域の子育て機能というのもありますので、なかなかどういうふうな背景にするのかは難しい気がするのですが。
 
○玄田座長
書きにくいですね。
 
○子ども家庭局保育課企画官
今我々が、これまでのトレンドで保育需要が増えている最大の要因は何かというと、繰り返しになりますけれど、女性就業率の上昇と、保育利用申込み率というのは相関関係が高いと。取り分けゼロ歳児というのはあれなのですが、1、2歳児とか、あるいは3~5歳児、年齢層によってその相関比率は違うのですが、その可能性が高いので、それを目標にして整備しているということの背景で入れたということですけれど、それに限定するものではないということは十分認識しているところでございますので、もしそういう要因があれば、なかなかエビデンスがないと、こういうふうな声も聞くというだけでは、ちょっとこういう資料に書きづらい部分がございます。
 
○渥美委員
女性就業率の増加、オーバー待機世代増加にしてしまったほうがいいんじゃないですか。ジェンダーで何かこう、一応同じ内容ですけど。
 
○子ども家庭局保育課企画官
表現ぶりに関しては、今日の御指摘を踏まえて、また鋭意検討させていただきたいと思います。
 
○玄田座長
御研討いただいて。そのほかいかがですか。
 
○皆川委員
今の関連で、補足でお伺いします。指標2のところに関連します延長保育のニーズの増加というのも、今御説明がありましたような女性の就業率の上昇というところで、やはり一定の比例で増えていくという、そういった何かエビデンスというか相関関係というのはあるのですか。やはり指標1のところと同じように捉えていいのでしょうか、教えていただければと思います。
 
○子ども家庭局保育課企画官
御指摘ありがとうございます。延長保育は、それだけ保育所の場所が増えてくると、そこにいる方がいろいろな働き方をしてくるので、例えばそこの保育所に100人のお子さんがいたら、そのお母さん方によっては本当に定時の時間で終わる人もいれば、夜勤をしたり、あるいは休出をするというようなことで。受け皿が増えれば増えるほどそれだけニーズが増えてくる部分がございますので。間接的には女性就業率が増えている、受け皿が増えて、そして多様なニーズを持った働き方があるので、結果として休日とか夜間に関するニーズも増えていくという部分もあるかとは思いますが、ちょっとそこは。
 
○子ども家庭局保育課
こちらの保育所自体を利用する方が増えてきているのと比例して、延長のニーズも増えてきているというような。
 
○皆川委員
なるほど。
 
○岩佐委員
今の関係で、全くエビデンスのない話ですけど、私自身も保育所の世話になっている関係から言うと、箱が決まっていればそれに合せるしかないので、延長保育がなければ、私は法廷を飛ばしてでも帰らないといけないということをするし、でも、もしそこに延長保育があればちょっと明日の準備をしようということになるので、そういういろいろな意味の潜在ニーズ自体があるのかなと。ただ、それが先ほどから御指摘の働き方改革との関係があるので、私みたいに自営業は自分でちゃんとしなさいという話ですけれども、特に、やはり会社にお勤めの方などは病児の問題、それから延長保育の問題もそこのところのちょっと両輪かなと。ただ、今の現状では、潜在的にというか、それが利用できるのだったら利用したいけれど、ないから、なかったらそれに従うしかありませんので、そういう形にさせていただいていると。病児も同じで、最後は何とかしないといけないので、何とかしているというのが現状かなと思います。
 
○皆川委員
そうですね。これも単純に増えれば、受け皿が広がること自体は、私もいいことだと思うのですけれども。男女含めた労働時間のバランスで、なるべく延長しないで済むのだったらいいという見方もありますので、その辺りの御検討、御考慮いただければと。
 
○子ども家庭局保育課企画官
あとは、働く時間帯が昼間ではなくて、夜間専ら働くようにすると、いろいろな働き方の職種もございますので、そこは完全に平成27年で新制度が始まる以前は、基本的に昼間働く方を前提とした制度設計でしたけれども、平成27年度の新制度ができてから、保育を必要とする要件の中でもいろいろな働き方があるというような中での制度設計ができている部分がございますので、そこは都市部とか地域とかにもよるので、余り一慨に引っ張るのもどうかなという部分かと思いますが、いずれにしても貴重な御指摘ありがとうございました。
 
○皆川委員
ありがとうございます。
 
○玄田座長
ほかに御意見いかがですか。
 
○岩佐委員
これは、事前にいただいていた文には、保育人材の確保のための処遇改善とか、保育士の職員配置の改善等にも取り組みながらというような、保育士さんの労働環境の問題についても御指摘があって、今日の資料に入っていないのですが、私としては、ほかも全部同じで、ここで施策評価するのに全部はできないので、保育所に関してはこういう箱の数とか、時間の対応という枠組みの中で施策評価をしているというところは理解はしつつ、ただ、保育の問題でもあるので、常にその辺りの保育の質の問題について、ここで何か数値化して新たに政策目標を掲げてくださいとまでは言わないけれども、何か併せて、今こういう取組をしていますというような形で御報告いただけると大変ありがたいかなと。特に、この保育所の問題については本当に周りで聞いていても、数が少し増えてきているというような実感はありつつ、他方で、保育の質の問題についていろいろな声も挙がっているので、できればここで併せて御報告いただけると有り難いなと思います。
 
○玄田座長
何か一言ありますか。
 
○子ども家庭局保育課企画官
おっしゃるとおり、私どもの施策、この様式上は指標がややその量的な部分がありますので、この指標に基づいての評価ということもあったので、それにちょっと即した表記にさせていただきますけれども、施策を進める前提として、保育の量的拡充と質の確保・向上というのは車の両輪であるということで、きちんとやろうということで取組を進めております。その質の確保の中では、当然その多様なニーズに応えたいろいろなメニューをするということもございますし、やはり保育を担うのは保育士さん、人であると。当然、人を確保して、その処遇を改善するというのは重要だろうと。そういうことをやった成果としてこれだけの受け皿が増えたということで、その説明は割愛していますが、この指標1にある受け皿が増えるということは、箱を作って終わりではなくて、それが機能する状況にするということは、土地を確保して、人を配置して、それで基準を整備してという状況を加味したという状況ですので、決してやっていないということではございませんので。もし、記載が足りないと言うのならば、ちょっとそういうこともやった結果としてこうなっているということは付記させていただきたいと思います。
 
○岩佐委員
私の質問の意図としては、当然箱がある以上は人は要るのだと思うのですけど。そこを確保する何か誘導の施策的なもので、例えば労働環境についてこういうふうな形でもっと良い形があるよというようなことで支援したり、情報提供したりしているとか、こういう形で指導しているとか、再就職しやすいようにこんな工夫をしているとか。要するに、何かプラスアルファ、やはりそこに確保していくような工夫なり、施策なりについて御報告いただけると有り難いという、そういう趣旨です。
 
○玄田座長
それでは本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映などお願いいたします。どうもありがとうございました。それでは、次の御準備よろしくお願いいたします。
続いて、施策番号Ⅲ-3-1の「被災労働者等の迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付を行うこと」について、担当課から5分程度で御説明をお願いします。
 
○労働基準局補償課補償課長
労働基準局の補償課荻原と申します。よろしくお願いします。資料2-1の実績評価書をみながらお聞きいただければと思います。私からは「被災労働者等の迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付を行うこと」の実績評価について御説明いたします。まず、業務内容について簡単に説明いたします。御承知のとおり労働者災害補償保険、いわゆる労災保険は、不幸にも仕事中や通勤により怪我や病気などに遭われた労働者の方又はその御遺族に対して、申請に基づいて、休業された期間の生活費や療養費の補償、障害が残った場合の障害補償などを保険給付として支給しているものです。業務の大まかな流れとしては、まず全国325か所、これは支所も含みますが、労働基準監督署において個々の労災申請を受け付けます。その後に受け付けた申請書を基に、必要に応じて各都道府県労働局の指示を受けながら、労働基準監督署が業務上の怪我だったのかどうかなどの調査を行った上で、労働基準監督署長が保険給付の支給又は不支給決定を行います。その後、その決定されたデータがシステムを介して本省に集約をされて、本省において支払事務を行うというのが大きな流れとなっております。
資料の予算の所を御覧ください。この施策の全体の予算規模としては、平成30年度予算において、約8,038億円、このうち事務費を含めた保険給付に充てる金額が全体の約98%以上とその大半を占めています。事務費については2%程度ですので、この予算のほとんどが被災労働者に対する補償に必要な保険給付となっております。なお、執行実績ですが、平成29年度の執行額は7,694億円、執行率としては96.3%、過去の執行率をみてもおおむね96%前後で推移しております。
施策目標及び測定目標についてです。まず、29年度実績についてです。現在実施している28年度から33年度までの第4期基本計画の施策目標については、労働者災害補償保険法第1条に示されている目的である、「労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行う」を挙げております。我々は正にこの目的を果たすために日々業務を行っているところです。
測定指標としては2つございます。測定指標1として、全ての労働保険給付の請求から決定までの所要日数を前年度以下とすること。指標2としては、特に調査等の時間を要する複雑困難な事案である精神障害事案について、請求から決定までの所要日数が基準値である平成28年度実績216日に比べて、平成33年度に10%減の195日とすることとしております。平成29年度の実績については、指標1については達成しているところですが、指標2については年度ごとの目標である215日に1日足らない216日となっております。
評価結果と今後の方向性についてですが、総合判定については指標1の目標は達成していること、指標2は年度目標を1日達成できていないところですが、精神障害事案の請求件数が右肩上がりに増加している中では、目標値と同水準の達成率になっていることから、全体として目標を達成しているものとしてAとしているところです。
今後については、平成33年度の最終目標の達成に向けて、施策の分析をしますと、全体にはおおむね順調に実施できているところですが、目標達成の一番の課題は、先ほども触れましたように、調査等の時間を要する精神障害事案の労災請求が過去最多となっている状況にあることです。我々としては政府全体の定員削減の中で、精神障害事案のような複雑困難事案が多い県においては、専属の専門官を審査決定機関である労働基準監督署に、少ない県においては都道府県労働局に専属の専門官を配置し、各労働基準監督署を支援するなど、迅速かつ公正な処理に向けて有効な配置体制を確保してまいりたいと考えております。説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
ただいまの御説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。御説明にも何度か出てきましたけれども、指標2の複雑困難な請求事案というのは、多分軽々には判断できないと思うのですけれども、これは指標2のような所要日数だけの問題ではなくて、いろいろな政策の組合せの中で対応していかなければならない非常に微妙な問題だと思うのですが、やはりこれと何かのうまい組合せで対応するとか、いろいろな方策は何か今御検討されているのでしょうか。
 
○労働基準局補償課補償課長
今年度発表しました平成29年度の精神障害の請求件数は1,732件です。そのうち業務上というか、支給の決定を行ったのが506件という状況になっています。支給決定件数は横ばいになっている中、請求件数は非常に増えています。こんなに請求が増えているのに、なぜ労災と認められる件数は横ばいなのかというところを分析しなくてはいけないと、私どもも思っています。特に、今年度については、20歳~29歳の方の精神障害の請求件数が100件近く伸びているという大きな特徴があり、その部分がなぜなのかはエビデンスがない状態になっています。ただ、一方で、マスコミ等で過労死等の事案が大きく世の中に報道されているので、請求行為は結構増えているのではないかと。
 
○玄田座長
アナウンス効果みたいなもので。
 
○労働基準局補償課補償課長
アナウンス効果もあるのではないかというのもあるのですが、これを裏付けるものはありません。ただ、一般的に精神障害疾患の数も増えておりますので、それに合わせて増えているということも、これは否めないところだと思います。逆に言うと、その部分を精神医学会の先生方がどのように認定するか、そこに一定の時間が掛かっています。時間が掛かる要因としては、各労働局では専門部会という3人の精神科のお医者さんにみていただいて、医学的な決定を行った上で最終決定を行っているところで、発病時期がいつなのかとか、本当に発病したのかとか、その辺に少し時間が掛かる場合があって、行政サイドでどのぐらい短縮できるかは非常に難しい部分がございます。
ただ、一方で労働時間は何時間なのかとか、パワハラ、いじめがどの時点であったのかなど、そういうのを効率的にやらざるを得ないと思っていますので、そういう部分をできるだけ短くしながら、処理期間を短くしたいと考えております。
 
○玄田座長
他にいかがでしょうか。
 
○岩佐委員
ちょっとこれは難しいと思うのですが、私的には本来は処理日数について、前年より何%低くするという目標よりは、多分、一定程度、掛かるものは掛かるので。
 
○労働基準局補償課補償課長
最適なレンジみたいなもので。
 
○岩佐委員
そうですね、標準的なものが大体これぐらいあって、先ほどのいろいろな配置の関係で難しいので、すぐにはその日数までは到達しないけれども、取りあえず、まず第1段階はこうしようと。だからどこかでは、前よりは短くならないというとおかしいのですが、大体、標準処理日数に達しているというような、本当はそのような設定の仕方のほうがいいのかなと。ただ、今のお話だと、まだ地方によってかなり実情も違うので、そこまでの設定の仕方は難しいということであると、当面はもう少し効率化できるのではないかということでパーセンテージの目標はあるのかもしれませんけれども、本来は何かこれぐらいというものがあるのかなと感じました。
 
○労働基準局補償課補償課長
精神障害事案については、標準処理期間は一応8か月となっています。単純に30倍すれば240日ですので、それは下回っていることは間違いないですけれども、ただそれが一番長いものですので、通常の怪我みたいなものは1か月以内でやることになっていますので、できるだけそこを短くするということで、目標値に一番時間が掛かるものをセットされていることになっております。
 
○玄田座長
他にいかがでしょうか。
 
○皆川委員
今のに関連して、標準のレンジのお話とかありましたけれども、指標1で出されているのは全部の労災に関する平均的な処理日数ということでよろしいのでしょうか。
 
○労働基準局補償課補償課長
そうです、全てのものになります。新規でいうと年間で約60万件ぐらいございます。
 
○皆川委員
複雑困難事案の精神障害事案以外にも、いわゆる職業性疾病と、事業場での負傷等ではやはり認定の困難さというか、判断にかかる手続の違いというのはあるのではないかと思うのですけれども、そういったところの少し細かい細分化すると先ほどお話にありましたような各事案ごとに標準レンジというのは設定できなくもないかと、外目から見えるのですが、その辺りはいかがでしょうか。
 
○労働基準局補償課補償課長
以前は、脳心臓疾患の6か月と精神疾患の8か月を目指してこの2本が日数として掲げられたのですが、大きな目標としては労災保険の迅速、公正な保護を図るために必要な給付を行うということになると、全体の給付額を全く度外視して、複雑困難事案だけを目標にするのはおかしいのではないかという御指摘もあり、それで全体の指標を指標1の全て、それで一番困難なものをもう1つの指標という形になっているというのは事実でございます。
皆川委員の御指摘のとおりで、複雑困難事案はアスベストの問題とか胆管がんの問題とかいろいろありまして、こういうのは専門家会議を通じながら、例えば6か月という標準処理期間を取っており、単純なけがみたいなものについては1か月以内に処理をしなさいという指示をしているところです。それは一応、標準処理期間の形で作成されております。
 
○皆川委員
分かりました。ありがとうございます。
 
○渥美委員
政策評価というと、多分政治にまで踏み込んでしまうと思うのです。先ほど御説明があったような、とても複雑な事案が増えている中で、労働基準監督署の職員の方々の過重労働がすごく気になっているのです。先ほど御説明あったぐらい増えて、増要求を行うということなのですが、普通、民間だったら需要ががーっと増えれば当然人を投入するのですけれども、国だと余りそういう人の動かし方は成立しないなと思っていて、何かここら辺は目標達成するのはかなり大変なのではないかと思ってお話を伺っていたのですけれども。話しにくいこともいっぱいあると思いますけれども。
 
○労働基準局補償課補償課長
私どもとしては、退職された方を再雇用、再任用職員として、4日でもいいから来てもらうとか、非常勤職員の方を何人か入れて簡単な仕事をそちらに回す、そういう効率化を図らざるを得ないということで、なかなか労災で増員は難しい状態になっています。ただ、労災補償業務は、被災労働者からの請求、受け身の業務ですので、こちらから打って出るものではないので、受けたものをいかに処理するかということになると、いかに効率化を図るかというところで悩ましいところですが、いろいろな形での対応を今考えているところです。
 
○渥美委員
1人が抱えている企業の数を前に調べたときに、日本が一番多かったのですけれども、そういう国際データを厚生労働省で調べたもので公的なものはあるのですか。
 
○労働基準局補償課補償課長
多分、私の部署ではないのですが、監督署サイドでは監督官1人当たりの雇用者数が幾らという指標はございます。
 
○渥美委員
国際比較はあるわけですね。
 
○労働基準局補償課補償課長
フランスとかドイツとかは何人というのはございます。
 
○渥美委員
私が知っている個別の研究者同士ですり合わせたものだと、日本は最多だったのですが、そちらのほうでもそうなっていますか。
 
○労働基準局補償課補償課長
日本は少ない状態です。
 
○玄田座長
何が最多ですか。
 
○労働基準局補償課補償課長
1監督官当たり持っている雇用者数は非常に多いというデータはございます。
 
○渥美委員
要するに1人の抱えている数は、こういう業務だととてもではないけれど過重労働で大変だろうという議論ですけれども。
 
○労働基準局補償課補償課長
それはあると思います。国際比較部分は若干あると思います。ちょっと私の担当部署ではないので、もし必要であればまた。
 
○渥美委員
そうですね。
 
○玄田座長
他にいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
それでは担当課におかれましては本日の御議論を踏まえて、実績評価書の反映等よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 
○労働基準局補償課補償課長
どうもありがとうございました。
 
○玄田座長
これで5つのテーマは全て終了いたしました。最後に全体を通じて御意見などがございましたらお願いいたします。遠藤委員、もし何か今の段階で追加などがございましたら。
 
○遠藤委員
遅れまして申し訳ございません。今回、5つの柱がある中の、3ですが、「地域、中小企業、産業の特性に応じ、雇用の創出及び雇用の安定を図ること」についてです。幾つか切り口として、地域や中小企業、産業の特性が書かれていて、指標や政策が次のページに書かれています。小見出しには書いていないのですが、もう1つ大きな要素として、年齢というものもあります。具体的には指標4に関わる部分ですが、再就職援助計画の対象になった者であり、一定程度年齢の高い方々が労働市場の中では苦戦することもあって、対象にしています。当然、年齢の高い方も苦戦しているのですが、一方で未熟練者である若い人たちも苦戦はしています。それは労働力調査の年齢階層別データを見ても、やはり階層別に比較すれば、若年層が苦戦していることが明らかになっています。
例えば卒後3年以内の早期離職者を新卒扱いした場合、助成金はあるのですが、若年層に対する施策が薄いのではないかと思っております。年齢という要素を入れていくとすれば、高齢者だけではなくて、早期離職の方々の抱えている、いわゆる未熟練、経験や実績が足りないこと、この部分はどうしても対応が後に追いやられてしまう傾向があるので、こういうところも見ていってあげることをしないと、いつまでたってもキャリア形成ができないまま40歳を迎えてしまうことになります。そういう構図がそのまま残ってしまうように見えて仕方がないので、労働政策に年齢という要素を入れるのであれば、未熟練という属性もターゲットに入れた形での大きな転換点がきているのではないかと感じております。一言申し上げさせていただきました。
 
○玄田座長
ありがとうございました。今の御指摘の点は評価官室を通じて担当課に御連絡いただければと思います。ほかに全体を通じていかがでしょうか。
 
○渥美委員
自治体で今働き方改革のコンサルをする機会が多くて、保育とか医療機関とかはすごくエントリーしてきます。働き方改革自体は、今日お話があったのとは別の施策としての話だから、別にそこを特に強調して申し上げるのは場違いだというのは重々承知ですけれども、結局、ニーズを、例えば子供を持つ親のニーズにできるだけ即して対応することを繰り返しているかぎりは、多分保育にしても病児保育、医療機関の働き方改革に関してはちょっと煮詰まってしまうところもあるので、皆さんよく御存じのことだと思うのですが、そこは、それぞれの働く人たちがどういう働き方をしていて、そこが守られるためには適切なサービス提供があって、そこから逆算して、ニーズだけではなくて供給サイドから見た適正なバランスを考えるべき時期がいずれ来るのだろうなと思っています。今はそういう議論をしてしまうとごちゃごちゃになってしまうので最小限にしたつもりですけれども。特に病児保育に関しては、とにかくニーズが増えているので、そこは経済界とかを交えて、その負担をどうするのかを考えないといけないタイミングになっているなと思っています。
 
○岩佐委員
そこのバランスというか、ちょっと一昔前の人と話していると、私もそれに近い体験がないとは言えないですけれども、年齢の低い子供が熱が出て、預けられる所がなくて、自分は仕事に行かないと仕方がないので、水だけ置いて、祈るような気持ちで、もうこれはほぼ児童虐待ですけれども、出たことがあったよなというのも多分50、60代の人と話していると出てきます。なので本当にそういう意味では預ける場所が欲しいというのもありますし、でも、今御指摘のように、そこが変わるということが見えるのかなと。意識の問題はすごくあって、我々弁護士をしていても、お正月とかは争わないという、何かそういう雰囲気があって、どんなに激しい争い事でも、年末になると、じゃあ、年始まで待ちましょうかとなるのですよね。やはりそれは不思議で、お盆は前はあったのですが、最近ちょっとお盆がなくなってきました。そうなってくるとやはりお正月と一緒で、子供が病気したからそれは会社には行かないよという、そういう共通認識ができていけると、相手も迷惑がかかるわけですけれども、子供さんが病気だったら仕方がないよねとなるといいなとは、確かに意識の問題は大きいなと思います。
 
○玄田座長
皆川さん、何か。
 
○皆川委員
今日は貴重な機会をありがとうございました。そんなに大きなことはないのですけれども、ものづくりマイスターの若い方の技能研修のところで、昨今少子化が進んでいる、産まれてくる子供の数も減っている、若い人の数も減っているという中で、3級の技能検定の受検者数の方が増えているとか、また、ものづくりマイスターの派遣の実数などもお伺いしましたけれども、かなり幅広く裾野の底上げ、こちらではいい政策が役立っているのではないかなと実感を受けましたので、この流れで進めていただければと思ったのが一番印象的でした。ありがとうございました。
 
○玄田座長
遠藤さん、よろしいですか。
 
○遠藤委員
結構です。
 
○玄田座長
はい、ありがとうございました。それでは、最後に議事次第の「その他」として、事務局から報告事項をよろしくお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
事務局からは参考資料5について御説明させていただきます。参考資料5を御覧ください。前回の3月に開催した全体会議で、平成30年度の目標について議論していただいたのですけれども、その後の対応状況をこの整理票に書いております。毎年、年度の目標を年度が始まった8月末、予算事業なども整理して、最終的に8月末に公表するというルールになっており、3月の会議で頂いた意見を、どのように目標について整理した事前分析票に反映したかを整理票としてまとめさせていただきました。
この整理票を作った趣旨ですが、やはり政策評価の会議が年に2回と限られた機会にあるということが1つです。あともう1つは、本日もそうだったのですが、すぐに目標とか指標に追加というわけではないけれども、やはり厚生労働省の目標というのを今後、5年、10年と続けていくに当たって、中長期的に検討してほしいという御意見を多く頂きます。それを会議の場で終わりではなくて、きちんと引き継いでいきたいという思いから、この参考資料5を作り、事務的に作成するだけではなくて、会議での資料として公表させていただいております。前回のこの3月、労働・子育てWG関係では、ざっとした話ですけれども、安全で健康で働くことができる職場づくりでは、予算事業が羅列のような感じになっていましたので、整理していただきたいですとか、あとはメンタルヘルスに対する指標がなかったので、今日も別の観点から労災保険でのメンタルヘルスの話もございましたけれども、こういう職場づくりでもやはり見ていかないといけないということで、指標を追加しております。
2ページ目以降は検討中というものもございます。指標の追加というのが統計データで取ることになるので、すぐに対応できないものは1つ、30年1月とかそういったデータの改訂時期に取れないかということで検討しているということです。検討中のものもございますけれども、こういった形で整理させていただいておりまして、本日も保育を中心に今すぐではないけれども、いずれそういう目標設定になるのではないかなという御意見を頂きまして、正に労働・子育てWGということで、労働と子育て、両方見た観点からの指標、目標設定の意見を頂きましたので整理票として残していきたいと思います。
遠藤委員からは、若者と言いますか、若者という言葉が正しいのかどうか分かりませんけれども、年齢ということで言うのであれば、なかなかキャリア形成ができない世代の人のこともという御意見も頂きまして、それもすぐに指標というのは難しいですけれども、こうした整理票で整理させていただきたいと思っております。事務局からは以上になります。
 
○玄田座長
以上で、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。誠に熱心かつ有意義な御審議を頂きましてありがとうございました。審議官、最後に何か一言ありますか。
 
○総合政策・政策評価審議官
大変熱心な御議論を頂きましてありがとうございました。ちょっと役所の関係で明日付けで実はここ3人とも異動いたします。大変お世話になりました。ありがとうございました。私個人的には、実は均等と子育ての関係に行くものですから、今日の保育のことは大変先駆けて参考になりました。また引き続きよろしくお願いいたします。どうも本当に今日はありがとうございました。
 
○玄田座長
政策評価官も一言ぐらいどうぞ。
 
○政策評価官
私は明日付けで内閣府の高齢社会対策、それから子供貧困対策の担当になりました。先生方には本当にいろいろ有意義な御意見を頂きましてありがとうございました。政策評価は5年に1度なのでなかなか担当者もきちんと認識していないというところがあるかと思いますが、先生方に御意見を頂くことによって、自分たちの施策を改善していこうという意欲になるかと思いますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
宮崎さんどうぞ。
 
○政策評価官室長補佐
私も審議官、評価官に続きまして、明日付けで内閣府の男女共同参画局に出向いたします。審議官、評価官と同じく、引き続き今日扱ったようなテーマに関わる仕事ということなので、また別の職場にはなりますけれども、今日頂いた議論を仕事で生かさせていただきたいと思います。最終日にこういう機会で先生方から意見を頂いたことは本当に私にとっては有り難い機会だと思っております。限られた1年間でございましたけれども、節目のところで忌憚のない御意見を頂けて、本当にどうもありがとうございました。
 
○玄田座長
宮崎さん、最後にもう一つだけ、本日の議事の取扱いについて御説明をお願いします。
 
○政策評価官室長補佐
恐縮です。議事に戻らせていただきまして、本日の議事の取扱いですが、大きく評価書に関する指摘、もう少し補足して書いていただきたいというようなお話があった部分と、あと目標設定に関する御意見がございました。まず、評価書に関する指摘については、担当課で検討させていただいて、必要な修正をして、評価書の中に会議の意見の反映状況を書く欄がございますので、そこを記入させていただいて、8月末目途で総務省へ通知して、厚生労働省ホームページの公表手続を進めさせていただきます。なお、会議の時間が大変限られた中での御議論でしたので、伝えきれなかった御意見などございましたら、8月6日月曜日までに事務局までメールで御連絡いただければと思います。
今後の目標設定など評価書の記載以外での御指摘を多くいただきました。それにつきましては、先ほど御説明させていただいた参考資料5のような整理票を次回の会議に向けてまた作成させていただきますので、その整理票を通じて進捗状況を御報告させていただければと考えております。以上です。
 
○玄田座長
これをもちまして本日の会議は終了とさせていただきます。ありがとうございました。お疲れさまでした。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第7回政策評価に関する有識者会議 労働・子育てWG 議事録(2018年7月30日)

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