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2017年8月30日 第6回政策評価に関する有識者会議 労働・子育てWG 議事録

○日時

平成29年8月30日(水)13:00~15:01


○場所

厚生労働省統総大会議室(11階)


○出席者

玄田座長、岩佐委員、遠藤委員、皆川委員、安永委員

○議事

 

○政策評価官室長補佐

 定刻になりましたので、ただいまから、第6回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWGを開催いたします。政策評価の担当をしております宮崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、まだまだ暑い中をお終り頂きまして誠にありがとうございます。本日は厚生労働省における政策評価に関する基本計画が第4期になってから、平成29年度から始まる第4期になってから初めての会議です。また委員の改選も行いましたので、労働・子育てWGの委員の先生方を御紹介させて頂きます。五十音順です。

 ちょっと遅れて参加というふうに聞いておりますが、渥美由嘉委員です。岩佐喜彦委員です。遠藤和夫委員です。玄田有史委員です。皆川宏之委員です。安永貴夫委員です。当ワーキンググループの座長につきましては、当室より玄田有史委員にお願いしております。よろしくお願いいたします。

 事務局についても紹介させていただきます。総合政策・政策評価審議官の本多です。政策評価官の牧野です。本日のWGの開催に当り、総合政策・政策評価審議官の本多より御挨拶いたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、政策評価に関する有識者会議の委員をお引き受けくださいまして誠にありがとうございます。御案内のとおり、政策評価の目的は、評価結果を政策に適切に反映し、効率的で質の高い行政を実現させること、また評価結果を公表することにより、国民に対する説明責任を果たすことです。

 平成144月に政策評価法が施行されてから15年が経過し、昨年度末には、同法に基づいて、第4(平成29年度から33年度)の基本計画を策定し、今年はその初年度に当ります。このため、第4期における厚生労働省の政策評価について、中心となって議論をしていただくことを目的として、皆様に委員をお願いいたしました。

 本日の会議は、第3期計画の期間中に策定された政策評価項目のうち、4つの項目の事後評価について、評価書の内容の妥当性を中心に幅広い観点から御助言を頂きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、今後の議事進行につきましては、玄田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○玄田座長

 当WGの座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は議事次第にありますとおり、5つのテーマの実績評価書案について、委員の皆様に御議論いただきます。それでは、配布資料及び平成29年度に実施する政策評価についての進め方について事務局より御説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 まず、資料の確認をさせて頂きます。多数の資料を用意させて頂いておりますが、まず上から「議事次第」、「座席表」、それから「有識者会議のWG参集名簿」を置かかせて頂いております。続いて、枝番もありますが、資料15は、今日のWGで御議論いただく実績評価書()と実績評価書を説明する添付資料となっています。この評価書ですけれども、ただいま第4期ということですが、この評価書に掲げている目標を作ったのは第3期になります。平成283月の会議で、目標について議論していただいて、平成28年度の実績をみる評価の会議が、平成29度の夏、今のタイミングになっております。

 参考資料として、参考資料1は、「政策評価の実施予定表」、評価は、おおむね5年に1回のタイミングがくるようにローテーションを組んでおりますので参考資料1に書いております。参考資料2は、「有識者会議の開催要項」、参考資料3は「厚生労働省の第4期基本計画」、参考資料4は、目標を立てた平成283月の有識者会議における御意見を踏まえて作成した資料15の「事前分析表」で、目標と測定指標についてまとめたものです。以上が会議資料です。資料に不足がありましたら、お知らせいただければと思います。

 続きまして、議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は、2番の議事のところにありますように15の項目につきまして、テーマごとに担当課の入替を行い、御議論頂く予定です。

15の順番ですが、担当課の都合により若干、順番が入れ替わっており、43215の順番で御説明を行わせていただきます。1つのテーマごとに約20分程度を予定しております。20分の内訳ですが、まず担当課から約5分程度で説明を行わせていただいて、その後、それぞれについて15分程度で御議論いただくということで進めさせていただければと思います。事務局からは以上です。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。それでは早速、議事にのっとって始めさせていただきます。1つ目のテーマは、施索番号5-1-1「多様な職業能力開発の機会を確保すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。

 

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 それでは、多様な職業能力開発の機会を確保することについて説明いたします。本施策は、労働者の職業能力の開発と向上を図ることに加え、その職業能力を十分に発揮できるような環境を整備することを目的として施策を実施しているものです。こうした多様な職業能力開発の機会を確保することに対応する具体的な施策としては、資料にある指標1から指標4までについては公共職業訓練、指標5、指標6、指標10についてはジョブ・カード制度の推進、指標7はキャリア形成促進助成金ということで、事業主が訓練を行う場合の助成金による支援です。指標8は、一定の技能を持つ方に対して、技能士という国家検定制度の実施、指標9の関係ではキャリアコンサルタントの養成を行うことによるキャリア・コンサルティングの実施といった施策を行っているところです。

 これら各測定指標の実績については、御覧のとおり、全ての項目で、ほぼ全ての年度目標を達成しております。こうしたことから総合判定については「A」を付けさせていただいております。

 次に、施策の分析です。まず、有効性の評価については、今申し上げたように各指標において目標値を上回る実績を上げているところで、これらの施策の実施が多様な職業能力開発の機会を確保するために有効であると認識しているところです。その要因としては、公共職業訓練においては地域ニーズを踏まえた適切な訓練コースの設定、ジョブ・カードにおいては総合サイトの運営や関係各方面への働きかけによる活用促進、技能検定においてはエントリーレベルが3級なのですが、その3級の新設や作業の見直し等が挙げられると分析しています。

 次に、効率性の評価の観点から申し上げます。ここはいろいろ挙げていますが、予算額に占めるウエイトが大きい2事業に絞って記載させていただいております。まず、公共職業訓練の実施に当たっては、可能なものはできるだけ民間に委ねていくといった考え方に立ち、介護、情報通信などの成長分野の訓練においては民間の教育訓練機関を活用した訓練の実施を進めているところです。

 また、国が行っている、具体的には独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構で行っており、国が実施する訓練においては設備などにコストがかかり、民間では採算面から実施が難しい、ものづくり分野の訓練を中心として実施しています。また、都道府県の訓練においては地域の実情に応じた職業訓練を実施するなど、国と都道府県との実施主体の間の役割分担、また民間との役割分担を進めながら効果的な訓練の実施に努めているところです。

 もう1つ予算額の大きなキャリア形成促進助成金です。これは平成29年度から人材開発支援助成金と名称を変えておりますが、これに関しては毎年度、ニーズや実態に応じ、助成額をはじめとした内容の見直し等を実施しています。

 このように、現行の取組は効率的かつ効果的に実施されていると言えますが、現状を分析すると2つの課題があります。1つはジョブ・カードについて、平成32年度までに取得者300万人という、政府目標実現のための更なる活用促進、もう1つは技能検定の受検者数については資料のとおりですが、年度目標を下回る年度もあるということです。これらについては、ジョブ・カードについては活用の進んでない領域での一層の活用促進のため、平成29年度において調査研究事業を現在実施しているところ。技能検定については検定料で見ると、35歳未満の若者が受検する際に受検料を減免する措置を実施する予定があり、こうした取組で解決を図っていきたいと考えています。

 また、測定指標と直接の関係はありませんが、今後、労働力の供給制約のある中で、働き手の一人一人の能力開発を通じた生産性の向上が不可欠です。こうした中で本年3月にとりまとめられた「働き方改革実行計画」の内容も踏まえ、個人の学び直しへの支援策を引き続き重点的に講じていきたいと考えています。説明については以上です。

 

○玄田座長

 ただいまの御説明について、御意見や御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○安永委員

 まず、指標1と指標2ですが、現在、雇用情勢もいい方に向かっていて、公共職業訓練の受講生はそれに伴って減少していると思います。その結果として、これまでよりも就職に際して、より困難な状況にある人が受講していると思っております。それを考慮すれば、この間の実績は評価できるのではないかと思っています。

 一方で指標4については満足度ということですので、就職率は景気動向などで左右される側面はありますが、満足度はそれとは異なる性格があると思っています。目標値を据置きする理由は記載されていますが、実績値がかなり大幅に目標値をクリアする形となっていることから、今日までも実績値が大きく目標値をクリアしているときの目標の在り方について、この政策評価会議で何度もいろいろな先生方が話をされておりましたが、それらについても、もっと高めを目指すべきではないかと思っています。

 先ほど、雇用情勢の好転によって公共職業訓練の受講生は減少していると言いましたが、総務省の労働力調査によると、失業期間1年以上の長期失業者が68万人いると出ていました。これは決して少ない数字ではないと思っていますので、今後も引き続き、多様な職業能力開発の機会の確保と併せて、離職者など、特に困っている層への取組には力を入れていただきたいと思います。以上です。

 

○玄田座長

 今の意見に対して御回答はございますか。

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 委員からの御指摘に関しては、確かに指標4については満足度で、10何%ぐらいの幅で上回っているところもあります。確かに、前年度より上回っていながら、それよりは形式的な数字で見れば低いところで設定しているのは何箇所かはあるわけですが、これについては、実際にそういった就職結果はこうであったけれども、今後の求職者の動向等を見ればということで据置いているというものも、委員が御指摘の中にもありましたが、正にそのとおりでございます。いずれにしても、年度によって目標設定のときに、前年度を上回っていることは勘案しながらしっかりとやっていかなくてはいけないと思っています。

 なお、測定指標4ではないのですが、測定指標1の委託訓練については、先日開催した労働政策審議会人材開発分科会にもお諮りした上で70%から75%に目標を引き上げておりますので、そういったようなところでケースバイケースで更に引き上げられないのかという態度は必須なのかなとは考えています。以上です。

 

○玄田座長

 ほかに御意見はいかがですか。

 

○岩佐委員

私は今年から委員になったので従前の経過がよく分からないこともあり、的外れな部分もあるかもしれませんが、指標1から指標3というのが目標を立てて、就職率の実績を紹介していただいていて、就職率がどうなっているかというのは非常に重要な指標であるのは間違いないと思うのですが、就職した結果、どの程度定着しているのかとか、私としてはそれとリンクしないと、これだけでは評価しにくいのではないか。これ自体の目標としてはいいと思うのですが、できればそういうことと合わせた御説明があるほうが有り難いというのが、私の意見です。

 

○玄田座長

 定着状況の把握については、何かございますか。

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 この訓練制度を運営していく上で、定着度も見るべきだという御指摘は頂いているところですが、把握の手法とか、広い意味で統計ということになってきます。就職率に関してはハローワークの窓口とか、この訓練制度自体がチャネルが3つあり、独法、都道府県、民間訓練機関のそれぞれがサービスを提供している中で、最終的な出口としてしっかりと就職率も管理しているというところですので、就職のところはそういう意味では、報告とか率とか、その時点では把握しやすいのですが、最終的に、例えば1年、2年たったときの定着というところを、一律に実施主体にお願いするというのも難しい面もありまして、引き続き検討課題としたいと考えています。

 

○岩佐委員

 これは我々弁護士の業界も必ずしもできていないのですが、要するに就職を紹介するという一定のサービスをしているので、会社の感覚で言うと、サービスに対して顧客がどう考えたのかを何らかの苦情、若しくはいろいろな御意見を収集して、その上でもとのサービスの内容を変えていくという発想が、企業としては一般ではないかと思うので、統計が難しい点はそうだと思うのですが、何らかの形で事後的な声を集めることも意識していただけたらと思っております。

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 はい、是非とも検討していきたいと思います。

 

○遠藤委員

 岩佐委員がおっしゃったことというのは、審議会の中でも従来から指摘されています。参事官(人材開発総務担当)は説明の機会を他者に譲りたいと、お話をされなかったと思うのですが、審議会の中で出てきた資料から、訓練を受けた人と受けていない人では、その後の勤続状況はどうなのかということが一部、審議会に紹介されております。有意と言えるかどうかは御判断があろうかと思いますが、多少の差がある形で、訓練を受けた者のほうがその後の働きぶりを見たときに一定の効果が出ていました。ある委員からは、勤続期間が長くなっているかどうかだけではなくて、労働条件がどう変わったのかといったことも見ていく必要があるのではないかといった意見があり、それに対して、形式的な数字だけで満足度を測っていくことは十分な評価は伝わらないので、本人の満足度も抱き合わせて見ていく必要があるのではないかということも、審議会の中ではやり取りさせていただきました。先生の思いを含めてウォッチしていきたいと思います。

 実績評価を見る限りにおいては、資料4-1の指標について大変取組成果が出ているのではないかと思います。ただ、先ほど安永委員からもあったように、これからはいろいろと困難を抱えている方々が、労働市場に増えてくるということを考えますと、よりきめ細かな機会提供については、数値に表れない形で、現場の努力がより一層求められてくるかと思います。その辺の部分については引き続きの取組をお願いできればと思っています。

 

○皆川委員

 私も今回初めて参加させていただきましたので、的外れなこともあるかと存じます。指標7のキャリア形成促進助成金についても同様の印象を持っています。こちらも、助成金が訓練受講の目的の達成に役立ったとする割合ということで指標を出していただいていて、こちらも非常に高い数値になっています。これは回答として大変結構なことだと拝察していました。

 これはキャリア形成促進助成金ですから、その趣旨から、実際に助成金が出て、各助成金が出た事業所で自発的な職業能力開発に取り組むといったことを目的に助成されているわけですから、非常に難しいと思うのですが、どのような効果が出たかということを、先ほど話があったように労働条件の改善につながったとか、例えば非正規から正規に変わったとか、その中で大きな意味で労働者のキャリアアップに実際につながったというところのフォローアップが、なかなか全体を把握するというのは難しいかもしれませんが、その辺りのところで御検討いただければというところを印象として持ちました。

 

○玄田座長

 今の御意見について、何か御回答はございますか。

 

○人材開発統括官参事官(若年者・キャリア形成支援担当)

 今、御指摘いただいた指標7は、先ほど説明申し上げましたように、企業における従業員を対象とした教育訓練の取組に対する経済的支援を目的とした助成金制度です。そこで対象となる訓練については、分野、レベル等も大変多様です。本来であれば能力開発に係る支援ですので、能力開発の目標に到達したかどうか等の観点からの客観的な評価といったアプローチも、当然あり得ると思いますが、この制度全体としては、今ほど申し上げたように訓練の中身あるいは目標の多様性といった観点から、そうした一定の基準の下で共通的に評価することは難しいという、ある種の限界の下で共通的に把握し得る事項として、ここにあるように現在役に立ったかどうか、ある意味でそこは非常にざっくりとした見え方になります。先ほどのような御指摘を頂くというのは、当然の側面もあろうかと思っています。

 今申し上げましたように、本制度全体としてより客観性の高い目標設定を、一足飛びには難しいという部分はありますが、より精度の高い目標設定、それに基づく評価という観点から、更に工夫を講じていきたいと考えております。

 

○玄田座長

 今までの委員の発言と関わると思いますが、施策後の状況を見るときに、雇用保険加入者に限られるのですが、雇用保険制度の中での情報を活用して、客観的な評価ということが一体どのぐらい可能なのか。以前であれば、例えば早期離職、いわゆる七五三転職というのも雇用保険統計を使って分かった重要な政策対象だったわけですし、厚労省が持っている貴重な情報として、雇用保険に関する業務統計などを活用するというのは、各委員の御発言に対しての1つのアプローチではないかと思うのですが、その辺りについての御検討ですとか、お考えはおありでしょうか。

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 まず、しっかり雇用保険制度運営から得られる業務のデータといったことですし、現状は今のような形ですが、最近はEBPMといったような議論もありますし、そういったようなことも踏まえながら、どういった効果的な処し方が可能かというようなことで、先ほど遠藤委員からも審議会の状況に少し言及いただきましたが、訓練を受けた場合と、そうではない場合との比較、どういった違いがあるか、就職期間は長くなっている傾向が見られたといった報告も、雇用保険データ等も使ってやっているところですし、今回のこういった多様な訓練機会の確保という目的にフォーカスして、どういったものが可能かについても、しっかりと見ていきたいと考えています。

 

○玄田座長

 施策の分析のところで、有効性の評価、効率性の評価の所に、ニーズということが幾つか出てきますが、ニーズの的確な把握が極めて重要なポイントになると思いますが、ニーズの把握について、今はどのような状況にあるのか、何か検討課題があるのか、ニーズ把握についての御説明がありましたらお願いいたします。

 

○人材開発統括官参事官(若年者・キャリア形成支援担当)

 働き方改革等の方針の下で、公的訓練も然り、例えば専門実践教育訓練給付の対象となるような教育訓練も然り、いずれにおいても産業界のニーズを捉えた教育訓練プログラムの設定、効果的な運営が不可欠であるという認識を持っているところです。

 地域別のニーズという観点で申し上げますと、労使、教育機関等の御協力も頂いて、中央及び各地域において訓練協議会を設定する中で、それぞれの地域ごとのニーズを把握し、それを訓練分野ごとの規模等に設定するといった仕組みは、既にbuilt-inしております。先端的な部分で言えば、とりわけIT、これは高度ITの部分とIT literacyの部分の両方がありますが、今ほど申し上げた働き方改革等に対応し、また生産性向上にも資する訓練ということで、今申し上げたような分野については特出しをして技術的な観点も含めたニーズ把握に着手しているところです。

 そうした成果を公的訓練、専門実践教育訓練等の主要な施策に、順次、反映を試みていきたいと考えております。

 

○玄田座長

ITという言葉が出ましたが、第4期はAI literacyといった言葉が出てくる可能性もあろうかと思いますので、引き続き、検討のほどお願いいたします。ほかに御意見はよろしいでしょうか。では、担当課におかれては本日の御議論を踏まえ、実績評価書の反映をお願いいたします。ありがとうございました。

 

○人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)

 ありがとうございました。

(メインテーブル交替)

 

○玄田座長

 次のテーマに移ります。資料3-1です。施策番号4-3-1の「高齢者、障害者、若年者等の雇用の安定・促進を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。

 

○安定局

 こちらの指標は幾つか分かれているので、私からは高齢者の関係の指標について御説明いたします。指標1、指標2です。指標1は、現在ハローワークに設置している高齢者専用の窓口の実績について、指標2はシルバー人材センターの訪問指導について、指標を作っています。

 指標1の窓口の実績については、従前は55歳以上で就職実績を見てきたところですが、昨年度に事業を見直して、特に65歳以上の支援を重点的に推進していくこととしており、指標についても平成28年度の指標は、65歳以上の就職率としています。一方で、指標2のシルバー人材センター連合本部への訪問個別指導については、3年に1度全国の人材センターを回っており、こちらは指標を変えておりません。実績は評価書に書かれているとおりで、両指標とも目標を達成しているところです。

 有効性、効率性についての評価ですが、一定の目標を達成しており、特に窓口の関係については年齢が上がっていくと特に支援が必要になってくるところもあり、その支援を行った結果として、一定の効果は出ているのではないかなと思っています。また、シルバー人材センターの指標についても、毎年全部の箇所を回るというよりは、これだけの数があるところでもあるので、3年間で全国を一巡するように分割してやっていくと。一方、その結果として、例えば入院とか死亡といった重篤事故については微減の傾向にあり、全体的には一定の成果があるのではないかと思っています。

 その上で、次期以降の目標の反映の方向性です。窓口の実績については現在は就職率で測っているところですが、こちらを実数として目標とし、就職率は就職件数とさせていただければと思います。割戻せば率も件数も出てくるのですが、より意識しやすい値ということで、就職件数にさせていただこうと思っております。また、シルバー人材センターの指標については、この施策の目標が雇用の安定促進を図ることというところで、従前は巡回訪問の件数を挙げていたところですが、こちらも窓口の実績と同様の考えから、シルバー人材センターにおける就業数という形で、今後は指標を立てていこうと考えているところです。高齢者の関係は以上です。

 

○安定局

 続いて、障害者雇用対策課です。指標3から指標5について御説明いたします。障害者雇用に関しては、全体的にハローワークの占める割合が大きいところもあるので、ハローワークによる就職件数、それに加えて法定雇用率を達成している雇用率達成企業の割合、特に最近は障害者の中でも全体の比重を占めていて、かつ就職困難性の高い方が多いと言われる精神障害者の支援についてということで、個別に3つの目標を立てています。

1つ目のハローワークの就職件数については、前年度実績以上ということで、毎年度、前年度以上を更新してきています。リーマンショック前後においても微減程度にとどまっていて、そういった意味では障害者雇用に関しては、この10年ぐらいの動きを見ると、企業のCSRの観点の取組、あるいは雇用環境が整ってきたということも含めて、全般的に雇用情勢にかかわらず、ある程度改善し続ける傾向が続いていると思っています。

 また、指標4については、障害者の雇用率達成企業の割合ということで、毎年1.5ポイントずつの引き上げを目指していて、今年度も達成となりました。全体の傾向としては、委員の皆様からも御指摘を頂いていますが、大企業においては雇用率の達成企業割合が全体としては高くて、一方で中小企業等においては比較的低いという傾向にありますが、近年は中小企業を含めて取組が進んできた成果だと考えています。

 また、指標5については、精神障害者の雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職に向けた次の段階へ移行した者の割合ということで、こちらは過去3年間の平均の実績を下に目標を掲げることにさせていただいています。精神障害者の就労支援については、なかなか階段を登るように毎年、実績を引き上げていくというのは難しいところもあり、また現状ではどの程度が目指すべき水準なのかというのが十分には見えていないこともありますので、まずは3年程度の平均値の中で、目標を掲げているという状況です。

 続いて、有効性等の評価です。障害者については、指標3から指標5のいずれも目標を達成していることもあり、有効性、効率性等の観点から一定の成果は上げているとは思っています。ただ、現状分析の所に記載していますが、障害者雇用に関して、CSR等の観点も含めて、進んでいる企業では大分進んでいるということは言えると思いますが、依然として雇用義務のある約3割が障害者を全く雇っていないという状況があるので、今後、これまでのように雇っていただいている会社だけではなく、まだまだ取組が進んでいないところも含めて、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

 また、「次期目標等への反映の方向性」という所には、障害者に関しての記載がありませんが、御案内の先生もいらっしゃるかもしれませんが、来年の4月から法定雇用率が2.2%に引き上がります。3年未満の平成334月を迎える前に2.3%に引き上げるということになっていますので、そういった意味で就職件数等は当面伸びていくと思いますが、指標4に関しては、雇用率の達成企業の割合は平成30年度にかけて、そこは1度数字の目標を設定し直す必要があると思いますので、そこは過去の実績等も踏まえながら、しっかりと研究した上で目標設定していきたいと思っています。当課からは以上です。

 

○人材開発統括官参事官(若年者・キャリア形成支援担当)

 続いて、項目3の若者の雇用に関して、指標6、指標7に関して御説明いたします。若者の雇用は、これまで職業安定局が所管してきたところですが、この度の組織改編により、私ども人材開発統括官部門に移管されたところですので、私から御説明いたします。若者雇用に関しては、重点ターゲットであるフリーター等の不安定就労者、また新規学卒者等を最重点としているということで、指標6、指標7についても、それに対応する目標設定になっています。

 まず指標6は、ハローワークの職業紹介により正社員に結び付いたフリーター等の数です。この指標に関しての具体的な取組は、全てのハローワークにおいてフリーター等を対象とした担当者制による個別職業相談を行うとともに、本施策における重点支援拠点であるわかものハローワークを、全国28か所に設置しておりますが、ここにおいて様々なセミナー等も含め、正社員化に向けての重点的な支援を行うとともに、訓練の結びつけ等についても近年は重点的に取り組んでいるところです。成果として、資料にもあるように、平成28年度の目標の30万人に対し、実績は308,000人ということで、これを上回ったところです。

 指標7は、学卒者等を対象とした取組ということで、新卒応援ハローワークの正社員就職者数です。これと内容的には重なりがありますが、学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職者数を指標として設定しているところです。新卒応援ハローワークは全都道府県の57か所に設置しています。地域の大学等との連携を密にした上で、様々な課題を抱える新卒者あるいは既卒者を対象とした学卒ジョブサポーター等を要としての予約制・担当制等によるきめ細かい職業相談、職業紹介、あるいは合同面接会による就職促進を図っているところです。平成28年度の実績は、御案内のような景気の回復、学卒労働市場の改善により、言わば新卒応援ハローワークを利用する前に就職が決まっている方が、総じて増えているということもあり、新卒応援ハローワークの利用者数については、平成28年度は前年比で12%強減少したところです。正社員就職の実績に関しては、利用者の12%減といった落ち込みに比べると、最少減の低下にとどまったわけですが、目標との関わりで言うと、新卒応援ハローワークの正社員就職者数については目標102,000人に対して、98,000人余、学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職数については、目標の195,000人に対して191,000人ということで、残念ながら目標を若干下回ったという状況です。

 各施策の評価です。指標6のフリーター等の正社員という観点では、ただいま申し上げたようなハローワークにおけるきめ細かい支援によって、政策目標とする正社員化、目標との関わりでも順調に実績が上がったという評価です。他方、学卒者に対する新卒応援ハローワークでの支援に関しては、目標に肉迫はしたものの、若干これを下回ったというところです。ただ、学校等を通じて得ている各方面の評価としては、新卒応援ハローワークは従前に比べ、より困難で複合的な課題を抱える学卒者、あるいは既卒・早期離職者等に対し、個別的支援が奏功しているという評価をいただいていると我々は認識しているところです。こうしたことからすると、指標6・指標7を押しなべて申し上げると、それぞれの取組の有効性、効率性というものに関しては、所期の目標・目的としては達成しているという捉え方です。同時に一部の指標に関して、目標を若干ながら下回ったということは当然反省材料です。先ほどの議題でもニーズという話もいただいておりますが、こうした現実に新卒応援ハローワークを利用する学卒者、あるいは既卒・早期離職者等の実態課題というものを、窓口の業務運営を通じ、より的確に把握した上で、支援手法をさらにブラッシュアップを図りながら、量的にも質的にも成果を更に上げていきたいと考えているところです。

 

○安定局

 次に、就職困難者の関係です。就職困難者の円滑な就職を図るということで、指標8です。時間も押していますので、ポイントのみの説明にさせていただきます。特定就職困難者雇用開発助成金として、高年齢者、障害者などの就職困難な方を、ハローワーク等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れていただく事業主に対して助成する問題です。

 有効性の評価については、目標を達成しています。効率性の評価については、目標を達成しています。現状については、特定就職困難者雇用開発助成金の平成28年度の支給決定件数は、約15万件強となっていますが、障害者に対する支給決定件数が増加傾向にあります。また、助成金の支給対象者でない雇用保険被保険者の事業主都合離職割合以下とする目標値についても達成しており、有効性、効率性の観点からも、就職困難者の雇用や職場定着に一定程度寄与していると考えています。

 今後においても、実績等を踏まえた適切な予算措置、執行に努めてまいりたいと考えています。私からは以上です。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等よろしくお願いいたします。

 

○遠藤委員

 御説明、どうもありがとうございました。指標1に関連して1点お尋ねさせてください。生涯現役支援窓口におけるチーム支援ということですから、窓口で対応した場合と対応していない場合は自ずと差があると思います。それにしても窓口で対応した65歳以降の方が62.9%と、大変高い数字であり、驚きをもって拝見したのですが、窓口でない対応の部分について、どのような状況にあるかというのはお手元でお分かりになりますでしょうか。

 

○安定局

 ハローワーク全体の65歳以上の就職率は、平成28年度が19.7%です。今、委員がお話のとおり、この窓口を設置している所の就職率が高いというのはこちらも認識しておりまして、実際にどういう支援をしているかということについては、もう少し見ていかなければいけないと思っております。昨年度から、窓口の65歳以上への支援を特に強化してきていますので、そこは今実際にハローワークなどにも行ったりして状況を見ながら、もしかすると求職者の方々の選定等も含めて、まだ慣れていないところがあるかと思います。専門の窓口だけではなくて、一般の窓口もありますので、65歳以上の方であっても、基本的に求職者の方はどちらの窓口を使うこともできることはでき、そのうち特に65歳以上の方で就職が難しい方を、専門の窓口で支援しようというところなのですが、現場のほうもその辺は、試行錯誤しながら対応等しているところもあります。支援の仕方に課題があるということであれば、そこは適正化を図りながら少し長い目で見ていきたいと思っております。働き方改革の中でも、2020年までに300箇所の窓口設置と言われています。ほぼ全てのハローワークにやっていくイメージに近くなってきます。また、人口構成の26%以上が65歳以上となっており、ハローワークの求職者のうちの相当数も比例して増えてくることになりますので、そこは今どういう方々に対してどういう支援をしているのかということを担当のほうでも確認しながらやっておりますので、これがもし余り適正でないということであれば当然、見直していく必要がありますので、こちらも委員が御指摘された問題意識を感じております。

 

○玄田座長

 ほかに御意見はいかがでしょうか。

 

○皆川委員

 指標の6のハローワークの職業紹介により正社員に結びついたフリーターの所で1点、私も御質問させていただければと思うのですが、最初の所にフリーターの全体数の平成27年度の数値を出していただいていますが、フリーター数の全体の推移との関係で、正社員になった方ですね。目標を立てられて、目標を達成されているということなのですが、その辺りの数字の推移はお分かりになりますでしょうか。

 

○人材開発統括官参事官(若年者・キャリア形成支援担当)

 フリーター数に関しましては、35歳未満の雇用者のうち、パート・アルバイトの方、また、そういった形態での求職活動をされている方ですが、景気雇用動向に大変センシティブな指標で、ここ数年かなり大幅に減少してきている傾向です。具体的に申し上げますと、年1回把握している数字ですが、直近の平成28年は155万人、ちなみに、平成25年は182万人で、相当程度減少してます。ただし、今申し上げました35歳未満の不安定就労者ですが、いわゆる就職氷河期といわれておりますような、その上の世代、30代後半、あるいは40代前半の不安定就労者数については、多少の出入りはあるのでしょうが、滞留性が高いと。ほとんど減っていない状況です。で、この御説明申し上げております指標の6に関しましては、フリーター等ということで、もともとは35歳未満のフリーターにフォーカスした取組ですが、就職氷河期世代の言わば履歴効果ということも考えまして、今現在は45歳未満のその上の層も含めての不安定就労者を対象としています。ですから、そういう意味では、全体としては減少傾向にあるものの、なお根雪的になっておりますその上の層も含めての取組の中で先ほども申し上げましたように、一定目標との関わり、施策、目的との関わりでは取組が奏功しているというのが、全体としての事務局としての見立てです。

 

○玄田座長

 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。

 

○岩佐委員

 特にこの特定就職困難者というか、就職が困難なハンディというか、困難性を持っている人たちとの関係で、これそのものには関わらないのかもしれないのですが、要するに就職率とか、定着率をどう上げていくかという問題とは裏腹な形で、どうしても立場性もあるので、労働的に言うと非常に厳しい状況に置かれたり、その人たちの個性に沿ったような労働環境の準備ができていなくて、そこで難しいことが起こることもあるので、その辺の、例えば相談体制や、問題のある会社に対しての対応体制等が常に裏腹であるということで。これまでもいろいろ取組をされていると思いますが、並行して、一緒に車の両輪みたいな形で強化していただければという、感想です。

 

○玄田座長

 御意見として検討いたします。ほかにいかがでしょうか。

 私、1点だけ障害者の所で、特にこの次期目標の反映の方向性については具体的に記載はありませんが、気になるのは、やはり障害者の高齢化。高齢の障害者にとっての施策というのが今後重要になってくるのではないか。特に今までは比較的元気な親がサポートしていて、親自体もかなり高齢化してサポートが難しくなったときに、実は高齢者と障害者はばらばらではなくて、特に高齢の障害者の就業や自立に対して、今まで以上に重点的な施策が必要だと思うのですが、その辺りについては何か今検討中のことでもあれば、お願いします。

 

○安定局

 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、今後、特に大変な重要な課題になっていくと思っています。知的障害の方等に関しても、この10年で働いている方が倍増されていますが、当然1020年たつと高齢化していきますし、一般的になかなか65歳まで働くのが難しいことも一般論としては言われたりしていますので、そこは対応が必要だと思っております。1つは来年度の予算要求で、新規の事業で私どもが今回予算要求させていただいた事業で、中高年齢層の雇用安定の支援措置を講ずる事業主に対する支援措置というものを取り組んでおります。昨年度から職場の雇用継続や、職場での配慮などを取り組まれている事業主に対して支援措置を講ずるという措置自体は始めているのですが、来年度からは中高年齢層に特化して、正に高齢化していったときにこれまでの仕事だとなかなか体力的に難しいということで配置転換していただくとか、もう一度能力開発に取り組んでいただいて別の仕事に取り組めるようにするとかということを、まず現在、取り組んでいただいている事業主に助成措置を講じてやっていきたいと思っています。今後という意味においては、そういった助成措置で諸々モデル事業といいますか、好事例みたいなものを収集していくと同時に、今後は制度的にいろいろ対応が必要になってくるかもしれませんので、そこは検討会も夏から立ち上げることになっておりますので、そういったことも含めてやっていきたいと思っております。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。ほかに御意見等よろしゅうございますでしょうか。担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。ありがとうございました。それでは、次のテーマに移りたいと思います。御準備をよろしくお願いいたします。

(メインテーブル交替)

 

○玄田座長

 続きまして、施策番号3-5-1、労使関係が将来にわたり安定的に推移するよう集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図るとともに集団的労使紛争の迅速かつ適切な解決を図ることについて、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。

 

○基準局

 労働基準局でございます。今、座長におっしゃっていただいた施策目標、資料2です。集団的労使関係のルールの確立、普及と、紛争の迅速かつ適切な解決のための施策としてその下に書いてあります。労働組合法に基づいて、中央労働委員会、都道府県労働委員会が設置されておりますので、不当労働行為事件の審査、それから労働争議の調整を行っているのが大きな柱ですけれども、もう1つ、集団的労使関係法制の普及啓発という点で、国際労働関係事業という事業を行っております。これに関連して測定指標を3つ立てています。

 指標1としては、労使関係が「安定的に維持されている」及び「概ね安定的に維持されている」と認識している労使当事者の割合ということです。平成24年度から毎年、数字をフォローしています。労使関係総合調査で数字が取れますので、これを年度ごとの目標値を立てています。平成28年度につきましては85%ということで立てておりましたけれども、結果は90%という調査結果が出ておりますので、こちらについては達成と考えております。

 それから測定指標2ですが、不当労働行為事件審査の迅速な処理ということで、新規申立事件の終結までの平均処理日数についての目標を立てております。これについて目標値としては、毎年13か月以内という平均処理日数を立てております。これについては実績値を平成24年度から順に書いてあります。若干、上昇ぎみであり、平成28年度につきましては546日、1年半程度になっているところで、達成のところは△とさせていただいております。これにつきましては裏のほうの施策の分析のところに記載しておりますが、これは不当労働行為ということで、労使の見解の隔たりが大きい事件など、困難な事案が増加していることが事件の処理状況に影響を与えていると考えられます。ただ、これについては今後の目標の達成に向けて、既に期日の設定の工夫とか、事件処理スケジュールをきっちり徹底するというような改善を図ってきているところで、この後の直近の足元では処理日数について改善の傾向にあるという状況です。

 それから測定指標3です。同じく労働委員会のほうですが、調整事件の終結までの日数ということで、これが2か月以内である割合というもので立てています。年度ごとの目標値は、これまで100%ということで立ててきておりますが、実績値のところ、平成28年度は50%ということで、ここは達成の印としては×とならざるを得ないということです。ここも50%となっていることの理由としては、労使双方が受諾できるような適切な斡旋を目指して解決までに時間を要した事案があったということで、100%にはならなかったという事情があります。そういうことで、評価結果と今後の方向性のところですけれども、総合判定としては施策目標にも掲げられた集団的労使関係の安定的な推移という、指標1のほうを、ここは直接的に確認できる統計での指標としては達成できたということで、そこをとらえて、判定結果としては「B」とさせていただいております。

 それから施策の分析のところは先ほど申し上げたことが大体書いてありますけれども、付け加えさせていただくと、効率性の評価の欄の所で、指標1の関係、指標2、指標3の関係、いずれも関係する予算額としては少しずつ削減しつつ、効率的に事業をやるように努めているところです。ですので、次期目標への反映への方向性としては、今後とも労使関係が安定的に推移するようにということで、改善すべき点として、事件の処理日数の短縮化とか、労使紛争の早期かつ適切な解決を図ること等を通じ、有効性とか、効率性にも配慮しながら施策の実施に努めていきたいということです。

 これが資料の説明で、あと1点補足なのですけれども、前回の会議のワーキングで、当時、野川先生が指摘されていたことです。指標1の関係で、この労使関係が安定的に維持されているという認識について、労使当時者がそう思っているということだけで必ずしもいいのかどうかという御指摘でございました。趣旨としては、当時者が安定していると思っていても、野川先生がおっしゃっていたのが、例えば団体交渉は要求しませんとか、労働争議は行いませんみたいな感じのあらかじめ取り決めをしているようなことで安定していると当時者が思っていたとしても、それは本来の労使関係制度のあり方ではないのではないかということです。その時におっしゃっていたのは、団体交渉もコンスタントに要求するし、場合によっては労働争議もあるという関係の中で安定しているということではないかという御指摘を受けた状態で終わっていたところでございます。それで、この労使関係総合調査で団体交渉を実際にやっているかという数字が、別途に取れました。それを見ると、平成27年度の調査で、個々の調査対象の7割は団体交渉をやっているということでしたので、必ずしも、別に労使関係がある意味、通常の交渉も行われるような中での、組合関係の中での安定的だと認識しているかどうかは、ある程度は言えるのではないかと思います。ただ、いずれにしても周知として、労使関係制度法制について十分に理解していただくという取組が必要だと思いますので、厚労省も「知って役立つ労働法」とか、幾つかのツールを作って周知しておりますので、そちらはそちらとして取り組んで行きたいと思っております。以上が補足です。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明につきまして、御質問、御意見をよろしくお願いいたします。

 

○安永委員

 指標3について御質問をさせていただきたいと思います。「平成28年度50%」となっていますが、この基になる数字は何件なのでしょうか。

 

○基準局

 中央労働委員会でございます。平成28年度は4件ということです。

 

○安永委員

 ありがとうございます。そこでですが、全体数が少ない中でのパーセントによる目標というのが、皆さんの御努力を的確に表しているかどうかというと、必ずしもそうは言えないのではないでしょうか。一見すると、目標値の半分しか達成していないというようなことに見えてしまうのですけれども、必ずしもそういうことではないと思いますので、全体数が少ない中での目標設定のあり方というのは、もう少し工夫がいるのではないのかと思います。

 

○基準局

御指摘ありがとうございます。私どもとしましても、中央労働委員会には、御案内のとおり、公益委員のほか、労使の先生方がいらっしゃいます。それぞれ15名、合わせて45名の先生方、その中から斡旋ということで、各団体の労使の当事者の方々に一生懸命、御助言なり、アドバイスをしていただいて、やっと斡旋を受諾していただくというものですので、単なる期日だけということに縛られてしまいますと、当事者の納得ということから見るといかがなものかという点もあるのですが、逆に納得しているかどうかということが目安として、当時者にとって本当に納得したのかということになりますと、妥協されたというお言葉をよく聞くのですが、妥協というのは100%ではなくて、やはり条件を飲むところは飲むという意味で、なかなか納得性が100%という意味ですと難しいということで、今、現在このような指標を出させていただいているという事情がございます。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問ございますか。

 

○遠藤委員

 ただ今の御回答にも関わることかとは思いますが、指標2を拝見いたしまして、「16か月以内に終結」が「13か月以内に終結」に変更したものの13か月になってからのほうがむしろ、要する日数が多くなっています。労働委員会だけではなくて労働審判も審議の長期化の傾向にあると聞いています。御説明がありましたように、複雑な案件を抱えるということであれば、むしろ丁寧に対応いただいているということで、私自身は前向きに受け止めています。

 

○玄田座長

 何か、いかがですか。

 

○基準局

 御指摘ありがとうございました。補足をさせていただきたいと思います。こちらのほうでは事件の複雑化という中身の一例といたしまして、例えば「何々労働者」という言葉がございますが、デリバリーと申しましょうか、物を運ばれるという方でも請負のような形になっていたり、集金という場合でも、集金という言葉ですと労働者のように見えるのですが、集金だけを請負っているというような話もございます。また、使用者性ですが、その使用者の中にも、自ら働いていると同時に、今、使用者としての立場もあるというふうな方が出まして、そうしますと、それらが例えば何々のチェーンを組んでいる場合には、その1つの事案に対する波及的効果と言いましょうか、社会的な影響も大きいものですから、証拠を丁寧に丁寧に労使の先生方も、また、審査員も御覧になるということで、どうしても長期化の傾向になってしまうということです。その意味では逆に、丁寧に社会的影響も考えて、先生方が一生懸命されているというふうに、私どもは理解しているところでございます。以上です。

 

○玄田座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○岩佐委員

 私も重なるのですけれども、指標2の関係は、よく裁判の迅速化でも議論になるところで、私ども弁護士会としては、もちろん集中して早くするということも重要だけれども、充実した裁判が重要であるということはずっと申し上げていて、そういう意味では先ほどから御指摘のあるように、日数自体はそうは言ってもあまり長くかかるのはどうかということで、指標の1つにされることは大事かとは思いますけれども、やはり審理の仕方とかということもあるし、それから先ほど委員からも御指摘のあったように、労働審判の制度ができたことで全体の労働紛争が従前の労働の、いわゆる通常の裁判と、それから労働審判と、そしてこういう労働委員会の利用の関係等もあるので、ほかの制度の影響もあると思うので、これを指標にしつつ、充実した審議という観点からも是非、チェックしていただければと思います。

 それから、あと、指標の1、やはり私も建設的な意見は出せないのですけれども、確かに70%は団交されているとは言っても、幾つかの指標の1つとして、こういうものも認識を問うて施策の参考の1つにするというのは分かるのですけれども、これを何と言いますか、ある程度、中心的なものとして、これで皆が安定していると言っているので大分、安定しているのではないかと言われると、やはり少し抵抗がありまして、そうすると団交の中の質はどうなっているのだろうかとか、いろいろな思いもありますので、そういうふうに少し総合的な中での1つとして見ていただければ有り難いと思いました。

 

○玄田座長

 何かいかがでしょうか。

 

○基準局

 ありがとうございます。補足ですが、労働審判の関係ですと、先生の御案内のとおりですが、私どもと同様の労使の方としての労使参与の委員ですが、労働審判では審判員という方がいらっしゃいまして、その先生方が大変、個別労働関係、民事的な個別労働関係紛争に御努力いただいているということで、最高裁事務総局の行政課のほうからと、私どもは、そういった打ち合わせをしているところでございます。その意味では、こういう三者構成と言いましょうか、そういったものの丁寧さと言いましょうか、本当に納得いただけるように頑張っているというところを十分に分かっていただければと考えています。以上です。

 

○皆川委員

 私も他の委員の皆様からお話あったところと重なるのですけれども、指標の2につきましては、御説明いただきましたように最近、集団的な労使紛争でも労働者性とか、使用者性とか、難しい判断を迫られるような事件が多いと、私も一応、労働法の専門の端くれとして認識いたしております。その上の行訴に行ったときの判断も社会的に注目されるケースが増えておりまして、恐らく中央労働委員会のほうでも、これまでの行政事件の取消訴訟の動向なども踏まえて丁寧に見られていることだろうと拝察しておりますので、事件の長期化は、一方ではやむを得ないところもあるのではないかと思います。既に御指摘あったところと重なりますが、今後も丁寧な審理と可能な限り迅速化と、両面から見ていただければというのが印象です。以上です。

 

○玄田座長

 ほかに御意見よろしゅうございますでしょうか。それでは担当課におかれましては本日の御議論を踏まえ、実績評価書への反映をお願いいたします。ありがとうございました。それでは次のテーマに移りたいと思います。御準備よろしくお願いいたします。資料1-1です。

(メインテーブル交替)

 

○玄田座長

 続きまして、施策番号3-1-1、労働条件の確保・改善を図ることについて、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○基準局

 賃金課です。実績評価書の資料1-1、施策番号の3-1-1になりますが、施策の概要については上から2段目に書いてありますとおり、労働条件の確保・改善と最賃制度の周知のために最賃制度に係る相談事業や、周知啓発事業を行う。施策の背景・枠組みについては、最賃法に基づき地域や産業の状況に応じて設定された賃金の最低額、制度等の周知やその履行確保を図るとなっています。予算額・執行額等については、その下の段のとおりになっています。

 次の測定指標ですが、2つ測定指標を掲げています。1つ目が最低賃金額の周知ポスター認知率、2つ目が市町村広報誌への最低賃金制度の掲載割合という2つを掲げているところです。

 まず、最賃額の周知ポスター認知率を指標として選定した理由ですが、毎年改定される最賃額に関し、どの程度周知されているのかを図るには、最賃額の周知ポスターの認知率が適しているのではないかと考えているためです。また、目標値については、前年度を上回るよう定めています。ここで平成27年度、平成28年度が25%となっていますが、これは誤植で、20%です。申し訳ございませんが、これは修正いただければと思います。次に、2つ目の市町村広報誌への最低賃金制度の掲載割合です。

 

○玄田座長

 すみません、確認ですが、今の25は全て20ですか。

 

○基準局

 そうです。

 

○玄田座長

 平成27年度、平成28年度の目標値も含めて、全て20%ですね。

 

○基準局

 平成27年度の目標値20%、平成28年度の目標値20%。

 

○玄田座長

 全てですね。

 

○基準局

 確認します。

 

○玄田座長

 それでは少し、御確認いただいて、説明を続けていただけますか。

 

○基準局

2番目の市町村広報誌への最賃制度の割合を指標として選定した理由ですが、都道府県労働局ではない機関において、最賃額に関し、どの程度周知されているのかを図るには、市町村広報誌への最賃制度の掲載割合が適しているのではないかと考えたところです。

 また、目標値については掲載割合が90%以上になるように定めているところです。なお、今回の会議に向けて、事前説明した際に、委員から御指摘があった点で測定指標の市町村広報誌への割合について、平成28年度の目標が平成27年度実績より低い目標になっていると。そして、平成28年度の実績も目標を上回っているが、平成29年度の目標、今後の目標はどうしていくのか。前年度実績より低い目標は適切ではないのかという御指摘があったところですが、これについては確かにおっしゃるとおりなのですが、片や市町村広報誌の紙面構成については、やはり市町村が行うものでありますので、最賃制度を掲載するかどうかの判断というのは、最終的には市町村に委ねられていますので、いろいろとお願いはするのですが、少しそういった面があって厳しいのかなという点。あと目標値のアップを更に実現していくためには、都道府県労働局の職員が直に市町村に行って、お願いをしているような状況です。いろいろな業務を持っている中で、そういった所に出て行くことによって、なかなか業務がうまく回らないということも発生しますので、更に目標値を上げるとなると、人を増やすというような問題も出てきます。限られた予算、人員の中で、効果的・効率的な周知を図るには、現状の目標値とすることが妥当と考えているところです。引き続き、目標達成に向けて努力をしていきたいと思っております。

 次に総合判定ですが、判定結果については「B」としています。その理由ですが、測定指標1の最賃の周知ポスターの認知率と、2の広報誌への掲載割合のうちの認知率が目標値を下回ったということです。これは先ほどちょっと確認しますと申しましたが、記載のとおり25%が正しいです。

2つ目の施策の分析の有効性の評価の部分ですが、周知ポスターの認知率について、平成28年度16.4、平成27年度12.1と、比較して4.3ポイントのアップとなりました。これはポスターの駅貼り、一定程度の乗降者数が存在している駅に重点的に貼るとか、そういったことの効果があったのではないかと思っています。

 引き続き、認知率のアップに向けて、こういったポスターの貼り付ける場所ですとか、その他の要因等について、分析を進めていって、基準の方法についてまた更なる工夫をしていきたいと思っています。

 また、市町村広報誌への最賃制度の掲載割合については平成28年度は96%、平成27年度が91.7%と、4.3ポイントのアップ。これは先ほども御説明しましたが、労働局職員が直接、市区町村に行って施策の重要性等を説明したことが寄与したものと考えています。引き続き、こちらについても掲載割合の維持と更なる向上に向けて丁寧な説明等に努めたいと思っています。

 次に効率性の評価の部分ですが、予算が減額されている中で、周知方法の工夫として平成27年度は動画配信などをやったのですが、これは余り効果がないということが明らかになりましたので、平成28年度は駅貼りの期間を長くするとか、そういったことによって、認知率、掲載割合アップにつなげたことは、効率的・効果的な事業運営を行えたと考えているところです。

 現状分析については、最賃については1億総活躍プラン等において、「年率3%程度を目途として、名目GPD成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより全国加重平均が1000円となることを目指す」とされていますので、引き続き最賃額の改定の周知については、効率的・効果的に行うことが求められていると思っています。

 次期目標等への反映の方向性ですが、施策及び測定指標の見直しですが、最賃違反が生じないよう改定後の最賃額について引き続き周知を行います。平成29年度以降の目標値については認知率20%が達成できるよう周知方法の見直し、SNS配信などを行おうと考えているところです。

 また、平成28317日に開催されました厚生労働省政策評価に関する有識者会議において、労働条件に関する指標が最低賃金のみしか設定されないのはなぜかという御指摘がありました。これについては、施策目標に対する測定指標となるよう労働時間の関係ですとか、労働安全衛生の関係を設定をしたところです。予算要求、税制改正要望、機構・定員についてはございません。以上です。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。それでは御意見、御質問等をよろしくお願いいたします。安永委員どうぞ。

 

○安永委員

 確認なのですが、目標値について表面の方は25%のままでいいということである一方、裏面の次期目標等への反映の方向性の所の目標値が20%というのは、誤植ではないのですか。

 

○基準局

 誤植ではなくて、25はちょっと高いということで20%のほうにしているという形なのです。私も混乱しておりまして、20%だと思っておりまして、すみません。

 

○安永委員

 続けて発言してもいいですか。資料1-2のポスターを見せていただいたときに、実は私ども連合が作ったものと勘違いしてしまい、担当者を褒めてしまいました。インパクトがあっていいなと褒めたら、それは厚生労働省さんが作られましたということで、非常にいいポスターであると思うのです。是非、その目表値は、高めを目指していただきたいなと思っています。特に私どももいろいろ街頭宣伝とか、ティッシュ配布とかを実施しておりますが、最低賃金のことを知らない若い人たちもたくさんいて、ほかの課題についての街頭宣伝やティッシュ配布を実施するときよりも、結構引きがいいというか、受け取ってもらえる人が多くおりますので、是非、目標値を下げることなく取組を、私どもも頑張りますが、継続していただきたいと思います。

 

○玄田座長

 何か今の点でございますか。

 

○基準局

 しっかり受けたまわって、できる限り対応したいと思います。

 

○遠藤委員

 ポスターというのは、これが今は分割されていますが、これが一覧できるような形で貼り付けてあるということなのですか。

 

○基準局

 そういうことです。

 

○遠藤委員

 そういうことなのですか、分かりました。そうすると、恐らく周知の取組み方というのは、先ほどSNSの活用についてもおっしゃっていましたので、今後はいろいろな媒体を使っていくことで、是非その方向に進めていただきたいと思います。その際、2つありまして、安永委員がおっしゃったように、25%であれ、20%であれ、やはりその目標到達値自体がどうも足元に引張られる傾向が多分にあるのではないかというのが1点です。

 もう1つ、認知率といった場合、分母は誰で、毎年毎年、分母を変えてやっているという理解でよろしいのでしょうか。

 

○基準局

 分母は変えているようです。インターネットの調査を基にやっているということですので、毎年分母は変えています。

 

○遠藤委員

 差し使えなければ、分母はどのくらい取っていますか。

 

○基準局

 昨年度の分母は2,000でやっておりました。

 

○遠藤委員

 分母が2,000ですか。すみません、他の指標と比較しても、2,000を対象に出てきたものを指標にするというのは、ちょっとバランスとしていかがなものかということだけ、申し上げておきたいと思います。

 

○玄田座長

 ほかにいかがでしょうか。ポスターというのは大変有効であると思う一方、なかなかポスターというものが全般的に持つ波及力というのは、正直いって調整上、限界があるような気もいたします。先ほど動画配信というのがなかなかインパクトがなかったというのは、それも難しいのかなと思いますが、例えばこういうのを公共放送のNHKに、ある一定の時期に、各ローカル局の放送の中でこういうのが変わったということをお願いするなどということは難しいことなのでしょうか。やはり昨日も有効求人倍率が1.52倍などという数字が出ると、結構みんな「ええっ」なんて思って見て、テレビの時代ではないというような意見もあるかもしれませんが、されど、やはり特にローカル局のテレビというのはいろいろな人で話題になりますので、その辺りは厚生労働省のほうから働きかけるというのは難しいものなのでしょうか。

 

○基準局

47都道府県それぞれが、改定額自体の金額を決めておりますので、多分それをやっていることを踏まえてアプローチをしている局はアプローチをしていると思うのです。

 

○玄田座長

 局ごとにですか。

 

○基準局

 局ごとに。取り上げていただける所もあれば、取り上げられない所もあります。

 

○玄田座長

 取り上げている所もあるのですか。

 

○基準局

 あります。新聞で取り上げられている所もありますし。

 

○玄田座長

 やはり夕方のニュースでしょう。

 

○基準局

 そうですね。そこは都道府県労働局と、その地元マスコミとの関係の深さとか、いろいろあったりするのではないかと思います。例えば、目安の答申が出ましたとかというときには当然、中央のほうの目安がテレビで映されるという形なのですが、そういった図式は当然地方の局のローカル局でもやっていたりはするのです。

 

○玄田座長

 そうですか。

 

○基準局

 だから、うちのほうから一斉に、こうしろとは言わないのですが、都道府県労働局ごとにそれぞれ関係性が強い所はやってもらったりしています。

 

○玄田座長

 是非、温度差なく、各労働局で是非、やっていただければなと思います。

 

○基準局

 そうですね。

 

○玄田座長

 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは担当課におきましては、本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。ありがとうございました。

 

○基準局

 ありがとうございます。

 

○玄田座長

 それでは次のテーマに移らせていただきます。資料5-1になります。

(メインテーブル交替)

 

○玄田座長

 続いて、施策番号の6-1-1、男女労働者の均等な機会と待遇の確保対策、仕事と家庭の両立支援、パートタイム労働者と正社員間の均等・均衡待遇等を推進することについて、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○雇均局

 雇用環境・均等局総務課長の岸本でございます。本日はよろしくお願いいたします。施策実施評価書にあるとおり、施策目標は、今、玄田先生から御紹介いただいたとおりです。

 施策の枠組みとしては、大きく5本の法律を所管しておりまして、「男女雇用機会均等法」「女性活躍推進法」「育児休業法」「次世代育成支援法」「短時間労働者雇用管理改善法」、この5本の法律を用いまして、例えば、労働者に対して育児休業の権利を付与したり、あるいは企業に対して女性活躍や次世代育成支援のための行動計画を作っていただいたりということを通じて、施策目標を推進しております。予算額・執行額等は、表にあるとおりです。

 次ページ、各測定指標を6項目設けております。これを御説明いたします。指標としては幾つか、行政の業務に関する指標、それから、アウトカムというか、世の中の企業の動きに関する指標などいろいろありますが、まず、指標1は、男女雇用機会均等法に関して、これに基づいて都道府県労働局が、例えば差別があるとか、セクシュアルハラスメント防止措置が取られていないといったことに対して是正指導を行って、それで是正された割合です。実績値、それから目標値、表のとおり推移しておりまして、平成28年度で申しますと、97.4%の実績値となっています。均等法に基づく指導はこの政策目標の根幹ですので、次年度についても引き続き90%以上を達成できるように取り組んでまいりたいと考えております。

 指標の2点目、指標の3点目は、仕事と家庭生活の両立、特に育児との両立に関係する施策指標です。指標2は、男性の育児休業取得率です。育児休業に関しては、育児休業制度もお陰さまでかなり定着しまして、女性については取得率80%以上がずっと続いていて、ほぼ取りたい人が取っているといった状況に近いかと思っております。男性の育児休業取得率が低い、しかも取りたいけれども、いろいろな事情で取れないという人がいらっしゃるということが政策課題となっています。これについては、平成32年度、2020年度に13%という目標を掲げまして、それに向けて法律の周知、それから「イクメンプロジェクト」と申しておりますが、男性の育児参加の気運を醸成するような取組を進めております。少しずつではありますが、平成24年度から対前年度を少し上回っておりまして、平成28年度は3%台にようやく乗ることができました。平成29年度以降も引き続き取り組んで、男性の育児休業取得率を引き上げていきたいと思っております。

 なお、この点に関しては、以前、男性の育児休業は、細かく言うと育児休業法の育児休業のほかに、女性の産休の期間中に、それを育児休業法の育児休業で取るか年休で取るか、いろいろな形はあるにせよ、そこの間に休むという在り方も含めて、いろいろな取組促進の選択肢があるのではないかという御指摘を頂きました。これについては、まず政策論としては、男性の育児参加というのは育児休業法の育休取得だけではなくて、「パパ産休」と内閣府は言っておりますけれども、産休期間中の特別休暇とか、臨時休暇を取るという、いろいろなやり方があっていいと思っております。

 あとは、政策指標として、継続的・安定的に数字を取っていく上でどれがふさわしいかという点がありまして、男性の育休取得率は、「雇用均等基本調査」という毎年度の統計で過去からずっと取っております。パパ産休などは、今これに匹敵するようなデータを政府として持っておりません。ですから、指標としては雇用均等基本調査の男性育休取得率を今後とも見ながら、政策論としては男性による短時間勤務とか、パパ産休の取得とか、いろいろな動きを注視していきたいと思っております。

 指標3は、次世代認定マークということで、これは次世代支援法に基づく行動計画を作っていただいて、その内容が非常にレベルが高いということで認定する制度、「くるみんマーク」の認定数です。目標は、平成30年度に3,000社というのを掲げて取り組んできております。大変、企業の御理解もいただいて、年々伸びてきています。これも引き続き周知を行い、これも労働局がいろいろ企業訪問して、PRして、手を挙げていただいているわけですが、その取組を続けて、平成32年度は3,000社にもっていきたいと思っております。

 指標の4点目、5点目は、パートタイム労働対策の関係です。指標4は、パートタイム労働法に基づいて、通常労働者への転換措置が講じられていないとか、そういうことに対する法律上の問題を是正指導するということです。90%以上と目標を掲げ、平成28年度実績は99.2%と、一応、高い率で推移していると思っております。

 指標5は、短時間勤務ですが、家庭の事情などで一時的に6時間勤務とか、そういうことを選べる会社を増やしていこうという政策で、これも平成32年度、29%の目標を掲げて取り組んできております。平成28年度は21.2%で伸びてきておりますので、これも引き続き伸ばしていきたいと思います。

 指標6、女性活躍推進法という法律で、常時雇用する労働者が301人以上の企業に対しては、一般事業主行動計画の策定等を義務付けしておりますが、300人以下は努力義務となっております。義務企業は99%以上が行動計画を作っていただいておりますので、努力義務の企業について、できるだけ趣旨を理解して策定していただくということを、これも労働局が周知をしています。平成284月の全面施行後、努力義務企業からの届出2,000社以上という目標を掲げました。平成28年度の実績は、2,788社の企業に計画を策定、届出していただきました。

 これについても、引き続き300人以下の企業に浸透させていきたいと思っております。目標値としては新規届出企業数2,000社以上としておりますが、平成28年度の年間の動きを月別で見ると、やはり法の施行を待ち構えて4月に900件弱が集中して届出がありまして、その後、大体、月100件台で推移をしてきました。平成29年度(今年度)に入ってからも、大体、月100件前後で出てきております。逆に言うと、最近の動きからすると、届出ペースは緩やかになると見込まれますが、足らぬ足らぬは工夫が足りないというか、下げるのも嫌らしいと思いまして、2,000社という目標は維持をして、何とか今のトレンドをもう一回上向かせるような工夫ができないかということで取り組んでいきたいと思いまして、2,000社としております。指標は以上です。

 次に、総合判定等です。総合判定については、野心的かもしれませんが、「A」としております。目標については、いずれも目標は達成している、あるいは平成32年度目標に向けて上昇はしているということです。目標の中で1つ、指標2、男性の育児休業取得率は改善していると言っても、平成32年度の13%というのは、まだまだ飛躍が必要な状況ではありますが、これについても引き続き努力していきたいと思います。

 施策の有効性に関しては、まず、法律に照らした行政指導関係は、90%台後半の水準で是正ができているということで、しっかり機能しているものと思っております。雇用機会均等政策の場合、労働基準法と違って、最終的に罰則で担保するということがなかなかできません。差別の有無を行政機関が行って、白黒を付けるということはできないので、罰則で担保されていない中で指導で改善していくと手法としては、かなり粘り強くやっている結果が出ているのではないかと思っております。

 また、くるみん認定とか、女性活躍推進法の行動計画の義務付けではない部分についても、非常によく企業にも御理解いただけており、協力いただけていると思っておりまして、全般的に有効性という点ではしっかりできているのではないかと思います。

 効率性については、企業指導を行う際にも、やみくもにやるのではなくて、これは当然ですけれども業種別の取組状況を見て、相対的に遅れている業種を重点的に訪問するような計画を立てたりとか、また、様々なイクメンプロジェクトなどの周知・啓発系の事業は、思い切って民間委託を活用して、行政が抱え込まずにやっていくようなこと。また、行政事業レビューにある各指摘は着実に次年度の要求に反映するということで、効率性を心掛けております。

 現状分析としては、男女雇用機会均等、パートタイム労働、それから、仕事と家庭の両立支援、いずれも世の中の理解もいただいて着実に進展しているとは思っております。

 一方で、課題としては、いわゆるM字カーブの谷の深さの問題とか、女性の就業率自体は上がっておりますが、今、更に進めているのは、その指導的立場、管理職登用など、そういう面で遅れている部分の改善、それから、各種ハラスメントが依然として跡を絶たないということ。男性の育児参加の問題、それから、今度、法改正を予定しておりますが、正規・非正規の不合理な待遇格差の是正の問題がありまして、これらについて、引き続き取り組んでいきたいと思っております。説明は以上でございます。

 

○玄田座長

 それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。

 

○安永委員

 御説明ありがとうございました。指標2の男性の育児休業取得率について申し上げたいと思います。

 御説明にありましたように、取得率自体は上がっていますが、平成32年度において13%という目標値は、今の状況のままで推移すると、達成する見込みは全く立っていないという状況の中で、育児介護休業法の改正も、この分野の抜本的な施策は盛り込まれていないというように理解しています。ただ一方で、世間の関心もここは強くて、マスコミにも、なかなかこれが進んでいないことが取り上げられていることが多く目にいたします。

 そういう中で、男性の育児休業取得率にかんする目標値が達成されているとの評価は、世の中の認識、実態からして違和感があって、受け止められるのではないかと思っていまして、目標設定の在り方と、評価の在り方について再考が必要ではないかと思っております。

 男性が抱っこ紐を付けることが当たり前になってきたように、男性の育児休業取得を当たり前にしていかなければならないと思っていまして、世の中全体に徹底というのはおかしいでしょうけれども、当たり前にしていくような活動を、私どもも努力したいと思っておりますが、是非、そういった観点での見直しをお願いしたいと思います。

 

○玄田座長

 何かありますでしょうか。

 

○雇均局

 御指摘は、確かに目標は13%ですらかなりまだ高いところにある、今の現状からすると相当上空にある目標というように私どもには見えておりますので。この点については、今、「仕事と育児の両立支援に関する総合的研究会」というのを運営しまして、育児休業法は実は、昨年と一昨年と2年連続改正をしてきているのですが、今回、必ずしも法改正という出口にするかどうかは議論次第ではありますが、特に男性育休もテーマの1つに上げて対策の強化が必要ではないかということで、研究会で議論いただいておりますので、それの議論の中身もまた施策に生かして、対策の在り方を考えていきたいと思います。

 

○玄田座長

 遠藤委員、どうぞ。

 

○遠藤委員

 男性の育休ばかりの話をしてはいけないとは思いますが、2020年の目標の中で、3つぐらい難しいかと思っています。1つは、ジョブ・カードの300万人取得、それから、不本意非正規の割合、3つ目が、この男性の育児休業取得率ではないかと思います。当然、2020年度を目指していくには、対前年度以上という指標は、立て方としては有りかなとは思っています。それから、先ほど来、安永さんと私どもは立場が違うものですから、制度を改正することは必要性に応じてやっていくことはいいのですが、問題は、その効果が出ないからといって、より一層の制度改正に向けて取組むというのはいかがなものかと思います。では、有期雇用者の取得割合はどう変化したのか、取得要件を緩和したことがどれだけ効いたか、給付率を引き上げることによってどうやって変わってきたか、やはり政策効果をきちんと積み上げながら、先ほどお話になったように、現場では他の対応ができているので、休まなくても、子育てに参画しているという動きなども十分捉えながら、休んでいないから協力していないんだみたいな一辺倒の回答を出すようなことがあってはならないと思います。一番大事なのは、御説明の中にあったように、取りたいのに取れないという点は、これは変えていかなければならない。そのためには、意識改革というものが、まずもって必要であり、これは継続的対応をしていかなければいけないので、そういうトータルの施策展開を是非お願いしたいと思います。

 もう1点は、課長がお見えになっているので、こういう資料の並べ方をするとどうしてもお聞きしたいことがあります。5-11ページ目ですが、執行率を見ると、5-1の執行率だけが、他に比べると低いのですが、何か背景的なことがあるのですか。

 

○雇均局

 私どもの行政分野の予算は、実は多くの施策は余りお金を掛けるというよりは、いわゆる労働局の人手でもって法律を執行するというスタイルの行政ですが、予算を大きく割いておりますのは、両立支援助成金と申しまして、育児休業、介護休業の場合、企業に対する義務付けだけではなくて、それを補完する様々な取組を捉えて助成をすると。より育児休業を取りやすい、あるいは復帰しやすい環境整備をしていただくということを助成金でやっているのですが、その助成金について、予算を立案したときの見込みとその執行が乖離しているということが我々の行政の分野で執行率がこういった数字になる大きな要因です。

 これに対しては、対応は助成金によってケース・バイ・ケースでして、単に予算の見積額が過大だったのであれば次年度予算で予算額を落とすという対応になりますし、また、予算の見積り自体は社会の潜在的ニーズに合っているのだけれども助成金の仕組みが使われにくいがために使われなかったということであれば仕組みを見直すということを、個々の助成金ごとに分析して毎年度の予算の中で手直しをしているのですが、そうしている割に低空飛行しているではないかというのはそのとおりであります。

 

○遠藤委員

 ありがとうございます。施策効果が求められるのであって執行が先に出るという形ではありません。お話があったような背景がある中でも、例えば、助成金の手続の負担感を緩和していくとか、助成金申請の書類が多いと言われておりますので、改善の余地があるようであれば、是非、取扱いを図っていただければと思っています。

 

○玄田座長

 手続面で、まだまだ改善の可能性があるのではないかという点はいかがでしょうか。

 

○雇均局

 開き直ると、それも助成金行政の永遠の課題でもありまして、簡素に、できるだけぎりぎりの線で簡素であることが理想ではありますけれども、昨年度も簡素化に重点を置いて設計した助成金の、ちょっと要件の甘さの隙を突かれて、今、この助成金は審査が甘い、要件が甘いと言われると、もうバーッとネットで広がって、大量申請が出てきます。年度の途中で予算がパンクしたという助成金が1件あったので、少し慎重気味になっている面があるかもしれませんが、何でこのような書類まで要るのだということがあるかもしれませんが、そういう濫用されない程度のぎりぎりの簡素化ということを心掛けてやっていくしかないかと思っております。

 

○玄田座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○岩佐委員

 この指標1と指標4のこういうパーセンテージは、できれば何か件数と一緒に出していただけるほうが有り難いと。

 

○雇均局

 はい。

 

○岩佐委員

 というのは、もう1つの質問とも絡み、次の質問に対する対応はすごく難しいと思っていて、一応、質問するのですが、もともとどれぐらい違反行為がありそうで、その中で、どの程度の規模が指導対象になっていて、その中でこれだけの数が是正されているという規模感を知りたいので、数も知りたいのと併せて、なかなか難しいとは思いますが、潜在的なニーズというか、問題点へのアプローチのようなことについて、何か意識して対応されているものがあるのであれば教えていただきたいと思います。2つの質問です。

 

○玄田座長

 どうぞ。

 

○雇均局

 資料5-2を御覧ください。男女雇用機会均等法の関係で申しますと、資料5-21ページから、男女雇用機会均等法関係の指導などの状況を整理しております。まず、入口として、男女雇用機会均等法に関する相談が、平成28年度は21,050件あったというのが1ページの一番上の箱にあります。中身は、セクハラ関係の相談、それから、マタハラなどと報道されますが、婚姻や妊娠・出産などを理由とする不利益取扱いなどの相談が多くありました。

 次に、こういった相談を端緒にしてする場合と、それから、行政が自ら業種の状況とかを見て企業を選んでいく場合とあるのですが、2ページの(2)の所で、男女雇用機会均等法に基づく雇用管理の実態把握を行ったのが、7,257事業所あります。ですから、7,257事業所に何らかの形で行政がその均等法に関する実態把握をして、違反があったのが5,787事業所です。率としては79.7%、これに対して、1事業所で複数違反があれば、複数件の是正指導を行いますので、件数としては、9,773件行っています。これが97.4%が是正されたということで、先ほどの指標1になってくるわけです。違反率としては、79.7%、国の法律の遵守状況がこうだというのは非常に由々しいと言えば由々しいのですが、これは労働基準行政でも同じような議論がありますが、どうしても相談を端緒にして、その企業に対して指導に入ったりすると、問題があるから相談があるので、行く所は大体問題がある所ということになって、なかなか世の中全体の法律遵守状況というのは客観データとしては取りにくいという面があります。ですので、何で代替するかというと、結局その相談件数の推移とかで、理想的には法律が変わらないでいれば、段々遵守して、相談件数が減っていくのが望ましいのですが、一方で、例えば、マタニティハラスメントとか、新しい時事用語が発生して、あっ、自分の受けているこの扱いもそういう意味でのハラスメントではないかと思って相談に来るという掘り起こしもあって、そうすると、それが、わっと増えたりして、なかなか相談件数が上がっていけばいいとか、下がっていけばいいとも言いにくい。結局、窓口の行政運営の実感の中で、何か異常な動きをしているとか、現場職員がどう考え、本省にどうフィードバックするかということでしか、なかなか分からないのかと思っております。そういう意味で、結局のところ、企業に実態把握を行って、そこで問題があって、それをどれだけ確実に是正させることができたか。そこには特に罰則担保がない法律の中で、どこまでやれたかということを信用しているということです。

 

○玄田座長

 よろしいでしょうか。

 

○岩佐委員

 はい。

 

○玄田座長

 皆川委員、どうぞ。

 

○皆川委員

 他の委員の皆さんの御質問と重なってしまいますが、まず、育児休業取得率のところで、具体的な休業の期間の統計とかはあるのでしょうか。取ったのが短いか、長いかというところは実質の問題として重要なところもあるかと存じますので、その辺を1点お伺いしたいと思います。

 それから、指標5の所で、短時間勤務の選択できる事業所の割合で、年々上がっているという数値を出していただいていますが、これはどのベースで選択できる事業所というように認識するか、これは就業規則などを通じて、制度があるというところなのでしょうか。実際に、ここでもなかなか難しいとは思いますが、実際に、短時間勤務を選択されている労働者の方の傾向とかというところを把握しておられるか、その傾向など分かる範囲で構いませんので、お伺いできればと思います。いかがでしょうか。

 

○雇均局

 事業所として最長、何年の制度を持っているかは調査していますが、実際の取得期間のデータは取っておりません。確かに、男性育休と言っても、期間によっても意味合いは変るかもしれませんが、ただ、本当に3日間とか、短期で取った人の経験談でも、いや、こんなに奥さんが大変なことが分かったとかということは、それはやはり育児参加の1歩にはなりうるとは思いますので、今の時点では短くてもいいから、経験してくださいという政策なのかなと思っています。

 それから、短時間正社員制度の男性育休と同じ雇用均等基本調査で取っておりまして、そこでは、短時間正社員制度とは、フルタイムの正社員より所定労働時間が短い、あるいは、所定労働日が少ない正社員として勤務することができる制度と定義して、制度の有無は聞いておりますが、それ以上の取得者の属性とかは聞いておりません。もしやるとすれば、例えばJILPTとかにお願いをして、その個別のフィードバック的な調査をやっていくということではないかと思います。

 

○皆川委員

 こちらでもやはり社会的な一般の傾向だと、例えば、短時間勤務選択できる方は、女性のほうが比率が高くなってしまうことは何となく予想されるところなのですが、全体的なバランスも含めて、こちらも育児休業と関わるところもあるとは思いますので、こちらも可能な限り男女のバランスがよくなるようにという方向性が施策として望ましいと思います。なかなか大変な数字だというのは拝察申し上げておりますので、今後、そうした数値も含めながら目標について御検討いただければというところです。

 

○玄田座長

 追加があれば、お願いします。

 

○雇均局

 訂正します。利用者の男女比だけを取っております。

 

○皆川委員

 そういうことなのですか。

 

○雇均局

 短時間正社員制度の実際にそれを利用した人の割合ですが、女性は85.3%、男性は14.7%というのが、平成28年度調査です。

 

○皆川委員

 育休取得率よりは高い。どうもありがとうございます。

 

○玄田座長

 ほかに御意見などよろしいでしょうか。

 それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。ありがとうございました。

(担当課退室)

 

○玄田座長

 では、本日予定しておりました議事は、全て終了いたしました。本日は誠に熱心、かつ有意義な御審議をいただきまして、ありがとうございます。なお、会議の場で伝えきれなかった御意見、若しくは御質問等がありましたら、1週間後の95()をめどに、事務局まで書面にて御提出いただければと思います。もちろんメールでも結構です。1週間をめどに何か追加がありましたら、よろしくお願いいたします。

 若干、時間があるので申し上げると、確かに説明を聞いてみないと、分からないことがたくさんあると思いました。特に、数値にすることの大切さと同時に、やはりこの数値をどう解釈するかということの、留意点というか、そういうことを総合判定とか、施策と分析のところに微妙に書いてある気もするのですが、その数値を解釈する際には、こういうことにも気を付ける必要があるようなことの欄があってもいいかという感じは、今の段階で、私はいたしました。何か今の段階で、全て全般を通じて御意見、御質問があれば、せっかくですので、岩佐委員いかがですか。

 

○岩佐委員

 私も同じような感想です。発言しなかったのですが、例えば、シルバーのところに何箇所以上行かれるというのも、多分、分析から見ると、行って、かなり有効なことをされているので、ですから事故が減っているとかそういうことなのかと思いますが、資料としては何箇所行ったというのと、行ったらいいというものではないので、そこに行って具体的にどういうことをされているか、それから、訪問を受けた側は、こういうことが有り難かったとか、どう思っているのかという意味では、今、座長が言われているような、少しそういうところも分かると、資料の見やすさがあるかと思いました。

 

○玄田座長

 せっかくですので、一言ずつ、遠藤委員、何か全般を通じて。

 

○遠藤委員

 まずは目標値の立て方ですが、御指摘がありましたように、二事業関連で申し上げると、3年過去平均や、5年過去平均という部分があるようで、それを統一できるのかどうかが検討の1つだと聞いております。

 もう1つは、本来は件数でいくのですが、件数だと利用者数が減ってきてしまうと、評価がいい方向に行かないということで、それが率に変わる。率に変わってしまうと全体像が見えないのではないか、ただ今、岩佐委員が御指摘されたようになります。では、両方書いておけばいいではないか、あるいは、参考指標という形で注書きの所に併せて表記したらいいのではないだろうか。今の雇用情勢の変化を十分みながら、皆さん方は目標値を立て、それに向けて邁進している姿をどうやって国民の皆さんに見せていくのかというところも御苦労されていますので、その辺のところが十分分かるような形で評価書も含めて出てくれば、それはそれでいいものかなと思いながらいつも拝見しているところです。

 

○玄田座長

 ありがとうございます。皆川委員、全般を通じて何かありましたらお願いいたします。

 

○皆川委員

 私は本日初めて参加させていただいて、少しとんちんかんな質問もありまして、大変恐縮しております。他の委員の皆様からの意見と私も基本的に変わるところはありませんけれども、数字を拝見していまして、この数字、どういう根拠で出されているかというものは、基本的に、政策の趣旨とか、目的とか、また、どのように測定するところが客観的なのかという観点から、よく考えられている数字だと拝察しております。

 ただ、既に御指摘がありましたように、ここにもう少し政策の実効性ですね、実際の件数とか、あるいは、私がお伺いしたように、例えば、休業を取ったらどのぐらいの長さとか、そういった参考指標で構いませんので、どういった方向にその数字を読むべきか、あるいは、課題があるのか、達成等がより良い方向にいっているかとか、そういったところが可能な限り分かるような形で出てくれば、なおよいかというのが印象です。ありがとうございました。

 

○玄田座長

 分かりました。安永委員、何かいかがでしょうか。

 

○安永委員

 私はこのワーキンググループの委員を比較的長くやらせていただいておりますが、今日までのワーキンググループの中でも、それから、親会議である政策評価に関する有識者会議の中でも同じような指摘が多く出されております。例えば、目標値を大きくクリアしているときの次年度の目標値の立て方などについては、毎回のように同じ意見が出ることもあるので、そのところについては少し前へ展開していただいて、その目標値を立てた事情などをあらかじめ説明していただくと、より理解を深めやすいのではないかと思っております。よろしくお願いしたいと思います。

 

○玄田座長

 ありがとうございました。いろいろ御意見を頂きましたが、審議官から今の段階で、何か御返答等がありましたらお願いします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 私自身は政策評価の担当を7月からやっておりまして、ワーキングも今日が2回目になりますので、今の先生方の御指摘は大変有り難く承りました。

 私も聞いていて、随分説明者によって説明の仕方が違うとか、あと、こちらで説明時間を限っていますので、それを守るがためかもしれませんが、やや冒頭の説明を端折りすぎているところもあるのかと思います。先生方の御指摘を、これから第4期の評価の際には反映させられるように、この記載を充実するか、あるいは、その説明のところで補うか、何かしら反映をさせていただきたいと思います。

 安永委員から御指摘があった同じようなことが繰り返し出たりしないように、ここで、それぞれのワーキングで出たものを、ほかの部署にも共有をしたいと思います。非常に貴重な御指摘を頂きまして、ありがとうございました。

 

○玄田座長

 それでは、事務局から連絡事項等がありましたら、説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日は、どうもありがとうございました。本日の議論の取扱いについて御説明させていただきます。

 本日は、評価がこの会議の議事でしたので、評価についての御意見ですが、この点については、担当課において実績評価書の必要な部分を修正させていただいて、学識経験を有する者の知見の活用という欄がありますので、その点に盛り込ませていただいて、総務省への通知、それから、公表手続を進めさせていただきます。併せて皆様にも最終版を送らせていただきます。

 次に、評価というより、今後の目標設定に関わる御意見を多く頂きました。最後に、委員の方々皆様からお一人お一人そういった点についての御提案も頂きました。

 この点については、所管課で検討させていただいた上で、来年度以降の目標設定に反映していくという流れになります。数値を見る際の留意事項とか、説明のタイミングとか、やり方といったものについては、事務局で対応を整理させていただいた上で、目標への反映、それから、会議の体制などについてフィードバックさせていただくようにしたいと思います。

 最後に、今後の目標に関して、1点、事務的ではありますが、今後の変更予定がありますので、御説明させていただきます。

 参考資料3の厚生労働省の第4期の基本計画の資料に関するものです。これは基本計画は平成29年度からですが、12ページから政策目標の体系図というのが、別添として入っております。基本計画の一部として、こういう各目標を作っております。この別添は政策体系としていますが、厚生労働省では、今年711日付けで「雇用環境均等局」の新設、最後の課長が説明した部分ですが、そこの事務局の新設などの部局再編がありました。

 部局再編の内容としては、働き方改革、少子化対策、子育て支援、生産性向上などの課題に対応するために、労働関係部局を再編して、雇用環境均等局、子ども家庭局、人材開発統括官を新設したものです。

 この関係部局の再編に伴って、政策体系も、基本的には目標の位置を入れ替えるという変更作業をさせていただいております。

 これについて省内手続の上、変更させていただきたいと考えております。この資料の中で14ページから網掛けの所がありますが、その点が組織再編で変わる主な部分です。基本目標3は、もともとあった目標ですが、労働基準行政を中心とした目標だったのですが、この点から新しい雇用均等環境局に移るというのがありましたので、文言を変えております。

 それから、新しい雇用均等環境局の目標が基本目標4になります。従来の労働基準局とか、職業安定局の非正規対策部にあった目標等がこちらに集約される形になっております。

15ページは、1か所だけですが、「若年者の雇用を促進すること」ということで、若年者雇用対策の企画立案が職業安定局と旧職業能力開発局に跨っていたところを一元化したので、こちらに1つ目出ししております。

16ページは、もともと雇用均等環境局、そういう均等行政と子育て分野の施策が、1つの雇用均等児童家庭局にありましたが、今回、2つの部局に分かれましたので、この基本目標7が子育て支援に関する目標に特化したということになります。

16ページ、最後ですが、これは部局再編そのものではないのですが、真ん中辺りの下の「自殺対策を推進すること」という目標です。これは従来の政策目標に位置付けがなかったものですが、新しく目出ししたものです。以上が、組織再編等に伴う政策体系の変更ですので、省内手続の上、変更させていただきたいと考えております。

 

○玄田座長

 これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第6回政策評価に関する有識者会議 労働・子育てWG 議事録(2017年8月30日)

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